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  • 会社経営に必要なこと|成功を分かつ経営資源と経営スキル
    会社経営に必要なこと|成功を分かつ経営資源と経営スキル会社経営を成功させるために必要なことは沢山ある。なかでも、独自の商品やサービスを生み出し、ライバルを上回る売上を作るための「経営資源」と「経営スキル」は会社経営の成功を分かつ重要な要素と言える。この記事では、会社経営を成功に導くために必要なこと、並びに、会社経営の成功を分かつ経営資源と経営スキルについて、詳しく解説する。会社経営に必要な経営資源独自の商品やサービスを生み出し、ライバルを上回る売上を作るためには、相応の経営資源が必要だ。なかでも重要なのは、人・顧客・お金の3つの経営資源だ。会社経営の規模は、顧客と商品の掛け合わせで大きくなるので、顧客は、会社経営を成功させるうえで必須の経営資源と言える。さらに、新たな顧客を生み出す人やお金等も必要不可欠な経営資源になる。以下、会社経営の成功に必要な3つの経営資源(人・顧客・お金)について、詳しく解説する。人を育てる会社経営を成功させるうえで「人」は最も必要な経営資源といえる。会社創業も、新規事業のスタートアップも、会社を次世代に引き継ぐ事業承継も、すべては人の才能・資質・能力次第で成否が分かれるからだ。人を育てる仕事は経営者の最重要業務と言って過言ではないが、必要な人財が社内で賄えない場合は、社外の人財を活用する手もある。とにかく、周囲の状況に応じて最適・最強の人財を揃えることができれば、会社経営は成功する。顧客を創る顧客なくして、会社経営の成功はない。顧客の増減は、会社経営の成功と失敗を分かつ重要な要素だ。しかも、毎年、一定数の顧客は離脱するので、会社経営を安定させるには、常に一定の顧客を生み出す必要がある。顧客創造のコツは、ターゲット顧客を明確にすることに尽きる。商品やサービスを提供するターゲット顧客が明快になれば、自ずと販売活動が最適化され、簡単に売上が増えるスパイラルが回り始めるからだ。会社経営の成功は、顧客創造にあると言って過言ではない。お金を回す会社経営はお金で始まり、お金で終わる。会社は、お金が無くなると倒産するので、売上と利益を増やすと共に、お金を増やすことが最も重要なミッションになる。さらに、増やしたお金を成長投資として使うことも必要で、お金を上手に使うほど、会社経営の成功率が上がる。お金を増やしては使う、この繰り返しが、企業繁栄の大原則になるのだ。会社経営に必要な経営スキル独自の商品やサービスを生み出し、ライバルを上回る売上を作るためには、相応の経営スキルが必要だ。なかでも重要なのは、管理会計・マネジメント・リーダーシップの3つの経営スキルだ。事業活動の結果は必ず数字に表れるので、数字を科学する管理会計のスキルは会社経営を成功させるうえでの必須スキルと言える。また、人・顧客・お金等の重要な経営資源を最適化・最大化するマネジメントとリーダーシップも欠かせない経営スキルになる。以下、会社経営の成功に必要な3つの経営スキル(管理会計・マネジメント・リーダーシップ)について、詳しく解説する。管理会計管理会計は、数字を有益な情報に変換する優れたツールだ。結果分析だけでなく、検証精度も上がるので、経営者の決断の質や事業活動の質が数段パワーアップする。当然、ミスも少なくなるため、成功のチャンスが増える。先見性も磨かれるので、先を読んで、先手を打つ会社経営も定着する。結果、新興企業やベンチャーよりも早く進化するので、常に好調をキープする。まさに、管理会計は、会社経営の成功に欠かせない必須スキルだ。マネジメントマネジメントは、経営資源を最適化・最大化するスキルだ。人を活用する、顧客を創造する、お金を貯めて投資する等、マネジメント力の高低は、間違いなく、会社経営の成否を左右する。マネジメントは、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報等)を管理・コントロールするのではなく、経営資源を最適化・最大化する思考・言動に重きを置くと成果が出やすい。人でいえば、いかにして個々の社員の才能資質を活かしきるかがマネジメントの見せ所と言える。リーダーシップリーダーシップは、社員や関係者の成長をけん引するだけでなく、事業の推進力にも影響を及ぼす重要なスキルだ。リーダーシップは、何でもできて頼りがいのある人物だけに宿るものではない。自分の苦手分野を社員に助けてもらう、あるいは、得意分野を持っている社員を上手に使うセンスも立派なリーダーシップだ。良寛の一句「裏を見せ、表を見せて、散るもみじ」のように、人間的魅力を隠さず飾らずにさらけ出す姿勢が、リーダーシップ力を押し上げるのだ。会社経営の成功に必要なこと会社経営の成功を分かつ経営資源と経営スキルについて、詳しく解説した。経営資源は「人・顧客・お金」の3つ、経営スキルは「管理会計・マネジメント・リーダーシップ」の3つ、これらのポイントを抑えた会社経営を実践すれば、自ずと成功に近づく。小さな会社ほど、社長の力量が企業の盛衰を分かつことになるが、会社経営で成功するために大切なことは、すべてを一人で背負わないことだ。会社経営のビジョンを多くの人々に語り、必要に応じて周囲の助けを借りる器量と度量を持つことも必要で、ビジョンに共感する協力者が増えるほど、会社経営で大成功を収めやすくなる。販売成績が優秀な営業パーソンほど、商品の機能を説明するのではなく、商品に込められたビジョンを多く語り、顧客の共感や賛同を得ている。会社を創業したい、会社をもっと大きくしたいと思った時ほど、より多くの人々に自分のビジョンを語ることをお薦めする。そうすれば、会社経営で成功するために必要な経営資源(人・顧客・お金)と経営スキル(管理会計・マネジメント・リーダーシップ)が一段と充実するはずだ。筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 未来経営の実践が繁栄を引き寄せる|簡単・継続・効果バツグン
    未来経営の実践が繁栄を引き寄せる|簡単・継続・効果バツグン社長業の中で重要なのは、決断・現状改善・未来創造だ。とくに、新しい未来を創造する「未来経営」の実践は、決断や現状改善に大きな影響を及ぼす。この記事では、未来経営の重要性と具体的実践方法について、詳しく解説する。100年後の未来あなたは100年後の未来を想像したことがあるだろうか?技術革新は想像を超えるスピードで進み、社会は今とはずいぶん様変わりしているだろう。未来のテクノロジーは社会だけでなく、働き方や生き方にも大きな影響を与え、会社経営を取り巻く環境は激変しているかも知れない。労働の自動化や遠隔操作の範囲は今よりはるかに拡大し、人間の活躍の場はAIやロボットにどんどん置き換わるだろう。社会や経済の変容だけではない。数十年後には地球の人口がピークアウトし、世界経済は縮小の一途をたどる予測もある。厳しい財政負担、社会保障システムの限界、地球規模の環境破壊、予測不能な軍事衝突など、経済不安に直結するマイナスリスクも沢山ある。それでもわたしは、今よりも未来の方が希望に溢れていると思う。なぜなら、わたしたち自身の意志と行動で、未来を創ることができるからだ。日本企業の未来は?日本は世界一の長寿大国だ。しかも、人だけではなく、会社も世界一の長寿大国だ。創業百年を超える会社は全世界に8万社ほどあるが、その4割は日本の会社だ。二位の米国は2割程度、英国はわずか2%程度なので、いかに日本が突出しているかが分かるだろう。だからと言って、創業百年を超える老舗企業の経営理論を語るつもりはない。未来の経済トレンドやテクノロジーにフィットする百年後の企業像を語るつもりもない。経済やテクノロジーは日進月歩のごとく変化するし、創業百年といえども、公共投資や補助金投入、運転資金の借入、業界を守るための規制や関税のおかげで生きながらえている会社もあるからだ。こうした会社は、公共投資縮小、金融引き締め、規制緩和、関税撤廃などによって存続の危機にさらされる。長く続くことが、明るい未来を創る経営とは限らないのだ。未来経営の実践と実績明るい未来を創るには、今この瞬間の事業活動を最適化し続ける必要がある。事業活動を最適化するためのビジョンや判断基準を持って、一歩一歩、確かな実績を積み上げることが欠かせない。その小さな積み重ねの連続が、100年先の安定経営に繋がる。未来は良くなる、良くしていけると考えていれば、前向きな会社経営が定着し、成果に繋がりやすくなる。事実、未来は良くなると思い込んでいる人々ほど、世界を変えるようなイノベーションを生み出している。わたしの独立当初のクライアントはわずか2社、年間の合算業績は売上2.5億円、利益5百万円程度だった。どちらも小さな会社だったが、キラリと輝くものを持っている良い会社だった。そこから様々な業種業態の会社様との出会いがあり、今現在のサポート先の合算業績は、売上55億円、利益5億円を超えた。おかげさまで超優良な企業体を構成しているが、これから3年後、合算業績は100億円を超え、利益は15億円を超えることがほぼ確定している。未来が伸びる会社と落ちる会社未来の業績を拡大する秘訣は、とても簡単だ。未来は良くなる、良くしていけると考えて、今この瞬間の事業活動を最適化するだけだ。どんな状況下でも、どうやって成長企業に変えるのか、どうやってオンリーワン企業に変えるのかを日々真剣に考えて、進んで変化を巻き起こすのだ。会社が多少安定したり、少し苦しくなったりすると、殆どの方は現実から目を背け、楽な方に思考が流されがちになる。こうなると衰退するのは時間の問題だ。本来やるべき事は後回しになり、事業活動の質はどんどん低下する。そして、少しのきっかけで倒産の危機に瀕する。企業は自壊によって衰退する。災害や戦争などの天災を除き、殆どの会社は、景気悪化やライバルの台頭等の外部要因で衰退するのではなく、経営者の決断ミスや力量不足によって衰退する。だからこそ、経営者が確かなビジョンや判断基準を持って、事業活動を最適化し続けることが大切なのだ。世の中の進化や変化と共に、会社経営の難易度は上がる一方だ。それでも、未来を見通し、その未来に先手を打つ、あるいは、理想の未来を掲げて、その未来を実現する「未来経営」を実践すれば、着実に明るい未来が拓かれる。未来経営の成果は経営者が創る会社の未来をつくるのは、他の誰でもない。経営者自身の考え方と言葉と行動だ。つまり、自分の考え方と言葉と行動を磨く姿勢が、明るい未来を引き寄せるのだ。わたしのサポートスタイルはマンツーマンだ。コミュニティを作り、型にはめるような指導をするのではなく、一人ひとりの経営者と向き合い、より良い考え方と言葉と行動になるよう伴走している。決断はいつも経営者に委ねる。誰かに依存することなく、自分の力で自立していくので、その人本来の才能がどんどん開花する。誰にも真似できない自分だけの才能が身につくと、その人の魅力はますます輝きを放つ。お客様や社員を魅了するだけでなく、次世代の後継者にも良い影響を与える。だから、会社が未来に残る。誰かの真似をするのではなく、自分らしく、自分にしかできない会社経営を実践することが、明るい未来を引き寄せる確かな方法だ。(この記事は2023年9月に執筆掲載しました)筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 社長業の心得と鉄則|初めての会社経営で大切なこと
    社長業の心得と鉄則|初めての会社経営で大切なこと社長業は、会社の中でたった一人しか経験できない特別な仕事だ。私の経験上、どんなに頭が良くても、どんなに家柄が良くても社長になれるわけではなく、まさに選ばれし者だけがなれるのが社長という業種だ。この記事では、社長業の心得と鉄則、並びに、初めての会社経営で大切なことについて、詳しく解説する。社長業の心得社長業の心得について、詳しく解説する。社長業は、社長という肩書がついた瞬間からスタートし、組織の中においても、会社の頂点に君臨する唯一無二の存在になる。社長には、人事権、決裁権、意思決定権、指示命令権等、会社の采配を自由に振るう裁量を与えられる一方で、最高経営責任者として、すべての結果責任を背負うことを課される。こうした社長の立場、社長の権利義務を考慮したうえで持つべき心得は、常に謙虚でいることと、すべての結果責任を背負う覚悟を見せることだ。例えば、社長が、社員や顧客に対して横柄な言動をとれば、簡単に信頼が失墜する。結果責任を他者に責任転嫁すれば、その瞬間に信頼が失墜する。ビジネスの繁栄は信頼があって初めて成り立つので、信頼を失うと会社は衰退する一方になる。社長の責務を全うして会社の繁栄をキープしたければ、謙虚さと責任感を持つことが欠かせないのだ。社長業の鉄則社長業の鉄則について、詳しく解説する。社長業の本質は、会社を繁栄させることで、そのためにすべき社長の重要な仕事は「決断と実行」だ。社長は、物事をすぐに決めて、すぐに動くこと。この繰り返しが、事業活動の精度を高め、会社の繁栄スピードを加速する。決断は、やる・やらないだけではない。決断するための根拠が不足しているなら、データを求めるのも決断、決断した後に、失敗と分かったら元に戻すのも決断だ。とにかく、素早く、瞬時に、誰よりも早く決断し、すぐに実行すれば、事業の推進力が高まり、繁栄の基盤がますます盤石になる。決断と実行は、社長業のなかで最も実践すべき鉄則だ。初めての会社経営で大切なこと最後に、初めての会社経営で大切なことについて、詳しく解説する。会社経営を成功に導くには、前章で解説した社長業の心得と鉄則を抑えた会社経営を実践することに尽きる。謙虚で責任感があれば、いつまでも成長できるし、多くの人々の協力と支援を手中に収めることができる。決断と実行のスピードが早ければ、ライバルよりも先に組織が成長し、業績も拡大する。そのうえで、会社経営で失敗したいために抑えるべきことは「数字・社員・顧客」をよく観察することだ。衰退の兆候は、この3つのどこかに表出する。数字が悪化する、社員の不満がたまる、顧客が離れるなどの兆候は典型だ。こうした衰退の兆候を察知した時は、すぐに改善することだ。このアクションが遅くなるほど、衰退リスクが大きくなり、対処も難しくなる。謙虚に現実を受け入れ、結果責任を負い、すぐに決断し、素早く実行する。社長業の心得と鉄則をいつまでも忘れないことが、会社経営を成功に導く確かな方法だ。
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  • 生き残る企業の条件|中小企業生き残りの方法論
    生き残る企業の条件|中小企業生き残りの方法論ダーウィンの進化論に次のような一節がある。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」確かに、変化することは生き残りの条件であることに違いはないが、単純に変化さえすれば生き残れるわけではない。大切なことは、タイミング、つまり、機を見ることだ。例えば、明治維新は、日本の行く末に大きな影響を及ぼしたエポックメイキング(新時代の創造)になった。変化の過程を単純化すると、鎖国派(幕府)が開国派(薩長等)に敗れ、武士の世(幕府統治)から中央集権の世(王政復古)に変わり、現在の民主主義国家に至った、という流れである。ココで重要なのは、進んで変化を受入れた開国派の人間がすべて生き残ったわけではない、ということだ。例えば、明治維新をけん引した長州藩には、吉田松陰、高杉晋作、久坂玄瑞などの傑物が沢山いたが、早々に亡くなっている。変化の度合いが激しいほど、或いは、変化と世間のギャップが大きいほど、変化する過程で大きな犠牲を強いられ、そうした犠牲なくして、変化は成就しないということだ。中小企業が生き残るための方法変化の度合いが大きいほど、犠牲も大きくなるが、これは、会社経営も一緒だ。会社の業績がひどいほど大きな変化を強いられ、変化する過程で減給やリストラなどの大きな犠牲が生じる。2020年のコロナ禍(COVID-19)や自然災害などの不可抗力的な障害に適応する変化も同様である。中小企業が生き残るための最も賢い方法は、小さな変化で済む経営環境を早く確立し、機(タイミング)を見て先手必勝で変化を起こし続けることだ。例えば、会社の業績が良好であれば、機を見ながら小さな変化を先手先手で積み重ねて、より良い会社経営の仕組みや基盤を構築することができる。会社を取り巻く環境は絶えず変化している。顧客、市場、ライバル、テクノロジー、社会インフラ、人々のマインドなど等、諸行無常の通り、いつの世の中も変化は止まない。会社経営において、変化しないことは死を意味する。確実に生き残るために、機を見ながら、毎日小さな変化を積み重ねることを切にお薦めする。とっても地味な活動ではあるが、日々の経営改善が定着すれば、どんなに小さな会社であっても、大きな変化に耐えうる強い会社に生まれ変わる。
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  • 経営の法則が分かれば会社は自然と成長する
    経営の法則が分かれば会社は自然と成長する会社経営にはどんな企業にも当てはまる普遍的な法則がある。その経営の法則を抑えた会社経営を実践すると、会社は自然と成長する。この記事では、経営の法則の中でも代表的な2:6:2の法則、経営力の法則、逆転現象の法則について、詳しく解説する。2:6:2の法則殆どの集団は、上位2:中間6:下位2の割合に分かれると言われている。例えば、組織、顧客、取引先は2:6:2の法則の通りに形成され、更には、上位2割の中にも2:6:2の法則が形成されていると言われている。この2:6:2の法則を会社経営に当てはめると、様々な局面で生産性を高めることができる。会社組織においては、2幹部層:6中堅層:2若手層という2:6:2の法則に近づける人事政策を推進すると、組織の生産性が向上し易くなる。販売面においては、2優良顧客:6標準顧客:2下位顧客という構成分析に基づいて、優良顧客に対して積極攻勢をかける一方で、下位顧客の採算改善を進めると、売上拡大と収益改善の効果が同時に得られる。また、下位2割を切り捨てたとしても2:6:2の法則は断ち切れないので、下位2割を不用意に切り捨てるのではなく、全体レベルを丁寧に底上げする取り組みを定着させた方が、会社全体の生産性は高まる。経営力の法則企業の盛衰は経営力で決まる。経営力とは会社経営全般に影響を及ぼす力の事だが、簡単に言えば社長の力量である。つまり、社長の力量以上に会社は大きくならない。また、すべての衰退企業は、景気悪化や競合台頭等の外部要因(天災や不可抗力は除く)によって衰退しているのではなく、経営力の低下によって衰退している。経営力さえあれば、景気悪化や競合台頭等の課題に対して、先手先手で対策を打ち、どんな逆境をも乗り越えてしまうからだ。この経営力の法則に照らせば、社長の力量磨きがいかに大切か分かる。また、自分の力量を正確に把握し、力量不足を補う人財を周囲に固めることの重要性も分かる。社長が誰よりも熱心に経営の勉強に取組み、社内外の人財活用を積極的に推進するほど、会社の繁栄スピードは確実に加速する。逆転現象の法則期待と結果は反比例する。会社経営者であれば、この逆転現象の法則を幾度も経験していると思う。期待した新商品が思いのほか売れなかった、期待した社員が思いのほか伸びなかった等は良くあるパターンだ。こうした逆転現象に一喜一憂しないために意識することは、結果に対して過度な期待を持たずに、今やるべき事や目の前のコントロールできることに全力を尽くすことだ。何事も、やり尽くした後の結果は素直に受け入れられるものだ。また、どんな結果も受容する精神力が身につくと、結果の良し悪しで一喜一憂しなくなる。当然ながら、経営姿勢もブレなくなる。この逆転現象の法則は、会社経営の基本原則にも表れる。例えば、会社経営は何もせずにいると、売上・利益・顧客等の増えて欲しいものが減り、在庫・経費・ミス等の減って欲しいものが増える。増加を欲すれば減少し、減少を欲すれば増加する。この増願減少・減願増加の法則を打破するには、徹底努力と徹底管理を実践するほかない。いわゆる経営改善の定着である。今のままでよい、変える必要はないと思うのではなく、今よりもベストな状態を目指して、変化・進化を追求する姿勢が、企業繁栄の確かな法則になるのだ。
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  • 企業存続の3つの条件|利益よりも大切な存続の条件
    企業存続の3つの条件|利益よりも大切な存続の条件企業存続の条件は、さまざまあるが、絶対的な条件に絞ると3つ挙げられる。顧客の創造、人財の育成、経営者の生き方である。この3つの何れかが欠けると企業存続の可能性が低下し、経営破たんのリスクが高まる。この記事では、企業存続の3つの条件について、詳しく解説する。企業存続の条件「顧客の創造」企業存続の条件「顧客の創造」について、解説する。経営コンサルタントの世界的第一人者であり経営マネジメントの発明者であるピーター・F・ドラッカー氏は企業の目的は「顧客創造にあり」と云ったが、まさにその通りである。顧客は、事業活動に必要な収益(利益)の源泉だけでなく、経済貢献のモチベーションや働く社員の喜びや生きがいの源泉にもなる。顧客がいるからこそ、商品やサービスが成り立つのであって、事業価値の更なる向上も顧客がいるからこそ前向きに取り組むことができる。また、顧客の創造は、いま目の前にいる顧客に尽くすことは勿論、いま顧客になっていない潜在顧客を発掘することも企業存続のために欠かせない。毎年一定割合の顧客は常に入れ替わっていると云われているので、顧客創造は企業存続の絶対条件といって過言ではない。企業存続の条件「人財の育成」企業存続の条件「人財の育成」について、解説する。経営の神様と云われた松下幸之助さんは「事業は人なり」といったが、まさにその通りで、人財なくして企業の存続はあり得ない。どんなに大きな成果や事業であっても、元を辿ると一人の人財に行き当たる。従って、事業運営の要になり得る人財を如何に育成するかが企業存続の行く末を決定づける。ビジネスは人と人の出会いで大きくなり、また、自分の力量を上げるための学びの成果も、人と人の出会いで決まる。誰とやるか、誰から学ぶかで、何をやるか、何が学べるかが決まり、さらにその環境の熱量やレベルが高いほど、思いもよらぬ成功や大きな成果が生まれる。人財育成は、企業存続の絶対条件といって過言ではない。企業存続の条件「経営者の生き方」企業存続の条件「経営者の生き方」について、解説する。会社の成績は、経営者の生き方ですべてが決まる。なぜなら、経営者以下の人は、経営者の背中を見て育つからだ。当然ながら、すべての社員の見本になり得る経営者の生き方が悪ければ、社員の質も悪くなり、業績が悪化する。プロ経営者としてのスキルやマインドだけでなく、品格やモラルも重要で、そうした部分をおざなりにするほど、経営者のレベルが低下し、企業存続が危ぶまれる。経営者の生き方は企業存続の絶対条件といって過言ではなく、わたしの経営サポートにおいても、最重要課題として位置づけている。
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  • 事業繁栄の条件と法則|延命から永続性への転換のカギ
    事業繁栄の条件と法則|延命から永続性への転換のカギ事業繁栄の条件と法則は簡単である。一時しのぎや対処療法的な延命措置に終始せず、永続性に軸足を置いた経営采配を愚直に実践し続けることである。この記事では、事業繁栄の条件と法則、並びに、延命から永続性への転換のカギとなる経営姿勢について、詳しく解説する。事業繁栄の条件と法則事業繁栄の法則は、一時しのぎや対処療法的な延命措置に終始しない、永続性に重きを置いた経営姿勢が基本条件になる。倒産リスクが高まった企業に対して行われるつなぎ融資などは延命措置の典型になるが、こうした対応は事業繁栄の基礎を築く根本解決にはならない。やはり、根本的な経営課題に対して愚直に向き合う経営姿勢が事業繁栄の基本原則であり、この姿勢が強固であるほど、事業の永続性が高まり繁栄が長続きする。また、一時の好業績や、不調からのV字回復も油断や慢心からすぐに衰退に転じることは珍しくない。従って、どんな経営状況であっても、課題を見逃さない謙虚さも繁栄の絶対条件になる。V字回復よりも大切なことわたしは2008年に経営コンサル会社を創業したが、創業当初は、経営コンサルのイロハを教えて下さったお師匠様とタッグを組んで、瀕死の企業を救う事業再建の仕事を数多くこなしていた。会社倒産という最大の不幸を回避する仕事だったので、社会的意義も大きいと思い、大いにやりがいを感じて仕事に没頭していたが、ある日、お師匠様が仕事仲間から「あなたのやっていることは延命措置に過ぎない」と言われている場面に遭遇した。正直、愕然としたが、冷静に考えると、一旦はV字回復(黒字化)に成功していながら、我々が経営から手を引いた途端に業績が悪化する会社は無きにしも非ずだ。延命措置という指摘は、遠からず当たっていたので、喉に刺さった小骨のようにずっと心に引っ掛かっていた。それからというもの、どうすれば自立的繁栄が確立できるかを模索し続けた。一時のV字回復ではなく、次世代に向かって光り輝く企業をいかにして創るか…。達磨大師の面壁九年ではないが、自分なりの答えが見つかるまで、9年の歳月を要した。辿りついた答えは、型にはめないこと、依存させないこと、その先の未来を意識することである。事業繁栄を後押しする経営姿勢私が考えた末にたどり着いた、事業繁栄を後押しする経営姿勢の一端を紹介する。まず、型を捨てた。経営サポートはいつも空っぽで臨み、実際に、社長とお会いし、会社を見学し、社員の皆さまとお話し、企業文化や歴史、提供商品やサービス、社長や働く方々の個性、市場や顧客等々を深く理解したうえで、その会社に最もフィットするオンリーワンの成長プランを考えるようにした。次に、依存させることをやめた。社長が自立的に成長し続けられるように、サポート役に徹し、全身全霊で支える。経営判断においても、一切指図することなく、数パターンの選択肢を提案し、必ず社長に決断してもらうようにした。最後に、その先の未来を意識するようにした。常に自分の経営サポートが無くなった後の未来を考えて、経営者に必要なスキルやマインドを先手先手で惜しみなく与え、自分の役割りが終わった時が、その会社(社長)の新たな成長ステージの始まりと思い、とにかく成功のピースを与え続けるようにした。このスタンスで経営サポートすれば延命措置にはならないだろうと思い、満を持してお師匠様とのタッグを解消して独り立ちしたのが2016年である。事業の繁栄は社長の自立が基礎になる私の経営サポートは「社長の自立的な成長が繁栄の基礎になる」という考えが肝になっている。実際に、経営サポートからちょうど一年が経過した時に、ある会社の社長さんから届いたメッセージを紹介する。―以下メッセージ―伊藤様、お世話になります。一年前は八方塞がりのような状態でしたが、組織も業績も大幅に改善されました。私の感覚的には、会社が生まれ変わり視界が晴れたような感じです。それほど変わりました。また、この一年での学びは自分自身や社員の成長に繋がりました。我々が短期間でここまで変われたのも、伊藤さんが親身になり熱心に指導をして頂いたお陰です、感謝しています。今の経営体制であれば、大きな不安を抱えることなくこのまま邁進できます。引き続き、経営改善を止めることなく活動をしていきます。―おわり―如何だろうか。社長の自立的成長と共に事業が繁栄している感じが伝わってきたのではないだろうか。実は、前章で解説した、型を捨てる、依存させない、その先の未来を意識することは、会社を繁栄させる上でとても大切な感覚になる。社長やリーダーがこの感覚を持っていれば、部下も会社も必ず成長する。そして、それらの成長は、回りまわって自分の成長に繋がる。自分の正しさに執着したり、一時の報酬に執着したり、或いは、今だけ良ければそれで良しという思考では、何事も発展することはなく、場合によっては延命で終わる。繁栄の基礎は、表層的ではなく、深層的・本質的な部分に寄り添うことで見えてくる。今の動きが延命措置に陥っていないか否か、折にふれてチェックすることをお薦めする。
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  • 商売の基本と繁栄の鉄則|経営者が大切にすべき経営の原理原則
    商売の基本と繁栄の鉄則|経営者が大切にすべき経営の原理原則商売の基本と繁栄の鉄則は一つしかない。相手の利益を徹底的に優先することである。この記事では、商売の基本と繁栄の鉄則、並びに、経営者が大切にすべき経営の原理原則について、詳しく解説する。商売の基本と繁栄の鉄則商売の基本と繁栄の鉄則は一つしかない。相手の利益を徹底的に優先することだ。こうした姿勢を自利利他ともいう。自利利他とは、自らの仏道修行により得た功徳を自分が受け取るとともに、他のための仏法の利益をはかることだが、とにかく、相手の利益を優先することが商売繁盛の基本になる。商売の基本と繁栄の鉄則の実践は大阪商人が得意としていた。大坂の町は秀吉が築き、家康がそのまま引き継いだが、江戸末期までビジネスの中心は大阪であり、大阪商人が主役だった。大坂商人と聞くと、商売っ気が旺盛で、ケチで利益に敏いイメージを持つかも知れないが、大阪商人の本質的気質は、相手の利益を優先するところにあった。利益を独り占めするようながめつさはなく、時には身銭をきって他人のビジネスを助けることも日常的にあったようだ。例えば、江戸時代の大阪の街には、現代以上に沢山の橋が架かっていたが、その九割は私設の橋、つまり、誰かが私財を費やして作った橋と云われている。(因みに東京の橋は殆どが官製だった)このエピソードひとつとっても大阪商人の気質が伺えるが、江戸~明治時代までの商売人(ビジネスパーソン)には、こうした気質が大いに残っていた。商売の基本を守れば繁栄する商売の基本である相手の利益を優先することで得られるメリットは、大きな信頼が得られることだ。信頼とは無形資産のようなものだが、その効果は絶大である。提供する商品やサービスがライバルと変り映えしなくても、信頼があれば、ライバルに勝つことができるからだ。信頼が信頼を呼んで、新しい顧客や新しい注文が入ることもある。また、苦境の時の助けの手の多寡も信頼で決まる。兎に角、信頼は、商売を拡大するための絶対条件であり、商売繁盛の源泉になる。信頼は、相手の利益を優先することで厚くなるが、注意すべきは、信頼を積み重ねるには途方もない時間と労力がかかるが、信頼を失墜するのは一瞬である、という点だ。商売が繁盛するにつれて、油断・慢心・傲慢な言動が出やすくなるが、常に謙虚に、周囲に感謝し、相手の利益を優先し続ける姿勢が何よりも重要だ。自分中心のビジネスは破綻する商売の基本から逸脱した自分中心のビジネスは何れ破綻する。大阪商人のように、相手の目線になって物事を考え、モラルある判断基準を持ち、常に相手の利益を想う誠実な姿勢が、企業の永続性を高めるのだ。また、お互い損得なく、他者を助けることが出来る時はどんどん助け、助けてもらえる時はどんどん助けてもらう。こうした経営姿勢の定着が、顧客・社員・取引先との信頼を厚くし、会社の経営基盤を一段と強固にする。業界や経済の繁栄も、こうした共存共栄の姿勢があるほど盤石になる。百年、二百年と続く老舗企業ほど、こうした企業精神が色濃く残っているが、しんどい時こそ相手の利益を優先することが、経営者が大切にすべき経営姿勢である。
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  • リーダーに必要な3つの条件・資質|経営者・社長・リーダーの役割り
    リーダーに必要な3つの条件・資質|経営者・社長・リーダーの役割り経営者(社長)がリーダーとして企業の成長発展をけん引するには、相応の条件(資質)を身に付けることが欠かせない。社長のリーダーシップは、顧客や社員からの信用の土台になり、強いては、会社の発展の必須条件になるからだ。この記事では、リーダーに必要な3つの条件・資質、並びに、経営者・社長・リーダーの役割りについて、詳しく解説する。リーダーの条件(資質)とはリーダーの条件(資質)とは何か?最も重要なリーダーの条件(資質)は、理屈抜きで他人を虜にする人間的魅力である。リーダーの肩書や理屈に本心から従う人間(社員・部下等)は殆ど存在せず、むしろ、肩書や理屈を全面に出すほど人間は白ける。従って、肩書や理屈抜きで他人を虜にする人間的魅力が、リーダーとしての必須条件(資質)になる。成功している経営者(リーダー)ほど数字を見ていない、という主張を見かけるが、これは理屈一辺倒の会社経営(生き方・在り方)は失敗リスクが高いことを揶揄した表現といえる。実際に成功している社長は数字をしっかり見ているが、数字以上に理屈以外の部分、例えば、社員の心、顧客の心、周囲の努力や仕事の経過等をよく見ている、と言うことである。リーダーに必要な3つの条件・資質最も重要なリーダーの条件(資質)は、理屈抜きで他人を虜にする人間的魅力になるが、そうした人間的魅力を磨くために必要な条件(資質)がある。一つ目は「先に与える」、二つ目は「人を喜ばせる」、三つ目は「責任を取る」ことである。それぞれの条件(資質)について、詳しく解説する。リーダーの条件・資質「先に与える」人間的魅力のあるリーダーほど「先に与える」ことを実践している。顧客や社員に対して、先に利益を与えることが自分の利益になることを意識し、相手の利益を優先する言動を徹底している。先に与えられた者の利益が大きいほど、返ってくる利益が大きくなり、更に、リーダーとしての評価も高くなる。リーダーの条件・資質「人を喜ばせる」人間的魅力のあるリーダーほど「人を喜ばせる」ことを実践している。他人の喜びを自分の喜びとして、自分の幸せよりも顧客満足度や社員満足度を追求している経営者(リーダー)などは典型になる。他人の喜びが大きいほど、返ってくる喜びが大きくなり、更に、リーダーとしての評価も高くなる。リーダーの条件・資質「責任を取る」人間的魅力のあるリーダーほど「責任を取る」ことを実践している。責任は上に立つ人間が取るものである。従って、組織のトップに立つリーダーは、自分の失敗だけでなく、他人の失敗も取る姿勢(覚悟)が欠かせない。責任を取るほど、他人からの信頼が増し、更に、リーダーとしての評価も高くなる。経営者・社長・リーダーの役割り経営者・社長・リーダーの役割りは、組織をけん引し、幸せな結果を出すことである。組織をけん引するには、顧客や社員からの信頼が不可欠であり、その信頼を勝ち取るためにはリーダーとしての人間的魅力が欠かせない。リーダーに人間的魅力さえあれば、多少の欠陥があっても幸せな結果を出すことができるのか、という疑問が浮かぶかも知れないが、人間的魅力さえあれば大概のことは成功する。不思議なことに、リーダーの人間的魅力が大きいほど、そのリーダーの弱点を補う人間が沢山集まるからだ。事業は人なりの言葉通り、事業活動は人の上に成立している。つまり、経営者・社長・リーダーなど、人をけん引する立場にあるリーダーの成功は、人間的魅力が必須条件になるのだ。
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  • 経営マネージャーの真の仕事|社長のマネジメントは管理ではない
    経営マネージャーの真の仕事|社長のマネジメントは管理ではない経営者の最も重要な仕事は「マネジメント」と、よく言う。しかし、マネジメントの意味を正しく理解している経営者(社長・経営マネージャー等)は意外と少ない。例えば、何かを管理することがマネジメントだと誤解している経営者が稀にいる。私の元にも、社員をどうやって管理すべきか、上手にコントロールするにはどうすれば良いのか、といった相談がよく寄せられる。確かに、マネジメントの意味を辞書で調べると「管理者」と書かれているが、社員を管理すれば経営がうまくいくかと言えば、そんなことはない。むしろ、社長が社員を管理・コントロールしようとするほど、お互いのストレスは大きくなる。社長は、社員が思い通りにならないことに頭を悩ませ、社員は思い通りにしようとする社長の存在に頭を悩ませる。そして、双方の悩みが大きくなるほど、組織のパフォーマンスが著しく低下し、業績が低迷する。マネジメント=管理と考えることでの弊害はもう一つある。それは、経営者(社長・経営マネージャー等)の力量を越えた社員が現れると、その社員のコントロールが不能になることだ。経営者から見れば扱いづらい社員と見えるかも知れないが、こうした社員を管理しようとするほど、知らぬ間にその社員の才能を潰してしまう。才能を潰すだけならまだしも、辞められてしまえば、せっかくの人財を逃すことにもなる。マネジメント=管理と考えると、会社経営はうまくいかないのだ。経営マネジメントの真の意味・社長の真の仕事本来の経営マネジメントの意味、本来の経営マネージャーの仕事はなにか?それは、会社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・強み等)を最適化・最大化することである。例えば、社員の才能を開花させ、組織のパフォーマンスを極限まで引き出すこと。会社の設備や生産体制の効率を探求し、生産能力を最大限に引き出すこと。商品やサービスの魅力を最大限に引き出し、たくさんのお客様の支持を獲得することなどは典型と言える。経営資源は最適化されているか?経営資源は最大化されているか?この二つの問いかけの答えがNOであれば、経営マネジメントの仕事が山積している証拠だ。当然ながら、こうした山積した仕事を片付けるほど、マネジメントの精度が高まり、会社の繁栄が一段と花開く。会社の成長に陰りが見えた時ほど、経営マネジメントの実践度合いを点検することを強くお薦めする。
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  • 社長の仕事|中小企業の経営者がやるべき仕事内容と仕事の重要性
    社長の仕事|中小企業の経営者がやるべき仕事内容と仕事の重要性中小企業の社長の仕事はじつに幅広い。社長が本来やるべき仕事である経営マネジメントだけでなく、プレイヤーとして現場の仕事もやらざる得ないケースもある。この記事では、中小企業の社長がやるべき仕事内容、並びに、社長の仕事の重要性について、詳しく解説する。社長の仕事の重要性中小企業は、社長の仕事の質で会社の業績が決まる。つまり、社長の仕事が企業の生命線になり、社長の仕事の質が上がれば、会社の業績も自然と上向く。中小企業においては、社長が本来やるべき経営マネジメントがおざなりになっているパターンが少なくないが、この領域の仕事の質が低下すると、会社は簡単に衰退する。ひと言に経営マネジメントといってもその範囲は膨大になるが、最低限やるべき社長の仕事は「進化・牽引・勉強」の3つの仕事である。会社の成長発展を実現するには、社長が絶えず進化すること、組織をけん引するためにリーダーシップを発揮すること、進化やリーダーシップを体現するための勉強を続けることが欠かせない。社長が最低限やるべき仕事について、順を追って詳しく解説する。社長がやるべき仕事内容「進化」中小企業の社長がやるべき仕事は「進化すること」である。社長(会社)が進化すれば、経営資源が一段と最大化・最適化されて、或いは、事業の競争優位性が保たれて、会社の成長発展が一段と加速するからだ。企業の事業活動(存続)は競争ありきの資本主義経済の上に成り立っているので、社長が進化することを止めると、その瞬間からライバルとの差が開き、何れ市場競争から脱落することになる。つまり、進化なくして企業の存続はあり得ず、進化することが社長の絶対条件であり、社長のやるべき重要な仕事になるのだ。社長の仕事として、会社の進化を定着させるには、目標を掲げて、現状(現実)と目標の間にあるギャップを解消し続けることが欠かせない。具体的には、時には視点をズラして、或いは、未来やライバルを見つめて、経営課題を整理し、課題解決の目標を設定し、目標必達に向けて経営改善を推進することが社長のやるべき仕事内容になる。【関連記事】会社の経営改善を成功させる3つの法則|正しい経営改善手法が分かる社長がやるべき仕事内容「牽引」中小企業の社長がやるべき仕事は「牽引すること」である。社長がリーダーシップを発揮して組織をけん引すれば、組織の力が一点に集中して、或いは、組織力が一段と引き上がり、会社の成長発展が一段と加速するからだ。事業は人なりの言葉通り、事業活動は人(社員・組織)の上に成り立っているので、社長が組織をけん引することを止めると、途端に組織力が低下し、それにつられて業績も悪化する。つまり、企業存続のためにリーダーとして組織をけん引することが社長の絶対条件であり、社長のやるべき重要な仕事になるのだ。社長の仕事として、組織をけん引するには、リーダーとしての資質を身に付けて、果敢にリーダーシップを発揮することが欠かせない。具体的には、社員や顧客の幸せを優先する、周囲に喜びを与える、全ての責任を背負うマインドを持つことが社長のやるべき仕事内容になる。【関連記事】リーダーに必要な3つの条件・資質|経営者・社長・リーダーの役割り社長がやるべき仕事内容「勉強」中小企業の社長がやるべき仕事は「勉強すること」である。社長が勉強するほど、進化のスピードと共に、組織をけん引するリーダーシップ力が高まり、会社の成長発展が一段と加速するからだ。また、一度社長になると、本気で怒ってくれる人や誤りを正してくれる人がいなくなるので、自己研鑽するための勉強を怠ると、高確率で会社経営に失敗する。つまり、会社経営を成功に導くために責任もって勉強することが社長の絶対条件であり、社長のやるべき重要な仕事になるのだ。社長の仕事として勉強の成果を上げるには、会社の事業活動以外の時間(就業時間外・土日祝日等)を有効に使って勉強すること、そして、勉強したことを自社の経営環境にフィットするようにアレンジして実践することが欠かせない。具体的には、進化と牽引力を高める勉強に加えて、社長の重要な仕事のひとつである「決断スキル」を磨くために、財務会計スキル、マネジメントスキル、コミュニケーションスキル等を高める勉強が社長のやるべき仕事内容になる。【関連記事】経営を学ぶ|社長・起業家・後継者のための実践経営学中小企業の社長がやるべき3つの仕事最期に、中小企業の社長がやるべき3つの仕事について、おさらいする。社長が最低限やるべき仕事は「進化・牽引・勉強」の3つの仕事である。社長が絶えず進化し、組織をけん引するためのリーダーシップを発揮し、進化やリーダーシップを体現するための勉強を続けている限り、会社は自然と成長する。逆に、社長がたった一つでもやるべき仕事を放棄すると、そこが弱点となり、会社の衰退リスクを生み出す。特に、自分を律する力を養うために、社長の仕事として勉強を続けることは成功社長の必須条件といっても過言ではない。
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  • ピンチはチャンス!ピンチをチャンスに変える方法
    ピンチはチャンス!ピンチをチャンスに変える方法多くの成功者がピンチはチャンスだ!と言っている。その根拠は様々考えられるが、ピンチがやってくると、強制的に今までのやり方を変えざる得ない状況に置かれることが、最大の理由だと思う。例えば、ピンチをきっかけに、大胆な変化・挑戦・チャレンジを実行すると、会社が一段と進化し、大きな利益やビジネスチャンスが生まれることがある。私のサポート先においても、余命一年の絶体絶命のピンチまで追い込まれた会社が、ピンチをきっかけに大胆な経営改革を断行し、僅か1年で黒字化、キャッシュフローも1億円改善した実例がある。会社の規模が大きくなったり、創業からの歴史が長くなったりすると大きな変化が生まれ難い環境になりがちだが、ピンチはそうした保守的で硬直(マンネリ化)した状況を打破する起爆剤にもなる。また、何か新しいことを始める時は、社員の反発や反対勢力の抵抗があったりするものだが、会社がピンチになると、ピンチを乗り越えるための変化を受け入れざる得ない空気感が出るため、改革やチャレンジの推進力がキープし易くなる。当然、ピンチをきっかけに改革やチャレンジを実践するほど、チャンスの数は飛躍的に増える。ピンチはチャンスという意識をもって、前向きに変化を受け入れる姿勢がチャンスを招き寄せるのだ。絶体絶命のピンチをチャンスに変えるビジネスを長くやっていると、一度や二度は絶体絶命のピンチに遭遇することがある。例えば、100年に1度レベルの経済ショックと言われているリーマンショック(2008年)・東日本大震災(2011年)・コロナショック(2020-2022)は典型だ。こうしたコントロール不能な絶体絶命のピンチをチャンスに変える秘訣は、目の前の今ココに全集中することに尽きる。現実を受け入れ、どんなに小さなことでも良いので出来ることをコツコツ積み上げる。資金的なゆとりがないのであれば資金調達してでも体力を温存し、今までのやり方をコツコツ変える。絶体絶命のピンチを前に思考を停止したり、周囲の状況が変わるのを待ったりするのではなく、素早く、前向きに、能動的にやれることをコツコツ積み上げる。この繰り返しが、経営基盤をさらに盤石にし、大きなチャンスを引き寄せる源泉になる。小さな変化の積み重ねは、大きなチャンスをものにするうえで、最も効率的で、最も抵抗や犠牲が少なく済む。それでいて、経営基盤が一段と盤石になるので、周囲の環境が平常に戻った途端に、前にも増して収益が大きく拡大する。優れた経営革新、技術革新、新商品、新発明等、会社を飛躍的に成長させる原動力はピンチから生まれる。絶体絶命のピンチほど会社に大きな負荷がかかるが、こうしたピンチの反動で生み出されるチャンスは、会社の成長スピードを加速するケースがとても多い。
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  • 飛躍の法則|飛躍のチャンスはいつも目の前にある
    飛躍の法則|飛躍のチャンスはいつも目の前にある飛躍のチャンスはいつも目の前にある。飛躍の法則さえ分かれば、誰でも飛躍のチャンスを掴むことができ、今よりも一歩も二歩も成功に近づくことができる。この記事では、飛躍の法則、並びに、飛躍のチャンスの見つけ方や掴み方について、詳しく解説する。飛躍のチャンスを見つける法則飛躍のチャンスはいつも目の前にある。なりたい自分、或いは、あるべき会社の姿を具体的にイメージし、現実を見つめ直すことで、理想と現実のギャップ、つまり、飛躍のチャンスが目の前に現れる。また、仕事の本質、周囲の期待、達成すべき目標など等、周囲が待ち望んでいるゴールを具体的にイメージし、自分の立ち位置を見つめ直すことで、改善すべき言動、つまり、飛躍のチャンスが目の前に現れる。そして、飛躍のチャンスになり得る「理想と現実のギャップ」や「改善すべき言動」を正す努力が飛躍に繋がる確かな方法であり、こうした努力を継続するほど、飛躍のチャンスが大きくなる。飛躍のチャンスを掴む法則飛躍のチャンスは「今すべきことに全力を注ぐこと」で掴むことができる。飛躍のチャンスになり得る「理想と現実のギャップ」や「改善すべき言動」を正す努力に全力を注ぐも良し、夢、自己実現、熱中できる何かに全力を注ぐも良しだが、何れにしろ、今すべきことに全力を注ぐほど、周囲の評価が変わり、飛躍のチャンスが現実のものになる。他人よりも劣っていれば、他人よりも努力をすれば良いだけのこと。成功したければ、真摯さと情熱を持って成功するまで目の前のことに取り組み続ければ良いだけのこと。周囲を気にすることなく自分を向上させ続けている人間ほど恐ろしい競争相手はいないので、この姿勢で努力を続けると次第にライバルが少なくなり、飛躍のチャンスが現実化され易くなる。飛躍のチャンスは、今、努力できる人間に宿る。わたしは、しんどい時や諦めかけたときほど、この言葉を胸に、今すべきことに努力を注いでいる。飛躍のチャンスを増やす法則飛躍のチャンスを増やすには相応のコツがいる。なぜなら、飛躍のチャンスを掴むために、今すべきことに全力を注ぎ続けるには、相当なストレス(覚悟・体力・胆力など等)がかかるからだ。こうしたストレスを解消するには「理想と現実のギャップ」や「改善すべき言動」を自分が望んだものとして受け入れ、それらを正す努力を本心から楽しむマインドを持つことが欠かせない。このマインドがない中で今すべきことに全力を注いでも、ストレスの負荷が強くなると共に努力の不快指数が上がり、結果が出ないから諦める、辛いから辞める(止める)など等の諦め癖がついて、飛躍のチャンスを逃してしまう。山登り同様、今よりも高みを目指すのであれば、多少の努力はあって当たり前。大切なのは、チャンスを掴むための努力をストレスフリーで楽しむマインドを持つことだ。
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  • 無能な経営者など存在しない|なぜ社員は経営者を無能と罵るのか?
    無能な経営者など存在しない|なぜ社員は経営者を無能と罵るのか?経営者が無能と罵られるケースは珍しくない。しかし、本当に無能な経営者は稀で、殆どの経営者は言動や努力の軸足が定まった途端に結果に恵まれるようになる。この記事では、無能な経営者など存在しない理、並びに、なぜ社員は経営者を無能と罵るのかについて、詳しく解説する。無能な経営者など存在しない無能な経営者など存在しない。会社の業績が悪いのは経営者が無能なのではなく、会社経営を正しい方向に導くための努力の仕方を知らない、だけのことである。努力すれば報われるのは子供までで、大人になり社会に出ると、努力しても報われないのが世の道理である。例えば、中小企業の約7割は赤字経営に陥っていると云われている。その数300万社、つまり、300万人の経営者が赤字経営に悩んでいる、とも言えるが、全員が経営努力を放棄している無能な経営者かというと、そんなことはない。赤字会社の経営者は、みんな、血の滲むような努力をしているはずだ。資金繰りに奔走し、従業員に給料を支払うために営業で駆け回り、昼夜休みなく、成長のきっかけを掴むための経営努力をしているはずである。しかも、社長という重責を一身に背負い、孤独とも戦い、肉体的にも精神的にも大変な苦労を強いられている。社長の座に就いたことのない人間(社員)に、軽々しく無能と罵られるほど、経営者の苦労は軽くはない。それにも関わらず、経営者が無能と罵られる根本的な理由は、先に述べた通り、努力の仕方にある。努力が不足しているのではなく、努力の仕方に問題があるのだ。なぜ無能経営者と罵られるのか?努力の仕方を誤って会社が衰退するケースはじつに多い。例えば、計画が正しくなければ努力は報われず、万が一、業績の伸び悩みに陥ると、社員や取引先から無能経営者というレッテルを貼られてしまう。計画を誤り衰退する会社は、次の四つの失敗パターンに陥り、衰退するケースが多い。1.現状認識を誤る2.ゆえに目標を誤る3.自ずと経営課題を誤る4.計画策定を誤り、会社が衰退する最初の現状認識は最も重要で、ここを誤るとすべてが失敗に傾く。例えば、経営課題を見落とす・見誤る・見過ごすと、必ず現状認識を誤る。現状認識を誤ると、正しい目標が明らかにならないので、経営改善がストップする。さらに、時の経過と共に経営課題を見落とし続けるので、どんなに努力をしても成長のきっかけがつかめず、むしろ、少しのきっかけで会社経営が危機的状況に陥ってしまう。ここまでくると、無能経営者のレッテルを貼られるのは時間の問題となる。成功の八割は計画で決まる。段取り八分という言葉がある通り、計画の精度はとても重要で、計画次第で努力の結果が決まるのだ。無能経営者のレッテルを払拭するには無能経営者のレッテルを払拭するには、正しい計画を立て、その計画を推進する努力を継続することに尽きる。下のグラフは、わたしが実際に経営サポートに入った会社の経営指導開始1年前の主な経営指標の現状を示したものである。ご覧の通り、すべての経営指標が一番上の適正水準より下回っていることが分かると思う。そして、下のグラフは、経営指導開始1年後の主な経営指標を示したものである。ご覧の通り、殆どの経営指標が改善され、適正指標に達していることが分かると思う。(1年後の業績改善効果:売上高1.2倍,営業利益20倍,現預金残高5倍)業績が改善した根本理由は、経営者が有能か無能かではない。経営者が正しい計画を持って正しい努力をしたか、やるべきことをやったか、である。わたしに言わせれば、無能な経営者など稀な存在であり、やればできる有能な経営者の方がはるかに多いといえる。
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  • 社長引退の年齢はいつが適齢期なのか?|社長の引き際が会社の盛衰を決める
    社長引退の年齢はいつが適齢期なのか?|社長の引き際が会社の盛衰を決める社長引退の年齢は、いつが適齢期なのか?芸事(※)や一代限りの会社であれば年齢に関係なくいつまでも社長を続けて問題ないと思うが、次世代へバトンタッチする事業会社の社長ということであれば、社長引退に適した年齢というのが間違いなくある。多くの企業の盛衰をみてきたわたしの感覚ではあるが、社長の能力のピークと後継者の育成期間を考えると、50~55歳というラインが社長引退に適した年齢だと思う。50~55歳という年齢を社長引退の適齢期に挙げた理由は、大きく二つある。ひとつは、社長の能力のピークを迎えるのが50代であること、ふたつ目は、60代になってからでは後継者育成が間に合わないこと、である。良好な経営状態で次世代へ会社を残すのであれば、社長としての能力がピークに達している状態で後継者に経営を譲り、会長-社長という体制で後継者育成をする時間を確保することが欠かせない。当然ながら、社長自身が自分の経営能力の衰えに気が付いてから経営をバトンタッチしたのでは、会社も落ち目になりやすくなるし、後継者育成もうまくいくものではない。心身共に後継者に劣らない50~55歳という年齢で社長を引退し、後継者に経営をバトンタッチすることが、良好な経営状態で次世代へ会社を残すための、社長の引き際ではないかと思う。※芸事・・・その人特有の才覚で成り立っている業種。例えば、芸人、作家、弁護士等の士業、デザイナー、コンサル業、トレーダー、投資家、料理人、など等。なぜ、社長の能力は50代でピークを迎えるのか?なぜ、社長の能力は50代でピークを迎えるのか?その答えは簡単で、人間が固定化する年齢が50代だからである。50歳を超えると自分を変えることが難しくなるので、周囲に合わせることが億劫になり、自然と、自分の尺度でしか人生を歩めなくなってしまう。また、若いうちは捨てるものが少ないので、物心を真っさらにして初心に立ち返ることが苦にならないが、50歳を超えた年齢になると、過去から積み重ねてきた物心を捨てることができず、なかなか初心に立ち返ることができなくなる。社長の能力は、初心に立ち返ること、或いは、全く違う知識や考えを持った人との対話や自分のモノサシで計れない交流で磨かれるので、人間の固定化ほど社長の能力を退化させる要因はない。ソニー創業者の盛田昭夫氏も「50才以上の人間では自分を変えることが難しく、時代の変化についていけない、もう一つ上の世代は完全にアウトだ。」といっていて、自身も55歳で経営者を引退している。もちろん、50歳を超えても初心に立ち返り、柔軟な心で自分を開拓し続けている素晴らしい社長がいるのも事実だが、社長の最後の大仕事である後継者育成を考えると、やはり、50~55歳が社長引退に適した年齢ではないかと思う。経済は絶え間なく動いている。世代が変わっても、良好な経営状態を維持するには、社長引退の年齢から逆算し、今から手を打つことが大切だ。
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  • 社長の時間の使い方・作り方|限られた時間で経営の成果を上げる方法
    社長の時間の使い方・作り方|限られた時間で経営の成果を上げる方法中小企業は社長の時間の使い方で業績が決まる。小さな会社ほどその傾向が顕著に表れ、社長が時間の使い方を誤ると、間違いなく会社の業績が伸び悩む。この記事では、社長の時間の使い方・作り方、並びに、限られた時間で経営の成果を上げる方法について、詳しく解説する。社長の時間の使い方社長の時間の使い方は、社長業が何であるかを考えると自ずと見えてくる。社長業とは社長にしかできない仕事のことだが、中でも最重要といえる仕事は「計画・決断・実行」になる。計画・決断・実行は他人任せにできない社長の仕事であり、会社の業績を左右する極めて重要な仕事でもある。従って、1日24時間という限られた時間の大半を、この仕事の精度を高めるために使うと会社の業績が自然と安定する。経営計画の策定や修正、決断の質と検証の精度向上、実行力や推進力の研鑽など等、とにかく、社長業に意識的に時間を使うことが、経営者の能力を高める方法であり、業績を飛躍的に伸ばす正攻法になる。衰退する会社ほど、社長の時間の使い方が宜しくない傾向にあるので、現状を鑑みて、社長業に時間が使えているか否か点検してほしい。社長の時間の作り方中小企業の社長ほど忙しいものはない。プレイヤーとして現場の仕事をこなしながら、マネージャーとして会社の経営も采配しなければならない。こうした状況下で、どんな社長にも平等に与えられている1日24時間の中から社長の時間を上手に作りには、優先順位をつけて、仕事の取捨選択をするしかない。取捨選択は前章で紹介した「社長業」を基準にするとよく、現状の仕事を全て書き上げて、社長業を基準に分類すると、仕事(時間)の優先順位が明快になる。社長業からかけ離れた仕事ほど優先順位の低い仕事(時間)になる訳だが、そうした仕事を止める、或いは、部下に任せると、本来必要とすべき社長の時間が効果的に作られる。上手に時間が作れない社長ほど、仕事の優先順位が曖昧になっているケースが多いので、現状を鑑みて、社長の時間が作れているか否か点検してほしい。限られた時間で経営の成果を上げる方法ピーター・F・ドラッカー氏の言葉に次のようなものがある。「経営の成果を上げたければ時間の使い方を変えろ。一年前と時間の使い方が変わっていないようならあなたの進歩は止まっているかも知れない。」ヤル気になっただけで満足してしまう経営者は意外に多いが、ヤル気を成果に変えるには、時間の使い方を変えなければならない。社長業の精度を上げるための時間を作り、社長業に専念すべく時間の使い方を変える、この繰り返しが、限られた時間で経営の成果を上げる確かな方法になる。経営の成果が停滞している中小企業ほど、社長の時間の使い方が変わっていない傾向にあるので、現状を鑑みて、社長の時間の使い方が進化しているか否か定期的に点検することをお薦めする。
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  • 経営者目線(視点)で考える社員・幹部・社長の本来の目線
    経営者目線(視点)で考える社員・幹部・社長の本来の目線経営者目線を持って行動しろ、或いは、経営者の視点で仕事を考えろ、など等、経営者目線(視点)を社員や幹部に求める社長は少なくない。社員や幹部が経営者目線(視点)で行動すると自然と経営感覚が養われるので、決して悪い事ではないが、果たして、本当にそうだろうか?この記事では、経営者目線(視点)で考える社員・幹部・社長の本来の目線について、詳しく解説する。経営者目線(視点)とは?経営者目線(視点)とは、会社経営者の立場になって物事を考えること、或いは、そうした立場に立った言動のことだ。経営者目線の具体的基準は、企業の永続性を確立するために「顧客・社員・取引先の幸せを追求し、安定経営を実現する」ということに尽きる。これが経営者の本来の仕事であり、この仕事を全うするための目線なり視点が「経営者目線(視点)」になる。社員・幹部・経営者、すべてのスタッフが経営者目線を持って仕事をすることは大切なことであり、それが企業の安定経営を実現する重要な条件になる。社員・幹部・経営者の経営者目線(視点)社員・幹部・経営者のすべてのスタッフが経営者目線(視点)を持って会社経営にあたることは大切なことだが、目線なり視点の時間軸は、立場によって変わる。下の図は、社員・幹部・経営者、それぞれの立場の目線の時間軸を表したものだ。社員は1ヶ月先、幹部は1年先、経営者は3~10年先を見て仕事をするのが普通で、階層や立場によって目線や視点の時間軸に違いが生じる。具体的には、社員は1ヶ月先の顧客等の幸せを、幹部は1年先の顧客等の幸せを、経営者は3~10年先の顧客・社員・取引先等の幸せを考え、それぞれの立場で仕事すると、組織全体のパフォーマンスが上がり、会社の経営が安定しやすくなる。この時間軸を見落としたまま経営者目線や視点を社員や幹部に押し付けると、社員達が戸惑い、場合によっては組織のパフォーマンスが落ちることもあり得る。(新入社員が10年先を見据えてゆったり仕事をしている風景を想像すれば、経営者目線の時間軸を見落とすことが如何にトンチンカンなことかお分かりだろう)経営者はどういう目線(視点)を持つべきか経営者は3~10年先に目線を合わせた経営采配を求められるが、大切なことは現場の情報と柔軟な視点を忘れないことだ。例えば、現場の情報を自らが取りに行くことと、柔軟な視点を持ってビジネスモデルを再構築(再検証)する作業は、他人任せにできない重要な社長の仕事になる。現場の情報は、目線(視点)の時間軸が違えば活かし方が変わってくる。社員にとっては何気ない情報が、経営者目線で見ると会社の成長を加速する優れた情報ということは珍しいことではない。ビジネスモデルは、時間の経過と共に必ず陳腐化するので、絶えず再構築・再検証することが欠かせず、この作業には長期的な経営者目線(視点)が欠かせない。こうした経営者目線なり視点を体得するには、周囲に耳を傾ける謙虚さ、並びに、現状に執着しない柔軟性が求められる。経営者の現場無視、或いは、現状への執着は衰退の元になる。謙虚で柔軟な経営者目線を持つことが成功の秘訣なのだ。
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  • 信頼できる情報源|経営の成功は情報の質で決まる
    信頼できる情報源|経営の成功は情報の質で決まる経営者にとって、情報源ほど重要なものはない。情報源の価値が高ければ、経営判断の質が高まり、会社経営の成功率が飛躍的に高まるからだ。この記事では、信頼できる情報源について、詳しく解説する。情報源の信頼性古来より、情報を制する者が世界を制すると云われているが、会社経営も例外ではない。ライバルよりも優れた情報が手元にあれば、先手の打ち手が早くなり、必然的に繁栄が加速するからだ。それでは、優れた情報源はどこにあるのか…。多くの経営者は、優れた情報を本などのメディアから仕入れようとするが、果たして、それがベストな方法だろうか。本を買って、大儲けした…。本を買って、大金持ちになった…。本を買って、大成功をおさめた…。残念ながら、このような成功ストーリーを私は聞いたことがない。なぜ成功しないかは明白だ。メディアに乗った時点で、情報の鮮度が落ちているからだ。テレビや新聞等のメディアに関しても、政治やスポンサーの意向が反映されるため、情報の価値は極めて低い。(欧米諸国の国民の半数以上はメディアを信頼していないという調査結果がある)信頼できる情報源はどこにある?優れた情報はメディアにはない。今この瞬間に通用する優れた情報は「人」が握っている。例えば、本の情報は半年から一年前の知見がベースになる。このサイトのノウハウ情報も、初めてご覧になった方にとっては新しい情報かも知れないが、日頃から私と交流のある方々にとっては、古い情報でしかない。一方、人が握っている情報は、今この瞬間の最新の知見がベースになる。だから、人が握っている情報を集めれば、今の経営環境に適したベストな成功ロジックを生み出すことが可能になる。もちろん、すべての本の情報価値を否定するつもりはない。小説は心を豊かにしてくれるし、普遍的なノウハウ書は心の支えになる。わたしの著書も「自戒の書(安定経営の教科書)と希望の書(V字回復の教科書)」として大いに役立つ。しかし、今この瞬間のビジネスに役立つ情報源を探しているのであれば、本などのメディアに頼るよりも、人に会った方が早く確実だ。情報源の質は付き合う人間で決まる経営コンサルタントの世界的第一人者のピーター・ドラッカー氏は「成功したければ付き合う人間を変えろ」と言った。成功ノウハウが記されている本を漁るよりも、成功ノウハウを持っている人に会った方が、誰よりも早く確実に成功できることを知っていたのだ。付き合う人間を変える方法は、単純に付き合う人間の対象を広げるだけではない。知恵の源泉となる本物や本質と付き合う。多くの人財と交流のあるブレーンや専門家をそばに置く。いつも付き合っている人間の新しい側面を発見し、日々、何かを学ぶ。など、付き合う人間を変える方法は工夫次第で無限に広がる。そして、付き合う人間を変えるほど、確実に知見が豊かになる。もしも、一年前の自分と今の自分を比べて付き合う人間が変わっていなければ、成長がストップしているかも知れない。逆に、一年前の自分と今の自分を比べて付き合う人間が変わっていれば、確実に成長し続けているだろう。いつの時代も、優れた情報は人が握っている。つまり、どんな人と付き合うかで、会社経営や人生の成功の可能性が決まるのだ。
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  • 現場の声を聞く経営が生き残る秘訣|現場の声を活かせば経営がうまくいく
    現場の声を聞く経営が生き残る秘訣|現場の声を活かせば経営がうまくいく現場には成功のヒントが沢山転がっている。事実、現場の声を真摯に受け止め、現場の声を経営に活かしている会社は顧客から愛され、会社が繁栄している。この記事では、会社の生き残りを分かつ現場の声の価値、並びに、現場の場の活かし方について、詳しく解説する。現場の声が経営の成功を左右する現場の声に耳を傾けろ、さもなければ会社は衰退する、と、古今東西、多くの経営者が語っている。多くの企業再生の経験をしてきた私自身も、現場の声に耳を傾けることの重要性を肌で感じているし、現場の声を無視した会社経営に成功はないと、心底、思っている。会社の大小関係なく、息の長い企業ほど、現場の声を大切にしている。そして、現場の声をこまめに聞いている会社ほど進化のスピードが速く、市場競争の優位性を着実に高めている。逆に、現場の声を聞いていない会社ほど進化のスピードが遅く、いつしか市場競争の優位性を失い、衰退の一途を辿るケースが多い。トヨタ自動車の社長は、創業者から現代に至るまで、代々現場好きで知られている。例えば、五代目社長の豊田英二氏(1913-2013)は、ひとりぶらりと現場の新しい機械を見に行き、実際に触りながら「これ使いこなせると良いな」と、現場の若手社員に気軽に話しかけ、帰り際には帽子を取って「今日はありがとう」と、直立不動で深々と頭を下げて去ってゆく風景が日常だったらしい。現場の生産性を高める「ジャスト・イン・タイム」、「自動化」、「視える化」などの世界標準を数多く生み出した、現場重視のトヨタ自動車らしいエピソードである。現場の声を聞くのは経営者の仕事現場の声を聞き、経営に活かすのは経営者の仕事だ。なぜなら、同じ現場の声であっても社員と経営者では、その情報の活かし方がまったく変わってくるからだ。一般的には、一般社員の目線は一ヵ月先、部課長レベルで一ヵ年先、社長レベルで漸く3~5年先なので、社員と社長では見えている景色が全く違う。当然ながら、現場の声を聞いて、何を感じ、どう経営に活かすかは、見えている景色によって変わるため情報の良し悪し関係なく、なるべく社長自身が現場の声の真意を確かめることが大切になる。現場の声は、製造であれば生産現場、小売であれば販売や接客現場、卸売りであれば営業現場、物流であれば配送現場、通販業であれば受発注の現場、開発であれば消費者の現場、など等があり、そのほかにも、机上の空論が通用しない現場の領域は数知れずある。また、在宅勤務やフリーオフィス、或いは、フリーランスや契約社員の活用といった自由な労働環境は、時に経営者から現場の声を遠ざけるデメリットがあるので、現場軽視にならない範囲で労働環境を設計する配慮も重要だ。会社経営成功の源泉は現場にある経営者は、成功の源泉は現場にあるということを決して忘れてはならない。例えば、マクドナルド創業者のレイ・クロック氏は億万長者になった後も現場に通い続けてマニュアル遵守を自らの目でチェックしていた。イケア創業者のカンプラード氏は80歳を超えてもレジ横に立って顧客の声に耳を傾けていた。「現場の声に耳を傾けろ、さもなければ会社は衰退する。」起業まもない時、会社の業績が苦しい時、社員の不満に直面した時、顧客の離脱を感じた時、など等、会社衰退の予兆を肌で感じた時ほど、前文のセリフを想い出し、現場の声に耳を傾けてほしい。会社衰退の打開策は必ず現場に眠っている。言い換えれば、会社の成長発展のヒントは、すべて現場に眠っているのだ。
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  • 堅実経営の見分け方と作り方|堅実こそが経営の基本である
    堅実経営の見分け方と作り方|堅実こそが経営の基本である堅実経営とは、安定成長を遂げている企業の経営スタイルのことである。会社経営は、経営基盤が堅実なほど、時代に翻弄されない安定経営が実現できるので、堅実経営を如何に実現するかが企業の永続性を左右する。この記事では、堅実経営の見分け方から作り方に至るまで、さらに詳しく解説する。堅実経営とは?堅実経営とは、安定成長を遂げている企業の経営スタイルのことである。堅実経営と聞くと、積極性のない保守的な企業イメージを持つかもしれないが、決して、そうではない。どんな景気、どんな世の中であっても生き残れるように日頃から弛まぬ経営努力を行っている企業こそが、堅実経営を実現している企業である。例えば、どんなに景気が悪くても、すべての企業の経営が悪化するわけではない。悪い景気のなかでも堅実経営を推進し、然るべき利益を生み出し、安定成長を遂げている企業は必ずある。堅実経営には、経営者が目指すべき経営スタイルのヒントや経営の基本がギッシリ詰まっている。特に、これから起業する方や中小企業経営者は、堅実経営から学ぶべきところが多い。堅実経営の見分け方これから取引を開始する相手が堅実経営か否か、はたまた、これから経営に参画する企業が堅実経営か否かは、その後の未来を大きく左右する要因といってよい。なぜなら、堅実経営の実現度が低いと、取引が破綻するリスクや経営悪化の代償を被るリスクが生じてしまうからだ。中手企業の堅実経営を見分ける方法は様々あるが、この記事では「会社の数字・人材育成・経営戦略」の3つの観点から堅実経営を見分ける方法を詳しく解説する。堅実経営を見分ける方法「数字」会社の数字は、経営成績を如実に表すので、堅実経営か否かを客観的に判断するうえで最も効果的な方法である。堅実経営か否かは、財務諸表等の数字を加工することで分かるが、例えば、下表の経営指標は堅実経営を見分けるのに有効な指標である。経営指標計算式堅実経営の基準売上成長率〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×1005~20%売上総利益高営業利益率(営業利益÷売上総利益)×10010~20%1人1時間当たりの付加価値(付加価値:総人件費+営業利益高)÷総労働時間増加傾向維持現金残高現預金の月末残高〔月商-(減価償却費+営業利益高)×1.5〕以上純資産残高純資産の月末残高増加傾向維持社長の持株比率(保有株式数÷総株式数)×1002/3以上以上の経営指標を用いて分析した数値が堅実経営の基準内であれば、堅実経営の実現度が高いといえる。逆に、ひとつでも基準から外れている経営指標があれば、そこが弱点となり、経営が傾くリスクがある、といえるが、本業への成長投資や人材への先行投資の過程で、一時的に基準値を下回っている場合は、その限りではない。堅実経営を見分ける方法「人材」企業は人なりと云われるように、人材育成への取り組みから堅実経営か否かを判断する方法も有効である。例えば、顧客や取引先に対する挨拶や礼儀作法がすべての社員に身についているだけで、その企業が如何に日頃から人材育成に力を入れているかが伝わってくる。また、社員の自主性や責任感、モラルなど、人材育成を行わないと身につかないスキルを持っている社員が多いほど、その企業の人材育成レベルが高いといえる。経営成績は数字で表されるが、その数字を作っているのは、生身の人間である。人材育成は堅実経営の基本といって過言ではなく、その企業の社員を見れば堅実経営の実現度が大よそ分かる。堅実経営を見分ける方法「戦略」経営戦略は、事業活動の方向性を決定付けるので、企業の業績に大きな影響を及ぼす。例えば、明確な経営戦略のもとで経営されている企業と、毎日が行き当たりバッタリの経営に陥っている企業を比べた場合、堅実経営の実現度が高いのは前者の企業である。下記のチェックリストは、わたしの経験から堅実経営の実現に不可欠な主な項目を挙げている。該当項目が多いほど、堅実経営の実現度が高いといえるので、是非、自己診断してみてほしい。堅実経営の戦略チェックリスト☑新しい顧客を常に創造している☑会社の本業が明快で、競合と差別化されている☑会社の強みを自覚し、その強みを活かしきっている☑会社の強みを磨くために、新技術やノウハウを積極的に導入している☑利益の一部を毎期成長投資に充てている☑経営者に私欲がなく、向上欲が旺盛である☑経営者が常に次世代の経営を見据えて動いている☑顧客満足度だけでなく、社員満足度も追求している堅実経営の作り方堅実経営の作り方は、前章の「堅実経営の見分け方」で解説した内容を深く理解し、実行することに尽きる。例えば、然るべき数値目標を掲げて改善努力を継続する、人材育成を怠らない、堅実経営を実現するための経営戦略を展開する、といった条件は、堅実経営を作るうえで欠かせない。それぞれの条件をクリアするために必要なことは、第一に、社長自身が数字に強くなることである。なぜなら、数字に強くなければ、堅実経営に不可欠な目標設定や結果検証の精度を高めることができないからだ。数字が苦手な経営者であっても堅実経営の本質を理解している社長は、参謀を付けるなどして、会社の数字の理解に努めている。人材育成に関しては、十分な予算が確保できない中小企業も多いと思うが、その場合は、会社の数字や経営理念、或いは、顧客や現場の声をテーマに掲げた勉強会を開催するだけでも十分な人材育成効果が得られる。経営戦略を展開する場合の必須ツールは計画である。計画は、成長に向けた事業活動を円滑に推進するだけでなく、リスクを最小限に食い止める効果もある。計画なき実行は博打と変わらない。堅実経営を実現する経営戦略の展開には、計画が欠かせないのだ。【関連記事】数字力を学ぶ|ビジネスの成功スキル・数字力の養成法堅実経営のまとめ堅実経営とは、どんな時代であっても、安定成長を遂げている企業の経営スタイルのことである。堅実経営を実現するには、周囲の環境に関わらず、どんな景気、どんな世の中であっても生き残れるように日頃から弛まぬ経営努力を行うことが大切だ。そして、中手企業の堅実経営を見分ける方法は、「会社の数字・人材育成・経営戦略」の3つの観点から、堅実経営の実現度を判定することができる。堅実経営の作り方は、堅実経営を見分けるための「会社の数字・人材育成・経営戦略」の3つのポイントを深く理解し、実行すること。そのために必要なことは、「社長が数字に強くなること・可能な限りの人材育成に取り組むこと・計画を運用すること」の3つのポイントが重要になる。
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  • 資金繰りとは?|資金繰り改善・ショート原因・銀行融資と借金経営の要点
    資金繰りとは?|資金繰り改善・ショート原因・銀行融資と借金経営の要点資金繰りとは、事業活動に関わる現預金の出納管理のことである。会社は現金が無くなると同時に経営が破たんするので、資金繰りは企業の生命線になる。この記事では、資金繰りとは何か、並びに、資金繰りの改善方法、ショート原因、銀行融資と借金経営の要点について、詳しく解説する。資金繰りとは?資金繰りとは、事業活動に関わる現預金の出納管理のことである。会社は現金が無くなると同時に経営が破たんするので、資金繰りが企業の盛衰を握っており、資金調達手段が限られる中小企業ほど、重要な経営管理になる。資金繰りは、小さな会社や現金商売ほど分かりやすく、掛け商売や手形商売等の信用取引、或いは、借金借入や返済等の財務取引が増えるほど複雑になる。なぜなら、信用取引や財務取引が増えるほど、利益と現金の動きが一致しなくなるからだ。この利益と現金の動きが一致しないところに資金繰りの難しさがあり、たとえ利益が出ていたとしても、資金繰りを誤ると簡単に会社経営が破たんする。(事実、ある年の半数の倒産企業は黒字倒産だったというデータが残っている)資金繰り表とは?資金繰り表とは、事業活動に関わる現預金の出納管理表のことである。資金繰り表は、将来の現預金の収支金額を表管理することで、直近の資金繰り(現預金の収支や残高)を把握するために作成される。資金繰り表の収入(入金)は発行した請求書をベースに、資金繰り表の支出(出金)は受領した請求書をベースに計算すれば簡単に表作成することができる。資金繰り表の収支管理は、主に四つの取引に分かれ、それぞれの解説は以下の通りである。営業収支資金繰り表の営業収支は、本業の営業取引に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「売上(売掛金・受取手形等)」、支出(出金)は「売上原価(買掛金・支払手形等)・販売管理費(減価償却以外の経費未払金)」が主な対象になる。経常収支資金繰り表の経常収支は、本業の営業外取引に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「受取利息」、支出(出金)は「支払利息」が主な対象になる。財務収支資金繰り表の財務収支は、金融機関等との財務取引に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「借入」、支出(出金)は「返済」が主な対象になるその他収支資金繰り表のその他収支は、一過性経費、設備投資、資産売却等に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「資産売却益」、支出(出費)は「税金・設備購入費」が主な対象になる。資金繰りは運転資金が分かれば改善できる資金繰りは、運転資金が分かれば改善できる。運転資金とは、事業活動に必要な最低資金なので、運転資金以上の現金を生み出せば、資金繰りが良好に改善されるからだ。運転資金は様々な計算方法があるが、簡易的に求めることができ、単純に売上から、現金流出のない「減価償却費と経常利益(内部留保)」を引く方法で計算できる。簡易的な運転資金の計算方法運転資金=売上-(減価償却費+経常利益)※月商に波がある場合は、過去12か月間の平均月商で計算する(減価償却費、経常利益含む)この運転資金が外部に流出する現預金になるが、この運転資金の3倍以上を絶対目標に掲げて資金繰りの改善を推進すると、資金繰りが良好に改善され、更に、成長投資に回す余剰資金や経営悪化に備えた余剰資金の貯蓄が十分にできるようになる。なぜ黒字経営でも資金繰りがショートするのか?なぜ黒字経営でも資金繰りがショートするのか?その答えは簡単で、現金回収の意識が弱いと、売上があろうが、利益があろうが、現金回収のスピードが鈍化し、資金繰りショートのリスクがどんどん高まる。売上を増やすのは当たり前。利益を増やすのも当たり前。大切なのは、売上と利益を速やかに現金に変える意識を強く持つことである。売上の掛け売り(売掛金・受取手形)はスピーディーに回収できているか、利益以上に商品在庫、固定資産、借金返済等が増えていないか、など等、売上と利益を現金として残す意識を強く持つことが資金繰りのショートを防ぐ唯一の方法になる。売って終わり、利益を出して終わりでは、現金が増えることはない。そして、現金回収が杜撰になるほど、資金繰りがショートする可能性が上がり、当然ながら、現金が無くなれば、その瞬間に会社経営は破たんする。資金繰りを助ける銀行融資の要点資金繰りを助ける手段として銀行融資がある。銀行融資(借金)の是非は様々な論争を生んでいるが、そもそも、借金は悪い選択ではない。資金効率も投資効率も上がるので、借金ありきの投資が成功すれば加速度的に会社が成長するからだ。例えば、1千万円の利益で成長投資を推進するケースと、1千万円の利益を担保に1億円の融資を引き出して成長投資を推進するケースを比べた場合、成長速度が速いのは後者である。但し、注意も必要だ。借金は人様のお金なので返済義務がある。従って、借金経営の失敗リスクをしっかり認識し、万全を期すことが大切になる。ここが甘くなると、返済苦に陥り、借金経営に失敗する。ちなみに、多少の借金は常に抱えていた方が良い。銀行との取引(融資実績・返済実績)が全く無ければ、新規融資の書類審査や融資手続きに相応の時間がかかるからだ。必要な時に、必要な融資を引き出すには、多少の借金を抱えて、常日頃から返済実績を作っておくことが重要なポイントになる。資金繰りを助ける借金経営の正攻法最期に、資金繰りを助ける借金経営の正攻法について解説する。借金経営は、複数銀行から借りるのが正攻法になる。なぜなら、ピンチの時に助かり易いからだ。どういう事かというと…。会社はお金が無くなった瞬間に倒産する。つまり、手元にお金が残っている以上、会社は倒産しない。しかし、借金経営が常態化しており、なお且つ、多額の借金を抱えている場合は、倒産状態に陥る可能性が高まった時点で、借金の強制弁済、或いは、追加融資の停止処分が下り、倒産に追い込まれるケースがある。黒字倒産が最たる例になるが、こうなると、たとえ利益を出していたとしても、資金繰りに窮して、会社はあっさり倒産する。(黒字倒産は中小企業だけでなく上場企業でも起こり得る良くある失敗パターンである)こうした場合、複数銀行から融資を受けることで、借金の強制弁済(貸し剥がし)のリスクを抑えることができる。一つの銀行が貸し剥がし等の強硬姿勢に転じたとしても、取引実績のある他の銀行が助けの手を差し伸べてくれることがあるからだ。従って、借金をする場合は、リスクヘッジのためにも、複数銀行から借りておくのが安心・安全になる。資金のゆとりは、会社経営を円滑に進めるだけでなく、経営者の心のゆとりにも繋がるが、借金には、借りたお金以上に返さなければならないという危険な副作用がある。融資目的、返済計画、借金用途が曖昧だと、借金がきっかけで会社が衰退するので、借金する際は、綿密に検討することをお薦めする。
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  • 売上を長期的に上げる方法|会社の売上が増え続ける考え方
    売上を長期的に上げる方法|会社の売上が増え続ける考え方売上は会社の存続を保障する重要な要素なので、売上を上げることは企業の絶対使命と言える。しかも、毎年一定の顧客が離脱し続けるため、売上を上げることが出来なくなると、途端に売上が減少傾向に転じ、事業存続が難しくなる。この記事では、売上を長期的に上げる方法、並びに、会社の売上が増え続ける考え方について、詳しく解説する。売上を上げる思考売上を上げるには営業力や販促力を鍛えることが欠かせないが、根本的な考え方として大切なことは「独自性を追求する」ことである。他社が実績を上げている売上拡大のスキームを複製しても、それは同質化を早めるだけで、長期的な売上確保には繋がらない。競争が激化し、売上拡大は早晩行き詰まる。目先の売上ではなく、末永く続く売上を獲得するには、売上拡大スキームの独自性を追求し、他社との同質化を遅らせる努力が欠かせない。手元にある商品で独自性を出せないのであれば、人海戦術で独自性を出す方法もある。例えば、人間味あふれる接客、オーダーメイドの接客、機動力を活かした顧客接点の拡大、手間と手仕事を交えた営業サービス等、独自性は工夫ひとつで簡単に高めることができる。こうした独自性を追求するほど、「あなたから買いたい」、「あなたの会社の商品が欲しい」といったオンリーワン要素が強くなるので、長期的な売上を上げ易くなる。また、同質化の波を受け難くなるので、過当競争に巻き込まれることなく、自分のペースで売上を上げることが容易になる。売上を上げる視点売上を上げるには視点も重要になる。絶対に外せない視点は「顧客目線」である。この視点が疎かになると、独りよがりな売り方に終始し、顧客離れを加速させる。お客様の目線(立場)に立って、自社の商品やサービスを見つめ直す、或いは、お客様に対して当たり前の仕事を高いレベルで提供する等、常に顧客目線で仕事をすることが売上を上げる確かな方法になる。売上が低迷している会社ほど、顧客目線の仕事が圧倒的に不足しているが、まずは量を最優先して、行動量を増やすことが大切だ。顧客目線をベースに置いた売上拡大の行動が一定の飽和量に達すると、一気に売上が上がり始める。さらに、お客様に対する当たり前の仕事のレベルを極限まで引き上げる努力を続けると、売上を上げ続けることがどんどん容易になる。売上を上げる方法売上を上げる方法として「独自性を追求すること」、「顧客目線を徹底すること」について、詳しく解説した。この二つの売上拡大の効果を最大化する極意は「顧客の本音(心)に触れる」ことである。お客様はなぜ自分の会社の商品を買うのか、その動機、目的、属性、ベネフィット(利益)等はどこにあるのか等、徹底した顧客理解を実践することである。顧客理解が深まると、ターゲット顧客が明快になるので、自分が売りたいものではなく、お客様が欲しいものを自然と売れるようになる。顧客理解は、商品を購入しているお客様にインタビューする方法がベストだが、難しい場合は、覆面調査やアンケートを活用する手もある。とにかくトライ&エラーを繰り返しながら、様々な方法で顧客の本音を探り、想定のターゲット顧客にピッタリの商品を仕立てて、それを売り続けることが、末永い売上を獲得する確かな方法になる。
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  • 事業拡大の方法|経営健全化から成長戦略まで徹底公開
    事業拡大の方法|経営健全化から成長戦略まで徹底公開事業拡大なくして企業の存続なし。つまり、事業拡大の取り組みは、企業の生命線になる。この記事では、事業拡大の方法、並びに、事業拡大のための経営健全化から成長戦略に至るまで、詳しく解説する。事業拡大ステップ1|経営健全化事業拡大ステップ1は「経営健全化」になる。足元の経営基盤を盤石に整えなければ、事業成長のための戦略展開が十分に出来ないからだ。経営健全化は、経常利益の黒字化、キャッシュフローのプラス化、当たり前の仕事ができる風土作りの三本柱が肝になる。経営健全化は事業拡大の絶対条件であり、このステップをおざなりにすると必ず事業拡大に失敗する。それぞれのポイントについて、詳しく解説する。経常利益の黒字化経常利益の黒字化は、事業拡大の絶対条件になる。利益は現金の源泉になり、現金は事業拡大を加速する成長投資の原資になる。従って、黒字化なくして事業拡大はあり得ない。黒字化の方法は、無駄なコストや不採算事業の徹底排除が正攻法になる。つまり、収入に合わせた適正なコスト構造の確立が、事業拡大の最初のステップになる。キャッシュフローのプラス化キャッシュフロー(以下CF)のプラス化は、事業拡大の絶対条件になる。CFとは現金収支のことだが、たとえ黒字経営であっても、借入過多に伴い利益以上の返済負担があると、CFがマイナスになる事がある。CFがマイナスだと成長投資が停止して事業拡大がとん挫するだけでなく、最悪、黒字倒産という事態もあり得る。CFのプラス化は黒字化と財務改善(返済計画リスケ等のファイナンス努力)を同時推進することが正攻法になる。当たり前の仕事ができる風土作り当たり前の仕事ができる風土作りは、事業拡大の絶対条件になる。当たり前の仕事とは、言うまでもなく顧客に尽くす仕事である。事業拡大に成功している会社ほど顧客目線や顧客意識が徹底されている。顧客に尽くす企業風土が定着すると、効率のよい事業拡大の戦略展開が可能になる。事業拡大ステップ2|業務効率化事業拡大ステップ2は「業務効率化」になる。業務の効率化は、事業が拡大しても業務負担が過度に増えない業務体制の確立、事業拡大を加速する業務体制の確立、既存事業の収益拡大が主たる目的になる。例えば、無料や安価なITツール等を活用して業務効率化と組織内情報共有を推進する。低コストかつ効率的な製造体制を確立し、品質と技術力の向上に努める。顧客接点の少ない内向きの仕事の効率化と最適化を推進し、顧客接点の多い外向きの仕事力と販売力を強化する、等々の施策は、業務効率化に欠かせない。顧客接点を増やすため、或いは、顧客満足度や顧客サービスを向上させるための改善を推進することが業務効率化の正攻法になる。業務効率化は、経営健全化と同時進行で推進すると、事業拡大の成功率が高まる。事業拡大ステップ3|成長戦略展開事業拡大、最後のステップは「成長戦略の展開」になる。経営健全化、事業効率化、この2つの条件が確立されると、事業拡大と共に、収益が大きくなる成長スパイラルの確立が簡単になる。事業拡大の成長戦略は、新商品・新市場への挑戦、マーケット開発・拡大、人財投資と設備投資の推進、など等の施策を実践し、事業成長を推進する方法が正攻法になる。事業拡大を後押しする成長戦略作りは、既存ビジネスのしがらみから離れて、数年先の経営環境や他業種ビジネス等を客観視すると、ユニークな事業構想が見えやすくなる。そして、成長戦略は、事業デザインとセンスがモノをいうので、色んな階層の社員を集めて、自由に意見を言い合える場を定着させる事と、アイデアを提案する機会を与える事が大切になる。また、成長戦略は、ベンチャー企業や新興企業等が市場に新規参入する前に、先手先手で実践することが重要で、その打ち手のスピードを上げることが、最も少ない負担で事業を拡大する秘訣になる。さらに、経営者自身が成長するために、自分の時間の使い方や付き合う人間を常に変化させることも、事業を拡大する上で欠かせない取り組みになる。事業拡大の3つの基本ステップを動画で学ぶ
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  • 成長戦略の基本|企業成長を加速する経営戦略・未来投資・投資ポートフォリオ
    成長戦略の基本|企業成長を加速する経営戦略・未来投資・投資ポートフォリオ成長戦略とは、企業成長を後押しする経営戦略(経営方針)のことである。成長戦略を掲げると、企業成長を目標とした会社経営の軸足が定まり、成長戦略の実行度合いが高まるほど、企業の成長スピードが加速する。この記事では、成長戦略の基本概要、並びに、企業成長を加速する経営戦略・未来投資・投資ポートフォリオについて、詳しく解説する。成長戦略の基本成長戦略とは、企業成長を後押しする経営戦略(経営方針)のことで、成長戦略が明快なほど、企業成長を目標とした会社経営の軸足が確固たるものになる。成長戦略を掲げると、企業成長を阻害する課題やリスクが明かになるので、成長するためにすべき実践事項(行動姿勢)が明快になり、成長戦略の実践度合いが高まるほど、企業の成長スピードが加速する。中小企業における成長戦略の基本(重要ポイント)は様々あるが、特に抑えるべき点は、組織力強化、利益拡大、成長投資の3つになる。組織力強化事業は人なりの言葉通り、組織の力が企業の成長をけん引する。成長戦略の出発点は組織力の強化にあり、組織力の強化なくして企業の成長はない。利益拡大企業の生存を保障する現金の源泉になる利益の拡大なくして成長はない。また、現金が増えるほど、成長戦略の規模が大きくなり、会社の成長スピードが加速する。成長投資成長投資は、新たな顧客と売上を生み出し、事業規模を大きくする。また、成長投資は、売上や顧客を生み出す重要資源になり得る事業価値(ビジネスモデル・商品・設備等々)の陳腐化を防ぐ役割もある。つまり、成長投資なくして、企業成長はないといっても過言ではない。企業成長を加速する経営戦略成長戦略を展開するには、組織力強化と利益拡大が欠かせないが、これからを実現するには経営基盤を相応に整える必要がある。足元の経営基盤を盤石に整えなければ、事業拡大のための成長戦略の展開が機能不全に陥るからだ。成長戦略の展開に耐えうる経営基盤を整えるには、事業の健全化と効率化が必須条件になり、これらをおざなりにすると、必ず成長戦略がどこかでとん挫する。事業の健全化は、経常利益の黒字化、フリーキャッシュフローの拡大、顧客に尽くす当たり前の仕事ができる風土作りの三本柱が肝になり、これらの実現が組織力強化と利益拡大の土台になる。事業の効率化は、新しいノウハウを取り込み、顧客接点を増やすため、或いは、顧客満足度や顧客サービスを向上させるための業務改善の推進が正攻法になり、これらの取り組みが組織力強化と利益拡大を一段と後押しする。企業成長を加速する未来投資戦略成長戦略の肝は成長投資、つまり、未来投資の実践に尽きる。未来投資とは、将来の成長を見込んだ先行投資のことで、先行投資の成果が大きいほど、事業の拡大スピードが加速する。未来投資は、戦術的投資・戦略的投資・中長期的投資の3つに大別することができ、この3つの成長投資をバランスよく実践することが、成長戦略の成功条件になる。なお、戦術的投資とは、毎年見直すべき成長投資で、販促やインセンティブ等の短期的視点で行う成長投資のことである。戦略的投資とは、長期に亘り毎年支出する成長投資のことで、中長期的投資とは、大規模修繕、設備投資、大型リース等々、比較的投資金額が大きく、投資効果が中長期に及ぶ成長投資のことである。企業成長を加速する投資ポートフォリオ成長戦略を成功させるには、戦術的投資・戦略的投資・中長期的投資の3つの未来投資をバランス良く実践することが欠かせない。未来投資のポートフォリオ(投資分散の組合せ)は、会社を取り巻く経営環境、或いは、事業特性や業界特性によって変わる。未来投資のポートフォリオ例前期の通り、未来投資のポートフォリオは会社によって大きく変わるが、例えば、資本集約型の産業(製造業等)のポートフォリオは、中長期的投資の比重が重くなり、資本集約型と人的集約型の中間に位置する産業(小売業等)のポートフォリオはバランス重視になる。企業成長を加速する成長戦略のまとめ成長戦略とは、企業成長を後押しする経営戦略(経営方針)のことで、成長戦略が明快なほど、企業成長を目標とした会社経営の軸足が確固たるものになる。成長戦略を展開するには相応の経営基盤(盤石な組織力と利益水準等)を整える必要があり、そのための出発点が、事業の健全化と効率化になる。また、成長戦略は、戦術的投資・戦略的投資・中長期的投資の3つの未来投資の実践が肝になり、会社の経営環境や事業特性に合わせた投資ポートフォリオの構築が成長戦略の成功を大きく左右する。企業成長(進化・脱皮・変化等)は、会社存続の絶対条件になる。成長戦略の展開が十分にできているか否か、一度点検することをお薦めする。
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  • 多角化戦略4つの型のメリット・デメリット|水平型・垂直型・集中型・集成型
    多角化戦略4つの型のメリット・デメリット|水平型・垂直型・集中型・集成型多角化とは、本業の他にも多角的に事業を展開することである。多角化戦略には、水平型・垂直型・集中型・集成型の4つの型があり、それぞれにメリットとデメリットがある。この記事では、多角化4つの型と中小零細企業における多角化戦略のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。多角化とは?多角化とは、本業の他にも多角的に事業を展開することである。中小零細の企業経営の成功セオリーは、多角化とは反対の「選択と集中」が一般的だが、やはり、一定の多角化がなければ衰退リスクは大きくなる。例えば、選択と集中で事業構成をシンプルにするほど、事業効率が高まり、収益も上がり易くなるが、何かの拍子で既存商品や販路等が不調に陥ると、その瞬間に衰退リスクが大きくなる。ショップ(実店舗)一択の販路しか持っていない企業が、災害や不可抗力等でショップの集客力を失い、事業が衰退するパターンは典型になる。こうした事業リスクは、ショップ以外(通販・委託・卸売り等)の販路を多角化で拡大することで払拭できる。選択と集中で本業の事業価値を高めることは事業存続の絶対条件になるが、その本業の顧客のすそ野を広げる手段として、多角化戦略は大いに役立つのだ。なお、多角化戦略を大別すると、水平型・垂直型・集中型・集成型の4つの型がある。それぞれの特徴とメリットとデメリットについて、順を追って詳しく解説する。水平型多角化戦略水平型多角化について、詳しく解説する。水平型の多角化とは、既存顧客、並びに、既存顧客に類似する顧客に対して、既存の経営資源やノウハウを活かして作った新商品を投入する多角化戦略である。商品の横展開と同時に販路開拓にも力を入れている総合家電メーカーのようなビジネスモデルが典型になる。また、既存販路のデジタル化(ネットショップ・ネットモール・オンライン化等)を進めて、顧客のすそ野を広げる戦略も水平型多角化に該当する。既存の顧客・知見・経営資源・ノウハウ等をフル活用できるので、比較的リスクの低い多角化戦略になる。中小零細企業においても、水平型の多角化戦略はメリットが多く、デメリットが少ないので、積極的に展開したい多角化戦略と言える。垂直型多角化戦略垂直型多角化について、詳しく解説する。垂直型の多角化とは、既存顧客、並びに、既存顧客に類似する顧客に対して、新しいノウハウをベースに作った新商品を投入する多角化戦略である。最新のデジタル技術や通信インフラを活用した新商品、或いは、製造業が非製造業を買収することで生まれる新商品を既存顧客に提案する戦略は典型になる。また、既存ビジネスの前後の事業分野を新たに取り込み、既存顧客のすそ野を広げる戦略も垂直型多角化に該当し、企画・製造・流通・販売等をすべて担うユニクロのようなビジネスモデルは典型になる。垂直型の多角化戦略は、専門性と堅実性が肝になるので、素人レベルで安易に手を出すと失敗する可能性が高い。短期的に事業規模を拡大できるメリットはあるが、中小零細企業にとってはデメリットの方が大きい。垂直型の多角化を展開する場合は、スモールビジネスからスタートし、トライ&エラーを繰り返しながら多角化事業の規模を大きくする意識が重要になる。集中型多角化戦略集中型多角化について、詳しく解説する。集中型の多角化とは、既存の経営資源やノウハウを活かして作った新商品を、全く新しい顧客(市場)に対して投入する多角化戦略である。カメラ・フィルム技術を医療機器・化粧品等に転用した富士フィルムのようなビジネスモデルは集中型多角化の典型になる。また、法人向け商品の製造技術を活かして、家庭用や末端消費者向けの商品を作り、新たな顧客を開拓する戦略も集中型多角化に該当する。集中型の多角化戦略は、アイデアひとつで事業化できるメリットがある一方で、営業力(販売力)が肝になるので、販売の難易度が高いというデメリットがある。しかし、昨今はデジタル技術(HP・SNS等)を使えば、比較的簡単に新たな販売ルートを開拓することができるので、中小零細企業であっても積極的に挑戦すべき多角化戦略と言える。集成型多角化戦略最後に、集成型多角化について、詳しく解説する。集成型の多角化とは、既存の顧客も既存のノウハウも全く接点がない分野で新たに展開する新規商品、あるいは、新規事業のことである。集成型多角化のことをコングロマリット型多角化ともいうが、複数事業を展開している総合商社などが典型になる。また、小売業者や製造業者が金融業に進出するケースや通信業者が農業や飲食業に進出するケースも集成型多角化に該当する。集成型の多角化は、多額の先行投資を要するだけでなく、既存ビジネスとの接点がゼロなので超ハイリスクであり、進出先の市場にライバルが多い場合はリターンも少ないため、資本力に乏しい中小零細企業には不向きな多角化戦略と言える。
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  • 設備投資・成長投資・先行投資の7つの判断基準と考え方
    設備投資・成長投資・先行投資の7つの判断基準と考え方設備投資は成長投資や先行投資の範疇に入り、製造業等の資本集約型企業にとって会社の繁栄を支える欠かせない取組みになる。しかし、設備投資等の成長投資は判断基準や考え方を誤ると、投資が仇となって会社の衰退リスクを作るきっかけになり得ることがある。この記事では、設備投資・成長投資・先行投資の7つの判断基準と考え方について、詳しく解説する。成長投資(設備投資等)とは成長投資(先行投資)とは、投資の対価を得るために先行して投じるお金や時間のことだ。投資の対価は事業成長・新規顧客・収益拡大等のリターンのことで、このリターンを得るために、設備投資・人財補充・人財育成・新規事業・最新ノウハウ導入等を推進することが成長投資の本質になる。また、成長投資(先行投資)には、顧客を生み出す重要資源の陳腐化を防ぐ役割がある。重要な経営資源とは、ビジネスモデル・経営基盤・商品・設備・人財等のことで、成長投資が充実するほど、これらの経営資源の優位性が高まり、企業の永続性が一段と強固になる。成長投資(設備投資等)の考え方成長投資の対象は次の3つが重要になる。経営者の力量磨き:魅力や力量磨き、弱点克服、専門性強化等経営基盤の強化:設備投資、設備更新、人財育成、顧客接点拡大、脆弱部分の補強、付加価値研鑽等成長基盤の強化:最新設備導入、変化の先取り、新規事業の展開、新商品やサービスの充実、最新設備導入等そして、成長投資は以下3つに分類される。戦術的投資:毎年見直すべき成長投資戦略的投資:長期に亘り毎年支出する成長投資中長期的投資:大規模修繕、設備投資、新規事業等下図は、成長投資のポートフォリオ例である。成長投資のポートフォリオは業種業態によってバランスが変わる。例えば、製造業等の資本集約型企業は、戦術的投資<戦略的投資<中長期的投資(設備投資等)となり、小売等のサービス業は、中長期的投資<戦術的投資<戦術的投資(宣伝販促等)となる。成長投資(設備投資等)の7つの判断基準成長投資は機を逃さず先手必勝で実行するのが基本原則になる。なぜなら、先手必勝の姿勢がライバルに大きな差をつけるからだ。しかし、成長投資の基準は多種多様なので、原則論を抑えた上で、自社の経営環境に合わせて臨機応変にアレンジするのがベストである。以下に成長投資(先行投資・設備投資)の7つの判断基準を紹介する。様々な局面に合わせて複合的に基準を運用することが投資成功の精度を高める秘訣になるので、上手にアレンジすることをお薦めする。成長投資(設備投資)基準(1)粗利高営業利益率10~20%以上キープ粗利を100円稼いだら10円~20円の営業利益を残す。この水準が経営の健全性をキープできる最低ラインになる。この判断基準を活用すると、一定の利益水準をオーバーしたら成長投資を加速する、或いは、利益水準が低下したら成長投資を抑えるといった投資判断が簡単にできる。成長投資(設備投資)基準(2)現預金残高の増加キープ会社は現金がなくなると倒産するので、現預金の増加傾向をキープすることは企業存続の絶対条件になる。現預金残高は月商の3倍以上、年商2億円以下の会社は月商の6倍以上が目標ラインになる。この判断基準を活用すると、一定の現金水準をオーバーしたら成長投資を加速する、或いは、現金水準が低下したら成長投資を抑えるといった投資判断が簡単にできる成長投資(設備投資)基準(3)フリーキャッシュフローを投資に回すフリーキャッシュフローとは、会社が自由に使えるお金のことである。経常利益の大よそ半分は税金で取られるので、経常利益の半分に現金流失のない減価償却費を加算することで計算できる。(FCFの計算式=(経常利益×50%)+減価償却費)投資の判断基準は、フリーキャッシュフローの半分が適正ラインになるが、借入返済がある場合は考慮する必要があり、返済過多だと投資できる金額が少なくなる。大きな設備投資を控えている場合は、フリーキャッシュフローの計画的貯蓄が成功を左右する。成長投資(設備投資)基準(4)減価償却費をプールする減価償却費と同額の現金を毎期貯蓄し、設備投資の買い替えサイクルを綺麗に回すと、設備の老朽化や陳腐化を防ぐことができる。特に、製造業等の資本集約型企業は減価償却費の総額を減らさない意識を持つことが大切になる。成長投資(設備投資)基準(5)投資回収の期限は1年以内(最長2年)比較的小規模な成長投資(新商品・新サービス等)は、1年以内(最長2年以内)に投資金額を回収という判断基準をお薦めする。最長2年経過しても回収できない場合はプランの練り直しを検討した方が良いだろう。成長投資(設備投資)基準(6)収益化のタイミングは1年以内(最長2年)比較的大規模な成長投資(新規事業・大型投資等)は、1年以内(最長2年以内)に収益化(黒字化)という判断基準をお薦めする。なお、黒字判断はキャッシュフローで考えるので、投資資金を外部借入で補填した場合は、返済金も含めて投資収支を計算すること。成長投資(設備投資)基準(7)原資が自己資金や投資家の援助等であれば無限大返済期限のない原資を用いる場合は、成長投資の上限を考える必要はない。自分の報酬を脇に置いて、事業の繁栄に尽力する成功者は意外と多い。
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  • 参入障壁の作り方|高い参入障壁なくして企業の存続なし
    参入障壁の作り方|高い参入障壁なくして企業の存続なし参入障壁とは、ある企業が市場に参入する際の障壁の高さのことである。参入障壁が低いと、ライバル企業が密になり市場競争が激化するので、高い参入障壁なくして企業の存続はないといっても過言ではない。この記事では、参入障壁の基本概要、並びに、高い参入障壁の作り方について、詳しく解説する。参入障壁とは参入障壁とは、ある企業が市場に参入する際の障壁の高さのことである。参入障壁が高いと、必然的にライバル企業が少なくなるので、競争優位性と事業永続性が高まる。逆に、参入障壁が低いと、必然的にライバル企業が多くなるので、競争優位性と事業永続性が低下する。参入障壁の高い会社の典型は、オンリーワン企業、参入規制が厳しい業種、許可制・免許制の業種、高い関税で守られている業界等である。オンリーワン企業を除いて、その業界の既得権益が大きいほど参入障壁が高く、ライバルの脅威が小さくなる。しかし、こうした参入障壁の高さは、特定の業界を守るメリットがある一方で、市場経済の停滞や消費者利益の棄損などのデメリットがある。従って、参入障壁の高い企業が、社会にとって有益か否かは、一概には語れない側面もある。高い参入障壁に作り方参入障壁は様々な要因によって作られるが、代表的な例は以下の通りである。法規制等による参入障壁法規制等による参入障壁は、免許制、許認可制、承認届出制などの法規制が厳しいほど障壁が高くなる。電力・ガス・水道・運輸・金融・郵便・通信・放送・流通事業などが典型になる。規模の経済による参入障壁規模の経済による参入障壁は、事業規模を拡大し、少ないコストで大量の商品やサービスを市場に提供することで障壁が高くなる。中小零細が太刀打ちできない大企業等が典型になる。ブランド力による参入障壁ブランド力による参入障壁は、ブランドの認知度を高めるほど障壁が高くなる。特定の事業分野で優位に競争を展開しているファッションブランドだけでなく、食品、医療品、化粧品、ホテル、テーマパーク等に至るまで、ブランド力によって高い参入障壁を有しているナンバーワン企業は沢山ある。また、中小零細企業であっても、地域や事業を絞り込んでナンバーワンを目指せば、簡単に参入障壁を高めることができる。競争優位性による参入障壁競争優位性による参入障壁は、独自的・優位的・突出した技術・コスト・ノウハウ・ビジネスモデル・ネットワーク・アイデンティティ等を研鑽することで障壁が高くなる。熱狂的なファンを引き付けているオンリーワン企業が典型になる。競争優位性による参入障壁は、中小零細企業に最も相性の良い障壁といえる。資金調達力による参入障壁資金調達力による参入障壁は、独自の資金調達ルートやノウハウを蓄積、或いは、高い収益性を確立することで障壁が高くなる。大企業だけでなく、ベンチャーや中小零細であっても、資金調達力がある会社ほど高い参入障壁を有している。会社はお金が無くなると倒産するので、極めて重要な障壁といっても過言ではない。参入障壁なくして企業の存続なし参入障壁が高ければ、将来が安泰になるわけだが、他力本願ではたかが知れている。やはり、自力本願の精神で、ビジネスを進化させる努力が不可欠だ。なぜなら、規制緩和、技術革新、関税撤廃、補助金打切り、価値観の変化、テクノロジーの進化、外資やベンチャーの参入など等をきっかけに、従来の参入障壁が崩壊することが往々にしてあるからだ。変える必要などない、或いは、変えられないと思っている内はダメである。外資、新興企業、ベンチャーは「変えられる」と思って、どこからでも競争に参入してくる。どうやって成長産業に変えるのか?この自問自答を真剣に考えて、進んで変化を起こす実行力が、参入障壁を高める確かな方法だ。また、オンリーワン企業を目指すために、競争優位性を研鑽し続けることも大切になる。
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  • 衰退する会社の特徴|企業衰退の原因は目の前にある
    衰退する会社の特徴|企業衰退の原因は目の前にあるわたしはこれまで数多くの衰退企業を見てきたが、会社が衰退する根本原因は「経営課題の見落とし・見過ごし・見誤り」に尽きる。経営課題とは、会社の発展を阻害する要因のことだが、衰退する会社ほど経営課題に鈍感で、衰退リスクが深刻になるまで放置されているケースが多い。この記事では、衰退する会社の特徴について、詳しく解説する。会社衰退のメカニズム会社衰退のメカニズムについて、詳しく解説する。会社が衰退する根本原因は経営課題の見落としに尽きる。どんなに小さな課題であっても、課題を見落とした瞬間から会社の衰退が始まる。経営課題を見落とすことで表面化する負の要素は売上減少や赤字転落等があるが、こうした数字の悪化は、すでに末期症状である。重要なのは、数字が悪化する前に先手先手で課題を発掘・解消することで、例えば、顧客サービスの低下、商品力の低下、組織力の低下など等、数字の悪化に繋がる課題を決して見落とさないことが大切になる。課題を小さな内に捉えて解消している限り会社は衰退しない。逆に、課題が大きくなるまで放置すると打つ手が限られ、衰退から脱却するのが難しくなる。つまり、経営課題と向き合う姿勢ひとつで会社の盛衰が決まるのだ。衰退する会社の特徴衰退する会社の特徴について、詳しく解説する。衰退する会社の最たる特徴は「経営力が低い」ことだ。経営力とは、社長の経営能力、経営管理の精度、経営マネジメント力、事業構想力、人財育成力、マーケティング力など等の会社経営を支える総合的な力のことである。簡単に言えば、経営者と幹部の力量になるが、この経営力が低下すると経営課題の見落としが頻発し、会社が衰退する。会社は経営者の能力以上に大きくならないと良く云われるが、本当にその通りで、経営者が自身の力量を上げる努力を継続している限り、会社は衰退しない。逆に、力量を上げる努力を放棄すると、経営力が低下し会社は簡単に衰退する。会社は自壊によって衰退する会社の衰退は経営力の低下により決定付けられる。天災等の不可抗力を除いて、景気悪化やライバルの台頭などの外部環境の悪化により会社が衰退するのではなく、会社内部に衰退の原因があることが殆どだということだ。つまり、企業衰退の原因は目の前にあり、殆どの企業は自壊によって衰退するのだ。これは、事業規模や業績好調不調を問わず、どんな会社にも当てはまる法則ですので、くれぐれも肝に銘じてほしい。私の経験上、殆どの衰退企業は、経営者の力量不足、あるいは、油断や慢心によって自壊している。経営者の責任は非常に重く、このことを深く理解している経営者ほど会社を繁栄させている。
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  • 古い体質の会社を変える方法|時代遅れの会社が先端に追い付くやり方
    古い体質の会社を変える方法|時代遅れの会社が先端に追い付くやり方古い体質の会社は少なくない。たとえ先端の会社であっても、時の経過と共に古い体質の会社になることも珍しくない。この記事では、古い体質の会社を変える方法、並びに、時代遅れの会社が先端に追い付くやり方について詳しく解説する。古い体質の会社とは古い体質の会社とは昔ながらのやり方を踏襲している保守的な会社のことである。古い体質の会社は、先端的な会社に比べて組織の役割や仕事の方法が硬直化しているので、変化に疎く、進化のスピードが極めて遅い特徴がある。例えば、企業間決済の手法の一つである手形決済の使用実績は、30年前(1990年)のピーク時に比べて97%減少している。経済産業省は2026年をめどに約束手形の利用廃止を目指す方針を打ち出しているが、この古い決済慣習が残っている会社などは、古い体質の会社の典型と言える。また、男性と女性の差別や線引き、雑用=新人・女性といった価値観、デジタル化や先端ノウハウの未活用、官僚化や縦割り組織、固定観念や一般常識に固執する企業なども、古い体質の会社の特徴といえる。古い体質の会社を変える方法古い体質の会社は進化のスピードが極めて遅いので、時代が変わると一気に衰退することが往々にある。いつの時代もより元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤を確立するのは、古い体質からの脱却が絶対条件になる。古い体質から脱却するための絶対条件は二つある。ひとつは「自分達の会社は古い体質にある」ということを強く自覚すること。もう一つは、「顧客志向を徹底する」ことである。この自覚が持てると進化するための行動や顧客のための当たり前の仕事がし易くなり、時の経過と共に周囲から必要とされる会社に変貌し、古い体質が無くなっていく。たとえ先端的な会社であっても、この自覚が弱まると、すぐに古い体質の会社に転落するので、折にふれ自己診断することをお薦めする。時代遅れの会社が先端に追い付く方法時代遅れの会社が先端に追い付く確実な方法は「新しい常識を作る」ことである。常識にしがみつくのではなく、顧客や業界を進化させるために、絶えず常識をアップデートし、自らの力で新しい常識を作るのである。常識はいつの世も影響力のある人間や企業が作っている。そして、そうした影響力は、自分の正しさを捨てて、新しい変化や多様な考え方を受入れるほど強くなる。具体的には、新しい知見やノウハウ、最先端の技術や設備、多様なバックグランドを持った人財を活用するほど影響力が高まり、新たな常識を生み出す経営基盤が盤石になる。昔からの常識が非常識に転換するのは一瞬で、新しい常識の波に乗り遅れると会社は簡単に衰退する。元気な会社ほど新しい常識を沢山生み出して、社会に楽しさや喜びを与えている。また、そうした企業が世の中の進化をけん引し続けている。(この記事は2021年9月に執筆掲載しました)
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  • ワンマン経営の3つの成功条件|中小企業はワンマン社長が当たり前
    ワンマン経営の3つの成功条件|中小企業はワンマン社長が当たり前ワンマン経営とは、独裁色の強いワンマン社長が会社の頂点に君臨して、ワンマン体制で会社経営を采配している状態のことだ。ワンマン経営は失敗リスクが高いが、意思決定のスピードが速く、経営判断が当たり続ければ会社の成長スピードが加速するので、ワンマン経営であっても成功している中小企業もある。この記事では、ワンマン経営の3つの成功条件について、詳しく解説する。ワンマン経営の成功条件1「社員想い」ワンマン経営の成功条件1は「社員想い」である。社長個人の幸せより社員の幸せを優先する、現場や社員の意見を理解する、社員の働きに感謝し労う、等々の社員想いの姿勢は、ワンマン経営を成功に導く必須条件といっても過言ではない。たとえ、ワンマン的な決断であっても、根底に社員想いの姿勢があれば、その決断に反発する社員は殆ど現れない。むしろ、社長の決断を尊重し、社長を全力で支えるマインドが組織全体に定着する。社員を無視したワンマン経営に成功はない。何により、成功のヒントは常に現場にあり、社員が熟知している。ワンマン経営に成功したければ社員想いを忘れないことだ。ワンマン経営の成功条件2「数字に強い」ワンマン経営の成功条件2は「数字に強い」である。業績理解が深い、客観的根拠が豊富にある、多彩な数値目標を活用している等々、社長の数字力が強いとワンマン的な決断であってもミスが少なくなる。また、決断の検証精度が高まる、数字に強い社員が増える等々の効果もあるため、安定経営の基盤が整い易い。事業活動の結果は必ず数字に表れるので、数字を無視した会社経営は失敗リスクが高く、それがワンマン経営であれば、なおさらだ。客観的視点を欠かさないためにも、数字をよく観察し、日頃からしっかり分析することが肝要だ。ワンマン経営の成功条件3「右腕がいる」ワンマン経営の成功条件3は「右腕がいる」である。ワンマン社長の才覚を最大化するには、ワンマン社長の方針や指示をくまなく速やかに実現する右腕の存在が欠かせない。当然ながら、ワンマン社長の方針等の実現度が低下すると、会社の成長スピードは鈍化する。また、ワンマン社長と末端社員の間に意見の相違が現れやすくなるので、組織力の低下と共に業績が悪化するリスクが高まる。右腕の存在は、ワンマン経営成功の必須条件であり、ワンマン経営に限らず、右腕の存在が会社成長のスピードを決定づけるといっても過言ではない。ワンマン経営の限界点ワンマン経営の成功条件を満たしていれば、ワンマン社長のマインドが末端社員まで行きわたり、会社の成長スピードが加速し、更に会社衰退のリスクが軽減されるので、安定経営の経営基盤が自ずと整ってくる。しかし、会社の規模や社員数によっては、ワンマン経営にも限界が訪れる。一般的には、年商10億円、若しくは、社員数100名を超えると、ワンマン経営の成功率が著しく低下する。ワンマン社長に天才的な経営の才覚があったとしても、会社経営は生き物のようなものなので、相応の規模を完全にコントロールすることは難しい。やはり、会社がある程度成長した段階でワンマン経営から徐々に抜け出し、チームでの経営体制に移行した方が失敗リスクは低下する。因みに、最も重要な条件は「右腕の存在」になる。複数の右腕を各所に配置することが出来れば上手にワンマン経営から抜け出すことができ、年商10億円、年商100億円の壁を突き抜けることが容易になる。ワンマン経営の弊害ワンマン経営の成功条件が満たされていないと、様々な衰退リスクや経営上の弊害を生み出す。例えば、イエスマンの増殖や社員の士気低下(原因:社員想いの欠如)、後継者やナンバーツー不在(原因:右腕不在)、客観性の欠如に伴う決断ミス(原因:数字力低下)等は、典型的な弊害になる。イエスマンが増殖すると覇気がなくモチベーションの低い会社組織になるので、業績悪化のスパイラルに陥り易くなる。後継者やナンバーツー不在は、ワンマン社長の能力不足と共に会社が衰退するリスクが高まる。数字力が低下すると、客観性の欠如に伴う決断ミスが多発し、ひとつの決断ミスが命取りになる場合もあり得る。ワンマン経営を成功させるには、社員想い、右腕の存在、高い数字力が必須条件になる。この必須条件に沿った会社経営の実践、或いは、不足を補う努力がワンマン経営の成功率を高める。また、このほかにも全責任を背負うマインドや誰よりも熱心に経営の勉強をする姿勢を見せることもワンマン経営の成功に欠かせない。
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  • 経営を簡単に可視化する方法|経営の見える化が成長を加速する
    経営を簡単に可視化する方法|経営の見える化が成長を加速する経営を可視化するとは、数字を視覚化する、ということである。経営が可視化され、売上や現金といった数字の動きが経営者と社員の頭のなかに入ると、会社の成長スピードが一段と加速する。この記事では、経営の見える化メリット、並びに、経営を簡単に可視化する方法について、詳しく解説する。経営の見える化が成長を加速する経営の見える化が、会社の成長を加速する。なぜなら、業績変動の原因と結果の因果関係が客観的に整理されることで、組織の行動原理が明快になり、日を追うごとに事業活動の精度が高まるからだ。逆に、経営の可視化がされていない会社は、合理的な行動原理が組織に定着しないため、行き当たりバッタリの経営に陥り、会社衰退のリスクが高まるばかりとなる。事実、赤字経営に陥っている中小企業の殆どは、経営が可視化されていない。経営を可視化するには、会社の数字を把握するためのデータが必要だが、さまざまな経営データの中でも最低限必要なデータは「財務諸表の数字」になる。財務諸表には事業活動の結果のすべてが集約されている。従って、財務諸表から必要な数字を抜き取ると、明快に経営を可視化することができる。大企業のなかには分速で会社の数字が集計され、常に経営が可視化されている会社もあるが、中小企業の場合は、最低限、月単位で経営が可視化されていれば十分だ。財務諸表の数字で経営を可視化する方法経営を可視化するために抜き出す数字は、売上、利益、現金など等、会社の成長と密接に関係している数字に限定した方が分かりやすい。会社経営の目的は利益拡大にある。そして、会社は現金がなくなると倒産するので現金の残高も重要になる。この利益と現金を増やすには、売上の最大化と経費の最小化を同時に進めることが欠かせず、そのためには、売上・経費・利益等の可視化が不可欠になる。数字を視覚化し、経営を可視化するにはコツがある。まず抑えるべき点は、貸借対照表と損益計算書の数字の集計方法である。貸借対照表の数字は、現時点の残高を示すものなので、最新の月末残高を追いかけるだけで資産実態が可視化できる。損益計算書(月次試算表)は、ひと月単位の期間損益を示すものなので、必ず年計を用いる。例えば、4月時点の年計は、前年5月~当年4月を集計する。損益を年計すると、季節変動や特需要因などのバラツキが解消された年商単位の損益推移が可視化できる。次に、抑えるべき点は、貸借対照表と損益計算書から抜き出す数字、そして、その数字を視覚化する方法だ。貸借対照表から抜き出す数字は、現金預金、売掛金(受取手形含む)、棚卸残高、借入金(長期・短期)、純資産の5つである。損益計算書から抜き出す数字は、売上、売上原価、売上総利益、販売管理費、営業利益の5つである。それぞれの数字の月別推移をグラフにすると、数字が視覚化され、経営実態が分かりやすく可視化される。さらに、このグラフに現金残高や利益金額などの目標を加えると、優れた経営ツールとして活用することができる。経営の可視化効果を最大化するための方法経営を可視化した後にすべきことは、情報の共有だ。経営の可視化データを経営者と社員が共有すると、経営目標と行動原理が明快になり、会社の成長スピードが一段と加速する。また、事業活動の結果を絶えず可視化することで、経営者をはじめとする関係者全員が、しっかりとした手ごたえを感じながら経営改善を進めることができる。じつは、業績が悪い会社ほど、経営が可視化されていない。たとえ経営が可視化されていたとしても、データを隠したがる。繰り返すが、経営の可視化データは、全員で共有しなければ意味がない。経営実態を可視化し、さらにそのデータをすべて開示・共有することが、会社の更なる成長に繋がるのだ。
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  • 会社を立て直し黒字化する方法|会社の業績を改善する確かな手法
    会社を立て直し黒字化する方法|会社の業績を改善する確かな手法会社を立て直し黒字化する方法は、会社のあるべき姿を明確にイメージするところから始まる。なぜなら、会社のあるべき姿を明確にイメージしないと、会社を立て直すうえで障害になり得る経営課題を明らかにすることが出来ないからだ。会社のあるべき姿には、経営理念等の抽象的なものと、数値目標等の絶対的なものがあるが、会社を立て直し黒字化するには、最低限、経営理念と数値目標、この両面が欠かせない。じつは、業績が悪化する会社、或いは、赤字経営が常態化している会社に限って、会社のあるべき姿が曖昧だ。例えば、経営理念がないために組織が方向感覚を失い、行き当たりバッタリの経営に陥っている会社、或いは、数値目標がないために、強い利益意識やコスト意識が欠落している会社などは、あるべき姿が曖昧な会社の典型例である。また、経営理念や数値目標がない会社の業績がひとたび悪化すると、会社を立て直し黒字化することが難しくなるので、業績悪化の負のスパイラルに陥りやすくなる。場合によっては、会社の立て直しができず、倒産まっしぐらといった状況に陥ることもあり得る。あるべき姿を明確にイメージすることなく、会社を立て直すことは至難の業なのだ。会社の組織全員があるべき姿に向かうと、確実に、業績が好転する方向に組織の力が集結するので、黒字化と共に、会社立て直しの見通しが見えてくる。なお、経営理念は経営者の想いと会社の存在意義を掲げると、組織の力を1点に集中させる目標になり得る。創業から代が下るにつれて経営理念が曖昧になっている会社は少なくないが、会社を立て直し黒字化する出発点として、まずは経営理念を見直してみてほしい。会社を立て直し黒字化するための数値目標とは?会社を立て直し黒字化するには、然るべき数値目標を掲げ、組織に利益意識とコスト意識を定着させる必要がある。なぜなら、利益の追求と適正なコストコントロールなくして、会社の立て直しなど出来ないからだ。事実、業績が悪化する会社には利益目標がなく、コストも適正にコントロールされていない。なお、赤字経営、つまり、マイナスの状態から会社を立て直し黒字化する場合の数値目標は、営業利益ゼロが最初の目標になる。営業利益ゼロに向かって会社を立て直し黒字化する方法は、次の3つがある。1.マイナス分の利益をカバーするための売上を新たに作る2.利益の総量を増やすために利益率を改善する3.過分にかかっている経費をカットする上記3つの方法を会社の立て直しに即効性がある順番に並び変えると、3⇒2⇒1の順になる。会社を立て直すために売上拡大に躍起になる経営者をたまに見かけるが、売上拡大の優先度は最後尾である。そもそも、従前の売上拡大の活動が、業績悪化の元凶になっているケースも珍しくない。コストカット、利益率の改善を速やかに実行し、営業利益ゼロに回復した後に、資金的な余裕をもって売上拡大に移行するのが、会社立て直しの正攻法である。また、組織の不安や不満を徹底的に洗い出して会社の深刻な経営課題を浮き彫りにし、その経営課題を一つひとつ解消することも会社の立て直しに欠かせない取組みになる。
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  • 業績改善の効果を劇的に引き上げる3つの方法
    業績改善の効果を劇的に引き上げる3つの方法業績改善は企業存続の絶対条件と言える。なぜなら、時代の変化にいち早く対応し、スピーディーに業績改善を実践する企業のみが生き残るからだ。この記事では、業績改善の効果を劇的に引き上げる3つの方法について、詳しく解説する。業績改善目標を掲げる目標を掲げることは、業績改善の効果を上げる絶対的な方法になる。なぜなら、業績は、目標に対して動くことで初めて改善されるからだ。目標は業績の状況に応じて、使い分けると効果的だ。例えば、大きな目標(売上10倍等)を掲げると、抜本的・画期的・前衛的な改善方法やアイデアが出やすくなる。比較的改善しやすい小さな目標(粗利率1%改善等)を掲げると、堅実的な改善方法が出やすくなり、目標必達までの足取りがより確実になる。なお、業績改善の効果を劇的に上げるには、具体的な目標を掲げることが肝要で、特に、数値目標、目標達成期日、目標管理責任者は必須になる。ちなみに、会社全体の業績改善効果を高めるお薦めの数値目標は、粗利高営業利益率20%以上、現金残高月商3倍以上である。この2つの数値目標を目指して業績改善を積み重ねると繁栄の基盤がますます盤石になる。業績改善の行動量を増やす業績改善の効果を劇的に上げるには、行動量を増やすことが有効だ。業績改善のために沢山行動するほど、成功と失敗の経験値が高まるからだ。1回の行動で成功すれば儲けもので、たとえ失敗しても成功の方法が洗練されるので、行動することのデメリットは一つもない。誰よりも早く行動し、その行動結果をしっかり検証し、行動の精度を高めることを繰り返せば、業績改善のスピードは飛躍的に速まる。業績を改善する上での最大の失敗は何も行動しないことだ。業績改善の結果が大きくなるまでは、とにかく質より量を優先して行動量を増やすことをお薦めする。【関連記事】失敗はないという概念が成功を引き寄せる業績改善を管理会計で最適化する管理会計を導入すると業績改善の一連の活動が最適化される。なぜなら、管理会計は、業績改善の目標設定、経過観察、検証分析、行動改善の全ての精度を高めるからだ。管理会計は、あらゆる数字を業績改善に役立つ情報に変換する機能があり、加えて、運用を継続するほど業績改善の効果を引き上げる。次のグラフは、私が経営サポートに入る1年前の事例企業の主な業績だが、ご覧の通り、適正値(青いグラフ)に比べて、全ての業績が適正水準を下回っている。次のグラフは、私が経営サポート(管理会計導入)を開始して1年後の主な業績だが、ご覧の通り、殆どの業績が適正水準に達していて、営業利益は指導前の20倍以上に達している。管理会計を導入すると業績改善の効果が劇的に高まるだけでなく、業績悪化の芽を摘むこともできるので、業績好調を維持し易くなる。まさに、業績改善の必須ツールと言っても過言ではない。
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  • 目標を数値化するアイデアと方法|数字目標のメリット・デメリット
    目標を数値化するアイデアと方法|数字目標のメリット・デメリット目標を掲げると、目標と現実の間のギャップが明らかになるので、やるべきことが明快になる。さらに、目標を数値化すると、結果測定や結果評価が容易になり、目標達成のプロセスを最適化し易くなる。この記事では、目標を数値化するアイデアと方法、並びに、数字目標のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。数値目標のメリット数値目標の代表的なメリットは3つある。一つは目標がより明快になること。もう一つは目標達成の過程や結果の測定ができること。最後は目標達成のプロセスを最適化できることだ。目標が明快になることは数値目標の最たるメリットと言える。例えば、売上を増やすという目標と、売上を100万円増やすという目標があった場合、やるべき事がより明快になるのは後者の数字が入った目標である。さらに、売上100万円増加という目標を達成する過程において、途中経過(成果結果)を随時測定できる点も数値目標の大きなメリットになる。結果測定ができると、目標達成のための方法論の良し悪しを評価することができるので、数値目標が多岐にわたるほど、目標達成のプロセスを最適化し易くなる。目標数値化の方法論数値目標は単一的ではなく、複合的に設定すると、目標達成のための動きが洗練される。例えば、売上100万円アップという単一的な数値目標ではなく、売上100万円アップ+利益と現金を20万円残すという数値目標を加えると、目標達成のプロセスと成果結果が大きく変わる。具体的には、売上を増やすという意欲に加えて、適正利益を確保する意欲と現金回収の意欲も高まり、コスト意識と利益意識が強化される。当然ながら、こうした数値目標を活用するほど、事業活動の収益性と生産性は高まる。複合的な数値目標は、目標達成後の理想像を明確にイメージすることで見えてくるので、数値目標を設定する際は、何よりも優先して目指すべきゴールをしっかり見定めることをお薦めする。なお、事業活動を最適化するための数値目標は、金額ベースの他にも、営業件数、引合い件数、成約率、客数、購入単価、購入回数、サイトアクセス数、電話応対時間、製造能力、歩留まり率、クレーム件数等、沢山のアイデアがある。また、粗利率、経費率、営業利益率、売上成長率、売上占有率、労働分配率、本部経費率などの経営指標を多角的に活用する方法もお薦めする。【関連記事】中小企業に使える経営指標と経営分析手法数値目標のデメリット数値目標の危険なデメリットは一つである。それは、行き過ぎた「数字至上主義」の定着である。例えば、数字必達のためなら手段は構わない。数字でしか社員を評価しない。数字のためなら他者に犠牲を強いる、などの経営姿勢は典型例と言える。数字至上主義のデメリットが色濃くなると、社員や顧客からの信用を失うリスクが極めて高くなるので、たとえ成功したとしても短命で終わり易い。社員あっての数字、顧客あっての数字という原理原則を忘れず、社員と顧客に感謝し、社員と顧客に尽くす姿勢が、良い数字を作り出す。この理を無視すると、数字に翻弄される行き当たりバッタリの会社経営に陥るので、くれぐれも注意してほしい。数字はあくまで結果に過ぎない。数字が悪いという事は、社員と顧客への感謝、或いは、社員と顧客に尽くす姿勢が不足している表れでもある。
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  • 事業分析に役立つ数値指標と計算公式|事業活動をセルフチェックする
    事業分析に役立つ数値指標と計算公式|事業活動をセルフチェックする事業分析を定期的にセルフチェックすることはとても重要である。事業活動の現状が分かれば、経営課題やライバルとの差が明確になり、経営改善の効率が格段に上がるからだ。この記事では、事業分析に役立つ数値指標と計算公式について、詳しく解説する。事業分析に役立つ指標「粗利率」事業分析に役立つ「粗利率」について、詳しく解説する。粗利率は経営者やビジネスパーソンにとって最も身近な指標だと思うが、事業分析においても非常に役立つ指標と言える。粗利率は、正式名称を売上総利益率と言うが、事業活動の収益性を示す重要指標になる。売上総利益率=(売上総利益高÷売上高)×100粗利率が競合他社よりも高い場合の事業分析結果の典型例を挙げる。付加価値の高い商品を提供しているコスト吸収力が高く、競争優位性が高い原価(仕入)を低く抑えて、収益性の高い売上を獲得している万が一、競合他社よりも粗利率が低い場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、事業付加価値を高める為の対策を早急に打つ必要がある。このように、粗利率を用いて事業分析するだけで「事業付加価値の良し悪し」が良く分かる。また、事業分析の結果に応じて先手先手で対策を打てば、効率よく粗利率を改善することができる。事業分析に役立つ指標「売上成長率」事業分析に役立つ「売上成長率」について、詳しく解説する。売上成長率は、事業の成長率を示す指標で、事業の営業力・販売力・将来性等の分析に活用できる。売上成長率=((当期売上高-前期売上高)÷前期売上高)×100売上成長率が競合他社よりも高い場合の事業分析結果の典型例を挙げる。市場の将来性が大きい顧客からの信用信頼が大きい商品力・営業力・販売力・マーケティング力が高い万が一、競合他社よりも売上成長率が低い場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、商品力や営業力を強化する対策を早急に打つ必要がある。なお、売上成長率の適正水準は5-20%の緩やかな成長曲線である。成長率が20%を超える場合は、一時的な流行に乗っただけ、或いは、顧客サービスの悪化を招く可能性が高いので注意が必要だ。また、売上成長率の公式を応用すれば、利益、顧客数、アクセス数などの成長率も計算でき、活用の幅を広げるほど事業分析の内容が充実する。事業分析に役立つ指標「売上占有率」事業分析に役立つ「売上占有率」について、詳しく解説する。売上占有率は、顧客毎の売上の占有率を示す指標で、顧客の貢献度や依存度の分析に活用できる。顧客毎の売上占有率が分かれば、貢献度上位の顧客を特定し営業攻勢を強める、或いは、貢献度下位の顧客を特定し集中的に育成するなどの戦略を効率的に展開することができる。また、売上占有率の高低は、そのまま事業リスクに直結するので、リスクマネジメントの観点からも、とても役立つ指標と言える。売上占有率=(顧客単体売上高÷全体売上高)×100売上占有率は1社当たり10%以下が目標になる。すべての顧客が目標に収まっている場合の事業分析結果は以下の通りである。下請構造になっていない連鎖倒産のリスクがない販売網のリスクヘッジができている万が一、売上占有率10%を超える顧客が1社でもいる場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、新規顧客や販売網を開拓するなどして、大口顧客の占有率(依存度)を下げる努力が必要になる。なお、売上占有率は、顧客単位だけではなく、販路別(法人・個人,小売・卸売、実店舗・ネット、直接販売・間接販売等)の分析にも活用できる。当然ながら、多角的に分析するほど、事業リスクがより明快になる。
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  • 費用対効果とは|事業拡大はROI投資対効果とコストパフォーマンスで決まる
    費用対効果とは|事業拡大はROI投資対効果とコストパフォーマンスで決まる費用対効果とは、投入したコストに対して得られる効果のことである。費用対効果は、ビジネスのあらゆるシーンで広く使われており、主に経営判断や投資判断の貴重な根拠情報として活用されている。この記事では、費用対効果の基本概要、並びに、事業拡大を決定付けるコストパフォーマンスとROI投資対効果について、詳しく解説する。費用対効果(コストパフォーマンス)とは費用対効果とは、投入したコストに対して得られる効果のことで、ビジネスシーンで広く使われている。費用対効果は、主に経営判断や投資判断の貴重な根拠情報としてビジネスの現場で活用されているが、顧客側も企業が提供する商品やサービスの価値を測定する基準として幅広く活用している。費用対効果のことを、経営用語でビーバイシー(B/C=benefit by cost)、或いは、コストパフォーマンス(cost performance)とも云い、費用対効果が高いことを「コスパが高い」などの短縮言葉で表現されることもある。費用対効果の「費用」は、事業全体のコストだけでなく、成長投資のコスト、販促等の広告コスト、市場開拓や商品開発等の先行コストなど等、対象となる費用領域はじつに幅広い。また、投じたコストだけでなく、時間、手間、労力、距離など等、対象となる費用基準も数多にある。費用対効果の「効果」は、事業全体の収益(営業利益・経常利益)や投じた種々のコストに対する個別収益だけでなく、ブランド価値向上等の無形効果に至るまで、効果測定の対象が多種多様にある。また、経済的価値だけでなく、感情的価値などに至るまで、価値判断も多岐にわたる。費用対効果(コストパフォーマンス)の計算方法費用対効果(コストパフォーマンス)の計算方法について、詳しく解説する。費用対効果は、投入したコストに対して得られる効果(利益等)の大きさを測定することで計算できる。事業運営の費用対効果の場合は、営業利益が「効果基準」になるので、投入コストに対する営業利益の大きさが費用対効果を表す。例えば、総事業コスト(投入コスト)10億円に対して、A社:営業利益1億円、B社:営業利益0.1億円、C社:営業利益△0.1億円であれば、A社の費用対効果が一番高いということになる。C社は利益がマイナスなので、費用対効果が全くない、或いは、費用対効果がマイナスということになる。費用対効果を利益ベースで計算する場合に注意すべき点は、期間設定(時間軸)である。例えば、費用対効果が1億円だった場合、期間設定1年と10年では、費用対効果の大きさに10倍の開きが出る。期間設定が長期化するほど将来収益の見通しが不透明になり、費用対効果の計算精度が低下するので、期間設定はなるべく短く、最長でも1年以内に設定することをお薦めする。但し、グーグルのようなフリーサービス(無料サービス)を提供する対価として広告収入を得るようなビジネスモデルの場合は、収益化までの時間が必然的に長くなるので、費用対効果を計算する際の期間設定が長くても差し支えない。また、ブランド価値、モチベーション、顧客の評価・評判など等の無形の費用対効果を計算する場合は、コスト投入前後のブランド価値等の測定結果(アンケート結果・調査会社の報告等)を比較することで計算できる。費用対効果が上がれば事業が拡大する費用対効果とは、投じたコストに対する効果(利益)の大きさのことなので、費用対効果が上がれば、自然と事業規模が拡大する。そもそも、ビジネスにおける費用とは、売上を作るために費やす全てのコストのことなので、費用対効果(コストの売上貢献度)が上がれば、無駄なコストが無くなる一方で最終利益と成長投資の規模が拡大し、事業拡大のスピードが加速する。ちなみに、創業当初や新規事業の立ち上げ時等は費用対効果に敏感になるので、費用対効果の最大化に自然と意識が向くが、会社経営が安定するほど、この意識が低下しやすくなる。例えば、経営者の油断や慢心、或いは、世の中の進化に後れをとることで費用対効果が低下するケースは、経営者の意識の欠落に伴い費用対効果が低下する典型になる。ビジネスにおいて、顧客やライバルは競争の手を一切緩めないので、費用対効果が一度低下すると挽回するのが至難の業になる。つまり、日頃から、費用対効果を意識した会社経営を定着させることが繁栄の基本姿勢になるのだ。投資対効果(ROI)とは何か投資対効果(ROI)について、詳しく解説する。投資対効果(ROI)とは、投入した「投資コスト」に対して得られる効果のことで、費用対効果同様に、ビジネスシーンで広く使われている。投資対効果のことを略してROI(Return on Investment)と云うが、これは、投資(Investment)に対する対価(Return)を意味する言葉になる。投資対効果(ROI)の計算方法は、対価である「最終利益」と「投資コスト」の比率を算定することで計算でき、投資対効果(ROI)のことを、投資対効率、あるいは、投資収益率や投資利益率とも云う。費用対効果のコスト範囲はじつに広範囲にわたっているが、投資対効果のコスト範囲は「投資」に限定されており、この点がこの指標の最たる特徴といえる。投資対効果(ROI)の計算方法投資対効果(ROI)=(最終利益÷投資コスト)×100※最終利益=売上-売上原価-投資コスト投資対効果(ROI)の判断は100%が基準になる。例えば、最終利益100万円に対して、A社:投資コスト10万円、B社:投資コスト100万円、C社:投資コスト200万円であれば、A社の投資対効果(1,000%)が一番高いということになる。C社は投資コストが利益を上回っているので、投資対効果(50%)が全くない、或いは、投資対効果がマイナスということになる。なお、費用対効果と同様に、期間設定が長期化するほど将来収益の見通しが不透明になり、投資対効果の計算精度が低下するので、期間設定はなるべく短く、最長でも1年以内に設定することをお薦めする。また、例外も同様である。費用対効果・ROI投資対効果のまとめ費用対効果(コストパフォーマンス)と投資対効果(ROI)は、何れも、投入したコストに対して得られる効果のことで、ビジネスシーンで広く使われている。費用対効果と投資対効果(ROI)は、何れも、投入したコストに対して得られる効果(利益等)の大きさを測定することで計算できる。投入するコストと得られる効果の基準、視点、範囲は多種多様にあるので、柔軟な考えで費用対効果と投資対効果(ROI)を運用することが、計算精度を高めるコツになる。費用対効果と投資対効果(ROI)が高まると、無駄なコストが少なくなる一方で、最終利益と成長投資の規模が拡大するので、事業拡大のスピードが一段と加速する。会社経営を安定させる上で最重要指標といっても過言ではない。
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  • 業績目標の正しい設定方法と運用効果|業績の良し悪しは目標で決まる
    業績目標の正しい設定方法と運用効果|業績の良し悪しは目標で決まる業績目標とは、事業活動の結果を表す売上や利益などの客観的数値目標のことである。業績目標は、会社全体の経営目標としてだけではなく、部門ごと、或いは、担当者単位の人事評価基準としても活用できる。この記事では、業績目標の正しい設定方法、並びに、業績目標の運用効果に至るまで、詳しく解説する。業績目標の基本指針業績目標とは、事業活動の結果を表す売上や利益などの客観的数値目標のことで、幅広い領域で活用できる。業績目標を立てるうえで注意すべき点は、売上一辺倒(売上至上主義)にならないことである。なぜなら、会社の存続を保障するのは売上ではなく、利益だからだ。利益が欠落した業績目標は、杜撰なコスト管理を生み出し、目標が仇となって、かえって業績が悪化する場合がある。例えば、売上が拡大している一方で、赤字金額が膨れ上がるケースは業績目標の典型的な失敗パターンになる。業績目標は売上と利益をセットに考える、これが効果的な業績目標の基本指針になる。正しい業績目標の設定方法正しい業績目標の設定方法は、売上と利益をセットで行うことが大原則になる。また、成長率や達成率よりも改善金額をベースに業績目標を設定した方が、会社の成長スピードが加速しやすい。例えば、下表のような事例を見れば、改善金額ベースの業績目標の方が、会社の成長に貢献することが理解できると思う。(金額単位:万円)前期売上売上目標当期売上成長率達成率改善金額A部門1,0001,1001.20020%109.1%200B部門2,0002.4002,30015%95.8%300それぞれの指標の計算式成長率=〔(当期売上-前期売上)÷前期売上〕×100達成率=(当期売上÷売上目標)×100改善金額=当期売上-前期売上ご覧の通り、A部門は成長率と達成率の成績がB部門よりも上回っているが、改善金額はB部門より劣っている。A部門とB部門の社員数が同じであった場合、業績への貢献度が高いのは、売上改善金額が大きいB部門である。また、売上金額よりも利益金額をベースに業績目標を設定することも大切になる。例えば、下表のような事例を見れば、利益金額ベースの業績目標の方が、会社の成長に貢献することが理解できると思う。(金額単位:万円)前期売上当期売上売上改善前期利益当期利益利益改善C部門2,0003,0001,0002002000D部門2,0002,500500200500300ご覧の通り、C部門は売上改善の金額がD部門よりも上回っているが、利益改善の金額はD部門より劣っている。この場合、業績への貢献度が高いのは、少ないコストで大きな利益改善を達成したD部門である。このように、業績目標は、率よりも金額、売上金額よりも利益金額を重視して設定した方が、会社の成長を一層加速させる業績目標に仕上がる。管理部や事務職に適した業績目標収益を生み出さない事務職、或いは、管理部門であっても然るべき業績目標が必要だ。なぜなら、事務職等に業績目標を与えないと、コスト意識が低下し、ムダムラを助長しかねないからだ。事務職等に与える業績目標は、売上や粗利といった収入ではなく、会社の収入に対して、自分達の経費がどの程度消費されているかを示す「売上総利益高管理部門経費率」が適している。売上総利益高管理部門経費率とは、売上総利益高(粗利高)に占める管理部門経費の構成比率のことで、事務職等の利益意識を高める業績目標として有効活用できる。売上総利益高管理部門経費率の計算方法は下記の通りである。売上総利益高管理部門経費率=(管理部門経費÷売上総利益)×100例えば、会社全体の売上総利益高が5,000万円で、管理部門経費が500万円だった場合の売上総利益高管理部門経費率の計算式は次のようになる。売上総利益高管理部門経費率=(500÷5,000)×100=10%売上総利益(粗利)は、経費を賄う原資なので、売上総利益高管理部門経費率が分かると、事務職等の管理部門が会社全体の粗利をどの程度消費しているのかが一目瞭然で分かる。事務職等の業績目標に導入すると、事務職全体の生産性が上がり、少ない管理部門経費で大きな売上総利益(粗利)を生み出す収益基盤が整い易くなるので、おススメの業績目標である。業績目標を人事評価に運用する方法業績目標は人事評価の基準として運用することもできる。業績は社員や部門の活動結果を如実に表すので、公平性と客観性に優れた人事評価基準ではあるが、業績目標をもとに行う人事評価は慎重にしなければならない。なぜなら、業績結果ばかりに捉われた人事評価を優先すると、業績を作るプロセスが軽視されて、モラルや組織力の低下を招くリスクが高まるからだ。例えば、業績目標が「売上と利益を2倍に増やす」だった場合、業績結果だけでなく、目標達成までのプロセスも含めてしっかり評価することが大切だ。業績目標を達成するプロセス評価がしっかりしていれば、その社員の弱みや強みの理解が深まり人材育成の効率が上がる、或いは、成功プロセスの共有度が高まり経営の精度が上がる、等の効果が得られる。また、業績目標を達成するためのプロセス(PDCAサイクル)に人事評価者(経営陣)が積極的に関わると、社員のPDCAサイクルの精度が一段と上がる効果も得られる。結果だけでなく、プロセスをしっかり評価することが業績改善や人材育成の効率を高め、強いては、業績目標を人事評価の基準として効果的に運用する秘訣になるのだ。業績目標の設定方法と運用効果のまとめ業績目標とは、事業活動の結果を表す売上や利益などの客観的数値目標のことだ。業績目標の設定は、率よりも金額、売上金額よりも利益金額を重視して設定した方が、会社の成長に貢献する業績目標に仕上がる。業績目標は人事評価の基準として運用することもできるが、業績結果だけでなく、目標達成までのプロセスも含めてしっかり評価しなければならない。また、収益を生み出さない事務職に適した業績目標をうまく活用することで、会社の生産性を一段と引き上げることもできる。業績目標は、会社経営に不可欠な要素(ツール)といって過言ではない。業績目標の正しい設定方法と運用効果を理解し、上手に運用することをお薦めする。
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  • 業績が悪化する中小企業の特徴|業績悪化の原因が分かれば成功が見える
    業績が悪化する中小企業の特徴|業績悪化の原因が分かれば成功が見えるわたしはこれまで業績が悪化した中小企業の実態を数多と見てきた。倒産するかしないかの瀬戸際まで業績が悪化した中小企業の再建経験もあり、業績が悪化する中小企業の特徴も数多く知っている。この記事では、中小企業の業績が悪化する原因、並びに、業績悪化を防ぐ対策について、詳しく解説する。業績が悪化する原因と対策中小企業における業績悪化の原因と対策について解説する。業績が悪化している中小企業ほど、打つべき手を打っていないケースが多いが、経営実態を考えると、それも致し方ない面もある。なぜなら、ひとたび業績が悪化し、利益が減少すると、業績回復のための成長投資が全くできなくなるからだ。また、経営者自身も目の前の資金繰りに忙殺され、会社の成長をデザインする精神的余裕も無くなってしまう。一度、業績が悪化した中小企業がなかなかマイナスのスパイラルから抜け出せない理由は、大概はこのふたつに集約される。会社の業績を悪化させないためには「良好な業績をキープしている時に打つべき手を打つ」ことに尽きるが、これが出来ている中小企業は決して多くない。わたしの感覚だと、打つべき手を打っていないために、ほんの些細な経営環境の変化で業績が悪化に転じる経営実態に陥っている中小企業の方が、はるかに多い印象がある。中小企業の業績が悪化する3つの原因中小企業の業績が悪化する原因は様々が、特に注意してほしい3つの原因について、詳しく解説する。ひとつは「儲かっている時に経営努力の手を緩めること」、二つ目は「経営課題を見落とす・見過ごすこと」、三つ目は「成功体験にしがみつくこと」である。それぞれの業績悪化の詳細原因は以下の通りである。業績悪化の原因「経営努力」儲かっている時に経営努力の手を緩めることは、中小企業の業績が悪化する原因ナンバーワンといっても過言ではない。わたしが過去に関わった再建企業も大概は儲かっていた時期があったが、儲かっている時に打つ手を打っていないために倒産の危機に瀕していた。事業価値は経営努力の手を緩めた瞬間から陳腐化が始まる。つまり、ライバル企業との距離が縮まるということだ。業績を悪化させないためには弛まぬ経営努力が不可欠なのだ。業績悪化の原因「経営課題」経営課題を見落とす、或いは、経営課題を見過ごすと、会社の業績は簡単に悪化する。また、経営課題を見誤る、或いは、経営課題の解消方法を誤ることも業績悪化の原因になる。確固たる目標や然るべき行動基準がない行き当たりバッタリの経営に陥っている中小企業ほど、経営課題の見落としが原因で業績が悪化している。業績悪化の原因「成功体験」成功体験にしがみつくと経営環境の変化に対応できず、業績悪化のリスクが高まる。失敗は必然の結果、成功は偶然の賜物と云われるように、偶発性の高い成功体験にしがみつくことは、失敗に向かっているようなものである。成功体験を重ねることは重要だが、業績悪化を招かないためには成功体験にしがみつくことなく、創造性と柔軟性を持って経営に当たることが大切だ。中小企業の業績悪化を防ぐ3つの対策中小企業の業績悪化を防ぐ対策は、前章で解説した業績悪化の原因を回避すること以外にも様々あるが、特に効果的な3つの対策について、詳しく解説する。ひとつは「数字を見ること」、二つ目は「顧客を幸せにすること」、三つ目は「社員を幸せにすること」である。それぞれの業績悪化を防ぐ対策は以下の通りである。業績悪化の対策「会社の数字」会社の数字には事業活動の結果がすべて表れている。会社の数字を深く理解していれば1年先の業績を予測することも容易になり、業績悪化の兆候を事前に捉えることができる。先手先手の対策が打てるだけでなく、対策結果の検証精度も上がるため、自然と業績上向く。業績悪化の対策「顧客満足度」事業は顧客がいて、はじめて成立する。顧客のことを考えない経営は業績悪化のリスクを高めるが、顧客の幸せを考えた経営は業績悪化のリスクを著しく低下させる。企業のブランド価値に合致した顧客に新しい価値を提供する、或いは、顧客の満足度を高める、といった姿勢は必ず業績アップに繋がる。業績悪化の対策「社員満足度」事業は社員がいて、はじめて成立する。社員の幸せを考えた経営は、社員の仕事環境や人生そのものに安心感を与え、生産性を高める。また、社員の成長をサポートするほど、組織力が向上し、業績が向上する。業績が悪化する中小企業の特徴のまとめ中小企業の業績が悪化する様々な原因の中で特に注意すべき原因は「儲かっている時に経営努力の手を緩めること」、「経営課題を見落とす・見過ごすこと」、「成功体験にしがみつくこと」の3つになる。そして、中小企業の業績悪化を防ぐ対策は、上記3つの原因を回避することに加えて「数字を見ること」、「顧客を幸せにすること」、「社員を幸せにすること」の3つの対策が重要になる。繰り返すが、一度、業績が悪化し、利益が減少すると、業績回復のための成長投資が全くできなくなるため、そこから回復するのが難しくなる。会社の業績を悪化させないためには「良好な業績をキープしている時に打つべき手を打つ」ことに尽きる。この意識を忘れた瞬間に業績が悪化すると思ってほしい。
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  • 会社が自然と成長する良い会社の条件|良い会社の特徴と作り方が分かる
    会社が自然と成長する良い会社の条件|良い会社の特徴と作り方が分かる会社が自然と成長する良い会社の条件は簡単だ。中小企業においては「良い経営者がいる会社」が良い会社の条件になる。この記事では、会社が自然と成長する会社の条件について、詳しく解説する。会社の良し悪しは経営者で決まる中小企業においては「良い経営者がいる会社」が良い会社の条件になる。なぜ、良い経営者がいる会社が良い会社の条件なのかというと、経営者の決断の連続で会社の未来が決まる中小企業は、経営者の行いが、そのまま会社の業績に直結するからだ。つまり、中小企業は、経営者の行いの良し悪しで、会社の良し悪しが決まる。事実、わたしが過去に見てきた倒産の危機に瀕した中小企業の衰退原因は経営者の行いにあった。また、会社の清算・倒産件数は年間約2万5千社(法務省統計2006-2015の平均)にも上るが、これらの根本原因の多くも経営者の行いにある。例えば、業績が低迷しているにも関わらず、経営者が自身の行いを正すことなく、行き当たりバッタリの会社経営を続けていては、会社は衰退するのみとなる。経営者の行いを自助努力で正すには、良い会社を作るための最低条件をしっかり理解することが大切だ。良い会社を作るための最低条件とは?良い会社の条件は様々な観点があると思うが、ここでは、わたしが実際に数多の中小企業を見てきた経験から、特に重要だと考える条件を紹介する。良い会社の条件、つまり、良い会社を作るための最低条件は5つある。・利益目標がある・経営理念がある・勝負強さを持っている・顧客満足度を追求している・社員満足度を追求しているこの5つの最低条件を守って会社経営を行っていれば、自然と成長する良い会社に近づく。逆に、この5つの最低条件から外れる行動を取ると、会社は自然と衰退に近づく。良い会社を作るそれぞれの条件について、順を追って詳しく解説する。良い会社の条件1「利益目標」良い会社には利益目標がある。会社経営の目的は利益の最大化にあるので、良い会社を作るには、然るべき利益目標を持たなければならない。利益目標を掲げると、合理的かつ効果的な会社経営が定着するので、会社の成長スピードが一段と加速する。良い会社を作るための利益目標は「率・額・現金」の3つの指標が欠かせない。利益率は利益目標達成の速度を示し、利益額は絶対的な利益目標を示すので、この利益目標に向かって経営を采配すると会社の拡大スピードが一段と加速する。そして、利益と共に現金残高の絶対目標を掲げると会社の安全性が自然と高まる。利益目標を持つことは、良い会社の必須条件といっても過言ではない。【関連記事】会社を拡大する正しい利益目標の立て方良い会社の条件2「経営理念」良い会社には経営理念がある。経営理念があると会社の成長が加速するので、良い会社を作るには経営理念が欠かせない。経営理念は経営者の志を明確に示し、なお且つ、組織の行動原理を明快にするので、組織の力をひとつの方向に集中させる効果を生み出す。当然ながら、組織の力は分散させるよりも、1点に集中させた方が大きな効果を生み出す。経営者が二代目、三代目になるにつれて、経営理念が曖昧になっていく中小企業が多いが、経営理念は、良い会社を作るための欠かせない条件である。【関連記事】会社の成長を牽引する経営理念とは?良い会社の条件3「勝負強さ」良い会社の経営者は勝負強さを持っている。ライバルと競いあう気概を持ち、さらに、そのライバルに打ち克つ努力を継続していれば、自然と会社が成長するので、良い会社にするには経営者の勝負強さが欠かせない。例えば、小さな中小企業から出発したマクドナルドの創業者であるレイ・クロックは自身の著書“成功はゴミ箱の中に”の中で、次のように話している。「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。知りたいものは全部転がっている。私が深夜二時に競争相手のごみ箱を漁って前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない。強みを鍛え、付加価値に力を入れれば我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう。」ライバルは競合他社である必要はない。自分自身をライバルと捉え、昨日よりも今日、今日より明日、というように、高い目標に向かって経営努力を積み重ねる姿勢も立派な競争である。兎に角、経営者の勝負強さなくして、良い会社など作れるものではない。良い会社の条件4「顧客満足度」良い会社は顧客満足度を追求している。顧客満足度が上がると客単価やリピート購入が増加傾向に転じるので、良い会社にするには顧客満足度を追求しなければならない。顧客満足度の低下は、即、顧客離れに繋がり、会社成長の足を引っ張る。場合によっては、たった一回の顧客軽視の姿勢が、取り返しのつかない事態を招くこともある。顧客満足度の追求は、さらに良い会社を目指すための探求心を高める効果があるので、良い会社を作る必須条件といっても過言ではない。良い会社の条件5「社員満足度」良い会社は社員満足度を追求している。社員満足度が上がると、会社の生産性と業績が上がるので、良い会社にするには社員満足度を追求しなければならない。また、自分の私欲よりも、社員の満足度を優先している経営者の周りには、良い社員が集まるものだ。社員満足度を追求している中小企業は決して多くない。自分の私欲は程々にして社員の満足度を優先する経営者の姿勢は、良い会社を作るために欠かせない条件である。
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  • 会社を拡大する正しい利益目標の立て方|正しい利益水準から利益金額まで徹底解説
    会社を拡大する正しい利益目標の立て方|正しい利益水準から利益金額まで徹底解説利益目標なくして、会社の拡大はあり得ない。しかし、正しい利益目標の立て方を知っている中小企業経営者は決して多くない。この記事では、会社を拡大する正しい利益目標の立て方、並びに、正しい利益水準から利益金額に至るまで、詳しく解説する。利益目標なくして会社の拡大なし利益目標なくして会社の拡大はあり得ないが、中小企業において、利益目標を運用している経営者は多くなく、中には、会社の利益すら見ていない経営者もいる。然るべき利益目標がなければ合理性のない行き当たりバッタリの会社経営に陥り、会社を拡大することが難しくなる。事実、利益目標がない中小企業の赤字経営率は非常に高い。会社経営者の使命は利益拡大にある。新しい価値観を顧客に提供し続け、なお且つ、競合他社に勝ち続けることができなければ、利益拡大は頓挫する。そして、こうした成長投資の源泉は利益になる。新しい価値観を提供するための開発投資、或いは、競合他社よりも優位な市場環境を構築するための成長投資は、すべて会社が生み出す利益が源泉になる。利益目標なくして会社の拡大はあり得ないと云われる所以はココにある。会社を拡大する利益目標の立て方利益目標は3つの指標を使って立てると、会社の拡大を後押しする利益目標に仕上がる。ひとつは「率」、もう一つは「額」、そして「現金」である。利益目標「率」率は、掛け算の世界だ。プラスの率は儲けを加速するが、マイナスの率は損失を加速させる。つまり、利益目標の達成速度は、率によって決まる。利益目標「額」額は、足し算の世界だ。額は絶対的な利益目標を示すので、率で追いつかない利益拡大策を考えるきっかけを与えてくれる。利益目標「現金」現金は、会社の生存を保障する唯一の要素だ。なぜなら、現金がなくなると、会社が倒産するからだ。利益の大きさと現金の大きさは比例関係に無いので、利益目標と共に現金残高の目標も掲げないと、経営に失敗するリスクが高まる。売上拡大と共に、この3つの指標を使って利益目標を立てると、会社の拡大スピードが加速する。それぞれの利益目標の立て方について、順を追って詳しく解説する。利益目標の立て方1「利益率」利益率の目標は、売上総利益高営業利益率を用いて立てる。売上総利益高営業利益率とは、売上総利益に占める営業利益の構成比率のことだ。業種業態関係なく活用できる指標なので、使い勝手の良い目標でもある。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100利益率の目標水準は20%である。(標準水準は10%)利益目標を目指して経営改善を進めると、会社拡大のスピードが一気に加速する。利益目標の立て方2「利益金額」利益金額の目標は、前年よりも大きい金額を目標にする。(金額指標は営業利益金額)例えば、前年の利益金額が1,000万円であれば、今期の目標金額は1,500万円にする、というように、常に前年の利益を上回る目標金額に設定する。利益率が目標水準に達している状態でさらに利益金額を増やすには、利益金額を目標に加えて、売上拡大と経費削減を同時に推進しなければならない。率に加えて金額を利益目標に立てると、会社拡大のスピードが更に加速する。利益目標の立て方3「現金水準」率と額の利益目標と共に、現金水準の目標を立てることも重要だ。なぜなら、安定経営を支えるのも、成長投資の原資も、すべて現金だからだ。利益目標を達成したとしても、税金を支払えば現金が減る。また、せっかくの利益が売掛金や商品在庫に流れてしまっては、会社の現金は一向に増えない。つまり、一定の現金を残さなければ、利益目標の達成効果が無くなってしまうのだ。現金水準の目標は下記計算式の通りである。現金目標水準=〔月商-(減価償却費+営業利益金額)〕×2現金残高が目標水準に達した後は、前年を上回る現金残高を目標に立てて、現金残高の更なる拡大を推進する。以上の通り、利益率、利益金額、現金水準の3つの指標を使った利益目標が、会社を拡大する正しい利益目標の立て方である。
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  • 5つの数字で資金繰りを改善する方法|経営の成功は資金繰りで決まる
    5つの数字で資金繰りを改善する方法|経営の成功は資金繰りで決まる資金繰りは会社の生命線になる。なぜなら、資金繰りに失敗し、現金が枯渇すると、いかに儲かっていようが、会社が倒産するからだ。この記事では、5つの数字で資金繰りを改善する具体的方法について詳しく解説する。しっかり実践して、資金繰りの改善に役立ててほしい。資金繰りは会社の生命線資金繰りは会社の生命線であり、会社経営の根幹を成す仕事になる。なぜなら、会社は資金繰りで始まり、資金繰りで終わるからだ。どういう事かというと、資金繰りに失敗し、現金が枯渇すると、いかに儲かっていようが、会社が倒産するということだ。売上が拡大傾向にあったとしても、資金繰りが杜撰な会社は黒字倒産のリスクが高まる一方になるし、黒字経営だろうが、赤字経営だろうが、資金繰りに失敗すれば、会社は簡単に倒産する。ある年に倒産した企業のうち、黒字倒産の割合が44.7%(東京商工リサーチ2012年調査結果)という結果からも分かる通り、会社の成長と衰退は、資金繰りひとつで決まるといっても過言ではない。資金繰りに失敗する根本理由は、経営者が現金の流れを把握していないことに尽きる。また、資金繰りを改善するために見るべき数字の大半が貸借対照表に偏っていることも、資金繰りに失敗する原因として考えられる。(損益計算書は読み解けても、貸借対照表が読み解ける経営者はじつに少ない)以下に、5つの数字で資金繰りを改善する具体的方法を解説するので、しっかり実践して資金繰りを改善してほしい。資金繰り改善法「売上・利益を見る」資金繰りを改善するには、会社に現金を貯める必要がある。現金を貯めるには、売上から経費を差し引いた利益を残さなければならない。当然ながら、利益がなければ現金が残らないので、資金繰りは一向に改善されず、むしろ、資金繰りが悪化し、会社倒産のリスクが高まる。また、一定の売上と利益では、少しの経営環境の変化で利益が吹き飛び、一気に資金繰りが悪化することもある。資金繰りを改善するには売上と利益の拡大が不可欠であり、この二つの数字の動きを日頃から注意深くチェックしなければならない。資金繰り改善法「現金を見る」資金繰りとは、現金の流れを管理することなので、管理対象である現金残高は超重要な数字になる。ひと月の入金がどの程度あるのか、月末の支払いがどの程度かかるのか、といった資金繰りを大きく左右する現金の流れは、貸借対照表の現金残高を見ることで分かる。現金が増加傾向にある限り、資金繰りが悪化することはない。逆に、現金が減少傾向にある場合は、資金繰りが悪化している証拠なので、原因を突き止めて、早々に資金繰りを改善しなければならない。当然ながら、資金繰りの悪化原因を改善しなければ、会社倒産のリスクは高まるばかりとなる。なお、現金減少に伴う資金繰りの悪化は、以下に紹介する売掛金と棚卸資産の数字を見ることで防ぐことができる。資金繰り改善法「売掛金を見る」売掛金(受取手形含む)とは、商品代金の未入金残高のことだ。売掛金等は回収してはじめて現金化されるので、売掛金が増加し続けると、資金繰りがどんどん悪化する。例えば、売上1,000万円増加の一方で、売掛金残高が2,000万円増加すると、未回収の売掛金が1,000万円増加することになるので、その分、資金繰りが悪化する。売上と売掛金の数字を絶えずモニタリングし、なお且つ、売上増加分よりも売掛金を減らす努力を継続することが、資金繰りを改善する方法になる。売って終わりでは資金繰りは改善されない。売って回収してこそ、資金繰りが改善されるのだ。資金繰り改善法「棚卸資産を見る」棚卸資産とは、商品在庫のことである。棚卸資産は販売されて、なお且つ、その販売代金が回収されてはじめて現金化されるので、棚卸資産が増加すると、資金繰りがどんどん悪化する。例えば、利益1,000万円増加の一方で、棚卸資産残高が1,000万円増加すると、利益がそっくりそのまま棚卸資産、つまり、商品在庫に姿を変えたことになるので、利益分の現金が増えることはなく、資金繰りは一向に改善されない。また、棚卸資産の現金化のスピードは、売掛金よりも遅いので、棚卸資産が増えることで資金繰りが悪化する威力は半端ない。利益と棚卸資産の数字を絶えずモニタリングし、なお且つ、利益増加分を下回る範囲で棚卸資産の増減をコントロールすることが、資金繰りを改善する方法になる。5つの数字で資金繰りを改善する方法のまとめ資金繰りは会社経営の根幹を成す仕事であり、中小企業においては、社長の重要な仕事でもある。資金繰りに悩みを抱える中小企業経営者は少なくないが、この記事で解説した5つの数字をしっかり見ていれば、資金繰りの悩みは確実に緩和される。見るべき数字のポイントは「売上拡大・利益拡大・現金増加・売掛金減少・棚卸資産減少」で、この5つの数字の傾向が逆に振れた場合は、資金繰り悪化のサインと捉え、速やかに数字の改善に取り組むことが大切になる。資金繰りの失敗で会社が衰退するケースはじつに多い。経営の成功と失敗は間違いなく資金繰りで決まるので、資金繰り改善に不可欠な数字を、日頃から厳しくチェックすることをお薦めする。
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  • 社員はコントロールするな|言うことを聞かない社員は誰のせい?
