今どきの新人を上手に育てられるか否かは、いつの時代も会社の盛衰に直結する。
新人が育たないと、組織力のパフォーマンスが低下し、企業の繁栄に陰りが出るからだ。
古今東西、上の世代から「今どきの若者」は、と言われてきたように、新人と上司(教育係)の間には世代のギャップがあり、新人を育てることにストレスを抱えるケースは少なくない。
今どきの新人の変遷は、バブル期から就職氷河期までのX世代(1965-1980)から始まり、デジタルネイティブでミレニアムと言われたY世代(1981-1996)、ワークライフバランス重視のZ世代(1997-2012)、最新のα世代(2013以降)と時代と共に変わっている。
昔からビジネス競争で必要不可欠な要素と言える主体性やメンタルに欠けた新人は一定数存在していたが、昨今はその数が増加傾向にある。例えば、主体性がなく、メンタルが弱い新人の典型例として、Z世代がメディアで取り上げられることがある。
また、XY世代は権利よりも義務を優先する風潮が強かったが、Z世代以降は義務より権利を優先する風潮が強くなってきたため、お互いのコミュニケーションを阻むジェネレーションギャップもより大きくなっている。
新人が育たない、新人がすぐに辞めてしまう、あるいは、新人の育て方が分からない、新人とどう接すればよいのか分からない等の悩みを抱える社長や経営幹部は少なくない。
こうした悩みを払しょくするには、世代に合わせた新人教育の風土や仕組みを定着させるほかない。
例えば、ひと昔前は世代の層が単一的で、一般的には上の世代の価値観で人財育成の環境や方針が決まっていた。
今は、様々な権利や多様性を受け入れることが当たり前の時代なので、各世代に合わせた育成環境の整備、さらに言えば、社員一人ひとりに合わせたオーダーメイドの育成方針が必要だ。
また、決めつけで育てるのではなく、どう育ちたいかを社員本人に決めさせて、同じ目標を共有しながら育成をサポートすることも大切だ。
好業績をキープしている会社の社員は、総じて主体性があり、メンタルが強く、挑戦を楽しむ気概があるが、個々の適材適所、得手不得手、ストレス耐性等がちゃんと尊重されている。
そして、最も大事なことは、社長や幹部層が率先して、主体的に、ストレスフリーに、様々な挑戦を楽しむことだ。
そうした姿勢や風土が、主体性がなく、メンタルが弱く、挑戦を避けたがる社員の気持ちを動かし、組織全体、ひいては企業の繫栄を後押しする。
トップが良き見本(背中)を見せて育てる、という点に関しては、今も昔もその重要性は変わりない。
特に、人間性や人間力といった、周囲の人々を感動・信頼させるヒューマンスキルと人望とモチベーションは教育者の必須スキルと言って過言ではない。
(この記事は2025年4月に執筆掲載しました)
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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