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「 企業衰退 」の検索結果
  • 無能な経営者など存在しない|なぜ社員は経営者を無能と罵るのか?
    無能な経営者など存在しない|なぜ社員は経営者を無能と罵るのか?経営者が無能と罵られるケースは珍しくない。しかし、本当に無能な経営者は稀で、殆どの経営者は言動や努力の軸足が定まった途端に結果に恵まれるようになる。この記事では、無能な経営者など存在しない理、並びに、なぜ社員は経営者を無能と罵るのかについて、詳しく解説する。無能な経営者など存在しない無能な経営者など存在しない。会社の業績が悪いのは経営者が無能なのではなく、会社経営を正しい方向に導くための努力の仕方を知らない、だけのことである。努力すれば報われるのは子供までで、大人になり社会に出ると、努力しても報われないのが世の道理である。例えば、中小企業の約7割は赤字経営に陥っていると云われている。その数300万社、つまり、300万人の経営者が赤字経営に悩んでいる、とも言えるが、全員が経営努力を放棄している無能な経営者かというと、そんなことはない。赤字会社の経営者は、みんな、血の滲むような努力をしているはずだ。資金繰りに奔走し、従業員に給料を支払うために営業で駆け回り、昼夜休みなく、成長のきっかけを掴むための経営努力をしているはずである。しかも、社長という重責を一身に背負い、孤独とも戦い、肉体的にも精神的にも大変な苦労を強いられている。社長の座に就いたことのない人間(社員)に、軽々しく無能と罵られるほど、経営者の苦労は軽くはない。それにも関わらず、経営者が無能と罵られる根本的な理由は、先に述べた通り、努力の仕方にある。努力が不足しているのではなく、努力の仕方に問題があるのだ。なぜ無能経営者と罵られるのか?努力の仕方を誤って会社が衰退するケースはじつに多い。例えば、計画が正しくなければ努力は報われず、万が一、業績の伸び悩みに陥ると、社員や取引先から無能経営者というレッテルを貼られてしまう。計画を誤り衰退する会社は、次の四つの失敗パターンに陥り、衰退するケースが多い。1.現状認識を誤る2.ゆえに目標を誤る3.自ずと経営課題を誤る4.計画策定を誤り、会社が衰退する最初の現状認識は最も重要で、ここを誤るとすべてが失敗に傾く。例えば、経営課題を見落とす・見誤る・見過ごすと、必ず現状認識を誤る。現状認識を誤ると、正しい目標が明らかにならないので、経営改善がストップする。さらに、時の経過と共に経営課題を見落とし続けるので、どんなに努力をしても成長のきっかけがつかめず、むしろ、少しのきっかけで会社経営が危機的状況に陥ってしまう。ここまでくると、無能経営者のレッテルを貼られるのは時間の問題となる。成功の八割は計画で決まる。段取り八分という言葉がある通り、計画の精度はとても重要で、計画次第で努力の結果が決まるのだ。無能経営者のレッテルを払拭するには無能経営者のレッテルを払拭するには、正しい計画を立て、その計画を推進する努力を継続することに尽きる。下のグラフは、わたしが実際に経営サポートに入った会社の経営指導開始1年前の主な経営指標の現状を示したものである。ご覧の通り、すべての経営指標が一番上の適正水準より下回っていることが分かると思う。そして、下のグラフは、経営指導開始1年後の主な経営指標を示したものである。ご覧の通り、殆どの経営指標が改善され、適正指標に達していることが分かると思う。(1年後の業績改善効果:売上高1.2倍,営業利益20倍,現預金残高5倍)業績が改善した根本理由は、経営者が有能か無能かではない。経営者が正しい計画を持って正しい努力をしたか、やるべきことをやったか、である。わたしに言わせれば、無能な経営者など稀な存在であり、やればできる有能な経営者の方がはるかに多いといえる。
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  • 社長引退の年齢はいつが適齢期なのか?|社長の引き際が会社の盛衰を決める
    社長引退の年齢はいつが適齢期なのか?|社長の引き際が会社の盛衰を決める社長引退の年齢は、いつが適齢期なのか?芸事(※)や一代限りの会社であれば年齢に関係なくいつまでも社長を続けて問題ないと思うが、次世代へバトンタッチする事業会社の社長ということであれば、社長引退に適した年齢というのが間違いなくある。多くの企業の盛衰をみてきたわたしの感覚ではあるが、社長の能力のピークと後継者の育成期間を考えると、50~55歳というラインが社長引退に適した年齢だと思う。50~55歳という年齢を社長引退の適齢期に挙げた理由は、大きく二つある。ひとつは、社長の能力のピークを迎えるのが50代であること、ふたつ目は、60代になってからでは後継者育成が間に合わないこと、である。良好な経営状態で次世代へ会社を残すのであれば、社長としての能力がピークに達している状態で後継者に経営を譲り、会長-社長という体制で後継者育成をする時間を確保することが欠かせない。当然ながら、社長自身が自分の経営能力の衰えに気が付いてから経営をバトンタッチしたのでは、会社も落ち目になりやすくなるし、後継者育成もうまくいくものではない。心身共に後継者に劣らない50~55歳という年齢で社長を引退し、後継者に経営をバトンタッチすることが、良好な経営状態で次世代へ会社を残すための、社長の引き際ではないかと思う。※芸事・・・その人特有の才覚で成り立っている業種。例えば、芸人、作家、弁護士等の士業、デザイナー、コンサル業、トレーダー、投資家、料理人、など等。なぜ、社長の能力は50代でピークを迎えるのか?なぜ、社長の能力は50代でピークを迎えるのか?その答えは簡単で、人間が固定化する年齢が50代だからである。50歳を超えると自分を変えることが難しくなるので、周囲に合わせることが億劫になり、自然と、自分の尺度でしか人生を歩めなくなってしまう。また、若いうちは捨てるものが少ないので、物心を真っさらにして初心に立ち返ることが苦にならないが、50歳を超えた年齢になると、過去から積み重ねてきた物心を捨てることができず、なかなか初心に立ち返ることができなくなる。社長の能力は、初心に立ち返ること、或いは、全く違う知識や考えを持った人との対話や自分のモノサシで計れない交流で磨かれるので、人間の固定化ほど社長の能力を退化させる要因はない。ソニー創業者の盛田昭夫氏も「50才以上の人間では自分を変えることが難しく、時代の変化についていけない、もう一つ上の世代は完全にアウトだ。」といっていて、自身も55歳で経営者を引退している。もちろん、50歳を超えても初心に立ち返り、柔軟な心で自分を開拓し続けている素晴らしい社長がいるのも事実だが、社長の最後の大仕事である後継者育成を考えると、やはり、50~55歳が社長引退に適した年齢ではないかと思う。経済は絶え間なく動いている。世代が変わっても、良好な経営状態を維持するには、社長引退の年齢から逆算し、今から手を打つことが大切だ。
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  • 業績が悪化する中小企業の特徴|業績悪化の原因が分かれば成功が見える
    業績が悪化する中小企業の特徴|業績悪化の原因が分かれば成功が見えるわたしはこれまで業績が悪化した中小企業の実態を数多と見てきた。倒産するかしないかの瀬戸際まで業績が悪化した中小企業の再建経験もあり、業績が悪化する中小企業の特徴も数多く知っている。この記事では、中小企業の業績が悪化する原因、並びに、業績悪化を防ぐ対策について、詳しく解説する。業績が悪化する原因と対策中小企業における業績悪化の原因と対策について解説する。業績が悪化している中小企業ほど、打つべき手を打っていないケースが多いが、経営実態を考えると、それも致し方ない面もある。なぜなら、ひとたび業績が悪化し、利益が減少すると、業績回復のための成長投資が全くできなくなるからだ。また、経営者自身も目の前の資金繰りに忙殺され、会社の成長をデザインする精神的余裕も無くなってしまう。一度、業績が悪化した中小企業がなかなかマイナスのスパイラルから抜け出せない理由は、大概はこのふたつに集約される。会社の業績を悪化させないためには「良好な業績をキープしている時に打つべき手を打つ」ことに尽きるが、これが出来ている中小企業は決して多くない。わたしの感覚だと、打つべき手を打っていないために、ほんの些細な経営環境の変化で業績が悪化に転じる経営実態に陥っている中小企業の方が、はるかに多い印象がある。中小企業の業績が悪化する3つの原因中小企業の業績が悪化する原因は様々が、特に注意してほしい3つの原因について、詳しく解説する。ひとつは「儲かっている時に経営努力の手を緩めること」、二つ目は「経営課題を見落とす・見過ごすこと」、三つ目は「成功体験にしがみつくこと」である。それぞれの業績悪化の詳細原因は以下の通りである。業績悪化の原因「経営努力」儲かっている時に経営努力の手を緩めることは、中小企業の業績が悪化する原因ナンバーワンといっても過言ではない。わたしが過去に関わった再建企業も大概は儲かっていた時期があったが、儲かっている時に打つ手を打っていないために倒産の危機に瀕していた。事業価値は経営努力の手を緩めた瞬間から陳腐化が始まる。つまり、ライバル企業との距離が縮まるということだ。業績を悪化させないためには弛まぬ経営努力が不可欠なのだ。業績悪化の原因「経営課題」経営課題を見落とす、或いは、経営課題を見過ごすと、会社の業績は簡単に悪化する。また、経営課題を見誤る、或いは、経営課題の解消方法を誤ることも業績悪化の原因になる。確固たる目標や然るべき行動基準がない行き当たりバッタリの経営に陥っている中小企業ほど、経営課題の見落としが原因で業績が悪化している。業績悪化の原因「成功体験」成功体験にしがみつくと経営環境の変化に対応できず、業績悪化のリスクが高まる。失敗は必然の結果、成功は偶然の賜物と云われるように、偶発性の高い成功体験にしがみつくことは、失敗に向かっているようなものである。成功体験を重ねることは重要だが、業績悪化を招かないためには成功体験にしがみつくことなく、創造性と柔軟性を持って経営に当たることが大切だ。中小企業の業績悪化を防ぐ3つの対策中小企業の業績悪化を防ぐ対策は、前章で解説した業績悪化の原因を回避すること以外にも様々あるが、特に効果的な3つの対策について、詳しく解説する。ひとつは「数字を見ること」、二つ目は「顧客を幸せにすること」、三つ目は「社員を幸せにすること」である。それぞれの業績悪化を防ぐ対策は以下の通りである。業績悪化の対策「会社の数字」会社の数字には事業活動の結果がすべて表れている。会社の数字を深く理解していれば1年先の業績を予測することも容易になり、業績悪化の兆候を事前に捉えることができる。先手先手の対策が打てるだけでなく、対策結果の検証精度も上がるため、自然と業績上向く。業績悪化の対策「顧客満足度」事業は顧客がいて、はじめて成立する。顧客のことを考えない経営は業績悪化のリスクを高めるが、顧客の幸せを考えた経営は業績悪化のリスクを著しく低下させる。企業のブランド価値に合致した顧客に新しい価値を提供する、或いは、顧客の満足度を高める、といった姿勢は必ず業績アップに繋がる。業績悪化の対策「社員満足度」事業は社員がいて、はじめて成立する。社員の幸せを考えた経営は、社員の仕事環境や人生そのものに安心感を与え、生産性を高める。また、社員の成長をサポートするほど、組織力が向上し、業績が向上する。業績が悪化する中小企業の特徴のまとめ中小企業の業績が悪化する様々な原因の中で特に注意すべき原因は「儲かっている時に経営努力の手を緩めること」、「経営課題を見落とす・見過ごすこと」、「成功体験にしがみつくこと」の3つになる。そして、中小企業の業績悪化を防ぐ対策は、上記3つの原因を回避することに加えて「数字を見ること」、「顧客を幸せにすること」、「社員を幸せにすること」の3つの対策が重要になる。繰り返すが、一度、業績が悪化し、利益が減少すると、業績回復のための成長投資が全くできなくなるため、そこから回復するのが難しくなる。会社の業績を悪化させないためには「良好な業績をキープしている時に打つべき手を打つ」ことに尽きる。この意識を忘れた瞬間に業績が悪化すると思ってほしい。
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  • 決断疲れの対処法と予防策|ストレスフリーの決断が企業の繁栄を後押しする
    決断疲れの対処法と予防策|ストレスフリーの決断が企業の繁栄を後押しする決断疲れとは、決断の精度が低下する症状のことだ。企業経営は社長の決断の連続で成果結果が決まるので、決断疲れは会社の盛衰を決定づける重要なファクターと言える。この記事では、経営者の決断疲れの対処法と予防策について、詳しく解説する。決断にはストレスがつきもの経営者の仕事は決断することと言われるように、すべての事業活動は、トップの決断によって前に進む。小さな会社ほど重要な決断が社長に集中するので、その苦労は相当なものだが、決断はやる(YES)・やらない(NO)の二者択一だけではない。決断の根拠が不足していれば、根拠データを求めるのも決断、失敗と分かったらすぐに元に戻すのも決断、結論保留も立派な決断だ。決断は早いほど良い。わたし自身も数秒で決断するよう心掛けている。とにかく、ライバルよりも素早く決断し、組織の動きをダイナミックに活性化させることが企業繁栄の大原則だ。一方で、決断には、失敗のストレスが常に付きまとう。未来を予測することはできても、未来を100%当てることは不可能だからだ。たとえ百戦錬磨の社長であっても、決断の誤りから、社員や顧客の反感を買い、業績悪化を招くことがある。すべての決断には、こうしたマイナスリスクがあるが、失敗のリスクを気にし過ぎると、決断のたびに大きなストレスを抱え、決断疲れに陥る。しかも、こうした状態が長く続くと、決断の精度が低下することが研究でも明らかになっている。経営者の決断ひとつで企業の繁栄が決まるので、会社にとっては由々しき問題でもある。決断疲れが企業の衰退を招く決断疲れの症状は、経営者の力量や性格によってまちまちだが、一番多いのは、慢性的な疲れから決断の精度やスピードが低下することだ。こうなると、決断の先送りが増え、会社の成長を阻害する経営課題を頻繁に見過ごすようになる。当然、こうした課題を見過ごすほど会社の衰退リスクは大きくなる。リスクを解消するための打つ手の選択肢も狭まるので、より難しい決断を迫られる悪循環に陥る。わたしは企業再生の仕事を数多く経験してきたが、経営者の決断ミスから会社が傾くケースはじつに多い。景気悪化やライバル台頭等の外部要因で会社が傾くのではなく、社長や幹部の決断ミスによって会社が傾くケースの方が圧倒的に多いということだ。決断は企業の盛衰を決定づける重要なファクターだ。だからこそ、決断疲れとは無縁でいられる健全な環境やマインドを整えることがとても大切だ。決断疲れの解消法・予防法アップル創業者のスティーブ・ジョブス氏は「決断疲れ」を減らすため、毎日同じ服を着ていたというエピソードがあるが、決断の機会を意図的に減らすために、日々の動きをルーティン化している企業経営者は少なくない。ここからは、専門家の立場から、決断疲れの解消法と予防法を詳しく解説する。失敗を恐れるのではなく、失敗を楽しみ、果敢に決断する経営環境は刻々と変わる。予測不能な動きも多々ある。誰ひとりとして、市場や顧客の動きを完璧に予測することはできない。毎年毎年、顧客やライバルが入れ替わり、主力の商品や戦略も変わる。一年として同じ年はなく、毎年が勝負、毎年が勉強だ。会社経営は、これほど不安定な環境のうえに置かれている。先が見えない環境下で決断を誤ることは当たり前のことだ。失敗を恐れて決断を止めるのではなく、事業活動を前進させるために失敗ありきで誰よりも早く決断し、どこで失敗したのか、何に失敗したのかを正しく把握しながら、失敗するたびに決断の精度を高めることが大切だ。発明家のトーマス・エジソンは「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ。」と言った。ラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏は「失敗した時に必ず学ぶチャンスが訪れ、そこから前進する。失敗して、前に進む。この繰り返しが勝つためのプロセスだ」と言った。社長業はただでさえ大変な仕事だ。すべての失敗と真面目に向き合っていたら、身体が持たない。失敗を笑い飛ばすくらいでちょうどよいのだ。先人達も失敗しては前に進むの繰り返しで、成功に近づいて行ったのだ。失敗はいかようにも挽回できる。失敗した社員を叱責したり、失敗を後悔したりするのではなく、失敗を成功の過程と考え、失敗を楽しみ、果敢に決断することが何よりも大切だ。決断の負荷を減らすために、やらないことを決める経営陣に集中する決断の負荷を減らすには、社員に一定の判断基準を与え、組織の自主性を高めると良い。社員に与える判断基準は、やっていいことではなく、やらないことに軸足を置くと分かりやすい。例えば、自社のNG顧客、NG事業、NG言動等を明快にするのだ。そのうえで、判断に迷ったり、前例がなかったりした場合のみ決断を仰ぐという意思決定プロセスを敷けば、経営陣の決断の負担は極めて少なくなる。ビジネスは自由競争なので、やっていいことは無限にある。やっていいことを明快に決めるのは現実的には無理だし、やっていいことを軸足に決断を重ねていたら、経営者も社員も疲弊してしまう。場合によっては、指示待ち症候群やイエスマンを生み出す温床を作りかねない。一方のやらないことは、意外と少ないものだ。しかも、やらないことには企業風土や経営姿勢が如実に表れるので、やらないことを決めるほど、企業の輪郭や組織の行動原理が明快になる。結果、決断に対するストレスが大幅に軽減される。自分の正しさに固執せず、常に最適な決断を探求するビジネスの現場では、自分の正しさを捨てるほど、最適な決断に近づく。例えば、自分の正しさを脇に置いて、社員の主張、現場の実態、顧客の要望、専門家のプラン、ライバルの実績など、他者の正しさを受け入れるほど、最適な決断が見えてくる。できる社長ほど、自分の正しさに固執することなく、より良い考えや新しいアイデアをどんどん取り込んで最適な決断を探求している。また、独りよがりな決断をしないために、相対的に物事を見る習慣をつけることも大切だ。例えば、主観・客観、メリット・デメリット、ポジティブ・ネガティブ、ミクロ・マクロ、売り手・買い手、賛成・反対、長期・短期、現実・理想、内部・外部など、一つの物事を相対的に分析すると、物事がシンプルに整理されて、最適な決断に近づく。客観的、かつ、相対的な根拠に基づいた決断ほど、周囲の反発が少なくなる。数字・社員・顧客を、よく観察する決断の結果は「数字・社員・顧客」のどこかに必ず現れる。数字が悪化する、社員の不満がたまる、顧客が離れるなどの兆候は決断ミスの典型だ。こうした兆候を察知した時は、すぐに改善することが大切だ。アクションが遅くなるほど、衰退リスクが大きくなり、対処も難しくなるからだ。逆に、数字が良好、社員が喜ぶ、顧客が増える等の兆候は良き決断の証拠だ。この場合は、今の決断や成長投資をさらに加速することで、繁栄の基盤がますます盤石になる。ひとつ注意点をお伝えすると、数字は、売上だけでなく、利益と現金もしっかり観察することだ。売上が増えている一方で、赤字額が拡大することはよくあることだ。また、会社は現金が無くなった瞬間に倒産するので、現金はしっかり観察しよう。黒字倒産という言葉がある通り、現金の増減に無頓着な結果、倒産する会社は数多にある。毎月、会社の現金が些少でも増えていれば、日々の決断は正しいと言える。根拠なき決断は疲れを助長するだけだ。根拠を充実させて、決断疲れを吹き飛ばそう。自分の弱点を知り、知見を充実させる正しい決断を支える知見は顧客や現場の声だけでない。数字などの客観的事実、法律などの決まり事、会社経営の原理原則、商慣習やモラル、ライバルの情勢など無限にあるが、どこかの知見に漏れがあると高い確率で決断を誤り、取り返しのつかない事態を招くこともある。だからこそ、自分の弱点を知っている社長は強い。弱点さえ補えば、決断を支える知見が充実するからだ。弱点を補う方法は二つある。独学で補う方法と他者の力を活用する方法だ。独学で学ぶことは素晴らしいことだが、確実なのは後者の方法だ。専門家を活用すれば正しい知見を効率よく習得できるし、特定分野が得意な社員を活用すれば費用をかけずに知見を充実させることができる。何より、社長には時間的なゆとりがないので、費用対効果を考えても、はじめから他者の力を借りた方が得策だ。社長の知見を補う右腕や参謀が多いほど、決断ミスも決断のストレスも大幅に少なくなる。周囲に感謝し、謙虚に生きる決断疲れの大きな原因のひとつに孤独感がある。ひとりで決断し、ひとりで結果責任を背負うのだから、社長の孤独ストレスは相当なものだ。孤独になるほど、決断に伴うストレスやプレッシャーも大きくなるが、こういう時は、結果を出すために頑張っている社員や会社を支えてくださるお客様に感謝すると良い。自分が独りではないことに気が付き、肩の荷が軽くなるはずだ。また、決断の成功をみんなで喜び、決断の失敗をみんなでカバーする体制を作るために、常に謙虚であることも大切だ。どんなに仕事ができても、どんなに大きな成果を上げても謙虚に受け止め、周囲に感謝し、自己鍛錬を怠らない経営者の姿勢は、顧客からも、社員からも信頼され、ひとつの決断が大きな成果を生む、好循環を引き寄せる。たとえ決断に失敗したとしても、協力の手がやまない。横柄・横暴・横着のスリービサイド(3つの横)を遠ざけ、いつも感謝し、謙虚に生きることが、よき決断、よき結果を生み出す秘訣だ。覚悟を決めて、決断に後悔しない経営者には、会社員のように手取り足取り教えてくれる指導者はいないし、過ちを犯したとしても優しく指摘してくれる人もいない。本気で怒ってくれる人も、本気で叱ってくれる人もほとんどいない。その環境下で、顧客からの信頼、社員からの尊敬、業績の拡大に至るまで、すべてを自分の決断で引き寄せなければならない。決断を誤り、業績が悪化した時は、その責任を一身に背負い、先頭に立って業績回復に努めなければならない。それが、会社のトップに君臨する経営者の務めだ。しかし、社長業を恐れる必要はない。大事なことは、社長の覚悟を決めることだ。覚悟さえ決まれば、すべての決断を自分の責任で下せるようになる。たとえ失敗したとしても、周囲や社員のせいにすることがないので、失敗が成功に転換し、さらには、周囲や社員から信頼される。また、覚悟が決まれば力量を高めるために謙虚に学ぶ。分からないことがあれば素直に教えを請う。助けが必要な時は、周囲に助けを求め、支援者や指導者に恵まれる。そして、社長の力量が上がるほど、周囲に尽くし、恩返しするので、社長業がますます楽しくなる。社長の覚悟が、その後の決断の質を支配する。つまり、決断の成功は覚悟で決まるのだ。決断を後押しする際に気を付けていることわたしが決断を後押しする際に気を付けていることは、延命処置的な対処療法に陥らないことだ。経営者が自主的に決断できる環境を整え、決断の精度が向上するよう全力を尽くす。だから、絶対に依存関係は作らず、いかなる時も社長のサポート役に徹する。決断の選択肢や方向性は一緒に考え、最終決断は社長に任せるのだ。決断するほど社長業の経験値が高まり、その経験値は巡り巡って決断力をさらに磨く。この繰り返しが、社長の力量だけでなく、風格や威厳をも高める。周囲に助けてもらいながらでも、最後は自分の力で決断する癖をつけることが、その後の成長に大きな影響を及ぼすのだ。もう一つ、今ココに全集中することも忘れないようにしよう。今すべきことを一切後回しにせず、すぐやる、必ずやる、出来るまでやるが徹底されると、会社の成長スピードは確実に加速する。明日やる、そのうちやる、条件が揃ったらやるなどの成長志向に欠けた決断がなくなるので、社員の能力開花のスピードや成果を生み出すスピード感も極めて速くなる。また、会社衰退の元凶となる油断や怠慢などの言動もシャットアウトされるので、日を追うごとに経営基盤が強固になる。さらに、今ココに集中すると、過去や未来にとらわれない柔軟な発想で決断できるようになる。天災や経済不況などで先が読めない経営環境に陥ったとしても、今コントロールできることに全集中できるようになる。周囲の状況が好転するのを待つのではなく、先手必勝の決断が定着するので、目の前の状況がどんどん好転する。ビジネスは先見の明があるから成功するのではない。結果が出なくても、成果に恵まれなくても、今この瞬間を一所懸命に生きるから成功するのだ。しんどい時はもちろんだが、決断に迷いが出た時や悩みが生まれた時ほど、今を大切に扱い、いま目の前にいる社員やお客様にとってベストな決断を心掛けてほしいと思う。良き決断をコツコツ積み上げれば、会社の未来は確実に明るくなる。筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 数字に振り回されないために抑えるべき大切なポイント
    数字に振り回されないために抑えるべき大切なポイント事業活動の結果はすべて数字に表れるため、数字を無視した会社経営は極めて危険だ。しかし、数字の本質を見失い、数字に振り回される、あるいは、数字を振り回す会社経営に陥り、衰退する会社も少なくない。この記事では、数字に振り回されないために抑えるべき大切なポイントについて、詳しく解説する。数字より人を大切にする数字は、社員やお客様の働きのうえに成り立つ。その事実を理解し、社員やお客様に感謝する気持ち持ち続けることが大切だ。数字は結果に過ぎない。くれぐれも、数字で社員をコントロールしたり、数字でお客様の価値を判断したりしないことだ。社長が数字を振り回すほど、社員は数字に振り回され、お客様ではなく、数字しか見ない、じつに無機質で打算的な会社経営に陥るものだ。数字のために働くのではなく、数字を見て(結果を見て)、お客様のための働き方をブラッシュアップし、お客様からの支持率を高めることが、本来の数字の活用法だ。この本質を忘れた時、数字が仇となって、会社経営は失敗に傾く。無理のない数字を探求する目標に数字を掲げることはじつに有益だ。何かしらの成果は目標に対して動くことで初めて生まれ、曖昧な目標よりも、明確な数字目標の方が得られる成果が大きくなるからだ。掲げた数字目標を達成することは素晴らしいことだが、数字に振り回されないためには、社員・顧客・取引先等に無理を押し付けていないかを時おりチェックすることが大切だ。例えば、社員や取引先に対して対価を十分に支払っていない、当初よりも品質を落としたり手抜きをしたりした商品やサービスをお客様に提供する等の無理は絶対に避けた方が良い。社員・顧客・取引先等に無理を押し付けて作った数字は早晩崩壊する。また、不正に手を染めて作った数字も長続きしない。安定経営を支える良い数字を作るには、無理のない数字を探求することが肝要だ。その意識無くして、社員・顧客・取引先等の信頼は得られないものだ。数字よりもプロセスを理解する数字は、今この瞬間の結果しか表していない。会社経営においては、断片的な数字に一喜一憂するのではなく、継続性を持って数字のプロセスをしっかり理解することが大切だ。貸借対照表は現預金と純資産の推移、損益計算書は年計の売上と経費と利益の推移を見ることが大切で、過去の数字のプロセスの理解が深まるほど、現状認識と将来予測の精度は高まる。役立つ数字と役立たない数字の取捨選択の精度も高まるし、些細な数字の変化もキャッチアップできるようになる。当然、会社経営の質も段違いに進化し、社長も社員も数字に振り回されることが無くなる。数字より人を大切にする、無理のない数字を探求する、数字よりもプロセスを理解する等、これらの数字の本質を見失わなければ、数字に振り回されたり、数字を振り回したりすることなく、会社を安定的に繁栄させることができる。会社経営に不調を感じた時ほど、数字の本質に立ち返ることを切にお薦めする。筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 事業承継が失敗する7つの理由|中小企業の事業継承が進まない原因