    社員はコントロールするな|言うことを聞かない社員は誰のせい?社員をコントロールしたいと考える経営者はあまりいないと思う。実際は、社員をコントロールするのではなく、自発的に責任感を持って仕事をしてほしいと考える経営者の方が圧倒的に多いだろう。この記事では、社員をコントロールすることのマイナスポイント、並びに、社員をコントロールしない方法論について、詳しく解説する。社員をコントロールする経営者社員をコントロールしたいと思っている経営者は少なく、実際は、社員の自主性を望んでいる経営者が多い。しかし、業績を上げるために、ついつい社長が社員に細かく指図してしまい、結果として社員をコントロールしている社長は少なくない。じつは、社員をコントロールすればするほど、社員の自主性は失われる。そして、社長と社員の間にある見えない壁が一段と高くなり、信頼関係だけでなくモチベーションも著しく低下する。さらに、社員が会社を辞める最大の原因は社長(上司)との関係悪化なので、コントロールの度が過ぎると離職率を引き上げる結果を招くこともあり得る。社員をコントロールしたくないと考える経営者が多いのは、本能的にこうしたデメリットを肌で感じているからに他ならない。社員はコントロールできない社員はコントロールできない。社員は道具ではないし、社長の家来でもない。会社の発展を支える大切な人財であり、仲間だ。そもそも、性格も経歴もまちまちの社員を好き勝手にコントロールできるほど、人間は単純ではない。また、他人に細かく指図されるほどヤル気が損なわれることは誰でも経験があると思うが、コントロールの度が過ぎるほど社員の生産性は低下する。従って、社員をコントロールするのではなく、社員の自主性を尊重した方が、よほど生産性が上がるし、組織力も底上げされる。社員の自主性を高めるには、社長が率先して社員に判断基準を与えること、社員と情報を共有すること、社員教育を推進すること、社員満足度を追求すること、社員とコミュニケーションを取ること、この5つの取り組みが必須になる。特に、社長のコミュニケーションは最重要で、社長と社員のコミュニケーションが不足すると間違いなく社員の自主性やモチベーションは低下する。言うことを聞かない社員は誰のせい?言うことを聞かない社員は誰のせいか?結論から言うと、言うことを聞かない社員を生み出した「社長のせい」ということになる。社員はコントロールできないので、言うことを聞かせようと躍起になっても意味がない。せいぜい、イエスマンを生み出すか、裸の王様になるのがオチである。よく「他人に影響を与える人間になるのが本物のリーダー」と云うが、指図やコントロールをせずとも、社長の影響力が大きければ社員はついてくるものだ。社長の影響力は一朝一夕では身に付かないが、やはり、すべての経営責任を自分に帰結できる社長は割かし早く優れた影響力を身につけることができる。失敗やミスを社員のせいにせず、すべてを自分の責任として受け止められるか否か、そのマインドが、言うことを聞かない社員を生み出さない秘訣であり、社員の自主性と責任感を高める秘訣になる。
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  • 社員とのコミュニケーションで業績を上げる方法|社員力と組織力と業績の関係性
    社員とのコミュニケーションで業績を上げる方法|社員力と組織力と業績の関係性社長と社員のコミュニケーションの質は、会社の成長と衰退を決定づける。なぜなら、社員とのコミュニケーションが不十分だと、組織の活力が低下する、社員が離職する、良質な情報が上がってこない等々、会社衰退に繋がる危険なリスクが噴出するからだ。この記事では、社員とのコミュニケーションで業績を上げる方法について、詳しく解説する。社長のコミュニケーションが業績を決める社長のコミュニケーションの質が、会社の業績を決める。社長のコミュニケーションが不十分だと、組織力を低下させる課題と共に、業績悪化のリスクが山積するからだ。例えば、社員の離職、情報の質低下、組織の活力低下など等は、組織力低下と共に業績悪化を招く典型的なリスクになる。社員とのコミュニケーションは、じつに難しく、事実、社長の一方通行的なコミュニケーションに陥っている中小企業は少なくない。社長と社員のコミュニケーションの質が低下すると、会社の業績は間違いなく低迷するので、社員とのコミュニケーションの質を高めて会社の業績を上げるには、社長が率先してコミュニケーションを実践することが大切になる。以下に、わたしが推奨する社長のコミュニケーション術と組織のコミュニケーション術の実践ノウハウについて詳しく解説する。是非とも、日頃のコミュニケーションに役立ててほしい。社長のコミュニケーション術社長のコミュニケーション術の基本は「聞き役に徹する」ということだ。なぜなら、部下からの報告を待っていては、業績改善に役立つ情報など、一向に上がってこないからだ。特に、社内や幹部の悪い噂や業績悪化に繋がる情報は、殆ど上がってこないと思った方が良い。社長自らが部下のもとに足を運んでコミュニケーションを深める姿勢が良い情報をキャッチする秘訣になり、社長のもとに良質な情報が集まると、経営の質がどんどん高まり、自ずと業績が改善される。たとえ、悪い情報であっても、すぐに手を打てば挽回できるので、会社衰退のリスクを先手先手で解消することができる。更に、社長に聞いてもらっている感は、社員にとって大きな励みになり、社員のモチベーションを高める効果も生み出す。また、会議や勉強会では、社長が聞き役に徹した方が、社員の考える力が高まる。(社長は、社員達の議論が行き詰まる、或いは、誤った方向に行ったら助け舟を出すくらいのコミュニケーションが丁度よい)当然ながら、社員の考える力が高まると、社員の仕事の質が高まるので、自ずと業績も上向く。つまり、社長のコミュニケーションひとつで、会社の業績が大きく変わるのだ。組織のコミュニケーション術組織のコミュニケーション術の基本は「感情を表面化する」ということだ。なぜなら、社員の感情を押さえつけると、社員のモチベーションと共に組織の活力が低下するからだ。社員の感情を表面化するコミュニケーションでおススメなのが「サンクスカード」だ。サンクスカードは感謝の気持ちを明文化する習慣だが、いまや大企業の職場でも導入されている手法なので馴染みのある経営者も多いと思う。また、社員の不安を聞くコミュニケーションを定着させることも、効果的なコミュニケーション術になる。社員の不満は聞き流して差し支えないが、社員の不安は感じた瞬間に取り除いた方が良い。万が一、組織のコミュニケーション不足で社員の不安を見逃すと、その社員の生産性が大きく損なわれる事態を招く場合もある。社長と組織のコミュニケーションが良好であれば、会社が衰退することはそうそう起こり得ない。つまり、組織のコミュニケーションひとつで、会社の業績が大きく変わるのだ。
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  • 顧客満足度を上げて会社を一段と拡大する方法|顧客の満足が業績を押し上げる
    顧客満足度を上げて会社を一段と拡大する方法|顧客の満足が業績を押し上げる顧客満足度は会社の未来を決定づける重要な要素である。なぜなら、顧客満足度の高低が、そのまま、会社の業績を決定づけるからだ。この記事では、顧客満足度を上げて会社を一段と拡大する方法について、詳しく解説する。顧客の満足が業績を押し上げる顧客満足度が会社の業績に及ぼす影響は、顧客の立場になれば簡単に理解できる。例えば、ある会社の商品やサービスに不満を感じた場合、その会社の商品等を再度リピートする顧客はいないだろう。その商品等の希少性や独自性が極めて高くない限り、不満と共に、その会社を去り行くのが普通の顧客心理である。また、企業が提供する商品やサービスの選択権は、常に顧客が持っている。このことからも、顧客満足度が業績に大きな影響を及ぼす要因であることが理解できると思う。顧客満足度は、次の3つの方法で上げることができる。ひとつは「顧客接点の質を上げる」、二つ目は「ワンtoワンマーケティングの実践」、三つ目は「商品やサービスコンセプトの明確化」である。この3つの方法を実践すれば、自ずと顧客満足度が上がり、会社の拡大スピードが一段と加速する。顧客満足度を上げる実践的方法について、順を追って詳しく解説する。顧客満足度を上げる「顧客接点」顧客満足度を上げるためには、顧客接点の質を高めることが欠かせない。顧客接点に関わる対象者は、サービス業であれば接客スタッフ、非サービス業であれば営業スタッフなど等、いわゆる、現場のスタッフになる。顧客と直に接する現場スタッフの顧客対応が良ければ顧客満足度が上がるし、顧客対応が悪ければ顧客満足度が下がる。つまり、現場スタッフの顧客接点の質が、会社の顧客満足度を大きく左右するのだ。現場スタッフの顧客接点の質を上げるには、現場スタッフの判断力を上げるしかない。そのためにすべきことは、徹底した情報共有である。例えば、売上や利益といった数字の共有、ミスの共有、クレームの共有は必須である。現場スタッフの情報量が増えれば、現場の判断力が上がるので、自分で考えて働く体制が整い、結果として、顧客接点の質と共に、顧客満足度が上がる。ただし、注意点もある。それは、現場スタッフが顧客から得た情報や現場スタッフが感じた意見や不安などを会社として吸い上げて、会社全体で共有する仕組みを作ることである。現場スタッフを一方的に情報漬けにする行為は、現場のモチベーションと共に、顧客接点の質を低下させ、顧客満足度を悪化させる結果を招きかねない。経営サイドと現場スタッフ分け隔てなく、全員で共有する情報量を増やし、さらに、その情報の質を高める取り組みこそが、顧客接点の質と共に、顧客満足度を一層上げる秘訣になる。顧客満足度を上げる「マーケティング」顧客満足度を上げるためには、ワンtoワンマーケティングの実践が欠かせない。ワンtoワンマーケティングとは、顧客一人ひとりの要望に合わせた商品やサービス、或いは、接客を提供して、顧客満足度を上げる取り組みである。ワンtoワンマーケティングの成功企業の代表例はアマゾンである。アマゾンは、顧客の購入データからお薦め商品をタイムリーに紹介して、顧客満足度と共に売上を上げている。サービス業、非サービス業問わず、ワンtoワンマーケティングの実践機会は沢山ある。例えば、すべての顧客に同じ金融商品を提案する銀行の営業マンと、顧客の世帯や収入状況を考慮し、それぞれの顧客の要望に合わせてオーダーメイドの金融商品を提案している営業マンを比べてほしい。契約の成約率が高く、なお且つ、顧客満足度が高いのは、後者の営業マンであることは容易に想像がつくだろう。ワンtoワンマーケティングのデータベースをシステム管理するには、多額の費用を要するので、大企業であってもとん挫するケースが珍しくない。そもそも、顧客の要望は時代と共に移り変わるので、システム管理には限界がある。中小企業の場合は、顧客管理カードなどのペーパー管理や手製のデータベースを活用し、朝礼やスタッフ会議で情報共有するだけで、ワンtoワンマーケティングの質を上げることができる。当然ながら、ワンtoワンマーケティングの質が上がるほど、顧客満足度も一層上がる。顧客満足度を上げる「コンセプト」顧客満足度を上げるには、商品やサービスコンセプトの明確化が欠かせない。顧客に提供する商品等のコンセプトが明確になるほど、顧客が感じるギャップが小さくなるので、自ずと、顧客満足度が上がる。また、商品等のコンセプトが明確になるほど、社員の進むべき方向性も明確になるので、組織の力が一点に集中し、コンセプトの力がより強くなる。なお、商品等のコンセプトを明確にする際に気を付けるべき点がひとつある。それは、コンセプトに合致しない顧客の要望は過度に受け入れない、ということである。例えば、醤油ラーメン専門店に対して「とんこつラーメンを作ってほしい」という顧客の要望があった場合、正しい答えは、「うちは醤油ラーメンに命を懸けているのでとんこつラーメンは作れません。ゴメンナサイ。」である。逆に、常連客から、醤油の質をもっと上げてほしいといった要望があった場合は、有益な顧客の声として受け入れ、醤油の質を高める努力をしなければならない。コンセプトを基準に、顧客の要望を取捨選択することが、強いコンセプトを作る秘訣になるのだ。すべての顧客の要望を聞くことは、一見して、顧客満足度を高める結果を想像しがちだが、じつは、商品等が増えるほどコンセプトの力が弱まり、さらには、コスト増で経営が圧迫される。先の例で挙げた醤油ラーメン専門店が、みそ、しお、とんこつと商品を増やしていった結果、醤油ラーメンの質と共にコンセプトの力が低下し、さらには、オペレーションの増加でコストが増えるであろうことは、容易に想像できるだろう。コンセプトが曖昧になるほど、顧客満足度が低下し、業績がずるずる悪化し易くなる。商品やサービスコンセプトの明確化は、顧客満足度を上げる共に、事業効率も高める優れたマーケティング手法なのだ。顧客満足度を上げる実践的方法のまとめ顧客満足度を上げる実践的方法は、次の3つの方法である。ひとつは「顧客接点の質を上げる」、二つ目は「ワンtoワンマーケティングの実践」、三つ目は「商品やサービスコンセプトの明確化」である。「顧客接点の質を上げる」とは、顧客接点の質を上げて、顧客満足度を上げる取り組みのことである。「ワンtoワンマーケティングの実践」とは、顧客一人ひとりの要望に合わせた商品やサービスを提供して、顧客満足度を上げる取り組みである。「商品やサービスコンセプトの明確化」とは、顧客に提供する商品等のコンセプトを明確にして、顧客満足度を上げる取り組みである。どれか一つでも欠けると、そこから顧客満足度が低下する原因が生まれるので、この3つの方法をワンセットで実践することが顧客満足度を上げる正攻法になる。
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  • 5S活動のスゴイ効果|5Sで儲かる・能率UP・利益UP・業績改善
    5S活動のスゴイ効果|5Sで儲かる・能率UP・利益UP・業績改善5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を習慣化する活動のことだ。5S活動の効果は、会社が儲かる、作業能率が上がる、生産性が高まる、利益が増える、現金が増える、など等、さまざまな業績改善効果がある。儲かっている会社ほど5S活動が徹底されていて、儲かっていない会社ほど5S活動が定着していない。この記事では、5S活動のスゴイ効果について、詳しく解説する。5S活動の実践効果|整理・整頓・清掃5Sの実践は、整理・整頓・清掃の3つの活動が肝になる。整理は、必要なものと不要なものを分別する活動で、整理が行き届くと、人員・在庫・作業・管理・スペース・キャッシュフローのムダがなくなる、などの効果が生まれる。必要なものの基準は、すぐに使うものである。つまり、すぐに使うもの以外は買わない、置かない、作らない、行わないというのが整理の効果を上げる秘訣だ。整頓は、必要なものを誰でも分かるように配置・明示する活動で、整頓が行き届くと、整理の精度が上がる、作業能率が上がる、在庫管理のムダがなくなる、などの効果が生まれる。整頓の秘訣は、徹底した表示の工夫だ。置き場の表示、通路の表示など導線やストック場所が明確になれば整頓が効率的になる。例えば、駐車場に車止めや車両枠の表示がなければ、車の動作も駐車場スペースも非効率なものになってしまう。清掃は、不要なものやゴミをなくす活動で、清掃が行き届くと、整理・整頓の効率が上がる、職場が美しくなる、印象が良くなる、建物や機械等の劣化や故障の早期発見ができる、などの効果が生まれる。5S活動の定着効果|清潔・躾(しつけ)5Sの定着は、清潔・躾(しつけ)の2つの活動が肝になる。清潔は、整理・整頓・清掃の精度を上げるためのルールの共有・見える化を推進する活動で、清潔さが行き届くと、整理・整頓・清掃の一連のプラス効果が一段と高まる。躾(しつけ)は、整理・整頓・清掃・清潔をトップが率先して現場に定着させる活動で、躾が行き届くと、整理・整頓・清掃・清潔の一連のプラス効果が一段と高まる。躾の基本は、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)にあるが、このサイクルを正しく回している中小企業は決して多くない。例えば、計画はあっても実行が伴っていない、或いは、実行しても評価や改善を行っていない会社は珍しくなく、なかには、計画そのものを誤っている、或いは、そもそも計画すらない、という会社もある。その理由は、継続する根気より、目先の仕事が大事になるからだ。立てた計画の三割でも四割でも上手くいけば成功だと思って、躾を継続することが5S活動の効果を最大化する秘訣だ。5S活動の効果5S活動は、清潔を好む日本人の精神性と相性の良い取り組みで、製造業に限らず、幅広い業種の経営活動に定着している。5S活動最大の効果は、ムダなコストやムラのある働き方が減って、儲かる会社に変貌することだ。5S活動を推進し、5Sの精度を高めるほど、仕事の能率と生産性が上がり、利益と現金が増える。また、綺麗な職場や美しい外観は、近隣住民や取引先等へ良い心証を与え、会社の評判や信頼性を高める効果を生み出す。儲かる会社経営は、5S活動から始まるのだ。
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  • 企業の強みと競争優位性を簡単に高める方法
    企業の強みと競争優位性を簡単に高める方法企業が競争優位性を高め、市場競争を勝ち抜くには「強み」が必要だ。強みに劣る会社は、ライバルにあっさり抜かれ、競争に敗れるからだ。それでは、強みを磨くには何をすべきか?わたしは「日頃の経営姿勢」が最も重要なポイントだと思っている。参考までに、強みの源泉になり得る、経営姿勢の一例をご紹介する。・お客様や関係者を幸せにする・自分の商品やサービスを好きになる・常識に固執せず、新しい常識を次々と生み出す・誰かと比べることなく、常に今の自分を超えることに集中する・失敗しない経営ではなく、失敗しても成功を諦めない経営を実践する以上のような経営姿勢を社員一人ひとりと共有し、組織全体で実践してみてほしい。会社の強みが一段と洗練されて、競争優位性が一気に高まり、ライバルが太刀打ちできない企業に生まれ変わるはずだ。当然ながら、お客様や関係者からも愛される会社になるので、企業の永続性も必然的に高まる。当たり前の仕事が強みと競争優位性を磨く会社を創業した人ならお分かりかと思うが、前章で挙げた経営姿勢のポイントは「極めて当たり前の仕事」だ。創業者であれば、全力で当たり前の仕事をしなければ、事業が軌道に乗らないことも経験則からお分かりのはずだ。しかし、創業から時が経つにつれて、この当たり前の仕事を当たり前にすることが難しくなりがちだ。会社が安定すると、社長だけではなく、多くの社員も、中途半端で満足するようになるからだ。こうなると、次第に強みが薄れ、競争優位性が低下し、ライバルに抜かれ、会社は衰退する。強みの源泉は、以下のような当たり前の仕事の実践にある。・お客様や関係者を幸せにする・自分の商品やサービスを好きになる・常識に固執せず、新しい常識を次々と生み出す・誰かと比べることなく、常に今の自分を超えることに集中する・失敗しない経営ではなく、失敗しても成功を諦めない経営を実践する当たり前の仕事を実践するほど、顧客から必要とされる会社に変貌し、強みと競争優位性がより強固になる。ライバルに抜かれたくなかったら、ひたむきに当たり前の仕事を実践することだ。また、会社の経営が安定した時ほど、わが身を省みることをお薦めする。
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  • コスト削減の原理原則|コストカットの意味・方法・効果・メリット
    コスト削減の原理原則|コストカットの意味・方法・効果・メリット中小企業に限らず、コスト削減はすべての企業にとって極めて重要な活動になる。なぜなら、コスト削減の手を緩めると、提供商品やサービスの原価が高まり、ライバルに勝てなくなるからだ。この記事では、中小企業にとってのコスト削減の重要な理由、並びに、コスト削減の意味・目的・方法・効果・メリット等について、詳しく解説する。コストダウンの目的・意味・効果・メリットコスト削減に悩む中小企業はじつに多いが、コスト削減の目的は、競争優位性の向上にある。ライバルよりも少ないコストでより良い商品やサービスを提供し、ライバルとの競争に勝つために、一所懸命、コストを削減するわけだ。それでは、コスト削減の本質はどこにあるのか。どこを目指して、何を基軸にコスト削減を進めれば良いのか。コスト削減の本質は、コストの使い方の最適化にある。コストは売上を上げるために費やす経費なので、コストの使い方が上手になれば、企業の付加価値や競争優位性が高まり、売上と利益が効率よく増えるスパイラルが回り始めるからだ。だからコストをどう削り、コストの使い方をいかにして最適化するかという課題にみんな真剣に向き合っているのだ。当然ながら、この課題から目を背ける企業は簡単に衰退する。例えば、売上1億円、コスト1億円、利益0円の、表面上、まったく同じ成績の会社が二つあったとする。一方は、1億円の売上を作るためだけに1億円のコストを消費し、もう一方は、1億円の売上を作るために1億円の90%のコストを消費し、残り10%のコストは成長投資に消費している。この2社を比べた場合、将来繁栄するのは、後者の会社だ。今は利益が出ていないが、コストの使い方が上手なので、次第に企業の付加価値や競争優位性が高まり、売上と利益が効率よく増えるスパイラルが回り始めるからだ。コスト削減の流れと正攻法コスト削減の効果的な方法について、大まかな流れと正攻法について、詳しく解説する。コスト削減は、だれが、いつ、なにを、の3W(who・when・What)を明快にすれば、コストダウンの効果が高まるので、しっかり抑えて欲しい。まず、中小企業のコスト削減を進める場合は、社長が中心となって、今すぐ、売上とコストの年計を集計することから始めると良い。年間の売上とコストの関係性が明快になったら、あとは上位コスト(トップ5)を特定し、創意工夫でその上位コストを削減する。上位コストには、その企業、業界、経営者の癖が如実に出るので、この上位コストを削減するほど、ライバルに勝ちやすくなる。なお、社長が数字に苦手な場合は、数字の得意な社員や顧問税理士の協力を得ても良い。ちなみに、売上とコストの年計は、直近12ヶ月分の数字を合計するだけなので、簡単に計算できる。例えば、1月末時点の年計は、昨年2月から直近1月までの12ヶ月間の数字を合計すると計算できる。季節性や一過性のコストノイズが全て除去されるので、売上とコストの関係性の精度がグッと高まる。そもそも、企業は1年間という期間単位でしか評価されないので、1年間の売上に対して、どのようなコストを使っているのかを測定し、理解することが極めて重要になる。この他にも、中小企業がメスを入れやすいコスト削減の対象を挙げると、固定費であれば、地代家賃、人件費、通信費、保険料、諸会費など、変動費であれば、接待交際費、研修費、通信費、水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費などがある。コスト削減で抑えるべき重要ポイントコスト削減を進めるうえで抑えるべき重要なポイントについて、詳しく解説する。まず、殆どの会社にとって、コストの大部分を占める人件費を削るために、社員の給与を減らすことは止めた方が良い。業績が悪くても支払い続けるのが給料の本質なので、給料を下手に減額するとモチベーションを下げるきっかけを作りかねないからだ。ボーナスは業績連動でも差し支えないが、給料は相場よりも少し上を目指して支払う努力が正攻法になる。また、多くの中小企業は、もともとギリギリのコストで事業運営しているケースが多いので、金額ベースのコスト削減にこだわらない方が良い(むしろ多少のゆとりはあった方が良い)。それよりも、最新の技術やノウハウを積極的に取り込んで、生産性をどんどん改善することを推奨する。世の中が進歩すれば、生産性改善のアイデアが生まれるので、コスト削減の種は無限に生まれる。そして、大切なことは、変化を拒んだり、常識に捕らわれたりしないことだ。元気な会社ほど変化を受け入れ、新しい常識を生み出している。コスト削減と同時並行で行うべきことコスト削減と同時並行で最も行うべきことは、コストを賄う粗利額を増やす取り組みだ。例えば、不採算の売上を捨てれば、粗利を減らすことなく、経費だけ減らすことができるので、手元に残る利益が大きくなる。あるいは、不採算の売上を値上げすることも有効だ。値上げする際は、赤字原価を公開し、真摯に丁寧に交渉するのが良い。原価を公開する覚悟を持てば、原価を下げる努力が自然と働く。先方も、相当な企業努力の末の原価を見せられれば、値上げに同意し易くなる。経営は情と理のバランスが大切だが、値上げ交渉はまさに情と理の見せ所といえる。また、コスト削減でねん出した利益は、企業の強みを磨く成長投資に積極投入した方が良い。強みが強くなれば、コストを賄う粗利額が大きくなるので、コスト吸収力の強い企業体質に変貌する。さらに、コストゼロで行える、礼儀、挨拶、笑顔、やる気、前向きな言動などをしっかり定着させることも大切になる。業績の良い会社ほど、しっかり定着させている。悪影響を与える間違ったコスト削減の例会社経営に悪影響を与える間違ったコスト削減の例について、詳しく解説する。商品の品質悪化や顧客サービスの低下を招くコスト削減、社員の安心安全を損なうコスト削減は、コスト削減が衰退リスクを引き上げる典型なので絶対にしない方が良い。顧客と社員の満足度に関わりのない部分のコストを徹底的にゼロにする意識も大切で、具体的には、経営者の自己満足・無駄な節税・企業成長に関わりのない投資は避けた方が良い。例えば、用途不明の土地建物、1~2年以内に回収できない事業投資、本業と関係ない事業展開等へのコスト消費はお薦めしない。コスト削減の結果判定の基準と方法コスト削減の結果は必ず、顧客・社員・数字のどこかに出る。例えば、コスト削減した後に、顧客や社員から不満が出る、数字が悪化する等の症状が出た場合は、コスト削減がマイナスリスクを引き起こしていると言える。従って、コスト削減の前にマイナスリスクが予想される場合は、コスト削減の方法をしっかり再考した方が良い。コスト削減の方法を入念に検討した末の結果判定は、マイナスリスクが出ない場合(顧客や社員が満足・数字が好調)はコスト削減成功と考え、マイナスリスクが出た場合(顧客や社員が不満足・数字が悪化)は、コスト削減失敗と考え、即刻、元に戻すのが良いだろう。コスト削減の事例紹介過去3年間、コスト水準が横ばい(5億円弱)の会社で、コスト削減を進めた結果、1年でコスト15%削減を達成した事例がある。もちろん、前年と同額の粗利もキープできている。コスト削減は、即利益アップに繋がるので、経営基盤が一段も二段も強固になった中小企業がすぐに実施できるコスト削減方法最後に、中小企業がすぐに実施できるコスト削減の方法について、詳しく解説する。削減の対象は、どの会社でもかかると思われる人件費、固定費、変動費、惰性コスト、業務コストに焦点を当てている。人件費人件費の削減は、人を育てる、生産性を上げる、この二つの施策が正攻法になる。人を育てる施策は、社員満足度追求、教育促進、現場主義、定着率upの施策、ノルマや枠にはめない等がある。生産性を上げる施策は、顧客目線、利益意識、情報共有、情報発信、自動化、デジタル化、縦割り排除、残業ゼロ、フラット化、多能化、管理外注、テレワーク等がある。固定費削減固定費の削減は、人件費、地代家賃、通信費などをターゲットにすると良い。人件費の削減方法は前記した通り。地代家賃の削減方法は、都心や一等地回避、小規模化、シンプル化などがある。通信費の削減方法は固定から携帯へ、FAX・郵便からメール・デジタル化へ等の施策がある(通信費は変動費の性格もある)変動費削減変動費の削減は、水道光熱費、研修教育費、旅費交通費、広告宣伝費、消耗品費などをターゲットにすると良い。水道光熱費の削減方法は、自動化、省エネ化等、研修教育費の削減方法は、教育のデジタル活用,教育ツール充実,社内教育等、旅費交通費の削減方法は、webやデジタル活用で出張を削減する、広告宣伝費の削減方法は、自社メディアの運用、SNSの活用等、消耗品費の削減方法は、小ロット化、共有化、シンプル化などが効果的だ。惰性コスト削減惰性コストの削減は、接待交際費、保険料、諸会費などをターゲットにすると良い。何れの経費も、売上に貢献しているか否かを、年に一回は棚卸することをお薦めする。業務コスト削減業務コストの削減は、部門単位の情報共有(顧客・進捗・戦力・数字等)と部門を超えた情報共有(方針・役割・目的等)、IT化、web化、デジタル化、クラウド化、ペーパーレス化、最新の技術やノウハウを積極的に取り込む(このスピードで繁栄が決まる)、ムダムラをなくすための5S徹底〔整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)、経営力を高めるために社長のマネジメント力・リーダーシップ力・ヒューマンスキルを磨く、右腕の育成、ブレーンの活用などが有効だ。経費削減・コストダウンの3つの基本手法を動画で解説
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  • コストコントロールの基本手法|コストを制してライバルに勝つ
    コストコントロールの基本手法|コストを制してライバルに勝つコストコントロールは、会社経営の基本である。ライバル企業よりも少ないコストで商品やサービスを提供できれば、競争の優位性を確保することができるからだ。また、低コスト体制で高付加価値商品を提供することができれば、ライバル企業よりも大きな利益が獲得できるので、コストコントロールは収益性を高める効果もある。コストコントロールの基本手法は、上位コストをしっかりコントロール(管理・分析・削減)することだ。殆どの会社は人件費が1位になり、2位以下のコストは会社や業界によって変わる。例えば、小売業であれば仕入、水道光熱費、地代家賃、建物修繕費、販売促進費などのコストが上位にくる。旅館業は、温泉使用料、水道光熱費、燃料費などのコストが上位にくる。製造業であれば、材料費、労務費、製造経費の原価コストが上位にくる。また、周囲との交流が好きな経営者は、旅費交通費、接待交際費、福利厚生費、会議費などのコストが上位にくる。社員教育や勉強好きな経営者は、研修費、研究開発費、支払手数料などのコストが上位にくる。このように、上位のコスト構造には、その会社の特徴や経営者の癖が如実に表れる。上位コストを競合よりも低くコントロールする、或いは、上位コストを使いすぎない意識を強く持つことが、競合よりも優位なコスト構造を確立する秘訣になる。逆に、この部分に対するコストコントロールの意識が低下すると、必ず会社経営に失敗する。事実、衰退する会社ほど、コストコントロールが杜撰だ。減価償却費のコントロールで成長が決まる会社のコストを上手にコントロールするうえで、成長投資の源泉になる減価償却費をしっかりコントロールすることも大切だ。減価償却費は現金流出が伴わない特殊経費なので、減価償却分の経費は現金としてそっくりそのまま会社に残る。ストックした現金をうまく成長投資に振り向けるスパイラルを作るには、減価償却を起点とした成長投資、利益創出、新規借入、借入返済などのコストコントロールが欠かせない。減価償却を理解している経営者ほど、このコストコントロールが巧みで、ストックした現金をうまく成長投資に振り向け、大きなキャッシュフローを生み出すスパイラルを上手に作り出している。逆に、減価償却の理解が浅い経営者は、このコストコントロールが苦手で、成長投資に失敗したり、借入返済に窮したり、会社の成長が鈍化するきっかけを作りがちだ。減価償却はコストコントロールの肝であり、会社の盛衰を決定づける要素でもある。特に、減価償却資産が多い資本集約型の会社(主に製造業や装置産業)は、減価償却費のコントロール次第で会社の成長が決まるので十分に意識してほしい。
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  • 簡単かつ即効性のあるコストダウン手法|コスト競争力が業績を押し上げる
    簡単かつ即効性のあるコストダウン手法|コスト競争力が業績を押し上げるコストダウンは会社の競争力を決定付ける重要な取り組みだ。なぜなら、競合他社よりも低コストで商品やサービスを提供することができれば、市場での優位性が高まるからだ。この記事では、簡単かつ効果的なコストダウンの手法について、詳しく解説する。コスト競争力が業績を押し上げるコスト競争力は、会社の業績を押し上げる。なぜなら、競合他社よりも低コストで商品やサービスを提供することができれば、市場での優位性が高まるからだ。市場での優位性を失うと、たちまち市場競争からはじき出されるので、日頃のコストダウンの成果が会社の生存を決める、といっても過言ではない。また、低コスト体制で高付加価値商品を開発することができれば、大きな利益を獲得することが容易になるので、コストダウンは高い収益基盤を整える効果もある。技術革新やインフラ進化に伴いコストダウンの余地は絶えず生まれるので、コストダウンは終わりなき企業活動になる。効果的なコストダウンの基本手法効果的なコストダウンの基本は「目標設定」にある。現状と目標のギャップを解消することが、効果的なコストダウンを実現する秘訣になるからだ。当然ながら、目標のないコストダウンは、非効率な活動を生み出し、沢山の時間と労力を浪費する結果を招きかねない。効果的なコストダウンを推進するために活用する目標指標は「売上総利益高経費率」で、計算式は下記の通りになる。売上総利益高経費率=(経費÷売上総利益)×100売上総利益高経費率の標準水準は90%以下、優良水準は80%以下になる。現状の売上総利益高経費率が分かれば、目標とのギャップが明らかになるので、効果的にコストダウンを進めることができる。簡単かつ即効性のあるコストダウン手法続いて、簡単かつ即効性のあるコストダウンの代表的な手法を二つ紹介する。一つは「総量規制のコストダウン手法」、もう一つは「ゼロベースのコストダウン手法」である。それぞれのコストダウン手法について、夫々詳しく解説する。総量規制のコストダウン手法総量規制とは、コストの総量を規制してコストダウンを進める手法である。例えば、年間コスト1億円以内という総量規制を設定した場合は、総量規制である年間コスト1億円超過分がコストダウンの対象になる。総量規制のコストダウン手法は、目標金額が明快になるので、コストダウンの目標管理と、効果測定が容易になる。なお、総量規制のコストダウンは、会社全体で取り組む手法、部門ごとに総量規制を割り当てる手法、社員一人ひとりに総量規制を割り当てる手法がある。当然ながら、コストダウンの総量規制を細分化するほど、短期間でコストダウン効果を上げることができる。ゼロベースのコストダウン手法ゼロベースとは、コストの必要可否を精査しコストダウンを進める手法である。例えば、不要と判断されたコストはコストダウンの対象として、躊躇なくゼロ(削減)にするといった手法である。どんな会社にも会社の業績にさほど貢献していない不要なコストが混入している。一つひとつのコストの必要可否を丹念に精査していくと、思いもよらないコストダウン効果を上げることもできる。なお、急を要するコストダウンの場合は、業界団体の一時離脱や協賛や寄付の停止といった手法で、業績貢献度の低いコストをすべてゼロ化していくと、比較的短期間でコストダウン効果を上げることができる。ただし、社員の安全を損なうコストダウンや商品やサービスの品質を下げるコストダウンには、決して手を出してはならない。
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  • ビジネスリスク・事業リスクのトップ3を見逃すな!|中小零細企業編
    ビジネスリスク・事業リスクのトップ3を見逃すな!|中小零細企業編ビジネスリスクとは、事業の存続を阻害する事業リスクのことである。ビジネスにリスクはつきものではあるが、リスクの取り方やリスクの交わし方を誤ると、簡単に事業運営が行き詰る。この記事では、中小零細企業におけるビジネスリスク・事業リスクのトップ3の事例、並びに、リスクの解決方法について詳しく解説する。ビジネスリスク「変化・進化」ビジネスにおける最大の事業リスクは「変化を拒み、進化しない」ことである。ビジネスを取り巻く環境や顧客や市場の動きは絶えず変化している。その状況下で、変化を拒み、進化しないことほど大きな事業リスクはない。変化を拒むと経営基盤や商品サービスの進化が停滞(後退)し、周囲から後れを取る一方になる。また、少しのきっかけで既存ビジネスが通用しなくなり、経営が破たんすることもあり得る。こうしたビジネスリスクを払拭するには、日頃から最新技術やノウハウに目を光らせて、先手必勝でそうした技術なりノウハウを取り込む姿勢が欠かせない。自らが進んで変化を巻き起こし、商品やサービスの魅力を引き上げる、或いは、事業コストを引き下げる努力を続けると、既存ビジネスの進化のスピードが上がり、自然と事業リスクが軽減される。また、経営者自身も、新たな知見・視座・考え方・ノウハウ等を絶えず学び、変化と進化を推進し続けることも、ビジネスリスクを解消する大切な姿勢になる。安定というノーリスクにしがみつく姿勢は衰退リスクを引き上げるだけだ。不安定(変化・進化・挑戦・努力・苦難等)というリスクを取る姿勢が安定を引き寄せるのだ。【関連記事】生き残る企業の条件ビジネスリスク「本業・多角化」次に注意すべきビジネスリスクは「本業が中途半端で、本業関連の多角化が乏しい状態」である。本業は会社を支える大黒柱であり、ライバル企業に差を付ける強みでもある。その本業の収益性や事業価値が中途半端な状態ほど危険な事業リスクはない。また、本業関連の多角化が乏しい状態も危険な事業リスクと言える。例えば、本業の販路が実店舗しかない会社は、天災や不可抗力等で実店舗の集客力を失った瞬間に、事業運営がとん挫する。本業の商品がいかに素晴らしいものであっても、販路が無ければ手の打ちようがないからだ。この手のビジネスリスクは、ネットショップ等の立ち上げなど、新たな販路の多角化で解消することができるが、販路に限らず、一極集中の分散(多角化)が不十分だと、その部分が事業リスクとして残ることになる。本業の収益性や事業価値を極めつつ、既存顧客に新たな商品を投入する、或いは、既存商品を新たな顧客に投入する多角化を創意工夫で積極展開することが、事業リスクを軽減する有効な策になる。【関連記事】多角化戦略4つの型のメリット・デメリットビジネスリスク「信用・人財」最後に紹介するビジネスリスクは「信用と人財の不足」である。信用と人財は新たな仕事を生み出す絶対条件であり、事業存続に欠かせない要素でもある。その信用と人財が不足している状態ほど危険な事業リスクはない。ビジネスの信用は、相手の利益を徹底的に優先することで盤石になる。具体的には、相手の期待を超える仕事を常に提供することだ。我がことを優先する、一所懸命さが薄れる、不誠実な言動やモラルに欠けた言動が少しでも見え隠れすると、瞬間的に相手からの信用を失い、仕事が無くなるリスクが大きくなるので、くれぐれも留意してほしい。人財を育てることも、事業リスクを引き下げる絶対条件になる。特に、求人募集力に劣る中小零細企業は人財の力がそのままビジネスの成功に直結するので、極めて重要な要素になる。なお、事業リスクを引き下げるための人財育成ノウハウに関しては、こちらのカテゴリー「強い組織を作り上げる人財育成の戦術戦略」で詳しく紹介しているので、一読することをお薦めする。大概のビジネスリスクは、信用と人財さえあれば払拭することができる。また、小が大に勝つ原動力やピンチをチャンスに変える起点も信用と人財である。信用と人財は日々の積み重ね次第で誰でも獲得できる。しかも、一度獲得してしまえば、ビジネスの事業リスクを抑え続けることができる。リスクマネジメントの観点から言えば、最優先すべき要素と言っても過言ではない。
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  • 経営リスクを上手に発掘・管理する方法|リスクマネジメントの基本
    経営リスクを上手に発掘・管理する方法|リスクマネジメントの基本経営リスクとは、会社衰退のきっかけになり得る外的・内的要因のことである。経営リスクを放置するほどに会社の衰退リスクが高まるので、リスクが小さな段階で速やかにリスクを解消することが、リスクマネジメントの基本になる。この記事では、経営リスクのマネジメントの基本から経営リスクを上手に発掘・管理する具体的方法に至るまで詳しく解説する。経営リスクとは?経営リスクとは、会社衰退のきっかけになり得る外的・内的要因のことである。外的要因の経営リスクの代表例は、政治、経済、景気など等のリスクが挙げらる。内的要因の経営リスクの代表例は、企業衰退の原因になり得る経営課題(経営力・組織力・資金力等の低下等)のリスクが挙げられる。何れの経営リスクも、事前にキャッチし、しっかりリスク管理することが企業衰退を未然に防ぐ唯一の方法になる。また、経営リスクは放置するほどに会社の衰退リスクが大きくなるので、リスクが小さい内にリスクヘッジすることが、リスクマネジメントの基本になる。経営リスクはどこに潜んでいるのか?経営リスクは、至るところに潜んでいる。なぜなら、全ての決断や行動の行く末を100%の確率で当てることは不可能だからだ。未来を当てることができない以上、すべての決断や行動には、想定外というリスクがついて回る。つまり、リスクがない決断や行動は、この世に存在しないのだ。未来が一切変わることなく現状が維持される、という前提に立たない限りリスクのない世界が現れることはなく、現実的には、すべての企業に経営リスクが存在する。当然ながら、経営リスクを見落とすと、そのリスクが顕在化した途端に企業が衰退するので、経営リスクの管理が杜撰な会社に明るい未来はないといっても過言ではない。経営リスクの上手な選び方・取り方経営リスクは選び方や取り方ひとつで、企業の盛衰を分かつときがある。例えば、台風上陸の一報が入り、その進路予想に基づいて台風リスクの対策をしたが、実際は、さほどの被害もなく台風が過ぎ去り、リスク対策がすべて無駄になった農家がいたとする。翌週も同じような進路で台風が上陸する場合、この農家が取るべきリスクはどちらだろうか?1.台風のリスク対策をせずに静観する2.台風のリスク対策を前週と同じように行い台風被害に備える農家が取るべき最善のリスク対策は、後者の方法だ。なぜなら、前者のリスク対策は、万が一、台風被害が想定外に大きかった場合、作物が全滅するからである。作物全滅という取り返しようのない大きなリスクを取るのか、はたまた、多少の労力が無駄になるという小さなリスク(機会損失)を取るのか、賢い経営者であれば、取るべき適切なリスクがどちらなのかはお分かりだろう。経営リスクの上手な発掘方法経営リスクの上手な発掘方法を2つ紹介する。ひとつは「未来を起点に経営リスクを発掘する方法」、もう一つは「経営バランスから経営リスクをから発掘する方法」である。それぞれの方法について、以下に詳しく解説する。経営リスクの発掘方法「未来起点」未来を起点に経営リスクを発掘する方法は、リスク発掘とリスク縮小に効果があるのでお薦めだ。例えば、「いまの事業は将来どうあるべきか?」、或いは「将来の顧客はどこにいるのか?」といった問いかけに対して、いまやるべき事を真剣に考えると、障壁となり得る経営リスクが浮き彫りになる。【関連記事】会社経営の成功を支える思考法経営リスクの発掘方法「経営バランス」経営バランスから経営リスクをから発掘する方法も有効だ。経営バランスが崩れた状態は大別して二つに分類することができる。ひとつは「赤字経営、社員離職、顧客離脱、借金過多」など等、目に見えて経営バランスが崩れている状態、もう一つは「黒字経営であっても経営数値が適正水準にない状態」である。前者は深刻な経営リスクを表しているが、小さな経営リスクを発掘するうえで重要なのは後者のケアーである。この部分のケアーが不十分だと、大きな経営リスクが山積し、簡単に企業が衰退する。【関連記事】経営バランスが崩れると会社が倒産する経営リスクの上手な管理方法経営リスクを管理するには、経営リスクを払しょくするための経営改善計画の作成と運用が欠かせない。経営改善計画を作成・運用すると、経営リスク(やるべき事)が明快になるので、自ずと経営リスクの管理精度が上がる。また、会社の数字、並びに、顧客や現場の声のモニタリングなど、日頃の経営活動の結果が如実に表れる領域をつぶさに観察して、経営リスクの芽を潰す検証作業も不可欠だ。繰り返すが、リスクがない決断や行動は、この世に存在しない。経営リスクを想定して、決断や行動の検証精度をいかに高めるかが、上手なリスク管理の秘訣になる。
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  • なぜ成功体験が役立たず失敗体験が役立つのか?|ビジネスは失敗が成功のもと
    なぜ成功体験が役立たず失敗体験が役立つのか?|ビジネスは失敗が成功のもとビジネスにおいて、なぜ成功体験が役立たず、失敗体験が役立つのか?その答えは簡単で、成功体験で培ったノウハウや方法は、周囲の環境が変化すると、途端に通用しなくなるからだ。この記事では、成功体験が役立たない理由と失敗体験が役立つ理由、並びに、大きな成功を掴むための成功体験と失敗体験の活用法に至るまで、詳しく解説する。なぜ、成功体験は役立たないのか?なぜ、成功体験は役立たないのか?その答えは、成功体験で培ったノウハウは、周囲の環境変化によって簡単に陳腐化し、場合によっては全く通用しなくなるからだ。例えば、流行に乗って一時は成功を収めたレストランであっても、顧客の嗜好や世間の好みの変化によって、成功体験が長続きしないことは良くあることだ。大きな成功を勝ち取っている経営者ほど、成功体験は役立たない、成功体験はすぐに捨て去れ、成功体験にしがみつくな、など等、成功体験の無意味さを口を揃えて語っている。成功体験が陳腐化する環境の変化は様々あるが、代表的な例を詳しく解説する。成功体験の陳腐化要因「顧客」顧客の変化は、成功体験が陳腐化する最大の脅威といって過言ではない。なぜなら、商品やサービスの購入権はすべて顧客が握っているからだ。顧客がそっぽを向いたら成功体験はあっという間に破たんする。また、顧客は流行や廃れのコントロールにも深く関わっているので、顧客の変化ほど成功体験を陳腐化させる要因はない。成功体験の陳腐化要因「自分」一度大きな成功体験をすると、油断や驕りを生み出し、それがきっかけで企業が衰退することが往々にしてある。事実、わたしが過去に企業再建で関わった倒産の危機に瀕した会社は、すべて過去に儲かっている時期があり、それぞれに成功体験を持っていた。自分自身の変化、つまり、自壊も成功体験を陳腐化させる大きな要因になる。成功体験の陳腐化要因「ライバル」ライバルの変化も、成功体験を陳腐化させる脅威になる。なぜなら、最新の技術や新しい価値観を持った商品やサービスを投入されてしまうと、過去の成功体験がすべて無に帰してしまうことがあり得るからだ。成功体験の陳腐化要因「経済環境」経済環境の変化も、成功体験を陳腐化させる脅威になる。例えば、景気の変化や法律の改定などは、過去の成功体験を陳腐化させる脅威になり得る。景気悪化や規制緩和によって業績が低迷する会社などは、経済環境の変化によって、過去の成功体験が陳腐化した典型例である。なぜ、失敗体験は役立つのか?なぜ、失敗体験は役立つのか?その答えは、小さな失敗体験を見逃すことなく真摯な姿勢で改善し続けていると、いつしか大きな成功体験に繋がるノウハウが形成されるからだ。失敗体験を成功に繋げるには、失敗を極力小さくとどめることと、小さな失敗を見逃さず改善し続けること、が欠かせない。当然ながら、大きく失敗するまで何も手を打たない、或いは、失敗を失敗のまま放置する、といった行動では、失敗体験が成功体験に転換されることはない。変化を先取りし、小さな失敗体験から成功のヒントを学び、失敗体験を改善し続ける努力が大きな成功を生み出すのだ。成功は成功を生み、一度成功した人は更なる大きな成功を手に入れるという云われもあるが、すべては幻想である。すべての成功体験は、数多くの失敗体験と不屈の努力から生まれる。失敗体験が、成功体験を生み出す源泉になるのだ。ビジネスは失敗が成功のもと成功は偶然の産物、失敗は必然の産物である。つまり、成功には再現性がなくコントロール不能な要素が多く、失敗には再現性がありコントロール可能な要素が多い、ということだ。約三百年に亘り天下を治めた徳川幕府を開いた徳川家康は、織田信長、豊臣秀吉等々、時代を共にした武将の失敗体験を徹底的に分析し、成功体験の礎を築いた。会社経営も同様、日頃から失敗体験を徹底的に分析し、失敗をコントロールしながら成功体験の礎を築くのが、成功の正攻法になる。ビジネスにおいては、失敗が成功のもとになるのだ。
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  • 営業力と販売力を強化する9つの方法|営業力を高める思考・戦略・体制
    営業力と販売力を強化する9つの方法|営業力を高める思考・戦略・体制営業力と販売力の強化は、企業存続の絶対条件と言っても過言ではない。営業力が低下し、販売実績が低迷すると、事業衰退のリスクが極めて大きくなるからだ。この記事では、営業力と販売力を強化する9つの方法、並びに、営業力を高める思考・戦略・体制について、詳しく解説する。営業力を強化する「思考」営業力と販売力を強化する「思考」について、詳しく解説する。営業力と販売力を強化するには「全員営業」の意識を定着させることが欠かせない。全社員がお客様に感動を与える仕事を意識すれば、自然と信用が高まり、売上が安定するからだ。全員営業の意識が定着すると、営業スタッフだけではなく、直接顧客との接点がないスタッフの仕事も顧客を意識したものになり、その姿勢が巡り巡って営業力と販売力の強化に繋がる。また、一人ひとりの営業パーソンが「会社の代表者」という意識を持つことも重要だ。会社の代表としての自覚・振る舞い・専門性が、営業力と販売力を大きく左右するからだ。そして、全社員が「売ることの自信と誇り」を持つことも欠かせない。自信と誇りを持てば、誰よりも優れた商品を売るための惜しみない努力が自然とできるようになるからだ。全員営業・会社の代表者・売ることの自信と誇り、この3つの意識が営業力と販売力を強化する重要な思考になる。意識ひとつで行動が変わるので、上手にマインドセットしてほしい。営業力を強化する「戦略」営業力と販売力を強化する「戦略」について、詳しく解説する。営業力と販売力を強化するお薦めの戦略は「強みを端的に提案する」ことである。商品の説明が短いほど、或いは、商品の強みが明快なほど、お客様の購入欲求が高まり、商品が売れやすくなるからだ。例えば、商品の強みを30秒以内にまとめる、一瞬で強みが理解できる提案ツールを開発する、提案商品を一つに絞り込むなど、とにかく、商品の強みを端的に提案するほど営業力と販売力が強化される。また、「選択と集中」も営業力と販売力を強化する戦略として有効だ。貢献度や成長率の高い顧客に集中的に営業攻勢をかける、或いは、エリアを絞り込んで№1を狙う等、選択と集中を実践するほど営業力が強化されて、販売実績が上がるからだ。そして、一番大切な戦略は「当たり前の仕事を定着させる」ことだ。顧客のために何ができるのか、何が出来ていないのかを探求し、顧客サービスを高める弛まぬ努力が、営業力と販売力を引き上げるからだ。この営業戦略は小さな会社ほど得意で、会社の規模が大きくなるほど不得意になるが、社内の都合よりも顧客の都合を最優先することは、商売繁盛の大原則でもある。営業力を強化する「体制」営業力と販売力を強化する「体制」について、詳しく解説する。営業力と販売力を強化するうえで欠かせない条件は「情報を超速で発信する」営業体制だ。顧客は与えられた情報の範囲内で商品価値を評価するので、HPやSNS等で与える情報を充実させれば、自然と商品価値が上がり、営業力と販売力が高まる。また、クラウド等を活用し、営業スタッフの情報共有度や顧客との情報双方向性速度を極めれば、顧客接点の時間が充実・拡大し、営業力と販売力が高まる。情報を制する者がビジネスを制するという格言が残っている通り、情報を超速で発信する体制は、営業力・販売力強化の絶対条件と言っても過言ではない。営業力と販売力を強化するうえで「アナログとデジタルのメリハリを付ける」ことも重要だ。例えば、顧客接点はアナログ重視で感動量を拡大し、顧客接点以外はデジタル重視で効率化を追求すれば、顧客接点が増えると同時に、顧客接点の質も向上し、巡り巡って営業力と販売力が強化される。最後に紹介する大切な営業体制は「ギャップを解消する」ことだ。企業と顧客の間のギャップが無くなるほど、商品が売れやすくなるからだ。企業と顧客の間のギャップは、顧客の要望と提供商品のギャップ、情報発信と情報認識のギャップなど至るところにある。こうしたギャップを解消するには顧客理解を徹底するしかない。具体的には、顧客の声や現場の声に耳を傾ける機会を増やし、定着させることだ。顧客の声や現場の声を事業活動に反映させるほど、企業と顧客の間のギャップが小さくなり、営業力と販売力が強化される。顧客に会いに行く、或いは、現場に足を運ぶ姿勢が、営業力と販売力を決定づけるということだ。
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  • 管理部門の収益性を高める利益目標|管理部門のコスト意識が利益を拡大する
    管理部門の収益性を高める利益目標|管理部門のコスト意識が利益を拡大する管理部門に対して然るべき利益目標を与えなければ、好調な業績を維持することが難しくなる。なぜなら、管理部門の利益意識が薄れると、会社のコスト管理がいい加減になり、業績悪化のリスクが次々と生まれるからだ。事実、業績悪化に苦しんでいる殆どの中小企業は、管理部門に対して然るべき利益目標を与えていない。例えば、人員のムダムラ、在庫のムダムラ、文房具や消耗品のムダムラ、節約・節電意識の欠落、など等の業績悪化の症状は、管理部門の利益意識が薄れると表面化しやすくなる。会社の業績を一段と飛躍させるには、収益を生み出さない管理部門に対しても、然るべき利益目標を与えることが欠かせないのだ。管理部門は利益を生み出さないので、直接的な利益目標を設定することはできないが、会社が生み出した利益と連動させた合理的な利益目標は設定することができる。例えば、会社全体の売上総利益(粗利)の10%以下に管理部門の総コストを抑える、といった目標設定は管理部門に利益意識を根付かせる有効な目標として機能する。管理部門のコスト集計が出来ていない中小企業の場合は、管理部門に属しているスタッフの人件費を利益目標の対象にする方法もある。何れにせよ、管理部門に対して然るべき利益目標を与えると、会社全体の利益と管理部門のコストの関係性が明快になるので、管理部門の働き方が、会社全体の利益に貢献し易くなる。管理部門の利益目標の計算方法と適正水準管理部門の利益目標として有効に使える経営指標は「売上総利益高管理部門経費率」になる。売上総利益高管理部門経費率とは、売上総利益に占める管理部門経費の構成比率で、計算方法は下記の通りになる。売上総利益高管理部門経費率=(管理部門経費÷売上総利益)×100例えば、管理部門経費が100万円で、売上総利益が1,000万円であれば、(100÷1,000)×100=10%となる。売上総利益は、経費を賄う原資なので、売上総利益高管理部門経費率が分かると、管理部門が会社全体の粗利をどの程度消費しているのかが一目瞭然で分かる。なお、中小企業の売上総利益高管理部門経費率の適正水準は10%以下だ。従って、売上総利益高管理部門経費率が10%超であれば、管理部門のスリム化を検討した方が良いだろう。また、売上総利益高管理部門経費率が10%以下であっても、営業スタッフを兼任させるなどして、さらにスリム化できないか否かを検討することも大切だ。もしも、管理部門の集計がされていない中小企業の場合は、管理部門に関わっている人件費だけを集計し、管理部門の経費率を計算する手もある。(管理部門の人件費は、社長を含む役員、総務経理スタッフ、開発スタッフなどが対象になる)好調な業績を維持している中小企業は、営業部門だけに利益目標を与えるのではなく、管理部門に対してもしっかり利益目標を与えている。当然ながら、全社員の利益意識が高まると、業績拡大のスピードは一段と加速する。
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  • 無借金経営のデメリット|中小企業が習得すべき借金経営の極意
    無借金経営のデメリット|中小企業が習得すべき借金経営の極意無借金経営とは、銀行等からの外部借入を一切行わず、自己資本のみで事業運営する経営スタイルのことだ。無借金経営には、経営の安全性が高いメリットがある一方で、資金効率や投資効率の低下等のデメリットがある。この記事では、無借金経営のデメリットと中小企業が習得すべき借金経営の極意について、詳しく解説する。無借金経営とは無借金経営とは、銀行等からの外部借入(借金・社債等)による資金調達に頼らず、自己資金(資本金・利益剰余金等)のみで事業運営する経営スタイルのことだ。実際のビジネスでは、買掛金や支払手形等の短期負債を抱えるので、完全に無借金経営といえる会社は殆どないが、短期負債を上回る流動資産(現預金・受取手形等の換金性の高い資産)があれば無借金経営といえる。また、銀行等からの借金(長短借入金等の有利子負債)があったとしても、それを上回る流動資産があれば、実質無借金経営になる。無借金経営には、財務体質の安全性が高い、返済苦に陥るリスクがない等のメリットがある一方で、資金効率や投資効率が低下するデメリットがある。無借金経営のデメリット|その1無借金経営のデメリットは、資金効率や投資効率が低下することだ。無借金経営の成長投資の原資は自己資金(資本金・利益剰余金等)のみになるので、成長を一段と加速するには相当な高収益体質を確立しなければならない。しかし、中小企業の立場で高収益を確立する事は実際に困難で、自己資金のみで潤沢な資金を要し、多額の投資スパイラルを確立している会社は殆どない。つまり、無借金経営には、資金効率と投資効率の低下というデメリットがあるのだ。当然ながら、自己資金が小さいと成長投資の規模も小さくなるので、会社の成長を加速させることが難しくなる。逆に、自己資金に借金を加えて成長投資の規模を大きくすれば、それだけリターンも大きくなるので、成長投資が成功すれば自己資金が更に増えて、場合によっては、自己資金を減らすことなく会社の成長をデザインすることも可能になる。無借金経営のデメリット|その2無借金経営のデメリットは他にもある。例えば、無借金経営を続けていると、突発的な資金需要に対応できないデメリットがある。中小企業の資金調達は、大企業に比べて限定的で、普通は銀行等の金融機関に頼らざる得ないが、無借金経営で金融機関との関係が希薄な場合は、新規融資の承認が下りるまで相当な時間がかかる。従って、突発的な経営悪化に伴い借金が必要になったとして、資金の手当てが間に合わず、最悪、黒字倒産という事態も招きかねない。従って、金利支払いを保険料だと思って、多少の借金を抱えてたほうがリスクに強い会社経営ができる。中小企業が習得すべき借金経営の極意借金経営は悪い事ではない。資金効率も投資効率も上がるので、借金ありきの投資が成功すれば加速度的に会社が成長する。大切なのは、借金経営の失敗リスクをしっかり認識し、万全を期すことだ。ここが甘くなると借金経営に失敗する。特に、借金の目的、借金の収支計画、借金の返済計画、借入限度額のコントロール等が曖昧になると、借金経営の失敗リスクが飛躍的に上がる。一度、借金経営に失敗すると、加速度的に経営が悪化するので、くれぐれも注意してほしい。そして、前章でも解説したが、多少の借金は常に抱えていた方が良い。更に複数銀行から借りた方が、ピンチに陥った時の貸し剥がしリスクが低下する。
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  • リース契約のデメリット|リース資産は危険な簿外負債
    リース契約のデメリット|リース資産は危険な簿外負債リース契約(リース資産)の活用は、経営のスタンダードといってよいほど定着している。リース契約のメリットは、資金効率や投資効率が高まる点にあるが、デメリットもあり、中でも簿外負債の増加は危険なリスクになる。この記事では、リース契約とリース資産のデメリットについて、詳しく解説する。リース契約のデメリットリース契約(リース資産)の活用は資金効率や投資効率を高めるメリットがある一方で、簿外負債を増やすデメリットがある。リース契約で増加する「簿外負債」とは、将来にわたって支払うべき借金のようなもので、言葉の通り、貸借対照表に掲載されない帳簿外の負債のことをいう。リース契約で資産を購入すると、大概は少額の分割払いになるため、元値の大きさを見失いがちになる。分割払い分はリース料金として損益計算書に掲載されるが、リース残額の総額は財務諸表のどこにも記載されないので、なおさらだ。現金残高にゆとりがない状態で、リース契約を乱発すると、リース残高と共に、知らぬ間に簿外負債も膨れ上がる。このデメリットを見過ごすと、毎月のリース料金の支払いに困窮し、場合によっては、資金繰りが行き詰まることもある。簿外負債は危険なデメリットリース契約と共に簿外負債が増えると、経営判断を誤るリスクも高まる。負債のコントロールミス、借入限度額の超過、キャッシュフローの見誤りなどは、リース契約と共に簿外債務が増えた時に生じ易い判断ミスの典型だ。例えば、リース契約と共に増える簿外負債を見落とすと、いつしか借入限度額を超過し、借金過多で返済苦に陥るリスクが高まる。返済に窮するようになると、キャッシュフローが悪化し、経営が益々行き詰まる。資金にゆとりがない時ほどリース契約を活用しがちになるが、簿外負債というデメリットを忘れると、経営リスクが高まるので注意が必要だ。また、こうしたデメリットを回避するために、リース契約の残額である簿外負債を計算に入れた負債比率や借入限度額を常に把握し、正確な返済能力やキャッシュフローを把握することも欠かせない。リース契約のその他のデメリットリース契約のデメリットはこの他にもあり、リース契約を途中解約できない、一括購入に比べて支払総額が大きくなる、リース契約物件(資産)のアレンジやカスタマイズできない等々はデメリットの典型になる。途中解約不可リース契約には途中解約できないデメリットがある。従って、万が一、リース契約した資産が陳腐化、或いは、稼働率が低下すると、資金・資産効率低下というデメリットを生み出す。支払総額が多いリース契約は一括購入よりも支払総額が多くなるデメリットがある。従って、一括購入できる資金力があればリース契約を見送った方が良い。但し、一括購入した場合は、固定資産税等の付随費用の負担が生じるので、総額比較し、最終的にメリット・デメリットを判定する必要がある。アレンジ等不能リース契約で導入する機械設備や車両はもちろん、複写機等のOA機器に至るまで、リース資産は自由にアレンジやカスタマイズができないデメリットがある。従って、リース契約前に、リース資産の使用方法を検討することが大切になる。
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  • 自社ビルのメリットは本当にあるのか?|成長鈍化の原因は自社ビルにある!?
    自社ビルのメリットは本当にあるのか?|成長鈍化の原因は自社ビルにある!?中小企業のなかには自社ビルを保有している会社も珍しくない。また、会社の創業年数が長いほど、自社ビルの保有割合が高い。会社経営で一定の成功を収めると、真っ先に自社ビルを建てようとする経営者もいるが、果たして自社ビルにメリットはあるのだろうか?この記事では、自社ビルのメリット・デメリットについて、詳しく解説する。自社ビルとは?自社ビルとは、自前の土地に建設したビル、或いは、購入したビルのことである。自社ビル保有企業は、昔から土地を保有している大企業や老舗企業に多く、成長途上にある企業ほど自社ビルの保有率が低い。自社ビルのデメリットは、多額の初期費用(イニシャルコスト)が掛かる、経営の自由度を妨げる等が挙げられる。一方、自社ビルのメリットは、安価な経常費用(ランニングコスト)で本社機能や事業活動の拠点として使用できる、企業の信用度が上がる等が挙げられる。会社経営で一定の成功を収めると自社ビルを建てようとする経営者がいるが、自社ビルのメリット・デメリットをしっかり理解しないと、自社ビルがきっかけで衰退を招く可能性もあるので注意が必要だ。自社ビルのメリットはあるのか?自社ビルのメリットは本当にあるのか?わたしの答えは「自社ビルのメリットは、さほどない」である。自社ビル最大のデメリットは、会社の規模が決まってしまうことだ。例えば、自社ビルの中に会社組織を閉じ込めると、営業人員や倉庫面積などが固定化してしまうので、経営者の拡大志向が希薄になりやすくなる。当然ながら、経営者の拡大志向が薄れると、会社の成長は鈍化する。街を歩いていると老朽化した自社ビルをよく見かけるが、この手の会社は、自社ビルを建てた瞬間が会社の成長ピークであることが多い。また、大都市圏の場合は、自社ビルが足かせとなって、経営環境に合わせた自由な経営が出来なくなる場合がある。周囲の経済環境に翻弄されやすい中小企業は、会社の成長と経営の自由度を妨げる自社ビルに固執せず、強い拡大志向を持って賃貸オフィスを渡り歩いた方が、成長スピードが加速する。自社ビル保有の収支メリットとは?自社ビルと賃貸を比べた場合、収支面(費用面)のメリットはどちらが得なのだろうか?賃貸のメリットは月々の費用しかかからない点だ。長い目で見れば、自社ビルよりも費用メリットが少ないかも知れないが、必要最低限の費用支出で済むので、経営的なメリットは大きい。一方、自社ビルのメリットは、初期コスト以降のランニングコストが安くなる点だ。ただし、固定資産税、修繕費、管理費用、借入金の金利などの諸費用負担、地震等の天災リスク、さらには50年~100年後に建て替えるための資金貯蓄などを加味すると、果たして、賃貸の費用メリットに勝るかどうか、微妙になる。また、自社ビルを建築するには数億円のお金が必要になる。数億円のお金が新しい売上を生み出すのであれば投資メリットが高いといえるが、自社ビルを建てたとしても売上が増えるわけではない。当たり前だが、数億のお金を自社ビルに使った場合と、売上拡大に繋がる投資に使った場合の投資メリットを比較した場合、投資メリット高いのは後者だ。このように自社ビルは、投資効率が悪いというデメリットもある。自社ビルを建てた途端に資金繰りや業績が悪化する会社は、投資効率の悪化が主要因であることが多い。成長鈍化の原因は自社ビルにある!?ここまでの解説で、自社ビルのメリットがさほどないことがお分り頂けたと思う。不動産投資で最も儲けが出るのは、土地を仕入れてビルを建てて他人に貸す、というモデルではない。築数十年のビルを一棟買いして他人に貸し、建て替え時期が迫る前にビルを売却する、というモデルだ。このモデルであれば、ビルの売買コストがさほどかからず、保有期間の家賃収入が丸々儲けになる。会社の自社ビルも同じだ。無理に自社ビルと保有せずに、事業環境の変化に合わせて賃貸オフィスを渡り歩いた方が、高い収益メリットが得られ、会社の成長スピードが加速する。事実、高成長企業、或いは、飽くなき成長を目指している中小・ベンチャー企業ほど、賃貸オフィスを積極的に活用している。中小企業の場合は、毎月の資金負担が定額で、なお且つ、資金効率の高い賃貸オフィスの方が向いている。また、キャッシュフローの面からみても、自社ビルよりも賃貸の方が管理しやすいメリットがある。
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  • 非常識な成功の法則|成功のチャンスはゴミ箱の中にある
    非常識な成功の法則|成功のチャンスはゴミ箱の中にある常識とは大勢の人が当たり前と認識している一般社会通念のことだ。一方、非常識とは、大勢の人が現時点で当たり前と思っていない事、或いは、これから当たり前になる事に気がついていない事である。ビジネスは常識が非常識に変わることで終焉を迎え、非常識が常識に変わることで繫栄が始まることが往々にある。この記事では、非常識な成功の法則について、事例を交えて分かり易く解説する。成功のヒントはゴミ箱の中にある世界最大のファストフードチェーンを創ったマクドナルド創業者のレイ・クロック氏は「成功のヒントはゴミ箱の中にある」と言った。常識で考えれば、ゴミ箱は不要なものを捨てる場所であり、成功のヒントなどありもしないと思うだろうが、同氏はゴミ箱の中から成功のヒントを見つけて大成功を収めた。この非常識な成功の法則について、同氏は自身の著書“成功はゴミ箱の中に”の中で次のように語っている。「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。知りたいものは全部転がっている。私が深夜二時に競争相手のごみ箱を漁って前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない。強みを鍛え、付加価値に力を入れれば我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう。」常識的なライバル分析は、立地調査、覆面調査、顧客分析等のマーケティングが正攻法になるが、同氏のマーケティング手法は、ゴミ箱という非常識な切り口から成功の法則を見出だしている。成功のチャンスは非常識の中にある常識はその時代に影響力を持った一部の人間や企業が作りだすものなので、いつかは廃れる。つまり、常識にしがみついたビジネスや常識の範囲内で展開しているビジネスに永続性はない、ということだ。特に、昔からやっているから、周りもやっているから、これをやるのが常識だから等の合理的根拠に欠けた常識ほど危険な衰退リスクを抱えている。この手の常識は、非常識に変わった瞬間に衰退リスクが表面化する。具体的には、顧客の離反、社員の離職、ビジネスモデルの破綻などである。創業の歴史が古い会社が社長の代替わりと共に衰退するケースなどは、こうした常識から抜け出せずに衰退する典型といえる。元気な会社はこうした常識を徹底的に嫌い、成功のチャンスは非常識の中にあると考え、次々と新しい常識を生み出している。当然ながら、新しい常識は最初の段階は多少の反発を受ける非常識かも知れないが、非常識が常識に変わった瞬間に、大きな収益を生み出すエネルギー源となり、一気に繁栄が加速する。成功のチャンス、挑戦のタネ、繁栄の基礎等の成長や飛躍の原動力は、いつの時代も非常識の中にあるのだ。繁栄を招く非常識な成功の法則最後に、繁栄を招く非常識な成功の法則をいくつか紹介する。成功は、安定(常識)ではなく、不安定(非常識)の中にある。苦難や挑戦などの不安定な環境を乗り越えることで初めて安定が得られるからだ。生産性は、自動化(常識)ではなく、手仕事(非常識)を極めることでも高められる。機械では作れない商品に仕上げれば競争相手がいなくなるからだ。ビジネスは、収益事業(常識)ではなく、非収益事業(非常識)から生まれる。非収益事業(検索サービス・ポータルサイト・ソーシャルネットワーク等)から大きな広告収入を得ているヤフー、グーグル、フェイスブックなどは典型である。非常識な成功の法則はこの他にも沢山あるが、こうした非常識を常識に変えるには、モラルを持ってビジネスを推進することが大切になる。モラルも気品もないビジネスは、必ず世間、業界、社員等から足を引っぱられるからだ。モラルを持ってビジネスを展開することは、非常識な成功の法則を確かなものにする絶対条件と言って過言ではない。
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  • 木を見て森を見ずの意味と仕事活用術|木と森を見失うノルマ主義の弊害
    木を見て森を見ずの意味と仕事活用術|木と森を見失うノルマ主義の弊害木を見て森を見ずの意味は「目先のことだけに捉われて全体像が見えなくなる様子」のことである。ビジネスにおいては、目先の利益に捉われて大きな利益を失う、目先のノルマに捉われて本当に大切な目的を見失うことなどは「木を見て森を見ず」の典型になる。この記事では、木を見て森を見ずの意味と仕事活用術、並びに、木と森を見失うノルマ主義の弊害について、詳しく解説する。木を見て森を見ずの仕事活用術木を見て森を見ずという言葉の意味は、目先のことだけに捉われて、悪い結果や後先の事が見えなくなる事象を表すことが多い。しかし、目先に見えているものや優先させるものが正しいものであれば、自然と良い結果が生まれるので、木を見て森を見ずとも物事はうまく運ぶ。つまり、「目先に何を見せるか」或いは「何を優先させるか」を正しく設定すれば、木を見て森を見ずとも、良い結果を出すことができるのだ。例えば、目の前のお客様に誠心誠意一所懸命尽くす姿勢は、会社の信用信頼を高め、繁栄の基礎を盤石にする。目先の事が、お客様のために何ができるか、お客様をもっと幸せにするために何が出来ていないのか、といった言動に集中するので、木を見て森を見ずとも大きな成果を上げることができる。見るべき木が正しければ、組織全体の行動原理が明快になり、目先のことだけに集中するほど、会社の生産性・収益性・発展性等の全体結果が良好になるのだ。木を見て森を見ずの失敗パターン木を見て森を見ずの良くある失敗パターンについて、詳しく解説する。前章で解説した通り、見るべき木(目先)が正しければビジネスに成功するが、見るべき木(目先)が誤っていればビジネスの失敗リスクが高まる。例えば、売上(木)を見て、利益(森)を見ない上司(木)を見て、顧客(森)を見ない社内(木)を見て、社外(森)を見ない自己都合(木)を見て、他者都合(森)を見ない個人成績(木)を見て、全体成績(森)を見ない目先の利益(木)を見て、信用信頼の構築(森)を見ないなどは、木を見て森を見ずの良くある失敗パターンである。ちなみに、上記例の木と森を逆転させると会社経営がうまく行き易くなる。売上より利益、上司より顧客、社内より社外、自己都合より他者都合、個人成績より全体成績、目先の利益より信用信頼の構築を優先する経営姿勢が繁栄を招くのだ。過剰なノルマ主義は木と森を見失うノルマとは、個人単位に半ば強制的に割り当てる労働・成果・時間等の基準量のことである。社員一人ひとりに売上ノルマ・訪問ノルマ・成約ノルマ等を課し、特定の日までにノルマ達成を迫り、ノルマ達成の良し悪しで個人能力を評価する仕組みはノルマ主義の典型といえる。ノルマ主義のメリットは、会社側が一定の労働量や成果結果を獲得し易い点にあるが、過剰なノルマ主義は、社員をノルマ至上主義に陥れるデメリットを生む。例えば、売上ノルマさえ達成すれば、利益・信用信頼・顧客満足度などはどうでも良い、或いは、自分のノルマさえ達成すれば、他の社員や会社全体の事はどうでも良い、といった思考回路はノルマ至上主義の弊害といえる。また、過剰なノルマを与えると、モラルに欠けた売上拡大、顧客不在の品質改ざん、ノルマ達成のための法律違反など、極めて危険なリスクを冒し易くなり、たった一つの失敗が原因で会社倒産という悲劇を招く場合もある。会社経営は本質から外れるほどうまく行かなくなるので、折にふれ、見るべき木(目先の正しさ)をチェックすることを切にお薦めする。
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  • 経営課題の抽出・分類・分析フレームワークから改善策と解消策まで徹底解説
    経営課題の抽出・分類・分析フレームワークから改善策と解消策まで徹底解説経営課題とは、企業の成長発展を阻害する将来リスクのことだ。企業衰退の根本原因を辿ると、経営課題の見落としに行き着くので、日頃から経営課題と向き合い、経営課題を解消すべく改善努力を継続することほど重要なことはない。この記事では、経営課題の抽出・分類・分析フレームワークから改善策と解消策に至るまで、詳しく解説する。経営課題を見落とすと、企業は100%の確率で衰退するので、是非とも、参考にしてほしい。経営課題とは経営課題とは、企業の成長発展を阻害する将来リスクのことだ。経営課題で一番厄介なことは、会社経営を取り巻く環境の変化と共に、経営課題も変化することである。従って、変化に鈍感な会社、或いは、経営課題の改善や解決を先送りするような会社は、時の経過と共に会社の衰退リスクが山積し、少しのきっかけで経営が破たんすることがあり得る。わたしの経験上も、企業衰退の根本原因は「経営課題の見落とし(見誤り・見過ごし)」にあるので、会社経営において、経営課題の扱いほど重要なものはない。安定経営を実現するには、経営課題の抽出・分類・分析フレームワークの活用法と共に、経営課題の改善策と解消策を深く理解することが欠かせないのだ。経営課題を抽出するフレームワークは様々あるが、使い勝手の良いお薦めのフレームワークを以下に二つ紹介する。経営課題を抽出するフレームワークその1ひとつ目に紹介する経営課題を抽出するフレームワークは「スワット分析」である。スワット分析とは、自社の強みと弱み、外部の機会と脅威を明らかにして、会社を更なる成長に導く経営戦略を考えるための経営課題の分析手法のことだ。経営課題の抽出に活用できる、最もポピュラーなフレームワークでもある。スワット分析で会社の強みと弱みが明らかになると、強みを磨くための経営課題と、弱みを克服するための経営課題の両面を考えることができるので、積極的に活用してほしい。なお、具体的な分析手法は当サイト内の「スワット分析で会社の強みと弱みを知る方法」で詳しく解説しているので、こちらを参考にしてほしい。経営課題を抽出するフレームワークその2ふたつ目に紹介する経営課題を抽出するフレームワークは、会社経営を取り巻く様々な側面からリスクと確実性の両面を分析し、経営課題を抽出するフレームワークである。会社経営を取り巻く様々な側面から想定される経営課題を全て書き出し、次のフレームワークに当てはめると、対処すべき経営課題を抽出することができる。会社経営を取り巻く側面は、C:顧客(Customer)、M:市場(Market)、R:競合(Rival)、E:経済(Economics)、E´:環境(Ecology)、P:業績(Performance)、P:政治(Politics)、S:社会(Society)、T:技術(Technology)、G:世界(Global)の10項目は必須だ。複数人のワークショップ形式で、上記項目の経営課題を全て書き出し、フレームワークに当てはめると、経営課題の抽出が効率的に行える。【関連記事】経営課題の簡単な見つけ方|課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる経営課題の書き出し例(抽出例)経営課題の抽出は、将来リスクや確実性の大小関係なく、あらゆる経営課題を書き出すことが、経営課題の本質に迫る秘訣だ。また、将来の変化が自社の事業構造にどのような影響を与えるのかをあらゆる角度から検証し、徹底的に経営課題を洗い出すことも経営課題の本質に迫るうえで重要なことだ。経営課題の書き出し例(抽出例)は下表の通りである。経営課題の書き出し例(抽出例)項目名経営課題の書き出し例(抽出例)C(顧客)顧客の高齢化に伴う売上の低迷M(市場)市場縮小に伴う売上の減少R(競合)競合の台頭に伴う収益性の低下E(経済)景気悪化に伴う消費の低迷E´(環境)環境破壊や大気汚染の深刻化に伴う商品需要の低迷P(政治)不安定な政治に伴う消費の低迷P´(業績)売上・利益・現金が適正水準にないS(社会)若年層の価値観の変化に伴う需要の減少T(技術)テクノロジーや社会インフラの進歩に伴う商品の陳腐化G(世界)不安定な世界経済の影響で円相場が乱高下し、国外利益が不安定【関連記事】経営課題の簡単な見つけ方|課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる経営課題の分類・分析法前章で解説した経営課題を抽出するフレームワーク(下図参照)は、経営課題の分類と分析にも活用できる。例えば、リスクと確実性が大きい経営課題は早急に対処すべき課題に分類し、確実性が大きくリスクが小さい、又は、確実性が小さくリスクが大きい経営課題は対策案を手元に用意(保持)すべき課題に分類し、確実性と将来リスクが小さい経営課題は保留すべき課題に分類すると、経営課題が明快に分類され、その後の解決策の検討も容易になる。付箋に書き出した経営課題をフレームワークに貼りつけるだけで、経営課題の分析と分類ができるので効率的でもある。なお、経営を取り巻く環境は、時の経過共に絶えず変化するので、経営課題の分析・分類は定期的に行わなければならない。当然ながら、周囲が変化しているにも関わらず、経営課題の分析・分類を放置することは、衰退リスクを高めるだけなので、決してなおざりにしてはならない。経営課題の改善・解決策経営課題の改善・解決策は、目標設定が出発点になる。なぜなら、経営課題の改善や解決は、目標に対して動くことから始まるからだ。経営課題を改善・解決するための目標を掲げて、現状と目標のギャップを捉ることができれば、目標達成に向けた活動が明らかになり、効率的に経営課題の改善・解決を推進することができる。なお、目標設定のノウハウに関しては当サイト内の「目標を掲げて事業を拡大する方法」で、目標の改善・解決法は「PDCAサイクルで会社の成長を加速する」で詳しく解説している。また、目標設定には、数値目標も活用し、PDCAサイクルの計画・検証の精度を上げることも忘れてはならない。さらに、経営課題を改善・解決するための活動は、常にマイナスリスクを検証しながら進めることも重要で、万が一、経営課題を改善した後に想定以上のマイナスリスクが表面化した場合は、間髪入れずに元に戻すといった対処を取ることも忘れてはならない。
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  • 経営課題の簡単な見つけ方|課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる
    経営課題の簡単な見つけ方|課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる経営課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる。従って、経営環境の変化に目を光らせていれば、簡単に課題を見つけることができる。この記事では、経営環境の変化から経営課題を簡単に見つける方法について、詳しく解説する。経営課題の見つけ方「数字編」神は細部に宿ると云うが、会社の業績も同じで、些細な変化は、すべて会社の数字に表れる。従って、日頃から数字の変化に目を光らせていれば、経営課題を簡単に見つけることができる。特に、売上・利益・現金の変化は経営課題と直結するので、重要視すべき数字になる。売上キープは言うまでもないが、特に重要視すべき数字は「経常利益」と「現金残高」で、経常利益は売上総利益(粗利)の2割以上、現金残高は月商の2倍以上(年商2億円以下は4倍以上)が目標になる。この目標との乖離が大きいほど経営課題が大きいと言え、この目標を達成するための課題解決策(経営改善プラン)、あるいは、目標を達成するためにチャレンジすべき成長投資がそのまま今向き合うべき経営課題になる。こうした経営課題を一つひとつクリアすれば確実に目標達成に近づき、後は、目標を引き上げながら絶えず課題を見つける姿勢を定着させることが大切になる。数字で見つかる経営課題や数字で解決できる経営課題はとても多いので、日頃から数字をしっかり活用することをお薦めする。経営課題の見つけ方「顧客・市場・競合編」経営課題は「顧客・市場・競合」の変化に目を向けることで簡単に見つけることができる。顧客の変化顧客は時の経過と共に変化する。顧客の変化に無頓着な会社は大事な経営課題を見落とし、間違いなく会社が衰退する。顧客の変化(成長率・要望・思考等)と現状を対比すれば、解決すべき経営課題が簡単に見つかる。市場の変化市場は絶えず変化する。将来の市場の変化を予測して経営課題を発掘し、課題解消の準備と実践を繰り返すことでしか、市場の変化に対応することはできない。特に、有力な販売チャネル(市場への流通経路)や購買の主戦場(メイン市場)等は絶えず変化するので注意が必要だ。市場の変化に追従する姿勢は、解決すべき経営課題を鮮明に照らすので、自ずと会社発展のチャンスに恵まれる。競合の変化競争の優位性を保つための付加価値は、競合ライバル会社に追い付かれた瞬間に陳腐化する。つまり、失敗と成功を分かつ経営課題はライバルの変化を見ていれば簡単に見つけることができる。また、ベンチャー等の新興企業はどこからでも勝負に挑んでくるので、俯瞰的かつ客観的に競合の変化に目を光らせることが、経営課題を上手に見つける秘訣になる。経営課題の見つけ方「経済・環境・政治編」経営課題は「経済・市場・政治」の変化に目を向けることで簡単に見つけることができる。経済の変化経済の変化を如実に表すのは、景気の良し悪しである。例えば、景気悪化が予測されていながら、十分な利益水準や現金水準を確保しなければ、景気の悪化と共に衰退の一途を辿る。経済の変化に目を光らせていれば、本質的な経営課題を見つけ易くなるので、自然と成長のチャンスに恵まれる。環境の変化顧客や市場は、環境破壊や大気汚染などの環境変化に敏感に反応する。環境の変化を無視した会社経営に成功はない。これからは、環境の変化と共に生まれる環境課題に向き合う姿勢が企業の盛衰を決定付ける。また、自然災害等の環境変化に対応する課題・準備を怠らないことも大切になる。政治の変化その時代の政治の動きひとつで、会社を取り巻く経営環境が一変することは良くある。景気悪化という経営課題に直結する増税等だけでなく、規制緩和から生まれる経営課題も政治の変化から生まれる。当然ながら、政治の動きに無頓着な会社は、衰退に繋がる経営課題を見落としがちになる。経営課題の見つけ方「社会・技術・世界編」経営課題は「社会・技術・世界」の変化に目を向けることで簡単に見つけることができる。社会の変化社会の価値観は、各種メディア、社会インフラ、世論、流行など、様々な要因が影響して、絶えず変化する。社会の価値観の変化がきっかけで売上が増加する、生産性が向上する、社員の働き方や労働意欲が変わる等は良くあるパターンだ。社会の価値観の変化をしっかり捉えると、解決すべき経営課題が見つかり、発展のチャンスが確実に増える。技術の変化技術の変化は、事業活動のあらゆる面に大きな影響を与える。事実、社会インフラやテクノロジーの進歩に伴う技術の変化を的確に捉えて、解決すべき課題を絶えず見つけている会社は目覚ましいスピードで繁栄している。世界の変化これからの経営者は世界情勢に反応できる思考を持つことが重要になる。農家であっても世界と戦う時代に突入しているし、街の商店や地方の工場では、外国人が働く光景が日常になっている。日本と世界の距離は縮まる一方なので、世界の変化に対応する姿勢が、更なる発展に繋がる経営課題を照らし、会社の成長を加速させる。経営課題の発掘は客観性と専門性が肝になる経営課題を見つけるには客観性と専門性が欠かせない。会社経営の領域はじつに幅広く、近視眼的な思考や素人目線では見つけられない経営課題が無数にあるからだ。また、会社の内部だけでなく、外部環境に目を向ける必要もあるので、社長ひとりで経営課題を捉え続けるのは難しい。こうした課題を解決する方法として有効なのは、現場の声と専門家の声の積極活用である。現場の状況、特定分野が得意な社員の声、種々の専門家のアドバイス等は、社長の視点や思考を補強し、経営課題を見つける力を高めてくれる。業績が低迷していながら、なかなか経営課題を見つけられない時ほど、客観性と専門性を意識することをお薦めする。(この記事は2021年5月に執筆掲載しました)
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  • 経営コンサルの失敗しない選び方|コンサルマッチングの基本
    経営コンサルの失敗しない選び方|コンサルマッチングの基本先般、中小企業向けの某経営コンサルティング会社が負債総額30億円弱を抱えて自己破産したとの一報が、私のもとに入った。この経営コンサル会社の業務内容は、M&A、事業継承、企業買収、企業評価・デューデリジェンス業務などで、日本全国を営業エリアとして自社開催のセミナーで集客するビジネスモデルだった。経営コンサル会社が倒産だなんて、何ともシャレにならないと感じた方も多いと思うが、コンサル会社も色々だ。この記事では、経営コンサルの失敗しない選び方について、詳しく解説する。経営コンサル会社のビジネスモデル中企業向けのコンサル会社は意外と沢山あるが、そのビジネスモデルは、大きく三つに分類することができる。1.アドバイザー型2.ノウハウ提供型3.本物のコンサル型それぞれのコンサル会社のビジネスモデルとメリット・デメリットを詳しく解説する。アドバイザー型のコンサルアドバイザー型のコンサルは、冒頭の倒産会社のように、事業承継、相続、節税、診断等の一部の経営業務に特化して手数料を徴収するモデルだ。このモデルは経営コンサルではなく、事業の一部分のアドバイザーを主業務とする部分コンサルの類で、売上拡大、資金繰り改善、IT戦略立案、マーケティング戦略立案、コスト最適化などのコンサルも同類だ。会社経営の本質が分かっていないので、業績改善を約束する会社は殆どないが、部分的な悩みや課題を解消する手立てとして有効活用できる。特に専門性の高い分野のコンサル業務に関しては、積極的に活用する事をお薦めする。ノウハウ提供型のコンサルノウハウ提供型のコンサルは、経営ノウハウをパターン化して、経営塾やセミナーを有料開催、或いは、経営者コミュニティーを有料提供し、経営スキルの習得をサポートするモデルだ。このモデルも経営コンサルとは言えない。なぜなら、会社の業績改善を経営者に丸投げする形態になっているからだ。参加した経営者は一時的に満足するかも知れないが、自分の会社経営に役立つスキルに巡り合うことは極めて稀だ。なかには、成功する経営者もいるかも知れないが、そもそも才能があったか、事業環境が見事にマッチしていたかのどちらかの理由によるところが大きいと思う。ピンポイントで活用するメリットはあるが、自己満足に陥り易いデメリットがあるので注意が必要だ。本物のコンサル型本物のコンサル型は、経営者と共に、企業の繁栄のために業績改善を推進するモデルで、これこそが本来の経営コンサルの姿だ。このモデルを生涯貫いたのは、経営コンサルタントの第一人者であり、現代経営学や経営マネジメントの発明者である「ピーター・ドラッカー(1909-2005年)」だ。ドラッカーは、GEやP&Gといった世界的企業から地域密着型の慈善団体の経営コンサルまで、幅広いジャンルの経営をサポートしたことで知られているが、生涯、どの組織にも属さず、経営者とマンツーマンのスタイルでの経営コンサルティングを貫き通した。経営コンサルの依頼電話もドラッカー自身が対応し、面談の調整も本人がしていたらしい。経営コンサルは企業のトップに寄り添い、高い専門性を発揮しなければならない仕事なので、ドラッカーの経営コンサルスタイルは理にかなっており、わたし自身も、ドラッカーの経営コンサルスタイルを踏襲している。失敗しない経営コンサルの選び方とは?経営コンサル会社と一括りに言っても、その業務内容は会社それぞれだ。従って、コンサル活用の目的が不透明だと、高い確率で経営コンサル選びに失敗する。例えば、色んな専門家のアドバイスを聞いてはいるものの、会社の業績が一向に伸びない会社は失敗パターンにハマった典型といえる。会社の成長を加速するために専門家を頼ることはじつに有効だが、大切なことは「どの専門家を頼るか」である。そのために重要なのは、悩みや課題の本質を誤らないことだ。悩みと課題の本質さえ捉えることができれば、きっと良い専門家と巡り合えるはずだ。
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  • 経営コンサルタントの資格・仕事内容・料金相場・相談効果まで徹底解説
    経営コンサルタントの資格・仕事内容・料金相場・相談効果まで徹底解説経営コンサルタントは、経営の専門家として会社経営をサポートする職業だ。その前提から言えば、経営の専門家ではない人間は、経営コンサルタントではなく、会社経営の本質である事業の永続性をサポートできない人間も、経営コンサルタントではない、となる。この記事では、私のこれまでの経験から、経営コンサルタントの定義、資格や仕事内容、経営コンサルタントの料金相場や相談効果に至るまで、詳しく解説する。経営コンサルタントとはわたしは経営コンサルタントとして数十年のキャリアを積み重ねて、様々な会社経営に関わってきたが、経営コンサルタントという職業に対して深く理解している経営者は稀だ。そうした背景もあってか、経営コンサルタントという職業が独り歩きしている風潮を肌で感じるし、然るべき能力を持ち合わせていない経営コンサルタントに会社を食い物にされた衰退企業の実例も数多と目の当たりにしてきた。私の個人的定義ではあるが、経営コンサルタントとは、経営の専門家として会社経営のサポートをする職業だ。従って、経営の専門家として、会社経営の本質である事業活動の成長発展と永続性をサポートできない人間は、経営コンサルタントではない。また、経営の専門家ではない、弁護士、税理士、会計士、などの種々の士業、或いは、事業の一部分のアドバイザーを主業務とする部分コンサルタントも、経営コンサルタントではない。経営の専門家であり、企業の成長発展と永続性をサポートできる人間こそが、正真正銘の経営コンサルタントである。経営コンサルタントの始まり経営コンサルタントの始まりは、現代経営学や経営マネジメントの発明者である「ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(1909-2005年)」と云われている。ドラッカーは、世界的企業の経営コンサルから地域密着型の慈善団体の経営コンサルまで、幅広いジャンルの経営をサポートしたことで知られているが、生涯、どの組織にも属さず、経営者とマンツーマンのスタイルでの経営コンサルティングを貫き通した。経営コンサルの依頼電話もドラッカー自身が対応し、面談の調整も本人がしていたらしい。経営コンサルは企業のトップに寄り添い、高い専門性を発揮しなければならない仕事なので、ドラッカーの経営コンサルスタイルは理にかなっており、わたし自身も、ドラッカーの経営コンサルスタイルを踏襲している。一方で、ドラッカーとは別のスタイルの経営コンサルティングを構築した大手コンサルティング会社が誕生したのも、この時代で、マッキンゼー・アンド・カンパニー、A.T.カーニー、少し時代が下り、ボストン・コンサルティング・グループなどの大手コンサル会社は、今もなお、世界的規模で業界に君臨している。経営コンサルタントの資格経営コンサルタントと名乗り、経営コンサルタント業務を始める上で必要な資格は一切ない。経営コンサルタントという職業の胡散臭さ、或いは、経営能力のない経営コンサルタントが生まれる背景には、資格がないというハードルの低さが一因として考えられる。誰でも参加できるのが経営コンサルタントという職業ではあるが、わたしが思う経営コンサルタントの資格(定義)は、前章で解説した通り、「経営の専門家として、会社経営の本質である事業活動の成長発展と永続性をサポートできる人間」という一点に尽きる。その資格を得るために最低限必要なことは「経営経験・会計知識・法律知識」の三点だ。会社経営の経験がない人間に会社経営のコンサルティングはできないし、財務諸表等を元に的確に現状分析できる会計知識と、権利義務など民法レベルの法律知識がなければ、社長業全般に対して、まともな経営コンサルティングなどできるものではない。経営コンサルタントの仕事内容経営コンサルタントの仕事は、ドラッカーのようなマンツーマンタイプの経営コンサルタントと、世界的規模で展開している大手コンサル企業とでは、目的(目標)は一緒であっても、その仕事内容は異なる。わたし自身がマンツーマンタイプの経営コンサルタントなので、ここでは、私の経営コンサルタントとしての仕事内容を簡単に解説する。経営コンサルタントの仕事内容は、経営相談、経営診断、経営サポートの三種類に分かれる。(このほかにも、セミナー、講演、執筆などもあるが、ここでは割愛する)経営コンサルの仕事Ⅰ「経営相談」経営相談は、あらゆる企業経営者の相談に対して無料で経営問答に応じるパターンと、経営マネジメントの欠陥と将来リスク、並びに、会社のあるべき姿を提示する簡易経営診断付きの有料相談のパターンがある。たいていは無料から有料、或いは、経営診断や経営サポートを申し込む流れになっているが、この経営相談の出来不出来で、経営コンサルタントの実力が分かるので、気の抜けない、とても重要な仕事になる。詳しくはこちら>>経営コンサルの仕事Ⅱ「経営診断」経営診断は、然るべき経営資料をお預かりして、お客様の会社の経営状態を診断し、企業価値を最大化するべく最高の経営診断レポートを策定することが主たる仕事内容になる。経営コンサルタントとしての経験と体験が大きく影響する仕事だが、最高のレポートは、企業の成長発展と永続性の実現をしっかり後押しする。詳しくはこちら>>経営コンサルの仕事Ⅲ「経営サポート」経営サポートは、経営の専門家として企業トップに寄り添い、会社経営の本質である事業活動の成長発展と永続性をサポートする、失敗の許されない重要な仕事である。わたしの場合は、「報酬以上の利益をお返しすること」を信条に掲げて、一発全快、小出し感ゼロで、全力全速で経営をサポートにすることを基本スタンスにしている。詳しくはこちら>>経営コンサルタントの料金・報酬・費用相場経営コンサルタントの料金・報酬・費用相場はまちまちだが、有能な経営コンサルタントの月額基本報酬は20~50万円が適正な相場(注:中小企業の相場)といえる。単発の経営相談の料金相場は一時間当たり1~3万円、単発の経営診断(デューデリジェンス含む)の料金相場は100~200万円(年商100億超は500~1,000万円が相場)程度が適正な相場といえる。また、経営コンサルタントに出張や同行を依頼する場合の日当料金の相場は、一日当たり10~20万円が適正な相場で、経営コンサルタントの旅費交通費や食事代等の実費も負担するのが一般的である。経営コンサルタントの相談効果経営コンサルタントの相談効果は様々あるが、最も大きな効果は「飛躍のチャンスが見つかる」ことだ。なぜなら、経営コンサルタントに相談すると、会社の経営課題と課題解決のための有益なアドバイスを得ることができるからだ。会社が飛躍するチャンスは「今すべきことに全力を注ぐ」ことで得られるので、今すべきことが見つかる経営相談は飛躍のきっかけ作りに最適である。たとえ有料の経営相談であっても、数万円で飛躍のチャンスが見つかると思えば安い買い物である。【関連記事】中小企業が経営相談を受ける最大メリット中小企業の経営コンサルタント活用術企業の盛衰は経営者の能力で決まる。従って、経営者の経営力を補強するために、経営コンサルタントをブレーン(経営参謀)として活用することは、とても効果的であり、実に賢い選択だ。経営相談をスポットで活用するなど、わずかな費用であっても経営コンサルタントを活用することはいかようにもできる。経営コンサルタントは業績が悪化した時に活用する存在だと思っている経営者は少なくないが、それは間違っている。会社(経営者)の成長を一段と加速させたいときに活用するのが、経営コンサルタントの本来の活用法である。儲かる会社経営を実現するために会社の経営力を本気で上げたいと思っている経営者は、遠慮なく、どんどん経営コンサルタントを活用することをお薦めする。
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  • 強い会社組織を作る3つの絶対条件
    強い会社組織を作る3つの絶対条件強い会社組織は安定経営の絶対条件になる。組織力が低下すると必ず業績が低迷するからだ。この記事では、強い会社組織を作る3つの絶対条件について、詳しく解説する。強い組織作りの悩み強い組織を作ろうにも、組織作りに悩んでいる経営者はじつに多い。例えば、社員の不満が絶えない、社員の育成がうまくいかない、組織の一体感や団結力が弱い、どうやって強い組織を作ればいいのか分からない、等といった悩みは中小企業に良くあるパターンだ。限られた人財で勝負せざる得ない中小企業ほど強い組織作りの悩みは尽きないが、組織力と業績は比例関係にあるので、組織力の低下を放置するほどに業績が悪化する。やはり、安定経営を確立するには組織力の強化が不可欠で、組織力の強化なくして安定成長なしといっても過言ではない。強い会社組織を作るために抑えるべきポイントは様々あるが、この記事では絶対に外せない3つの条件について順を追って詳しく解説する。社長のリーダーシップが強い組織を作る強い会社組織を作る一つ目の絶対条件は「社長のリーダーシップ」だ。組織(社員)は、社長のリーダーシップにけん引されるので、社長がリーダーシップを発揮するほどに強い組織が作られる。社長のリーダーシップは、最高経営責任者としての立ち振る舞い、業績拡大の熱意、率先したコミュニケーション、組織をけん引する信念、器量、度量など等、あらゆる領域で求められる。社長のリーダーシップが会社の組織力を大きく左右し、社長のリーダーとしての資質が組織力を決定付ける。強い顧客志向が強い組織を作る強い会社組織を作る二つ目の絶対条件は「強い顧客志向」だ。組織の顧客志向が強いほど内向きの不満が無くなり、前向き・外向きの業績拡大を加速させる強い組織が育つ。事実、業績が良い会社ほど顧客志向が強く組織内の不満が少ない。逆に、業績が悪い会社ほど顧客志向が弱く組織内の不満が多い。顧客志向という意識ひとつで組織力が決まり、顧客志向が強いほど、顧客に尽くす仕事や思考が組織に定着する。明快な評価基準が強い組織を作る強い会社組織を作る三つ目の絶対条件は「明快な評価基準」だ。明快な人事評価基準があれば、社員は自主的に能力開発に努め、会社側も効率よく社員の能力開発を手助けすることができる。また、明快な人事評価基準は公平な報酬制度を確立するので、社員の反発や離職リスクを抑えることができる。事実、社員の評価基準が明快な会社は、社員の反発や離職リスクが低く組織力が高い。逆に、社員の評価基準が曖昧な会社は、社員の反発や離職リスクが高く組織力が低い。明快な評価基準があるだけで、社員教育の効率が高まるだけでなく、社員の反発や離職リスクも抑えられるので、評価基準が明快なほど組織力が強化される。
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  • 人材育成の目的は事業永続性の確立|社員を育てる意味・必要性・重要性
    人材育成の目的は事業永続性の確立|社員を育てる意味・必要性・重要性人材育成の目的は、事業永続性の確立にある。事業は人なり、という言葉の通り、人なくして事業は成り立たず、人なくして事業の永続性は確立できないからだ。この記事では、人材育成の目的、並びに、社員を育てる意味・必要性・重要性等について、詳しく解説する。社員を育てる意味人財育成の目的(社員を育てる意味)は、事業永続性の確立にある。なぜ、人が育つと、事業の永続性が確立されるかと言うと、事業活動を支える種々の経営資源(ヒト・モノ・カネ等)を高める起点になるのが人(社長、幹部、社員等)だからだ。しかも、人以外の経営資源(モノ・カネ等)は、伸ばそうと思っても限界があるが、人は伸ばそうと思ったら、どこまででも伸びる。さらに、人が伸びた分だけ、人以外の経営資源の価値が高まる。事業は人ではじまり、人で終わるが、人材育成の目的に則って、真摯に社員を育て続ける会社は、必ず繁栄し、未来に残る。逆に、人材育成の目的を見失い、社員育成を疎かにする会社は、必ず衰退する。社員を育てる必要性社員、幹部、社長は育てようと思ったら、どこまでも伸びる。しかも、伸びた分だけ会社は繁栄する。人を育てる環境はますます進化し、人事部がない小さな会社であっても、より安価に、より簡便に人を育てる状況にある。当然、人を育てない会社は、周囲との差が開く一方になり、衰退リスクがどんどん高まる。人材育成をするか否かで、企業の盛衰が決まると言って過言ではないのだ。人材育成に割く資金がなければ、まずは教育の時間を用意し、社内勉強会を充実させればよい。資金に余裕が出来たら、外部研修や語学や経営学のオンライン学習を活用し、学びの機会をさらに充実させればよい。人を育てる環境は工夫次第でいかようにも整えることができる。人材育成環境が向上し、社員が育つと、組織のパフォーマンスは格段に上がる。組織力と業績は比例関係にあるので、社員が育つほど、業績が拡大する。社員を育てる重要性社員を育てると、組織力が強化されるが、その強みは、外から見ても分からない。つまり、社員を育てるほど、誰からも真似されない強みが蓄積され、企業の繁栄を支える経営資源が盤石になるのだ。例えば、トヨタの生産方式、ユニクロの製造小売モデル、セブンイレブンの仮説検証、キーエンスのスピード開発等のノウハウは書籍やセミナーで広く明らかにされているが、同じ会社は現れない。理由は簡単で、会社の組織(社長・幹部・社員等)は、完璧に模倣できないからだ。だからこそ、人材育成の重要性は大きい。人材育成が充実すると、働き甲斐が生き甲斐になったり、生き甲斐が働き甲斐になったりする。当然、組織の活力が増すので、離職率が下がり、新規採用率が上がる効果も期待できる。
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  • 企業風土と組織を改革する基本ステップ|社員のマインドを一瞬で変える方法
    企業風土と組織を改革する基本ステップ|社員のマインドを一瞬で変える方法企業風土と組織力は業績に直結する。企業風土が豊かであれば新しいビジネスアイデアが生まれ易く、組織力が強ければ好業績をキープし易いからだ。この記事では、企業風土と組織を改革する基本ステップ、並びに、社員のマインドを一瞬で変える方法について、詳しく解説する。風土と組織の改革ステップ企業風土と組織を改革する基本のステップについて、詳しく解説する。風土・組織改革は、「目標設定」⇒「マインド改革」の2ステップが基本になる。物事の成果は、目標に対して動くことで初めて生まれるので、企業風土を変えたい、組織を改革したいと思ったら、理想の姿を目標として掲げることが第一になる。続いて、行うべきは社員のマインド改革だ。目標を掲げると、社員のマインドは現状回帰(今のままで良い・変わりたくない等)に向くからだ。正しい目標をセットし、社員のマインドさえ変えることができれば、次第に、企業風土と組織の力が変わり、目標達成、或いは、新しい企業体として沢山のビジネスチャンスを手中に収めることができるようになる。社員のマインドを変える方法企業風土と組織を改革するための、社員のマインドを上手に変える方法について、詳しく解説する。大前提として、現状の人員で売上を伸ばす、現状の人員で生産性を高める等、何かしらの目標を組織(社員)に対して掲げると、社員のマインドは目標ではなく、現状に向く。快適な環境が目標ではなく、現状にあるため、今のままで良い、変わりたくない、大変な目に合うのは避けたい等、現状回帰のマインドが瞬時に働くからだ。こうした社員のマインドを変える方法は簡単だ。快適な環境の事をコンフォートゾーンと言うが、社員のコンフォートゾーンを現状から目標に変えてあげれば良いのだ。現状よりも目標を達成した後の方が快適だという認識が組織に定着すると、社員のモチベーションは現状回帰ではなく、自然と目標達成に向かうようになる。風土と組織改革は経営者の役目風土・組織改革は、目標設定とマインド改革の2ステップが基本になるが、とりわけ重要なのは社員のマインド改革だ。そして、社員のコンフォートゾーンを現状から目標に変えるけん引役は経営者になるが、いかに多くの経営幹部がけん引役に参加するかによって、マインド改革のスピードが決まる。社長と経営幹部が一致団結し、目標達成のマインドをセットし、目標達成後の景色を臨場感豊かに社員に伝え続ける。さらに、大変、難しい、しんどい、時間がない、できないかも、このままでいい等の後ろ向きの言葉ではなく、簡単、できる、時間は作れるなどの前向きな言葉をトップが率先して使い続ける。こうしたトップの言動は、社員のマインドに影響を与え、少しずつ、目標に向かう社員の人数を増やす効果を生み出す。当然ながら、一定社員のマインドが目標に向かえば、目標達成は一瞬である。また、企業風土と組織力も大きく変わる。
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  • 社長は批判しないこと、批判と思わないことが大切
    社長は批判しないこと、批判と思わないことが大切批判とは、物事の良し悪しを評価判定することである。社長であれば、誰しも一度は批判されたことがあると思うが、社長は批判しないこと、批判と思わないことが大切だ。この記事では、社長にお薦めの批判のおさめ方や批判の扱い方、並びに、社長がなぜ批判されるのかについて、詳しく解説する。社長にお薦めの批判のおさめ方社長であれば、誰かから悪口を言われたり、批判されたりしたことは誰しも経験があると思う。心にグサッと来ることもあれば、心がどんより落ち込むこともあると思うが、私は二つの対処方法で心を落ち着けている。一つは「この世に批判されたことがない人間は一人もいない」という事実を思い出すこと。もう一つは「批判として受け取るのではなく、新しい考え方として受容する」ことだ。人類史上、批判されたことがない人間は一人も存在しない。世界中から聖人と崇められているブッタやキリストでさえ批判の対象になった。批判されることは当たり前の自然現象であり、誰からも批判されない人間など、この先も現れないだろう。すべての人間が誰かから批判されている事実を思い出せば、極めて当たり前のことに心を痛めることの無意味さに気がつくはずだ。また、批判(誹謗中傷は例外)をブロックしないことも大切だ。批判を新しい考え方として受容すれば、自身の視点や配慮の至らなさが発掘され、新たな成長の機会に恵まれるからだ。こう考えれば、批判に感謝できるようになる。成長の機会を下さってありがとうと、心から思えるようになる。そして、誰かを批判することをしなくなる。社長にお薦めの批判の扱い方社長が社員を批判しないことは大切なことだが、物事の良し悪しを教えることは放棄してはならない。ここで重要なポイントは、社長の良し悪しの教え方によっては、社員が批判と受け取りかねないことである。つまり、批判の決定権は常に受け手側(社員側)にあるという現実を受け入れ、社員に寄り添った教え方を意識しないと、意図せず社員を批判する事態を招いてしまうのだ。社員を批判しない秘訣は、社長の正しさをぶつけないことである。まずは社員の考えを聞いて、その考えを受け入れ、そのうえで社長が思う良し悪しを丁寧に教える。このプロセスが批判を軽減する確かな方法になる。また、社員を褒めるときは大勢の前で、良し悪しを教えるときはマンツーマンで指導することも大切な心掛けになる。社長はなぜ批判されるのか?人間は影響力を持つほどに批判され易くなる。例えば、新入社員と社長では、社長の方が圧倒的に批判の対象になり得る。国家権力を持った検察や警察、あるいは、権威を持っている医者や弁護士なども批判の対象になり易い。実力・考え方・身体的特徴等が一般固定観念から外れた人間、あるいは、大組織の上場企業やエッジの立った商品やサービスを提供している企業も批判の対象になり易い。もし誰かから批判されたら、自分、あるいは、自分の会社の影響力が大きくなったと思えば良いだろう。その時は、くれぐれも批判と敵対して無駄なエネルギーを消耗しないでほしい。腹を立てても構わないが、時間をかけてでも批判を受容し、自分の思考や度量を広げ、人間的な魅力や影響力をどんどん磨いてほしい。そして、批判を恐れず、自分が正しいと思う道を突き進むことに全エネルギーを費やすことを切にお薦めする。
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  • 難しいコミュニケーションを円滑に運ぶ重要ポイント
    難しいコミュニケーションを円滑に運ぶ重要ポイントコミュニケーションはじつに難しい。会社組織の大概の問題は社長と社員コミュニケーションレスに起因するし、コミュニケーションの難しさを実感している社長もじつに多い。この記事では、組織作りの肝となるコミュニケーションが難しい理由、並びに、難しいコミュニケーションを円滑に運ぶ重要なポイントと方法論について、詳しく解説する。コミュニケーションは難しいコミュニケーションとは、言葉、表情、態度、行動等を通じて、相手と意思疎通を図る活動のことだが、コミュニケーションを円滑に運ぶのはじつに難しい。なかでも、コミュニケーションの良し悪しを決定づける「言葉遣い」の難しさは、群を抜いている。自他に与える言葉の質で、表情、態度、行動等のコミュニケーションの良し悪しが決まるからだ。何気ない言葉遣い(コミュニケーション)が、社員や顧客の反発を招いてしまったことなどは誰しも経験があるだろう。私自身も、講演やミーティング等で沢山の言葉を発しているが、元来国語が苦手でライティングのプロでもないので、言葉がうまく伝わらなかったり、意図した解釈が得られなかったりと…、いつも苦悩の連続である。言葉(コミュニケーション)の難しさを表現した藤井貞和氏(東京大学名誉教授・文学博士)の「あけがたには」という詩がある。詩を要約すると「自分の言葉で想いを発することはとても大切なこと。しかし、言葉の受け取り方は人ぞれぞれ…。だからこそ、言葉を使うことに苦悩する」といった内容だが、相手の立場にたった言葉遣いを完璧に遂行するのは本当に難しい。コミュニケーションが難しくなる原因コミュニケーションが難しくなる原因について解説する。コミュニケーションの良し悪しは受け手が決定するという現実を考えれば、コミュニケーションが難しくなる原因が見えてくる。それは、自分本位なコミュニケーションである。利害、立場、プライドなどの自分本位な思考が強く出るとコミュニケーションは破たんし易くなる。例えば、ほとんどの大人は子供に対して、子供の目線に合わせて言葉を発し、良好なコミュニケーションを実現する。しかし、大人同士になると、利害やプライドなど、自分本位な思考が邪魔して、相手の目線に合わせることができなくなる。また、自分は社長、自分は上司、自分は年上、自分は男などの序列や肩書を盾に、自分本位な目線を固定してしまい、コミュニケーションに失敗するパターンも多い。このように、コミュニケーションは、相手目線ではなく、自分本位に偏り過ぎると極めて難しくなる。難しいコミュニケーションを円滑に運ぶ方法コミュニケーションは本当に難しい。コミュニケーション次第で、相手を不快にすることもある。しかし、自分本位なコミュニケーションさえ止めれば、大概のコミュニケーションは円滑に運ぶ。特にコミュニケーションの質を支配する言葉の使い方は重要だ。相手に寄り添った言葉を意識的に使えば、自然と意思疎通がうまく運ぶ。また、自分の言葉で想いを発すれば他者の心が動き、相手に元気や希望を与えることもできる。言葉遣いは確かに難しい。私自身、未だに言葉遣いの苦悩は無くならないし、言葉足らずで家族とのコミュニケーションがうまく運ばないこともある。しかし、言葉はコミュニケーションの質を決定づける要素であり、自他の心に希望の明かりを灯す大きなメリットもある。私の場合は、言葉の意図は受け取った相手が決定するという現実、並びに、自分の言葉に対する賛否を素直に受け止め、まだまだ至らない「自分の言葉」を謙虚に研鑽している。できるだけ相手の立場に立って、できるだけ相手の心情を慮って、相手に分かって欲しいという甘えを一切捨てて、自分の言葉を磨いている。まさに、言葉磨きは、自分磨き、そんな気がする。また、難しいコミュニケーションを円滑に運ぶ方法も言葉磨きにあると信じている。大概の組織の問題は社長(上司)と社員のコミュニケーションレスから生じる。組織の問題を感じ取った時は、まずは自分自身の言葉遣いを改めることを切にお薦めする。
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  • 思考力を鍛える方法|考える力を高めるトレーニング法
    思考力を鍛える方法|考える力を高めるトレーニング法思考力とは、本質的な答えを導くための考える力である。社会に出ると、自己選択の連続で自分自身の人生が形成されるので、思考力は、人生の豊かさやビジネスの成功に直結する極めて重要なスキルといえる。この記事では、思考力を鍛える方法、並びに、考える力を高めるトレーニング法について、詳しく解説する。思考力とは思考力とは、本質的な答えを導くための「考える力」である。思考力が高いと、あらゆる選択の機会がチャンスに変わるので、人生がどんどん豊かになる。また、ビジネスシーンにおいても、活躍のチャンスに恵まれ、必然的に大きな成果を出すことができる。従って、思考力は人生における必須スキルであると同時に、ビジネスパーソンの必須スキルといって過言ではない。思考力は、行き当たりバッタリの答えに終始するのではなく、その場、その時、その人に応じて最適な答えを導き出すスキルが本質になる。また、思考力は知識がたくさんあっても鍛えられるものではなく、実生活における沢山の体験や経験を通じて鍛えられるものなので、日々のトレーニング(言動・考え方等)が非常に重要になる。思考力を鍛える方法思考力を鍛える方法について、詳しく解説する。思考力を鍛えるには、知識を知恵に変える体験や経験をたくさん積む方法が最も効果的である。例えば、未知の世界、苦労や苦悩、本質的探究、他者や異文化の受容など等の経験や体験を数多くこなせば、知恵や価値観の幅を広がり、思考力が鍛えられる。思考力が鍛えられると、その場、その時、その人に応じて最適な答えを導き出す思考が定着するので、必然的に大きな成果を出せるようになる。また、人間的魅力も高まるので、周囲から頼られる存在になり、人生もどんどん豊かになる。考える力を高めるトレーニング法思考力(考える力)を高めるトレーニング法について、詳しく解説する。知識を知恵に変える体験や経験の他にも、思考力(考える力)を高める方法がある。それは、オープンクエスチョンの実践である。オープンクエスチョンとは、自由回答(正解がない)を前提とした質問である。正解は自分の考えそのものになるので、オープンクエスチョンを自己完結(自分に質問し自分で答える)で回し続けると、自分の考え方の軸が定まり、思考力がどんどん高まる。一方、オープンクエスチョンとは正反対のクローズドクエスチョンは、二者択一の回答(正解がある)が前提なので、いくら回答しても知識が増えるばかりで、肝心の思考力は一向に磨かれない。学生時代(義務教育期間)は、正解のある選択(勉強・テスト)が圧倒的に多いが、社会に出ると、正解のない選択(社会生活・ビジネス・対人関係等)に迫られる機会しかなくなる。つまり、オープンクエスチョンに対する自分の考えの発信力が弱いと、思考力が磨かれず、社会生活やビジネスにおいて大きな成果を出すことができなくなる。逆に、自分の考えの発信力が高いと、自分の正しさに固執することなく、その場、その時、その人に応じて最適解を求める思考力が働くので、必然的に大きな成果を出せるようになる。人生の豊かさやビジネスの成功は思考力が握っているといっても過言ではない。言い換えれば、思考力さえ高めれば人生の豊かさもビジネスの成功も得られるということだ。
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  • 指導者として大切なこと|優れたリーダーの資質・条件・心得
