ダーウィンの進化論に次のような一節がある。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」
確かに、変化することは生き残りの条件であることに違いはないが、単純に変化さえすれば生き残れるわけではない。
大切なことは、タイミング、つまり、機を見ることだ。
例えば、明治維新は、日本の行く末に大きな影響を及ぼしたエポックメイキング(新時代の創造)になった。
変化の過程を単純化すると、鎖国派(幕府)が開国派(薩長等)に敗れ、武士の世(幕府統治)から中央集権の世(王政復古)に変わり、現在の民主主義国家に至った、という流れである。
ココで重要なのは、進んで変化を受入れた開国派の人間がすべて生き残ったわけではない、ということだ。
例えば、明治維新をけん引した長州藩には、吉田松陰、高杉晋作、久坂玄瑞などの傑物が沢山いたが、早々に亡くなっている。
変化の度合いが激しいほど、或いは、変化と世間のギャップが大きいほど、変化する過程で大きな犠牲を強いられ、そうした犠牲なくして、変化は成就しないということだ。
変化の度合いが大きいほど、犠牲も大きくなるが、これは、会社経営も一緒だ。
会社の業績がひどいほど大きな変化を強いられ、変化する過程で減給やリストラなどの大きな犠牲が生じる。
2020年のコロナ禍(COVID-19)や自然災害などの不可抗力的な障害に適応する変化も同様である。
中小企業が生き残るための最も賢い方法は、小さな変化で済む経営環境を早く確立し、機(タイミング)を見て先手必勝で変化を起こし続けることだ。
例えば、会社の業績が良好であれば、機を見ながら小さな変化を先手先手で積み重ねて、より良い会社経営の仕組みや基盤を構築することができる。
会社を取り巻く環境は絶えず変化している。
顧客、市場、ライバル、テクノロジー、社会インフラ、人々のマインドなど等、諸行無常の通り、いつの世の中も変化は止まない。
会社経営において、変化しないことは死を意味する。
確実に生き残るために、機を見ながら、毎日小さな変化を積み重ねることを切にお薦めする。
とっても地味な活動ではあるが、日々の経営改善が定着すれば、どんなに小さな会社であっても、大きな変化に耐えうる強い会社に生まれ変わる。