    事業承継が失敗する7つの理由|中小企業の事業継承が進まない原因事業継承とは、経営者が後継者へ社長業を引き継ぐ一連の手続きのことだ。事業承継は、事業存続に欠かせないイベントだが、会社を取り巻く経営環境によっては、様々な課題が生じ、事業承継が失敗するケースも少なくない。この記事では、事業承継が失敗する7つの理由、並びに、中小企業の事業継承が進まない原因について、詳しく解説する。事業承継失敗1「業績悪化」業績悪化に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。著しい赤字経営、あるいは、事業運営に行き詰った状態で行う事業承継は高確率で失敗する。多くの後継者は、社長業の経験がない中で事業を承継するケースが多く、黒字化の能力も、事業をマイナスからプラスに改革するノウハウも持っていないからだ。事業承継は業績が良くても失敗リスクが山積するイベントなので、最低限、黒字経営の内に事業承継に取り掛かるのが良い。黒字経営であれば、後継者が経営に失敗しても挽回できるし、経営を継承した前任経営者のバックアップ体制も充実する。会社の業績が好調なうちに事業承継を行い、経営者が元気なうちにサポートに回ることが事業承継の失敗リスクを引き下げる正攻法になる。事業承継失敗2「後継者不足」後継者不足に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。事業承継は、経営者が後継者に社長業をバトンタッチするイベントだが、そもそもバトンを受け取る能力が後継者になければ、事業承継は失敗する。特に、横柄・横暴・横着のスリービサイド(3つの横)が揃った後継者は、周囲の信頼を失いやすく、高確率で事業承継に失敗する。横柄な言動、横暴な態度、横着な仕事が定着している後継者には、社員・取引先・お客様からの信頼が集まらないだけでなく、助けの手や飛躍のチャンスにも恵まれない。業績が良いときは大きな問題はないが、ひとたび業績が悪化すると、衰退の一途をたどり、たいがいは、最後まで協力者が現れず、事業破綻、あるいは、社長降格の結末を辿るケースが多い。【関連記事】ダメな後継者とできる後継者の違い事業承継失敗3「権限移譲の課題」権限移譲の課題に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。事業承継が済むと、すべての権限が後継者に引き継がれるが、すべての権限を移譲しないことで事業承継が失敗に終わるケースもある。例えば、社長の権限の中で最も重要な仕事は、決断することと、その決断の結果責任を負うことだが、この何れか、あるいは、両方の権限を後継者に移譲しないと事業承継はうまくいかない。決断しなければ社長の力量は身につかないし、結果責任を負わなければ決断の精度も検証の精度も上がらない。決断と結果責任を後継者が担うことで、初めて社長の力量が上がり、事業承継の失敗リスクが引き下がるのだ。事業承継が済んだ後も、後継者の決断に口をはさむ。決断をさせずに結果責任だけを負わせる。或いは、本来、後継者が背負うべき結果責任を親心で肩代わりする等の言動は、事業承継の失敗リスクを押し上げることを忘れないことだ。事業承継失敗4「双頭体制のひずみ」双頭体制のひずみに伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。双頭体制とは、事業承継の当事者同士である経営者と後継者の両方に意思決定権等がある状態の事だが、ゆがんだ双頭体制は事業承継の失敗リスクを押し上げる。例えば、双頭体制が長期化すると幹部や組織の分断を招き、経営者側に従う社員と後継者側に従う社員に分かれ、最悪、会社解体という事態に陥ることがある。または、経営者と後継者の指示命令が錯綜することで組織が混乱し、自分の意見を表に出さない指示待ち社員やイエスマン社員が増殖する事態に陥ることがある。事業承継が済んだら、双頭体制を解消するために、意思決定権、指示命令権、人事権など、社長業の重要タスクはすべて後継者に引き渡し、組織の一体感を醸成することが事業承継の失敗リスクを引き下げる秘訣だ。事業承継失敗5「ビジネスモデル破綻」ビジネスモデルの破綻に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。事業承継は経営者の世代交代でもあるが、交代までの期間は一代で大よそ20-30年かかる。当然、その間にビジネスモデルの陳腐化が進むと、事業承継の失敗リスクは高まる。数十年も経過すると、ビジネスを取り巻く環境は一変する。社会インフラは進化し、事業コストは大幅に下がり、顧客や市場の動向も入れ替わる。変化の程度によっては、昔のビジネスモデルが全く通用しなくなり破綻することさえ起こり得る。事業承継に臨むうえで大切なのは、こうした大前提をしっかり理解し、今のビジネスモデル(事業モデル・仕事の仕方・社員の意識等)が、今のビジネス環境にフィットしているか否かを総点検することだ。改善余地や変化すべき点が発見できれば、改革・改善・修正が働くので、自ずとビジネスモデルの永続性と事業承継の成功率が高まる。事業承継失敗6「株式分散・相続トラブル」株式分散・相続トラブルに伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。中小企業の事業承継は、株主が交代するオーナーチェンジが一般的だが、株式分散や相続トラブルによってオーナチェンジが停滞し、事業承継が失敗するケースがある。例えば、株式分散が原因で、正当な後継者に2/3以上の株式が集約できず、後継者争いが勃発し、事業承継が失敗ケースはよくある。また、事業承継会社の株式自体が相続対象になることで、相続人同士が揉めることもよくある。さらに、揉め事を仲裁できる経営者(被相続人)が突然逝去した場合は、泥沼化することもあり得る。事業承継会社の株式価値が著しく高額で、後継者が多額の相続税を支払えないことで事業承継に失敗するケースも稀にある。(ちなみに、このパターンに陥り、事業承継を先送りするケースはじつに多い)事業承継失敗7「客観性・専門性の欠如」最後に、客観性と専門性の欠如に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。業績悪化、後継者不足、権限移譲の課題、双頭体制のひずみ、ビジネスモデルの破綻、株式分散・相続トラブル等、事業承継の失敗パターンは多種多様だ。中小企業の事業継承が進まない根本原因は失敗リスクが多いところに集約されるが、こうした失敗パターンを避けるには、客観性と専門性を高めるのが一番効果的だ。独学や自力で事業承継に臨むのではなく、客観的な視点を増やすために、専門家(経営コンサル・弁護士・税理士等)を参画させ、ベストな事業承継スキームを作り上げる環境を整えるのだ。こうした環境作りのタイミングは、ぼちぼちの業績で、経営者の気力体力に余力がある時がベストだ。業績と経営者に余力があれば、専門家の協力を得られるし、後継者の失敗もカバーできる。また、事業承継後のサポート体制も充実するので、失敗のリスクがどんどん下がる。事業承継は数十年に一度のイベントだが、企業の永続性を高めるうえで絶対に欠かせないものだ。失敗リスクを引き下げるために、相応の準備期間をもって万全な体制で臨むことを切にお薦めする。
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  • 中小企業の経営環境はなぜ厳しいのか?|不利な環境と不安を払拭するコツ
    中小企業の経営環境はなぜ厳しいのか?|不利な環境と不安を払拭するコツ中小企業の経営環境はじつに厳しい。大企業に翻弄されている中小企業、或いは、大企業の犠牲になっている中小企業も多く、更に、多くの中小企業が赤字経営に陥っていると云われている。この記事では、中小企業の経営環境が厳しい本当の理由、並びに、中小企業が不利な環境と不安を払拭するコツについて、詳しく解説する。中小企業の経営環境が厳しい理由中小企業の経営環境はなぜ厳しいのか?それは、中小企業が経済の調整役として、あらゆるマイナス面を押し付けられているからだ。例えば、大企業の利益の犠牲になっている中小企業はじつに多い。また、市場縮小や人手不足といった経済のゆがみを押し付けられている中小企業も非常に多い。さらに、資金調達に限りのある中小企業は成長投資のスピードが大企業に比べて規模が小さく、スピードもかなり遅い。こうした不利な経営環境もあってか、一時は業績が良くても、少しのきっかけで会社が倒産の危機に瀕する中小企業は後を絶たない。また、約七割の中小企業が経常的に赤字経営に苦しんでいる根本原因は、このような不利な経営環境によるものと推測される。中小企業に対する評価は厳しい!?中小企業に対する経済界の評価はじつに厳しい。例えば、中小企業が日本経済の足を引っぱっていると指摘する経済学者や財界人は意外と多い。しかし、経済界等の評価や指摘は、中小企業の不利な経営環境を無視した無責任な発言に感じるし、到底正しいとは思えない。繰り返すが、中小企業は大企業や経済界から、あらゆるマイナス面を押し付けられているため、厳しい環境での会社経営を余儀なくされているからだ。また、中小企業の経営者が無能だから会社が衰退すると思われている方も多くいるが、そんなことはない。会社が衰退するのは、経営者に必要なスキルとマインドが十分に身に付いていないだけで、業績が低迷している会社の経営者であっても、成功のメソッドさえ分かれば難なく会社を成長軌道に乗せてしまうケースは数多く存在する。不利な経営環境と不安を払拭するコツ中小企業が、不利な経営環境と不安を払拭し、独立独歩で会社経営を成功させるには、経営の必須スキルをしっかり習得・実践することが欠かせない。なかでも、管理会計と経営の思考法は、中小企業経営者の必須スキルといって過言ではない。管理会計管理会計とは、自動車の運転メーターのようなもので、会社経営の状態を可視化するのに役立つ会計手法のことだ。会社経営は数字を見るところから始まるので、管理会計なくして会社経営の成功はない。経営の思考法経営の思考法とは、未来を起点に現在を考えるバックキャスティング的思考法と、現在を起点に未来を考えるフォアキャスティング的思考法のことだ。経営者の思考は、目の前のことに捉われすぎても、遠い未来のことに捉われすぎても、うまく働かない。現在と未来をバランスよく考える思考が成功を引き寄せるのだ。伊藤のワンポイント中小企業の経営環境はいつの時代も厳しいです。大切なのは、そうした現実を受け止めて、経営者の必須スキルとマインドを磨き、会社の成長基盤を整えることです。中小企業は経営者の能力で業績が決まりますので、この部分の取り組みがおざなりになると、簡単に衰退リスクが高まります。
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  • 中小企業の賃上げはなぜ難しいのか?|大企業と小さな会社の賃上げ環境の違い
    中小企業の賃上げはなぜ難しいのか?|大企業と小さな会社の賃上げ環境の違い2023年初頭から大企業を中心に賃上げの動きが活発化している。この賃上げの動きは、前年から続く記録的な物価高騰から国民生活を守るために政府も後押ししているが、多くの中小企業は賃上げに対応しきれていない。この記事では、中小企業の賃上げがなぜ難しいのか、並びに、大企業と小さな会社の賃上げ環境の違いについて、詳しく解説している。賃上げの背景と実態賃上げの背景と実態について、詳しく解説する。2022年~2023年初頭にかけて日本は4%近い記録的な物価高騰(インフレ)が続き、国民の賃金が上がらなければ経済自体が回らなくなる危機に直面した。この危機的状況から国民生活を守るために、政府は企業に対して賃上げを呼びかけ、それに応じて、2023年初頭から大企業を中心に賃上げの動きが活発化した。一例を挙げると、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドと流通大手のイオンはパート従業員の時給を平均7%引き上げた。ユニクロを運営するファーストリテイリングはパート従業員だけでなく、正社員の年収を最大40%引き上げた。このほかにも、資本に余力がある大企業は賃上げに追従している。一方で、資本力に余力のない多くの中小企業は賃上げに対応できていない。労働者人口の7割を占める中小企業が賃上げしない限り、記録的な物価高騰(インフレ)から抜け出すための経済の健全化は実現できないことから、政府も賃上げ促進税制や価格転嫁を後押しする取引適正化を呼びかけているが、未だ、賃上げできる環境には至っていない。なぜ中小企業は賃上げ出来ないのか?なぜ中小企業は賃上げ出来ないのか、その理由について詳しく解説する。中小企業が賃上げできない根本的な理由は、経済の調整役として、あらゆるマイナス面を押し付けられているところにある。例えば、大企業の利益の犠牲になっている中小企業はじつに多い。また、市場縮小や人手不足といった経済のゆがみを押し付けられている中小企業も非常に多い。以下、中小企業の賃上げを阻害するマイナス面の典型例を挙げる。一部の大企業が価格交渉や価格転嫁に非協力大企業から毎年、納品価格の引き下げ要請がある大企業から採算割れリスクの高い案件が回ってくる物価の高い欧米諸国のマーケットを大企業に抑えられている資本主義経済の性質上、発展途上国の工場との価格競争に陥っている中小企業が多い高収益構造を作るのが難しい状況下において、大企業との取引コスト(電力・設備・諸材料・諸原料等)が上がり続けている資金調達の手段に限りのある中小企業は、成長投資や生産性改善のスピードが大企業に比べて遅く、規模もかなり小さい以上のような理由から、多くの中小企業は、大企業に比べて賃上げの環境整備が難しい状況に置かれている。また、こうした不利な経営環境もあってか、一時は業績が良くても、少しのきっかけで会社が倒産の危機に瀕する中小企業は後を絶たない。当然、継続的な賃上げに耐えうる中小企業も少なくなる。中小企業の賃上げを阻む大企業賃上げ率と価格転嫁率には相関関係があるという分析結果があるが、中小企業の賃上げは、価格転嫁が肝になる。しかし、中小企業の価格転嫁に協力的な大企業がいる一方で、価格転嫁に非協力的な大企業がいるのも事実だ。当然、価格転嫁が進まなければ、賃上げも遠のく。例えば、公正取引委員会は、2022年12月27日、下請け企業などとの間で種々のコスト上昇分を取引価格に反映する協議をしなかったとして、JA全農など合計13社を公表した。経済産業省(中小企業庁)は、2023年2月7日、中小企業の値上げ要請に十分に対応しなかったとして、日本郵便など合計42社を公表し、実態を明らかにした。中小企業が賃上げするために必要なこと中小企業が賃上げするために必要なことについて、詳しく解説する。中小企業が賃上げするには、大企業よりも高いハードルをいくつも乗り越える必要があるが、大切なことはどんな状況下であっても思考を停止させず、現状を変える気概を持つことだ。なかでも、生産性を高めること、価格競争力を高めること、欧米諸国のマーケットを開拓することは、中小企業が賃上げするために特に取り組むべきポイントで、何れも中小企業の盛衰を分かつ重要な要素になる。それぞれ、以下に詳しく解説する。生産性を高める生産性は、古い仕組み・仕事・商品等を刷新すれば高まる。例えば、生産性を高めるために、最新のテクノロジーや技術革新を誰よりも早くを取り入れる、世界初・世界最小・世界最軽量など、陳腐化し難い経済的価値を実現する、唯一無二の付加価値(ビジョン・社会的意義・販売力・営業力・独自性・希少性・特許等)を追求し、価格以外の競争力を高める等の経営姿勢はお薦めだ。【関連記事】小さな会社の生産性を高める3つの正攻法価格競争力を高める価格競争力は、商品等の供給が、常に需要に追い付かない状況を意図的に作れば高まる。つまり、飽きない、信用がある、買えない、ナンバーワン、オンリーワン、常にウエイティングがある等の状況を適度に作る企業努力を継続すればよいのだ。例えば、信頼される仕事の提供、ナンバーワン・オンリーワンを実現する、ライバルより1円でも多く付加価値を提供する、ライバルよりも1円でも安く作る創意工夫を探求する等の経営姿勢はお薦めだ。【関連記事】中小企業の価格競争力を高める方法欧米諸国のマーケットを開拓する2022年時点の日本人の平均年収は400万円強で、ここ25年間は横ばいが続いている。一方のアメリカは、平均年収がずっと上昇傾向にあり、現時点で800万円を超えており、この傾向は他の欧米諸国でも共通している。年収=消費力と考えると、日本国内だけのビジネスで売上と利益を拡大し続けるには無理があるが、物価が高く、日本国内よりも消費力が高い欧米諸国のマーケットを開拓すれば、成長の余地は大きく変わる。事実、海外売上比率の高い企業の利益水準は高い。海外マーケットの開拓コストは年々下がっているため、中小企業であっても十分に勝機がある。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 中小企業に迫る超高齢化社会の衰退リスクと成長戦略
    中小企業に迫る超高齢化社会の衰退リスクと成長戦略高齢化社会とは、総人口に占める65歳以上の高齢者が7%を超えた社会のことだ。高齢化社会は中小企業を取り巻く経営環境に大きな影響を与えることから、しっかり未来を予測し、今から成長の一手を打つことが大切になる。この記事では、中小企業に迫る超高齢化社会の衰退リスクと成長戦略について、詳しく解説する。高齢化社会の実態国内の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合を高齢化率と言う。高齢化率7%超を高齢化社会、14%超を高齢社会、21%超を超高齢社会といい、日本の高齢化率は、2019年時点で超高齢社会をはるかに超える28%台に達している。総務省の調査によると2025年には日本の高齢化率は約33%(3人に1人は高齢者)に達し、その後も40年間にわたり上昇し続ける試算が出ている。高齢化社会が進むと、医療福祉や社会保障制度の問題、財政や税負担の問題だけでなく、労働力人口の減少、経済成長率の低迷、高齢者の生活の質低下など、様々な社会問題が深刻化し、会社経営を取り巻く状況も大きく変化する。例えば、医療福祉の実費負担が重くなれば、医療福祉サービスを十分に受けられない高齢者が増え、高齢者の生活の質が急速に低下する。当然、そうした高齢者を無償(家族)でサポートせざる得ない現役世代が増えれば、労働生産性と共に経済成長率が著しく悪化する。国内の消費活動も低迷するので、企業の収益性と国の税収が減少し、ますます悪循環のスパイラルから抜け出すことが困難になる。高齢化社会は、中小企業の安定経営を脅かす、深刻な課題でもあるのだ。後継者問題・事業承継の課題高齢化社会に伴う後継者問題・事業承継の課題について、詳しく解説する。経済産業省の統計(2021年)によると、経営者の平均年齢は60歳を超えており、70歳超が約250万人、その半分が後継者未定であり、今後10年間で60万社が黒字廃業の危機にあるとされている。中小企業の経営者層の高齢化率(50%超)は、日本全体の高齢化率(30%弱)をはるかに上回る状況で、超高齢社会どころか、最早、超超高齢社会と言って過言ではなく、後継者問題や事業承継の課題など、深刻な衰退リスクの元凶にもなっている。さらに、2035年には、高度成長期で財を成した多くの団塊世代(1947〜1949年生まれ・約800万人)が死亡平均年齢に達し、国民財産(購買力)が著しく減少するとみられているため、中小企業の経営環境は、高齢化と共にますます厳しくなる。後継者問題・事業承継の課題を払しょくするには、経営者の若返りが必要だが、後継者育成や生産性改善に後れを取っている中小企業ほどそのハードルが高く、殆どの企業はドラスチックな改革(大胆な改革)が必要なところまで追い込まれている。中小企業が超高齢社会を生き抜く戦略中小企業が超高齢社会を生き抜く成長戦略について、詳しく解説する。超高齢社会の進行によって、中小企業を取り巻く経営環境は刻々と変化する。市場と消費トレンドは、高齢者寄りの医療福祉ビジネスが増えると予想されるが、購買力は落ちてくるので、今から生産性を高めないと、競争を生き抜くのが困難になるだろう。高齢者を支えるために、これまで働く必要のなかった専業主婦や高齢者自身の就業が増えるので、時短パートやフレキシブルな働き方に対応する必要があるだろう。生産年齢人口(15~64歳人口)が減少し続ける一方で、生活苦のために労働する就業人口は増えるので、娯楽・外食・嗜好品ビジネスは、さらに創意工夫が求められるだろう。物価と平均年収は多少増えるかも知れないが、国内市場は人口減少と共に縮小の一途をたどるので、海外売上比率を高めないと収益性をキープするのが困難になるだろう。以上のように、超高齢社会は中小企業を取り巻く経営環境に大きな影響を与える。将来の経営基盤を盤石にするには、しっかり未来を予測し、今から成長の一手を打ち、確かな実績を一つひとつ積み重ねることが大切だ。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 中小企業の生き残りはグローバル化で決まる|海外売上比率の高め方
    中小企業の生き残りはグローバル化で決まる|海外売上比率の高め方殆どの中小企業は国内マーケットを主戦場にしているが、国内需要は今後ますます縮小傾向が加速するとみられている。このようの状況の中で中小企業が成長し続けるには、グローバル化が欠かせず、グローバル化の打ち手が遅れるほど、衰退リスクが高まる。以下、将来の国内需要縮小の代表的な根拠(グローバル化の必要性)を挙げる。国内人口が減少し続ける超高齢社会が進み、国内消費が一段と低迷する購買力のある生産年齢人口(15~64歳人口)が減少し続ける年金減額や医療費負担増の影響で高齢者層(65歳以上)の購買力が低下する直近25年間の平均年収が変わっていない(国民の購買力が低迷している)直近30年間の物価がほぼ横ばいで、市場成長率が鈍化している(企業の収益力が低迷している)2035年に高度成長期で財を成した約800万人の団塊世代が死亡平均年齢に達し、国民財産が著しく減少する就業者の低所得層がさらに拡大する(学生・高齢者・専業主婦・派遣社員・外国人等の非正規労働者が増える)以上のような理由から、国内マーケットの市場競争は今後ますます熾烈になり、資本力や生産性に劣る中小企業ほど、生き抜くのが困難な時代になることが予想される。今後、中小企業が生き残るには、グローバル化を推進し、国内から外に出て、海外売上比率を高める取り組みが欠かせない。繰り返すが、グローバルの打ち手が遅れるほど、衰退リスクは高まる。中小企業が取るべきグローバル化戦略中小企業が取るべきグローバル化戦略について、詳しく解説する。中小企業がグルーバル化を進めて海外売上比率を高める戦略は二つある。一つは欧米マーケットの開拓、もう一つは海外需要の取り込みだ。以下、それぞれのグローバル戦略について、詳しく解説する。欧米市場を開拓するグローバル戦略日本人の平均年収は400万円強で、ここ25年間は横ばいが続いている。一方、アメリカの平均年収はずっと上昇傾向にあり、現在800万円を超えている。この傾向は他の欧米諸国でも共通しているが、年収=消費力と考えると、日本国内の消費は低迷し、欧米諸国の消費は成長し続けていると言える。当然、欧米市場に目を向ければ、どんな中小企業にも成長の芽が出てくる。海外通販等の越境ビジネスや日本独自の技術や生産物を欧米に販売するための開拓コストは年々下がっているため、資本力に乏しい中小企業であっても十分に勝機がある。海外需要を取り込むグローバル戦略訪日外国人数は2018年時点で年間3,000万人を超えている。この数字は、国内生産年齢人口(15~64歳人口)の約4割に相当し、今後ますます増加すると見られる。こうした海外需要に対して、日本にしかない商品やサービス、あるいは、日本らしい商品やサービスを展開すれば、販売のグローバル化が進み、海外売上比率を高めることができる。さらに、海外向けの販路と物流網を保有することで、一時的な需要(初回購入)だけでなく、定期的な需要(リピート購入)も取り込むことができる。なお、こうした海外需要を取り込むには、大前提として、外国人に対するサービスの質(言葉・習慣・文化等の理解)を高める努力が必要だ。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 地方企業の経営課題とメリット|地方企業が日本経済を救う
    地方企業の経営課題とメリット|地方企業が日本経済を救う地方企業の最大課題は「経営環境の厳しさ」にある。なかでも、顧客環境は大都市圏と比べて、非常に厳しいものがある。この記事では、地方企業の経営課題とメリット、並びに、日本経済における地方企業の役割りについて、詳しく解説する。地方企業の経営課題地方企業の最大課題は経営環境の厳しさにあり、なかでも、顧客環境は大都市圏と比べて非常に厳しいものがある。商売は顧客がいなければ成り立たないので、顧客の多寡は企業の死活問題に直結する。例えば、東京等の大都市圏は顧客の数が圧倒的に多いので、多少、油断しても経営がうまくいくことが往々にしてある。一方の地方は、そうはいかない。顧客が少ないので、少し油断すると経営がおかしくなり、あっという間に会社が衰退する。更に、地方企業の経営課題はこればかりではない。地方は人口が少ないので、人材確保の厳しさもある。「事業は人なり」の言葉通り、ビジネスは人材がいなければ大きくならないので、人材確保の厳しさは企業の成長を阻害する極めて深刻な経営課題になる。つまり、地方企業は、相当に難しい経営課題(顧客環境と人材確保の厳しさ)を背負った状態で、商売を盛り立てなければならないのだ。地方企業が日本経済を救う地方企業は相当な経営課題を抱えているので、地方企業ほど経営力を上げるための勉強が大切になる訳だが、事実、地方ほど勉強熱心な経営者が多い。(私の顧客も地方企業が大半を占める)こう考えると、地方企業が元気になれば、その分だけ日本経済も元気になる、ともいえる。そして、地方企業が元気になるほど、東京等の大都市圏の会社は、経営力次第で企業の盛衰が容赦なく決まり易くなり、ここまできて、ようやく、地方企業にとってフェアな経営環境が整う。地方企業を元気にすることが、日本全体の経済を押し上げる確かな方法で、これからの時代は、地方企業が日本経済を救うといっても過言ではない。地方企業の経営者には、そうした使命を感じながら、日々の会社経営に向き合って頂ければ嬉しく思うし、一方の東京等大都市圏の企業経営者には、厳しい経営環境にも耐えうる経営力をしっかり研鑽頂ければ嬉しく思う。【関連記事】社長・起業家・後継者のための実践経営学地方企業のメリット地方企業は深刻な経営課題を抱えてはいるが、地方企業ならではのメリットもある。最大のメリットは「コストの安さ」だ。地代は安いし、地方自治体によっては税制面の優遇メリットもある。地方圏内で商流(諸経費・仕入・営業・販売・消費等)を作れば、トータルの経済コストが下がるメリットもある。こうしたメリットを最大限に活かせば、大都市圏との経済格差を埋めることもでき、場合によっては、優位に立つこともできる。事業活動を支える社会インフラは充実する一方なので、地方企業であっても十分に勝負できる時代ではあるが、勝負に勝つためには、「経営力の向上・顧客創造の確立・社員教育の充実」が不可欠だ。この3つの条件さえ整えば、地方企業であっても、日本経済をけん引する成長企業になり得る。課題もハンデも多いが、生き残る道は十分にあるのだ。(この記事は2019年11月に執筆掲載しました)伊藤のワンポイント地方企業は相当な経営課題(顧客環境と人材確保の厳しさ)を背負った状態での経営采配を余儀なくされます。ですから、如何にして経営と真剣に向き合い、経営力を上げる努力をするかが企業の盛衰を分かちます。また、経営力と共に、顧客創造と社員教育の成果(精度)を高める努力も大切です。
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  • 斜陽産業からの脱却と復活の方法|チャンスは斜陽産業にあり
    斜陽産業からの脱却と復活の方法|チャンスは斜陽産業にあり斜陽産業とは、一時は市場の主役に躍り出た産業が、時代の変化と共に衰退し、市場規模の縮小が続いている産業のことだ。古くは、石炭産業や紡績産業などが斜陽産業の代表格であり、昨今は、新聞産業、テレビ産業、銀行産業などが斜陽産業と云われている。この記事では、斜陽産業からの脱却と復活方法、並びに、斜陽産業のチャンスの活かし方について、詳しく解説する。斜陽産業とは斜陽産業とは、一時は隆盛を極めた成長産業が、時代の変化と共に衰退産業に転じ、市場規模の縮小が続いている産業のことだ。斜陽とは、昇った太陽が沈みゆく最後の光を意味するが、斜陽産業という言葉が生まれた背景には、没落していく人々を描いた太宰治の代表作「斜陽(1947年)」の影響が強く、事実、この作品発表後に、没落していく上流階級の人々を指す「斜陽族」という意味の言葉が生まれている。また、斜陽という言葉自体にも、国語辞典に「没落」という意味が加えられるほどの影響力があり、斜陽産業という言葉もこの頃に誕生したものと思われる。斜陽産業は、古くは石炭産業や紡績産業などが斜陽産業の代表格であり、昨今は、新聞産業、印刷産業、家電産業、自動車産業、音楽産業、レジャー産業、一次産業(林業・農業・水産業等)、テレビ産業、小売産業、銀行産業などが斜陽産業と云われている。斜陽産業に陥る原因は、社会インフラの進化、技術革新、市場の感度や顧客の価値観の変化など等、様々な要因が考えられるが、根本原因は変化への対応の遅れにある。斜陽産業からの脱却と復活方法斜陽産業から脱却するには色んなアプローチがある。例えば、市場の変換、本物志向の徹底、変化への対応等は斜陽産業から脱却し復活を遂げる有効な方法だ。それぞれの方法について、順を追って詳しく解説する。斜陽産業からの脱却法「市場の変換」市場の変換は、斜陽産業から脱却する方法として効果的だ。市場は世界中にある訳だが、市場への販売ルートは多岐に亘る。将来を見据えて販売ルートを常に最適化できれば斜陽産業に陥るリスクを減らすことが出来る。市場の変換は、国内市場から海外市場へ、男性市場から女性市場へ、法人市場から個人市場へ、など等、様々なアイデアがある。斜陽産業からの脱却法「本物志向の徹底」本物志向の徹底は、斜陽産業から脱却する方法として効果的だ。偽物が衰退することは歴史が証明している。本物志向を徹底するには、情報発信(顧客創造)が肝になる。例えば健康効果の発信や本物が必要な理由を発信し続けることは必須だ。斜陽産業と云われている、足袋、絨毯、畳等にも優れた健康効果があり、必要としている潜在顧客は沢山いる。斜陽産業からの脱却法「変化への対応」変化への対応は、斜陽産業から脱却する方法として効果的だ。ビジネスを取り巻く環境は絶えず変化し、進化している。その変化なり進化を無視して従来のビジネスを推し進めていては、時の経過共に斜陽産業化するのみとなる。顧客の変化を見逃さない、或いは、既存ビジネスのノウハウを新市場へ投入するなど等、斜陽産業化を防ぐ変化への対応法は沢山ある。斜陽産業化を防ぐ戦略事例「成城石井」斜陽産業からの脱却事例として成城石井は好例である。成城石井はネット業界の台頭で斜陽産業化した小売業界の中で、秀でた業績を出している。それは、ネットで買えるものを置かず、ネットで買えないものを徹底して置いているからだ。日用品や大型ペットボトルは一切置かず、専門店よりも安価でコンビニよりも美味しいスイーツや総菜、サッと買える手土産の菓子やワイン類、質の高い海外の食品など等、ネットで買えないものに特化した品揃えを徹底している。斜陽産業化を防ぐ巧な戦略といえる。斜陽産業のチャンスの活かし方斜陽産業に陥る根本理由は変化への対応の遅れにあるが、斜陽産業化が会社経営に及ぼす深刻な症状はモノが売れなくなることだ。モノを売ることは、ビジネスの中で最も難易度の高い仕事なので、販売力に乏しい企業ほど、業界の斜陽産業化が進むと共に会社が衰退する。従って、モノを売る環境さえ整えることが出来れば斜陽産業化を防ぐことができ、場合によっては、市場のリーダーに躍進することもできる。例えば、個人商店を集結させた楽天株式会社、零細印刷会社を集結させたラクスル株式会社、文房具店を集結させたアスクル株式会社、個人フリーマーケットを集結させた株式会社メルカリ、中古販売店を集結させたヤフオク(ヤフー株式会社)など等は、斜陽産業の販売力回復と共に躍進した成長企業の典型だ。但し、隆盛を極めた企業であって斜陽産業に陥るリスクはあり、事実、先の例に挙げた躍進企業の中には成長に陰りが出ているビジネスモデルもある。つまり、ピンチとチャンスは常に背中合わせ、ということだ。斜陽産業化を防ぐ確かな方法は、目の前のビジネスに全力で取り組み、ビジネスモデルの付加価値を研鑽し続け、顧客の幸せを叶えることだ。(この記事は2019年11月に執筆掲載しました)
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  • 10年後に潰れる会社の3つの特徴|なぜ企業は衰退するのか?