    指導者として大切なこと|優れたリーダーの資質・条件・心得優れた指導者の条件は5つある。知識、熱意、洞察力、責任感、無欲、である。この記事では、指導者として大切なこと、並びに、優れたリーダーの資質・条件・心得について、詳しく解説する。指導者の条件1「知識」指導者の条件1は「知識」である。指導の良し悪しは知識、つまり、基本で決まる。仕事や業務知識だけでなく、会社経営の基本から組織論やリーダー論に至るまで、知識量(基本力)が指導効果を左右する。また体験を通じた知識をたくさん持つことも重要だ。体験という裏付けのある知識はリアリティーがあるので、理屈っぽくならず、相手に抵抗なく伝わるからだ。豊かな知見と豊富な経験値は指導者の基礎的力量を高めるだけでなく、指導者としての風格と威厳をも高める重要な要素だ。指導者の条件2「熱意」指導者の条件2は「熱意」である。指導者の熱意は重要だ。会社経営の成果は、経営者の能力×思考×熱意で決まるが、指導も一緒だからだ。指導者の執念や向上心がなければ、良い指導はできないし、指導し続けることを心から楽しむこともできない。指導者の熱意が部下に伝播すれば、指導効率は飛躍的に上がる。何より、熱意なき指導者に、部下はついて来ない。また、指導内容や指導の本意が瞬間的に伝わらないことがあったとしても、熱意があれば、時の経過と共に部下(教え子)の理解が得られやすく、教えが腑に落ちた瞬間に指導内容が一気に開花することが多々ある。成果に恵まれなくても、たとえ思うような結果が出なくても、指導者であれば熱意を手放してはならないのだ。指導者の条件3「洞察力」指導者の条件3は「洞察力」である。指導する上で洞察力も重要になる。なぜなら部下の性格や能力は十人十色だからだ。部下のマネージメントやコミュニケーションを円滑に遂行する、或いは、部下の希望や不安を見極めるには洞察力が欠かせない。洞察力は、観察力、分析力、客観性、先見性などを発揮することで磨かれるが、とにかく、一人ひとりの部下にフィットした指導を実現するには、洞察力が不可欠で、この力が不足すると、指導効果が著しく低下し、場合によっては離職が加速する。洞察力をもって部下に寄り添い、部下の状況・環境・性格等に応じてオリジナルの指導を提供することが、指導者としての力量と評価を高める確かな方法だ。指導者の条件4「責任感」指導者の条件4は「責任感」である。指導者にとって責任感も重要な要素になる。部下の失敗を自分の責任として考えることができるか否かが、良き指導者の分岐点になる。指導者が責任を背負う姿勢を見せるほど、部下は安心して身を委ねるものだ。さらに、部下はそうした指導者の背中を見て育つので、指導者の責任ある言動は、部下を育てる良き手本に繋がる。また、責任感は、反省や内省の源泉にもなるので、たとえ指導に失敗したとしても、その失敗体験から成功ノウハウの芽が生まれやすくなる。自分の失敗だけでなく、部下や周囲の失敗をも活かす力量が身につくので、成長のスピードが極めて速く、たった一度の指導者人生で大成功を収めることもできる。指導者の条件5「無欲」指導者の条件5は「無欲」である。無欲とは、部下の利益を誠実に考え、部下の利益を最優先するということだ。自己利益を考えた言動に陥るのではなく、部下の利益を優先する言動に徹することが出来れば、部下からの信頼が厚くなり、細かく指導せずとも、部下が自分自身の力で育つ努力を始める。また、人脈や成功ノウハウなど、与えられるものを率先して与えるほど、部下のモチベーションが上がり、指導者としての評価も上がる。無欲であることは、指導者やリーダーのみならず、経営者や成功者の必須条件といっても過言ではない。指導者として大切なこと指導者として大切なことは「知識・熱意・洞察力・責任感・無欲」の5つの資質を磨くことだ。この5つの資質が、先天的に備わっている人もいれば、経験を重ねながら身に付ける人もいるが、重要なのは、その気になれば、誰でも習得できるスキルだということだ。そして、大切なことは、指導者の学び続ける姿勢である。これが良い指導者という終着点はない。現状に満足せず、更に上を目指す姿勢を自ら示し、部下と共に成長できる指導者こそが、あるべき姿であり、部下が求める指導者である。飛躍する人間は、必ずどこかで飛躍するきっかけに出会っている。誰とも出会うことなく自分で自分に火をつけるタイプは稀で、その殆どが、よき指導者との出会いなど、他人の影響で自分も燃えるタイプだ。部下や教え子に飛躍のきっかけを与えたい指導者は、この5つの条件を意識した指導を心掛けることをお薦めする。
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  • 社員の評価基準が必要な理由|社員の能力開発に欠かせない人事評価とは
    社員の評価基準が必要な理由|社員の能力開発に欠かせない人事評価とはなぜ、社員の評価基準が必要なのか?その答えは難しくない。明確な社員の評価基準があれば、社員の能力が最大化されて、会社の業績が上がるからだ。例えば、社員の評価基準が明確であれば、社員自身、何をすれば評価されるのかが分かるので、評価基準に向かって、効率よく能力開発に励むことができる。一方の会社側も、社員の評価基準に則って、社員の能力開発を効率的にサポートすることができる。逆に、社員の評価基準がなければ、どうなるだろうか?社員は、会社から何を求められているのか、或いは、何をすれば評価されるのかが分からなくなり、行き当たりバッタリの行動に陥り、能力開発が独りよがりなものになってしまう。一方の会社側も、社員の評価基準が好き嫌いやその場限りといった曖昧なものになり、社員の不満増長、モチベーション低下、離職率の悪化、など等、業績悪化のリスクを招くことになる。また、社員の評価基準は、社員の会社人生のすべてに影響を与える重要な要素になる。例えば、給与、ボーナス、昇給、昇格、異動、左遷やリストラに至るまで、すべての会社人生の幸不幸は、社員の評価基準で決まる。一方の会社側にとっても、社員の評価基準が、将来の会社の成長と衰退を分かつ重要なものといえる。なぜなら、社員が育てば、間違いなく会社の業績が上がるからだ。社員の評価基準は、会社経営の必須ツールといっても過言ではないのだ。社員の評価基準の重要性とは社員の評価基準がなければ、社員が育たず、業績が上がらない。さらに、曖昧な評価基準の弊害は、こればかりではない。例えば、社員の評価基準は、会社が求める人材と社員が目標とすべき人材を明確にするので、評価基準が曖昧になると、会社と社員の意思疎通が破たんし、双方のコミュニケーションに負荷(ストレス)がかかる。社員の離職の最大原因は経営者(もしくは上司)とのコミュニケーション不足なので、社員の評価基準の重要性は極めて大きい。それにも拘わらず、明確な社員の評価基準を運用している中小企業は殆どない。私自身も、過去に数千名の中小企業の社員と面談をしてきたが、明確な評価基準が運用されている中小企業はなかった。社員の評価基準を曖昧にして、報酬で社員のモチベーションを上げるケースも見受けられるが、報酬で社員を釣る方法は、効果が限定的かつ短期的だ。また、私の経験上、そもそも報酬に不満を持つ社員は全体の1%以下に過ぎない。報酬は相場並みに抑えて、明確な社員の評価基準を上手に運用した方が、よほど社員の能力開発と会社の業績改善に役立つ。社員の評価基準に則って、評価し、評価され合う関係性(コミュニケーション)が充実するほど、社員の能力開発と会社の成長スピードが一段と加速する。伊藤のワンポイント明確な人事評価基準を会社と社員の双方が共有している中小企業は殆どありません。中小企業ほど、人の問題(人事・組織・育成・採用・離職等々)に悩む経営者が多いですが、それらの悩みの根本原因は、曖昧な人事評価基準にあります。人事評価の基準は明快なほど、効果的で、人の問題に対する悩みも少なくなります。
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  • 人事評価の本当の目的とスゴイ効果|人材を人財に育てる人事評価とは
    人事評価の本当の目的とスゴイ効果|人材を人財に育てる人事評価とは人事評価の本当の目的と効果について、考えたことがあるだろうか?人事評価と聞くと、能力査定や給与査定、或いは、欠点の指摘やミスの指摘といった厳格な組織管理を思い浮かべる経営者も多いと思うが、これらは人事評価の枝葉に過ぎない。人事評価の本当の目的は、社会で広く通用する社員を育てるところにある。社員が育てば、自ずと会社の業績が拡大するので、人事評価の効果は計り知れない。例えば、全社員の能力が数段階アップした場合、社員を増やさずとも業績が上がることは容易に想像ができるだろう。人事評価を運用するには然るべき基準が必要だが、決して経営者や上司の主観で基準を決めてはならない。なぜなら、人事評価の基準を主観で決めると、評価する人間が代わるたびに評価基準が変わり、社員に大きな不信感とストレスを与えてしまうからだ。人事評価の目的を全うするには、会社が社員に何を求めているのかを人事評価の基準として明確に示し、なお且つ、その人事評価基準を伝える努力を継続することが欠かせない。具体的かつ明確な人事評価の基準を与えることなく、一方的に社員を教育したとしても、社員が育つことはなく、むしろ、離職や業績悪化のきっかけを作りかねない。会社が求めていることを本能的に理解し、指導なしで高い成果を上げることができる社員など、大企業であってもそうそういるものではない。社員を育て、業績を拡大するには、経営者自身が人事評価の目的をしっかり理解し、運用することが大切なのだ。人事評価の運用効果を最大化する秘訣人事評価を正しく運用すると、社員が育ち、会社の業績が拡大する。そのためにすべきことは、社員に対して明確な人事評価基準を示すことに尽きる。例えば、社員の目標スキルを示す評価基準と社員が目指すべき行動特性を示すコンピテンシーは、人事評価の運用効果を最大化する必須基準になる。目標スキルを示す評価基準とは、一般社員、中間管理職、経営者(経営幹部)のそれぞれの階層に必要なスキルを明確に表す基準だ。階層毎の目標スキルは「技能スキル・万能スキル・経営スキル」の3つに分かれるが、この評価基準を運用すると、社員の育成スピードが一段と加速し、人事評価の運用効果が最大化される。詳しくは当サイト内の「能力開発に役立つ人事評価の基準」で解説しているので、是非とも参考にしてほしい。コンピテンシーとは人事評価の基準のひとつで「成果に繋がる行動特性」や「活躍する人特有の行動や思考」のことだ。一般社員、中間管理職、経営者(経営幹部)のそれぞれの階層に明確なコンピテンシーを与えると、会社が求める行動を社員が自発的に取れるようになるので、人事評価の運用効果が最大化される。詳しくは当サイト内の「人を育てるコンピテンシーの評価基準」で解説しているので、是非とも参考にしてほしい。繰り返すが、人事評価を正しく運用すると、社員が育ち、会社の業績が拡大する。業績が伸び悩んでいる中小企業は人事評価の目的が誤っていないか否か、一度点検してみてほしい。
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  • 人事評価の効果的フレームワーク|能力開発に役立つ評価基準1
    人事評価の効果的フレームワーク|能力開発に役立つ評価基準1明快な人事評価の基準は、社員の能力開発と離職防止に役立つ。明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになるからだ。この記事では、社員の自主的な能力開発環境を整え、かつ、社員の離職を防ぐ人事評価の効果的フレームワークについて、詳しく解説する。人事評価の効果的フレームワーク明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになる。当然ながら、経営者が明快な人事評価基準を持ち合わせていなければ、社員の能力開発を手助けすることはできない。さらには、曖昧な人事評価が原因で、社員の反発や離職を生み出すリスクを高めてしまう。社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価の基準は、大きく分けて3つの領域がある。ひとつは「ワークスキル」、ふたつ目は「ビジネススキル」、三つ目は「ヒューマンスキル」だ。下図は、人事評価基準のフレームワークになる。ワークスキルとは、業界特有の専門知識や資格、その仕事を遂行するために必要な技能のことで、基本、特定分野でしか通用しないスキルになる。ビジネススキルとは、思考力や実行力、或いは、コミュニケーション力といった、会社の中でも会社の外でも、どの分野、どの業種業態でも通用するスキルのことだ。ヒューマンスキルとは、経営理念や信念、或いは、優れた経営哲学を生み出す価値観のスタンスのことだ。この3つの領域のスキルをベースに人事評価の基準を作り上げると、自ずと、社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価基準が出来上がる。人事評価フレームワークの運用方法ワークスキル、ビジネススキル、ヒューマンスキル、この3つの人事評価の領域は、組織の階層によって用いるべき基準が異なる。例えば、会社に入りたての新入社員はワークスキルを高めることを最優先しなければならない。従って、人事評価の基準はワークスキルに重きを置くことになる。中堅社員は、ワークスキルを高めつつ、ビジネススキルも意識しなければならない。従って、人事評価の基準はワークスキルとビジネススキルに重きを置くことになる。事業や部門をまとめる中間管理職や経営幹部は、ワークスキルよりもビジネススキルを高め、なお且つ、ヒューマンスキルも意識しなければならない。従って、人事評価の基準は、ビジネススキルとヒューマンスキルに重きを置くことになる。経営者は、ヒューマンスキルが揺るぎないものになるまで磨き上げる努力を継続することが大切で、経営者のヒューマンスキルが大きくなると、優れたワークスキルやビジネススキルを持った人財がどんどん集まるようになる。このように組織の階層ごとに評価すべき領域と基準を明快にすると、社員の合理的な人事評価と能力開発を手助けする環境が自ずと整備される。人事評価フレームワークの運用効果人事評価のフレームワークが会社の隅々まで定着すると、様々な効果が生まれる。例えば、ワークスキルだけで一丁前と思い込む勘違い社員が少なくなり、素直な社員が多くなる。当然ながら、素直な社員が多くなれば、能力開発の成長スピードは一段と加速する。また、人事評価の基準が明快だと、会社評価と本人評価のギャップも少なくなる。加えて、社員の能力不足を合理的かつ効果的にフォローすることもできる。或いは、理念も哲学もない行き当たりバッタリの経営から抜け出すためのツールとしても有効に機能する。社員の人事評価をしっかり整備・運用するだけで、会社経営の質が一段と洗練されるのだ。
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  • 人事評価の効果的マトリックス|能力開発に役立つ評価基準2
    人事評価の効果的マトリックス|能力開発に役立つ評価基準2明快な人事評価の基準は、社員の能力開発と離職防止に役立つ。なぜなら、明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになるからだ。当然ながら、経営者が明快な人事評価基準を持ち合わせていなければ、社員の能力開発を手助けすることはできない。加えて、曖昧な人事評価が原因で、社員の反発や離職を生み出すリスクを高めてしまう。この記事では、社員の自主的な能力開発環境を整え、かつ、社員の離職を防ぐ人事評価の効果的マトリックスについて、詳しく解説する。人事評価の効果的マトリックス社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価の基準は、大きく分けて2つある。ひとつは、「やる気の高低」、ふたつ目は「スキルの高低」だ。社員のパフォーマンスはやる気×スキルのレベルが上がるほど高まる。下図は、人事評価基準のマトリックスになる。人事評価基準のマトリックスエースは、能力もヤル気もある経営幹部、若しくは、経営幹部候補の社員が該当する。エース候補の教育係りに任命し、多くのエースを生み出す役割を与えると良い。エース候補は、ヤル気はあるが能力が不足している人材で、能力向上が必要な社員が該当する。能力を開発するために様々な課題を与えると良い。問題社員は、能力はあるがやる気がない人材で、自己変革が必要な社員が該当する。古参社員に多いタイプだが、得意分野に特化、マンツーマン指導、思い切って部下を付ける、或いは、部下の指導係りに任命するなど等の施策でやる気を促すと良い。諦め社員は、能力もヤル気も失っている人材で、組織のお荷物からの脱却が必要な社員が該当する。丁寧にヒアリングし、長所を見出す、根気強く教育する、エース社員に同伴させるなど等、その社員に合ったオーダーメイドの方法でやる気を促すと良い。この4つの基準をベースに人事評価マトリックス(社員マップ)を作ると、自ずと、社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価基準が出来上がる。人事評価マトリックスの運用方法人事評価マトリックス運用は、社員マップを作ることから始める。やる気の高低とスキルの高低の評価者は、社員本人、部課長、社長の3者で行い、全社員の人事評価の分布をマップ化し、組織力の総合力と個人能力の実態を把握する。やる気とスキルの評価基準は下表の通りになる。人事評価マトリックスの基準評価項目基準解説やる気が高い明るい、プラス思考、変化への耐性が強い、自己依存(すべての原因は自分にある)、自己奮起(自分を奮起させる)、自己責任(他人のせいにしない)、自己評価(陰で自己努力ができる)やる気が低い暗い、マイナス思考、変化への耐性が弱い、他者依存(すべての原因は他人にある)、他者奮起(他人に苦労させる)、他者責任(他人のせいにする)、他者評価(他人に評価されることしかやらない)スキルが高い各業務・各階層(一般社員、管理職、役員)に応じてスキル評価の基準を作成するスキルが低い各業務・各階層(一般社員、管理職、役員)に応じてスキル評価の基準を作成する上表のように人事評価マトリックスの基準を明快にすると、社員の合理的な人事評価と能力開発を手助けする環境が自ずと整備される。人事評価マトリックスの運用効果人事評価のマトリックスが会社の隅々まで定着すると、様々な効果が生まれる。例えば、能力はあるがやる気のない社員、或いは、やる気も能力も失っている社員が少なくなり、やる気のある前向きな社員が多くなる。当然ながら、やる気のある社員が増えるほど、能力開発の成長スピードは一段と加速し、業績も飛躍する。また、人事評価の基準が明快だと、会社評価と本人評価のギャップも少なくなり、社員の能力不足を合理的かつ効果的にフォローすることもできる。或いは、理念も哲学もない行き当たりバッタリの経営から抜け出すためのツールとしても有効に機能する。
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  • 人事評価の効果的レーダーチャート|能力開発に役立つ評価基準3
    人事評価の効果的レーダーチャート|能力開発に役立つ評価基準3明快な人事評価の基準は、社員の能力開発と離職防止に役立つ。なぜなら、明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになるからだ。当然ながら、経営者が明快な人事評価基準を持ち合わせていなければ、社員の能力開発を手助けすることはできない。加えて、曖昧な人事評価が原因で、社員の反発や離職を生み出すリスクを高めてしまう。この記事では、社員の自主的な能力開発環境を整え、かつ、社員の離職を防ぐ人事評価の効果的レーダーチャートについて、詳しく解説する。人事評価の効果的レーダーチャート社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価の基準はシンプルなほど効果的で、中でもレーダーチャートはお薦めだ。人事評価レーダーチャートの項目は職種や階層によって変わるが、社員と職場のスキル項目をレーダーチャートで評価するとスキルレベルが明快に視覚化される。下図は、人事評価基準のレーダーチャート例になる。人事評価基準のレーダーチャート例上図の人事評価レーダーチャートは営業職のサンプル例になるが、評価の基準項目は6~8項目あると良い。また、レーダーチャートを用いて職場と社員のスキルをグラフ化すると、職場のスキルをけん引している社員なのか、職場のスキルの足かせになっている社員なのかが明確になる。そして、人事評価レーダーチャートを基準に職場と社員のスキルを評価すると、自ずと、社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価基準が出来上がる。人事評価レーダーチャートの運用方法人事評価レーダーチャートは職場ごとに作成し、評価項目も職場ごとにアレンジする。人事評価レーダーチャートの評価者は、社員本人、部課長、社長の3者で行い、職場と社員のスキル実態を把握する。下図は、営業職の部署と社員の人事評価レーダーチャートの運用例になる。(青線が職場スキルでオレンジ線が社員スキル)人事評価基準のレーダーチャート運用例人事評価レーダーチャートでスキルが明確になったら、あとは定期的に社員面談を行い、職場と社員のスキル状態に応じて社員教育を継続的に行い、会社全体のスキルレベルを底上げする。レーダーチャートによって人事評価の基準を明快にすると、社員の合理的な人事評価と能力開発を手助けする環境が自ずと整備される。人事評価レーダーチャートの運用効果人事評価のレーダーチャートが会社の隅々まで定着すると、様々な効果が生まれる。例えば、職場に貢献しているスキルと不足しているスキルが明確になるので、能力開発の成長スピードが一段と加速する。また、人事評価の基準が明快だと、会社評価と本人評価のギャップも少なくなり、社員の能力不足を合理的かつ効果的にフォローすることもできる。或いは、理念も哲学もない行き当たりバッタリの経営から抜け出すためのツールとしても有効に機能する。
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  • 費用ゼロで効果大の社員教育の方法|社員教育なくして会社の成長なし
    費用ゼロで効果大の社員教育の方法|社員教育なくして会社の成長なし社員教育なくして、会社の成長はない。なぜなら、社員が成長しなければ、会社が成長しないからだ。社員教育には一定の教育費用がかかるので、社員教育に消極的な中小企業が少なくないが、新卒採用が殆どなく、限られた社員で勝負せざる得ない中小企業こそ、積極的に社員教育に取り組んでほしいと思う。また、社員教育は費用がかかる割には効果がでないと思っている経営者もいるかも知れないが、費用対効果の高い社員教育を実施することは工夫次第でいかようにもできる。例えば、週1回の定例会議に社員教育に繋がるテーマを取り入れるだけで、費用ゼロで効果大の社員教育を実施することができる。社員教育に繋がるテーマの具体例を挙げると、下表の通りである。費用ゼロで効果大の社員教育のテーマ例週社員教育テーマ教育効果1週目会社の経営理念を確認し、理念に即した仕事の達成度、或いは、理念から外れた仕事をしていないかを社員全員で検証する経営者のビジョンや価値観の共有度合が高まることで経営者と社員の価値観のギャップが小さくなり、組織の力が一点に集中する2週目会社の数字を確認し、目標達成度を検証する社員の数字理解度が深まり、社員の数字に対する責任感が増す。また、社員の自主的な業績改善が促進される3週目市場や顧客の声を確認し、商品やサービスの改善余地を徹底検証する社員の顧客理解が深まり、顧客満足度を考える社員が増える。また、商品やサービスの付加価値改善が促進される4週目現場や社員の声を確認し、社員満足や業務改善余地を検証する経営陣と現場・社員のギャップが解消され、社員満足度が高まるこのように、普段の定例会議のなかに教育効果のあるテーマを取り入れるだけで、費用ゼロで効果大の社員教育を実現することができる。また、教育効果のあるテーマを繰り返し議論していると、自ずと社員のなかに経営者感覚が芽生え、指示待ち集団から、自らが考えて行動する集団に変貌していく。社員教育の効果は経営者が握っている社員教育の効果を上げるには、経営者が一番の勉強家でなければならない。なぜなら、経営者が勉強していないことを社員に押し付けても、反発を受けるだけで、教育効果が十分に上がらないからだ。また、経営者が勉強したことを、そのまま一部の幹部社員にだけ伝えるのも効果が限られる。社員教育の効果をグッと引き上げるには、経営者が先頭に立って経営の勉強を行い、経営者自身が会社経営に役立つと思った知識やノウハウを自分流にアレンジし、さらに、経営者が社員と一丸になって学ぶ姿勢を見せることが不可欠だ。費用ゼロで効果大の社員教育の方法は、先の例で述べた教育効果のあるテーマを社員に議論させる方法以外にもたくさんある。例えば、大きな挨拶を習慣づける、全員参加の社内清掃、独自の技能試験と表彰制度、競合他社視察などの社員教育は、さほどの費用をかけずに行うことができる。また、社長の愛読書を社員に開放するライブラリーの設置も、社員教育に役立つ。社員教育の効果は、社員の成長を加速させるだけに止まらない。経営者と社員の距離がよりフラットになり、社員の経営参加の意識がどんどん高まる。当然ながら、社員一人ひとりに経営者感覚が身につくと、会社の成長スピードは一段と加速する。会社経営において社員教育ほど重要なものはない。会社の成長発展のために十分に社員教育を施しているか否か、一度、点検してみてほしい。伊藤のワンポイント費用をかけずにできる社員教育の方法は沢山あります。大切なのは、お金をかけることではなく、社長が先頭に立って経営の勉強をして、社員教育をけん引することです。勉強熱心な社長の姿勢(背中)を見ている社員は、益々ヤル気になるものです。社長が社員と共に成長すれば、組織力と共に、業績が一段と伸びます。
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  • 指示待ち人間を改善する社員教育の方法|指示待ち人間の解消が組織力を高める
    指示待ち人間を改善する社員教育の方法|指示待ち人間の解消が組織力を高める指示待ち人間の改善なくして、会社の成長はない。なぜなら、社員が自ら考える自主性を持たなければ、現場の仕事の質が向上しないからだ。現場の仕事は、内勤であれば総務経理や開発、外勤であれば営業や販売スタッフなど等、多岐にわたるが、何れにしても、現場の社員が経営者や上司の指示がなければ動けないといった指示待ち人間では、現場の仕事の質が上がることも、会社の生産性が上がることもない。人材が限られている中小企業であれば、なおさらのことだ。指示待ち人間の弊害は、それだけではない。顧客接点に関わる営業社員が指示待ち人間では、顧客満足度を追求する姿勢が欠落し、顧客離脱のきっかけを作りかねない。或いは、開発社員が指示待ち人間では、開発スピードに陰りが出て、競合他社との開発競争に敗れてしまうかも知れない。指示待ち人間の改善なくして、会社の成長はないのだ。とはいっても、指示待ち人間を改善することは、決して簡単ではなく、それなりの教育時間と改善するための工夫が必要だ。例えば、指示待ち人間に対して「指示を仰ぐことなく自分の考えで行動しろ」と自主性を促しても、確かな判断基準を持っていなければ、誤った行動に繋がり、会社衰退のきっかけを作りかねない。また、誤った行動を頭ごなしに叱ると、せっかく自主性を発揮した社員が委縮してしまい、簡単に指示待ち人間に逆戻りする。指示待ち人間を改善するのは、指示がなくても自信を持って動ける根拠になり得る情報をしっかり与えなければならない。また、指示待ち人間の行動が失敗に終わったとしても、その失敗を許容し、なお且つ、失敗が繰り返されない仕組みを整備することも欠かせない。指示待ち人間は社員教育で改善できる指示待ち人間を改善するには「しっかり情報を与えること」と「失敗を許容し、失敗を繰り返さない仕組みを整備すること」、このふたつが成功の秘訣になる。指示待ち人間に与えるべき情報は、会社の経営理念、行動原理、業績、目標、経営者のビジョンや価値観など等、挙げたらキリがないほどある。さらに、上司の顔色ではなく顧客の顔色を優先する、顧客の喜びが会社の喜びになる、金額1万円以下は独断で使ってよい、〇〇はやってはいけない、〇〇はやっても良い、など等、具体的表現で情報を与えると、迷いのない行動に繋がり、指示がなくても自主的に考え、行動できるようになる。指示待ち人間にとって外部機関が主催する指示待ち人間の改善研修や改善セミナーは殆ど役に立たない。社員教育の一環で、自分の会社の情報をしっかり与えて、会社の方針や会社の置かれている立場と状況をより深く理解してもらった方が、よほど指示待ち人間の改善に役立つ。また、指示待ち人間の過ちを頭ごなしに叱ることも、指示待ち人間の改善に役立たない。決して叱らず、その失敗の原因と対策を失敗した本人に考えさせ、なお且つ、その失敗を組織全体で共有する仕組みを作ることが、指示待ち人間を改善し、高い自主性を持った組織を作り上げる秘訣になる。☑指示待ち人間に情報を与えているか?☑指示待ち人間の失敗を許容しているか?☑指示待ち人間の失敗が繰り返されない仕組みがあるか?指示待ち社員に悩んでいる中小企業経営者は、指示待ち人間を改善するための施策を十分に行っているか否か、一度点検してみてほしい。
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  • 人を育てるコンピテンシーの評価基準|明確なコンピテンシーが組織力を高める
    人を育てるコンピテンシーの評価基準|明確なコンピテンシーが組織力を高めるコンピテンシーとは人事評価の基準のひとつで、「成果に繋がる行動特性」や「活躍する人特有の行動や思考」のことである。コンピテンシーは、会社が社員に求める行動を明確に示すので、会社が社員を評価するうえでの絶対基準になる。一方、社員の側から見たコンピテンシーは、社員が目指すべき行動を明確に示すので、会社から評価されるための行動原理の基準になる。コンピテンシーは、会社と社員、双方にとって、より良い方向を目指すうえでの指標になるので、コンピテンシーの評価基準が曖昧だと、人事上(組織上)の弊害が様々噴出する。例えば、コンピテンシーが曖昧だと、会社は社員の能力開発をうまく誘導できないため、マンパワーを十分に活かすことが出来なくなる。社員としても、コンピテンシーが曖昧だと、会社が求める行動がうまく取れないので、能力開発が不完全燃焼に終わる。当然ながら、社員の能力開発が不完全だと、社員の成長が止まるので、会社の組織力が伸び悩む、或いは、会社と社員の間に歪な溝が出来てしまい、組織力が低下する。組織力の低下は業績悪化の根本原因になり得るので、コンピテンシーは業績を左右する重要な要素といっても過言ではない。組織力が伸び悩んでいる、或いは、社員の育て方が曖昧になっている中小企業は、コンピテンシーの評価基準が曖昧になっている可能性が高いので、注意してほしい。コンピテンシーの評価基準の運用方法コンピテンシーの評価基準は、階層によって変わる。この原理原則を理解しないと、会社の組織力を高めるコンピテンシーの運用はうまく機能しない。例えば、コンピテンシーの評価基準は、一般社員、中間管理職、経営者(経営幹部)、それぞれの階層によって全く変わる。活躍の場が代われば求められる行動が変わるのは当たり前のことだが、階層に応じてコンピテンシーの評価基準を変えないと、社員を昇格させても、変化に適応できない社員が増えて、結果として、組織が機能不全に陥ることがある。有能な社員を昇格させた途端に、その社員の評価が落ちるといった現象は、曖昧なコンピテンシーの評価基準が根本原因であって、社員本人に罪はない。社員を活かすも殺すも、コンピテンシーの評価基準次第なのだ。コンピテンシーの評価基準の一例として分かりやすい例は「目標」だ。例えば、一般社員は「目標理解」、中間管理職は「目標達成」、経営者(経営幹部)は「目標設定」がコンピテンシーの評価基準になる。目標というたった一つのコンピテンシーの評価基準であっても、社員の行動と思考はガラリと変わる。当然ながら、コンピテンシーの評価基準の理解が不十分だと、たとえ有能な社員だったとしても、その社員の行動と思考がちぐはぐなものになる。さらに、この状況を放置すると、せっかくの能力を引き出せないばかりか、問題社員化を促進する結果を招きかねない。会社の成長を後押しするコンピテンシーの評価基準が十分に運用できているか否か、一度、点検してみてほしい。
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  • 中小企業が有能な社員を獲得するための採用基準|採用基準が組織力の明暗を分かつ
    中小企業が有能な社員を獲得するための採用基準|採用基準が組織力の明暗を分かつ採用の自由度が低い中小企業ほど、一度採用した人財のパフォーマンスを最大化させることが、成功の絶対条件になる。しかし、採用基準が曖昧だと、たとえ有能な社員が採用できたとしても、まとまりのないひ弱な組織に陥り、組織力の低下と共に業績が悪化するリスクが高まる。この記事では、中小企業が有能な社員を獲得するための採用基準について、詳しく解説する。中小企業に適した採用基準中小企業が有能な社員を獲得するために重視すべき採用基準は二つある。ひとつは「経営者の理念に共感していること」、もう一つは「会社の内情を理解していること」だ。この二つの採用基準に合致している社員を採用できれば、採用時点の能力が少し劣っていたとしても、教育次第でいかようにも才能を伸ばすことができる。ひとつ目の採用基準である「経営者の理念に共感していること」は、中小企業が新規採用するうえでの絶対的基準といっても過言ではない。なぜなら、経営者の理念に反する言動が表面化すると、途端に組織力が低下し、業績も悪化するからだ。採用候補者に経営理念を共感してもらうには、経営者自身がシッカリと理念なり哲学を持って経営と向き合うことが欠かせない。当然ながら、理念も哲学もなければ、採用基準が曖昧になり、たとえ有能な社員が採用できたとしても、まとまりのないひ弱な組織に陥る可能性が高くなる。有能な社員を定着させる採用基準もう一つの採用基準である「会社の内情を理解していること」も、中小企業が新規採用するうえでの絶対的基準といえる。なぜなら、会社の内情と採用候補者が抱くイメージのギャップが大きいほど、離職率が高まるからだ。採用候補者に会社の内情を理解してもらうには、採用面接等の機会に、会社の内情を公開し、なお且つ、その情報を懇切丁寧に説明する必要がある。説明する会社の内情は、労働条件、給与条件、業績、社員構成といった表面的な部分だけでは物足りない。入社することでのプラスマイナスやメリットデメリット、或いは、教育方針や将来ビジョンといった情報に至るまで、徹底的に公開した方がよい。会社の内情の理解が深まるほど、採用候補者の将来ビジョンが明確になるのでモチベーションが一段と上がり、なお且つ、入社後のギャップに悩まされることが少なくなる。会社の内情を理解してもらうことは、有能な社員を定着させる秘訣でもある。中小企業のハイスペック人材の採用基準中小企業の場合、創業期、或いは、成長期に、ハイスペックな人材から、採用の応募が入ることがある。このようなハイスペックな人材は、既存社員とのレベルのギャップや与える仕事のレベルのギャップなどが原因で、場合によっては組織力の低下という弊害を生み出すリスクを抱えてはいるものの、基本的には、先に紹介した二つの採用基準を満たしている限り、採用で失敗することはない。また、既存社員をはるかに超えるハイスペックな人材は、多少の背伸びをしてでも採用した方が良い側面もある。例えば、採用する側(経営者)も、ハイスペック人材に合わせて、大きな目標や夢を語らざる得なくなり、目標設定が高まり、会社の成長が加速しやすくなる。また、ハイスペックな人材が既存社員に与える好影響も計り知れない。最終的にハイスペックな人材が辞めることもあり得るかも知れないが、わたしの経験上、マイナスよりもプラスの効果の方がはるかに大きい。
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  • 社員の採用コストと教育コストの費用対効果|人事コストの効果的な使い方
    社員の採用コストと教育コストの費用対効果|人事コストの効果的な使い方社員の採用コストと社員の教育コストを比べた場合、費用対効果が高いのはどちらか?中小企業においては、社員の採用コストよりも教育コストの方が、圧倒的に費用対効果が高い。なぜなら、中小企業が、有能な人材を採用しようと思ったら、いくらお金があっても足りないからだ。有能な人材を採用するための募集コストや給与コストはバカにならないし、有能になるほど採用コストが膨れ上がる。また、有能な社員の貢献度は採用した後でないと判明しないというリスクもある。事実、多額のコストをかけて採用した有能な社員の能力を持て余してしまい、採用コストが殆ど回収できない、といったことは良くあることだ。一方、社員の教育コストの費用対効果は、非常に高い。なぜなら、社員が成長すれば、業績も伸びるからだ。組織力と業績は比例関係にあるので、社員全体の能力が多少劣っていたとしても、社員教育で全体のレベルを底上げすることが出来れば、自然と業績が伸びる。中小企業は、費用対効果の低い有能な社員採用にコストをかけず、費用対効果の高い社員教育にコストをかけた方が何倍もお得なのだ。社員の採用コストと教育コストの使い方中小企業の場合は、採用コストは必要最低限の範囲内でコントロールし、教育コストに多くを割いた方が良い。但し、無理に教育コストをかける必要はなく、無理のない範囲で教育コストをコントロールし、場合によっては教育コストゼロからスタートする手もある。例えば、週一ミーティングに「経営理念の具現化度・会社の数字(実績と目標)の理解度・顧客の声の活用度・現場の声の活用度」等のテーマを週替わりで協議(共有)させるだけで、十分な社員教育の効果を得ることができる。こうした会社経営に関わる重要なテーマは、協議(共有)が深まるほど、会社の業績や置かれている立場、やるべき事や目指すべきことの理解が深まるので、社員の仕事のレベルが一段と上がる。また、目標の設定、失敗の共有、情報の共有、などの取り組みも、教育コストゼロで社員の仕事のレベルを高める教育効果をもたらす。社員教育は、外部セミナーや外部講師に頼るよりも、徹底して会社の現状を勉強させた方が、業績に貢献する教育効果が得られやすい。多額の教育コストをかけているにも関わらず、業績がパッとしない中小企業は、社員教育の内容に問題があるのかも知れないので、一度、見直すことをおススメする。なお、社員教育の効果が表れるまでの時間は結構かかるが、ひとたび社員のレベルと共に業績が上がると、さほどの採用コストをかけずとも、自然と有能な社員が集まる土壌が整う。つまり、採用にコストをかけるのではなく、教育にコストをかけることこそ、効果的に業績を上げつつ、有能な社員を獲得する賢い方法なのだ。伊藤のワンポイント殆どの企業にとって人件費は最大のコストです。そのコストを売上拡大に最大限活かすには、社員の採用コストよりも教育コストに重きを置くことが大切です。社員教育は低コストで出来ることが無限にあります。少ない予算からでも大丈夫ですので、教育コストの運用を始めましょう。社員教育は企業成長の生命線です。
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  • 社員が会社を辞める本当の理由|辞める理由が分かれば社員の力を最大化できる
    社員が会社を辞める本当の理由|辞める理由が分かれば社員の力を最大化できる社員が会社を辞める理由が何であるか、考えたことがあるだろうか?社員が会社を辞める動機はより良い環境を求めるところにあるので、社員が会社を辞める根本的な理由を突き詰めて考えると「先行きの不安」ということになる。従って、社員が抱いている先行きの不安を解消することなく放置していると、いつしか社員の離職願望が大きくなり、会社を辞める事態を招いてしまう。社員が辞める根本理由である先行きの不安は、大きく二つある。ひとつは、会社の成長に対する先行きの不安、もう一つは社員自身の成長に対する先行きの不安である。ここで重要なのは、社員の能力やスキルによって、会社を辞める理由が変わることだ。例えば、有能な社員は、会社の成長に対する先行きの不安を少しでも感じると、新天地を求めて会社を辞める。この場合、社員が辞める理由が会社の業績にあるので、防御策は健全経営を実現することに尽きる。一方、新入社員や若手社員などは、会社の業績がどうであれ、自分自身の成長に対する先行きの不安が大きくなると、新天地を求めて会社を辞める。例えば、会社にいても更なる成長が見込めない、或いは、同世代に比べて成長が遅れるのではないか、といった先行きの不安は、会社を辞める理由になり得る。この場合、社員が辞める理由が社員自身にあるので、社員の成長不安を解消することで離職を防ぐことができる。社員の不安を解消して離職を防ぐには?社員の不安を解消して離職を防ぐ方法はふたつある。ひとつは健全経営を実現すること、もう一つは、人材育成をしっかり行うことである。社員が辞める根本理由である会社の業績不安と社員自身の成長不安を解消するには、健全経営を実現し、なお且つ、社員の明るい将来像を具体化する人材育成の推進が欠かせない。特に中小企業にとっては、新入社員や若手社員が将来を担う貴重な人材になるので、離職を防ぐ人材育成の推進は重要だ。例えば、同世代に比べてこれだけの経験が出来て、このような段階を経て社会で広く通用する人材になれる、という明確な人材育成方針を伝えるだけでも、漠然とした先行きの不安を解消することができる。さらに、課長、部長、役員、社長という階層毎に、理想のモデル社員がいれば、なおさら効果的だ。(中小企業であれば社長や役員といった幹部社員がモデル社員であっても良い)なお、効果的な人材育成手法については当サイト内の「強い組織を作り上げる実践ノウハウ」のカテゴリーで詳しく解説しているので参考にしてほしい。人材育成をしっかり推進すると、社員自身の成長不安が払しょくされて、会社を辞める理由がなくなっていく。また、社員が辞めることなく会社に貢献するほど、組織力向上と共に業績が一段と伸びるので、人材育成には一石二鳥の効果がある。社員が辞める理由である先行きの不安を見逃していないか否か、一度、点検してみてほしい。伊藤のワンポイント社員が辞める理由として二つの不安を挙げましたが、これらの不安をキャッチするには日頃からコミュニケーションをとることが大切です。充実したコミュニケーションは、社員の不安を解消する環境作りに役立ちます。逆に、社員とのコミュニケーションが不足すると、必ず社員の不安を見落とし、離職率を高めます。
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  • 絶対評価と相対評価、正しい人事評価はどっち?|絶対基準と相対基準を徹底比較
    絶対評価と相対評価、正しい人事評価はどっち?|絶対基準と相対基準を徹底比較絶対評価と相対評価、人材育成に適した人事評価はどちらか?結論から言うと、答えは、絶対評価である。人材育成のスピードが加速するのも、公平な人事評価の環境が整うのも、間違いなく、絶対評価の方が優れている。この記事では、絶対基準と相対基準の優劣と共に、絶対評価の基準の作り方について、詳しく解説する。絶対評価と相対評価とは絶対評価とは、目標とする人材像を基準にした人事評価のことだ。例えば、社会で広く活躍できる人材像を基準にして社員を育成する方法は絶対評価になる。絶対評価は、主観が入らず、客観重視なので、目指すべき人材像が明確になり、なお且つ、公平な人事評価ができる。一方、相対評価とは、社内における能力順位を明らかにする人事評価のことだ。例えば、A君の能力はB君よりも優れている、という具合に社内の能力順位を明らかにする方法は相対評価になる。相対評価は、客観が乏しく、主観に偏るので、目指すべき人材像が曖昧になり、なお且つ、不公平な人事評価に陥りやすくなる。絶対評価と相対評価の違い絶対評価と相対評価の大きな違いは二点ある。ひとつは、人事評価基準を社外に置くか社内に置くか、という点、もう一つは、人事評価の基準を客観重視で作るか主観重視で作るか、という点である。人材育成のスピードが加速するのは、人事評価の基準が社外にあり、なお且つ、人事評価の基準を客観重視で作る「絶対評価」である。なぜなら、社内の能力順位を明らかにしたところで、ライバル企業に勝つことはできないからだ。ライバル企業に勝つには、絶対評価を運用し、ライバル企業の社員を超える、社外で広く通用する人材を育て上げなければならない。また、人事評価基準から客観性が欠けると、経営者や上司の気分や好き嫌いといった曖昧な基準で社員が評価されるため、社員の不満や離職願望が噴出しやすくなる。社員の公平な人事評価を実現するには、客観性に富んだ絶対評価を運用しなければならないのだ。絶対評価基準の作り方絶対評価基準の作り方は、会社の文化や経営者の姿勢、或いは、業界特性など、様々な要因を考慮して緻密に作り上げる必要があるが、最低限、必要なことは、明確な人材像を示すことである。例えば、目標人材のスキル構成と、目標人材の行動特性を示すコンピテンシーは、絶対評価に不可欠な基準になる。目標人材のスキル構成とは、一般社員、中間管理職、経営者(経営幹部)のそれぞれの階層に必要なスキルを明確に表す絶対評価基準で、詳しくは当サイト内の「能力開発に役立つ人事評価の基準」を参考にしてほしい。目標人材の行動特性を示すコンピテンシーとは、成果に繋がる行動特性や活躍する人特有の行動や思考を明確に表す絶対評価基準で、詳しくは当サイト内の「人を育てるコンピテンシーの評価基準」を参考にしてほしい。組織力の低迷に悩んでいる大概の中小企業の人事評価は、決まって相対評価に偏っている。組織力の向上は、即、業績向上に繋がるので、組織力の低迷に悩んでいる場合は、人事評価の基準を相対評価から絶対評価にシフトすることをおススメする。
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  • 人材育成に効果的な数値目標の運用方法|数値目標がなければ社員は育たない
    人材育成に効果的な数値目標の運用方法|数値目標がなければ社員は育たない人材育成において、数値目標の運用は不可欠だ。なぜなら、数値目標があれば、育つ側(社員)、育てる側(会社)、双方の人材育成活動の効率が飛躍的に上がるからだ。例えば、育つ側である社員の目標を数値化すると、目標達成までの道のりとゴールが明確になるので、社員は、目標に向かって効率よく活動することができる。一方、育てる側である会社としても、目標が数値化されていれば目標達成に向けて社員を上手にフォロー(育成・教育・誘導)することができ、尚且つ、客観的基準で社員を公平に評価することができる。より効率的かつ効果的に目標を達成できるだけでなく、曖昧な人事評価がもとで起こり得る不平不満を防ぐことができるので、数値目標の運用効果は極めて大きい。当然ながら、目標が数値化されていなければ、人材育成は非効率に陥る。社員は行き当たりバッタリの行動に陥り、能力開発が不十分になるし、会社としても社員を客観的に評価することが難しくなる。場合によっては、数値化されていない曖昧な目標が原因で、組織力が低下することもあり得る。人材育成に効果的で、なお且つ、効率的に業績を改善する目標を運用するには、「昨年よりも年間売上を上げる」という漠然とした目標ではなく、「昨年よりも年間売上を1,000万円上げる、しかも、販促経費は100万円に抑えて、4月末日までに達成する」という具体的数値目標を掲げた目標が不可欠なのだ。効果的な数値目標と人材育成の方法効果的な数値目標は、数値と期日が明確になっている目標であり、数値が具体的であるほど、目標達成までの道のりとゴールが分かり易くなる。つまり、具体的な数値目標は、目標達成(成功体験)までのプロセスを明快にし、人材育成の成長スピードを加速させる効果があるのだ。中小企業における効果的な人材育成の方法は簡単だ。数値目標を掲げたうえで、経営者が社員の活動を徹底的にフォローすると、人材育成の成長スピードが加速する。例えば、社員のPDCA活動に経営者が寄り添って、社員の行動(Do)以外の、計画(Plan)、検証(Check)、改善(Action)のPCA部分を積極的にフォローすると、社員の活動の質がみるみる上がり、効率的に目標を達成することができる。経営者のフォローが難しければ、会社として社員のPDCA活動をフォローする体制を構築する方法でも構わない。社員の活動に経営者が積極的に関わると、社員はどう行動すれば評価されるのかが明快になるので、行動に迷いがなくなり、成長スピードが加速する。会社としても社員の能力不足を的確に捉えて教育することができ、尚且つ、客観的視点で社員を評価できるので、ストレスフリーな人材育成の仕組みが整ってくる。具体的数値目標を運用し、なお且つ、社員のPDCA活動をフォローする体制が盤石になると、社員の成長と業績改善のスピードが一段と加速する。伊藤のワンポイント人材育成の数値目標は具体的になるほど効果が上がります。社員の動きが明快になり、会社側の人材育成効率も上がります。但し、数値目標の達成度合いを人事評価の絶対基準にしないでください。数値目標は人材育成を効率化するサポートツール、なお且つ、評価基準の一部として活用するのがお薦めです。
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  • 根性論の起源|会社や仕事に根性論は通用しない!?
    根性論の起源|会社や仕事に根性論は通用しない!?根性論とは、近視眼的思考のことである。例えば、根拠(実現性・再現性・合理性・環境・実力等)がどうであれ、根性さえあれば、どんな苦難や逆境も乗り越えられるという思考は典型といえる。この記事では、根性論の起源、並びに、会社や仕事において、なぜ根性論が通用しないのかについて詳しく解説する。根性論の体験談わたしが社会人デビューしたのは、かれこれ25年も前になるが、その時代は「根性論」が当たり前の風景だった。見て覚えろ、自分の頭で考えろ、言われる前に動け、やれば出来る、出来ないのは根性が足りないからだ、など等。根性論をベースとした思考や教育姿勢が当たり前の世界で、それが出来なければゲンコツが飛んでくる。当然ながら、根性のない新入社員はすぐに辞める。私の場合は、地方の次男坊で帰る家がなかったのと、元々、根性(忍耐強さ)があるタイプだったので、極めて理不尽な環境ではあったが、今に見てろ根性の方が大きく上回り、難なく過ごすことができた。スポーツの世界でも、根性論が当たり前にまかり通っていた時代だ。体罰、暴言、絶対服従、うさぎ跳びや飲水禁止など、非論理的な指導が当たり前であり、強豪校ほど、そうした根性論が定着していたような気がする。こうした根性論は、今でも社会のあちらこちらで存在しているわけだが、すぐに何とかハラスメントとしてペナルティを課せられる。昔気質(根性論者)の人々からすると、ずいぶんと生きづらい世の中になったものである…。戦前は根性論が無かった根性論の起源については様々な見解がある。例えば、武士道精神などは根性論の起源(原型)に近いと思える。しかし、広く世に定着するようになったのは、わたし私見では、戦争が分岐点になっているように感じる。例えば、国民的スポーツである野球の世界には、戦前は根性論が無かった。その証拠に、日本で最初に野球チームの監督になった飛田穂洲さんの教え子の回顧録には、「飛田監督が声を荒げるのを見たことがない」という記述がある。飛田監督は、一球入魂の生みの親でもあるが、道具は自分で磨きなさい、授業に出て勉強しなさい、野球を通じて模範となるような人間になりなさいと説いた人だ。根性論などかけらもない、まさに、野球道をゼロから創り上げた偉大な監督である。また、茶道、弓道、剣道など、江戸時代以前からある〇〇道の世界にも根性論はない。何れも、相手を敬い、道徳心を持って、その道に真摯に向き合う姿勢が基本になっている。根性論は戦後に生まれた戦後になると、戦前のマインドが一変する。非合理な根性論に関しても、戦争以後に社会全体に蔓延した節がある。例えば、欧米の兵士は鉄砲の玉が無くなる、戦況が劣勢になる、食料が尽きる等の事態に陥ると、すぐに降参して捕虜になったそうだ。いかにも欧米人らしい合理的な判断だが、日本の軍人は違った。日本の軍人は、鉄砲の玉が無くなれば刀を抜いて一人でも多く倒すために死に物狂いで突撃する、戦況が劣勢でも命が尽きるまで戦う、食料が尽きても蛇やカエルを食べて生きながらえる、など等、欧米人の比にならないくらい、とんでもない根性を持っていた。特攻隊などはその成れの果てであり、根性論(非合理)の極みである。恐らく、欧米人から見たら、日本人は恐ろしく怖い人種だったに違いない。一億総玉砕と叫ばれた戦争末期には、学徒出陣や若者の職業軍人化が加速したが、そうした若者に根性論を刷り込んだのが戦争だったのではないかと思う。この時の根性論が、そのまま社会に居座り、昨今まで引きずってしまったのではないか、というのが私の見解である。会社や仕事に根性論は通用しない事業は人なりの言葉通り、社員なくして、事業活動は成立しない。そして、社員のモチベーションは、高いに越したことはなく、モチベーションが高い組織ほど、業績が好調だ。そのモチベーションを上げる手段として、上から目線の根性論は全く役に立たない。むしろ、モチベーションを下げるきっかけにしかならない。怒鳴っても何にも解決しないし、社員の自主性とヤル気も削がれる一方になる。社員のモチベーションを上げるには、社員をコントロールしないことだ。社員の言い分をよく聞いて、共感したうえで、自分の目指している会社経営をとつとつと伝えることだ。社員が失敗した時、或いは、過ちを犯した時は、自分の責任として監督不足を詫び、一緒に成長することを約束することだ。社員に対して頭ごなしに怒鳴る、或いは、自分の主張や根性論を押し付けるような真似は決してしないことだ。根性論などかけらもない、丁寧なコミュニケーションを心掛けることが本来あるべきリーダーの姿であり、そうしたリーダーの姿勢に社員は自然と従うようになる。社員をコントロールするのは偽物のリーダーだ。コントロールせずとも、社員を惹きつけるのが本物のリーダーである。今はもう「怒鳴る・殴る・蹴る」の時代ではない。どちらかというと「共感する・励ます・育む」時代だ。(この記事は2020年4月に執筆掲載しました)
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  • 新人教育のコツと心構え|新人の教え方・育て方
    新人教育のコツと心構え|新人の教え方・育て方四月になると、街のあちこちで新入社員の姿をよく見かけるが、みんなハツラツとした顔つきで、じつに応援したくなる。しかも、素直な心で初心を思い出させてくれるだけでなく、年齢を重ねることの自覚、責任、覚悟など、自分を見つめ直すよいきっかけも与えてくれる。新人の社会的役割りは、案外、大きいのかも知れないと、つくづく感じるが、この記事では、新人教育のコツと心構え、並びに、新人の教え方・育て方に至るまで、詳しく解説する。新人教育のコツ毎年、新人を採用している中小企業は多くないが、新人教育や組織マネジメントに悩みを抱えている経営者はじつに多い。儲かっていようが、儲かっていまいが、どうも、組織の悩みは経営者共通のテーマのようだ。新人を教育して、いかにして立派な戦力に仕立てるかが、その後の会社の業績を左右するわけだが、新人教育のコツは、自主性と責任感を育てることに重きを置くことが大切だ。顧客に幸せを与える人間(社員)になるには、自主性と責任感が不可欠だからだ。新人教育の心構えソニー創業者の盛田昭夫氏は、新入社員に対して次のような言葉を贈っている。「会社は学校ではないので教育する義務はない。一方、社員は、入社日から自分自身で考え、自らの責任で行動する義務がある。先輩や上司から教えを乞うことを期待してはいけないし、指導を受けることも期待してはならない。もし、自覚と努力が足りずに置き去りにされるのであれば、仕方のないことだ。」この言葉が生まれた時代は、半世紀も昔だが、時代にマッチしない考えと一蹴することはできない。事実、社会人たるもの、このような心構えなくして大成することはないと思うし、自分で考える自覚と努力なくして、自主性と責任感を習得することはできないからだ。ソニーで働く知人に話を聞くと、実際の新人教育プログラムはかなり充実しているらしい。しかし、仕事の要求レベルは高く、根底には厳しさがしっかりある、と仰っていた。世の中に面白い仕事をたくさん生み出しているリクルート社も、恐らく、同じような姿勢で新人教育をしている気がする。また、ホウレンソウ(報告・連絡・相談))禁止や命令禁止で有名な未来工業も、きっと、同じような姿勢で新人教育を施し、好業績をたたき出しているのではないかと思う。新人の自主性と責任感が立派に育つと、仕事に向き合うたびに「自分ならどうするだろうか?」或いは「自分ならこうする」というように、常に自分の意見を考えることができる思考力の高い人財に生まれ変わる。このような人財を生み出すには、やはり、新人の自覚と努力を促す一定の厳しさが必要なのだ。新人の教え方・育て方新人教育は、社長と新人という人間同士のぶつかり合いなので、教える側も育てられる側も、お互いストレスがかかる。ストレスを軽減するには、まずは、社長が新人を信頼することが大切で、そうした社長の姿勢に、社員は信頼し、ついてくる。そして、喜怒哀楽の感情のうち、喜びと楽しさをなるべく共有することも重要だ。例えば、「ありがとう」や「よくできた」など、社長にとっては何気ないひと言であっても、新人にとっては、とても嬉しいものだ。新人のなかには、自宅に帰ってから家族に対して「社長にこんな一言をかけてもらえた」、「社長は自分の仕事を見てくれている」と嬉しそうに話す方もいる。ちなみに、喜びと楽しさの感情は一瞬で萎む一方で、怒りや哀しみの感情は長く続いてしまう。従って、喜びと楽しさは長く引っぱり、怒りや哀しみは後を引かない配慮を忘れないでほしい。喜びと楽しさを持ったポジティブ思考の新人は明るく自信に満ち溢れているように見えるが、怒りや哀しみを持ったネガティブ思考の新人は暗く自信がないように見えてしまう。会社にとって、顧客にとって、どちらが望ましい新人かは明白だろう。新人教育のコツと心構えのまとめ会社で働くということは、苦労するとういう事だ。しんどいことも、辛いことも、叱られることもあるのが働くということだ。最近は、叱られると「自分が嫌われている」と誤解し、上司と距離を置く新人も増えてきているようだが、これは、対人コミュニケーションの減少に伴う弊害の一つといえる。こうした弊害を解消するには、叱ることは教育すること、教育することは自主性と責任感を育てること、自主性と責任感を育てることは社会で広く活躍できる人財に育てること、という新人教育の目的をよく諭し、厳しい社会環境に慣れさせることが大切だ。(この記事は2019年4月に執筆掲載しました)
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  • 問題社員を生み出さない対応策|問題社員の特徴と然るべき対応
    問題社員を生み出さない対応策|問題社員の特徴と然るべき対応問題社員とは、無断欠勤や素行不良などの懲戒事由に該当する社員のことである。問題社員は、組織全体のモチベーションを下げるだけでなく、会社全体の生産性を恐ろしく悪化させるので、しっかり対策することが肝要だ。この記事では、問題社員を生み出さない対応策、並びに、問題社員の特徴と然るべき対応について、詳しく解説する。問題社員の特徴問題社員とは、無断欠勤や素行不良などの懲戒事由に該当する社員のことである。就業規則で定める懲戒事由は会社によって様々あるが、無断欠勤や素行不良の他にも、報告義務違反、指示命令違反、社内秩序違反、器物破損、暴行、傷害、独断で行う宗教活動等が挙げられる。また、経営者の立場から見れば、やる気のない人財も問題社員に該当するが、こうしたやる気のない社員は次のような特徴を持っている。無責任、心が貧しい、マイナス思考、変化への耐性が弱い、視野が狭い、受動的、進化のスピードが遅い等、簡単に言えば、何をするにも卑屈で、傲慢で、後向きだ。中でも特徴的なのは、無責任体質で、失敗しても全てを他人のせいにする、他人に評価されることしかやらない(他人が見ていなければサボる)等は、やる気のない問題社員の典型になる。問題社員に取るべき対応問題社員は、組織全体のモチベーションを下げるだけでなく、会社全体の生産性を恐ろしく悪化させる。こうした問題社員は、放置すればするほど、会社全体の生産性を悪化させるので、問題社員が現れた時は速やかに対応することが肝要になる。つまり、問題社員に取るべき対応で一番大切なことは「間髪入れずに教育指導する」ことである。教育指導が遅れるほどに問題社員の素行が酷くなり、周囲の社員に悪影響を及ぼし、更には教育指導(更生処置)の難易度が上がるので、問題社員の対応は教育指導のスピード感が何よりも重要になる。問題社員に教育指導をする上で抑えるべきポイントは、相手の言い分を受容し、繰り返し、客観的事実だけを伝えることだ。個人攻撃や人格否定をするのではなく、会社が望む人材像や周囲から挙がっている素行不良等の客観的事実だけを丁寧かつ根気よく伝えることが、問題社員の行動改善意欲を高める正攻法になる。問題社員を生み出さない対応策問題社員に取るべき対応(間髪入れずに教育指導する)を徹底することと並行して対策すべきことは、問題社員を生み出さない根本的対策を講ずることである。問題社員を生み出さない対応策としてお薦めの方法は「人事評価を明快にする事」と「社長と幹部の力量を高める事」である。それぞれのポイントについて、詳しく解説する。人事評価を明快にする曖昧な人事評価が原因で社員が問題社員化するケースは少なくない。例えば、成果を上げているのに正当に評価されない、同僚や上司よりも仕事をしているのに役職や報酬が上がらない、等の不満が原因で問題社員化するパターンは典型になる。こうした問題社員を生み出さないための有効策としてお薦めの方法は「明快な人事評価基準を社員に示すこと」である。明快な人事評価基準があれば、会社側は社員を育てやすくなり、社員側もどうすれば会社から評価されるのかが分かるので自己研鑽、或いは、自己評価し易くなる。評価基準を拠り所に育成コミュニケーションを充実させることもできるし、不公平な相対評価ではなく、公平な絶対評価も定着する。また、役職者が問題社員化した場合は「降格人事を検討すること」も大切になる。例えば、昇格しても期待した成果が上がらない、或いは、役職に応じた能力が開花しない状況を放置し続けると、役職者自身が問題社員化し、本人も部下も苦しむことになる。降格人事が機能していない会社はじつに多いが、こうした問題社員を生み出さないためには、降格基準を事前に社員に示し、その基準の範囲内で降格させることも時には必要だ。(但し降格させる場合は必ず昇格条件も示すこと)人事評価基準の具体的設計方法はこちら>>社長と幹部の力量を高める社長と経営幹部の素行を真似て、問題社員が生まれるケースは少なくない。例えば、問題社員を放置している、やる気の無い言動を振りまいている、社員と顧客を大切に扱っていない等のトップの言動が原因で問題社員が増殖するパターンは典型になる。トップの動きに倣うのが組織の習性なので、上に立つ人間の言動が悪いと、それにつられて社員の言動も悪くなる。トップが問題社員を放置すれば、他の社員も問題社員化し易くなるし、トップがやる気のない言動を振りまけば、やる気のない社員が増える。トップが社員を大切に扱わなければ、社員も会社(社長)を大切に扱わなくなるし、トップが顧客を大切に扱わなければ、社員の顧客に対する言動が横柄になる。社長と幹部の力量がしっかりしていれば、前記した問題社員は生まれない。問題社員が目の前に現れた時は、トップの力量を磨く絶好のチャンスと受け取り、謙虚に自己研鑽することが何よりも大切だ。
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  • できない社員を教育する方法|社員を育てる基本姿勢と効果的教育手法
    できない社員を教育する方法|社員を育てる基本姿勢と効果的教育手法中小企業の社長にとって、できない社員を教育することほど骨の折れる仕事はないと思う。とくに起業まもない会社や中間管理職のいない会社は、社長自身ができない社員を教育する役割を担うことになるので相当な苦労を強いられる。この記事では、できない社員を教育する方法について、詳しく解説する。社員教育なくして成長なし中小企業の社長にとって、できない社員を教育することほど骨の折れる仕事はないと思うが、社員教育なくして、会社の成長はあり得ない。事業は人なりと云われるように、社員教育は企業経営の最重要課題であり、社員教育の出来不出来によって会社の盛衰が決まる。従って、できる社員だろうが、できない社員だろうが、一定のレベルまで社員を育てることが企業成長の絶対条件になる。当然ながら、社員教育をおろそかにすると、組織力が低下し、時を待たずして企業の衰退リスクが表面化する。起業まもない会社や中間管理職のいない会社は、社長自身ができない社員を教育する役割を担うことになるので苦労も多いが、社員教育は、決しておざなりにしてはならない。できない社員を教育する基本姿勢できない社員を教育するうえで抑えるべきポイントは「できないことをなじらないこと」だ。踊らぬ踊りは踊れないと云われるように、何事も体験と経験なしに体得することは難しいものだ。できない社員を教育するうえで大切なのは、数回の失敗でできないことをなじるのではなく、できないことに試みるチャレンジ精神や向上心を持続させることだ。例えば、幼い子がはじめて皿洗いを手伝っている際中に誤ってお皿を割ってしまった場合、母親がその過ちを頭からなじった場合、その子はどんな気持ちになるだろうか?たった一回の失敗がトラウマになって、チャレンジ精神が低下するのは目に見えて理解できるだろう。できない社員を育てるうえで短気は損気である。できない社員を教育する場合は、できないことをなじることなく、できないことに試みるチャレンジ精神や向上心を育む「できない社員の支援を諦めない精神」を持つことが大切なのだ。できない社員を教育する効果的な方法できない社員を教育する効果的な方法は様々あるが、以下に、すぐに実践できる2つの方法を解説する。ひとつは「見本を見せる」、もう一つは「動画の活用」である。できない社員を育てるそれぞれの効果的教育手法について詳しく解説する。効果的教育手法「見本をみせる」できない社員を育てるうえで「見本をみせる」方法はじつに効果的だ。例えば、仏教の写経などは、文字の上手下手関係なく、見本の文字に従って書くだけで筆記が上達した気分になる。できない社員を教育する要領も同じで、精度の高い見本を提示することができれば、そこに向かって正しい努力ができるようになり、比較的短期間で教育効果が実を結ぶ。教育効果を高めるには、譜面だけではなく完成見本を示す演奏の音源を聴かせる、或いは、レシピだけでなく完成見本を示す実際の料理を食べさせる、はたまた、型絵だけでなく完成見本を示す演武を見せる、といった創意工夫が必要なのだ。見本となり得る教育教材が充実すると、できない社員の教育効率が高まり、自ずと、教育の手間と苦労が軽減される。効果的教育手法「動画の活用」できない社員を育てるうえで「動画の活用」もじつに効果的だ。例えば、新人教育の風景を動画に収め、その動画を教育教材として活用すると、教育にかかる時間を相当短縮できる。一度、動画教材を作成してしまえば半永久的に活用できるし、スマホ等でどこでもいつでも閲覧できるので、覚える方も自分のペースでいつでも復習することができる。また、動画による作業マニュアルは紙面よりリアリティーがあり再現性に富んでいるので、教育教材として活用すると教育の効率がみるみる上がる。さらに、教え方のマニュアルにもなるので、教える側の教材としても有効に活用できる。動画による教育教材は、教える側、教えられる側、双方に教育メリットがあるのでおススメの方法だ。
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  • できる社員の育て方をマスターする|社員の自主性と責任感を高める方法
    できる社員の育て方をマスターする|社員の自主性と責任感を高める方法できる社員の育て方は、社員の自主性と責任感の双方を育てることがポイントになる。なぜなら、社員の自主性と責任感を育てないと、自らの考えで行動することができない「指示待ち社員」という残念な結果が待っているからだ。社員の自主性の育て方は、難しくない。お伺いを立てるときに「必ず自分の意見を述べること」を習慣化するだけで、社員の自主性が高まり、自然とできる社員に育つ。例えば、「これは、どうしたら良いですか?」という聞き方はNGになる。できる社員を育てるには、「これを、このようにしたいのですが、宜しいですか?」というように、常に自分の意見を述べる習慣を徹底させることが大切だ。経営者が率先して社員の意見を先に聞くことを意識すると、段々、社員側も自分の意見を述べることに抵抗感がなくなり、徐々に自主性が高まっていく。そして、社員の自主性が立派に育つと、事に当たるたびに「自分ならどうするだろうか?」或いは「自分ならこうする」というように、常に自分の意見を考えることができる、思考力の高いできる社員に育つ。中小企業のなかには、社員の仕事に対して、事細かく指示命令している経営者がいるが、これでは社員の自主性が育つことも、できる社員が育つこともない。経営者自身が聞く耳を持って社員の自主性を引き出すことが、できる社員を育てる秘訣なのだ。社員の責任感の育て方とは?社員の責任感の育て方は、数字と期日の徹底にある。なぜなら、数字と期日が欠落した目標では、目標達成のための行動が非効率、かつ無責任なものになるからだ。例えば、「営業回数を増やして売上を伸ばしたいと思うのですが、宜しいですか?」という聞き方はNGになる。できる社員を育てるには、「〇月〇日から営業回数を2倍に増やして、〇月〇日までに売上を〇〇〇万円に増やしたいのですが、宜しいですか?」というように、数字と期日を徹底させることが大切だ。数字と期日があれば、社員は嫌でも目標を意識せざる得ないので、目標達成の行動が効率的になり、かつ目標に対する責任感も高まる。また、経営情報を開示することも、社員の責任感を育てるのに有効だ。例えば、売上から利益に至るまでの会社の数字の開示は、できる社員を育てるうえでの絶対条件になる。なぜなら、会社の数字の理解なくして、数字に対する意識も責任感も高まらないからだ。会社の数字の理解度が深まれば、間違いなく数字に責任を持つ、できる社員が育つ。逆に、会社の数字の理解度が浅ければ、利益意識やコスト意識が欠落した責任感のない社員になり易くなる。数字と期日を強く意識し、なお且つ、利益やコスト意識の高いできる社員を育てるには、経営情報を開示することが大切だ。
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  • 成果主義のメリット・デメリット|成果主義はデメリットだらけ!?
    成果主義のメリット・デメリット|成果主義はデメリットだらけ!?成果主義とは、社員が上げた成果を基準に、昇進や昇給などを決定する人事評価制度のことだ。勤続年数や年功、或いは、学歴や経歴に関係なく、業績への貢献度、つまり、成果の高低に応じて昇進や降格が決まるのが成果主義最大の特徴である。この記事では、成果主義のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。成果主義のメリット・デメリット成果主義のメリットはさほどない。せいぜい、高い成果を上げることができる社員にとってのモチベーションの支え、或いは、成果を出す社員と成果を出さない社員の人件費を適正に配分できる、というメリットぐらいである。社員ごとに独立採算の仕組みが導入されていて、なお且つ、個人プレー主体の活動で成り立つビジネスモデルであれば、成果主義のメリットが活かせるだろうが、そのような会社は現実的には殆どない。一方、成果主義のデメリットはたくさんある。例えば、成果主義は、社員が成果を上げることを前提にしているので、会社の業績が伸び悩むと途端に機能不全に陥る。中小企業の場合、努力の割に業績がついてこないことは往々にしてあり得ることで、業績が上がらない状況下で成果主義を押し通すと、社員全員の努力がすべてゼロ評価(或いはマイナス評価)になる。これでは、かえって社員のモチベーションが下がり、業績悪化のスパイラルを生み出しかねない。また、会社の業績に連動しない管理部門で働く社員など、合理的成果測定ができない社員に対しても成果主義は機能しない。まだまだある成果主義のデメリット成果主義のデメリットはまだまだある。例えば、個人プレーの蔓延、スキルの偏り、中長期目線の欠落などは、会社の衰退リスクを高める成果主義の見逃せないデメリットになる。個人プレーの蔓延は、成果主義の定着と共に症状が酷くなる。成果を上げた社員だけが評価されるようになると、自分だけが良ければそれで良いという考えを持つ社員が増えて、個人プレーが蔓延する。個人プレーが蔓延すると、成果を上げるための貴重な情報やノウハウが一部の社員に独占されるデメリットが生じる。情報は共有されてはじめて社員の能力向上、しいては、会社の業績向上に活かされるので、情報の共有を阻害する成果主義のデメリットは計り知れない。また、成果主義が定着すると、成果を上げる小手先の技能スキルだけが磨かれて、思考力やコミュニケーション力などの社会全般で通用する万能スキルが欠落してしまう。(万能スキルについて当サイト内の「能力開発に役立つ人事評価の基準」で詳しく解説している)つまり、社員の能力開発が一定レベルで停滞するといったデメリットも招いてしまうのだ。社員の能力が伸び悩むと、決まって業績も低迷するので、成果主義のデメリットは極めて大きいといえる。この他にも、人間関係の悪化、チャレンジ精神の低下、ストレス環境の悪化、不正の助長、など等、成果主義のデメリットはまだまだある。多くの中小企業にとって、会社の業績低迷を招くさまざまな弊害(デメリット)を生み出す温床になり得る成果主義は、殆ど使えない人事評価制度といっても過言ではない。成果主義は衰退リスクを高めるデメリットもある成果主義は将来の衰退リスクを高めるデメリットもある。なぜなら、成果主義が定着すると会社全体が目の前の成果を上げることに気を取られるので、自ずと短期的視点に帰着してしまい、中長期的視点が欠落するからだ。当然ながら、中長期的視点が欠落すると、将来の経営課題や脅威を見逃すリスクが飛躍的に高まる。経営課題や脅威を見逃すと、たとえ業績好調な会社であっても、あっさり衰退することがある。これまでの解説でも分かりの通り、成果主義はメリットよりもデメリットの方が圧倒的に多く、事実、成果主義を導入後に大幅な見直しや撤廃した企業は数多にある。会社経営において成果を上げることは必須だが、業績結果一辺倒の成果主義に走るのは危険だ。成果を上げるための能力開発やプロセスを評価する仕組みに力を入れた方が、継続的に高い成果を上げる優秀な社員が育つ。伊藤のワンポイント成果主義のデメリットは沢山ありますが、一番怖いのはモラルの低下です。業績さえ上げれば報酬が上がるとなると、モラルが低下し、場合によっては法律違反スレスレ、或いは、違法行為に手を出す社員が現れます。こうしたモラルの欠如が外部に漏れると、どんなに儲かっていようが会社はあっさり衰退します。
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  • 360度評価のメリット・デメリット|360度評価はデメリットだらけ!?
    360度評価のメリット・デメリット|360度評価はデメリットだらけ!?360度評価とは、上司・同僚・部下など立場の異なる複数の評価者が評価対象者の人事評価を行う人事評価制度である。360度評価を行うと、社員の人物像を多面的に捉えることが出来るので、上司が見抜けない部下の欠点、或いは、経営者が見抜けない上司の欠点などが明らかになることがある。この記事では、360度評価のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。360度評価のメリット・デメリット360度評価を行うと、社員の人物像を多面的に捉えることが出来るので、経営者が普段見抜けない上司や部下の長所や欠点などが明らかになることがある。上司と部下の関係改善や、部下と上司、双方の能力開発に役立つなど、360度評価には一定のメリットがあるが、デメリットの方がはるかに大きい。なぜなら、360度評価の評価基準は、すべて主観によるものだからだ。気分や好き嫌い、或いは、口裏合わせや個人攻撃といった主観的要素が評価基準に入ると、正しい人事評価はできない。場合によっては、全評価者の視点のバラツキがもとで整合性が全く取れない人事評価結果が出るデメリットもあり得る。また、甘い上司やゴマすり部下が高く評価されて、厳しい上司や意見を持っている部下が低く評価されるデメリットもあり得る。匿名性が担保されていなければ、人間関係の悪化を招くデメリットもある。さらに、中小企業は、最終評価者が経営者か役員になると思うが、360度評価をひとりの社員に対して評価者5名で行えば、社員数×5人の評価内容を精査する必要があるので、作業量が膨大になるデメリットもある。このように、360度評価は、メリットよりもデメリットの方が多く、人材育成や組織力向上に殆ど役立たない。360度評価よりもおススメの人事評価制度360度評価最大のデメリットは、客観性に乏しく、正しい人事評価結果が出せない、ところにある。やはり、社員を正しく評価するには、主観ではなく客観性に富んだ絶対基準が欠かせない。会社が求めている人材像を明確に表した絶対基準を掲げることなく360度評価を行っても、自己満足とデメリットを生み出すだけだ。そもそも、社員数がさほど多くない中小企業の場合は、費用対効果が極めて悪い360度評価をやるメリットは殆どない。360度評価よりも、全社員に共通で使える絶対基準を構築し、経営者が先頭に立って社員を丁寧に育成した方が数倍効果的だ。なお、絶対評価の作り方は当サイト内の「絶対評価と相対評価、人材育成に適した人事評価はどっち?」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。360度評価の代替になる匿名アンケート多面的に会社の問題点を発掘したいのであれば360度評価を行わず、匿名アンケートを定期的に実施した方がはるかに効果的である。360度評価の代替になる匿名アンケートの質問事項は次の5つが有効だ。☑会社をさらに良くするために伸ばすべき良い部分はどこか?☑会社をさらに良くするために修正すべき悪い部分はどこか?☑取引先や顧客、パートや社員の不満を見逃していないか?☑法律違反、不正行為、隠ぺい行為はないか?☑その他(自由記入)社員に匿名性の高いメールアドレスを作ってもらい、期日を設けて会社の代表メールに匿名アンケートを募集すれば、360度評価に頼らずとも、会社の問題点を簡単に発掘することができる。アンケート結果を集計し、大多数が指摘した問題点や少人数であっても顧客等の不満や違法行為等は大きな問題として取り上げる、一方、少人数が指摘した問題点や個人攻撃は受け流す、というような要領で仕分けを行えば、会社の業績を伸ばすためにすべきことが明快になる。伊藤のワンポイント小さな会社に360度評価を導入しても、まともに機能しません。それよりも、絶対評価を導入して、人財育成の効率を上げた方が効果的です。また、問題社員を生み出さないために、経営者が率先して現場の社員と交流し、色んな意見をすくい上げる、風通しの良い組織環境を整えることも大切です。
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  • 社員満足度を高める取り組みと調査方法|社員満足度の高い企業はここが違う
    社員満足度を高める取り組みと調査方法|社員満足度の高い企業はここが違う企業は人なりの言葉通り、社員満足度の高低は、会社の業績に大きな影響を及ぼす。例えば、会社に不満を抱く社員をひとりでも放置すると、時を待たずして他の社員へも不満が伝播し、加速度的に組織力が低下することがある。一度、低下した組織力を回復させるには、問題社員の解雇など大掛かりな改革が伴うので、日頃から社員満足度に気を配り、社員満足度を上げる取り組みを推進することが欠かせない。この記事では、社員満足度を高める取り組みと社員満足度の調査方法について、詳しく解説する。社員満足度とは?社員満足度とは、社員が会社で働くことに対しての満足度を計る指標である。社員満足度は、組織力に直結するので、会社の業績に大きく影響を及ぼす重要な指標といえる。事実、社員満足度を追求しているヒト重視の企業ほど、好調な業績をキープしている。逆に、倒産の危機に瀕するような企業は、社員の不満が会社に蔓延していて、社員満足度が極めて低い傾向にある。会社が社員満足度を高めるには相当な気遣いと苦労を要する。なぜなら、働くということは、しんどいことや、辛いことを経験するということだからだ。また、人間には喜怒哀楽という感情があるが、喜びと楽しさといったプラスの感情が一瞬で萎むのに対して、怒りや哀しみといったマイナスの感情は長く尾を引く特徴を持っている。当然ながら、ひとたび、会社が社員に対してマイナス感情(不満等)を与えてしまうと、そのマイナス感情を払しょくするのも、社員満足度を高めるのも、極めて困難な状況に陥ってしまう。社員満足度を高めるには、社員に対して極力マイナスの感情を与えず、なお且つ、苦しみの先へ希望を実現する経営者の姿勢が不可欠になるのだ。社員満足度を調査する方法社員満足度の調査はなかなか難しい。なぜなら、不満と満足の基準は社員の主観で決まるからだ。従って、社員満足度を調査する場合は、社員が客観的基準で満足度の評価ができるように、会社側から社員満足度を測定するための項目を提供しなければならない。社員満足度を調査する際の項目は「将来の不安、生活の不安、雇用の不安、会社の姿勢、会社の文化や風土、能力開発の姿勢、能力活用の姿勢、やりがい、風通し、モチベーション、上司部下同僚との人間関係、肩書、報酬」など等の項目を段階評価させると、数値という合理的評価で社員満足度を把握することができる。また、社員満足度の調査を社内で行う場合は、匿名アンケートや第三者を活用しなければ社員の本音を捉えることは出来ない。なぜなら、同じ会社内の上司に対して本音(経営者や上司の問題)をさらけ出す社員など、殆どいないからだ。例えば、社員満足度の調査担当が自分の上司だった場合、「わたしの不満足の原因はあなたです」と面と向かって上司に本音をぶつける社員はいないだろう。従って、社員満足度の実態を捉えるには、匿名アンケートや利害関係のない第三者を活用しなければならない。当たり前だが、社員満足度の実態が反映されていない調査結果をベースに改善に取り組んでも、社員満足度が高まることはない。社員の本音をいかに客観的に捉えるかが、社員満足度調査の重要なポイントなのだ。社員満足度を高める取り組み社員満足度を高める取り組みで最も大切なのは社員とのコミュニケーションである。なぜなら、社員が会社に不満を抱く最大の理由は、経営者、或いは、上司との関係悪化だからだ。殆どの社員にとって、肩書や報酬に対する不満は小さな問題である。過去に1,000名を超える中小企業の社員面談を行ってきたわたしの経験からも、社員が抱いている不満の最大の原因は、経営者とのコミュニケーション不足にあると断言できる。社員とのコミュニケーションを深めるうえで大切なことは、社員を理解し、社員に目線を合わせることである。ラジオの電波も合わせなければ向こうの声が聞こえないように、コミュニケーションも相手に合わせなければ本音を捉えることはできない。相手に合わせることが上手なコミュニケーションの秘訣なのだ。こちらの論理や価値観を押し付けることなく、社員とコミュニケーションを深めていくと、全く違う知識や考えを持った人との対話が活発になり、社員の成長や進歩が生まれ、社員満足度が自然と高まる土壌が整っていく。社員とのコミュニケーションが円滑に進んでいる限り、社員満足度が低下することはそうそう起こり得ない。もしも、経営者がしっかりコミュニケーションをとっているにも関わらず、社員満足度が上がらない社員がいる場合は、その社員は、この会社(会社の理念や社長の方針)に向いてない可能性が高い。その場合は、なるべく早く転職を進めた方が良い。なぜなら、社長と別の方向を向いた社員に良い仕事は期待できないし、社長の方針に従わない社員を放置するほど、組織全体に不満が蔓延するからだ。こうした判断も社員満足度を高める取り組みになるので、是非とも、日頃から注意深く社員とのコミュニケーションを深めてほしい。プラスの感情を与えて社員満足度を高める方法社員満足度を高めるために経営者が社員に対してプラスの感情を与える方法も有効だ。例えば、忘れられない感動や良い思い出などは、プラスの感情として残りやすく、社員満足度を高める効果がある。具体的な取り組みとしては、社員旅行やサプライズイベントなどだ。ただし、喜怒哀楽の喜楽に該当するプラスの感情は持続しない特徴があるので、よほどの感動を与えない限り、効果が長続きすることはない。また、この方法は、社長の技量やセンス、或いは、社員の好みによって期待する効果が得られないことがあるので万能ではない。社員満足度を高めるために社員にプラスの感情を与える方法として万能かつ効果的な方法は、普段の何気ない経営者の優しさである。例えば、ありがとうや大丈夫などの何気ない声掛けや、ちょっとした差し入れなどは、どんな経営者でも実践でき、なお且つ、社員に対して持続的にプラスの感情を与えることができる。社員に対するプラスの感情は、太く短くではなく、細く長く与え続けることが社員満足度を高める秘訣なのだ。社員満足度を上げる取り組みと調査方法のまとめ社員満足度の高低は、会社の業績に大きな影響を及ぼす。例えば、会社に不満を抱く社員をひとりでも放置すると、時を待たずして他の社員へも不満が伝播し、加速度的に組織力が低下する。社員満足度を高める取り組みと社員満足度の調査方法について詳しく解説したが、社員満足度を高めるためには、経営者の姿勢が最も重要なポイントになる。なぜなら、会社のトップである経営者の姿勢は、社員に伝染するからだ。例えば、経営者がネガティブ思考の人間だと、社員もネガティブになり、陰湿で不満の多い、暗く自信がない社員が増えやすくなる。一方、経営者がポジティブ思考の人間だと、社員もポジティブになり、少々の不満を吹き飛ばす明るく自信に満ち溢れた社員が増えやすくなる。社員満足度を追求しない会社に明るい未来はない。社員が求めているのは、社員満足度を追求し、社員の明るい未来を実現する経営者だ。伊藤のワンポイント社員満足度は会社経営を左右する重要な要素です。社員とのコミュニケーションを充実させて社員の不満を捉え、その不満を解消する努力が満足度を上げる確かな方法です。また、絶えず社員に感謝すること、謙虚に接することも、社員満足度を高める、或いは、社員満足度をキープする秘訣になります。
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  • インセンティブで社員のモチベーションは上がらない!?|インセンティブ制度を徹底解説
    インセンティブで社員のモチベーションは上がらない!?|インセンティブ制度を徹底解説インセンティブ(incentive)とは、ある行動に向かわせるための刺激誘因のことで、主にある行動の成果に対して支払われる金銭的報酬のことをいう。インセンティブ制度とは、企業が設定した目標を超えた場合に、通常の基本報酬とは別に支払われる報酬制度のことで、多くは、目標達成のための動機付けとして運用されている。この記事では、インセンティブ制度の基本概要からインセンティブがモチベーションに与える影響、及び、インセンティブ制度の効果的活用法に至るまで、詳しく解説する。インセンティブ制度の特徴インセンティブ制度の主な特徴は、仕事のプロセスではなく、仕事の結果(数値)だけを報酬支払いの評価対象にしている点にある。インセンティブ制度の導入は投資銀行や外資系企業に多いが、日系企業であっても、営業職を対象に導入している事例がある。例えば、会社側が設定した目標を達成した見返りに、その担当者に対して金銭や株式などのインセンティブが支払われることは良くあるケースだ。インセンティブは、仕事の結果に対して直接的に報酬が支払われるので、社員の生産性やモチベーション、或いはパフォーマンスを高める効果があると云われていて、成果主義をメインに運用している企業には概ね適している。歩合制やボーナスもインセンティブなのか?インセンティブと似ている報酬制度に歩合制やボーナスがあるが、この二つは、報酬の性格も運用目的も違いがある。インセンティブ制度と歩合制、並びに、インセンティブとボーナスとの違いについて、それぞれ詳しく解説する。インセンティブと歩合制の違い歩合制とは、1個販売当たり○○円というように、1個毎に報酬金額が設定される報酬制度で、分かりやすく例えると、報酬のバラ売りである。会社側としては、販売実績に関係なく1日分の人件費を固定で支払うより、販売実績に合わせて相応の人件費を細かく支払った方が都合よくコスト管理ができるメリットがある。つまり、歩合制は、会社側の都合で設計された報酬制度であり、社員の生産性やモチベーション、或いはパフォーマンスを高めるために支払われるインセンティブとは性格も目的も全く違う報酬制度なのだ。ちなみに、すべての報酬が歩合制で支払われる完全歩合制という報酬制度もあるが、労働者に対する賃金保障が労働基準法で定められているため、原則、一般社員に完全歩合制が導入されることはない。従って、完全歩合制の運用は、個人事業主や企業間に限られる。インセンティブとボーナスの違いボーナスとは、会社の業績に応じて、通常の基本報酬とは別に支払われる全社員対象の臨時報酬制度である。会社の業績に応じて支払われる報酬金額に差は生じるものの、原則、同一部署、同一階級、同一役職であれば、支払われる報酬金額に大きな差は生じない。ボーナスは、あくまで全社員(組織)の頑張りに報いる臨時報酬であり、個人成績を根拠に、個人に直接支払われるインセンティブとは報酬の性格も運用目的も違う。インセンティブで社員のモチベーションは上がるのか?中小企業において、インセンティブ(報酬)で社員のモチベーションを吊り上げる方法は有効か否か、そもそも効果はあるのか?答えは、殆どない、或いは、短期的効果しか得られない、である。なぜなら、全社員がインセンティブを享受できる環境を作ることは不可能だからだ。インセンティブは数値目標を対象にするので営業職に限定される。さらに、営業職のなかでも、インセンティブの恩恵に預かれるのは、上位2割の優秀なハイスペック人材に限られる。従って、ほかの営業スタッフや、営業部隊を支えている経営部隊や管理部門のスタッフはインセンティブの恩恵に預かれず、インセンティブ制度が不平不満やモチベーション低下の原因になりかねない。また、人間の金銭的欲望には際限がないので、インセンティブ(報酬)だけで社員のモチベーションを持続するのは、どだい無理がある。そもそも、中小企業の社員で、インセンティブ(報酬)に不満を抱いている社員は稀だ。わたしの経験上、100人に1人いるかいないかのレベルである。また、結果重視でプロセスを評価しないインセンティブ制度は、社員のモチベーションを低下させるだけでなく、以下のような弊害を招く恐れもある。インセンティブ制度の弊害例☑違法行為を招きやすい☑社員のモラルが低下する☑一部の社員がノウハウや情報を独占する☑会社や社会のことを考えない、自己中心的な社員が増える☑組織の一体感や協力体制が崩壊する☑社員の気持ちがバラバラになり、組織のパフォーマンスが低下する☑報酬に対する不平不満が溜まり、社員のモチベーションが低下するインセンティブの効果的活用法と上手な使い方インセンティブ制度を闇雲に導入すると様々な弊害を引き起こし、会社衰退のきっかけを作りかねない。大切なのは、インセンティブの効果的活用法を理解し、上手な使い方をマスターすることだ。先ず抑えるべき点は、社員の報酬設計においてはインセンティブ制度を導入しないということだ。社員の報酬は、基本給とボーナスだけで設計した方が都合良く、中小企業の場合は、世間相場(地域相場)よりも報酬が少し多ければ、殆どの社員は報酬に大満足する。そして、インセンティブ制度は、数値結果に対応する報酬として運用するのではなく、数値結果とはまったく無関係の領域で活用するのが効果的だ。例えば、次のようなインセンティブ制度の活用は、社員のモチベーション向上や業績向上に一定の効果が期待できる。インセンティブ制度の効果的活用法☑読書を月○○冊達成で○○円のインセンティブ支給☑地域活動1件参加毎に○○円のインセンティブ支給☑ボランティア1件参加毎に○○円のインセンティブ支給☑新商品アイデア月○○件達成で○○円のインセンティブ支給☑経営改善提案を月○○件達成で○○円のインセンティブ支給☑社員へのサンクスカード月○○件達成で○○円のインセンティブ支給上記例は、一見して、すぐには会社の業績に結びつかないインセンティブ制度だが、長期的に運用することで社員教育の効果が得られ、最終的に、組織力と業績が向上する。インセンティブ制度は活用次第で、一定の効果が期待できる報酬制度でもあるのだ。インセンティブ制度のまとめインセンティブ制度とは、企業が設定した目標を超えた場合に、通常の基本報酬とは別に支払われる報酬制度のことである。インセンティブ制度は、仕事のプロセスではなく、仕事の結果(数値)だけを報酬支払いの評価対象にしているので、短期間で結果が出るチームプロジェクトが多い投資銀行や外資系企業には向いているが、一般的な中小企業には不向きな報酬制度である。例えば、インセンティブ制度を闇雲に導入すると様々な弊害を引き起こし、会社衰退のきっかけを作りかねない。中小企業にインセンティブ制度を導入する場合は、経営改善提案やボランティア活動に対するインセンティブなど、数値結果とはまったく無関係の領域で活用するのが効果的だ。伊藤のワンポイント中小企業においては、業績結果に対するインセンティブ制度は殆ど役立ちません。社員の報酬は世間相場より少し高めを実現し、人間力やビジネススキルの向上に役立つ行動に対してインセンティブ制度を運用した方が良いです。この場合のインセンティブは、金額が些少でも、図書カード等の景品でも効果的です。
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  • 無責任な人の特徴と心理|なぜ無責任な上司・社員・同僚・企業が生まれるのか?
    無責任な人の特徴と心理|なぜ無責任な上司・社員・同僚・企業が生まれるのか?会社の中に無責任な人間が一人でも存在すると、生産性が著しく低下する。さらに、社長や上司など、上の階層の人間が無責任になるほど、企業全体が無責任体質になり、会社の衰退が加速する。この記事では、無責任な人の特徴と心理、並びに、無責任な上司、社員、同僚、企業の対策について、詳しく解説する。無責任な人が生まれる原因無責任な上司、社員、同僚、企業は、なぜ生まれるのか?その答えは、無責任な人が無意識下で無責任な行動をとっているからに他ならない。無責任な人は、基本、自分が無責任な行動をとっていることに気が付いていないし、自分の言動の矛盾やズレにまったく気が付いていない。無責任な言動がもとで相手に迷惑や不快な思いをさせていることにも気が付いていないので、無責任な言動を自分自身で自覚・修正することもできない。こうして無責任な人は世間に野放しになり、無責任な上司、社員、同僚となり、総じて、無責任な企業を生み出すに至るのだ。無責任な人の特徴と心理とはわたしは経営コンサルタントとして様々な企業の経営者と交わり、社員に至っては数千名を超える数の個人面談をこなしてきた。その中には、無責任な経営者が数多にいたし、無責任な経営者や上司、或いは、同僚に悩まされている社員も数多にいた。例えば、業績責任を持たない経営者、失敗を部下のせいにする無責任な上司、周囲の足を引っ張る、或いは、周囲に迷惑をかける無責任な社員などは、決して珍しくない。私自身も会社経営の現場で無責任な経営者や社員に悩まされた経験があり、なぜ、無責任な経営者や社員が生まれるのか、無責任な人の特徴と心理は一体どんなものなのかを、折にふれ、考えてきた。次章で紹介する「無責任な人の特徴と心理の自己診断表」は、わたしの経験から無責任な人の特徴と心理をチェックボックス形式で紹介しているので、是非とも、参考にしてほしい。無責任な人の特徴と心理の自己診断表以下は無責任な人の特徴と心理の自己診断表である。当てはまる項目が多いほど、無責任な人(上司、社員、同僚)になっているということなので、客観的かつ冷静な眼で自己分析することをお薦めする。なお、無責任な言動は無意識下で行われているので、自己分析する場合は、普段から自分の言動を客観視している他人と二人一組になって、お互いの無責任な特徴や心理をチェックし合う方法が望ましい。無責任な人の特徴と心理の自己診断表☑ありがとうと素直に言えない☑ごめんなさいを素直に言えない☑現実(真実)を素直に受け入れない☑自分の幸せは他人が叶えてくれるものだと思っている☑自己保身の傾向が強く、責任が生じないような言動に徹している☑弱者に強く、強者に弱い☑プライドが高く見栄っ張り☑いざというときに頼りにならない☑約束を守らない(目標・指示・忠告に鈍感)☑態度が無礼(他人の愛情、ご恩、手助けに鈍感)☑見下されるのは大嫌いだが、他人を見下している☑弁解や言い訳が多く、自分を正当化する傾向が強い☑人を褒めるのが苦手だが、人のあら探しや批判はうまい☑良い結果は自分のせい、悪い結果は他人のせいという思考が強い☑愚痴や悪口が多く、泣き言が多いが、自分の立場が分かっていないので言動に矛盾が多く、さらに言動に一貫性がない☑自善他悪(自分は悪くなく他が悪い)、自己独善(自分独りが正しい)自己中心(周囲の都合は関係なし)、という前提の言動が多い無責任な人(上司・社員・同僚)が衰退原因になる無責任な上司、社員、同僚、企業が生まれる原因は、冒頭で説明した通り、無責任な人が無意識下で無責任な行動をとっているからに他ならない。そうした無責任な人が社会に出れば、上司、社員、同僚という立場で企業の組織体に属すことになり、万が一、経営者までもが無責任な人になると、企業全体が無責任体質になってしまう。当たり前だが、無責任体質が企業組織に根付いてしまうと、会社経営に様々な弊害を生み出す。例えば、問題の先送り、ご都合主義、目標なき行き当たりバッタリの会社経営、イエスマン天国、モラルの欠如、下請や取引先イジメ、など等、企業の成長発展を阻害する深刻な弊害が山積する。そして、企業の無責任体質を修正することなく突き進めば、企業は間違いなく衰退する。無責任な人(上司、社員、同僚)は治るのか?無責任な人(上司、社員、同僚)は治るのか?無責任な人を完全に治すのは難しいことだが、本人に無責任の自覚を促し、一定の責任感を持たせることは可能だ。但し、会社組織の階層毎にその難易度は変わり、無責任体質の治しやすさを階層毎に順位付けすると、同僚→社員→上司という順番になる。例えば、無責任な人が同僚だと、大概は、上下関係や利害関係がない間柄の他の同僚が様々な忠告をしてくれるので、当事者(同僚)が無責任体質を自覚し、修正することに困難が少ない。無責任な人が社員だと、上司が忠告してくれることになるが、上下関係が仇となって、無用な反発心や抵抗心を招く恐れがあり、万が一、双方に素直さが欠けてしまうと、当事者(社員)が無責任体質を自覚・修正することが困難になってしまう。無責任な人が上司だと、さらに難易度が上がり、企業のトップである経営者が忠告しない限り、当事者(上司)が無責任体質を自覚・修正することができず、治すのが一段と難しくなる。このように、無責任な人は、会社の階層毎ごと治しやすさが変わり、無責任な上司に至っては、なかなか治せないというのが実態である。無責任な人(上司、社員、同僚)に責任感を与える方法無責任な人(上司、社員、同僚)に責任感を与える方法はいくつかあるが、最も効果的な方法をふたつ紹介する。ひとつは、経営者の気遣い、もう一つは、感情の表面化、である。何れの方法も簡単に実施することができるので継続性を持ってトライしてみてほしい。経営者の気遣い中小企業において、会社の中の無責任な人(上司・社員)に責任感を与える役割りは、経営者をおいて他にいない。従って、経営者自身が、無責任な人を決して放置しないことが大切だ。無責任な人(上司・部下)を見つけた場合は、褒めて自信を高める、注意が見下すことにならないことを諭す、ありがとうや大丈夫などの声掛けを積極的にする、など等、細く長く、無責任な人に対する気遣い(フォロー)をし続けることが、無責任な上司や社員の責任感を高める秘訣になる。感情の表面化感情の表面化とは、御礼(ありがとう)と謝罪(ごめんなさい)の訓練のことである。全社員参加で、御礼と謝罪の発表を日課にすると、素直な心が育まれ、社員の責任感が自ずと高まる。感謝の気持ちを明文化するサンクスカードは大企業の職場でも導入されている手法で有名だが、サンクスだけでなく、ソーリーの気持ちも取り入れることが大切なポイントだ。
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  • 努力ができない時の対処法|成果を上げる努力の仕方・頑張り方
    努力ができない時の対処法|成果を上げる努力の仕方・頑張り方努力を積み重ねれば、目の前の成果が変わる。誰に言われなくても、考えれば分かることであり、努力すれば成果が出るのは当たり前のことである。しかし、こうした当たり前すぎる事ほど、無性に反抗したくなる時がある。例えば、目標が高すぎたり、気分が乗らなかったり、成果が出ないことが続いたりすると、努力すれば成果が出るなんて、軽々しく言わないでほしいと思ってしまう。あるいは、そもそも努力を継続できる人間は天才しかいないと、自分を卑下したり、努力の手を緩めたりする時もある。人間だから、たまには否定的な思考や批判的な言動に陥り、努力ができなくなることは致し方ないが、努力ができない状態が長続きすると、自分にも、周りにも良い事はない。どこかで切り替えないと、今まで積み重ねた努力が無駄になることだってあり得る。従って、努力ができなくなった時は、なるべく早く、前向きに努力ができるマインドを取り戻す必要がある。成果を上げる努力の仕方・頑張り方わたしの場合、努力の仕方を見失った時は、原点に立ち返るようにしている。最初から100点を取りに行く必要はない。今が100点満点の30点であれば、目の前の1点を取りに行けば良いと言い聞かせ、1点の努力をコツコツ積み上げる。他人よりも成果が劣っていようが、他人よりも努力のペースが遅かろうが、1点ずつ積み上げれば、いつかは100点になるさ、くらいの気楽さで、マイペースな努力の仕方にシフトする。アクセルベタ踏みの努力がしんどい時はスピードを緩める。でも、ブレーキは決して踏まずに、少しでも前進する。他人よりも1年遅れを取ったのなら、1年長生きすれば良い、など。こんな心持ちで目の前の課題や苦難に向き合うと、努力することがずっと楽になる。どんな境遇からでも成果を出せる人は、どんな時でも努力ができる人である。目の前の1点を取りに行く努力がしんどければ、0.1点でも0.01点でも良いと思う。一番大切なことは、成果や可能性を諦めずに、小さな努力をコツコツ積み上げることである。
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  • 成長する人に共通するたった一つの特徴|伸びる人財の生き方・在り方
    成長する人に共通するたった一つの特徴|伸びる人財の生き方・在り方成長する人と成長しない人の差は、日頃の生き方・在り方にある。成長する人の特徴は、素直、謙虚、前向き、プラス思考、など等、沢山あるが、成長する人には共通する特徴がある。この記事では、成長する人に共通するたった一つの特徴、並びに、伸びる人財の生き方・在り方について、詳しく解説する。成長する人の特徴成長する人に共通するたった一つの特徴は「やる気が高い」ということだ。やる気は成長の源泉になり、やる気が高いほど、成長のスピードが加速する。それでは、やる気のある人の特徴は一体何か。社員のやる気を人事評価の基準にしている会社は殆どないので、明確に答えられないかも知れないが、答えは簡単である。やる気のある人の特徴は、心が豊か、プラス思考、変化への耐性が強い、自己依存(自分に原因がある)、自己奮起(自分を奮起させる)、自己責任(他人のせいにしない)、自己評価(陰で自己努力できる)などである。簡単にいえば「素直で、謙虚で、前向きな人」がやる気に満ちた人財であり、成長する人の典型ということになる。成長する人が生み出す成果成長する人は例外なくやる気に満ち溢れている。素直で謙虚で前向きなので、やる気のある人に課題を与えると「はい分かりました。やってみます!!!」という元気の良い返事がすぐに返ってくる。「でも、しかし、それって、、、」など等の否定的な言動はなく、言われたことに誠実にトライする。何もやらないうちから諦めるようなことはせず、障害があっても乗り越えようと努力する。決して、他人のせいにするようなことはせず、誰も見ていないところでも努力する。心が明るく、プラス思考で、変化への耐性が強いので、どんどん進化し、月日が経つほどに成長する。まさに、やる気は成長の源泉になるが、こうした、やる気の高い人財は会社の宝であり、会社の成長をけん引する強力なエンジンになる。しかも、エネルギー源が自己内にあるので、素晴らしくエコで、極めて高い生産性を発揮する。さらに、やる気の高い人財の成長スピードは極めて早く、たとえ少数でも、掛け算の効果で、考えられないほど大きな成果を生み出す。成長しない人の特徴成長しない人の特徴は、すべてにおいて成長する人の真逆になる。やる気がなく、卑屈で、傲慢で、後ろ向きである…。与えられた課題を批判する。障害が見つかると投げ出す。うまく行かないと他人のせいにし、他人が評価することしかやらない。心が貧しく、マイナス思考で、変化への耐性が弱いので、進化することなく、月日が経つほどに周囲から後れをとる。やる気の低い人材は会社の足を引っぱる存在になる。しかも、エネルギー源が自己外にあるので、周囲のエネルギーを恐ろしく消費する。やる気のない人材は、たとえ少数でも、引き算の効果で、考えられないほど生産性に悪影響を及ぼす。そして、やる気が低下するほど、周囲の衰退(退化)を加速させる。成長しない人を成長させる方法成長しない人を成長させるには、組織全体のやる気を高めることが絶対条件になる。なぜなら、組織全体のやる気さえ高めれば、人も、会社も、勝手に成長するからだ。そして、会社においては、社長のやる気が社員のやる気を高め、会社の生産性をけん引するので、社長自身のやる気を高める努力が欠かせない。つまり、社長が率先して、素直に、謙虚に、前向きに生きることが、成長しない人を成長させる確かな方法になる。
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  • 幹部候補の条件|経営幹部・側近右腕の育て方
    幹部候補の条件|経営幹部・側近右腕の育て方幹部候補とは、将来的に会社の重要な役職に就き、大きな成果を出すことを期待されている人財のことである。中小企業においては、後継者、役員、側近、右腕なども幹部候補の範疇に入り、幹部候補の有無でその会社の成長が決まるといっても過言ではない。この記事では、幹部候補の条件、並びに、経営幹部・側近右腕の育て方について、詳しく解説する。幹部候補の条件幹部候補の条件は、ワークスキルやビジネススキルに長けているだけでは物足りない。中小企業においては、誰よりも情熱的に会社と社長を支える人間力が必須であり、局所的な働きだけでなく、全体を俯瞰する大局観も持たなければならない。なかでも、目の前の今ココに一所懸命取り組むことと、会社の長所短所を俯瞰で明確に捉えるスキルは必須と言える。例えば、局所的な目の前の仕事・役割り・顧客に対して誠心誠意ベストを尽くす人財は、会社・上司部下・顧客から愛されるので幹部候補に適任である。また、大局観を持って全体を俯瞰し、どこが強みで、どこが弱みなのかを明確に把握できる人財も、トップに立って改革を推進する幹部候補に適任である。局所的な一所懸命さは他者を魅了し、全体を俯瞰する大局観は会社の未来を明るくする。言ってみれば、この二つの才能資質は経営幹部の必須条件と言っても良いだろう。経営幹部の育て方経営幹部の候補社員は、なるべく早く抜擢して育て上げた方が良い。鉄は熱い内に打てという言葉通り、とにかく積極的に責任が伴う役割りやポストを与えることが有効だ。但し、相応の力量が身につくまでの結果責任は社長が背負い、幹部候補の伴走者としてしっかりフォローし続けることが肝要になる。幹部候補の年齢が若いことに対する社内の反発がある場合は、社長が丁寧にフォローし、社内の反発を抑え、とにかく、幹部候補が才能を如何なく発揮できる環境を整えることが社長の務めになる。また、ポストを与えた後に、そのポストに相応しい働きができなかった場合は、サッと降格させることも必要で、この場合は、然るべき力量が身についてから再アタックさせることで、前にも増して魅力的な経営幹部に育てることができる。経営幹部が繁栄をけん引する有能な経営幹部(右腕)が配置されている会社は間違いなく伸びる。5億、10億、100億の壁も、経営幹部や側近・右腕の力量次第でどんどん乗り越えることができる。まだまだ身内至上主義の中小企業は多いが、これからの時代は、人財の多様性、外部人財の活用、有能な人財の抜擢等を積極化しないと、生きて行くのが難しくなる。お金と人財は使いようだ。将来の幹部候補が社内に埋もれていないか否か、時おりチェックすることをお薦めする。
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  • 後継者育成の計画と仕組み作りのポイント|中小企業編
    後継者育成の計画と仕組み作りのポイント|中小企業編後継者育成が不十分な状態で、後継者に事業を承継すると、比較的短期間で業績が悪化し、会社が衰退する。後継者の経営能力不足に伴う事業衰退の法則は、過去の歴史を振り返っても分かる通り、大企業であろうと、中小企業であろうと、結果は同じである。この記事では、中小企業の後継者育成の計画と仕組み作りのポイントについて、詳しく解説する。後継者育成の計画と仕組み繰り返すが、後継者の能力が不十分な状態で経営をバトンタッチすると、高確率で会社が衰退する。つまり、後継者育成の計画と仕組み作りの精度が、会社の未来を決定づけるのだ。後継者育成の計画は、現役社長が引退する10年前から始めるのがセオリーだ。また、同族会社の中小企業の場合は、帝王学(後継者としての全人的教育)に基づいた後継者育成が成功の秘訣になる。この場合は、経営者と番頭(経営者の右腕として会社を取り仕切る人財)の教育スキルが高いほど、後継者育成の成功率が上がる。つまり、経営者と番頭の力量で企業寿命が決まる。同族企業ではない、或いは、帝王学を施せない場合は、後継者に大企業経験を十年程度積ませて、社会、経済、人脈、経営の仕組みを幅広く勉強させ、一定のビジネス感覚を養ったうえで、後継者育成の計画を立てるのが良いだろう。後継者育成成功の仕組み|後継者編後継者育成を成功に導くうえで、後継者が注意すべき点は、社長の座に就く前に勉強できることは全て勉強することだ。社長の座に就くと経営の勉強に充てる時間が殆どなくなるので、いかにして社長就任前に幅広く経営の知識を身につけるかが、後継者育成成功のカギとなる。例えば、先代の経営理論、会社の数字、商品特性、顧客特性、事業の強みと弱み、社員の性格や力量、現場の苦労や問題点などの知識は必須で、先代への感謝や尊敬の念を強く持つことも大切だ。また、積極的に自分を変える作業を推進することも不可欠で、例えば、自分の考えを変えて先代の価値観に合わせる、自分の階層や業務分野を変えてヒューマンスキル(人間力)を高める、自分の責任範囲を変えてトップの責任感覚を身につける、といった変化を進んで求める作業は、後継者育成を成功に導く重要なポイントになる。さらに、社長業に役立つ資格を取得することもお薦めする。例えば、民法全般、特にビジネスの権利義務の法律理論が身に付く「宅地建物取引主任者」と会計の基礎知識が身に付く「日商簿記二級」の資格取得は、中小企業の社長業に活かせるのでお薦めだ。後継者育成成功の仕組み|現役経営者編後継者育成を成功に導くうえで、後継者に事業を承継する現役経営者が注意すべき点は、後継者の経営能力を見極めることだ。特に、同族経営の中小企業の場合は、後継者の経営能力如何で衰退する会社が数多にあるので、注意してほしい。また、後継者育成は最低10年かかると思って、事前に育成計画を立てること、加えて、自身の経営能力がピークを維持している内に後継者育成の計画を始動することも大切だ。当然ながら、社長自身が自分の経営能力の衰えに気が付いてから後継者育成を始めたのでは、時すでに遅しで、会社も落ち目になりやすくなるし、後継者育成も事業承継もうまくいくものではない。さらに、後継者に事業を承継した後も、会長-社長という体制で後継者育成をする時間の確保も欠かせない。伊藤のワンポイント後継者育成は最高経営責任者である次期社長を決める仕事ですから、経営者にとっては一世一代の大仕事です。後継者育成は一朝一夕では済みません。会社の業績も経営者としての力量も調子の良い時に始め、相当な育成期間を念頭に進める必要があります。また、後継者の側も、相当な覚悟を決めて臨む必要があります。
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  • 社員のリストラは最悪の方法|社員に感謝し大切にする会社が発展する
    社員のリストラは最悪の方法|社員に感謝し大切にする会社が発展する昨今は、社員のリストラが普通の経営采配として見受けられるようになった。特に大企業のリストラは珍しくなく、ある年にリストラを断行した日本国内の上場企業は30社弱、対象者は1万人強というデータも残っている。この記事では、社員のリストラのデメリットと共に、社員に感謝し大切にすることでリストラを回避する方法について、詳しく解説する。社員のリストラは最悪の方法企業再建の現場では、会社の存続を守るために致し方なく社員のリストラをせざる得ない場合があるが、これはあくまで最終手段に過ぎない。社員の生活の糧(生計)を脅かすリストラは、社員にとってみれば最悪の方法であり、リストラを免れて会社に残る社員にとってもモチベーションを下げるきっかけになり得る。経営者の本来の務めは、社員のリストラをしなくて済むよう日頃から健全経営を心掛け、社員が安心して最期まで働ける環境を確立するところにある。この姿勢がおざなりになると、社員の気持ちが会社から離れ、次第に仕事のパフォーマンスが低下し、業績悪化のスパイラルに陥り易くなる。そして、万が一、業績悪化のスパイラルに陥ると、社員のリストラという最悪の方法を選択せざる得ない状況に追い込まれる。リストラのない終身雇用のメリット終身雇用に異を唱える経済学者は少なくないが、日本企業の終身雇用が崩壊した時に、諸手を挙げて喜んだのは欧米諸国の企業家達だった。これで日本企業(日本経済)は弱体化する、と。結果は、歴史を見れば明らかだが…。リストラのない終身雇用のメリットは、マンパワーが最大化されることだ。理知的な教育メソッドや社員の感情(モチベーション)を牽引する経営者のリーダーシップ等は必須だが、組織が社員の成長を後押しし、成長した社員が組織に知的財産を還元して定年を迎える組織構造は、マンパワーが最大化される良くできた仕組みだった。社員が育てば、組織力と共に業績も上向くので、経営基盤は益々盤石になる。団結力、機動力、開発力、発明力、愛社精神、知的財産など等、一朝一夕では確立できないかつての日本企業が世界に誇れる強みは終身雇用が源泉だったのだ。終身雇用が崩壊しリストラが横行した原因終身雇用が崩壊しリストラが横行した最大の原因は、健全な会社経営が確立できなかったことに尽きるが、あまりに理知的(主に知識や数字)な経営采配に傾き過ぎた事も原因として考えられる。人間は感情に惹かれる生き物なので、理屈っぽくなるほど白ける。例えば、組織において、肩書などの序列、或いは、数字や知識等の理屈を掲げても社員は本心から従うことはない。社員は理屈に従うのではなく、あくまで上に立つ人間の感情(熱意、責任感、リーダーシップ等)に従う。つまり、経営者の感情量が豊富なほど、社員は会社のために働き、仕事の中から生きがいを見出し易くなる。理屈ではなく、感情の交流が重要になるのだ。リストラのない強い組織を作る方法リストラのない強い組織を作る上でも経営者と社員の感情の交流が重要になるが、ポイントは5つある。このポイントを抑えて組織作りを推進すると、リストラのない強い組織が整い易くなる。それぞれのポイントについて詳しく解説する。社員に感謝する社員への感謝は絶対条件だ。例えば、「会社に来てくれて有難う。会社の仕事を通じて幸せな人生を作ってほしい。会社は全力で応援する。」社長であれば、これくらいの感謝の気持ちを社員に伝えなければならないし、折にふれ、感謝の気持ちを表現しなければならない。こうした社長の言動が社員のモチベーションを支えるのだ。社長の姿勢を示す社員に対して社長の姿勢を示すことも大切だ。例えば、「業績を上げる為に本気で仕事に取り組む。すべては会社の永続性を確立して社員の幸せを守るため。」等、何のために会社を経営しているのか、如何に真剣に会社経営に取り組んでいるのかを社員に示すことは必須だ。社員教育を継続する社員教育は継続が肝要だ。特に中小企業は限られた人財で勝負しなければならないので、根気強い教育が求められる。仕事には責任が伴うことや責任を果たすための仕事の進め方を教えるだけでなく、会社が望む人材像を明確に示し、社員の主観的評価と客観的評価のギャップを解消する等、双方、おさまりの良い関係性を目指しながら教育を続けることが大切だ。社員を幸せにするこの会社で働けて良かった。定年までこの会社で働きたいと思わせる環境作りを経営者が推進し、社員を幸せにする経営姿勢を打ち出すことが大切だ。社員を最期まで応援する社員が会社の仕事に幸せを見いだせない場合は、次のステップに行けるように応援することも重要になる。例えば、リストラ等で会社から排除するのでなく、配置転換する、資格取得を応援する、など等、社員が自主的に次のステップに進めるような雰囲気を作ることが大切だ。お互いの信頼関係は、必ずお互いを助ける。社員に感謝し大切にする会社が発展する「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」理知的でいようとすると人間関係に角が立って生活が穏やかでなくなり、情を重んじれば、どこまでも感情にひきずられてしまう、という人間模様の本質を表した夏目漱石「草枕」の冒頭文だ。100年以上も前の作品だが、会社経営に当てはめても通用する、じつに普遍的であり、本質を突いた文章といえる。就業規則を盾に社員を抑圧する経営陣、○○ハラスメントを盾にお門違いな要求をする社員、など等、経営者と社員がお互い理知的に動こうとするほど、組織は硬直し、結束が弱まる。当然ながら、組織力が低下すると、業績が悪化し、ますます働き難い会社になる。知と情のバランスを良い塩梅に保ち、人に優しく、社員に優しく、顧客に優しく接することが大切であり、会社繁栄の源泉は、いつの時代も人にある。社員のリストラは最終手段であり、社員の幸せを叶えることが、会社の幸せを叶える原理原則だ。伊藤のワンポイント社員のリストラという最悪な方法を回避するには、社員の人生を背負う覚悟を持って、健全経営を確立することです。健全経営は社員に感謝し大切にする姿勢を経営者が率先して打ち出すことで次第に確立されます。この姿勢がおざなりになると、社員の心が離れて、組織力と共に業績が低下しますので、気を付けてください。
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  • シニア社員のモチベーションを上げる方法|シニア社員は会社の宝
    シニア社員のモチベーションを上げる方法|シニア社員は会社の宝元気なシニア社員は増える一方なので、シニア社員の活用が組織力を決定づけると言っても過言ではない。しかし、長年出世していないシニア社員、或いは、管理職から降格したシニア社員の中にはモチベーションが低い社員もおり、中には会社の足を引っぱるシニア社員も少なくない。この記事では、シニア社員のモチベーションを上げる方法について、詳しく解説する。シニア社員のモチベーションはなぜ下がるのか?普通の中小企業は、シニア社員になるほど昇進のチャンスが減り、報酬も減少傾向になる。こうした労働環境に置かれると、次第に、会社から必要とされている感がなくなり、如何に有能なシニア社員であっても、高いモチベーションを持続するのが困難になる。また、如何に有能なシニア社員であっても、役職定年などで後進にポストを譲った時期を境に、徐々にモチベーションが下がることがある。シニア社員のモチベーションが下がると、会社全体の組織力が低下し業績に影響を与える。さらに、モチベーションが低下したシニア社員が元上司として職場に配属されると、その職場の若手管理職や一般社員のモチベーションにも悪い影響を与えてしまう。シニア社員のモチベーションを上げる方法40代、50代を通過して定年まで一定のモチベーションを保つには、シニア社員に対して公平な評価制度を定着させる必要がある。例えば、長年出世から遠ざかっているシニア社員、或いは、役職者から降格したシニア社員のモチベーションを上げるために、能力に応じたインセンティブ報酬の仕組みや会社が必要としていることを明快に伝える社員教育等は有効な策になる。与えるポストがなく、十分な報酬も約束できないシニア社員のモチベーションを上げる方法論について、それぞれ詳しく解説する。モチベーションを上げる報酬スキームシニア社員のモチベーションを上げる方法として、インセンティブ報酬を約束するマイスター制度の導入がある。マイスター認定は通常の人事評価基準に加えて、専門性・指導力・信頼度など等の明確な基準に基づく必要があるが、この制度を導入すると、肩書がないシニア社員に対して公平な評価の機会を約束することができる。更に、マイスターのレベルを数段階に分けると、定年までの報酬インセンティブが与えられるだけでなく、働く誇りやモチベーションを上げる動機づけになる。モチベーションを上げる教育スキームシニア社員のモチベーションを上げる教育姿勢は、肩書がなくても会社が必要としていることを明快に伝えることが第一になる。例えば、管理職の素養がないシニア社員向けの専門性を磨く研修や管理職から降格したシニア社員向けのマインド向上研修等はモチベーションを上げる動機づけになる。シニア社員は会社の宝シニア社員は会社の宝だ。なぜなら、多くの社員が定年を迎えるまで高いモチベーションを持続できれば、マンパワーが最大化されるからだ。会社が社員の成長を後押しし、成長したシニア社員が会社に知的財産を還元して定年を迎える組織構造が確立されればマンパワーが最大化される仕組みが定着し、時間の経過と共に組織力と業績が上向く。さらに、団結力、機動力、開発力、発明力、愛社精神、知的財産など等、一朝一夕では確立できない有形無形の経営資源も盤石になる。
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  • 社員の給料の決め方|従業員の給与・報酬・ボーナスの適正額は?
