会社の利益を上げる10の方法(戦略編)

会社の利益を上げる10の方法(戦略編)

 

会社の利益を上げる10の方法(管理編)に続いて、会社の利益を上げる10の方法(戦略編)を解説する。

 

管理編では、経営管理面(マネジメント)に焦点を当てた利益を上げる方法論を詳しく解説したが、戦略編では、経営戦略面に焦点を当てた利益を上げる方法論を詳しく解説する。

 

会社の利益を上げるには、経営管理だけを気を配っていればよいというものではない。なぜなら、いかに整った経営管理体制を構築したとしても、経営戦略を誤ると、いとも簡単に利益が減少するからだ。

 

管理面と戦略面は利益を上げる両輪を為しているので、会社の利益を上げる10の方法(戦略編)についても、しっかり理解を深めてほしい。

 

 

安売りしない

 

中小企業にとって安売り、つまり低価格戦略は百害あって一利なしである。

 

経営者の犠牲の上に安売り戦略を推し進める会社の寿命は、せいぜい持って2代目で終わりだ。

 

なぜなら、たとえ手持ち物件で家賃負担がなかったとしても、経営者の然るべき報酬や減価償却費をすべて安売りの原資に回してしまえば、十分な設備投資や成長投資の資金が捻出できず、建物や設備の老朽化と共に経営が行き詰まるからだ。

 

安売りという一時しのぎの戦略ばかりを取っていると、いつまでたっても利益を上げることはできず、むしろ、利益が減り続けて、会社が衰退するリスクが高まるばかりとなる。

 

一度、低価格戦略に舵を切ってしまうと後戻りすることは不可能といっていいほど困難を伴う。

 

中小企業が利益を上げるには、安売り以外の戦略で商品やサービスを提供する努力が大切だ。

 

 

付加価値を追求する

 

付加価値とは、原価と売り値の間にある利益のことだ。

 

当然ながら、付加価値の高い商品は高値でも売れるので、会社の獲得利益も大きくなる。

 

付加価値を追求して利益を拡大する考えは、ブランド大国であるヨーロッパでは一般的なことだ。

 

例えば、高級ブランドであれば、材料原価の100倍の価格で商品を販売することも珍しくない。

 

一方、日本は原価を積み上げて価格をつける考え方が一般的だ。

 

どんな商品やサービスであっても付加価値を追求してみると、何かしらの価値が発掘できるものだ。

 

用途開発、機能開発、顧客開発、容器開発、デザイン開発など等、付加価値を発掘する領域は沢山ある。

 

付加価値の大きさ=利益の大きさなので、付加価値の追求は、中小企業の利益を上げる有効な方法になる。

 

 

ニッチ市場を攻める

 

ニッチ市場とは、参入障壁が高く競合が少ない、割かしマーケット規模の小さな市場のことだ。

 

息の長い商品(ロングセラー品)や細く長く続く経営(オンリーワン経営)はニッチ市場で生まれやすい。

 

なぜなら、ニッチ市場は、大手や競合の脅威が少なく、マイペースで商売ができるからだ。

 

ニッチ市場は、値崩れやシェア縮小のリスクが低いので、顧客が増えるほど利益が増えるといった、利益拡大のサイクルを作りやすいメリットがある。

 

ニッチ市場の参入には高いレベルの独自ノウハウの蓄積が欠かせないが、前編「会社の利益を上げる10の方法(管理編)」で解説した経営改善を継続していれば、自ずと独自のノウハウが蓄積される。

 

ニッチ市場は、利益をより安定的に上げる最適な市場といっても過言ではない。

 

 

リピーターを増やす

 

リピーターが増えれば利益が上がるのは当たり前のことだが、なぜ新規ではなくリピーターを増やすべきなのか、というポイントが肝になる。

 

リピート顧客が増えると利益も増える法則には二つの根拠がある。

 

ひとつは、顧客の獲得コストだ。リピーターの獲得コストは新規顧客の獲得コストの数分の一で済む。

 

もう一つは、1回あたりの購入単価だ。リピーターの1回あたりの購入単価は新規顧客の2倍以上だ。

 

つまり、少ない経費で購入を継続してくれて、尚且つ、一回当たりの購入金額が高いのがリピーターの特徴なのだ。

 

売上の最大化と経費の最小化を同時に進めることが利益を上げる基本原則なので、リピーターを増やす戦略は、この基本原則に合致した正攻法でもある。

 

また、リピーターは年間取引額が大きいヘビーユーザーほど、1回あたりの購入単価が大きくなる傾向がある。

 

将来のリピーター候補になる新規顧客の獲得も重要だが、リピート顧客を丁寧にフォローし、リピーターを沢山増やすことの方が、会社の利益を上げる重要な取組みになる。

 

 

情報を発信する

 

良いものを提供しているにも関わらず、鳴かず飛ばずという中小企業は少なくない。

 

このような中小企業が利益を上げるには、徹底した情報発信が欠かせない。

 

なぜなら、顧客創造(利益創造)を左右するブランドイメージは、情報発信によって形成されるからだ。

 

会社や商品概要に止まらず、仕事の価値、商品の価値など等、提供する商品やサービスの付加価値を引き上げる情報を積極的に伝える努力をしなければ「良いもの」が第三者に伝わることはない。

 

情報戦略に力を入れている中小企業は多くないが、情報を制する者は経済を制すると云われている通り、情報は企業価値を高め、利益を押し上げる効果を持っている。

 

ネット広告やテレビCMだけが情報発信の手段ではなく、会社のホームページも立派な情報発信手段になる。

 

自分達の良さが伝わる情報発信ができているか否か、顧客の利益を高める情報発信ができているか否か、利益を上げるための情報発信が十分にできているか否か、一度点検してみてほしい。