    10年後に潰れる会社の3つの特徴|なぜ企業は衰退するのか?10年後に潰れる会社というテーマは、いつの時代であっても興味の対象になり得る。なぜ、10年後に潰れる会社に興味が集まるのかというと、将来の変化に対する大きな不安を、多くの経営者が普遍的に抱いているからだ。将来の変化に対応できなければ会社が潰れるということは、多くの経営者が感覚的に理解しているにも関わらず、将来の不安を抱え、会社が潰れるリスクに怯える経営者は決して少なくない。この記事では、10年後に潰れる会社の3つの特徴を詳しく解説する。一つでも該当する特徴があれば、そこが原因で10年後に会社が潰れる可能性があるので、冷静かつ客観的に会社の現状を分析してみてほしい。変化に鈍感な会社は10年後に潰れるひとつ目の10年後に潰れる会社の特徴は「変化に鈍感な会社」だ。会社経営を取り巻く環境は絶えず変化しており、一日として同じ環境はない。経済、世間、テクノロジーは日々刻々と変化しているし、技術の進歩は日進月歩である。従って、あらゆる変化に対応し、或いは、変化に順応するために顧客を創造し、更に商品の付加価値を研鑽しなければ、時を待たずして企業価値が陳腐化し、あっという間に会社倒産のリスクが高まってしまう。10年後に会社を潰さないためには、小さな変化を捉えて、成功体験(成功ノウハウ)を進化させる、顧客を発掘する、商品付加価値を磨く、コスト構造を改善する、事業(ビジネスモデル)を再構築する、といった弛まぬ経営改善が欠かせない。当然ながら、変化に鈍感な会社には継続的な経営改善ができないので、時が経過するにつれ、会社が潰れるリスクが高まるという残念な結果が待っている。数値目標がない会社は10年後に潰れるふたつ目の10年後に潰れる会社の特徴は「数値目標がない会社」だ。会社の成長発展は目標に対して動くことから始まり、なかでも絶対目標を示す数値目標は会社の成長発展と安定経営に欠かせない要素である。潰れる会社の多くは数値目標がなく、たとえ黒字経営であっても、売上・利益・現金など会社の成長発展に欠かせない要素の数値目標がない会社は衰退リスクが非常に高い。事実、ある年の倒産企業の半数は黒字経営だったというデータも残っており、一定の売上や利益があっても、会社の存続に不可欠な現金残高の数値目標がない会社は、突発的な経営環境の悪化に対応することができず潰れるケースが多い。10年後に会社を潰さないためには、然るべき数値目標を掲げ、適正水準をキープする努力が欠かせないのだ。【関連記事】会社を拡大する正しい利益目標の立て方後継者がいない会社は10年後に潰れるみっつ目の10年後に潰れる会社の特徴は「後継者がいない会社」だ。経営者の命は有限なので、後継者なくして会社経営の継続は不可能である。また、後継者には、それ相応の経営能力が求められ、後継者の経営力如何によって、せっかく承継した会社が潰れることもあり得る。後継者を一端の経営者に育てるには、10年はかかる。つまり、10年後に会社を潰さないためには、今すぐに後継者育成に着手しなければならないのだ。なお、後継者育成は、会社の業績が良く、なお且つ、経営者自身の気力体力が後継者に劣らないうちに始めるのが正攻法になる。会社の業績が下降気味、或いは、経営者の気力体力が下降気味になってから後継者育成に着手したのでは、時すでに遅しであり、会社が潰れるリスクが高まるばかりとなるので気を付けてほしい。伊藤のワンポイント変化・数値目標・後継者の注意点について解説しましたが、10年後に会社を潰さない為に大切なのは、衰退を予見し先手を打つ会社経営を実践し続けることです。多くの会社がこの部分の意識が弱く、多少、業績が上向くと手を緩めがちです。儲かっている時ほど、油断と怠惰を排除することが成功の秘訣です。
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  • 赤字経営とは何か?|赤字経営のメリットと赤字脱却の方法を徹底解説
    赤字経営とは何か?|赤字経営のメリットと赤字脱却の方法を徹底解説赤字経営とは、収入(売上)よりも支出(コスト)が上回っているマイナス収支の経営状態のことで、経理上は、営業赤字、経常赤字、当期純損失などの表記で示される。会社経営は、収入以下のコストで運営することで初めて成り立つので、赤字経営は衰退リスクが極めて高い経営状態といえる。この記事では、赤字経営の概要とメリットや税金対策としての赤字経営、並びに、赤字経営から脱却するための立て直し方法に至るまで、詳しく解説する。赤字経営とは何か?赤字経営とは、収入よりも支出が上回っているマイナス収支の経営状態のことだ。売上以上の経費を消費している状態なので、赤字経営を脱却しない限り、会社存続に不可欠な利益(現金)が手元に残ることはない。つまり、赤字経営を容認し続けている限り、会社の成長発展はないといっても過言ではないのだ。ちなみに、赤字経営の語源は、西洋の簿記でマイナス収支を赤インクで記した風習が由来になっていると云われており、西洋では赤字経営のことを「in the red」などと表現されている。なお、赤字経営は、経理上、営業赤字、経常赤字、当期純損失などの表記で示され、それぞれの赤字に至る理由は下記の通りになる。営業赤字営業赤字とは、本業の営業利益(収支)がマイナスに陥っている経営状態のことである。衰退リスクが極めて高く、金融機関や取引先に対する信用力も著しく低下する。営業赤字を放置するほど、黒字化の道のりが険しくなる。経常赤字経常赤字とは、本業の事業活動に加えて、営業外収支もマイナスに陥っている経営状態のことである。営業利益が黒字(プラス)であっても、金利等の営業外費用の負担が大きいと、経常利益が赤字(マイナス)に陥ることがある。営業赤字同様、衰退リスクが高く、外部に対する信用力も低下する。当期純損失当期純損失とは、最終利益がマイナスに陥っている経営状態のことである。本業、並びに、経常的に発生しない特別損失が発生すると、営業利益と経常利益が黒字(プラス)であっても、最終利益が赤字(マイナス)に陥ることがある。中小企業においては、資産の評価損や売却損に伴い赤字になるケースが多い。キャッシュフローの赤字キャッシュフロの赤字とは、現金収支がマイナスに陥っている経営状態のことである。営業利益、経常利益、当期最終利益の全てが黒字であっても、返済負担が大きい場合は、キャッシュフローが赤字(マイナス)に陥ることがある。会社は現金が無くなった瞬間に経営が破綻するので、キャッシュフローの赤字は極めて深刻な状態といえる。黒字倒産等はキャッシュフローの赤字が主原因になる。赤字経営の実態国税庁の調べによると全法人に占める赤字経営の割合は過半数を大幅に上回る70%にも上る。日本の国内法人の99.7%は中小企業なので、赤字経営の割合は中小企業の経営実態を表しており、多くの中小企業が赤字経営に苦しんでいることが分かる。しかし、赤字経営の企業が日本国内に300万社(全法人430万社×70%)もあるにも関わらず、年間の倒産件数(清算・破産)は僅か2.5万社程度と、赤字企業全体の1%にも満たない。つまり、99%の赤字企業は、赤字経営であっても会社が倒産することなく、うまく生きながらえているということだ。赤字経営でも潰れない理由赤字経営でも潰れない理由は難しくない。会社は赤字経営で潰れることはなく、現金が無くなったときに潰れる。つまり、売上よりも経費が多いマイナス収支の赤字経営を続けていても、会社の現金が無くならない限り、会社が潰れることはないのだ。例えば、次のような状況であれば、赤字経営であっても会社の現金が減ることはない1.赤字金額以上の減価償却費がある2.赤字金額を銀行等からの借金で補填している3.赤字金額を身銭で補填している上記1の「赤字金額以上の減価償却費がある」は、深刻度が低く、かなり多くの赤字企業が該当している赤字経営の典型例だ。上記2の「赤字金額を銀行等からの借入金で補填している」は、深刻度が高く、早期に赤字経営を脱却しないと、追加融資を停止された途端に会社経営が行き詰まる。上記3の「赤字金額を身銭で補填している」は、深刻度が非常に高く、身銭が無くなった途端に会社経営が行き詰まる。赤字企業の99%が潰れない理由は、殆どは上記3つの理由に該当しているが、上記2・3に該当している赤字企業は、早期に赤字経営を脱却しないと、経営破たんのリスクが高まる一方になるので、くれぐれも注意してほしい。赤字経営のメリット・デメリット赤字経営のメリットは、法人税(均等割りを除く)が課税されない、或いは、損失の繰り延べができる、といった税負担の軽減である。一過性の要因で赤字経営に陥り、税金の負担軽減といったメリットを享受することは問題ないが、赤字経営が常態化すると、深刻なデメリットが生まれる。例えば、赤字経営の常態化に伴う企業の衰退スピードの加速は、最たるデメリットになる。赤字経営が常態化すると、成長投資の原資となる利益(現金)が一向に増えないので、企業衰退のスパイラルから脱却することができなくなる。場合よっては、赤字経営脱却のきっかけがつかめないまま、会社が倒産してしまうこともあり得る。万が一、会社が倒産すると、社員や取引先に不幸をまき散らすだけでなく、経営者も、経営者家族も一瞬で不幸のどん底に落ちる。つまり、赤字経営のメリットは殆どなく、デメリットの方がはるかに大きいのだ。赤字経営は税金対策として有効か?赤字経営の結果、マイナスの利益で決算を確定すると、その事業年度の法人税(均等割りを除く)は、原則ゼロになる。さらに、その赤字金額は翌年以降への繰り延べが認められており、翌年の利益(黒字決算)を相殺し、法人税を軽減する効果も持つ。一見すると、税金対策のためにわざと赤字経営をキープすることが賢い会社経営に思うかも知れないが、前章で解説した通り、赤字経営には会社倒産のリスクを引き上げるデメリットがあるため、税金対策としては極めてリスキーな方法になる。赤字経営を脱却し、然るべき利益を上げて、しっかり税金を納めて、内部留保(現預金)を増やすことが、成長発展を実現する安定経営の正攻法になる。赤字経営から脱却するための立て直し方法赤字経営から脱却するための立て直し方法は、強みがある会社と強みがない会社でアプローチが変わる。例えば、強みがある会社は強みに経営資源を集中させて赤字経営から脱却する方法が正攻法になる。強みが全くない会社の場合は、弱みを一つずつ解消していき赤字経営から脱却する方法が正攻法になる。参考まで、赤字脱却に役立つ当サイト内の記事を3つ紹介する。赤字経営を黒字化する3つの方法会社を立て直し黒字化する確かな方法中小企業の社長が最低限すべき5つの仕事赤字経営は放置するほど立て直すのが困難になるので、赤字経営に陥っている会社は上記ノウハウを参考にして、直ちに赤字脱却の経営改善を講じることをお薦めする。赤字脱却を目指すうえで注意すべき点とは赤字脱却の道筋と手段は、大変、繊細でシビアな世界だ。ほんの些細な判断ミスが原因で、赤字経営の程度が更に悪化することが起こり得るので、少しでも不安がある経営者は専門家を頼ったほうが良い。赤字経営の場合は、何とかやれている内がチャンスだ。(赤字金額以上の減価償却費がある内がチャンス)なぜなら、何ともできなくなってから赤字脱却を目指しても、手の施しようがないことが往々にしてあるからだ。例えば、赤字経営に悩んでいる相談者に対して、「来るのが一年遅かったですね」と、ひと言おいて、「1年前に相談に来て頂ければ高い確率で赤字脱却ができました。2年前に相談に来て頂ければ、今頃、赤字から脱却し、経営が安定していたと思います。」と、答えざる得ないパターンは非常に多い。会社は、現金がなくなると倒産するので、最低、1年分の運転資金がなければ、救えるものも救えない。このパターンのように、経営相談の時期が遅いために、赤字脱却の成功率が著しく低下するパターンは少なくない。赤字脱却のために経営コンサル等の専門家を有効に活用するのであれば、会社の財務状況が資本欠損に陥った段階がデットラインなので、くれぐれも注意してほしい。伊藤のワンポイント経営とは、企業の永続性を確立する事であり、その実現こそが経営者の本来の仕事です。赤字経営から企業の永続性を確立することはできません。最低限、黒字経営をキープし、利益拡大と共に、顧客と社員の満足度を高める努力が不可欠です。赤字転落は経営の危険信号です。決して赤字経営を容認してはなりません。
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  • 経営目標がない会社の業績は悪化する|経営目標の効果的運用方法
    経営目標がない会社の業績は悪化する|経営目標の効果的運用方法経営目標がない会社の業績は悪化する。なかでも、利益目標や経営改善目標といった、安定経営の実現に不可欠な経営目標がない会社は、一時は調子が良くても、かなりの高確率で業績が悪化し、倒産の危機に瀕する。この記事では、経営目標がない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営目標の効果的運用方法について、詳しく解説する。経営目標がないと業績が悪化するなぜ、経営目標がないと業績が悪化するのかというと、今すべきことが曖昧になり、日々の経営が行き当たりバッタリになってしまうからだ。経営が行き当たりバッタリに陥ると、業績の上下に一喜一憂することに終始してしまうので、事業拡大のビジョンとパワーが生まれてこない。当然ながら、事業拡大のビジョンとパワーが弱いと、少しの経営環境の変化で会社の業績が悪化し、会社が簡単に衰退してしまう。経営目標には、事業拡大のビジョンとパワーを生み出す効果がある。例えば、経営目標を掲げると、現状と目標の間にあるギャップが明かになるので、やるべきことがハッキリする。また、経営目標を掲げると、組織の力が一点に集中するので、業績拡大のスピードが加速度的に上がる。事業拡大のビジョンとパワーが大きいほど、業績悪化のリスクは低下する。つまり、企業の盛衰は、経営目標で決まるといっても過言ではないのだ。中小企業の経営者に対して「経営目標はありますか?」と問いかけると、明確な答えを持っていない経営者が稀にいるが、経営目標がない会社経営ほどリスクの高いものはない。業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、明確な経営目標を掲げることをお薦めする。経営目標の見つけ方と活かし方経営目標は掲げれば良いというものではない。なぜなら、的外れな経営目標は経営を迷走させ、業績悪化のリスクを一段と高めるからだ。事業拡大に役立つ経営目標を運用するには、正しい経営目標の見つけ方と活かし方のふたつのポイントを抑えなければならない。当たり前だが、経営目標の見つけ方を誤れば経営が迷走し、活かし方を誤れば経営目標の効果が無に帰してしまう。経営目標をいかに正しく見つけ、いかに活かすかが、経営目標の運用精度を左右するのだ。経営目標の見つけ方と活かし方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。経営目標の見つけ方正しい経営目標を見つけるには「会社の数字・顧客の声・ライバル企業の動向」などの情報を最低限、把握しなければならない。会社の数字事業活動のすべての結果が表れている会社の数字は、売上、経費、利益などを改善するための合理的かつ客観的な目標基準になる。しかも、数字ベースの経営目標は、現状と目標の乖離を常に数字で把握できるため、結果を出すための事業活動が一段と効率化される。顧客の声とライバル企業の動向顧客の声やライバル企業の動向は、商品やサービスの付加価値を上げるための合理的かつ客観的な目標基準になる。顧客の声やライバル企業の動向をベースに経営目標を掲げると、商品やサービスの付加価値が磨かれて、市場での競争優位性が一段と高まる。経営目標の活かし方経営目標を正しく活かすには「情報の共有・数字の活用・期日の徹底」の3つのポイントを抑えなければならない。情報の共有経営目標に関わる情報を共有すると、現場スタッフの状況判断精度が向上するので、自ずと目標達成の事業活動が効率化される。数字の活用数字を活用すると、事業活動の検証精度が向上するので、自ずと目標達成に向けた事業活動が効率化される。期日の徹底期日を徹底すると、経営目標を絶対に達成するという気迫と熱意が高まり、目標達成の成功確率が飛躍的に高まる。業績悪化リスクのチェックリスト最後に、経営目標がない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。ひとつでも当てはまる項目があれば、経営目標の運用に問題があり、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営目標の運用に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。業績悪化リスクのチェックリスト☑会社の数字を把握していない☑顧客の声を把握していない。或いは、顧客の声を経営に活かしていない☑ライバル企業の動向を把握していない。或いは、ライバル企業の動向を経営に活かしていない☑経営目標に関わる情報を社員と共有していない☑経営目標の設定、検証、修正に数字を活用していない☑経営目標に期日を設けていない☑経営目標に向かって活動しているが、なかなか成果が上がらない(経営目標の設定ミス、検証ミス、修正ミスがある)伊藤のワンポイント経営目標の設定・管理は会社のトップである経営者の重要な仕事です。この仕事をおざなりにすると経営が迷走し、衰退しやすくなります。物事の成果は目標に対して動くことで初めて生まれます。ですから、トップが経営目標を掲げて組織の力を一点に集中させることが重要です。
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  • 経営計画がない会社の業績は悪化する|経営計画の効果的運用方法
    経営計画がない会社の業績は悪化する|経営計画の効果的運用方法経営計画がない会社の業績は悪化する。なぜなら、経営計画がないと、今すべきことが曖昧になり、行き当たりバッタリの会社経営に陥るからだ。この記事では、経営計画がない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営計画の効果的運用方法について、詳しく解説する。経営計画がないと業績が悪化する経営計画がないと、今すべきことが曖昧になり、行き当たりバッタリの会社経営に陥ってしまう。会社経営がひとたび行き当たりバッタリに陥ると、計画性のない行動に拍車がかかり、たった一つの躓きで会社の業績が悪化することもある。また、経営計画がないと、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源が分散してしまい、売上や利益の拡大、或いは、社員の成長といった経営の効率化が遅々として進まなくなる。経営計画の範囲はじつに幅広い。販売計画のみならず、人事計画、育成計画、開発計画、事業計画など等、挙げたらキリがないほどあり、経営計画の精度如何で経営の成功が決まるといっても過言ではない。じつは、中小企業において正しい経営計画を持っている会社は決して多くない。経営計画の立て方が誤っている、経営計画は立てたが内容が妥当ではない、そもそも経営計画がないという中小企業も珍しくない。経営計画のない会社経営ほどリスクの高いものはない。業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、正しい経営計画を作成・運用することをお薦めする。経営計画の作り方と活かし方経営経営は作れば良いというものではない。なぜなら、的外れの経営計画は経営を迷走させ、業績悪化のリスクを一段と高めるからだ。事業拡大に役立つ経営計画を運用するには、正しい経営計画の作り方と活かし方のふたつのポイントを抑えなければならない。当たり前だが、経営計画の作り方を誤れば経営が迷走し、活かし方を誤れば経営計画の効果が無に帰してしまう。経営計画をいかに正しく見つけ、いかに活かすかが、経営計画の運用精度を左右するのだ。経営計画の作り方と活かし方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。経営計画の作り方経営計画は最終目標を数字で記入するところから始めるのが効果的だ。例えば、3年後に売上○○万円、利益○○万円を達成する、という数字を決めたうえで、計画達成の障害になり得る経営課題を洗い出し、その課題を解決する方法と期日を計画に落とし込むと、実践的かつ効果的な経営計画ができる。経営計画の活かし方経営計画の運用は、PDCAサイクルの精度とスピードで決まる。例えば、業績集計や検証の精度が上がれば計画が最適化されるので計画達成のスピードが加速する。また、PDCAサイクルを月単位から日単位に短縮すると、計画達成のスピードが飛躍的に加速する。業績悪化リスクのチェックリスト最後に、経営計画がない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。ひとつでも当てはまる項目があれば、経営計画に問題があり、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営計画に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。業績悪化リスクのチェックリスト☑経営計画がない☑経営計画のイメージはあるが、計画書を作成していない☑経営計画を作成したが、計画通り実行できていない☑経営計画に数字や期日が入っていない☑PDCAサイクルを回していない☑PDCAサイクルの回転が遅い☑PDCAサイクルの精度が低い☑経営計画に基づいて活動しているが、なかなか成果が上がらない(経営計画の作成ミス、検証ミス、修正ミスがある)伊藤のワンポイント段取り八分という言葉があるように、会社経営においても計画は重要です。計画の精度で業績の明暗が分かれますし、計画がないために衰退スパイラルに陥ることもあります。経営計画を作るのは社長の仕事です。そして、計画を推進するのも社長の仕事です。人任せにするほど衰退リスクが高まりますので注意してください。
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  • 経営改善をしない会社の業績は悪化する|経営改善の効果的推進法
    経営改善をしない会社の業績は悪化する|経営改善の効果的推進法経営改善をしない会社の業績は悪化する。なぜなら、継続的な経営改善で事業価値を高めないと、簡単に市場競争からはじき出されるからだ。この記事では、経営改善をしない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営改善の効果的推進法について、詳しく解説する。経営改善の目的と効果経営改善の目的は、売上の最大化と経費の最小化、つまり「利益の最大化」に集約される。利益の最大化を成し遂げるためには、経営課題を発掘し、その課題を解消する経営改善活動を継続することが欠かせない。経営改善の対象を的確に見つけることに苦手意識を持っている経営者もいるかも知れないが、経営改善の対象は、現場や顧客の声に耳を傾ける、或いは、ライバルの動向に目を凝らすことで簡単に発掘することができる。また、経営者が3~10年後の会社の姿をイメージし「今のままで通用するか否か」を折にふれ意識することも、経営改善の対象を発掘する有効な方法で、いかに正しく現状を分析し、いかに正しく改善すべき点を捉えることが出来るかが、経営改善成功の秘訣である。じつは、中小企業において、経営改善を正しく推進している会社は決して多くない。経営改善の進め方が誤っている、経営改善の対象が妥当ではない、そもそも経営改善をしていないという中小企業も珍しくない。経営改善をしない会社経営ほど衰退リスクの高いものはなく、経営改善が途切れると必ず会社の業績が悪化する。業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、正しい経営改善を推進することをお薦めする。正しい経営改善の進め方経営改善は実施すれば良いというものではない。なぜなら、的外れの経営改善は業績を悪化させ、会社の衰退リスクを一段と高めるからだ。経営改善を推進して事業を拡大するには、正しい経営改善の進め方のポイントを抑えなければならない。当たり前だが、経営改善の進め方を誤れば業績が悪化し、衰退リスクが高まるばかりとなる。経営改善をいかに正しく進めるかが、経営改善の効果を左右するのだ。経営改善の進め方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。ギャップを捉えるギャップとは、現状と目標の間にある経営課題のことである。経営改善を成功に導くには、正しい現状分析と正しい目標設定が欠かせない。ギャップを解消するギャップを正しく捉えた後は、ギャップを解消し、目標に近づく経営改善努力が欠かせない。経営改善の計画作りに満足してしまい、実行が萎んでしまうパターンを稀に見かけるが、実行しなければ経営改善の効果は一向に表れることはない。経営改善を検証する経営改善の結果は必ず検証しなければならない。検証する際は、必ず会社の数字といった客観的事実の活用が不可欠だ。経営改善の効果測定と検証がしっかりされていれば、経営改善を進めながら適宜修正(補正)が働くので、経営改善が誤った方向に進むリスクをしっかり抑えることができる。業績悪化リスクのチェックリスト最後に、経営改善が十分に出来ていない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。ひとつでも当てはまる項目があれば、経営改善が不十分で、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営改善の方法に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。業績悪化リスクのチェックリスト☑正しい現状分析が出来ていない☑正しい目標設定が出来ていない☑経営改善が計画止まりになっている☑経営改善の効果を検証していない☑経営改善のプランを修正(最適化)していない☑経営改善を実行しているが、社員のモチベーションが上がっていない☑経営改善を行っているが、なかなか成果が上がらない(経営改善の方法ミス、検証ミス、修正ミスがある)伊藤のワンポイント経営改善は企業の生命線になります。つまり、衰退を予見し先手を打つ会社経営の実践度が企業の盛衰を決定づけます。成長企業ほど、この先手を打つスピードが速く、一時の成長に浮かれることなく愚直な姿勢で経営改善を推進しています。決して、経営改善をおざなりにしないでください。
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  • 企業衰退のメカニズム|衰退する会社のダメな原因はどこにあるのか?