    社員の給料の決め方|従業員の給与・報酬・ボーナスの適正額は?社員の給料の決め方で悩んでいる経営者はじつに多い。一方、不透明な給与の決め方に対して不満や悩みを抱く従業員は少なくない。この記事では、社員の給料の決め方、並びに、従業員の給与・報酬・ボーナスの適正額について詳しく解説する。社員の給料(給与)とは?社員の給料(給与)は、労働の対価として従業員に支払われる報酬のことで、経理上は人件費の範疇に入る。社員の給料の範囲はなかなか広く、会社負担分の社会保険料(原則社員と折半)、各種手当だけでなく、残業代、有給相当分、ボーナス等々、相応の報酬が含まれる。また、労働基準法等の取り決めによる最低賃金や割増賃金等のルールや簡単には解雇できない前提条件も考慮する必要がある。さらに、殆どの会社にとって社員の給料(人件費)が最大経費になり、しかも、収入が変動しても支出しなければならない固定費になるので、安易な決め方で社員の給料を決めると後で苦しい経営状況に陥ることになりかねない。従業員の給与・報酬・ボーナスの適正額は?従業員の給与・報酬・ボーナスの適正額はいくらか?わたしは、過去に千名を超える中小企業の社員と面談した経験があるが、業界や地場相場並みから少し多めの範囲で給料を支払えば、大概の社員は納得する。従って、従業員の給与等は、業界や地場相場並みから少し多めが適正額といえる。社員の給与等が業界や地場相場を下回ると従業員の不満指数が上がり、給与の決め方に対して不信を抱く社員が現れるが、例外もある。それは、社長とのコミュニケーションが充実している会社や社員の評価基準が明快な会社である。こうした会社は、社員の給与等が業界や地場相場よりも多少下回っていても、そのことに対して不満を抱く社員は殆ど現れない。満足度の高い社員の給料の決め方会社と社員の双方が満足する給料の決め方は様々なアプローチがあるが、絶対に外せないポイントを紹介する。社員の給料の満足度を左右する「適正水準・評価基準・計算方法・降格基準・コミュニケーション」である。それぞれのポイントの考え方を詳しく解説する。社員の給料を決める適正水準社員の給料を決めるうえで適正水準の設定が重要になるが、前記した通り、業界や地場相場並みから少し多めが適正ラインになる。このラインを目標に社員の給料を決めることが満足度の高い給料を決める第一歩になる。(社員給料の適正度合いは、基本給、諸手当、評価給、ボーナス等々の総額で判断すること)社員の給料を決める評価基準社員の給料を決める評価基準は満足度を左右する大きな要因になる。社員の人事評価基準が曖昧になるほど、給料の決め方に不信感を抱く社員が増加する。従って、社長の気分や主観的評価ではなく、社員が納得する客観的評価基準をしっかり運用することが不可欠になる。なお、評価基準の作り方については当サイト内の「人事評価の効果的フレームワーク」を参考にしてほしい。社員の給料を決める計算方法社員の給料を決める計算方法はシンプルなほど運用しやすく、会社と社員、双方のストレスも少なく済む。社員の給料を決める公式としておススメなのは「基本給+諸手当+評価給」の三項目を加算する方法だ。試用期間は基本給+諸手当でスタートし、正社員になり年齢や能力が上がるにつれて評価給が加算される計算構造になる。因みに、評価給は加点方式「年齢+役職+人事評価点数」がお薦めで、評価給の比重は「人事評価点数>役職>年齢」がお薦めだ。社員の給料を決めるコミュニケーション社員の給料を決めるうえでコミュニケーションは重要になる。このコミュニケーションが充実するほど、社員の報酬に対する満足感が高まる。例えば、年に数回の人事評価面談、日頃の感謝や労い等は必須だ。また、このコミュニケーションは、満足度の高い社員の給料の決め方を定着させるだけでなく、社員教育の効果もあるので、しっかり実践してほしい。社員の給与総額の適正水準と財源コントロール社員に支払うべき給与の適正水準やより公平な決め方を定着させるには、然るべき給与財源を確保するために、給与財源をしっかりコントロールする必要がある。なぜなら、殆どの会社にとって人件費は最大経費になるため、給与総額の適正水準をオーバーすると利益圧迫を招き、経営が不安定になるからだ。社員の給与総額の適正水準と財源コントロールは「人件費率」や「労働分配率」等の経営指標を活用することで、精度を高めることができる。それぞれの経営指標が理解できる記事を当サイト内から紹介する。人件費率人件費率は会社の収入に対する人件費バランスを示す経営指標なので人件費率ほど重要な経営指標はない。この記事では、人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで、詳しく解説している。【この記事を読む】労働分配率労働分配率は、会社の人的投下の構造のみならず、人件費配分の適正可否の判定基準としても活用できるので、日常的にチェックしておきたい指標だ。この記事では、労働分配率の計算式から適正水準(目安)や業界水準に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】
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  • 結果を出す人と結果を出せない人のたった一つの違い|仕事の成果を上げる人の特徴
    結果を出す人と結果を出せない人のたった一つの違い|仕事の成果を上げる人の特徴世の中には何をやっても結果を出す人と何をやっても結果を出せない人がいる。当然、結果を出す人の仕事人生は時の経過と共に豊かになり、結果を出せない人の仕事人生は時の経過と共に厳しいものになる。この記事では、結果を出す人と結果を出せない人のたった一つの違い、並びに、仕事の成果を上げる人の特徴について詳しく解説する。結果を出す人と出せない人の違い結果を出す人と結果を出せない人のたった一つの違いは「見ている景色」である。例えば、結果を出せない人は、夢が叶うことを願うばかりで現実を見ていない。一方の結果を出す人は、夢を実現するために現実を見て、今やるべきことを愚直に実践し、小さな成果を確実に積み上げている。見ている景色が違えば行動が変わり、その行動が結果に大きな影響を及ぼす。今この瞬間に見ている景色一つで、結果は大きく変わるのだ。あなたはどんな景色を見ているだろうか。たとえドン底にいたとしても、現実を直視し、今できることをコツコツと積み上げれば、何れ大きな結果に繋がる。今ココに全力で尽くす姿勢が大きな成果を引き寄せるのだ。結果を出せない人の特徴結果を出せない人の特徴について、詳しく解説する。結果を出せない人は現実が見えていないので、今やるべきことが分かっていない。いつまで経っても今の行動が変わらないので、結果が出ない環境から抜け出すことが出来ず、何をやっても結果が出ない。いつも結果が出ないので周囲からの信頼が得られず、お金や人脈などの成功要素を引き寄せることができず、結果を出すのが益々大変になる。また、結果が出ないことを他者(他人・環境・条件等)のせいにするので、いつまで経っても成長することがない。圧倒的な結果を出す人の特徴圧倒的な結果を出す人の特徴について、詳しく解説する。結果を出す人は現実が見えているので、今やるべきことが分かっている。結果を出すために何ができるかを日々真剣に考えているので、行動がどんどん変わり、何をやっても結果が出るようになる。結果を出すほどに周囲から信頼されるので、自ずとお金や人脈などの成功要素が集まり、簡単に大きな結果を出すようになる。たとえ結果が出なくても他者のせいにするようなことはせず、自分の責任として結果が出ない状況を真剣に分析し、成功の一手を見出すまで決して諦めない。また、現状に満足せず、更に上を目指すマインドを持っているので、中途半端な結果ではなく、圧倒的な成果・結果を出すことができる。伊藤のワンポイント経営コンサルタントの世界的第一人者のピーター・F・ドラッカー氏は「すべては現実からしかスタートできない」と言いました。現実を受け入れ、今できることをコツコツ積み上げる姿勢は、大きな成果に繋がるだけでなく、成功のチャンスも沢山引き寄せます。現実が見えているか否かで、その後の成功が大きく変わるのです。
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  • 自我(エゴ)が強いと仕事の成果に陰りがでる|エゴイズムを無くせ
    自我(エゴ)が強いと仕事の成果に陰りがでる|エゴイズムを無くせ自我(エゴ)が強いとは、自分の主張や利益を優先する姿勢のことである。自我が強い人のことを、自分の利益を優先し他者の利益を無視するエゴイスト(利己主義者)、あるいは、わがままや自己中心的なエゴイズム等とも言う。この記事では、自我(エゴ)が強いと仕事に成果に陰りがでる仕組みについて、詳しく解説する。自我(エゴ)の出し方で成果が変わる随筆家・料理家の辰巳芳子先生は「本物の料理人には自我(エゴ)がない」と仰った。素材と向き合い、素材を見極め、素材が一途美味しくなるように、自分の自我(エゴ)を一切なくすことこそ、料理人の本分である、という意味である。2006年に放映された情熱大陸の一コマで発せられた言葉だが、私の心の中にずーっと残っている。お野菜は季節によって味わいが変わり、お魚も時期によって脂の乗りが変わる。美味しい料理を作るには、自分のエゴを出すことなく、お野菜やお魚に寄り添うことが欠かせないが、これは会社経営も同じだ。社長が社員に寄り添い、会社が顧客に寄り添うことで、初めて良い仕事が生まれる。逆に、社長が自分のエゴを社員にぶつければ社員の反発を買い、会社のエゴを顧客に押し付ければ顧客の反感を買う。自我(エゴ)の出し方ひとつで、組織のパフォーマンスや会社経営の成果は天と地ほどの差が生じるのだ。自我(エゴ)が強いと成果に陰りが出る業績が今ひとつ伸び悩んでいる会社は、自我(エゴ)の出し方に問題があるのかも知れない。社員や顧客だけではない。仕入先や外注先等の仕事仲間に対しても自我(エゴ)を出すことなく寄り添えているか否か、冷静に振り返ることをお薦めする。エゴ丸出しの商売人を利己主義者(自己利益を重視し他者利益を無視するエゴイスト)と言うが、利己主義一辺倒で商売は長続きしない。裏切りや騙し合いが飛び交う信用も信頼もない世界観に陥り、お金、人脈、愛情などの徳目をすべて失うのがオチだ。自我(エゴ)を脇に置いて、自利利他の精神で他者の利益を考えながら商売をするのが、長続きの原則である。強い自我(エゴ)が苦しみを生み出す自我(エゴ)を強く出すと、苦悩が生まれる。思い通りにならない、思った結果と違う、こんなはずじゃなかった…など等の苦悩は、すべて強い自我(エゴ)によって生じる。人生も会社経営も、社員も顧客も、思い通りになることなど殆どない。しかも、自分の思い通りにしようとする傲慢なエゴは、自分を苦しめるだけでなく、他者をも苦しめる。こうした苦しみ、葛藤、争いは、双方(自他)の成長の肥やしになるので、時には受容することも大切だが、苦しみが限界に達したら、サッとエゴを手放すと良い。自分も他者も救われるし、ありのままの自分や現実を受け入れることもできる。現実が見えると、やるべき事が分かり、目の前のことに一所懸命取り組むことができるようになり、自ずと、良い仕事、良いご縁、良い喜楽に恵まれ、大きな成果が得られる環境が整う。人生の折り返し地点に差し掛かる30代まではエゴ丸出しも結構だが、折り返しを超えた40代以降はなるべくエゴを控えた方が大きな成果に恵まれる。
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  • 貢献したい想いを実現する術|貢献できる人財・企業になる方法
    貢献したい想いを実現する術|貢献できる人財・企業になる方法貢献したいという想いを持って会社に入社する新入社員や会社を創業する起業家は珍しくない。また、多くの経営者も、雇用や納税で社会貢献したい、あるいは、商品やサービスを通して社会の発展に貢献したい等の貢献欲を持っている。この記事では、貢献したい想いを実現する術、並びに、貢献できる人財・企業になる方法について、詳しく解説する。貢献と奉仕の違い奉仕とは、無私・無報酬の労働のことである。一方の貢献とは、有形無形の自己資産(力量・財力・人脈・知識等)を何かに寄与することである。奉仕も貢献も私利私欲のない世界観なので、どちらも素晴らしい姿勢ではあるが、奉仕は犠牲心がベースになり、貢献はお裾分けの精神がベースになるので、双方は似て非なるものである。どういうことかと言うと、奉仕は、自分のお金・体力・時間等が尽きた瞬間に限界が訪れるが、貢献は、自己資産をキープ、あるいは、拡大し続ければ、いつまでも限界が訪れない。つまり、奉仕は有限、貢献は無限ということだ。貢献を実践し尽した人物例江戸時代後期の実業家「二宮尊徳(通称:二宮金次郎)」は、貢献を実践し尽した人だった。二宮尊徳は農村復興(農家再建)で手腕をふるったが、どんなに貧しい農家に対しても奉仕ではなく、貢献を選択した。例えば、自分の資金を貸し付ける、あるいは、知識を惜しみなく寄与する等、原則、貢献をベースに農村等の復興・再建を推進した。二宮は慎ましい生活を基本としていたので、散財することなく、一定の財力をキープしたまま、晩年に至るまで沢山の農村に貢献し続けた。また、私利私欲に走るのではなく、社会に貢献すればいずれ自らに還元されることを、地で証明した人でもあった。貢献できる人財・企業になる方法二宮をまつる報徳二宮神社の尊徳像に、次の言葉が掲げられている。「経済なき道徳(貢献)は戯言であり、道徳(貢献)なき経済は犯罪である。」わたしの大好きな言葉のひとつだが、この言葉に触れるたびに背筋を正される。「仕事で稼がなければ、貢献なんかできっこないよ。」「社会に貢献したかったら、しっかり稼ぐための力量を磨きなさい。」「モラルのない稼ぎ方は犯罪だよ。ちゃんと真面目に働いて社会に貢献しなさい。」こんな声が聞こえてくる…。会社に入社したら誰よりも貢献したい、同期の誰よりも会社に貢献して出世したい等の貢献欲を持っている若者は沢山いるだろう。また、社員の給料を上げたい、雇用や納税で地元に貢献したい、商品やサービスを通じて社会の発展に貢献したい等の貢献欲を持っている社長さんも沢山いるだろう。貢献のはじめの一歩は、貢献できるステージに上がることだ。会社であれば現金水準や付加価値を高めること、個人であれば力量を高めて報酬や影響力を上げること等、他者にお裾分けできるだけでの自己資産を築くことが最初の一歩になる。自己資産が一定量を超えたところから、他者への貢献サイクルを回すことが可能になり、他者に貢献するほど、自分の魅力や財力が高まり、いつまでも貢献できる人間(企業・人財)で在り続けられる。
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  • 採用のタイミング|人材の雇い方・外部委託の活用法・人件費の適正ライン
    採用のタイミング|人材の雇い方・外部委託の活用法・人件費の適正ライン中小企業において、採用のタイミングはじつに難しい。なぜなら、殆どの会社にとって、人件費は最大のコストであり、コントロールを誤ると会社経営が危うくなるからだ。この記事では、採用のタイミング、並びに、人材の雇い方・外部委託の活用法・人件費の適正ラインに至るまで、詳しく解説する。採用のタイミング中小企業において、採用のタイミングを計る方法は二つある。一つは退職から逆算して採用のタイミングを計る方法、もう一つは、売上成長や新規事業の進捗から逆算して採用のタイミングを計る方法である。前者のタイミングは、採用することでの失敗リスクは殆どない。退職することが分かっているので、人件費のバランスが崩れることはない。従って、採用者の訓練期間を加味したタイミングが採用のベストタイミングになる。一方、後者のタイミングは、採用することでの失敗リスクがある。なぜなら、売上成長や新規事業の進捗が想定以下に陥ると、人件費のバランスが悪化し経営を圧迫するからだ。この場合は、リスク分散を考えた採用の方法を用意する必要がある。人材の雇い方・外部委託の活用法退職から逆算して採用のタイミングを計る方法に比べて、売上成長や新規事業の進捗から逆算して採用のタイミングを計る方法は失敗リスクが高い。こういう場合は、外注スタッフや派遣スタッフを上手に活用し、売上成長や新規事業の確実性が高まった段階で、正社員化のタイミングを計るのが良い。一度、社員を雇うと簡単には解雇できないので、如何にして失敗リスクを減らしながら人を雇うタイミングを見計らうかが大切なポイントになる。コスト吸収力の小さい中小企業は特にこの点を注意した方がよい。また、社員を雇うことは、その人の人生を全て背負うことになるので、採用は覚悟のいる仕事だということを決して忘れてはならない。人件費水準の適正ライン人件費水準の適正ラインは業種業態によって変わる。例えば、コールセンターのような労働集約型の会社は人件費水準の適正ラインが高くなり、逆に、製造業などの資本集約型の会社は低くなる。人件費の水準が正しいのか否かに悩んでいる経営者はじつに多いが、基本的に、人件費を含めた総コストが売上総利益高(粗利)の八割以下に収まっていれば優良といえる。人件費を含めた総コストが売上総利益高(粗利)の八割を超えている場合は、人件費過多、或いは、人件費以外のコストが過多状態に陥っている事になるので、コスト構造の改善をせずに人を雇うと、採用がきっかけで会社経営に失敗する可能性が高い。採用で失敗すると、リストラや減給など、元からいる社員に犠牲を強いる事態を招きかねないので、人件費のコントロールは日頃から注意することをお薦めする。
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  • 中小企業で活躍する優秀有能な人材とは|人財確保の成功ポイント
    中小企業で活躍する優秀有能な人材とは|人財確保の成功ポイント事業は人なりという言葉がある通り、事業活動の起点はすべて人から出発する。当然、仕事ができる優秀有能な社員が多いほど、仕事の質が高まり、いつまでもお客様から愛される会社で在り続けることができる。この記事では、中小企業で活躍する優秀有能な人材について、並びに、優秀な人財確保の成功ポイントについて、詳しく解説する。優秀有能な人材とは中小企業で活躍する優秀有能な人材について、詳しく解説する。中小企業に限らず、実社会において活躍する優秀有能な人材は、勉強の出来不出来ではなく、仕事の出来不出来によって決まる。つまり、学歴や容姿の良し悪しではなく、実社会を生き抜くための卓越したスキルを保持し、仕事の成果を大きく上げる人間こそが優秀有能な人材と言える。この前提で考えると、中小企業に優秀な人材は来ないという主張は当てはまらない。確かに高学歴な人材は来ないが、優秀有能な人材は目の前にいくらでも存在し、採用しようと思えば、いくらでも採用できる環境にある。大切なことは、学歴というブランドに惑わされることなく、学歴が無くても仕事ができる優秀な人材の特徴を知り、そうした視点を持って採用活動に当たることだ。仕事ができる人財を採用できれば組織の力は数段パワーアップし、会社の成長スピードが格段に上がる。優秀有能な人財の3つの特徴優秀有能な人財の3つの特徴について、詳しく解説する。優秀有能な人財は「思考力」・「責任感」・「経験値」の3つのスキルが卓越している。それぞれの特徴について以下の通り解説する。思考力自分の力でしっかり思考できるスキルは優秀な人財の絶対条件だ。高い思考力を持っている人財は、指示待ち・依存型・寄生型にならないので、先手必勝の言動が定着し易い。結果、自己の能力開花や成長スピードが速まり、時の経過と共に仕事の成果も大きくなる。責任感誠実で責任感が強い人財は、利他的に動ける人が多く、どんな時も組織の要になって会社を支えてくれる。課題や指摘を素直に受け取り、あれこれ言わずにすぐに実行し、新しい挑戦にも怯まずチャレンジするので、お客様から頼られる存在になり、大きな成果を出しやすい環境に恵まれる。経験値学歴が無くても、人生経験や新しい体験から自己の知見を深める姿勢は優秀な人財の共有条件だ。配属された組織、或いは、仕事相手に応じて最適な答えを導く力は、経験値がものをいう。また、経験から学びを得る人財は、謙虚に自己を鍛錬し続けるので、他者や社会の発展にも貢献する。思考力と責任感も一段と磨かれるので、優秀さが一段と際立ち、会社の成長をけん引する重要な役割を担う存在になる。優秀な人財確保の成功ポイント最後に、優秀な人財確保の成功ポイントについて解説する。中小企業が優秀な人財を確保するには、ダメな人材を採用せず、良い人財を採用することに専念することが何よりも重要になる。優秀有能な人財は「思考力」・「責任感」・「経験値」の3つのスキルに焦点を絞ると分かりやすい。例えば、何れかのスキルが欠落していると、ダメな人材の可能性が高い。具体的には、卑屈・傲慢・後向き・人望に劣るタイプが典型になる。何れのスキルも標準以上であれば、素直・謙虚・前向きで、人望があるタイプが多く、採用の面談時にいやな印象や違和感も残らない。こういう人財はすぐに採用し、どんどん課題を与え、しっかり育てるのが良い。
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  • ゆるいホワイト職場ほど有能な社員が逃げる!?|離職を防ぐベストな環境とは
    ゆるいホワイト職場ほど有能な社員が逃げる!?|離職を防ぐベストな環境とはホワイト職場とは、残業の強要がなく、十分な休日があり、難しい課題は与えられず、厳しい指導もない、いわゆる、居心地の良いゆるい職場のことである。時に残業があり、難しい課題を与えられ、厳しい指導があれば、会社に行くことで強制的に仕事のスキルとマインドが磨かれるが、職場がホワイトすぎると、自身の知見や能力を磨く機会が極端に減る。昨今は2019年に働き方改革関連法により労働時間の上限規制がされ、2020年にパワハラ防止法が施行されるなどした結果、誰もがゆるく感じるほどに職場環境がホワイトに改善されているが、向上心旺盛な新人からすると物足りなさを感じることもあるだろう。事実、大手企業の入社3年未満の新人社員の2020年の離職率は3年前の20.5%から26.5%まで悪化(厚生労働省調査)しており、自分の成長環境がホワイトすぎることに危機感を持つ新人が一定数いることを示唆している。以下は、ホワイト職場に関連した離職理由の一例である。苦労が少なすぎる難しい課題や仕事が与えられないミスしても怒られない、すぐにフォローしてくれる将来のキャリアに不安が残る自分の成長スピードに不安を感じる周囲の同期との能力差がどんどん広がっている自分の実力ではこの先の社会で通用しないと感じる職場がキツイと辞める社員がいる一方で、ゆるいと辞める社員がいるのも事実で、同期や同級生と自身の成長を比較する機会が多い新人ほど、その傾向が顕著に出る。また、新人ほどスポンジの如く新しいことを吸収するので、職場環境による成長の速度にも大きな差がつく。周囲と自分の成長速度の違いに不安を感じる新人が増えている背景には、こうした理由も考えられる。人財育成はオーダーメイドと自主性が肝になる職場がキツイと辞め、ゆるくても辞めるとなると、会社はどう社員を育てれば良いのか?肝になるのは社員一人ひとりに合ったオーダーメイドの育成環境と社員の自主性を高める育成方針だ。大前提として、会社が評価する人財像を明確に提示することが欠かせないが、そのうえで、社員が仕事を通じて何を求めているのかをヒアリングして、育成環境・育成ペースを決めることが大切だ。人財育成の仕組みにAIやIT技術を導入している企業は数多にあるが、どの人事責任者も、最終的には一人ひとりの社員の要望に寄り添うことが大切だと言っている。つまり、社員の才能開花を速め、離職を防ぐには、コミュニケーションを充実させて、オーダーメイドな人材育成を実現することが最も効率的ということだ。もう一つの重要ポイントは社員の自主性を育てることだ。ソニー創業者の盛田昭夫氏は、新入社員に対して次のような言葉を贈っている。「会社は学校ではないので教育する義務はない。一方、社員は、入社日から自分自身で考え、自らの責任で行動する義務がある。その自覚と努力が足りずに置き去りにされるのであれば、仕方のないことだ。」この言葉が生まれた時代は、半世紀も昔だが、時代にマッチしない考えと一蹴することはできない。事実、自主的に物事を考えることができない人は社会で活躍できないし、自分で考える自覚と努力なくして、自主性は身につかない。厳しさを求める新人に対しては、こうした自主性を鍛える課題を大いに与えると良いだろう。何事もバランスが肝要だが、何れにせよ、時代の変化と共に創意工夫で育て方を最適化し続ける企業が有能な人財をたくさん輩出し、時代に対して大きな影響力を持つのだと思う。今、どういう人財を抱えているかよりも、今抱えている人財をどう育てるかの方が重要ということだ。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • テレワークのデメリット・弊害|ICU活用に伴う生産性低下の対策
    テレワークのデメリット・弊害|ICU活用に伴う生産性低下の対策テレワークとは、遠隔を意味する「tele」と仕事を意味する「work」を組み合わせた造語である。テレワークは、情報通信技術(ICT)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を推進し、企業活動や社会活動の生産性を上げるツールとして広く定着している。この記事では、テレワークのデメリット・弊害、並びに、ICU活用に伴う生産性低下の対策について、詳しく解説する。テレワークとは?テレワークとは、遠隔を意味する「tele」と仕事を意味する「work」を組み合わせた造語で、情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した柔軟な働き方のことである。テレワークを大きく分類すると、在宅勤務型テレワーク、場所を問わないモバイルワーク型テレワーク、サテライトオフィスを活用した施設利用型テレワークの3つに分けられる。テレワークは、企業活動の生産性だけでなく、社会全体の生産性を上げるツールとして広く定着しており、その活用範囲も広がっている。例えば、社会インフラとしての情報通信技術(ICT)が途上の時代は、妊娠・育児・介護などの理由や怪我や事故等による身体障害などにより、恒常的または一時的に通勤が困難な人がテレワークの対象になっていたが、ICTの発展と共に活用範囲が一段と広がった。現在は、恒常的または一時的に通勤が困難な人に限らず、営業、SE、サポートサービスなどの顧客対応業務の人や企画、総務、人事、経理などの管理部門、研究、開発部門の人に至るまで、多くの職種の人がテレワークの対象になっている。テレワークのデメリット・弊害テレワークは、企業活動や社会活動の生産性を上げるツールではあるが、一方で、デメリット・弊害もある。当然ながら、テレワーク従事者が抱えるデメリットを放置すれば、大きな負荷(ストレス)を生み出し、生産性悪化の火種を作りかねない。テレワークの良くあるデメリット・弊害とICU活用に伴う生産性低下の対策について、順を追って解説する。原則自己管理テレワークのデメリットとして「原則自己管理」がある。業務スキルや管理能力が高い社員であれば自己管理に支障をきたさないが、そうした能力に乏しい社員や社会経験が少ない新人社員などは、自己管理に支障をきたす可能性がある。集中力が欠落する、業務の優先順位が分からない、成果を出す働き方ができない等の弊害は原則自己管理のデメリットといえる。こうしたデメリットを解消するには、指示・命令・放置ではなく、相談・共感・育成の土壌を整えることが効果的だ。場所や設備がないテレワークのデメリットとして「場所や設備がない」がある。特に、在宅勤務型テレワークの場合は、仕事部屋とICUインフラが必要になるが、都市部在住者や単身者にとっては困難を伴うケースがある。こうしたデメリットを解消するには、家賃補助の充実やICUインフラの費用補助などのサポートが効果的だ。プライベートとの境界線テレワークのデメリットとして「プライベートとの境界線」がある。特に、子供がいる家庭ではオンオフの切り替えが難しい。また、誰も見ていない状況下にあるので、一度、怠けると怠け癖がつく場合もある。こうしたデメリットを解消するには、モバイルワーク型テレワークや施設利用型テレワークの活用、或いは、出社勤務を交えた限定的テレワークの実践が効果的だ。コミュニケーション不足テレワークのデメリットとして「コミュニケーション不足」がある。事業は人なりの言葉通り、事業の結果は組織(人)の上に成り立つ。組織の生産性はコミュニケーションで決まるので、テレワークでコミュニケーションが分断されると、たちまち生産性が悪化する。こうしたデメリットを解消するには、ランチ会や雑談会、或いは、テレワーク上の同行営業などが効果的だ。長時間労働テレワークのデメリットとして「長時間労働」がある。テレワークは会社の監視下にない中で働くことになるので、就業時間のコントロールが自己管理になる。自己管理が甘くなれば長時間労働(サービス残業やながら残業等)を生み出し、労働実態と共に、真の生産性や原価が分からなくなる。こうしたデメリットを解消するには、就業時間前後のアナウンスや勤怠管理の厳格化が効果的だ。セキュリティ問題テレワークのデメリットとして「セキュリティ問題」がある。パソコンや通信環境上の脆弱性に起因するウイルス感染や情報流出のみならず、モバイルワーク型テレワークや施設利用型テレワーク時の情報漏洩(盗み見・画面スキャン・データコピー等)など、セキュリティリスクは多岐にわたる。こうしたデメリットを解消するには、定期的なセキュリティチェックを定着させて、万全なセキュリティ体制を構築するしかない。ICTスキル不足テレワークのデメリットとして「ICT(情報通信技術)スキルの不足」がある。特に、アナログ的な仕事が定着している人材や部署に関しては、テレワークが相当なストレスになり、仕事の生産性が著しく低下する。このようなデメリットを解消するには、ICTスキルの習得を目指した勉強会、或いは、ICTスキルが発揮できる職場作りが効果的だ。運動不足テレワークのデメリットとして「運動不足」がある。テレワークを実践するほど、通勤等の移動労力が無くなるので、必然的に運動不足に陥る。当然ながら、運動不足から体調不良を起こせば、労働生産性は著しく低下する。こうしたデメリットを解消するには、健康増進サポートの徹底が効果的だ。コスト負担テレワークのデメリットとして「コスト負担」がある。特に、在宅勤務型テレワークは電気代、通信費、施設利用費などのコストが自己負担になるので、通常勤務者との間に不公平感が生まれる。こうしたデメリットを解消するには、テレワーク補助等の福利厚生の充実が効果的だ。テレワークのメリット最期に、テレワークのメリットについて解説する。テレワークの最大メリットは「時間・コスト・生産性」の3つが挙げられる。テレワークによって浮いた移動時間は、すべて余剰時間に転換される。1日24時間という限られた時間の中で、このインパクト(影響)は計り知れない。浮いた時間は、仕事に費やす、自己研鑽に費やす、休養に費やすなど等、様々あるが、テレワークによる時間的メリットはじつに大きい。テレワークによってオフィス利用が縮小すれば、自ずと、オフィス関連コストを下げることができる。都市部であれば大きなコストメリットがあり、浮いたコストを成長投資に振り向ければ、規模拡大のスピードも加速する。テレワークによるコストメリットはじつに大きい。テレワークによって時間とコストが浮くと、その分、生産性が上がる。例えば、営業件数が上がり、業務コストが下がるので、獲得利益が一段と大きくなる。また、世界中のどこであっても一瞬で繋がることができるので、距離の障害が無くなり、営業範囲が飛躍的に拡大する。テレワークによる生産性向上メリットはじつに大きい。今後、テレワークは働き方のスタンダートとして広く定着していくと思うが、テレワークで企業活動の生産性を更に高めるには、これらのメリットを最大化すると共に、前章で解説したテレワークのデメリットを解消することが大切になる。(この記事は2020年8月に執筆掲載しました)
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  • 値決めの法則と方法|商品の価格付けから決め方まで徹底解説
    値決めの法則と方法|商品の価格付けから決め方まで徹底解説ビジネスは値決めで決まるといっても過言ではない。なぜなら、値決めひとつで会社の収益体質が決まるばかりか、場合によっては、会社の存続までもが決まってしまうからだ。この記事では、商品やサービスの価格付けから価格の決め方に至るまで、値決めの法則と方法を詳しく解説する。値決めは経営会社経営は値決めである、という格言があるように、値決めは会社経営の根幹を支える重要な要素になる。値決めひとつで会社の収益体質が決まり、場合によっては、会社の存続までもが決まってしまうからだ。例えば、消費者が高くても欲しいと思っている商品に安値を付けてしまい然るべき利益を逸失している会社は少なくない。また、消費者がさほどの価値を感じていない商品に高値を付けてしまい思うように売上が伸びていない会社も少なくない。一方で、利益を最大化するために真剣に値決めと向かい合い、商品付加価値と繁栄スパイラルを盤石に構築している企業もある。値決めは会社の行く末を決定づける重要な作業になるので、決して社員任せにしてはならない、社長の重要な仕事といえる。値決めの方法1「原価と付加価値」値決めの方法その1は「原価と付加価値」である。商品の価格は、原価よりも高い価格を付けないと会社に利益が残らず、商売が成立しない。また、その商品の価格に見合う付加価値がなければ、同様に、商売が成立しない。つまり、値決めにおいて、原価と付加価値は切っても切れない関係にあり、原価と付加価値の双方を天秤にかけながら、バランスよく価格を決めなければ商売が成り立たないのだ。値決めを原価からアプローチする方法を原価積算方式という。原価積算方式は、商品の原価に必要な利益を乗せて販売価格を決める方式である。多くの企業が採用している値決めの方法だと思うが、付加価値とのバランスが崩れると、値決めした価格が破綻し、値崩れを起こすデメリットがある。値決めを付加価値からアプローチする方法を付加価値還元方式という。付加価値還元方式は、商品の付加価値を価格に還元させて販売価格を決める方式である。欧米の高級ファッションブランド企業などが採用している方式で、原価の10倍を超える価格で値決めしている企業も数多にある。値決めを付加価値からアプローチすると会社が高収益体質になるので、多額の宣伝広告費を簡単に捻出でき、一度軌道に乗ると、ブランド価値を維持しやすいメリットがある。銀座や表参道等の一等地に店舗を構えているブランド店などは、値決めを付加価値からアプローチしている典型例になる。値決めの方法2「商品の消費地」値決めの方法その2は「商品の消費地」である。商品の価格は、その商品の消費地によって大きく変わる。東京都と地方では、物価の違いから相当な価格差が生まれるし、安売りスーパーと高級百貨店でも相当な価格差が生まれる。つまり、商品の消費地に合わせて価格を付けないと、獲得できると思われる利益を逸失してしまうのだ。例えば、商品のメイン消費地が東京であるにも関わらず、東京の物価を無視して地元価格の水準で価格を付けている企業などは、商品の消費地を考慮していないために然るべき利益を逸失している典型例だ。商品の付加価値を多角的に評価し、商品の消費地に合わせた価格付けをしっかり行うことが高収益体質を作る値決めの秘訣になる。値決めの方法3「安値厳禁の理」値決めの方法その3は「安値厳禁」である。値決めにおいて、値引きや安売りなどの安値販売ほど危険なものはない。なぜなら、一度、安値販売に手を染めると、衰退スパイラルに陥りやすくなり、そこから抜け出すことが困難(ほぼ不可能)になるからだ。また、消費者の購買基準が「値段だけ」になると、他社やライバルが値段を下げた途端に根こそぎ顧客がいなくなるので、経営破綻のリスクが飛躍的に高まる。そもそも、商品価格が時間の経過と共にどんどん下がっていっては顧客の信頼を得ることはできない。本当に良い商品は適正な価格をつけて値崩れをさせない取り組みが大切であり、その努力が顧客の信用に繋がり、安定経営の礎になるのだ。値決めの法則と方法のまとめビジネスは値決めで決まるといっても過言ではなく、値決めひとつで会社の収益体質や会社の存続までもが決まる。この記事では「原価と付加価値・商品の消費地・安値厳禁」の3つの視点から値決めの法則と方法を解説したが、値決めで注意すべきポイントはまだある。例えば、グーグルやオンラインゲーム企業のように、無料商品と有料商品を混在させたビジネスは「収益の対象者」と「収益の時間軸」が値決めの重要な要素になる。値決めは会社経営の根幹を支える重要な要素であり、経営者の重要な仕事だ。値決めの法則と方法をしっかり理解し、値決めの正否をチェックしてほしい。伊藤のワンポイント値決めは社長の重要な仕事です。値決めで利益が決まり、売れ行きが決まるからです。ですから、値決めに成功すれば会社の成長は間違いなく加速します。値決めを大きく左右する要因として付加価値がありますが、この付加価値はアイデアや視点ひとつでいかようにも高めることが出来ます。
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  • 売れる商品の作り方|コンセプトが決まればモノが売れる
    売れる商品の作り方|コンセプトが決まればモノが売れる売れる商品は安定経営の必須アイテムになる。また、売れる商品が多い程、少ない努力でモノが売れ続ける仕組みが定着するので、会社の成長スピードが一段と加速する。この記事では、売れる商品の作り方について、詳しく解説する。売れる商品の「コンセプト」の作り方売れる商品を作るには「明快なコンセプト」が欠かせない。商品コンセプトが明快になるほど売れる商品になり易く、コンセプトが曖昧になるほど売れない商品になり易い。商品の売れる・売れないの9割はコンセプトで決まるといっても過言ではなく、売れる商品を作るうえで、ここが最も重要なステップになる。特に意識すべき重要ポイントについて、順を追って、それぞれ詳しく解説する。売れる商品は説明が明快売れる商品は説明が明快だ。商品の価格、メリット、魅力、効果(Before-after)等々の商品コンセプトが明快になるほど売れる商品になる。また、商品説明は30秒内で語れる内容がベストで、顧客が即座に理解できる内容でなければならない。パッと見て商品価値が伝わるデザインセンスも重要になる。売れる商品は買う目的が明快売れる商品は買う目的が明快だ。顧客が商品を買う目的を明快に設定するほど売れる商品になる。買う目的は、顧客の購入心理を読んで、顧客にとって腑に落ちる内容に仕立てると良い。買う目的が明快になれば売る相手も明快になるので、商品が一層売れやすくなる。売れる商品は口コミで広がる売れる商品は口コミで広がる。従って、口コミで広がりやすい環境を整えることが売れる商品を作る効果的な方法になる。商品説明や買う目的等のコンセプトを明快にすることは必須条件で、高額商品の場合は、より手ごろに買える入口商品を投入する等、買いやすさ、口コミのしやすさを演出することが欠かせない。売れる商品の「価格・付加価値」の作り方売れる商品を作るには「価格付けと付加価値」が重要になる。商品価格と付加価値は、顧客の購買心理に大きな影響を及ぼすからだ。価格は松竹梅の三段階を用意することが売れる商品の基本になる。選択肢がないと価格の妥当性が分からない。高い安いの二者択一でも買い難い。やはり、松竹梅の三段階の商品価格が顧客にとって選びやすく、買いやすい価格になる。付加価値の訴求も必須になる。付加価値がなければ、ライバルとの価格勝負に陥り、商品が売れなくなるからだ。売れる商品には必ず独自性のある付加価値がある。また、付加価値作りには、客観性のある評価を活用する手もある。例えば、客観的な信用がある老舗のブランド、第三者評価、権威付けなど等である。売れる商品の「販売戦略」の作り方売れる商品の販売戦略は、既存顧客への販売に集中することに尽きる。なぜなら、新規顧客は獲得コストが高く購入金額が安いが、既存顧客(リピーター)は維持コストが安く購入金額が高いからだ。売れる商品を作るには、とにかく既存顧客への販売に集中することが大切で、その姿勢が口コミを助長し、新規顧客増加のスパイラルを作る最短の方法になる。そもそも、ビジネスは既存顧客が支えている、ということを忘れてはならない。目の前の顧客をないがしろにすればビジネスの衰退は目に見えてる。売れる商品を作る販売戦略(集客)の基本は目の前の顧客に尽くすことが正攻法になる。伊藤のワンポイント売れる商品の最初のステップはコンセプトを明快にすることですが、最も大切なことは目の前のお客様に全力で尽くすことです。その姿勢が新しい商品の優れたアイデアや明快なコンセプトを生み出します。売れる商品の口コミを広める最初の起点も、目の前のお客様という事実を忘れないでください。
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  • 営業力を強化する7つの効果的方法|売る力が会社を大きくする
    営業力を強化する7つの効果的方法|売る力が会社を大きくする営業力は企業の存続を左右する。商品やサービスが売れなければ商売が成り立たないからだ。この記事では、営業力を強化する7つの効果的方法について、詳しく解説する。営業力の強化は難易度が高い仕事売上の規模は営業力で決まるので、営業力の強化は企業の永続性を確立する上で欠かせないが、営業力を強化する仕事ほど難しいことはない。なぜなら、営業職(ものを売る仕事)は、あらゆる職種の中で最も難易度の高い仕事だからだ。モノを売る仕事ほど難しいことはなく、更に言えば、モノを売り続けることほど難しいことはない。衰退する企業の殆どは売上の低迷、つまり、ものが売れなくなることで窮地に陥っている。また、売上拡大に悩む中小企業、或いは、営業力がないために廃業を余儀なくされる中小企業も少なくない。営業力を強化するには確かな目標とスキームが必要であり、宣伝や人的投下に頼った闇雲な営業力強化はかえって衰退リスクを高める場合もある。営業力を強化する7つの効果的方法について、順を追って詳しく解説する。営業力強化1「意識改革」営業力強化の第一は、意識改革が肝になる。営業のパフォーマンスは、営業マンの自信と誇り等のマインドで決まるからだ。営業力を強化するための意識改革は、営業が最重要業務、会社のエースが営業を務める等々の意識を定着させることが重要で、営業社員に、エースの自覚、必達の執念、営業職の誇り等々の意識が定着すると、営業力が自然と強化される。また、営業部署だけでなく、管理部署や製造部署などの全部署の社員が営業の自覚を持つ「全員営業の意識」を定着させることも欠かせない。この他にも、有望な人材は他部門であっても営業職に抜擢する、製造と営業の人事交流を定着させる等の施策も営業力を強化する意識改革に役立つ。営業力強化2「組織改革」営業力は個人能力を強化するよりも、組織力を強化した方が手っ取り早い。営業スキルを特定の社員に頼ると、会社から当該社員が流出した瞬間、或いは、当該社員のモチベーションが下がった瞬間に営業力が低下するからだ。従って、売上の安定成長を確立したければ、エース級の営業社員をひとり育成するよりも、営業部門全体の組織力を上げた方が会社全体の営業力が強化される。営業成果を上げる組織力は、正しい目標、戦術、フォロー、生産性、教育等の施策が定着すると自ずと強化される。営業力強化3「数値目標の活用」営業力を強化するには、数値目標の活用が不可欠だ。なぜなら、すべての営業成果は目標に対して動くことで初めて上がるからだ。営業の数値目標は、人海戦術と非人海戦術で変わるが、人海戦術の場合は、訪問件数一人100件/月以上、新規訪問率30%等が効果的な数値目標になり、訪問件数を上げ、さらに、引合い率(引合い件数÷訪問件数)を上げる努力が営業力の強化に繋がる。非人海戦術(IT活用・ネット集客)の場合は、客数×客単価×購入回数の3要素を上げ、さらに、サイトアクセス数を上げる努力が営業力の強化に繋がる。営業力強化4「営業戦術の確立」営業社員の意識が変わり、営業組織の土台が整い、確かな目標を掲げたら、あとは営業戦術の展開が営業力強化の肝になる。なぜなら、間違った戦術を展開しても売上は上がらず、営業力も強化されないからだ。営業戦術は、ターゲット顧客を明確にすることが第一になる。ターゲット顧客が曖昧だと営業活動の効率が極端に落ちるからだ。ターゲット顧客は、売上と粗利の貢献度、顧客企業や顧客の業界の成長率等に重点を置いて決めると良い。また、商品やサービスの付加価値(強み)を明快にして、ライバル企業よりも優れたポイントを一言(30秒以内)で提案できる営業資料も必須ツールになる。営業戦術は企業の数ほど方法論があるといっても過言ではない。従って、いかにして自社にマッチした営業戦術を確立するかが、営業力強化の結末を分かつ。営業力強化5「フォロー体制の確立」営業力を強化し、売上を増やすには、最前線で戦術を展開している営業マンのフォローが不可欠だ。営業フォローは社長と部課長が責任もって行う必要があり、経営幹部が積極的にフォローするほど営業組織全体のパフォーマンスが磨かれ営業力が強化される。営業フォローは下記マトリックスを基準に行うと効率が良い。社長と部課長のフォローが営業力強化の成果を決定づけるので、真剣に取り組んでほしい。営業フォローマトリックスフォロー行動結果解説褒める〇(戦術達成)〇(目標達成)エース級の働き励ます〇(戦術達成)×(目標未達)もう一息戒める×(戦術未達)〇(目標達成)特需・ラッキーパンチ育てる×(戦術未達)×(目標未達)一から育てる営業力強化6「生産性の向上」営業はどんな手段を使ってでも売上を増やせばそれで良しというものではない。ライバル企業よりも少ないコスト、なお且つ、ライバルよりも優れた商品やサービスを顧客に提供することが営業本来の仕事であり、そうした営業が収益性の高い売上を生み出す基本姿勢になる。そのために欠かせないことが生産性の向上で、人的投下や広告宣伝に頼らずとも売上を上げる営業力を確立するには、生産性を上げるほかない。営業の生産性を上げる効果的な方法について、それぞれ詳しく解説する。集客の最適化営業が安定的に売上を上げ続けるには集客の仕組みが必要になる。集客のターゲットは、既存顧客と潜在顧客の二つに分かれ、目の前の既存顧客の満足度を高めて口コミ効果を最大化しながら、まだ見ぬ潜在顧客を如何に集客するかが営業の生産性を高めるポイントになる。潜在顧客の集客は、ホームページ上の会社情報充実、工場のネット見学、アクセス環境の向上(検索順位、電話呼出時間、見積提示日数、情報発信等々)、集客用ポータル/メディアサイトの運営、SNSの活用など等の方法があり、会社と潜在顧客の接点が増えるほど、集客の効果が上がる。情報共有情報の共有は営業力の強化に不可欠だ。顧客、目標、過程、状況、結果、方針、戦略、戦術等の営業情報の共有は不可欠で、この他にも、暗黙知を共有し属人化を未然に防ぐ取り組みも営業力の強化に繋がる。業務効率化顧客接点を最大化するための業務効率化は営業力強化に欠かせない。特に、顧客接点に関わりのない社内業務や社内手続きの効率化を推進し、顧客接点を一段と増やす活動は営業力強化に不可欠だ。アクセス環境改善アクセス環境の改善は営業力強化に有効だ。例えば、短い移動時間でたくさん顧客訪問ができるアクセス環境をチーム全体で考え、常に最適化することは有効な策になる。また、電話呼出し時間の短縮、電話応対時間の短縮、見積提示日数の短縮等のアクセス環境の改善も営業力強化に繋がる。顧客分析(ABC分析・パレート分析)売上別、粗利別、顧客の成長率別など等、重要指標を基準とした顧客分析は、営業力の強化に繋がる。より大きな売上や利益を獲得するには、営業攻勢をかける顧客の分析が不可欠だからだ。顧客分析はABC分析やパレート分析が基本になるが、詳しくは、当サイト内の「販売効率と貢献度分析に用いるABC分析・パレート分析」を参照してほしい。営業力強化7「人財育成の継続」営業力を強化するうえで人財育成ほど重要な活動はない。営業マン一人ひとりの能力向上なくして、組織全体の能力向上はないからだ。人財を育成するうえで重要になるのが人事評価の基準になる。明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的に能力開発に努めるようになるからだ。例えば、下図のようなレーダーチャートで社員と職場のスキルを評価すると現状のスキルレベルが明快に視覚化される。(青線が職場でオレンジ線が社員)スキルが明確になったら、あとは定期的に社員面談を行い、職場と社員のスキル状態に応じて社員教育を継続的に行い、組織全体のスキルレベルを底上げする。これを繰り返すほど、営業力が強化される。売る力が会社を大きくする営業力を強化する効果的方法として「意識改革・組織改革・数値目標の活用・営業戦術の確立・フォロー体制の確立・生産性の向上・人財育成の継続」、以上7つの方法を詳しく解説した。営業力の強化は企業の永続性を確立する上で欠かせない取り組みであり、営業力が会社の成長をけん引する原動力になる。会社の営業力は、十人十色、会社によって無数の方法があるが、この記事で解説した7つの方法は、多くの企業に通用する正攻法でもある。実践できているか否かを自己診断頂き、営業力の強化に役立てることをお薦めする。
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  • 質問型営業で顧客理解を深めると商品が勝手に売れる
    質問型営業で顧客理解を深めると商品が勝手に売れる質問型営業とは、説明主体の営業ではなく、質問主体の営業手法のことだ。質問型営業を実践すると、自ずと顧客理解が深まるので、顧客の要望に添う営業提案ができるようになる。この記事では、質問型営業で顧客理解を深めると商品が勝手に売れる理について、詳しく解説する。質問型営業とは?質問型営業とは、質問主体の営業手法のことである。質問型営業を実践すると顧客理解が深まり、自ずと営業提案の精度が上がる。また、お客様自身も、営業パーソンの共感姿勢に好意を抱くので、質問に対する回答が本音に迫り、双方のコミュニケーションのズレが殆ど無くなる。質問型営業の基本は「質問→共感→理解」のループを繰り返し、顧客理解を深めることに徹することだ。質問型営業のオープニングトーク例どんな商品をお探しですか?→そうなんですね。いつ頃からお探しですか?→そうですか。他社の商品はご覧になりましたか?→それであれば、当社からご満足頂ける商品を提案できそうです。さらに、購入目的・背景・状況・希望等についても、質問→共感→理解のループを繰り返して深掘りすると、顧客の要望がより鮮明に浮かび上がる。質問型営業のクロージング質問型営業を実践すると、顧客理解が深まるので、クロージングの精度(成約率)も高まる。なぜなら、説明型営業提案よりも、質問型営業提案の方が圧倒的に顧客の要望に近づくことが出来るからだ。質問型営業のクロージング精度を高めるために必要なことは、クロージング前の質問(コミュニケーション)を充実させることだ。例えば、お客様の購入目的・背景・状況・希望の質問は欠かせない。(以下に質問例)目的の質問:新規検討か?比較検討か?他社からの乗換か?短期取引か?長期取引か?背景の質問:紹介か?口コミか?認知ルートは?急ぎか?ゆっくりか?状況の質問:ライバルは?相見積もりの数は?決定権者の意向は?希望の質問:納期は?価格は?予算は?お客様に対して、購入目的・背景・状況・希望の「質問→共感→理解」を終えたら、顧客の要望に添う商品サンプルを数点提示し、プレゼン提案を本格化する。最後に決断を質問(見積の有無、注文決定の時期等)し、商談をクロージングする。万が一、クロージング後に成約に至らなかった場合は、失注原因を分析し、説明型営業の精度をブラッシュアップすると良い。質問型営業のメリット質問型営業のメリットは顧客の要望を鮮明に照らす他にもある。例えば、顧客理解を深めることで、顧客が求める新商品・新サービスを提供し易くなるメリットは大きい。質問型営業の情報回収量(情報例:顧客の要望・都合・意見・本音・属性等)は、説明型営業の何倍にもなる。当然ながら、顧客の情報量が多いほど、顧客が求める新商品・新サービスを開発し易く、また、市場に投入すれば顧客の支持を得られ易い。つまり、質問型営業で顧客理解に努めるほど、商品が勝手に売れる環境を作り易くなるのだ。
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  • 失注分析で営業力を高める方法|注文取りこぼしの改善手法
    失注分析で営業力を高める方法|注文取りこぼしの改善手法ライバルがいる以上、すべての商談が成約することはあり得ない。注文を失うリスクを下げるには、失注分析を丹念に行い、注文を失う原因を明らかにした上で、原因改善に努める必要がある。この記事では、失注分析で営業力を高める方法、並びに、注文取りこぼしの改善手法について、詳しく解説する。失注分析とは?失注分析とは、成約に至らなかった原因を明らかにする分析手法のことだ。成約に至らなかった失注理由だけではなく、失注件数、失注時の競合数等の情報を多角的に分析することで失注原因を明らかにする、営業力強化に欠かせない分析手法といえる。失注分析を実践すると、商談の成約率がアップする、営業力が強化される等の効果が得られるが、大切なことは、失注分析の結果データを社内共有することである。失注分析の結果データを社内共有すると、成約率を上げるためのヒント量が増えるだけでなく、経験の浅い営業パーソンの失注を防ぐ仕組みも強化される。また、見積条件の競争優位性を高めるためのコスト改善や生産性改善の方向性や必要性も明快になるので、会社全体の稼ぐ力が強化され易くなる。失注分析の方法失注分析の方法について、詳しく解説する。失注分析する上での必須項目は、失注理由、失注件数、失注率(対失注者・対商談件数・対見積件数等)が挙げられる。上記項目に加えて、新規顧客の失注率、既存顧客の失注率、営業パーソン毎の失注分析もお薦めする。また、失注に至った原因を、信頼関係不足、営業力不足、ミスマッチ(価格・品質・技術・納期・商品ラインナップ等)、その他の条件等に細分化すると対策を打ちやすくなる。なお、失注の定義は、商談後、或いは、見積提示後に注文に至らなかったケースが一般的で、ネットショップの場合は、商品カゴに入った後に決済前に注文を失うケースが失注に該当する。毎月の失注分析が定着すると、データの厚みが増して、失注改善のヒント量が必然的に多くなる。また、失注分析の継続期間が長くなるほど、改善実績の検証精度が上がるので、自ずと失注改善の方法が洗練される。失注分析の活用法失注分析の活用法について、詳しく解説する。失注分析を活用する上での注意点は、営業パーソン個人の人事評価の基準にするのではなく、会社全体の営業力を強化するための一つの指標として活用することだ。失注という結果を責めるために運用するのではなく、失注という客観的結果(事実)を少しでも改善するために運用するということだ。従って、失注分析と失注改善の運用責任者は社長か営業部長が適任になる。失注分析の肝は「失注理由」になる。失注理由さえ明らかになれば、失注率を高めるための創意工夫の精度が上がるからだ。例えば、失注理由が、信頼関係不足・営業力不足にある場合は、営業ツールや営業方法の見直し、或いは、営業パーソンの力量を高める一つの目標指標になる。失注理由が、価格・品質・技術・納期等にある場合は、工場の生産性や技術力を高める一つの指標になる。すべての改善施策を打ち尽くしたにも関わらず、同じ失注理由が繰り返されている顧客がいる場合は、脈なし顧客として営業リストから外す判断もできる。失注理由が分からなければ失注分析の意味を成さなくなるので、見積提示後、一定期間が過ぎても注文がない場合は、失注理由の聞き出し作業をルーティン化するのが良いだろう。
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  • 顧客心理を読むマーケティングで売れる化を加速する方法
    顧客心理を読むマーケティングで売れる化を加速する方法商品が売れる環境を整える仕事をマーケティングと言うが、顧客心理を読む作業はマーケティングの肝と言って過言ではない。なぜなら、顧客の真理が読めれば、どんなお客様に対しても商品を売ることができるからだ。この記事では、顧客心理を読むマーケティングで売れる化を加速する方法について、詳しく解説する。顧客心理を読むマーケティングの基本顧客の心理を読むことほど難しい作業は無い。商品を売る仕事の難しさ、更には、商品を売り続けることの難しさを考えれば、このことがご理解できるだろう。顧客心理を読むための理論は様々あるが、昨今は、STP理論等を活用して顧客の属性を分類し、顧客の居場所を明らかにするマーケティング手法が一般的だ。例えば、どんなお客様がいるのか?(セグメンテーション)お客様をどうやって特定するのか?(ターゲット)そのお客様にどうやって価値を知ってもらうのか?(ポジショニング)以上3つのプロセスを経て、顧客の属性を明らかにして、その顧客に対して価値情報を発信し、売れる環境を整える手法はSTP理論の典型になる。昨今はAI技術やビックデータの活用もあり、理論の進化が見られるが、こうした理論を駆使して顧客心理を読んだとしても、独り勝ちの企業は未だに現れていない。つまり、顧客の属性を分類し、顧客の居場所を突き止めたとしても、顧客の深層心理にたどり着くのは難しいということだ。顧客心理を読むマーケティングの応用前章の解説から分かる通り、顧客心理を読む理論や技術を駆使してお客様の深層心理に近づくには限界がある。この限界を突破するには、商品を購入するお客様の身(立場)になって、顧客心理を考えるのが一番確実で効率的だ。つまり、顧客の本音(実態)にアクセスするのだ。例えば、ターゲット顧客が女子高生であれば、実際の女子高生になり切って、或いは、実際にインタビューして思考・生活観・人生観・言葉遣い・趣味趣向等を理解するほど、本音の顧客心理に近づく。中小企業の町工場がターゲット顧客であれば、実際の町工場の社長になり切って、思考・悩み・言葉遣い・人生の夢や目標等を理解するほど、本音の顧客心理に近づく。生身のお客様の深層心理に辿りつけば、自ずとお客様にフィットする商品設計、デザイン、販売戦略、営業トーク、キャッチコピー等が見つかるので、商品やサービスの売れる化が加速する。顧客心理が分かれば商品が売れる深層心理のことを「心」というが、心ほど非合理な存在はない。商品の中身は一緒でもブランドの見せ方ひとつで値段が高くても売れたり、今すぐ使わない商品を衝動買いしてみたりと、心は非合理の連続で動いている。なぜ心が非合理な動きをするのかというと、9割以上の深層心理は本人もよく分かっていないからだ。だからこそ、生身のお客様になり切って、本当の購入する理由(深層心理)を探求する姿勢が大切なのだ。お客様はどんなことに悩んでいるのか?お客様はどんな言葉をかけてほしいのか?お客様はどんな弱みやコンプレックスを抱えているのか?繰り返すが、顧客の属性を分類し、顧客の居場所を特定しただけでは商品は売れない。お客様の心に果敢にアクセス(非合理な行動分析を経て本音に触れる)して、初めて商品が売れるチャンスが生まれるのだ。
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  • 売上を上げる3つの方程式で売上拡大の方法と行動を見つける
    売上を上げる3つの方程式で売上拡大の方法と行動を見つける売上を上げる方法と行動は企業の数ほど幾通りもある。売上を効率的に上げるには、数多にある方法論の中から、自社に最もフィットする売上を上げる方法や行動を見つける必要がある。この記事では、売上を上げる3つの方程式、並びに、その方程式を活用した売上を上げる方法と行動について、詳しく解説する。2つの掛け算で売上を上げる一つ目の売上を上げる方程式は「売上=商品×顧客」である。売上は商品と顧客のかけ合わせで大きくなる。つまり、商品か顧客を増やせば売上が増えるのだ。商品数は、単純に増やせば良いというものではない。売上を上げるには、既存商品の価値を超えるもの、増幅するもの、補完するもの、関連するものなど、相乗効果を生み出すものでなければならない。既存商品との相乗効果が高い新商品・新サービスが増えれば、売上は自然と上がる。また、新商品等を生み出せない場合は、既存商品をブラッシュアップ(価値向上)し続ける方法でも、売上を上げることができる。顧客を増やして売上を上げるには、既存顧客に誠心誠意尽くすことが大前提となる。その上で絶対にやるべきことは潜在顧客の発掘(顧客化)だ。今はまだ顧客になっていない潜在顧客に対して、商品価値を認知させる活動を展開することが何よりも重要で、この活動の精度がそのまま売上の上昇率を決定づける。3つの掛け算で売上を上げる二つ目の売上を上げる方程式は「売上=客数×客単価×購入回数」である。売上は、この3つの要素を増やすほど大きくなる。つまり、客数・客単価・購入回数を増やす努力量がそのまま売上の大きさになるのだ。客数を増やして売上を上げる方法として有効なのは顧客接点を増やすことだ。顧客接点とは、企業と顧客が接触する時間や機会のことだが、社内業務の効率化や全員営業の定着等で顧客接点を増やすと売上は自然と上がる。客単価を高めて売上を上げる方法として有効なのは付加価値積算の値付け・価格交渉を徹底することだ。付加価値とは会社や商品の強みのことだが、価格の中の付加価値量が増えるほど、客単価が上がり、売上も増える。購入回数を増やして売上を上げる方法として有効なのは消費ビジネスを展開することだ。プリンターとインクのセット販売、ウォーターサーバーとお水のセット販売等が典型になるが、消費ビジネスを展開するほど、購入回数が増え、売上が上がる。顧客支持率を高めて売上を上げる三つ目の売上を上げる方程式は「売上=顧客支持率」である。売上は顧客からの支持率そのものである。つまり、顧客に尽くした結果得られる支持率の高さがそのまま売上の大きさになるのだ。顧客支持率を高めて売上を上げる方法は、商品を選ぶ権利を常に持っているお客様に対して、良い印象・体験・情報を与え続けることに尽きる。お客様は、与えられた印象・体験・情報を元に商品を評価し、購入を決定するので、顧客に対して好印象・感動の体験・価値ある情報等を多く与えるほど、売上が大きく増える。また、売上=顧客支持率という理念を組織に定着させて、顧客に喜びを与える行動量を増やすことも大切だ。こうした理念が定着すると、モラルに欠いた方法で売上を上げることが無くなるので、末永く顧客から愛される会社になり、売上の上がり方がより堅実になり、会社経営が安定する。
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  • 売上よりも利益が大切な本当の理由|利益が売上拡大の燃料になる
    売上よりも利益が大切な本当の理由|利益が売上拡大の燃料になる売上よりも利益が大切なことは、殆どの経営者が直観的に理解している。なぜなら、利益がなければ成長投資や資金繰りの状況が悪化し、会社が衰退することを肌で感じているからだ。この記事では、売上よりも利益が大切な本当の理由について、詳しく解説する。売上より利益の前に売上より利益が大切なことは殆どの経営者が理解していることだが、売上より利益を優先する前に、売上の重要性を知る必要がある。なぜなら、利益を上げるには、売上を作る必要があるからだ。しかも、売上は必ず一定ペースで自然減少するので、売上拡大の意識が弱まると、会社は簡単に衰退する。また、創業間もない頃、或いは、スタートアップ段階の新規事業は、利益を犠牲にして売上拡大を優先しなければならない局面もある。そして、何といっても、モノを売るのはじつに難しく、さらに言えば、モノを売り続けるのは至極難しい。顧客は気分屋で、ライバルは一切攻撃の手を緩めないので、少しでも気を抜くと、顧客やライバルに出し抜かれ、売上は簡単に消え去ってしまう。従って、創業から歴史を重ねて作り上げた売上は、まさに努力の結晶ともいえる貴重な代物であり、売上拡大の手を緩めることは、会社の衰退を早める危険な判断といえるのだ。売上より利益が大切な理由経営者にとって、売上の規模を拡大することは当たり前のことである。しかし、売上の規模が大きいからといって会社が安泰かというと、そうではない。顧客が認める事業価値は利益の大きさと比例するので、たとえ売上が大きかろうが、利益が小さければ、それだけ会社の魅力も劣ってしまう。さらに、利益が出ない赤字経営に陥っていれば、成長投資がゼロになるので、会社は先細る一方になる。例えば、売上100億円で赤字経営、売上1億円で利益1千万円の黒字経営の二つの会社があった場合、将来有望なのは後者の黒字経営の会社である。利益は成長投資の原資になるので、利益が大きいほど成長投資の規模が拡大し、売上の伸びが加速する。しかも、成長投資が継続されるほど、モノが売れ続ける環境が整うので、よほどのことがない限り、売上が減少することがなくなる。売上は努力の結晶である。そうした売上の規模が大きいことは素晴らしいことだが、一番大切なことは、売上に見合った利益を生み出し、成長投資を継続することだ。この成長サイクルさえ回し続ければ、売上は簡単に増え続け、企業の永続性もどんどん高まる。そして、売上より利益が大切と云われる所以はココにある。売上と利益は繁栄の両輪である売上があって利益がない会社は、じつに勿体ない状況といえる。なぜなら、利益さえ出せば、前章で解説した成長サイクルが回り始め、売上と共に利益が拡大するからだ。そこそこの売上がありながら赤字経営に陥っている会社や大きな売上を獲得している上場企業の業績悪化の事例を見ると、つくづく勿体ないと思う。それこそ、倒産してしまえば努力の結晶である売上は勿論、会社もろとも無くなる訳なので、その思いはひとしおである。利益が少ないことは勿体ないこと。そして、勿体ないことを繰り返していれば、何れバチ(罰)が当たる。この認識があれば、利益を上げるための意識が強くなるので、会社経営の質はガラリと変わる。自ずと成長サイクルが定着し、売上と共に利益が拡大する好循環が回り始める。売上と利益は会社繁栄の両輪である。売上を大切にしつつ、利益を軽んじないこと。利益を見落とさないこと。利益あっての繁栄ということを決して忘れてはならない。
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  • 中小企業の正しいマーケティング戦略|マーケティングの基本戦略
    中小企業の正しいマーケティング戦略|マーケティングの基本戦略マーケティングとは、商品が効率的に売れる環境を作る事業活動の総称のことだ。マーケティングは、会社の売上に直結する重要な活動なので、ひとたび、マーケティング戦略がうまくいくと、売上が増加し、会社の成長スピードが加速する。この記事では、中小企業の正しいマーケティング戦略について、詳しく解説する。マーケティングの成功に不可欠な3つの活動売上を作るために必要なものは「商品と市場」の2つで、どちらか一方が欠けた状態では、売上は生まれない。つまり、売上を構成する商品と市場を繋いで、安定的に商品が市場に流れる環境を作る活動こそがマーケティングの本質になる。中小企業のマーケティングを成功させるには、最低限「市場調査・広告活動・販売戦略」の3つのマーケティング活動を実践する必要がある。夫々のマーケティング活動の概要は以下の通りになる。市場調査市場調査とは、商品を必要としている顧客像を明らかにするマーケティング活動である。誰に売るべきかが明快になれば、売るための事業活動が最適化されるので、重要なマーケティングになる。広告活動広告活動とは、会社や商品の付加価値を然るべき顧客に伝達するマーケティング活動である。顧客は与えられた情報でしか商品やサービスの価値を評価することができないので、広告活動は売上を大きく左右する重要なマーケティングになる。販売戦略販売戦略とは、商品販売の効果を最大化(永続化)する環境を構築するマーケティング活動である。適正な価格、かつ、最適な流通経路で顧客に商品を届ける仕組みをデザインする重要なマーケティングになる。企業のマーケティング活動は上記3つが根幹となり、何れかの精度が欠けるとマーケティングは成功しない。中小企業が抑えるべきマーケティング戦略(活動)について、順を追って詳しく解説をする。中小企業のマーケティング「市場調査」市場調査とは、商品を必要としている顧客像を明らかにするマーケティング活動である。商品の顧客像が明快になると、自ずと商品等の付加価値設定の精度が高まるので、売上拡大、或いは、沢山売れる商品を市場に供給し易くなる。また、商品の顧客像が明快になるほど、その後の広告展開や販売戦略等のマーケティング戦略が最適化されるので、市場拡大のスピードが格段に上がる。逆に、商品の顧客像が不明瞭だと、商品やサービスの付加価値設定も不明瞭になるので、売上が減少、或いは、さっぱり売れないものを市場に供給するリスクが高まる。つまり、中小企業がこのマーケティング活動に失敗すると、商品と市場(顧客)のミスマッチを引き起こし、マーケットの拡大がとん挫するのだ。中小企業のマーケティングの成功は市場調査が握っているといっても過言ではない。中小企業のマーケティング「広告活動」広告活動とは、会社や商品の付加価値を然るべき顧客に伝達するマーケティング活動である。中小企業が、このマーケティング活動を成功させるには、徹底した大企業との差別化が欠かせない。なぜなら、中小企業が大企業と同じ土俵で勝負しても、勝てる見込みがないからだ。大企業に勝る付加価値を、大企業とは違う広告手法で顧客に届ける仕組みの構築が成功のポイントになる。中小企業の付加価値は大企業や競合他社が、簡単に真似できないものでなければ意味がない。広告手法に関しても、資金力に限りのある中小企業は、テレビCM網ではなくデジタル技術を駆使するなどの創意工夫が必要だ。広告活動が成功すれば、中小企業のマーケティングは、ほぼ成功したといっても過言ではない。中小企業のマーケティング「販売戦略」販売戦略とは、商品販売の効果を最大化(永続化)する環境を構築するマーケティング活動である。商品販売は、適正な価格で安定的に売れる環境を整えることが、長期的なプラス成長を実現するマーケティングの秘訣になる。昨今は、転売ビジネスなどの影響で、定価よりも著しく高額になる、或いは、定価よりも著しく安価になどの価格の乱高下が市場で起こり、健全な販売マーケットが育たない被害が出ている。商品価格は販売元(製造元)から離れると、独占禁止法の制限でコントロールできなくなるので、このような被害を未然に防止するには、あらかじめ販売戦略を明確にする必要がある。例えば、直営店のみで商品を販売する、或いは、当方の販売方針を理解してくれる卸売店や小売店のみに商品を販売する等の販売方針を徹底すれば、健全な販売マーケットを維持し易くなる。商品価格の高騰は流行を呼び、商品の衰退時期を早める。商品価格の下落は付加価値の陳腐化を招き、商品の衰退時期を早めるだけに止まらず、獲得利益の減少も加速させる。商品は、単に売れれば良いというものではなく、適正な価格で安定的に売れる環境を整える販売戦略の実践度が、中小企業のマーケティングの成功を左右するのだ。伊藤のワンポイントマーケティングを制する者が市場を制すると云いますが、それほどに、モノを売る仕事は難易度が高いです。売上が伸びている企業ほどマーケティングの戦略が盤石ですが、一番大切なのは「顧客は誰で、どこにいるのか?」という問いかけの答えを見つけるために行う市場調査です。ここがマーケティングの肝になります。
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  • ライバルに勝つマーケティングの方法|成功戦略はライバルが知っている
    ライバルに勝つマーケティングの方法|成功戦略はライバルが知っているマーケティングとは、商品が効率的に売れる環境を作る事業活動のことだが、マーケティングを展開するうえで注意すべき点はライバルの動向である。なぜなら、顧客が商品やサービスを選択するときの競争相手(選択肢)は、ライバルをおいて他には存在しないからだ。この記事では、中小企業がライバルに勝つマーケティングの方法について、詳しく解説する。マーケティング方法はライバルが知っているマーケティングにおいて重要な指標が二つある。ひとつは顧客、もう一つはライバルである。顧客目線をベースに展開するマーケティングは、言うまでもなく成功の絶対条件になる。加えて重要なのはライバルの動きで、ライバル企業の動向をベースに展開するマーケティングなくして、企業の成長はない。なぜなら、顧客が商品やサービスを選択するときの競争相手(選択肢)は、ライバルをおいて他には存在しないからだ。当たり前だが、ライバルに勝つには、ライバルを知り、そのライバルを追い抜く必要がある。ライバルを知れば、ライバルの出方が分かり、打ち手が明快になる。つまり、ライバルの動向をベースに展開するマーケティングなくして、会社経営の成功はないのだ。ライバルに勝つ基本のマーケティング戦略ライバルの動向をベースに展開するマーケティングの方法(戦略)は難しくない。コストリーダーシップになって大きなマーケットを構築するか、徹底した差別化を推進して大きなマーケットを構築するか、或いは、特定の領域に経営資源を集中させて小規模なマーケットで優位に立つかの3つのマーケティングの方法しかない。コストリーダーシップコストリーダーシップとは、コスト競争力でライバルよりも優位に立つことで、世界的な成功企業を挙げると、アマゾン、マクドナルド、ユニクロなどが典型になる。徹底した差別化徹底した差別化とは、ライバルとの違いを徹底して前面に出すことで、世界的な成功企業を挙げると、シャネル、アップル、スターバックスなどが典型になる。経営資源の集中経営資源の集中とは、コストリーダーシップか徹底した差別化の二者択一をしたうえで、特定の顧客層にターゲットを限定し、経営資源を集中させることだ。世界的な成功企業例を挙げると、スズキ、ダイソー、デルコンピュータ―などが典型になる。ちなみに、上記マーケティングの方法は、マイケル・E・ポーターが提唱した「競争原理」である。ポーターはこの3つのマーケティング戦略をひとつ選択し、それを徹底的するべきだと主張している。中小企業がライバルに勝つためのマーケティングに役立つ基本戦略なので、積極的に活用することをお薦めする。ライバルに勝つ実践的マーケティング手法ライバルに勝つマーケティングの実践方法について、詳しく解説する。経営資源に乏しい中小企業が、コストリーダーシップ、或いは、徹底した差別化で大きなマーケットを構築するのは至難の業だ。やはり、コストリーダーシップか徹底した差別化の二者択一をしたうえで、ターゲットを「特定の顧客層に限定」し「経営資源を集中」させるマーケティングが最も適している。この中小企業に適したマーケティング方法の基本ステップは以下の通りである。①ライバルを見渡して、競争から抜け出すための顧客ターゲットがどこにいるのかを見極める②その顧客ターゲットに対して、コストリーダーシップと徹底した差別化のどちらの戦略展開を選択するのかを決める③経営資源を集中させるマーケティングをライバルに勝つまで展開し続ける例えば、無農薬野菜の栽培販売会社は、徹底した差別化を選択し、顧客ターゲット層を無農薬野菜好きに絞ることが、マーケティング成功の秘訣になる。或いは、ライバルよりも低コストで無農薬野菜を栽培する技術があれば、コストリーダーシップとして、ライバル企業から顧客を奪い取るマーケティングも展開できる。一方、一般栽培野菜であっても、在来種や西洋野菜といった変わり種野菜の栽培販売会社は、徹底した差別化を選択し、顧客ターゲット層を変わり種の野菜好きに絞れば、マーケティングに成功する。或いは、先の例と同様、ライバルよりも低コストで野菜を栽培する技術があれば、コストリーダーシップとして、ライバル企業から顧客を奪い取るマーケティングも展開できる。兎に角、ライバルを徹底的に分析して、どの分野で勝負できるかを見極めることが、ライバルに勝つマーケティングを成功に導く秘訣になる。伊藤のワンポイントコストリーダー、差別化、集中、何れのマーケティング方法を選択するかはライバルを見れば明らかになります。マーケティングの方法論が固まれば、後は、顧客をライバルから奪還するまでマーケティングを徹底するのみです。ライバルとの競争に競り負ける会社ほど、このマーケティングが不十分です。
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  • 強いブランドを作るマーケティング戦略|マーケティングでブランドを再構築する
    強いブランドを作るマーケティング戦略|マーケティングでブランドを再構築する中小企業にとって、ブランド力という無形資産ほど、事業拡大に役立つ資源はない。なぜなら、強いブランド力を持っていれば、たとえ競合他社より商品やサービスの質が多少劣っていたとしても、一定の競争力をキープすることができるからだ。この記事では、強いブランドを作る中小企業に適したマーケティング戦略について、詳しく解説する。ブランドマーケティングとは?ブランドを作る戦略展開は、商品が効率的に売れる環境を整える戦略展開の総称であるマーケティングの範疇に入る。ブランドマーケティングは、マーケティングのなかでも会社の盛衰を大きく左右する重要戦略なので、基本戦略をしっかり抑える必要がある。例えば、強いブランド力を持っていれば、たとえ競合他社より商品やサービスの質が多少劣っていたとしても、一定の競争力をキープすることができる。つまり、中小企業にとって、ブランド力という無形資産ほど、マーケティング(販売拡大)に役立つ資源はないのだ。ブランドマーケティングの基本戦略ブランドマーケティングは、カテゴリー(ターゲット)の焦点をひとつに絞って、ブランド力を構築する手法が基本戦略になる。例えば、餃子専門店の餃子と、ラーメン屋のサイドメニューの餃子のふたつがあった場合、顧客が食べたいと思う餃子、つまり、ブランド力が高い餃子はどちらか?答えは言うまでもないが、前者の餃子専門店の餃子である。この他にも、焼き鳥屋、おでん屋、焼き肉屋のように、カテゴリーの焦点をひとつに絞ったブランド構築が、強いブランドを作るブランドマーケティングの基本戦略になる。参考まで、誤ったブランドマーケティングの戦略展開の例も紹介するが、カテゴリー、或いは、ターゲットの焦点がぼやけると、簡単にブランド力が低下する。例えば、餃子専門店が、ラーメン、焼き鳥、おでん、焼き肉などのサイドメニューを増やすほど、ブランド力は加速度的に低下する。商品を増やすことは短期的には売上増加の効果があるかも知れないが、ブランド力低下という副作用を招き、長期的な効果は見るも無残な結果になることが多い。ブランドマーケティングは、カテゴリーの焦点をひとつに絞ったブランド構築が成功の秘訣なのだ。中小企業のブランドマーケティング戦略中小企業に適したブランドマーケティングは、基本戦略の推進にある。例えば、ラーメン店であれば、みそ、しょうゆ、しお、とんこつ、つけ麺とブランドカテゴリーと顧客ターゲットを増やすのではなく、みそラーメン専門店というように、カテゴリーの焦点をひとつに絞るブランドマーケティングが、強いブランドを作る秘訣になる。そして、ブランドカテゴリーをひとつに絞った後は、ターゲット顧客層に対してブランド価値を表すひとつのメッセージを送り続けること、さらには、そのメッセージの質を高める企業努力の継続が欠かせない。ひとつのブランドカテゴリーでうまく戦略展開ができない場合は、確実にライバルに勝てるカテゴリーを新しく作る手もあるが、ブランド価値をターゲット顧客層に浸透させるには、それ相応の時間を要するので、焦りは禁物だ。なお、ブランドカテゴリーの焦点がひとつに絞られると、事業効率が著しく上がるので、ブランドマーケティングの基本戦略は一石二鳥の効果がある。先の例でいうと、ラーメンの種類が多いとオペレーションの手間がかかるが、みそラーメン専門店にするとオペレーションの手間が減り、加えて、みそラーメンの質を高めることに集中できるので、ブランド価値の構築スピードが格段に上がる。ブランドは、どんな会社であってもマーケティング次第で再構築することができる。ブランド構築に悩みを抱えている経営者は、一度、会社のブランド力を点検することをお薦めする。伊藤のワンポイントブランドマーケティングの本質は、本業を明快にすることに尽きます。本業が明快なほど新しい顧客に恵まれます。更に、事業活動のムダとムラが無くなり、生産性の高い企業体質になります。地に足の着いた経営が定着し、益々経営が安定します。逆に、本業が曖昧になるほど、客が離脱し、会社経営がガタガタになります。
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  • 市場競争に勝つマーケティング戦略|競争地位のポジショニング戦略
    市場競争に勝つマーケティング戦略|競争地位のポジショニング戦略市場競争に勝つためのマーケティング活動は企業存続の絶対条件といえる。なぜなら、競争に敗れると、即、市場から退場せざる得なくなり、会社経営が先細りになるからだ。この記事では、市場競争に勝つマーケティング戦略(競争地位別戦略)について、詳しく解説する。競争に勝つマーケティングの基本戦略市場競争に勝つには、自分の会社が市場のどの競争地位に属しているのかを正しく認識する必要がある。なぜなら、市場での競争地位が曖昧になるほど、展開するマーケティング戦略そのものが曖昧になり、市場シェアの拡大が困難になるからだ。自分の立ち位置が分からなければ、ライバルとの距離感も掴めず、やるべき事も分からずじまいになる。場合によっては、マーケティング戦略を誤り、会社が衰退することもあり得る。つまり、自分の会社の市場での競争地位を明快にすることが、市場競争に勝つマーケティング戦略の最初の一歩になるのだ。競争地位のポジショニング戦略市場における競争地位は次の4つのポジショニングに分類できる。リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの4つの競争地位である。リーダーリーダーとは、競争に勝ち続け、市場シェアトップをキープしている会社である。チャレンジャーチャレンジャーとは、市場シェア二番手の会社として、リーダーとの競争を熾烈に繰り広げている会社である。フォロワーフォロワーとは、市場シェア三番手以下の会社で、リーダーやチャレンジャー企業を追走している会社である。ニッチャーニッチャーとは、小さな市場でトップシェアを誇る会社である。特定商品・特定顧客・特定エリア等でナンバーワンを誇る会社が典型になる。ちなみに、この競争地位を分類するマーケティング戦略は、フィリップ・コトラーが提唱した「地位別戦略」である。コトラーはこの4つの競争地位を明確にしたうえでマーケティング戦略を展開することが重要だと主張している。中小企業が市場競争に勝つためのマーケティングに役立つ基本戦略なので、積極的に活用することをお薦めする。競争に勝つマーケティング|ポジショニング中小企業が市場競争に勝つマーケティング戦略を成功させるには、ポジショニングが肝になる。ポジショニングは、前章で解説した競争地位の「リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャー」の4つの何れかを選ぶことが基本になる。この競争地位は、マーケットの規模を、世界、アジア、日本、特定地域といった要領で、エリアを絞ると分かり易くなる。特に、中小企業の場合は、特定地域に絞り込んで競争地位を分類(細分化)した方が、その後のマーケティング戦略が明快になる。また、特定地域は、特定の顧客層、或いは、特定の販売網に変換してもよい。例えば、特定エリア(地域・顧客層・販売網等)で、市場シェア1位をキープしている中小企業は意外と多いが、このケースは「リーダー」という競争地位でマーケティング戦略を展開すると、市場競争に勝つことが容易になる。競争に勝つマーケティング|地位別戦略最後に、地位別(ポジショニング別)の競争に勝つマーケティング戦略について、詳しく解説する。競争に勝つ地位別戦略「リーダー」リーダーのマーケティング戦略のポイントは、二番手以下の会社が出してくる商品やサービスを徹底的に取り込む同質化を積極展開し、市場シェア1位をキープすることである。競争に勝つ地位別戦略「チャレンジャー」市場シェア二番手のチャレンジャーのマーケティング戦略のポイントは、リーダー企業を攻撃しつつ、フォロワー企業のシェアを徹底的に奪い取る戦略展開にある。市場シェア1位と3位以下を常に監視しつつ、綿密なマーケティング戦略を展開することが成功の秘訣になる。競争に勝つ地位別戦略「フォロワー」市場シェア三番手のフォロワーのマーケティング戦略のポイントは、小さな市場でトップシェアを誇るニッチャーへの転換である。なぜなら、フォロワーのマーケティング戦略は報われないことが多いからだ。多くの経営者が口を揃えて、市場シェア1位か2位以外は意味がないと言っている理由はココにある。競争に勝つ地位別戦略「ニッチャー」小さな市場でトップシェアを築いているニッチャーのマーケティング戦略のポイントは、他社が真似できない、或いは、簡単に同質化されない商品やサービスの提供にある。また、競争が激化していないニッチ市場をいち早く抑えるマーケティング展開も欠かせない。加えて、顧客、品質、価格、サービスの何れかの専門性を高める努力も不可欠だ。ニッチャーの地位別戦略は中小企業に最も適したマーケティング戦略といえる。伊藤のワンポイントマーケティングは会社経営の肝といっても過言ではありません。市場拡大(顧客創造)がとん挫すると会社が衰退するからです。中小企業が競争に勝ち市場シェアを拡大するには、リーダーかニッチャーの競争地位を確立し、その競争地位に適したマーケティング戦略を展開することが正攻法になります。
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  • 顧客ターゲット層を決めて販売拡大する方法|顧客を見つける分析・マーケティング手法
    顧客ターゲット層を決めて販売拡大する方法|顧客を見つける分析・マーケティング手法自社の顧客ターゲット層が明らかになると、販売拡大のペースが加速する。なぜなら、顧客ターゲット層が求めている商品やサービスの営業展開を効率よく進めることができるからだ。この記事では、顧客ターゲット層を決めて販売拡大を加速する分析・マーケティング方法について、詳しく解説する。顧客ターゲット層を決める目的顧客ターゲット層を決める目的は、販売拡大のペース加速にある。顧客ターゲット層が明確になると、顧客のための事業活動が最適化・積極化・集中化され、販売拡大のペースが間違いなく加速する。例えば、20代夫婦の年収400万円世代が中心の顧客ターゲット層と、50代夫婦の年収1,000万円世代が中心の顧客ターゲット層では、求める商品の値段や内容に大きな開きがでる。それぞれの顧客ターゲット層が明らかになっていれば、その顧客ターゲット層に合わせた商品作りや提案書作りができるため、成約率の高い営業展開が可能になる。逆に、それぞれの顧客ターゲット層が分からなければ、顧客目線が欠落した会社都合の商品作りや提案書作りに陥ってしまい、成約率も営業効率も極端に落ちてしまう。つまり、顧客ターゲット層を明確にしなければ、まともな営業展開など出来ないのだ。この法則は、法人営業、個人営業、更には、小売業やサービス業に至るまで、どんな業種業態にも共通する理であり、販売を拡大するためには、何よりも優先して、顧客ターゲット層を明らかにすることが大切になる。顧客ターゲット層を見つける分析方法は?顧客ターゲット層を明らかにするには、一定の顧客データが必要になる。例えば、営業展開を計画しているAエリアの年齢層、Bエリアの年齢層などといった、一定の顧客データを構成する母集団が必要で、更に、顧客データの母集団の中から、メインの顧客ターゲット層を明らかにするためのデータの分析が必要になる。顧客データの分析には、様々な手法があるが、一般的に多用されている平均値は、全く使えないので、おススメしない。なぜなら、顧客データの平均値を求めても、メインの顧客ターゲット層は明らかにならないからだ。例えば、あるエリアに「20歳が8人、100歳が2人」それぞれ住んでいたとすると、そのエリアの平均年齢は36歳になる。平均値の36歳を顧客ターゲット層に採用した商品や提案書が、20歳と100歳の住人に受け入れられることはないだろう。このように、平均値は外れ値(異常に大きい値や小さい値)に弱い特性があるので、顧客ターゲット層を明らかにするデータ分析には不向きだ。また、母集団データを大きさの順に並べたときに全体の中央に位置する値である中央値も、使えないケースがある。例えば、あるエリアの10人の年齢分布が「10、12、14、16、18、20、42、42、42、42」だった場合、このエリアの中央値は、5番目・6番目の平均〔(18+19)÷2〕である18.5歳になる。この場合、購買力のない10歳代をメインの顧客ターゲット層に採用するよりも、購買力のある40歳代を顧客ターゲット層に採用した方が、販売拡大のチャンスは大きく広がるだろう。このように、中央値はすべてのデータを考慮しない結果が出るので、重要なデータを見落としてしまうことがある。※なお、年齢層や収入分布などのデータは殆どの市町村が公表している。また、調査会社に依頼して顧客データを収集する方法もある。或いは、自らが市場調査に出かけて大よその顧客データの傾向を収集する方法もある顧客ターゲット層を決める分析・マーケティング方法メインの顧客ターゲット層を明らかにする分析方法は最頻値が最も適している。最頻値とは、データ群や確率分布で最も頻繁に出現する値で、最頻値を求めると一番大きな顧客ターゲット層が明らかになり、自ずと販売拡大のスピードが加速する。例えば、あるエリアに「20歳が8人、100歳が2人」それぞれ住んでいたとすると、このエリアの最頻値は20歳になる。この場合、顧客ターゲット層を20歳に合わせた商品や提案書を作り営業展開すれば、市場シェアの80%を占有することも可能になる。また、あるエリアの10人の年齢分布が「10、12、14、16、18、20、42、42、42、42」だった場合、このエリアの最頻値は42歳になる。この場合、10歳代よりも購買力の高い40歳代に顧客ターゲット層を絞ることで、大きな販売チャンスを創出することができる。このように、最頻値は平均値や中央値よりもメインの顧客ターゲット層を明確にする特性が強いので、おすすめの分析方法になる。ただし、最頻値は母集団のデータ数が少ないと正しい分析結果が出にくいデメリットがあるので、母集団のデータ数が少ない場合は、データの分布をグラフ化し、視覚的にデータの性質を把握し、最頻値の妥当性を検証しなければならない。伊藤のワンポイント顧客ターゲット層は、事業活動の方向性を決定づける重要な要素です。顧客ターゲット層が明確になると、顧客のための事業活動が最適化・積極化・集中化され、顧客拡大のペースが加速するからです。事実、事業拡大(顧客創造)に成功している企業ほど、顧客ターゲット層が明確です。
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  • 差別化が難しい環境下でも有効な差別化戦略|どんな会社でも差別化できる
    差別化が難しい環境下でも有効な差別化戦略|どんな会社でも差別化できる徹底した差別化戦略の推進なくして、資本力に乏しい中小企業が市場競争に生き残るのは難しい。なぜなら、提供する商品やサービスの差別化が弱まり、競合他社と同質化(コモディティ化)すると、あっという間に、市場競争からはじき出されるからだ。この記事では、差別化が難しい環境下でも有効な差別化戦略について、詳しく解説する。差別化戦略とは?差別化戦略とは、ライバルとは一線を画した付加価値を提供する戦略展開のことである。中小企業が生き残るために推進すべき差別化戦略の対象は沢山あり、商品やサービスの差別化、顧客層の差別化、価格帯の差別化、販売網の差別化、など等、その範囲は実に広い。そして、差別化戦略成功のポイントは、競合他社が真似できない、或いは、簡単には同質化されない商品やサービスの提供にある。繰り返すが、差別化効果が弱まり、事業価値が陳腐化すると市場競争からはじき出されるのは時間の問題になる。資本力に乏しい中小企業ほど、徹底した差別化戦略の推進なくして企業の成長はあり得ないといっても過言ではない。差別化困難でも効果的な差別化戦略中小企業が生き残るには、徹底した差別化戦略が欠かせないが、一方で、商品やサービスの差別化には一定の限界がある、という点も忘れてはならない。例えば、一時は差別化に成功したとしても、競争が激しい市場になるほど差別化効果を持続するのが難しい。このような、差別化が難しい環境下で有効に機能する差別化戦略がひとつある。それは、徹底した「購入環境の改善(アクセス環境の改善)」である。商品やサービスの差別化ポイントに大きな違いがない場合、顧客の決め手は、アクセスの良さ、つまり、購入環境の良さになる。例えば、商品やサービスの差別化効果が弱まったとしても、駅から近い、コンビニで買える、ネット購入の利便性が高い、ネット検索で上位に表示される、など等といった、顧客の利便性を高める改善を積極的に推し進めると「競合他社よりも購入しやすい」という差別化効果が生まれる。つまり、購入環境の改善(アクセス環境の改善)は、行き詰った差別化を打破する「効果的な差別化戦略」になるのだ。購入環境を改善する差別化戦略のポイント購入環境を改善する差別化戦略で成功を収めている企業は沢山ある。例えば、圧倒的店舗数でファストフード界をリードしているマクドナルド、ネット販売の利便性を究極に追求しているデルコンピュータ、アマゾン、アスクル、或いは、数多にある旅行予約サイトなども、徹底した購入環境の改善で差別化戦略を展開してる。また、営業マンの対応スピードの速さ、営業マンの顧客訪問回数の多さ、納期までの手際の良さなども、購入環境を改善する差別化戦略になり得る。中小企業の場合は、IT技術を徹底的に活用した差別化戦略がおススメだ。例えば、購入サイトの写真、或いは、購入ボタンの配置を変えるだけで、注文数が大きく変わる。また、購入サイトの検索順位は差別化戦略に大きな影響を及ぼすので、しっかり取り組んでほしい。なぜなら、商品やサービスの差別化努力を如何に積み重ねたとしても、検索順位が劣ると、すべての差別化努力が水の泡になるからだ。従って、定期的に情報更新するなど、サイトの検索順位をキープする努力も差別化戦略に欠かせない。顧客の理想は、購入したい商品やサービスを瞬時に購入できる環境にある。そのために何をすべきかを徹底的に実践することが、優れた購入環境の改善、強いては、強力な差別化効果を生み出す秘訣になる。伊藤のワンポイント購入のし易さ、つまり、顧客のアクセス環境を改善すると大きな差別化ポイントが生まれます。価格や品質等が横並びであっても、ライバルよりもアクセス環境が良ければ勝負に勝てますし、大企業に勝つこともできます。価格や品質等の付加価値と共にアクセス環境の改善を推進する努力が、市場競争の勝負を分かつのです。
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  • 事業拡大を加速する新規事業の作り方|失敗しない新規事業の構築法
    事業拡大を加速する新規事業の作り方|失敗しない新規事業の構築法新規事業を作る仕事は、会社成長に欠かせない。なぜなら、既存事業は必ずどこかで成長ピークを迎えるからだ。この記事では、事業拡大を加速する新規事業の作り方について、詳しく解説する。新規事業なくして成長なし会社の持続的成長を成し遂げるには、既存事業を成長ピークに持っていくことも欠かせないが、将来の収益源になり得る新規事業を定期的に作ることも不可欠になる。当然ながら、新規事業を作ることなく日々を過ごしていては、既存事業の衰退とともに、会社も衰退の一途を辿ってしまうかも知れない。新規事業を成功に導くには、新しい価値観を絶えず市場に示す経営姿勢が欠かせないが、新規事業を作ることは、決して大げさなものではない。新しい商品やサービスを市場に提供することも立派な新規事業であり、大きな投資をせずとも、新規事業を作る方法はたくさんある。ただし、新規事業には、必ず、失敗リスクがついて回ることを忘れてはならない。事実、新規事業が原因で会社が衰退したケースは数多にある。新規事業で失敗しないためには、成功する新規事業の作り方をしっかり理解することが大切だ。成功する新規事業の作り方成功する新規事業の作り方の解説に入る前に、そもそも事業を構成する要因とは何かという点について解説する。事業を構成する要因は「市場」と「商品」の二つしかなく、この二つの一方が欠けると事業は成り立たない。つまり、新規事業を作る公式は、次の3つのパターンが考えられる。①既存の市場に新しい商品を投入する②既存の商品を新しい市場に投入する③新しい商品を新しい市場に投入するちなみに、それぞれの新規事業の成功率は、①>②>③となる。③番の新しい商品を新しい市場に投入するパターンで作った新規事業は、成功率がゼロに近いので手を出さない方が良い。(素人分野で成功できるほど事業経営は甘くない)②番の既存の商品を新しい市場に投入するパターンで作った新規事業は、それなりの広告や資本力を要するので中小企業にあまり向いてない。(ITなどの安価な技術を活用した巧みな広告を展開すれば成功率が多少上がる)新規事業の作り方で成功率が最も高いのは①番で「既存の市場に新しい商品を投入する(逆もまた然り)」になる。例えば、書籍販売のネット市場に電子書籍という新商品を投入すれば、比較的簡単に新規事業を成功に導くことができる。新規事業を作る際の注意点と成功の秘訣既存の市場へ新しい商品を投入するパターンで新規事業を作る際の注意点は、新商品の付加価値になる。当たり前だが、既存商品を上回る付加価値が新商品に備わっていなければ、市場に受け入れられることはない。先の電子書籍の場合は、既存の書籍より安価で場所を取らない、という付加価値があるので問題ないが、既存商品を上回る付加価値が新商品に無ければ、新規事業は確実に失敗する。また、優れた新規事業を作るには、既存商品の深掘りが欠かせない。例えば、経営資源を十分に有効活用しているか、商品改良の余地はないか、新しい用途はないか、新しい技術を取り入れて商品の付加価値を上げられないか、など等、深掘りの余地は無限にあるものだ。深掘り活動は、新規事業アイデアの源泉になる技術やノウハウの蓄積に繋がるので、決して疎かにしてはならない。日頃の深掘り活動の質が、新規事業の成功率を高める都いっても過言ではない。伊藤のワンポイント新規事業は企業成長の絶対条件になります。ですから、成功パターンをしっかり作り込んで、展開することが大切になります。解説した通り、新規事業の成功率が高いのは本業の派生ビジネスです。新規事業のアイデアは、本業の深掘りから生まれますので、決して疎かにしないでください。
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  • 事業拡大のために理解すべき基本戦略|顧客創造と利益拡大の基本戦略とは
    事業拡大のために理解すべき基本戦略|顧客創造と利益拡大の基本戦略とは事業を拡大するには、成長投資の原資になる利益拡大が不可欠になる。そして、利益を拡大するには、会社に利益をもたらす新たな顧客を常に創造しなければならない。つまり、事業拡大を加速させる基本戦略は「利益拡大」と「顧客創造」にある。この記事では、事業拡大のために理解すべき基本戦略について、詳しく解説する。事業拡大の基本戦略事業拡大の基本戦略は「利益拡大」と「顧客創造」にある。顧客が増えれば、会社の利益が増えて事業が拡大するので、利益拡大と顧客創造は両輪の関係にあるが、それぞれの戦略には違いがある。例えば、利益拡大は、売上に対する利益や経費のバランスや、成長投資の還元サイクル、利益拡大の手段、など等、ロジックが複雑で、なお且つ、コントロールすべきポイントが沢山ある。当然ながら、利益拡大のコントロールを誤ると、会社の成長が一転して衰退の一途を辿ることもあり得る。顧客創造は、やるべきことが明快で、商品やサービスの付加価値を追求し、その付加価値を潜在顧客に発信し続けることに尽きる。逆にいうと、付加価値の追求と発信なくして、新たな顧客を創造することはできない、ということでもある。事業拡大を後押しする利益拡大と顧客創造の基本戦略について、順を追ってそれぞれ詳しく解説する。利益拡大の基本戦略利益拡大の基本戦略は、正しい利益目標の運用にある。然るべき利益目標を掲げると、間違いなく、事業拡大のスピードが加速する。利益目標は「率・額・現金」の3つの指標を使って立てると、事業拡大を後押しする目標に仕上がる。率は、掛け算の世界なので、プラスの率は利益拡大を加速させ、マイナスの率は利益拡大を失速させる。つまり、利益拡大のスピードは、率によって決まる。額は、足し算の世界なので、絶対的な利益目標を示し、率で追いつかない利益拡大施策を考えるきっかけを与えてくれる。現金は、会社の生存を保障する唯一の要素なので、利益目標とセットで運用しなければならない。また、利益の大きさと現金の大きさは比例関係に無いので、利益目標と共に現金残高の目標も掲げないと、事業拡大の失敗リスクが高まる。以上の3つの指標を使って利益目標を立てると、利益拡大と共に、事業拡大のスピードが加速する。なお、それぞれの利益目標の詳しい立て方は当サイト内の「会社を拡大する正しい利益目標の立て方」で詳しく解説している。顧客創造の基本戦略顧客創造の基本戦略は、商品やサービスの付加価値の追求と共に、その付加価値を潜在顧客に発信し続けることである。付加価値を追求し、その付加価値を潜在顧客にしっかり発信できれば、間違いなく、事業拡大のスピードが加速する。資本力のない中小企業の場合、付加価値を追求しようと思っても開発や研究資金の捻出がうまくできず、二の足を踏むケースもあると思うが、価値の再定義も立派な付加価値の追求になる。例えば、ユニクロのヒートテックなどは価値の再定義で顧客創造(事業拡大)に成功した典型例だ。ヒートテックの原型は肌色Uネックの通称ババシャツだが、カラーと生地を工夫して、おしゃれで機能的という価値を再定義することで、顧客創造(事業拡大)に大きく貢献する商品を生み出した。商品やサービスの用途やコンセプトの開発は、資金がなくても考えることができる。また、付加価値の発信についても、ホームページの活用、お店のレイアウトやPOPの活用、既存顧客へのDM、など等、資金がなくても工夫次第でいかように取り組むことができる。付加価値の追求と発信なくして、新たな顧客を創造することはできない。つまり、顧客の創造なくして、利益拡大も事業拡大もあり得ないのだ。伊藤のワンポイント事業拡大の基本戦略は利益拡大と顧客創造にあります。この両輪が上手に回ると、事業は自然と大きく成長します。業績好調をキープしている会社ほど、利益拡大と顧客創造が得意です。利益拡大は然るべき目標設定から、顧客創造は付加価値の追求と発信から、できることからコツコツと取り組んでください。
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  • 会社の強みを磨いて成長を加速する方法|企業の永続性は強みで決まる
    会社の強みを磨いて成長を加速する方法|企業の永続性は強みで決まる会社の売上は、会社の強みによって作られる。つまり、会社の強みが大きいほど売上が拡大し、会社の成長スピードが一段と加速するのだ。これといった会社の強みがない場合は、弱みを克服するところから会社の強みを形成しなければならないが、強みと弱みが共にあるのであれば、会社の強みを徹底的に磨くことを最優先すべきである。なぜなら、大概の会社は、会社の強みを徹底的に磨くことで、会社の弱みが克服されるからだ。また、会社の強みを磨く努力と会社の弱みを克服する努力の費用対効果を比べた場合、会社の強みを磨く努力の費用対効果の方がはるかに大きい。会社存続の条件は、会社の強みにあるといっても過言ではないが、会社の強みを的確に捉えている中小企業は決して多くない。例えば、せっかくの会社の強みを見逃している会社、会社の強みがあるにも関わらず磨くことを放棄している会社、会社の強みを見誤っている会社、など等、状況はまちまちだが、会社の強みが曖昧になっていることが原因で、業績が伸び悩んでいる中小企業は実に多い。会社経営において、会社の強みを的確に捉えることほど重要なことはない。会社の強みが明快なほど、経営判断に迷ったとき、或いは、経営の逆風や難題に直面した時に、誤った方向に流されないからだ。逆に、会社の強みが不明瞭だと、行き当たりバッタリの経営に陥り、衰退リスクが高まるばかりとなる。会社の強みを見つける方法会社の強みを見つける効果的な方法はスワット分析がお薦めだ。スワット分析とは、自社の強みと弱み、外部の機会と脅威を明らかにして、会社を更なる成長の原動力になり得る会社の強みを明確にする情報分析手法のことで、下図は、スワット分析のフレームワークになる。スワット分析のフレームワークは「強み・弱み・機会・脅威」の4つの要素で構成されている。強みは会社の長所、弱みは短所や課題、機会は追い風、脅威は逆風というように、それぞれ読み替えることできる。会社の現状と経営環境を見渡して、強み、弱み、機会、脅威の4つの要素を徹底的に洗い出す作業が、スワット分析の第一ステップになる。重要なポイントは、強みと弱み、或いは、機会と脅威を読み間違えないことだ。万が一、読み間違うと、会社の強みを見誤り、経営が誤った方向に誘導されることもあり得る。従って、スワット分析の出発点であるこの作業は、固定概念に捉われない客観性を持った眼で慎重かつ冷静に進める必要がある。捉え方ひとつで弱みが強みに変わる、或いは、脅威が機会に変わることは良くあることで、兎に角、独りよがりな分析をしないことが会社の強みを的確に捉える秘訣になる。また、スワット分析で客観的に会社の強みを分析すると、思いもよらぬ強みが見えてくることがある。なお、スワット分析は会社の強みを見つけるだけに止まらず、経営戦略の点検、経営結果の点検、経営者の思考点検など、あらゆる経営シーンで活用できるので、是非とも日頃の経営に活用してほしい。伊藤のワンポイントモノや情報で溢れた市場環境の中で売上を作るには会社の強みが必須です。会社の強みは周囲の環境変化や時の経過と共に変わります。ですから、スワット分析を定着させて定期的に強みを点検しなければ、強みを見誤り、会社が衰退します。会社の強みが明快になるほど、経営が安定します。
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  • 流行に負けない強いビジネスの作り方|流行に左右されないビジネスモデル
    流行に負けない強いビジネスの作り方|流行に左右されないビジネスモデル流行に乗ったビジネスほど、怖いものはない。なぜなら、流行はビジネスの規模拡大を加速する一方で、ビジネスの寿命を短くする危険な副作用があるからだ。この記事では、流行に負けない強いビジネスの作り方について、詳しく解説する。流行に乗ったビジネスは危険流行に乗ったビジネスの寿命は、じつに短い。例えば、流行に乗ったお店の行列が1年以上も続くことは稀だ。たいていは、行列が数カ月で消え、1年後には閑古鳥といったケースが殆どである。或いは、流行に乗って一時は店頭から姿を消した食品や雑貨が、数カ月後には在庫の山になる状況も珍しくない。このように、流行は、瞬間的にビジネスを拡大させる効果があるが、長期的にみると無残な結果に終わるケースが圧倒的に多い。つまり、流行に乗る努力よりも、流行に乗らない努力を継続した方が、商品やサービスの販売寿命が延びるということだ。流行に負けるビジネスの根本原因流行に負けるビジネスの根本要因は、次の3つが考えられる。ひとつは「流行の拡散スピードが速い」、ふたつ目は「情報ターゲットのミスマッチ」、三つ目は「ビジネスの完成度が低い」である。流行の拡散スピードは、ネット社会の進化と共に加速しているが、流行の拡散スピードが加速すると世間に対する流行情報の露出頻度が極端に増えるため、比較的短期間で世間から飽きられてしまい、流行が終息する。流行で行列を作ったお店が早々に閑古鳥になるケースは、流行の拡散スピードが加速しすぎたことが大きな原因だ。情報ターゲットのミスマッチは、ビジネス本来のターゲット顧客以外の顧客に流行情報が流れてしまう現象だ。流行によって一見客が増えた結果、常連客を失うケースは、情報ターゲットのミスマッチが大きな原因である。ビジネスの完成度は、流行の効果を大きく左右する。例えば、ビジネスの完成度が低いと、流行で押し寄せた顧客の期待に応えることができず、結果としてリピーターが定着せず、短期間でビジネスが衰退する。せっかく流行に乗ったビジネスが短期間で失敗に終わるケースは、以上3つの原因に端を発していることが殆どだ。流行を本物のビジネスに変える基本戦略大企業のようにテレビCM等の広告展開を継続的に展開できない中小企業にとって、流行ほど怖いものはない。万が一、コントロール不能な流行を生み出してしまうと、あっさりビジネスが破綻することもあり得る。流行に負けない強いビジネスを作る方法は一つしかない。それは、流行を本物のビジネスに変える基本戦略を展開することだ。流行を本物のビジネスに変える基本戦略は、流行に負けるビジネスの根本要因である「流行の拡散スピードが速い」、「情報ターゲットのミスマッチ」、「ビジネスの完成度が低い」を徹底的に回避する戦略展開にある。流行を本物のビジネスに変える基本戦略について、順を追って詳しく解説する。流行の拡散スピードを加速させない流行の拡散スピードを加速させる広告媒体の筆頭はメディア(TV・SNS等)になる。視聴率(閲覧率)わずか1%でも約100万人の目に触れることからも、流行を生み出す効果が極めて大きいといえる。さらに、メディア出演者の知名度や情報発信力が高いほど、流行の拡散スピードが加速度的に速まる。流行の拡散スピードを加速させないためには、メディア露出の頻度を抑えるのが最も効果的だ。目先の利益に目もくれずに取材NGを貫いているお店などは、流行に負けないビジネスを作る優れた戦略展開の典型である。また、長い期間にわたって行列が絶えないお店ほど、流行の拡散スピードが著しく遅い口コミで評判を広めているケースが多い。情報ターゲットのミスマッチを防ぐ商品やサービスを流行させたいのであれば、その商品コンセプトに合致した情報媒体を選択する必要がある。例えば、テレビ等の不特定多数を対象とした情報媒体を選ぶと、商品コンセプトにさほど共感していない一見客を大量に生み出し、常連客を追い出す結果を招きかねない。流行の効果を持続するには、商品コンセプトに合致した情報媒体を選択し、潜在的な顧客ターゲットに対して繰り返し情報発信する姿勢が欠かせない。潜在的な顧客ターゲットに然るべき情報が届くと、ビジネスコンセプトの輪郭が際立ってくるので、流行に負けないビジネス基盤が一段と盤石になる。ビジネスの完成度を高めるモノ、コト、消費、どのビジネス分野においても、リピーターなくしてビジネスは成り立たない。当然ながら、流行したビジネスの完成度が低いために、リピーターが獲得できなければ、流行が一巡した途端に、ビジネスが行き詰る。流行に浮かれることなく、ビジネスの完成度を高める姿勢を貫くことがリピーターを獲得する秘訣であり、流行に負けないビジネスを作る基本原則である。伊藤のワンポイント流行ほど怖いものはなく、往々にして安定経営の障害になります。流行に負けないビジネスを作るには、そのビジネスの完成度を高め続けるしかありません。そのためにすべきことは、経営課題と共に変化するターゲット顧客をしっかり捉え続けることです。流行に浮かれて、課題と顧客を見誤ると、あっさり衰退します。
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  • 売れる営業マンが持っている売る力を徹底解説|モノを売る技術・戦略・コツ
    売れる営業マンが持っている売る力を徹底解説|モノを売る技術・戦略・コツ会社経営は商品やサービスを売って初めて成り立つ。従って、売れる営業マンを育成し、会社の売る力を強化し続けないと、たとえ卓越した技術やノウハウがあったとしても、何れ会社が衰退する。また、ビジネスのなかで最も難易度の高い仕事が「モノを売る(売上を作る)」仕事なので、いかにして売れる営業マンを育成するかが、ライバル企業に差をつけるポイントになる。売れる営業マンほど売れる法則を理解し、明快な判断基準と自信をもってモノを売っている。この記事では、売れる営業マンが持っている売る力について、詳しく解説する。売る力その1「売る姿勢」売る力その1は「売る姿勢」について解説する。売る姿勢で最も重要なのは、顧客の要望を聞き出す事である。こちらから一方通行で話していては、相手が引いてしまい、要望や本音が隠される。売る側が聞き役になり、要望を聞き出したところで、その要望に合致する商品を提案する、これが売れる営業マンが実践している正攻法だ。また、提案商品の説明は30秒以内にまとめることも重要だ。30秒以内に「どんなメリットの商品を誰にいくらで提供できる」という具体的説明ができると、相手は内容を即座に理解するし、購入決定権のある人への説明や口コミもスムーズに運ぶ。そして、提案商品は複数商品よりも、1つに絞った方が相手を説得しやすくなる。3つも4つも提案して全てが破断になるより、顧客のメリットに適う1つのアイテムに全力を傾けた方が営業マンも売りやすくなるし、顧客側も買いやすくなる。売る力その2「価格の妥当性」売る力その2は「価格の妥当性」について解説する。営業マンが商品価格の妥当性を訴求する方法は「原価・競合・付加価値」の3つのアプローチがある。同じ商品であっても、相手が高いと思うか安いと思うかは、価格のアプローチで決まるので、売る力を身につけるうえで非常に重要なポイントになる。原価で価格の妥当性を訴求する方法は、原価の公開が前提になる。当然ながら、顧客側の興味の対象が価格だけになってしまうので、売れる営業マンは採用しない。競合で価格の妥当性を訴求する方法は、ライバル企業の価格が基準になる。ライバル企業が値引合戦を仕掛けた途端に安値競争に突入し、会社の体力が加速度的に衰弱するので、売れる営業マンは採用しない。付加価値で価格の妥当性を訴求する方法は、売れる営業マンが実践している方法である。なぜなら、価格を上回る付加価値が提示できた段階で割安感が演出され、原価やライバル企業に関係なく商品が売れるからだ。商品付加価値を多角的視点で捉えて、明快に提案するスキルを兼ね添えているのも売れる営業マンの特徴だ。売る力その3「売り込む顧客」売る力その3は「売り込む顧客」について解説する。売り込む顧客は二種類しかいない。「新規」か「既存」かである。売り込みを優先すべき顧客は断然「既存顧客」になる。なぜなら、既存顧客の購入単価は新規顧客の数倍に達するからだ。高客単価の既存顧客が増えるほど紹介等の口コミや宣伝効果も高まり、営業効率がどんどん向上するので、既存顧客への売り込みが会社の売る力を引き上げる秘訣になる。新規顧客への売り込みは、2回売り込んで売れなかったら一度捨てるという基準を設けると良い。3回売り込んでも成約しない場合は、成約率が殆ど期待できないので、諦めて新しい別の新規や既存顧客への売り込みに時間を使った方が全体の売上成約率が上がる。※ここでいう新規顧客への売り込みとはお互い同じテーブルに座ってじっくり商談を実施したことを指す。従って、飛び込み営業や電話営業の回数ではない売る力その4「売値の選択肢」売る力その4は「売値の選択肢」について解説する。売値の選択肢は非常に重要で、例えば、売値の選択肢が1つしかないと買いにくく、売値の選択肢が複数あると買いやすいというのが、顧客の購買心理である。例えば、紳士靴売り場で、1万円の靴しか置いていない店は、比較対象がライバル店になるので、その場で購入の決断をするのが難しくなる。1万円と2万円のふたつの選択の場合は、高いか安いかの判断が曖昧になり、同様に購入の決断をするのが難しくなる。ここに、1万円、2万円、5万円と3つの選択肢を提供すると、そのお店の中で価格の妥当性を判断できるので、自信を持って購入できるようになる。価格選択肢の基本は松竹梅と云われているように、最低、3つの選択肢を提供することが売れる営業マンが実践している正攻法だ。売る力その5「売る目的」売る力その5は「売る目的」について解説する。商品は、顧客の買う目的と売る目的が合致した時に売れる。つまり、顧客の買う目的を知ることが、売る力を高める秘訣になるのだ。顧客が商品を買う目的はさまざまあるが、例えば、必要だから、便利だから、お得だから、良いものだから、オシャレだから、高級品だから、贅沢できるから、珍しいから、好きだから、評判だから、健康のため、美容のため、投資のため、他人のため、見栄のため、など等、顧客の消費活動には必ず目的がある。当然ながら、顧客の買う目的は、同じ商品であっても顧客によって十人十色である。売れる営業マンは、顧客の真理を読んで、顧客の買う目的に合わせてセールストークを構築している。自ずと、セールストークは腑に落ちるものになるし、成約率も格段に上がる。売れる営業マンの特徴と習慣のまとめ会社経営は商品やサービスを売って初めて成り立つので、売れる営業マンを育成し、会社の売る力を強化し続けないと、たとえ卓越した技術やノウハウがあったとしても、何れ会社が衰退する。この記事では、売れる営業マンの特徴と習慣を5つの視点で詳しく解説したが、最後にもう一度おさらいする。売れる営業マンは聞き上手売れる営業マンは聞き上手で、商品のストロングポイントを30秒以内で明快に提案することができる。さらに、売り込む商品を顧客の要望に合わせて絞り込み、買いやすい環境を整えている。売れる営業マンは価格を気にしていない売れる営業マンは価格を気にしていない。商品付加価値を多角的視点で捉えて、明快に付加価値価値を伝えるスキルを持っているので、常に価格を上回る割安感を演出している。売れる営業マンは売り込む相手を熟知している売れる営業マンは新規と既存顧客への売り込み方を心得ている。新規顧客には2回程度のアタックで一呼吸置き、優良な既存顧客には徹底的にアタックをかけている。常に営業効率を上げるための動きに徹し、紹介等の口コミや宣伝効果、並びに、売上の成約率を最大化している。売れる営業マンは価格の選択肢を提示している売れる営業マンは松竹梅的な価格の選択肢を常に顧客に与え、顧客自身が価格の妥当性を考え、自信を持って購入できるような環境をしっかり演出している。売れる営業マンは顧客の真理を読んでいる売れる営業マンは顧客が商品を買う目的、いわゆる、顧客の購入心理を読んでセールストークを構築している。顧客にとって腑に落ちるセールストークを展開することで、売上成約率を格段に上げている。
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  • 競合ベンチマークで事業を拡大する方法|競合ベンチマークのメリット・デメリット
    競合ベンチマークで事業を拡大する方法|競合ベンチマークのメリット・デメリットベンチマークとは、建築物などの位置や高さなどの水準点または基準点に用いる測量用語だ。経済分野においても、水準点や基準点を示す比較指標(ベンチマーク)として、IT、金融、投資、或いは、会社経営の営業・マーケティングや研究開発の現場でも広く活用されている。この記事では、競合ベンチマークで事業を拡大する方法、並びに、競合ベンチマークのメリット・デメリットについて、詳しく解説する。競合ベンチマークのメリット競合企業を比較指標としてベンチマークし、自社が抱える経営課題を解決する方法、或いは、新しい商品やサービスを開発する方法はベンチマーキングの典型例になる。比較指標として競合をベンチマークすると、現状(自社)と目標(競合)のギャップが明確になるので、やるべきことが明らかになり事業活動の生産性が一段と上がる。つまり、ベンチマークの活用次第で、営業・マーケティングや研究開発の効率が向上し、事業拡大のスピードが一段と加速するのだ。ベンチマーキングは小さな会社であっても、経営者のヤル気ひとつで実践することができる優れたマーケティング手法でもある。例えば、小さな中小企業から出発したマクドナルドの創業者であるレイ・クロックは自身の著書“成功はゴミ箱の中に”の中で次のように語っている。「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。知りたいものは全部転がっている。私が深夜二時に競争相手のごみ箱を漁って前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない。強みを鍛え、付加価値に力を入れれば我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう。」これなどは競合ベンチマークの好例で、事実、競合を比較指標としてベンチマークして、徹底的に競合を分析し、自社の経営課題を次々と解決していったマクドナルドは、世界的企業に成長した。競合ベンチマークのデメリット事業を拡大するうえで競合をベンチマークすることは有効な手段ではあるが、デメリット(弊害)もある。それは、会社組織全体の発想力や創造性が抑制され、革新的なビジネスアイデアが生まれなくなる、というデメリット(弊害)だ。例えば、ライバル関係にある競合企業をベンチマークすると、そのライバル企業の商品なりサービスを少し上回る程度の水準が目標になってしまう。こうなると、組織の思考がライバル企業のベンチマークに縛られ、発想力や創造性に富んだ世界を変えるような革新的なビジネスアイデアが生まれにくい土壌が定着してしまう。ちなみに、革新的な商品やサービスを数多く生み出したアップル社創業者のスティーブ・ジョブスは、他人と自分を比較するベンチマークを徹底的に嫌った。折にふれてライバル企業に勝つための比較や妥協の無意味さを指摘し「僕たちの天命はそこにはない。他社には絶対に真似が出来ない、そして、真似しようとすら思わないレベルの革新を続ける。次にどんな夢を描けるか、僕たちにとってはそれがいつも重要なのだ」とも語っている。また、ジョブスが尊敬するウォルト・ディズニーはひとつの成功に満足せず、「次はもっとすごいものを、みんながあっと驚くものを」と夢を追い続け、「次回作こそが最高傑作」と言い続けた。競合ベンチマークで事業を拡大する方法競合のベンチマークは、事業拡大のスピードを加速する一方で、発想力や創造性を低下させる弊害がある。大切なのは、ベンチマークのメリットとデメリットを理解した上で、時と場合に応じて、柔軟にベンチマークを活用することだ。例えば、中小企業においては、どんなスタッフでも理解しやすい競合ベンチマークは、日々の仕事の効率を高める有効な指標になるし、経営改善の具体的目標にもなり得る。一方で、新しい商品やサービスを考える場合は、競合のベンチマークに縛られ過ぎず、自由な発想や創造性を持った意見を大切にする思考が必要だ。伊藤のワンポイント競合ベンチマークは企業の創造性等を低下させるデメリットがありますが、中小企業の安定経営という視点で考えるとメリットの方が大きいです。自分の欠点や立ち位置等の客観的事実が分かり、目指すべき目標が明快になるからです。会社経営の成功に欠かせない正しい努力や過ちの修正は競合ベンチマークから生まれます。
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  • 多角的視点で売上を上げる方法|視点を変えるとビジネスが成長する
    多角的視点で売上を上げる方法|視点を変えるとビジネスが成長する多角的視点とは、ひとつの物事を複数の視点で分析する見方のことである。殆どの会社の売上は、昔から存在する商品やサービスの付加価値の変化(進化)によって生み出されているが、そうした変化を生み出すには多角的視点が不可欠になる。この記事では、多角的視点で売上を上げる方法について、詳しく解説する。多角的視点とは?多角的視点とは、ひとつの物事・事象・対象等を複数の視点で分析する見方や思考のことである。ひとつの対象を相対的に分析する相対比較(メリット・デメリット等)も多角的視点の範疇に入るが、多角的視点は複雑化した物事等をシンプルに分解する、或いは、本質をあぶり出す効果がある。また、多角的視点で分析するほど、視野や考え方が広がるので、今まで気が付かなかった、或いは、今まで見えなかった景色やアイデアが浮かぶようになる。殆どの会社の売上は、昔から存在する商品やサービスの付加価値の変化(進化)によって生み出されているが、そうした変化(進化)を生み出す方法として、多角的視点は大いに役立つ。多角的視点で売上を上げる方法多角的視点で売上を上げる方法は簡単である。世の中に既に存在する商品やサービスを多角的視点で見つめ直し、視点をズラしながら付加価値を再定義・再発掘し、新商品を開発・投入するだけで新たな売上を作ることができる。多角的視点で売上を上げる方法の具体例をいくつか挙げる。肌着に機能性を再定義したユニクロ、フィットネスにダイエットを再定義したライザップは、多角的視点で付加価値を再定義し、新たな売上を増やした。イギリスの作曲家のグスターヴ・ホルストの管弦楽組曲第4楽章「木星」を編曲した平原綾香の大ヒットデビュー曲「ジュピター」は、多角的視点で楽曲の付加価値を再発掘し、新たな売上を増やした。また、クラシック音楽をジャズやポップス等に編曲、或いは、昔の曲を今風に編曲する手法も多角的視点で付加価値を再定義・再発掘し、新たな売上を増やす典型例になる。素材(食材)に含まれる健康成分や健康機能に着目して様々な機能性素材(食品)やサプリメントを開発する手法も、多角的視点で付加価値を再定義・再発掘し、新たな売上を増やす典型例になる。視点を変えると売上(ビジネス)が成長する新たな売上(ビジネス)を作る方法を大別すると「便乗型・補完型・創造型」の3種類の型がある。便乗型は集客力のある施設やエリアの需要に便乗するビジネス、補完型は既存ビジネスでは対応しきれていない弱点を補うビジネス、創造型は未だ世の中に存在しない商品等を提供するビジネスになるが、この中で最もビジネスの創出が簡単な分野は「補完型」になる。補完型ビジネスは創出が簡単で、なお且つ、収益が安定しやすいメリットがあり、さらに、既存ビジネスが源泉になるので、多角的視点を活用するほど、沢山のビジネスアイデアが浮かんでくる。例えば、自社の既存商品や顧客、或いは、経営資源を多角的視点で分析すれば、売上拡大のヒントや派生ビジネスのアイデアが見つかる。また、市場(種々の小売店・コンビニ・メディア等々)を多角的視点で見渡せば、必ず売上拡大のヒントが見つかる。視点(見方・思考含む)を変えるだけで、新たな売上(ビジネス)を増やすことは誰にでもでき、多角的視点を活用するほど会社の成長は加速する。
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  • デザイン力を上げる方法|デザイン力UPと売上UPは繋がっている
    デザイン力を上げる方法|デザイン力UPと売上UPは繋がっているデザイン力UPと売上UPは繋がっている。なぜなら、デザインは顧客の購買意欲を上げる効果があるからだ。この記事では、デザイン力と売上の関係性、並びに、デザイン力を上げる方法について、詳しく解説する。デザインとは?デザインとは、見た目の美しさ(審美性)を表す全般的な表現行為、或いは、計画行為のことである。デザインを分類すると、芸術的デザイン、商業的デザイン、計画的デザインなど等、その範囲はじつに広く、ビジネスとの関係性も深い。芸術的デザインには、芸術品・美術品・絵画等の製作・創作、建築物等の設計・装飾、風景や人物写真の撮影などがあり、商業的デザインや計画的デザインの見本になり得る根源的デザインといえる。商業的デザインには、広告、システム、インフラ、空間、レイアウト、意匠(あらゆる日用品・道具・家具・服飾・建築物・工業製品など等)などがあり、ビジネスとの関りが極めて深い領域のデザインになる。デザイナーと呼ばれる職業が活躍するデザイン分野でもある。計画的デザインには、事業計画、事業戦略、キャリア、学習、教育、人生設計、生活スタイルなど等、目標達成、或いは、将来のあるべき姿を構築するための計画行為全般のデザインが含まれ、商業的デザイン同様にビジネスとの関りが深い領域のデザインになる。デザイン力とは?デザイン力とは、デザインの価値基準になり得る審美性・伝達性・再現性等を高いレベルで表現する力のことである。例えば、芸術的デザインは審美性、商業的デザインは伝達性、計画的デザインは再現性が高いほど、デザイン(デザイナー)の価値が上がる。芸術的デザインの審美性は、評価が主観に偏るので、デザイン力を正しく評価することが難しいが、商業的デザインと計画的デザインの伝達性と再現性は、客観的評価によってデザイン力を格付けすることができる。つまり、商業的デザイン力は、買いたいと思わせる広告、商品の魅力が伝わる日用品、カッコいいと思わせる道具・工業製品、美しいと思わせる家具・服飾・建築物など等、デザインの伝達性が肝になる。計画的デザイン力は、事業計画の達成度、事業戦略の実践度、学習や教育の進捗度や習得度、キャリア・人生設計・生活スタイルの実現度など等、デザインの再現性が肝になる。何れのデザイン分野も、デザイン力さえあればデザイナーとしての活躍の場が広がり、デザイン力の高いデザイナーを活用するほど、人生や事業の成長や発展が加速する。デザイン力を上げる方法デザイン力を上げる方法は、様々なアプローチがあるが、ここでは中小企業経営者でも簡単にできる3つの方法を紹介する。一つは「デザインをみる」、二つめは「デザインを学ぶ」、三つめは「デザイナーを活用する」である。それぞれのデザイン力を上げる方法について、詳しく解説する。デザインをみるデザイン力を上げるには、審美性の高い美しいデザインに数多く触れることが効果的だ。美しいデザインの見本は世の中に溢れている。美術館に通うも良し、一流のものに触れるも良し、広告に注目するも良し、デザイン集を買うも良し、お店を眺めるも良し、とにかく数多くのデザイン見本を見ることで、デザイン力が養われる。デザインを学ぶデザイン力を上げる審美眼、或いは、技術やテクニックを学ぶ方法は美術学校だけが全てではない。デザインに関する書籍を読み漁って学ぶ方法もある。デザインの書籍は、広告、システム、インフラ、空間、レイアウト、意匠(あらゆる日用品・道具・家具・服飾・建築物・工業製品など等)など、あらゆる分野のものが揃っている。デザイナーを活用するデザイン力を上げるために美しいデザインの見聞がなかなか出来ない社長は、デザイン力の高いデザイナーを活用して、デザイン力を上げる方法もある。金銭的な余裕がない場合は、会社が付き合っているデザイナーとのコミュニケーションを充実させて、デザイン力を磨く方法もある。デザイン力UPと売上UPの相関性冒頭で述べた通り、デザイン力UPと売上UPは繋がっている。なぜなら、デザインは顧客の購買意欲を上げる効果があるからだ。例えば、お茶などの清涼飲料水(ペットボトル)を2本(同種類)並べて、片方のデザイン(プララベル)を剥がして見比べると、中身が同じでも、デザインなしの方が途端に不味く感じ、購買意欲も萎える。また、デザインがあれば、前回購入時の商品イメージが記憶に残るので、リピート購入の際に、選択され易くなる。この他も、車、家具、文具、日用品など等、機能が同じでも、デザイン力次第で購買意欲が変わるケースは数多にある。また、広告宣伝に関してもデザイン力次第で反応率が大きく変わり、事業計画等に関してもデザイン力によって達成率が大きく変わる。このように、デザイン力(審美性・伝達性・再現性)と売上には相関があり、デザインに無頓着な会社ほど、モノが良くても売上が低迷する衰退パターンにハマり易くなる。デザイン力を上げる方法のまとめデザインとは、見た目の美しさ(審美性)を表す全般的な表現、或いは、計画行為のことで、芸術的デザイン、商業的デザイン、計画的デザインなど等、その範囲はじつに広く、ビジネスとの関係性も深い。デザイン力は、デザインの価値基準になり得る審美性・伝達性・再現性等を高いレベルで表現する力のことで、商業的デザインと計画的デザインの伝達性と再現性は、客観的評価によってデザイン力を格付けすることができる。デザイン力を上げる方法は「デザインをみる・デザインを学ぶ・デザイナーを活用する」等の方法が効果的で、中小企業経営者であっても簡単に取り組むことができる。デザイン力(審美性・伝達性・再現性)と売上には相関があり、デザインに無頓着な会社ほど、モノが良くても売上が低迷する衰退パターンにハマり易くなる。売上低迷に悩んでいる中小企業ほど、会社に関連するあらゆるデザインを丁寧に見直すことをお薦めする。
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  • 値上げに成功する方法|説得力を高める値上げの時期・理由・根拠
    値上げに成功する方法|説得力を高める値上げの時期・理由・根拠値上げは会社の盛衰を決定づける重要な仕事になる。なぜなら、一定の収益を確保するための値上げが出来なければ、収益が先細り、時の経過と共に会社が衰退するからだ。この記事では、値上げに成功する方法、並びに、説得力を高める値上げの時期・理由・根拠等について、詳しく解説する。値上げに成功する時期値上げに成功する時期について、詳しく解説する。値上げに成功する時期(タイミング)は、周囲の環境と値上げまでの猶予期間が肝になる。周囲の環境とは、言うまでもなく、値上げ機運が高まっている情勢のことで、経済事情から多くの企業が値上げを積極化している時期は、値上げに成功し易い。こうした情勢を見逃すと、値上げの提案がし辛くなるだけでなく、値上げの正当性も否定され易くなるので、値上げの難易度が数段上がる。値上げ情勢が整った時期を逃さないことが値上げを成功に導く秘訣になる。値上げまでの猶予期間も重要だ。例えば、提案後一月後に値上げする等、値上げまでの猶予期間が短いほど、相手の反発が大きくなるので値上げの成功率が著しく下がる。値上げは、提案後3~6ヶ月の猶予を与えるのがマナーで、相手に対して一定の猶予期間を与えるほど、相手も対策を打てるので、値上げが成功し易くなる。つまり、値上げの適切なタイミングを掴むには、最低でも半年先の経済情勢を読んだ会社経営を日々実践しなければならないのだ。値上げに成功する理由と根拠値上げに成功する理由と根拠について、詳しく解説する。値上げの理由は、仮定の話ではなく、事実を具体的に積み重ねると、相手に受け入れやすくなる。例えば、材料コストが上がった為だけでなく、コスト上昇の背景、コスト上昇の時期、前回値上げ時からの上昇率、一時的ではなく恒久的に上がること等、事実を具体的に積み重ねることが大切だ。また、値上げすることで品質がキープできる、値上げすることで設備の陳腐化が防げる、値上げすることで製造事故が防止できる、値上げすることで採算割れが改善される、値上げすることで供給ルートの安定化が図れるなど、値上げする理由を補強する根拠についても、様々な角度から事実を積み重ねることが大切だ。こうした事実は視野を広めるほど沢山発掘できる。そして、値上げの理由と根拠を支える具体的事実が多いほど、値上げの成功率が上がる。値上げの説得力を高める方法値上げの説得力を高める方法について、詳しく解説する。値上げの説得力を高めるポイントは3つある。企業努力・従前価格の条件・競合との差別化である。企業努力は値上げの説得力を高める絶対条件と言える。コスト削減や拠点の統廃合など、こちらが身を切る覚悟を示せば、相手の値上げに対する感情は相当和らぐ。従前価格(値上げ前の価格)の受注条件を示すことも値上げの説得力を高める効果がある。例えば、1個100円から120円に値上がりした商品の納品ロットを、従前の10個から100個に増やすことで値上げ前の100円で納品できる等の条件を示す方法は典型になる。競合との差別化も値上げの説得力を高めるうえで欠かせない。なぜなら、最終的にはライバルの出方を見ながら値上げを決定することになるからだ。特に、ライバルが値上げしない中で値上げを成功させるには、ライバルとの差別化ポイント(強み)が絶対必要になる。値上げの説得力を高める差別化ポイントは一朝一夕では生み出せないので、日頃の経営姿勢が重要になる。しっかり強みを磨き尽くせば、値上げに翻弄されないオンリーワン企業に生まれ変わるので、日頃から定着させることをお薦めする。
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  • 攻めと守りで先手を打つことが事業存続の絶対条件!!!
    攻めと守りで先手を打つことが事業存続の絶対条件!!!事業の存続は「先手を打つこと」が絶対条件になる。お客様やライバルはこちらの都合にお構いなく先に進むので、対応が後手に回ると成長に陰りが出るからだ。この記事では、事業の存続を決定づける攻めと守りの先手の打ち方について、詳しく解説する。先手の打ち方は攻めと守りがある先手の打ち方は多種多様にあるが、攻めの姿勢と守りの姿勢に分別すると分かりやすい。攻めの姿勢の代表格は「顧客創造」と「成長投資」になる。毎年一定数のお客様は必ず離脱する。売上をキープするためには、その離脱分をカバーする顧客創造の取組みが欠かせない。また、お客様を生み出し続けるための事業価値(商品力・設備力・生産性・ビジネスモデル等)を高める成長投資も不可欠だ。守りの姿勢の代表格は「現金拡大」と「コスト削減」になる。会社は現金が無くなった瞬間に倒産するので、現金の拡大は売上や利益の拡大よりも重要になる。また、コストの削減も極めて重要だ。ライバルよりも少ないコストで商品を提供することができれば、競争の優位性をいつまでも保てるからだ。攻めの姿勢で事業収益を拡大する顧客創造や成長投資などの攻めの姿勢は事業収益の拡大を後押しする。顧客創造のポイントは二つある。目の前のお客様に尽くすことと、まだ見ぬお客様にアプローチし続けることだ。取引金額の多寡にかかわらず、熱意と誠実さを持って目の前のお客様に尽くすことは商売繁盛の大原則だ。そのうえで、まだ見ぬお客様に対して会社や商品を知って頂く機会を積極的に作ることが肝要になる。例えば、会社の強みや商品のニーズ、あるいは、商品の使い方やお手入れの方法をお客様目線で撮影し、その動画をホームページやSNS等のITツールで発信することはじつに効果的だ。成長投資は、戦術的・戦略的・中長期的な投資をバランスよく実践することが大切だ。戦術的投資とは、販促・広告・チラシ・在庫充実・キャンペーン等の毎年見直すべき投資。戦略的投資とは、IT化・人材育成・後継者育成・生産性改善等の長期に亘り毎年支出する投資。中長期的投資とは、設備投資・大規模修繕・大型リース等々、比較的投資金額が大きく、投資効果が中長期に及ぶ投資である。販売業は、戦術的>戦略的>中長期的の割合で投資配分すると成長投資の効果が大きくなり、資本集約型の製造業等は、中長期的>戦略的>戦術的の割合で投資配分すると成長投資の効果が大きくなる。このバランスを意識しながら成長投資を続けると、事業収益が拡大されるだけでなく、後継者難や設備の老朽化などに悩まされることのない、じつに健全な会社経営が定着する。守りの姿勢で事業基盤を強化する現金拡大やコスト削減などの守りの姿勢は事業基盤の強化を後押しする。現金拡大は、売上より利益、利益より現金を意識することで大きな成果が得られる。現金残高の目標は月商の2倍以上が目安になる(年商2億円以下は4倍以上)。現金水準が目標の2倍以上になると、経営基盤が一段と強くなる。コスト削減のネタは、技術革新や社会インフラの進化と共に常に絶えず生まれる。物流インフラが進化すれば調達コストが削減されるし、自動化や機械化が進めば労働コストが下がる。つまり、徹底的にコストを削減したとしても、世の中が進歩する限りはコスト削減の限界は訪れない。無駄なコストは、経営者の油断によって生まれるだけでなく、世の中の進歩から後れをとることでも生まれる。無駄なコストを生み出さないためには、会社内部だけでなく、会社の外に対してもアンテナを張って、最新の情報やテクノロジーに関心を持つことが大切だ。また、お客様目線でコストの在り方を点検し、トライ&エラーを繰り返しながらコストの費用対効果を最大化する取り組みも欠かせない。更に、コスト削減や生産性の改善を推進する一方で、未来の売上を作る成長投資コストを許容することも必要だ。世界規模で躍進している大企業や盤石な成長を遂げている新興企業だけでなく、元気な会社ほどコスト削減に貪欲で、事業活動にしっかり定着させている。企業の存続は打ち手のスピードで決まるここまでの解説で、事業存続のために、攻めの姿勢と守りの姿勢の両面で「先手を打つ」ことがいかに重要かお分かり頂けたと思う。また、攻めと守りのどちらか一辺倒では事業の存続が難しいこともご理解頂けたと思う。成長企業ほど、打ち手のスピードが早い。自然消滅する売上をカバーするだけでなく、未来の売上を作るための経営努力を先手先手で実践し、着実に業績を拡大している。しかも、ベンチャー企業や新興企業等が市場に新規参入する前に、抜かりなく先手を打っている。目の前の業績が好調でも、少しの油断で対応が後手に回ると、時の経過と共に業績が不調に転じる。とにかく、お客様からの支持を一層得るため、あるいは、ライバルに一段と差をつけるために先手を打ち続けることが事業存続の絶対条件になる。先手を打ち続ければ、現状に満足せず、全員でさらに上を目指す風土が組織全体に定着し、結果として、経営基盤がますます盤石になる。できることからで構わないので、優先順位をつけて一点集中で先手先手の経営努力を実践してみてほしい。きっと、大きな成果に結びつくはずだ。
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  • 会社の強みはオンリーワンとナンバーワンを狙え!!!
