経営バランスの整え方|経営バランスが経営基盤を強固にし成長を加速させる

経営バランスの整え方

 

会社経営においてバランスは大変に重要な要素を持っている。

 

なぜなら、経営バランスが崩れた状態で経営を続けると、様々な衰退リスクが噴出するからだ。

 

この記事では、経営バランスの整え方を具体的事例を交えて分かりやすく解説する。

 

 

経営バランスとは?

 

経営バランスは、安定経営の度合いを表す。

 

例えば、頭の中で「バランスの整っている会社」と「バランスの整っていない会社」を比べてみてほしい。

 

いかがだろうか?

 

一生で被る経営難題や課題、経営の落とし穴や逆境など、会社の成長を阻害する要因が数多く噴出するのは、後者の「バランスの整っていない会社」であることは容易に想像がつくだろう。

 

バランスの良し悪しで、状況が悪化するのは人間の身体や人間の生活も一緒で、偏食は生活習慣病のリスクを高めるし、借金過多は生活の破たんリスクを高める。

 

何事も、バランスなくして、安定はあり得ない。つまり、中小企業の安定経営を実現するためには、経営バランスを整えることが不可欠なのだ。

 

 

経営バランスの整え方

 

中小企業の経営バランスの整え方は難しくない。

 

収入に合わせて支出をコントロールする”だけ、である。

 

例えば「入るを量りて出ずる為す(いるをはかりていずるをなす)」という言葉がある。

 

言葉の意味を要約すると、「収入に応じた支出計画を考えなければ、貯金はたまらない」ということだが、これは、経営バランスを整えるうえで、最も大切な教えを表している。

 

なぜなら、会社は、お金で始まり、お金で終わるからだ。

 

どういう事かというと、会社のお金が無くなると、会社が倒産する、ということだ。

 

収入よりも多い経費を使い続けたらどうなるだろうかは明白だろう。

 

収入に応じた経費バランスを整えることが、中小企業の経営バランスを整えるはじめの一歩になるのだ。

 

 

経費バランスの整え方

 

収入と支出のバランスを整えるうえで重要になるのが経費バランスだ。

 

なぜなら、アンバランスな経費構造は、小さな外部環境の変化で競争力低下や赤字転落などの会社衰退のきっかけを簡単に生み出すからだ。

 

経費バランス、強いては、会社全体の経営バランスを整えるには、明確な指標が必要になる。

 

例えば、100万円の収入に対して、99万円の経費を使い、1万円の利益(貯蓄)を残せば、経営バランスが整うのかというと、答えはノーだ。

 

収入の1%程度の利益(貯蓄)では、持続的成長を支える十分な原資(成長投資・設備投資・保守保全費用等)が捻出できない。

 

また、ギリギリの利益では経済環境の少しの変化で赤字経営に転落するリスクもある。

 

それでは、儲けの利益幅が大きければ良いのかというと、これも答えはノーだ。

 

少し極端な例だが、100万円の収入に対して、50万円の経費を使い、50万円の利益(貯蓄)が残っている会社があったとする。

 

収入の50%もの利益(貯蓄)があれば、経営バランスが整うかというと、そうでもない。

 

なぜなら、高すぎる利益水準は、会社の内部環境に無理が生じている可能性が高いからだ。

 

例えば、保守保全の不足、管理体制の不備、労働環境の悪化、取引先への無理強い、など等である。

 

誰かの犠牲の上に成り立っている行き過ぎた利益は決して長続きせず、早々に破たんすると思った方がよい。

 

それでは一体、中小企業の収入に応じた経費バランスを正しく整える明確な指標とは、どのようなものなのだろうか。

 

 

経費バランスの明確な指標とは?

 

中小企業の経費バランスを整えるうえで活用できる経営指標は「売上総利益高経費率」である。

 

売上総利益高経費率とは、売上総利益に対する経費の構成比率のことで、計算式は下記の通りだ。

 

売上総利益高経費率=〔販売管理費(経費)÷売上総利益〕×100

 

経費バランスが整う適正範囲は、売上総利益高経費率80~90%である。

 

この適正範囲内で経費がコントロールされている限りは、中小企業の経営バランスが崩れることはない。

 

逆に、経費バランスが適正範囲内から外れると、経営バランスも崩れてしまい、さまざまな衰退リスクが噴出することになる。

 

売上総利益高経費率は業種業態問わず、すべての中小企業で活用できる便利な経営指標で、この指標を日頃からモニタリングすることが、経営バランスを整える秘訣になる。

 

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経営者のバランス感覚も大切なポイント

 

経営バランスを整えるために経費バランスを整えることは、会社の持続的成長に不可欠だが、中小企業の経営バランスを整えるためにすべきことは、他にも沢山ある。

 

なかでも、経営者のバランス感覚は重要だ。

 

経営者の偏った知識、偏った経験、偏った思考では、バランスの整った会社経営を実現するのが難しくなる。

 

また、経営者のバランス感覚が悪ければ、業績が伸び悩む、或いは、社員や取引先の不満が噴出する、等といった衰退リスクが高まる一方になる。

 

経営者の偏ったバランス感覚を中心(中庸)に持ってくるには、徹底して経営の基本を学ぶことが欠かせない。

 

何事もそうだが、基本は強靭なバランス感覚を養う。

 

当然ながら、基本が身についてないうちに、応用や自己流に走ってしまうと、崩れたバランスで走り続けることになる。

 

アンバランスな状態で走り続けると、転ぶのは時間の問題で、場合によっては失敗するしか道がないといった結末を迎えることもあり得る。

 

会社経営において、失敗しないことは、成功することよりも重要なことだ。転んだ後で、基本の重要性に気が付いても時すでに遅しである。

 

会社経営に不安がある、或いは、経営能力の不足を実感している、といった症状がある場合は、経営者のバランス感覚が崩れている可能性が高い。

 

経営のプロに基本を習う、経営ブレーンを活用する、経営参謀をつけるなど等、経営者のバランス感覚を養う方法は沢山ある。

 

崩れた経営バランスを放置しないことが安定経営の秘訣なので、バランスを整えるための努力を忘れないでほしい。

 

伊藤のワンポイント
 

バランス感覚は物事を円滑に収める不可欠な要素ですが、会社経営も例外ではありません。経営バランスが崩れると会社経営はガタガタになります。ですから、経営者自身のバランス感覚と会社の数値バランスを保つ努力を怠らないでください。そして、経営の客観性と謙虚さを保持することもバランスを保つ上で大切です。