    企業衰退のメカニズム|衰退する会社のダメな原因はどこにあるのか?わたしが経営コンサル会社を創業したのは2008年だが、創業当初は企業再建の仕事が中心だった。企業再建とは調子の悪い会社を半年から1年ほどかけて良好な経営状態に再建する仕事である。とてつもない覚悟と根気のいるタフな仕事だったが、マイナスの経営状態を短期間でプラスに転換する仕事は、経営コンサルタントとしての能力をどんどん磨いてくれた。また、倒産する会社の特徴や会社を潰す社長の特徴がどこにあるのか、など等、数多く失敗事例を学ぶことができた。この経験から分かったことは、企業の衰退は「自壊から始まる」ということだ。殆どの会社は、市況悪化等の外的要因によって衰退するのではなく、内的要因に端を発した原因で衰退していた。具体的には、社長の衰え、経営能力の低下、経営者の気の緩み、会社組織の崩壊などである。会社の衰退は自壊から始まるわたしの経営観は「社長にとって、会社経営は人生そのもの」である。どういうことかというと、経営が成功すれば人生も成功するが、逆もまた然りで、経営が行き詰れば、人生も行き詰る。会社経営の結果が、そのまま人生の幸不幸に直結するということだ。会社が潰れるのは、じつにあっけない。自分が働いていた大企業も度重なる不祥事でグループ解体という危機的状況に陥った。中小企業も同じで、儲かっている時期がありながら、ほんの些細なきっかけで経営危機に陥っていた。大企業であっても、あっけなく経営危機に陥る様は、今でも鮮明に心の中に残っているし、企業再建の現場では、経営者の悲惨で惨めな末路や陰惨な光景を目の当たりにした。このような原体験があって、自然と私の中に「社長にとって、会社経営は人生そのもの」という経営観が根付いていった。繰り返すが、会社の衰退は自壊から始まる。衰退を防ぐには、最高経営責任者である社長が「自壊を招く言動を慎む」ことを実践し続けることが欠かせないが、方法は簡単だ。社長が自己研鑽に努め、経営改善を推進し、今を全力で生きることを愚直に実践するだけである。これらの実践が定着するほど、やるべき事が明快になり、あらゆる成果が大きくなる。当然ながら、社長の人生もより良い方向に導かれる。
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  • いずれ潰れる会社の特徴|潰れる前兆を察知し改革・転職を急げ
    いずれ潰れる会社の特徴|潰れる前兆を察知し改革・転職を急げすべての会社は何もしなければ潰れるリスクを抱え続ける。顧客も、経済も、ライバルも、こちらの都合にお構いなく、常に変化し、進化し続けるからだ。この記事では、いずれ潰れる会社の特徴について、並びに、会社が潰れる前兆を察知した時の対応について、詳しく解説する。変化を拒む会社はいずれ潰れる変化を拒む会社は、いずれ潰れる可能性が高い。顧客も、経済も、ライバルも、こちらの都合にお構いなく、常に変化し、進化し続けるからだ。周囲が変化しているにも関わらず、変化を拒み続ければ、経済から遅れをとり、顧客を失い、ライバルから置き去りにされ、いずれ会社は潰れる。新興企業やベンチャー企業よりも早く進化するために、進んで変化を巻き起こし、古い仕事・仕組み・商品等を新しくし続けることが会社を潰さない確かな方法だ。今のままでよい、まだ変える必要はない等の企業風土が定着している会社は、いずれ潰れるリスクが高く、危険極まりない状態と言える。どんなに会社が安定していても、規制緩和、関税撤廃、補助金打ち切り、価値観の変化、テクノロジーの進化などをきっかけに従来のビジネスが通用しなくなることはよくあることだ。いずれ会社を潰さないために、どんな状況下であっても変えてやる、あるいは、変えられると真剣に思い、変化を巻き起こす姿勢が大切で、その姿勢が、新たなビジネスを生み、たくさんの顧客の支持を集める源泉になるのだ。人財がいない会社はいずれ潰れる人財がいない会社は、いずれ潰れる可能性が高い。会社は人と共に成長する、業績と組織力は比例関係にある、1億・10億・100億の壁は右腕(ブレーン)の存在が欠かせない等、会社の盛衰は人財で決まるからだ。社員を育てなければ、後継者を育てなければ、会社の繁栄を支えるブレーンを育てなければ、次第に事業の成長に陰りが出て、いずれ会社は潰れる。お金は使えば無くなり、機械や建物は時間の経過と共に古くなるが、人の才能は無尽蔵で、可能性は無限大だ。育てるほどに、どこまでも伸びるのが人財である。ワンマン体制が長く右腕や後継者がいない会社、社員を消耗品のように扱う会社、離職率が高い会社等は、いずれ潰れるリスクが高く、危険極まりない状態と言える。社員を数字で管理したり、社員の動きをコントロールしたりするのではなく、数字に一喜一憂することなく、社員を大切に扱い、社員が伸び伸び働ける環境を整えることが人財を育てる秘訣で、人財が育てば数字は後からついてくる。成長投資しない会社はいずれ潰れる成長投資しない会社は、いずれ潰れる可能性が高い。人財育成、市場開拓、設備更新、最新の技術やノウハウの導入など、将来の成長を見込んだ成長投資をしなければ、いずれ会社が潰れるリスクが山積するからだ。成長投資のボリュームが小さな会社、成長投資の原資となる利益水準が低い会社、そもそも赤字経営に陥っている会社は、いずれ潰れるリスクが高く、危険極まりない状態と言える。成長投資には、戦術的投資(毎年見直す投資)・戦略的投資(毎年続ける投資)・中長期的投資(金額の大きな投資)の3つの投資分野があるが、自社の経営環境にフィットする投資ポートフォリオを確立することが肝要だ。いずれ会社を潰さないために、しっかり利益(売上総利益高営業利益率20%以上が理想)を上げて、その利益の一定部分を成長投資に回すスパイラルを確立し、成長投資の量と回転を高める姿勢が、会社を潰すリスクを遠ざけるのだ。潰れる前兆を察知し改革・転職を急げ最後に、会社が潰れる前兆を察知した時の然るべき対応について解説する。会社が潰れる前兆は、変化拒否、人財不足、成長投資停滞などが挙げられるが、潰れる前兆を察知したら、即、改革・転職を考えた方が良い。ひとたび会社が衰退に傾くと、加速度的に衰退スピードが速まり、衰退するほどに、打つ手が無くなるからだ。潰れる前兆が小さければ、経営改革の打ち手の選択肢は豊富にあり、社長と社員が改革の過程で受ける心身的負荷やストレスも小さく済む。逆に、潰れる前兆を見逃し続け、会社が潰れる寸前まで行ってしまうと、経営改革の打ち手が限られ、社長と社員の心身的負荷やストレスが大きくなる。給与カットで収まらない場合は、リストラもあり得る。会社が潰れる前兆の大小に関わらず、すぐに改革に着手することが大切で、改革の手が明らかに遅れているようであれば、社員は新天地を求めて転職を急がなければ、会社が潰れた瞬間に、自分の人生がドン底に落ちる。すべての会社は、何もしなければいずれ会社が潰れる運命にある。会社を潰さないためには、小さな変化をキャッチアップする感度を高め、小さな変化を先手必勝でコツコツ積み上げる経営姿勢が大切なのだ。
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  • 会社が赤字なのに潰れない理由|会社が黒字でも潰れる理由
    会社が赤字なのに潰れない理由|会社が黒字でも潰れる理由中小企業のじつに7割の会社が赤字経営に苦しんでいると云われている。不思議なことに赤字経営でありながら、倒産しない会社が沢山あるのも事実だ。会社が赤字経営でも倒産しない理由は様々あるが、例えば、次のような経営状況であれば、会社が赤字であっても潰れない。赤字金額が減価償却費よりも少ない銀行借入で運転資金を補てんしている身銭をきって運転資金を補てんしている何れのケースも、赤字でも潰れない会社の典型パターンである。しかし、赤字金額が減価償却費よりも多くなる、銀行や身銭から資金調達できなくなる等の事態に陥ると、たちまち会社のお金が減り始め、倒産リスクが飛躍的に高まる。この他にも、会社が赤字決算でも、役員報酬と社長自身が立て替えた経費の未払いで、現金ポジションを上手にコントロールしながら、赤字でも潰れない状態を意図的にキープする方法もある。このケースはオーナー企業にありがちで、節税のためにあえて赤字にしているパターンが多いが、赤字が続くほど自己資本が目減りするので、急な資金需要や業績悪化に対応できないデメリットがある。また、会社が赤字だと、金融機関や格付け会社からの評価が著しく低下するので、社会的信用度が下がり、資金調達や新規取引に支障が出るリスクもある。赤字でも潰れない会社は沢山あるが、やはり、黒字経営の方が発展性も健全性も高いことがお分かりになると思う。なぜ黒字の会社が潰れるのか?会社は現金が枯渇した瞬間に倒産する。つまり、手元の現金が無くなくなると、たとえ黒字経営であっても、どんなに沢山の利益を出していたとしても、会社は潰れる。逆に、赤字経営でも、黒字経営でも、手元に現金さえ残っていれば会社は潰れない。黒字の会社が潰れることを「黒字倒産」と言うが、その根本原因は、次のような資金繰りの失敗である。売上の回収が遅れた利益よりも借入の返済負担が重い売上回収より、経費の支払いが先行している成長投資や設備投資の収益化のタイミングが遅れたこの他にも、一年分のサービス料を事前に徴収する前金ビジネス(塾業界・定期便・サブスク等)で、一時的に増えた現金を使い込んで黒字倒産するパターンもある。また、黒字経営であっても、ギリギリの資金繰りや利益水準では、経済環境や市場動向の外因によって簡単に会社が潰れることがある。事実、ある年の総倒産件数のうち約半数は、黒字倒産だったというデータが残っている。会社は、赤字でも、黒字でも、現金がなくなると簡単に潰れる。売上より利益、利益より現金に意識を向けて、資金繰りに失敗しないことが、会社を潰さない秘訣になる。
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  • 潰れない会社の作り方|なぜか成長し続ける会社の特徴
    潰れない会社の作り方|なぜか成長し続ける会社の特徴潰れない会社の作り方は、成長し続ける会社の特徴に焦点を当てれば良い。成長し続ける会社の代表的な特徴は「経営改善が定着している」ことと「社長が成長し続けている」ことだ。わたしは常日頃から、社長が変われば社員が変わり、社員が変われば業績が好転する、という法則に従った経営サポートに徹している。たとえ経営状況が厳しかったとしても、社長さえ変われば(成長すれば)、業績はどんどん好転するからだ。一例をあげると、赤字経営から黒字経営になることは勿論、売上2倍、営業利益20倍、現預金残高60倍、キャッシュフロー1億円増加など等、多くの会社が素晴らしい成果を上げている。業績改善を推進し、業績好調をキープしたかったら、社長が成長し、先手必勝で経営改善を推進することだ。危機的状況であっても、決して諦めずに経営改善を推進すれば、活路が開き、危機から脱することができる。これが、企業の永続性を高める確かな法則であり、潰れない会社を作る絶対条件である。潰れない会社と潰れる会社の差潰れない会社(成功者)と潰れる会社(失敗者)を分かつ要因は、諦めるか諦めないかだ。成功するまで諦めなければ、必ず、成功するからだ。そして、成功したければ、とにかく決断し実行することだ。好調企業の社長ほど、不屈の精神と素晴らしい決断と実行を繰り返し、目の前の現実世界をどんどん変えている。会社も人生もいつでもやり直せる。決断し実行し、諦めなければ未来はどんどん変わる。運命は、誰にでも動かせるのだ。帝王学などを紐解くと、人生の25%は宿命で決まり、残りの75%は運命で決まると云われている。宿命とは不変のものだ。生まれる日、場所、環境などは、先天的に決まっており、変えようがなく、個々の宿命は、あるがままに受け入れるほかない。一方の運命は不変ではない。運命は、生まれ落ちたその日から、その人自身の決断の連続によって形成されるので、日々の決断・実行次第で、誰にでも変えることができる。どんなに厳しい宿命であっても、運命を動かすことができれば、宿命を乗り越えることができ、更には、予想を大きく超える飛躍も可能だということだ。運命を変えるコツは「今を生きる」こと、いま目の前のことに全力を尽くすということだ。悩みや不安の種は、過去を振り返ったり、有りもしない未来を想像したり、今から目を背けることで生まれるが、そうした過去や未来に惑わされることなく、とにかく、今を生きることに集中するのだ。目の前の人や目の前の仕事に全力で尽くして、尽くして、尽くし続ければ、運命は好転し、素晴らしい成果結果が出るようになる。今、この瞬間を大切に生きることで、運命は大きく変わる。そして、その生き方が、社長の成長スピードを加速し、経営改善の成果を大きくするのだ。
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  • 中小企業の成長と衰退の法則|なぜ会社が衰退するのか?
    中小企業の成長と衰退の法則|なぜ会社が衰退するのか?わたしは再建実務を通して衰退企業を数多く目にしてきたが、衰退する会社には共通の原因があった。いかに調子の良い会社であっても、その衰退原因に触れると高確率で業績が悪化し、逆に、衰退原因と縁遠い会社はしっかり成長していた。この記事では、会社の成長と衰退を分かつ重要なポイント、並びに、中小企業の成長と衰退の法則について、詳しく解説する。会社が衰退する根本原因中小企業が衰退する原因は「経営課題の見落とし・見過ごし・見誤り」に尽きる。経営課題とは、企業の成長を阻害する要因のことだが、会社の経営課題と真剣に向き合い、克服に努めている会社は間違いなく成長している。逆に、日常的に経営課題を見落としたり、見過ごしたり、見誤ったりしている会社は、高確率で衰退する。つまり、会社の成長と衰退は、経営課題と向き合う姿勢ひとつで決まるのだ。なぜ会社の経営課題を見落とすのかというと、会社のお金が回っていると、それなりの状態で会社経営が続いてしまうからだ。日頃の運転資金が銀行融資頼みの中小企業も少なくないが、銀行借入や身銭の補てん等々で資金不足を解消したとしても、それは一時的な回避策にしかならない。このような経営状況に陥っている会社は、お金を回すことばかりに気を取られて、本来考えなければならない「お金が回らなくなってしまった」という経営課題の根本を見過ごしがちになる。これはギリギリの少ない利益で回している中小企業にも同様のことが言える。経営課題を見落としていては、更なる会社の成長、或いは、赤字から黒字経営への挽回ができないどころか、もっと悪い方へ衰退する可能性が高くなる。衰退する会社の共通点とは?会社が衰退する根本原因は「経営課題の見落とし」になるが、もう一つ、衰退企業に共通していることがある。それは「衰退する前に、とても儲かった時代(成長期・繁栄期)がある」ことだ。☑儲かっている会社は大抵、他人の忠告に耳を貸さない☑また、自らの劣っている点を見直す謙虚さも薄らぐ☑お金の不安もないので、会社の数字も軽視するようになるこのような経営者の油断が「経営課題の見落とし・見過ごし・見誤り」を招き、会社衰退の元凶を作る。会社が儲かっていようが、儲かっていまいが、経営課題の見落とし等は経営者の心の緩みひとつで表面化する。つまり、会社の衰退を防ぐには、経営課題を見落とさないための経営改善を、しっかり定着させることが何よりも大切なのだ。会社の業績が成長から横ばい傾向に転じた瞬間を見逃した時点から会社の経営状態はみるみる衰退の一途を辿る。そして、会社のお金が回っているという漠然とした安心感を担保に、会社の衰退を見逃し続けると何れ会社は潰れる。潰れるまでの期間が1年、或いは10年かも知れないが、衰退の結末は同じである。生活習慣病である癌は10年の潜伏期間を経て自覚症状が出てくると云われているが、会社も同様である。危機に陥ってからあたふたするよりも、日頃から経営課題を見逃さず、問題が小さいうちに経営改善を推進していれば、倒産の危機に陥ることはなく健全な経営状態でいられるというものだ。優れた経営資源を保有していながら、衰退の一途を辿る中小企業は少なくない。優秀な社員、優れた技術やサービス、素晴らしい施設や設備等、、、。如何に優れた経営資源を保有していたとしても、経営課題を見落とし続けてしまっては会社が成長することはない。事実、過去に再建に関わった中小企業の殆どは優れた経営資源を持っていながら経営課題を見落とし続けた末に、会社が衰退の一途を辿っていた。中小企業の成長を支える条件とは?経営者が会社を成長させるために考えなければならないことは多岐に亘る。安定経営・業績拡大・成長投資・資金繰り・組織掌握・人材育成など、挙げたらキリがないが、何れにしろ、会社を成長させるには、日々の経営改善を推進する優れた経営技術が必要だ。しかし、過去に私が接してきた多くの中小企業の経営者は「今より会社を成長させたいがどこから手をつけていいか分からない」、あるいは「様々な手は尽くしているが効果を実感できない」など、皆、漠然とした不安を抱えていた。なぜ不安が漠然としているかというと、会社経営を成長させるうえで核となる「経営スキルとマインド」が経営者に身についていないからだ。なかでも、管理会計・マネジメント・リーダーシップは最重要スキルになる。管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことである。管理会計は、会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなものなので、経営者に確かな経営判断の根拠となり得る優れた情報を与える。経営者のマネジメント力とリーダーシップは、会社の数字を作る顧客・社員・取引先等の生産性を高める上で、最も重要なスキルになる。経営者のマネジメント力とリーダーシップ力が素晴らしければ、顧客・社員・取引先は、自然と社長に尽くし、大きな成果を上げてくれる。この3つのスキルが経営者に備われば、会社の現状に対して何をすべきかが明快になるので、自ずと経営課題の見落しが解消されて、企業繁栄の土台が盤石になる。逆に言えば、この3つの経営スキルが身についていない状況で、他のことをしていても、繁栄のスパイラルはなかなかうまく回らないのだ。会社の盛衰を分かつ経営スキルの習得法企業の成長と衰退を決定づける経営スキルは「管理会計・マネジメント・リーダーシップ」だ。このたった3つの経営スキルであっても、本来、一朝一夕では身につかないほどの膨大な知識と経験を要すことは想像に難くないだろう。しかし、多くの重要タスクを抱えている中小企業の経営者に、十分な時間を与えてくれるはずもない。本サイトでは、その膨大な経営技術を誰でも習得・実践できるように厳選して公開している。しかも、私が実際に経営指導企業にのみ提供してきた独自の経営ノウハウなので、効果は実証済みである。シンプルかつ分かり易く徹底解説しているので、簿記や会計の知識も不要である。本サイトを上手に活用して、重要スキルとマインドの研鑽に役立ててほしい。会社を衰退から守り、成長に導くには経営者の責任で「管理会計スキル」を習得・運用し、経営者自身の「マネジメント力とリーダーシップ力」をしっかり研鑽しなければならない。これらのスキルは、社長ひとりの力ですべてをカバーする必要はない。誰しも得手不得手があり、社長の時間は有限だ。苦手分野は誰かにフォローしてもらえば良いし、時間に余裕がなければ誰かに任せればよい。大切なことは、重要なスキルとマインドをしっかり抑えた会社経営を実践することだ。(この記事は2016年6月に執筆掲載しました)筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 組織崩壊のプロセス|内部崩壊が招く会社衰退の原理
    組織崩壊のプロセス|内部崩壊が招く会社衰退の原理組織崩壊とは、組織本来のパフォーマンスが低下することだ。会社経営において、組織が崩壊すると業績が悪化し、簡単に倒産の危機に瀕する。この記事では、組織崩壊のプロセスから内部崩壊が招く会社衰退の原理に至るまで、詳しく解説する。組織崩壊とは組織崩壊とは、組織本来のパフォーマンスが低下することだ。事業は人なりの言葉通り、人の集合体である組織が崩壊すると、事業活動の様々な領域に障害が表れ、円滑な経営活動が出来なくなる。組織崩壊が深刻化すると、経営者が多大なストレスを抱えるだけでなく、働く社員、とりわけ、やる気のある社員にも悪影響を及ぼし、加速度的に組織が崩壊する。組織崩壊が末期状態になると、顧客に尽くす真っ当な仕事が不完全燃焼に陥るため、業績悪化と共に、徐々に倒産の危機が近づく。組織崩壊の前兆組織崩壊の前兆は様々な部分に表れる。とりわけ、会社の業績、会社の雰囲気、社員の質の3つの領域には、組織崩壊の前兆が如実に表れる。それぞれの領域で表れる組織崩壊の前兆について詳しく解説する。会社の業績組織崩壊の前兆は会社の業績に表れる。最も注視すべき前兆は業績の伸びが鈍化した瞬間になる。組織全体が顧客のために尽くす仕事が全うできていれば業績が鈍化することはない。逆に、外向きの顧客志向が低下し、内向きの組織内への不平不満等が溜まると、組織の崩壊が進行し業績が悪化する。会社の雰囲気組織崩壊の前兆は会社の雰囲気に表れる。例えば、顧客や取引先に対する応対が雑、暗い、遅い、高圧的、覇気がない等々の兆し、或いは、職場が暗い、汚い、声掛けが少ない等々の兆しは、典型的な組織崩壊の前兆といえる。こうした雰囲気の悪化を小さな段階で捉えることが組織を崩壊させない秘訣になる。社員の質組織崩壊の前兆は社員の質に表れる。例えば、社長や上司に反発する問題社員(社長の反対分子)、イエスマンや保身に走る無責任社員、モチベーションの低い社員などの存在は組織崩壊の前兆といえる。こうした社員を見つけたら放置せずに、すぐに教育なり指導することが組織を崩壊させない秘訣になる。組織崩壊の原因組織崩壊の原因はさまざまあるが、その殆ど社長の言動に起因している。ここでは組織崩壊の原因になり得る最もよくある5つの失敗パターンを紹介する。それぞれの組織崩壊の原因について、詳しく解説する。経営力の低下経営力の低下は組織崩壊の原因になる。なぜなら、経営力の低下は業績悪化を招くからだ。業績と組織力は比例関係にあり、業績が悪化すると、決まって組織力も低下する(逆もまた然り)。責任感の欠如責任感の欠如は組織崩壊の原因になり得る。なぜなら、経営者が無責任な言動に終始していると、それが組織(一人ひとりの社員)に伝播し、組織全体が無責任集団になるからだ。そして、働く喜びや挑戦の意欲など、業績を押し上げる要因がことごとく低下する。ワンマン経営の失敗ワンマン経営の失敗は組織崩壊の原因になり得る。組織崩壊に繋がるイエスマンの増殖、モチベーションの低下、ナンバーツー不在等は、ワンマン経営失敗の典型になる。リーダーシップの欠如リーダーシップの欠如は組織崩壊の原因になり得る。なぜなら、経営者が先頭に立って、強い信念、理念、哲学、熱意、度量等を持ってリーダーシップを発揮しなければ、組織力が高まらないからだ。リーダーとしての立ち振る舞いを間違えると、あっという間に組織が崩壊するので、くれぐれも注意してほしい。コミュニケーションの不足コミュニケーション不足は組織崩壊の原因になり得る。なぜなら、社員が離職する最大の理由は社長や上司との関係悪化だからだ。社員に感謝し、折にふれ社員を労うコミュニケーションなくして、組織力の向上はない。社長のコミュニケーションが不足すると、あっという間に組織が崩壊するので、くれぐれも注意してほしい。組織崩壊のプロセス組織崩壊は、根本原因となり得る組織崩壊の前兆を見逃した瞬間に始まる。そして、組織崩壊の前兆(原因)を放置するほど、組織の崩壊が進行し、末期状態になると、最早、業績回復の見通しが立たなくなるほど会社経営が壊滅的になる。組織崩壊が始まると会社の雰囲気や社員の質が悪くなり、責任のなすり合い、不平不満の爆発、愚痴や足の引っ張り合い等々、会社組織本来の目的である顧客に尽くす仕事が全く手に付かなくなる。こうなると、組織崩壊が加速度的に進行し、業績悪化と共に倒産の危機に近づいていく。組織崩壊を未然に防ぐには、最初のプロセスである組織崩壊の前兆をいち早く捉えて、対処することが最善の策になる。内部崩壊が招く会社衰退の原理内部崩壊が招く会社衰退の原理は簡単だ。内部崩壊が進行すると、顧客志向や顧客意識が低下するので、顧客に尽くす仕事の精度が著しく低下する。商品やサービスの購入選択権は常に顧客が握っているので、顧客に対する仕事の精度が低下すると次第に顧客からの信頼を失い、商品等が売れなくなる。次第に、売上低迷や業績悪化を招き、会社の衰退が更に加速する。内部崩壊が招く会社衰退の原理は概ねこのようなもので、事実、業績好調な会社ほど組織力が高く、業績不調な会社ほど組織力が低く、内部崩壊が深刻化している。
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  • 絶対にやってはいけない3つの経費削減|犠牲を強いれば悲劇を招く
    絶対にやってはいけない3つの経費削減|犠牲を強いれば悲劇を招く経費削減は、企業が生き残る上で不可欠な取組みになる。なぜなら、ライバルがいる限りは競争が生じ、その競争に勝つにはライバルよりも優位なコストで商品やサービスを提供しなければならないからだ。しかし、闇雲な経費削減は経営悪化を招くリスクがある。この記事では、絶対にやってはいけない経費削減について、詳しく解説する。やってはいけない経費削減「価値棄損」絶対にやってはいけない経費削減一つ目は「価値棄損」である。会社の事業価値や商品やサービスの付加価値を棄損するような経費削減に手を出すと、経費削減が仇となって業績悪化のリスクが高まる。具体的には、価値棄損に伴う営業力低下、顧客の離脱に伴う売上減少、価格競争の激化に伴う収益性の低下など等、様々な衰退リスクが噴出する。こうした経費削減の失敗を回避するには、顧客目線、社員目線、現場目線などを重要視した上で、経費削減の戦術・戦略を考えることだ。なお、価値を極限まで削ぎ落して、その削減コストを顧客に還元するブルー・オーシャン戦略のような経費削減は、顧客目線に立っているので問題はない。(但し効果測定は慎重にすべきだが)やってはいけない経費削減「リストラ」絶対にやってはいけない経費削減二つ目は「リストラ」である。会社の成長を支える社員をリストラするような経費削減に手を出すと、経費削減が仇となって業績悪化のリスクが高まる。具体的には、リストラに伴う組織力低下、社員のモチベーション低下に伴う業績悪化、離職率悪化に伴う人財不足など等、様々な衰退リスクが噴出する。こうした経費削減の失敗を回避するには、常日頃から社員を会社の大いなる財産として考え、健全経営を確立することに尽きる。なお、経営破たん状態から企業再生する場合は、背に腹は代えられないので経費削減のためのリストラも致し方ない。しかし、リストラの犠牲は経営陣(幹部・役職者含む)のみに止める努力は必要だ。例えば、経営者は報酬ゼロ、幹部は一律20%減俸、役職者は一律10%減俸、全社員ボーナスカットなどの経費削減をして、一般社員の雇用と基本報酬は極力守った方が良い。やってはいけない経費削減「下請いじめ」絶対にやってはいけない経費削減三つ目は「下請いじめ」である。経費削減の自助努力を放棄し、下請けに経費削減を強いると、経費削減が仇となって業績悪化のリスクが高まる。具体的には、下請いじめに伴う下請離反、下請離反に伴う事業体制の破綻、品質悪化に伴う売上減少など等、様々な衰退リスクが噴出する。犠牲を強いれば悲劇を招くのが世の常である。下請に経費削減を求めるのではなく、自助努力で経費を削減して、その結果生まれた利益を下請と共に分け合う姿勢が、繁栄の基礎を築く正しい経費削減の在り方である。この他にも、法律違反、モラル違反、低賃金・サービス残業など、やってはいけない経費削減は沢山あるが、何れにしても衰退する企業ほどやってはいけない経費削減を平然と行い、誤った経費削減がきっかけで衰退スパイラルにハマっている。