    会社の強みはオンリーワンとナンバーワンを狙え!!!なぜ、会社の強みを磨くことが重要なのか?それは、企業は、経済不況、ライバルの台頭、テクノロジーの進歩等、様々な逆境や環境の変化のたびに、厳しいふるいにかけられるからだ。事業を存続させるためには、ふるいに残るだけの強みが必要になるが、強みを磨くことの難しさを実感している経営者も多いかと思う。この記事では、事業存続を大きく左右する強みの磨き方について、詳しく解説する。小さな会社の強みの磨き方の正攻法とは会社の強みを磨くうえで抑えておきたいポイントは、小さな会社ほど、大企業とは別のアプローチで強みを磨く必要があるということだ。強みを継続的に磨くには、大企業のように規模の経済(大量製造・大量販売)を追求したり、多額の宣伝コストを投じたりするのではなく、会社の規模や予算に見合った磨き方を定着させることが何よりも大切になる。お薦めの方法は「オンリーワン」と「ナンバーワン」を追求する方法だ。オンリーワンとは、この人(この会社)から買いたい、ココにしかない、やっぱりコレしかない等と顧客に思わせる強みである。ナンバーワンとは、地域シェア・顧客満足度・コストパフォーマンス1位、世界初・世界最小・世界最軽量等の購買意欲を刺激する強みである。オンリーワンとナンバーワンの強みが沢山あるほど、お客様から選ばれる会社になるので、自ずと事業の存続が安泰になる。オンリーワンの強みは信頼から生まれる顧客を魅了するオンリーワンの強みは「信頼」が肝になる。信頼が無ければ、誰からも相手にされないからだ。お客様からの信頼が大きいほど強みのすそ野が広がり、商品が売れやすくなるので、毎日、コツコツと信頼を積み重ねることが強みを作るはじめの一歩になる。例えば、会社のエゴや欲得を脇に置いてお客様に尽くす。お客様の声に耳を傾ける。お客様への感謝を形に表す。至らなさを自覚し常に改善する。本質的な学びを探求し経営哲学や理念を研鑽する、等の経営姿勢を日々実践し続けると、会社の強み(魅力)がどんどん開花し、たくさんのお客様から愛される会社になる。また、お客様の時間・収益・コスト削減等に貢献する姿勢も信頼構築に役立つ。例えば、お役立ち情報を積極的に発信する、注文取次・商品発送・修理窓口に至るまで一括フォローする、商品在庫やラインナップを充実させて探す手間を無くす、信頼のおけるブランドや顧客の収益等に貢献する商品を数多く揃える、掛け売りで購入資金を一時的に負担する、等の経営姿勢はお客様との信頼関係を深める。信頼は全ての強みの土台になる。経営姿勢ひとつで信頼が大きく変わるので、出来ることから実践することをお薦めする。お客様に対して、礼を欠いたり、嘘をついたり、騙したり、欺いたり、仕事の手を抜いたりすると、積み上げた信頼が一瞬で失墜するので、くれぐれも留意してほしい。ストーリーもオンリーワンの強みになるお客様の心に響く「ストーリー(物語)」もオンリーワンの強みになる。ストーリーは、創業からの歴史や会社のビジョンだけに止まらない。社長の生い立ち、会社の成り立ち、商品誕生の背景や開発者や技術者の想いなど多種多様にある。歴史の浅い会社であっても、社長自身や商品自体にストーリーがあれば、それが強みになり、商品が売れやすくなる。例えば、「じつは自分も愛用している商品です」、「沢山の方に愛用されているロングセラー商品です」、「多くのプロが絶賛している商品です」、「業界史上、最高傑作と言われています」、「先祖代々の商売なのでフォローは万全です」、「今だけの限定品です」、「期間限定の条件です」等のストーリーを営業トークに織り交ぜれば、お客様の興味をグッと引き寄せることができる。また、こうしたストーリーをメルマガやサンクスレターを介して既存のお客様に発信すれば、ファン化を促進することもできる。この人(この会社)から買いたい、ココにしかない、やっぱりコレしかない等と顧客に思わせる強みは、ストーリーの厚みで決まる。ライバルが増えるほど、機能やスペックだけで勝負するのが難しくなるので、こういう局面ほど、ストーリーを意識することをお薦めする。ナンバーワンに勝る強みはない日本で一番高い山(富士山)を知らない者はいないように、「ナンバーワン」に勝る強みはない。ナンバーワンの強みが一つでもあれば、お客様は安心して商品を購入するし、高い確率でリピーターになる。ナンバーワンは、世界一がなければ日本一、日本一がなければ地域一という要領で、エリアやターゲットを細分化するほど見つかり易くなる。販売エリアを絞る、顧客ターゲットを絞る、商品カテゴリーを絞る等の方法もお薦めで、「うちの販売店は○○エリアでシェア№1です」、「この商品カテゴリーの取扱い規模はうちが№1です」等の強みが見つかれば、お客様は安心して商品を購入してくれる。また、アンケートによる顧客満足度の集計や他社比較によるコストパフォーマンスの分析でナンバーワンの強みを発掘し、そうした強みを積極的にアピールすることも効果的だ。さらに、世界初・日本初・業界初、世界最小・世界最長・世界最軽量等の購買意欲を刺激する強みも、どんどん活用してほしい。強みを磨き続ける大切さ強みさえあればお客様からの支持を保ち続けられるので、市場競争で生き残るのが簡単になる。しかし、油断は禁物だ。どんなに強みを磨き尽くしたとしても、ライバルが台頭、あるいは、テクノロジーが進化した瞬間に強みが無くなるからだ。外資、新興企業、ベンチャー等は、独自の強みを携えて、どこからでも競争に参入してくる。テクノロジーは日進月歩で進化し、競争環境に大きな影響を与える。どうやって強みを磨いて成長をキープするのか?この自問自答を真剣に考えて、果敢に強みを磨く姿勢が何よりも大切だ。信頼を積み重ねてオンリーワンの強みを磨き、ナンバーワンの強みを一つでも多く発掘する努力はもちろん、会社の独自性や商品の優位性を追求し、突出した強みやコストメリット等の差別化ポイントを磨く努力も欠かせない。まずは現状を点検することから初めてみてほしい。きっと、強みになり得る改善ポイントが見つかるはずだ。
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  • 中小企業の価格競争力を高める方法|商品の値崩れを防ぐ重要ポイント
    中小企業の価格競争力を高める方法|商品の値崩れを防ぐ重要ポイント中小企業にとって価格競争力は会社の盛衰を分かつ重要な要素になる。資本力に劣る中小企業が価格競争に巻き込まれると、衰退リスクが飛躍的に高まるからだ。この記事では、中小企業の価格競争力を高める方法、並びに、商品の値崩れを防ぐ重要ポイントについて、詳しく解説する。価格競争力とは何か?価格競争力について、詳しく解説する。価格競争力とは、商品やサービスの価格を競合他社の同種商品、あるいは、類似商品と比較した時の優劣の指標だ。競合他社よりも価格競争力が優れている企業は、値崩れが起きにくく、適正価格での販売が容易になる。もしくは、低価格であっても採算が取れる事業基盤を有している。一方、競合他社よりも価格競争力に劣る企業は、値崩れと共に、価格競争に巻き込まれ易く、適正価格での販売が難しくなる。さらに、価格競争の末に採算割れにまで追い込まれると、商品やサービスの価値を高める成長投資も鈍化するので、会社の衰退リスクがますます高まる。価格競争力が企業の盛衰を分かつ重要な要素と言われる所以はここにある。なお、商品等の性能やスペックが同等であっても、競合他社にはない唯一無二の付加価値など(販売力・営業力・独自性・特許等)、価格以外の競争力のことを非価格競争力と言う。当然、非価格競争力を強化するほど、企業の価格競争力は高まる。価格競争力が低下する原因価格競争力が低下する原因について、詳しく解説する。価格競争力は、需給バランスに連動し、高まったり、低下したりする。例えば、商品やサービスの供給が需要を上回ると価格は低下し、商品等の供給が需要に追い付かなくなると価格は高まる。以下、商品やサービスの供給が需要を上回り、価格競争力が低下する典型例を挙げる。信頼が失墜し、需要が無くなった近隣に同業同種のライバルが現れた品質が同等で自社価格よりも安い商品やサービスが出回る同じ商品を作る会社、あるいは、同じサービスを提供する会社が増えた商品が飽きられた、あるいは、価値が無くなったなどして、需要が萎んだ新しいテクノロジーや技術革新によって、既存商品に置き換わる新商品・新ビジネスが生まれた以上のような事態が起きると、商品やサービスの供給が需要を上回り、価格競争力が低下する。価格競争力が低下する事態(サイン)を見逃すと、その瞬間から衰退リスクが高まるので、冷静かつ客観的な視点で定期的に自社の商品価格を点検することが大切だ。価格競争力を高める確かな方法最後に、価格競争力を高める方法について、詳しく解説する。価格競争力を高める方法は難しくない。商品等の供給が、常に需要に追い付かない状況を意図的に作ればよい。つまり、飽きない、信用がある、買えない、予約できない、代替品がない、ナンバーワン、オンリーワン、常にウエイティングがある等の状況を適度に作る企業努力を継続すればよいのだ。以下、商品やサービスの供給が、需要に追い付かない状況を作る有効策を挙げる。信用信頼される仕事を積み重ねるナンバーワン・オンリーワンを実現する古い仕組み・仕事・商品等を常に刷新するライバルより1円でも多く付加価値を提供するライバルよりも1円でも安く作る創意工夫を探求する最新のテクノロジーや技術革新を誰よりも早くを取り入れる世界初・世界最小・世界最軽量など、陳腐化し難い経済的価値を実現する唯一無二の付加価値(ビジョン・社会的意義・販売力・営業力・独自性・希少性・特許等)を追求し、非価格競争力(価格以外の競争力)を高める以上のような取り組みを定着させると価格競争力が高まり、商品やサービスの供給が、常に需要を下回り易くなる。新たに出した商品やサービスの価格が、時間の経過と共にどんどん下がっていっては顧客の信頼を得ることはできない。本当に良い商品は、常に進化し、安易に値崩れせず、高い価格競争力を持続する商品であり、そうした商品を提供する経営姿勢が顧客の信用を引き寄せ、さらには価格競争力を高める源泉になるのだ。
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  • 会社経営はなぜ難しいのか?|事業失敗と企業盛衰の原因を辿る
    会社経営はなぜ難しいのか?|事業失敗と企業盛衰の原因を辿る会社経営は難しいと思っている未来の起業家や会社経営は難しいと思っている現役社長は沢山いると思う。実際、起業後、順風満帆に会社経営がうまくいく会社はごくわずかで、ほとんどの会社は、会社経営に何かしらの課題や衰退リスクを抱えている。この記事では、会社経営はなぜ難しいのか、並びに、事業失敗と企業盛衰の原因について、詳しく解説する。会社経営の難しさの根本原因会社経営の難しさの根本原因について、解説する。なぜ会社経営が難しいのか、その根本原因は、コントロールできない不確定要素が多すぎる点にある。顧客は思い通りにならない、商品は思ったより売れない、経済は予測不能な動きがある、社員は思うように育たない、世の中の進歩と変化は著しい、ライバルはこちらの都合関係なく勝負を挑んでくる等は典型だ。こうしたコントロールできない不確定要素の多さが、会社経営を難しくしている根本にあり、当初の事業計画をアップデートするほど、計画と結果のギャップが大きくなるのは、こうした事情によるところが大きい。当然、この計画と結果のギャップが大きいほど、会社経営は難しいという精神的ストレスも大きくなる。会社経営の難易度を下げるには会社経営の難易度を下げる方法について、解説する。会社経営の難しさはコントロールできない不確定要素にあり、計画と結果のギャップが大きくなるほど、会社経営は難しくなる。裏を返せば、不確定要素のコントロールがうまく運び、計画と結果のギャップが小さくなるほど、会社経営は簡単になる。そのために必要な力は、経営力だ。経営力とは、会社を円滑に運営し、企業の繁栄を加速するために必要な力だが、次の3つのスキルが大切になる。数字力、マネジメント力、リーダーシップ力、この3つのスキルだ。数字力は、原因と結果を分析するために必要なスキル、マネジメント力は、ヒト・モノ・カネ等の経営資源を最適化・最大化するために必要なスキル、リーダーシップ力は、自分だけでなく、周囲の社員や関係者を育てるために必要なスキルで、この3つのスキルが高いほど、経営力が高まり、会社経営の難易度が下がる。具体的には、お客様に恵まれる、商品が売れる、経済の先行きが読める、社員が上手に育つ、世の中の進歩に順応できる、ライバルより先に進化する等の状況が生まれ、会社経営がどんどん簡単になる。事業失敗と企業盛衰の原因最後に、事業失敗と企業盛衰の原因について、解説する。前章で解説した“経営力”が低下すると、かなりの高確率で事業が失敗し、会社が衰退する。経営力=社長の能力と捉えても良いが、働いている社員や作っている商品がいかに優れていても、社長の経営力が低いと、企業の衰退リスクが山積し、確実に会社経営の難易度が上がる。事業失敗や企業衰退を回避するには、経営力を高める必要があるが、すべてを社長一人で抱え込む必要はない。数字が得意な人間、マネジメントが得意な人間、リーダーシップが得意な人間をそばに置くことで、企業の経営力を高めることもできる。社長自身の得手不得手を理解し、自分が苦手な分野を得意な人間に任せるだけなので、さほど難しいことはない。つまり、人を上手に活かす才能さえあれば、会社経営は簡単に運ぶのだ。
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  • 決断疲れの対処法と予防策|ストレスフリーの決断が企業の繁栄を後押しする
    決断疲れの対処法と予防策|ストレスフリーの決断が企業の繁栄を後押しする決断疲れとは、決断の精度が低下する症状のことだ。企業経営は社長の決断の連続で成果結果が決まるので、決断疲れは会社の盛衰を決定づける重要なファクターと言える。この記事では、経営者の決断疲れの対処法と予防策について、詳しく解説する。決断にはストレスがつきもの経営者の仕事は決断することと言われるように、すべての事業活動は、トップの決断によって前に進む。小さな会社ほど重要な決断が社長に集中するので、その苦労は相当なものだが、決断はやる(YES)・やらない(NO)の二者択一だけではない。決断の根拠が不足していれば、根拠データを求めるのも決断、失敗と分かったらすぐに元に戻すのも決断、結論保留も立派な決断だ。決断は早いほど良い。わたし自身も数秒で決断するよう心掛けている。とにかく、ライバルよりも素早く決断し、組織の動きをダイナミックに活性化させることが企業繁栄の大原則だ。一方で、決断には、失敗のストレスが常に付きまとう。未来を予測することはできても、未来を100%当てることは不可能だからだ。たとえ百戦錬磨の社長であっても、決断の誤りから、社員や顧客の反感を買い、業績悪化を招くことがある。すべての決断には、こうしたマイナスリスクがあるが、失敗のリスクを気にし過ぎると、決断のたびに大きなストレスを抱え、決断疲れに陥る。しかも、こうした状態が長く続くと、決断の精度が低下することが研究でも明らかになっている。経営者の決断ひとつで企業の繁栄が決まるので、会社にとっては由々しき問題でもある。決断疲れが企業の衰退を招く決断疲れの症状は、経営者の力量や性格によってまちまちだが、一番多いのは、慢性的な疲れから決断の精度やスピードが低下することだ。こうなると、決断の先送りが増え、会社の成長を阻害する経営課題を頻繁に見過ごすようになる。当然、こうした課題を見過ごすほど会社の衰退リスクは大きくなる。リスクを解消するための打つ手の選択肢も狭まるので、より難しい決断を迫られる悪循環に陥る。わたしは企業再生の仕事を数多く経験してきたが、経営者の決断ミスから会社が傾くケースはじつに多い。景気悪化やライバル台頭等の外部要因で会社が傾くのではなく、社長や幹部の決断ミスによって会社が傾くケースの方が圧倒的に多いということだ。決断は企業の盛衰を決定づける重要なファクターだ。だからこそ、決断疲れとは無縁でいられる健全な環境やマインドを整えることがとても大切だ。決断疲れの解消法・予防法アップル創業者のスティーブ・ジョブス氏は「決断疲れ」を減らすため、毎日同じ服を着ていたというエピソードがあるが、決断の機会を意図的に減らすために、日々の動きをルーティン化している企業経営者は少なくない。ここからは、専門家の立場から、決断疲れの解消法と予防法を詳しく解説する。失敗を恐れるのではなく、失敗を楽しみ、果敢に決断する経営環境は刻々と変わる。予測不能な動きも多々ある。誰ひとりとして、市場や顧客の動きを完璧に予測することはできない。毎年毎年、顧客やライバルが入れ替わり、主力の商品や戦略も変わる。一年として同じ年はなく、毎年が勝負、毎年が勉強だ。会社経営は、これほど不安定な環境のうえに置かれている。先が見えない環境下で決断を誤ることは当たり前のことだ。失敗を恐れて決断を止めるのではなく、事業活動を前進させるために失敗ありきで誰よりも早く決断し、どこで失敗したのか、何に失敗したのかを正しく把握しながら、失敗するたびに決断の精度を高めることが大切だ。発明家のトーマス・エジソンは「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ。」と言った。ラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏は「失敗した時に必ず学ぶチャンスが訪れ、そこから前進する。失敗して、前に進む。この繰り返しが勝つためのプロセスだ」と言った。社長業はただでさえ大変な仕事だ。すべての失敗と真面目に向き合っていたら、身体が持たない。失敗を笑い飛ばすくらいでちょうどよいのだ。先人達も失敗しては前に進むの繰り返しで、成功に近づいて行ったのだ。失敗はいかようにも挽回できる。失敗した社員を叱責したり、失敗を後悔したりするのではなく、失敗を成功の過程と考え、失敗を楽しみ、果敢に決断することが何よりも大切だ。決断の負荷を減らすために、やらないことを決める経営陣に集中する決断の負荷を減らすには、社員に一定の判断基準を与え、組織の自主性を高めると良い。社員に与える判断基準は、やっていいことではなく、やらないことに軸足を置くと分かりやすい。例えば、自社のNG顧客、NG事業、NG言動等を明快にするのだ。そのうえで、判断に迷ったり、前例がなかったりした場合のみ決断を仰ぐという意思決定プロセスを敷けば、経営陣の決断の負担は極めて少なくなる。ビジネスは自由競争なので、やっていいことは無限にある。やっていいことを明快に決めるのは現実的には無理だし、やっていいことを軸足に決断を重ねていたら、経営者も社員も疲弊してしまう。場合によっては、指示待ち症候群やイエスマンを生み出す温床を作りかねない。一方のやらないことは、意外と少ないものだ。しかも、やらないことには企業風土や経営姿勢が如実に表れるので、やらないことを決めるほど、企業の輪郭や組織の行動原理が明快になる。結果、決断に対するストレスが大幅に軽減される。自分の正しさに固執せず、常に最適な決断を探求するビジネスの現場では、自分の正しさを捨てるほど、最適な決断に近づく。例えば、自分の正しさを脇に置いて、社員の主張、現場の実態、顧客の要望、専門家のプラン、ライバルの実績など、他者の正しさを受け入れるほど、最適な決断が見えてくる。できる社長ほど、自分の正しさに固執することなく、より良い考えや新しいアイデアをどんどん取り込んで最適な決断を探求している。また、独りよがりな決断をしないために、相対的に物事を見る習慣をつけることも大切だ。例えば、主観・客観、メリット・デメリット、ポジティブ・ネガティブ、ミクロ・マクロ、売り手・買い手、賛成・反対、長期・短期、現実・理想、内部・外部など、一つの物事を相対的に分析すると、物事がシンプルに整理されて、最適な決断に近づく。客観的、かつ、相対的な根拠に基づいた決断ほど、周囲の反発が少なくなる。数字・社員・顧客を、よく観察する決断の結果は「数字・社員・顧客」のどこかに必ず現れる。数字が悪化する、社員の不満がたまる、顧客が離れるなどの兆候は決断ミスの典型だ。こうした兆候を察知した時は、すぐに改善することが大切だ。アクションが遅くなるほど、衰退リスクが大きくなり、対処も難しくなるからだ。逆に、数字が良好、社員が喜ぶ、顧客が増える等の兆候は良き決断の証拠だ。この場合は、今の決断や成長投資をさらに加速することで、繁栄の基盤がますます盤石になる。ひとつ注意点をお伝えすると、数字は、売上だけでなく、利益と現金もしっかり観察することだ。売上が増えている一方で、赤字額が拡大することはよくあることだ。また、会社は現金が無くなった瞬間に倒産するので、現金はしっかり観察しよう。黒字倒産という言葉がある通り、現金の増減に無頓着な結果、倒産する会社は数多にある。毎月、会社の現金が些少でも増えていれば、日々の決断は正しいと言える。根拠なき決断は疲れを助長するだけだ。根拠を充実させて、決断疲れを吹き飛ばそう。自分の弱点を知り、知見を充実させる正しい決断を支える知見は顧客や現場の声だけでない。数字などの客観的事実、法律などの決まり事、会社経営の原理原則、商慣習やモラル、ライバルの情勢など無限にあるが、どこかの知見に漏れがあると高い確率で決断を誤り、取り返しのつかない事態を招くこともある。だからこそ、自分の弱点を知っている社長は強い。弱点さえ補えば、決断を支える知見が充実するからだ。弱点を補う方法は二つある。独学で補う方法と他者の力を活用する方法だ。独学で学ぶことは素晴らしいことだが、確実なのは後者の方法だ。専門家を活用すれば正しい知見を効率よく習得できるし、特定分野が得意な社員を活用すれば費用をかけずに知見を充実させることができる。何より、社長には時間的なゆとりがないので、費用対効果を考えても、はじめから他者の力を借りた方が得策だ。社長の知見を補う右腕や参謀が多いほど、決断ミスも決断のストレスも大幅に少なくなる。周囲に感謝し、謙虚に生きる決断疲れの大きな原因のひとつに孤独感がある。ひとりで決断し、ひとりで結果責任を背負うのだから、社長の孤独ストレスは相当なものだ。孤独になるほど、決断に伴うストレスやプレッシャーも大きくなるが、こういう時は、結果を出すために頑張っている社員や会社を支えてくださるお客様に感謝すると良い。自分が独りではないことに気が付き、肩の荷が軽くなるはずだ。また、決断の成功をみんなで喜び、決断の失敗をみんなでカバーする体制を作るために、常に謙虚であることも大切だ。どんなに仕事ができても、どんなに大きな成果を上げても謙虚に受け止め、周囲に感謝し、自己鍛錬を怠らない経営者の姿勢は、顧客からも、社員からも信頼され、ひとつの決断が大きな成果を生む、好循環を引き寄せる。たとえ決断に失敗したとしても、協力の手がやまない。横柄・横暴・横着のスリービサイド(3つの横)を遠ざけ、いつも感謝し、謙虚に生きることが、よき決断、よき結果を生み出す秘訣だ。覚悟を決めて、決断に後悔しない経営者には、会社員のように手取り足取り教えてくれる指導者はいないし、過ちを犯したとしても優しく指摘してくれる人もいない。本気で怒ってくれる人も、本気で叱ってくれる人もほとんどいない。その環境下で、顧客からの信頼、社員からの尊敬、業績の拡大に至るまで、すべてを自分の決断で引き寄せなければならない。決断を誤り、業績が悪化した時は、その責任を一身に背負い、先頭に立って業績回復に努めなければならない。それが、会社のトップに君臨する経営者の務めだ。しかし、社長業を恐れる必要はない。大事なことは、社長の覚悟を決めることだ。覚悟さえ決まれば、すべての決断を自分の責任で下せるようになる。たとえ失敗したとしても、周囲や社員のせいにすることがないので、失敗が成功に転換し、さらには、周囲や社員から信頼される。また、覚悟が決まれば力量を高めるために謙虚に学ぶ。分からないことがあれば素直に教えを請う。助けが必要な時は、周囲に助けを求め、支援者や指導者に恵まれる。そして、社長の力量が上がるほど、周囲に尽くし、恩返しするので、社長業がますます楽しくなる。社長の覚悟が、その後の決断の質を支配する。つまり、決断の成功は覚悟で決まるのだ。決断を後押しする際に気を付けていることわたしが決断を後押しする際に気を付けていることは、延命処置的な対処療法に陥らないことだ。経営者が自主的に決断できる環境を整え、決断の精度が向上するよう全力を尽くす。だから、絶対に依存関係は作らず、いかなる時も社長のサポート役に徹する。決断の選択肢や方向性は一緒に考え、最終決断は社長に任せるのだ。決断するほど社長業の経験値が高まり、その経験値は巡り巡って決断力をさらに磨く。この繰り返しが、社長の力量だけでなく、風格や威厳をも高める。周囲に助けてもらいながらでも、最後は自分の力で決断する癖をつけることが、その後の成長に大きな影響を及ぼすのだ。もう一つ、今ココに全集中することも忘れないようにしよう。今すべきことを一切後回しにせず、すぐやる、必ずやる、出来るまでやるが徹底されると、会社の成長スピードは確実に加速する。明日やる、そのうちやる、条件が揃ったらやるなどの成長志向に欠けた決断がなくなるので、社員の能力開花のスピードや成果を生み出すスピード感も極めて速くなる。また、会社衰退の元凶となる油断や怠慢などの言動もシャットアウトされるので、日を追うごとに経営基盤が強固になる。さらに、今ココに集中すると、過去や未来にとらわれない柔軟な発想で決断できるようになる。天災や経済不況などで先が読めない経営環境に陥ったとしても、今コントロールできることに全集中できるようになる。周囲の状況が好転するのを待つのではなく、先手必勝の決断が定着するので、目の前の状況がどんどん好転する。ビジネスは先見の明があるから成功するのではない。結果が出なくても、成果に恵まれなくても、今この瞬間を一所懸命に生きるから成功するのだ。しんどい時はもちろんだが、決断に迷いが出た時や悩みが生まれた時ほど、今を大切に扱い、いま目の前にいる社員やお客様にとってベストな決断を心掛けてほしいと思う。良き決断をコツコツ積み上げれば、会社の未来は確実に明るくなる。筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 失敗はないという概念が成功を引き寄せる|最大の失敗は〇〇しないこと
    失敗はないという概念が成功を引き寄せる|最大の失敗は〇〇しないこと多くの成功者が「人生に失敗はない」と口を揃えて言っている。発明家のトーマス・エジソンは「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」と言った。また、「失敗は成功の母」と言い、失敗を肯定的に受容している。物理学者のアルベルト・アインシュタインは「失敗や挫折をしたことがない人とは、何も新しいことに挑戦したことが無いということだ」と言った。何かに挑戦する過程で失敗はごく当たり前の出来事として受け止めている。企業経営の世界でも、成功ではなく、失敗を肯定的に捉えて大成功を収めた経営者が数多にいる。例えば、グーグル創業者のエリック・シュミット氏は「早く失敗しろ」が口癖だったらしい。成功の過程における失敗は失敗ではないというスタンスで失敗を定義付け、常に成功の最短方法を探求していた。また、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は「成功は最低の教師だ」と言い、成功ではなく、常に失敗を重要視していた。私自身も、人生にも、仕事にも、失敗はないと思っている。成功の精度を上げるため、或いは、チャンスの量を増やす為の貴重な経験のひとつでしかないと考えている。最大の失敗は行動しないこと企業の事業活動には、必ず結果が付きまとう。売上の増減、利益の増減、顧客の増減など、結果の良し悪しによっては、成功と失敗に分かれることもある。また、新しい仕事を覚える過程においても、成功と失敗を繰り返しながら力量を高めるのが普通だ。しかし、局所的には失敗でも、目標達成までの過程を振り返ると、失敗が失敗ではなくなることは往々にある。例えば、失敗があったからこそ、成功の一手が見つかった。失敗したからこそ、軌道修正ができた等、実際には、失敗のおかげで成功(成長)することの方が圧倒的に多い。こう考えれば、何かしらの成果結果を出すには、そもそも「失敗はない」という概念を持って、失敗にめげることなく、新しいことにチャレンジする量を増やすことがいかに大切か分かる。失敗が怖いから行動を変えない、或いは、失敗が怖いから行動しない人が多いが、一番の失敗は何も行動しないことだ。行動すれば成功でも失敗でも経験値が上がる。経験値が上がれば、必然的に成功率が上がる。運は動より生ずと言うが、失敗を恐れず行動することが何よりも大切なのだ。
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  • リスクを取る姿勢が成功を引き寄せる|リスクの取り方・取り除き方
    リスクを取る姿勢が成功を引き寄せる|リスクの取り方・取り除き方リスクとは、危険・不確実等の要因のことである。ビジネスにリスクはつきもので、リスクの取り方・避け方次第で、成果(成功)が大きく変わる。この記事では、リスクの本質、並びに、リスクを取る姿勢が成功を引き寄せる原理について、詳しく解説する。リスクの本質リスクとは、危険・課題・障害・不確実等の要因のことである。リスクは放置するほどに危険度が増す。失敗する、損をする、割を食う、痛い目に合う等は、リスクの最たるデメリットだ。一方で、リスクにはメリットもある。飛躍や成功、先行者利益の独占、世界初等の経済メリット等は、リスクを取ることで得られる最たるメリットといえる。何事も、リスクが少ないことに越したことはないが、リスクが全くなければ、そこで成長が止まる。しかも、人生もビジネスも、積極的にリスクを取った者が大きな成果(成功)を手にするので、必要なリスクは積極的に取った方が良いこともある。リスクを取る・リスクを取り除くビジネスにおけるリスクは、大きく二つある。会社の成長を阻害する「経営課題」と、更なる成長を遂げるための「チャレンジの種」である。こうしたリスクを積極的に取り除く、あるいは、積極的に取るからこそ成長するのであって、リスクを何も取らなければ、その会社はそこで成長が止まる。つまり、リスクが沢山あるということは、成長の余地がまだまだあるということを意味する。言ってみれば、嬉しい悲鳴のようなものだ。衰退を防ぐために解決すべきリスクや成長のために挑戦すべきリスクは、殆どの会社で見受けられる。リスクに臆することなく、積極的に取るべきリスクを書き出してみてほしい。意外と沢山のリスク(成長の芽)があることに気がつくと思う。成功の反対は失敗ではない。成功の反対は「何もしないこと」だ。積極的にリスクを取る・リスクを取り除くことが成功を引き寄せるのだ。経営者の力量もリスクを取る姿勢で決まる経営者自身の力量を上げるために、積極的にリスクを取ることも大切だ。例えば、何かを習得するために、お金や時間を失うリスクを積極的に取れば、その代償として大きな成果が得られる。また、リスクの代償(失敗・苦労・困難等)をたくさん経験するほど、成功するための方法が洗練されて、成功確率が上がる。リスクは成長の芽だ。見て見ぬふりをするのではなく、積極的にリスクを取ることが、会社のあるべき姿やなりたい自分に近づく確かな方法になる。但し、無理をして大きなリスクを取る必要はない。可能な範囲内で、小さなリスクをコツコツと取り続けた方が、より安全に大きな成果を上げられる。無謀なリスクを取るのではなく、堅実にリスクを取り続けることが、最も安全で賢いリスクの取り方なのだ。
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  • 仕事やビジネスの成功は軌道修正が肝になる|合格基準を高め客観性を磨く
    仕事やビジネスの成功は軌道修正が肝になる|合格基準を高め客観性を磨く仕事やビジネスの成功は軌道修正が肝になる。なぜなら、未来を100%当てることは不可能で、どんなに有能な経営者であっても計画通りに物事が進むことはあり得ないからだ。事業活動の結果に応じて、あるいは、目の前の環境変化に応じて、適宜、軌道修正を加えながら事業展開することが最大の成果を上げる秘訣になる。また、会社の業績は、社長の力量や経営采配の成否によって大きく変わるので、自発的に軌道修正が働くように、合格基準を持つことも有効だ。例えば、私は週一ペースで発行している自分のメルマガを合格基準に活用している。メルマガの内容は、自分が理想とする社長像や自分が信じる成功哲学に重きを置いているが、言い換えれば「自己採点の合格基準」である。人生は自己対峙の連続で形成される。誰も見ていないし、誰から何かを強要されるわけでもない。手を抜こうが、全力を尽くそうが、どこを合格基準に置くかは全て自分次第だ。自分の力量や経営采配の精度を上げるには、自己採点の合格基準を高め、なお且つ、合格基準に少しでも近づく努力が欠かせない。しかし、人間は楽な方に流される習性を持っているので、一定の合格基準をキープするのは意外と難しい。こういう時に、自分のメルマガが大いに役立つ。基本に立ち返る機会や自分の言動を正す機会となり、合格基準から少し外れそうになっても、毎週は元通りに軌道修正される。成功社長ほど、目の前の結果や現実に応じて素早く軌道修正すると共に、社長自身も高い合格基準を掲げて意識的に軌道修正している。客観性が軌道修正の精度を高める軌道修正の精度を高めるために、客観性を確保することも大切だ。例えば、社長業が長くなるほど、本気で怒ってくれる人が周りから居なくなる。こうなると、自分で自分を律することでしか、自分の誤りを正す手段が無くなる。現実的には、失敗して初めて誤りに気がつくパターンが殆どなので、そうならないためにも、軌道修正の客観性を高めることが大切になる。伴侶やパートナーの助言、お師匠や専門家の知恵、道徳やモラルなども有効だし、自分のあるべき姿を明確にイメージすることも効果的だ。トップランカーに近づくほど、自分の力量や魅力を一段と磨き上げるための軌道修正の機会を意識的に作っている。また、軌道修正の機会が充実するほど、ハッと我に返る、あるいは、ハッと気付きを得る機会に恵まれるので、成功のチャンスが格段に増える。我以外皆我師(われいがいみなわがし)という言葉があるように、軌道修正の機会は日常に沢山ある。意識的に軌道修正の機会を作ってみてほしい。きっと、自分の力量と魅力がどんどん開花するはずだ。
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  • 経営者に勉強は必要か?|そもそも社長は何を勉強すべきか
    経営者に勉強は必要か?|そもそも社長は何を勉強すべきか経営者に勉強は必要かと問われれば、「勉強は必要」と答えざる得ない。経営者が勉強しなければ社長の能力は向上せず、経営者の勉強量が会社の成長を大きく左右するからだ。この記事では、経営者の勉強の重要性と、そもそも社長が何を勉強すべきなのかについて、並びに、経営の勉強法から勉強の成果を最大化する方法に至るまで、詳しく解説する。経営者の勉強量で成長が決まる経営者の勉強量で会社の成長が決まる。なぜなら、会社は経営者の能力以上に大きくならないからだ。しかも、会社経営の課題は周囲の環境変化と共に絶えず生まれるので、経営の勉強を疎かにした瞬間から新たな経営課題が山積し、会社の衰退リスクが高まる。安定経営を実現するには、社長の座に就いたその日から社長を引退する日まで経営の勉強を続けることが不可欠になる。また、社長が勉強し続ける健気な姿勢は、社員に対して良い影響を与え、巡り巡って組織全体の力量アップにも繋がる。経営者はとにかく勉強しろ!?経営者はとにかく勉強しろ、と。多くの経営者やコンサル等の指導者が口を揃えて言っているが、そもそも、どんな勉強をすれば良いのか分からずにいる経営者は少なくない。また、高額な報酬を支払って著名なコンサルタントの経営サロンや経営セミナーを受講している社長の会社が不調から抜け出せない様を目の当たりにして、ますます経営の勉強と距離を置く経営者も珍しくない。このように、経営の勉強の入り口が分からない社長、或いは、経営の勉強に不信感を抱いている社長は意外と多い。しかし、冒頭で述べた通り、経営の勉強を疎かにすると必ず会社の衰退リスクが高まる。しかも、中小企業等の小さな会社ほど、そのリスクは大きくなる。経営者は何を勉強すべきなのか?それでは一体、経営者は何を勉強すべきなのか?安定経営を実現するために最低限勉強すべきスキルの一端を紹介する。社長の必須スキルリーダーシップ、コミュニケーション、マネジメント、経営哲学、事業構想、数字力、人間力等は社長の能力を引き上げるために勉強すべき必須スキルになる。組織運営スキル人事評価、人事制度、社員教育、幹部育成、後継者育成、コーチング等は、円滑な組織運営を実現するために社長が勉強すべきスキルになる。事業運営スキル業界知識、専門知識、技術知識、投資知識、財務会計知識、管理会計、戦略知識、マーケティング等は、円滑な事業運営を実現するために社長が勉強すべきスキルになる。成長戦略スキル最新ノウハウや仕組み活用、経営計画、ファイナンス、ファンド、M&A、新規市場開拓、新規顧客開拓、種々の戦略論等は成長戦略を推進するために社長が勉強すべきスキルになる。社長にお薦めの経営の勉強法社長にお薦めの経営の勉強法は二つのアプローチがある。ひとつは「経営者の弱点」から勉強テーマを設定する方法、もう一つは「経営課題の悩み」から勉強テーマを設定する方法だ。経営者の弱点と経営課題の放置は、どちらも会社衰退に繋がる危険なリスクなので、この二つのリスクに勉強テーマを合わせる方法はじつに賢い方法といえる。経営の勉強は「書籍やセミナー」と「専門家の活用」の二つがあるが、迅速かつ確実なのは専門家の活用だ。例えば、弁護士等の士業、マーケティング等の特定分野の専門家、会社経営であれば私のような経営コンサルト等を活用すれば、最も迅速かつ確実に専門知識を習得することができる。社長業は勉強時間に限りがあるので「書籍やセミナー」での経営の勉強は日常の習慣にして、社長自身の弱点や経営課題を早急に解消したい場合は「専門家」を活用するといった要領で上手に使い分けると勉強の効率が上がる。経営の勉強成果を最大化する方法経営の勉強成果を最大化する方法は簡単だ。経営の勉強のピントを合わせ、経営の勉強で学んだことを実践し、勉強内容を実践で通用するようにアレンジすることが出来れば、勉強の成果は自ずと最大化される。それぞれのポイントについて詳しく解説する。経営の勉強のピントを合わせる経営の勉強のピントを合わせるには、社長自身の弱点、現状抱えている経営課題の本質を明らかにする必要がある。ここが外れると、経営の勉強のピントが外れて、勉強の成果が一向に業績に反映されないという残念な結果を招く。経営の勉強で学んだことを実践する経営の勉強で学んだことは、実践して初めて会社経営に役立つ。書籍を読んで満足する、或いは、セミナーに参加してやる気になるだけでは経営の勉強成果は一切業績に反映されない。勉強することも大切だが、最も大切なことは実践することだ。勉強を実践で通用するようにアレンジする経営の勉強は、額面通り実践しても通用しない。会社によって経営環境がまちまちなので、会社の実情に合わせて通用するようにアレンジしなければ勉強の効果は業績に反映されない。特に、経営学や会計学等の学術理論や大企業や成功者の経営理論はアレンジしなければ使い物にならないので注意してほしい。
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  • 社長の器を大きくする方法|会社の大きさは社長の器の大きさで決まる
    社長の器を大きくする方法|会社の大きさは社長の器の大きさで決まる会社は社長の器で決まると、良く言われる。これまで、数百名を超える中小企業の社長にお会いしてきた私の経験からも「会社は社長の器で決まる」とつくづく思う。事実、社長の器以上の人材は集まらない、或いは、社長の器以上のブレーンは集まらない、というように、社長の器次第で会社の発展性が決まることは良くあることだ。この記事では、社長の器の測定方法から社長の器を大きくする方法に至るまで、詳しく解説する。社長の器の測定ツール社長の器を測定するうえで便利なツール(下図参照)がある。上の図の通り、社長の器を構成するスキルは大別して3つに分類することができる。ひとつはワークスキル、ふたつ目はビジネススキル、最後は、ヒューマンスキルである。ワークスキルとは、社員がすべき仕事や作業をこなすための技能的なスキルのことである。社長の器を構成するスキルとしては、最も小さい要素であり、環境が変わると使い物にならなくなるスキルでもある。つまり、ワークスキルを磨いても、社長の器は大して大きくならないということだ。ビジネススキルとは、思考力や実行力といった環境が変わっても通用する万能的なスキルのことである。ビジネスの構想力や人を動かす行動力に深く関わるスキルなので、経営者の器を大きくするには一定レベルまで磨く必要がある。ヒューマンスキルとは、哲学や価値観、信念やスタンス、器量や度量、審美眼や芸術性(職人技)といった、その人間の有様や人間力を表すスキルのことである。他者への影響力に大きく関わるスキルなので、社長の器を大きくするための必須スキルといっても過言ではない。社長の器を磨けば、会社は大きくなる社長の器を磨けば、会社は間違いなく大きくなる。社長の器を磨く方法は簡単で、一定のビジネススキルを身につけたうえで、ひたすら、ヒューマンスキルを磨くことである。そのために必要なことは本質を追求するために「無知の知」を徹底的に実践することだ。無知の知の実践とは、自分が知らないことを知っている、ということを自覚し、素直に教えを乞う姿勢を持つことである。論語にも「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」という類似した言葉があるが、これは、無知であることを自覚することで、新たな学びを行うことを促進し、その結果無知を克服し成長する、ということを意味している。社長であっても驕ることなく素直な気持ちで無知の知を実践していくと、物事を本質的に捉えることができるようになり、ブレない哲学や信念が身についていく。また、ヒトの苦労やモノの価値も正確に理解できるようになるので、器量や度量も高まっていく。さらに、手足を動かして無知の知を実践すると、審美眼や芸術性(職人技)も高まり、ヒューマンスキルがますます盤石なものになる。ヒューマンスキルが大きくなると自然と社長の器も大きくなり、社長の器が大きくなるほど、優れたワークスキルやビジネススキルを持つ人材が社長の周りにたくさん集まるようになる。社長の器を大きくするために第一に磨くべきスキルは、ワークスキルでもビジネススキルでもない。ヒューマンスキルを磨くことが、社長の器を大きくする確かな方法なのだ。私欲をなくせば社長の器が大きくなる社長の器を大きくするうえで、私欲をなくすことも重要だ。例えば、江戸時代に米沢藩を立て直した名君”上杉鷹山公”が残したといわれる言葉に「働き一両、考え五両、知恵借り十両、コツ借り五十両、ひらめき百両、人知り三百両、歴史に学ぶ五百両、見切り千両、無欲万両」という名言があるが、「無欲」が一等上に挙がっている。事実、器の大きい社長ほど、我欲を満たすよりも先に他者の欲を満たすことを優先しているし、成功している社長ほど、無欲である。自己研鑽のための向上欲や貢献欲を除いて、極力、私欲を無くすことも、社長の器を大きくする秘訣になる。伊藤のワンポイント人間力を磨きつつ私欲を無くしていくと自然と社長の器が大きくなります。社長の器が大きくなると、それにつられて良い人財も集まります。社長の威厳や風格も器次第で決まります。謙虚な姿勢で無知の知を実践することが人間力を磨く確かな方法です。そして、決して奢らず、私欲を上手にコントロールすることも大切です。
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  • 主体性を高めれば仕事も人生も全てが大成功する
    主体性を高めれば仕事も人生も全てが大成功する主体性とは、自分で考え、自分で動くこと、つまり、他者に依存することなく、自分の人生に責任を持つことである。成功者は「主体性」を持って、自分の人生を歩んでいる。例えば、何をやるにしても、次のように考える。「やらされている」とは捉えず、「わたくしがやっている。」と捉える。「言われたからやる」のではなく「やりたいからやる。」「私が買わせて頂く、私が売らせて頂く。」「わたしはこう思う、私はこう考える。」「自分の失敗は、自分のせい」など等。このように、成功者は主体性を持った思考や言動を意識し、自分の人生をしっかり歩んでいる。主体性をもって自分の人生を歩むと、自然と成長のチャンスや感謝の機会に恵まれるだけでなく、すべてのご縁に対しても何かしらの意味を見出すようになる。たとえ悪いことが起きたとしても、そこから希望を見出し、良いことが起きれば、そのことに感謝する。人生が希望と感謝に満ち溢れ、人間的魅力も一層輝くので、関わる人々に慕われ、応援者もたくさん現れる。主体性を持って、地に足をつけて自分の人生を歩むほど、人生はどんどん豊かになるのだ。主体性を失うと、すべてが真逆になる。「やらされている。」、「言われたからやる。」、「自分の失敗は、他人のせい。」など等、自分の人生ではなく、“他人に支配される人生”を歩むことになる。当然ながら、成長のチャンスに恵まれることも、希望を見出すことも、感謝することもできなくなる。さらには、自分を見失い、浮足立った人生に終始するので、成功のチャンスや豊かさがどんどん遠ざかる。主体性を欠いて、他人の人生の奴隷になるか。主体性を持って、自分の人生を一所懸命に努力しながら自分らしく生きるか。一日が十日、十日が百日、百日が一生と、時が経過するほどに、主体性のありなしで、人生の豊かさは天と地ほどの差が生じる。成功したければ、自分の人生は自分で決め、自分で責任を背負い、自分の意志で歩むことが大切だ。この考え方が実践できれば、成功は向こうからやってくる。前向きな主体性が成功を引き寄せる人生の充実も仕事の成功も、すべては自分次第である。例えば、成功者は常に良いことが起きる人ではなく、常に良い反応ができる人だ。ここで失敗して良かった、今の苦労は将来開花する、この程度の損失で済んで良かった、仕事は減ったけど挑戦できる時間が増えた、病気になったけど命は助かった、など等。失敗、苦労、損失、不調、病気などの悪いことが起きたとしても、常に前向きに反応できる人が“真の成功者”である。私はたくさんの企業実態を見てきたが、直線的な右肩上がりで業績が拡大する会社は、この世に存在しない。どんなに調子の良い会社であっても、停滞・下降の局面を打開しながら拡大傾向を維持している。成功社長に関しても、挫折を乗り越えながら、あるいは、好不調を繰り返しながら、成功に至っている。つまり、会社も経営者も、上がっては下がるの繰り返しで大成功に近づいているのだ。人生も会社も、下がる局面に直面することは極めて当たり前のことで、大切なのは、その時に自分がどういう反応をするかだ。その反応は主体的に自分で選ぶことができ、その反応次第で、その後の幸福が決まる。現実を悲観・否定すれば、下がりっぱなしになる可能性が高い。逆に、現実を楽観・肯定すれば、下がっては上がるのサイクルが着実に回り始める。どんなに苦しくても、どんなに悪いことでも、希望の種が無くなることは決してない。前向きな主体性が成功を引き寄せることを忘れないでほしい。
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  • 自己変革はリーダーの必須条件|自己変革で世界を変える方法
    自己変革はリーダーの必須条件|自己変革で世界を変える方法自己変革とは、何らかの問題や課題を乗り越えるために積極的に自己の生き方・在り方を変える姿勢のことである。特に、自分の意志でコントロールできない事象が起こった時やそうした状況に追い込まれた時は、自己変革を拒絶するほどピンチに陥り、自己変革を実践するほどチャンスに恵まれる。この記事では、自己変革の重要性、並びに、自己変革で世界を変える方法について、詳しく解説する。なぜ自己変革が必要なのか?わたしは元来、やたらと気が利く習性の持ち主だ。心配りと気遣いが修練される茶道をやっているので、なおさらである。しかし、気が利くという長所は、おせっかいや押し付けという短所を生み出す。良かれと思ってやったことが原因で、家族の反発を受けることも稀にある。自分が良いと思ったことが、すべて相手に受け入れられることはあり得ない、ということだが、長所が災いして失敗に転ずるパターンは、家庭生活だけでなく、会社経営の中でも良く起こり得る。たとえば、社長が良かれと思ってやった事が、社員や顧客の反発を受けることなどは、誰しも経験があるのではないかと思う。そして、社員や顧客の反発を無視し続けていくと、その長所は相手にとっては短所(ストレス)にしかならず、双方のギャップが大きくなるほど、互いの気持ちがどんどん離れていく。それが、社員の離職、顧客の離脱を招き、会社の衰退に繋がり、行くところまで行くと、会社は倒産する。家庭においては離婚である。こうした事態を防ぐには、自分の言動を改善するしかない。つまり、相手のストレスを解消するには、自己変革が欠かせないのだ。自己変革で世界を変える方法自己変革は、自分の言動を改善することで得られるが、具体的には、次の3つのステップで自己変革するとよい。まず、自分を理解すること。そして、相手を理解すること。最後に、相手に対する言動を変えることである。決して、相手を変えてやろうなどといった、傲慢で邪まなことを思わない事が成功の秘訣になる。相手が望む言動に近づけば、自然と、相手との関係が良くなり、目の前の世界は確実に変わる。また、自分の意志でコントロールできない事象が起こった時やそうした状況に追い込まれた時も同様に、まずは自分の状況を理解すること。そして、周囲の状況を理解すること。最後に周囲に対する行動を変えることで、ピンチをチャンスに変えることができる。自己変革はリーダーの必須条件自己変革はリーダーの必須条件である。相手の性格や特性に合わせたコミュニケーション能力や会社を取り巻く環境変化に順応する適応力などは自己変革がベースになるからだ。また、自己変革の力が強いと、すべての責任を自己に帰結させるマインドが定着するので、プラスの事象からだけでなく、マイナスの事象からも成長の機会を見いだせるようになる。逆に、自己変革の力が弱いと、自己中心(自分中心)、自己独善(自分独りが正しい)、自善他悪(自分が正しく相手が間違っている)に陥りやすくなり、自ずと、周囲からの信頼が低下したり、会社の成長に陰りを及ぼしたりする。会社、社員、顧客、パートナーを変えたかったら、或いは、更なる成長を求めるのであれば、進んで自己変革することをお薦めする。特に、ストレスなんか何にもないと思っている人ほど自己変革の必要があるのかも知れない。
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  • 事業は人なりは経営の理なり|人材を人財に育て上げる実践的方法論
    事業は人なりは経営の理なり|人材を人財に育て上げる実践的方法論事業は人なりとは、経営の神様と謳われた松下幸之助氏が経営の心得として提唱した言葉として有名だ。わたし自身も、数多くの中小企業の盛衰をじかに見てきた経験から、つくづく「事業は人なり」と思う。また、数多くの経営者が、中小企業の経営課題として、或いは、新規事業の失敗原因として「人材不足」を挙げている現状を鑑みても、事業は人なりと考えている経営者が如何に多いかが分かる。事業は社員一人ひとりの働きのうえに形作られるので「事業は人なり」は紛れもない事実であり、経営の本質を突いた理である。事実、社員満足度の高いヒト重視の企業の業績は好調であり、社員満足度の低いヒト軽視の企業の業績は不調であることが多い。中小企業の場合は、なかなか有能な社員を採用することが出来ない面もあるが、社員教育でヒトを育てることはどんな会社にもできることだ。例えば、社員の特性を理解して適材適所を図る、定期的な配置換えで社員の能力を開発する、社員教育プログラムを構築・運用して人間力を高める、といった人材育成は経営者のヤル気ひとつで実現することができる。(人材育成の具体的方法論に関しては当サイト内の「強い組織を作り上げる実践ノウハウ」で詳しく解説している)また、会社の先頭に立つべき存在である「経営者の人柄や経営姿勢」も社員を育てるうえで重要な要素になる。なぜなら、尊厳、尊敬、信頼、気迫、責任、リーダーシップ、など等、会社のトップに必要な資質が乏しい経営者には、社員がついてこないからだ。社員を育てて、会社の事業を牽引するには、経営者が社員の規範となる存在になり、社員の先頭に立つ覚悟が必要なのだ。人の成長が事業を拡大する事業は人なりの言葉通り、人が成長すれば事業が拡大する。経営資源の乏しい中小企業にとって人を育てることは難しい部分はあるが、経営者が本気で社員を育てる覚悟を持てば、自ずと人が育ち、間違いなく事業も成長する。また、経営者自身が事業拡大の執念を強く持ち、事業拡大の熱意と気迫を周囲に拡散することも人を育てるポイントになる。事業拡大を後押しする中小企業の人材育成のポイントをいくつか紹介する。経営者の姿勢中小企業において経営者の姿勢は、人材育成の成功を左右する大きな要因になり得る。なぜなら、経営者に威厳がなければ、社員の尊敬を集めることができず、いかに教育を施しても社員の本心に響かないからだ。例えば、経営責任やモラルを持つ、公私混同は控える、社員を信頼する、社員の幸せを応援する、事業拡大の意欲を持ち先頭に立ってリーダーシップを発揮する、などの姿勢は、人を育てる立場にある経営者に不可欠な要素だ。社員との接し方経営者が社員に接する際は、型通りの姿勢ではなく、なるべく柔軟な姿勢を保った方がよい。なぜなら、社員の性格は十人十色だからだ。社員一人ひとりに合わせた誉め方、叱り方、育て方、任せ方を考え、実践することが人を育て、事業を拡大する秘訣になる。また、経営者自らが自分の欠点を理解し、その欠点を社員にさらけ出す素直な姿勢も大切だ。社員教育の方法社員の自主性や責任感を育てるには、社員に然るべき目標や情報を与え、経営に参加させることが大切だ。また、会社の経営理念や会社の数字など、社員の仕事の質と思考力を高める情報分野は積極的に教育した方がよい。指示は命令より相談、情報は独占より共有、仕事は放任ではなく援助、など等、常に経営者と社員が一体となって経営に当たることが、結果として大きな教育効果を生み出す。伊藤のワンポイント人が育てば事業が育つは、紛れもない事実です。つまり、企業は人なりを信条に会社経営に挑む経営者の姿勢が事業の成長をけん引するのです。人を育てる仕事は実に骨が折れます。一朝一夕では結果が出ませんし、創意工夫なくして教育効果も上がりません。だからこそ、経営者が諦めずに教育し続けることが大切なのです。
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  • 大きな成果を出す方法|いつも成果が出る人の特徴・共通点・マインド
    大きな成果を出す方法|いつも成果が出る人の特徴・共通点・マインド大きな成果を出すにはそれなりの努力が必要だ。しかし、闇雲に努力をしたとしても、成果は簡単に出るものではない。この記事では、大きな成果を出す方法、並びに、いつも成果が出る人の特徴・共通点・マインドについて、詳しく解説している。成果を出すために現実を見る経営コンサルタントの世界的第一人者のピーター・F・ドラッカー氏は「すべては現実からしかスタートできない」と言った。現実が分かれば、やるべきことが分かり、覚悟が決まり、前向きになれる。今の成果を最大化するには、現実を知り、現実を受け入れる必要があるのだ。例えば、現実を知れば、経営の惨状が理解でき、やるべき事や目標が明快になる。また、過去の失敗や誤った会社経営と決別するためにも、現実直視は絶対に欠かせないプロセスと言える。大きな成果を出す社長ほど現実を受け入れる。逆に、いつも成果が出せない社長ほど現実から目を背ける。業績が悪化するほど、現実から目を背けたくなる気持ちも分かるが、会社を救えるのは社長しかいない。現実を直視し、今すべきベストなことを見極め、最適な計画を策定し、直ちに実行することでしか、会社を救うことはできないのだ。まっすぐ現実を見つめる事が、成果を最大化する確かな方法だ。成果を出すために練習する日本の室町時代初期の猿楽師“世阿弥”は「強き稽古、物数尽くせよ」と言った。成果を出すには相応の練習量が必要だ。そして、その練習量が一定の飽和地点に達すると、一気に成果が大きくなるものだ。また、練習の質を高めて、より大きな成果を出すために、良き師を持つことも大切だ。こちらの個性・才能・性格等を尊重し、そのうえで最適な練習プランを提示してくれる師を早い段階で取り込むことができれば、成果は一段と大きくなる。プロスポーツの世界では、成果を出すために師に教えを乞うことがごく当たり前の事として受け入れられているが、社会人や経営者であっても同じである。闇雲な努力は、お金と時間の浪費になるので、そうしたリスクをヘッジする手段としても、良き師を持つことはお薦めである。成果を出すために決断する物事の成果は、決断し、実行することで生まれる。大きな成果を出す社長ほど素晴らしい決断力と実行力を持っている。決断と実行の重要性を理解している社長ほど、自分の仕事として決断と実行をスピーディーに展開し、その経験を糧に経営者としての力量を高めている。例えば、私の元でV字回復を成し遂げた会社も、数ヵ月遅れていれば再建ができたかどうか怪しい会社もあったが、社長の不屈の精神と素晴らしい決断と実行のおかげで目の前の世界が大きく変わった。会社経営においては、業績が厳しくなる前に、決断し、実行することが、最も負担なく、大きな成果を出す方法になる。たとえ失敗したとしても、好業績であればダメージが軽く済むし、何より、決断力と実行力は、会社経営のあらゆる局面と直結しているので、事業活動の成果を大きく左右する。一年前と比べて、大きく成果が変わっていなければ、決断と実行の精度が低下している可能性が高いと言えるだろう。
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  • 社長の覚悟が会社を大きくする|会社の盛衰は社長の覚悟で決まる
    社長の覚悟が会社を大きくする|会社の盛衰は社長の覚悟で決まる会社は、社長の覚悟を固めた瞬間から大きくなる。なぜなら、社長があらゆるリスクを一身に背負う覚悟を固めると、会社発展のための行動原理が明快になり、会社の成長スピードが加速するからだ。例えば、本業に集中する、過去を断ち切る、といった社長の覚悟は、間違いなく会社の成長発展を後押しする。この記事では、わたしのコンサル先企業の社長や長年交友がある社長の実例を用いて、会社を大きくする社長の覚悟の具体例を紹介する。何れの社長の覚悟も非常に効果的で、なお且つ、心が折れそうになった時の励みになるので、是非とも参考にしてほしい。本業に集中する社長の覚悟車のディーラー店を経営していたAさんが、両親が創業した食品製造会社を継いだのは40代も後半の頃だ。この社長は、それまで自分が経営していた会社をすべて後進に譲り、両親が創業した食品製造業の社長に就任した。自分の会社からの報酬も協力関係もゼロにして、自らの手で退路を断ち切り、全身全霊で本業に集中する覚悟を決めたのである。受け継いだ食品製造業の経営は赤字経営だったが、僅か1年で超優良な黒字経営にV字回復した。わたしもこの会社の経営再建をサポートしたが、社長の覚悟なくして、見事なV字回復は無かったと確信している。本業に集中する社長の覚悟は、わたしも実践しているが、非常に効果的だ。わき目もふらず本業に集中する社長の覚悟は、間違いなく花開く。過去を断ち切る社長の覚悟Bさんが実家の呉服店の社長に就任したのは20代も後半の頃だ。先代の急逝に伴う社長就任だったが、先代のセンスや見識がずば抜けて高かったため、顧客は由緒ある家柄や高い審美眼を持った方ばかりで、顧客を受け継ぐにはあまりにも荷が重かった。商売自体はうまくいっていたが、この社長は覚悟を決めた。これまでの蓄積に頼らず、新しいお店と自分たちの顧客を作ろう、と。「過去を断ち切る社長の覚悟」を固めたのである。早速、自社ビルに入居していたすべてのテナントに立ち退いてもらい、すべてのフロアを自分の店づくりに活かした。テナント収入がゼロになり、さらには多額の改装費用が掛かったので、マイナスからのスタートになったが、お店のコンセプトを明快にしたことで新しい顧客が次々と生まれ、10年も過ぎると先代の顧客がすべて新しい顧客に入替った。引き継いだ商売がうまくいっているにも関わらずに過去を断ち切るのは、相当な覚悟が必要だが、新しい未来を切り開くために過去を断ち切る社長の覚悟は、時に新しい顧客を創造するきっかけになり得る。この他にも有効な社長の覚悟本業に集中する社長の覚悟、過去を断ち切る社長の覚悟のほかにも、有効な社長の覚悟がある。例えば、借金を背負う覚悟、社員の生活を背負う覚悟、会社の損失を背負う覚悟、などは、社長の行動にプラスの影響を与えて、会社の成長を後押しする効果がある。借金を背負う覚悟は、利益意識を高めてくれる。社員の生活を背負う覚悟は、社員の幸せを考える姿勢を整えてくれる。会社の損失を背負う覚悟は、「最終責任は経営者」という責任感を生み出し、社長に威厳と風格を与える。社長の覚悟は会社成長の原動力になる。そして、会社が厳しい時こそ、社長の覚悟がモノをいう。伊藤のワンポイント覚悟を決めるとは、全ての経営責任を背負うということですが、社長の覚悟なくして、会社経営はうまくいきません。社長の風格や威厳も出ません。顧客や社員もついてきません。社長の覚悟一つで努力や反省の質、或いは、ご縁やご恩のめぐり合わせもガラリと変わります。つまり、成功と失敗は社長の覚悟で決まるのです。
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  • 新任社長や後継者が持つべき心得とは|新任社長や後継者が成功するためにすべき事
    新任社長や後継者が持つべき心得とは|新任社長や後継者が成功するためにすべき事新任社長や後継者の心得は、会社の盛衰を決定付ける。なぜなら、新任社長や後継者の心得(言動)に落ち度があれば、社員や取引先からの信用が失墜し、業績が悪化するからだ。この記事では、新任社長や後継者が持つべき心得について、詳しく解説する。新任社長や後継者が社長就任後に持つべき心得新任社長や後継者が社長就任後に持つべき心得は「変化を求めない」ということだ。ヤル気のある新任社長や後継者ほど社長就任直後から大きな変化を求めたがるが、闇雲な変化は衰退リスクを飛躍的に高める。例えば、闇雲な変化が原因で、業績が悪化する、或いは、取引先や販売先を失う、といった事態を招くと、新任社長や後継者に対する信頼は一瞬で失墜する。社長の座に就いた最初の1年間は「変化を求めない」という堅実な心得を大切にして、先代社長の経営を研究し、現状の経営環境や経営課題をじっくり考える時間に充てるのが得策だ。そして、何よりも優先すべきは、業績を変えない、取引先を変えない、販売先を変えない、など等、変化を求めない堅実な心得を意識し、周囲に対して「あぁ、この社長なら大丈夫だ」という安心感を与えることが先決である。変化を求めない堅実な心得で一年目を乗り切ることができれば、周囲の信頼を得ることができ、尚且つ、就任二年目以降の飛躍のチャンスが一段と大きくなる。ちなみに、元日本テレビアナウンサーでフリーアナウンサーの草分け的存在の徳光和夫氏(1941-)も、独立間もない後輩フリーアナウンサーに対して「独立直後は変わらないことが大切だ」とアドバイスしているという。服装を派手にしたり、ヒゲを生やしたり、キャラクターを変えたりといった変化は、周囲の戸惑いを買い、独立に失敗するのだという。会社経営も同じである。新任社長や後継者に対する周囲の目はただでさえ厳しいものがある。また、社長業ほど経験がものをいうポストはなく、傍からみる景色と、実際に社長の座に就いてみる景色には雲泥の差が生じる。新任社長や後継者の想像で物事がうまく進むほど、社長業は甘くない。先ずは会社の業績を安定させて周囲の信頼を勝ち取ることを最優先することが、新任社長や後継者が持つべき心得なのだ。※業績が著しく悪化している会社の場合はこの限りではない。新任社長や後継者が先代を追い出してでも経営改革(大きな変化)を推進しなければならないケースもある新任社長や後継者が社長就任前に持つべき心得新任社長や後継者が社長就任前に待つべき心得は「変化を求める」ということである。とくに中小企業の場合は、積極的に自分自身を変えて新しい能力をどんどん開拓しないと、社長の座に就いた時に困ることになる。例えば、自分の考えを変えて創業者や現社長の価値観に合わせる、自分の階層や業務分野を変えてヒューマンスキル(人間力)を高める、自分の責任範囲を変えてトップの責任感覚を身につける、といった変化を進んで求める心得は、優れた社長になるうえで大変に役に立つ。また、会社の数字の理解を深めることも、社長業に就く後継者に必要な心得だ。なぜなら、事業活動のすべての結果は、会社の数字に表れるからだ。会社の数字の理解を深めることは、心得ひとつで社長就任前にいくらでもできる。当然ながら、数字を知っている新任社長と数字を知らない新任社長の差は、社長の座に就いた時に雲泥の差が生じる。当たり前だが、会社経営(事業承継)に成功するのは、前者の数字を知っている新任社長である。新任社長や後継者が持つべき心得のまとめ新任社長や後継者が持つべき心得は、社長就任前は「変化を求めること」、社長就任後は「変化を求めないこと」だ。この他にも、会社の強みと弱みを把握する、リーダーシップを発揮する、顧客満足度、社員満足度、取引先満足度を追求する、といった心得も大切になる。社長の代替わりや事業承継がきっかけで業績が悪化する会社は、新任社長や後継者に然るべき心得がないことが一因として考えられる。会社の更なる成長や関係者全員の幸せは、社長の心得ひとつで決まるといっても過言ではないのだ。伊藤のワンポイント社長業を成功させるには、一貫して謙虚さと客観性を保ち続けることです。この意識ひとつで、本編で解説した社長の心得を体得することができますし、社長業の成果も飛躍的に伸ばすことができます。また、社長の風格や威厳も決まります。成功社長ほど、この意識を実践して、安定経営を確立しています。
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  • 会社経営には遊びとゆとりが必要|ゆとりが安定経営を支える!?
    会社経営には遊びとゆとりが必要|ゆとりが安定経営を支える!?会社経営は、一定の遊びとゆとりがあった方が安定する。例えば、社長の遊び心やゆとりコストなどは、安定経営を支えるメリットがある。この記事では、安定経営に役立つ「遊び」と「ゆとり」について、詳しく解説する。会社経営には遊びとゆとりが必要会社経営には、遊びとゆとりが必要だ。なぜなら、一定の遊びとゆとりは、安定経営を支える側面があるからだ。例えば、四角四面な経営者の姿勢は、実直で誠実な会社経営を支えるうえで素晴らしいことだが、一定の遊び心がないと、働く社員や取引先が息詰まってしまう。また、社員向けの福利厚生費や取引先との接待交際費に充てるゆとりコストがないと、少しの業績悪化で会社経営が行き詰まる。建物や機械も固定部分に一定のゆとりがないとすぐに壊れるが、会社経営も同じで、一定のゆとりがないと、ほんの少しのきっかけで経営が傾くことがある。経営者が遊び心を持ち、なお且つ、ゆとりコストを上手に使うことは、無駄なように見えて、じつは安定経営を支える側面もあるのだ。経営者の遊び心とは経営者の遊び心は、社員想い、顧客想い、茶目っ気、プラス思考、エンターテイナー、など等の姿勢から生まれ、時には組織にゆとりを与え、時には、マイナスをプラスに変える推進力を生み出す。社員から慕われる、或いは、顧客や取引先からまた会いたいと思わせる経営者ほど、このような遊び心をたくさん持っている。また、遊び心を養うために、趣味を持ち、その趣味を極めることもお薦めだ。何の趣味もない仕事人間では、なかなか人間的魅力が磨かれないが、ひとつでも趣味を極めると、人間の幅が広がり、思考の視野も広くなる。特に、先生と言われる人について学ぶ趣味は、初心、感謝、至らなさなど、人間成長の起点になる様々な気づきが得られるので、趣味を楽しむほど経営者の邪魔なプライドが薄れていき、遊び心の幅が広がりやすくなる。さらに、会社経営という重責から離れて、フラットな気持ちで趣味を楽しむことで、思いもよらないナイスなアイデアが生まれるメリットもある。安定経営に役立つゆとりコスト安定経営に役立つゆとりコストの代表格は、社員向けの福利厚生費と取引先との接待交際費である。例えば、社員旅行やお弁当の差し入れ等の福利厚生費は、社長と社員の距離を縮め、自然と愛社精神を育み、組織力が強化される。取引先との接待交際費は、経営者仲間との情報交換や取引先への御礼返しなど、下心や利害を持たずに気持ちよく使うと、自然と信頼関係が醸成される。また、こうしたゆとりコストを予算化して日頃から運用していると、業績が落ち込んだ時の余剰資金として活用できるので、リスク対策としても有効だ。経営者仲間との交流を楽しむ、或いは、会社を支える社員や取引先への感謝を伝えるゆとりコストは、回りまわって会社の利益に巡り、安定経営を支える側面もあるので、少ないコストからでも上手に運用してみてほしい。伊藤のワンポイント安定経営には、社長の遊び心とゆとりコストが必要です。社長の遊び心は、社員の心にゆとりを与えて愛社精神を育みます。ゆとりコストは、取引先や販売先への感謝の気持ちを形にするだけでなく、まさかの資金の源泉にもなります。日頃の遊び心とゆとりコストが安定経営を支えるのです。
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  • 社長のリーダーシップが会社を大きくする|経営者のあるべきリーダー像とは
    社長のリーダーシップが会社を大きくする|経営者のあるべきリーダー像とは社長のリーダーシップは会社の成長に欠かせない要素である。なぜなら、社長のリーダーシップがなければ、会社が安定することも、社員の士気が高まることもないからだ。この記事では、社長のリーダーシップに不可欠な要素や条件など、経営者のあるべきリーダー像について、詳しく解説する。社長のリーダーシップに不可欠な要素経営資源の乏しい中小企業ほど、社長のリーダーシップ如何で会社の成長が決まる。リーダーシップの定義はじつに曖昧だが、新しい未来を提示する先見性、安定経営を実現する経営力、社内外の人を魅了する求心力の3つは社長のリーダーシップに欠かせない要素といえる。社長のリーダーシップに欠かせない3つの要素について、それぞれ詳しく解説する。新しい未来を提示する先見性新しい未来を提示する先見性は、社長のリーダーシップに欠かせない要素だ。なぜなら、未来を起点に現状の経営課題を正しく捉えることが出来なければ、時代の変化に組織が翻弄されて、会社が衰退するからだ。未来に向かう組織の闘争心は、優れた先見性を持った社長のリーダーシップから生まれる。安定経営を実現する経営力安定経営を実現する経営力は、社長のリーダーシップに欠かせない要素だ。なぜなら、安定経営なくして、社員の安泰も、銀行や取引先の安泰も保障することが出来ないからだ。「この社長なら大丈夫」という安心感や包容力は、安定経営を実現する社長のリーダーシップから生まれる。社内外の人を魅了する求心力社内外の人を魅了する求心力は、社長のリーダーシップに欠かせない要素だ。なぜなら、求心力がなければ、社内外の人の心を掴むことが出来ないからだ。「この人のために働こう」、或いは、「この人のために尽くそう」といった忠誠心は、社内外の人を魅了する求心力を持った社長のリーダーシップから生まれる。強いリーダーシップを身につけるには社長が強いリーダーシップを身につけるには、前章で解説した「先見性・経営力・求心力」の至らなさを自覚し、その至らなさを補う努力を日頃から継続することが欠かせない。少なくとも、社員の数倍の努力がなければ、会社の成長を牽引する強いリーダーシップは身につくものではない。なお、次のようなケースは社長のリーダーシップが低下している会社にありがちな弊害例である。リーダーシップ低下の弊害例☑経営者の公私混同が酷い☑経営理念や行動指針がない☑経営方針に一貫性がなく、方針がコロコロ変わる☑商品開発方針や顧客ターゲットが明確になっていない☑社長が赤字経営を容認している☑社長が会社の業績を把握していない☑社長が業績改善の先頭に立っていない☑顧客の不満を放置している、或いは、顧客の不満に気がついていない☑社員満足度と顧客満足度を追求していない☑社長と社員の方向性がバラバラになっている☑社員間や部門間など、組織内の協力体制が希薄になっている上記項目に一つでも当てはまる項目があれば、経営者のリーダーシップが低いと言わざる得ない。なかにはできないこともあるかも知れないが、できないことを自覚して他者の協力を仰ぐ謙虚さも立派なリーダーシップだ。伊藤のワンポイント社長のリーダーシップを高める要素に先見性・経営力・求心力の3つを挙げましたが、これらの要素を体得するには全ての経営責任を一身に背負う覚悟と実践が不可欠です。責任ある言動は間違いなく社長のリーダーシップを高め、社長に威厳と風格を与えます。小さな会社ほど社長のリーダーシップが企業の盛衰を左右します。
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  • 経営マネジメントは経営者の必須スキル|経営マネジメントの基本と要点が分かる
    経営マネジメントは経営者の必須スキル|経営マネジメントの基本と要点が分かる経営マネジメントは、経営者の必須スキルといっても過言ではない。なぜなら、経営マネジメントを放棄した会社に、明るい未来はないからだ。この記事では、経営者の必須スキルである経営マネジメントの基本とスキルの磨き方について、詳しく解説する。経営マネジメントの基本経営マネジメントは大企業の社長であっても中小企業の社長であっても、やるべきことは変わらない。経営マネジメントの基本は「顧客創造のために経営資源の最大化と利益拡大を同時に推進すること」である。例えば、経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報を有効活用して顧客創造を成し遂げ、経営資源の更なる価値増大を図る、或いは、利益拡大を成し遂げて成長投資を加速し、顧客創造のスピードを加速させる、といった活動は、経営マネジメントの核といってよい。中小企業において、経営者のマネジメントスキルが低いために、業績が伸び悩んでいる会社はじつに多い。例えば、経営者のマネジメントスキルが低いために、経営資源が棄損、或いは陳腐化して顧客創造がおぼつかない、または、利益水準が低迷、或いは赤字経営で顧客創造がおぼつかない、といった状況は決して珍しくない。顧客創造が途絶えると、途端に会社が衰退に傾くので、経営者のマネジメントスキルが会社の盛衰を決めるといっても過言ではない。経営マネジメントの核である「顧客創造のために経営資源の最大化と利益拡大を同時に推進」できているか否か、一度、点検してみてほしい。経営マネジメントスキルの向上法経営者のマネジメントスキルを高めるには、一定の時間と然るべき経験が必要だが、最低限抑えるべきポイントがある。それは、「経営者の思考法・会社の数字・社員教育」の3つのポイントである。この何れかの精度が低下すると、経営マネジメントの精度が低下し、会社衰退のリスクが高まる。それぞれのポイントについて、さらに詳しく解説する。経営者の思考法経営者のマネジメントスキルを高めるために身につけたい思考法は、未来を起点に現在を考えるバックキャスティング的思考法と、現在を起点に未来を考えるフォアキャスティング的思考法のふたつである。正しい現状認識と未来予測に欠かせない思考法で、経営マネジメントに大いに役立つ思考法である。(詳しくは当サイト内の「成功を支える経営の思考法」で紹介している)会社の数字経営者のマネジメントスキルを高めるためには、会社の数字を深く理解しなければならない。なぜなら、会社の数字の理解なしに、正しい経営マネジメントなど出来ないからだ。事業活動のすべての結果は会社の数字に表れる。つまり、経営マネジメントの核である経営資源の最大化も利益拡大も会社の数字を理解するところから始まるのだ。社員教育経営者のマネジメントスキルを高めるには、計画的な社員教育が欠かせない。なぜなら、マンパワーの活用(開発)なくして、まともな経営マネジメントなど出来ないからだ。組織力と業績は比例関係にあるので、マンパワーが向上すれば利益の拡大スピードが加速する。(社員教育の実践ノウハウについては当サイト内の「強い組織を作り上げる実践ノウハウ」で紹介している)経営マネジメントの真の目的経営マネジメントの真の目的は、継続的な顧客創造を成し遂げるところにある。そのためには、前章で解説したスキルやポイントを抑えたうえで、経営資源の最大化と利益拡大を同時に推進することが欠かせない。また、経営マネジメントの精度を高めるために、経営能力を磨くことや、営業戦略を綿密に練り上げることも忘れてはならない。なぜなら、経営能力と営業戦略は、経営マネジメントの精度に深く関わっているからだ。例えば、せっかく良い商品やサービスを持っているにも関わらず業績が低迷している中小企業などは、経営能力の低下、或いは、誤った営業戦略が原因で、経営マネジメントの精度が低下している可能性が高い。繰り返すが、会社の成長は経営者のマネジメントスキルで決まるので、マネジメントスキルを磨く努力を、決して疎かにしないでほしい。伊藤のワンポイント中小・中堅企業は、経営者のマネジメントスキルが会社の盛衰を決定づけます。経営マネジメントは社長の仕事です。顧客創造のために何をすべきかを常に考え、果敢にチャレンジすることが大切で、新たな顧客がもたらす利益を成長投資に振り向け、経営資源の最大化・最適化を目指すことがマネジメントの核になります。
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  • 経営管理能力の自己採点チェックシート|社長に必要な経営管理能力が分かる
    経営管理能力の自己採点チェックシート|社長に必要な経営管理能力が分かる中小企業において社長の経営管理能力ほど重要なものはない。なぜなら、社長の経営管理能力によって、会社の成長と衰退が決まるからだ。この記事では、経営管理能力の自己採点チェックシートを紹介している。経営管理能力が低下すると業績が悪化するので、定期的にチェックすることをお薦めする。経営管理能力が企業の生命線になる経営者がすべき経営管理の範囲は、経営全般、計数管理、組織管理、リスク管理など等、挙げたらキリがなく、じつに幅広い。経営管理能力がどれか一つでも劣ると、そこが原因で会社衰退のリスクが高まるので、経営管理能力を高める努力は経営者の必須課題といって過言ではない。以下のチェックシートは、社長の経営管理能力の低下サインを具体的に記したチェックシートになる。一つでも当てはまる箇所があれば、経営管理能力が低下している可能性が高いので、冷静かつ客観的にチェックすることをお薦めする。経営全般の経営管理能力チェックシート☑赤字事業を放置している☑経営課題を放置している☑経営方針がコロコロ変わる☑社員に経営情報を開示していない☑自社の強みと弱みを把握していない☑自社の顧客ターゲットを把握していない☑顧客の声や社員の声を経営に活かしていない☑経営資源の最大化と利益の最大化を意識していない☑経営理念、経営方針がない。または、社員が理解していない☑販売方針や開発方針がない。または、社員が方針を知らない☑社長の所在が不明。または、社員が社長の所在を把握していない計数面の経営管理能力チェックシート☑費用対効果の検証が十分になされていない☑利益意識が希薄で、赤字取引や赤字商品が容認されている☑会社の業績を把握していない。または、社員が業績を知らない☑数字目標を掲げていない。または、社員に数字目標を与えていない☑損益管理、原価計算、在庫管理、予算管理、販売管理、経費管理、業績目標の運用が不十分組織面の経営管理能力チェックシート☑社長の公私混同がある☑社員の声を聞いていない☑命令系統が機能していない☑経営幹部が身内で牛耳られている☑社員教育、人材育成を十分に行っていない☑組織内、或いは、部門間の協力体制が低下している☑社員の声を聞かず、一方的に決めたことを押し付けている☑社員の人事評価基準がない。または、人事評価をしていない。☑社員のモチベーションを考えていない。または、社員の幸せや社員満足度を考えていない経営管理能力が低下すると業績が悪化する経営管理能力の自己採点チェックシートの結果は如何だったろうか?繰り返すが、ひとつでも当てはまる箇所があれば、経営管理能力が低下している可能性が高い。経営管理能力の低下サインが大きくなると、会社の衰退リスクも大きくなるので、決して、放置することなく、速やかに対処することをおススメする。なお、経営管理能力の向上に役立つ記事を下記カテゴリーで紹介しているので、参考にしてほしい。▶経営者の能力を高める実践ノウハウ▶強い組織を作り上げる実践ノウハウ▶経営コンサルタントの実践経営ノウハウ中小企業は、経営者の能力で業績が決まる。なかでも、経営の中枢を担う経営管理能力は経営者の必須スキルで、社長の経営管理能力を高める日頃の努力が、業績を決定づけるといっても過言ではない。伊藤のワンポイント経営管理は社長が先頭に立ってすべき仕事です。ですから、人任せ、他人事は命取りになります。経営全体の管理姿勢だけでなく、計数管理、組織管理の姿勢ひとつで会社の盛衰が決まります。とても重要なスキルなので、弱みや不安要素がある場合は、先送りせずに対処しましょう。
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  • 経営者の不安を払しょくする決断の方法|決断力を高める有効な手段
    経営者の不安を払しょくする決断の方法|決断力を高める有効な手段経営者の仕事は決断すること、と云われるように経営者にとって決断ほど身近なものはない。会社の業績は、経営者の決断の連続で形作られていくので、正しい決断は会社の拡大スピードを加速させる。一方、誤った決断は会社衰退のリスクを高め、経営者の不安の種を作り出す。事実、自分の決断を思い返し、得も言われぬ不安感に押しつぶされ、眠れない夜を過ごした経験のある経営者は少なくないだろう。中小企業は、すべての決断が経営者に集中するので、決断に対してストレスを感じている経営者も少なくないと思うが、正しい決断を下すには、それなりの方法とコツを理解する必要がある。もっとも重要な点は、決断に時間をかけないことだ。なぜなら、決断が遅れるほど会社の成長スピードが鈍化するからだ。できる社長ほど、瞬時に決断する傾向が強く、わたし自身も、数秒で決断するように心がけている。また、次の3つの選択を瞬時に決断することも重要だ。やるかやらないか、はたまた、決断の先送りである。決断は、やるかやらないかの二者択一だけではない。決断の先送りも立派な決断だ。例えば、やるかやらないかの二者択一の決断をした後に不安感が残る場合は、決断が誤っている可能性が高い。この場合は、決断の先送りを告げて、決断の根拠になり得る判断材料を速やかに再検証しなければならない。当たり前だが、判断材料の再検証を求めない決断の先送りは、決断の放棄と変わらない。これでは、経営者の責任放棄と変わらず、会社の衰退リスクが高まるばかりとなる。三者択一の決断を瞬時に下すことができるか否かが、会社の成長と衰退を分かつのだ。経営者の決断力を高める方法とは?経営者の決断力を高めるには、三者択一の決断を瞬時に下すスキルを磨くしかない。決断のスキルを磨く方法は難しくない。決断の根拠になり得る判断材料の精度を高めること、これに尽きる。入手した情報の内容を十分に精査し、判断材料の精度を高めることが、正しい決断、強いては不安のない決断を導く秘訣になる。ちなみに、経営者の決断力を高めるための判断材料は、会社の至るところに転がっている。例えば、事業活動のすべての結果が集約されている会社の数字、或いは、現場の声や顧客の声といった生の情報、又は、市場やライバルの動向などは、正しい決断を支える良質な判断材料になる。また、物事が複雑化し過ぎて判断がおぼつかない場合は、物事を分解するか、相対比較で情報をシンプル化すると良質な判断材料に変換することができる。繰り返すが、経営者の決断が遅れるほど会社の成長スピードが鈍化する。経営者の決断が1日遅れれば、成功が1日遠のくだけに止まらない。経営者の決断の遅れがライバルの台頭を許し、成功のチャンスを逃すこともあり得るのだ。三者択一の決断を瞬時に下すスキルが身についているか否か、一度、チェックしてみることをおススメする。伊藤のワンポイント経営者の仕事は決断する事です。決断の精度を上げるには、根拠情報の精度を上げる事が不可欠ですが、全ての決断に責任を持つマインドも大切です。決断の失敗を他人のせいにしているうちは決断力は上がりません。全ての決断の責任を経営者自身に帰結することが決断力を高める絶対条件です。
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  • 会社の成長を加速させる経営努力の方法|経営努力は正しくなければ報われない
    会社の成長を加速させる経営努力の方法|経営努力は正しくなければ報われない経営努力なくして、会社の成長はない。なぜなら、経営者がライバルと競いあう気概を持ち、さらに、そのライバルに打ち克つ経営努力を継続しなければ、何れ、市場競争からはじき出されるからだ。この記事では、会社の成長を加速させる経営努力の方法について、詳しく解説する。会社の成長は経営努力で決まる会社の成長は、経営努力で決まる。例えば、小さな中小企業から出発したマクドナルドの創業者であるレイ・クロックは自身の著書“成功はゴミ箱の中に”の中で、次のように話している。「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。知りたいものは全部転がっている。私が深夜二時に競争相手のごみ箱を漁って前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない。強みを鍛え、付加価値に力を入れれば我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう。」汗に滲んだ経営努力の日々がリアルに伝わってくる。しかも、レイ・クロックの経営努力の成果は、世界最大のファストフードチェーンという形で後世に証明されることになる。経営努力に終わりなし経営努力に終わりはなく、たとえ、追う立場から、追われる立場になったとしても、経営努力をしなくてもよい、ということにはならない。なぜなら、経営努力を緩めると、その瞬間から事業価値の陳腐化が進行するからだ。事業価値が陳腐化すると、ライバルに追い越されるのは時間の問題になる。従って、経営努力に終わりはない。トップ企業が下位企業に打ち克つには80~90%の力で勝てるかも知れない。しかし、トップ企業が更なる成長を遂げるには、自分自身をライバルと捉え、昨日よりも今日、今日より明日、というように、高い目標に向かって経営努力を積み重ねる姿勢が欠かせない。つまり、100%以上の力で自分を超えていく経営努力なくして、企業の成長発展は実現できないのだ。経営努力の効果を最大化する方法会社経営において、経営努力を継続すれば報われる、ということはあり得ない。然るべき目標と計画を立てて、正しい経営努力をしなければ、成果が出ることも、報われることもない。一生懸命、経営努力を重ねているにも関わらず業績がパッとしない会社は、そもそも目標がない、或いは、目標があっても計画が妥当でない、といった状況に陥っている可能性が高い。経営努力をするにあたって、目標と計画ほど重要なものはなく、目標と計画のない経営努力は、すべてがムダな努力になることもあり得る。目標は、現状との間にあるギャップ、つまり解決すべき経営課題を明らかにするので、経営努力の焦点がピッタリ定まる。計画は、経営課題解消の道筋を明らかにするので、経営努力の効率と効果がグッと上がる。従って、目標と計画が正しくなければ、100%以上の経営努力をしていても、努力効果が半減、場合によっては、マイナス効果を生み出し、衰退リスクが飛躍的に高まることもある。然るべき目標と計画を立てて、正しい経営努力をする。これが、経営努力の効果を最大化する方法だ。伊藤のワンポイント努力すれば報われるのは学生(中学生)までです。社会に出ると努力しても報われないことが当たり前であり、如何にして正しい努力をして成果を出すかが重要になります。現状を正しく捉えて、課題解決のための計画を立て、その計画実現のために100%以上の力を発揮すること、これが正しい経営努力の仕方です。
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  • 中小企業が経営相談を受ける最大メリット|経営相談は会社成長のきっかけになる
    中小企業が経営相談を受ける最大メリット|経営相談は会社成長のきっかけになる中小企業は、必要に応じて経営相談を活用するのが安定経営の正攻法になる。小さな会社ほど経営者の能力が業績に直結するので、経営者の能力を補完する専門家(ブレーン)を活用するほど、会社の成長スピードが加速するからだ。この記事では、中小企業が経営相談を受ける最大メリットについて、詳しく解説する。経営相談を受ける最大メリット中小企業が経営相談を受けるメリットは様々あるが、最も大きなメリットは「飛躍のチャンスが見つかる」ことだ。なぜなら、経営相談を受けると、会社の経営課題と課題解決のための有益なアドバイスを得ることができるからだ。会社が飛躍するチャンスは「今すべきことに全力を注ぐ」ことで得られるので、今すべきことが見つかる経営相談は飛躍のきっかけ作りに最適である。たとえ有料の経営相談であっても、数万円で飛躍のチャンスが見つかると思えば安い買い物である。無料の経営相談も数多にあるので、持ったいぶらず、どんどん経営相談を活用することをお薦めする。当たり前だが、今すべきことが分かっていれば、会社は間違いなく発展する。逆に、今すべきことが分からなければ、経営が迷走してしまい、残念な結果に終わる。今すべきことを知る方法は、二通りしかない。自分で気づくか、人に気づかせてもらうか、である。気づくか、気づかないかの差で会社の未来が決まるので、経営相談は明るい未来を築く最初の一歩といっても過言ではない。中小企業の社長業ほど大変なものはない。例えば、経営に専念する時間がない、せっかくのアイデアを具現化できない、決断が集中して不安が絶えない、など等、焦りと不安のプレッシャーは相当なものだ。時間の制約が大きい中小企業経営者ほど、経営相談を積極的に活用して飛躍のチャンスを見つけてほしい。経営相談の効果を最大化する秘訣経営相談の効果を最大化する秘訣について解説する。ひとつは「心にゆとりを持つこと」、もう一つは「業績を開示すること」、最後は「正直に伝えること」だ。心にゆとりを持つとは、金銭的余裕や精神的余裕をもって経営相談に臨む、ということだ。心のゆとりがないと近視眼的な精神状態に陥り、アドバイスが理解できない、アドバイスを取り違える、経営相談の相手を間違える、といったマイナス効果を招きやすくなる。経営相談のアドバイスをフラットな気持ちでプラスに受け取るには、心のゆとりが必要なのだ。業績を開示するとは、会社の業績状況を開示して経営相談に臨む、ということだ。売上に対する経費バランス、或いは、売上に対する利益バランスの適正具合が分からなければ、経営バランスを整えるための根本的な解消方法を相談することが出来ない。業績改善の具体的アドバイスを引き出すには、業績の開示が必要なのだ。正直に伝えるとは、嘘偽りなく、正直かつ具体的に経営相談内容を伝える、ということだ。どんなに優れた経営コンサルタントであっても、根拠情報が不十分、或いは、根拠情報が誤っていれば、結論を誤ってしまう。経営相談内容に対するアドバイスの精度を高めるには、何事も正直に伝える心がけが必要なのだ。経営相談を積極的に活用しよう!!中小企業の経営者は、悩みがあって当然だ。なぜなら、トップダウン構造にある中小企業ほど、あらゆる局面で生じる重要な経営判断が経営者に集中するからだ。経営者として、あらゆる局面で正しい経営判断を下すには、優れた経営力が必要だが、経営全般をカバーする確かな経営力を持っている経営者は決して多くない。わたしの経験から見ても、経営全般、つまり広範囲にわたって高い専門性が身についているゼネラリストタイプの経営者よりも、営業販売や商品開発など、特定の専門分野が得意なスペシャリストタイプの経営者の方が圧倒的に多い印象がある。会社衰退の原因は「経営課題の見落とし」にある。一方、会社発展の原動力は「経営課題の解消」にある。繰り返すが、経営課題を知る方法は、二通りしかない。自分で気づくか、人に気づかせてもらうか、である。気づくか、気づかないかの差で会社の未来が決まるので、先手先手で、経営相談を積極的に活用することをお薦めする。伊藤のワンポイント会社経営には年商一億の壁、五億の壁、十億の壁、百億の壁がありますが、それらの壁を突破できる会社には必ず参謀や右腕となるブレーンがいるものです。経営コンサルタントへの経営相談は今の経営体制を更に強化する、手軽かつ確実な方法です。経営の客観性を高める効果もありますので、積極的に活用してください。
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  • 経営環境の変化への対応力で業績が決まる|環境変化を捉える力が会社を安定させる
    経営環境の変化への対応力で業績が決まる|環境変化を捉える力が会社を安定させる経営環境の変化は、絶えることがない。時間の経過とともに刻一刻と変わるのが経営環境なので、変化を見落とし、経営環境についていけなくなると、会社は簡単に衰退する。当然ながら、経営環境の変化を目の前にして「今のままで良い」という考えは成り立たない。経営環境の変化に対応する経営采配なくして会社の成長発展はなく、資本力のない中小企業は、経営環境の変化への対応力がなければ衰退は必至といっても過言ではない。例えば、老舗料理屋のなかには、世間や顧客の嗜好といった経営環境の変化に応じて、味を微妙に変えながら人気を保っている店が数多にある。求められるものが変わっているにも関わらず、提供するものが変わっていないという極めてリスキーな事実は、冷静に考えれば理解できそうなものだが、経営環境の変化に対応できていない中小企業は決して少なくない。経営環境の変化に応じて「守るべきものと変えるべきもの」を瞬時に判断し、経営環境の変化に対応する力は、会社の成長発展に欠かせない経営者の必須スキルだ。事業構造の再構築、顧客の創造、付加価値の創造、商品提供の仕組み構築、販売戦略の発想転換、など等、会社の成長発展に欠かせない取り組みの殆どは、経営環境の変化に対応する力で成果が決まる。経営環境の変化に対応できているか否か、一度、点検してみてほしい。経営環境の変化を捉える方法経営環境の変化を捉える方法は様々あるが、最低限必要なことは業績把握を欠かさないことだ。なぜなら、実際の事業活動と経営環境の変化の間にギャップが生じると、必ず業績に危険サインが表れるからだ。当然ながら、業績に表れた些細な危険サインを見落とすと、先手先手で経営環境の変化に対応することが出来なくなるので、最悪、赤字転落や資金繰り悪化といった末期状態に陥ってしまうこともあり得る。また、顧客目線や顧客志向といった、顧客第一の意識を強く持つことも、経営環境の変化を正しく捉える秘訣になる。商品やサービスの購入選択権は、常に、顧客が握っており、顧客を無視したビジネスに将来はないからだ。顧客の要望や意見、或いは、顧客の喜びを最大化するアイデアを重要な経営課題と位置づけ、その課題解消に真摯に取り組んでいる限りは、経営環境の変化に置いていかれることはない。経済環境の多様化は加速度的に進んでいるので、会社を取り巻く経営環境は一段と複雑化し、すでに予測困難な時代に突入している。このような時代を生き抜くには、経験や勘を当てにした中途半端な経営姿勢から一刻も早く抜け出し、経営環境の変化を的確に捉え、変化を進んで受け入れる経営姿勢への転換が求められる。厳しい経営環境の変化を「従来の経営姿勢で乗り切るのか」、或いは「新しい経営姿勢で乗り切るのか」によって、会社の成長が決まるのだ。伊藤のワンポイント経営環境の変化に鈍感な会社は生き残るのが難しいです。企業には変えてはならない部分があるのも事実ですが、そうしたストロングポイント(不変価値)の伝え方なり、売り方は、やはり経営環境の変化に応じて柔軟に対処することが重要で、そうした変化に対応しなければ企業は間違いなく衰退します。
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  • これから来るビジネス|成功のチャンスは目の前にある
    これから来るビジネス|成功のチャンスは目の前にあるこれから来るビジネスは、二通りの見方がある。一つは「最先端や時流に乗った新規ビジネス」、もう一つは「既存ビジネスの進化系」である。最先端や時流に乗った新規ビジネスは軌道に乗りやすいが、落ちるのも早い。なぜなら、市場の拡大と共にライバル企業が増え、市場競争が激化するからだ。センスとアイデアさえあれば誰でも参加できるビジネスではあるが、起業後の経営基盤や経営戦略がしっかりしていないと、一時の隆盛で終わるビジネスも珍しくない。また、主役の交代が目まぐるしいのも、最先端や時流に乗った新規ビジネスの特徴になる。一方の既存ビジネスの進化系は、従来のビジネスノウハウにセンスとアイデアを掛け合わせて、これから来るビジネスに商品や市場をフィット(進化)させるビジネス展開のことである。世の中の進化、或いは、周囲の変化からビジネスのヒントを発掘し、そのヒントを形にし続けることが、進化系ビジネスを永続させる秘訣になる。そのためには、変化を敏感に捉えて、変化と共に進化し続けることが不可欠になる。また、既存ビジネスの経営基盤が盤石なほど、これから来るビジネスへの挑戦環境が充実する。これから来るビジネスの作り方最先端や時流に乗ったビジネスを作るよりも、目の前の既存ビジネスに全力を注ぐことの方がそのビジネスの未来は明るくなる。なぜなら、積極的に最先端の技術やノウハウを取り入れて、経営健全化、業務効率化、成長戦略展開等の成長経営を推進している限りは、企業は発展し続けるからだ。つまり、これから来るビジネスを探すよりも、目の前のビジネスに全力を尽くすことの方が、未来のあるビジネス作りが出来るのだ。ビジネスの盛衰に影響を与える技術革新、社会インフラ、顧客や労働者の価値観等は絶えず変化し、そのスピードは恐ろしく早い。変化のスピードに対応するには、全力かつ真剣に、ビジネスと向き合う覚悟が不可欠で、この覚悟が弱いと、必ず、周囲の変化を見落とし、企業が衰退する。また、これから来るビジネスを上手に作るには、とにかく小さくスタートすることが大切だ。小さなビジネスを複数同時展開すれば、どのビジネスが成功するかをスピーディーに見極めることができるし、成功ビジネスへの経営資源の集中投下も早い段階で判断できる。一番やってはいけないことは、成功すると思い込んで最初から大きなビジネスを立ち上げることだ。未来を予測することはできても、未来を100%当てることなど誰にもできない。従って、どんなビジネスにも失敗のリスクがあることを忘れてはならない。
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  • 会社を変える確かな言葉と行動|自分が変われば会社も変わる
    会社を変える確かな言葉と行動|自分が変われば会社も変わる会社を変える確かな言葉と行動を紹介する。「人間は、何かを決意し、やる気になっただけでは何も変わらない。」「何かを変えるには、付き合う人間を変え、時間の使い方を変えなければならない。」この言葉は、経営コンサルタントの世界的第一人者のピーター・F・ドラッカー氏の有名な言葉だが、これほど簡潔に、会社を変える具体的メソッドを表している言葉を、わたしは知らない。やる気を成果に変える環境作りなくして会社は一ミリも変わらないが、やる気になっただけで満足してしまう経営者は少なくない。自分の不足を補う新しい人間関係を構築する、或いは、経営の勉強を毎日一時間行う、など等、やる気を成果に変える環境作りなくして、経営者の力量も会社の業績も変わることはない。つまり、会社を変えるために付き合う人間を変え、時間の使い方を変えない限り、会社は変わらないのだ。中小企業は、経営者の力量で会社の業績が決まるので、経営者としての成長がなければ、会社が変わることはない。もしも、一年前を振り返って、付き合う人間も時間の使い方も変わっていないのであれば、危険信号かも知れない。自分を変えなければ、会社は何も変わらない。今日からでも遅くはない。付き合う人間を変え、時間の使い方を変え、素晴らしい会社に変える一歩を踏み出してほしい。自分が変われば会社も変わる会社を変える作業は、自分を変える作業でもある。自分を変えるために進んで変化を楽しみ、変化を受け入れることが、結果として、会社を変えることに繋がる。会社を変えたいと強く思っている経営者ほど、全く違う考えを持った人との対話から進歩が生まれる、或いは、自分のモノサシでは計れない交流が多いほど進化が加速する、といった成長の法則を弁えていて、年齢やジャンルの垣根を越えて、積極的に変化を受け入れている。また、経営者は孤独な稼業なので、不足を忠告してくれる人間が周りからいなくなる。会社を変えるために、自分自身を奮い立たせ、自分を律し、自分を正していかなければならないのが経営者の立場であり、その立場がどんなものであるのかを深く理解している社長ほど、積極的に変化を受け入れて、自己研鑽に努めている。日ごろから変化を受け入れて、発展的人間関係と自己研鑽の時間を創造してゆくと、自分が変わり、会社も変わる。ちなみに、経営が危機的状況に陥ってる会社ほど、過去の自分を変える作業の成果が成功を左右する。過去の人間関係と時間の使い方を変えることでしか、成功のマインドとスキルは身に付かないし、過去の失敗を正していくことでしか、成功に近づくことはできない。事実、危機的状況下から再建に成功する経営者は、変化を恐れることなく受け入れて、例外なく、見違えるほどの変化を遂げている。伊藤のワンポイント会社を変えたかったら、自分を変えることです。とりわけ、付き合う人間と時間の使い方を変えることは重要で、変化が大きいほど、人間の成長も、会社の成長も加速します。変化はストレスを招きますので、怖さもありますが、経営者ほど変化を受け入れるマインドを持つことが大切です。
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  • 経営者の読書効果と読書より大切なこと|実践なき読書は意味がない
    経営者の読書効果と読書より大切なこと|実践なき読書は意味がない経営者の読書効果は非常に高い。なぜなら、手軽に教養を身につけることができ、尚且つ、手軽に成功体験や成功理論に触れることができるからだ。わたし自身も、月に数冊の読書を習慣にしている。20代の頃は、先輩社長に薦められた山岡荘八著書の「織田信長・豊臣秀吉・徳川家康」や吉川英治氏や司馬遼太郎氏といった大衆歴史作家の全著書を一気呵成に読破したが、経営者のスタンスを学ぶ良い機会になった。今現在は経営関連に限らず、美術、料理、建築、文化、歴史、小説など等、幅広い分野の読書に興味を向けている。そして、読書は見聞を広めるきっかけ作りでしかない、ということ強く意識して、実践を重ねる努力を忘れないようにしている。例えば、読書で得た知識を経営で実践して効果検証する、或いは、読書で満足せずに一流の料理屋や美術館に行って本物に触れる、といったことは習慣化している。読書は経営者の知識の糧になるが、実践力が身につくわけではない。経営者の実践力を鍛えるには、読書で得た知識を実践に活かし、知識を知恵に変える努力(創意工夫)が必要だ。当然ながら、実践なき知識をいくら増やしたとしても、待っているのは「経営能力のない知識人」という残念な結果である。読書で得た知識は、実践してはじめて経営に活かされる。経営能力のない知識人で終わらないためには、読書と実践をセットで考えることが大切で、実践ありきの読書は、間違いなく経営者の能力を引き上げる。経営者が読書よりも優先すべきこと読書に熱心な経営者ほど、社員教育の一環で社員に対して読書を義務化しているケースが多いが、読書よりも優先すべきことがある。それは、経営者自身が社員を深く理解する、ことだ。例えば、☑社員の特性が分かれば適材適所が組める☑社員の能力が分かれば人材育成が円滑になる☑社員の趣味や家族構成が分かればコミュニケーションが深まる☑社員の誕生日が分かれば日頃の感謝を伝えるきっかけが作れるなど等、経営者の社員理解が深まるほど、会社の業績向上に繋がる効果が沢山現れる。読書には経営者の考え方や仕事に役立つ知識の理解が深まるといった一定の教育効果はあるが、社員を知識人に仕立て上げても業績は上がらない。社員に読書を強要するのではなく、経営者が社員のことを深く理解することの方が重要で、1冊の読書を社員に課すよりも、経営者が1人の社員を理解することの方が、よほど効果的なのだ。じつは、業績が伸び悩んでいる中小企業、或いは、組織に何らかの問題を抱えている中小企業ほど、経営者の社員理解が浅い傾向にある。心当たりのある経営者は、読書よりも優先して、ひとり一人の社員の理解に努めてほしい。また、読書よりも優先して、現場を知る、顧客を知る、といった経営に役立つ実践的知識を増やすことも、経営者の能力を高める秘訣になる。一方の社員側も、読書よりも優先して、会社の理念、会社の数字、会社の強みと弱み、といった仕事に役立つ実践的知識を増やすと、考える力が身につき仕事の生産性がグッと上がる。伊藤のワンポイント読書は経営能力を引き上げる最も費用対効果の高い成長投資です。ですから、書店で気になる本があれば躊躇なく購入することをお薦めします。そして、読書で得た知識は、実践してアレンジしてこそ役に立ちますので、読後の実践が何よりも重要です。また、読書よりも大切なことは社員一人ひとりのことを深く理解する事です。
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  • どんぶり勘定とは|丼勘定の意味・会計メリット・経営デメリット
    どんぶり勘定とは|丼勘定の意味・会計メリット・経営デメリットどんぶり勘定とは、収支の勘定がいい加減なことを云う。会社経営における「どんぶり勘定」は収支管理の簡素化メリットがある一方で、収支計算の精度を低下させるデメリットがある。この記事では、どんぶり勘定の意味、並びに、どんぶり勘定の会計メリットや経営デメリットに至るまで、詳しく解説する。どんぶり勘定とは?どんぶり勘定とは、収支の勘定がいい加減なこと、或いは、細かな収支を勘定せずに無計画にお金を使うことを云う。どんぶりの語源は、江戸時代に職人(火消し・大工・商人等)が身につけていた腹掛けについていた「どんぶり」と呼ばれる大きなポケットと云われている。腹掛けそのものをどんぶりと呼んでいた節もあり、そのどんぶりから無造作にお金を出し入れする仕草、或いは、どんぶりを愛用している職人衆のあるにまかせて無計画にお金を使う姿勢がどんぶり勘定のルーツと思われる。どんぶり勘定の歴史は古いが、現代においても使い方は変わらず、例えば、収支の勘定がいい加減な会社経営を表す「どんぶり経営」、あるにまかせて無計画にお金を使う社長を表す「どんぶり勘定」などは典型例になる。どんぶり勘定の会計メリットどんぶり勘定の会計メリットは多くない。せいぜいあって、会計の作業や手間が簡素化されることが唯一のメリットといえる。どんぶり勘定のよくある会計パターンを挙げると、極力勘定科目を増やさない、事業別や担当者別の仕訳を増やさない、経費精算を数カ月分ため込む、売上請求を数カ月分ため込む、領収証等を税理士に丸投げする、など等がある。何れも、会計に携わる当事者の作業が簡素化されるため、どんぶり勘定が定着するほど、会計作業が楽になる。どんぶり勘定の会計デメリットどんぶり勘定の会計デメリットはじつに多い。例えば、期間損益の収支が曖昧になる、整合性が低下する等は典型的なデメリットで、商品や事業の個別収支が不明になる等の深刻なデメリットもある。また、収支が曖昧になるほどに会計資料の精度(正確性)が低下するので、経営判断の根拠に使えない、或いは、銀行等からの信用が低下するといった二次的なデメリットも生まれる。こうしたデメリットを払拭するには、どんぶり勘定から脱却するために、会計の精度と整合性を高めることが不可欠になる。どんぶり勘定の経営メリットどんぶり勘定の経営メリットは多くない。せいぜいあって勘と経験に頼った会社経営を何の制約もなく推し進めることができることが唯一のメリットといえる。例えば、数字が苦手な経営者であれば、どんぶり勘定に固執することで苦手な数字から解放されるメリットが享受できる。計画や節約が嫌いな経営者であれば、どんぶり勘定に固執することで、あるにまかせて無計画にお金を使えるメリットが享受できる。このように、あるがまま、思うがまま、ストレスフリーで会社経営ができる点が、どんぶり勘定の唯一のメリットといえる。【関連記事】どんぶり勘定のダメ社長どんぶり勘定の経営デメリットどんぶり勘定の経営デメリットはじつに多い。例えば、勘と経験に頼った会社経営に陥ることで頻発する決断ミスや長期的視点の欠落から陥る資金繰りの失敗などは、どんぶり勘定の典型的なデメリットになる。また、数値管理が組織に定着しない、事業活動の検証精度が著しく低下する等のデメリットもあり、大概は、経営者の勘が鈍った瞬間に衰退リスクが噴出する。更に、万が一業績が悪化すると、業績悪化の原因特定(損益の詳細分析)に時間がかかり、健全化の成功確率が著しく低下するデメリットもある。業績が好調であっても、どんぶり勘定で複数の事業部の収支が曖昧になっている場合は、成長投資の正しい采配ができなくなるデメリットもある。【関連記事】どんぶり勘定が企業を滅ぼすどんぶり勘定は百害あって一利なしどんぶり勘定は、百害あって一利なしだ。どんぶり勘定は、会社経営の生命線になる決断の精度と検証精度を著しく低下させる。経営者の論理性と客観性も著しく低下させるので、漠然とした経営不安も消えなくなる。事業活動の結果、並びに、成功と失敗の兆候は、すべて数字に表れる。どんぶり勘定に固執すると、そうした成功と失敗の兆候を見落とし、高確率で経営に失敗するので、くれぐれも気をつけてほしい。
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  • 会社の数字を分析する基本の手法|経営者とビジネスパーソンの必須スキル
    会社の数字を分析する基本の手法|経営者とビジネスパーソンの必須スキル会社の数字を分析する手法は、経営者とビジネスパーソンの必須スキルといって過言ではない。なぜなら、会社の数字は事業活動(仕事)の結果であり、結果である会社の数字を無視した事業活動(仕事)に成功はあり得ないからだ。正しい事業活動(仕事)を推進するには、会社の数字の分析スキルが不可欠であり、このスキルなくして、会社の成長も、経営者(ビジネスパーソン)としての成長もあり得ない。この記事では、会社の数字を分析する手法について、詳しく解説する。会社の数字を分析する手法会社の数字を分析する手法は、大きく二つある。ひとつは、財務分析、もう一つは、管理会計(計数管理)と云われる分析手法だ。財務分析は、株式市場等への公表を前提とした透明性と公平性の高い数字の分析手法のことで、管理会計(計数管理)は、財務諸表等の経営データの数値を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営力を高める数字の分析手法のことである。中小・中堅企業経営者とビジネスパーソンが身につけるべき数字の分析手法は、会社の成長のために会社内部の数字を緻密に分析する手法である後者の管理会計(計数管理)である。参考まで、それぞれの分析手法の特徴を、詳しく解説する。財務分析財務分析とは、外部公表を前提とした会社の数字の分析手法である。財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析である。財務分析の数字は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められる。例えば、財務分析には、ROA(総資本利益率)、ROE(自己資本利益率)、DEレシオ(負債資本倍率)、財務レバレッジ、インタレスト・カバレッジ、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EPS(1株当たり利益)などの指標が使われる。管理会計(計数管理)管理会計(計数管理)とは、内部分析に活用する会社の数字の分析手法である。財務分析とは違い、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すか、というポイントが分析の基本になる。従って、業種業態によって計算手法が変わるし、その企業オリジナルの分析手法も沢山ある。例えば、管理会計には、売上高成長率、営業利益率、自己資本比率、など等の経営指標が数多く活用されるが、会社を取り巻く事業環境によって、経営指標の選別、経営指標の適正水準、経営指標の活用方法、など等の方針や基準が微妙に変わる。会社の数字の分析手法の学術理論会社の数字の分析手法である管理会計(計数管理)の学術理論は、統計学の範疇に入る。統計学とは、バラツキのあるデータの性質を調べたり、或いは、大きなデータから一部を抜き取って、その抜き取ったデータの性質を調べることで、元の大きなデータの性質を推測したりするための方法論を体系化したものである。統計学には、大きく分けて2種類の統計体系があり、ひとつは、あるデータを集めて、表やグラフを作り、平均や傾向を見ることでデータの特徴を把握する「記述統計」、もうひとつは、母集団からサンプルを抜き取って、そのサンプルの特性から母集団の特性を推測し、それが正しいかどうかを検定する「推測統計」がある。記述統計と推測統計は会社の数字を分析する管理会計に広く活用されており、例えば、記述統計は、売上、経費、利益等の業績推移の把握に活用され、推測統計は、業績予測や予算管理、ABC分析(パレート分析)や事業計画作成等に活用されている。会社の数字分析で分かること会社の数字を分析することで分かることは数知れない。会社の数字を分析すると、会社の現状も分かるし、更なる成長のための経営課題も明らかになる。簡単かつ効果的な分析指標を3つ紹介するので、決算書を2期分用意して、自己診断してみてほしい。売上高成長率売上高成長率とは、会社の売上がどの程度成長したかを示す経営指標のことである。売上高成長率を見れば、その会社の将来性が自ずと見えてくる。例えば、売上高成長率がプラス成長であれば会社の衰退リスクが低く、売上高成長率がマイナス成長であれば会社の衰退リスクが高い、ということが分かる。計算式と適正水準はこちら>>売上高総利益率売上総利益率は、別称「粗利率」とも云い、会社の利益指標として最も馴染みのある経営指標である。売上総利益率を見れば、その会社の収益性が自ずと見えてくる。例えば、売上総利益率が他社よりも高ければ収益性が高く、売上総利益率が他社よりも劣っていれば収益性が低い、ということが分かる。計算式と適正水準はこちら>>売上総利益高営業利益率売上総利益高営業利益率は、会社の本業の利益(儲け)の水準を示す経営指標である。売上総利益高営業利益率を見れば、その会社の競争力が自ずと見えてくる。例えば、売上総利益高営業利益率が他社よりも高ければ競争力が高く、売上総利益高営業利益率が他社よりも劣っていれば競争力が低い、ということが分かる。計算式と適正水準はこちら>>【関連記事】中小企業に適した経営指標の計算式と適正水準会社の数字分析で大切なこと会社の数字を分析するうえで最も大切なことは継続性だ。なぜなら、会社の数字の分析を断片的に行っても、経営課題の本質を明らかにすることができないからだ。例えば、単月比較ばかりの数字分析では、数字が上がった下がったと一喜一憂するばかりで、なかなか、経営課題の本質にたどり着くことはできない。せいぜい数字に振り回されて、行き当たりバッタリの会社経営に陥るのが関の山だ。会社の数字を継続的かつ正確に分析するには、年計の数字をベースに分析するのが一番である。年計の数字の推移は、決算数値の連続推移を表すので、季節変動や特需に伴う数字の増減がすべて解消され、分析結果のバラツキが一切なくなる。従って、過去から現在に至る数字の傾向が手に取るように分かるようになり、将来予測の精度も格段に上がる。伊藤のワンポイント数字が分かると決断の精度が高まります。決断の論理的根拠が増えるからです。経済の多様化は進む一方です。ですから、論理性に欠けた勘や経験に頼った決断だけで乗り切れるほど会社経営は簡単ではありません。これからの会社経営は、経営者(ビジネスパーソン)の数字力が明暗を分かちます。
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  • 営業利益を改善する3つの基本戦略|利益拡大が企業の強みを磨く
    営業利益を改善する3つの基本戦略|利益拡大が企業の強みを磨く会社経営を存続するうえで、利益改善は欠かせない取り組みだ。利益改善をおざなりにすると、利益を押し上げる会社の競争優位性が失われ、次第に利益が減少し、資金繰りに支障をきたすからだ。この記事では、営業利益を改善する3つの基本戦略について、詳しく解説している。営業利益を拡大する営業利益は本業の儲けを示す指標になる。この営業利益を拡大する経営姿勢は、即、利益改善に繋がる。営業利益とは、売上から仕入原価を引いて残る売上総利益(粗利)から、さらに販売管理費を差し引いた金額のことだ。粗利に注目する経営者は多いが、営業利益に注目している経営者は意外と少ない。売上を拡大するためにコスト管理が甘くなる経営者は典型と言える。売上が横ばい、或いは、売上が下がっていても営業利益を減らさない経営者は、コスト管理がシビアで、営業利益を常に意識した采配ができている。当然、会社全体の利益改善意識もしっかり定着している。事業コストを抑える事業コストを抑えることで、利益を改善する方法も有効だ。売上に連動する事業コスト(仕入原価と販売管理費)が減れば、自ずと、営業利益が拡大するからだ。利益改善のために事業コストを削減する方法は無限にあるが、中でも、新たな技術やテクノロジーを活用して、利益改善を推進する方法はお薦めだ。時代の進行とともに絶えず生まれる新たな技術やテクノロジーをタイミングよく取り込み続けることで、事業コストが最適化され、一定の利益水準をキープし易くなるからだ。利益を生み出すために大胆に事業コストを使うことは大切なことだが、コストの使い方を常に最適化することを忘れないことだ。利益の回転と利幅を追求する利益改善は、回転を上げるか、利幅を上げるかのどちらかを追求すると、大きな成果が得られる。重要なポイントは、ビジネスモデルや業種業態によって、回転と利幅の選択が変わることだ。例えば、同じお寿司屋でも、回転すしは「回転」、カウンターすしは「利幅」、同じ塾でも、集団学習は「回転」、マンツーマン学習は「利幅」、同じ飲食業でも、仕出し屋は「回転」、懐石料亭は「利幅」というように、ビジネスによって取るべき選択が変わる。また、回転と利幅の選択によって、ターゲット顧客も変わる。当然ながら、正しい選択ができれば、情報発信や広告展開等のマーケティング戦略の質も高まり、利益改善と共に売上拡大にも拍車がかかる。以上、営業利益の拡大、事業コストの抑制、回転と利幅の追求をライバル社よりも一所懸命に行うほど、会社の利益改善が進み、企業の強みも研鑽される。当然、儲かる状態もキープされるので、ますます繁栄する。
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  • 課題解決のプロセスとアプローチ|経営課題を見逃すな!
    課題解決のプロセスとアプローチ|経営課題を見逃すな!企業は、経営課題を見逃した瞬間から衰退する。この衰退の法則は、私の長年の経験と体験から導き出したものだが、逆に言えば、経営課題さえ上手に解決さえすれば、企業は繁栄し続ける。この記事では、企業の繁栄を後押しする課題解決のプロセスとアプローチについて、詳しく解説する。課題解決のアプローチ1「基準定着」課題解決のアプローチで最も重要なプロセスは、組織に「判断基準を定着」させることだ。組織に基準が定着すると、課題の発掘が容易になり、将来の成長を阻害する種々の経営課題にアプローチし易くなるからだ。課題解決のアプローチは「基準定着」に始まり、課題の認知・共有、課題の対応・検証へと続くが、最初の基準が曖昧だと、課題の見逃しが多発するので、最も重要なプロセスと言える。課題の発掘に役立つ判断基準は沢山ある。例えば、企業ビジョン、顧客満足に繋がる数値目標・行動目標・品質基準、社内の業績目標・業務目標・スキル目標などは典型例になる。これらの基準が定着すると、課題解決のアプローチ精度を高まり、常に基準超えがキープできる良好な経営環境が整う。課題解決のアプローチ2「発掘・共有」次に重要な課題解決のアプローチは「発掘・共有」である。課題を効率的に発掘し、その課題を全社員で共有すると、課題解決のスピードが速まると同時に、課題解決のアプローチ手法が磨かれるからだ。課題を効率的に発掘するには、判断基準を組織の隅々までしっかり定着させた上で、社長自らが現場や社員の動きをよく観察することが大切だ。下からの報告を待つのではなく、トップ自らが情報を取りに行く姿勢が、課題の早期発掘に役立つからだ。また、課題を発掘したら間髪入れずに全社員で共有し、全員の問題意識を高めて、全員で課題解決にアプローチすることも欠かせない。全員参加で課題解決にアプローチすると、課題解決の方法論がブラッシュアップされる、同じ課題が生まれ難くなり再発防止になる等のメリットが享受できるだけでなく、顧客に尽くす企業文化が一段と定着する。課題解決のアプローチ3「対応・検証」課題解決の最後の重要なアプローチは「対応・検証」である。課題解決は対応を誤ると状況が悪化する。また、未来を100%当てることは不可能なので、ベストな対応であっても失敗リスクはゼロにならない。つまり、検証なくして、成功はあり得ないのだ。課題の解決は、社内で解決できる課題なのか、あるいは、社外の専門家を頼るべき課題なのかの二者択一で分類すると対応策が明快になる。社外の専門家を頼るべき課題の場合は、即刻、適任者を探して課題解決を依頼すれば良い。社内で解決する場合は、社員の能力不足と仕組み不足の二者択一で原因を分類すると、解決方法が明快になり、課題解決のスピードが速まる。そして、課題解決の検証は、会社の数字、現場の声、顧客の評判を絶えずモニタリングすることが絶対条件になる。課題解決のアプローチに誤りがあると、数字・現場・顧客の何れかに必ず異変が現れるからだ。検証作業は課題解決アプローチの「基準定着」と同じくらい重要なプロセスになるので、決して疎かにしないことをお薦めする。
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  • 業務を標準化して生産性を改善する方法
    業務を標準化して生産性を改善する方法業務を標準化すると、業務パフォーマンスが上がり、事業活動の生産性が改善される。業務標準化は、営業・管理・製造・教育・投資等、すべての経営分野が対象となり、業務標準化の余地が無くなる事はない。この記事では、業務を標準化して生産性を改善する方法について、詳しく解説する。業務の標準化とは業務の標準化とは、社員の力量に関係なく、一定レベルの業務パフォーマンスを獲得・維持するために、業務の手順や方法をルール化・均一化・平準化することだ。業務を標準化すると、社員の力量が底上げされて、事業活動の生産性が向上するので、生産性改善の肝と言っても過言ではない。例えば、お菓子の型(型・レシピ・手順書等)があれば、その型に生地を流し込むだけで、職人達の力量差に関係なく、一定レベルのお菓子を作ることができる。逆に、お菓子の型が無ければ、職人達の力量差がそのままお菓子の出来栄えに直結するので、売り物にならないお菓子が増え、生産性が著しく悪化する。お菓子の型は、言ってみれば業務標準化の精度と一緒で、型の良し悪しが、そのまま作業の生産性に直結する。つまり、業務標準化の精度如何で、事業活動の生産性が大きく変わるのだ。業務標準化の範囲と方法業務標準化は、営業・管理・製造・教育等、すべての経営分野が対象になる。業務の標準化は、誰がやっても同じ結果が生まれる再現率が高いやり方を明文化(映像化)し、全社員で共有・研鑽する方法が基本セオリーになる。営業業務の標準化は、トップ営業マンのスキルの標準化、ヒアリング項目の標準化、営業プロセスの標準化等が主な対象で、標準化の精度が上がるほど会社の営業力が底上げされ、営業活動の生産性が向上する。管理業務の標準化は、在庫管理や材料発注の標準化、仕訳作業や経理ルールの標準化等が主な対象で、標準化の精度が上がるほど事務処理能力が底上げされ、社内業務の生産性が向上する。製造業務の標準化は、製造ライン毎の作業工程の標準化、製造設備の保守点検の標準化、トラブル対応の標準化等が主な対象で、標準化の精度が上がるほど会社の技術力が底上げされ、製造活動の生産性が向上する。そして、標準化の対象と範囲が広がるほど、標準化分野の教育効率が上がり、生産性改善と組織力強化のスピードが加速する。業務のマニュアル化と標準化の違い業務の標準化は、マニュアルを作って終わりではない。なぜなら、世の中の進化と共に、業務標準化の改良余地が生まれるからだ。例えば、営業活動の生産性を高めるツールが進化したら、すぐさまそのツールを取り込み、業務標準化の内容をアップデートしなければならない。製造活動の生産性を高める技術や設備が進化したら、すぐさまそのノウハウを取り込み、業務標準化の内容をアップデートしなければならない。このように、世の中の進化と共に標準化の内容を常に進化させることが、業務標準化の本質になる。また、業務の標準化を起点に、常にベストパフォーマンスが発揮できるよう、顧客・社員・取引先等の反応を注視し、周囲の反応に応じて標準化の内容を絶えず進化させることも大切だ。
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  • コスト削減の考え方から成功事例まで|コスト削減の目的・効果・方法を徹底解説
    コスト削減の考え方から成功事例まで|コスト削減の目的・効果・方法を徹底解説コスト削減は、常に企業の盛衰に影響を及ぼす。なぜなら、コスト削減により競争優位性が高まり会社が成長することもあれば、闇雲なコスト削減が原因で企業の付加価値が棄損し、会社が衰退することもあり得るからだ。つまり、コスト削減は、方法論ひとつで企業の盛衰を決し、企業の成長に大きく影響を及ぼすのだ。この記事では、コスト削減の考え方、コスト削減の目的・効果・方法から成功事例に至るまで、中小企業のコスト削減の本質を詳しく解説する。コスト削減の目的コスト削減の目的は、ライバル企業よりもコスト競争力を高め、市場での高い競争優位性を確立するところにある。例えば、ライバル企業よりも低コストで同じ品質の商品やサービスを提供する、或いは、ライバル企業と同じコストでより良い品質の商品やサービスを提供する、といった事業環境の確立がコスト削減の目的になる。コスト削減の目的で最も重要なポイントは「高い競争優位性の確立」にあり、競争の優位性を棄損するようなコスト削減は、本来の目的から逸脱した行為になる。具体的には、商品やサービスの品質や付加価値を損なうようなコスト削減、或いは、顧客や社員の安心感や安全性を損なうようなコスト削減などは、本来の目的から逸脱したコスト削減の典型例として挙げられる。コスト削減の目的を完遂するには、商品等の品質や付加価値、並びに、顧客等の安心感や安全性をキープ、或いは、高めながら、創意と工夫でコスト削減を進めなければならないのだ。コスト削減の考え方コスト削減の考え方は大きく二つある。ひとつは「コスト削減のために不要な経費をカットするという考え方」、もう一つは「効率を改善してコストを削減するという考え方」である。コスト削減の考え方として大切なのは後者の、効率を改善してコストを削減するという考え方だ。なぜなら、不要な経費をカットするという考え方では何れ限界点が訪れ、継続性のあるコスト削減活動がなかなかできないからだ。普段から余分なコストがさほどない中小・零細企業であればなおさらである。効率と生産性を改善して全体のコストを削減する考え方であれば、コスト削減の方法論や選択肢が無限に広がり、継続性のあるコスト削減活動の実現が容易になる。不要な経費をカットするだけがコスト削減ではない。いかに柔軟な視点と発想で効率と生産性を改善するかが、コスト削減で大きな成果を生み出す秘訣になるのだ。【関連記事】コストダウンのネタは無限にあるコスト削減の方法コスト削減の方法として第一に定着させなければならない方法は、前章で解説した効率や生産性の改善である。効率や生産性の改善対象は、作業や人員だけに止まらず、設備、導線、倉庫、資材、費用、収支、資金など等、会社経営のあらゆる領域が対象になる。どんな会社であっても、効率改善の余地はあり、その一つひとつを丁寧かつ迅速に改善することが大きなコスト削減効果を生み出す秘訣になる。この他にも中小企業に有効なコスト削減の方法をいくつか解説する。コスト削減の正攻法コスト削減の正攻法として最も重要なのは、コスト削減の対象を誤らないことである。なぜなら、すべてのコストは売上と相関関係にあり、コスト削減の対象を誤ると、簡単に売上が減少に転じてしまうからだ。そして、売上貢献度の低いコストを削減する一方で、コストゼロで行える笑顔、挨拶、礼儀、口コミなどを積極的に実践することもコスト削減の正攻法である。変動費と固定費のコスト削減方法変動費は売上に影響ない領域のコスト単価を下げる工夫が大きなコスト削減効果を生み出す。例えば「コピーはカラーから白黒へ、資料は複数枚からA4枚へ、最終的にはタブレットの活用で極力ペーパーレス化へ」というように変動費の単価を下げる工夫を推進すると、無理なくコストを削減することができる。固定費は構成比率が大きいコストから順番に削減努力をすると効果が出やすい。生産性を改善してコストを削減する方法生産性を改善してコストを削減する方法として有効なのは、社員の多能化である。中小企業は人員が限られているので、自分はこの仕事だけをしていれば良い、ということでは生産性は高まらない。肩書や組織を超えたフラットな体制と精神性をベースに社員の多能化を進め、すべての社員が、一人何役もの仕事をこなして、はじめて高い生産性が発揮される。多能化社員が増えると、組織活動の生産性が高まるので、自ずとコスト削減効果が生まれる。【関連記事:簡単かつ即効性のあるコストダウン手法】コスト削減の効果を高める方法コスト削減の効果を高める方法として有効なのは「コスト削減の見える化」と「コスト削減のPDCAサイクルの確立」である。何れも精度を高くするほどコスト削減の効果が高まるので、しっかり理解し、実践してほしい。コスト削減の効果を高める「コスト削減の見える化」と「コスト削減のPDCAサイクルの確立」について、詳しく解説する。コスト削減の見える化コスト削減の見える化は、実績を数値化することで実現することができる。数値化のコツは必ず年計を用いることである。例えば、それぞれの経費科目の年計推移を毎月チェックしているとコスト削減効果が出ているか否かを視覚的に把握することができる。また、コスト金額のほかに、収益(売上か売上総利益)に対するコスト比率も数値化(見える化)すると、収益とコストの関係性が明かになりコスト削減の戦略を練りやすくなる。コスト削減のPDCAサイクルの確立コスト削減のPDCAサイクルの確立は必須である。コスト削減はPlan(計画)とDo(実行)も重要だが、最も重要なのはCheck(評価)とAct(改善)である。なぜなら、売上減少のリスクを含んでいるコストを削減した場合、CheckとActがリスクヘッジの最後の砦になるからだ。当然ながら、CheckとActが正常に機能しなければ、コスト削減が業績悪化のきっかけを作りかねない。また、CheckとActは、コスト削減の効果的手法を発掘する役割もあるので非常に重要である。【関連記事:会社の経費削減を成功させる4つの方法】コスト削減の成功事例実際にわたしが関わった企業再建の現場からコスト削減の成功事例を紹介する。再建前後のコストと利益の総額比較と改善金額を提示し、コスト削減のポイントと方法論を解説している。コスト削減の成功事例その1コスト削減の成功事例その1は、年商25億円の会社である。再建前と再建2年後の数値を比較している。コスト削減の主な方法は、徹底した赤字取引・赤字商品の排除、不採算事業の撤退・外注化、問題社員のリストラなどである。(金額単位:千円)成功事例1BeforeAfter改善金額コスト575,000400,000▲175,000営業利益▲75,000(赤字)30,000(黒字)+105,000コスト削減の成功事例その2コスト削減の成功事例その2は、年商40億円の会社である。再建前と再建2年後の数値を比較している。コスト削減の主な方法は、赤字事業の整理、組織改革、給与改革、不採算取引や商品の整理などである。(金額単位:千円)成功事例1BeforeAfter改善金額コスト890,000490,000▲400,000営業利益▲90,000(赤字)10,000(黒字)+100,000コスト削減の成功事例その3コスト削減の成功事例その3は、年商35億円の会社である。再建前と再建1年後の数値を比較している。コスト削減の主な方法は、赤字事業の整理、売上から利益中心への経営転換、組織改編、選択と集中、コスト意識の徹底などである。(金額単位:千円)成功事例1BeforeAfter改善金額コスト860,000700,000▲160,000営業利益▲10,000(赤字)20,000(黒字)+300,000経費削減・コストダウンの3つの基本手法を動画で解説伊藤のワンポイント安さの追求は資本主義経済の本質です。ですから、コスト競争力は企業の競争優位性を決定づけます。しかし、コスト削減の正攻法は企業によってまちまちでじつに難しいです。削減どころを間違えると簡単に衰退するからです。特に、顧客と社員軽視のコスト削減は失敗を招きますので注意して下さい。
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  • コストバランスの最適化が安定と繁栄の経営基盤を強くする
    コストバランスの最適化が安定と繁栄の経営基盤を強くするコストとは売上を作るために費やす経費のことである。このコストのバランスが整うと、会社経営が自然と安定する。つまり、コストバランスの最適化が安定と繁栄の経営基盤を強くし、企業の永続性を高めるのだ。この記事では、コストバランスの適正な目安や整え方について、詳しく解説する。コストと利益のバランスコストと利益のバランスについて、詳しく解説する。会社経営は、コストを売上以下に抑えることで初めて成立するので、コストと利益のバランスは極めて重要といえる。売上と同じ金額のコストを使えば利益はゼロになり、売上以上のコストを使えば利益がマイナスで赤字経営となるが、安定経営を確立するには、一定の利益が残るコストバランスをキープしなければならない。コストと利益の理想のバランスは、粗利高経費率80%以下がひとつの目安になる。粗利はコストを吸収する前の仮の利益になるが、この粗利の8割以下にコストを抑える経営姿勢が安定と繁栄の経営基盤を強くする。コストと利益のバランスが崩れると、高い確率で経営環境が悪化に傾くので、種々のコストバランスのなかでも特に意識することをお薦めする。コストと人件費のバランスコストと人件費のバランスについて、詳しく解説する。殆どの会社にとって、人件費は総コストに占める最大コストなので、コストと人件費のバランスは極めて重要といえる。総コストに占める人件費のバランスは、資本集約型の産業(無人化が進んでいる工場等)は高くなり、労働集約型の産業(コールセンター等)は高くなる。その他の業種においても、コストと人件費の適正バランスはあるが、最も重要なのは、自社のターゲット顧客に合わせて、コストバランスを最適化することである。例えば、同じ飲食店であっても、オペレーティングが自動化されている飲食店(牛丼チェーン等)は、顧客対応に人員をさほど割く必要がないので、人件費を下げることでコストバランスが整う。一方、サービス重視のフレンチレストラン等は、顧客対応に人員を割く必要があるので、闇雲に人件費を下げるとコストバランスが崩れて、事業運営に支障が出る。製造業であっても、機械・自動メインの工場と、手作り・手作業メインの工場では、相手にする顧客ターゲットが全く変わり、目指すべきコストバランスも大きく変わってくる。顧客ターゲットを明確に捉えた上で、顧客が望む最適な人員体制(商品やサービスの品質レベル含む)を整えることが、総コストに占める人件費のバランスを最適化する秘訣になる。成長投資コストのバランス成長投資コストのバランスについて、詳しく解説する。成長投資コストとは、安定と繁栄の経営基盤を強くするための先行投資のことで、先行投資の成果が大きいほど、経営基盤が盤石になる。成長投資コストは、戦術的投資・戦略的投資・中長期的投資の3つに大別することができる。戦術的投資とは毎年見直すべき成長投資コスト(広告・販促等)のことで、戦略的投資とは長期に亘り毎年支出する成長投資コスト(人材育成・生産性改善等)のこと、中長期的投資とは投資効果が中長期に及ぶ成長投資コスト(設備投資等)のことである。成長投資コストのバランスは、会社を取り巻く経営環境や業界特性等によって変わるが、自社にマッチした独自のコストバランスを確立することが、安定と繁栄の経営基盤を強くする秘訣になる。
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  • コストプラス法の計算方法|CP法のメリット・デメリット
    コストプラス法の計算方法|CP法のメリット・デメリットコストプラス法(原価加算法・原価積算法)とは、商品やサービスの提供コストを積み重ねて価格を決定する計算手法のことである。ビジネスはコスト以上の価格で商品やサービスを提供することで成立するので、コストプラス法はビジネスの存続に役立つ計算方法と言える。この記事では、コストプラス法の計算方法、並びに、CP法(コストプラス法)のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。コストプラス法の計算方法コストプラス法(原価加算法・原価積算法)の計算方法について、詳しく解説する。コストプラス法の計算は、商品やサービスの提供コストを全て積算し、価格を決定する手法が基本になる。提供コストの中には、製造原価や販売管理費の他にも企業が必要とする利益も含まれる。例えば、商品1個当たりの製造原価が50円、販売管理費が40円、必要利益が10円だった場合のコストプラス法の計算式は50円+40円+10円=100円となり、適正価格100円となる。なお、コストプラス法で商品価格を計算する上で大切なことは、提供コストの正確性と加算利益の妥当性だ。提供コストの正確性は日頃の会計精度で決まるので、適正・公正・正確な会計処理を実践することに尽きる。加算利益の妥当性は会社や業種業態によって適正ラインが変わるが、一般的には粗利の1~2割以上の営業利益水準が優良と言える。コストプラス法のメリットコストプラス法のメリットについて、詳しく解説する。コストプラス法の主たるメリットは、提供コストを上回る適正価格が明らかになることだ。ビジネスはコスト以上の価格で商品やサービスを販売することで初めて成立するので、最大のメリットと言っても過言ではない。また、コストプラス法で価格を決定する計算過程において、コスト構造や必要利益が明快になるので、コストダウンを効率的に推進できるメリットもある。市場調査や競合比較をすることなく、比較的シンプルな計算方法で価格が決められるメリットもあるが、このメリットに関しては、競争優位性の高い商品やサービスという限定条件がつく。コストプラス法のデメリットコストプラス法のデメリットについて、詳しく解説する。コストプラス法の主たるデメリットは、顧客の意向やライバルの動向が一切考慮されないことだ。たとえ提供コストを上回る適正価格で商品やサービスを提供できたとしても、その価格が顧客にとっての適正価格になるわけではない。当然ながら、独りよがりな価格決定がきっかけで顧客の反発を招けば、顧客離れや売上減少等のマイナスリスクが表面化する。このコストプラス法最大のデメリットを回避するには、利益の根拠となる付加価値(会社や商品の強み)を徹底的に磨き、その付加価値を顧客にしっかり伝達する必要がある。商品価格の利益部分に相当する付加価値が大きくなれば、顧客がコストとして容認する利益金額も大きくなるので、提供コストを大きく上回る価格でも商品が売れるようになる。
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  • 会社経営がうまくいかない時の対処法|事業の失敗と成功を分かつ分岐点