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  • 潰れる会社の特徴と共通点|会社が潰れる前兆は目の前にある
    潰れる会社の特徴と共通点|会社が潰れる前兆は目の前にあるわたしは経営コンサルタントとして潰れる会社の惨状を目の当たりにしてきた。潰れる寸前の会社を再建した経験もあり、潰れる会社の特徴がどんなものであるかを実体験から体得することもできた。潰れる会社には共通の特徴が間違いなくあり、殆どの会社は、日常の会社経営の中に、会社が潰れる前兆が顕在化している。当然ながら、会社が潰れる前兆を見逃し続けると、結末は、会社倒産という残念な結果が待っている。この記事では、潰れる会社の特徴から潰れる会社の雰囲気や前兆に至るまで、詳しく解説する。潰れる会社の特徴と共通点潰れる会社の特徴と共通点を挙げると以下のようなものがある。明確な経営ビジョンがない、赤字経営を容認している、どんぶり経営に陥っている、利益目標がない、資本が欠損している、売上と利益が減少している、成長投資を行っていない、違法行為が常態化している、問題社員がいる、後継者やナンバーツーがいない、組織力が脆弱、継続的経営改善をしていない、本業とは全く関係ない新規事業に手を出している、資金繰りに困窮している、借入過多に陥っている、離職率が高い、など等の特徴と共通点がある。この中で、潰れる会社に多い共通点は、赤字経営の容認、脆弱な組織力、経営改善の放棄、どんぶり経営である。会社を潰さないために赤字経営からの脱却は必須条件であり、赤字経営を脱するには、社長の下で一致団結する組織力、会社の強みを伸ばす、或いは、会社の欠点を解消するための経営改善、経営改善効果を測定検証する緻密な計数管理が不可欠になる。以上に挙げた潰れる会社の特徴と共通点に一つでも該当する項目があれば、そこが原因で会社が潰れるリスクが大きくなるので、折にふれ、セルフチェックしてほしい。潰れる会社の社長の特徴潰れる会社の社長の特徴を挙げると以下のようなものがある。謙虚さがない、責任感がない、運が悪い、愛人がいる、モラルがない、意志が弱い、儲け話に弱く金銭にだらしない、浪費家、情報の価値を知らない、数字に弱い、利益意識が低い、社員満足度を追及していない、顧客満足度を追及していない、社長がワンマン化、或いは、ブラック化している(パワハラ、モラハラ、セクハラ、身内優先、社員軽視、利益独占、贅沢独占、離職加速、等々)、など等の特徴がある。この中で、潰れる会社の社長の多くに共通している特徴は、責任感がない、数字に弱い、利益意識がない、社員と顧客軽視の姿勢である。会社を潰さないためには、すべての経営責任を社長自身に帰結し、社員と顧客の満足度を追及し、数字をもとに事業計画(PDCAサイクル)を回し、然るべき利益目標に向かう姿勢が欠かせない。以上に挙げた潰れる会社の社長の特徴に一つでも該当する項目があれば、そこが原因で会社が潰れるリスクが大きくなるので、折にふれ、セルフチェックしてほしい。潰れる会社の社員の特徴潰れる会社の社員の特徴を挙げると以下のようなものがある。素直でない、誠実でない、挨拶をしない、笑顔がない、覇気がない、責任感がない、利益意識が低い、風紀が乱れている、仲間意識がない、愛社精神がない、顧客満足度を追及していない、など等の特徴がある。この中で、潰れる会社の社員の多くに共通している特徴は、素直でない、誠実でない、顧客軽視の姿勢である。社員に素直さと誠実さがないと、どんなに優れた社員教育を施しても、その社員が成長することは殆どなく、むしろ、問題社員化してしまい、取り扱いに困る存在になってしまう。顧客軽視の姿勢は、取引解約や売上減少の元凶になり得るので、会社にマイナスダメージを与える存在になってしまう。以上に挙げた潰れる会社の社員の特徴は、経営者や経営幹部の姿勢が原因で作られることもあるので、まずは、経営者自身が我がふりを直したうえで、問題社員の是正に取り組むことが大切だ。潰れる会社の雰囲気潰れる会社の雰囲気を挙げると以下のようなものがある。暗い、汚い、覇気がない、挨拶がない、在庫が多い、横柄な態度がまかり通っている、社員同士が険悪、社長と社員が険悪、問題社員がいる、すぐに社員が辞めている(離職率が高い)、パワハラやセクハラを見かける、社長ひとりが贅沢三昧している、会社に宗教を持ち込んでいる、など等の特徴がある。以上に挙げた潰れる会社の雰囲気にひとつでも当てはまる特徴があれば、その部分が原因で会社が潰れるリスクが大きくなるので、くれぐれも注意してほしい。また、会社訪問した際に、その会社から潰れる会社の雰囲気を感じとったならば、相当なリスクを想定した対応が必要になる。潰れる会社の前兆潰れる会社の前兆は前章で解説した「潰れる会社の特徴等(潰れる会社の特徴と共通点・潰れる会社の社長の特徴・潰れる会社の社員の特徴・潰れる会社の雰囲気)」を基準に、会社の状況を客観視することで見破ることができる。また、会社の決算書を分析し、資本欠損や債務超過に陥っていないか、或いは、売上と利益が減少傾向にないか、現金不足や借入過多に陥っていなか、など等、経営データから合理的に潰れる会社の前兆を捉える方法も有効だ。繰り返すが、殆どの会社は、日常の会社経営の中に、会社が潰れる前兆が顕在化している。会社倒産という残念な結末を回避するために、日頃から冷静な眼で会社経営を点検してほしい。伊藤のワンポイント会社が潰れる前兆は目の前にあります。数字、現場、顧客、社員、取引先などを見渡せば、必ず見つかります。これは、すべての企業に共通する理です。会社を潰さないためには日頃から小さな変化に目を光らせ、経営の足を引っぱる変化を見逃さないことです。変化の見過ごしは、倒産リスクを高めるだけです。
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  • 会社を潰す社長の特徴が分かるチェックリスト|経営に失敗する社長が分かる
    会社を潰す社長の特徴が分かるチェックリスト|経営に失敗する社長が分かるわたしは中小・中堅企業専門の経営コンサルタントとして数多くの企業実態を見てきた。再建事案も多く、会社を潰す社長の特徴がどこにあるのか、会社を潰す社長の問題行動がどこにあるのか等、経営に失敗する社長の実例を数多く知っている。経営の専門家の立場から、会社を潰す社長の特徴をレベル1からレベル3に分けてチェックリストを作成している。日頃の言動とチェック項目を照合し、会社を潰す社長の特徴を持っていないか、定期的に自己診断することをお薦めする。レベル1一つでも当てはまる項目があれば「いつか会社を潰すかも知れない社長」と言わざる得ない。時間がかかっても大丈夫なので、能力改善に取り組み、ダメ社長リスクを払しょくしてほしい。レベル2一つでも当てはまる項目があれば「そのうち会社を潰す可能性が高い社長」と言わざる得ない。できることから能力改善に取り組んで、ダメ社長リスクを払しょくしなければ、会社を潰すかもしれない。レベル3一つでも当てはまる項目があれば「数年以内に会社を潰す社長」になる可能性が極めて高いと言わざる得ない。直ちに抜本的な能力改善に取り組んで、ダメ社長リスクを払しょくしなければ、会社が潰れる可能性が高い。会社を潰す社長の特徴チェックリスト「レベル1」会社を潰す社長の特徴が分かるチェックリストレベル1である。一つでも当てはまる項目があれば「いつか会社を潰すかも知れない社長」と言わざる得ない。時間がかかっても大丈夫なので、能力改善に取り組み、ダメ社長リスクを払しょくしてほしい。ダメ社長チェックリスト☑意思が弱い☑会社が汚い☑モラルがない☑金銭にだらしがない☑自分優先の言動が多い☑問題を先送りしている☑関連法規や違法行為に疎い☑自分が信頼できる仲間や陣営が少ない☑最新の情報に疎く、情報収集能力に劣る会社を潰す社長の特徴チェックリスト「レベル2」会社を潰す社長の特徴が分かるチェックリストレベル2である。一つでも当てはまる項目があれば「そのうち会社を潰す可能性が高い社長」と言わざる得ない。できることから能力改善に取り組んで、ダメ社長リスクを払しょくしなければ、会社を潰すかもしれない。レベル2の段階で速やかに能力改善に着手すれば、会社が潰れる可能性は低い。逆に言えば、レベル2の段階で然るべき能力改善を行わないと、数年以内に会社が潰れる可能性がある。つまり、レベル2は会社が潰れるか否かのデッドラインとも言える。ダメ社長チェックリスト☑愛人がいて、会社のお金が流れている☑利益意識に疎く、顧客や利益の拡大が不十分☑社員、幹部、後継者を育てていない☑問題社員を放置している☑態度が横柄で謙虚さ、素直さがない☑宗教を会社に持ち込んでいる☑経営目標、行動原理、判断基準を持っていない☑会社の数字、社員、お客様の現状と課題が見えていない☑節税と称した浪費をしている。会社のお金を私的流用している☑業績が悪いのは周囲の環境や社員のせいだと思っている☑経営改善の先頭に立っていない(部下任せ、責任放棄)☑自分の仕事に誇りを持っていない。自分の仕事が好きではない☑自分の能力を把握していない。能力不足を補う努力もしていない☑事業拡大の気迫が弱く、リーダーシップを発揮していない(部下任せ、責任放棄)☑本業とは関係ない分野への投資を行っている。或いは、会社の利益を投機分野に回している☑社長がブラック化している(パワハラ、モラハラ、セクハラ、身内優先、社員軽視、利益独占、贅沢独占、離職加速、など等)会社を潰す社長の特徴チェックリスト「レベル3」会社を潰す社長の特徴が分かるチェックリストレベル3である。一つでも当てはまる項目があれば「数年以内に会社を潰す社長」になる可能性が極めて高いと言わざる得ない。直ちに抜本的な能力改善に取り組んで、ダメ社長リスクを払しょくしなければ、会社が潰れるだろう。ダメ社長チェックリスト☑赤字経営を容認している(財務諸表上、キャッシュフロー上ともに赤字容認)☑赤字経営を改善せず、赤字金額が拡大、或いは現金が減り続けている☑会社を潰さないために違法行為に手を染めている☑運転資金に窮している。金融機関からの信頼を失っている。高利貸しに手を出している☑社員・顧客・取引先等からの信頼を失い、離職・離脱・取引解消等が著しく表面化している会社を潰す社長の特徴が分かるチェックリストのまとめ会社を潰す社長の特徴に該当した場合、経営者が取るべき行動は「今すべきことに全力を注ぐ」ことである。自分で対処することができなければ専門家の手を借りてでも自身の能力改善に取り組まないと、時を待たずして会社が潰れることになる。すでに述べた通り、会社を潰す社長の特徴を特定し、直ちに行動を起こした場合、助かる確率が高いのはレベル2までである。逆に言えば、レベル2までは、衰退から成長に転換する時間とチャンスが十分にあるという事だ。なお、複数個の該当チェック項目があったとしても、すべてを社長ひとりでカバーする必要はない。自分の苦手分野を社員や第三者に補ってもらう方法もある。人はどこからでも成長できるし、やり直すこともできる。一人の力はたかが知れているが、他者と繋がれば、成果は何倍にも大きくなるものだ。チェック項目を一つの成長の方向性としてご活用頂ければ幸いだ。ちなみに、レベル3は、時すでに遅しで、一から社長の力量を高めて、会社を再生するには相当の痛みを伴う経営改革が必要になる。一つでもチェック項目に該当する場合は、今の状況を変えるために、直ちに、今の動きを変える第一歩を踏み出してほしい。中小企業においては、会社を大きくするも潰すも経営者次第である。そして、万が一、会社を潰してしまうと、社長の人生をすべて否定される、という惨めな結果が待っている。会社を潰す社長にならないためにも、折にふれ上記チェックリストをご活用頂ければ幸いだ。
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  • 現実逃避するダメな社長|成功者は一旦、現実から逃げて、現実を受け入れる
    現実逃避するダメな社長|成功者は一旦、現実から逃げて、現実を受け入れる現実逃避する社長は、ダメ経営者の典型だ。現実から逃げてばかりいても、現状は何一つ変わらないし、いつまで経っても状況は好転しないからだ。世界的経営コンサルタントのピーター・F・ドラッカーは「未来を語る前に現実を知らなければならない。人は現実からしかスタートできない。」と語ったが、全くその通りだ。会社経営であれば、現実を知り、弱みと強みを把握し、弱みを正し、強みを伸ばすことが企業繁栄の原理原則になる。会社の繁栄は、いつも現実から始まるのだ。とはいえ、すべての現実逃避を否定するつもりはない。現実逃避は、いたって普通の自然現象だからだ。人は、現実に直面し、そこから不安や不信を感じると、防衛本能が働き、一旦、現実から目を背ける習性がある。現実から逃げる、隠す、誤魔化すなどの言動は典型だ。現実逃避は、誰しもが経験する自然現象だが、大切なことは、いつかは、その現実を受け入れなければならない、ということだ。現実から逃げたり、隠し続けたりしても、不安や不信は解消されない。むしろ、不安や不信が大きくなり、現実がさらに壊れる可能性がある。現実を受け入れれば、状況が好転する成功者は、一旦、現実から逃げたとしても、時を経ずして現実を受け入れる。力量不足、状況悪化、自己責任などの現実を受け入れれば、必ず状況が好転することを知っているからだ。会社経営も社長業も、嘘や誤魔化しで乗り切れるほど甘くはない。他人ではなく、自分に責任を帰結させないと、我がこととして現実改善に取り組めないし、現実を正確にキャッチアップすることもできない。力量が不足していれば、それを補う努力が必要だし、状況が悪化したのなら、すぐに打ち手を用意しなければならない。当然、その打ち手、あるいは、マインドの切り替えが遅れると、倒産リスクは大きくなる。恐れず、防御せず、自らがコントロールせず、あるがままに現実を受け入れないと、現実は変わらないし、未来は明るくならないのだ。ある予備校の講師は、新入りの浪人生が学び始める前に、必ず次のようなメッセージを贈るそうだ。『ここにいる人の中には、なぜ自分が志望校に落ちたのか分からない人もいるでしょう。自分はそんなにバカじゃない、何となくわかっている。そんな甘い考えで、目の前の現実を受入れようともしない。だから落ちたんです。これから一年間、あなた達は徹底的に自分の現実を思い知らされます。できない現実を突き付けられます。それを克服した者だけが志望校に合格すると思いなさい!』これを聞いた新入りの浪人生たちは、できない現実をしっかり直視しながら勉学に励み、飛躍的に学力を上げるそうだが、これは、会社経営も一緒だ。現実を直視するほど、業績は好転する。どんなにしんどい状況でも目の前の現実から目をそらさず、追い詰められた時ほど、前向きに、明るい未来を信じて現実を受け入れてほしい。そうすれば、きっと、前に向かう勇気が湧いてくるはずだ。【お薦めカテゴリー】経営を学ぶ|社長・起業家・後継者のための実践経営学会社が儲かる実践経営ノウハウ|経営コンサルが教える成功の経営実学
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  • 経営に失敗する社長の共通項とその後の末路
    経営に失敗する社長の共通項とその後の末路経営に失敗する社長には、相応の共通項がある。そして、経営に失敗した社長のその後と末路は、じつに険しいものがある。この記事では、経営に失敗する社長の共通項、並びに、経営に失敗した社長のその後の末路について、詳しく解説する。経営に失敗するとは?経営に失敗するとはどんなことなのか?経営の失敗には小さな決断ミスや大きな采配ミスなど、大なり小なり沢山の失敗があるが、最悪の失敗は、事業活動が機能不全に陥り倒産する事、つまり、会社の経営が破たんすることだと思う。会社倒産という最悪の失敗は、現金枯渇、支払不履行、連鎖倒産、返済苦による黒字倒産など等の原因が引き金になるが、そうした原因の根本は、小さな失敗の積み重ねや深刻な失敗の見過ごしにある。そして、そうした小さな失敗の積み重ねなり、深刻な失敗の見過ごしは、社長の責任によるところが大きい。なぜなら、会社の盛衰は、社長の決断の連続で決まるからだ。経営に失敗する社長の共通項会社経営において最悪の失敗は「倒産」になるが、不思議なことに失敗する社長に限って、多くの共通項がある。私の経験上、倒産確率が確実に上がる危険な失敗の共通項を紹介する。経営に失敗しない為には、そうした共通項に学ぶことが重要で、失敗を学び、実践に活かせば、会社経営の失敗率は自ずと低下する。赤字経営の放置赤字経営の放置は、会社経営に失敗する社長の共通項になる。企業の永続性は黒字経営が絶対条件になるので、赤字経営を放置すると必ず倒産危機に陥る、即ち、経営の失敗を犯すことになる。また、ボチボチの黒字経営も少しの環境悪化で倒産リスクが跳ね上がるので、経営の失敗リスクを無くすためには、黒字経営プラス優良成績のキープが不可欠になる。経営課題の放置経営課題の放置は、会社経営に失敗する社長の共通項になる。会社倒産の原因は経営課題の見落とし・見誤り・見過ごしにあるので、経営課題を放置すると必ず倒産危機に陥る、即ち、経営の失敗を犯すことになる。経営課題を発掘・解消するには、衰退を予見し先手を打つ経営基盤を確立する必要があるが、これこそが社長の重要な仕事になる。つまり、この仕事をおざなりにした瞬間に失敗リスクが跳ね上がるのだ。経営能力の低下経営能力の低下は、会社経営に失敗する社長の共通項になる。会社の業績は社長の経営能力で決まるので、社長の経営能力が低下すると必ず倒産危機に陥る、即ち、経営の失敗を犯すことになる。経営能力の低下は、業績悪化、顧客離脱、組織力低下など等、様々な症状で気が付くことができるが、気が付いたときには時すでに遅しという事態も珍しくないので、常に経営の客観性と専門性を高めることが不可欠になる。経営に失敗した社長のその後の末路経営に失敗した社長のその後と末路は、じつに険しいものがある。会社倒産という最悪の失敗の場合は、自己破産や家族離散のリスクが高まるだけでなく、周囲からの陰惨で冷たい目で見られるなど、物心共に悲惨な状況に陥る。社長への避難や批判も半端なく、過去の人生をすべて否定されるような、むごい仕打ちにも耐えなければならない。さらに、会社倒産は処理が完結するまで一定の時間がかかり、その間に受けるストレスはじつに大きい。再起するにも時間がかかるし、地元に迷惑をかけた場合は、再起のチャンスも限定される。繰り返すが、経営に失敗した社長のその後の末路は、じつに悲惨で、悲しく、険しいものがある。経営に失敗する社長の共通項である「赤字経営の放置・経営課題の放置・経営能力の低下」には、くれぐれも気を付けてほしい。
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  • 社員のせいにするダメな社長|他人のせい・無責任は衰退を招く
    社員のせいにするダメな社長|他人のせい・無責任は衰退を招く失敗や業績悪化を社員のせいにする経営者はダメ社長の典型になる。なぜなら、社長は最終決断者であり、最終執行者なので、事業活動の全ての結果責任を背負う立場にいるからだ。当然ながら、後ろを振り返っても責任を肩代わりしてくれる人間は存在せず、決して、社員のせいにできない立場にいるのが社長であり、最高責任者としての責務である。また、本来の社長(上の者)が責任を取る道理を無視して、社員(下の者)のせいにばかりしていると、組織全体に無責任体質が定着し、責任もって仕事を遂行する風土が崩れる。さらに、社員のせいばかりにしていると、失敗や業績悪化等のマイナス要因から目を背けるようになり、社長の成長の芽も、会社発展の芽も奪われる。会社や他者に尽くす犠牲心やチャレンジ精神も希薄になるので、自己中心的な社員が増え、他人依存(他人に原因がある)、他者責任(他者のせいにする)、他者評価(他者に評価されることしかしない)等々のマインドや言動が組織全体に蔓延ることになる。つまり、社長が、失敗や業績悪化の責任を社員のせいにした瞬間から、会社、社長、社員、事業発展に関わる全ての要素の成長機会が奪われてしまうのだ。社長は孤独で沢山のプレッシャーや全ての業績責任を背負っているので、社員のせいにしたくなる時もあるかも知れないが、そういう時こそ責任を自己に帰結し、失敗が起きない為の仕組み作りや社員のフォローアップに力を注いでほしい。社員のせいにする社長が衰退を招く会社の失敗や業績低迷等を社員のせいにする社長の姿勢は、会社の衰退を早める。前章で解説した組織力の低下だけでなない、計画未達、顧客軽視、育成放棄など等、会社の衰退に直結するマイナス要因が噴出し、場合によっては加速度的に会社が衰退する。例えば、無意識下で社長に見せる顔とそうでない顔を使い分ける二重人格的な社員や建前だけで生きるイエスマン社員が増加し、会社の将来を本気で考える社員が居なくなる。勿論、右腕も育たなくなるので事業承継の失敗リスクも高まる。失敗の隠蔽体質も色濃くなるので、大事故になるまで失敗が発覚しなくなり、たった一つの失敗が危機的状況を招くリスクも高まる。社員のせいにする社長の責任感のなさやリーダーシップのなさに嫌気を感じて辞める社員が増加し、人財不足や組織崩壊を招くリスクも高まる。とにかく、社長が社員のせいにして良いことは一つもない。会社を繁栄させている社長ほど「責任を取る」ことを実践している。自分の失敗だけでなく、他人の失敗も取る姿勢(覚悟)を周囲に示し、責任を取るほど、社員からの信頼を厚くし、リーダーとしての評価も高めている。責任は会社の頂点に立つ社長が取るものである。決して、社員のせいにするものではない。(この記事は2020年12月に執筆掲載しました)
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  • 未来志向がないダメ社長|経営者の未来を描く力が現実を変える
    未来志向がないダメ社長|経営者の未来を描く力が現実を変える未来志向とは、未来に目標を定め、その未来に前向きかつ素直に向かう姿勢・思考のことである。未来志向の具体例は、思い描く未来を実現するための目標を定める、この先の明るい未来を明確にイメージする、未来を切り拓くために前向きに考える、等がある。経営者の未来志向が弱いと、こうありたい、若しくは、こうあるべきという意識が低下するので、自ずと、行き当たりバッタリの会社経営に陥り易くなる。また、ほどほどの業績で満足しがちになり、経営改善や業績拡大の意欲も持続しなくなる。成長投資や設備投資が停滞している会社や人財不足や人手不足に陥っている会社、あるいは、資本力や収益性が悪化の一途を辿っている会社などは、未来志向がないダメ社長の典型パターンと言える。現実から逃げて未来を妄想したり、ありもしない未来を盲心したりするのは良くないが、現実を変えるために未来志向を意識することは社長の必須マインドといっても過言ではない。例えば、経営者の未来志向が強いと、現状に満足せず、全員でさらに上を目指す風土が組織に定着し易くなる。また、目指すべき未来のイメージが明快になるので、事業活動の生産性が高まり、成長投資、設備投資、人財育成等が充実し、資本力と収益性が一段と向上する。未来志向が現実を変える未来志向は現実を変えるきっかけにはなるが、最も重要なことは行動することだ。例えば、未来志向を持って経営改善計画を作ったとしても、行動が伴わなければ現実は1ミリも変わらない。やる気になっただけで行動が伴わないダメな社長やビジネスパーソンを稀に見かけるが、現実を変えたかったら、未来志向をしっかり行動に結びつけることだ。現実を直視したうえで、未来のあるべき姿を明確にイメージし、現実と未来のギャップを解消するために「今すべきことに全集中する」。この繰り返しが、企業繁栄の大原則になる。どんなに苦境に立たされても、どんな逆境が訪れようとも、未来志向さえあれば、必ず活路が開け、目の前の状況が好転する。少しのピンチで未来の可能性を捨てることは、じつに勿体のないことだ。大概のピンチはチャンスに変わり、そのチャンスは未来志向のある言動から生まれる。会社の成長と衰退の境目も、未来志向で決まることが往々にある。とにかく、苦境や逆境に直面した時ほど未来志向を意識することが飛躍のチャンスを引き寄せる秘訣になる。また、組織のモチベーションが下がった時や明るい未来が見通せない経営環境に陥った時も、明るい未来を率先垂範で社員に語ることも忘れないでほしい。今だけ良ければそれでよい、といった未来志向のない会社経営では時の経過と共に衰退リスクが大きくなる。繁栄をキープしたければ、未来志向のある会社経営を定着させることが何よりも大切だ。
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  • 経営者マインドが弱いダメな社長|会社の明暗はマインドで決まる
    経営者マインドが弱いダメな社長|会社の明暗はマインドで決まる経営者マインドが弱い社長に、社長業は務まらない。マインドが日頃の言動を支配し、その言動の積み重ねが社長の力量を決定づけるからだ。会社の業績は社長の力量で決まるので、力量の源泉になる経営者マインドが弱いと、いつまで経っても社長の力量も、業績も上向くことはない。さらには、戦略迷走、組織力低下、モチベーション低下、行き当たりバッタリ等の衰退リスクが山積し、会社経営の難易度がどんどん高まる。良好な会社経営を実現するには、経営者マインドが必須条件となるが、とりわけ重要なのは、情熱、執念、責任感などのマインドだ。情熱・執念・責任感等のマインドがセットされると、成功は向こうからやってくる。例えば、情熱があれば、周囲を巻き込む力が高まるので、顧客や協力者に恵まれて、成功を手にし易くなる。執念があれば、成功を阻む試練が訪れても、諦めることなくその試練を乗り超えるので、時の経過と共に成功に近づく。責任感があれば、自分の責任を全うするだけでなく、たとえ失敗しても我がこととして受け入れるので、同じ失敗の轍を踏まず、失敗するたびに成功に近づく。会社経営の明暗は経営者マインドで決まる会社経営の明暗は経営者マインド(情熱・執念・責任感)で決まる。例えば、情熱があっても飽きっぽければ成功しない。執念があっても、無責任であれば成功しない。責任感があってもやる気がなければ成功しない。やはり、会社経営の明暗を大きく左右する、情熱・執念・責任感等の最重要マインドが揃わないと、成功するのは困難だ。成功社長は、すべての責任を自分に帰結している。率先垂範、有言実行、リーダーシップ等を体現し、成功するまで決して諦めない、じつに強い経営者マインドを持っている。一方、失敗社長は、すべての責任を周囲(社員・景気・顧客・ライバル等)のせいにしている。先頭に立つことなく、何事も社員任せにし、少しの躓きですぐに諦める、じつに弱い経営者マインドに陥っている。成功したければ、経営者マインドを強く持って全力を尽くすことだ。また、こうした成功に向かうマインドは、後進の成功にも役立つ。本物の成功者は自分ひとりの成功では終わらない。業界全体や次世代の人々の成功にも大きな影響力を放つ。業界や後継者の鑑(かがみ)になるような経営者などは典型といえる。成功の芽は、情熱・執念・責任感から生まれ、それらのマインドひとつで、目の前の世界(業績・成果等)は一瞬で変わる。簡単なので、日頃から実践することを強くお薦めする。
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  • 決断と実行ができないダメな社長|できない現状を打破する方法
    決断と実行ができないダメな社長|できない現状を打破する方法決断と実行ができない社長は、会社にとって不幸の種にしかならない。なぜなら、社長が決断と実行しなければ、今より進歩(成長)することも、目の前の業績がさらに上向くことも無くなるからだ。どんなに素晴らしい計画やアイデアが手元にあったとしても、社長の決断と実行が無ければ、成果はゼロである。現実世界は何も変わらないし、何の成果も生まれない。決断を先送りすること、あるいは、やる気はあっても実行が伴わないことは誰しも経験があると思うが、成果を出したければ、なるべく決断と実行から逃げないことだ。業績が厳しくなる前に決断し、実行することが、最も負担なく好業績を維持する方法だ。たとえ失敗したとしても、好業績であればダメージは軽く済む。何より、社長の決断力と実行力は、会社経営のあらゆる局面や成果と直結しているので、会社の行く末を大きく左右する。一年前と比べて、大きく業績が変わっていなければ、決断と実行の精度が低下している可能性が高い。我が身を振り返って、しっかり決断と実行ができているか否か、折にふれてチェックすることをお薦めする。決断と実行ができない現状を打破する方法決断と実行ができない現状を打破するには、とにかく経験を積むことが効果的だ。但し、闇雲な決断と実行は会社経営を不安定に陥れるだけなので、確固たる軸足や基準を持って決断と実行を繰り返すことが大切になる。お薦めの軸足等は「先手必勝と全責任を背負うマインド」だ。決断と実行は後手に回るほど成果が小さくなり、先手に回るほど成果が大きくなる。つまり、先手必勝のマインドが、決断等の成果を高める秘訣になる。成果を実感できれば、自分の決断等に自信が持てるようになるので、時の経過と共に、スピーディーに決断等ができるようになる。全責任を背負うマインドも決断力と実行力を高める効果がある。例えば、責任感があれば、自分の責任を全うするだけでなく、たとえ失敗しても我がこととして受け入れるので、同じ失敗の轍を踏まず、失敗するたびに決断等の精度が上がる。成功社長は、決断と実行が素早く、先手必勝が定着している。先手に回るほど成果が大きいことを知っているので、すぐやる、必ずやる、できるまでやるが組織に定着している。一方、失敗社長は、決断と実行が遅く、全ての動きが後手に回っている。後手に回るほど成果を出すのが大変になるので、途中で投げ出したり、成果が出る前に諦めたりしている。決断力と実行力は、先手必勝と全責任を背負うマインドを持って、決断等を繰り返すほど磨かれる。従って、一定の力量が身につくまでは、とにかく質より量を優先し、たくさんの経験を積むことをお薦めする。
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  • 利益意識の低いダメな社長|利益なくして会社の成長なし
    利益意識の低いダメな社長|利益なくして会社の成長なし利益意識の低い経営者はダメ社長の典型である。なぜなら、経営者の利益意識が低いと、会社経営の障害になり得る弊害が噴出し、会社の衰退リスクが飛躍的に高まるからだ。事実、わたしが再建に関わった中小企業の殆どは、経営者の利益意識が著しく低かった。例えば、次のようなケースは、経営者の利益意識が低い会社にありがちな典型的な弊害である。☑利益目標がない☑利益を把握していない☑月次決算の仕上がりが遅い☑利益と借金など、お金の区別がついていない☑コスト管理、生産性の管理が甘い☑社員が会社の利益を把握していない☑採算割れの赤字商品や赤字取引を容認している☑事業活動や投資案件の費用対効果を測定(或いは検証)していない上記項目に一つでも当てはまる項目があれば、経営者の利益意識が低いと言わざる得ない。加えて、確固たる基準を持たない行き当たりバッタリの会社経営に陥っていると推測できる。経営者の利益意識が低いと、社員の利益意識も低下するので、会社全体の生産性が加速度的に低下し、少しのきっかけで会社が衰退しかねない。また、会社の成長発展を支える成長投資のペースも停滞するので、会社の成長スピードが一気に減速する。会社の衰退リスクを払しょくし、会社の成長スピードを加速させるには、経営者が強い利益意識を持つことが欠かせないのだ。経営者の利益意識を高める3つの方法経営者の利益意識を高める3つの方法を紹介する。ひとつは「見るべき利益を見ること」、二つ目は「然るべき利益目標を立てること」、三つ目は「利益を拡大し続けること」だ。利益意識を高める最初のステップは「見るべき利益を見る」ことだ。例えば、売上総利益(粗利)までしか見ていない経営者は、利益意識が低い典型例である。利益意識を高めるために見るべき利益は本業の儲けを示す「営業利益」でなければならない。営業利益を見るようになると、自ずとコスト管理がシビアになるので、利益意識の高い経営采配ができるようになる。利益意識を高める次のステップは「然るべき利益目標を立てる」ことだ。例えば、売上一辺倒で然るべき利益目標を掲げていない経営者は、利益意識の低い典型例である。利益意識を高めるためには、売上目標と共に、然るべき利益目標を立てなければならない。なお、利益目標は、売上総利益高営業利益率〔(営業利益÷売上総利益)×100〕を目標指標として活用すると良い。売上総利益高営業利益率の標準水準は10%、優良水準は20%になる。利益意識を高める最後のステップは「利益を拡大し続ける」ことだ。例えば、一定の利益率で満足し、利益拡大への執着心が弱い経営者は、利益意識が低い典型例である。たとえ利益率の水準が優良であっても、利益金額が一定では、会社の成長が加速することはない。成長投資の原資になり得る利益金額を拡大し、成長投資を加速することが、経営者の利益意識を高める秘訣であり、会社成長の大原則である。伊藤のワンポイント会社は、利益を出して、現金を残し続けなければ、存続が叶いません。ですから、利益意識が弱い経営者の元で会社が成長することはありません。大抵は、赤字商品や赤字事業を生み出し、成長が鈍化、或いは、衰退の一途を辿るのがオチです。会社の永続性を確立したければ、利益意識を強く持つことです。
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  • 節税対策が浪費になるダメ社長|節税対策と浪費は似て非なるもの
    節税対策が浪費になるダメ社長|節税対策と浪費は似て非なるもの中小企業の場合、節税と浪費を混同している社長が稀にいる。節税の対策をしっかり講じることは良いことだが、行き過ぎた節税は浪費であり、会社の成長に役立たない。この記事では、節税対策が浪費になるダメ社長の事例について、詳しく解説する。節税対策が浪費になるダメ社長中小企業の場合、会社のオーナー(株主)兼経営者というケースが多く、このような支配構造にある会社において、稀に、会社を私物化している社長がいる。会社の私物化が過ぎる社長のなかには、節税対策と言い張り、自己消費や無駄遣い等の浪費に走るダメな社長もいる。会社を私物化して好き勝手に経営すること自体は悪いことではないが、会社経営の本質は「会社の利益を最大化」することだ。会社の利益を最大化するには、利益を継続的に生み出し、その利益を将来の成長投資に回すという循環が何よりも大切である。しかし、オーナー色の強い社長の場合、会社のお金=自分のお金という思い込みから、成長投資が不十分であることが珍しくない。会社のお金=自分のお金と考えているので、なかには利益の一部を税金で徴収されることに強い抵抗感を示す社長もいる。このような社長のとる行動はただ一つ、「行き過ぎた節税対策」である。節税対策と浪費は似て非なるもの中小企業の社長にありがちな行き過ぎた節税対策は様々ある。例えば、「どうやら今年は利益が沢山でそうだ」となると、車両、什器、絵画、接待交際など等、会社の成長に貢献しない分野の消費を繰り返す節税対策は、よくあるケースだ。中には、巧妙な手口で節税を行う社長もいる。例えば、贈答の季節に会社の費用(接待交際費)で商品券を大量に購入して、こっそり現金化したり、お客様に贈答せずに自己消費して領収書を二重取りしたりという悪徳社長もいる。(このケースは節税ではなく脱税になる)切手、或いは、新幹線や航空チケットといった換金性の高いものを購入して、現金化を繰り返す悪徳社長もいる。(このケースも節税ではなく脱税になる)また、自身の会社に個人資金を貸し付けて会社から法定金利の上限利息を受取るような、私利私欲で会社を食い物にする社長もいる。適正な節税対策であれば問題ないが、行き過ぎた節税対策はただの浪費だ。投資ではなく、浪費なので、会社の成長発展に一切貢献しない。また、節税対策のことばかりに頭が回って、会社の成長投資に頭が回らないという、本末転倒な状況も生み出される。節税第一では会社の成長発展が鈍化する!!節税対策という名の浪費に走る経営者は、ダメな社長の典型例である。行き過ぎた節税対策を続けている中小企業に明るい未来はなく、恐らく2代も続けば、倒産の危機に瀕する。企業成長の原則は成長投資にあり、生み出した利益を成長投資に振り向けることで、更なる成長発展が見込め、競争力が強化される。せっかくの利益を投資に回さずに浪費に回すことが得なのか損な行動なのか?会社の更なる成長を目指している社長であれば答えは明白だろう。行き過ぎた節税対策(利益の浪費)の弊害はまだある。浪費のような節税対策を繰り返していると、現金と共に会社の自己資本が一向に増加しない。当然ながら、行き過ぎた節税対策(利益の浪費)を繰り返し、万が一、赤字経営に転落すると、その瞬間から自己資本の減少が進み、いづれ会社経営は行き詰る。一定水準の利益を確定させて然るべき税金を支払い、内部留保として自己資本を増強しなければ、ほんの些細な失敗で経営が行き詰るリスクが高まるのだ。会社経営において節税対策よりも大切なこと会社経営において、節税対策は大切な要素に違いないが、行き過ぎた節税対策は会社経営に様々な弊害をもたらす。よく考えてみてほしい。会社の利益が最大化されれば、オーナー、経営者、社員、顧客、取引先、関係者の家族など等、すべての関係者の幸せが続く。しかし、節税対策という名の浪費が過ぎると、会社の衰退リスクが高まり、万が一、会社が衰退すると、その幸せは一転して不幸になってしまう。一代限り、社長ひとりの欲を満たすためだけに会社を経営するのであれば、それも良いだろう。会社を次の世代に繋げたいと考えている社長であれば、自分の欲はほどほどに、行き過ぎた節税対策は控えた方がよい。会社の利益は浪費するものではない。会社の利益は投資するものだ。伊藤のワンポイント節税と浪費の見境がなくなると、早晩、会社経営に行き詰まります。会社経営で成功したければ、衰退を予見し先手を打つことです。一代限りの会社なら問題ありませんが、次世代(子供)に残す会社にするのであれば、次世代を見越した成長投資を優先すべきです。浪費か成長投資かの違いで、未来の幸せは大きく変わります。
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  • 売上至上主義のダメな経営者|売上一辺倒の弊害と失敗リスク
    売上至上主義のダメな経営者|売上一辺倒の弊害と失敗リスク高度成長期(1950~1970年代)の規模拡大の名残なのか、未だに、会社の至上目標に「売上」を掲げている売上至上主義の経営者を見かける。売上を経営の至上目標に掲げる経営方針を「売上至上主義」というが、売上しか見ていない経営者は、ダメな社長の典型例である。この記事では、売上至上主義のダメな経営者の事例について、詳しく解説する。売上至上主義のダメな経営者売上しか見ていない経営者は、ダメな社長の典型例である。確かに、会社経営において売上を拡大することは欠かせないことだ。会社の事業活動は売上を作るところから始まり、さらに、会社の成長発展を実現するためには、売上の拡大が不可欠だからだ。こう考えると、売上拡大のために「売上至上主義」を掲げること自体に何の問題もないように思えるが、会社の成長に必要な要素を考えると、売上拡大と共に見落としてはならない大切な要素がある。それは、会社の利益だ。会社の売上と利益は、夫々持っている性質が全く違う。売上とは、会社の商品やサービスに対して顧客が支払う対価のことだ。対価の中には売上を作るために要した経費が含まれていて、対価よりも経費が多いと赤字経営になり、逆に、対価よりも経費が少ないと黒字経営になる。この黒字経営の時に生み出されるプラス収支が「会社の利益」で、この利益が成長投資の原資となり、会社の成長を支える重要な要素になる。売上拡大も成長投資も利益が源泉であり、利益がなければ会社は衰退するばかりとなる。衰退の先は、会社の倒産だ。売上至上主義の欠点は、この「利益」の重要性を見落としているところにある。売上至上主義の弊害とリスク経営者が「会社の利益」を重要視せずに、売上至上主義に走ると、倒産リスクが高まる。例えば、倒産リスクを高める売上至上主義の経営者にありがちな思考例を紹介する。▶「今月は先月よりも売上が〇〇%多かった」▶「ゆえに会社の経営状況が良好である」このような思考では、売上の増減に一喜一憂するばかりで、肝心の利益の増減まで意識が届かない。売上が増加している一方で、利益が減少し、赤字額が拡大していることはよくあることだ。また、経営者が売上至上主義を追求するあまり、「人員を増員しても構わないので売上を増やせ」、或いは、「とにかく広告をだして売上を増やせ」という命令を下すケースもあるが、これも利益意識が欠落した売上至上主義者のよくある思考例になる。☑売上と共に人件費が増加して利益が減少したら?☑売上と共に広告費が増加して利益が減少したら?経営者の誤った命令で会社の利益が減少してしまったら本末転倒もいいところだ。売上一辺倒は危険な経営姿勢売上が増加する一方で利益が減少すると、会社の資金繰りが徐々に苦しくなる。資金繰りが苦しくなると、益々、売上拡大にひた走る経営者がいるが、これでは倒産まっしぐらである。売上拡大を目指すことは決して悪いことではない。大切なのは、売上拡大と共に「利益」を見落とさないことである。経営者の頭のなかに「利益」という意識が常にあると、会社の経営は全く質の違うものになる。少なくとも、赤字経営に陥るリスクは格段に低くなる。伊藤のワンポイント売上至上主義だけでは会社経営はうまくいきません。安定成長を目指すのであれば、売上拡大と共に、しっかり利益を出し、モラルある采配を下し、顧客と社員の満足度を高める努力が不可欠です。利益意識の欠落した売上至上主義の中小企業はとても多いですので、絶えず、利益を意識することを忘れないでください。
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  • 会社が潰れる兆候が分かるチェックリスト|会社倒産の前兆が分かる
    会社が潰れる兆候が分かるチェックリスト|会社倒産の前兆が分かるわたしは中小・中堅企業専門の経営コンサルタントとして数多くの企業実態を見てきた。再建事案も多く、会社が潰れる兆候がどこにあるのか、なぜ会社が潰れるのかなど、会社の盛衰を分かつポイントを数多く知っている。経営の専門家の立場から、会社が潰れる兆候をレベル1からレベル3に分けてチェックリストを作成している。会社の現状とチェック項目を照らし合わせて、会社が潰れる兆候がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。レベル1一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れる兆候がある」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消することをお薦めする。レベル2一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れるリスクが高い」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れる危機的状況に陥るだろう。レベル3一つでも当てはまる項目があれば「数年以内に会社が潰れる」可能性が極めて高く、いわゆる末期症状である。直ちに、抜本的経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れる可能性が高い。会社が潰れる兆候チェックリスト「レベル1」会社が潰れる兆候が分かるチェックリストレベル1である。一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れる兆候がある」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消することをお薦めする。倒産リスクチェックリスト☑手形取引がある☑社員教育を行っていない☑社内清掃を十分に行っていない☑成長投資を十分に行っていない☑継続的な経営改善を行っていない☑通期は黒字だが、単月で赤字の月がある☑経営者の事業拡大の気迫やビジョンが弱い☑黒字経営だが、経営数値が適正水準にない☑利益目標など具体的数値目標がない。また、会社の数字を社員と共有していない☑月次決算書を毎月作成していない。或いは、月次決算書の内容を毎月確認していない☑売上総利益高営業利益率が10%を下回ってる〔計算式:(営業利益÷売上総利益)×100〕☑減価償却費を毎月計上していない。棚卸資産の計算を毎月行っていない。原価計算のルールがない、或いは、原価計算をしていない。部門別の損益を計算していない。など等、損益計算の精度が低い会社が潰れる兆候チェックリスト「レベル2」会社が潰れる兆候が分かるチェックリストレベル2である。一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れるリスクが高い」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れる危機的状況に陥る可能性が高い。レベル2の段階で速やかに経営改善に着手すれば、会社が潰れる可能性は低い。逆に言えば、レベル2の段階で然るべき経営改善を行わないと、数年以内に会社が潰れる可能性がある。つまり、レベル2は会社が潰れるか否かのデッドラインとも言える。倒産リスクチェックリスト☑赤字経営である☑会社の雰囲気が悪い☑問題社員の存在がある☑資本欠損の状態にある☑資金繰りの厳しい月がある☑赤字商品や赤字取引がある☑売上・利益・現金が伸び悩んでいる☑ライバル企業の動向を把握していない☑社長が2/3以上の株式を持っていない☑会社のお金を社員に横領されたことがある☑経営者の価値観に共感していない社員がいる☑売上全体の20%以上を占める大口取引先がある☑経営者の後継者、或いは、ナンバーツーがいない☑本業とは全く関係のない新規事業に手を出している☑経営者に苦手分野があり、それを補うブレーンがいない☑顧客の声を無視している。或いは、顧客満足度を追求していない☑社員の声を無視している。或いは、社員満足度を追求していない☑ワンマン経営の弊害が噴出している。(パワハラ、セクハラ、モラハラ、身内優先、社員軽視、利益独占、贅沢独占、離職加速、など等)☑社長に愛人がいる、社長が宗教を会社に持ち込んでいる、など等、社長が社員の反発を招く行動をしている。或いは、社長が社員から尊敬されていない会社が潰れる兆候チェックリスト「レベル3」会社が潰れる兆候が分かるチェックリストレベル3である。一つでも当てはまる項目があれば「数カ月~数年以内に会社が潰れる」可能性が極めて高いと言わざる得ない。直ちに、抜本的経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れるだろう。倒産リスクチェックリスト☑粉飾決算が常態化している☑条例違反や法令違反をしている☑赤字経営で、赤字金額が膨らみ続けている☑現金が減り続けている☑厳しい資金繰りが常態化している☑取引先への支払遅延が常態化している☑社員への給与支払いの遅延が常態化している☑人財の離職が続き、過酷な残業が常態化している☑運転資金に窮している。金融機関からの信頼を失っている☑社員・顧客・取引先等からの信頼を失い、離職・離脱・取引解消等が著しく表面化している会社が潰れる兆候チェックリストのまとめ会社が潰れる兆候を察知した場合、経営者が取るべき行動は「今すべきことに全力を注ぐ」ことである。自分で対処することができなければ専門家の手を借りてでも会社が潰れるリスクを速やかに解消しないと、時を待たずして会社が潰れることになる。すでに述べた通り、会社が潰れる兆候を察知し、直ちに行動を起こした場合、助かる確率が高いのはレベル2までである。逆に言えば、レベル2までは、衰退から成長に転換する時間とチャンスが十分にあるという事だ。なお、複数個の該当チェック項目があったとしても、すべてを社長ひとりでカバーする必要はない。自分の苦手分野を社員や第三者に補ってもらう方法もある。人はどこからでも成長できるし、やり直すこともできる。一人の力はたかが知れているが、他者と繋がれば、成果は何倍にも大きくなるものだ。チェック項目を一つの成長の方向性として活用頂ければ幸いだ。ちなみに、レベル3は、時すでに遅しで、会社を再生するには相当の痛みを伴う経営改革が必要になる。一つでもチェック項目に該当する場合は、今の状況を変えるために、今の動きを変える第一歩を踏み出してほしい。中小企業においては、会社を大きくするも潰すも経営者次第である。経営者の責務として、日頃から会社が潰れる兆候に目を光らせ、リスクの芽を摘み取る仕事を丹念に積み重ねてほしい。
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  • 倒産原因は内部にある|すべての企業倒産は自壊から始まる
    倒産原因は内部にある|すべての企業倒産は自壊から始まる会社は現金が無くなった瞬間に倒産する。そして、会社が倒産すると、その瞬間に全ての関係者の生活基盤が失われ、全員不幸になる。この記事では、企業がなぜ倒産するのか、その根本原因について、詳しく解説する。倒産とは?倒産とは、会社(法人・個人事業主等)の事業活動が機能不全に陥ることをいい、法人の場合は経営破たんという。具体的には、運転資金の枯渇と共に、事業活動に伴い発生する債務(買掛金・経費の未払金等)の支払いが停止し、継続的事業活動が不可能に陥る状態をいう。会社が倒産状態に陥った場合は、法的処理(手続き)を経て、倒産を確定させる必要が生じる。倒産の法的手続きは、日本においては、破産、会社更生、民事再生などがあり、法的手続きを経て、債権者への弁済処理、権利義務等の清算が完結する。なお、倒産手続は、債権者から申し立てられる場合と債務者(倒産者)自身が申し立てる場合のほか、監督当局の申立てによって開始することもあるが、一般的には、債務者自身が弁護士に全権委託して倒産手続きを進めるケースが多い。倒産の最終原因倒産の最終原因は、現金枯渇に伴う支払不履行になる訳だが、怖いのは、多額の借金を抱えている場合は、倒産状態に陥る可能性が高まった時点で、借金の強制弁済、或いは、追加融資の停止処分が下り、倒産に追い込まれるケースがあることだ。黒字倒産が最たる例になるが、たとえ利益が残っていたとしても、限度を超えた外部借入を要している場合は、それが原因で倒産することがあり得るので、倒産原因を払拭するために日頃から借入限度額を注視することが大切になる。(黒字倒産は中小企業だけでなく上場企業でも起こり得る)また、売上依存度の高い取引先が倒産することで売上が著しく減少し、連鎖的に倒産に巻き込まれることを連鎖倒産というが、連鎖倒産は中小企業に良くある倒産原因になる。連鎖倒産の根本原因を払拭するには、大口依存に頼らない経営基盤の確立が必須条件になる。(因みに売上依存度の高い顧客が消失することで倒産するケースも連鎖倒産と同じになる)倒産の根本原因会社倒産の最終原因は、現金枯渇、支払不履行、連鎖倒産など等に行きつくが、やはり、最終的な倒産原因に繋がる根本原因の解消なくして、企業倒産を防ぐことはできない。わたしは多くの衰退企業の再建に関わってきたが、倒産の根本原因は企業の経営力、つまり、経営者の能力不足に行きつくケースが圧倒的に多い。例えば、働いている社員は真面目、作っている商品や提供しているサービスも良い、倒産危機に瀕した原因を辿ると経営者の能力不足に行き当たるケースは珍しくない。倒産の根本原因は、市場縮小、景気悪化、消費低迷等の外的要因にあるのではなく、経営者の能力不足といった内的要因にあるのだ。すべての企業倒産は自壊から始まるすべての企業倒産は自壊から始まる。つまり、社長の衰え、経営能力の低下、経営者の気の緩み、会社組織の崩壊など等、内的要因に端を発した原因が自壊を招き、それが倒産の始まりになる。企業の倒産を防ぐには、最高経営責任者である社長が「自壊を招く言動を慎む」ことを実践し続けるしかないが、これほど大変なことはない。自壊を招く言動を慎むには、衰退に繋がる経営課題を絶えず発掘・解消し、衰退を予見して先手を打つ会社経営を確立するしかないが、実際問題として、これを社長ひとりの力で実現するのは難しい。自壊に伴う企業倒産を防ぐには、社長自身の自己研鑽も大切だが、やはり、良き右腕や参謀の活用、或いは、後継者や経営幹部の育成等を推進し、企業全体の経営力を高め、衰退を予見し先手を打つ会社経営を実践・定着させることが大切だ。
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  • 経営数値のバランスが崩れると会社が倒産する|経営数値とは何か?