    会社経営がうまくいかない時の対処法|事業の失敗と成功を分かつ分岐点会社経営はうまくいかない時の方が圧倒的に多い。モノは簡単には売れないし、ヒトは簡単には育たない。企業存続や成長投資を支えるカネを貯めるにも相応の苦労がいる。この記事では、会社経営がうまくいかない時の対処法、並びに、事業の失敗と成功を分かつ分岐点について、詳しく解説する。うまくいかない時は現状を見る会社経営がうまくいかない時の最初の対処法は、現状を見ることだ。数字を見て損失の現状を見る、社員を見て組織の現状を見る、売れ行きを見て顧客・商品・サービスの現状を見る等、現状を見れば、どの程度、経営がうまくいっていないのかが分かるからだ。数字は、黒字なのか、赤字なのか。赤字であれば、ひと月でどれくらいのマイナスに陥っているのかを把握し、マイナス金額が大きいほど、経営がうまくいっていないと言える。社員は、会社の良い点と悪い点を匿名アンケートで回収し、分類すると分かりやすく、良い点よりも悪い点が多いほど、経営がうまくいっていないと言える。売れ行きは、一年単位(年商)の売上推移を月別に把握すると分かりやすく、毎月、減少傾向にあるほど、商品の陳腐化と顧客離れが進み、経営がうまくいっていないことが分かる。うまくいかない時は現実を受け入れる会社経営がうまくいかない現状が見えた後は、その現実を受け入れる必要がある。現実を受け入れれば、やるべきことが明快になり、うまくいかないことが徐々に少なくなっていくからだ。経営コンサルタントの世界的第一人者のピーター・F・ドラッカー氏は、すべては現実からしかスタートできないと言っているが、まったくその通りで、現実を受け入れるか否かが、その後の成功を決定づける。例えば、赤字金額が分かれば、マイナス分を解消するための売り方、コストの使い方、人の動かし方が明快になる。会社の良い点と悪い点が分かれば、良い点を伸ばす、あるいは、悪い点を正す経営改善の具体的活動が明快になる。売れ行きが分かれば、商品やサービスの改良ポイントが分かり、付加価値を磨くための販売戦略や開発戦略が明快になるさらに、現実から逃げず、現実を受け入れると、やるべきことが明快になるだけでなく、前に向かう推進力も大きくなるので、うまくいかない環境からうまくいく環境に変貌を遂げることがより簡単になる。うまくいくために失敗を成功に活かす会社経営はうまくいかないことの方が圧倒的に多い。顧客、売上、社員、世間、経済、ライバル等、事業活動を取り巻く要因の殆どは、こちらの意思で簡単にはコントロールできないからだ。うまくいかないことが当たり前と考えれば、失敗を恐れて行動しないことが、一番の失敗と言っても過言ではない。行動すれば経験値が上がるので、失敗を避ける工夫や失敗を成功に転換するアイデアが豊富になる。当然、失敗の経験値が上がるほど、たった一回のチャンスをものにする力も大きく成長する。とにかく、失敗を恐れず行動し、失敗した時はうまくいかなかった原因をしっかり分析して次の行動に活かす。うまくいかない経営からの脱却は、この現状分析と現実改善の繰り返しが、最も効果的だ。
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  • ビジネスで成功する12の考え方|成功者の思考・言動・捉え方
    ビジネスで成功する12の考え方|成功者の思考・言動・捉え方ビジネスは弱肉強食の世界だが、稀に、強いものが負け、弱いものが勝つことがある。他者と比べて経歴で劣っていようが、経営資源にハンデがあろうが、苦境からのスタートを強いられようが、ビジネスで成功を収める人間は数多にいる。この記事では、ビジネスで成功する12の考え方として成功者の思考・言動・捉え方について、詳しく解説する。成功のチャンスを掴むビジネスの成功にはチャンスが欠かせないが、その源泉は出会いにある。ビジネスで成功する社長は、どこかで飛躍のきっかけに出会っている。誰とも出会うことなく自分で自分に火をつけるタイプは稀で、その殆どが、良き上司や師匠との出会いなど、他人の影響で自分も燃えるタイプだ。かくいう私も他人の影響を受けて燃えるタイプだが、大企業の社長も例外ではない。ユニクロの柳井さんはピーター・F・ドラッカー氏との出会い、ニトリの似鳥さんは経営コンサルタントの渥美俊一氏との出会いがきっかけで経営者人生が一変したと語っている。他者よりもたくさんの良き師匠や良き知見と出会うことが、成功のチャンスを引き寄せる秘訣だ。出会いは平等に行き渡っているものだ。重要なのは、一期一会の心掛けで、日々の出会いから学びや成功のチャンスをつかみ取ることだ。良き先生から教わる誰から教わるかで、ビジネスの成果は大きく変わる。教わる内容の良し悪しが、そのまま成果を決定付けるからだ。誰を先生とするか、どの先生を尊敬するかで、ビジネスの成功が決まり、ひいては、社長人生の成功が決まるのだ。世界で初めて経営コンサルタントになったピーター・F・ドラッカーは「成功したければ付き合う人間を変えろ」と言った。1年前と比べて全く成功に近づいていなければ、付き合う人間を変えない限り、成功にはたどり着かないことを示唆した言葉だが、まさに金言である。ビジネスの現場において、先生はとても重要だ。先生を活用するほど成功の可能性は大きくなる。しかし、先生を選ぶときはくれぐれも慎重に進めることをお薦めする。決して、こちらのニーズを見失うことなく、先生の肩書や経歴に惑わされることなく、心眼を開いて選んでほしい。そして、社員にとっての先生は社長である。社員は、社長の一挙手一投足を見て育つ。だからこそ、社長は自己研鑽するための勉強が不可欠になるし、そのための先生選びが重要になる。誰を先生に選ぶか、どの先生から学ぶかで、会社の成功、ひいては、社長の成功や社員の成功が決まるのだ。無知の知を実践するビジネスで成功するためには、無知の知の実践が欠かせない。無知の知の実践とは、自分が知らないことを知っている、ということを自覚し、素直に教えを乞う姿勢を持つことだ。論語にも「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」という似た言葉がある。無知の知と同様、無知であることを自覚することで、新たな学びを促進し、その結果無知を克服し成長する、という意味を持っている。社長であっても驕ることなく素直な気持ちで無知の知を実践すると、物事を本質的に捉えることができるようになり、ブレない哲学や信念が身につく。また、ヒトの苦労やモノの価値も正確に理解できるようになるので、器量や度量も高まる。さらに、手足を動かして無知の知を実践すると、審美眼や芸術性(職人技)も高まり、人間力が盤石になる。人間力が大きくなるほど、人間の器も大きくなるので、自然と、有能な人財が社長の周りにたくさん集まるようになる。まさに、無知の知の実践は、ビジネス成功の源泉だ。何事も本気になる本気になると、目の前の世界は大きく変わる。絶体絶命のピンチであっても、本気で生きるだけで、活路が開けてピンチがチャンスに変わる。だから、今の結果や現実を変えて成功したければ、本気で生きれば良いだけだ。じつに簡単な理だが、本気の度合いや必死さは人によって違う。当然、必死さが足りないと、現実世界は大きく変わらない。それでは、必死で世界を変えるには、どの程度の必死さが必要なのか、ということだが、答えは簡単だ。死ぬ気で頑張れば良いだけだ。必死=“必ず死ぬ”だ。死んだつもりで、過去も未来も考えずに目の前の今この瞬間に全力を尽くせば、必ず目の前の世界が好転する。天台宗の尼僧だった瀬戸内寂聴さんの40代の頃の座右の銘は「激しく生きて、美しく死ぬ」だったそうだ。出家したのは50代なので、女性が社会で活躍することが難しかった時代に、一日一生の姿勢で、目の前の日々を死ぬ気で生きていたことが伝わってくる。そして、どんな苦難に見舞われたとしても、凛とした姿勢で、目の前のことに全身全霊で取り組む美しさも感じる。ビジネスで成功したければ、本気で生きることだ。たったそれだけのことで人生は大きく変わる。成功する為に腹を決める夢を宿し、腹を決めると、ビジネスの成功が近づく。夢は自分で創り出すものだが、常に新しい夢を描き、絶えず夢を心に宿すことはすごく大切なことだ。ビジネスが成功するイメージ、やりたい仕事やなりたい自分など、とにかく夢を心に宿し、夢に向かって一歩ふみだす姿勢は現実世界を大きく変える。夢を失うと不運の種が宿る。どんなに小さくても良いので夢を心に宿して行動することが開運の大原則だ。そして、その夢を実現するために「腹を決める」ことが、その後の結果を大きく左右する。会社経営を長くやっていると腹を決めるシーンが度々訪れる。腹を決めれば、現実から逃げることなく、誠実に試練と向き合うことが出来るので、大概の困難は乗り越えることができる。真剣度合いが増すほど、試練もより大きくなるが、腹を決めることで、その試練を楽しく乗り越えることもできる。大きな夢であっても簡単に実現できる。油断、慢心、自惚れ、中途半端など、夢の実現を阻むマインドも無くなるので、一貫性のある芯の強い生き方が定着する。ビジネスの成功は腹決めで決まると言っても過言ではない。成長の天敵を排除する成長を阻害する最大の天敵は愚痴である。愚痴は成長を阻害する。愚痴っぽくなった瞬間に、被害者意識が芽生え、あの人が悪い、この社会が悪い、周囲の環境が悪いと、他者を加害者に仕立てて、他者に責任を押し付けがちになるからだ。何をやっても責任逃れができるので、とても居心地が良いが、自分の非を認めないために、自分磨きがピタリと停滞する。また、当事者意識がなくなり、自らが状況を打開することを放棄する。さらには、大きな変化や危機が迫っても我がこととして動けなくなる。愚痴っぽくなると少しも成長することはなく、むしろ、周囲から後れを取る一方になる。大きな課題や苦境など、大きなピンチが目の前に迫ると、ついつい弱気になって、愚痴っぽくなるのが人間の性かと思うが、会社のトップに君臨する経営者だけは、愚痴とは無縁でいた方が良い。経営者自身と会社の両方の成長が止まるからだ。当然、ビジネスの成功も遠のく。何事も中庸を意識する儒教の開祖孔子やギリシャの哲学者アリストテレスは、中庸を幸福な生き方の中核として考えていた。事実、中庸が分かれば、相対的な生き方から絶対的な生き方に変わるので、どんな事象、どんな人も受け入れる、愛と優しさに満ち溢れた世界が広がる。戦国武将の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康はホトトギスの歌を、鳴かぬなら殺してしまえ、鳴かせてみせよう、鳴くまで待とうとそれぞれ謡ったが、何れも「ホトトギスは鳴くものだ」という固定概念(中庸ではなく相対的な価値観)が結論を導いている。この歌を全く別次元の境地で謡ったのが、経営の神さまと云われた松下幸之助氏だ。松下氏は「鳴かぬならそれもまたよしホトトギス」と謡った。鳴かないホトトギスもホトトギスとして認めようという中庸さがにじみ出ている。経営者に必要なマインドは、この中庸の価値観だ。ご承知の通り、松下幸之助さんは、世界的企業パナソニックを創りあげ、94歳で天寿を全うするまで事業家・随筆家・文化人として第一線で活躍した。不健康も結構と言うほど沢山の病気を経験しながら長寿を全うし、数多くの失敗にめげることなく事業家として大成功を収めた。何事も一からやり尽くし、振り子の原理で大きく飛躍し、両極を知ることで中庸的な生き方を実践し、大成功を収めた典型といえる。ビジネスの成功を支える健やかで強靭なマインドを保つには中庸が肝要だ。常にフラットな立ち位置で自分を律する。ニュートラルな思考で物事を観察する。悪平等に偏らず、公平な基準で物事を判断する。攻めと守りの行動量をバランスよく増やす。マイナスの事象からプラスを見出す、など。マインドが中庸を保っていれば、決断の精度が高まり、事業活動の成果が大きくなる。また、経営姿勢や経営指針の迫力も増すので、新しい社員や新しいお客様を引き寄せる企業の魅力が一段と輝く。常にセンタリングするビジネスで成功するためには、センタリングの機会を意識的に作る必要がある。人生は自己対峙の連続で形成される。誰も見ていないし、誰から何かを強要されるわけでもない。手を抜こうが、全力を尽くそうが、どこを合格基準に置くかは全て自分次第だ。自分の力量を上げるには、自己採点の合格基準を高め、なお且つ、合格基準に少しでも近づく努力が必要だ。しかし、人間は楽な方に流される習性を持っているので、一定の合格基準をキープするのは意外と難しい。しかも、社長業が長くなると、本気で怒ってくれる人が周りから居なくなるので、自分で自分を律することでしか、自分の誤りを正す手段が無くなる。現実的には、失敗して初めて誤りに気がつくパターンが殆どなので、そうならないためにも、センタリングの機会やツールを持つことが大切だ。伴侶やパートナーの助言、お師匠や専門家の知恵、道徳やモラルなども有効だし、自分のあるべき姿を明確にイメージすることも効果的だ。トップランカーに近づくほど、自分の力量を一段と磨き上げるために、センタリングの機会を意識的に作っている。また、センタリングが充実するほど、ハッと我に返る、あるいは、ハッと気付きを得る機会に恵まれますので、成功のチャンスが格段に増える。我以外皆我師という言葉があるように、センタリングの機会は日常に沢山ある。意識的にセンタリングしてみてほしい。きっと、ご自身の力量と魅力がどんどん開花するはずだ。たまには静かに坐る心にゆとりを持って、静かに坐ると、ビジネス成功の糸口が見つかることがよくある。人間はせわしなく動いているが、心にゆとりを持って坐ると、それまで耳に入らなかったものが耳に入り、目に入ってこなかったものが目に入り、本当に大切なことに気がつかされるものだ。日々、慌ただしく動いていると、つい目の前の景色や情報を見落としがちになる。例えば、自分の振る舞いの悪さや自社のサービスの落ち度など、他者(社員・お客様・取引先等)との信頼関係を築くうえで大切なものを見失うことは良くあることだ。当然、こうした大切なものを見失うと、知らぬ間に他者との間にある信頼関係にヒビが入る。本当は自分がヒビを入れているにも関わらず、相手のせいにして、一向に改善しないと、何れ信頼関係は破綻する。成功のヒントやチャンスは足元にある。自分にとって大切なものは目の前にある。自分の家族や友人、会社の社員やお客様は宝物そのもの。心にゆとりを持って坐ると、社員・お客様・取引先等の本音や真意が分かるものだ。自分の生き方を改めるきっかけも見つかる。社長自らが現場に足を運び、社員の声に耳を傾け、目の前の景色を正確にキャッチアップすれば、今恵まれていることに気がつき、社員・お客様・取引先の要望に応えるためのプロセスが最適化される。意思決定のトップに立つ人間になるほど、たまには心にゆとりを持って静かに坐る機会を意識的に作ることをお薦めする。ユーモアを忘れないビジネスで成功する過程には苦悩や葛藤がつきものだ。しかし、笑いとユーモアがあれば、どんな苦難も乗り越えられるものだ。幼少期から壮年期にかけて、親の離婚、母との死別、自身の離婚など、たくさんの苦悩を経験した宇多田ヒカルさんは「ユーモアさえあれば、いつでも絶望の対極に居られる。」と言った。平和と笑いを愛し、反戦を唱え続けた結果、米国から国外追放されたチャップリンは「人生をクローズアップで見ると、悲劇もあるかも知れない。でも、どんな悲劇もロングショットで見れば、必ず喜劇に変わる。」と言った。宇多田ヒカルさんとチャップリンは、生きた時代も年齢も大きく違うが、他人よりもたくさんの苦悩や葛藤を経験した点においては、共通点が多い。それでも、二人とも共通して、「今の苦悩は将来笑える。」という認識にたどり着いている。受け入れがたい体験は自分を本物にする要素でしかない。辛いこと、嫌なこと、厳しいことを乗り越えるから人間性が磨かれる。地獄も極楽も表裏一体。今の苦悩は将来笑えるじゃないか、いや笑い飛ばそう!!!そんな声が聞こえてくる...。一代で一兆円企業を作った日本電産の永守重信さんは、ピンチに追い込まれるたびにニコッと笑い、大声で「大丈夫」と三回唱えて、大きな苦難を何度も乗り越えたそうだ。会社経営を長くやっていると悲劇や絶望に直面することもあるだろう。そんな時こそ、笑いやユーモアを意識することを切にお薦めする。成功の土台をしっかり作るビジネスで大きな成功を収めるには、土台作りが大切だ。成果を出す土台作りで重要なポイントは「会社の収益性」と「組織の行動原理」だ。私の場合は、平常時は粗利の10%、好調時は粗利の20%以上の営業利益を出すことを収益目標に掲げる。利益は現金を生み、現金は成長投資を加速させる。まずは、この収益を実現するために、今何をすべきか、今何が出来ていないのかを真剣に考え、果敢に行動する。収益の土台が整ったら、組織の行動原理を定着させる。成果を出す上で大切な行動原理は「義理を通し、モラルを守る」ことだ。具体的には、目先の利益を考えず、社員・顧客・取引先等に義理を通し、モラルを持った事業活動を意識することだ。目先の利益を優先し、義理を欠いた行動をすると協力者が居なくなる。法律さえ守っていれば何をしても良いというモラルを欠いた行動をすると、周囲からバッシングを受け、事業拡大の推進力が失われる。収益をさらに拡大するには、義理とモラルが不可欠だ。義理とモラルに重きを置いた会社経営を実践すると、新しい仕事や役割に恵まれ、繁栄をキープし易くなる。特に、社員や業界の鑑(かがみ)になり得る社長や経営幹部ほど意識することをお薦めする。一隅を照らす生き方を実践する一隅(いちぐう)を照らす、これすなわち国宝なり。この一文は、真言宗開祖の空海(くうかい)と並んで平安仏教の二大巨頭と云われた天台宗開祖の最澄(さいちょう)の言葉だ。一人が輝けば、隣人も輝き、やがて、社会全体が輝く。ひとり一人の人間が背伸びすることなく身の回りの範囲でベストを尽くすことが自分の幸せ、強いては社会の幸せ(平和)に繋がり、そういう人間は国の宝であるといった意味だ。一隅を照らす姿勢が自分や周囲の幸せに繋がる理は至極もっともであり、ストンと腑に落ちる言葉だが、言うは易く行うは難しで、この言葉の真意は厳しさに満ちている。他力本願ではなく、自力本願こそが自分を助ける唯一の道ということだからだ。他人に頼ることなく自分のベストを尽くすことは、じつに難しいです。失敗すれば現実から逃げたくもなるし、しんどい状況に陥れば他人のせいにもしたくなる。ハードルが高くなれば挑戦する勇気が萎えるし、コントロールできない状況下に陥れば思考や行動が停滞しがちになる。現実を受け入れる。他人のせいにしない。挑戦する勇気を持つ。コントロールできない状況下であっても、目の前の出来ることを一所懸命やる。一隅を照らす生き方は厳しさに満ち溢れているが、常に進化を遂げて、社会に大きく貢献しうる人物ほど一隅を照らす姿勢を貫いている。また、成功社長や偉大なリーダーほど、一隅を照らす生き方が得意だ。
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  • 数字に振り回されないために抑えるべき大切なポイント
    数字に振り回されないために抑えるべき大切なポイント事業活動の結果はすべて数字に表れるため、数字を無視した会社経営は極めて危険だ。しかし、数字の本質を見失い、数字に振り回される、あるいは、数字を振り回す会社経営に陥り、衰退する会社も少なくない。この記事では、数字に振り回されないために抑えるべき大切なポイントについて、詳しく解説する。数字より人を大切にする数字は、社員やお客様の働きのうえに成り立つ。その事実を理解し、社員やお客様に感謝する気持ち持ち続けることが大切だ。数字は結果に過ぎない。くれぐれも、数字で社員をコントロールしたり、数字でお客様の価値を判断したりしないことだ。社長が数字を振り回すほど、社員は数字に振り回され、お客様ではなく、数字しか見ない、じつに無機質で打算的な会社経営に陥るものだ。数字のために働くのではなく、数字を見て(結果を見て)、お客様のための働き方をブラッシュアップし、お客様からの支持率を高めることが、本来の数字の活用法だ。この本質を忘れた時、数字が仇となって、会社経営は失敗に傾く。無理のない数字を探求する目標に数字を掲げることはじつに有益だ。何かしらの成果は目標に対して動くことで初めて生まれ、曖昧な目標よりも、明確な数字目標の方が得られる成果が大きくなるからだ。掲げた数字目標を達成することは素晴らしいことだが、数字に振り回されないためには、社員・顧客・取引先等に無理を押し付けていないかを時おりチェックすることが大切だ。例えば、社員や取引先に対して対価を十分に支払っていない、当初よりも品質を落としたり手抜きをしたりした商品やサービスをお客様に提供する等の無理は絶対に避けた方が良い。社員・顧客・取引先等に無理を押し付けて作った数字は早晩崩壊する。また、不正に手を染めて作った数字も長続きしない。安定経営を支える良い数字を作るには、無理のない数字を探求することが肝要だ。その意識無くして、社員・顧客・取引先等の信頼は得られないものだ。数字よりもプロセスを理解する数字は、今この瞬間の結果しか表していない。会社経営においては、断片的な数字に一喜一憂するのではなく、継続性を持って数字のプロセスをしっかり理解することが大切だ。貸借対照表は現預金と純資産の推移、損益計算書は年計の売上と経費と利益の推移を見ることが大切で、過去の数字のプロセスの理解が深まるほど、現状認識と将来予測の精度は高まる。役立つ数字と役立たない数字の取捨選択の精度も高まるし、些細な数字の変化もキャッチアップできるようになる。当然、会社経営の質も段違いに進化し、社長も社員も数字に振り回されることが無くなる。数字より人を大切にする、無理のない数字を探求する、数字よりもプロセスを理解する等、これらの数字の本質を見失わなければ、数字に振り回されたり、数字を振り回したりすることなく、会社を安定的に繁栄させることができる。会社経営に不調を感じた時ほど、数字の本質に立ち返ることを切にお薦めする。筆者プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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  • 事業承継が失敗する7つの理由|中小企業の事業継承が進まない原因
    事業承継が失敗する7つの理由|中小企業の事業継承が進まない原因事業継承とは、経営者が後継者へ社長業を引き継ぐ一連の手続きのことだ。事業承継は、事業存続に欠かせないイベントだが、会社を取り巻く経営環境によっては、様々な課題が生じ、事業承継が失敗するケースも少なくない。この記事では、事業承継が失敗する7つの理由、並びに、中小企業の事業継承が進まない原因について、詳しく解説する。事業承継失敗1「業績悪化」業績悪化に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。著しい赤字経営、あるいは、事業運営に行き詰った状態で行う事業承継は高確率で失敗する。多くの後継者は、社長業の経験がない中で事業を承継するケースが多く、黒字化の能力も、事業をマイナスからプラスに改革するノウハウも持っていないからだ。事業承継は業績が良くても失敗リスクが山積するイベントなので、最低限、黒字経営の内に事業承継に取り掛かるのが良い。黒字経営であれば、後継者が経営に失敗しても挽回できるし、経営を継承した前任経営者のバックアップ体制も充実する。会社の業績が好調なうちに事業承継を行い、経営者が元気なうちにサポートに回ることが事業承継の失敗リスクを引き下げる正攻法になる。事業承継失敗2「後継者不足」後継者不足に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。事業承継は、経営者が後継者に社長業をバトンタッチするイベントだが、そもそもバトンを受け取る能力が後継者になければ、事業承継は失敗する。特に、横柄・横暴・横着のスリービサイド(3つの横)が揃った後継者は、周囲の信頼を失いやすく、高確率で事業承継に失敗する。横柄な言動、横暴な態度、横着な仕事が定着している後継者には、社員・取引先・お客様からの信頼が集まらないだけでなく、助けの手や飛躍のチャンスにも恵まれない。業績が良いときは大きな問題はないが、ひとたび業績が悪化すると、衰退の一途をたどり、たいがいは、最後まで協力者が現れず、事業破綻、あるいは、社長降格の結末を辿るケースが多い。【関連記事】ダメな後継者とできる後継者の違い事業承継失敗3「権限移譲の課題」権限移譲の課題に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。事業承継が済むと、すべての権限が後継者に引き継がれるが、すべての権限を移譲しないことで事業承継が失敗に終わるケースもある。例えば、社長の権限の中で最も重要な仕事は、決断することと、その決断の結果責任を負うことだが、この何れか、あるいは、両方の権限を後継者に移譲しないと事業承継はうまくいかない。決断しなければ社長の力量は身につかないし、結果責任を負わなければ決断の精度も検証の精度も上がらない。決断と結果責任を後継者が担うことで、初めて社長の力量が上がり、事業承継の失敗リスクが引き下がるのだ。事業承継が済んだ後も、後継者の決断に口をはさむ。決断をさせずに結果責任だけを負わせる。或いは、本来、後継者が背負うべき結果責任を親心で肩代わりする等の言動は、事業承継の失敗リスクを押し上げることを忘れないことだ。事業承継失敗4「双頭体制のひずみ」双頭体制のひずみに伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。双頭体制とは、事業承継の当事者同士である経営者と後継者の両方に意思決定権等がある状態の事だが、ゆがんだ双頭体制は事業承継の失敗リスクを押し上げる。例えば、双頭体制が長期化すると幹部や組織の分断を招き、経営者側に従う社員と後継者側に従う社員に分かれ、最悪、会社解体という事態に陥ることがある。または、経営者と後継者の指示命令が錯綜することで組織が混乱し、自分の意見を表に出さない指示待ち社員やイエスマン社員が増殖する事態に陥ることがある。事業承継が済んだら、双頭体制を解消するために、意思決定権、指示命令権、人事権など、社長業の重要タスクはすべて後継者に引き渡し、組織の一体感を醸成することが事業承継の失敗リスクを引き下げる秘訣だ。事業承継失敗5「ビジネスモデル破綻」ビジネスモデルの破綻に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。事業承継は経営者の世代交代でもあるが、交代までの期間は一代で大よそ20-30年かかる。当然、その間にビジネスモデルの陳腐化が進むと、事業承継の失敗リスクは高まる。数十年も経過すると、ビジネスを取り巻く環境は一変する。社会インフラは進化し、事業コストは大幅に下がり、顧客や市場の動向も入れ替わる。変化の程度によっては、昔のビジネスモデルが全く通用しなくなり破綻することさえ起こり得る。事業承継に臨むうえで大切なのは、こうした大前提をしっかり理解し、今のビジネスモデル(事業モデル・仕事の仕方・社員の意識等)が、今のビジネス環境にフィットしているか否かを総点検することだ。改善余地や変化すべき点が発見できれば、改革・改善・修正が働くので、自ずとビジネスモデルの永続性と事業承継の成功率が高まる。事業承継失敗6「株式分散・相続トラブル」株式分散・相続トラブルに伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。中小企業の事業承継は、株主が交代するオーナーチェンジが一般的だが、株式分散や相続トラブルによってオーナチェンジが停滞し、事業承継が失敗するケースがある。例えば、株式分散が原因で、正当な後継者に2/3以上の株式が集約できず、後継者争いが勃発し、事業承継が失敗ケースはよくある。また、事業承継会社の株式自体が相続対象になることで、相続人同士が揉めることもよくある。さらに、揉め事を仲裁できる経営者(被相続人)が突然逝去した場合は、泥沼化することもあり得る。事業承継会社の株式価値が著しく高額で、後継者が多額の相続税を支払えないことで事業承継に失敗するケースも稀にある。(ちなみに、このパターンに陥り、事業承継を先送りするケースはじつに多い)事業承継失敗7「客観性・専門性の欠如」最後に、客観性と専門性の欠如に伴う事業承継の失敗について、詳しく解説する。業績悪化、後継者不足、権限移譲の課題、双頭体制のひずみ、ビジネスモデルの破綻、株式分散・相続トラブル等、事業承継の失敗パターンは多種多様だ。中小企業の事業継承が進まない根本原因は失敗リスクが多いところに集約されるが、こうした失敗パターンを避けるには、客観性と専門性を高めるのが一番効果的だ。独学や自力で事業承継に臨むのではなく、客観的な視点を増やすために、専門家(経営コンサル・弁護士・税理士等)を参画させ、ベストな事業承継スキームを作り上げる環境を整えるのだ。こうした環境作りのタイミングは、ぼちぼちの業績で、経営者の気力体力に余力がある時がベストだ。業績と経営者に余力があれば、専門家の協力を得られるし、後継者の失敗もカバーできる。また、事業承継後のサポート体制も充実するので、失敗のリスクがどんどん下がる。事業承継は数十年に一度のイベントだが、企業の永続性を高めるうえで絶対に欠かせないものだ。失敗リスクを引き下げるために、相応の準備期間をもって万全な体制で臨むことを切にお薦めする。
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  • 会社を経営するには何が必要か?|商売の原則と社長の成功哲学を学ぶ
    会社を経営するには何が必要か?|商売の原則と社長の成功哲学を学ぶ起業や事業承継の際、或いは、起業後に何気なく会社経営している際に、会社を経営するには何が必要か、という根源的な問いかけがふと頭をよぎることは珍しくないと思う。会社を設立することは誰にでもできるが、起業した後に、会社経営を10年、20年と継続することができる幸せな社長は、じつは決して多くないからだ。この記事では、会社を経営するには何が必要か、並びに、商売の原則と社長の成功哲学について、詳しく解説する。会社を経営するには何が必要か?会社を経営するには何が必要か?と問われれば、まず必要なのは顧客に提供する「商品・サービス」だ。顧客のニーズにマッチする商品、或いは、新たなシーズとなり得る商品が手元にあれば、誰でも会社経営を始められる。法人を作る手間が面倒であれば、個人事業主として創業することができるし、手元にお金が無ければ、銀行から開業資金を借りれば良い。会社経営は、商品と顧客の掛け合わせで大きくなるので、商品さえ手元にあれば、あとは顧客を増やすだけで事業が軌道に乗る。会社経営は、学歴も生い立ちも不問である。商品を生み出すアイデアさえあれば、誰でも参加できるのだ。会社を経営するには顧客が必要会社を経営するには、売上を保証してくれる顧客の存在が欠かせない。顧客を増やすうえで必要な要素は、集客の仕組みと顧客に対して発信する情報だ。集客はアプリやデジタルツールを活用すれば、安価かつ効率的な仕組みが構築できる。重要なのは、そうした集客の場に、どういう情報を発信するかだ。顧客は与えられた情報でしか商品価値を評価することができない。つまり、顧客に対して価値ある情報を与えるほどに商品価値は高まる。極端な話、ライバル企業よりも商品のスペックが劣っていようとも、与えた情報の価値が上回っていれば、簡単に勝負に勝つことができるのだ。顧客接点の際に好印象を与えることは大前提で、大切なのは、顧客の感情に訴える経営ビジョンやオンリーワンストーリーをいかに提供するかだ。感情を揺さぶる情報提供ほど、顧客の購買意欲を掻き立てるものはない。会社を経営するにはマインドも重要最後に、会社を経営するうえで大切なマインドについて、詳しく解説する。会社を経営するに当たって最も大切なマインドは「覚悟を決める」ことだ。創業の覚悟、後を継ぐ覚悟、商品を売る覚悟、社員を守る覚悟など、とにかく覚悟を決めて経営に当たれば、日ごろの言動の迫力が増し、経営者の風格と威厳がスピーディーに身につく。また、覚悟が決まっている経営者は、何かに失敗したり、困難に直面したりしても、他人のせいにすることなく、失敗や困難をしっかり分析するので、自然と成功のチャンスに恵まれる。さらに、社長自身に不得意分野があったとしても、その部分をサポートしてくれる人財に恵まれたり、思いがけないところから助けの手が差し伸べられたりする。マインドの事を経営哲学とも言うが、とにかく独自の哲学を心に宿している経営者は強く、成功に恵まれやすい。
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  • 自己投資は人生の豊かさに直結する|トップランカーほど自己投資を惜しまない
    自己投資は人生の豊かさに直結する|トップランカーほど自己投資を惜しまない自己投資とは、自分の成長、或いは、自分の力量や財力を高めるために先行して投じるお金・時間・努力等のことである。自己投資を積極化している人間の成長スピードは異様に早く、たとえ、自己投資が失敗したとしても、経験値が高まるのでチャンスをものにする力が確実に磨かれる。この記事では、積極的な自己投資が人生の豊かさに直結する理について、詳しく解説する。自己投資は自己実現の必須プロセスわたしは、経営コンサルタントとして独立してからの数年間は、会社再建の仕事が中心だった。次々と、倒産の危機に瀕した会社をみてきて、確信をもって、ひとつの結論に達した。「経営者が強くなれば、会社も強くなる」と。恐らく、間違いない。。。経営者がプロ経営者になれば、途端に会社はグングン成長する。だからこそ、プロ経営者になるための自己投資(先行投資)は、惜しまずやってほしいと思う。私の場合は、今の会社を創業する前は、とにかく自己投資をした。お金、時間、労力など、注ぎ込めるものは全て注ぎ込み、コネや人脈など、使えるものは全て使いきり、プロ社長になるための努力を目一杯した。おかげ様で独立という夢を実現することができたし、自分の大好きな分野で充実した仕事人生を過ごせている。自己投資の成果が、独立後に全て開花したのだ。自己投資でトップランカーを目指すわたしの経営サポート先の経営者も自己投資で能力を高めている。最初は経営に自信がなかった社長さんも、「数字が好きになった」、「会社経営のストレスが無くなった」、「業績改善が楽しい」など等、皆さま熱心に経営の勉強に励み、自身の能力をどんどん開花させている。ちなみに、成功したいから教えを受けるスタンスは、プロの世界では普通だ。プロテニス、プロゴルフ、プロ野球、そして、プロ経営者に至るまで、どんな分野においても共通している。波風の立たないストレスフリーな日々は、変化のない平々凡々の日々を過ごすのが一番だが、そのような平々凡々な日々から成長や進歩は生まれない。どこかで新たな一歩を踏み出さない限り、今の自分を超えることは困難だ。どんなに小さな一歩でも構わない。ご自身の力量をさらに高めるために新しい一歩を踏み出してみてほしい。きっと違う景色が見えてくるはずだ。自己投資で大きなチャンスを掴む大きなチャンスを掴むためには、それ相応の自己投資が必要だ。ふいに訪れるチャンスに呼応する下地(能力、人脈、センス、経験値、専門性等)を作る努力なくして、チャンスはつかめないからだ。他人よりも勉強し、他人よりも経験を積み、他人よりも熱意を持って成功したい分野で努力し続けている人間に巡ってくるチャンスの量は自ずと他人を上回る。チャンスを掴み、そのチャンスをものにする成功率も上がる。時間は平等だが、チャンスは平等に巡ってこない。チャンスをつかむには、時間を有意義に使い、努力に費やす習慣をなるべく若い時期から定着させることが欠かせない。とにかく、チャンスは、自己投資(先行投資)するほど大きくなる。未来の成功のために、積極的に自己投資することを心からお薦めする。
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  • 実践力を磨けば成果が飛躍的に大きくなる|実践は社長の最たる仕事
    実践力を磨けば成果が飛躍的に大きくなる|実践は社長の最たる仕事会社と社員、すべての成長の源泉は「社長のやる気」になる。そのためには、社長の前向きな姿勢、素直さ、謙虚さが肝になるが、一番重要なのは、やる気を成果に変える実践力である。人間は、何かを決意し、やる気になるだけでは何も変わらない。経営コンサルタントの世界的第一人者のピーター・ドラッカー氏は、「やる気を成果に変えるために、付き合う人間を変え、時間の使い方を変えろ」と言った。例えば、自分の不足や苦手を補う新しい付き合いを構築する。毎日、経営の勉強を1時間する、など。とにかく、やる気や決意を成果に変える環境作りをすることが、経営者の力量と会社の業績を上げる確かな方法になる。一年前と比較して、付き合う人間も時間の使い方も変わっていなければ、成長が止まっている可能性が高い。是非とも、付き合う人間を変え、時間の使い方を変え、大きな成果を上げてほしいと思う。実践度合いが企業の盛衰を決める会社の繁栄は、社長の実践度合いで決まる。誰であっても、どんな境遇であっても、他者よりも実践の量を増やせば、会社の業績や自分の人生をより良い方向に持っていける。失敗したくない、苦労したくないという気持ちも理解できるが、失敗や苦労が成長の源泉になることは、自明の理である。失敗や苦労があるからこそ、力量が磨かれる。人間の力量は、そうした経験の積み重ねの賜物であり、失敗も苦労も全く無い人生から成長は生まれない。できる社長ほどすぐに実践し、結果を出している。たとえ失敗したからといって諦めることはせず、失敗を分析し、しっかり成功に転換させている。繰り返すが、一番もったいないことはやる気になっただけで、実践しないことだ。目の前の現実を変えたければ、実践すれば良いだけのこと。最初の一歩を踏み出すことが、より良い結果に繋がる。簡単なので、ぜひ、実践してみてほしい。
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  • 決断力と決断のスピードを鍛えて繁栄を加速する方法
    決断力と決断のスピードを鍛えて繁栄を加速する方法社長の決断は、企業盛衰に大きな影響を与える。なぜなら、決断の精度やスピード如何で、事業活動の成果が大きく変わるからだ。この記事では、決断力を鍛え、決断のスピードを高め繁栄を加速する方法について、詳しく解説する。決断力を鍛える重要性会社の業績を拡大するには経営改善を定着させることが必須条件になる。その為には、社長が勉強して経営力を高め、永続性を確立する条件(顧客の創造・付加価値の研鑽・数字の拡大)を経営改善の軸に据えることが欠かせない。この経営改善を成功に導く上で大切なことは「経営者の決断力を高める」ことだ。なかでも、決断のスピードは極めて重要だ。決断のスピードは、早ければ早いほど良い。わたし自身も決断には数秒の時間しか割かないし、できる社長ほど、決断のスピードが早い。なぜ、決断のスピードが経営改善の成果に影響するのかというと、決断が遅いと、何事も前に進まないからだ。やる・やらないの決断が経営改善を推進するので、決断できない社長の存在は、会社にとって不幸の種にしかならず、社長の決断のスピード次第で会社の幸不幸が決まるといっても過言ではない。決断のスピードを高めるコツ決断のスピードは、社長業の経験と体験がモノをいう。従って、決断のスピードを高めたければ、すべてを自分の責任で決断する癖をつけることが大切だ。例えば、すべての失敗の責任を自分に帰結できる社長は、決断するたびに決断力が磨かれて、瞬時に決断できる思考力が身についていく。また、他者が起こした失敗や不祥事に直面した場合に、我が事として教訓を得ようとする謙虚な姿勢も瞬時に決断できる思考力を磨いてくれる。会社のことはすべて自分の責任、会社外のことも決して他人事とせずに何かしら教訓や意味を学ぼうとする謙虚な姿勢が、社長業の経験値を飛躍的に高め、決断のスピードを加速してくれるのだ。ちなみに、決断は、やる・やらないの二択とは限らない。決断の判断材料が不足していればその不足材料を直ちに用意させる、或いは、決断した後に直感で不安を覚えたら直ちに元に戻す、といった決断も、社長の決断の範囲内になる。決断しなければ何事も前に進まないので、とにかくスピーディーに決断することが大切だ。決断の判断基準はどこに置くべきか最後に、決断する際の注意点をお伝えする。会社の経営責任を一身に背負うのは社長の役目だ。副社長以下は決断の結果責任を委ねる相手がいるが、経営者には、結果責任を委ねる相手がいないからだ。経営者の孤独感や時おり背筋を正される重圧の正体は、この辺にあるのではないかと思う。孤独のなか、大変な責任とプレッシャーもあり、決断に悩むこともあると思うが、絶対に、モラルのない決断をしないことだ。例えば、法律の範囲内なら何でもOKというモラルのない決断をすると、必ず周囲に足を引っぱられて会社経営に失敗する。経営者は上品でなければならない、というのが私の持論だが、とにかく全責任を背負って決断のスピードを上げる努力と共に、モラルのある決断を意識してほしい。モラルを基準とした決断を意識すれば、成功は向こうからやってくる。
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  • 仕事の精度を高める方法|仕事の質とスピードを上げる
    仕事の精度を高める方法|仕事の質とスピードを上げる社長の重要な仕事の一つに「経営改善の推進」が挙げられる。この経営改善の成果がうまく上がらない場合は、仕事の検証精度を磨いてほしい。仕事の検証精度を高めれば、戦略修正がより良い方向に進み、経営改善の成果が自然と大きくなるからだ。検証精度を高める方法は数知れずあるが、最も抑えるべきは「管理会計」と「組織力」である。管理会計とは、事業活動の結果を客観的数値から分析する会計手法だが、管理会計で数字を絶えずモニタリングすると、仕事の検証精度がグッと高まる。例えば、会社経営においては、やってみるまで結果が出ないことが沢山あるが、管理会計で数字をモニタリングしていると、客観的な根拠データがリアルタイムで把握できるので、悪い兆候も良い兆候もすぐに分かる。つまり、行動結果の認知速度が上がり、失敗を最小限に食い止める、或いは、成功パターンを早期発見する、ということが可能になる。当然ながら、管理会計の運用期間が長期にわたるほど、仕事の検証精度が磨かれて、経営改善の成果が大きくなる。組織力を高めて仕事の精度を上げる組織力も仕事の検証精度と密接な関係性がある。例えば、組織力が高い会社では、良い兆候も悪い兆候も、現場の社員がすぐに発見する。逆に、組織力が低い会社では、良い兆候も悪い兆候も、現場の社員が見逃しがちになる。いわゆる、見て見ぬふり、事なかれ主義に陥る。組織力を高めるには、判断基準、情報共有、人財育成、社員満足度、コミュニケーションの5つのポイントが重要だ。例えば、社員に「判断基準」を与えれば、善悪の判断力が高まり、「情報共有」すれば、組織全体の判断力が高まる。社員の「人財育成」を推進すれば、組織と現場の力が高まり、「社員満足度」を追求すれば、現場の士気とモラルが向上する。社員との「コミュニケーション」が円滑であれば、経営者との一体感が増し、マンパワーが最大化される。以上の5つの要素は、社長が率先垂範で実践することが大切で、この実践が不足すると、組織力と共に仕事の検証精度が低下し、様々な衰退リスクが噴出する。PDCAサイクルで検証精度を上げる前章で解説した組織力が高い会社の特徴として挙げられるのは、組織マネジメントの基本である「PDCAサイクル」が定着していることだ。例えば、京セラ、日本電産、ユニクロ、ソフトバンクのように、たった一代で一兆円企業に成長した会社があるが、成長を後押ししたのはPDCAサイクルだ。この4社のPDCAサイクルは、異常に速い。ソフトバンクに至ってはリアルタイムで業績集計が出来ているので、分速でPDCAサイクルが回っているともいえる。PDCAサイクルが速ければ高い検証精度を維持することができるので、失敗の芽も成功の芽も、早い段階で摘み取ることができる。結果を読むことはできても、結果を100%当てるとこなど不可能だ。つまり、すべての行動には想定外のリスクが付きまとっている。こうしたリスクを放置したままの状態ほど危険なことはない。当然ながら、仕事の検証を疎かにすれば、会社はいとも簡単に衰退する。財務バランスが悪い会社、生産性が低下している会社、業績が伸び悩んでいる会社は、仕事の検証精度が低下している可能性が高いので、日頃からしっかりと意識してみてほしい。
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  • 中長期計画が業績に貢献しない理由|経営計画の目的・作り方・運用法
    中長期計画が業績に貢献しない理由|経営計画の目的・作り方・運用法会社経営の中長期計画を作成する企業は多い。しかし、中長期計画を作成したからと言って、会社の業績が伸びる訳ではない。業績を改善するには、経営計画の目的・作り方・運用法等の肝を抑える必要がある。この記事では、中長期計画が業績に貢献しない理由、並びに、経営計画の目的・作り方・運用法について、詳しく解説する。中長期計画が業績に貢献しない理由中長期計画が業績に貢献しない理由について、詳しく解説する。中長期計画が業績に貢献しない最大の理由は簡単だ。1年先を読むことすら困難な状況下で立てた3年~5年後の目標を達成するプロセス(事業計画・エビデンス・数値目標等)は、実効性も再現性も低いからだ。中長期計画を作ったとしても、計画通りに事が進むことは稀で、大概は計画リスケジュール(変更・更新・修正等)の連続に陥り、当初の計画と結果は大きく乖離する。当然、その都度、中長期計画のリスケジュールを強いられ、計画変更の頻度が高まるほど、当初の中長期計画は形骸化する。また、中長期計画作りに参加している社員の膨大な時間・労力・努力も無駄になり、場合によっては、中長期計画が仇となって、せっかくの成長のチャンスを逃すことも起こり得る。未来を予測することはできても、未来を100%当てることは不可能だ。こうした大前提を理解したうえで、中長期計画を作成し、運用することが肝要なのだ。中長期計画の目的・作り方・運用法中長期計画の目的・作り方・運用法について、詳しく解説する。中長期計画は、少し未来の会社のあるべき姿や大きな経営目標を全社員で共有するために作成・運用すると業績への貢献度が高まる。例えば、3年~5年後までに営業利益1億円超え、新工場建設、社員給与平均5%アップ等、数年後に実現すべき大きな目標を掲げ、達成プロセスは中長期、かつ、大局的に考えると良い。中長期計画を運用するうえで大切なことは、全社員の視線・視点・視座を大きな目標にロックオンさせることなので、達成プロセスは重要ではない。そもそも、遠い未来の事業計画や数値目標等は、実効性も再現性も低いのだから、なおさらだ。中長期計画を実現するための達成プロセスは、日々の経営改善活動を充実させることで精度を高めればよく、そのために重要なことは、目の前の経営課題に対する打ち手のスピードを速めることだ。今この瞬間に抱えている課題が何かなのかを正確に捉え、その課題を先手必勝で解消し、実績を積み重ねる。この繰り返しが、とんでもなく大きな目標に近づく最も早く確実な方法だ。経営コンサルタントのピーター・F・ドラッカー氏は「すべては現実からしかスタートできない」と言ったが、今何をすべきかを理解し、今すべきことを確実に実践している会社は、時の経過と共に大きく成長している。中長期計画の効果を最大化するマインド最後に、中長期計画の効果を最大化するマインドについて、詳しく解説する。中長期計画を推進するに当たって重要になるのは、組織のトップに立つ社長のマインドだ。大きな目標を絶対に達成するというマインドが弱いと、経営改善の精度と推進力が失われ、目標が遠のくからだ。以下、中長期計画の効果を最大化するマインドの習得に役立つノウハウを、当サイト内から紹介する。事業拡大のスピードを飛躍的に加速する13の問いかけ一定数の顧客は毎年減少するので、事業拡大のペースが鈍化すると、会社は衰退に傾く。事業を10年、20年と継続するには、事業を拡大し続けることが必要で、その経営姿勢なくして、会社の繁栄はない。この記事では、事業拡大のスピードを飛躍的に加速する13の問いかけについて、詳しく解説している。この記事を読む楽しく面白く経営をデザインする3つの重要スタンス経営をデザインする仕事は、社長業の醍醐味である。しかも、会社経営のデザインがうまくいけば、自分の人生も上向くので、社長業の中でも極めて重要な仕事でもある。この記事では、楽しく面白く経営をデザインする3つの重要スタンスについて、詳しく解説している。この記事を読む経営に確かな指針を持ち繁栄の根を張る3つのポイント経営指針とは、会社が進むべき方向性を定めたものである。経営ビジョンや経営理念などの企業方針の総称でもあるが、企業のトップである社長が持つ経営指針は、会社の盛衰に大きな影響を及ぼす。この記事では、経営に確かな指針を持ち繁栄の根を張る3つのポイントについて、詳しく解説している。この記事を読む時流を捉え、時流に乗る眼力を養う3つの経営姿勢事業活動が時流に乗った時の成果結果は極めて大きい。やることなすこと、すべてがうまく運び、すべてがうまく収まるものだ。それほどに時流を捉え、時流に乗ることは、企業の盛衰を分かつ重大事と言える。この記事では、時流を捉え、時流に乗る眼力を養う3つの経営姿勢について、詳しく解説している。この記事を読む小さな会社の経営スピードを上げる3つのマインド小さな会社はスピードが命だ。中小企業は、すぐに動けることが、大きな会社に勝る最大の強みだからだ。この記事では、小さな会社の経営スピードを上げる3つのマインドについて、詳しく解説している。この記事を読む
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  • ビジネスチャンスの見つけ方と活かし方|ビジネスのチャンスは目の前にある
    ビジネスチャンスの見つけ方と活かし方|ビジネスのチャンスは目の前にあるビジネスチャンスは至るところに転がっているが、大きなビジネスチャンスをものにするには、チャンスを見つけて活かす二つの思考を身につけなければならない。ひとつは「成功のチャンスは1回しかない」と考える思考、もう一つは「成功のチャンスは何度でも訪れる」という思考である。前者は緻密な計画と全身全霊の姿勢が成功のチャンスを左右し、後者は計画の検証力と諦めない根気強さが成功のチャンスを左右する。何れの思考もビジネスチャンスを見つけるため、或いは、ビジネスチャンスを活かすために不可欠な思考であり、正否も優劣もつけることはできない。例えば、世界的企業であるアップル創業者のスティーブ・ジョブスは前者の思考を重要視した。ジョブスは「成功のチャンスは一回しかない」という思考をベースに、たとえ完成間近の商品やサービスであっても、良くない部分が少しでも見つかると、発売を延期してでもゼロからやり直すことを躊躇なくやった。「正しくやれるチャンスは一回しかない。良くない部分があった時、それを無視して、あとで直せばいいというのはダメだ。」とも語っていて、この思考をベースに数多くの大きな成功を収めている。会社を経営していると、良くない部分を発見したとしても、販売に間に合わない、或いは、今更逆戻りできない、といった目の前の現実に流されがちになるが、たった一回の妥協が大きなビジネスチャンスを逃すことは良くあることだ。また、ビジネスチャンスに限らず、不祥事の対応、新商品の品質レベル、新規事業の立ち上げ、など等、正しくやれるチャンスをふいにした結果、散々な結末を招くことは歴史が証明している。ビジネスチャンスが花開くか否かは、今の行いで決まる。今の誤りに気が付いていながら、その誤りを修正しなければ、ビジネスチャンスをものにすることは絶対にできない。今すべきことをやらずにチャンスがあると考えるのは、ただの怠慢なのだ。成功のチャンスは何度でも訪れる前章で解説した「成功は一回しかない」という思考とは真逆の「成功のチャンスは何度でも訪れる」という思考で大きなビジネスチャンスを掴む例もある。事実、成功のチャンスは何度でも訪れる、という思考をベースにビジネスで成功した経営者は数多にいる。ただし、この思考には成功の条件がある。それは、果敢な実行力と計画の検証力、並びに、成功するまで諦めない根気強さである。成功のチャンスは何度でもあると言っても、努力すればチャンスが訪れるほど、ビジネスは甘くない。やはり、正しい努力の上に成功のチャンスが何度も訪れるのであって、その前提なくして、ビジネスチャンスをものにすることはできない。じつは、正しい計画を持っている中小企業は決して多くない。せいぜい10社に2~3社程度であり、その他は計画を持っていたとしても内容が正しくない、そもそも計画を持っていない会社も珍しくない。また、誤った計画をもとに努力している、或いは、計画の検証方法が正しくない、はたまた、努力の成果が出ないからといって途中で諦める中小企業も少なくない。繰り返すが、果敢な実行力と計画の検証力、並びに、成功するまで諦めない根気強さがなければビジネスチャンスは決して訪れない。今すべきことをやらずにチャンスが訪れると考えるのは、ただの怠慢なのだ。伊藤のワンポイント思いがけずチャンスに恵まれることを「棚からぼた餅」という諺で例えられますが、大切なのは、そうしたチャンスを得るために、今すべきことに全力を尽くすことです。特にビジネスの世界においては、経営者のチャンスにかける実行力なり、決断力が脆弱だと、チャンスをものにすることはできません。
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  • 減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる|減価償却と設備投資の関係と節税効果
    減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる|減価償却と設備投資の関係と節税効果減価償却が分かれば、キャッシュフローが良くなる。なぜなら、減価償却費は経費として計上しても、現金流出が伴わないからだ。この記事では、減価償却とキャッシュフローの関係性、或いは、減価償却と設備投資の関係性、並びに、減価償却の節税効果に至るまで、詳しく解説する。減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる。わたしの経験からも言えるが、減価償却の理解が浅い社長の会社は、間違いなく、キャッシュフローが悪化し、会社の成長が鈍化する。逆に、減価償却の本質を理解している社長の会社は、減価償却でストックした現金をうまく成長投資に振り向け、大きなキャッシュフロー(プラスの現金収支)を生み出すスパイラルを上手に作り出している。つまり、減価償却の理解度の差で、キャッシュフローの優劣が決まり、しいては、企業の盛衰が決まるといっても過言ではないのだ。特に、減価償却資産が多い資本集約型の会社(主に製造業や装置産業)を経営している社長にとって、減価償却の理解は不可欠なので十分に意識してほしい。減価償却の目的と必要性減価償却の目的は、「合理的かつ正確な損益計算のため」と「投資原資の蓄積(プラスのキャッシュフロー増加)のため」のふたつの目的が挙げられる。例えば、5年間にわたり会社の収益に貢献する減価償却資産を500万円で購入した場合、その貢献年数に応じて購入資金を分割して費用計上(100万円×5年間)することで、毎期、合理的かつ正確な損益計算が可能になる。また、減価償却は、費用計上しても実際は現金流出が伴わないので、減価償却分の費用は、次の投資資金の原資として蓄積(プラスのキャッシュフロー増加)することが可能になる。つまり、減価償却を適切に処理しなければ、正しい損益計算も次の投資費用の蓄積(プラスのキャッシュフロー増加)も、ままならなくなってしまうのだ。この目的が分かれば、減価償却の必要性も理解できると思うし、減価償却がキャッシュフローに与える影響の大きさも理解できると思う。なお、減価償却の基本的概要、減価償却の会計的理論に関しては、次の二つの記事を参考にしてほしい。【関連記事】超分かりやすい減価償却の説明【関連記事】減価償却費の仕訳と計算の仕組み減価償却と設備投資とキャッシュフローの関係性減価償却と設備投資とキャッシュフローには、密接な関係性がある。例えば、設備投資の建物や機械は減価償却資産として減価償却の対象になり、設備投資を借入金で賄っている場合は、その返済資金を減価償却費で捻出するのが返済計画の正攻法になる。この場合、減価償却費より設備投資の借入返済の金額が下回るとキャッシュフローがプラスに振れ、減価償却費より設備投資の借入返済の金額が上回るとキャッシュフローがマイナスに振れる。また、減価償却期間(設備の耐用年数)より借入返済期間が短いとキャッシュフローがプラスに振れ、減価償却期間(設備の耐用年数)よりも借入返済期間が長いとキャッシュフローがマイナスに振れる。つまり、減価償却と設備投資、並びに、減価償却とキャッシュフローには、密接な相関関係があるのだ。なお、減価償却と設備投資の関係性でキャッシュフローがマイナスになる場合は、利益から返済原資を充当する必要があるため、その場合は、十分な利益水準を確保することを忘れてはならない。減価償却の節税効果減価償却の節税効果は、適正に減価償却費を計上(経費化)することで得られる。例えば、法人において、減価償却は任意制度になっているが、毎期、必ず減価償却費を計上(経費化)することで、その分の節税効果が生まれる。また、減価償却費の計算は、定額法よりも定率法を採用した方が、税金の繰り延べ効果が大きい。中小企業においては、少額減価償却資産の一括損金処理などの特例があるため、そうした制度を積極的に活用することも節税効果を生み出す秘訣になる。赤字企業の場合は、減価償却費を計上していないケースが多々あるが、赤字であっても減価償却費を計上した方が、節税メリットがある。なぜなら、損金(当期純損失)は数年間繰り延べることができ、翌年以降の利益を相殺する節税効果を生むからだ。また、赤字だからといって減価償却費を適正に計上しないと、会社の正しい損益が把握できなくなるので、黒字・赤字を問わず減価償却はした方が良い。減価償却とキャッシュフローの基本ノウハウ最後に、当サイト内の記事から減価償却とキャッシュフローの理解が更に深まるお薦めの基本ノウハウを紹介する。超分かりやすい減価償却の説明減価償却は会計上だけではなく、会社の投資戦略やキャッシュフローにも大きく関わっているので、理解が浅いと会社経営に失敗するリスクが高まる。この記事では、減価償却制度の仕組みを、超分かりやすく解説している➡この記事を読む減価償却費の仕訳と計算の仕組み減価償却制度とは資産性の高い減価償却資産を耐用年数に応じて費用化していく会計制度のことだ。この記事では、減価償却費の概要や減価償却資産の種類、並びに、減価償却の会計例とメリットに至るまで詳しく解説している➡この記事を読むキャッシュフロー経営で利益を劇的改善キャッシュフロー重視の経営は、会社の利益を押し上げ資金繰りを改善する効果がある。なぜなら、キャッシュフロー重視の経営は、会社のお金の動きを可視化し、経営者に明快な損得基準を与えるからだ。この記事では、キャッシュフロー経営の基本について詳しく解説している➡この記事を読む伊藤のワンポイント会社経営者にとって減価償却ほど難解な会計制度はないのではないかと思います。減価償却は難しく考える必要はなく、目的と仕組みをシンプルに捉えるだけで、容易に理解することができます。減価償却の理解が深まると会社のキャッシュフローが良くなり、成長投資のスパイラルも上手に作れます。
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  • 本部経費の目安と考え方|経営者が抑えるべき賢い本部経費のコントロール法
    本部経費の目安と考え方|経営者が抑えるべき賢い本部経費のコントロール法本部経費とは、収益を生み出さない管理部門の維持管理に費やされる経費のことだ。本部経費の対象になる管理部門は、経営陣、総務経理やコールセンター、或いは、会社全体の将来収益に貢献している開発部門などの維持管理費用も含まれる。中小企業の場合、本部経費は少ないほど良い。なぜなら、会社の収益にさほど貢献せず、さらには会社の機動力の足を引っ張る本部経費を低コストに抑え、収益を生み出す営業部隊に経営資源を集中させた方が、会社の競争力が高まるからだ。例えば、創業以来、増収増益を維持している(株)未来工業は、社員数が800名を超えているにも関わらず人事部がない。創業者の山田昭男氏の方針で、もったいないから設置していないとの事だが、これなどは、ムダな本部経費をかけず、収益を生み出す営業部隊に経営資源を集中させている好例である。中小企業のなかには、年商が大きくなると管理部門を拡大しようとするケースを見かけるが、ムダな本部経費は少ないほどよい。また、収益に見当たった範囲内で本部経費をコントロールすることも大切である。当然ながら、収益度返しの本部経費の散財は、会社の成長に少しも役立つことはなく、かえって、会社の衰退を早める結果を招いてしまう。とはいっても、すべての本部経費をゼロにすることはできない。例えば、コールセンターや総務経理といった本部経費はアウトソーシングできるが、機密性が高く、将来の収益源になり得る新商品の開発経費などの本部経費は必要不可欠だ。会社の成長に欠かせない本部経費を、自社に見合った適正水準の範囲内でコントロールすることが、会社全体の収益バランスを整えるコツである。中小企業に適した本部経費の目安とは中小企業に適した本部経費の目安は、粗利高本部経費率で測定できる。粗利高本部経費率とは、粗利高(売上総利益高)に占める本部経費の構成比率のことだ。会社の収益に対する本部経費の割合が分かるので、本部経費のコントロールに活用できる。粗利高本部経費率の計算式は下記の通りである。粗利高本部経費率=(本部経費÷粗利高)×100%例えば、本部経費が5千万円で、粗利高が10億円であれば、(5千万円÷10億円)×100%で、粗利高本部経費率は5%となる。本部経費には、管理部門の総人件費、管理部門に係る変動費(光熱費等)と固定費(家賃や減価償却費用等)等が含まれる。中小企業の粗利高本部経費率の標準水準は10%以下である。従って、粗利高本部経費率が10%超であれば、本部経費の削減を検討しなければならない。たとえ粗利高本部経費率が10%以下であっても、営業スタッフを兼任させるなどして、本部経費のさらなる削減を検討することも大切である。好調な業績を維持している中小企業は、営業部門だけに利益目標を与えるのではなく、管理部門に対してもしっかり利益目標を与えている。当然ながら、全社員の利益意識が高まると、業績拡大のスピードは一段と加速する。伊藤のワンポイント収益を生み出さない管理部門は、人一倍、ロス・ムダ・ムラに敏感でなければなりません。その意識が収益部門の利益意識を高め、会社全体の経費の使い方に締まり(秩序と節度)を与えるのです。管理部門の利益意識が低下すると、会社全体が利益に無頓着になりますので、くれぐれも注意してください。
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  • 中小企業の経営環境はなぜ厳しいのか?|不利な環境と不安を払拭するコツ
    中小企業の経営環境はなぜ厳しいのか?|不利な環境と不安を払拭するコツ中小企業の経営環境はじつに厳しい。大企業に翻弄されている中小企業、或いは、大企業の犠牲になっている中小企業も多く、更に、多くの中小企業が赤字経営に陥っていると云われている。この記事では、中小企業の経営環境が厳しい本当の理由、並びに、中小企業が不利な環境と不安を払拭するコツについて、詳しく解説する。中小企業の経営環境が厳しい理由中小企業の経営環境はなぜ厳しいのか?それは、中小企業が経済の調整役として、あらゆるマイナス面を押し付けられているからだ。例えば、大企業の利益の犠牲になっている中小企業はじつに多い。また、市場縮小や人手不足といった経済のゆがみを押し付けられている中小企業も非常に多い。さらに、資金調達に限りのある中小企業は成長投資のスピードが大企業に比べて規模が小さく、スピードもかなり遅い。こうした不利な経営環境もあってか、一時は業績が良くても、少しのきっかけで会社が倒産の危機に瀕する中小企業は後を絶たない。また、約七割の中小企業が経常的に赤字経営に苦しんでいる根本原因は、このような不利な経営環境によるものと推測される。中小企業に対する評価は厳しい!?中小企業に対する経済界の評価はじつに厳しい。例えば、中小企業が日本経済の足を引っぱっていると指摘する経済学者や財界人は意外と多い。しかし、経済界等の評価や指摘は、中小企業の不利な経営環境を無視した無責任な発言に感じるし、到底正しいとは思えない。繰り返すが、中小企業は大企業や経済界から、あらゆるマイナス面を押し付けられているため、厳しい環境での会社経営を余儀なくされているからだ。また、中小企業の経営者が無能だから会社が衰退すると思われている方も多くいるが、そんなことはない。会社が衰退するのは、経営者に必要なスキルとマインドが十分に身に付いていないだけで、業績が低迷している会社の経営者であっても、成功のメソッドさえ分かれば難なく会社を成長軌道に乗せてしまうケースは数多く存在する。不利な経営環境と不安を払拭するコツ中小企業が、不利な経営環境と不安を払拭し、独立独歩で会社経営を成功させるには、経営の必須スキルをしっかり習得・実践することが欠かせない。なかでも、管理会計と経営の思考法は、中小企業経営者の必須スキルといって過言ではない。管理会計管理会計とは、自動車の運転メーターのようなもので、会社経営の状態を可視化するのに役立つ会計手法のことだ。会社経営は数字を見るところから始まるので、管理会計なくして会社経営の成功はない。経営の思考法経営の思考法とは、未来を起点に現在を考えるバックキャスティング的思考法と、現在を起点に未来を考えるフォアキャスティング的思考法のことだ。経営者の思考は、目の前のことに捉われすぎても、遠い未来のことに捉われすぎても、うまく働かない。現在と未来をバランスよく考える思考が成功を引き寄せるのだ。伊藤のワンポイント中小企業の経営環境はいつの時代も厳しいです。大切なのは、そうした現実を受け止めて、経営者の必須スキルとマインドを磨き、会社の成長基盤を整えることです。中小企業は経営者の能力で業績が決まりますので、この部分の取り組みがおざなりになると、簡単に衰退リスクが高まります。
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  • 中小企業の賃上げはなぜ難しいのか?|大企業と小さな会社の賃上げ環境の違い
    中小企業の賃上げはなぜ難しいのか?|大企業と小さな会社の賃上げ環境の違い2023年初頭から大企業を中心に賃上げの動きが活発化している。この賃上げの動きは、前年から続く記録的な物価高騰から国民生活を守るために政府も後押ししているが、多くの中小企業は賃上げに対応しきれていない。この記事では、中小企業の賃上げがなぜ難しいのか、並びに、大企業と小さな会社の賃上げ環境の違いについて、詳しく解説している。賃上げの背景と実態賃上げの背景と実態について、詳しく解説する。2022年~2023年初頭にかけて日本は4%近い記録的な物価高騰(インフレ)が続き、国民の賃金が上がらなければ経済自体が回らなくなる危機に直面した。この危機的状況から国民生活を守るために、政府は企業に対して賃上げを呼びかけ、それに応じて、2023年初頭から大企業を中心に賃上げの動きが活発化した。一例を挙げると、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドと流通大手のイオンはパート従業員の時給を平均7%引き上げた。ユニクロを運営するファーストリテイリングはパート従業員だけでなく、正社員の年収を最大40%引き上げた。このほかにも、資本に余力がある大企業は賃上げに追従している。一方で、資本力に余力のない多くの中小企業は賃上げに対応できていない。労働者人口の7割を占める中小企業が賃上げしない限り、記録的な物価高騰(インフレ)から抜け出すための経済の健全化は実現できないことから、政府も賃上げ促進税制や価格転嫁を後押しする取引適正化を呼びかけているが、未だ、賃上げできる環境には至っていない。なぜ中小企業は賃上げ出来ないのか?なぜ中小企業は賃上げ出来ないのか、その理由について詳しく解説する。中小企業が賃上げできない根本的な理由は、経済の調整役として、あらゆるマイナス面を押し付けられているところにある。例えば、大企業の利益の犠牲になっている中小企業はじつに多い。また、市場縮小や人手不足といった経済のゆがみを押し付けられている中小企業も非常に多い。以下、中小企業の賃上げを阻害するマイナス面の典型例を挙げる。一部の大企業が価格交渉や価格転嫁に非協力大企業から毎年、納品価格の引き下げ要請がある大企業から採算割れリスクの高い案件が回ってくる物価の高い欧米諸国のマーケットを大企業に抑えられている資本主義経済の性質上、発展途上国の工場との価格競争に陥っている中小企業が多い高収益構造を作るのが難しい状況下において、大企業との取引コスト(電力・設備・諸材料・諸原料等)が上がり続けている資金調達の手段に限りのある中小企業は、成長投資や生産性改善のスピードが大企業に比べて遅く、規模もかなり小さい以上のような理由から、多くの中小企業は、大企業に比べて賃上げの環境整備が難しい状況に置かれている。また、こうした不利な経営環境もあってか、一時は業績が良くても、少しのきっかけで会社が倒産の危機に瀕する中小企業は後を絶たない。当然、継続的な賃上げに耐えうる中小企業も少なくなる。中小企業の賃上げを阻む大企業賃上げ率と価格転嫁率には相関関係があるという分析結果があるが、中小企業の賃上げは、価格転嫁が肝になる。しかし、中小企業の価格転嫁に協力的な大企業がいる一方で、価格転嫁に非協力的な大企業がいるのも事実だ。当然、価格転嫁が進まなければ、賃上げも遠のく。例えば、公正取引委員会は、2022年12月27日、下請け企業などとの間で種々のコスト上昇分を取引価格に反映する協議をしなかったとして、JA全農など合計13社を公表した。経済産業省(中小企業庁)は、2023年2月7日、中小企業の値上げ要請に十分に対応しなかったとして、日本郵便など合計42社を公表し、実態を明らかにした。中小企業が賃上げするために必要なこと中小企業が賃上げするために必要なことについて、詳しく解説する。中小企業が賃上げするには、大企業よりも高いハードルをいくつも乗り越える必要があるが、大切なことはどんな状況下であっても思考を停止させず、現状を変える気概を持つことだ。なかでも、生産性を高めること、価格競争力を高めること、欧米諸国のマーケットを開拓することは、中小企業が賃上げするために特に取り組むべきポイントで、何れも中小企業の盛衰を分かつ重要な要素になる。それぞれ、以下に詳しく解説する。生産性を高める生産性は、古い仕組み・仕事・商品等を刷新すれば高まる。例えば、生産性を高めるために、最新のテクノロジーや技術革新を誰よりも早くを取り入れる、世界初・世界最小・世界最軽量など、陳腐化し難い経済的価値を実現する、唯一無二の付加価値(ビジョン・社会的意義・販売力・営業力・独自性・希少性・特許等)を追求し、価格以外の競争力を高める等の経営姿勢はお薦めだ。【関連記事】小さな会社の生産性を高める3つの正攻法価格競争力を高める価格競争力は、商品等の供給が、常に需要に追い付かない状況を意図的に作れば高まる。つまり、飽きない、信用がある、買えない、ナンバーワン、オンリーワン、常にウエイティングがある等の状況を適度に作る企業努力を継続すればよいのだ。例えば、信頼される仕事の提供、ナンバーワン・オンリーワンを実現する、ライバルより1円でも多く付加価値を提供する、ライバルよりも1円でも安く作る創意工夫を探求する等の経営姿勢はお薦めだ。【関連記事】中小企業の価格競争力を高める方法欧米諸国のマーケットを開拓する2022年時点の日本人の平均年収は400万円強で、ここ25年間は横ばいが続いている。一方のアメリカは、平均年収がずっと上昇傾向にあり、現時点で800万円を超えており、この傾向は他の欧米諸国でも共通している。年収=消費力と考えると、日本国内だけのビジネスで売上と利益を拡大し続けるには無理があるが、物価が高く、日本国内よりも消費力が高い欧米諸国のマーケットを開拓すれば、成長の余地は大きく変わる。事実、海外売上比率の高い企業の利益水準は高い。海外マーケットの開拓コストは年々下がっているため、中小企業であっても十分に勝機がある。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 中小企業に迫る超高齢化社会の衰退リスクと成長戦略
    中小企業に迫る超高齢化社会の衰退リスクと成長戦略高齢化社会とは、総人口に占める65歳以上の高齢者が7%を超えた社会のことだ。高齢化社会は中小企業を取り巻く経営環境に大きな影響を与えることから、しっかり未来を予測し、今から成長の一手を打つことが大切になる。この記事では、中小企業に迫る超高齢化社会の衰退リスクと成長戦略について、詳しく解説する。高齢化社会の実態国内の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合を高齢化率と言う。高齢化率7%超を高齢化社会、14%超を高齢社会、21%超を超高齢社会といい、日本の高齢化率は、2019年時点で超高齢社会をはるかに超える28%台に達している。総務省の調査によると2025年には日本の高齢化率は約33%(3人に1人は高齢者)に達し、その後も40年間にわたり上昇し続ける試算が出ている。高齢化社会が進むと、医療福祉や社会保障制度の問題、財政や税負担の問題だけでなく、労働力人口の減少、経済成長率の低迷、高齢者の生活の質低下など、様々な社会問題が深刻化し、会社経営を取り巻く状況も大きく変化する。例えば、医療福祉の実費負担が重くなれば、医療福祉サービスを十分に受けられない高齢者が増え、高齢者の生活の質が急速に低下する。当然、そうした高齢者を無償(家族)でサポートせざる得ない現役世代が増えれば、労働生産性と共に経済成長率が著しく悪化する。国内の消費活動も低迷するので、企業の収益性と国の税収が減少し、ますます悪循環のスパイラルから抜け出すことが困難になる。高齢化社会は、中小企業の安定経営を脅かす、深刻な課題でもあるのだ。後継者問題・事業承継の課題高齢化社会に伴う後継者問題・事業承継の課題について、詳しく解説する。経済産業省の統計(2021年)によると、経営者の平均年齢は60歳を超えており、70歳超が約250万人、その半分が後継者未定であり、今後10年間で60万社が黒字廃業の危機にあるとされている。中小企業の経営者層の高齢化率(50%超)は、日本全体の高齢化率(30%弱)をはるかに上回る状況で、超高齢社会どころか、最早、超超高齢社会と言って過言ではなく、後継者問題や事業承継の課題など、深刻な衰退リスクの元凶にもなっている。さらに、2035年には、高度成長期で財を成した多くの団塊世代(1947〜1949年生まれ・約800万人)が死亡平均年齢に達し、国民財産(購買力)が著しく減少するとみられているため、中小企業の経営環境は、高齢化と共にますます厳しくなる。後継者問題・事業承継の課題を払しょくするには、経営者の若返りが必要だが、後継者育成や生産性改善に後れを取っている中小企業ほどそのハードルが高く、殆どの企業はドラスチックな改革(大胆な改革)が必要なところまで追い込まれている。中小企業が超高齢社会を生き抜く戦略中小企業が超高齢社会を生き抜く成長戦略について、詳しく解説する。超高齢社会の進行によって、中小企業を取り巻く経営環境は刻々と変化する。市場と消費トレンドは、高齢者寄りの医療福祉ビジネスが増えると予想されるが、購買力は落ちてくるので、今から生産性を高めないと、競争を生き抜くのが困難になるだろう。高齢者を支えるために、これまで働く必要のなかった専業主婦や高齢者自身の就業が増えるので、時短パートやフレキシブルな働き方に対応する必要があるだろう。生産年齢人口(15~64歳人口)が減少し続ける一方で、生活苦のために労働する就業人口は増えるので、娯楽・外食・嗜好品ビジネスは、さらに創意工夫が求められるだろう。物価と平均年収は多少増えるかも知れないが、国内市場は人口減少と共に縮小の一途をたどるので、海外売上比率を高めないと収益性をキープするのが困難になるだろう。以上のように、超高齢社会は中小企業を取り巻く経営環境に大きな影響を与える。将来の経営基盤を盤石にするには、しっかり未来を予測し、今から成長の一手を打ち、確かな実績を一つひとつ積み重ねることが大切だ。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 中小企業の生き残りはグローバル化で決まる|海外売上比率の高め方
    中小企業の生き残りはグローバル化で決まる|海外売上比率の高め方殆どの中小企業は国内マーケットを主戦場にしているが、国内需要は今後ますます縮小傾向が加速するとみられている。このようの状況の中で中小企業が成長し続けるには、グローバル化が欠かせず、グローバル化の打ち手が遅れるほど、衰退リスクが高まる。以下、将来の国内需要縮小の代表的な根拠(グローバル化の必要性)を挙げる。国内人口が減少し続ける超高齢社会が進み、国内消費が一段と低迷する購買力のある生産年齢人口(15~64歳人口)が減少し続ける年金減額や医療費負担増の影響で高齢者層(65歳以上)の購買力が低下する直近25年間の平均年収が変わっていない(国民の購買力が低迷している)直近30年間の物価がほぼ横ばいで、市場成長率が鈍化している(企業の収益力が低迷している)2035年に高度成長期で財を成した約800万人の団塊世代が死亡平均年齢に達し、国民財産が著しく減少する就業者の低所得層がさらに拡大する(学生・高齢者・専業主婦・派遣社員・外国人等の非正規労働者が増える)以上のような理由から、国内マーケットの市場競争は今後ますます熾烈になり、資本力や生産性に劣る中小企業ほど、生き抜くのが困難な時代になることが予想される。今後、中小企業が生き残るには、グローバル化を推進し、国内から外に出て、海外売上比率を高める取り組みが欠かせない。繰り返すが、グローバルの打ち手が遅れるほど、衰退リスクは高まる。中小企業が取るべきグローバル化戦略中小企業が取るべきグローバル化戦略について、詳しく解説する。中小企業がグルーバル化を進めて海外売上比率を高める戦略は二つある。一つは欧米マーケットの開拓、もう一つは海外需要の取り込みだ。以下、それぞれのグローバル戦略について、詳しく解説する。欧米市場を開拓するグローバル戦略日本人の平均年収は400万円強で、ここ25年間は横ばいが続いている。一方、アメリカの平均年収はずっと上昇傾向にあり、現在800万円を超えている。この傾向は他の欧米諸国でも共通しているが、年収=消費力と考えると、日本国内の消費は低迷し、欧米諸国の消費は成長し続けていると言える。当然、欧米市場に目を向ければ、どんな中小企業にも成長の芽が出てくる。海外通販等の越境ビジネスや日本独自の技術や生産物を欧米に販売するための開拓コストは年々下がっているため、資本力に乏しい中小企業であっても十分に勝機がある。海外需要を取り込むグローバル戦略訪日外国人数は2018年時点で年間3,000万人を超えている。この数字は、国内生産年齢人口(15~64歳人口)の約4割に相当し、今後ますます増加すると見られる。こうした海外需要に対して、日本にしかない商品やサービス、あるいは、日本らしい商品やサービスを展開すれば、販売のグローバル化が進み、海外売上比率を高めることができる。さらに、海外向けの販路と物流網を保有することで、一時的な需要(初回購入)だけでなく、定期的な需要(リピート購入)も取り込むことができる。なお、こうした海外需要を取り込むには、大前提として、外国人に対するサービスの質(言葉・習慣・文化等の理解)を高める努力が必要だ。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 中小企業の生き残りは女性とシニア層の活用で決まる|人手不足解消の処方箋
    中小企業の生き残りは女性とシニア層の活用で決まる|人手不足解消の処方箋多くの中小企業は人手不足に悩み、事業拡大のアクセルを踏めずにいる。当然、事業拡大の取り組みが弱まると、衰退リスクが膨らみ、少しのきっかけで破綻の危機に瀕する。中小企業が生き残るには、人手不足を根本から解決する人事戦略が不可欠になるが、最も有効な方法は女性とシニア層の活用である。日本国内の生産年齢人口(15~64歳人口)は、1995年の約8,500万人をピークにずっと減少傾向にあり、2025年には7,000万人割れ、その後も毎年数百万人単位での減少が続く。一方の就業者人数は、2000年以降から直近までの20数年間、ずっと6,500万人前後を安定的に推移している。生産年齢人口が減少している中で、就業者人数が一定をキープしている原因は、女性とシニア層の就業率増加にある。直近20年間だけ見ても、女性とシニア層の就業者は500万人も増加している。つまり、従来、働く必要のなかった専業主婦層や定年後のシニア層(65歳以上)の就業者が、年々増加傾向にあるということだ。この傾向は今後も続き、この労働力を先手必勝でいかに取り込むかが、企業の繁栄を大きく左右する。さらに、女性とシニア層は人生経験が豊富なので、労働力だけでなく、人間力向上のためのアドバイザーの役割も期待できる。中小企業の生き残りは、女性とシニア層の活用で決まると言っても過言ではないのだ。中小企業が女性とシニア層の活躍を推進する戦略中小企業が女性とシニア層の活躍を推進する戦略について、詳しく解説する。中小企業が女性とシニア層の活躍を推進するうえで抑えるべきポイントは、働きやすい環境作りとフレキシブルな労働時間の配慮だ。以下、それぞれの女性・シニア層の活躍推進戦略について、詳しく解説する。女性とシニア層が働きやすい環境作り働く環境が男性仕様の職場はじつに多いが、女性専用のトイレや更衣室、シニア層が休憩し易いスペースや健康管理が気軽にできる機器の設置など、女性とシニア層の活躍を推進するには、職場の環境を相応に整える必要がある。また、体力に劣る女性やシニア層に適した業務領域を上手に創出する必要もある。職場の受け入れ態勢が充実すれば、女性とシニア層の採用率と定着率が高まり、人手不足のリスクが低下する。また、職場環境は働く意欲とも直結するので、会社全体のモチベーションも向上する。女性とシニア層のフレキシブルな労働時間の配慮2021年4月改正の高年齢者雇用安定法により70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となった。男女ともに健康寿命が70歳を超えていることから、定年後、70歳まで働く就業者は今後も増え続けるとみられるが、若年層と比較して、シニア層の人生設計はまちまちなので、よりフレキシブルな労働時間が求められる。これは、女性就業者(主に専業主婦層)も同様だ。当然、期間限定雇用や時短出勤だけでなく、早朝のみ、午前のみ、午後のみ等、フレキシブルな労働時間の選択が充実するほど、女性とシニア層の採用率と定着率が高まり、人手不足のリスクが低下する。(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)
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  • 地方企業の経営課題とメリット|地方企業が日本経済を救う
    地方企業の経営課題とメリット|地方企業が日本経済を救う地方企業の最大課題は「経営環境の厳しさ」にある。なかでも、顧客環境は大都市圏と比べて、非常に厳しいものがある。この記事では、地方企業の経営課題とメリット、並びに、日本経済における地方企業の役割りについて、詳しく解説する。地方企業の経営課題地方企業の最大課題は経営環境の厳しさにあり、なかでも、顧客環境は大都市圏と比べて非常に厳しいものがある。商売は顧客がいなければ成り立たないので、顧客の多寡は企業の死活問題に直結する。例えば、東京等の大都市圏は顧客の数が圧倒的に多いので、多少、油断しても経営がうまくいくことが往々にしてある。一方の地方は、そうはいかない。顧客が少ないので、少し油断すると経営がおかしくなり、あっという間に会社が衰退する。更に、地方企業の経営課題はこればかりではない。地方は人口が少ないので、人材確保の厳しさもある。「事業は人なり」の言葉通り、ビジネスは人材がいなければ大きくならないので、人材確保の厳しさは企業の成長を阻害する極めて深刻な経営課題になる。つまり、地方企業は、相当に難しい経営課題(顧客環境と人材確保の厳しさ)を背負った状態で、商売を盛り立てなければならないのだ。地方企業が日本経済を救う地方企業は相当な経営課題を抱えているので、地方企業ほど経営力を上げるための勉強が大切になる訳だが、事実、地方ほど勉強熱心な経営者が多い。(私の顧客も地方企業が大半を占める)こう考えると、地方企業が元気になれば、その分だけ日本経済も元気になる、ともいえる。そして、地方企業が元気になるほど、東京等の大都市圏の会社は、経営力次第で企業の盛衰が容赦なく決まり易くなり、ここまできて、ようやく、地方企業にとってフェアな経営環境が整う。地方企業を元気にすることが、日本全体の経済を押し上げる確かな方法で、これからの時代は、地方企業が日本経済を救うといっても過言ではない。地方企業の経営者には、そうした使命を感じながら、日々の会社経営に向き合って頂ければ嬉しく思うし、一方の東京等大都市圏の企業経営者には、厳しい経営環境にも耐えうる経営力をしっかり研鑽頂ければ嬉しく思う。【関連記事】社長・起業家・後継者のための実践経営学地方企業のメリット地方企業は深刻な経営課題を抱えてはいるが、地方企業ならではのメリットもある。最大のメリットは「コストの安さ」だ。地代は安いし、地方自治体によっては税制面の優遇メリットもある。地方圏内で商流(諸経費・仕入・営業・販売・消費等)を作れば、トータルの経済コストが下がるメリットもある。こうしたメリットを最大限に活かせば、大都市圏との経済格差を埋めることもでき、場合によっては、優位に立つこともできる。事業活動を支える社会インフラは充実する一方なので、地方企業であっても十分に勝負できる時代ではあるが、勝負に勝つためには、「経営力の向上・顧客創造の確立・社員教育の充実」が不可欠だ。この3つの条件さえ整えば、地方企業であっても、日本経済をけん引する成長企業になり得る。課題もハンデも多いが、生き残る道は十分にあるのだ。(この記事は2019年11月に執筆掲載しました)伊藤のワンポイント地方企業は相当な経営課題(顧客環境と人材確保の厳しさ)を背負った状態での経営采配を余儀なくされます。ですから、如何にして経営と真剣に向き合い、経営力を上げる努力をするかが企業の盛衰を分かちます。また、経営力と共に、顧客創造と社員教育の成果(精度)を高める努力も大切です。
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  • 斜陽産業からの脱却と復活の方法|チャンスは斜陽産業にあり
    斜陽産業からの脱却と復活の方法|チャンスは斜陽産業にあり斜陽産業とは、一時は市場の主役に躍り出た産業が、時代の変化と共に衰退し、市場規模の縮小が続いている産業のことだ。古くは、石炭産業や紡績産業などが斜陽産業の代表格であり、昨今は、新聞産業、テレビ産業、銀行産業などが斜陽産業と云われている。この記事では、斜陽産業からの脱却と復活方法、並びに、斜陽産業のチャンスの活かし方について、詳しく解説する。斜陽産業とは斜陽産業とは、一時は隆盛を極めた成長産業が、時代の変化と共に衰退産業に転じ、市場規模の縮小が続いている産業のことだ。斜陽とは、昇った太陽が沈みゆく最後の光を意味するが、斜陽産業という言葉が生まれた背景には、没落していく人々を描いた太宰治の代表作「斜陽(1947年)」の影響が強く、事実、この作品発表後に、没落していく上流階級の人々を指す「斜陽族」という意味の言葉が生まれている。また、斜陽という言葉自体にも、国語辞典に「没落」という意味が加えられるほどの影響力があり、斜陽産業という言葉もこの頃に誕生したものと思われる。斜陽産業は、古くは石炭産業や紡績産業などが斜陽産業の代表格であり、昨今は、新聞産業、印刷産業、家電産業、自動車産業、音楽産業、レジャー産業、一次産業(林業・農業・水産業等)、テレビ産業、小売産業、銀行産業などが斜陽産業と云われている。斜陽産業に陥る原因は、社会インフラの進化、技術革新、市場の感度や顧客の価値観の変化など等、様々な要因が考えられるが、根本原因は変化への対応の遅れにある。斜陽産業からの脱却と復活方法斜陽産業から脱却するには色んなアプローチがある。例えば、市場の変換、本物志向の徹底、変化への対応等は斜陽産業から脱却し復活を遂げる有効な方法だ。それぞれの方法について、順を追って詳しく解説する。斜陽産業からの脱却法「市場の変換」市場の変換は、斜陽産業から脱却する方法として効果的だ。市場は世界中にある訳だが、市場への販売ルートは多岐に亘る。将来を見据えて販売ルートを常に最適化できれば斜陽産業に陥るリスクを減らすことが出来る。市場の変換は、国内市場から海外市場へ、男性市場から女性市場へ、法人市場から個人市場へ、など等、様々なアイデアがある。斜陽産業からの脱却法「本物志向の徹底」本物志向の徹底は、斜陽産業から脱却する方法として効果的だ。偽物が衰退することは歴史が証明している。本物志向を徹底するには、情報発信(顧客創造)が肝になる。例えば健康効果の発信や本物が必要な理由を発信し続けることは必須だ。斜陽産業と云われている、足袋、絨毯、畳等にも優れた健康効果があり、必要としている潜在顧客は沢山いる。斜陽産業からの脱却法「変化への対応」変化への対応は、斜陽産業から脱却する方法として効果的だ。ビジネスを取り巻く環境は絶えず変化し、進化している。その変化なり進化を無視して従来のビジネスを推し進めていては、時の経過共に斜陽産業化するのみとなる。顧客の変化を見逃さない、或いは、既存ビジネスのノウハウを新市場へ投入するなど等、斜陽産業化を防ぐ変化への対応法は沢山ある。斜陽産業化を防ぐ戦略事例「成城石井」斜陽産業からの脱却事例として成城石井は好例である。成城石井はネット業界の台頭で斜陽産業化した小売業界の中で、秀でた業績を出している。それは、ネットで買えるものを置かず、ネットで買えないものを徹底して置いているからだ。日用品や大型ペットボトルは一切置かず、専門店よりも安価でコンビニよりも美味しいスイーツや総菜、サッと買える手土産の菓子やワイン類、質の高い海外の食品など等、ネットで買えないものに特化した品揃えを徹底している。斜陽産業化を防ぐ巧な戦略といえる。斜陽産業のチャンスの活かし方斜陽産業に陥る根本理由は変化への対応の遅れにあるが、斜陽産業化が会社経営に及ぼす深刻な症状はモノが売れなくなることだ。モノを売ることは、ビジネスの中で最も難易度の高い仕事なので、販売力に乏しい企業ほど、業界の斜陽産業化が進むと共に会社が衰退する。従って、モノを売る環境さえ整えることが出来れば斜陽産業化を防ぐことができ、場合によっては、市場のリーダーに躍進することもできる。例えば、個人商店を集結させた楽天株式会社、零細印刷会社を集結させたラクスル株式会社、文房具店を集結させたアスクル株式会社、個人フリーマーケットを集結させた株式会社メルカリ、中古販売店を集結させたヤフオク(ヤフー株式会社)など等は、斜陽産業の販売力回復と共に躍進した成長企業の典型だ。但し、隆盛を極めた企業であって斜陽産業に陥るリスクはあり、事実、先の例に挙げた躍進企業の中には成長に陰りが出ているビジネスモデルもある。つまり、ピンチとチャンスは常に背中合わせ、ということだ。斜陽産業化を防ぐ確かな方法は、目の前のビジネスに全力で取り組み、ビジネスモデルの付加価値を研鑽し続け、顧客の幸せを叶えることだ。(この記事は2019年11月に執筆掲載しました)
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  • 経営者が最低限知るべき経営知識|経営の基礎知識なくして経営の成功なし
    経営者が最低限知るべき経営知識|経営の基礎知識なくして経営の成功なし経営の基礎知識なくして、会社経営の成功はあり得ない。なぜなら、トップダウン構造にある中小企業は、経営者の能力次第で業績が決まるからだ。この記事では、わたしが多くの企業経営に関わった経験から、これだけでは抑えておきたいと考える基本の経営知識について、詳しく解説する。経営者の基本力が応用力を押し上げる会社経営を成功に導くために必要な経営知識は膨大なので、ひとりの経営者がすべての経営知識を習得するには限界がある。しかし、経営者が最低限知るべき基本の経営知識をないがしろにすることは許されない。衰退リスクが山積して、会社経営の成功が遠のくからだ。社長業に必要な知見は様々だが、例えば、経営者の行動原理を明快にする「経営の目的・経営の仕組み・経営者の責任」などは、経営者が知るべき経営の知識である。また、会社の成長サイクルを整える「経営管理・営業販売・人事組織の基本知識」も外すことができない。こうした基本の経営知識が体得されるほど、経営者の応用力が大きくなる。更に、逆境やピンチから脱する底力は、経営者が身につけている経営の基本力で決まる。経営者が知るべき基本の経営知識経営者が知るべき最低限の経営知識は「経営の目的・経営の仕組み・経営者の責任」の3つである。この他にも、抑えるべき経営の知識は数多にあるが、最低限、この3つの経営知識が理解できれば、経営を大きく誤ることはない。経営の目的経営の目的は、利益を拡大するために常に顧客を創造し続けるところにある。当たり前の話だが、顧客創造が途絶えると、簡単に経営が破たんする。つまり、顧客創造の活動量を増やし、今と未来の顧客のために全力を尽くすことが会社経営の成功条件になる。【推奨記事】企業存続を決定づける3つの絶対条件経営の仕組み経営の仕組みは、お金を増やし続けるところにある。会社経営は、お金で始まり、お金で終わるので、お金を増やし続けない限り、会社が成長することはない。つまり、お金の拡大を常に意識することが会社経営の成功条件になる。売上よりも利益、利益よりもお金を意識する姿勢が安定経営を引き寄せるのだ。【推奨記事】経営の法則が分かれば会社は自然と成長する経営者の責任経営者の責任はじつに重い。なぜなら、最高経営責任者である社長の決断の連続で会社の業績が形作られるからだ。経営責任を他人ごとにできない唯一無二の存在が経営者である。すべての経営責任を帰結させる姿勢が、会社経営の成功条件になる。また、すべての責任を背負う経営姿勢は、社員・顧客・取引先から信頼される源泉になるので、商売の安定度合いがますます盤石になる。【推奨記事】経営者の必須スキルとマインドを高める方法この3つの経営知識をしっかり理解していれば、自ずと、経営者の行動原理が明快になり、経営を大きく誤るリスクが小さくなる。逆に、この3つの経営知識の理解が浅いと、行き当たりバッタリの会社経営に陥り、会社衰退のリスクが高まる。経営者の知識の精度ひとつで、会社の盛衰が決まることを忘れないでほしい。会社経営で成功するために必要な経営知識会社経営で成功するために必要な経営知識は「経営管理・営業販売・人事組織」の3つである。会社経営に関わる経営の知識は数多にあるが、最低限、この3つの経営知識が理解できていれば、経営を大きく誤ることはない。経営管理の基本経営管理の基本は、会社の数字をしっかり把握することに尽きる。経営活動のすべての結果は会社の数字に集約されるからだ。会社の数字を無視した経営に成功はない。成功する経営者ほど数字に強い。特に、数字を科学する管理会計のスキルは成功社長の必須スキルと言って過言ではない。【推奨記事】中小企業の経営指標と管理会計手法営業販売の基本営業販売の基本は、付加価値をしっかり研鑽することに尽きる。付加価値の研鑽ペースを緩めると事業価値が陳腐化し、市場競争を勝ち抜くことが困難になる。付加価値の研鑽に終わりはない。常に現状を超える改良改善、或いは、古い商品やサービスを新しくする取り組みが企業の盛衰を分かつ。【推奨記事】売上を拡大する実践的営業戦術と戦略人事組織の基本人事組織の基本は、社員教育をしっかり実施することに尽きる。なぜなら、社員が成長しなければ会社が成長しないからだ。小さな会社ほど、経営者が先頭に立って社員教育をすることが成功の秘訣になる。また、社員を大切にしない会社に明るい未来はない。組織力と業績は比例関係にあるので、人が育つほどに会社は繁栄する。【推奨記事】強い組織を作る人財育成の戦術と戦略この3つの経営の基本知識をしっかり理解したうえで会社を経営していれば、自ずと、会社の成長サイクルが整ってくる。逆に、この3つの経営の基本知識の理解が浅いと、成長から一転して、会社衰退のリスクが高まるので注意してほしい。経営者が最低限知るべき経営の知識のまとめ経営者が理解すべき経営の知識は際限なくあるが、経営者の行動原理を明快にするために必要な知識と、会社の成長サイクルを整えるために必要な知識は最低限おさえなければならない。経営者の行動原理を明快にするために必要な知識は「経営の目的・経営の仕組み・経営者の責任」の3つの基本知識だ。そして、会社の成長サイクルを整えるために必要な知識は「経営管理・営業販売・人事組織」の3つの基本知識だ。ちなみに、経営知識の習得は、すべて自前主義でやる必要はない。考えるのが面倒、考える時間がない場合は、外から知恵を借りて、必要な経営知識を習得する方法もある。重要なのは、経営の基本知識の本質を理解することである。何れの経営知識も本質をしっかり理解し、実践と検証を繰り返して、知識を体得することが大切になる。伊藤のワンポイント経営の知識を深めたいなら「経営責任を全て背負うマインド」を持つことです。全責任を背負うと、経営者の探求心が高まる、仕事の精度が高まる、成功の分析や失敗の反省が緻密になる、など等、会社経営と向き合う姿勢が真摯になり、自然と経営の知識が深まります。社長の風格や威厳も高まるのでお薦めです。
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  • 経営者が知るべき経営の目的とは|経営の目的を見誤ると会社が衰退する
    経営者が知るべき経営の目的とは|経営の目的を見誤ると会社が衰退する経営の目的とは何か?考えたことがあるだろうか?経営の目的以前にそもそも経営とは何かというと、営みを経ける(続ける)ということだ。そして、経営を続けるために欠かせない条件は、利益の拡大だ。なぜなら、会社は現金がなくなると倒産するからだ。それでは利益の拡大が経営の目的なのかというと、そうでもない。利益は、経営を続けるための燃料に過ぎず、利益の先にあるものこそが、経営の目的になる。つまり、企業に利益をもたらす人物を創造することが、経営の目的になるのだ。企業に利益をもたらす人物は会社を創業した経営者でもなければ、汗水流して一生懸命働いている社員でもない。顧客である。顧客は、企業が提供する商品やサービスを購入することで企業に利益をもたらし、企業の成長発展を支える唯一無二の存在だ。従って、顧客の創造こそが経営の目的になるのだ。この経営の目的を達成することは、けっして簡単ではない。なぜなら、既存顧客に商品を提供するだけでは、経営の目的を達成したことにはならないからだ。まだ見ぬ潜在顧客に対して商品を提供しない限り、新たな顧客を創造したことにはならない。つまり、潜在顧客の要望を叶えてこそ、経営の目的が達成されるのだ。経営の目的を達成するために経営者がすべきこと経営の目的は、潜在顧客の要望を叶えるところある。つまり、潜在顧客の要望を叶えることを揺るぎないゴールに掲げて、利益を拡大している限り、経営が行き詰ることは、そう起こり得ない。潜在顧客の要望を叶えるという経営の目的を分かりやすく具現化している企業の代表例はアマゾンだ。アマゾンで本を選んでいると、顧客の潜在需要をくすぐるおススメ商品がいくつも提示される。おススメ商品のなかに顧客の潜在需要があれば、その顧客を新たに取り込むことができる。また、検索ワードに関連した広告を表示させるグーグルの技術も、潜在顧客の要望を叶えるという経営の目的を分かりやすく具現化している。既存の顧客に商品を提供しているだけでは、現状を超える利益を獲得するはできない。やはり、潜在顧客の需要を取り込む努力をしなければ、利益拡大はもちろんのこと、顧客創造という経営の目的を達成することはできない。経営の目的を達成するために経営者がすべきことはたくさんある。商品付加価値の追求、新たな価値の再定義、会社や商品コンセプトの情報発信、など等、潜在顧客の需要を喚起する取り組みは挙げたらキリがない。当然ながら、どんなに価値のあるものを持っていたとしても、潜在顧客にその情報が届かなければ、顧客は創造されない。或いは、潜在顧客に対してしっかり情報を送っていたとしても、その商品の価値が低ければ、顧客は創造されない。顧客創造という経営の目的のゴールは果てしない。経営の目的をはき違えることなく、ひたむきな経営努力を重ねることが大切だ。(この記事は2018年3月に執筆公開しました)伊藤のワンポイント経営の目的は顧客創造にあります。この目的を見失うと会社経営は途端に調子が狂います。調子の悪い会社ほど顧客創造という経営の目的を見失っていて、とくに、顧客創造の肝である情報発信が不十分です。目の前の顧客の存在に満足することなく、まだ見ぬ潜在顧客の発掘に全力を尽くすことが大切です。
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  • 赤字経営とは何か?|赤字経営のメリットと赤字脱却の方法を徹底解説
    赤字経営とは何か?|赤字経営のメリットと赤字脱却の方法を徹底解説赤字経営とは、収入(売上)よりも支出(コスト)が上回っているマイナス収支の経営状態のことで、経理上は、営業赤字、経常赤字、当期純損失などの表記で示される。会社経営は、収入以下のコストで運営することで初めて成り立つので、赤字経営は衰退リスクが極めて高い経営状態といえる。この記事では、赤字経営の概要とメリットや税金対策としての赤字経営、並びに、赤字経営から脱却するための立て直し方法に至るまで、詳しく解説する。赤字経営とは何か?赤字経営とは、収入よりも支出が上回っているマイナス収支の経営状態のことだ。売上以上の経費を消費している状態なので、赤字経営を脱却しない限り、会社存続に不可欠な利益(現金)が手元に残ることはない。つまり、赤字経営を容認し続けている限り、会社の成長発展はないといっても過言ではないのだ。ちなみに、赤字経営の語源は、西洋の簿記でマイナス収支を赤インクで記した風習が由来になっていると云われており、西洋では赤字経営のことを「in the red」などと表現されている。なお、赤字経営は、経理上、営業赤字、経常赤字、当期純損失などの表記で示され、それぞれの赤字に至る理由は下記の通りになる。営業赤字営業赤字とは、本業の営業利益(収支)がマイナスに陥っている経営状態のことである。衰退リスクが極めて高く、金融機関や取引先に対する信用力も著しく低下する。営業赤字を放置するほど、黒字化の道のりが険しくなる。経常赤字経常赤字とは、本業の事業活動に加えて、営業外収支もマイナスに陥っている経営状態のことである。営業利益が黒字(プラス)であっても、金利等の営業外費用の負担が大きいと、経常利益が赤字(マイナス)に陥ることがある。営業赤字同様、衰退リスクが高く、外部に対する信用力も低下する。当期純損失当期純損失とは、最終利益がマイナスに陥っている経営状態のことである。本業、並びに、経常的に発生しない特別損失が発生すると、営業利益と経常利益が黒字(プラス)であっても、最終利益が赤字(マイナス)に陥ることがある。中小企業においては、資産の評価損や売却損に伴い赤字になるケースが多い。キャッシュフローの赤字キャッシュフロの赤字とは、現金収支がマイナスに陥っている経営状態のことである。営業利益、経常利益、当期最終利益の全てが黒字であっても、返済負担が大きい場合は、キャッシュフローが赤字(マイナス)に陥ることがある。会社は現金が無くなった瞬間に経営が破綻するので、キャッシュフローの赤字は極めて深刻な状態といえる。黒字倒産等はキャッシュフローの赤字が主原因になる。赤字経営の実態国税庁の調べによると全法人に占める赤字経営の割合は過半数を大幅に上回る70%にも上る。日本の国内法人の99.7%は中小企業なので、赤字経営の割合は中小企業の経営実態を表しており、多くの中小企業が赤字経営に苦しんでいることが分かる。しかし、赤字経営の企業が日本国内に300万社(全法人430万社×70%)もあるにも関わらず、年間の倒産件数(清算・破産)は僅か2.5万社程度と、赤字企業全体の1%にも満たない。つまり、99%の赤字企業は、赤字経営であっても会社が倒産することなく、うまく生きながらえているということだ。赤字経営でも潰れない理由赤字経営でも潰れない理由は難しくない。会社は赤字経営で潰れることはなく、現金が無くなったときに潰れる。つまり、売上よりも経費が多いマイナス収支の赤字経営を続けていても、会社の現金が無くならない限り、会社が潰れることはないのだ。例えば、次のような状況であれば、赤字経営であっても会社の現金が減ることはない1.赤字金額以上の減価償却費がある2.赤字金額を銀行等からの借金で補填している3.赤字金額を身銭で補填している上記1の「赤字金額以上の減価償却費がある」は、深刻度が低く、かなり多くの赤字企業が該当している赤字経営の典型例だ。上記2の「赤字金額を銀行等からの借入金で補填している」は、深刻度が高く、早期に赤字経営を脱却しないと、追加融資を停止された途端に会社経営が行き詰まる。上記3の「赤字金額を身銭で補填している」は、深刻度が非常に高く、身銭が無くなった途端に会社経営が行き詰まる。赤字企業の99%が潰れない理由は、殆どは上記3つの理由に該当しているが、上記2・3に該当している赤字企業は、早期に赤字経営を脱却しないと、経営破たんのリスクが高まる一方になるので、くれぐれも注意してほしい。赤字経営のメリット・デメリット赤字経営のメリットは、法人税(均等割りを除く)が課税されない、或いは、損失の繰り延べができる、といった税負担の軽減である。一過性の要因で赤字経営に陥り、税金の負担軽減といったメリットを享受することは問題ないが、赤字経営が常態化すると、深刻なデメリットが生まれる。例えば、赤字経営の常態化に伴う企業の衰退スピードの加速は、最たるデメリットになる。赤字経営が常態化すると、成長投資の原資となる利益(現金)が一向に増えないので、企業衰退のスパイラルから脱却することができなくなる。場合よっては、赤字経営脱却のきっかけがつかめないまま、会社が倒産してしまうこともあり得る。万が一、会社が倒産すると、社員や取引先に不幸をまき散らすだけでなく、経営者も、経営者家族も一瞬で不幸のどん底に落ちる。つまり、赤字経営のメリットは殆どなく、デメリットの方がはるかに大きいのだ。赤字経営は税金対策として有効か?赤字経営の結果、マイナスの利益で決算を確定すると、その事業年度の法人税(均等割りを除く)は、原則ゼロになる。さらに、その赤字金額は翌年以降への繰り延べが認められており、翌年の利益(黒字決算)を相殺し、法人税を軽減する効果も持つ。一見すると、税金対策のためにわざと赤字経営をキープすることが賢い会社経営に思うかも知れないが、前章で解説した通り、赤字経営には会社倒産のリスクを引き上げるデメリットがあるため、税金対策としては極めてリスキーな方法になる。赤字経営を脱却し、然るべき利益を上げて、しっかり税金を納めて、内部留保(現預金)を増やすことが、成長発展を実現する安定経営の正攻法になる。赤字経営から脱却するための立て直し方法赤字経営から脱却するための立て直し方法は、強みがある会社と強みがない会社でアプローチが変わる。例えば、強みがある会社は強みに経営資源を集中させて赤字経営から脱却する方法が正攻法になる。強みが全くない会社の場合は、弱みを一つずつ解消していき赤字経営から脱却する方法が正攻法になる。参考まで、赤字脱却に役立つ当サイト内の記事を3つ紹介する。赤字経営を黒字化する3つの方法会社を立て直し黒字化する確かな方法中小企業の社長が最低限すべき5つの仕事赤字経営は放置するほど立て直すのが困難になるので、赤字経営に陥っている会社は上記ノウハウを参考にして、直ちに赤字脱却の経営改善を講じることをお薦めする。赤字脱却を目指すうえで注意すべき点とは赤字脱却の道筋と手段は、大変、繊細でシビアな世界だ。ほんの些細な判断ミスが原因で、赤字経営の程度が更に悪化することが起こり得るので、少しでも不安がある経営者は専門家を頼ったほうが良い。赤字経営の場合は、何とかやれている内がチャンスだ。(赤字金額以上の減価償却費がある内がチャンス)なぜなら、何ともできなくなってから赤字脱却を目指しても、手の施しようがないことが往々にしてあるからだ。例えば、赤字経営に悩んでいる相談者に対して、「来るのが一年遅かったですね」と、ひと言おいて、「1年前に相談に来て頂ければ高い確率で赤字脱却ができました。2年前に相談に来て頂ければ、今頃、赤字から脱却し、経営が安定していたと思います。」と、答えざる得ないパターンは非常に多い。会社は、現金がなくなると倒産するので、最低、1年分の運転資金がなければ、救えるものも救えない。このパターンのように、経営相談の時期が遅いために、赤字脱却の成功率が著しく低下するパターンは少なくない。赤字脱却のために経営コンサル等の専門家を有効に活用するのであれば、会社の財務状況が資本欠損に陥った段階がデットラインなので、くれぐれも注意してほしい。伊藤のワンポイント経営とは、企業の永続性を確立する事であり、その実現こそが経営者の本来の仕事です。赤字経営から企業の永続性を確立することはできません。最低限、黒字経営をキープし、利益拡大と共に、顧客と社員の満足度を高める努力が不可欠です。赤字転落は経営の危険信号です。決して赤字経営を容認してはなりません。
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  • 業績の良い会社の特徴と見分け方|業績の良し悪しを分かつ要因とは?
    業績の良い会社の特徴と見分け方|業績の良し悪しを分かつ要因とは?わたしはこれまで数百社を超える中小企業を見てきたが、業績の良い会社には法則のごとく決まった特徴がある。例えば、経営者の能力が優れている、組織の士気が高い、会社の整理整頓が行き届いている等の特徴は、業績の良い会社に共通している。この記事では、業績の良い会社の特徴と見分け方、並びに、業績の良し悪しを分かつ要因について、詳しく解説する。業績の良い会社の特徴業績の良い会社には法則のごとく決まった特徴があり、例えば、経営者の能力が優れている、組織の士気が高い、会社の整理整頓が行き届いている等の特徴は、業績の良い会社に共通している。当たり前だが、業績の悪い会社の特徴はすべてが反対になり、経営者の能力が低い、組織の士気が低い、会社の整理整頓が行き届いていない、といった特徴になる。業績の良い会社の特徴は「経営者・組織・環境」の3つの領域に分類することができる。従って、この3つの領域の特徴を抑えていれば、たとえ、はじめて訪問する会社であっても、周囲を一瞥するだけで、業績が良い会社かそうでない会社かを判別することができる。他人の会社の業績の良し悪しが判別できると、様々なメリットを享受することができる。例えば、取引相手として相応しいか否か、与信管理のさじ加減が適当か否か、など等、業績悪化の原因になり得るリスクを的確に事前検討できる点は最たるメリットだ。また、業績の良い会社の特徴が分かれば、自分の会社の不足している部分を見直して、業績改善に取り組むこともできる。経営者・組織・環境、この3つの領域毎に、業績が良い会社の特徴を順を追って詳しく解説する。業績が良い会社の「経営者」の特徴業績が良い会社の経営者の特徴として真っ先に挙げられるのは、拡大志向と利益意識が強いということだ。強い拡大志向は新しいビジネスのアイデアをどんどん生み出すので、現状に安住する暇を与えない。強い利益意識は投資の源泉になる利益をどんどん生み出すので、会社の成長スピードを一段と加速させる。経営者の目的意識は、組織の力を1点に集中させる効果があり、業績拡大のスピードを一段と加速させる。また、顧客想い、社員想いといった利他の精神も、業績の良い会社経営者が持つ特徴として挙げられる。顧客想いの経営者は珍しくないが、社員想いの経営者は決して多くない。顧客と社員の幸せを優先する利他の精神は、間違いなく、業績を後押しする。業績が良い会社の「組織」の特徴業績が良い会社の組織の特徴として真っ先に挙げられるのは、社員の士気が高く、組織が元気で明るいということだ。社員の士気が高い組織と低い組織を比べた場合、目標達成のスピードが速いのは、前者の社員の士気が高い組織だ。或いは、同じレベルの会社同士が競争した場合、その競争の勝敗を分かつのは、間違いなく社員の士気の高さである。社員のヤル気は、経営者のコミュケーションでいかようにも高めることができるが、これほど会社の業績に貢献する要素はない。また、論理的(ロジカル)な思考が定着しているのも、業績が良い会社の組織の特徴として挙げられる。なお、業績が良い会社組織の特徴は、挨拶や電話対応、営業スタッフの応対などを見れば、簡単に判別することができる。業績が良い会社の「環境」の特徴業績が良い会社の環境の特徴として真っ先に挙げられるのは、清潔感があり、整理整頓が徹底されているということだ。会社環境が清潔な会社は、働き方にムダとムラがない。例えば、ムダな商品在庫がない、営業や製造効率が良い、モノを大事に扱う、など等、業績を押し上げるコスト意識が、組織にしっかり定着している。ちなみに、清潔な工場の品質レベルは、得てして高い。なぜなら、設備保全、部品管理、清掃計画、改装計画など等といった環境管理が徹底されていなければ、工場を清潔に保つことができないからだ。なお、業績が良い会社環境の特徴は、会社の事務所、或いは、経営者やスタッフの身なりを見れば、簡単に判別することができる。業績の良い会社の特徴のまとめ業績の良い会社の主な特徴は「経営者・組織・環境」の3つの領域に分類することができる。業績が良い会社の経営者は「拡大志向と利益意識が強い」、組織は「社員の士気が高く、組織が元気で明るい」、環境は「清潔感があり、整理整頓が徹底されている」等の特徴がある。業績の悪い会社の特徴はすべてが反対になり、一つでも落ち度があると、そこが弱点となって、業績の良し悪しを分かつ要因になる。特に、経営者の能力が不足すると、組織の士気が低下し、社内外の整理整頓も行き届かなくなるので、最も注意すべきポイントになる。伊藤のワンポイント会社の業績の良さには理由があります。その理由を真似れば業績が伸びますし、その理由が分かれば業績の良い会社との付き合いを意図的に増やすこともできます。経営者に油断や驕りがあると、業績の良い特徴から外れた言動が表面化し易くなりますので、折にふれ、セルフ診断してみてください。
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  • 会社のお金の流れを明快にする方法|お金の流れが分かれば会社は潰れない
    会社のお金の流れを明快にする方法|お金の流れが分かれば会社は潰れない会社のお金の流れは、実に複雑だ。事実、利益を上げているにも関わらず、会社のお金の流れを見失い、黒字倒産に陥る企業は決して少なくない。また、日々の資金繰りに悩んでいる中小企業も少なくない。会社のお金の流れを複雑にしている最たる要因は、帳簿とキャッシュフローの不一致である。帳簿とは、会社の損益を計算する財務諸表等のことで、キャッシュフローとは、現金収支の流れのことだが、普通の会社は、帳簿とキャッシュフローが殆ど一致しない。例えば、帳簿上は、売上から費用を減ずれば利益が計算されるが、帳簿上の利益が増えれば、会社のお金も増えるのかというと、そうでもない。実際には、帳簿上の利益がプラスであっても、売上金の回収が完了しない限りは、手元のお金がプラスになることはない。さらに言えば、実際のキャッシュフローは、人件費等の諸経費や販売商品の仕入費用の支払いが先に発生し、売上が現金化されるのは、その後になる。このように、帳簿とキャッシュフローは、お金の流れが真逆の感覚になるので、会社のキャッシュフローを軽視すると、簡単にお金の流れを見失ってしまう。会社はお金で始まり、お金で終わる。つまり、会社はお金がなくなると倒産する、ということだ。会社のお金の流れを見失わないためには、帳簿とキャッシュフロー、それぞれのお金の流れをしっかり理解することが欠かせないのだ。会社のお金の流れを明快にするキャッシュフロー経営とは?会社のお金の流れを明快にする経営を、キャッシュフロー経営という。キャッシュフロー経営は、会社のお金の流れ(増減)と、会社のお金を増やすことを重視するので、会社のお金の流れがより明快になる。また、キャッシュフロー経営は、会社のお金の流れと共に経営者の損得基準も明快にするので、会社の利益を押し上げる効果がある。会社のお金の源泉は利益なので、利益拡大を後押しするキャッシュフロー経営は、会社の永続性を高める優れた経営手法といっても過言ではない。キャッシュフロー経営の典型例は、現金商売や前金商売だ。商品やサービス提供と同時に現金収入が発生する現金商売、或いは、商品等を提供する前に現金が入る前金商売は、会社のお金の流れが明快で、なお且つ、一定(損益分岐点以上)の顧客数が確保された時点で、会社のお金が減らなくなる。利益=お金という公式も成り立つので、利益の再投資を加速すると、会社の成長スピードと共にお金の増え方も一段と加速する。キャッシュフロー経営は、現金商売以外でも工夫次第で、いかようにも実践できる。例えば、売上金の回収後に仕入代金を支払う、結果が出てから対価を支払う、など等は、会社のお金を減らさないキャッシュフロー経営の秘訣になる。キャッシュフロー経営を軽視すると、会社が成長するほどに、お金が不足する事態を招きかねない。お金の調達手段に限りのある中小企業ほど、キャッシュフロー経営を重視してほしい。伊藤のワンポイント年商が1億円を超えたあたりからお金の流れを見失いやすくなります。一度お金の流れを見失うと、会社経営の悩みが山積すると共に、資金繰りも悪化し易くなります。最悪、黒字倒産という残念な結果もあり得ます。そうならないためには、年商が小さい内からキャッシュフロー重視の経営を実践することです。
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  • 在庫と利益の関係と在庫とお金の関係|在庫を制するものはお金を制する
    在庫と利益の関係と在庫とお金の関係|在庫を制するものはお金を制する在庫と利益の関係と在庫とお金の関係に頭を悩ます経営者は少なくない。在庫はお金そのものなので、在庫コントロールが杜撰な会社は、利益もお金も増えないことが往々にしてある。この記事では、在庫と利益の関係、並びに、在庫とお金の関係について、詳しく解説する。在庫と利益の関係と在庫とお金の関係在庫と利益の関係は、単純だ。なぜなら、会計上、適正な在庫評価(棚卸)がされている限り、在庫が多かろうが少なかろうが、利益は変わらないからだ。在庫によって利益が不自然に変動するのは、在庫を水増しした時、或いは、在庫の評価額を作為的に操作した時だけである。在庫の水増し等は、いわゆる粉飾行為だが、在庫の粉飾をしない限り、在庫が利益に与える影響は殆どない。一方、在庫とお金の関係は、複雑だ。例えば、在庫が売れても売上金の回収が完了しなければお金は増えない。或いは、在庫に然るべき利益を乗せて販売しなければお金は増えない。さらに言えば、在庫が売れなければ、一生、お金が増えることはなく、最悪、在庫処分の費用がかかり、お金が減ることもあり得る。このように、在庫とお金の関係は、在庫と利益の関係に比べて、非常に複雑になる。会社は、お金がなくなると倒産するので、在庫とお金の関係を見失うと、簡単に会社が衰退することも珍しくない。在庫と利益の関係を理解することも大切だが、在庫とお金の関係は、安定経営を目指すうえで欠かせないポイントといっても過言ではないのだ。なお、在庫と利益の関係については当サイト内の「棚卸が決算だけの会社は倒産リスクが高い」の記事で詳しく解説しているので、是非、参考にしてほしい。在庫とお金の関係が安定経営の分かれ目在庫はお金である。従って、在庫を寝かせている状態は、お金を寝かせている状態と何ら変わりない。また、多くの利益を稼ぎ出したとしても、その利益が在庫に消えてしまっては、お金が増えることはない。例えば、年間1億円の利益を稼いだとしても、期首からの在庫残高が1億円増えれば、すべての利益が在庫に姿を変えたことになり、お金は一切増えない。増えないどころか、税金支払い分のお金が無くなり、場合によっては資金繰りが悪化する。利益が拡大しているにも関わらず資金繰りが悪化する会社の殆どは、在庫とお金の関係を見失ったことで起きている。このケースは多くの中小企業で見受けられるので、是非とも、注意してほしい。在庫を制するものはお金を制する在庫を制するものはお金を制する。例えば、☑在庫の現金化が早ければお金に余裕が生まれ成長投資が加速する☑在庫が少なければ、在庫の値下がりに伴うお金の損失リスクが小さくなる☑在庫代金の支払いよりも販売代金の回収が早ければ、売上拡大と共にお金がどんどん増えるこのように、在庫とお金の関係を理解し、在庫を制するものは、お金を制することができる。当然ながら、会社のお金が潤沢になれば、会社の成長スピードは一段と加速する。トヨタは、ジャスト・イン・タイム(必要なものを、必要なときに、必要なだけ)の生産体制(カンバン方式)を確立し、世界的自動車メーカーに躍進した。材料在庫1日以下、製品在庫ゼロの生産販売体制を確立したデルコンピュータは、創業から早い段階で世界的企業の仲間入りを遂げている。在庫は、会社の成長と衰退を分かつ重要な要素なので、決して、軽く見てはいけない。伊藤のワンポイント利益が出ているにも関わらず、なぜかお金が増えない、という悩みを持つ経営者はとても多いです。原因を辿ると、在庫とお金の関係性を見失っているケースが実に多く、大概は、在庫の扱いを改善するだけで、お金が増え始めます。お金を増やしたければ、常に在庫とお金の動きに目を光らせることです。
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  • 売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因|なぜ資金繰りが悪化し続けるのか?
    売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因|なぜ資金繰りが悪化し続けるのか?会社の生存は、資金繰りで決まる。なぜなら、資金繰りが悪化し、現金が底をつくと、会社が倒産するからだ。黒字経営だろうが、いかに儲かっていようが、会社の資金がなくなると、会社はあっさり倒産する。この記事では、売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因について、詳しく解説する。売上増でも資金繰りが悪化する原因資金繰りが悪化する根本原因は現金の減少にあるが、現金の源泉になる売上を上げさえすれば、資金繰りが改善されるかというと、そうでもない。売上が増加傾向にあっても、資金繰りが悪化している中小企業は沢山あるし、ある年の倒産企業の内、黒字倒産の割合が44.7%(東京商工リサーチ2012年調査結果)という結果もある。つまり、売上が増えようが、黒字経営だろうが、資金繰りが悪化する中小企業は珍しくなく、資金繰り悪化の原因は単純ではないのだ。また、資金繰りを改善する為に貸借対照表の理解が欠かせないことも、資金繰りの悪化原因を複雑にしている要因として考えられる。損益計算書に馴染みのある経営者は多いが、貸借対照表を読み解ける経営者は決して多くない。じつは、資金繰り悪化の原因は、貸借対照表のなかに隠されている。従って、資金繰りの悪化に連動している貸借対照表のチェックポイントをモニタリングすることが、資金繰り悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する方法になる。資金繰りの悪化原因が分かるチェックポイント資金繰りの悪化原因が分かる貸借対照表のチェックポイントを、順を追って詳しく解説する。資金繰りの悪化原因が分かる貸借対照表のチェックポイントは、「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つになる。この3つの数字をモニタリングしていれば、資金繰りの悪化原因を捉えることができ、資金繰りを効率よく改善することができる。資金繰りの悪化チェック「現金預金」現金預金は、常に増加傾向が適正基準になる。減少傾向にある場合は、利益が減少している、或いは、売掛金と棚卸資産が増加している、のどちらかの原因で資金繰りが悪化している可能性がある。利益を増やす、或いは、売掛金と棚卸資産を減らせば、資金繰りを改善することができる。資金繰りの悪化チェック「売掛金」売掛金(受取手形含む)は、売上の増減と連動している。例えば、売上増加分よりも売掛金が増えると資金繰りが悪化する、逆に、売上増加分よりも売掛金が増えなければ資金繰りが良好になる。売掛金は回収してはじめて現金になり、資金繰りに役立つ資産になる。いかに早く売掛金を回収するかが、資金繰りを改善する秘訣になる。当然ながら、売上が一定なのに、売掛金ばかりが増えていくと、資金繰りは悪化する一方になる。資金繰りの悪化チェック「棚卸資産」棚卸資産は、商品在庫のことで、せっかく利益を上げても、利益以上に商品在庫が増えると、資金繰りが悪化する。例えば、期首からの利益が100万円増えたとしても、期首からの商品在庫が200万円増えれば、現金残高がマイナス100万円になり、それだけ資金繰りが悪化する。また、商品在庫は現金化までのスピードが非常に遅いので、資金繰りを悪化させる大きな原因になり得る。資金繰りが悪化する本当の原因のまとめ繰り返すが、会社の生存は資金繰りで決まる。会社倒産の半数が資金繰りの悪化というデータもある通り、良好な資金繰りの実現なくして、会社の生存はないといっても過言ではない。資金繰りの悪化原因は、売上を増やしても解消することはできない。また、損益計算書の数値を改善しても解消することができない。資金繰り悪化の殆どの原因は、貸借対照表の中に隠されている。貸借対照表の「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つの数字をモニタリングすることが、資金繰りの悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する秘訣になる。他にも、利益以上に固定資産が増えている、利益以上に借入返済金がある、などの状況も資金繰りを悪化させる原因になり得る。資金繰りの悪化を防ぐには、貸借対照表の理解が欠かせない。是非とも、この記事で解説した貸借対照表のチェックポイントのモニタリングを継続し、資金繰りの改善に取り組んでほしい。伊藤のワンポイント売上を増やしても資金繰りは良くなりません。現金の源泉になる利益を増やし、更に、現金が眠る「売掛金と在庫」を減らす努力が資金繰りを改善する秘訣です。資金繰りは社長の仕事です。ですから、貸借対照表の理解を深め、資金繰り表も自分の責任で作成する事が大切です。
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  • 会社の資金繰りを改善して運転資金を増やす方法|資金繰り改善の正攻法とは?
    会社の資金繰りを改善して運転資金を増やす方法|資金繰り改善の正攻法とは?会社の資金繰りは、企業の生命線を握っている。なぜなら、会社の資金繰りが行き詰ると、会社が倒産するからだ。会社の資金繰りを改善する方法は単純で「入るを量りて出ずるを為す(いるをはかりていずるをなす)」の言葉通り、収入に合わせて支出をコントロールすることが資金繰り改善の基本になる。会社の収入と支出の増減、つまり、会社の資金繰りは、売上代金の回収と費用等の支払い条件で決まる。例えば、費用等の支払いよりも売上代金の回収が早ければ、資金繰りが改善される。逆に、売上代金の回収よりも費用等の支払いが早ければ、資金繰りが悪化する。この法則に則れば、現金商売や前金決済の会社は、一定(損益分岐点以上)の顧客がいる限りは、資金繰りに窮することはない、といえる。一方、売掛商売、或いは、手形や信用取引が主流の会社は、資金繰りを誤ると、簡単に資金繰りが悪化し、倒産の危機に瀕することになる。また、資金の貸し倒れリスクと債権債務の管理コストを抱え、資金繰りが複雑になるデメリットもある。事実、複雑な資金繰りが原因で、儲かっているにも関わらず経営が破たんする黒字倒産の会社、或いは、売上が増加しているにも関わらず資金繰りが悪化する会社は、じつに多い。繰り返すが、会社の資金繰りは、売上代金の回収と費用等の支払い条件で決まる。会社の資金繰りを改善するには、回収と支払を上手にコントロールすることが欠かせないのだ。会社の資金繰りを改善する具体的方法論会社の資金繰りは「資金の回収を早めて、資金の支払いを遅らせる」というお金の交渉を、会社として真摯に取り組むことで改善できる。何れの交渉もどんな会社であっても取り組むことができ、交渉がうまくいくほど、会社の資金繰りが改善される。とはいっても、交渉の進め方には、コツがいる。お金の交渉を強引に進めると、相手の反発や不信感を招いて、交渉が暗礁に乗り上げることもある。例えば、売上代金の回収を早める場合の短縮日数は「10日」が成功ラインになる。代金回収の短縮日数が半月や一ヶ月になると、相手の抵抗が大きくなり、なかなか合意を得られない。回収短縮期間を10日に設定し、なお且つ、「他社もこの条件でご納得頂いています」というセールストークを織り込めば、大概の取引先は協力してくれる。売上代金の回収期間が10日短縮できると「(月商÷30日間)×10日間分」の資金が手元に増えて、その分だけ会社の資金繰りが改善される。また、仕入や経費等の支払いを遅らせる場合の延長日数も「10日」が成功ラインになる。支払いの延長日数が半月や一ヶ月になると、業績や資金繰りが悪化していると思われ、取引自体を解消されるリスクが高まる。支払い延長期間を10日に設定し、なお且つ、「売上がプラス成長で先行費用がかさんでおり、他社もこの条件でご納得頂いています。しっかり販売を増やして恩返しします。」というセールストークを織り込めば、大概の取引先は協力してくれる。支払いが10日延期できると「〔(月商×経費率)÷30日間〕×10日間分」の資金が手元に増えて、その分だけ会社の資金繰りが改善される。このように、資金の回収を10日短縮し、費用等の支払を10日延期すると、都合20日間分の運転資金を増やすことができる。会社の資金繰りを良好に保つことは、安定経営の絶対条件だ。会社の資金繰り改善は、決して、おざなりにしてはならない。伊藤のワンポイント資金繰りは会社経営の生命線であり、安定経営の必須条件です。資金繰りに失敗すると上場企業でも簡単に倒産します。良好な資金繰りのコツは収入と支出のプラスバランスを常に保つことです。これが出来れば運転資金が増えて成長投資と共に、会社の成長スピードが一段と加速します。
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  • 中小企業が知っておくべき銀行融資のルール|融資基準から融資条件まで徹底解説
    中小企業が知っておくべき銀行融資のルール|融資基準から融資条件まで徹底解説銀行からの融資は、会社経営の潤いになる。なぜなら、資金調達の手段が限られている中小企業の場合、銀行からの融資で多少の潤いを作っておくことが、安定経営の秘訣になるからだ。この記事では、中小企業が知っておくべき銀行融資のルール、並びに、融資基準から融資条件に至るまで、詳しく解説する。中小企業の銀行融資形態中小企業の銀行融資の難しさは、必要な時に、必要な金額を簡単に引き出せないところにある。銀行融資のハードルを下げるには、日頃から融資実績や返済実績を作ることが大切で、融資実績があれば、資金需要に合わせた柔軟な融資環境が整いやすくなる。当然ながら、融資実績も返済実績もない中小企業に対して、即日でお金を貸し出す銀行など、殆どない。ほんの少額でも良いので、日頃から小さな関係を作っておくことが、銀行融資を円滑に進める秘訣になるのだ。中小企業が銀行融資を受ける際の融資形態は、大別して二つあり、ひとつは「非定形銀行融資」、もう一つは「定形銀行融資」である。銀行融資を上手に活用するには、このふたつの銀行融資のルールを最低限抑える必要がある。非定形銀行融資非定形銀行融資とは、銀行融資を審査する際の定形がない融資形態のことである。融資決済までの手続きが定形化されていないので、銀行担当者の忖度が加わるのが大きな特徴である。一般的な法人の銀行融資が該当する。定形銀行融資定形銀行融資とは、銀行融資を審査する定形がある融資形態のことである。融資決済までの手続きが定形化されているので、必要書類を機械的に処理するだけで融資の可否が決まるのが大きな特徴である。ビジネスローンや事業者ローンといった銀行融資が該当する。非定形銀行融資のルール非定形銀行融資とは、銀行融資を審査する際の定形がない、融資形態のことだ。融資決済までの手続きが定形化されていないので、銀行担当者の忖度が加わるのが大きな特徴になる。銀行側の融資決済までの流れは、銀行融資の対象になる中小企業の経営状態を銀行担当者が綿密に評価、格付けを行い、一連の評価内容を稟議制で回覧し、最終的に融資責任者が決裁する、という手続きになる。銀行担当者の忖度が加わるので、担保や連帯保証なし、或いは、赤字経営であっても黒字化の見通しがあれば銀行融資が下りることもあり得る。ただし、非定形銀行融資は、銀行から専属担当者がつくので、銀行側のコスト負担が大きくなる。トヨタのような大企業であれば多額の融資額でコストを吸収できるだろうが、小さな中小企業の融資額ではコストが吸収しきれないケースもある。費用対効果が小さい少額融資は、金融機関によって融資姿勢が変わるので、その点は、注意が必要だ。なお、非定形銀行融資の詳しい審査基準、銀行側の業績評価方法、各金融機関の融資姿勢などは当サイト内の「銀行融資の審査基準と融資条件」で解説している。定形銀行融資のルール定形銀行融資とは、銀行融資を審査する定形がある、融資形態のことだ。融資決済までの手続きが定形化されているので、必要書類を機械的に処理するだけで融資の可否が決まるのが大きな特徴になる。銀行融資の決裁スピードが非常に速く、担保や連帯保証が不要という点も特徴のひとつだ。銀行側の融資決済までの流れは、銀行融資の対象になる中小企業の経営資料を機械的審査にかけて融資条件と融資限度額を決める、という手続きになる。定形銀行融資は、殆どが機械的な自動審査なので、専属の担当者がつかない。従って、審査書類の評価が悪ければ、原則、銀行融資が下りない。ビジネスローンや事業者ローンなどが定形銀行融資に該当するが、貸し倒れの想定コストが金利に加算されているので、借りる側の資金調達コストが高いというデメリットがある。定形銀行融資は銀行にとっては安い運用コストで大きな収益が得られるメリットがあるが、融資を受ける側の長期的メリットはさほどないので、できれば、一般的な法人の銀行融資を活用した方が得策だ。(この記事は2018年3月に執筆掲載しました)
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  • 借金で成功する会社と失敗する会社の違い|お金の区別が借金経営成功の秘訣
    借金で成功する会社と失敗する会社の違い|お金の区別が借金経営成功の秘訣借金で成功する会社と失敗する会社の違いは、どこにあるのだろうか?借金で成功する会社がある一方で、借金で失敗する会社があるのは事実であり、私自身も、借金で失敗した会社を数多に見てきた。この記事では、借金で成功する会社と失敗する会社の違いについて、詳しく解説する。借金で成功する会社と失敗する会社の違いわたしの経験上、借金の失敗リスクを低下させる借金経営の基本は「お金の区別」にある。例えば、自分で稼いだ利益(自分のお金)と借金(他人のお金)の区別がちゃんと出来ている会社は、間違いなく借金で会社経営を成功に導いている。逆に、お金の区別が曖昧、或いは、出来ていない会社は、かなりの高確率で、借金で会社経営に失敗している。借金で怖いのは、借金以上の利益を上げることに失敗した場合に、借金の返済と利息の支払いがそのまま残ることだ。当然ながら、借金返済と利息支払いの原資になり得る会社の利益を十分に上げることが出来なければ、借金の返済苦(借金地獄)に陥り、倒産まっしぐらということもあり得る。お金の区別ができず自分のお金を見失うと、その瞬間から会社経営が失敗に傾く。借金によって自分のお金を見失う危険性を回避するには、第一に「お金の区別」をしっかりすることが大切なのだ。成功する借金経営の基本借金をすると、会社のお金が一時的に増加する。そのお金を使って、なお且つ、借金を毎月返済すると、会社のお金がダブルで減ることになる。当然ながら、借金のリターン(将来収益・投資回収)を考慮せずに借金を散財すると、借金漬けの進行スピードが早まり、会社経営が加速度的に失敗に傾く。つまり、借金で成功するには、借金で調達したお金のリターン(将来収益・投資回収)を絶えず意識することが不可欠になるのだ。例えば、借金の返済は、借金を元手にした投資収益で賄うのがベストだが、最初からプラスの投資収益を確保するのは容易ではない。この場合、投資収益のマイナス期間を2年以内に抑えることが、借金返済に失敗しない目安になる。3年目以降から投資収益がプラスに転じれば、その収益を借金返済に充てることができるので、借金で失敗するリスクが解消される。逆に、3年目以降も投資収益がマイナスのままだと、借金返済が苦しくなり、借金で失敗するリスクが高まる一方になる。借金で調達したお金のリターン(将来収益・投資回収)を絶えず意識した経営采配が、借金で成功する必須条件になるのだ。借金で失敗しない借入限度額の計算方法借金で失敗しないためには「自分と他人のお金を区別すること」、「借金のリターン(将来収益・投資回収)を意識すること」、このふたつ以外に、もう一つ注意すべき点がある。それは、借入限度額のコントロールだ。借入限度額とは、返済能力の安全性を示す経営指標の一種だが、借入限度額のコントロールが効いていれば、危険な借入ラインを超えることがなくなるので、返済苦や借金漬けといった失敗リスクが軽減される。借入限度額の計算式は下記の通りである。借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=「借入限度額2,500万円~5,000万円」ということになる。”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、或いは、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。年商に関係なく、会社の収益性から借入限度額を計算するので、返済能力の安全性が考慮された借入限度額が分かる。この方法で借入限度額をコントロールしている限りは、返済苦や借金漬けといった失敗リスクが高まることはない。
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  • 不採算事業の撤退基準と立て直しのプロセス|不採算事業を見逃すな!!
    不採算事業の撤退基準と立て直しのプロセス|不採算事業を見逃すな!!不採算事業とは、マイナス収支の事業体のことである。不採算事業は、宣伝目的や政治目的といった特殊な事情がない限り、健全な会社経営の足をひっぱる厄介者でしかない。この記事では、不採算事業の撤退基準と不採算事業の立て直しプロセスについて、詳しく解説する。不採算事業とは?不採算事業とは、マイナス収支の事業体のことで、いわゆる、赤字事業のことである。また、売れば売るほど損失が膨らむ赤字商品や赤字取引も不採算事業の範疇に入り、業績が伸び悩んでいる企業には、必ず、不採算事業が紛れ込んでいる。不採算事業を生み出さない秘訣は、事業単位だけでなく、日頃から商品や取引先毎の採算管理を厳重に行うことだ。例えば、商品や取引先毎に収支を分析すると、一つや二つの不採算事業はどんな会社であっても出てくるものだが、そうした不採算事業を丹念に改善する姿勢を持続することが大切になる。また、新規事業は、必ず独立採算で損益を管理し、新規事業単体の採算を正確に把握することも不採算事業を生み出さない秘訣になる。不採算事業を見逃すな!!不採算事業は決して見逃してはならない。なぜなら、不採算事業の損失が膨らむと、本業の利益を食いつぶし、会社全体の経営を圧迫するからだ。場合によっては、会社が生み出している全ての利益が不採算事業の穴埋めに流れてしまい、倒産まっしぐらというケースも珍しくない。事実、倒産の危機に瀕する会社には必ず不採算事業の存在があるし、不採算事業の扱いひとつで会社が衰退した例は枚挙にいとまがない。不採算事業で失敗しないためには、不採算事業の徹底基準と不採算事業の立て直しプロセスをしっかり理解することが欠かせない。不採算事業の撤退基準不採算事業の徹底基準は、期間と利益の両面で判断すると良い。先ず、不採算事業の許容期間は、中小企業であれば2年が限界なので、2年という期間を一つの撤退基準に考えると良い。そして、不採算事業の利益は、貢献利益の赤字を撤退の基準に考えると良い。貢献利益の赤字とは、その事業に費やされる直接経費よりも収益が少ない経営状態を表し、この状態を放置すると、会社全体の利益が、不採算事業の損失の穴埋めに流れることになり、会社衰退のリスクが飛躍的に高まる。従って、不採算事業の貢献利益が赤字に陥っており、なお且つ、その不採算事業の黒字化が全く見込めないのであれば、早急に不採算事業からの撤退を検討しなければならない。なお、不採算事業で働くスタッフ(当事者)は、その事業への愛着があるため、撤退の決断が鈍る傾向が強いため、不採算事業の撤退判断は、経営者が果断しなければならない。【関連記事】事業撤退の基準とタイミング不採算事業の立て直しプロセス不採算事業の立て直しは、第一に、貢献利益の黒字化、第二に、営業利益の黒字化が正攻法になる。そして、貢献利益の黒字化に向けた不採算事業の立て直しプロセスは、次のスリーステップが正攻法になる。1.過分にかかっているコストをカットする2.利益の総量を増やすために利益率を改善する3.貢献利益を黒字化した後に、新たな売上を作るコストカット、利益率の改善を速やかに実行し、貢献利益を黒字化にした後に、資金的な余裕をもって売上拡大に移行するのが、不採算事業立て直しの正攻法になる。なお、不採算事業を立て直すためのコストカットの手法は「簡単かつ即効性のあるコストダウン手法」の記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。不採算事業を立て直すための利益率の改善は、付加価値を発掘し研鑽することで効果的に改善することができ、新しい売上は、研鑽した複数の付加価値の掛け合わせで生み出すことができる。すべての手を尽くしても不採算事業の立て直しができない場合は、損失の垂れ流しを最小限に食い止めるべく、前章で解説した「不採算事業の撤退基準」に基づいて、不採算事業の撤退を検討するのが良いだろう。伊藤のワンポイント不採算事業は放置してはなりません。中小企業は資金調達の手段が限られていますので、なおさらです。不採算事業(赤字商品・赤字取引含む)を早期発見するには、日ごろの損益管理が重要になります。不採算事業が原因で衰退する企業ほど損益管理が杜撰ですので、しっかり意識してください。
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  • 社長の権限移譲で失敗しない秘訣|権限移譲で社員のスキルと責任感を高めるには?