    経営数値のバランスが崩れると会社が倒産する|経営数値とは何か?経営数値のバランスが崩れると会社が倒産する。なぜなら、会社の衰退を加速させる赤字経営、借金過多、顧客離脱、社員離職などの現象は、経営数値のバランスが崩れることで誘発されるからだ。経営数値とは、会社の経営状態を可視化するために活用される経営指標の実績値のことで、資産状態であれば当座比率や自己資本比率、損益状態であれば売上総利益率(粗利率)や営業利益率といった経営指標がある。経営数値のバランスが崩れた状態とは、これらの経営指標の実績値が適正値から乖離している状態のことで、例えば、下のグラフのように黒字経営であっても経営数値のバランスが崩れていると、会社は間違いなく衰退する。上のグラフは私が実際に経営サポートに入った会社のサポート開始一年前の主な経営数値の実績である。グラフ最上段が適正値を示す基準ラインで、経営数値は上から売上総利益率、現金水準、当座比率、自己資本比率、営業利益率の順に並べてある。この会社は黒字経営ではあったが、すべての経営数値が適正値から乖離しており、特に、営業利益率が適正値に比べて著しく低いのが特徴的だった。営業利益率が低いと何が問題かというと、まず、現金水準がなかなか上がってこない。従って、当座比率も自己資本比率も適正値を維持するのが難しくなる。成長投資も減速し、事業拡大のペースも鈍化する。また、利益が少ないと、経済環境の悪化など、周囲の些細な変化についていけず、あっさり赤字経営に転落する恐れもある。場合によっては、それがきっかけで資金繰りが悪化し危機的経営状況に陥る事もある。このように、黒字経営であっても経営数値が適正値にないと、会社の衰退リスクが高まる一方になるのだ。(なお、経営サポート後の経営数値の変化については「中小企業の経営改善事例」を参照のこと)経営数値のバランス悪化を放置すると倒産リスクが高まる経営数値のバランス悪化を放置すると、間違いなく会社倒産のリスクが高まる。特に、黒字経営のうちに経営数値のバランスを整える努力をしなければ、会社倒産のリスクは高まる一方になる。この部分のケアが不十分だと、経営課題が山積して、経営数値が更に悪化し、結果、会社の成長が鈍化し、何れ、会社が衰退する。企業の持続的成長を確立するには黒字経営であっても一切油断することなく、常に高みを目指し、適正な経営数値を維持する努力が欠かせない。この理はプロスポーツの世界でも同じで、例えば、プロの世界で長く活躍しているスポーツ選手ほど、常に、最高のパフォーマンスが発揮できるように、ベストな状態を維持する努力を継続している。会社経営も同じで、常に最高の経営数値を維持する努力が成長の下地を作るのだ。赤字経営や借金過多など、誰の目から見ても明らかに経営数値が悪化している状態から努力を始めても、時すでに遅しで、衰退から抜け出すのが困難になる。再建の道筋が見えたとしても、リストラという大きな痛みを伴う方法を選択せざる得ないこともある。黒字経営という、多少でも儲かっている状態から経営数値を整える努力を始めることが何よりも大切で、この要所を抑えた会社経営が安定をもたらすのだ。そして、経営数値が崩れる原因は、儲かっている時にこそ作られるという事を強く意識することも忘れないでほしい。伊藤のワンポイント経営数値のバランスが崩れている中小企業はじつに多いです。アンバランスな状態を放置するほど、衰退リスクが高まりますので、早い段階でバランスを修正することが成功の秘訣です。また、絶えず最高のバランスを追求する努力なくして、企業の永続性を確立することは不可能で、その努力が緩むと必ず企業が衰退します。
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  • 経営課題を見落とす会社は倒産する|企業の盛衰は経営課題の扱いで決まる
    経営課題を見落とす会社は倒産する|企業の盛衰は経営課題の扱いで決まる経営課題とは、会社の成長を阻害するリスクのことだ。この経営課題を見落とすと、衰退リスクが大きく膨らみ、時の経過と共に会社が倒産に傾いてしまう。この記事では、経営課題を見落とす会社の倒産リスクについて、詳しく解説する。経営課題を見落とす会社は倒産する経営課題を見落とす会社は、倒産リスクが高まる。経営課題を見落とした瞬間から倒産リスクが高まり、どんなに小さな経営課題であっても放置するほど衰退リスクが大きくなり、課題解決の手立てが限られていく。売上低迷や競争力低下などの末期症状が出始めてから慌てて経営課題と向き合っても、衰退のスパイラルから抜け出せないまま経営が破たんするケースも珍しくない。経営課題を予見し先手を打つスピードが中小企業経営の生命線になり、そのスピードが遅い企業で上手くいっているところは殆どない。つまり、企業の盛衰は経営課題と向き合う姿勢ひとつで決まり、経営課題と真摯に向き合い、課題を解消するための経営努力を続けている限り、企業が衰退することはないのだ。中小企業が見逃せない経営課題とは中小企業が見逃せない経営課題は様々あるが、特に注意したいのは「顧客・数字・組織」に関わる三つの経営課題である。これらの経営課題を見落とす・見過ごす・見誤ると、会社は間違いなく倒産に傾くので、くれぐれも注意してほしい。経営課題「顧客」顧客は会社の生存を決定づける立場にいるので、顧客に関わる経営課題を放置すると簡単に倒産に傾いてしまう。例えば、顧客の年齢や価値観の変化は、市場縮小や付加価値の陳腐化といった企業衰退に繋がる経営課題を生み出す。顧客目線でマーケティングを実践することが課題解消の手立てになる。経営課題「数字」数字は健全経営に欠かせない要素なので、数字に関わる経営課題を放置すると簡単に倒産に傾いてしまう。例えば、売上減少は競争力低下、利益減少は収益力低下、現金減少は資金繰り悪化といった企業衰退に繋がる経営課題を生み出す。数字を見て、更に数値目標を掲げて課題解決に取り組むことが課題解消の手立てになる。経営課題「組織」組織力と業績は比例関係にあるので、組織に関わる経営課題を放置すると簡単に倒産に傾いてしまう。例えば、社長と社員のコミュニケーションが不足すると、離職やモチベーション低下といった企業衰退に繋がる経営課題を生み出す。社員目線のコミュニケーションを実践することが課題解消の手立てになる。企業の盛衰は経営課題の扱いで決まる企業の盛衰は経営課題の扱いひとつで決まる。経営課題に背を向けず、課題解決に動くことでしか企業の繁栄は得られない。経営課題を見落とす・見過ごす・見誤った結果、衰退する中小企業はじつに多いが、しっかり顧客を見て、数字を見て、組織を見ることで解決できる課題は意外と多い。また、経営者自身の課題発掘力や解決力に不安があるのであれば、躊躇なく専門家を頼ることも大切だ。経営者は時間が限られているので、最短で経営課題を解決する手立てとして専門家を頼る方法は確実であり、費用対効果も高い。どんなに小さな経営課題であっても、いい加減に対処しないこと、或いは、そのまま放置しないことが、企業が生き残る条件といっても過言ではない。伊藤のワンポイント経営課題を見落とすと会社は必ず衰退します。経営課題を見落とさない為には、衰退を予見し先手を打つ会社経営を実践することが不可欠ですが、この実践度が企業の明暗を分けます。好調な時ほど油断や慢心が邪魔して経営課題を見落としやすくなりますので、いかなる時も気を抜かないことが大切です。
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  • モラルの低い会社は倒産する|経営者のモラルが成功と失敗を分かつ
    モラルの低い会社は倒産する|経営者のモラルが成功と失敗を分かつモラルの低い会社は倒産する。特に、企業のトップに立つ経営者のモラルは、成功と失敗を分かつ重要な要素になる。この記事では、モラルの低い会社の倒産リスクについて、詳しく解説する。大企業のモラル崩壊世界のモノづくりを牽引してきた日本を代表する製造業のモラルが崩壊しつつある。タカタのリコール隠し(2014年)、旭化成建材のマンション強度偽装(2015年)、東洋ゴム工業の検査データ改ざん(2015年、2017年)、三菱自動車の燃費不正(2016年)、日産自動車の無資格検査(2017年)、神戸製鋼所の品質不正(2017年)、三菱マテリアル系列の検査データ改ざん(2017年)など等、昨今のモラルの低下から端を発した大企業の不祥事(品質不正)の数々には呆れるばかりだ。最早、高品質の代名詞「メイド・イン・ジャパン」は、低品質、或いは、危険品質の代名詞に落ちぶれたといっても過言ではない。これだけの不祥事を起こしたわりに経営が破たんした会社はタカタ1社だけだ。一時は商品の出荷停止や工場の操業停止に追い込まれたにも関わらず、さすがは、大企業である。資本力と資金調達力は中小企業の比にならない。とはいっても、品質は信頼の証である。このようなモラルの低下から品質不正に手を染める会社経営をいつまでも続けていては、いくら大企業といえども、早晩、会社の経営は行き詰るだろう。企業のモラルが低下する根本原因当初は万全の品質レベルを確保していたはずの大企業が、なぜモラルの低下と共に品質不正に手を染めるに至ったのか。この根本原因は、行き過ぎた「利益の追求」にあるのではないかと推測する。利益追求のカラクリはケースバイケースということもあり、ここでは触れないが、例えば、納品を繰り返すたびに少しずつ品質(コスト)を落としていき、浮いた分のコストを利益として確保するやり方は、一昔前の諸外国の製造業ではよくあるケースだった。一定の業界基準や社内基準、顧客が要求する基準を下回ったとしても、検査データや品質データを改ざんしてしまえば、実害が出ない限り、一生、顧客にバレることはない。まさに、モラルのかけらもない、顧客不在の論理がなせる業だ。この手の品質不正に一度手を染めてしまうと、不正が明るみになるまで、後戻りすることはできない。万が一、不正が明るみになった場合は「信頼が失墜」し、会社の経営に大打撃を受けることになる。しかも、モラル違反ありきのコスト構造に陥っているので、正常な品質に戻すことが困難になる。中小企業の場合は、即刻、経営が破たんするだろう。会社の信頼は、中小企業の安定経営を支える大きな要素である。経営者は、信頼を損なうような品質不正(モラル違反)には、決して手を出してはならないのだ。モラルある会社経営が成功を後押しするモラルなき会社経営に、明るい未来はないといっても過言ではない。モラルが信頼を生み出し、信頼が次の仕事を生み出す。つまり、中小企業の成功は、モラルある上品な会社経営のうえに成り立つのだ。また、経営者の上品な佇まいも、モラルありきである。いつなんどきも、どこの誰から見られても表裏なく自然体でいられる佇まいはモラルなくして身につくものではない。一流と二流の経営者の違いは、モラルがあるか、ないかである。中小企業が生き残るには、モラルある会社経営を実践することが欠かせないのだ。【関連記事】経営者はモラルが大切モラルなくして会社経営の成功なし最後に、日本が誇れるモノづくりに精魂をかけているモラルある経営者の言葉(参考文献:平松洋子先生著書”日本のすごい味”)を以下に紹介する。下田市「まるとうわさび農家」四代目 飯田さん:『お客さんのことを思うと、適当なことはできない』大阪府「大寅」四代目 小谷さん:『自分がうまいなと思わん商品は、お客様にお出しするのはご無礼だから一切しません』京都府「竹中罐詰」三代目 竹中さん:『わるいもんからええもんはできない。ええもんからしか、ええもんはできない』奈良県「森奈良漬店」四代目 森さん:『ほんとうにいいものはお客様が口伝えに広めてくださる』岐阜県「信玄堂」三代目 武田さん『うそをつくな、よい原料を使いなさい』沖縄県「カナ」店主 我謝孟さん『自分の大切なひとに食べさせる気持ちでつくっています。手が抜けないのはわたしの性分。でも、お客さんのためだけではないと思います。やはり自尊心がくわわっているのかもしれない。けったいなもの出したら、自分たちが済まん』(この記事は2017年11月に執筆掲載しました)伊藤のワンポイント経営者にとってモラルほど大事なものはありません。モラルなき会社経営は、必ず、足元をすくわれるからです。モラルある上品な会社経営をしていれば、自然と企業の永続性が確立されます。経営者は孤独で、一人で困難に立ち向かう局面もありますが、そういう時ほどモラルを大切にしてください。
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  • どんぶり経営の会社は倒産する|ドンブリ勘定が企業を滅ぼす
    どんぶり経営の会社は倒産する|ドンブリ勘定が企業を滅ぼすどんぶり経営とは、ドンブリ勘定でお金を管理している経営状態のことである。どんぶり勘定で会社の数字が曖昧になると、経営判断の根拠も曖昧になり、会社経営の失敗リスクが飛躍的に高まる。この記事では、どんぶり勘定の弊害から倒産リスクに至るまで、詳しく解説する。どんぶり勘定の弊害とは?どんぶり経営とは、会社の数字を軽視する経営姿勢のことだが、分かりやすくいうと、「入るお金」と「出るお金」の管理がいい加減ということである。大きな失敗が許されない中小企業の場合、どんぶり経営からの脱却が成功と失敗を分かつといっても過言ではない。どんぶり経営の分かりやすい例をいくつか挙げる。▶A店舗とB店舗の売上を、一つのどんぶりで勘定する▶A工場とB工場の工場経費を、一つのどんぶりで勘定する▶営業部門と製造部門の損益を、一つのどんぶりで勘定するこのようなどんぶり勘定の経理を行うと、最終的な会社全体の損益は把握できるが、個々の部門損益が全く把握できなくなる。更に、具体的なぶんぶり経営の例をいくつか挙げる。▶A店舗のために費やした広告宣伝費を、一つのどんぶりで勘定する▶A工場の修繕費用を、一つのどんぶりで勘定する▶営業部門の接待交際費を、一つのどんぶりで勘定する個々の損益が把握できなければ、その店舗や工場の正しい損益が見えなくなり、適正な経営状況であるか否かの判断がつかなくなる。当然ながら、経営状況が分からなければ、会社の問題点や課題を把握することができず、合理的かつ具体的な経営目標を掲げることもできなくなる。要は、どんぶり経営が常態化すると、まともな会社経営ができなくなってしまうのだ。これが、どんぶり経営最大の弊害である。【関連記事】どんぶり勘定の意味・会計メリット・経営デメリットどんぶり経営の弊害と倒産リスク中小企業にありがちなどんぶり経営の弊害と倒産リスクについて、詳しく解説する。下図は、前章で解説したどんぶり経営例に用いた会社組織のイメージ図である。この中小企業は、営業部と製造部の2つの部門の下に4つの部署があり、会社全体を構成している。夫々の部門や部署毎の損益集計がどんぶり勘定で行われていたらどうなるだろうか?会社全体が良好な黒字経営であれば問題ないのかも知れないが、例えば、▶B店舗が販売不振に陥っていたら?▶B工場の操業度(※1)が著しく落ち込んでいたら?営業部門の販売不振も製造部門の操業度低下も、個々の部門損益を正しく把握していなければ、全く見えてこない。当然ながら、事前に経営改善の手を打つことは不可能だ。一部門の業績低迷が会社全体の損益にハッキリと表れてくるころには末期状態ということも珍しくない。その場合、不振部門の再建は手遅れとなる。また、どんぶり経営はコスト管理にも影響を及ぼす。例えば、A店舗とB店舗の損益がひとつのどんぶりで勘定されていたら、夫々の店舗の正しい損益が把握できない。これでは双方のトップである店長の成績評価も適正に行えない。更に、店舗の損益も、店長の成績も曖昧では、コスト管理も曖昧になる。杜撰なコスト管理は「ムダとムラ」を生み出し、収益性と生産性を著しく低下させる。そして、自ずと業績悪化の循環に陥り、会社は倒産へ傾く。さらに、業績悪化の時に手に負えなくなる点も、どんぶり経営の弊害になる。どんぶり経営による会社倒産は、むしろ必然といってもいい。※1 操業度(操業率)とは、企業が有する生産能力の一定期間における利用状態のこと。例えば、生産能力の最大値を 100として、それに対する実際の生産量の比率で表わされる好業績でもどんぶり経営の弊害がある!!どんぶり経営は、業績が良い場合であっても、さまざまな弊害がある。例えば、▶A店舗の販売が好調を維持している▶A工場の操業度が上向いている好調部門があったとしても、個々の部門損益が分からなければ、具体的な好調具合が見えてこない。当然ながら、人員の増減戦略や設備の投資戦略に大きな影響を及ぼすことになり、不調な部門の人員を増員したり、設備投資を行ったりする判断ミスも起こり得る。経営判断の誤りは、倒産に繋がる重大なリスクだ。どんぶり経営が常態化して会社の数字が曖昧になると、全ての経営判断が曖昧な根拠の上に成り立つことになる。曖昧な経営判断ほど恐ろしいものはなく、場合によっては、失敗しか道がないといった状況に陥ることもある。会社経営の基本は、第一に正確な数字を把握することに尽きる。正しい会社経営を行うのであれば、どんぶり経営から脱却しなければならない。伊藤のワンポイントどんぶり経営は衰退リスクを高めるだけで、メリットはひとつもありません。また、どんぶり経営は会社(経営者)の論理性と客観性を著しく低下させるので、漠然とした経営不安も山積します。事業活動の結果、並びに、成功と失敗の兆候は、すべて数字に表れることを決して忘れないでください。
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  • 三代目社長が会社を倒産させる本当の理由|企業の盛衰は三代目社長が握っている
    三代目社長が会社を倒産させる本当の理由|企業の盛衰は三代目社長が握っている三代目社長が会社を倒産させる事例は非常に多い。事実、わたしが過去に関わった会社再建の全体の6割が三代目社長の会社だった。三代目社長が会社を倒産させる理由として考えられるのは、第一に「経営能力が低い」ということが挙げられる。なぜ、経営能力が低い三代目社長が多いのかというと、創業者に比べて、会社経営の経験が圧倒的に少ない状態で、社長の座に就いてしまうからだ。創業者は、経営資源である、ヒト、モノ、カネ、情報を自らの力で集めて、事業を開始しているだけあって、経営能力を磨く機会に恵まれている。また、身銭を切る、或いは、借金をするといった金銭的リスクも負っているので、損得勘定や金銭感覚も十分に磨かれる。さらに、会社を軌道に乗せるまでの苦労や会社の成長と衰退の勘所を十分に経験しているため、会社経営を安定させるための経営実学をしっかり体得している。創業者の代で会社の経営が安定し、創業者から二代目にバトンが引き継がれ、会社の経営状態が安定するほど、経営者としての能力を研鑽する機会は失われる。当然ながら、創業者と同じような経営体験ができない三代目社長の経営能力は、自ずと創業者よりも劣ってしまう。事実、過去にわたしが関わった会社再建先の三代目社長の経営能力は燦々たるものだった。なお、経営能力が低い三代目社長の特徴は当サイト内の「三代目社長の宿命と中小企業の事業承継の課題」で紹介している。見逃せない三代目社長が会社を倒産させる理由とは?三代目社長が会社を倒産させる本当の理由は「経営能力が低い」という理由以外にも、決して見逃してはならない大きな理由がある。それは、「ビジネスモデルの破たん」である。創業者から三代目社長に至るまでの時間は50年~60年が一般的である。つまり、三代目社長が受け継いでいるビジネスモデルは、半世紀前のビジネスモデルということである。会社倒産の危機に瀕する三代目社長は、祖父の時代から、或いは、父親の時代からのビジネスモデルに何の疑問も抱かずに会社を受け継ぎ、ビジネスモデルの破たんに気が付かないまま、経営に当たっているケースが多い。ビジネスを取り巻く環境は刻一刻と変化している。半世紀も立てば、なおさらである。当然ながら、時流の変化や最新のテクノロジーに乗り遅れると、簡単に事業価値が陳腐化してしまう。事業価値が陳腐化するということは、ビジネスモデルが破たんし、市場競争からはじき出されるということである。一度、市場競争からはじき出されると、そこから挽回するのは至難の業で、会社が衰退する一方という事態に陥ることも珍しくない。創業者からの時間的距離が短い二代目社長に比べて、三代目社長の役割は大きく、会社の成長と衰退の分岐点は、三代目社長が握っているといっても過言ではない。会社倒産から身を守るために三代目社長がすべきことは、ビジネスモデルの総点検と変化への順応である。変えるべき部分を変え、残すべき部分を残す。これが、三代目社長の生きる道である。伊藤のワンポイント経営者が三代も下ると、半世紀ほどの時が経過します。事業環境は絶えず変化しています。変化へのおざなりな対応は事業の陳腐化リスクを飛躍的に高めます。つまり、代々の経営姿勢が、後継者の末路を決めるのです。次世代を見据えた会社経営を意識することの重要性は、ここにあります。
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  • なぜか成長しない会社の原因が分かるチェックリスト|会社の成長阻害原因が分かる
    なぜか成長しない会社の原因が分かるチェックリストわたしは中小・中堅企業専門の経営コンサルタントとして数多くの企業実態を見てきた。再建事案も多く、成長しない会社の原因がどこにあるのか、会社の成長を止める経営課題は何なのか等、会社の成長を阻害するポイントを数多く知っている。経営の専門家の立場から、成長しない会社の原因をレベル1からレベル3に分けてチェックリストを作成している。会社の現状とチェック項目を照らし合わせて、会社が成長しない原因がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。レベル1一つでも当てはまる項目があれば「会社が成長しない原因がある」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、衰退リスクを解消することをお薦めする。レベル2一つでも当てはまる項目があれば「会社が成長しない可能性が高い」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、衰退リスクを解消しなければ、会社が潰れる危機的状況に陥るだろう。レベル3一つでも当てはまる項目があれば「会社が加速度的に衰退する」可能性が極めて高く、いわゆる末期症状である。直ちに、抜本的経営改善に取り組み、衰退リスクを解消しなければ、会社が潰れる可能性が高い。成長しない会社の原因チェックリスト「レベル1」なぜか成長しない会社の原因が分かるチェックリストレベル1である。一つでも当てはまる項目があれば「会社が成長しない原因がある」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、衰退リスクを解消することをお薦めする。衰退リスクチェックリスト☑社員教育を行っていない☑継続的な成長投資を行っていない☑継続的な経営改善を行っていない☑キャッシュフロー経営を重視していない☑通期は黒字だが、単月で赤字の月がある☑月次決算の精度が低い・仕上がりが遅い☑具体的数値目標がない。また、会社の数字を社員と共有していない☑月次決算書を毎月作成していない。或いは、月次決算書の内容を毎月確認していない☑売上総利益高営業利益率が10%を下回ってる〔計算式=(営業利益÷売上総利益)×100〕成長しない会社の原因チェックリスト「レベル2」なぜか成長しない会社の原因が分かるチェックリストレベル2である。一つでも当てはまる項目があれば「会社が成長しない可能性が高い」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、衰退リスクを解消しなければ、会社が潰れる危機的状況に陥る可能性が高い。レベル2の段階で速やかに経営改善に着手すれば、会社が潰れる可能性は低い。逆に言えば、レベル2の段階で然るべき経営改善を行わないと、数年以内に会社が潰れる可能性がある。つまり、レベル2は会社が潰れるか否かのデッドラインでもあるのだ。衰退リスクチェックリスト☑変化を拒んでいる☑社長に愛人がいる☑事業拡大の気迫が弱い☑資金繰りの厳しい月がある☑会社に宗教を持ち込んでいる☑潜在顧客の開拓を行っていない☑経理やお金の管理が杜撰である☑売上・利益・現金が伸び悩んでいる☑ライバル企業の動向を把握していない☑後継者やナンバーツーを育成していない☑新商品や新規事業にチャレンジしていない☑経営者が2/3以上の株式を保有していない☑会社の方針やビジョンに共感していない社員がいる☑赤字経営に陥っている(赤字商品・赤字取引がある)☑社長が数字に弱い(数字に強い参謀も居ない)☑流行を追いかけている・本業が曖昧になっている☑会社の強みが曖昧、或いは、会社の強みがない☑売上全体の20%以上を占める大口取引先がいる☑経営ビジョンがない・経営方針が行き当たりバッタリ☑本業とは全く関係のない新規事業に手を出している☑会社の雰囲気が悪い、或いは、問題社員の存在がある☑経営者に苦手分野があり、それを補うブレーンを活用していない☑顧客の声を無視している。或いは、顧客満足度を追求していない☑社員の声を無視している。或いは、社員満足度を追求していない☑会社の利益を本業とは関係ない投機分野に回している(株式、不動産、ギャンブルなど等)☑経営者と社員の情報共有が出来ていない(会社の数字、失敗やクレーム、顧客や社員の声、など等)☑ワンマン経営の弊害が噴出している。(パワハラ、セクハラ、モラハラ、身内優先、社員軽視、利益独占、贅沢独占、離職加速、など等)成長しない会社の原因チェックリスト「レベル3」なぜか成長しない会社の原因が分かるチェックリストレベル3である。ひとつでも当てはまる項目があれば「会社が加速度的に衰退する」可能性が極めて高く、いわゆる末期症状である。直ちに、抜本的経営改善に取り組み、衰退リスクを解消しなければ、会社が潰れるだろう。衰退リスクチェックリスト☑赤字の金額が膨らみ続けている☑粉飾決算や違法行為が常態化している☑人財の離職が続き、過酷な残業が常態化している☑借金過多でフリーキャッシュフローがマイナスに陥っている☑厳しい資金繰りが常態化している(一年以内に資金ショートする)なぜか成長しない会社の原因が分かるチェックリストのまとめなぜか成長しない会社の原因に該当した場合、経営者が取るべき行動は「今すべきことに全力を注ぐこと」である。自分で対処することができなければ専門家の手を借りてでも会社が成長しない原因を解消しないと、衰退リスクは高まる一方になる。すでに述べた通り、会社が成長しない原因を特定し、直ちに行動を起こした場合、助かる確率が高いのはレベル2までである。逆に言えば、レベル2までは、衰退から成長に転換する時間とチャンスが十分にあるという事だ。なお、複数個の該当チェック項目があったとしても、すべてを社長ひとりでカバーする必要はない。自分の苦手分野を社員や第三者に補ってもらう方法もある。人はどこからでも成長できるし、やり直すこともできる。一人の力はたかが知れているが、他者と繋がれば、成果は何倍にも大きくなるものだ。チェック項目を一つの成長の方向性として活用頂ければ幸いだ。ちなみに、レベル3は、時すでに遅しで、会社を再生するには相当の痛みを伴う経営改革が必要になる。一つでもチェック項目に該当する場合は、今の結果を変えるために、今の動きを変える第一歩を踏み出してほしい。中小企業においては、会社を大きくするも潰すも経営者次第である。繁栄を加速したければ、経営者の責務として、日頃から会社が成長しない原因に目を光らせ、衰退リスクの芽を摘み取る仕事を決して忘れないことだ。
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  • 成長しない会社の低迷原因はひとつ|企業成長は経営力で決まる
    成長しない会社の低迷原因はひとつ|企業成長は経営力で決まる成長しない会社の低迷原因はひとつに絞られる。中小企業において、業績の低迷に伴う企業成長の鈍化原因は、経営力の低下である。この記事では、成長しない会社の低迷原因、並びに、企業成長の仕組みについて、詳しく解説する。企業成長の仕組み成長しない会社の低迷原因は、企業成長の仕組みを理解すると見えてくる。企業成長の仕組みは簡単で、企業成長の成果(規模拡大・成長速度等)は「経営力×商品力」の掛け合わせで大きくなる。経営力とは、企業成長をけん引する、経営マネジメント力、マーケティング力、戦略策定力、事業構想力など等、経営全般を支える能力のことである。商品力とは、企業成長をけん引する、商品やビジネスモデルの強み、商品の独自性や希少性、或いは、付加価値など等、顧客に訴求できる商品の魅力のことである。この経営力と商品力が盤石であれば会社は自然と成長し、経営力と商品力のどちらか一方でも低下すると、会社の成長が低迷し、次第に、成長しない会社に陥ってしまう。成長しない会社の低迷原因企業成長は経営力×商品力の掛け合わせで決まり、どちらか一方でも低下すると、その瞬間に会社の成長に陰りがでる。重要なのは、成長しない会社の殆どは、商品力の低下によって衰退するのではなく、経営力の低下によって衰退が決定付けられることである。なぜなら、商品力を上げるための戦略展開やマーケティング力など等は経営力の範疇に入るからだ。更に、中小企業において経営力と商品力を上げられる人間は、経営者をおいて他にはいないので、突き詰めると経営者の能力が経営力を決定し、強いては、会社の盛衰を決定付けるということになる。よく経営者の能力以上に会社は大きくならないと云うが、全くその通りで、企業成長は、間違いなく経営者の能力で決まる。つまり、景気悪化やライバルの台頭など、外部環境の悪化により商品が売れなくなることで会社の成長が低迷するのではなく、経営者の能力の低下が、会社が成長しない根本原因になるということだ…。企業成長は経営力で決まる企業成長は経営者の能力と共に経営力を高めることで、自然と達成される。中小企業においては、商品力が優れているにも関わらず、経営力が低いために業績が伸び悩んでいる会社が少なくないが、そうした会社であっても経営力さえ高めれば簡単に成長軌道に乗せることができる。例えば、下のグラフは私が経営サポートした中小企業の指導開始1年前の主な経営指標のギャップを示したグラフになる。ご覧の通り、すべての指標が目標(適正ライン)に達していないことが分かると思う。この会社は、商品力が優れており、その証拠に、過去数年にわたって売上はプラス成長を維持していた。しかし、利益と現金が一向に増えず、成長投資や未来志向のある会社経営が実践できていなかった。下のグラフは、経営サポート開始から1年後の主な経営指標のギャップを示したグラフになる。ご覧の通り、わずか一年で利益水準が高まり、成長投資の原資に余裕ができたことが分かると思う。商品力が優れているにも関わらず成長しない会社は、会社の経営力さえ高めれば飛躍的に成長させることができる。会社の経営力と商品力の研鑽は経営者の重要な仕事になるが、この仕事さえ手を抜かなければ、会社は自然と成長する。
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  • 経営課題は業績が好調な時に作られる|経営課題を見逃すな!!