    社長の権限移譲で失敗しない秘訣|権限移譲で社員のスキルと責任感を高めるには?中小企業の場合、社長がひとりで仕事を抱えてしまい、権限移譲が全くできていない会社も珍しくない。社長の権限を社員に対して移譲しないと、いつまで経っても社長におんぶに抱っこ状態が続き、社員のスキルと責任感が一向に高まらない。この記事では、社長の権限移譲で失敗しない秘訣、並びに、権限移譲で社員のスキルと責任感を高める方法について、詳しく解説する。権限移譲で社員のレベルを高めるには?社員のレベルを引き上げ、会社の成長を成し遂げるには、社長の権限を社員に対して移譲することが欠かせないが、社長の権限移譲はじつに難しい。事実、社長の権限を社員に移譲した途端に、ミスやクレームが多発する、或いは、業績悪化を招く失敗が頻発する、といったマイナスリスクが表面化することは珍しくない。このようなマイナスリスクを回避するには、社長の権限移譲で失敗しない3つのポイントを抑える必要がある。ひとつは、日常業務やルーティン的業務に限定すること、ふたつ目は、やらない事を決めること、3つ目は、経営者がしっかりフォローすること、である。最低限、この3つのポイントを抑えたうえで社長の権限移譲を進めれば、大きな失敗リスクを減らすことができる。社長の権限移譲で失敗しないポイント社長の権限移譲で失敗しない3つのポイントについて、更に詳しく解説する。日常業務やルーティン的業務に限定すること社長の権限移譲は、日常業務や反復性があるルーティン的業務に限定することが失敗しない秘訣になる。逆に、非日常業務であるクレーム処理や銀行対応、或いは、重要業務であるお金の管理等は、社長が管理権限を持ち、決して社員に権限移譲してはならない。やらない事を決めること社長の権限移譲は、やって良いことを決めるより、やらない事を決めた方が、社員のストレスが少なく済み、なお且つ、ミスが起こりにくい。例えば、創業精神や経営理念から外れた行動を取らない、基準見積条件を外さない、ミスやクレームは独断で対処しない、ミスやクレームを隠さない、赤字取引を容認しない、〇万円以上の費用は決裁なしで使わない、など等、やらない事を決めておくと、社員の自主性を尊重しつつ、安心して社長の権限を委譲できる。経営者がしっかりフォローすること社長が権限を社員に委譲した後に、社員に任せっぱなしの丸投げ状態にすると、かなりの高確率で権限移譲が失敗する。権限移譲の失敗を回避するには、一定間隔で仕事の進ちょくを確認し、社員の能力と権限移譲の範囲にギャップが生じていないかをチェックするなど、社員の活動をフォローしなければならない。社長の権限移譲のメリットとは?社長が社員に対して権限移譲した場合のメリットは、大きくふたつある。ひとつは「社長の時間的・精神的余裕ができること」、もう一つは「社員の能力向上に繋がること」だ。社長の権限を社員に移譲し、社長の時間的・精神的余裕ができると、日常業務に忙殺されることがなくなり、会社の成長をデザインする時間や行動が増え、会社の成長スピードが一段と加速する。一方の社員側も、社長から権限を委譲されることによって、自分で考えて行動する力が磨かれ、組織全体が指示待ち集団から自らが考えて動く集団に変動する。また、仕事のやりがいと責任感も増すので、能力向上のスピードと会社への業績貢献度が一層高まる。伊藤のワンポイント権限移譲は右腕や幹部を育成するうえで不可欠です。ですから、出来る範囲でどんどん権限移譲を進めた方が会社の成長が加速します。但し、丸投げはNGです。委譲した権限が社員の重荷やストレスになっていないかを常にフォローして下さい。また、お金の管理、人事権、最終決断等の権限は委譲してはなりません。
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  • コストダウン・経費削減の正しい手法は順番と対象が肝になる
    コストダウン・経費削減の正しい手法は順番と対象が肝になるコストダウン(経費削減)は、企業の生命線になる。なぜなら、コストダウンは企業の存続を支える利益を生み出し、なお且つ、競争の優位性を高めるからだ。この記事では、コストダウン・経費削減の正しい手法、順番、対象について、詳しく解説する。コストダウン・経費削減の正しい手法コストダウン・経費削減の正しい手法は、順番と対象が肝になる。なぜなら、コストダウンの順番と対象を誤ると、コストダウンがきっかけで業績悪化のリスクが高まるからだ。例えば、社員の安心安全やヤル気を損なうコストダウン、商品・サービスの品質や顧客のメリットを損なうコストダウン、顧客や取引先に無理を押し付けるコストダウンなどは誤ったコストダウンの典型になる。こうした、企業の成長発展を支えるベースや経営資源の価値を棄損するコストダウンは、手を付けた瞬間に業績悪化のリスクが生まれる。従って、コストダウン・経費削減の正しい手法は、正しい順番と対象を抑えることが不可欠で、ココの認識が甘くなると、必ずコストダウンが仇となって業績が悪化する。コストダウン・経費削減の正しい順番と対象コストダウン・経費削減の正しい順番と対象について解説する。コストダウンは、第一に「生産性改善」、第二に「直接経費低減」の順番で、生産性は「全ての業務」、経費削減は「上位コストと惰性コスト」を対象にすると効果が大きい。それぞれのコストダウン手法について詳しく解説する。経費削減の順番と対象「生産性改善」コストダウン・経費削減は、第一に生産性の改善(対象は全ての業務)に取り組むことが正攻法になる。生産性の改善は業務効率化を推進することで実現されるが、業務効率化は、世の中の進歩(社会インフラ充実、技術革新、意識改革等)と共にチャンスが広がるので終わりがない。生産性が改善されると、人件費、変動費、固定費など、すべてのコストが削減される。成長企業ほど、生産性改善によるコストダウンが定着している。経費削減の順番と対象「直接経費の低減」コストダウン・経費削減は、第二に直接経費の低減(対象は上位コストと惰性コスト)に取り組むことが正攻法になる。上位コストを抑えることができれば、その業界内での競争優位性が高まるので、重要課題として取り組むことが大切になる。惰性コストは、売上貢献度の低いコストが対象になるが、一度削減しても、時間の経過と共に絶えず生まれるので、常にムダムラの排除を意識することが大切になる。絶対にやってはいけないコストダウン・経費削減最後に、絶対にやってはいけないコストダウン・経費削減について、解説する。中小企業において、最後まで避けるべきコストダウンの対象は「社員のリストラ」である。人員が限られている中小企業においては、社員の定着が組織力に直結し、組織力がそのまま業績に跳ね返る。しかも、社員の生活の糧(生計)を脅かすリストラは、社員にとってみれば最悪の方法であり、リストラを免れて会社に残る社員にとってもモチベーションを下げるきっかけになり得る。リストラをすることで一時のコストダウンはできるかも知れないが、リストラがきっかけで組織力と共に業績が低下すれば、コストを賄う売上そのものが減少し、業績悪化のスパイラルからますます抜け出せなくなる。コストダウン・経費削減は、企業の成長発展を支えるベースや経営資源の価値をキープ、或いは、強化しながら推進するのが正しい方法になる。
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  • 理想の利益率|売上に対する粗利・営業利益・経常利益・純利益
    理想の利益率|売上に対する粗利・営業利益・経常利益・純利益会社経営は利益を出すことによって成り立つので「利益率」は最重要指標といっても過言ではない。利益率の指標は、売上総利益率(粗利率)、営業利益率、経常利益率、純利益率等々があるが、それぞれに理想の利益率がある。この記事では、各利益指標の理想の利益率について、詳しく解説する。理想の利益率とは?利益は、収益から費用を引くことで計算でき、利益の種類は、売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益、純利益の4種類ある。利益率は、収益に対する利益の構成比率を求めることで計算できるが、計算式は利益指標によって異なる。理想の利益率を業界平均などに求める風潮もあるが、業界平均には、上位企業だけでなく、下位企業も混入しているので、理想に程遠いケースが往々にしてある。結論からいうと、最良の理想値は、ライバル企業に負けない、或いは、高収益業界に負けない利益率を確立することであり、そのために、1%ずつでも着実に会社として、或いは、業界として利益改善することが理想の利益率に近づく正攻法になる。とはいっても、ある程度の理想の利益率はあったに越したことはないので、私が運用している理想の利益率を以下に紹介する。なお、以下に説明する各利益指標の理想の利益率は、中小企業、なお且つ、三次産業の中でも労働集約型と資本集約型の中間に位置する「卸売・小売・飲食業等」を前提としている。売上総利益率(粗利率)の理想売上総利益率は「(売上総利益÷売上)×100」で計算できる。売上総利益率は、粗利率(あらりりつ)などの略称で呼ばれ、多くの経営者に最も馴染みのある利益率といってよい。売上総利益率の理想は、卸売は15~25%、小売は25~50%、飲食は75~85%になるが、独自性のあるビジネスモデルの場合は、この理想に収まらないケースがある。また、化粧品、健康食品、ブランド服等の高付加価値品の場合は、売上総利益率が90%を超えるケースもあり、業種や扱う商品によって利益率の理想が大きく変わる。営業利益率の理想営業利益率は、売上高と売上総利益高の二つの収益をベースに計算する方法があるが、理想の利益率は、売上総利益高営業利益率をお薦めする。売上高営業利益率は、粗利率の水準によって理想値が大きく変わるが、売上総利益高営業利益率であれば大概の業種共通で理想値を掲げることができる。売上総利益高営業利益率は「(営業利益÷売上総利益高)×100」で計算でき、理想の利益率は20%以上になる。利益率が20%以下の会社は、この理想値に向かって利益改善を推進することが大切で、既に20%を超えている会社は、現状よりも1%でも高い利益率を理想に掲げることが大切になる。経常利益率と純利益率の理想経常利益率と純利益率も、売上高と売上総利益高の二つの収益をベースに計算する方法がある。営業利益率同様、やはり、理想の利益率は、売上総利益高経常利益率、並びに、売上総利益高純利益率になる。売上総利益高経常利益率&純利益率は「(経常利益or純利益÷売上総利益高)×100」で計算でき、理想の利益率は20%以上になる。つまり、営業利益率よりも悪化させないために、営業外費用を少なくする、或いは、特別損失を極力出さない等の経営努力が経常利益、並びに、純利益の理想の利益率を実現する秘訣になる。
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  • 営業利益率の業界平均は使えない指標|目指すべき営業利益率の目安とは
    営業利益率の業界平均は使えない指標|目指すべき営業利益率の目安とはいつも不思議に思うのだが、営業利益率の業界平均を気にする経営者は、じつに多い。営業利益率を経営目標として運用している会社経営者は多く、わたし自身、製造業やサービス業など、さまざまな業界の経営者から営業利益率の平均をよく尋ねられる。営業利益率を経営目標として運用することは結構なことだが、業界平均を気にすることの無意味さを理解している経営者は少ない。じつは、営業利益率の業界平均はまったく使えない指標の典型だ。下図は業界平均の計算構造を示したグラフである。ご覧の通り、僅かな上位集団の実績を、数多の下位集団が足を引っ張る構図で業界平均が計算されていることが分かると思う。業界平均の計算構造は殆どこのようなものである。つまり、業界平均には、数多くの下位集団の実績が混入しているので、業界平均=優良会社という相関性は殆ど成立しないのだ。当然ながら、営業利益率の業界平均を目標に掲げて改善活動を展開しても、トップ集団に追いつくことはできない。業界平均を達成したからといって、実は標準よりも下位ということもあり得る。業界平均を目標にするのではなく、然るべき適正な目安を基準に目標設定することが、トップ集団に追いつく秘訣であり、高い営業利益率を確立する方法なのだ。業界平均に頼らない営業利益率の目安とは?営業利益率とは、売上等の収入金額に占める営業利益金額の構成比率のことだ。営業利益率は本業の儲ける力を示す指標なので、会社経営において最重要指標といって過言ではない。それでは一体、業界平均に頼らない営業利益率の目安はあるのだろうか?製造業やサービス業、或いは、飲食業や小売業など、業種業態や業界が変わっても共通して使える営業利益率の目安はあるのだろうか?業界関係なく使える営業利益率の目安はある。それは、売上総利益金額に占める営業利益金額の構成比率を示す「売上総利益高営業利益率」だ。業界平均に頼らず、すべての業界に共通して使える利益指標なので、現状モニタリングや目標設定におススメの指標である。売上総利益高営業利益率の計算式と目標の目安は以下の通りである。計算式:売上総利益高営業利益率=(営業利益金額÷売上総利益金額)×100売上総利益高営業利益率の目標目安:10~20%業界平均に頼ることなく、売上総利益高営業利益率10~20%を目標の目安として運用すると、経営改善が効果的に推進され、徐々に事業の収益性が高まる。結果として業界平均をはるかに超える高い営業利益率を確立することも可能になる。会社経営の本質は、他力本願ではなく自力本願である。つまり、他人の実績が多く混入した業界平均よりも、然るべき営業利益率の目標を掲げた方が、さらに成長するための会社の欠点や課題が明かになり、よほど効率的に経営改善を進めることができるのだ。業界平均は使えない目標の最たる例である。業界平均に翻弄されることなく、独立独歩で経営に向き合ってほしい。伊藤のワンポイント業界平均は使えない目標の典型です。平均値=みんなと一緒という安心感を抱くかも知れませんが、みんなと一緒レベルでうまくいくほど会社経営は甘くありません。周囲から一歩抜け出すには独立独歩で高い目標(課題)に向かう姿勢が不可欠です。クリアすべき目標(課題)は必ず企業の内部にあります。
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  • なぜイノベーションが必要なのか?|企業の繁栄はイノベーションが源泉になる
    なぜイノベーションが必要なのか?|企業の繁栄はイノベーションが源泉になるなぜイノベーションが必要なのか?その答えは、経済と企業の繁栄はイノベーションが源泉になるからだ。この記事では、なぜイノベーションが必要なのか、なぜイノベーションが企業の存続を決定付けるのかについて、詳しく解説する。イノベーションとは?イノベーション(innovation)とは、新たなものを創造し、社会に新たな価値を生み出すことである。イノベーションは、1911年にオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって初めて定義された。日本においては、1958年の経済白書において、イノベーションが「技術革新」と翻訳紹介され、長い期間にわたりこの認識が広く定着した。その後、イノベーションはモノや仕組みの技術革新という限定認識に止まらず、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす幅広い革新を意味するようになった。【関連記事】イノベーションの5大戦略を分かりやすく解説イノベーションはなぜ必要か?なぜ、イノベーションが必要なのかというと、経済と企業の繁栄はイノベーションが源泉になるからだ。市場経済は、イノベーションによって効率的な方法が生まれ、従来の非効率な仕事・企業・業界が駆逐されることで発展しているので、イノベーションなくして企業の存続はあり得ないといっても過言ではない。また、経済の多様性が進むほど業界の垣根が低くなり、市場競争が熾烈になるが、こうした状況下で企業寿命を延ばすためにも、イノベーションが不可欠になる。例えば、税理士業は、一昔前までは競争が緩やかだったが、今では、法律事務所、経営コンサル会社、会計ソフトの開発会社や会計クラウドのIT会社等がライバルとして台頭し、市場競争が激化している。税理士業以外の業種に関しても、規制緩和、技術革新、関税撤廃、補助金打切り、価値観の変化、テクノロジーの進化、外資やベンチャーの参入など等をきっかけに、従来のビジネスが通用しなくなることが往々にしてある。安定的な収益をキープするためには新たな価値を創出するイノベーションが不可欠であり、一瞬でも油断すると、激しい市場競争に飲み込まれて、自然淘汰されるリスクが高まってしまう。つまり、企業が生存するには、イノベーションが欠かせないのだ。イノベーションの実践的戦略中小零細企業が厳しい市場競争を勝ち抜くために実践すべきイノベーションは一つである。確固たるスペシャリテを持ったオンリーワン的な存在価値を研鑽するイノベーションを愚直に実践することである。圧倒的なコストパフォーマンス、世界初・世界最少・世界最軽量などの圧倒的経済的価値、この人・この会社にしかない、他を圧倒する商品やサービス、など等。とにかく、やっぱりこの会社の商品・サービスが良い、やっぱりこの人と仕事をしたい、やっぱりこのお店で食べたい、やっぱりこのブランドが良い、など等と思わせるオンリーワン的な存在を目指すためのイノベーションを実践することが、企業の永続性を高める確かな方法になる。当然ながら、こうしたイノベーションを放棄すれば、その他大勢の中に分類されてしまうので、厳しい市場競争を勝ち抜くことも、生き残ることも至難になる。自信を持ってオンリーワンと言い切れるだけの要素を、イノベーションで徹底的に磨くことが、多様化した市場経済を生き抜く確かな術なのだ。
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  • イノベーション経営|分かりやすく5種類のイノベーション戦略を解説
    イノベーション経営|分かりやすく5種類のイノベーション戦略を解説イノベーション(innovation)とは、新たなものを創造し、社会に新たな価値を生み出すことである。イノベーションは大企業の取り組みだと思ったら大間違いで、中小企業等、小さな会社ほどイノベーションが企業の生命線になる。成長投資の規模やスピードが劣っている中小企業ほど、社会(経済・市場・顧客等)への対応力、つまり、イノベーションの実践度で企業の永続性が決まるからだ。この記事では、イノベーション経営の基本概要から5種類のイノベーション戦略について、分かりやすく解説する。イノベーションとは?イノベーション(innovation)とは、新たなものを創造し、社会に新たな価値を生み出すことである。イノベーションは、1911年にオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって初めて定義された。日本においては、1958年の経済白書において、イノベーションが「技術革新」と翻訳紹介され、長い期間にわたりこの認識が広く定着した。その後、イノベーションはモノや仕組みの技術革新という限定認識に止まらず、ビジネスの新結合、新機軸、新定義、新思考、新活用、新視点、新組織、新社会、新情報、新理論等を創造する取り組み等々、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす幅広い革新を意味するようになった。企業は市場や顧客の動向の変化に対応し、絶えず進化することで永続性が確立されるので、資金調達の手段に限りがあり、成長投資の規模やスピードが劣っている中小企業ほど、イノベーションが企業の生命線になる。つまり、イノベーションを日常業務として定着させることが安定経営の秘訣になるのだ。5種類のイノベーション経営の実践戦略ヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションを経済活動の中で生産手段や資源、或いは、労働力などをそれまでとは異なる方法で新結合することと定義した。具体的には、イノベーションのタイプを「プロダクション・イノベーション,プロセス・イノベーション,マーケット・イノベーション,サプライチェーン・イノベーション,オルガニゼーション・イノベーション」の5種類に分類した。ヨーゼフ・シュンペーターの5種類のイノベーション定義に私の独自理論を加味したイノベーション経営の実践戦略について、それぞれ順を追って分かりやすく解説する。プロダクション・イノベーションプロダクション・イノベーションとは、新たな顧客創造を実現する新商品、新技術、新市場の開発・生産をいい、最も身近なイノベーション戦略になる。プロダクション・イノベーションは、既存ビジネスの新結合、新機軸、新定義、新思考、新活用、新視点等の戦略展開が正攻法になる。例えば、自動車を新活用したタクシー会社やバス会社等、肌着に機能性を新定義したユニクロ等はプロダクション・イノベーションの典型になる。プロセス・イノベーションプロセス・イノベーションとは、業務効率や生産性を高めるイノベーション戦略のことで、新技術(AI・IT・デジタル化)を導入して業務を効率化する、或いは、工場の無人化や高品質化を推進する等の取り組みがプロセス・イノベーションの典型になる。ライバルよりも低コストで高品質の商品・サービスを提供するための技術革新(戦略展開)がプロセス・イノベーションの基本になるマーケット・イノベーションマーケット・イノベーションとは、マーケティング成果を一段と上げるイノベーション戦略のことで、販路の最適化、販売環境の向上、潜在顧客発掘のための情報発信推進等の取り組みがマーケット・イノベーションの典型になる。潜在的な顧客に対して商品等を認知してもらい、ストレスなく購入できる環境を整え、更に、そうした販売網を拡大するための戦略展開がマーケット・イノベーションの基本になる。サプライチェーン・イノベーションサプライチェーン・イノベーションとは、商品やサービスの供給連鎖(調達→生産→販売→消費)を最適化するイノベーション戦略のことで、サプライチェーンの全体コストを下げる、或いは、消費者情報をサプライチェーンの最適化に活用する等の取り組みがサプライチェーン・イノベーションの典型になる。調達コストだけでなく全体コストを下げる視点と消費者情報を活かす視点の二つがサプライチェーン・イノベーション戦略の肝になる。オルガニゼーション・イノベーションオルガニゼーション・イノベーションとは、前期した4つのイノベーション戦略を実現するための組織革新のことで、社内の情報共有や業務効率を高める組織革新、或いは、業務提携、フランチャイズ、ファブレス経営など、外部組織との連携革新がオルガニゼーション・イノベーションの典型になる。なかでも、ファブレス経営は資本力が小さく、経営資源が乏しい会社ほど、大きなイノベーション効果を生み出し、会社の成長を加速させるので、積極的に活用したい戦略といえる。イノベーションなくして企業の永続性はない商品やサービス、或いは、ビジネスモデルは、時代の変化と共に必ず陳腐化するので、イノベーション(innovation)なくして企業の永続性はないといっても過言ではない。時代の変化や進化に合わせて絶えずイノベーションすることが市場競争の優位性を高め、企業の永続性を確立する基本原則になる。つまり、如何にしてイノベーションを日常業務に定着させるかが企業の盛衰を分かつのだ。イノベーションで大きな成果を上げるには「プロダクション・イノベーション,プロセス・イノベーション,マーケット・イノベーション,サプライチェーン・イノベーション,オルガニゼーション・イノベーション」の5つの戦略をバランスよく実践することが成功の秘訣になる。伊藤のワンポイント世の中にある商品やサービスは全てイノベーションによって生み出されたもので溢れています。つまり、イノベーションは特別なことではなく、資本主義経済においては、ごく当たり前のことなのです。どんなに小さなイノベーションでも、その積み重ねが大切で、継続的イノベーションは成長の源泉になります。
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  • 魔の川・死の谷・ダーウィンの海の越え方|イノベーション経営を阻む関門
    魔の川・死の谷・ダーウィンの海の越え方|イノベーション経営を阻む関門イノベーションは日常の会社経営の中で実践できる戦略(ヨーゼフ・シュンペーターの5つのイノベーション戦略)のほかに、ゼロから価値を生み出すイノベーション戦略もある。ゼロから価値を生み出すイノベーションを実現するには乗り越えなければならない障壁が数多にある訳だが、こうした障壁のことを経済用語で「魔の川(Devil River)・死の谷(Valley of Death)・ダーウィンの海(Darwinian Sea)」という。この記事では、イノベーション経営を阻む三つの関門である「魔の川・死の谷・ダーウィンの海」の越え方について、詳しく解説する。イノベーション経営を阻む三つの関門イノベーション経営を阻む障壁は「魔の川・死の谷・ダーウィンの海」の三つの関門がある。魔の川とはアイデア発掘から商品開発の間にある障壁、死の谷とは商品開発から事業化の間にある障壁、ダーウィンの海は事業化から事業拡大の間にある障壁のことで、ベンチャービジネスの成長プロセスを示す「シード(魔の川)・アーリー(死の谷)・ミドル(ダーウィンの海)」と重ねることもできる。イノベーション経営を阻む三つの関門のステージと定義について、それぞれ詳しく解説する。魔の川(シード)魔の川は、アイデアを発掘し、商品等の試作開発を継続している段階だ。手持ちシード(試作アイデア)と顧客ニーズがマッチしないと開発が徒労に終わる。魔の川は、多様化した経済活動、或いは、複雑な顧客ニーズを言い表している。死の谷(アーリー)死の谷は、商品開発から事業化の準備・スタート地点にいる段階だ。殆どの試作アイデアは事業化に至らない事から、このステージは死の谷と呼ばれる。特に、生産や販売インフラが脆弱だと、事業が前に進まずとん挫することが多い。ダーウィンの海(ミドル)ダーウィンの海は、事業化が軌道に乗り始め、規模拡大に移行する段階だ。常に進化しながら市場や顧客の要求(変化)に対応しなければ自然淘汰される事からダーウィンの海と呼ばれる。当然ながら、変化に鈍感な会社はダーウィンの海で溺れることになる。新技術や新思考をベースにゼロからイノベーションを生み出すには、アイデアを試作レベルに仕上げて魔の川を渡り、試作レベルを小さな事業に仕立てて死の谷を飛び越え、事業の競争優位性を高めてダーウィンの海を渡り切ることが成功の条件になる。魔の川・死の谷・ダーウィンの海の越え方ゼロからイノベーションを生み出すには「魔の川・死の谷・ダーウィンの海」、この3つの関門を乗り越えなければならない。当然ながら、最後まで乗り越えることが出来なければ革新的なイノベーションは生まれず、アイデアの試作段階、或いは、小さな事業規模で成長が止まり、それまでの新規投資(努力)が全て無駄になる。最後に、魔の川・死の谷・ダーウィンの海の越え方について、それぞれ詳しく解説する。魔の川の乗り越え方魔の川を乗り越える条件は、発掘した商品等のアイデアの開発を継続し、試作レベルに仕上げることだ。魔の川を乗り越える上で一番大切なことはターゲット顧客と差別化ポイントを明確にすることで、ここが曖昧だとイノベーションの失敗リスクが高まる。死の谷の乗り越え方死の谷の乗り越える条件は、試作レベルの商品等を事業化することだ。死の谷を乗り越える上で一番大切なことは小さな規模で事業化を始めることで、テストマーケティングを繰り返しながら徐々に商品等のブラッシュアップを推進しながら事業運営を安定させることが基本戦略になる。ダーウィンの海の乗り越え方ダーウィンの海を乗り越える条件は、軌道に乗った事業規模を拡大することで、ダーウィンの海を乗り越えることで初めて革新的なイノベーションが成就する。ダーウィンの海を乗り越える上で一番大切なことは徹底した付加価値の研鑽で、ここがしっかり実践できれば競争の優位性が高まり、自然と事業規模が拡大する。つまり、イノベーションを高速で回し、ライバルを引き離すことが、ダーウィンの海を乗り越える確かな方法になる。伊藤のワンポイントゼロからイノベーションを生み出すには「魔の川・死の谷・ダーウィンの海」の3つの関門を乗り越えなければなりません。最も重要な関門は魔の川で、この川を渡る明快なアイデアや手段が多い程、死の谷とダーウィンの海を乗り越える成功確率が上がります。ターゲット顧客と差別化ポイントの完成度がキーになります。
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  • 創造的破壊のイノベーションが企業の永続性を高める
    創造的破壊のイノベーションが企業の永続性を高める創造的破壊とは、経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提唱した経済学用語である。創造的破壊によって効率的な方法が生み出されると、従来の非効率な仕事・企業・業界が駆逐されるので、創造的破壊は、市場経済の健全な発展を支えるイノベーションの肝になる。この記事では、企業の永続性を高める創造的破壊のイノベーションについて、詳しく解説する。創造的破壊とは創造的破壊とは、イノベーションの発案者である経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提唱した経済学用語である。ヨーゼフ・シュンペーターは、創造的破壊は資本主義経済の発展を健全に推進する。そして、創造的破壊の主要因は外部環境の変化ではなく、企業内部のイノベーションにあると説いた。事実、市場経済はイノベーションによって絶えず変化しており、企業の永続性を高めるには、新たなイノベーションで創造的破壊を行うことが重要であり、創造的破壊を起こし続けなければ、生き残ることができない。創造的破壊によって効率的な方法が生み出されると、従来の非効率な仕事・企業・業界が駆逐されるので、創造的破壊は、市場経済(競争社会)の健全かつスピーディーな発展を支えるイノベーションの肝になる。創造的破壊の効果創造的破壊の効果は、従来の仕事が飛躍的に進化することである。例えば、創造的破壊を推進し、積極的に最新技術・ノウハウを取り込めば、仕事の生産性が上がり、提供している商品やサービスの収益性も高まる。会社の生産性と収益性が高まれば、創造的破壊(成長投資)のスピードが更に加速するので、生産性と収益性が最大化され、企業の永続性も一段と高まる。さらに、創造的破壊によって企業の永続性が高まれば、その業界(市場)の成長余地も拡大し、市場経済の全体規模がより大きく成長する。創造的破壊の実践創造的破壊のイノベーションは順番が肝になる。創造的破壊の効果を最大化するには、最初に従来ビジネスの生産性と収益性を高める創造的破壊を実践し、会社の生産性と収益性が高まった段階で、従来のビジネスモデルや従来マーケットを進化させる創造的破壊を実践する。従来ビジネスの生産性を高める創造的破壊は、積極的に最新技術・ノウハウを取り入れて、社内業務の簡素化や顧客サービスの向上を推進することが正攻法になる。従来のビジネスモデルや従来マーケットを進化させる創造的破壊は、既存ビジネスの技術やノウハウを活用し、市場の変化を先回りした商品やサービスを積極的に提供し、既存市場を成長市場へ刷新することが正攻法になる。こうした創造的破壊は、ベンチャー企業や新興企業等の破壊者がやってくる前に、先手先手で実践することが重要で、その打ち手のスピードを上げることが、最も少ない負担で繁栄の基礎を盤石にする秘訣になる。また、経営者自身が成長するために、自分の時間の使い方や付き合う人間を創造的破壊で常に変化させることも、会社の繁栄に欠かせない取り組みになる。
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  • 中小企業はイノベーションで課題解決できる|オープンイノベーション
    中小企業はイノベーションで課題解決できる|オープンイノベーション中小企業はイノベーションで多くの経営課題を解決できるが、イノベーションを日常的に定着させている会社は多くない。じつは、成長投資の規模もスピードも劣っている中小企業ほど、積極的にイノベーションを起こさないと競争についていけなくなる。つまり、イノベーションの実践度が、そのまま企業の成長に直結する。この記事では、中小企業の経営課題を解決するイノベーションの手法、並びに、中小企業に適したオープンイノベーションについて、詳しく解説する。中小企業にイノベーションは必要か?イノベーション(innovation)とは、社会に新たな価値を生み出すことだ。イノベーションは大企業の取り組みだと思ったら大間違いで、中小企業等、小さな会社ほどイノベーションが企業の生命線になる。なぜなら、成長投資の規模やスピードが劣っている中小企業ほど、社会(経済・市場・顧客等)への対応力、つまり、イノベーションの実践度が企業の成長を後押しするからだ。また、市場を見渡せば分かる通り、世の中にあるモノやサービスはその殆どがイノベーションによって生み出されたものだ。資金に限りのある中小企業は、創意工夫でイノベーションを起こし、その活動を定着させることが市場競争の優位性を保つ秘訣で、イノベーションなくして企業の存続はないといっても過言ではない。中小企業に適したイノベーションとは?イノベーション(innovation)は、1911年にオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって初めて定義された経済用語だ。ヨーゼフ・シュンペーターはイノベーションのタイプを「プロダクション・イノベーション,プロセス・イノベーション,マーケット・イノベーション,サプライチェーン・イノベーション,オルガニゼーション・イノベーション」の5種類に分類した。この5種類のイノベーションは、中小企業でも定着させることが可能で、柔軟な視点やアイデアひとつでいかようにもイノベーションを起こすことができる。具体的には、ビジネスの新結合、新機軸、新定義、新思考、新活用、新視点、新組織、新社会、新情報、新理論等を創造する視点やアイデアが、新しいイノベーションの起点になる。【関連記事】分かりやすく5種類のイノベーション戦略を解説中小企業がイノベーションで課題解消する方法中小企業の経営課題は、売上低迷、顧客減少、コスト負担増加、資金繰り悪化など等、多岐にわたるが、殆どの課題はイノベーションを定着させることで解消することができる。中小企業がイノベーションで経営課題を解消する方法を、前章で紹介した5種類のイノベーション戦略に照らして分かりやすく解説する。プロダクション・イノベーションプロダクション・イノベーションとは、新たな顧客創造を実現する新商品、新技術、新市場の開発・生産のことだ。既存ビジネスの商品・サービスに新しい価値を付加して市場を拡大する、或いは、既存市場・顧客に対して新しい商品を提供して市場を拡大することがプロダクション・イノベーションの基本戦略になる。このイノベーションは最も簡単かつ身近な取組みでありながら、実践できている中小企業は意外と少ない。プロセス・イノベーションプロセス・イノベーションとは、業務効率や生産性を高めるイノベーションのことだ。新技術(AI・IT・自動化・デジタル化等)を積極導入して、業務効率や生産性を高めることが基本戦略になる。メール・ペーパーレス・デジタル化の推進、生産や検査体制の無人化の推進など等、プロセス・イノベーションはコスト競争力をキープする上で不可欠な取組みになる。マーケット・イノベーションマーケット・イノベーションとは、マーケティング成果を一段と上げるイノベーションのことだ。販路の最適化、販売環境の向上、潜在顧客発掘のための情報発信充実等々のマーケティングの実践が基本戦略になる。「顧客は誰でどこにいるのか?」と「販売環境は将来どうあるべきか?」、この二つの問いかけに対して真剣に考えることがマーケット・イノベーションの成果を上げるコツになる。このイノベーションは、売上が低迷している中小企業ほど、うまくできていない。サプライチェーン・イノベーションサプライチェーン・イノベーションとは、商品やサービスの供給連鎖(調達→生産→販売→消費)を最適化するイノベーションのことだ。資材等の調達コストを下げる工夫はもちろんだが、調達コストを下げるために製造商品を集約する、製造方法を工夫する、或いは、顧客の声を全社員で共有して、品質精度を上げる、営業効率を上げる等の取り組みも大切になる。オルガニゼーション・イノベーションオルガニゼーション・イノベーションとは、前期した4つのイノベーションを実現するための組織革新のことだ。社内の情報共有や業務効率を高める組織革新、或いは、業務提携、フランチャイズ、ファブレス経営など、外部組織との連携革新がオルガニゼーション・イノベーションの基本戦略になる。中小企業においては、社内の情報共有と業務効率を高める組織革新が肝になる。中小企業に適したオープンイノベーションオープンイノベーションとは、自助努力(クローズドイノベーション)に頼らずに、他者(企業・大学・国・地方自治体・専門家・顧客等々)を巻き込んで、新たなモノやサービス、或いは、ビジネスモデルを創造することだ。オープンイノベーションは、共同開発や共同研究などが典型になるが、関わったもの同士の強みがフィットするほど大きなイノベーションが生まれる。また、他人資本をベースにビジネスモデルを築くファブレス経営もオープンイノベーションの典型になる。成功している中小企業や成長著しい中小企業ほどオープンイノベーションの実践が得意で、オープンイノベーションが定着するほど会社の成長スピードが加速する。中小企業でも実践できるオープンイノベーションの具体例を挙げると、販社や顧客と一緒商品開発する、或いは、市場を開拓する、専門家と共に経営を成長軌道に乗せる、社員の家族と共に会社の経営課題や商品アイデアを発掘する、或いは、マーケティングの成果を上げる、など等、オープンイノベーションの方法は沢山ある。伊藤のワンポイントイノベーションは中小企業の生命線になります。ですから、イノベーションを定着させることが企業生存の必須条件になります。大きなイノベーションを生み出すには、日頃から小さな革新を積み重ねること、PDCAサイクルをしっかり回すこと、ターゲット顧客と差別化ポイントを明快にすること等が大切になります。
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  • 目標を掲げて生産性を改善する方法|目標なくして生産性の改善なし
    目標を掲げて生産性を改善する方法|目標なくして生産性の改善なし会社の生産性を改善するには、然るべき目標を掲げなければならない。なぜなら、目標のない行き当たりバッタリの経営は、ムダムラを生み出し、生産性を低下させる要因を次々と作り出すからだ。然るべき目標なくして、生産性を改善することは不可能といっても過言ではないが、多く中小企業は、生産性を上げるための目標運用が十分にされていない。目標がない、或いは、目標を見失っていては、生産性が上がるどころか、会社衰退のリスクが高まるであろうことは容易に想像ができるだろう。目標は、コストをかけることなく経営者の知恵ひとつで生み出すことができる。しかも、目標を掲げることで得られる生産性の改善効果は計り知れない。目標が緻密であるほど、目標の共有度合いが高まるほど、会社の生産性が加速度的に上がり、成長発展が一層加速する。また、〇〇円万以上の利益増加といった数値目標と、〇月〇日迄にといった期日目標は、効果的に生産性を改善する必須目標になる。当然ながら、数値目標と期日目標がなければ、生産性の改善行動が非効率に陥り、場合によっては会社衰退のきっかけを作りかねない。生産性を改善する目標設定の方法生産性を改善する目標設定のポイントはふたつある。ひとつは「高い目標を掲げること」、もう一つは「利益に直結する目標を掲げること」だ。ひとつ目の高い目標を掲げる理由は簡単で、高い目標の方が生産性の改善速度が加速するからだ。例えば、高い目標ほど社員のパワーが十二分に発揮される。また、中途半端に低い目標より高い目標の方が生産性を上げる画期的アイデアが豊富に生まれる。さらに、目標を達成したときの成功体験の喜びも計り知れない。生産性を絶えず上げ続けるには、持てる経営資源を最大限に引き出すための高い目標が不可欠なのだ。ふたつ目の利益に直結する目標を掲げる理由も簡単で、生産性改善の本質は利益の最大化にあるからだ。利益に直結する目標を掲げると、効果的に会社の生産性を上げることができる。例えば、今期は営業利益を〇〇万円以上増加させるといった具体的利益目標を掲げると、利益を最大化すべく生産性改善を効果的に進めることができる。これが、今期は売上を〇〇万円以上増加させるといった利益が欠落した目標になると、利益度返しの売上増加に走りやすくなり、目標が仇となって生産性が悪化しかねない。利益に直結する目標は沢山ある。例えば、フロー顧客(一回きり、新規顧客)よりもストック顧客(定期購入、リピーター)の方が利益貢献度が高いので、ストック顧客数の目標は利益拡大と共に、会社の生産性を上げる。また、営業活動と利益増減の相関関係を整理して、利益を上げる営業活動を数値目標に落とし込む手法も、生産性を上げる有効な方法になる。伊藤のワンポイント目標を掲げることは生産性改善の第一歩です。生産性は目標に向かって動くことで初めて改善されるからです。だからこそ、目標の設定が重要になります。目標を誤ると、全ての動きが生産性の足を引っぱります。逆に目標が正しければ、全ての動きが生産性改善に繋がります。目標の正否についてチェックしてみてください。
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  • 情報を共有して生産性を改善する方法|情報共有なくして生産性の改善なし
    情報を共有して生産性を改善する方法|情報共有なくして生産性の改善なし情報と生産性には密接な関係性があり、情報を制するものが、生産性を制するといっても過言ではない。なぜなら、良質な情報が組織に行き渡れば、事業活動の質が高まり、自ずと生産性が改善されるからだ。例えば、経営理念という情報を共有すると組織の行動原理が明快になるので、生産性が飛躍的に上がる。また、生産性改善に役立つ情報を持っている者と持たざる者の行動を比べた場合、生産性を上げるのは、前者の生産性改善に役立つ情報を持っている者の行動だ。徹底した情報の共有が、生産性を上げる優れた方法になるが、会社の生産性改善に役立つ情報は、経営陣と現場スタッフの垣根を越えて、広く深く共有しなければ意味がない。経営陣だけ、或いは、現場スタッフだけといった狭い範囲内での情報共有は、非効率な行動を生み出し、生産性悪化のリスクを生み出しかねない。例えば、経営陣だけが情報を共有していても、現場スタッフに情報が行き届いていなければ、現場スタッフの活動の質が高まることはなく、生産性は一向に上がらない。或いは、現場スタッフが経営陣に対して然るべき情報を上げなければ、経営判断のミスを招き、生産性を悪化させかねない。経営陣と現場スタッフの分け隔てない情報共有が、会社の生産性を上げるのだ。現場スタッフの情報量が増えれば、現場の判断力が上がり、自らが考える集団に変貌するので、自ずと、生産性が上がる。或いは、経営陣と現場スタッフの情報共有量が増えれば、適宜、最良の対策を講じることができる経営体制が整うので、自ずと、生産性が上がる。生産性を改善するために共有すべき情報とは?生産性を改善するために共有すべき情報は多岐にわたる。例えば、売上や利益といった会社の数字、ミスやクレーム、目標などは、生産性を上げるために共有すべき必須情報になる。会社の数字を共有すると、自分たちの行動と業績の因果関係が整理されるので、自ずと、ムダとムラが少なくなり、生産性が改善される。また、常に利益を意識した行動原理が定着するので、生産性を悪化させる言動が少なくなる。ミスやクレームを共有すると、同じ過ちがなくなり、顧客満足度が高まるので、結果として生産性が改善される。目標を共有すると、組織の力が1点に集中するので、加速度的に生産性が改善される。この他にも、現場スタッフが顧客から得た情報や現場スタッフが感じた意見や不安などを日常的に吸い上げることも、生産性を上げるための欠かせない取り組みになる。現場の情報を吸い上げるには、経営者自らが現場スタッフに語りかけ、自らが情報を収集する努力をすることが大切だ。現場からの報告を待っているようでは、良質な情報は決して集まらない。例えば、顧客トラブルや営業トラブルといった会社の生産性を悪化させかねない悪い情報などは、まずもって上がってこないと思ったほうが良い。情報共有の精度は経営者の姿勢ひとつで決まる。つまり、経営者の情報の扱いひとつで、会社の生産性が決まってしまうのだ。伊藤のワンポイント情報を制する者が世界を制すると云いますが、会社経営も同じです。経営者の情報量を上げる、或いは、社員に適切な情報を与えるだけで会社の生産性と業績が上がります。情報収集と共有を推進するのは経営者の仕事です。情報は、現場に足を運んで、自らの目と耳で収集することが大切です。
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  • ブランド力を高めて生産性を改善する方法|ブランド強化が生産性改善の近道
    ブランド力を高めて生産性を改善する方法|ブランド強化が生産性改善の近道ブランド力が高まれば、会社の生産性が改善される。なぜなら、ブランド力が高まると集客力と共に収益力が上がり、会社の生産性が飛躍的に上がるからだ。ブランド力が生産性に与える影響は計り知れない。例えば、ブランド力が高ければ顧客のハートをつかむ影響力が大きくなるので、新規獲得や口コミ等の情報拡散スピードが一段と加速し、集客増加⇒収益力アップという生産性向上のプラスのスパイラルが回り始める。加えて、安心感といった購買ハードルを極端に引き下げる心理環境を生み出す効果もあるため、生産性向上のプラスのスパイラルが大きく成長しやすくなる。ブランド力という無形資産ほど、会社の生産性向上に役立つ経営資源はないのだ。ブランドは大企業のものという思い込みがあるかも知れないが、中小企業にこそブランド構築の意識を強くしてほしい。ブランドの構築方法は難しくなく、ひとつのコンセプトを徹底的に伝え続ければ、徐々にブランドの価値が形成される。そして、上質、高級といった価値観、或いは、美味しい、心地いい、クセになるといった感覚、など等、その会社に対する消費者のブランド価値が高まるほど会社の生産性が向上する。資金的な余裕のない中小企業であっても、ブランド価値を高めて生産性を改善する方法はいくらでもある。例えば、ホームページの活用やお店のPOPの活用、商品や陳列やレイアウトの工夫、既存顧客へのDMや感謝レター、など等は、さほどの資金をかけずに実践できることは山ほどある。また、会社の強みになり得る領域に経営資源を集中させることも、会社のブランド価値と共に生産性を上げる有効な方法になる。或いは、うちの会社はコレという事業カテゴリーや顧客ターゲットを絞り込む手法も、会社のブランド価値と共に生産性を上げる有効な方法になる。事業カテゴリーを絞り込み生産性を改善する方法とは?ブランド力を高めて生産性を改善する方法は様々あるが、中小企業に広く活用できる事業カテゴリーを絞り込んで生産性を改善する方法について、更に詳しく解説する。事業カテゴリーは分散させるよりも、カテゴリー(ターゲット)の焦点をひとつに絞った方が、強いブランド価値を構築しやすくなる。例えば、ラーメン店であれば、みそ、しょうゆ、しお、とんこつ、つけ麺とカテゴリーを増やすのではなく、しょうゆラーメン専門店というように、カテゴリーの焦点をひとつに絞った方が、ブランド価値が高くなる。そして、カテゴリーをひとつに絞った後は、ターゲット顧客に対してブランド価値を表すひとつのメッセージを送り続けること、さらには、そのメッセージの質を高める企業努力の継続が、生産性を飛躍的に上げる秘訣になる。事業カテゴリーの焦点がひとつに絞られると、生産性は著しく上がる。先の例でいうと、ラーメンの種類が多いとオペレーションの手間がかかるが、しょうゆラーメン専門店にするとオペレーションの手間が減り、加えて、しょうゆラーメンの質を高めることに集中できるので、生産性向上と共に、ブランド価値の構築スピードも格段に上がる。ブランド価値は、どんな会社であっても再構築することができる。繰り返すが、ブランド力が高まれば、間違いなく会社の生産性が上がる。生産性を改善するために、自社のブランド力を点検してみてほしい。伊藤のワンポイントブランド力が上がると消費者の購買意欲が上がり、商品等が売れやすくなります。ですから、ブランド力を高めると、確実に事業活動の生産性が上がります。ブランド力を上げる秘訣は、事業のシンプル化です。どんな会社(商品)で、どんな魅力(価値)があるのかが消費者に伝わり易くなるほど、ブランド力が高まります。
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  • 社員のやる気を高めて生産性を改善する方法|社員の士気向上が生産性改善に繋がる
    社員のやる気を高めて生産性を改善する方法|社員の士気向上が生産性改善に繋がる社員のやる気ほど、生産性に影響を与えるものはない。なぜなら、社員のやる気が低下すると組織全体の覇気と根気が薄れ、ムダやムラが蔓延し、生産性が加速度的に低下するからだ。事実、生産性が著しく悪化している会社組織の士気は総じて低く、多くの社員が指示待ち症候群に陥っていることも珍しくない。(指示待ち症候群の組織は、生産性を悪化させる末期症状といっても過言ではない)逆に、生産性が高い会社組織の士気は総じて高く、社員の責任感と自主性が非常に高い。社員のやる気が高く、なお且つ、自ら考えて動く社員が多いほど、会社の生産性を上げる組織はない。社員のやる気を上げる方法は、さほど、難しくない。社員を徹底して経営に参加させると、自ずと、社員のやる気が高まる。例えば、社員に対して会社の数字を開示すると、利益意識が生まれるので、自ずと社員の生産性が高まる。また、儲かる、儲からないの判断基準が社員に根付くので、非効率な言動やムダムラも少なくなる。さらに、会社の数字と連動させた臨時ボーナスの制度を導入すると、社員の頑張りに対する報酬基準が明快になるので、社員のやる気が一層高まり、生産性が一段と上がる。このように、社員を経営に参加させると、社員のやる気が高まり、容易に生産性を改善することができる。生産性を改善する経営参加の具体的方法とは?社員のやる気を高めて生産性を改善するには、社員の経営参加を推進することが欠かせない。会社の生産性を改善する経営参加の具体的方法は、経営者と社員、双方向性の情報交換を頻繁に行うことが最も有効だ。例えば、必要な情報を社員に与える、社員から情報を吸い上げる、といった双方向性の情報のやり取りである。社員に与える情報は、会社の数字、ミスやクレーム、改善プラン、目標など、社員の思考力を高めるための情報を選ぶとよい。社員から吸い上げる情報は、仕事の改善、仕事の不満や不安、現場の声、顧客の声、新しいアイデアなど、会社の付加価値向上に活かせる情報を吸い上げるとよい。経営者と社員の情報交換量が増えるほど、社員の考える力がグッと高まる。そして、自ら考え行動する集団になれば、社員のやる気と共に責任感と自主性が高まり、自ずと会社の生産性も上がる。社員のやる気が低く生産性が今ひとつ上がらない会社は、社員に対して十分に情報を与えていないか、社員から情報を十分に吸い上げていないかの、どちらかが不足しているケースが多い。また、社員を一方的に情報漬けにする、或いは、社員から吸い上げた情報を経営に活かさない、といったケースも会社の生産性を著しく低下させるので注意してほしい。社員のやる気を高めて会社の生産性を上げるには、経営者と社員の双方向性の情報交換を頻繁に行い、社員の経営参加を推進することが大切である。伊藤のワンポイント社員のやる気を高めて生産性を上げるには、双方向性の情報交換、つまり、経営者が社員の目線に合わせたコミュニケーションを果敢に実践することが大切です。このコミュニケーションが充実している企業ほど、社員のやる気が高く、会社の生産性が高いです。また、社員の定着率もとても高いです。
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  • 失敗を共有して生産性を改善する方法|失敗の共有なくして生産性の改善なし
    失敗を共有して生産性を改善する方法|失敗の共有なくして生産性の改善なし失敗は、生産性を大きく低下させる。従って、失敗を減らすことができれば、生産性を大きく改善することができる。この記事では、失敗を共有して生産性を改善する方法について、詳しく解説する。失敗の共有なくして生産性の改善なし失敗の共有なくして、生産性の改善なし。つまり、失敗を共有し、失敗を繰り返さない体制を作ることができれば、確実に生産性が改善される。例えば、プロの世界では、失敗が勝敗を分けることが多々ある。あらゆるプロスポーツ、将棋や柔道、テニスや競馬に至るまで、プロの世界では失敗した者が勝負に敗れる。会社経営も例外ではなく、ひとつの小さな失敗が生産性の低下を招き、いつしか、会社経営に大きなダメージを与えることが往々にある。避けられる失敗は、しないに越したことはない。しかも、成功は偶然の産物だが失敗は必然の結果なので、失敗を共有し、同じ失敗を繰り返さない体制を整えることは誰にでもできる。失敗を繰り返さない仕組み作り失敗を繰り返さない仕組みを定着させて、会社の生産性を高めるには次の3つの仕組みが欠かせない。・些細な失敗であっても、もれなく吸い上げる仕組み・その失敗を共有する仕組み・その失敗の深刻度を分析し然るべき対策を講じる仕組みこの、失敗の発掘・共有・対策のどれか一つでも欠けると、失敗の共有精度と共に、生産性が低下する。ちなみに、中小企業の場合は、経営者自身が積極的に失敗の共有を奨励しない限り、失敗情報をキャッチすることはできない。例えば、経営者が失敗に対して頭ごなしに怒るような態度を取るようでは、殆どの失敗情報は隠蔽される。1回の失敗が生産性を低下させることは事実だが、その失敗を組織全体で共有することで会社全体の生産性が上がることも事実である。生産性を上げるための失敗の共有精度は、経営者の姿勢ひとつで決まるので、注意してほしい。失敗を共有して生産性を高める3つの仕組み失敗を共有して生産性を高める3つの仕組み(失敗の発掘・共有・対策)について、さらに詳しく解説する。繰り返すが、どれか一つでも欠けると失敗の共有精度が低下し、生産性が改善されることはないので、現状を顧みて自己診断してみてほしい。失敗を吸い上げる仕組み些細な失敗であってももれなく吸い上げるには、第一に、失敗した者を頭ごなしに怒らないことが大切になる。ひとつの失敗が他のスタッフの失敗を防ぐ役割を果たすことを考えれば、その失敗が生産性の改善に役立つことは明白である。生産性改善に役立つ失敗を吸い上げるには「よく報告してくれた。対策をみんなで考えよう」という組織の寛容さが欠かせない。また、失敗の報告者は当事者でも第三者でも構わないという条件も大切だ。なぜなら、失敗の判断基準は、個々によって違いがあるからだ。事実、新人とベテランの失敗基準には雲泥の差がある。組織全体で失敗をポジティブに捉える姿勢が、生産性改善に役立つ失敗を吸い上げる秘訣になる。失敗の共有と失敗の対策を講じる仕組み失敗の共有は、回覧形式や朝礼などで都度共有する方法で十分だが、組織全体に行き渡る工夫が必要だ。失敗の深刻度を分析し、然るべき対策を講じる仕組みを作る方法は、少しコツがいる。例えば、仕組みで解決できる失敗なのか、はたまた、個人の能力不足に由来する失敗なのか等々、失敗の検証結果によって打つ手が変わってくる。また、その失敗を防ぐことでさらに生産性を上げるためにはどうしたらよいのか、といった生産性改善の視点で失敗を検証することも忘れてはならない。失敗は成功の母と云われるように、失敗の原因をさまざまな角度から探ってみると、思いもよらない生産性改善のアイデアが出てくるものだ。伊藤のワンポイント失敗は成功の燃料になります。ですから、沢山の失敗を発掘→共有→対策実行のサイクルが定着するほど、会社の成長スピードが加速します。失敗から成功を生み出すポジティブな姿勢が会社の成長をけん引し、生産性を高める秘訣になります。また、一連の仕組み作りに、経営者が率先して参加することも大切です。
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  • 仕事を仕組み化して生産性を改善する方法|仕事の仕組み化が生産性を高める
    仕事を仕組み化して生産性を改善する方法|仕事の仕組み化が生産性を高める生産性を改善する方法は、仕事の仕組み化にある。なぜなら、仕事を仕組み化すれば、自然と働き方のムダムラが解消されて、一段と生産性が上がるからだ。この記事では、仕事を仕組み化して生産性を改善する方法について、詳しく解説する。仕組み化は型にはめること社員の能力や組織力に多少劣っていたとしても、仕事を仕組み化すれば、能力不足を仕組みでカバーすることができる。仕事の仕組み化とは、言ってみれば仕事を一定の「型にはめる」ということだ。型には、不揃いの集団の力を均一に整えて、一定のレベルに引き上げる効果がある。例えば、洋菓子を作る際に型(型・レシピ・手順書など等)があれば、熟練者も未熟者も能力に関係なく、一定レベルの品質の洋菓子を作ることが可能になる。仕事も同じで、型という仕事の仕組みがたくさん定着するほど、組織全体の仕事の精度が高まり、生産性が上がるのだ。生産性を上げる効果的な仕組み生産性を上げる効果的な仕事の仕組みを紹介する。例えば、次のような仕事の仕組みは、会社の生産性を上げる効果がある。生産性を上げる仕事例☑利益改善の仕組みは、即、生産性を上げる☑情報共有の仕組みは仕事の精度を高め、生産性を上げる☑業務シンプル化の仕組みはムダを減らし、生産性を上げる☑明快な人事評価の仕組みは社員のやる気を高め、生産性を上げる☑残業禁止の仕組みは働き方の効率化が後押しされ、生産性が上げる☑節約節電や文房具等共有の仕組みは経費が減って、生産性が上げる☑ペーパーレス化の仕組みはコストと労力を減って、生産性が上がる☑経験値等を蓄積する仕組みは組織の流動性を高め、生産性を上げる☑現場の情報を吸い上げる仕組みは経営の精度を高め、生産性を上げる☑努力が成果に結びつく仕組みは成長スピードを加速し、生産性を上げるこのように、生産性を上げるための仕事の仕組みは、挙げたらキリがなく、あらゆる領域の仕事は仕組み化できる。そして、仕事の仕組みが組織に定着すると、会社全体の生産性が自然と上がる。さらに、経営環境や時代の変化に応じて仕事の仕組みを最適化し続けると、生産性の改善スピードが一段と加速する。つまり、仕事の仕組み化の精度が、会社の成長を決定づけるのだ。生産性を上げる仕組み化の進め方生産性を上げるための仕事の仕組み化の前に、社員の意識改革は必要か否か、答えは、否である。なぜなら、社長が先頭に立って社員の意識改革を断行したとしても、大概は失敗するからだ。強引な意識改革は、かえって社長と社員の距離を広げてしまい、仕事の仕組みが形骸化しかねない。社員の意識改革は難しい。50才を過ぎると性格が直らないと云われているように、場合によっては意識を変えることすらできない社員も現れかねない。じつは、社員の意識改革を後回しにして、仕事の仕組み化を先に着手すれば、こうした問題は解消される。なぜなら、仕組みの中で仕事をしていくと、社員の意識が自動的に変わるからだ。当然ながら、仕事の仕組みのなかで社員の意識が変わると、生産性の改善スピードは、一段と上がる。また、仕事の仕組み化を徹底するほど、組織の力が一点に集中するので、生産性が飛躍的に上がる環境が整う。生産性を上げるために劇的な改革を断行する必要はない。生産性を上げる仕事の仕組み化を丹念に行い、生産性を上げる習慣を組織の隅々まで根付かせる地道な活動こそが、生産性を上げる確かな方法になる。伊藤のワンポイント生産性を上げるための仕組み作りはとても大切です。仕事の仕組みは組織のストレスを減らし、仕事の効率を上げるからです。生産性を上げるための仕組み作りは小さな部分からでも大丈夫です。大切なのは、毎日、生産性を上げる(利益を上げる)仕組みがどこにあるのかを考え、実行することです。
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  • 社員を多能化して生産性を改善する方法|多能化なくして生産性の改善なし
    社員を多能化して生産性を改善する方法|多能化なくして生産性の改善なし中小企業の生産性を上げるには、社員の多能化が欠かせない。なぜなら、自分はこの仕事だけをしていれば良い、と考える社員が増えると、会社全体の生産性が一向に上がらないからだ。人員が限られている中小企業は、肩書や組織を超えたフラットな体制と精神性をベースに、社員の多能化を進めることが大切だ。社員の多能化が行き渡ると、すべての社員が一人何役もの仕事をこなせるようになるので、自ずと会社全体の生産性が改善される。当然ながら、時間当たりの人時生産性も飛躍的に向上する。さらに、多能化社員が増えると、特定の領域に特化した社員への負担が軽減され、「この人が休んだら仕事が進まない」といった生産性悪化のリスクを払しょくすることもできる。社員の多能化のメリットはまだある。例えば、多能化社員が増えると、組織活動の生産性が格段に高まるので、人件費の削減メリットが生まれる。増産時や減産時の柔軟な人員配置も可能になるし、新商品の売り出しイベントや販促などにも手持ちの人員で対応できるようになる。また、多能化社員が増えると、会社経営に対する社員の視野が広がるので、経営者との価値観の共有が一層深まり、組織の団結力が増すメリットもある。人件費の削減、柔軟な人員体制の確立、組織の団結力向上などは、すべて会社の生産性向上に繋がる有益なメリットだ。生産性を改善するための多能化の方法とは?社員の多能化は会社の生産性を上げる有効な方法ではあるが、人員的にも時間的にも余裕がない中小企業にとって、社員の多能化を進めることは容易ではない。例えば、社員を多能化しようにも人員的余裕がない、教育に割く時間的余裕がない、などの問題を抱えている中小企業は多いと思う。このような人員的・時間的余裕がない中小企業が、効率的に社員の多能化を実現するには、創意と工夫が不可欠だ。例えば、さほどの時間と費用をかけずに社員の多能化を実現する方法としておススメの方法は「動画の活用」である。特定の仕事や業務を新人に教えている風景を動画に収めて、教育教材として活用すると、教育にかかる時間を相当短縮できる。しかも、一度、動画教材を作成してしまえば、半永久的に活用できるので、多能化教育の生産性を大幅に改善することができる。動画による作業マニュアル等は紙面よりリアリティーがあり再現性に富んでいるので、教育教材として活用すると教育現場の効率(生産性)がみるみる上がる。また、教え方のマニュアルにもなるので、教える側の教材としても活用できる。人員が限られている中小企業ほど社員の多能化メリットが高いので、動画を活用した教育環境の整備を積極的に進めてほしい。伊藤のワンポイントそつなく仕事をこなす多能人財と専門性の高い人財の融合が組織の生産性を上げる秘訣です。組織や肩書を超えたフラットな体制と何でも言い合える風通しの良さが社員の多能化を推進し、社員の専門性(見識)を育みます。社員の多能化は教育方法の工夫次第で効率化できますので、是非、取り組んでください。
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  • 社員の責任感を高めて生産性を改善する方法|責任ある行動が生産性を高める
    社員の責任感を高めて生産性を改善する方法|責任ある行動が生産性を高める社員の責任感が高まると、自ずと会社の生産性も上がる。なぜなら、社員の責任感が高まると、生産性の足を引っ張る社員が少なくなり、生産性を上げるために自ら考えて働く社員が増えるからだ。第35代アメリカ合衆国大統領に就任したジョン・F・ケネディの演説の中に「国家があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国家に何ができるか考えよう」という有名なセリフがある。新しい国家を築くうえで、このセリフに対する国民の賛同ほど心強いものはないが、会社経営も同じだ。会社に対する社員の責任感が高まれば、自ずと、自らの責任で考えて、行動する組織に変貌し、「会社が社員に何をしてくれるかではなく、社員が会社に何ができるか考えよう」という土壌が生まれる。社員の責任感を高めて生産性を改善する方法は、さほど難しくない。社員の経営参加を推進すると、自ずと責任感が高まり、社員の働きが生産性の高いものになる。例えば、週一ミーティングで「経営理念の具現化度」、「会社の数字の理解度」、「顧客の声の活用度」、「現場の声の活用度」といった4つのテーマを週替わりで協議(共有)させるだけで、社員の経営参加の意識が格段に上がる。わずか4つのテーマではあるが、協議(共有)が深まるほど、会社の現状や置かれている立場、やるべき事、目指すべき事が明確になるので、社員が自らの責任で考えて働くようになり、時間の経過とともに、生産性の高い組織に生まれ変わる。この方法は、会社の生産性を上げるだけでなく、社員教育や人材育成の効果もあるので、是非、実践してほしい。社員の責任感を高めて生産性を上げる仕組み社員の責任感を高めて生産性を上げる仕組みは、徹底した経営参加の推進にあるが、他にも優れた仕組みがある。例えば、「目標の設定・失敗の共有・情報の共有」などは、社員の責任感を高めて会社の生産性を上げる優れた仕組みになる。目標の設定は社員の責任感を高め生産性を改善するための必須条件である。なぜなら、目標のない行き当たりバッタリの行動は、生産性を著しく低下させるからだ。目標設定は数値と期日が絶対条件で、高い目標、なお且つ、利益に直結した目標を掲げると生産性向上に大きく貢献する。失敗の共有も、社員の責任感を高めるので、生産性改善に役立つ。例えば、失敗した社員ひとりに責任を押し付けるのではなく、失敗を組織全体で受け止め、なお且つ、失敗を組織全体で共有し、失敗防止に組織全体で取り組む姿勢は、間違いなく生産性を上げる。情報の共有も社員の責任感を高め生産性を上げるための必須条件だ。なぜなら、然るべき情報が手元に無ければ、正しい判断など出来ないからだ。共有する情報は、売上や利益といった会社の数字、ミスやクレーム、目標など、社員の行動原理を明快にする情報を沢山与えるほど、生産性が上がる。伊藤のワンポイント責任ある仕事と責任の欠片もない仕事、どちらが生産性の高い仕事かは言うまでもありません。責任感のある仕事は生産性を高めるだけでなく組織全体にもプラスの影響を及ぼします。社員の経営参加と目標や情報の共有を推進することが責任ある仕事を醸成する秘訣であり、人材育成の秘訣です。
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  • コストを削減して生産性を向上させる方法|コストカットによる生産性改善
    コストを削減して生産性を向上させる方法|コストカットによる生産性改善生産性向上の目的は、少ないコストで大きな利益を獲得する経営基盤の確立にある。従って、コスト削減は生産性向上に欠かせない活動になる。また、会社経営はライバルよりも低コストで商品やサービスを提供することで企業の永続性が保たれるので、コスト削減に終わりはない。しかし、闇雲なコスト削減は生産性の悪化リスクを高め、場合によっては、企業の寿命を縮めることもあり得る。例えば、人員を縮小する安易なリストラ(人件費削減)は、生産性の悪化リスクが極めて高いので、できれば避けた方が良い。人員を縮小するのではなく、社員の能力とヤル気を引き上げ、適材適所を図り、組織の最適化を絶えず推進することが生産性向上の成功条件であり、強いては、人件費削減の正攻法になる。また、作業効率を工夫し、労働時間を削減する、或いは、作業人員を削減する等の方法も、生産性向上に役立ち、リストラせずとも人件費が削減できる有効な方法になる。更に、時短社員やシニア社員の積極活用だけでなく、日本人と同じ待遇で迎える外国人労働者の活用も生産性向上に欠かせない取り組みなる。何れにせよ、大半の企業の最大コストは人件費なので、如何にして人件費を抑えながら、高い生産性を発揮できる組織体制を確立するか否かが、生産性向上の重要ポイントになる。【関連記事】社員のリストラは最悪の方法|社員に感謝し大切にする会社が発展する生産性を向上させるコスト削減のアップローチ生産性を向上させるコスト削減のアプローチは無限にある。なぜなら、技術革新や進化、或いは、社会インフラの向上に伴い、絶えずコスト削減の余地が生まれるからだ。ビジネスの世界は日進月歩なので、生産性を向上させるためのコスト削減は無限に広がり、どんな会社、どんな業種であっても、生産性を向上させるコスト削減のチャンスは転がっている。こうしたチャンスを活かすには、客観的に現状を分析し、躊躇なく最新の技術やノウハウを吸収するチャレンジ精神が不可欠になるが、最も大切なことは、思考を停止させないことだ。昔からのやり方だから「変わらない」、「変えられない」と思っている内は、コスト削減のチャンスに逃げられる。思考を停止させることなく「変えられる」、「変えてやろう」と思い続けることが、チャンスを掴む秘訣であり、生産性を向上させるコスト削減を推進する原動力になる。また、ライバルよりも低コスト且つ高い生産性の商品やサービスを提供し続けるには、目の前のビジネスに全力で取り組み、事業の付加価値を研鑽し、顧客の幸せを叶え続けることが欠かせない。それらを成し遂げるための絶対条件は、経営健全化、業務効率化、成長戦略の展開にあり、伊藤が経営サポートしている企業は、これらの取り組みを日常的に行っている。
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  • 選択と集中で生産性を高める方法|選択と集中は多角化や経営効率を最適化する
    選択と集中で生産性を高める方法|選択と集中は多角化や経営効率を最適化する選択と集中とは、企業にとって中核となり得る事業を選択し、その事業に経営資源を集中する経営戦略のことである。選択と集中の戦略は、経営マネジメントの発明者であるピータードラッカー氏が考案し、ドラッカーのコンサル先であったGE社のジャック・ウェルチ氏が実践し、成果を上げたことで広く定着した。この記事では、選択と集中で生産性を飛躍的に高める方法について、詳しく解説する。選択と集中とは選択と集中とは、企業にとって中核となり得る事業を選択し、その事業に経営資源を集中する経営戦略のことである。選択と集中は、狭義的には多角化事業の最適化、広義的には、事業活動の生産性改善を推進する経営戦略になる。例えば、多角化事業の最適化を推進する選択と集中は、GE社のジャック・ウェルチ氏が実践したことで有名になった。ウェルチ氏は「世界で1位か2位の事業だけに集中する」ことで、中核事業の発展や多角化事業の最適化を成し遂げて、企業成長を強力にけん引した。この実績が全世界の経営者に広まり、現在では、中核事業の育成や多角化事業の最適化だけでなく、あらゆる分野の事業活動の生産性改善を推進する経営戦略として定着している。選択と集中の基本戦略選択と集中の基本戦略は、選択の基準が重要になる。選択の基準は、市場シェア1位と2位だけでなく、ニッチ市場やニッチ分野、パレートの法則に従った上位2割、未来の成長分野や成長企業、など等、様々ある。選択さえ正しくできれば、あとは経営資源を集中させるだけなので、この選択の基準と選択の見極めが、その後の成果を大きく左右する。当然ながら、選択の基準が曖昧で、選択の見極めに失敗すれば、選択の集中がきっかけで、会社が衰退することもあり得る。自社の経営環境を鑑みて、しっかり状況を分析し、正しく選択した上で、経営資源を集中させることが、この戦略の肝といって過言ではない。選択と集中で経営効率を上げる方法選択と集中は拡大経営を後押しするだけでなく、会社の生産性(経営効率)を上げる戦略としても有効である。選択と集中の戦略を展開し、会社の収益力・事業価値・仕事の効率を上げる具体的方法について、詳しく解説する。中小企業に適した方法を紹介しているので、是非とも実践してみてほしい。選択と集中で収益力UP選択と集中で収益力を上げる場合は、選択の基準を「パレートの法則に従った上位2割」におくと良い。パレートの法則は、20:80の法則とも云われ、全体の8割の収益は2割の顧客が生み出しているという理論である。具体的には、売上貢献度と利益貢献度の高い上位2割の顧客を重点営業先として選択し、その顧客に営業を集中することで、収益力を高めることができる。また、ニッチトップを目指すための選択と集中、或いは、今は小さな取引であっても未来の成長分野や成長著しい企業を重点営業先として選択し、集中的に営業攻勢をかける戦略も有効だ。【関連記事】パレートの法則と売上ABC分析方法選択と集中で事業価値UP選択と集中で事業価値をUPする場合は、収益力UPと同様にパレートの法則を活用するのが良い。具体的には、付加価値の高い上位2割の顧客・商品・事業に経営資源を集中しながら、事業全体の足を引っぱっている下位2割の顧客・商品・事業を集中的に改善する戦略を展開することで事業価値を高めることができる。下位2割の顧客・商品・事業には、赤字収支が紛れ込んでいることが多いので、こうした赤字収支を徹底的に排除することが事業の付加価値を高める選択と集中の肝になる。選択と集中で仕事の効率UP選択と集中で仕事の効率をUPする場合は、選択の基準を「重要度1位と2位の仕事」、或いは、「重要度の高い2割の仕事」におくとよい。中小企業の場合は、社長の時間や人員が限られているため、重要な仕事と重要ではない仕事を分別して、なるべく重要な仕事に集中した方が仕事の効率が上がる。事実、できる社長ほど、重要ではない仕事を手放すのが上手で、仕事の選択と集中を日常業務として定着させている。限られた時間の中で大きな成果を出すために、もっとも重要な仕事から取り掛かる習慣が、仕事の生産性を高めるのだ。
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  • 数字を活用して事業を拡大する方法|数字なくして事業の拡大なし
    数字を活用して事業を拡大する方法|数字なくして事業の拡大なし数字の活用は、事業拡大に欠かせない。なぜなら、数字ほど事業の状況を正確かつ客観的に捉える道具はないからだ。この記事では、数字を活用して事業を拡大する方法について、詳しく解説する。数字の活用なくして事業の拡大なし事業拡大の成功は、数字の活用で決まる。事業活動の結果は全て数字に表れるので、事業拡大のプロセスを数字で管理しなければ、事業拡大の方法、或いは、事業拡大の戦略の正否を確かめる術が無くなる。つまり、数字の活用なくして、事業拡大を成功に導くことはできないと言っても過言ではないのだ。事業拡大を後押しする数字の活用方法は沢山あるが、例えば、次のような数字の活用方法は事業拡大に大いに役立つ。数字の活用例☑経営者と社員が同じ数字を共有する☑事業拡大の計画と目標に、必ず数字を加える☑事業拡大活動の結果の検証に、必ず数字を使う☑BSやPLの数字を分析し、事業拡大活動の正否を判定する☑アプロ―チ件数と成約件数を数値化し、アプローチ手段の効果を判定する☑営業訪問回数や時間と営業成約件数の相関関係を検証し、営業効果を最大化する☑電話対応の時間を測定し、短縮改善の時間目標を設定する。或いは、電話対応の満足度評価を数値化し、対応品質の改善目標を設定する以上のような数字の活用方法は、事業活動の精度を高め、事業拡大の成功率を飛躍的に高める。事業拡大のプロセスや未来予測は数字で説明・検証できる。数字を意識し、数字の背景を理解し、数字を予測する姿勢が、事業活動の精度を高め、結果として、事業拡大のスピードを速めてくれるのだ。事業拡大の必須ツール事業拡大に数字の活用が欠かせないが、なかでも管理会計は必須ツールになる。管理会計とは、会社の数字を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法のことだ。管理会計は、自分の会社の数字を使い、自分の会社の事業活動の成果を高めるための会計手法なので、どんな会社にも当てはまる公平性の高い公式や数式がメインの財務分析とは似て非なるものになる。事業拡大のために、どの数字を拾い、どの数字の背景を理解し、どの数字を目標とすべきか、など等、経営者の数字力のみならず、創造性も求められるのが管理会計の本質であり、管理会計の運用が事業拡大を後押しする。事業拡大は管理会計の精度で決まる管理会計は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので運用は簡単だ。例えば、売上成長率や営業利益率の現状分析や目標設定も管理会計の範疇に入り、管理会計の運用精度が高まるほど、事業拡大の成功率が上がる。事実、好調企業ほど管理会計の運用精度が高く、不調企業ほど管理会計の運用精度が悪い。(中小企業の管理会計未導入率80%と中小企業の赤字経営率70%は概ね相関が取れている)経済環境は加速度的に多様化しているので、経験と勘に頼った行き当たりバッタリの経営では、どこかで事業拡大の限界が訪れる。資本力に乏しい中小企業ほど、たった一つの経営判断のミスが致命傷になるので、数字という正しい根拠情報なくして事業拡大は不可能といっても過言ではない。伊藤のワンポイント事業活動の結果は全て数字に表れます。数字は、次の一歩の手がかり、目指すべき座標、迷った時の羅針盤、ミスを感知する警報など等、事業拡大を支える重要な役割を担っています。ですから、数字を無視した事業運営に成功はなく、拡大しないだけならまだしも、大概は衰退します。
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  • 目標を掲げて事業を拡大する方法|目標なくして事業の拡大なし
    目標を掲げて事業を拡大する方法|目標なくして事業の拡大なし事業を拡大するうえで、目標は絶対不可欠な要素である。なぜなら、目標がなければ、事業拡大のために何をすべきかが曖昧になり、事業拡大に関わる全ての活動が行き当たりバッタリになるからだ。この記事では、目標を掲げて事業を拡大する方法について、詳しく解説する。目標なくして事業の拡大なし目標を掲げて、現実と目標のギャップを捉ることができれば、目標達成に向けた活動が効率化され、事業拡大のスピードが加速する。つまり、目標は、事業拡大に絶対不可欠な要素になる。事業の拡大スピードを加速する目標設定の方法は「目標を立てる」、「目標を細分化する」、「目標達成の計画と実行を同時に進める」の3つのステップが重要になる。それぞれの方法とステップについて、詳しく解説する。目標を立てる事業を拡大するうえでの最初のステップは「目標を立てる」ことだ。目標は中小企業であっても大きく掲げ、できれば特定地域や特定のカテゴリーでナンバーワン(或いはオンリーワン)を目指す目標を設定すると良い。目標には数字と期日(2年以内)を掲げ、目標必達の執念を持つことも忘れてはならない。目標を細分化する事業を拡大するうえでの次なるステップは「目標を細分化」することだ。例えば、月単位や週単位、更には、日単位にまで目標を細分化すると、目標達成のための実行プランがより具体的に仕上がる。当然ながら、目標が細分化されるほど、事業の拡大スピードが加速する。目標達成の計画と実行を同時に進める事業を拡大するうえでの最後のステップは「目標達成の計画と実行を同時に進める」することだ。ライバル企業に負けないスピードで事業を拡大するには、計画作りもさることながら、いかに素早く実行に移行するかが重要になる。また、目標達成のための実行プランはひとつに固執するのではなく、複数プランを同時進行させた方が、事業拡大のスピードが一段と加速する。なぜ、目標設定が事業拡大を加速させるのか?なぜ、目標設定が事業拡大を加速させるのか?その答えは簡単である。目標を設定すれば、現状と目標のギャップが浮き彫りになり、やるべきことが明確になるからだ。また、明確な目標は組織の力を一点に集中させる効果があるので、事業拡大のスピードを加速する効果もある。前章で解説した目標設定3つのステップに則り事業活動を推進すれば、目標から逸脱した活動が少なくなり、事業拡大の道筋が必ず見えてくる。事業拡大の成功は目標の進捗・検証が肝になる事業拡大の成功は目標の進捗・検証が肝になるので、事業拡大のための活動結果を、絶えず検証することを忘れてはならない。なぜなら、活動の正否を正すことなく闇雲に動いていては、事業が拡大するどころか、衰退まっしぐらということもあり得るからだ。計画を実行し、結果を検証して計画を修正し、また実行する、このサイクルが速いほど活動の精度が増し、事業拡大のスピードが加速する。業績拡大にとん挫し、業績の伸び悩みに苦しんでいる中小企業は少なくないが、大概は目標がないか、目標達成の活動検証が不十分かのどちらかである。事業拡大のための目標設定が出来ているか否か、事業拡大のための活動結果を十分検証しているか否か、一度、点検してみてほしい。伊藤のワンポイント目標は事業拡大に不可欠です。なぜなら、物事の成果は目標に対して動くことで初めて生まれるからです。目標は行動を明快にし、組織の力を最大化する効果があります。目標に期日を設けて、果敢にチャレンジする姿勢が事業拡大のスピードを加速します。また、目標達成のための活動の検証を絶対に忘れないでください。
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  • 超速PDCAで事業を拡大する方法|事業を拡大する効果的PDCA活用法
    超速PDCAで事業を拡大する方法|事業を拡大する効果的PDCA活用法PDCAサイクルは、事業拡大の推進に欠かせないツールだ。なぜなら、PDCAサイクルは、効率的かつ効果的な事業活動を実現し、事業拡大のスピードを一段と加速させるからだ。この記事では、超速PDCAサイクルで事業を拡大する方法について、詳しく解説する。PDCAサイクルは事業拡大の正攻法PDCAサイクルは、Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Act(改善)の4段階で構成されている。PDCAの順でサイクルを回転させることで、効率的かつ継続的に業績を改善することができるが、PDCAサイクルの実践は事業拡大の正攻法になる。例えば、Plan(計画)がなければ、行き当たりバッタリの事業活動に陥り、業績拡大が遅々として進まなくなる。Do(実行)がなければ、事業拡大はおろか、良くて現状維持、普通は衰退する一方になる。Check(評価)がなければ、計画と実行の正否を判定する機会が失われ、誤った経営戦略や事業活動を修正することが出来なくなる。Act(改善)がなければ、評価の意味がなくなり、事業拡大に向けたPDCAサイクルの精度や効果が一向に上がらなくなる。つまり、PDCAサイクルなくして、事業拡大は不可能といって過言ではなく、むしろ、会社の衰退リスクが高まる一方になるのだ。また、PDCAサイクルは、どこかひとつの要素の精度が落ちると、全体の精度が一緒に落ちるので、常に全体の精度を最適化する努力が欠かせない。PDCAサイクルは事業拡大の出発点になるが、PDCAサイクルの本質を理解し、正しく運用できている中小企業は決して多くない。事業拡大を始める前に、まずは現状のPDCAサイクルの精度と運用方法が正しいか否か、点検してみてほしい。事業を拡大する基本のPDCAサイクル事業を拡大するためにはPDCAサイクルの本質を理解し、高い精度で、正しく運用することが欠かせない。そして、PDCAサイクルの精度を高め、なお且つ、PDCAサイクルの回転を速めると、事業拡大のスピードは間違いなく加速する。超速PDCAサイクルで事業を拡大する方法を紹介する前に、まずは基本のPDCAサイクルをおさらいする。例えば、営業成績を上げるための基本的なPDCAサイクルは下記の通りになる。①Plan(計画):重点営業商品をひとつ選び、ひと月単位の営業計画を立てる②Do(実行):計画に基づいて営業を展開する③Check(評価):ひと月単位で実行の結果を検証する④Act(改善):結果の良し悪しを分析し、より良い営業計画に改善する以上の要領で基本のPDCAサイクルを回せば、自ずと効果的かつ効率的な営業展開が実現でき、事業拡大の道筋が見えてくる。超速PDCAサイクルで事業拡大を加速する基本のPDCAサイクルに、ひと工夫加えると、超速PDCAサイクルが実現でき、事業拡大のスピードが一段と加速する。それぞれの要素ごとに、事業拡大のポイントを詳しく解説する。Plan(計画)重点営業商品は複数選び、営業計画はひと月単位だけでなく、一週間、或いは、一日単位の計画も作る。計画が細分化されることで超速PDCAサイクルが回り、事業拡大のスピードが一段と加速する。Do(実行)ひと月単位ではなく一日単位の計画を意識すると、効率と効果を考えて実行するようになるので、超速PDCAサイクルが回り事業拡大のスピードが一段と加速する。Check(評価)ひと月単位ではなく一日単位で結果を検証すると、計画と実行の正否を毎日正すことができる。PDCAサイクルの精度が高まると共に、超速PDCAサイクルが回り事業拡大のスピードが一段と加速する。Act(改善)結果の良し悪しを毎日改善するとPDCAサイクルの精度が毎日高まる。重点商品が絞り込まれ、営業活動もそこに集中していくので、結果として、超速PDCAサイクルが回り事業拡大のスピードが一段と加速する。伊藤のワンポイントPDCAサイクルは経営マネジメントの基本です。従って、PDCAサイクルの定着度が上がるほど、事業拡大のスピードが加速します。PDCAサイクルは完璧を求めると挫折するので、5割でも達成できれば良しとして、兎に角、定着させることを優先して下さい。一度、PDCAサイクルが定着すると経営効率がグッと上がります。
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  • 失敗を源泉に事業を拡大する方法|失敗なくして事業の拡大なし
    失敗を源泉に事業を拡大する方法|失敗なくして事業の拡大なし超速で事業を拡大するには、たくさんの失敗の積み重ねが欠かせない。なぜなら、たくさんの失敗を積み重ねるほど、事業拡大の方法が最善化されるからだ。この記事では、失敗を源泉に事業を拡大する方法について、詳しく解説する。失敗が事業拡大の源泉になる失敗は事業拡大の源泉になる。失敗は必然の結果なので、何事も失敗のふるいにかければ、最善の方法(成功の道筋)が明らかになり、成功の確率が格段に上がる。経営者が事業拡大の意欲を無くすと、会社はいとも簡単に衰退するので、失敗を恐れて立ち止まることは死を待つことを意味する。つまり、新たな挑戦と失敗の積み重ねなくして、事業の拡大などあり得ない。但し、闇雲な挑戦は大きな失敗を生み出すだけなので、綿密な計画や実行プラン、或いは、精密な検証作業を定着させて、失敗を小さく収める工夫は必要だ。適正な成長投資の範囲内で多くの挑戦と小さな失敗を積み重ねることが、超速、且つ、ローリスクハイリターンで事業を拡大する賢い方法になる。失敗を源泉に事業拡大した世界的企業失敗を源泉にして事業拡大を推進している世界的企業を紹介する。例えば、世界的企業であるグーグルやユニクロなどは、多くの失敗を積み重ねて、超速で事業を拡大している。超速で事業を拡大しているグーグルの例世界的企業のグーグルの経営信条は「早く失敗しろ」だが、これは常に新しいことにチャレンジし、数多くの失敗をスピーディーに積み重ねて、世界に一つだけの成功の方法を誰よりも早く見つけて事業を超速で拡大しろ、という経営者の意志が表れている。超速で事業を拡大しているユニクロの例ユニクロを世界的企業に成長させた創業者である柳井氏は「成功は一日で捨て去れ」と言っているが、これは、成功に完成形はなく、失敗しながら、より大きな成功を求める、という経営者の飽くなき拡大志向が表れている。超速で事業を拡大する賢い失敗方法とは?超速で事業を拡大するためには小さな失敗の積み重ねが必要だが、失敗にも良し悪しがある。例えば、事業衰退のきっかけを作るような大きな失敗は避けなければならないし、なるべくなら、事業拡大の最善の方法を導き出すための小さな失敗に限定した方が効率的だ。事業拡大のスピードを加速する賢い失敗を実現するには、次の3つのポイントが大切になる。ひとつは「小さな予算で沢山の方法を試す」、ふたつ目は「同時に複数の方法を試す」、三つ目は「結果検証の精度を上げる」だ。超速で事業を拡大する賢い失敗方法について、それぞれのポイントを詳しく解説する。小さな予算で沢山の方法を試す最善の方法を見つける前に、ひとつの方法に予算を全額つぎ込んだ場合、事業拡大の確率は0(ゼロ)か100である。万が一失敗した場合は、次の機会を待つ羽目になり、事業拡大が遠のいてしまう。それであれば、予算の一割で複数の方法を試し、最善の方法を明確にした後に、その最善の方法に残り全額の予算をつぎ込んだ方が事業拡大の成功確率が格段に高くなる。同時の複数の方法を試す事業拡大の方法は、ひとつを試して結果を検証して新たな方法を探り、また別の方法を試す、というように、ひとつの方法に固執していると、時間ばかりがかかり、成功が遠のいてしまう。複数の方法を同時に試して、短期間で失敗を見極めながら最善の方法を明らかにした方が事業拡大のスピードが加速する。当然ながら、二者択一のABテストよりも、選択肢の多い五者択一のABCDEテストの方が、最善の方法にたどり着くスピードが早まる。結果検証の精度を上げる成功か失敗かを正しく判定するには、高い精度の検証スキルと分析スキルを身につけなければならない。当たり前だが、経営者の勘だけに頼って成功と失敗を判断していると、何が最善の方法か分からなくなり、事業拡大の活動自体が迷走してしまう。事業活動に成功している企業ほど検証精度が高い。伊藤のワンポイント失敗は必然の産物です。従って、沢山の失敗体験は成功の必然性を高める燃料になります。注意すべきは、なるべく小さな失敗に留める努力を怠らない事と、早く、賢く、沢山の失敗体験を積み重ねる事、そして、失敗を成功に活用すべく分析作業を怠らないことです。そうした過程を経て、ようやく、失敗が成功の元となるのです。
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  • 検証の精度を高めて事業を拡大する方法|検証なくして事業の拡大なし
    検証の精度を高めて事業を拡大する方法|検証なくして事業の拡大なし事業を拡大するうえで、計画や実行と共に重要になるのが検証の精度だ。なぜなら、検証の精度が低ければ、事業拡大の計画と実行の誤りを、正すことができないからだ。この記事では、検証の精度を高めて事業を拡大する方法について、詳しく解説する。検証なくして事業の拡大なし事業活動の検証なくして、事業拡大はあり得ない。なぜなら、未来を100%当てることができない以上、全ての決断、強いては、事業活動には想定外の失敗リスクがついて回るからだ。当たり前だが、事業拡大の活動結果を一切検証せず、計画や実行の成否を正すことなく突き進むと、会社はいとも簡単に衰退する。事業拡大の活動結果と検証作業はセットで運用することが大切で、検証精度が高まるほど、事業拡大の方法なり戦略の精度が上がる。また、確かな検証作業が定着すると、事業拡大の活動が絶えず最善化されるので、自ずと事業拡大のスピードが加速する。事業拡大の活動の検証精度を高めるポイント事業拡大の成功と失敗は、検証の精度が握っているといっても過言ではないが、事業拡大の活動の検証精度を上げるには、最低限、次の3つのポイントを抑える必要がある。ひとつは「数字を使うこと」、ふたつ目は「利益を見ること」、三つ目は「分析手法を知ること」だ。それぞれのポイントについて、さらに詳しく解説する。数字を使う数字ほど、状況を正確かつ客観的に捉える道具はない。例えば、今日の売上がいくらで、なぜその金額なのか、どうすればその売上を上げることが出来るのか、という状況分析と改善提案はすべて数字で説明することができる。そして、数字の積み重ねが多いほど、検証の精度が増し、事業拡大の方向性が確かなものになる。利益を見る利益なくして、事業は成り立たない。従って、事業拡大の活動結果は常に利益を注視することが大切になる。直ちに利益が出ない場合は、何年後に利益が出るのか、或いは、何年後に利益が回収できるのか、という先行きの利益も注視することが大切で、会社の衰退は、大概は利益を見落とすところから始まる。分析手法を知る数字や利益といったデータの羅列から確かな検証結果を導き出すには、管理会計などの分析手法を活用しなければならない。なぜなら、事業拡大の活動結果である数字や利益の背景に何があるのか、その背景から予測できる数字や利益はどのようなものなのかを分析しなければ、検証精度が上がらないからだ。分析手法の中でも、会社の数字を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法である管理会計は必須ツールといって過言ではない。事業拡大の活動の検証精度を高める管理会計管理会計とは、会社の数字を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法である。管理会計は、運用次第で事業拡大の成功と失敗が決まるといってよいほど、検証精度に大きな影響を及ぼす。事業拡大に役立つ管理会計の分析手法は様々あるが、実践的な手法をいくつか紹介する。適正な利益率と目標水準適正な利益率と目標水準は「売上総利益高営業利益率」でコントロールするのが良い。売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率のことで全業種共通で使える。計算式は「(営業利益÷売上総利益)×100」で、標準水準は10%、優良水準は20%になる。適正な利益率をキープしつつ、売上拡大を図ることが、安定的な事業拡大の秘訣になる。適正な経費率と目標水準適正な経費率と目標水準は「売上総利益高経費率」でコントロールするのが良い。売上総利益高経費率は、売上総利益に占める経費(販管費)の構成比率のことで全業種共通で使える。計算式は「(営業利益÷経費)×100」で、標準水準は90%、優良水準は80%になる。適正な経費率をキープしつつ、経費削減を図ることが、安定的な事業拡大の秘訣になる。ABC分析ABC分析とは、20:80の法則(パレートの法則)を用いた分析手法だ。経営資源の効率化に欠かせない実践的分析手法で、事業拡大の活動を最適化(最善化)する効果がある。詳しくは「中小企業の売上ABC分析方法」の記事で解説しているので参考にしてほしい。投資回収基準中小企業の投資回収期間の適正水準は2年以内、できれば1年以内がベストである。投資回収期間の計算方法は、投資総額を投資対象事業の年間予測収益で割ることで計算できる。例えば、投資総額が100万円で年間予測収益が50万円であれば、100万円÷50万円=2年が、投資回収期間ということになる。事業撤退基準中小企業の事業撤退は「貢献利益が赤字で黒字化の見込みがない」段階をひとつの基準にすると良い。貢献利益とは、会社全体への貢献度を示す利益のことで、対象事業の売上総利益から直接経費を引くことで計算できる。貢献利益が多ければ貢献度が高く、貢献利益が赤字(マイナス)であれば、会社の足を引っ張っている事業ということになる。「見切千両」という言葉がある通り、事業撤退は経営者の専権事項として躊躇なく決断することが大切だ。伊藤のワンポイント事業拡大において検証ほど重要な作業はありません。検証なくして事業拡大の成功はあり得ないといっても過言ではなく、検証精度の良し悪しで、事業の行く末が決まります。検証精度を上げるために最低限必要なスキルは管理会計です。管理会計を導入・運用するだけで、事業拡大の成功率は飛躍的に高まります。
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  • 社員の思考力を高めて事業を拡大する方法|事業拡大の思考力を身につける方法
    社員の思考力を高めて事業を拡大する方法|事業拡大の思考力を身につける方法事業は社員の働きの連続で拡大するので、社員の仕事の質を高めれば自ずと事業も拡大する。社員の仕事の質を高めるには、社員の思考力を高めることが欠かせない。なぜなら、社員の思考力が高まれば、指示待ち集団から、自らが考えて働く集団に変貌するからだ。当然ながら、社員の自主性と仕事の質が高まれば、事業拡大のスピードは一段と加速する。超速で事業を拡大するために社員の思考力を高める最も優れた方法は、情報を共有することである。例えば、経営理念を共有すると組織の行動原理が明快になるので、生産性が飛躍的に上がり事業拡大のスピードが加速する。経営目標を共有すると、組織の力が1点に集中するので、組織の生産性が上がり、事業拡大のスピードが加速する。会社の数字を共有すると、数字への責任感が高まりムダとムラがなくなるので、利益が拡大し、事業拡大のスピードが加速する。ミスやクレームを共有すると、同じ過ちがなくなり、顧客満足度が高まるので、売上増加と共に事業拡大のスピードが加速する。このように、「経営理念・経営目標・会社の数字・ミスやクレーム」など等、事業拡大に役立つ情報を共有するほど、社員の思考力が高まり、事業拡大のスピードが加速する。業績が悪化する中小企業ほど、経営者や一部の社員だけが情報を独占しているケースが多いが、情報は共有してこそ初めて事業拡大に役立つ。事業拡大を支える思考力を作る方法事業拡大を支える思考力を上げる方法は、前章で解説した「経営理念・経営目標・会社の数字・ミスやクレーム」など等の情報を共有することが効果的だが、このほかにもお薦めの方法がある。それは、情報の収集方法と社員の教育方法だ。例えば、情報の収集方法に落ち度があれば、優れた情報を共有することが出来ないため、社員の思考力が一向に高まらず、事業拡大のスピードが鈍化する。或いは、社員の思考力を高めるための教育方法に落ち度があれば、共有した情報が活かされず、事業拡大のスピードが鈍化する。社員の思考力を高め、事業拡大のスピードを加速するには、正しい「情報の収集方法」と「社員の教育方法」のポイントを抑える必要がある。それぞれのポイントについて詳しく解説する。事業拡大に役立つ「情報の収集方法」優れた情報は現場にある。そして、現場の情報を吸い上げるには、経営者自らが現場スタッフに語りかけ、自らの力で情報収集する努力が欠かせない。現場からの報告を待っているようでは、良質な情報は決して集まらない。例えば、ミスやクレームといったマイナス情報などは、まずもって上がってこない。情報収集の精度は経営者の姿勢ひとつで決まる。つまり、事業拡大のスピードは経営者の姿勢ひとつで決まるのだ。事業拡大に役立つ「社員の教育方法」社員教育は自社の情報教育を最優先すると、業績拡大を後押しする思考力が短期間で身につく。例えば、週一ミーティングで「経営理念の具現化レベル」、「会社の数字の理解度」、「顧客や現場の声の活用度」、「ミスやクレームの実情と対策の共有度」といった4つのテーマを週替わりで協議させるだけで、十分な社員教育の効果を得ることができる。わずか4つのテーマであっても、協議が深まるほど、会社の業績や置かれている立場、やるべき事や目指すべきことの理解が深まるので、社員の思考力と共に事業拡大のスピードが上がる。伊藤のワンポイント事業は人なりと云いますが、本当にその通りで、経営者と社員の力量次第で事業規模が決まります。経営者が能力研鑚に努めることは絶対条件になりますが、やはり、社員の思考力を高める努力も不可欠です。社員教育ほど骨の折れる仕事はありませんが、できる限り、情報の共有と収集、そして、社員教育を推進して下さい。
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  • 成功ノウハウを仕入れて事業を拡大する方法|事業を拡大するノウハウの取り込み方
    成功ノウハウを仕入れて事業を拡大する方法|事業を拡大するノウハウの取り込み方事業を拡大するには、自社にマッチした成功ノウハウを構築する必要がある。その成功ノウハウを構築する方法は二通りある。「自分で築くか」、「他者の力を借りて築くか」である。事業拡大のスピードが速いのは、後者の他者の力を借りて成功ノウハウを構築する方法で、お金で成功ノウハウと時間を買うM&Aなどは、その典型になる。自分ひとりの力でできることは、たかが知れているが、他者の力を借りてできることは無限大である。例えば、事業を拡大するうえで必要な知識や情報を得るために、意固地に独学に頼っている経営者と他者の知恵を積極的に取り入れている経営者を比べた場合、どちらが事業拡大のスピードが速いかは明白だろう。或いは、事業を拡大するうえで必要な知識がないからといって、その知識が身につくまで時を待っていれば、事業拡大のチャンスが無くなってしまう。事業拡大は、他者の力を借りながら実行した方が、何倍も効率が良く、成功確率も飛躍的に高まるのだ。また、事業拡大の目標が高いほど、他者(専門家)のサポートが不可欠になる。例えば、全くの素人が世界最高峰のエベレスト登頂にアタックする場合、プロガイドのサポートがなければ成功確率はほぼゼロだが、プロガイドのサポートがあれば成功確率が上がる。会社経営も同じで、他者の力を借りて如何に完成度の高い成功ノウハウを築けるか否かで、事業拡大の成功確率が決まる。成功ノウハウ構築と事業拡大の失敗パターン中小企業において、他者の力を活用することなく事業拡大にチャレンジした結果、比較的短期間で失敗に終わるケースは決して珍しくない。事実、業績悪化や業績の伸び悩みに陥ってる中小企業ほど、他者の受け入れに抵抗感を持ち、他者が持っている成功ノウハウを十分に活用できていないケースが多い。繰り返すが、自分ひとりの力でできることは、たかが知れているが、他者の力を借りてできることは無限大だ。他者を拒む理由は難しくなく、大概は、経営者のプライドと変化を恐れる気持ちのふたつに集約される。事業拡大の障害になり得る他者を拒む理由について、さらに詳しく解説する。経営者のプライドが事業拡大を阻んでいる成功している経営者ほど他者から事業拡大のノウハウを仕入れることに抵抗がなく、年齢の上下やプライド関係なしに積極的に情報と知識を集めている。一方、プライドの高い経営者は、他者に頼ることを嫌い、独学に頼る傾向が強い。独学最大欠点は、時間がかかることと、自分の誤りに気が付かない事で、場合によっては事業拡大の行動が、大きな失敗を招くこともあり得る。変化を恐れる気持ちが事業拡大を阻んでいるストレスフリーの変化のない平々凡々な日々は快適かも知れないが、事業を拡大するには進んで変化を受け入れる覚悟が不可欠だ。なぜなら、経営環境は日々刻々と変化しているからだ。周囲が変わっているのに、不変を固持するのは、失敗リスクを引き上げるだけである。他者や変化を受け入れる経営者の覚悟は、間違いなく事業拡大を後押しする。伊藤のワンポイント事業拡大にプライドは全く役立ちません。プライドを捨てて、ストレス覚悟で変化を進んで受け入れる姿勢なくして、新たな成功ノウハウと巡り合うことはできず、事業拡大のスピードも上がりません。成功している経営者ほどプライドがなく、変化を楽しんでいますが、そうした姿勢が事業拡大を加速させるのです。
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  • 顧客創造の実践ノウハウ|顧客創造の意味から成功事例まで徹底解説
    顧客創造の実践ノウハウ|顧客創造の意味から成功事例まで徹底解説企業の成長は顧客の創造で決まる。なぜなら、新たな顧客なくして売上の拡大はなく、顧客創造のない未来に、企業の成長発展はないからだ。この記事では、顧客創造の意味から成功事例、並びに、顧客創造の実践ノウハウについて、詳しく解説する。顧客創造とは何か?|顧客創造の意味顧客創造とは、新たに顧客を創造する活動のことである。当然ながら、今いる目の前の顧客の存在に満足しているだけでは顧客創造にはならない。顧客創造の本来の活動は、既存顧客を満足させつつ、潜在顧客に対して商品やサービスを認知してもらい、さらに購入してもらうことだ。顧客創造という言葉の意味は、経営マネジメントの発明者であるピーター・ドラッカーが提唱したことで知られている。ドラッカーは「利益がなければ事業は存続できない。そして、利益の源泉は顧客である」という考えで、顧客創造を経営マネジメントの重要な核に位置づけ、経営の目的は「顧客創造にあり」という考えを強く提唱した。つまり、顧客創造の意味は、経営そのものであり、顧客創造こそが、経営の真の目的なのだ。一説では、毎年2割の顧客は常に脱落(離脱)していると云われているので、顧客創造がいかに重要な取り組みかお分かり頂けると思う。顧客創造の成功事例顧客創造の成功事例として有名なのは、アマゾン、ユニクロ、デル、この3社の顧客創造戦略である。何れの企業も独自の戦略で顧客創造に成功しており、小さなベンチャー企業から世界的企業にまで成長している。中小企業であっても有効に機能するお薦めの顧客創造の戦略論なので、ぜひ参考にしてほしい。顧客創造事例「アマゾン」アマゾンは、ワンtoワンマーケティングの実践で、顧客創造に成功にしている。ワンtoワンマーケティングとは、顧客一人ひとりの要望に合わせた商品やサービスを提供して、顧客満足度を上げる戦略だが、アマゾンはこのマーケティング戦略を徹底して顧客創造に成功している。顧客創造事例「ユニクロ」ユニクロは、洋服や肌着の機能性を再定義し、顧客創造に成功している。機能性の再定義とは、商品付加価値を高める(再定義する)戦略だが、ユニクロはこのマーケティング戦略を徹底して顧客創造に成功している。顧客創造事例「デル」デル・コンピューターは、アクセスを改善して、顧客創造に成功している。アクセス改善とは、駅から近い、コンビニで買える、ネット購入の利便性が高い、ネット検索で上位に表示される、など等といった、顧客の利便性を高めるアクセス改善を推進する戦略のことだが、デル社はこのマーケティング戦略を徹底して、顧客創造に成功している。顧客創造の実践ノウハウ最後に、顧客創造の実践ノウハウについて、詳しく解説する。顧客創造を実践するうえで、最も重要な作業は自社の顧客を定義し、潜在顧客を発掘することである。そのためにすべきことは、自社の顧客は誰で、その顧客に対する提供価値は何で、その提供価値を高めるために今の事業は将来どうあるべきか、という3つのポイントを明快にすること。そして、ライバルは誰で、ライバルとの差別化は何で、その差別化によって創造できる理想の顧客は誰か、という3つのポイントを徹底的に議論し、掘り下げることである。このプロセスを経て、しっかり顧客を定義付けできると、自社の顧客が明確になり、潜在顧客へのアプローチが鮮明になる。潜在顧客へのアプローチは前章で解説した成功事例を参考に、自社に適した戦略を検討することが重要で、この戦略がマッチすると、顧客創造と共に、企業の成長が一段と加速する。なお、顧客創造を加速する営業ノウハウに関しては当サイト内の「売上を拡大する営業戦略の実践ノウハウ」で詳しく解説しているので、是非とも参考にしてほしい。伊藤のワンポイント顧客創造は会社経営の根幹です。この活動が充実している会社ほど成長します。顧客創造で最も大切なことはターゲット顧客を明確に定義付けることです。ここが曖昧だと、全ての行動が失敗に終わります。成功の秘訣は、周囲の変化を冷静かつ客観的に捉えて「顧客は誰で、どこにいるのか?」を常に問い続けることです。(この記事は2019年1月に執筆掲載しました)
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  • 顧客管理は新規創造の基本|顧客管理で営業力を高める方法
    顧客管理は新規創造の基本|顧客管理で営業力を高める方法顧客管理とは、顧客フォロー・顧客サポート・顧客サービス等の効果を最大化するために運用するマネジメント手法の一つである。顧客管理の精度が高まると、顧客との関係性やコミュニケーションが充実し、新規顧客の流入増、リピート顧客の増加、顧客単価の上昇等、企業の営業力が一段と高まる。この記事では、顧客管理の基本、並びに、顧客管理で営業力を高める方法について、詳しく解説する。顧客管理とは?顧客管理とは、顧客情報を多角的に管理・分析し、企業の営業力を高めるマネジメント手法の一つである。例えば、見込み顧客の管理精度が高ければ新規売上が増え、受注顧客の管理精度が高ければ顧客サービスの質が高まり、既存顧客の管理精度が高ければリピート購入が増える。このように、顧客管理は、セールスの一部分の営業力を高めるだけでなく、企業全体の営業力を効率的に高める効果がある。顧客管理の精度が高まると、顧客との関係性が充実し、新規顧客の流入増、リピート顧客の増加、顧客単価の上昇等、営業活動(マーケティング)の成果が一段と高まる。また、顧客管理データの社内共有率が高まるほど、営業効率・製造効率・管理効率が上がる。必然的に、顧客満足度(顧客支持率)や競争優位性も高まり、事業活動全体の営業力が一層磨かれる。顧客管理の効果的方法顧客管理は、お客様のカテゴリーを3つに分類すると運用効果が向上する。ひとつは潜在顧客(これからのお客様)、もう一つは受注顧客(受注済~納品・決済完了迄のお客様)、最後は既存顧客(再注文待ちのお客様)である。潜在顧客の管理は、ターゲット顧客を明快にし、営業効率(新規開拓・新規流入等)を高めるために運用する。ターゲット顧客の属性・成長性・市場規模などをランク付けし、優先的に開拓すべき潜在顧客を明らかにし、営業効率を高める顧客管理方法が典型になる。受注顧客の管理は、受注後の納品・決済までのプロセスを最適化すると共に、顧客サービスを最大化するために運用する。受注から納品・決済完了までのプロセスを見える化し、顧客フォローや営業・管理・製造の各プロセスの最適化を図る顧客管理方法が典型になる。既存顧客の管理は、商品納品後の顧客サービスの向上、顧客サポートの体制強化、並びに、再注文の取りこぼしを最小化するために運用する。顧客の貢献度(売上・粗利等)、購入履歴、購入間隔、属性(成長率・将来性等)などのデータを管理し、顧客サービスの充実や営業攻勢の最適化に役立てる顧客管理手法が典型になる。顧客管理の効果を最大化する顧客管理の効果は、有形顧客だけでなく、無形顧客のネットワークを拡大することで最大化できる。有形顧客とは、ターゲット顧客としてアプローチをかけている潜在顧客と既存顧客のことだが、まずは有形顧客のデータを見える化して、全社員で共有すると、顧客管理の精度が高まる。有形顧客の管理精度が高まると、自ずとお客様と接する機会が増え、更にはお客様に与える印象も良くなるので、有形顧客の後ろに控えている無形顧客(同僚・知人・家族・地域・同業等)に対する間接的なアプローチ量が増える。そして、有形・無形の顧客ネットワークが大きくなるほど、紹介や口コミ等が助長され、巡り巡って有効顧客が増える成長スパイラルが回り出す。無形顧客の存在を意識して有形顧客に誠心誠意尽くす姿勢が何よりも重要で、そのためにも顧客管理の精度を高めることが重要になるのだ。
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  • 顧客創造を加速する5つの商品例・観点・視点|新規顧客開拓の戦術戦略
    顧客創造を加速する5つの商品例・観点・視点|新規顧客開拓の戦術戦略ビジネスはお客様がいて初めて成立するので、顧客創造は企業の生命線になる。そして、顧客創造を加速するうえでとりわけ重要なのは「商品」だ。なぜなら、商品力が低下すると顧客から選ばれなくなるからだ。この記事では、顧客創造を加速する5つの商品例・観点・視点について、詳しく解説する。顧客創造の商品例1「顧客目線」顧客目線で商品を設計することは顧客創造の基本になる。顧客のために何ができるのか、あるいは、顧客のメリットを高めるために何をすべきなのか等、誠心誠意、顧客に尽くす姿勢で作る商品は多くの顧客に支持されるからだ。また、顧客カテゴリー(性別・年齢・職業・条件等)を細分化し、様々な顧客の目線に立って既存商品を再定義すると、顧客創造を加速する新たな商品が生まれやすい。近年で言えば、女性用化粧品を男性用へ、子供用おむつを大人用へ、作業着をカジュアル服へ、低タンパク食材をダイエットや筋トレ補助食品へ等は、既存商品を再定義することで生まれた商品の典型と言える。自分達の都合や想いに執着することなく、顧客目線で商品設計を推進すると、自然と顧客創造が加速するので、商品の売行きに陰りが出た時ほど顧客目線を意識することをお薦めする。顧客創造の商品例2「女性目線」顧客創造を一段と加速するために女性目線を活用することは極めて有効である。女性は経済活動(購買力・購買範囲・購買権限等)に大きな影響力を持っているため、女性の支持を得られる商品を生み出すほど、顧客創造が加速するからだ。また、一般的に女性は男性に比べて社会活動(仕事・趣味・生活・地域交流等)の範囲が広いので、女性目線で商品を設計すると、顧客創造を加速する新たな商品が生まれやすい。例えば、生活の便利グッツ、既存商品のブラッシュアップ品、世の中の課題を解決する商品やビジネスモデル、女性の視点や観点を起点に開発された商品等は、女性目線で生まれた商品の典型と言える。顧客創造の商品例3「消費者目線」消費者目線は、顧客創造だけでなく、商品の収益性にも大きな影響を及ぼす。例えば、消費者(消費地)の実態が分かれば、顧客創造の戦略(ターゲット顧客)が明快になると共に、商品の値付け・デザイン・付加価値等も最適化されるので、商品の収益性が一段と高まる。逆に、消費者(消費地)の実態が不明瞭だと、顧客創造の戦略だけでなく、商品の付加価値等を高めるための打ち手も不明瞭になるので、顧客創造の低迷と共に、商品の収益性も低下する。消費者(消費地)がミドル層(地方)かアッパー層(都会)によって、商品設計の方針は大きく変わる。誰が商品を購入しているのか、あるいは、誰に商品を購入してほしいのか等、消費者目線に立った商品開発が顧客創造を加速する大原則である。顧客創造の商品例4「本業強化」本業強化は、顧客創造の基本セオリーである。本業を強化するほど商品やサービスの強みや迫力が増し、顧客創造が加速するからだ。本業の商品やサービスの強みを磨くお薦めの方法は「オンリーワン」と「ナンバーワン」を追求する方法である。オンリーワンとは、この会社から買いたい、ココにしかない、やっぱりコレしかない等と顧客に思わせる強みである。ナンバーワンとは、地域シェア・顧客満足度・コストパフォーマンス1位、世界初・世界最小・世界最軽量等の購買意欲を刺激する強みである。本業の商品やサービスに、オンリーワンとナンバーワンの強みが沢山あるほど、お客様から選ばれる会社になるので、自ずと顧客創造が加速する。顧客創造の商品例5「流通チャネル」流通チャネルにフィットさせた商品は、顧客創造を加速させる。流通チャネルとは商品の流通経路のことだが、流通先の要望や利益等にフィットした商品は自然と売れるようになる。例えば、流通先が法人相手であれば、商品の内容量・入り数・配送ロット・掛け率等に優位性を持たせることで顧客創造を加速することができる。流通先が個人相手であれば、顧客目線、女性目線、消費者目線、本業強化等に合致する商品を提供することで顧客創造を加速することができる。また、流通チャネルが増えれば、その瞬間に商品の販路も増えるので、顧客の創造が一気に加速する。法人向け商品を個人へ、個人向け商品を法人へ等の流通チャネルの新規展開などは有効な一手と言える。(この記事は2021年5月に執筆掲載しました)
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  • 顧客創造の良くある5つの失敗パターン|既存顧客の離脱を防ぐ戦術戦略
    顧客創造の良くある5つの失敗パターン|既存顧客の離脱を防ぐ戦術戦略顧客創造は企業の生命線になる。しかし、商品やサービスが良くても、顧客創造に悩む中小企業は少なくない。この記事では、顧客創造の良くある5つの失敗パターンについて、詳しく解説する。顧客創造の失敗例1「情報発信」顧客創造の失敗パターンの最たる例が「お客様に情報を発信しない」ことである。顧客は知り得る情報の範囲内でしか商品やサービスの価値を評価することができないので、情報量が少ないほど、商品価値を評価するのが難しくなる。どんなに良い商品やサービスを提供していたとしても、その情報が顧客に届いていなければ商品価値はゼロであり、顧客創造もうまく運ばない。また、品質不良や接客ミスなどの悪い情報を顧客に発信することでも、顧客の創造に失敗する。大概の顧客は、離脱(不買)することで自らの意思を表明するので、顧客の声を待つのではなく、顧客の声に耳を傾ける姿勢が欠かせない。つまり、良い情報を顧客に発信するだけではなく、商品やサービスを利用している顧客の情報も拾い上げる経営姿勢が大切になるのだ。顧客創造の失敗例2「安値追及」安値を強みに掲げた顧客創造は、失敗リスクが高い。価格にしか強みがなければ、ライバルが価格を引き下げた瞬間に、すべての顧客を失うからだ。安値で獲得した顧客は、購買の基準が価格にあるので、離脱率や流動性が極めて高く、リピーターが定着しにくい。さらに、事業の収益性も極めて低くなるので、成長投資が鈍化し、商品や設備等の陳腐化と共に衰退しやすくなる。しかも、一度衰退に傾くと、経営姿勢を改めるのが困難で、大概は打つ手がないまま衰退の一途を辿る。安値追求の顧客創造は資本力に乏しい小さな会社ほど危険なので、最初から安値以外の付加価値をしっかり研鑽・アピールすることをお薦めする。顧客創造の失敗例3「強みがない」商品に強みがなければお客様から選ばれないので、当然、顧客の創造に失敗する。顧客を創造するうえで強みがないのは論外だが、強みを見誤る・見過ごすパターンも良くある失敗例になる。例えば、手作りの強み(良さ)を効率優先の機械化(自動化)で失う、商品の付加価値を十分に顧客に発信していない、あるいは、商品の強みを磨いていない等のパターンは失敗の典型といえる。なお、強みを見過ごす失敗パターンは行動を是正すれば一瞬で挽回できるが、強みを見誤る失敗パターンは取り返しのつかない事態を招くので、くれぐれも気を付けることをお薦めする。また、小さな会社ほど、大企業の方針に追従した途端に強みが無くなるので、大企業との差別化を徹底することも忘れないでほしい。顧客創造の失敗例4「本業が曖昧」顧客の創造に失敗する会社に限って、本業が曖昧になっている。本業が曖昧だと事業カテゴリーや顧客ターゲットも曖昧になるので、必然的に顧客創造の活動がミスマッチに陥り易くなる。また、本業の経営基盤が脆弱にも関わらず、多角化で顧客創造を狙うパターンも失敗リスクが高く、大概は多角化事業が低迷し、顧客創造に失敗する。本業が盤石になるほど顧客創造が容易に運ぶので、顧客創造に陰りが出た時ほど本業回帰を意識することをお薦めする。顧客創造の失敗例5「流通チャネル」流通チャネルとは商品やサービスの流通経路のことだが、流通チャネルがフィットしないことで顧客の創造に失敗するパターンがある。流通チャネルには、「自らの商品を顧客に直接販売するパターン」と「自らの商品を店舗や卸しを通じて間接販売するパターンの二つに大別できる。最初から直接販売にこだわりすぎると販路の構築に時間がかかって顧客創造が停滞するリスクが高まり、間接販売一辺倒だと販売先の店舗や卸の衰退と共に顧客創造が減速する。流通チャネルで顧客創造に失敗しない為には、常に会社を取り巻く環境、市場の環境、商品の特性等を考慮し、ベストの販路を構築する姿勢が欠かせない。(この記事は2021年5月に執筆掲載しました)
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  • 新規顧客を情報で開拓する方法|新規顧客が会社の生命線を握っている
    新規顧客を情報で開拓する方法|新規顧客が会社の生命線を握っている一説では、毎年2割の顧客が絶えず消滅していると云われている。つまり、2割以上の新規顧客を絶えず開拓しなければ、会社の存続が危うくなるということだ。新規顧客を開拓するうえで欠かせない活動は「情報の発信」である。どんな会社で、どこを目指しているのか、或いは、どんな商品で、どんな付加価値があるのか、はたまた、どれほどお値打ちで、いつから購入できるのか、といった情報発信は、新規顧客を開拓するうえで欠かせない。情報を発信することなく日々を過ごしていては、一向に新規顧客の開拓ができないであろうことは容易に想像ができるだろう。良いものを持っているにも関わらず新規顧客の開拓がうまくいっていない会社は、情報発信が不十分、発信する情報に魅力がない、など等、情報発信に問題を抱えているケースが多い。新規顧客を開拓するための情報発信手段は工夫次第でいかようにも取り組むことができる。例えば、ホームページの活用やお店のPOPの活用、商品の陳列やレイアウトの工夫、既存顧客へのDMや感謝レター、など等は、さほどの資金をかけずに実行できる。また、新規顧客を開拓するための情報に関しても、商品やサービスの用途開発、或いは、コンセプトの再定義など、さほどの資金をかけなくても、魅力的な情報に仕上げることができる。新規顧客の開拓は情報の質で決まる新規顧客の開拓は、情報の質で決まる。情報の質とは、商品やサービスを具体的に表すコンセプトのようなものだ。例えば、1台3万円以上するバルミューダの扇風機は、単なる高級扇風機というコンセプトを顧客に押し付けず、「ひと夏の自然の涼しさを数万円で買いませんか」というコンセプトを掲げて売り出し、新規顧客の開拓に成功している。これなどは、情報の質を工夫して、新規顧客の開拓に成功した典型例といえる。また、商品やサービスのコンセプトを顧客の要望に合致させることで、新規顧客の開拓を成功させる方法もある。例えば、とんこつラーメンを食べたいと思っている潜在顧客に対して、「ラーメン屋」という看板と「とんこつラーメン専門店」という看板を掲げた場合、新規顧客の感受性を強く刺激するのは後者の看板だ。これなどは、顧客の要望に情報の焦点を合わせて、新規顧客を開拓する典型例になる。なお、新規顧客は開拓して終わりではもったいない。新規顧客をリピート顧客に育成し、将来の収益源を確保することも忘れてはならない。経験則上、リピート顧客の獲得コストは新規顧客の数分の一で済み、売上は新規顧客の数倍にのぼる。然るべき情報をしっかり発信し続けることが、開拓した新規顧客をリピート顧客に育て上げる秘訣になる。伊藤のワンポイント新規顧客の開拓なくして、会社の存続はありません。会社の生命線である利益やお金の源泉は顧客だからです。新規顧客を効率よく開拓するには、情報発信と情報の質、この両面の精度を上げることが大切です。情報改善はお金をかけずに出来ることが多いですので、積極的かつ継続的に取り組んでください。(この記事は2018年3月に執筆掲載しました)
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  • 会社の強みを分析してさらに強みを伸ばす方法|顧客開拓のカギは強みにある
    会社の強みを分析してさらに強みを伸ばす方法|顧客開拓のカギは強みにある会社の強みは、絶えず分析しなければならない。なぜなら、会社を取り巻く経営環境の変化に伴い、会社の強みが刻々と変化するからだ。当然ながら、会社の強みの分析をおざなりにしていると、いつしか会社の強みを見失い、会社衰退のきっかけを作りかねない。例えば、ライバルの台頭や商品やサービスの陳腐化などは、会社の強みを弱体化させる由々しき変化である。会社を取り巻く経営環境の変化を捉えるためには、会社の強みの定期分析が欠かせない。会社の強みの分析方法はスワット分析が有名だが、その他にも日常業務をひと工夫するだけで会社の強みを分析できる方法がある。それは、顧客の認知経路と購買動機を探る方法だ。認知経路は、どうやって当社を知ったのかを明らかにすることで判明する。認知経路には、広告、DM、チラシ、ホームページ、インターネット検索、口コミ、SNS、など等、様々あるが、一番強い認知経路を強化すれば、その部分が会社の強みとしてさらに補強される。購買動機は、なぜ当社を選んだのかを明らかにすることで判明する。購買動機には、品質、立地、安心感、社員の応対、サービス内容、特典、など等、様々あるが、認知経路同様、一番強い購買動機を強化すれば、その部分が会社の強みとしてさらに補強される。なお、認知経路と購買動機は新規顧客の電話対応時や既存顧客への営業対応時などに簡単に探ることができる。顧客の認知経路と購買動機が分かると、会社の強みが整理されるので、経営資源の投入先が明快になり、会社の強みの補強スピードが一段と加速する。会社の強みをさらに伸ばす方法会社の強みを分析した結果を事業拡大に活かすには、強みをさらに伸ばすための戦略展開が欠かせない。例えば、「経営資源を集中させる・事業カテゴリーの焦点を絞る・顧客ターゲットを明確にする」の3つは、会社の強みをさらに伸ばす優れた戦略展開になる。会社の強みをさらに伸ばすそれぞれの戦略展開について、順を追って詳しい解説する。経営資源を集中させる会社の強みになり得る領域に経営資源を集中させると、会社の強みが一段と伸びる。例えば、一番強い認知経路や購買動機に対して経営資源を集中させると、会社の強みが益々強化される。或いは、大きな利益をもたらす優良顧客の要望に対して経営資源を集中させると、会社の強みが益々強化される。事業カテゴリーの焦点を絞る事業カテゴリーの焦点をひとつに絞ると、会社の強みが一段と伸びる。例えば、中華料理店というカテゴリーよりも、餃子専門店やおかゆ専門店というように事業カテゴリーの焦点をひとつに絞った方が、会社の強みが強化される。また、事業カテゴリーの焦点をひとつに絞ると、会社の強みを効率的に伸ばせるだけでなく、オペレーションコストが低下するので、事業効率も高まる。顧客ターゲットを明確にする顧客ターゲットを明確にすると、会社の強みが一段と伸びる。例えば、顧客ターゲットが明らかになっていれば、その顧客ターゲットに合わせて会社の強みを強化できるので、成約率の高い商品作りや提案書作りが可能になる。さらに、成約率の高い商品作りや提案書は顧客満足度を高める効果を生み出すので、ますます会社の強みが伸びるというプラスのスパイラルが作り出される。事実、「誰に売るのか」という顧客ターゲットが明確になっている会社の強みは、じつに強固に仕上がっている。伊藤のワンポイント企業競争は「強み」でしか勝ち抜くことが出来ません。ですから、強みのない会社は衰退あるのみとなります。強みを磨くには、購買経路や動機を明らかにする事と、強みを磨くための戦略展開を推進する事が不可欠です。そして、事業や商品の付加価値を研鑽することを永遠に継続することも欠かせません。
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  • 経営目標がない会社の業績は悪化する|経営目標の効果的運用方法
    経営目標がない会社の業績は悪化する|経営目標の効果的運用方法経営目標がない会社の業績は悪化する。なかでも、利益目標や経営改善目標といった、安定経営の実現に不可欠な経営目標がない会社は、一時は調子が良くても、かなりの高確率で業績が悪化し、倒産の危機に瀕する。この記事では、経営目標がない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営目標の効果的運用方法について、詳しく解説する。経営目標がないと業績が悪化するなぜ、経営目標がないと業績が悪化するのかというと、今すべきことが曖昧になり、日々の経営が行き当たりバッタリになってしまうからだ。経営が行き当たりバッタリに陥ると、業績の上下に一喜一憂することに終始してしまうので、事業拡大のビジョンとパワーが生まれてこない。当然ながら、事業拡大のビジョンとパワーが弱いと、少しの経営環境の変化で会社の業績が悪化し、会社が簡単に衰退してしまう。経営目標には、事業拡大のビジョンとパワーを生み出す効果がある。例えば、経営目標を掲げると、現状と目標の間にあるギャップが明かになるので、やるべきことがハッキリする。また、経営目標を掲げると、組織の力が一点に集中するので、業績拡大のスピードが加速度的に上がる。事業拡大のビジョンとパワーが大きいほど、業績悪化のリスクは低下する。つまり、企業の盛衰は、経営目標で決まるといっても過言ではないのだ。中小企業の経営者に対して「経営目標はありますか?」と問いかけると、明確な答えを持っていない経営者が稀にいるが、経営目標がない会社経営ほどリスクの高いものはない。業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、明確な経営目標を掲げることをお薦めする。経営目標の見つけ方と活かし方経営目標は掲げれば良いというものではない。なぜなら、的外れな経営目標は経営を迷走させ、業績悪化のリスクを一段と高めるからだ。事業拡大に役立つ経営目標を運用するには、正しい経営目標の見つけ方と活かし方のふたつのポイントを抑えなければならない。当たり前だが、経営目標の見つけ方を誤れば経営が迷走し、活かし方を誤れば経営目標の効果が無に帰してしまう。経営目標をいかに正しく見つけ、いかに活かすかが、経営目標の運用精度を左右するのだ。経営目標の見つけ方と活かし方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。経営目標の見つけ方正しい経営目標を見つけるには「会社の数字・顧客の声・ライバル企業の動向」などの情報を最低限、把握しなければならない。会社の数字事業活動のすべての結果が表れている会社の数字は、売上、経費、利益などを改善するための合理的かつ客観的な目標基準になる。しかも、数字ベースの経営目標は、現状と目標の乖離を常に数字で把握できるため、結果を出すための事業活動が一段と効率化される。顧客の声とライバル企業の動向顧客の声やライバル企業の動向は、商品やサービスの付加価値を上げるための合理的かつ客観的な目標基準になる。顧客の声やライバル企業の動向をベースに経営目標を掲げると、商品やサービスの付加価値が磨かれて、市場での競争優位性が一段と高まる。経営目標の活かし方経営目標を正しく活かすには「情報の共有・数字の活用・期日の徹底」の3つのポイントを抑えなければならない。情報の共有経営目標に関わる情報を共有すると、現場スタッフの状況判断精度が向上するので、自ずと目標達成の事業活動が効率化される。数字の活用数字を活用すると、事業活動の検証精度が向上するので、自ずと目標達成に向けた事業活動が効率化される。期日の徹底期日を徹底すると、経営目標を絶対に達成するという気迫と熱意が高まり、目標達成の成功確率が飛躍的に高まる。業績悪化リスクのチェックリスト最後に、経営目標がない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。ひとつでも当てはまる項目があれば、経営目標の運用に問題があり、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営目標の運用に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。業績悪化リスクのチェックリスト☑会社の数字を把握していない☑顧客の声を把握していない。或いは、顧客の声を経営に活かしていない☑ライバル企業の動向を把握していない。或いは、ライバル企業の動向を経営に活かしていない☑経営目標に関わる情報を社員と共有していない☑経営目標の設定、検証、修正に数字を活用していない☑経営目標に期日を設けていない☑経営目標に向かって活動しているが、なかなか成果が上がらない(経営目標の設定ミス、検証ミス、修正ミスがある)伊藤のワンポイント経営目標の設定・管理は会社のトップである経営者の重要な仕事です。この仕事をおざなりにすると経営が迷走し、衰退しやすくなります。物事の成果は目標に対して動くことで初めて生まれます。ですから、トップが経営目標を掲げて組織の力を一点に集中させることが重要です。
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  • 経営計画がない会社の業績は悪化する|経営計画の効果的運用方法
    経営計画がない会社の業績は悪化する|経営計画の効果的運用方法経営計画がない会社の業績は悪化する。なぜなら、経営計画がないと、今すべきことが曖昧になり、行き当たりバッタリの会社経営に陥るからだ。この記事では、経営計画がない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営計画の効果的運用方法について、詳しく解説する。経営計画がないと業績が悪化する経営計画がないと、今すべきことが曖昧になり、行き当たりバッタリの会社経営に陥ってしまう。会社経営がひとたび行き当たりバッタリに陥ると、計画性のない行動に拍車がかかり、たった一つの躓きで会社の業績が悪化することもある。また、経営計画がないと、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源が分散してしまい、売上や利益の拡大、或いは、社員の成長といった経営の効率化が遅々として進まなくなる。経営計画の範囲はじつに幅広い。販売計画のみならず、人事計画、育成計画、開発計画、事業計画など等、挙げたらキリがないほどあり、経営計画の精度如何で経営の成功が決まるといっても過言ではない。じつは、中小企業において正しい経営計画を持っている会社は決して多くない。経営計画の立て方が誤っている、経営計画は立てたが内容が妥当ではない、そもそも経営計画がないという中小企業も珍しくない。経営計画のない会社経営ほどリスクの高いものはない。業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、正しい経営計画を作成・運用することをお薦めする。経営計画の作り方と活かし方経営経営は作れば良いというものではない。なぜなら、的外れの経営計画は経営を迷走させ、業績悪化のリスクを一段と高めるからだ。事業拡大に役立つ経営計画を運用するには、正しい経営計画の作り方と活かし方のふたつのポイントを抑えなければならない。当たり前だが、経営計画の作り方を誤れば経営が迷走し、活かし方を誤れば経営計画の効果が無に帰してしまう。経営計画をいかに正しく見つけ、いかに活かすかが、経営計画の運用精度を左右するのだ。経営計画の作り方と活かし方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。経営計画の作り方経営計画は最終目標を数字で記入するところから始めるのが効果的だ。例えば、3年後に売上○○万円、利益○○万円を達成する、という数字を決めたうえで、計画達成の障害になり得る経営課題を洗い出し、その課題を解決する方法と期日を計画に落とし込むと、実践的かつ効果的な経営計画ができる。経営計画の活かし方経営計画の運用は、PDCAサイクルの精度とスピードで決まる。例えば、業績集計や検証の精度が上がれば計画が最適化されるので計画達成のスピードが加速する。また、PDCAサイクルを月単位から日単位に短縮すると、計画達成のスピードが飛躍的に加速する。業績悪化リスクのチェックリスト最後に、経営計画がない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。ひとつでも当てはまる項目があれば、経営計画に問題があり、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営計画に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。業績悪化リスクのチェックリスト☑経営計画がない☑経営計画のイメージはあるが、計画書を作成していない☑経営計画を作成したが、計画通り実行できていない☑経営計画に数字や期日が入っていない☑PDCAサイクルを回していない☑PDCAサイクルの回転が遅い☑PDCAサイクルの精度が低い☑経営計画に基づいて活動しているが、なかなか成果が上がらない(経営計画の作成ミス、検証ミス、修正ミスがある)伊藤のワンポイント段取り八分という言葉があるように、会社経営においても計画は重要です。計画の精度で業績の明暗が分かれますし、計画がないために衰退スパイラルに陥ることもあります。経営計画を作るのは社長の仕事です。そして、計画を推進するのも社長の仕事です。人任せにするほど衰退リスクが高まりますので注意してください。
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  • 経営改善をしない会社の業績は悪化する|経営改善の効果的推進法
    経営改善をしない会社の業績は悪化する|経営改善の効果的推進法経営改善をしない会社の業績は悪化する。なぜなら、継続的な経営改善で事業価値を高めないと、簡単に市場競争からはじき出されるからだ。この記事では、経営改善をしない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営改善の効果的推進法について、詳しく解説する。経営改善の目的と効果経営改善の目的は、売上の最大化と経費の最小化、つまり「利益の最大化」に集約される。利益の最大化を成し遂げるためには、経営課題を発掘し、その課題を解消する経営改善活動を継続することが欠かせない。経営改善の対象を的確に見つけることに苦手意識を持っている経営者もいるかも知れないが、経営改善の対象は、現場や顧客の声に耳を傾ける、或いは、ライバルの動向に目を凝らすことで簡単に発掘することができる。また、経営者が3~10年後の会社の姿をイメージし「今のままで通用するか否か」を折にふれ意識することも、経営改善の対象を発掘する有効な方法で、いかに正しく現状を分析し、いかに正しく改善すべき点を捉えることが出来るかが、経営改善成功の秘訣である。じつは、中小企業において、経営改善を正しく推進している会社は決して多くない。経営改善の進め方が誤っている、経営改善の対象が妥当ではない、そもそも経営改善をしていないという中小企業も珍しくない。経営改善をしない会社経営ほど衰退リスクの高いものはなく、経営改善が途切れると必ず会社の業績が悪化する。業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、正しい経営改善を推進することをお薦めする。正しい経営改善の進め方経営改善は実施すれば良いというものではない。なぜなら、的外れの経営改善は業績を悪化させ、会社の衰退リスクを一段と高めるからだ。経営改善を推進して事業を拡大するには、正しい経営改善の進め方のポイントを抑えなければならない。当たり前だが、経営改善の進め方を誤れば業績が悪化し、衰退リスクが高まるばかりとなる。経営改善をいかに正しく進めるかが、経営改善の効果を左右するのだ。経営改善の進め方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。ギャップを捉えるギャップとは、現状と目標の間にある経営課題のことである。経営改善を成功に導くには、正しい現状分析と正しい目標設定が欠かせない。ギャップを解消するギャップを正しく捉えた後は、ギャップを解消し、目標に近づく経営改善努力が欠かせない。経営改善の計画作りに満足してしまい、実行が萎んでしまうパターンを稀に見かけるが、実行しなければ経営改善の効果は一向に表れることはない。経営改善を検証する経営改善の結果は必ず検証しなければならない。検証する際は、必ず会社の数字といった客観的事実の活用が不可欠だ。経営改善の効果測定と検証がしっかりされていれば、経営改善を進めながら適宜修正(補正)が働くので、経営改善が誤った方向に進むリスクをしっかり抑えることができる。業績悪化リスクのチェックリスト最後に、経営改善が十分に出来ていない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。ひとつでも当てはまる項目があれば、経営改善が不十分で、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営改善の方法に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。業績悪化リスクのチェックリスト☑正しい現状分析が出来ていない☑正しい目標設定が出来ていない☑経営改善が計画止まりになっている☑経営改善の効果を検証していない☑経営改善のプランを修正(最適化)していない☑経営改善を実行しているが、社員のモチベーションが上がっていない☑経営改善を行っているが、なかなか成果が上がらない(経営改善の方法ミス、検証ミス、修正ミスがある)伊藤のワンポイント経営改善は企業の生命線になります。つまり、衰退を予見し先手を打つ会社経営の実践度が企業の盛衰を決定づけます。成長企業ほど、この先手を打つスピードが速く、一時の成長に浮かれることなく愚直な姿勢で経営改善を推進しています。決して、経営改善をおざなりにしないでください。
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  • 事業拡大のスピードを飛躍的に加速する13の問いかけ
    事業拡大のスピードを飛躍的に加速する13の問いかけ一定数の顧客は毎年減少するので、事業拡大のペースが鈍化すると、会社は衰退に傾く。事業を10年、20年と継続するには、事業を拡大し続けることが必要で、その経営姿勢なくして、会社の繁栄はない。この記事では、事業拡大のスピードを飛躍的に加速する13の問いかけについて、詳しく解説する。永続性を確立して事業を拡大する以下の問いかけは、事業の永続性を確立し、事業拡大のスピードを飛躍的に加速する効果がある。「顧客の創造をしているか?」「付加価値を研鑽しているか?」「数字の拡大を推進しているか?」この3つの問いかけに対して、若干でも不足があるようであれば、事業の永続性が不完全で、事業拡大のチャンスを活かしきれていない可能性が高い。顧客創造は、経営の原点だ。顧客がいなければ経営が成り立たないからだ。顧客創造は、目の前の顧客に対して、商品等を提供しているだけでは実現できない。まだ見ぬ顧客に対して、商品等を買ってもらうことで初めて実現できる。付加価値の研鑽も重要だ。企業価値や商品価値が陳腐化すると、たちまちライバル企業に負けるからだ。また、どんな事業であっても斜陽産業に転落するリスクがあるが、付加価値の研鑽で、そうしたリスクを払しょくすることができる。数字の拡大とは、具体的には売上・利益・現金の拡大の事だが、この点も事業を拡大するうえで欠かせない要素だ。成長投資の原資は、すべてお金なので、お金がなければ事業の拡大はたちまち鈍化する。さらに、お金がなくなると、企業は即刻倒産するので、会社経営においてお金ほど重要な要素はない。従って、現金の拡大は特に重要だ。たとえ、売上が拡大傾向にあり、利益が残っていたとしても、一時的に現金が枯渇して倒産する会社は数多にある。リーマンショックの年に倒産した上場企業の半数以上は黒字経営だったし、ある年の倒産企業の半数以上は黒字経営だったというデータもある。利益を出していてもお金がなければ経営が破綻するということを、決して、忘れてはならない。「顧客の創造をしているか?」「付加価値を研鑽しているか?」「数字の拡大を推進しているか?」この3つの問いかけに対して、真剣に対応するほど事業の永続性が高まり、事業拡大のスピードが加速する。衰退リスクを遠ざけて事業を拡大する以下の問いかけは、衰退リスクを遠ざけて、事業拡大のスピードを飛躍的に加速する効果がある。「経営課題を明らかにする目標を設定しているか?」「経営課題を解消する経営改善活動を行っているか?」「そもそも経営改善活動の正しい計画を持っているか?」この3つの問いかけに対して、若干でも不足があるようであれば、事業拡大を鈍化させる経営課題が山積している可能性が高い。経営課題を明らかにする目標は様々あるが、最低限必要なのは、営業利益率20%以上等の明確な利益目標だ。黒字経営であっても利益水準が低いと、経営課題が山積し易いだけでなく、成長投資のスピードも、事業拡大のスピードも遅くなるからだ。なお、会社の利益水準を高め、事業の拡大スピードを加速するには、前章で解説した顧客創造・付加価値研鑽・数字の拡大を推進すると良い。例えば、顧客が創造されれば売上が増える。付加価値が研鑽されれば利益と現金が増える。現金が増えれば成長投資が拡大して、顧客創造と共に事業拡大が更に加速する。この一連のサイクルを確立するために行うのが経営改善活動であり、この計画の精度と経営改善の活動量で、事業拡大のスピードが決まる。「経営課題を明らかにする目標を設定しているか?」「経営課題を解消する経営改善活動を行っているか?」「そもそも経営改善活動の正しい計画を持っているか?」この3つの問いかけに対して、真剣に対応するほど事業の衰退リスクが遠のき、事業拡大のスピードが加速する。社長の経営力を高めて事業を拡大する以下の問いかけは、社長の経営力を高めて、事業拡大のスピードを飛躍的に加速する効果がある。「決断のスピードを意識しているか?」「決断の責任を一身に背負っているか?」「社長業の経験と体験を真剣に積んでいるか?」この3つの問いかけに対して、若干でも不足があるようであれば、社長の経営力が不十分で、事業拡大のチャンスを活かしきれていない可能性が高い。社長の仕事は決断すること、と云われるように社長の決断ほど重要なものはない。なかでも、決断のスピードは経営改善の推進力に直結するので非常に重要だ。そして、決断の責任を全て背負う覚悟も不可欠だ。会社の業績、社員の能力、自分の人生等、自分を取り巻くすべての環境は自分の決断の結果であり、それらの結果責任を全て受け止めることが大切だ。こうした結果責任をすべて背負う姿勢は、社長業の経験と体験の精度を高め、巡り巡って、決断のスピードを上げる。当然、事業拡大のスピードも格段に加速する。「決断のスピードを意識しているか?」「決断の責任を一身に背負っているか?」「社長業の経験と体験をしっかり積んでいるか?」この3つの問いかけに対して、真剣に対応するほど社長の経営力が高まり、事業拡大のスピードが加速する。経営改善の精度を高めて事業を拡大する以下の問いかけは、経営改善の精度を高めて、事業拡大のスピードを飛躍的に加速する効果がある。「管理会計を運用しているか?」「現場の声に耳を傾けているか?」「専門家をしっかり活用しているか?」この3つの問いかけに対して、若干でも不足があるようであれば、事業拡大を加速する経営改善の精度が低下している可能性が高い。管理会計は、経営改善の精度を高める便利なツールだ。管理会計を導入すると、経営改善のPDCA精度が高まるので、改善成果が大きくなりやすく、たとえ失敗したとしても、戦略修正(補正)が適宜働くので、事業拡大が容易に運ぶようになる。また、管理会計を運用すると、経営者は自然と数字に強くなる。業績を伸ばしている経営者の多くは数字に強く、確実に管理会計を導入している。さらに、事業拡大の過程において、失敗しないことは、成功することよりも重要だが、管理会計を運用し、日頃から経営状況モニタリングすると、失敗をかわす精度を確実に高まる。現場の声も、管理会計同様に重要だ。例えば、顧客やライバルの情報がなければ、まともな会社経営ができなくなることは容易に想像ができるだろう。優れた情報は現場にある。生産現場、接客現場、営業現場等、机上の空論が通用しない現場の領域は数知れずある。そうした現場から、いかに優れた情報を集めるかで、経営改善の精度、さらに言えば、事業拡大のスピードが決まる。専門家の活用も経営改善の成果に大きな影響を及ぼす。知識や経験の専門性を高める方法は二つしかない。自分で勉強し経験するか、専門家の知恵を借りるか、のどちらかだ。確実なのは後者の専門家の活用だ。独学はあやふやな基準で誤った方向に行く恐れがあるし、何より、時間と効率を考えると、非現実的だ。経営の現場では専門的な知見がないと決断を誤るケースが多々ある。いかに上手に専門家を活用するかが、事業拡大のスピードを決定づけるのだ。「管理会計を運用しているか?」「現場の声に耳を傾けているか?」「専門家をしっかり活用しているか?」この3つの問いかけに対して、真剣に対応するほど経営改善の精度が高まり、事業拡大のスピードが加速する。今ココに全集中して事業を拡大する以下の問いかけは、最も事業拡大のスピードを加速する効果がある。「今この瞬間を一所懸命に生きているか?」この問いかけに対して、若干でも不足があるようであれば、まだまだ事業拡大のスピードを加速する余地が残っていると言える。一日は一生の縮図、一生は一日の積み重ねと言うが、日々、目の前の今ココに集中する姿勢は、会社の業績を大きく左右する。そもそも、会社経営は、自分の思い通りになることが殆どない。だから、思い通りにならないことを嘆くことは、まったく意味のないことで、それよりも、流れに身を任せ、前向きな心持ちで、目の前の今ココに全集中することの方がよほど大切だ。また、人は毎日24時間、死ぬまで生き、行動しているが、その行動はすべて自分でコントロールできる。しかも、どんな環境であっても、コントロールできる領域がゼロになることはない。事業を拡大したいと思ったら、今の行動を変えるだけだ。そうすれば、未来は一瞬で変わる。目の前のお客様に一所懸命尽くす、目の前の仕事に一所懸命取り組む、目の前のやるべきことを一所懸命こなす等、今できることを真剣にコツコツ積み上げる経営姿勢は、事業をとんでもなく成長させる確かな方法だ。
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  • 企業衰退のメカニズム|衰退する会社のダメな原因はどこにあるのか?
    企業衰退のメカニズム|衰退する会社のダメな原因はどこにあるのか?わたしが経営コンサル会社を創業したのは2008年だが、創業当初は企業再建の仕事が中心だった。企業再建とは調子の悪い会社を半年から1年ほどかけて良好な経営状態に再建する仕事である。とてつもない覚悟と根気のいるタフな仕事だったが、マイナスの経営状態を短期間でプラスに転換する仕事は、経営コンサルタントとしての能力をどんどん磨いてくれた。また、倒産する会社の特徴や会社を潰す社長の特徴がどこにあるのか、など等、数多く失敗事例を学ぶことができた。この経験から分かったことは、企業の衰退は「自壊から始まる」ということだ。殆どの会社は、市況悪化等の外的要因によって衰退するのではなく、内的要因に端を発した原因で衰退していた。具体的には、社長の衰え、経営能力の低下、経営者の気の緩み、会社組織の崩壊などである。会社の衰退は自壊から始まるわたしの経営観は「社長にとって、会社経営は人生そのもの」である。どういうことかというと、経営が成功すれば人生も成功するが、逆もまた然りで、経営が行き詰れば、人生も行き詰る。会社経営の結果が、そのまま人生の幸不幸に直結するということだ。会社が潰れるのは、じつにあっけない。自分が働いていた大企業も度重なる不祥事でグループ解体という危機的状況に陥った。中小企業も同じで、儲かっている時期がありながら、ほんの些細なきっかけで経営危機に陥っていた。大企業であっても、あっけなく経営危機に陥る様は、今でも鮮明に心の中に残っているし、企業再建の現場では、経営者の悲惨で惨めな末路や陰惨な光景を目の当たりにした。このような原体験があって、自然と私の中に「社長にとって、会社経営は人生そのもの」という経営観が根付いていった。繰り返すが、会社の衰退は自壊から始まる。衰退を防ぐには、最高経営責任者である社長が「自壊を招く言動を慎む」ことを実践し続けることが欠かせないが、方法は簡単だ。社長が自己研鑽に努め、経営改善を推進し、今を全力で生きることを愚直に実践するだけである。これらの実践が定着するほど、やるべき事が明快になり、あらゆる成果が大きくなる。当然ながら、社長の人生もより良い方向に導かれる。
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  • 楽しく面白く経営をデザインする3つの重要スタンス
    楽しく面白く経営をデザインする3つの重要スタンス経営をデザインする仕事は、社長業の醍醐味である。しかも、会社経営のデザインがうまくいけば、自分の人生も上向くので、社長業の中でも極めて重要な仕事でもある。この記事では、楽しく面白く経営をデザインする3つの重要スタンスについて、詳しく解説する。社長はデザイナー社長業の面白さはデザインにある。経営者は、会社の最高責任者として、しなやかに、したたかに、すべての事業活動のデザインを自分の裁量で行うことができる。ビジネスモデル、商品やサービス、組織・人脈・人間関係、仕事の仕方・設計・生産性など、デザインできる領域は無限にあるが、事業活動のあらゆる面のデザインを自分の意思で出来ることは、社長業の醍醐味であり、面白さと言っても良いだろう。事業活動のデザインがうまく行くと、それは巡り巡って自分の人生をデザインすることに繋がる。だから、会社経営がうまくいけば、人生もうまくいくスパイラルが回り始める。経営者は、ジョブデザイナーであり、ライフデザイナーでもあるのだ。デザインは常に未完成すべてのデザイン(仕事)は、永遠に未完成だ。なぜなら、時の流れと共に、矛盾が生じ、課題が生じるからだ。この矛盾や課題を解決することが仕事を進化させ、デザインの完成度を高める。しかし、デザインの完成度が高まったからと言って、安心するのは禁物だ。世の中の変化と共に、デザインの完成度は必ず低下するからだ。だから、会社の中だけでなく、外に対してもアンテナを張り、最新の状況を把握することが大切だ。最新の情報・設備・ノウハウ等を誰よりも早くキャッチアップし、創意工夫で社内に取り込む。この繰り返しが、経営デザインの完成度をキープする秘訣になる。何事も、これで完成、これで成功と思った瞬間から、失敗が始めると思ってほしい。デザインを常に刷新する日々新たに、古い仕組み、古いデザインを刷新する。お客様の心を掴む企業の強みは、古い仕事・仕組み・デザイン・商品やサービス等を新しくし続けることで磨かれる。新しい常識を探求する。前例がないからこそやる。豊かな発想を持ち、社員の能力を存分に引き出す。最先端の情報・設備・ノウハウ等を積極的に取り込む、など。日々新たに、古い経営デザインを刷新することが企業の盛衰を大きく左右する。新しいことにチャレンジする時は、決まって反対意見が出るものだが、皆が反対するから新しいのだ。チャレンジの壁が高いほど、得られる成果も大きくなる。だからこそ、怖がらずに最初の一歩を踏み出すことが大切だ。
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  • 企業がイノベーションを起こすために必要な3つの経営姿勢
    企業がイノベーションを起こすために必要な3つの経営姿勢イノベーションは、企業の生命線になる。時代の流れと共にイノベーション(変革・革新)を起こし続けなければ、企業が提供する付加価値が陳腐化するからだ。この記事では、企業がイノベーションを起こすために必要な3つの経営姿勢について、詳しく解説する。独創力を鍛える至るところでAI(人工知能)が活躍し、膨大な情報に囲まれた現代社会において、独創力こそが人間が発揮できる最大の価値になる。定形文を使わず、自分の言葉で伝える。人の意見ではなく、自分の意見を持つ。自分の言動に、自分の意思を宿す。相手の考えを聞いたら、自分の考えを伝える。他者を受容しつつ、自分だったらこうする、を常に意識する、など。独創力を鍛えるコツは沢山あるが、独創力を鍛えるほど自己のアイデンティティが明確に周囲に伝わり、この人に会いたい、この人と一緒に仕事がしたい、この人から商品を買いたい等と思わせるイノベーションの種が輝き始める。創造力を鍛えるソニー創業者の井深大氏の人生は創造の精神で一貫していた。人真似・猿真似を嫌い、新しい未来を創造することに生き甲斐を求めていた。部下だった江崎玲於奈氏は「井深さんは温故知新ではなく、未来を考え、今日を知る人だった」と言っているし、部下に対して「10年後ではなく、30年や40年後にはどうなっているしどうなるべきだから、という考え方をしないといけない」と叱咤している。創造と独創の精神を体現し、世界初、世界最小、世界最軽量などの製品を数多く生み出した。自身が掲げた「見本のない産業を創り出す」というビジョンも有言実行した。小さな会社ほど創造と独創が生命線になる。ぜひ見習いたいものだ。ワクワクする仕事を創る企業の成長(イノベーション)はワクワクする仕事が原動力になる。そのためには、社員に対して経営者目線や経営の心得を語るよりも、イノベーションの種がどんどん出てくるように仕向けることの方が大切だ。出る杭は伸ばす。欠点より長所を見る。得意なことだけを一所懸命させる。失敗を成功のプロセスと捉える。商品の強みと弱み、お客様のことを全て知り尽くす。新しいノウハウやテクノロジーをどんどん取り入れる。とにかく、まずはやってみる。ワクワクしながらする仕事は楽しいものだ。自分の人生が面白くなるだけではなく、お客様の喜びも大きくなる。当然、イノベーションと共に企業の新陳代謝もどんどん進み、繁栄のスピードも加速する。ワクワクする仕事を創ることは、社長の大切な務めと心得よう。
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  • 時流を捉え、時流に乗る眼力を養う3つの経営姿勢
    時流を捉え、時流に乗る眼力を養う3つの経営姿勢事業活動が時流に乗った時の成果結果は極めて大きい。やることなすこと、すべてがうまく運び、すべてがうまく収まるものだ。それほどに時流を捉え、時流に乗ることは、企業の盛衰を分かつ重大事と言える。この記事では、時流を捉え、時流に乗る眼力を養う3つの経営姿勢について、詳しく解説する。流れに乗る経営は、流れに逆らわず、流れに流されず、が肝要だ。流れは不思議なものだ。スポーツでも一瞬で流れが変わることがある。人生にも運気の流れは確かにあるし、政治やビジネスの世界においても時流をいかに読むかで盛衰が決まる。流れに逆らわず、一方で、流れに流されず。よき運気の流れを作り、その時流に上手に乗り続けるには、時と場合に応じた流れの見極めがとても重要だ。経営者の仕事は、時流を読むことと言っても過言ではないかも知れない。上手に時流を読むコツは様々あるが、現実を知る、軸足を定める、エゴを捨てる、知見を高める、未来を見通す、他者に尽くす、強い意志を持ち一所懸命に生きる等のポイントを押さえれば、流れを見誤るリスクが下がる。必然的に成功のチャンスに恵まれるだろう。原因と結果を見る原因と結果に、真剣に向き合うほど、時流が見える。結果を受けて原因を改善する、或いは、良い結果を生み出す原因を作る。この何れかのスピードが加速すれば、会社の事業活動は勝手に時流にフィットする。結果を受けて原因を改善するには、数字を見なければならない。事業活動の結果は、必ず数字に表れるからだ。良い結果を生み出す原因を作るには、社員の力量を上げなければならない。会社の数字は、一人ひとりの社員の働きがあって初めて成立するからだ。つまり、数字力を磨き、人財育成に一所懸命取り組むほど、よき原因、よき結果がたくさん生まれ、会社の事業活動が時流にフィットし易くなるのだ。情と理のバランスをとる経営は情と理のバランスが肝要だ。会社経営は、情(熱意・人間味・ビジョン等)一辺倒でも、理(理屈・数字・機械的等)一辺倒でもうまくいかない。やはり、情と理のバランスが大切だ。住友銀行元頭取の磯田一郎氏は「会社が潰れる時は馬鹿が仲良くしている時か、利口が喧嘩をしている時だ」と言ったが、まったくその通りで、情(馬鹿)と理(利口)のバランスが崩れると会社はあっさり衰退する。商品提案は開発背景を情で訴え、機能的優位性を理で訴えると採用され易くなる。値上げは企業努力を情で訴え、採算悪化を理で訴えると許容され易くなる。とにかく、時流に乗って、会社経営を成功させるには、情と理のバランスがとても肝要だ。
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  • 人を育てるのが上手い社長がやっている6つのマネジメント
    人を育てるのが上手い社長がやっている6つのマネジメント人が育てば、業績が伸びる。組織力と業績は比例関係にあり、この法則は、企業繁栄の原理原則である。この記事では、人を育てるのが上手い社長がやっている6つのマネジメントについて、詳しく解説する。原石を磨くダイヤモンドは原石を多面的に磨くことで光の魅力が際立ち、価値が高まる。会社組織も同じで、人財という原石を磨くことで魅力がより際立つ。小さな会社ほど今いる社員で勝負し続けなければならないので、人財という原石をいかに磨くかで、会社の業績や行く末が決まる。トップは一人の独裁でもいけないし、偏った悪平等でもいけない。様々な視点を持って、平等な価値基準で社員一人ひとりの才能を最大限に引き出す努力が必要だ。得手不得手を理解し、人員配置を最適化する。才能を伸ばす一方で、苦手分野は組織全体でフォローする。感謝と労いの言葉をシャワーのように与える。人財という原石を磨くほど、組織の輝きは一段と増す。人を伸ばす人は人で磨かれ、どこまでも伸びる。人に勝る経営資源はない。お金は使えば無くなるし、設備は時間と共に老朽化する。一方、人には無限の可能性があり、才能を伸ばそうと思えば、どこまでも伸ばすことができる。大切なのは、いかに育てるかだ。例えば、短所を直すのはものすごくエネルギーを使うが、長所を伸ばすのは簡単だ。社員に仕事を任せるほど、社員は育つ。無難な人事よりも、意外性のある人事の方が社員も組織も一段と強くなる。これらの原則にのっとった育て方を実践すれば、社員の才能はどんどん開花する。育成方針を決めるのは社長の仕事だが、その時に取れる最良の決断であれば、結果が多少間違っていても大丈夫だ。人は人で磨かれるので、社長が社員を育てる過程そのものが、お互いの成長に繋がるからだ。社長と社員の才能と魅力が高まるほど、よき人財・情報・資金・資源等の成功要因を引き寄せる。つまり、人を育てるほど、会社の繁栄が加速するのだ。前向きであれ経営者は常に前向きであれ。組織力と業績は比例関係にある。だから、元気の良い組織は、お客様から愛され、素晴らしい業績に恵まれる。この組織の力は、トップに君臨する社長の姿勢ひとつで決まるが、とりわけ重要なのは前向きな姿勢だ。泣く暇があるなら笑う、ツキが落ちても悲観しない、うつむくくらいなら上を向いて空を見上げる、考え込むならまずは行動する等、社長の前向きな言動は組織の活力になる。また、真の成功者は常に良いことが起きる人ではなく、常に良い反応ができる人だ。ここで失敗して良かった、この程度の損失で済んで良かった、病気になったけど命は助かった等、失敗、苦労、損失、不調、病気などの悪いことが起きたとしても、前向きに、明るい未来を創造できる人だ。冷静な頭と温かい心経営は「Cool Head, Warm Heart(冷静な頭と温かい心)」が肝要だ。優しくて温かい人柄と、スキがなく冷静な仕事ぶりが同居している社長ほど、この姿勢が身に付いている。温かさ一辺倒だと、社員の甘えが度を過ぎるし、冷静さ一辺倒だと、社員に窮屈な思いをさせてしまう。トップが冷静さと温かさを意識すれば、甘え過ぎず、窮屈過ぎずのバランスの良い企業風土が定着する。また、社員を叱る時は、「褒めて、叱り、褒める」のワンセットがセオリーだが、冷静さと温かさがあれば、ごく自然にこのセオリーを実践でき、社員の才能を潰すことなく、上手に才能開花をサポートすることが出来る。良き背中を見せる誠実に、厳しく自分を監督すれば、部下を監督する必要が無くなる。社員のお手本となる得る社長の背中が見事であれば、社員もそれに倣うからだ。しかし、やりすぎは禁物だ。自分がしんどい時は、自分に対する厳しさを和らげることも必要だ。無理することなく、社員に甘え、関係者に甘え、自分を労わってほしい。自分の弱さをオープンにしてほしい。良寛さんは「裏を見せ、表を見せて、散るモミジ」という歌を詠んだ。私の大好きな一句である。日頃から着飾ることなく、真摯に、誠実に社員に接していれば、時に裏を見せようが、社員の心は離れないものだ。むしろ、社長の魅力が一段と輝く。1日24時間。1年365日1日24時間。1年365日。人は平等に時間を与えられている。その中の仕事時間を一所懸命働くことは当たり前のこと。当たり前ではないのは、仕事以外の時間をどう過ごすかだ。つまり、成長の要因は労働時間ではなく、私生活での時間にある。人は毎日24時間、死ぬまで生き、行動しているが、その行動はすべて自分でコントロールできる。しかも、どんな環境であっても、コントロールできる領域がゼロになることはない。一日は一生の縮図、一生は一日の積み重ねで決まる。仕事を一所懸命して、私生活も精一杯楽しむことが大切で、その姿勢が成長を後押しする学びの量を増やす。会社の業績も人生の豊かさも、時間の使い方ひとつで決まるのだ。
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  • シーズとニーズをシンプルに創造する|イノベーションの起こし方
    シーズとニーズをシンプルに創造する|イノベーションの起こし方新しいビジネスは、時代のシーズとニーズのどちらかに合致した瞬間に生まれる。代り映えのしないビジネスが永遠に持続することなどあり得ないので、時代のシーズとニーズをいかにキャッチするかが、企業の盛衰を決定付ける。この記事では、シーズとニーズをシンプルに創造するノウハウについて、詳しく解説する。シンプルに考える論理的な思考とは物事をシンプルに考えることに他ならない。シンプルな論理思考を心掛けて、物事を単純に考えることが、真の答えにたどり着く近道だ。例えば、複雑化した物事を解きほぐすには、徹底した相対比較(メリット・デメリット等)が効果的だ。どんなに複雑な課題や事象であっても、相対比較で分解すると、物事がシンプル化されて、分析や決断の精度が一段と高まる。また、新しい仕事のニーズやシーズは「なぜ?」から始まる。社会の現状になぜ?という疑問を持って、解決策を考える。お客様の視点から、単純に、シンプルに、商品やサービス、ビジネスモデルを考える。ビジネスがシンプルになるほど、その価値がお客様に伝わり易くなり、大成功を収めやすくなる。ニーズがあれば商売になる今はニーズが顕在化されていない、ヒトマネではない独創的な事業構想であっても、社会に必要とされる商品やサービスなら、必ず事業化できる。成功の秘訣は、ニーズに気がついたら、いち早く、あえて小さく事業をはじめ、丹精込めて事業を育てることだ。植物や生き物を育てるがごとく、手間暇を惜しまず、丁寧に、諦めずに、丹精込めて事業を育て続けることだ。樹木の年輪が大きくなるほど、大木となり倒れにくくなるように、丹精を込めた事業は世の中から必要とされ、繁栄の原動力になるものだ。今どういう事業を抱えているかよりも、今の事業をどう育てるかの方がよほど重要だということだ。ニーズの限界はシーズで突破する売上を作る手段は、社会のニーズに対応した商品を投入するか、社会にシーズ(新常識・新感覚・新技術等)を提案して新しい商品の需要を作るかの二通りがある。会社として目の前のお客様のニーズに対応することは大切なことだが、ニーズばかりに気を取られると、そのニーズの限界点が、売上の限界点となり、場合によってはニーズの廃れと共に、売上が大きく減少する。こうしたニーズの限界点を突破するには、シーズ提案型の営業活動を取り入れると良い。新しいシーズが受け入れられれば、新しい売上がそっくりそのまま増えるからだ。当然ながら、その分野の第一人者になれば、先行者利益も総取りできる。シーズ分野への先行投資の実践度が、会社の未来を決定付けるのだ。
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  • 経営に確かな指針を持ち繁栄の根を張る3つのポイント
    経営に確かな指針を持ち繁栄の根を張る3つのポイント経営指針とは、会社が進むべき方向性を定めたものである。経営ビジョンや経営理念などの企業方針の総称でもあるが、企業のトップである社長が持つ経営指針は、会社の盛衰に大きな影響を及ぼす。この記事では、経営に確かな指針を持ち繁栄の根を張る3つのポイントについて、詳しく解説する。経営指針を持つ社長は、自分の心にしっかりとした会社経営の指針を持ち、関係者の生活に責任を持って、社員と会社を立派に育て、それを次の世代にバトンタッチする責務を背負っている。確固たる経営指針があれば、会社経営の脚本を、自分で書き、自分で演出し、自分の創った舞台で、思う存分に全情熱を傾倒し、その過程で人間としての生き甲斐と、自分らしさを、自分でつかみ取ることができる。逆に、経営指針が無いと、行き当たりバッタリに陥るので、自分の人生(会社経営)を創造する力が極端に低下する。自らの人生を創り出し、人生によって自らをも変える経営指針を確立するには、よき師匠を持つ、全責任を背負う、経験値を積み重ねる、数字と思考で経営を科学する等の方策が有効だ。商売の軸足を定める繁栄のベースになり得る経営指針を確立するには、口先で商売するのではなく、心で商売することが大切だ。口先が上手に越したことはないが、商売は口先よりも、心が大切だ。心根や人間性の稚拙さが露呈すると、一瞬で信頼を失うからだ。お客様の心を打つのは愚直さである。お客様のための言動をコツコツ積み上げる。これだけは絶対に負けないという分野をコツコツ作り上げる。基本に忠実に、約束を守り、できることだけを責任もって引き受ける。愚直な仕事の積み重ねで、相手の心を打つほどに、信用信頼が大きくなり、仕事が新しい仕事を生むスパイラルが回り始める。毎日の仕事をこなしていく中で、「今なにをすることが一番愚直か」ということを常に考えることは、確固たる経営指針を確立する上で、大切な心掛けだ。経営マインドをセットする病気は気からと言うが、経営も気からだ。心配の度が過ぎると胃に穴があくように、経営においても、過度な心配は、チャレンジの芽を潰し、衰退を引き寄せるからだ。結局はマインドが人間を支配する。マインドが個人の言動を支配し、個人を通じて組織の言動をも支配する。だからこそ、組織のトップに立つ社長のマインドが大切になる。また、最後までやり切れるか否かは、最後の砦を乗り越える一歩をいかに克服するかにかかってくるが、これもマインド一つで結果が変わる。健やかで強靭なマインドを保つには中庸が肝要だ。常にフラットな立ち位置で自分を律する。ニュートラルな思考で物事を観察する。悪平等に偏らず、公平な基準で物事を判断する。攻めと守りの行動量をバランスよく増やす。マイナスの事象からプラスを見出す、など。マインドが中庸を保っていれば、決断の精度が高まり、事業活動の成果が大きくなる。また、経営姿勢や経営指針の迫力も増すので、新しい社員や新しいお客様を引き寄せる企業の魅力が一段と輝く。
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  • 社長の品格が会社の盛衰を決める|一流と二流を分かつ品格の重要性
    社長の品格が会社の盛衰を決める|一流と二流を分かつ品格の重要性経営者は上品でなければならぬ、というのは私の持論である。一流芸人の明石家さんま氏も、芸人の一流と二流を分かつのは「上品さ」と言っているが、とにかく、言動が上品であれば、周囲の助けも、成功のチャンスも自ずと増える。この記事では、社長の品格が会社の盛衰を決める理由、並びに、一流と二流を分かつ品格の重要性について、詳しく解説する。企業の品格を高める今の時代、経営者のみならず、企業においても上品さが大切だ。数字だけで企業の良し悪しが評価される時代はとっくに終わり、良い数字だけでなく、企業の品格・倫理・文化性が大きく評価される時代だからだ。企業の上品と下品を分かつポイントは、世のため、人のための仕事が組織にしっかり定着しているか否かである。第二次世界大戦から奇跡的に生存したワコール創業者の塚本幸一氏は、終戦直後に「これからの人生は、死んだ戦友達に変わって世のために生きる」と決心し、世界一の下着メーカーを創り上げた。晩年「格好よく言えば、わたしは女性を美しくすることに生涯をささげてきた。まことに幸せな人生であった」と述懐しているが、まさに世のため人のための仕事を貫徹した人生だった。また、その延長線上に素晴らしい品格・倫理・文化性を持った企業像を築き上げた。経営者の品格が企業の品格を創る好例と言えるだろう。何事も人の為にあらずもっとも人を幸せにする人が、もっとも幸せになる人である。つまり、社長が、たくさんの社員・取引先・お客様を幸せにすれば、自分がもっとも幸せになる。お金に余裕がなければ人を幸せにできないかというと、そんな事はない。身を粉にして働き、社員・取引先・お客様に喜びや楽しみ、勇気や希望を与えることでも人を幸せにすることができる。自分の幸せは、他者を幸せにすることで得られる。他者に尽くすのは自分のため。何事も自分の幸せのために働き、人に尽くし、汗をかくのだ。自利利他の精神の如く、他者の利益を最大化すれば、自ずと自分の品格も利益も最大化される。最高の引き際を演出するホンダ創業者の本田宗一郎には藤沢武夫という相棒がいた。モノづくりは本田、おカネは藤沢という役割分担で、既成概念に捉われることなく、何にでも果敢に挑戦し、何度失敗しても起き上がり、二人三脚で小さな会社を大企業に育て上げた。一定数の後進が育ち、藤沢が副社長を辞する意思を表明した時、本田は間髪入れず「俺も一緒に辞めるよ」と言い、親族でもない45歳の河島喜好に社長を任せて、あっさり身を引いた。この時、藤沢61歳、本田65歳である。一見すると最高の引き際かも知れないが、人財が豊富な大企業がなせる業とも言える。中小企業は、社長自身の衰え、後継者の力量、後継者育成の時間等を念頭に引き際を逆算し、先手必勝で打つべき手を打つと、最高の引き際が演出できる。
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  • 企業経営を独学で学ぶ効果はあるのか?|経営を学ぶ効果的な勉強法
    企業経営を独学で学ぶ効果はあるのか?|経営を学ぶ効果的な勉強法企業経営の成果を上げるためには勉強が不可欠だが、勉強の仕方は二通りの方法がある。一つは、自分で勉強する「独学」、もう一つは、専門家の知恵を借りる「通学」だ。独学で勉強することは素晴らしいことだが、確実なのは後者の通学だ。正しい知識を効率よく習得できるし、何より、社長には時間のゆとりがないので、費用対効果を考えても、初めから専門家を活用した方が良い。経営の現場では専門的な知見がないと決断を誤るリスクが高まる。しかも、小さな会社ほど重要な決断が社長に集中するので、なおさらだ。但し、専門家や先生選びはくれぐれも慎重に進めることをお薦めする。ビジネスの成果は、誰から何を学ぶかで大きく変わり、教わる内容の良し悪しが、そのまま成果を決定付けるからだ。決して、こちらのニーズを見失うことなく、先生の肩書や経歴に惑わされることなく、心眼を開いて選んでほしい。社長が経営を学ぶ効果は大きい社長が経営を学ぶ効果はじつに大きい。社長が学ぶことで企業経営の成果が大きくなるだけでなく、社員の成長も加速するからだ。社員にとっての先生は社長である。社員は、社長の一挙手一投足を見て育つ。だからこそ、社長は自己研鑽するための勉強が不可欠になるし、そのための先生選びが重要になる。誰を先生に選ぶか、どの先生から学ぶかで、事業活動の成果、ひいては、社長の力量や社員の力量が決まるのだ。わたしの経営サポート先の経営者の最高齢は84歳(申込当時)だ。会社経営に真摯に向き合っている経営者ほど、全く違う知識や考えを持った人との対話から進歩が生まれる、或いは、自分のモノサシでは計れない交流が多いほど進歩が加速する、といった成長の法則を弁えていて、年齢やジャンルの垣根を越えて、熱心に経営の勉強に取り組んでいる。また、経営者は孤独な稼業なので、至らなさや過ちを忠告してくれる人間が周りからいなくなる。成長するためには、自分を奮い立たせ、自分を律し、自分を正す必要があるが、経営者という立場がどんなものであるのか、社長業という仕事がどんなものかを深く理解している社長ほど、熱心に勉強している。
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  • 経営を学びたい社長は何を学べばよいのか
    経営を学びたい社長は何を学べばよいのか経営を学びたいと思っている社長はじつに多い。一方で、経営を学ぶにも、そもそも何を学んでよいのか分からないと悩んでいる社長も意外と多い。この記事では、経営を学びたい社長は何を学べばよいのかについて、詳しく解説する。経営を学ぶ動機経営を学ぶことは、社長や起業家だけに限らず、経営感覚を身につけたいビジネスパーソンや社長の座を目指す経営幹部など、幅広い層に定着している。経営を学ぶ動機は社長のステージによって変わるが、会社経営を担う現役社長、或いは、会社経営を志す起業家や後継者に限って言えば「会社経営の成功」が大きな動機になる。会社経営には失敗リスクがつきものなので、現役社長であれ、起業家や後継者であれ、会社経営を成功に導くために経営を学ぶことはごく自然なことであり、成功への欲求が強い社長ほど本能的に経営を学ぼうとしている。会社経営の成功理論は時の経過、或いは、会社の規模や成長ステージと共に変化するので、経営を学ぶ動機は絶えることがない。つまり、どんなに成功しても、どんなに年齢を重ねても、経営の学びに終わりはないのだ。経営を学ぶ手段経営を学びたい社長はじつに多いが、一方で、経営を学ぶことに悩みを抱える社長もじつに多い。そうした悩みを抱える背景にあるのは、経営を学ぶ手段が多種多様に用意されていることが一因と推察する。経営を学ぶ手段は経営書籍や経営セミナーなどの情報商材、或いは、経営コンサルティングファーム等の経営サポートがあるが、有名無名の提供元を含めるとその数は膨大であり、多種多様だ。しかも、積極的に経営を学んでいる社長の会社の業績がなかなか上がらない現実を目の当たりにして、経営を学ぶことや経営を学ぶ様々な手段に対して不信感を抱く経営者も珍しない。このような背景もあり、自分の現状にフィットした経営を学ぶ手段にめぐり合える社長は、実際にはなかなか多くないのが現状だ。経営を学ぶ内容自分の現状にフィットした経営を学ぶ手段にめぐり合うには、経営を学ぶ内容を明快にすることが必須条件になる。なぜなら、経営を学ぶ内容が明快になるだけで、経営を学ぶ手段を選ぶ基準が明確になるからだ。経営を学ぶ内容は、社長のステージによって変わるが、例えば、社長の必須スキルであれば、リーダーシップ、コミュニケーション、マネジメント、経営哲学、事業構想、数字力などがある。また、組織運営スキルは人事制度、社員教育、コーチング等、事業運営スキルは専門知識、投資知識、財務会計知識、マーケティング等、成長戦略スキルは最新ノウハウの活用術、経営計画、ファイナンス、新規開拓の戦略論など等、経営を学ぶ内容は多岐にわたる。経営を学ぶ内容を明快にするには、社長のステージ、或いは、現状抱えている経営課題や悩みの本質を捉えることが大切で、ここを間違えると、経営を学ぶ内容のピントがずれて、学んだことが会社経営に役立たない結果を招きかねない。経営を学ぶにも、そもそも何を学んでよいのか分からないと悩んでいる社長ほど、社長のステージ、或いは、現状抱えている経営課題や悩みの本質を捉えるための自己分析が不十分なので、くれぐれも気を付けてほしい。
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  • 経営を学んだ社長はどう実践に活かせば良いのか
    経営を学んだ社長はどう実践に活かせば良いのか経営を学ぶことは素晴らしいことだが、最も重要なことは学んだことを実践に活かすことだ。じつは、積極的に経営を学んでいるにも関わらず、会社の業績がなかなか上がらないケースは珍しくない。この記事では、経営の勉強を実践に活かす方法について、詳しく解説する。経営を学んで活かすには?経営を学んでいるにも関わらず、会社の業績が上がらないのは、社長の経営を学ぶ姿勢に問題があるからだ。例えば、経営を学ぶ目的が曖昧になっている、或いは、経営を学ぶこと自体に満足してしまい、実践ではなく学ぶことが目的化している等は良くある失敗パターンになる。経営を学び、その知識を実践に活かすには、第一に学ぶ目的を明快にすることが欠かせない。そして、社長自身の弱点を克服する勉強テーマ、或いは、会社が抱えている経営課題を解消する勉強テーマに焦点を合わせることも不可欠だ。明快な目的と勉強テーマのもとで経営を学べば、学ぶほどに社長の経営能力、或いは、会社の企業力が向上し、学んだことが自然と業績に反映される。【関連記事】経営を学びたい社長は何を学べばよいのか効率的に経営を学ぶ方法経営を学ぶにも社長には時間的にも精神的にも余裕はない。中小企業等、小さな会社の社長ほど時間に制約があるため、効率的に経営を学ぶ方法を定着させなければ、学びの内容が断片化し、学んだこと実践に活かすのが難しくなる。効率的に経営を学ぶうえで大切なことは、将来を想定して事前に学ぶことだ。繰り返すが、一度、社長になるとなかなか時間の余裕は作れない。従って、社長になる前の起業家や後継者の立場で、或いは、経営幹部になる前のビジネスパーソンの立場で事前に経営を学ぶことが重要で、事前に学んだ内容や時間が充実するほど、学んだことがその後の会社経営に活かされる。また、書籍や経営セミナー等の情報商材を日常的に取り入れて、経営知識の幅を広げることも有効で、この手の情報商材に慣れるほど、選別眼が鍛えられ、経営を学ぶ効率が高まる。さらに、社長自身の弱点や会社の経営課題を放置しないために、その筋の専門家に学んで、弱点なり課題を素早く解消することも経営を学ぶ効率を格段に高めてくれる。経営を学び実践で活かす方法学んだ知識が会社経営の現場で通用しなかった、ということは誰しも経験があると思う。学んだ知識が通用しないのは当たり前で、学んだ知識は必ず自分の会社の経営環境に合わせて、アレンジしなければならない。なぜなら、会社の経営環境は十人十色で、しかも、会社経営の成功理論は、世の中の進化や時間の経過と共に絶えず変化するからだ。学んだことをそのまま会社経営に実践することは危険なことで、場合によっては、業績悪化を招く一手になることもあり得る。積極的に経営を学んでいるにも関わらず、業績がなかなか上がらない症状が出ている会社は学んだことのアレンジが不足している可能性が高いので、くれぐれも気を付けてほしい。
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  • 小さな会社の社長道|社長業を極める5つの経営スタンス
    小さな会社の社長道|社長業を極める5つの経営スタンス企業は社長の力量以上に大きくならないと言うが、本当にその通りである。とりわけ小さな会社ほど、その傾向が顕著に出るため、日頃の社長業の精度が、そのまま会社の盛衰に直結する。この記事では、社長業を極める5つの経営スタンス、小さな会社の社長道について、詳しく解説する。社長とは社長とは。。。社長はタフでなければ務まらない。優しくなければ務まらない。社長は権力者ではなく、責任の所在だ。すべての責任を受け止める度量が必要だ。社長は社員にとっての師だ。社員は、才能を見つけてくれる、育ててくれる、励ましてくれる師を求めて人生を歩いている。社長の時間は有限だ。時計の針は時間を刻んでいるのではない。自分の命を刻んでいるものと思い、くれぐれも時間を無駄にしないことだ。社長が磨くべきスキルは人間的魅力だ。社会が、社員が惚れる魅力が最大の武器になる。魅力を武器に周囲から必要とされる人間になることだ。周囲から必要とされる人間は、いつまでも繁栄する。一流に触れる一つのことを極めた人は他の分野においても通じることを表した「一芸は道に通じる」ということわざがあるが、料理人も例外ではない。帝国ホテル元料理長の村上信夫氏は「料理人にこれでよいということはない。いくつになっても研究を続ける。また、料理人は感情が動くと、味付けがまとまらない。だから本物の料理人は泣いたりわめいたりしないものだ」と言ったが、社長業の極意に通じる。女性料理家の草分け的存在の辰巳芳子氏は「本物の料理人にはエゴがない。素材と向き合い、素材を見極め、素材が一途美味しくなるように、自分のエゴを一切なくすことこそ、料理人の本分である」と言ったが、人財育成の極意に通じる。一流の社長になりたければ、一流のものに触れるのが一番だ。手軽に書籍で学ぶもよし、美味しいものを食べるもよし、美しいものを見るのもよし、とにかく一流のものは目を養い、知見を広め、己の力量を磨いてくれる。批判を恐れない新しい分野、誰もやらなかった領域に、次の時代の新しい常識やビジネスが控えている。時代の先を行く者には必ず批判がついて回るが、批判を恐れないでほしい。人類史上、批判されたことがない人間は一人も存在しない。世界中から聖人と崇められているブッタやキリストでさえ批判の対象になった。批判されることは当たり前の自然現象であり、誰からも批判されない人間など、この先も現れないだろう。人間は影響力を持つほどに批判され易くなるので、もし誰かから批判されたら、自分、あるいは、自分の会社の影響力が大きくなったと思えばよい。その時は、くれぐれも批判と敵対して無駄なエネルギーを消耗しないことだ。腹を立てても構わないが、時間をかけてでも批判を受容し、自分の思考や度量を広げ、人間的な魅力や影響力をどんどん磨いてほしい。そして、批判を恐れず、自分が正しいと思う道を突き進むことに全エネルギーを費やすことを切にお薦めする。逆境はチャンス会社経営には好不調の波が必ずある。好景気や追い風の時に業績を伸ばすことも大切だが、不況や逆境をチャンスと捉えて、業績の地盤をしっかり固めることも大切だ。いかんせん好景気や追い風の時は、少ない努力で経営がうまく行きがちになる。社長だけでなく、社員も好業績に浮かれ、興奮し、身勝手な行動に繋がることも少なくない。不況や逆境時は、こうした緩みを引き締める絶好のチャンスだ。ムダムラをそぎ落とし、付加価値を高め、競争力を極限まで引き上げる。好景気や追い風がやってきた瞬間に努力が花開くよう、打つべき手をコツコツ積み上げる。企業だけでなく、個人においても不遇の時は力量を磨く良き時期と捉えると良いだろう。真実を極めるたった一人の人間を騙し続けることはできるかも知れない。また、一時であれば、世間を騙すこともできるだろう。しかし、多くの人間や世間を永遠に騙し続けることはできない。真実でなければ、本物でなければ、何れメッキが剥がれ、嘘が露呈し、見向きもされなくなる。あるいは、信用が失墜し、二度と商売が出来なくなるかも知れない。長くビジネスを続けようと思ったら、真実を極めるのが最も近道だ。商品やサービスは何でも構わないが、真に社会に役立つもの、お客様の豊かさに貢献するもので勝負することが肝要だ。真実をコツコツ積み上げる作業は大変地味で、途方もなく手間と時間がかかるものだが、そうした努力は経営基盤を盤石にし、多くのお客様を魅了する強みの源泉になる。小さな会社ほど大切にしたい経営姿勢である。
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  • 小さな会社の信用力を高める3つの経営姿勢
    小さな会社の信用力を高める3つの経営姿勢小さな会社は信用力が売上に直結する。会社の信用が仕事を生み、仕事を通じて得た信用が積みあがるほど、新しい仕事(売上)に恵まれるからだ。この記事では、小さな会社の信用力を高める3つの経営姿勢について、詳しく解説する。平凡に徹する平凡とは、当たり前のことを当たり前にやることだ。事業活動においては、仕事を通じてお客様に尽くすことが平凡の極みになる。平凡な人生を送ることが難しいように、平凡なことを実践することは意外と難しいものだ。しかし、ごく当たり前の平凡の積み重ねなくして、平凡から抜け出すことも、非凡の境地に達することもできない。目先の売上を追いかけるのではなく、社員を売上の犠牲にするのではなく、全社一丸となってお客様に尽くす仕事に徹することが、会社の非凡(強み)を育てる唯一の方法である。小事は大事小事は大事とは、小さな事でもいい加減に扱うと大事(おおごと)に繋がるので、何事も疎かにしてはならないという例えだ。立川ブラインド創業者の立川孟美は、「投機的な行動を忌み嫌い、その都度いただいた仕事を誠実にやってきた。小さくても地味でもいい、着実な、汗を流せば成果が得られる仕事だけをしてきた自負がある」と成功の秘訣を述べている。このように、小さな仕事に全力で取り組めば、最初は小さな成果であっても、繰り返すほどに成果が大きくなるものだ。小事は大事と思って、今この瞬間を一所懸命、誠実に生きる経営姿勢が、大きな信頼と成果に繋がるのだ。失敗を活かす素晴らしい経営者ほど失敗に敏感だ。自分の失敗を活かすだけでなく、他者の失敗にも目を向けて、教訓を得ている。自分の失敗を活かさない人は、じつに勿体ない人だ。自分の失敗だけを活かしている人は、人生が何回あっても足りないので、少し勿体ない人だ。自分の失敗だけでなく、他者の失敗をも活かす人は、成長のスピードが極めて速く、たった一回の人生で大きな成功を収める人だ。誰かの失敗は、誰かの成功の裏返しである。こう考えると、他者の失敗に学ぶことが、いかに大切かが分かる。そして、失敗の少ない人間は、必然的に大きな信頼を引き寄せる。
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  • 小さな会社の経営スピードを上げる3つのマインド
    小さな会社の経営スピードを上げる3つのマインド小さな会社はスピードが命だ。中小企業は、すぐに動けることが、大きな会社に勝る最大の強みだからだ。この記事では、小さな会社の経営スピードを上げる3つのマインドについて、詳しく解説する。まずはやってみる小さな会社はスピードが命だ。議論や評価から始めるのではなく、まずは小さくやってみる、やらせてみることから始めよう。やってみて失敗しても大丈夫だ。失敗の経験値が上がれば、失敗を成功に転換する力量が上がるので、チャンスの機会が必然的に増える。一番勿体ないのは何もやらないことだ。失敗の経験値も上がらないので、チャンスをものにする力が身に付かない。会社経営はやってみないと分からないことだらけである。まずはやってみる姿勢が、成功を引き寄せる近道だ。何でもできる今からでも出来ると思うか、今からでは出来ないと諦めるかで、その会社の10年後の業績は大きく変わる。やろうと思えば何でもできる。やるかやらないは自分で決められる。今からでも出来ると常に言い続ける企業は、新しい何かを絶えず生み出し、未来の可能性をどんどん切り拓くだろう。企業の盛衰を決めるのはライバルでもなく、経済環境でもない。社員一人ひとりの言動(口癖)だ。素直で、前向きで、誠実かつ綺麗な言動が定着すれば、チャンスは向こうからやってくる。今の言動ひとつで未来が決まるのだ。どうなるか。どうするか。どうにかなる、という考えで今の事業活動に満足するのではなく、どうなるか、どうするかを絶えず考え、事業活動の行動領域を増やすことが企業繁栄の大原則だ。計画を作ったら即実行する。検証・協議よりも小さくやってみる。絶えず改良、絶えずチャレンジする。無駄を見つける眼を開くなど、事業活動の行動領域が増えれば、会社は自然と繁栄する。現状に満足せず、更なる高みを目指す。すぐやる、必ずやる、できるまでやる。とにかく、常に「どうなるか、どうするか」を考えていれば、繫栄を加速する経営姿勢が定着するものだ。
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  • 小さな会社の生産性を高める3つの正攻法|中小企業の生産性向上策
    小さな会社の生産性を高める3つの正攻法|中小企業の生産性向上策小さな会社は生産性が肝になる。生産性向上、つまり、経営資源の最大化と最適化が企業の盛衰を分かつからだ。この記事では、小さな会社の生産性を高める3つの正攻法(中小企業の生産性向上策)について、詳しく解説する。生産性の改善生産性は企業の生死を決定付ける。しかし、人を酷使して生産性を上げようとしてはならない。社員の疲弊、社員の離職、社員の使い捨てを招き、加速度的に衰退するのがオチだ。生産性は、最新の機械・仕組み・ノウハウの導入で高めるのが正攻法だ。成長投資の原資が出来たら、どんどん機械等に投資して、生産性を高めてほしい。そうすれば、企業の生産性が高まり、社員の仕事が楽になる一方で、顧客サービスの質が高まる。そのためには、利益を出して、現金を増やすことが大事だ。最低限、粗利の10%以上、できれば20%以上の営業利益が稼げれば、成長投資のサイクルが綺麗に回り始める。些少の利益で満足するのは禁物だ。売上拡大と共に利益拡大を常に意識しよう。情報を取りに行く情報は決断の質を大きく左右する。そして、決断の質は生産性に大きな影響を及ぼす。だから、情報が上がってくるのを待っていてはダメだ。情報は自分で取りに行き、いち早く、正確な状況を取り込むことが肝要だ。とかく悪い情報、現場の最先端の情報は取りに行かないとキャッチアップできないものである。当然ながら、こうした情報に疎いと、間違った決断に直結するリスクを常に抱える。社員への声掛けや労り・現場巡りは社長の日課にして、時には同行営業や抜き打ち現場訪問など、会社の真実を知るための仕組みを社長自身が意識的に作ることが大切だ。優れた情報が手元にあれば、会社経営は必ずうまくいく。代替わりの盛衰社長が代替わりするたびに繁栄する会社と衰退する会社の違いは一つだ。安定を求めるか、不安定を求めるかの違いである。自分の代は何事もなく安定してさえいればそれで良いと考えれば、その会社は間違いなく衰退する。逆に、自分の代で更なる成長を実現するために、積極的に不安定(挑戦・改良・改革等)を求める会社は確実に成長する。社長業を引き継ぐ後継者の本分は、会社を一時、お預かりして、前にも増して良い状態で次世代にバトンタッチすることだ。安定にあぐらをかいた経営は危険だ。常に不安定を求める経営姿勢が、成長基盤を盤石にするのだ。
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  • 小さな会社の資本力を大きく強化する方法|資本力とは何か?