    経営課題は業績が好調な時に作られる|経営課題を見逃すな!!経営課題は業績が好調な時に作られる。なぜなら、業績が好調な時ほど、目の前の経営課題が見えなくなるからだ。この記事では、経営課題の衰退リスクから経営課題を見逃すロジックに至るまで、詳しく解説する。経営課題は最大の衰退リスク経営課題とは、将来の衰退リスクのことだが、経営課題が何一つない中小企業などあり得ない。会社を取り巻く経営環境の変化と共に、刻一刻と新たな経営課題が生ずるのが自然の理だ。従って、いかに業績が好調な会社であっても何らかの経営課題を抱えており、そうした経営課題を見逃すと、その課題が大きな衰退リスクに成長し、少しのきっかけで会社が衰退することがある。しかも、一度会社が衰退すると、それまで見逃していた経営課題が一気に噴出し、経営を立て直すのが難しくなる。場合によっては、衰退あるのみ、といった状況に陥ることも珍しくない。日本の中小企業の数は約400万社強で推移しているが、このなかで、次世代にバトンタッチできる健全経営を実現している中小企業の数は、わたしの感覚では10%以下、わずか40万社程度である。健全経営とは、次世代の衰退リスクを見越したうえで、日頃から経営課題の解消に努めている経営姿勢の事だが、残りの360万社の中小企業は、経営課題を見逃している、或いは、経営課題の解消方法を誤っている可能性が高い。業績が伸び悩んでいる会社、赤字経営に陥っている会社であっても、大概の会社は業績好調な時期が必ずある。経営課題を見逃さないためには、日頃から将来の衰退リスクをシビアに管理し、先手先手で経営課題を解消しなければならないのだ。なぜ経営課題を見逃してしまうのか?なぜ、経営課題を見逃してしまうのか?経営課題を見逃す原因は、経営者の油断、驕り、組織の選民意識だ。好調な業績につられて経営者の驕りや油断、或いは、選民意識が組織に根付くと、重大な経営課題を見逃しやすくなる。例えば、業績が好調な時は、自分がすべて正しいと勘違いしてしまい驕りや油断が蔓延する。さらには、自分達の正しさを過信し、組織に選民意識が根付き、他人の意見に耳を傾けなくなる。こうなると、商品やサービスの不満足やクレームといった顧客の声に対して、その原因を自社に帰結して考える意識が薄らいでいく。当然ながら、顧客不満足の原因を放置すると、成長のきっかけになり得る課題と向き合う機会が減少するばかりか、重大な経営課題も見落としかねない。経営課題を見逃さないためには、業績の高低に惑わされず、いつなんどきも平常心で会社経営と向き合うことが大切だ。また、事業の付加価値を研鑽する努力、取引先や顧客の声と向き合う真摯な姿勢、経営環境や会社の数字から将来の衰退リスクを抽出する緻密な分析など、絶えず経営課題を発掘し、解消する経営努力も欠かせない。経営課題にはどんなものがあるのか?中小企業の経営者が悩んでいる経営課題には、どんなものがあるのだろうか?例えば、中小企業向けに無料経営相談を開設している中小機構(独立行政法人)に寄せられる年間12,000件もの相談内容を分類すると、経営全般(35%)、営業販売(20%)、資金調達(20%)、法律関係(10%)、事業計画(5%)、その他(10%)となっている。ちなみに、経営全般のなかでも、中小企業経営者のお悩みトップ3は「売上拡大・コスト削減・資金調達」である。また、日本能率協会が実施した経営者調査(2016年)の結果も興味深く、この調査では全体の半数の経営者が「収益性向上」を経営課題として挙げている。続いて多いのが、人材の強化(採用・育成・多様化への対応)、売上・シェア拡大(販売力の強化を含む)、新製品・新サービス・新事業の開発、事業基盤の強化・再編(M&A・アライアンス・既存事業の選択と集中)、技術力・研究開発力の強化、顧客満足度の向上、などの経営課題がある。この他にも、グローバル化(グローバル経営)、品質向上(商品・サービス・技術)、財務体質強化、現場力の強化、適切なコーポレート・ガバナンスの推進、ブランド力の向上、高コスト体質の改善、企業ミッション・ビジョン・バリューの浸透や見直し、などの経営課題が挙げられている。伊藤のワンポイント経営課題を見逃した瞬間から企業の衰退が始まります。そして、経営課題を見逃すほど、打つ手が限られ、衰退リスクも大きくなります。ですから、経営課題は小さい内に対処することが絶対条件です。どんなに業績が好調でも油断と慢心を排除し、衰退を予見し先手を打つ会社経営を実践することが大切です。
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  • ワンマン社長とワンマン経営の弊害と末路|ワンマン体制が会社を滅ぼす
    ワンマン社長とワンマン経営の弊害と末路|ワンマン体制が会社を滅ぼすワンマン経営とは、独裁色の強いワンマン社長が会社に君臨して、ワンマン体制で会社を支配している状態のことである。中小企業においては、ワンマン経営が一般的な経営スタイルとして定着しているが、ワンマン経営(ワンマン社長)の失敗事例はじつに多い。この記事では、ワンマン社長とワンマン経営の弊害と末路、並びに、ワンマン社長の辞め方に至るまで、詳しく解説する。ワンマン社長(ワンマン経営)とは?ワンマン社長とは、実質ワンマン体制で会社経営を支配している社長のことだが、ワンマン社長(ワンマン経営)最大の強みは、経営判断や意思決定のスピードが速いことだ。ワンマン社長が独りで経営判断等を次々と裁決していくので、経営判断が当たり続ければ会社が順調に成長する。会社創業から10年くらいはワンマン経営の方がスピード感があり、時流に乗りやすいメリットがあると思う。一方で、ワンマン経営は、イエスマンの増殖やナンバーツー不在といった深刻な弊害を生みだしたり、ワンマン社長自身がワンマン経営を辞めることができなくなる、といったデメリットがある。また、ワンマン社長に天才的な経営の才能があったとしても、会社経営は生き物のようなものなので、全ての采配が見事に当たり続けることは、まずあり得ない。やはり、会社経営がある程度安定した段階でワンマン経営から徐々に抜け出し、チームでの経営体制に移行した方が失敗リスクが低下する。ワンマン社長(ワンマン経営)の弊害と末路とは?会社経営の全責任を一心に背負い、公明正大な姿勢でリーダーシップを発揮しているワンマン社長であれば全く問題ないが、ひとりの経営者が10年、20年と会社の頂点に居座り続けると初心が薄らぐものだ。事実、中小企業においては、創業から一代でワンマン経営を長く行っていると、知らぬ間に、自己流のワンマン社長に陥りやすくなる。会社は、経営者ひとりのものではない。顧客がいて、社員がいて、取引先がいて、その背後には、関係者の家族もいる。関係者全員の総意を会社経営に反映することは難しいが、顧客や社員の理解を得ずに社長がワンマンで物事を決めていくと、いつしかワンマン経営の弊害が出てくるものだ。当然ながら、ワンマン社長が自己流のワンマン経営を長期的に続けていると、会社の持続的成長を阻害する弊害が次々と出てくる。例えば、イエスマンの増殖やナンバーツー不在は、ワンマン経営最大のデメリットとであり、ワンマン社長の末路は、裸の王様という残念な結果もあり得る。持続的成長を成し遂げるには、ワンマン経営の弊害が出る前に、何らかの手を講じることが必要だ。中小企業の持続的成長を阻害するワンマン社長とワンマン経営の代表的な弊害例と対策を順を追って解説する。ワンマン社長の弊害「イエスマンの増殖」ワンマン社長の独裁色が強まると、自分の意見に同調しない社員と距離を置き、自分の意見に同調する社員を重宝する傾向が強くなる。ご想像の通り、この状況が長く続くと、役員から一般社員まで、イエスマン揃いとなり、指示待ち症候群の組織になってしまう。会社組織として、これほど軟弱な体制はない。有能な社員や役員であっても、ワンマン社長の意にそぐわない言動があると、会社の中枢から遠ざけれらてしまうことも起こり得る。こうなると、有能な人材が続々と社外に流出し、会社の組織は、ワンマン社長に媚びを売る社員ばかりのイエスマン天国になってしまう。イエスマン天国は、ワンマン経営の末期状態である。わたしが、過去に再建調査に入った中小企業のワンマン社長の事例を紹介する。この会社は、年商50億を売り上げていて、その地域のなかでは業界1位のシェアを持っていた。創業期から順風満帆な会社経営を続けていたが、数年前に出店した新規事業が大赤字になり、会社全体の損益が黒字経営から赤字経営に転落していた。新規事業の赤字額は年間2億円である。経営改善の見込みはなく、5年も放置すれば10億円の赤字である。現場も視察したが、立地条件が悪く、黒字経営が困難であることは容易に想像がつきそうなものだった。経営者に対して「何故出店したのか?」と尋ねたところ、「役員、部長含め、全員賛成のうえでの出店だった」とのことだった。つぎに、経営者のいない会議室で意思決定に関わった当時の役員と部長に同じ質問を投げかけてみた。返ってきた答えは「あの場では言えなかったが、心の中では全員反対でした...」だった。この中小企業は、創業者が長く経営のトップとして経営の采配をとっていた。そして、社長自身も気がつかない間にワンマン経営に陥り、いつしか組織がイエスマンだらけになっているという典型的なケースだった。経営者が部下からの進言を受け入れる度量を示さないと、会社はいつしか恐怖政治となり、ワンマン経営に拍車がかかる。この場合、意思決定に関わった役員、部長は責められない。やはり、ワンマン経営を推し進めたワンマン社長の責任が一番重いと言わざる得ない。このように、創業期から順風満帆に経営されている会社であっても、ワンマン社長のたった一つの判断ミスが命取りになることは往々にしてあることだ。ワンマン社長になりたくなければ、時には経営者にとって耳の痛い内容であったり、意に反する意見であっても、受け入れる度量が必要だ。ワンマン社長の弊害「ナンバーツー不在」ワンマン社長の経営体制が長期的に続くと、本来、経営判断を司るべき立場にいる役員や部長の経営判断能力が一向に磨かれない。組織上では役職者が存在したとしても実質的にワンマン社長のワンマン体制で会社が経営されている場合、役職者は会社経営に参加していない状態に等しくなる。これでは経営者の代わりに会社経営の采配を揮うナンバーツーは育たない。ワンマン社長が元気であれば問題ないかも知れないが、社長の身に万が一のことがあったらどうするのだろうか?経営判断力は、責任ある立場で繰り返し経験しなければ、一朝一夕に磨かれるものではない。ナンバーツー不在の状態でワンマン社長が会社から居なくなってしまったら、その会社の成長はそこで止まってしまうかも知れない。少なくとも、何かしら重要な経営判断に直面したら、戸惑ってしまうだろう。ナンバーツー不在は、会社の成長を阻害するワンマン経営最大の弊害といっても過言ではない。ワンマン社長の弊害「不正行為の助長」ワンマン経営が末期状態になり、ナンバーツー不在のイエスマンだらけの会社組織になると、ワンマン社長の暴走を止めることができなくなる。例えば、ワンマン社長が主導して行う粉飾決算、背任行為、横領行為、法令違反、パワハラ、セクハラなど等の不正行為を防止する手立ては、殆どなくなってしまう。会社の利害関係者(株主、経営陣、社員、取引先、顧客)を考慮した意思決定や合意形成のガバナンス(統治力)も崩壊し、ワンマン社長の暴挙を止める防波堤もなくなる。当たり前だが、不正行為が世間に知られると、会社とワンマン社長の信用は一瞬で失墜する。資本力の小さい中小企業であれば、会社倒産という末路もあり得る。不正行為に手を出すワンマン社長のケースは、わたし自身も企業再建の現場で稀に目にするが、決して珍しいことではない。不正行為は一度手を染めると、後戻りするのが困難になるので、決して手を出してはならない。ワンマン社長の弊害「辞められない」ワンマン経営を長らくやっていると、社長自身がワンマン社長を辞められなくなる、という弊害も生み出してしまう。例えば、日々の経営判断を任せようにもイエスマンしかいない、或いは、ナンバーツーがいないという状況であれば、最後は社長自身が決断なり判断をしなければならず、一向にワンマン社長を辞めることができなくなる。つまり、ワンマン経営の弊害が末期状態になると、ワンマン社長を辞めたいと思っても、なかなか辞めることができなくなるという、悪魔のスパイラルから抜け出せなくなってしまうのだ。このスパイラルにハマってしまうと、ワンマン社長と社員の距離は遠のく一方になる。ワンマン社長の孤立感も、加速度的に増していき、場合によっては、あっという間に裸の王様に陥ることもあり得る。裸の王様までいってしまうと、創業からすべての責任を一身に背負って会社の為に尽くしてきた時間と努力が全て水の泡となり、社長の尊厳は地に落ちる。行き過ぎたワンマン社長の末路は、決して良いものではないのだ。ワンマン社長の辞め方ワンマン社長を辞めたいと思っている経営者は少なくないと思う。ワンマン社長の辞め方は色々なアプローチがあるが、早い段階から社員の自主性と責任感を育てる方法はおススメである。なぜなら、社員の自主性や責任感が育つと、自ずとイエスマンが少なくなると共に、ナンバーツー候補が頭角を現すようになるからだ。当然ながら、ナンバーツー候補が数人いれば、ワンマン社長の負担は大幅に軽減される。社員の自主性や責任感を育てるには、社員に然るべき目標や情報を与え、経営に参加させることが大切になる。また、会社の経営理念や会社の数字など、社員の仕事の質と思考力を高める情報分野を積極的に教育することも大切になる。指示は命令より相談、情報は独占より共有、仕事は放任ではなく援助、など等、常に経営者と社員が一体となって経営に当たることが、結果としてワンマン社長を辞める土壌を生み出すのだ。中小企業はワンマン社長が当たり前!?中小企業は、ワンマン社長が圧倒的に多い。むしろ、ワンマン社長がいない中小企業は珍しいといってもいいのかも知れない。そして、ワンマン経営であっても元気よく業績を伸ばしている中小企業があるのも事実だ。しかし、そのような会社には、社長の右腕と呼ばれるナンバーツーの存在や、社員の気持ち忖度する社長の人望の厚さがあったりする。ワンマン社長のアイデアをどんどん具現化するナンバーツーの存在、或いは、人望の厚いワンマン社長の存在は、行き過ぎたワンマン経営のうえにはなかなか成立するものではない。右腕を育てる、或いは、社員への気遣いを丁寧にするという社長の意識ひとつでワンマン経営の性質はガラリと変わる。また、成功しているワンマン社長の特長として挙げられるのは「数字に強い」ということだ。数字は、経営判断、或いは、指揮命令の正しい根拠となり得るので、社員の反発を受けにくいというメリットがある。経営者の自己研鑽する努力も、ワンマン経営を成功させる秘訣になる。伊藤のワンポイント中小企業はワンマン経営が正攻法です。しかし、社長が数字に弱い、右腕不在、社員軽視などの要因が一つでもあると、ワンマン経営の弊害が噴出します。ワンマン経営を成功させるには、失敗要因を克服するしかありません。裸の王様になる前に、時折り立ち止まって客観視することを忘れないでください。
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  • やる気のない社員が成長の足を引っぱる|やる気のない社員の特徴と悪影響
    やる気のない社員が成長の足を引っぱる|やる気のない社員の特徴と悪影響社員のやる気は社長の経営姿勢ひとつで決まるが、やる気のない社員が一人でも現れると、会社の成長が途端に停滞する。なぜなら、やる気のない社員は、たとえ少数でも、割り算の効果で、考えられないほど生産性に悪影響を及ぼし、成長の足を引っぱるからだ。例えば、やる気のない社員に仕事や課題を与えると、「でも、しかし、それって…」などの否定的な言葉が真っ先に出る。与えられた課題を批判し、障害が見つかるとすぐに投げ出す。うまく行かないと他人のせいにし、他人が評価することしかやらない等の特徴もある。心が貧しく、マイナス思考で、変化への耐性が弱いので、進化することなく、月日が経つほどに周囲から後れをとり、周囲に悪影響を及ぼす。しかも、エネルギー源が自己外にあるので、周囲のエネルギーを恐ろしく消費する。そして、やる気が低下するほど、周囲の衰退(退化)を加速させる。やる気のない社員の特徴をまとめると、心が貧しい、マイナス思考、変化への耐性が弱い、他者依存(すべて他人のせい・陰で努力しない)などが挙げられる。簡単に言えば、卑屈で、傲慢で、後ろ向きということだ。やる気のない社員を変えるのは社長の役目やる気のない社員のやる気を高める方法は簡単だ。社長が率先して、やる気のない社員の真逆の言動(素直・謙虚・前向き)を意識し、やる気を発揮するだけである。例えば、やる気の高い社員に仕事や課題を与えると「はい分かりました。やってみます!!!」という元気の良い返事がすぐに返ってくる。「でも、しかし、それって…」などの否定的な言動はなく、言われたことに誠実にトライする。何もやらないうちから諦めるようなことはせず、障害があっても乗り越えようと努力する。決して他人のせいにせず、誰も見ていないところでも努力する等の特徴もある。心が明るく、プラス思考で、変化への耐性が強いので、どんどん進化し、月日が経つほどに成長し、周囲に好影響を与える。社長が率先垂範でやる気を発揮すれば、やる気のない社員の中から、徐々にやる気のある社員が生まれてくる。そして、たった一人でもやる気のある社員が現れると、その社員が社長を強力にサポートし、なお且つ、会社の成長をけん引する強力なエンジンになる。やる気のある社員は、たとえ少数でも、掛け算の効果で、考えられないほど大きな成果を生み出す。しかも、エネルギー源は自己内にあるので、素晴らしくエコで、極めて高い生産性を発揮する。社員のやる気は会社の成長を大きく左右する最も重要な経営資源と言っても過言ではない。やる気のない社員を変えるには、社長が率先して、素直で、謙虚で、前向きな姿勢で、やる気を発揮すること、そして、社員のやる気をしっかり評価することが大切だ。
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  • 経営ノウハウ情報局|全カテゴリー一覧
    経営ノウハウ情報局|全カテゴリー一覧会社を経営をするうえで社長が持つべき重要な経営ノウハウを徹底解説しています。中小企業は社長の能力がそのまま業績に表れます。業績を改善するには経営者自身の能力研鑚が欠かせません。中小企業経営者のみならず、これから起業する方、経営幹部、後継者の方々にも必見の経営ノウハウが満載です。儲かる実践経営ノウハウ経営者必見の儲かる100以上の実践経営ノウハウを紹介しています。経営スキルとマインド経営スキルとマインドを高めるノウハウを紹介しています。会社経営の基本失敗しない為に絶対に抑えるべき会社経営の基本を数多く紹介しています。組織力強化のノウハウ強い組織を作り上げる実践ノウハウを紹介しています。売上拡大のノウハウ売上拡大の実践的戦略とノウハウを紹介しています。税金の基本ノウハウ経営者が知るべき税金の知識を紹介しています。イノベーション戦略イノベーション経営のノウハウを紹介しています。生産性改善のノウハウ生産性改善の実践的ノウハウを紹介しています。超速で拡大するノウハウ超速で事業を拡大する実践ノウハウを紹介しています。社長のための実践経営学経営を学びたい社長ための現場ですぐに役立つ実践経営学を紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。経営者が知るべき知識経営者が知るべき知識を数多く紹介しています。会社経営で大切なこと経営者が抑えるべき会社経営で大切なことを数多く紹介しています。会社経営のレアな知識会社経営に活かせるレアな知識を数多く紹介しています。後継者の経営能力強化後継者の経営能力を高めるノウハウを紹介しています。経営者を助ける経営ノウハウ経営の悩みを解消する実践的な経営ノウハウを数多く紹介しています。会社経営を成功に導く法則失敗しない会社経営を実現するノウハウを数多く紹介しています。中小企業がとるべき経営戦略会社の将来を形作る重要な道しるべになりうる戦略を紹介しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。社長のお悩みTOP3と解決策中小企業経営者の悩みTOP3と解決策について詳しく解説します。起業の成功ノウハウ起業に失敗しないための基本知識と成功ノウハウを詳しく紹介しています。経営改善を成功させる方法経営者が抑えるべき経営改善を成功させる方法を詳しく解説しています。成功する経営者の5つの特徴成功している経営者の特徴(事例)を沢山紹介しています。
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  • 経営管理のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    経営管理のノウハウ中小企業の経営管理は、社長の重要な仕事です。経営管理(マネジメント・リーダーシップ・コミュニケーション等)の範囲は多岐にわたり、経営面、営業面、開発面、人事面、投資面、リスク面等、挙げたらキリがありません。当然ながら、社長が経営管理をおざなりにすると会社はいとも簡単に衰退します。経営管理の精度を高める独自ノウハウを徹底解説しています。社長がやるべき仕事中小企業の社長がやるべき仕事内容とその重要性について解説しています。仕事を成功に導く軌道修正力仕事やビジネスの成功の肝になる軌道修正について解説しています。経営改善を成功させる方法大きな成果を出す経営改善の具体的手法について詳しく解説しています。社長の時間の使い方仕事の成果を上げる社長の時間の使い方と作り方を解説しています。リーダーに必要な3つの条件リーダーに必要な3つの条件・資質・役割りについて詳しく解説しています。経営マネージャーの真の仕事経営者の最も重要な仕事と言われるマネジメントについて解説しています。ビジネスリスクのトップ3中小零細企業におけるビジネスリスクのトップ3を解説しています。経営リスクを発掘する方法経営リスクを上手に発掘・管理する具体的方法を解説しています。経営課題の抽出フレームワーク経営課題の抽出・分類・分析フレームワークを解説しています。コスト削減の原理原則コスト削減のの目的・方法・効果・メリット等について詳しく解説しています。コストダウンのネタは無限コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説しています。コストプラス法の計算方法コストプラス法の計算方法とCP法のメリット・デメリットについて解説しています。経営を可視化する方法経営を簡単に可視化する方法について解説しています。目標を数値化するアイデア目標を数値化するアイデアと方法について解説しています。事業分析に役立つ数値指標事業分析に役立つ数値指標と計算公式について解説しています。
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  • 倒産衰退のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    倒産衰退のノウハウ中小企業はほんの些細なきっかけで衰退するケースが多いです。私のこれまでの経験から分かった衰退の原理原則を沢山紹介しています。失敗事例は必然性と再現性に優れていますから、学ぶことが多いです。是非、日ごろの会社経営に役立ててください。倒産しそうな会社の特徴このカテゴリーでは倒産しそうな会社の特徴を沢山紹介しています。なぜか成長しない会社の特徴このカテゴリーではなぜか成長しない中小企業の特徴を紹介しています。ダメな社長の特徴このカテゴリーでは経営に失敗するダメな社長の特徴を紹介しています。中小企業の事業再生事例わたしが実際に携わった「中小・中堅企業の事業再生事例」を紹介しています。倒産処理の費用と手続き法人の破産手続きと倒産後の流れについて詳しく解説しています。コンサル活用法と失敗事例経営コンサルタントの活用方法と失敗事例を紹介しています。
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