    小さな会社の資本力を大きく強化する方法|資本力とは何か?すべての会社は資本金を元手に、事業活動をスタートさせる。この資本金を経済活動に投じることで資本力(現預金・機械建物等)が大きくなり、資本力が大きくなるほど、会社の繁栄が加速する。この記事では、資本力とは何かについて、並びに、小さな会社の資本力を大きく強化する方法について、詳しく解説する。資本力とは何か?資本力とは何かについて、詳しく解説する。資本力とは、事業活動を展開するうえで必要な経営資源・基盤・財産の大きさを表す指標のことだ。具体的には、現預金、機械建物等の固定資産、有価証券やソフトウエア等の無形固定資産、創業費やのれん代等の繰延資産の総和が資本力を表す。この資本力の源泉は、開業資金(資本金)だけでなく、借金などの他人資本、事業収益で獲得した純資産・自己資本があり、資本力の源泉が豊かなほど、資本力が強固になり、大きな事業展開が可能になる。この他にも資本力の解釈は様々あり、例えば、起業するのに必要な基金の大きさ。新たなビジネスに投じる資本、又は、過去の事業活動が生み出した資本の大きさ。自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、総資本利益率(ROA)、総資本回転率等の経営指標を活用するケースもある。資本力は借金で強化できるのか?資本力は、他人資本(借金等)と自己資本(資本金と純資産)の2つが源泉になる。ここで重要なポイントは、借金等の他人資本も会社の資本力を構成する立派な源泉になる、ということだ。例えば、資本力を強化するために、年間100万円の利子と返済負担(自己資本)で、1,000万円の借金(他人資本)をすることは、事業拡大のスピードを加速する賢い手段と言える。僅かな自己資本で資本力を大幅に強化することができるので、起業や新規事業を展開する際の資金的ハードルを大きく引き下げることができる。さらに、利子と返済負担を上回る収益が得られれば、資本力は更に大きくなる。注意すべき点は、他人資本を活用する場合は、必ず利子を含む返済負担を超える収益をキープすることだ。この部分をおざなりにすると、他人資本の活用が仇となって、資本力が一気に弱体化することがある。小さな会社の資本力を強化する方法最後に、小さな会社の資本力を強化する方法について、詳しく解説する。小さな会社が資本力を強化する極意は、資産の最大活用、ほどほどの借金、純資産の蓄積の3つのポイントが重要だ。資産の最大活用は、お金や機械等の資産の費用対効果をしっかり検証し、資産活用の精度を上げれば、保有資産が大きな資本を生むスパイラルが確立される。特に、事業活動の成果を生み出す社員に対する投資は資本力を大きく左右する。ほどほどの借金は、レバレッジ(小さな自己資金で大きな収益を得ること)が効いた事業活動が展開できるので、ある程度は必要だ。また、返済実績を作ることで、借入の手続きが簡素化されるメリットもある。純資産の蓄積は、小さな会社が資本力を強化するうえで一番大切なポイントだ。最低目標は売上総利益高営業利益率10%以上の収益を毎年上げることで、収益が大きくなるほど、資本力が年々強化される。小さな会社ほど、資産の最大活用・ほどほどの借金・純資産の蓄積、この3つのポイントを押さえた会社経営を実践することが大切で、小さな成果をコツコツと積み上げるほどに、資本力が大きく強化される。
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  • 経営を学ぶ方法|学生・社会人・経営者に適した社長業の勉強法
    経営を学ぶ方法|学生・社会人・経営者に適した社長業の勉強法起業のために経営を学ぶ、会社経営に興味が湧いたから経営を学ぶ、社長の立場で改めて経営を学ぶ等、経営を学んでいる学生・社会人・経営者はじつに多い。経営を学ぶ動機(ニーズ)と同様、経営を学ぶ方法も、大学の商学部や経営学部、社会人向けのMBAスクールやビジネスカレッジ、各種経営セミナーなど多種多様にある。この記事では、社長業の成功に役立つ経営ノウハウを学ぶ方法、並びに、学生・社会人・経営者に適した社長業の勉強法について、詳しく解説する。経営を学ぶ動機は何か?経営を学ぶ動機の数ほど、経営を学ぶ方法がある。大学の商学部や経済学部、MBAスクール、簿記会計スクール、中小企業診断士コース、各種経営セミナー等、学ぶ手段は多種多様だ。経営を学ぶ方法の選択肢が数多にある中で、勉強の成果をしっかり出すには、学ぶ動機を明快にすることが大切だ。動機が分かれば、学ぶ方法が最適化されるからだ。例えば、就職が目的で経営を学ぶのであれば経済系の大学に入れば良いし、ビジネススキルを磨きたいのであればMBAや簿記会計スクールに通えば良い。コンサルタントとして独立したいのであれば中小企業診断士コースを受講すればよい。すでに社長業をスタートしている経営者が経営を学びたい場合は、会社が抱えている課題解決に役立つセミナーや自分のスキル不足を研鑽するセミナーを受講すればよい。とにかく、ニーズが明快になるほど、学ぶ方法が明快になり、学んだ成果が大きくなり易い。経営を学び、実学に活かす経営を学ぶことは、将来の成果を拡大する先行投資の一つと言える。従って、経営を学ぶことだけに満足するのではなく、学んだ経営の知見を会社人生や社長業などの実学にしっかり活かすことが何よりも大切だ。実学なき学びに陥ると、経営を学ぶことだけ、或いは、資格取得やスクール通いだけが目的になり、せっかくの貴重な時間・労力・お金が無駄になりかねない。起業するため、社長になるため、会社経営を充実させるため等の確固たる目的意識を持って経営を学ぶことが大切で、そうした意識が強いほど、学んだ知識が実学に活かされる。経済系の大学、MBAスクール、簿記会計スクール、中小企業診断士コース、各種経営セミナー等を通して経営を学ぶ人間は年間数万人を優に超えると思うが、経営の学びが成功に役立つか否かは、実学に活かす意識一つで決まるのだ。実業に学ぶ経営の勉強に勝るものはない社長になるために経営を学ぶのであれば、実業に勝る勉強法はない。実業(会社経営)の経験値を磨くほど、社長の能力が高まり、ビジネスで大きな成功を収めやすくなるからだ。また、机上の勉強では失敗体験ができないが、実業では成功体験よりも失敗体験の方が圧倒的に多い。当然、失敗の経験値が高まるほど成功の手段が洗練されるので、少ないチャンスをものにする力量が一段と磨かれ、成功の可能性も一段と大きくなる。人生は一度きりで、時間は有限なので、起業のアイデアや社長業にチェレンジする気概があるのであれば、思い切って実業に飛び込み、実業を通して経営を学ぶことが、じつは一番効率的な勉強法なのだ。世界的企業であるGMの創業者は中卒、シャネルの創業者は小卒、松下電機の創業者は小学校中退、大学を中退して大企業を創った経営者も国内外に数多にいる。現役社長も、学業ではなく、実業で成果を出した人の方が圧倒的に多い。もし、起業するタイミングがまだ訪れない場合は、先行して実業で成功している人を訪ねて、どんな勉強が身になるのかをヒアリングし、そのアドバイスを素直に受け入れ、一所懸命、勉強すれば良い。勉強を継続するほど、起業の道が開けるだろう。社長業で成功するために必要な学び社長業で成功するために必要な学びについて、詳しく解説する。社長業で成功するために必要な学びは数多にあるが、特に重要な学びは、ビジネスの構想力・人心掌握術・専門家の活用術だ。ビジネスの構想力は、起業のアイデア、飛躍のチャンス、イノベーションの源泉などを生み出すので重要な学びになる。意図した方向へ他人の心をうまく向かわせる人心掌握術も重要な学びだ。ビジネスは一人では成立しない。一緒に働く仲間、商品等を購入してくださる顧客がいて初めて成立する。また、1億、10億、100億の壁を突破するには右腕やブレーンの存在が欠かせない。人を惹きつけ、人を巻き込み、たくさんの人を味方につけてビジネスを大きく育てるには、人心掌握術が極めて重要で、この学びは、会社経営の大成功を左右する肝といっても過言ではない。専門家の活用術も重要な学びだ。会社経営に関わる全てのことを独りで出来る社長は一人もいない。重要なのは、不得意なことや分からないことにすぐに対応できる右腕や専門家を常に抱えることだ。特定分野が得意な社員やブレーン、税理士・弁護士・経営コンサルなど、専門家を上手に活用すれば、会社経営の知見レベルと仕事の精度を一瞬で高めることができる。当然、仕事の精度が高いほど、顧客からの支持率が上がり、ビジネスで大成功を収めやすくなる。専門家との交流はなるべく若いうちから始めることをお薦めする。現役社長が経営を学ぶうえで注意すべきポイント最後に、現役社長が経営を学ぶうえで注意すべきポイントについて、詳しく解説する。現役社長の学びの手段は、書籍、経営セミナー、社長交流会、経済団体での勉強会等、いろいろあるが、大切なポイントは、学んだことを鵜呑みにしないことだ。この世に同じ人間が存在しないように、会社が100社あれば100通りの成功パターンがあり、社長が100人いれば100通りの成功パターンがあるものだ。書籍やセミナーで学んだ他社の成功事例や過去の成功事例をそのまま会社経営に導入しても、うまく行くことは稀で、たいがいは失敗する。大切なのは、自社の経営環境に合わせて、学んだノウハウをアレンジすることだ。会社経営は生き物と同じなので、周囲の環境が刻々と変わる。過去に失敗したことが成功することもあるし、過去に成功したことが失敗することもある。こうした前提を理解し、学んだことを常にアレンジできる社長は、応用力や発想力に優れ、会社経営で成功し易い。
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  • リーダーシップを学ぶ|社長の求心力・統率力・実行力
    リーダーシップを学ぶ|社長の求心力・統率力・実行力リーダーシップは、成功社長の必須スキルといって過言ではない。経営資源に限りのある中小企業ほど、社長のリーダーシップで会社の成長が決まるからだ。この記事では、リーダーシップの基本概要からリーダーシップを学ぶための基本ノウハウに至るまで、詳しく解説する。リーダーシップとは?リーダーシップの概念は古くから様々な議論がなされ、定義も多岐にわたる。例えば、社長学的には「地に足のついた経営哲学を持ち、高い目標を掲げ、その実現体制を構築し、組織の意欲と成長を高めながら、目標必達をけん引する言動」がリーダーシップの定義になる。一般的なリーダーシップは、集団の指導者によって発揮される影響力をいい、心理学的なリーダーシップは、集団目的の達成における集団の活動に影響を与える過程と定義されている。リーダーシップの概念が誕生した時期は定かではないが、古くから軍事家の間で議論されていて、例えば、紀元前500年代に活躍した軍事思想家の孫子、19世紀前期に活躍した軍事学者のカール・フォン・クラウゼヴィッツ等は、リーダーシップが勝敗を分かつ重要なスキルと考えていた。リーダーシップの資質リーダーシップの資質は、多くの軍事家が言葉に残している。古代の軍事家である孫子は「智」「信」「仁」「勇」「厳」をリーダーシップの資質に挙げており、クラウゼヴィッツは「知性と情熱を兼ねる高度な精神」「危険を顧みず自身の行動に責任を負う勇気」「不確実な事態における洞察力」「洞察に基づく具体的な行動する決断力」等をリーダーシップの資質に挙げている。近代の軍事家においても、例えば、大日本帝国陸軍においては「高邁の品性」「至深の温情」「堅確な意思」「卓越した識見」をリーダーシップの資質に挙げており、アメリカ海軍においては「忠誠」「肉体的精神的勇気」「信頼」「宗教的信仰」「ユーモアのセンス」「謙虚」「自信」「常識」「判断力」「健康」「エネルギー」「楽天主義」等をリーダーシップの資質に挙げている。リーダーシップの形成リーダーシップの形成は、古くから先天的能力と考えられていたが、20世紀中期にリーダーシップ論の世界的権威として活躍したジョン・アデアの理論によって、後天的に形成できる能力として認知されるようになった。ジョン・アデアは世界で初めてリーダーシップ学を確立した人物で、リーダーシップの資質として「誠実さ」「熱意」「思いやり」「冷静さ」「厳格にして公正」を一例として挙げており、リーダーは自分のチームに期待されている資質を具体的に示さなくてはならないとしている。さらに、リーダーシップの資質は、程度の差はあれ、訓練と経験で伸ばすことができ、そのプロセスは生涯続くとしている。例えば、社長業におけるリーダーシップは、経営哲学、目標設定、決断力と実行力、課題発掘と解消力、組織掌握と牽引力、目標必達の熱意等々の各スキルを磨き続けることが、優れたリーダーシップを形成する方法になる。リーダーシップを学ぶ経営資源に限りのある中小企業ほど、社長のリーダーシップで会社の成長が決まるので、如何にして、リーダーシップを学び、リーダーとしての資質を高めていくかが企業の生命線になる。また、社長を支える右腕や経営幹部のリーダーシップが高まると、会社の成長が一段と加速するので、折にふれ学びの機会を提供することも大切になる。最後に、リーダーシップを学ぶ基本ノウハウとして、当サイト内のお薦め記事を紹介する。リーダーに必要な3つの条件・資質経営者がリーダーとして企業の成長発展をけん引するには、相応の資質を身に付けることが欠かせない。社長のリーダーシップは、顧客や社員からの信用の土台になり、強いては、会社の発展の必須条件になるからだ。この記事では、リーダーに必要な3つの条件ついて、詳しく解説している。【この記事を読む】社長のリーダーシップが会社を大きくする社長のリーダーシップは会社の成長に欠かせない要素だ。なぜなら、社長のリーダーシップがなければ、会社が安定することも、社員の士気が高まることもないからだ。この記事では、社長のリーダーシップに不可欠な要素や条件など、経営者のあるべきリーダー像について、詳しく解説している。【この記事を読む】経営者の成功に欠かせない条件とは?経営者とは、経営学上は組織の経営に責任を持つ者とされている。経営者の呼称は、会社法上は代表取締役、役職上は社長などがあるが、果たして、経営者とは何者なのか。この記事では、経営者とは何か、経営者の使命から責任の範囲に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】経営者マインドをセットする効果的方法わたしは経営コンサルタントとして数多くの経営者と接してきたが、社長の経営者マインドがしっかり確立されていないと、企業は間違いなく衰退する。この記事では、経営者マインドとは何かという基本的概要からマインドセットのための意識付けや育成方法に至るまで詳しく解説する。【この記事を読む】成功社長になるためのスキルとマインド成功社長になるために必要なスキルとマインドは、経営者なる前の準備で大よそ決まる。一度、社長の座に就くと、経営の勉強をする暇が殆どなくなるからだ。この記事では、成功社長になるには何をすべきかと共に、経営者になるための必須スキルとマインドについて、詳しく解説している。【この記事を読む】会社経営に成功する経営者の5つの特徴中小企業の業績は経営者の能力に比例する。従って、会社経営を成功に導くには、経営者が然るべき経営技術を身につけなければならない。この記事では、わたしがこれまでに接したきた成功している経営者の5つの特徴(事例)を解説している。【この記事を読む】
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  • 数字力を学ぶ|ビジネスの成功スキル・数字力の養成法
    数字力を学ぶ|ビジネスの成功スキル・数字力の養成法数字力は、成功社長の必須スキルといって過言ではない。事業活動の全ての結果が表れる数字という客観的情報なくして、正しい決断はできないからだ。この記事では、数字力の基本から数字力を学ぶための基本ノウハウに至るまで、詳しく解説する。数字力とは?数字力とは、あらゆる会社の数字を活用する力のことで、数字力に長けている経営者ほど、好業績をキープしている。例えば、会社の業績は社長の決断の連続で形成されるが、事業活動の全ての結果が表れる数字という客観的情報なくして、正しい決断はできるものではない。つまり、数字力がそのまま決断力に直結し、数字力の良し悪しが業績を大きく左右する。また、安定経営に欠かせない資金繰りのスキルも数字力ありきであり、売上・利益・現金といった重要な数字の拡大スピードも社長の数字力ひとつで決まる。更に、生産性の改善や顧客やライバルの分析も数字力がモノをいう。このように、数字力なくしてまともな会社経営は実現できず、数字力の高低が会社経営の成功を決定付けるといっても過言ではない。数字力の養成法数字力を学び、数字力を養成する方法は様々なアプローチがあるが、自分の会社の数字を徹底的に活用(分析)する方法が最も効果的だ。特に、財務分析や経営指標を駆使する管理会計の運用はじつに効果的で、僅かな運用期間で数字力が磨かれ、スキルの養成に役立つ。しかも、管理会計は数字力と共に企業の経営力も高めてくれるので、運用するほどに業績が上向き、事実、管理会計運用企業の黒字経営率は極めて高い。自分の会社の数字を使った管理会計を実践すると、事業活動(社長の決断・判断)と数字の相関関係の理解が一段と深まり、決断の質も高まるので数字力を養成したい経営者はすぐにでも実践してほしい。数字力を学ぶ会社成長を決定づける決断の質は数字力で決まるので、如何にして、数字力を学び、数字に強い社長になるかが企業の生命線になる。最後に、数字力を学ぶ基本ノウハウとして、当サイト内のお薦め記事を紹介する。経営と数字の関係性中小企業の業績は経営者の能力に比例する。経営者の能力を測定する尺度は様々だが、最も端的に業績と直結している経営能力は「数字に強いか弱いか」である。この記事では、数字力チェックシートを紹介しているので、ぜひ自己診断してほしい。【この記事を読む】会社の数字を分析する基本の手法会社の数字を分析する手法は、経営者の必須スキルといって過言ではない。なぜなら、会社の数字は事業活動の結果であり、結果である会社の数字を無視した事業活動に成功はあり得ないからだ。この記事では、会社の数字を分析する基本手法について、詳しく解説している。【この記事を読む】ビジネスの数字を一から勉強するビジネス数字の勉強は、中小企業経営者にとって欠かせない。なぜなら、ビジネスの成功はすべて会社の数字の中にあるからだ。この記事では、ビジネス数字の重要性からビジネス数字の勉強法に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】経営分析・経営判断の指標例まで徹底解説経営指標は、安定経営の必須ツールといって過言ではなく、経営指標の活用度合いが大きいほど、経営改善の精度が高まり、業績改善のスピードが加速する。この記事では、経営指標の基本概要、並びに、経営分析・経営判断の指標例について詳しく解説している。【この記事を読む】企業の財務分析から効率性分析まで徹底解説経営分析は、企業の経営状態を可視化するために行われる会計手法の総称だが、その分析手法は多岐にわたる。この記事では、経営分析の基本概要、並びに、企業の財務分析から効率性分析に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】
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  • 組織運営を学ぶ|組織マネジメントのポイント・原則・具体例
    組織運営を学ぶ|組織マネジメントのポイント・原則・具体例組織運営は、会社経営の生命線になる。なぜなら、事業は人なりの言葉通り、組織のパフォーマンスを上げなければ、経営成績を上げることが出来ないからだ。この記事では、組織運営の基本から応用ノウハウ、並びに、組織運営を学ぶうえで大切な基本ノウハウに至るまで、詳しく解説する。組織運営とは?組織運営は会社経営の根幹を成す。なぜなら、経営学上の会社経営は組織運営の事であり、事業は人なりの言葉通り、良好な組織運営なくして、まともな会社経営などできないからだ。人の集合体である組織の運営が円滑になるほど、事業活動の様々な成果が上がり易くなり、経営成績がどんどん好転する。組織力と業績が比例関係にあると云われる所以はココにあるが、それほどに組織運営が会社経営の肝になる。中小企業においては、組織運営の最高責任者は経営者(中堅企業以上は管理職)になるが、安定経営を実現するためには、組織のマネジメントスキルをしっかり学び、実践することが不可欠だ。また、組織運営のスキルは、ビジネスパーソンの成功に欠かせないスキルなので、組織運営のスキルを磨くほどに社会的ランクも活躍の場もどんどん発展する。組織運営のポイント組織運営を円滑に運ぶポイントは多岐にわたるが、大切なことは必要なスキルをしっかり身につけることだ。例えば、円滑な組織運営を実現するには、人事評価、人事制度、社員教育、幹部育成、後継者育成、コーチング等のスキルやポイントを抑える必要がある。更に、リーダーシップ、コミュニケーション、マネジメント、数字力など等、社長の必須スキルの習得度も組織運営に大きな影響を及ぼす。組織運営で注意すべきポイントは、これからのスキルやポイントをしっかり抑えた組織運営を実践し、組織崩壊を招かないことだ。組織崩壊が深刻化すると、経営者が多大なストレスを抱えるだけでなく、働く社員、とりわけ、やる気のある社員にも悪影響が及び、加速度的に組織力が低下する。組織力が低下すると業績も悪化するので、組織運営のトップに立つ社長や管理職のスキル次第で、会社の盛衰が決まってしまうのだ。組織運営の原理原則組織運営の原理原則として抑えるべきポイントは、社員をコントロールしないことをだ。社員をコントロールするのではなく、社員に好影響を与える環境作りを経営者や管理職が先頭に立って推進することが円滑な組織運営を確立する原則になる。例えば、社長が率先して、明るさ、プラス思考、変化への強い耐性、他人のせいにしない責任感、陰で努力ができる自己評価、など等の姿勢を普段から見せていれば、影響を受ける社員が増えて、組織運営が円滑になる。よく「他人に影響を与える人間になるのが本物のリーダー」と云うが、指図やコントロールをせずとも、社長の影響力が大きければ社員はついてくるものだ。また、社員は理屈ではなく、感情についてくるので、社長や管理職の熱意やリーダーシップが大きいほど、組織運営が円滑に運ぶ。組織運営の成功具体例組織運営の成功具体例を紹介するが、成功条件は3つある。それは、社長のリーダーシップ、強い顧客志向、公平な人事評価基準である。組織の力を一点に集中させる社長のビジョンやリーダーシップをしっかり示せば、自ずと組織運営が円滑になる。組織の顧客志向が強い程ほど、社員の不平不満が無くなり、顧客に尽くす当たり前の仕事が全力で遂行できる組織風土が定着する。公平かつ明快な人事評価基準があれば、社員の反発や離職リスクを抑えることができ、更に、社員は自主的に能力開発に努めることができ、一方の会社側も社員の能力開発を上手に手助けすることができる。この3つの成功条件をしっかり実践・定着させることが出来れば、組織運営は自ずと円滑になり、成功が近づく。組織運営で大切なことを学ぶ事業は人なりの言葉通り、会社の成長は組織運営の精度で決まる。つまり、組織運営の知見をしっかり学び、その知見を自社の経営環境に馴染ませ、組織力を引き上げることが企業の生命線になる。以下、組織運営で大切な基本ノウハウを、当サイト内のお薦め記事から紹介する。組織崩壊のプロセス組織崩壊とは、組織本来のパフォーマンスが低下することだ。会社経営において、組織が崩壊すると業績が悪化し、簡単に倒産の危機に瀕する。この記事では、組織崩壊のプロセスから内部崩壊が招く会社衰退の原理に至るまで、詳しく解説している。この記事を読む人事評価の目的とスゴイ効果人事評価と聞くと厳格な組織管理を思い浮かべる経営者も多いと思うが、これらは人事評価の枝葉に過ぎない。人事評価の本当の目的は、社会で広く通用する社員を育てるところにある。社員が育てば、自ずと会社の業績が拡大するので、人事評価の効果は計り知れない。この記事では、人事評価の目的とスゴイ効果について詳しく解説している。この記事を読む社員のリストラは最悪の方法昨今は、社員のリストラが普通の経営采配として見受けられるようになった。特に大企業のリストラは珍しくなく、ある年のリストラ対象者は1万人強というデータも残っている。この記事では、社員のリストラのデメリットと共に、社員に感謝し大切にすることでリストラを回避する方法について、詳しく解説している。この記事を読む社員のモチベーションを上げる方法社員のモチベーションは会社の業績に直結し、事実、社員のモチベーションが上がれば会社の業績も上がり、社員のモチベーションが下がれば会社の業績も下がる。この記事では、社員のモチベーションを上げる動機付けから社員のモチベーションを上げる具体的方法に至るまで、詳しく解説している。この記事を読むシニア社員のモチベーションを上げる方法元気なシニア社員は増える一方なので、シニア社員の活用が組織力を決定づけると言っても過言ではない。この記事では、シニア社員のモチベーションを上げる方法について、詳しく解説している。この記事を読む組織運営に必要な管理職の必須スキルとマインド最後に、組織運営に必要な管理職の必須スキルとマインドについて、解説する。組織運営は、中小企業までは社長が、中堅企業以上であれば管理職(課長・部長・社長)がトップの立場で組織をけん引する役割を担う。事業活動に関わる組織を上手に運営するうえで必要なスキルとマインドは、ここまでに解説した内容を習得することが欠かせないが、組織運営の本来の目的・軸足をしっかり腑に落とすことも大切だ。組織運営の本来の目的・軸足は、すべての会社において、組織(社員)を管理・コントロールすることではなく、最大・最強の経営資源である組織(社員)を最適化・最大化するところにある。つまり、組織を運営する立場にある社長・管理職・マネージャーは、組織の力が最大限に発揮できる環境整備や社員の才能を最大限に活かす育成サポート等を推進し、社員の才能と組織のパフォーマンスを極限まで引き出す役割を担っているのだ。例えば、得手不得手を理解し、人員配置を最適化する。才能を伸ばす一方で、苦手分野は組織全体でフォローする。感謝と労いの言葉をシャワーのように与える、等、人財という原石を磨くほど、組織の輝きは一段と増す。また、短所を直すのはものすごくエネルギーを使うが、長所を伸ばすのは簡単だ。社員に責任のある仕事を任せるほど、社員はよく育つ。無難な人事よりも、意外性のある人事の方が社員も組織も一段と強くなる。組織力と業績は比例関係にある。事業は人なりの言葉通り、組織のパフォーマンスが上がれば、経営成績は必ず上がる。当然、組織運営が円滑に運ぶほど、組織も会社も繁栄し続ける。
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  • いずれ潰れる会社の特徴|潰れる前兆を察知し改革・転職を急げ
    いずれ潰れる会社の特徴|潰れる前兆を察知し改革・転職を急げすべての会社は何もしなければ潰れるリスクを抱え続ける。顧客も、経済も、ライバルも、こちらの都合にお構いなく、常に変化し、進化し続けるからだ。この記事では、いずれ潰れる会社の特徴について、並びに、会社が潰れる前兆を察知した時の対応について、詳しく解説する。変化を拒む会社はいずれ潰れる変化を拒む会社は、いずれ潰れる可能性が高い。顧客も、経済も、ライバルも、こちらの都合にお構いなく、常に変化し、進化し続けるからだ。周囲が変化しているにも関わらず、変化を拒み続ければ、経済から遅れをとり、顧客を失い、ライバルから置き去りにされ、いずれ会社は潰れる。新興企業やベンチャー企業よりも早く進化するために、進んで変化を巻き起こし、古い仕事・仕組み・商品等を新しくし続けることが会社を潰さない確かな方法だ。今のままでよい、まだ変える必要はない等の企業風土が定着している会社は、いずれ潰れるリスクが高く、危険極まりない状態と言える。どんなに会社が安定していても、規制緩和、関税撤廃、補助金打ち切り、価値観の変化、テクノロジーの進化などをきっかけに従来のビジネスが通用しなくなることはよくあることだ。いずれ会社を潰さないために、どんな状況下であっても変えてやる、あるいは、変えられると真剣に思い、変化を巻き起こす姿勢が大切で、その姿勢が、新たなビジネスを生み、たくさんの顧客の支持を集める源泉になるのだ。人財がいない会社はいずれ潰れる人財がいない会社は、いずれ潰れる可能性が高い。会社は人と共に成長する、業績と組織力は比例関係にある、1億・10億・100億の壁は右腕(ブレーン)の存在が欠かせない等、会社の盛衰は人財で決まるからだ。社員を育てなければ、後継者を育てなければ、会社の繁栄を支えるブレーンを育てなければ、次第に事業の成長に陰りが出て、いずれ会社は潰れる。お金は使えば無くなり、機械や建物は時間の経過と共に古くなるが、人の才能は無尽蔵で、可能性は無限大だ。育てるほどに、どこまでも伸びるのが人財である。ワンマン体制が長く右腕や後継者がいない会社、社員を消耗品のように扱う会社、離職率が高い会社等は、いずれ潰れるリスクが高く、危険極まりない状態と言える。社員を数字で管理したり、社員の動きをコントロールしたりするのではなく、数字に一喜一憂することなく、社員を大切に扱い、社員が伸び伸び働ける環境を整えることが人財を育てる秘訣で、人財が育てば数字は後からついてくる。成長投資しない会社はいずれ潰れる成長投資しない会社は、いずれ潰れる可能性が高い。人財育成、市場開拓、設備更新、最新の技術やノウハウの導入など、将来の成長を見込んだ成長投資をしなければ、いずれ会社が潰れるリスクが山積するからだ。成長投資のボリュームが小さな会社、成長投資の原資となる利益水準が低い会社、そもそも赤字経営に陥っている会社は、いずれ潰れるリスクが高く、危険極まりない状態と言える。成長投資には、戦術的投資(毎年見直す投資)・戦略的投資(毎年続ける投資)・中長期的投資(金額の大きな投資)の3つの投資分野があるが、自社の経営環境にフィットする投資ポートフォリオを確立することが肝要だ。いずれ会社を潰さないために、しっかり利益(売上総利益高営業利益率20%以上が理想)を上げて、その利益の一定部分を成長投資に回すスパイラルを確立し、成長投資の量と回転を高める姿勢が、会社を潰すリスクを遠ざけるのだ。潰れる前兆を察知し改革・転職を急げ最後に、会社が潰れる前兆を察知した時の然るべき対応について解説する。会社が潰れる前兆は、変化拒否、人財不足、成長投資停滞などが挙げられるが、潰れる前兆を察知したら、即、改革・転職を考えた方が良い。ひとたび会社が衰退に傾くと、加速度的に衰退スピードが速まり、衰退するほどに、打つ手が無くなるからだ。潰れる前兆が小さければ、経営改革の打ち手の選択肢は豊富にあり、社長と社員が改革の過程で受ける心身的負荷やストレスも小さく済む。逆に、潰れる前兆を見逃し続け、会社が潰れる寸前まで行ってしまうと、経営改革の打ち手が限られ、社長と社員の心身的負荷やストレスが大きくなる。給与カットで収まらない場合は、リストラもあり得る。会社が潰れる前兆の大小に関わらず、すぐに改革に着手することが大切で、改革の手が明らかに遅れているようであれば、社員は新天地を求めて転職を急がなければ、会社が潰れた瞬間に、自分の人生がドン底に落ちる。すべての会社は、何もしなければいずれ会社が潰れる運命にある。会社を潰さないためには、小さな変化をキャッチアップする感度を高め、小さな変化を先手必勝でコツコツ積み上げる経営姿勢が大切なのだ。
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  • 会社が赤字なのに潰れない理由|会社が黒字でも潰れる理由
    会社が赤字なのに潰れない理由|会社が黒字でも潰れる理由中小企業のじつに7割の会社が赤字経営に苦しんでいると云われている。不思議なことに赤字経営でありながら、倒産しない会社が沢山あるのも事実だ。会社が赤字経営でも倒産しない理由は様々あるが、例えば、次のような経営状況であれば、会社が赤字であっても潰れない。赤字金額が減価償却費よりも少ない銀行借入で運転資金を補てんしている身銭をきって運転資金を補てんしている何れのケースも、赤字でも潰れない会社の典型パターンである。しかし、赤字金額が減価償却費よりも多くなる、銀行や身銭から資金調達できなくなる等の事態に陥ると、たちまち会社のお金が減り始め、倒産リスクが飛躍的に高まる。この他にも、会社が赤字決算でも、役員報酬と社長自身が立て替えた経費の未払いで、現金ポジションを上手にコントロールしながら、赤字でも潰れない状態を意図的にキープする方法もある。このケースはオーナー企業にありがちで、節税のためにあえて赤字にしているパターンが多いが、赤字が続くほど自己資本が目減りするので、急な資金需要や業績悪化に対応できないデメリットがある。また、会社が赤字だと、金融機関や格付け会社からの評価が著しく低下するので、社会的信用度が下がり、資金調達や新規取引に支障が出るリスクもある。赤字でも潰れない会社は沢山あるが、やはり、黒字経営の方が発展性も健全性も高いことがお分かりになると思う。なぜ黒字の会社が潰れるのか?会社は現金が枯渇した瞬間に倒産する。つまり、手元の現金が無くなくなると、たとえ黒字経営であっても、どんなに沢山の利益を出していたとしても、会社は潰れる。逆に、赤字経営でも、黒字経営でも、手元に現金さえ残っていれば会社は潰れない。黒字の会社が潰れることを「黒字倒産」と言うが、その根本原因は、次のような資金繰りの失敗である。売上の回収が遅れた利益よりも借入の返済負担が重い売上回収より、経費の支払いが先行している成長投資や設備投資の収益化のタイミングが遅れたこの他にも、一年分のサービス料を事前に徴収する前金ビジネス(塾業界・定期便・サブスク等)で、一時的に増えた現金を使い込んで黒字倒産するパターンもある。また、黒字経営であっても、ギリギリの資金繰りや利益水準では、経済環境や市場動向の外因によって簡単に会社が潰れることがある。事実、ある年の総倒産件数のうち約半数は、黒字倒産だったというデータが残っている。会社は、赤字でも、黒字でも、現金がなくなると簡単に潰れる。売上より利益、利益より現金に意識を向けて、資金繰りに失敗しないことが、会社を潰さない秘訣になる。
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  • 潰れない会社の作り方|なぜか成長し続ける会社の特徴
    潰れない会社の作り方|なぜか成長し続ける会社の特徴潰れない会社の作り方は、成長し続ける会社の特徴に焦点を当てれば良い。成長し続ける会社の代表的な特徴は「経営改善が定着している」ことと「社長が成長し続けている」ことだ。わたしは常日頃から、社長が変われば社員が変わり、社員が変われば業績が好転する、という法則に従った経営サポートに徹している。たとえ経営状況が厳しかったとしても、社長さえ変われば(成長すれば)、業績はどんどん好転するからだ。一例をあげると、赤字経営から黒字経営になることは勿論、売上2倍、営業利益20倍、現預金残高60倍、キャッシュフロー1億円増加など等、多くの会社が素晴らしい成果を上げている。業績改善を推進し、業績好調をキープしたかったら、社長が成長し、先手必勝で経営改善を推進することだ。危機的状況であっても、決して諦めずに経営改善を推進すれば、活路が開き、危機から脱することができる。これが、企業の永続性を高める確かな法則であり、潰れない会社を作る絶対条件である。潰れない会社と潰れる会社の差潰れない会社(成功者)と潰れる会社(失敗者)を分かつ要因は、諦めるか諦めないかだ。成功するまで諦めなければ、必ず、成功するからだ。そして、成功したければ、とにかく決断し実行することだ。好調企業の社長ほど、不屈の精神と素晴らしい決断と実行を繰り返し、目の前の現実世界をどんどん変えている。会社も人生もいつでもやり直せる。決断し実行し、諦めなければ未来はどんどん変わる。運命は、誰にでも動かせるのだ。帝王学などを紐解くと、人生の25%は宿命で決まり、残りの75%は運命で決まると云われている。宿命とは不変のものだ。生まれる日、場所、環境などは、先天的に決まっており、変えようがなく、個々の宿命は、あるがままに受け入れるほかない。一方の運命は不変ではない。運命は、生まれ落ちたその日から、その人自身の決断の連続によって形成されるので、日々の決断・実行次第で、誰にでも変えることができる。どんなに厳しい宿命であっても、運命を動かすことができれば、宿命を乗り越えることができ、更には、予想を大きく超える飛躍も可能だということだ。運命を変えるコツは「今を生きる」こと、いま目の前のことに全力を尽くすということだ。悩みや不安の種は、過去を振り返ったり、有りもしない未来を想像したり、今から目を背けることで生まれるが、そうした過去や未来に惑わされることなく、とにかく、今を生きることに集中するのだ。目の前の人や目の前の仕事に全力で尽くして、尽くして、尽くし続ければ、運命は好転し、素晴らしい成果結果が出るようになる。今、この瞬間を大切に生きることで、運命は大きく変わる。そして、その生き方が、社長の成長スピードを加速し、経営改善の成果を大きくするのだ。
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  • 経営者はモラルが大切|倫理観なき会社経営に成功なし
    経営者はモラルが大切|倫理観なき会社経営に成功なし経営者のモラルは会社経営の成功に不可欠な要素といえる。なぜなら、世間に迷惑をかけない、地元に迷惑をかけない、取引先や社員に迷惑をかけない、など等、経営者のモラルある会社経営が成功を大きく左右するからだ。例えば、法律の範囲内なら世間や地元、或いは、取引先や社員に迷惑をかけようが何をしてもオッケーというモラルなき会社経営は、早晩に行き詰まる。このようなモラルのない会社経営を続けていると、必ずといっていいほど、世間やマスコミ、或いは、取引先や社員に足を引っぱられて会社経営がガタガタになる。それが、1年先か10年先かは分からないが、モラルなき会社経営の行く末は、会社衰退という残念な結果しかない。法律を守るのは当たり前のことだ。大切なのは、法律に頼らずとも真っ当な会社経営を実現するために、経営者がモラルを持つことだ。もちろん、会社経営は綺麗ごとだけでうまくいくほど甘くはない。しかし、法律とモラル違反のグレーゾーンを渡らざる得ない機会(局面)は、経営者人生で1回か2回程度に収める努力が必要だ。法律を盾にモラルを軽視するのではなく、基本は「モラルある会社経営」を実現することであり、これが会社経営の成功条件といって過言ではない。経営者のモラルが気品を生み出す経営者は上品でなければならぬ、というのが私の持論である。なぜなら、モラルなき下品な会社経営の先に成長発展はなく、モラルある上品な会社経営の先にこそ、企業の成長発展があるからだ。例えば、経営者がモラルある会社経営を続けていると、世間や地元、或いは、取引先や社員からの信頼が厚くなり、「経営者のモラルが信頼を生み出し、信頼が新しい仕事を生み出す」という成長発展のスパイラルが創り出される。逆に、経営者がモラルなき会社経営を続けていると、周囲からの信頼が徐々になくなり、仕事が先細りになり、会社衰退という負のスパイラルに陥りやすくなる。つまり、経営者のモラルが、企業の盛衰を決定付けるといっても過言ではないのだ。また、経営者の上品な佇まいも、モラルなくして身につくものではない。いつなんどき、どこの誰から見られても表裏なく自然体でいられる謙虚な佇まいは、モラルなくして身につかない。さらに、経営者の威厳や風格も、モラルがあるかないかでずいぶんと変わってくる。一流と二流の経営者の違いは、モラルがあるか、ないかで決まる。自身の正当性を主張する前に、自身のモラルが低下していないか否か、経営者は常に自分の足元を客観視し、自分を正す努力を忘れないことが大切だ。
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  • 中小企業の成長と衰退の法則|なぜ会社が衰退するのか?
    中小企業の成長と衰退の法則|なぜ会社が衰退するのか?わたしは再建実務を通して衰退企業を数多く目にしてきたが、衰退する会社には共通の原因があった。いかに調子の良い会社であっても、その衰退原因に触れると高確率で業績が悪化し、逆に、衰退原因と縁遠い会社はしっかり成長していた。この記事では、会社の成長と衰退を分かつ重要なポイント、並びに、中小企業の成長と衰退の法則について、詳しく解説する。会社が衰退する根本原因中小企業が衰退する原因は「経営課題の見落とし・見過ごし・見誤り」に尽きる。経営課題とは、企業の成長を阻害する要因のことだが、会社の経営課題と真剣に向き合い、克服に努めている会社は間違いなく成長している。逆に、日常的に経営課題を見落としたり、見過ごしたり、見誤ったりしている会社は、高確率で衰退する。つまり、会社の成長と衰退は、経営課題と向き合う姿勢ひとつで決まるのだ。なぜ会社の経営課題を見落とすのかというと、会社のお金が回っていると、それなりの状態で会社経営が続いてしまうからだ。日頃の運転資金が銀行融資頼みの中小企業も少なくないが、銀行借入や身銭の補てん等々で資金不足を解消したとしても、それは一時的な回避策にしかならない。このような経営状況に陥っている会社は、お金を回すことばかりに気を取られて、本来考えなければならない「お金が回らなくなってしまった」という経営課題の根本を見過ごしがちになる。これはギリギリの少ない利益で回している中小企業にも同様のことが言える。経営課題を見落としていては、更なる会社の成長、或いは、赤字から黒字経営への挽回ができないどころか、もっと悪い方へ衰退する可能性が高くなる。衰退する会社の共通点とは?会社が衰退する根本原因は「経営課題の見落とし」になるが、もう一つ、衰退企業に共通していることがある。それは「衰退する前に、とても儲かった時代(成長期・繁栄期)がある」ことだ。☑儲かっている会社は大抵、他人の忠告に耳を貸さない☑また、自らの劣っている点を見直す謙虚さも薄らぐ☑お金の不安もないので、会社の数字も軽視するようになるこのような経営者の油断が「経営課題の見落とし・見過ごし・見誤り」を招き、会社衰退の元凶を作る。会社が儲かっていようが、儲かっていまいが、経営課題の見落とし等は経営者の心の緩みひとつで表面化する。つまり、会社の衰退を防ぐには、経営課題を見落とさないための経営改善を、しっかり定着させることが何よりも大切なのだ。会社の業績が成長から横ばい傾向に転じた瞬間を見逃した時点から会社の経営状態はみるみる衰退の一途を辿る。そして、会社のお金が回っているという漠然とした安心感を担保に、会社の衰退を見逃し続けると何れ会社は潰れる。潰れるまでの期間が1年、或いは10年かも知れないが、衰退の結末は同じである。生活習慣病である癌は10年の潜伏期間を経て自覚症状が出てくると云われているが、会社も同様である。危機に陥ってからあたふたするよりも、日頃から経営課題を見逃さず、問題が小さいうちに経営改善を推進していれば、倒産の危機に陥ることはなく健全な経営状態でいられるというものだ。優れた経営資源を保有していながら、衰退の一途を辿る中小企業は少なくない。優秀な社員、優れた技術やサービス、素晴らしい施設や設備等、、、。如何に優れた経営資源を保有していたとしても、経営課題を見落とし続けてしまっては会社が成長することはない。事実、過去に再建に関わった中小企業の殆どは優れた経営資源を持っていながら経営課題を見落とし続けた末に、会社が衰退の一途を辿っていた。中小企業の成長を支える条件とは?経営者が会社を成長させるために考えなければならないことは多岐に亘る。安定経営・業績拡大・成長投資・資金繰り・組織掌握・人材育成など、挙げたらキリがないが、何れにしろ、会社を成長させるには、日々の経営改善を推進する優れた経営技術が必要だ。しかし、過去に私が接してきた多くの中小企業の経営者は「今より会社を成長させたいがどこから手をつけていいか分からない」、あるいは「様々な手は尽くしているが効果を実感できない」など、皆、漠然とした不安を抱えていた。なぜ不安が漠然としているかというと、会社経営を成長させるうえで核となる「経営スキルとマインド」が経営者に身についていないからだ。なかでも、管理会計・マネジメント・リーダーシップは最重要スキルになる。管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことである。管理会計は、会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなものなので、経営者に確かな経営判断の根拠となり得る優れた情報を与える。経営者のマネジメント力とリーダーシップは、会社の数字を作る顧客・社員・取引先等の生産性を高める上で、最も重要なスキルになる。経営者のマネジメント力とリーダーシップ力が素晴らしければ、顧客・社員・取引先は、自然と社長に尽くし、大きな成果を上げてくれる。この3つのスキルが経営者に備われば、会社の現状に対して何をすべきかが明快になるので、自ずと経営課題の見落しが解消されて、企業繁栄の土台が盤石になる。逆に言えば、この3つの経営スキルが身についていない状況で、他のことをしていても、繁栄のスパイラルはなかなかうまく回らないのだ。会社の盛衰を分かつ経営スキルの習得法企業の成長と衰退を決定づける経営スキルは「管理会計・マネジメント・リーダーシップ」だ。このたった3つの経営スキルであっても、本来、一朝一夕では身につかないほどの膨大な知識と経験を要すことは想像に難くないだろう。しかし、多くの重要タスクを抱えている中小企業の経営者に、十分な時間を与えてくれるはずもない。本サイトでは、その膨大な経営技術を誰でも習得・実践できるように厳選して公開している。しかも、私が実際に経営指導企業にのみ提供してきた独自の経営ノウハウなので、効果は実証済みである。シンプルかつ分かり易く徹底解説しているので、簿記や会計の知識も不要である。本サイトを上手に活用して、重要スキルとマインドの研鑽に役立ててほしい。会社を衰退から守り、成長に導くには経営者の責任で「管理会計スキル」を習得・運用し、経営者自身の「マネジメント力とリーダーシップ力」をしっかり研鑽しなければならない。しかし、社長ひとりの力ですべてをカバーする必要はない。誰しも得手不得手があり、社長の時間は有限だ。苦手分野は誰かにフォローしてもらえば良いし、時間に余裕がなければ誰かに任せればよい。大切なことは、重要なスキルとマインドをしっかり抑えた会社経営を実践することだ。会社の盛衰を分かつ経営スキルとマインドを学ぶ最後に、会社の盛衰を分かつ経営スキルとマインドの研鑽に役立つ本サイト内の記事を紹介する。本記事で解説した通り、最も重要な経営スキルとマインドは、数字力(管理会計)・マネジメント・リーダーシップの3つである。以下、会社の盛衰を分かつ経営スキルとマインドが分かる当サイト内のお薦め記事を紹介する。是非、参考にしてほしい。社長業を極める5つの経営スタンス会社は社長の力量以上に大きくならないと言うが、本当にその通りである。とりわけ小さな会社ほど、その傾向が顕著に出るため、日頃の社長業の精度が、そのまま会社の盛衰に直結する。この記事では、社長業を極める5つの経営スタンス、並びに、小さな会社の社長道について、詳しく解説している。この記事を読む経営スピードを上げる3つのマインド小さな会社はスピードが命だ。中小企業は、すぐに動けることが、大きな会社に勝る最大の強みだからだ。この記事では、小さな会社の経営スピードを上げる3つのマインドについて、詳しく解説している。この記事を読む経営者がやるべき仕事内容と仕事の重要性中小企業の社長の仕事はじつに幅広い。社長が本来やるべき仕事である経営マネジメントだけでなく、プレイヤーとして現場の仕事もやらざる得ないケースもある。この記事では、中小企業の社長がやるべき仕事内容、並びに、社長の仕事の重要性について、詳しく解説している。この記事を読む社長の求心力を高めるリーダーシップとはリーダーシップは、成功社長の必須スキルといって過言ではない。経営資源に限りのある中小企業ほど、社長のリーダーシップで会社の成長が決まるからだ。この記事では、リーダーシップの基本概要からリーダーシップを学ぶための基本ノウハウに至るまで、詳しく解説している。この記事を読むビジネスの成功スキル・数字力の養成法数字力は、成功社長の必須スキルといって過言ではない。事業活動の全ての結果が表れる数字という客観的情報なくして、正しい決断はできないからだ。この記事では、数字力の基本から数字力を学ぶための基本ノウハウに至るまで、詳しく解説している。この記事を読む
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  • 経営改善とは何か?|会社の経営改善を成功させる秘訣
    経営改善とは何か?|会社の経営改善を成功させる秘訣経営改善とは、企業の業績を押し上げるための活動だ。企業は業績の低迷と共に衰退するので、経営改善は企業の生命線といっても過言ではない。この記事では、経営改善とは何か、並びに、経営改善を成功させる秘訣から実践度チェックに至るまで、詳しく解説する。経営改善とは何か?経営改善とは何か?考えたことがあるだろうか?経営改善とは企業の業績を上げるための重要な活動で、会社の存続は間違いなく経営改善の成果で決まる。会社の存続は、売上の最大化と経費の最小化を同時に進めることで盤石な基盤が整うので、経営改善の目的は、売上の最大化と経費の最小化、つまり「利益の最大化」に集約される。わたしは、経営コンサルタントとして数多くの中小企業の経営改善を支援してきたが、正しく経営改善が遂行されている中小企業はあまり多くない。実情を鑑みると、10社に2~3社程度といっていいかも知れない...。また、中小企業が倒産の危機に陥る最大の原因は「経営課題の見落とし」だが、正しく経営改善が遂行されている限りは、経営課題を見落とすことはない。経営改善は、会社の経営課題を絶えず発掘・解消すべく、会社存続に欠かせない取り組みなので、会社が儲かっていようが儲かっていまいが、経営改善は終わりなき経営活動といっても過言ではない。経営改善を正しく進めるには?経営改善の目的は「利益の最大化」と「経営課題の解消」にあるが、経営環境や経営資源がまちまちの中小企業において、その方法論は無限に存在する。会社の状況によってアプローチと方法論がガラリと変わってしまうのが、中小企業の経営改善の難しいところだ。当然ながら、闇雲な経営改善や、誤った認識に端を発した経営改善は会社の寿命を伸ばすどころか、寿命を縮める行為にしかならない。経営改善を正しく進めるには、一定の経営技術(経営スキル)が必要で、特に、現状分析、目標設定、検証力、実行力、実践ノウハウ等は、経営改善の成果を左右する重要なスキルになる。経営改善の実践度チェックシート最後に、経営改善の実践度のチェックシートを紹介する。下記チェック項目に一つでも該当する項目があれば、経営改善の技術が不足しており、その部分が誤った経営改善に繋がるリスクになる。つまり、経営改善の実践度が低い可能性がある。経営改善の実践度のチェックシート☑月次決算書が読めない☑どこから手をつければ良いの分からない☑どうやって経営を改善したらいいのか分からない☑経営セミナーや経営本を参考にしてもうまくいかない☑現状の問題点や適正な目標がどこにあるのかが分からない☑売上が伸びているのに利益と現金が増えない☑一所懸命動いているのに会社が良くならない☑経営に漠然とした不安を抱えていて安心できない☑経営改善を行っているが一向に効果が実感できない☑経営改善を行っているが従業員のモチベーションが上がっていない
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  • 経営改善を成功させる3つの法則|会社の経営改善手法とステップが分かる
    経営改善を成功させる3つの法則|会社の経営改善手法とステップが分かる経営改善は、企業存続の生命線になる重要な活動だ。しかし、闇雲な経営改善は、かえって企業の寿命を縮める場合もある。この記事では、中小企業経営者が抑えるべき経営改善を成功させる3つの法則について、詳しく解説する。経営改善なくして会社の成長なし経営改善なくして会社の成長なし。中小企業にとって、会社の存続を支える経営改善は必須の経営活動になる。しかし、経営改善の計画と実行が正しく遂行できている中小企業は多くない。例えば、経営改善の目的である経営課題の解消や利益の最大化が不十分、或いは、経営改善の実践度が不十分なだけでなく、そもそも経営改善の計画すらない中小企業は珍しくない。繰り返すが、経営改善なくして会社の成長はない。中小企業が倒産の危機に瀕する最大の理由は「経営課題の見落とし」であり、経営課題を解消するべく経営改善を放棄してしまっては、会社は衰退するのみとなる。また、行き当たりバッタリや誤った認識での経営改善も危険で、このパターンも、会社が成長するどころか、衰退まっしぐらである。早速、中小企業経営者が抑えるべき経営改善を成功させる3つの法則について、順を追って詳しく解説する。経営改善その1「ギャップを捉える」経営改善の正しいステップ1は「ギャップを捉える」だ。ギャップとは、現状と目標の間にある経営課題のことだが、経営改善を成功に導くには、正しい現状分析と正しい目標設定が欠かせない。なぜなら、誤った現状認識や誤った目標設定からは正しいギャップ、つまり、正しい経営課題は発掘できないからだ。中小企業が「経営課題を見落とす」最大の原因は、ギャップを捉える精度が低い、或いは、ギャップを捉える経営スキルが経営者に身についていない、のどちらかだ。正しい現状認識と正しい目標設定に最低限必要な経営スキルは、「管理会計」、「経営の思考法」、「スワット分析」等がある。(それぞれのワードをクリックすると解説記事が閲覧できる)これらの経営スキルをマスターすれば、大よそ正しい現状認識と正しい目標設定ができ、経営改善の成功率がグッと高まる。逆にいえば、これらの経営スキルが身についていなければ、経営改善の成功率がグッと下がり、場合によっては失敗するしか道がないという状況もあり得る。兎に角、ギャップを正しく捉えることが経営改善を成功させる一つ目の法則になる。経営改善その2「ギャップを解消する」経営改善の正しいステップ2は「ギャップを解消する」だ。ギャップを正しく捉えた後は、ギャップを解消し、目標に近づくための経営改善を推進する必要がある。経営改善の計画作りに満足してしまい、実行が萎んでしまうパターンを稀に見かけるが、実行しなければ経営改善の成果は一切上がらない。一つひとつ確実にギャップを解消してこそ、経営改善の成果が現れ、目標に近づくのだ。なお、ギャップ解消のアプローチや方法論は会社の状況に応じて変化するので、日頃から会社を取り巻く環境を注視することが大切だ。正しい認識のもとでギャップを解消することが、経営改善を成功させる二つ目の法則になる。経営改善その3「効果測定と検証を継続する」経営改善の正しいステップ3は「効果測定と検証を継続する」だ。経営改善の結果は、売上の増減、経費の増減、利益の増減など、必ず会社の数字に表れる。経営改善の効果を会社の数字で測定・検証するには、月次決算の集計精度を高める必要があるが、経営改善の効果測定と検証の精度が高まると、経営改善を進めながら適宜修正(補正)が働くので、経営改善が誤った方向に進むリスクが低下する。もしも、経営改善を推進している最中に、次のような症状が出ている場合は効果測定と検証の精度が低い可能性がある。☑一所懸命動いているのに会社が良くならない☑経営に漠然とした不安を抱えていて安心できない☑経営改善を行っているが一向に効果が実感できない経営改善の効果測定と検証の精度を高めることが、経営改善を成功させる三つ目の法則になる。会社の経営改善を成功させる3つの法則のまとめ中小企業経営者が抑えるべき会社の経営改善を成功させる3つの法則についてまとめる。正しい経営改善手法は「ギャップを捉える」→「ギャップを解消する」→「効果測定と検証を継続する」のスリーステップが基本の成功パターンになる。経営改善の成果が今一つ出ていない場合は、このスリーステップのどこかの精度が低下している、或いは、どこかのステップ(作業)が欠けている可能性が高い。基本の法則に従って経営改善を推進すると、必ず結果が出て、会社経営が益々楽になる。経営改善活動に終わりはない。客観的に現状を分析して、出来ることからトライしてみてほしい。
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  • 経営改善を成功させる3つの視点と戦略|会社の業績改善の計画作りの基本
    経営改善を成功させる3つの視点と戦略|会社の業績改善の計画作りの基本経営改善に終わりはなく、万が一、経営改善の手を緩めると途端に業績が悪化し始める。経営改善の範囲は、喫緊の問題や課題を解消する戦術的経営改善だけに止まらず、継続性のある戦略的経営改善、並びに、大型投資を見越した中長期的経営改善など等、多岐にわたる。この記事では、経営改善を成功させる3つの視点と戦略、並びに、それぞれの視点に応じた会社の業績改善の計画作りの基本について、詳しく解説する。戦術的経営改善戦術的経営改善とは、経営環境の変化や悪化に伴い発生する喫緊の経営課題に対して、迅速、かつ、臨機応変に対応すべき短期的な経営改善のことである。具体的には、顧客離脱や売上減少等の内部環境の変化だけでなく、2019年の消費税増税に伴う景気悪化、或いは、2020年コロナ渦に伴う事業活動の大きな転換など等、外部環境の変化を適宜察知し、臨機応変に対応すべき経営改善になる。戦術的経営改善の計画作りの基本は、客観的な現状分析と変化への機敏な対応が重要になる。客観的な現状分析は、会社の数字や業績、現場や顧客の声等をベースに現状分析するミーティングを定着させることが肝になり、変化への機敏な対応は、素早い決断と行動、並びに、トライ&エラーを継続することが肝になる。客観的な現状分析力と変化への機敏な対応力が向上すると、自ずと、経営改善の計画精度が高まると共に、業績改善効果が一段と上がる。戦略的経営改善戦略的経営改善とは、長期に亘り継続すべき経営改善のことである。具体的には、顧客創造、付加価値研鑽、数字の拡大(売上・利益・現金の拡大に繋がる種々の改善活動)など、事業の永続性を高めるための継続的な経営改善になる。戦略的経営改善の計画作りの基本は、現状に満足せずに、さらに上を目指す向上心である。顧客やライバルは、こちらの状況にお構いなく進化(変化)していくので、弛まぬ自己研鑽と変化への順応をおざなりにすると、いとも簡単に競争優位性を失い、業績が悪化する。しかも、一度、競争優位性を失うと再浮上するのが困難になり、大概の会社は危機的な経営状況に追い込まれる。戦略的経営改善は、最も重要な経営改善であり、充実した計画の策定と運用が安定経営確立の唯一の方法といっても過言ではない。中長期的経営改善中長期的経営改善とは、大規模修繕、大型設備投資、大型リース等を見越した経営改善のことである。中長期的な経営改善は、多額の成長投資費用がセットになるので、資金需要に応じた財務計画、並びに、数年先の事業環境を見越した先見性が肝になる。また、戦術的経営改善と戦略的経営改善は現場社員や経営幹部の仕事になるが、中長期的経営改善だけは、社長の重要な仕事になる。なぜなら、現場の社員は1ヶ月先、経営幹部でも1年先くらいの視点(視野)が普通だからだ。社長が自分の仕事として3~10年先を見据えた視点で中長期的経営改善の計画を策定することが重要であり、しかも、多額の投資費用を無駄にしないリスク管理も他人任せにしてはならない。経営改善を成功させる視点と戦略のまとめ経営改善に終わりはない。なぜなら、世の中の進歩、顧客や市場の変化、ライバルの台頭など等、事業活動を取り巻く環境が変化すれば、競争の優位性が低下するからだ。事業の永続性を高めるには経営改善が不可欠であり、しかも、戦術的経営改善、戦略的経営改善、中長期的経営改善の3つの視点をバランスよくブレンドすることが、業績を一段と押し上げる経営改善のコツになる。効果的な経営改善が定着すれば、業績は自然と上がる。事実、業績好調な中小零細企業ほど、効果的な経営改善が定着している。
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  • 経営改善手法1|ハードランディングな経営改善アプローチ
    経営改善手法1|ハードランディングな経営改善アプローチ経営改善の手法は、会社の経営状態に応じてアプローチが変わる。例えば、赤字経営の黒字化、事業再生、企業再建などの場合は、経営改善のアプローチがハードランディングになる。この記事では、ハードランディングな経営改善の具体的手法について、詳しく解説する。ハードランディングな経営改善ハードランディングとは、航空機などが急降下して地面に叩き付けられる形で着陸することを表す航空用語だが、経営の現場においてもドラスティックな経営改善が強いられる場面などで使われる。例えば、赤字経営の黒字化、事業再生、企業再建などは、経営改善のアプローチがよりドラスティック(過激・抜本的・徹底的)なものになり、経営健全化までの道のりがハードランディングに偏る。なぜ、ハードランディング(急激な変化・変動)な経営改善に偏ってしまうのかというと、マイナス状態からの経営健全化は時間が勝負になるからだ。資金調達に限りのある中小企業ほど、経営改善の成果を上げるまでの時間が限られていて、マイナス状態が深刻なほど短期間での成果が求められる。経営改善が追い付かずに会社が倒産してしまっては元も子もないので、マイナス状態からの経営健全化は、自然とハードランディングな道のりになり、私の場合は1年以内に成果がでるように経営改善を推進する。ドラスティックな経営改善ドラスティックな経営改善の具体例を紹介する。ドラスティックな経営改善は、経営者と組織(社員)にかなりの負荷(ストレス)を与えることになるが、このプロセスを経て経営が健全化されると、過去から溜まりにたまったマイナスの膿が全て解消され、更に、経営者と組織(社員)の経営能力や変化への耐性が格段に高まる。事業収支の経営改善マイナス状態から経営を健全化するには事業収支を短期間でプラス化するためにドラスティックな経営改善を断行しなければならない。例えば、不採算事業や不採算商品の健全化、給与や賞与カットによるコストの大幅カットなど等を矢継ぎ早に断行し、事業収支の黒字化を速やかに実現することが正攻法になる。人事組織の経営改善経営が悪化する会社には、必ず、問題社員がいる。問題社員は経営者が放置するほどモンスター化し、会社の業績の足を引っぱる存在になる。こうした問題社員を解消するために、対象社員を再教育し、必要に応じて降格・減給処分や配置転換を速やかに実行し、組織力を回復させなければならない。組織の回復が遅れると、業績改善が一向に進まなくなるので、人事組織の経営改善は極めて重要になる。また、問題社員の改善と同時に、現役経営幹部の再教育(見直し)や社員の適材適所、並びに、有能な社員の幹部登用等を進めて、組織全体にチャレンジと成長の機会を与えることも不可欠になる。ファイナンスの経営改善事業収支と同様に重要なのがキャッシュフロー(CF)のプラス化で、CFをマイナスからプラスに改善するにはファイナンスの経営改善が欠かせない。具体的には返済計画のリスケジュールになるが、丁寧かつ根気強く、金融機関等と交渉し、返済条件の軽減を実現しなければならない。会社はお金が無くなった瞬間に倒産するので、ファイナンスの経営改善は極めて重要になる。また、極端な節税スキームを組むことも不可欠になる。安定経営の基礎を作る経営改善安定経営の基礎を作る経営改善の具体例を紹介する。事業収支、ファイナンス、人事組織、何れの領域も健全化の見通しがついた段階で、ハードランディング、かつ、ドラスティックな経営改善に一区切りをつけて、より健全な、より安定した経営基盤の基礎を作る経営改善に移行する。事業収支の経営改善マイナス収支がプラス化した後は、利益拡大のための施策を実行に移す。具体的には、経営改善計画に基づいた経営課題の解消、新商品の投入、新規顧客の獲得、利益改善、業務効率改善、生産性改善などの推進が基本戦略になるが、ハードランディングな経営改善の直後は組織が疲弊しているので、数字の改善よりも組織力を高めるための意識改善、或いは、社員フォローを優先することが大切になる。なぜなら、組織力と業績は比例関係にあるからだ。従って、給与等をカットした場合は速やかに給与を改善する、或いは、カット前の水準よりも引き上げる等の配慮が必要になる。人事組織の経営改善問題社員が一掃されて、組織全体が顧客に尽くす真っ当な仕事ができる風土が整った後は、社員の不平不満を無くすための人事評価制度の運用を目指す。具体的には、明快な人事評価基準を社員に示して、評価結果の満足度と共に教育効果を高めることが基本戦略になる。明快な人事評価基準があれば、社員は自主的に能力開発に努め、会社側も効率よく社員の能力開発を手助けすることができる。ファイナンスの経営改善返済計画のリスケジュールが金融機関等と概ね合意に至った後は、金融機関等に対する経営改善計画の進捗報告を定着させて信頼関係を深めることが基本戦略になる。財務データも正直に開示し、計画と実績の差異分析も丁寧に説明する。お互いの信頼関係が深まると、他社よりも有利な融資条件や返済条件を引き出すことができる。
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  • 経営改善手法2|ソフトランディングな経営改善アプローチ
    経営改善手法2|ソフトランディングな経営改善アプローチ経営改善の手法は、会社の経営状態に応じてアプローチが変わる。例えば、安定経営の確立、健全経営の定着、成長投資の推進などの場合は、経営改善のアプローチがソフトランディングになる。この記事では、ソフトランディングな経営改善の具体的手法について、詳しく解説する。ソフトランディングな経営改善ソフトランディングとは、航空機等が、緩やかに降下し地面に着陸をすることを表す航空用語だが、経営の現場においても無理のないマイルドな経営改善を推進する場面などで使われる。経営改善の実践は安定経営の必須条件であり、経営改善の手を緩めると、必ず、会社は衰退する。つまり、経営改善を継続することが企業の生命線になる訳だが、経営改善の方法はソフトランディングの方が望ましい。例えば、過激な経営改善や急激な変化が伴うハードランディング的な経営改善は、経営者や社員のみならず、場合によっては、顧客や取引先、或いは、金融機関など、全ての関係者に過度なストレスを与えるので、長続きしないリスクがある。一方、ソフトランディング(緩やかな変化・変動)な経営改善は、関係者への負荷(ストレス)が小さく長続きしやすいので、経営改善がしっかり定着し、安定経営の確立、健全経営の定着、成長投資加速などの成果が出しやすくなる。マイルドでも効果大の経営改善マイルドでも効果大の経営改善の具体例を紹介する。マイルドな経営改善は抵抗なく組織に定着しやすいので継続性が高まる。そして、経営改善は継続されるほどに精度が高まり、改善効果が大きくなる。つまり、経営改善が定着するほどに経営の安定度が増す。事業最適化の経営改善事業を最適化するための経営改善は安定経営に欠かせない。事業の最適化とは、各事業の顧客満足度と獲得利益を最大化するための業務効率化や成長戦略の展開を推進することで、組織の最適化(適材適所・少数精鋭)も含まれる。また、本業と派生ビジネスの線引きを明快にしながら事業価値を拡大し、全体収益とビジネスモデルの最適化を図ることも重要な経営改善になる。組織最適化の経営改善組織を最適化するための経営改善は安定経営に欠かせない。組織の最適化とは、長期的視点で組織力を強化することで、社員満足度の追求、若手採用と育成、経営幹部育成、後継者育成等が経営改善の対象になる。また、経営者自身も社長の必須スキルとマインドを研鑽する自己改善に邁進しなければならない。組織力は業績と比例関係にあるので、組織力が強化されるほど、業績の拡大スピードが加速する。安定経営を実現する経営改善会社の成長を阻害する経営課題は、周囲の環境変化と共に絶えず生まれるので、しっかり課題を捉え、その課題を解消し続けることが安定経営の絶対条件になる。経営課題は小さなうちに発掘し、小さなうちに解消することが、ソフトランディングな経営改善の鉄則になるので、そのために精度の高い経営改善計画を運用し、絶えず計画をアップデートしながら経営改善を実践することが重要になる。この経営改善がおざなりになると、会社は簡単に衰退し、場合によっては、ハードランディングな経営改善に頼らざる得ない危機的状況にまで陥ることもあり得る。或いは、社長の衰え、経営能力の低下、経営者の気の緩み、会社組織の崩壊など等、内的要因に端を発した衰退原因を招いて、内部崩壊を招くリスクも高まる。経営課題は小さなうちに発掘し、小さなうちに解消する。このソフトランディングな経営改善の定着が安定経営の絶対条件になり、衰退を予見し先手を打つ経営基盤の確立に繋がる。
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  • 経営改善計画書とは|経営改善計画書の目的・効果・機能・作り方
    経営改善計画書とは|経営改善計画書の目的・効果・機能・作り方経営改善計画書とは、その会社の最良の未来予想図を示すロードマップのことだ。経営改善計画書は、主に現状の事業分析・改善計画の骨子・改善計画の数値目標等で構成される。この記事では、経営改善計画書の目的・効果・機能・作り方、並びに、金融機関における経営改善計画書の概要から経営改善計画書の実効性を上げる方法に至るまで、詳しく解説する。経営改善計画書の目的経営改善計画書の目的は、会社の最良の未来予想図に向かって行う経営改善の推進力向上にある。経営改善計画書は、会社のあるべき姿とやるべき事を明快に示すので、経営改善を推進するための起点(源泉・基準・土台)になる。例えば、経営改善計画書を会社の最高経営責任者である社長を筆頭に会社経営に関わる全社員と共有すると、組織全体の経営改善意欲と共に、経営改善の推進力が一段と高まる。また、目標や課題の必達期限や解消方法の合意形成ツールや目標管理ツールとして活用することで、経営改善の実践度と共に、推進力が一段と高まる。事業活動が安定してくると経営改善の手が緩みがちになるが、事業最適化(事業再生・事業承継・事業再構築・創造と破壊・後継者育成等)の打ち手が遅れると企業は簡単に衰退する。従って、危機が迫ってから経営改善計画を策定するのではなく、企業の衰退を防ぐために日常的に経営改善計画を策定し、運用することが極めて重要になる。経営が安定している環境下での経営改善は、社員や顧客に与える負担が極めて小さいが、コツコツ積み重ねることで大きな成果をもららす。つまり、経営改善計画の運用精度の高低如何で、経営基盤の強度が決まるのだ。経営改善計画書の効果会社の成長を阻害する経営課題は永久に無くならないので、経営改善が停滞すると会社は必ず衰退する。従って、経営改善を推進する経営改善計画書の最大効果は、企業の衰退防止、或いは、企業の成長加速になる。経営改善計画書の効果を最大化するには、常に最適化することが不可欠で、最低でも毎月、計画内容をアップデートしなければならない。つまり、経営改善計画書は一度作って終わりではなく、絶えず計画内容をアップデートしながら継続運用することが絶対条件になる。会社を取り巻く経営環境は絶えず変化する。その変化を敏感に察知し、会社への影響度を分析し、すぐさま経営計画に反映する。このサイクルが、経営改善の計画精度と実行効果を高める秘訣になる。経営改善計画書の機能経営改善計画書の機能は、その会社の最良の未来予想図を実現するためのロードマップとしての役割りが大きい。ロードマップとは、未来予想図を実現するための目標、課題、必達期限、改善手段、改善方法、計画管理等々の詳細な工程や方法を具体的に表す管理ツールの事で、これが経営改善計画書の最たる機能になる。また、株主や社員、或いは、金融機関等の外部に対するエビデンス資料(根拠・証拠)にもなり、組織の経営改善意欲の向上、或いは、外部との信頼関係強化に役立つツールとしての機能もある。このように、経営改善計画書には事業活動の精度を高める機能だけでなく、外部とのコミュニケーションツールや関係者とのビジョン共有ツールなど、幅広い機能がある。経営改善計画書の作り方経営改善計画書は、主に現状の事業分析・改善計画の骨子・改善計画の数値目標等で構成される。経営改善計画書は、外部の専門家を頼ることで内容の精度を上げることができ、会社経営の経験値が高い専門家を頼るほど、精度が上がる。経営改善計画書の作り方のポイントについて、それぞれのパートごとに詳しく解説する。現状の事業分析現状の事業分析は、企業グループ相関分析、ビジネスモデル俯瞰分析、過去の財務資料分析、返済・資金・投資状況分析等々を詳細に行い、事業者概況(債務者概況)、並びに、企業の成長を阻害している経営課題等を明らかにする作業が中心になる。この現状の事業分析は、一般的には財務データのみで行うケースが多いが、企業課題の真実を明らかにし、より緻密でより正確な分析を実現するために現地調査や社員面談等を行う場合もある。(わたしの場合は必ず現地調査と全社員との面談を行う)改善計画の骨子改善計画の骨子は、その会社の最良の未来予想図を実現すべく具体的経営改善プランの策定、並びに、そのプランと連動したPL作成(損益計画表)とFCF(フリーキャッシュフロー)の計算が中心になる。金融機関の返済条件をリスケジュールする場合は、金融支援のスキーム策定(ファイナンス戦略の策定)も行い、各金融機関の返済計画書、並びに、その計画と連動したPLやFCFも作成する。改善計画の数値目標改善計画の数値目標は、改善計画の骨子(具体的経営改善プラン)と連動したPL作成(損益計画表)とFCF(フリーキャッシュフロー)の計算に加えて、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー表)、税額計算書、資金繰り表等の作成が中心になる。経営改善計画書の作成機関経営改善計画書の作成機関は数多にある。全国の商工会議所、全国の経営改善支援センター、中小企業庁から認定を受けた経営改善認定支援機関(金融機関・税理士・会計事務所等)など等、沢山ある。こうした機関に経営改善計画書の作成を依頼すると助成金のサポートが受けられる場合もあるので、費用対効果を考えると決して悪い選択ではないが、ひとつ注意すべき点がある。それは、経営改善計画書の作成を請け負う多くの機関は、計画書の作成自体が主たる業務になっていて、計画書の推進・実践サポートを主たる業務にしていない、という点だ。事実、経営改善計画の運用事例の多くは、計画を作成する事業者と計画実行をサポートする事業者が分かれている。当然ながら、計画の実行力が弱いと、どんなに素晴らしい計画であっても失敗に終わるので、できれば、計画と実行を一貫サポートする外部コンサルタントの活用をお薦めする。ここの見極めが甘くなると、経営改善計画書を作成して、計画実行がとん挫するリスクが高まるので、くれぐれも注意してほしい。金融機関における経営改善計画書金融機関等における経営改善計画書の主たる役割りは、融資条件を決定する、或いは、返済計画を担保するエビデンス資料(根拠・証拠)になる。例えば、金融機関等と日頃から経営改善計画書をしっかり共有していれば、お互いの信頼関係が深まり、他社よりも有利な融資条件を引き出すことができる。また、返済計画のリスケジュールを金融機関に依頼する場合は、経営改善計画書ありきでスキームが組まれるので、返済リスケと経営改善計画書が必ずワンセットになる。(経営改善計画書の作成機関が多いのはこのような背景があるからだ)返済リスケは、金融機関等への返済条件を軽減してもらう代わりに、その期間内に経営改善を推進し、倒産による貸し倒れを防ぐために行うものなので、返済計画を保証する経営改善計画書の作成・運用が必須条件になるのだ。経営改善計画書の実効性を上げる方法最後に、経営改善計画書の実効性を上げる方法を紹介する。経営改善計画書の実効性を上げる方法は様々なアプローチがあるが、特に有効かつ実践的な3つの方法について、詳しく解説する。専門家の活用専門家の協力は、経営改善計画書の実効性を上げる方法として有効だ。経営改善計画書の作成スキルは、事業や財務の分析スキルも必要だが、最も重要なスキルは、俯瞰的かつ客観的な視点で冷静・公平に事業全体を分析し、その会社の最良の未来予想図を提示するスキルになる。外部の専門家を活用すると、最良の未来予想図が描けるだけでなく、社内の人間だけでは見落としがちな深刻な課題を全て拾い上げることができる。社長の負担軽減社長の負担軽減は、経営改善計画書の実効性を上げる方法として有効だ。なぜなら、経営改善計画がとん挫する最大の理由は「社長の多忙」にあるからだ。社長が多忙になるほど、経営改善計画の実行意欲を高めるための社内説明や進捗管理がおざなりになり、経営改善がとん挫する。従って、経営コンサルタント等を活用するなどして社長の作業負担を軽減し、経営改善計画書が着実に実行される環境を作ることが不可欠になる。内容のアップデート内容のアップデートは、経営改善計画書の実効性を上げる方法として有効だ。事業活動の結果は必ず数字に表れ、経営課題は企業を取り巻く環境変化と共に絶えず表れる。しかも、未来を100%予測することは不可能なので、全ての計画(決断)には想定外の失敗リスクが潜んでいる。従って、絶えず検証と修正を行い、経営改善計画の実行プランを更新することは不可欠で、最低でも毎月内容をアップデートしなければならない。
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  • 経営改善事例|中小企業の改善事例・成功のポイント
    経営改善事例|中小企業の改善事例・成功のポイント実際に私が経営サポートした企業の経営改善事例を紹介します。いつの時代も中小企業を取り巻く経営環境は厳しいです。資金調達の手段には限りがあり、大企業や経済の歪みの犠牲になるケースも少なくありません。この記事では、ソフトランディングとハードランディングの経営改善事例、並びに、改善概要と成功のポイントについて、詳しく解説します。経営改善の基本プロセスビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表の伊藤です。最初に私の経営サポート(経営改善)の基本プロセスについて、概略を解説します。私の経営サポートの核は、売上と利益を最大化すべく「衰退を予見し先手を打つ盤石な経営体制を確立する」ために行う経営改善の運用サポート、並びに、マンツーマンサポートによる経営力向上です。中小企業は大企業に比べて極めて不利な経営環境もあって、一時は業績が良くても、少しのきっかけで業績が悪化するケースが少なくありませんが、こうした状況下で中小企業が安定経営を実現するには弛まぬ経営改善が欠かせません。お客様の会社の経営診断(デューデリジェンス)を継続し、適切な経営改善プランを随時策定、並びに、経営改善の推進を徹底サポートし、更なる企業価値の向上に尽くします。経営会議で万全のサポート定期的に経営会議を行います。経営会議の内容は、経営診断結果の報告、経営改善の進捗協議、新たな経営課題や経営リスクの協議、最新の経営ノウハウ提供、質疑応答等です。スピーディー且つ効果的に業績改善が進むように全力で経営をサポートします。企業の永続性を確立するために、今、自分が何をすべきかが明快になると共に、常にベストな答えが見つかります。経営相談で万全のサポート経営サポート中は、お電話・メール等での経営相談に365日・無制限で応じます。適宜、適切なアドバイスを提示し、経営者と共に経営改善を推進し、なお且つ、経営者の孤独と不安を解消します。経営者のレベルに合わせてステップバイステップでサポートし、経営者の必須スキルとマインド向上に尽くします。経営の正攻法サイクルをサポート会社の数字を管理会計で分析・運用(継続的デューデリジェンス)し、的確に会社の経営課題を捉え、なお且つ、経営改善策を常時最適化した上で、経営の正攻法サイクルがよりスピーディーに回転するようにサポートします。経営サイクルが回転する度に経営者の能力が研鑽され、会社の業績と生産性が上がります。以上が私が実際に行っている経営改善の基本プロセスです。以下に、このプロセスに則って経営改善を推進した事例を紹介します。経営改善事例1|ソフトランディングソフトランディングなアプローチで行った経営改善事例を紹介します。サポート開始から1年後に「営業利益が20倍」に増えた会社です。黒字経営の中小企業に対しては、ソフトランディング(緩やかな変化・変動)な経営改善アプローチが正攻法になります。ソフトランディングな経営改善は、関係者への負荷(ストレス)が小さく長続きしやすいので、経営改善がしっかり定着し、安定経営の確立、健全経営の定着、成長投資加速などの成果が出しやすくなります。事例企業企業概要 業種:製造業 創業40年超 社員:15名業績概要:黒字経営、売上はプラス成長、営業利益は横ばい~マイナス成長、現金残高は横ばい~マイナス成長事例企業は、黒字経営ではありましたが、利益と現金水準が低く、未来志向のない会社経営に陥っていました。また、経営分析が不十分で、成長を阻害する経営課題が山積しており、少しの経営環境の悪化で衰退するリスクもありました。更に、後継者育成も不十分でした。経営改善の成功ポイントは、社長の苦手分野や時間的・精神的負担を軽減するために経営コンサルタント(わたし)を活用したことと、最良の未来予想図を実現するための経営改善計画を着実に遂行したからに他なりません。下のグラフは、私が経営サポートに入る1年前の事例企業の主な経営指標(業績)になりますが、ご覧の通り、適正値(青いグラフ)に比べて、全ての経営指標(業績)が適正水準を下回っていることが分かると思います。下のグラフは、私が経営サポートを開始して1年後の主な経営指標(業績)になりますが、ご覧の通り、殆どの経営指標(業績)が適正水準に達しており、営業利益金額は指導前の20倍に達しています。経営改善計画の策定財務分析、現地調査、社員面談を実施し、経営改善計画を策定しました。経営改善の具体的方法全ての経営指標を優良水準に改善するための方法を策定しました。具体的には、利益改善のための付加価値研鑽、顧客創造のための仕組み作り、組織の最適化による組織力と生産性の向上、コストコントロールによる成長投資加速に向けた現金水準の引き上げ、など等です。経営改善の実践と検証経営改善計画の具体的実施スケジュールを設定し着実に遂行しました。隔月毎に経営会議を開催し、改善進捗の確認・フォロー、改善効果の測定・共有、新たな課題の発掘、方法論の検証・修正など等、常に計画を最適化しながら、経営改善の定着を図りました。成功ポイントを伊藤が解説この会社は、売上は安定しているが利益と現金がなかなか増えず、そのため成長投資が不十分で、未来志向に乏しい状態に陥っている、中小企業によくあるパターンでした。良い商品を作っていながら、その付加価値を十分に表現できていなかったため、付加価値研鑽、ターゲット顧客明確化、情報発信充実等を矢継ぎ早に実践し、顧客単価10%アップを達成しました。その結果、利益水準が大幅に改善し、現預金も沢山増えました。成長投資の原資が増えたため、設備投資、人財育成、新規事業等の未来投資も活発になり、経営基盤が盤石になりました。この会社の経営改善の成功ポイントは、強みを徹底して磨くことを最優先したことです。その結果、強みが磨かれるほどに、弱みが無くなり、会社の永続性が高まりました。事業活動が安定してくると経営改善の手が緩みがちになりますが、事業の最適化(事業再生・事業承継・事業再構築・創造と破壊・後継者育成等)の打ち手が遅れると企業は簡単に衰退します。ソフトランディングの経営改善は社員に与える負担が極めて小さいですが、コツコツ積み重ねることで大きな成果をもたらします。日頃の会社経営に定着させることを切にお薦めします。経営改善事例2|ソフトランディング前章同様、ソフトランディングなアプローチで行った経営改善事例を紹介します。サポート開始から2年後に「現金残高が60倍」に増えた会社です。事例企業企業概要 小売業、創業5年、社員12名業績概要:黒字経営、売上急成長中も営業利益と現金残高が超低水準この会社は、創業5年目の若い会社で、黒字経営に転換したタイミングで、経営サポートの依頼がありました。売上は毎年2倍前後のペースで急拡大しているものの、利益と現金水準が超低空飛行で、資金繰りと成長投資に大きな悩みを抱えていました。以下は、経営改善の内容です。経営改善計画の策定財務分析、現地調査、社員面談を実施し、経営改善計画を策定しました。経営改善の具体的方法全ての経営指標を優良水準に改善するための方法を策定しました。具体的には、不採算商品や事業の縮小・改善、ニーズ対応型からニーズ提案型商品の拡充、高付加価値商品の拡充、組織力と生産性の向上、コストバランスの最適化と成長投資加速に向けた現金残高の引き上げ、など等です。経営改善の実践と検証経営改善計画の具体的実施スケジュールを設定し着実に遂行しました。隔月毎に経営会議を開催し、改善進捗の確認・フォロー、改善効果の測定・共有、新たな課題の発掘、方法論の検証・修正など等、常に計画を最適化しながら、経営改善の定着を実現しました。成功ポイントを伊藤が解説この会社は仕入先行型ビジネスにありがちな、提供商品の利益率が低いほど、売上拡大と共に資金繰りがひっ迫する典型的な衰退パターンに陥っていました。しかも、低価格戦略で売上を拡大していたので、その弊害が顕著でした。真っ先に、ターゲット顧客を綿密に分析したところ、低価格戦略から高価格戦略に切り替えても、影響が小さいことが分かりました。不採算商品や事業の縮小・改善、ニーズ対応型からニーズ提案型商品の拡充、高付加価値商品の拡充等を矢継ぎ早に実践しました。その結果、売上拡大のペースを維持しながら、利益率を大幅に改善することができました。現預金も飛躍的に増加し、資金繰りの悩みが解消されると共に、成長投資も活発になり、経営基盤が盤石になりました。この会社の経営改善の成功ポイントは、レッドオーシャン(熾烈な市場競争)から脱却するために、オリジナリティー溢れる商品を拡充し、独自のブルーオーシャン市場(ニッチ独占市場)を開拓したことです。【補足】ソフトランディングな経営改善を徹底解説経営改善事例3|ハードランディングハードランディングなアプローチで行った経営改善事例を紹介します。サポート開始から1年後に「フリーキャッシュフローが1.5億円」増えた会社です。赤字経営のマイナス状態が深刻で、経営改善の成果を上げるまでの時間が限られている中小企業に対しては、ハードランディング(急激な変化・変動)な経営改善アプローチが正攻法になります。例えば、赤字経営の黒字化、事業再生、企業再建などは、経営改善のアプローチがよりドラスティック(過激・抜本的・徹底的)なものになり、経営健全化までの道のりがハードランディングに偏ります。事例企業企業概要 業種:製造業 年商20億円 創業40年超 社員:120名業績概要:赤字経営、売上はマイナス成長、営業利益はマイナス成長(赤字拡大)、現金残高はマイナス成長(FCFマイナス1億円)、借入12億円事例企業は、赤字経営のうえに返済苦も重なり、年間1億円ものキャッシュアウトが生じていて、経営破たんの危機に瀕していました。また、経営分析が不十分で、経営力低下、組織力低下、収益力低下、競争力低下、営業力低下など等、更なる業績悪化を招く経営課題が山積していました。経営改善の成功ポイントは、抜本的経営改善を断行するために経営コンサルタント(わたし)を活用したことと、最良の未来予想図を実現するための経営改善計画書を着実に遂行したからに他なりませんが、社長自身の不退転の覚悟が一番大きな成功要因になりました。経営改善着手から一年後には、売上が下げ止まりから上昇傾向に転じて黒字経営に転換(プラス0.7億円の改善)、マイナス1億円のFCF(フリーキャッシュフロー・現金収入)もプラスに転換(プラス1.5億円の改善)しました。初年度で経営健全化の見通しがついたため、次年度からは成長戦略の展開に移行し、更なる経営改善に邁進しました。経営改善計画の策定財務分析、現地調査、社員面談を実施し、経営改善計画を策定しました。経営改善の具体的方法全ての経営指標を優良水準に改善するための方法を策定しました。具体的には、初年度で黒字化、並びに、FCF1億円改善のための不採算事業改革、ファイナンス改革、利益改善のための付加価値研鑽、顧客創造のための仕組み作り、組織の最適化による組織力と生産性の向上、コストコントロールによる成長投資加速に向けた現金水準の引き上げ、など等です。経営改善の実践と検証経営改善計画の具体的実施スケジュールを設定し着実に遂行しました。毎月、経営会議を開催し、改善進捗の確認・フォロー、改善効果の測定・共有、新たな課題の発掘、方法論の検証・修正など等、常に計画を最適化しながら、経営改善の定着を図りました。成功ポイントを伊藤が解説この会社の最大の経営課題は「フリーキャッシュフロー(手元に残る現金)」が年間1億円もマイナスに陥っている点でした。借金も12億円あり、メインバンクから追加融資を断られる状況でしたので、会社の余命は、持って一年程度でした。最優先したのは、フリーキャッシュフローのプラス化です。たとえ1円でも会社に現金が残る状況にすれば、倒産を回避できるからです。返済リスケジュールによるファイナンス改善と共に、不採算事業と商品の撤廃、人件費の削減、縦割り組織の解消など等の施策をハードランディング(急激な改善)で推進し、わずか半年でフリーキャッシュフローのプラス化を実現しました。その後は、経営改善をソフトランディングに移行し、経営陣の力量を高めながら、当たり前の仕事が出来る組織環境の構築を推進し、最終的には、フリーキャッシュフローが1.5億円も改善するに至りました。余命一年であっても、決して諦めず、現実を受け入れて、打つ手を打てば、危機的状況下からでも復活できる好事例です。【補足】ハードランディングな経営改善を徹底解説経営改善事例から学ぶ成功のポイント経営改善事例から学ぶ成功のポイントについて解説します。まず大前提として、経営改善なくして会社の成長はあり得ないこと、並びに、経営改善は専門家を参画させることで精度が上がることを理解することが大切で、より良い経営状態を保ちながら、よりスピーディーに経営改善を推進することが大成功の秘訣になります。決意を固めるお互いに「絶対に会社の経営状態を今よりも好転させる」という強い決意を持つところから経営改善をスタートします。このマインドセットが、過去の過ちを素直に受け入れ、新しい未来を創造するための前向きな経営改善活動を可能にします。(このマインドがブレると経営改善は必ず失敗します)経営改善計画の策定経営改善計画とは、その会社の最良の未来予想図を実現する経営改善のロードマップになりますが、計画策定は専門家を参画させた方が成功に近づき、自らの力では発見できない経営課題(病気)と、会社の寿命を延ばすための具体的処方箋がより明快になります。(当たり前ですが、計画を誤ると経営改善は必ず失敗します)経営改善計画の運用経営改善は実行して初めて効果が生まれます。この実行は単に計画を遂行すれば良いというものではなく、結果検証と計画修正が生命線になります。なぜなら、未来を100%当てることは不可能で、どんな計画も想定外の失敗リスクが内在しているからです。従って、最低でも毎月計画内容をアップデートすることが成功の秘訣になります。この計画の検証精度は、第三者を経営に参画させて客観性を高めると一段と上がります。会社を衰退させたくなかったら経営改善を定着させることです。好調企業ほど経営改善が定着しています。経営改善は、専門家を参画させて、より良い経営状態を保ち、よりスピーディーに実践することが大成功の秘訣で、これが、衰退を予見し先手を打つ安定経営のシステムを構築する正攻法になります。
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  • 基本×基本=安定経営|基本の習得が会社経営の成功を招く
    基本×基本=安定経営|基本の習得が会社経営の成功を招く「基本×基本=安定経営」基本なくして会社経営の成功なし。これが会社経営を成功に導く公式だ。この記事では、会社経営における基本の重要性から習得すべき基本スキルに至るまで、詳しく解説する。なぜ基本が大切なのか?すべての応用問題は「基本×基本」で答えが明らかになるが、会社経営も例外ではない。なぜなら、会社経営の基本が経営者に身についていなければ、様々な経営課題を解決する能力が低下し、ほんの少しの経営環境の悪化と共に会社が衰退するからだ。基本を疎かにした会社経営は極めて危険で、失敗リスクが大きく膨らむ一方になる。会社経営の基本なくして成功はないといっても過言ではい。例えば、世間で突出した才能を発揮する人の事を型破りと形容するが、基本の型があるからこそ型破りが成功するのであって、基本の型がなければ、ただの型なし人間であり、成功も長くは続かない。修行過程の進歩を表す言葉の「守破離」もスタートは基本になる。最初は基本を守り、その基本を進化させて破り、基本を最適化し最初の基本から離れる、そして最初の基本の厚みが更に増し、一段と成長する。とにかく、基本がすべての成長の原動力になるのだ。まずは基本の習得から会社経営に成功するには基本を習得することが不可欠だが、基本を疎かにした自己流の会社経営に陥っている中小企業はじつに多い。基本が定着していない会社であっても、経営が順調に運んでいれば問題ないが、大半の会社は健全経営が確立されていない。事実、中小企業の約7割は赤字経営と云われている。赤字経営を健全化し、安定経営を確立するには、突拍子もない施策に走ることなく、会社経営の基本を一つひとつ確実に習得するほかない。顧客創造、利益拡大、資金拡大、顧客満足、社員満足など等、安定経営を支える経営の基本要素は沢山ある。経営者が基本を習得し、会社経営の仕組みに基本を定着させることが安定経営の正攻法であり、成功の秘訣になる。会社経営の基本とは?会社経営の基本は様々あるが、最低限身につけておきたい基本を紹介する。それは「マインド・分析力・人間力」の基本スキルだ。この3つの基本スキルが身についていれば会社経営の成功率が自ずと上がる。マインドは、責任感、感謝力、モラル等をなるべく早い時期に自覚・実践することが大切で、分析力は、客観的思考や財務分析等のスキルを磨くことが大切になる。人間力は、信念、理念、哲学、熱意、根性、器量、度量、審美眼、芸術性等、その人間のあり様を表す要素を人並み外れたレベルで発揮することが大切になる。とにかく、「マインド・分析力・人間力」、この3つの基本スキルが成功のベースになる。基本×基本=安定経営未来を100%当てることは誰にもできない。つまり、どんな決断にも失敗のリスクが付きまとい、経営者は日常的に前例のない判断や決断に迫られる。そうした状況下で会社経営を成功に導くには基本の引き出しを増やすしかなく、大概の経営課題は基本×基本で解決できる。たとえ難題であっても、基本×何乗かの掛け合わせで解決することができる。当サイト「中小企業を支える経営ノウハウ情報局」には会社経営の基本ノウハウを沢山公開している。成功したければ、とにかく、基本を習得することに尽きる。隅々までご覧頂き、一つでも多くの基本を習得してほしい。会社経営を成功に導く公式「基本×基本=安定経営」を実践し、定着させることが経営者の最大の役目といっても過言ではない。
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  • 経営者の数字力が業績を上げる|経営と数字の関係性と重要性
    経営者の数字力が業績を上げる|経営と数字の関係性と重要性中小企業の業績は数字力で決まる。全ての事業結果が表れている数字を起点に経営采配する、或いは、数字を活用することで失敗リスクを抑える事ができるからだ。この記事では、経営者の数字力の重要性、並びに、数字力のチェックシートに至るまで、詳しく解説する。経営者の数字力と業績の関係性中小企業の経営成績、つまり会社の業績は、経営者の能力に比例する。なぜなら、中小企業の多くはトップダウン構造にあり、経営者の意志ひとつで事業活動が決定するからだ。経営者の意志決定を覆す仕組みは殆どの中小企業にないことからも、経営者の能力が会社の業績を左右する最も大きい要素といえる。経営者の能力を測定する尺度は様々だが、最も端的に業績と直結している経営能力は何かと問われれば、それは「数字に強いか弱いか」だ。つまり、中小企業の業績は、経営者の数字力が生命線を握っている。このセオリーに則れば、中小企業は、経営者の数字力が優れていれば業績が伸び、経営者の数字力が劣ると業績が低迷する、ということになる。言い換えれば、「経営者の数字力さえ高めることができれば業績が伸びる」ということだ。元々数字力が高い人はほんの一握りだが、他の人はもう駄目なのかというとそんなことはない。諦める必要はなく、これから数字力を高めればよいのだ。経営者の数字力チェックシート次の数字力チェックシートで一つでも該当する項目があれば、あなたの数字力は低い可能性がある。また、その部分が会社の経営課題に直結している可能性がある。経営者の数字力チェックポイント☑ 損益計算書が読めない☑ 貸借対照表が読めない☑ 月次決算書を毎月見ていない☑ 具体的な数値目標が導入されていない☑ 会社の数字よりも勘や経験を優先している☑ 会社の数字と経営課題を関連付けて考えていない☑ 会社の数字管理を経理担当者や税理士に任せている☑ 人件費や経費の適正水準や適正なバランスが分らない。☑ 会社全体が赤字経営なのはわかるが深刻度合が分らない。☑ 現金収支(キャッシュフロー)がプラスかマイナスか分らない☑ この先、会社の利益がどのように推移していくのかが予測できない。☑ 大口の販売先に依存しているが会社の業績に与えるリスク度合が分らない。☑ 売上の増減くらいは把握できても、会社のどこの事業が黒字経営で、どこの事業が赤字経営なのか分らない。経営者の数字力の低下が衰退リスクを生み出す会社の数字には事業活動の結果が全て表れる。当然ながら、経営者の数字力が劣っていると、会社の数字が把握できないという事になる。会社の数字が把握できなければ、正しい現状分析は不可能だ。更に現状を正しく認識することができないので、会社の未来像と現状の間にある正しいギャップがつかめず、経営課題も見誤ってしまう。間違った経営課題にどんなに一生懸命取り組んでも、思ったような結果にならないであろうことは一目瞭然だろう。何より、経営課題の見誤りや見落としは、中小企業の最たる倒産原因だ。例えば、医者に健康診断の結果をきちんと読み解く能力がなければ、病気の予兆がそこに現れていたとしても見落としてしまう。誤診の結果、まったく見当違いの治療をしたがために本来治せる病気が重症化してしまうこともあり得る。経営者の数字力が自己診断力を高める医者の低い診断力が災いして病気を更に悪化させる原理は、会社経営も同じだ。例えば、経営者の数字力が優れていれば、会社の健康状態を自己診断できるので、会社の大病(経営悪化や倒産危機等)を未然に防ぐことができる。また、ヒトが病気をした場合は、数値基準を設けて日常生活復帰のためのリハビリを行い、復帰後もさらに高い健康レベルを目指すために数値目標を掲げて、より具体的なトレーニングを行い、心身ともに健康で魅力的な人を目指す。会社もそうありたいはずだ。経営者の数字力が優れていれば、現状認識と目標設定を誤るリスクがグッと下がる。そして、正しい現状認識は正しい未来を予測する。また、理想の未来像に対してどう取り組むかも正しい現状認識ありきで、それらの繰り返しが会社の成長発展を後押しする「良いスパイラル」を生み出す。良いスパイラルに入る為にも、まず経営者の数字力を高めることが先決だということがお分かり頂けただろうか。
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  • PDCAサイクルで会社の成長を加速する|実践的PDCA活用法
    PDCAサイクルで会社の成長を加速する|実践的PDCA活用法PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4段階で構成されている経営マネジメント手法である。PDCAの順でサイクルを回転させることで継続的業績改善が推進され、会社の成長が一段と加速するので、会社経営に必須の経営マネジメント手法といっても過言ではない。会社経営の成功に欠かせないPDCAサイクルだが、じつは、正しく運用できている中小企業は決して多くない。計画はあっても実行が伴っていない、実行しても評価や改善を行っていない、計画が誤っている、そもそも計画すらない、という中小企業も珍しくない。PDCAサイクルは、会社経営の安定と拡大を支える優れたツールだ。例えば、Plan(計画)がなければ、行き当たりバッタリの会社経営に陥り、業績悪化のリスクが高まる。Do(実行)がなければ、業績改善はおろか、良くて現状維持、普通は、衰退する一方になる。Check(評価)がなければ、計画と実行の正否を判定する機会が失われ、誤った会社経営を修正することが出来なくなる。Act(改善)がなければ、評価の意味がなくなり、安定経営に向けたPDCAサイクルの効果が得られなくなる。つまり、PDCAサイクルなくして、会社経営の安定も拡大も不可能といって過言ではなく、むしろ、業績悪化リスクが高まる一方になるのだ。また、PDCAサイクルは、どこかひとつの要素の精度が落ちると、全体の精度が一緒に落ちるので、常に全体の精度を最適化する努力が欠かせない。繰り返すが、会社経営の出発点になるPDCAサイクルの本質を理解し、正しく運用できている中小企業は決して多くない。現状のPDCAサイクルの精度と運用方法が正しいか否か、一度、点検してみてほしい。PDCAサイクルの正しい運用方法会社経営を安定させ、持続的に拡大させるにはPDCAサイクルの本質を理解し、高い精度で、正しく運用することが欠かせない。そして、正しい運用のもとで、高い精度のPDCAサイクルが高回転で回り始めると、事業の拡大スピードが一段と加速する。PDCAサイクルを正しく運用するには、各要素の基本を抑える必要がある。例えば、Plan(計画)は、経営計画、販売計画、製造計画、投資計画、育成計画、など等、会社経営の運営に関わるすべての計画が対象になる。Do(実行)は、計画に基づいて実行すること、Check(評価)は、実行の結果を評価・検証すること、最後のAct(改善)は、結果の良し悪しを分析し、より良い計画に改善することが基本になる。この基本サイクルを回していれば、自ずと効果的かつ効率的な事業展開が実現でき、会社経営の安定と拡大の道筋が見えてくる。PDCAサイクルの正しい運用方法と共に各要素の重要ポイントを詳細解説する。Plan(計画)計画の対象は事業に関わる全ての活動が対象になる。効果的な計画を作るには、数字(売上だけではなく営業利益に至るまで)、期日や目標のほか、担当者や責任者、など等、なるべく内容を具体的に仕上げなければならない。また、計画の期間は、一年、ひと月、一日というように短縮するほど、計画達成のスピードが加速する。Do(実行)計画を作って終わりでは会社は成長しない。計画を作ったらスピーディーに実行に移すことが欠かせない。中小企業の場合は、経営者が先頭に立って実行を指揮しないと、期待する結果が出ないことが往々にしてある。Check(評価)結果検証はPDCAサイクルの中でも重要なプロセスだ。なぜなら、検証精度が低下すると、計画と実行の誤りを正すことが出来なくなるからだ。当然ながら、誤った計画と実行を推し進めていては、成長するどころか、衰退まっしぐらということもあり得る。検証の精度を高めるには、数字や経験だけでなく、時には客観的な視点を利用することも大切だ。Act(改善)改善も結果検証と同様、PDCAサイクルの中でも重要なプロセスだ。なぜなら、改善なくして、成功はあり得ないからだ。計画には不確定要素が沢山入り込んでいるので、失敗リスクがついて回る。失敗リスクを小さな段階で捉えて、正しく改善することが、計画と実行の精度を上げる確かな方法になる。
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  • OODAループで会社の成長を加速する|実践的OODA活用法
    OODAループで会社の成長を加速する|実践的OODA活用法OODAループとは、元々は米国空軍が開発した軍事理論である。OODAループは、Observe(観察・感知)、Orient(情勢判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)で構成された意思決定プロセスで、幅広いシーンで活用されている。この記事では、OODAループ(サイクル)の概要、並びに、OODAループの活用法に至るまで、詳しく解説する。OODAループ(サイクル)とは?OODAループ(サイクル)とは、米国空軍が開発した軍事理論で、Observe(観察・感知)、Orient(情勢判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)で構成された意思決定プロセスである。もともと軍事シーンで活用されていたOODAループ(※注)だが、現在では、企業経営や組織運営など等、幅広いシーンで活用されている。例えば、企業経営においては、環境の変化や想定外の事象に素早く対応するために、OODAループが活用されている。組織運営に関しても、社会への感度を高めるため、或いは、社員の自主性を高めるために、OODAループが活用されている。中小企業の経営環境は不確実性が高まる一方なので、想定外の事態や環境の変化に素早く対応するためのOODAループは、会社経営に欠かせない必須ツールといって過言ではない。実際、わたしがコンサル指導をする際に最も重視しているのは、OODAループの実践である。導き出した答えが、情勢判断を経て、真逆の答えになることは良くあることだ。また、何事も白黒をつけて思考をストップするのではなく、周囲の状況に応じて最適解を導き出すOODAループの実践は、知的イノベーションの源泉になる。世の中の変化や対立、或いは、複数の原理を共生させる優れた対話技術や思考技術を持って最適解を求めるOODAループ(知的イノベーション)の実践は、会社の成長を加速させる優れたツールなのだ。※OODAループ(サイクル)は米国空軍が開発した軍事理論で、朝鮮戦争(1950-1953)の空中戦において、米国の戦闘機が中国よりも劣っているにも関わらずに善戦できたのは、米国機の方がコックピットからの視界が良好であり、操縦士が周囲の状況を正しく把握し、素早く判断し対応できたから、という体験から生まれた理論である。OODAループは会社経営の必須ツールOODAループは、優れた経営システムの構築に欠かせない必須ツールといえる。例えば、人間の尊厳を支える国土、言語、財産を奪われたユダヤ人が、いまだに世界各地の中枢で活躍できるのは、OODAループの実践によるところが大きい。世の中の成長発展に貢献しているユダヤ人は、何事も白黒をつけて思考をストップさせることがない。また、常に世の中の変化や対立、或いは、複数の原理を共生させる優れた対話技術や思考技術を持って最適解を求めるOODAループを実践している。ご存知の通り、ユダヤ人のノーベル賞受賞者数は群を抜いている。経済学賞に至っては受賞者の50%弱がユダヤ人である。ユダヤ人は世界人口の0.2%以下なので、この受賞率は異常だが、常に最適解を求めるOODAループの実践がユダヤ人の活躍を支えているのだ。過去を振り返ってみてほしい。ひとつの原理に固執した原理主義が必ず破綻することは、歴史が証明していないだろうか?例えば、武力一辺倒の国(強者)はクーデターで破綻し、法治一辺倒の国(賢者)は侵略や裏切りで破綻している。会社経営も同じで、そもそも、ひとつの原理で会社経営がうまくいくのであれば誰も苦労しない。時には強者の原理を立て、時には賢者の原理を立てる。経営環境の変化に応じて様々な原理を共生させるOODAループの実践が、持続的成長基盤を支える優れた経営システムを作り出すのだ。OODAループとPDCAサイクル不確実性が高まる経営環境において、従来の経営マネジメント手法であるPDCAサイクルは、最早通用しないという論調を見かけるが、そんなことはない。OODAループの効果を支えるベースがPDCAサイクルであり、PDCAサイクルとOODAループの併用こそが、不確実性を乗り切る秘訣であり、優れた経営システムを構築する確かな方法である。確かに、現実(今)は、常に新しい未来でアップデートされるので未来を予見することは難しいことだが、未来を予見することを放棄してしまっては、現実(今)への対応が疎かになる。正しい現状認識のもとに計画を作り、その計画の精度を高めるPDCAサイクルの経営マネジメント手法は、会社経営の成功を支える必須ツールであり、OODAループとは別の重要な役割を担っている。PDCAサイクルとOODAループの両輪を意識した経営采配が、会社経営を成功に導く秘訣であり、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)の各PDCAサイクルにOODAループを併用することが、PDCAサイクルの精度を高め、会社の成長を一段と加速する確かな方法なのだ。
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  • QPSA活動で競争の優位性を高める|競争に勝つQPSA実践法
    QPSA活動で競争の優位性を高める|競争に勝つQPSA実践法QPSA活動とは、競争の優位性を決定付ける4つの要素〔Quality(品質)、Price(価格)、Service(サービス)、Access(アクセス)〕の向上を推進する経営マネジメント手法である。QPSAが向上すると競争の優位性が高まり、会社の成長が一段と加速するので、会社経営に必須の経営マネジメント手法といっても過言ではない。会社経営の成功に欠かせないQPSA活動だが、じつは、しっかり実践できている中小企業は決して多くない。品質と価格のバランス、サービスの質、アクセスの良さ、何れの要素も高いレベルを保持している会社は少なく、そもそも、QPSA活動の計画そのものがない中小企業も珍しくない。QPSA活動は、会社の安定と拡大を支える優れた経営マネジメント手法で、QPSAが低下すると競争の優位性が失われ、あっという間に市場競争からはじき出される。また、QPSAがひとたび低下すると、業績悪化のスパイラルにハマりやすくなり、挽回するのに、数倍の手間と時間がかかる。つまり、QPSA活動なくして、会社の安定も拡大も不可能といって過言ではなく、むしろ、業績悪化リスクが高まる一方になるのだ。繰り返すが、会社経営の成功に欠かせないQPSA活動の本質を理解し、正しく実践できている中小企業は決して多くない。現状のQPSA活動の実践方法が正しいか否か、一度、点検してみてほしい。QPSA向上活動の正しい実践方法会社経営を安定させ、持続的に拡大させるにはQPSA活動の本質を理解し、高い精度で、正しく実践することが欠かせない。そして、高い精度のQPSA活動が推進されると、競争の優位性が高まり、事業の拡大スピードが一段と加速する。QPSA活動を正しく実践するには、各要素の基本をしっかり抑える必要がある。各要素の基本を抑えたうえでQPSA活動を実践していれば、自ずと競争の優位性が高まり、会社経営の安定と拡大の道筋が見えてくる。QPSA活動の正しい実践方法と共に各要素の基本ポイントを詳しく解説する。Quality(品質)Quality(品質)は、商品の品質に限らず、接客から配送に至るまで、顧客との接点に関わるすべての部分の品質が含まれる。たとえ高品質な商品であっても、接客や配送が低品質であれば、顧客の評価は「低品質」となってしまう。品質低下を招く課題を徹底的に解消することが基本になる。Price(価格)Price(価格)は、競合との価格バランスだけではなく、価格に見合う品質か否か、価格に見合う情報提供が十分か、価格に見合うブランド価値があるか、或いは、価格で勝負できるコスト構造を構築しているか、など等、価格を構成する全ての部分を顧客目線で点検し、改善することが基本になる。Service(サービス)Service(サービス)は、商品の購入前後、及び、購入時のサービスが万全か否かを顧客目線で点検し、改善することが基本になる。特にリピーターは初回購入者の数倍の利益を会社にもたらす存在になるので、リピーター育成に繋がるサービスは充実させた方が良い。Access(アクセス)Access(アクセス)は、立地、或いは、検索順位で競合に勝っているか否かを常に点検し、改善することが基本になる。品質、価格、サービスの3つの要素がライバルと横並びになった場合、最後の勝負はアクセスで決まる。例えば、たった一代で世界的コンピューターメーカーを創り上げたデルなどは、アクセスで競争の優位性を築いた典型例だ。QPSA活動のまとめQPSA活動とは、競争の優位性を決定付ける4つの要素である、Quality(品質)、Price(価格)、Service(サービス)、Access(アクセス)の向上を推進する経営マネジメント手法である。QPSAが向上すると競争の優位性が高まり、会社の成長が一段と加速するので、会社経営に必須の経営マネジメント手法といっても過言ではないが、しっかり実践できている中小企業は決して多くない。QPSA活動に終わりはない。なぜなら、ひとたび、QPSAが低下すると競争の優位性が失われ、業績悪化のスパイラルにハマるからだ。QPSA活動を緩めた瞬間から、競合の足音が近づいてくる。競争の優位性を保持するために、心して取り組んでほしい。
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  • 会社の利益を上げる10の方法(管理編)|中小企業の利益拡大策(1)
    会社の利益を上げる10の方法(管理編)会社成長の大原則は「売上の最大化と経費の最小化」を同時に進めること、つまり「利益の最大化」にある。なぜ、利益の拡大が会社の成長を支えるかというと、成長投資、内部留保、報酬増額、付加価値、事業価値など等、会社の成長発展を支えるすべての要素が「利益」から生まれるからだ。また、会社はお金が無くなると倒産するが、会社のお金の源泉も利益になる。さらに、未上場で資金調達手段に限りのある中小企業は、利益体質が健全でなければ十分な内部留保も資金調達もできない。つまり、中小企業においては、利益拡大なくして会社の存続はない、といっても過言ではないのだ。この記事では、会社の利益を上げる10の方法を管理編と戦略編に分けて、詳しく解説する。見るべき利益を見る会社の利益を上げるために経営者が見るべき利益は、本業の儲けを示す「営業利益」になる。なぜなら、営業利益を見ずして、会社の利益を上げる正しい経営采配、或いは、優れた経営アイデアなどは生まれないからだ。うちの会社は利益が沢山でていると自慢する経営者に限って、営業利益のひとつ手前の利益指標である売上総利益、いわゆる「粗利(あらり)」のことを言っているケースが多い。このような会社の損益状況のフタを開けてみると、赤字経営、或いは、経営者自身が十分な報酬を得ていない、ということも珍しくない。粗利から経費を差し引いた本業の営業利益、つまり、会社の真の儲けがどの程度あるのかを理解せずして、利益を上げる采配など出来るものではない。むしろ、売れば売るほど損失が増える赤字商品や赤字取引を生み出すリスクが高まり、衰退することもあり得る。中小企業が利益を上げるためには、経営者が「営業利益」をしっかり見ることが大切だ。利益目標を立てる会社の利益を上げるために、然るべき利益目標を持っている中小企業は決して多くない。目標には現状課題を浮き彫りにする役割があるので、目標のありなしで、会社の経営効率は天と地ほど変わってくる。例えば、目標のある経営は、明快な行動原理のもとで社員の動きがキビキビするので、自ずと事業活動が効率的なものになり、利益がどんどん上がる。会社の利益目標にお薦めの指標は「売上総利益高営業利益率」になる。売上総利益(粗利)に占める営業利益の構成比率のことで、どんな業種業態の中小企業にも使える便利な利益指標で、計算式は下記の通りである。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100売上総利益高営業利益率20%以上が目指すべき利益目標になり、20%を下回っている場合は、利益目標に向かってひたむきに経営改善を推進する必要がある。但し、売上総利益高営業利益率が20%以上であっても、設備更新が不十分、社員への報酬還元が不十分、取引先を泣かせている、など等、誰か(何か)の犠牲の上に成り立っている利益は不健全だ。この場合は健全な利益体質に是正した後に、再度、利益水準を測定する必要がある。また、売上総利益高営業利益率が20%であっても、営業利益金額が少なすぎると安定経営に支障が出る場合があるので、売上拡大も必ずセットで運用しなければならない。中小企業が利益を上げるためには、経営者が然るべき利益目標を立てて、経営の効率化を推進することが大切だ。ムダと利益ロスをなくす会社の利益を上げるために解消すべきムダな利益ロスは、会社の至るところに潜んでいる。売上の中には赤字商品や赤字取引が、仕入の中には不良在庫や割高な条件が、経費の中には売上にさほど貢献してない惰性コストがなど等、会社の収支の中にはムダな利益ロスが必ずある。1円のムダは、即、1円の利益ロスに繋がる。つまり、ムダの解消は、即効的に利益を上げる効果がある。また、事業収支の他にも、働き方にもムダな利益ロスが潜んでいる。例えば、働き方ひとつとっても、非効率な受発注体制、営業体制、製造体制などはムダの温床の典型に挙げられる。人件費は会社のコストの大部分を占めているので、働き方のムダ解消は大きな利益改善効果がある。中小企業が利益を上げるためには、会社に潜んでいるムダとロスをなくす努力が欠かせない。経営課題を見落とさない経営課題とは、会社の存続を妨げるリスクのことだ。会社が倒産する最大の理由は「経営課題の見落とし」だが、どんなに小さな経営課題であっても見落とし続けると大きなリスクに育ち、会社の衰退を招く。会社が衰退するということは、利益が先細るということなので、「経営課題の見落とし」と「利益の減少」は対の関係にある。逆にいえば、経営課題を解消し続けている限りは、利益が上がり続けるともいえる。経営課題は、これで終わりという終点がない。なぜなら、世の中の変化、社会や技術の進歩、競合他社の台頭、など等、会社経営を取り巻く環境が変化すると共に、新たな経営課題が生まれ続けるからだ。中小企業が利益を上げるためには、経営者が経営課題を見落とさないことが何よりも大切だ。経営改善を継続する経営改善の目的を端的にいうと「利益の最大化」である。従って、利益最大化のための経営改善を実践しなければ、利益が上がることはなく、経営改善を継続することこそが利益を上げる唯一の方法といっても過言ではない。経営改善を成功させるには、正しい現状認識と目標設定が不可欠だ。なぜなら、正しい現状と目標の間にあるギャップ(経営課題)を捉えることが、経営改善の成功の秘訣だからだ。例えば、☑売上が増えているのに利益が増えない☑経営改善の効果(利益増加)が一向に実感できないといった症状が出ている会社は、現状認識と目標設定を誤っている可能性が高い。誤った現状認識や目標設定から端を発した経営改善にいくら一生懸命に取り組んでも、売上は上がらず、むしろ、衰退まっしぐらということもあり得る。中小企業が利益を上げるためには、第一に正しい現状認識と目標設定をしたうえで、正しいギャップ(経営課題)を捉えることが重要で、その上で正しく捉えた経営課題を解消すべく経営改善を継続することが、利益を上げる正攻法になる。
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  • 会社の利益を上げる10の方法(戦略編)|中小企業の利益拡大策(2)
    会社の利益を上げる10の方法(戦略編)会社の利益を上げる10の方法(管理編)に続いて、会社の利益を上げる10の方法(戦略編)を解説する。管理編では、経営管理面(マネジメント)に焦点を当てた利益を上げる方法論を詳しく解説したが、戦略編では、経営戦略面に焦点を当てた利益を上げる方法論を詳しく解説する。会社の利益を上げるには、経営管理だけを気を配っていればよいというものではない。なぜなら、いかに整った経営管理体制を構築したとしても、経営戦略を誤ると、いとも簡単に利益が減少するからだ。管理面と戦略面は利益を上げる両輪を為しているので、会社の利益を上げる10の方法(戦略編)についても、しっかり理解を深めてほしい。安売りしない中小企業にとって安売り、つまり低価格戦略は百害あって一利なしである。経営者の犠牲の上に安売り戦略を推し進める会社の寿命は、せいぜい持って2代目で終わりだ。なぜなら、たとえ手持ち物件で家賃負担がなかったとしても、経営者の然るべき報酬や減価償却費をすべて安売りの原資に回してしまえば、十分な設備投資や成長投資の資金が捻出できず、建物や設備の老朽化と共に経営が行き詰まるからだ。安売りという一時しのぎの戦略ばかりを取っていると、いつまでたっても利益を上げることはできず、むしろ、利益が減り続けて、会社が衰退するリスクが高まるばかりとなる。一度、低価格戦略に舵を切ってしまうと後戻りすることは不可能といっていいほど困難を伴う。中小企業が利益を上げるには、安売り以外の戦略で商品やサービスを提供する努力が大切だ。付加価値を追求する付加価値とは、原価と売り値の間にある利益のことだ。当然ながら、付加価値の高い商品は高値でも売れるので、会社の獲得利益も大きくなる。付加価値を追求して利益を拡大する考えは、ブランド大国であるヨーロッパでは一般的なことだ。例えば、高級ブランドであれば、材料原価の100倍の価格で商品を販売することも珍しくない。一方、日本は原価を積み上げて価格をつける考え方が一般的だ。どんな商品やサービスであっても付加価値を追求してみると、何かしらの価値が発掘できるものだ。用途開発、機能開発、顧客開発、容器開発、デザイン開発など等、付加価値を発掘する領域は沢山ある。付加価値の大きさ=利益の大きさなので、付加価値の追求は、中小企業の利益を上げる有効な方法になる。ニッチ市場を攻めるニッチ市場とは、参入障壁が高く競合が少ない、割かしマーケット規模の小さな市場のことだ。息の長い商品(ロングセラー品)や細く長く続く経営(オンリーワン経営)はニッチ市場で生まれやすい。なぜなら、ニッチ市場は、大手や競合の脅威が少なく、マイペースで商売ができるからだ。ニッチ市場は、値崩れやシェア縮小のリスクが低いので、顧客が増えるほど利益が増えるといった、利益拡大のサイクルを作りやすいメリットがある。ニッチ市場の参入には高いレベルの独自ノウハウの蓄積が欠かせないが、前編「会社の利益を上げる10の方法(管理編)」で解説した経営改善を継続していれば、自ずと独自のノウハウが蓄積される。ニッチ市場は、利益をより安定的に上げる最適な市場といっても過言ではない。リピーターを増やすリピーターが増えれば利益が上がるのは当たり前のことだが、なぜ新規ではなくリピーターを増やすべきなのか、というポイントが肝になる。リピート顧客が増えると利益も増える法則には二つの根拠がある。ひとつは、顧客の獲得コストだ。リピーターの獲得コストは新規顧客の獲得コストの数分の一で済む。もう一つは、1回あたりの購入単価だ。リピーターの1回あたりの購入単価は新規顧客の2倍以上だ。つまり、少ない経費で購入を継続してくれて、尚且つ、一回当たりの購入金額が高いのがリピーターの特徴なのだ。売上の最大化と経費の最小化を同時に進めることが利益を上げる基本原則なので、リピーターを増やす戦略は、この基本原則に合致した正攻法でもある。また、リピーターは年間取引額が大きいヘビーユーザーほど、1回あたりの購入単価が大きくなる傾向がある。将来のリピーター候補になる新規顧客の獲得も重要だが、リピート顧客を丁寧にフォローし、リピーターを沢山増やすことの方が、会社の利益を上げる重要な取組みになる。情報を発信する良いものを提供しているにも関わらず、鳴かず飛ばずという中小企業は少なくない。このような中小企業が利益を上げるには、徹底した情報発信が欠かせない。なぜなら、顧客創造(利益創造)を左右するブランドイメージは、情報発信によって形成されるからだ。会社や商品概要に止まらず、仕事の価値、商品の価値など等、提供する商品やサービスの付加価値を引き上げる情報を積極的に伝える努力をしなければ「良いもの」が第三者に伝わることはない。情報戦略に力を入れている中小企業は多くないが、情報を制する者は経済を制すると云われている通り、情報は企業価値を高め、利益を押し上げる効果を持っている。ネット広告やテレビCMだけが情報発信の手段ではなく、会社のホームページも立派な情報発信手段になる。自分達の良さが伝わる情報発信ができているか否か、顧客の利益を高める情報発信ができているか否か、利益を上げるための情報発信が十分にできているか否か、一度点検してみてほしい。
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  • 会社の人時生産性を上げる10の方法(組織編)|中小企業の生産性向上策(1)
    会社の人時生産性を上げる10の方法(組織編)会社の人時生産性を上げるには、最小の人員で最大の利益を生み出す体制づくりが欠かせない。また、中小企業は、組織力の強さで業績が決まるといって良いほど、社員の働きぶりが業績に直結する。当然ながら、業績の良い中小企業は強い組織力で効率よく収益を上げる体制が確立されており、さらに、現状に満足することなく、組織力を高める努力も継続されている。この記事では、すぐに活用できる会社の人時生産性を上げる10の方法を組織編と収益編に分けて、詳しく解説する。少数精鋭体制で人時生産性を上げる中小企業は余裕を持った人員採用ができない。また、高い水準での人材教育も難しい。こうした経営状況において人時生産性を上げるには、個の能力を磨いて少数精鋭の体制を作り上げなければならない。少数精鋭体制は、すべての社員が、すべての仕事を高いレベルで遂行する能力がなければならない、というものではない。仕事の領域を細分化していき、「この仕事ならこの社員に任せておけば安心」というレベルの仕事力を、一人ひとりの社員に身につけさせることができれば、自ずと個の能力が高まり、組織全体の力が一段と上がる。少数精鋭体制は、一人の精鋭社員が休むと会社の人時生産性が一気に低下する弱点があるが、社長自身がその社員をカバーする能力を身につけておけば、さほど人時生産性を下げることなく、一時しのぎができる。何れにしろ、資本力の乏しい中小企業が大企業や競合他社との競争に打ち勝つには、少数精鋭体制を築き上げ、人時生産性を極限まで高める努力を継続しなければならない。また、人時生産性の数値管理を定着させることも重要になる。【「人時生産性の計算方法」はこちら】モチベーションを上げて人時生産性を上げる社員のモチベーションが上がると、人時生産性も上がる。なぜなら、社員がいきいき働き始めると、仕事の質が、待ちの仕事から攻めの仕事に変わるからだ。当然ながら、攻めの仕事はムダとロスが少なく、人時生産性が高いものになる。中小企業で働く社員のモチベーションを上げる方法は難しくない。経営者と社員の関係性が良好であれば、社員は高いモチベーションを持続する。経営者と社員が良好な関係性を築くためのコミュニケーションは、経営者の社員に対する時折りの労いや声掛け、差し入れなどで十分に効果が出る。指示待ち人間を解消して人時生産性を上げる指示待ち人間とは、自らの意思が薄弱で、他人からの指示がないと動けないタイプの人のことである。社員の自主性を尊重しすぎるのも問題だが、ある程度、指示がなくても仕事が遂行できる能力が社員に備わっていなければ人時生産性は上がらない。なぜなら、指示を待つ社員と指示をする社員の間にタイムラグ(関連する二つの事の間に生ずる時間的なズレ)が発生すればするほど、人時生産性が低下するからだ。何といっても、指示を待つ時間は、人時生産性を下げるマイナス要因になる。指示待ち人間の社員に自主性と自信を持たせるには、チェック体制と報連相(報告・連絡・相談)の徹底が不可欠である。中小企業においては、仕事のチェック体制と報連相の環境作りは経営者の仕事になる。社員の特性を活かして人時生産性を上げる人間には必ず一長一短がある。そして、長所は伸びるが、短所は直らない、若しくは、酷くなるというのが自然の摂理である。また、仕事においても、得手不得手というのが必ずある。人時生産性を上げるには、社員の長所と得意分野を活かしきる適材適所が出来ているか否かが重要なポイントになる。社員の特性を理解し、社員の特性を活かしきる適材適所は、少数精鋭体制の構築やモチベーションの向上、或いは、指示待ち人間の解消にも繋がる人時生産性を高める有効な対策だ。組織力を強化して人時生産性を上げる人時生産性を上げるには、組織力を高めると同時に、会社の収益面を万全に整える経営マネジメントが不可欠だ。良い社員、良い商品があるにも関わらず、人時生産性が今一つ上がらない会社は、この経営マネジメントが不十分だ。組織力を高める最も効率の良い方法は、経営者が成長することに尽きる。良い見本を社員に示せば、社員は勝手に育つからだ。なお、会社の収益を高める方法は会社の人時生産性を上げる10の方法(組織編)にて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
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  • 会社の人時生産性を上げる10の方法(収益編)|中小企業の生産性向上策(2)
    会社の人時生産性を上げる10の方法(収益編)会社の人時生産性を上げる10の方法(組織編)に続いて、会社の人時生産性を上げる10の方法(収益編)を解説する。組織編では、組織面に焦点を当てた人時生産性を上げる方法を解説したが、収益編では、収益面に焦点を当てた人時生産性を上げる方法を詳しく解説する。人時生産性を上げるには組織力だけを高めれば良いというものではない。なぜなら、いかに強い組織力を築いたとしても、会社の収益力が低下すると、いとも簡単に人時生産性が低下するからだ。会社の組織力と収益力は人時生産性を上げる両輪を為しているので、会社の人時生産性を上げる10の方法(収益編)についても、しっかり理解を深めてほしい。ロスとムダを排除して人時生産性を上げるどんなに有能な社員であっても非効率な働き方や会社に損失を与える取引を進めていれば、人時生産性を下げる結果を招く。例えば、非効率な働き方や損失を与える取引は、時間や労力のムダを生み出し、会社のロス(損失)を拡大する。どんな会社にも、ロスとムダがあり、ロスとムダが全くない状態というのはあり得ない。また、ロスとムダは改善して終わりというものではない。時間の経過や時代の変化と共に、どこからともなく発生するのがロスとムダである。人時生産性を上げるには日常的にロスとムダを排除する取り組みが欠かせない。収益構造を把握して人時生産性を上げる人時生産性を上げるにはロスとムダの排除が欠かせないが、会社のロス(損失)を発見するには、常日頃から会社の収益構造を把握する必要がある。会社の収益構造は事業全体の収益だけを把握していれば良いというものではない。事業全体から始まり、事業別、取引先別、商品別など等、細かい末端部分までしっかり把握しなければならない。人時生産性が低下し赤字経営に陥るような中小企業には、必ず、ロス(損失)を生み出す取引先や商品がある。収益構造の把握は、人時生産性を上げるうえで不可欠な作業といって過言ではない。付加価値を追求して人時生産性を上げるいかに生産性の高い労働力を発揮していても、会社が提供する商品やサービスの付加価値が低く、獲得できる利益が些少であれば人時生産性は上がらない。最小の人員で最大の利益を生み出す体制づくりが人時生産性を上げる大原則なので、やはり、大きな利益が獲得できる付加価値の高い商品やサービスの提供は不可欠だ。付加価値を高めるには深掘り戦略が欠かせないが、多くの中小企業は深掘り戦略を徹底していない。付加価値の追求は人時生産性を上げるだけでなく、競争の優位性も高めるので、会社存続を保障する重要な取り組みといえる。経営改善を推進して人時生産性を上げる中小企業が人時生産性を上げるためにロスとムダを排除し、事業の付加価値を高めるためには、弛まない経営改善が欠かせない。経営改善を成功させるためには経営課題をしっかり捉えることが大切だが、経営課題を正しく捉えることほど困難を極める作業はない。なぜなら、正しく経営課題を捉え、その都度、適切な対処をしていくには相当な経営能力と経営技術を要するからだ。事実、中小企業の業績が悪化する最大の原因は「経営課題の見落とし」である。中小企業経営者は、会社が儲かっていようが、儲かっていまいが、いつなんどきも経営改善と真剣に向き合う覚悟が必要だ。正しい経営サイクルを確立する人時生産性を上げるために最小の人員で最大の利益を生み出す体制を構築するには、正しい経営サイクルを確立する必要がある。正しい経営サイクルとは下図のような会社の数字を起点とした会社経営のことである。当然ながら、会社の数字を無視した行き当たりバッタリの会社経営では、人時生産性が高まることはなく、経営が行き詰るリスクが高まるばかりとなる。効率的に人時生産性を高めるには、根拠のある判断基準をベースに経営采配することが大切なのだ。
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  • 赤字経営を黒字化する方法|中小企業の赤字脱却の道筋を徹底解説
    赤字経営を黒字化する方法|中小企業の赤字脱却の道筋を徹底解説大企業であれ、中小企業であれ、赤字経営は不幸の始まりである。なぜなら、赤字経営の行きつく先は会社の倒産だからだ。従って、経営者であれば赤字経営を決して容認してはいけない。この記事では、赤字経営を黒字化する基本の道筋から黒字化の具体的方法に至るまで、詳しく解説する。黒字化とは?黒字化とは、マイナス収支(赤字経営)からプラス収支(黒字経営)に収支を改善する取り組みのことだ。会社経営の存続は、売上以下のコスト、つまり、プラスの収支が絶対条件になるので、赤字経営の会社にとって黒字化の取り組みは不可欠になる。黒字化の判定は様々あるが、本業の儲けを示す営業利益の黒字化、会社全体の儲けを示す経常利益の黒字化、キャッシュフローの黒字化は安定経営の絶対条件になる。特に、営業利益の黒字化とキャッシュフローの黒字化は重要で、営業利益が赤字だと事業そのものの継続が困難になり、キャッシュフローが赤字だと黒字倒産のリスクが飛躍的に高まる。赤字経営の先にあるのは企業倒産なので、赤字に転落する予兆を感じたら、すぐに黒字化に取り組むことが大切だ。黒字化の基本アプローチ中小企業の約7割が赤字経営に陥っていると云われている。赤字経営に頭を悩ませている経営者も多いと思うが、黒字化の方法さえ抑えれば赤字脱却の道筋は見えてくる。中小企業において、赤字経営を黒字化する方法はシンプルで、まずは徹底してムダとロスを排除し、収支をトントンに持っていくことが早期黒字化の基本アプローチになる。収支をトントンに持っていく順番は、第一にキャッシュフローの黒字化、次に、事業収支上(経理上)の黒字化である。赤字経営を脱却しようと、売上拡大や事業拡大に躍起になる経営者がいるが、この選択は間違っている。なぜなら、現在進行している売上拡大や事業拡大の戦略が、赤字経営の元凶になっている可能性が高いからだ。従って、何よりも優先すべきは、赤字の原因であるムダとロスを排除し、収支をトントン(プラスマイナスゼロ)に持っていくことだ。売上拡大や事業拡大は、それからでも遅くなく、黒字化した後に、いかようにも挽回できる。赤字経営を黒字化する最初のステップ赤字経営の原因になり得るムダとロスの垂れ流しは、現金の垂れ流しと同じことだ。自分の財布から毎日お金が逃げていると思えば、黒字化への意欲も上がるのではないかと思うが、赤字経営を黒字化するために収支をトントンに持っていくと、会社の現金流出が止まるので運転資金にゆとりができる。運転資金にゆとりができると、会社の資金繰りと経営者の心に余裕ができる。さらに、経営者の不安も解消されるので、冷静かつ客観的な精神状態で、事業成長のアイデアを考えることができるようになる。冷静さと客観性を見失った経営者の経営判断は、大概、誤っていることが多い。従って、何事にも優先して、収支をトントンに持っていき、会社経営にゆとりを持つことが重要なポイントになる。赤字経営を黒字化する具体的方法収支をトントンに持っていく一番の近道は、事業のロスとムダを徹底的に解消することだ。そして、事業のロスとムダは「売上・売上原価・販売管理費」の3つの領域に潜んでいる。それぞれのロスとムダの解消方法を詳しく解説する。黒字化の方法「売上のロス解消」意外なことに、ロスとムダは売上の中にも潜んでいる。ロスとムダになりうる最たる原因は、赤字商品と赤字取引だ。赤字経営に陥っている中小企業には、売れば売るほど赤字が拡大する赤字商品、或いは、赤字取引が必ず存在する。赤字商品や赤字取引は、商品や取引毎の損益分析で探ることができる。広告宣伝の意味合いがあったとしても、赤字経営であれば、全ての赤字商品と赤字取引を解消すべきだ。会社経営の原則は儲けること、即ち、黒字経営が第一である。【関連記事】売上を拡大する営業戦略の実践ノウハウ黒字化の方法「売上原価のロス解消」売上原価の中にも、ロスとムダがたくさん潜んでいる。主なロスとムダの発生場所は、仕入と製造原価だ。仕入のロスとムダは、仕入調達ルートや調達方法の工夫で改善することができる。製造原価のロスとムダは、製造商品の組合せや人員配置の工夫で改善することができる。仕入等のロスとムダを改善する際に注意すべき点は、品質を低下させないことだ。なぜなら、資本力の乏しい中小企業にとって、安かろう悪かろうの仕入方針の行く末は、衰退しかないからである。【関連記事】会社の生産性を改善する実践ノウハウ黒字化の方法「販売管理費のロス解消」販売管理費の中にも、ロスとムダがたくさん潜んでいる。主なロスとムダの原因は、労働生産性の低下と経費の無駄遣いだ。労働生産性の低下は、営業ルートや配送ルートの損益分析、催事やイベントの損益分析等々、あらゆる労働生産性を個別分析することでムダとロスを探ることができる。経費の無駄遣いは、収益に貢献していない経費の削減、消耗品の調達ルート変更による経費削減、広告宣伝や印刷物の調達ルート変更による経費削減、水道電機の節約、文具の共有化、など等、ムダとロスを解消する方法はいくらでもある。なお、経費の無駄遣いは、変動費よりも固定費の削減を推進した方が即効性が高い。【関連記事】コスト削減の考え方・目的・効果・方法・成功事例を徹底解説黒字経営の大原則とは?モノを売ったら、1円でも多く儲かる。黒字経営は会社経営の基本原則である。赤字経営では、不安が消えない、報酬が増えない、成長投資の原資が賄えない、未来が見えない、、、など等、良いことはひとつもない。中小企業の黒字化は、赤字経営に転落した時点で、すぐに取り組まなければならない。なぜなら、資本力に乏しい中小企業の場合、黒字化の取り組みが遅れるほど、赤字経営からの脱却が難しくなるからだ。常に黒字経営をキープするために、しっかり経営改善に取り組むことが、赤字経営を未然に防止する確かな方法になる。
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  • 会社の利益を上げる5つの方法|すぐに実践できる中小企業の利益拡大策
    会社の利益を上げる5つの方法|すぐに実践できる中小企業の利益拡大策企業は利益を生み出すことによって生存が保証される。当然ながら、利益がゼロ、あるいは、利益がマイナスであれば発展性のない会社経営に陥り、何れ衰退する。この記事では、利益を上げる前に理解すべき注意点、並びに、すぐに実践できる中小企業の利益を上げる5つの方法について詳しく解説する。なぜ、利益が重要なのか?なぜ、利益を上げることが重要なのか。それは、会社の利益は、会社のお金(現預金)の唯一の供給源になるからだ。会社はお金が無くなった瞬間に経営破たんするので、お金を生み出す利益は、企業の存続を保障する唯一無二の要素といっても過言ではない。また、利益を上げることで現預金が増加すると、自然と成長投資も加速するので、繁栄の基礎が盤石になる。つまり、利益を生み出し続けている限りは、会社の経営が破たんすることはない、とも言えるのだ。とは言っても、利益はただ単に上げれば良いというものではない。利益は、顧客が同意する範囲でしか上げることができず、顧客の同意なしの利益増加策は危険極まりない。恒常的に利益を上げ続けるには、利益を上げる際の注意点、利益を上げるための目標指標、中小企業に適した利益を上げる方法論等を深く理解する必要があるのだ。利益を上げる際の注意点会社の利益を上げる方法は沢山あるが、利益を上げる前に理解すべき注意点が二つある。ひとつは「見るべき利益を理解すること」、もう一つは「目標の利益水準を理解すること」だ。衰退する会社の経営者は往々にして見るべき利益を理解していない、或いは、然るべき目標利益水準を理解していないことが多い。見るべき利益や目標利益水準を見失うと、利益を上げるための行動が行き当たりバッタリになり、すべての行動がムダな努力に終わることもある。会社経営において、努力すれば報われる、という事はあり得ない。然るべき目的に向かって、正しく努力しない限り努力が報われることはなく、これは、利益を上げる方法も例外ではない。利益を上げる前に、見るべき利益と目標利益水準を最低限理解しなければ、すべてが無駄な努力に終わってしまうのだ。利益を上げるための目標指標会社の利益を上げるために外せない目標指標は、本業の儲けを示す「営業利益」になる。そして、営業利益の目標水準は「売上総利益高営業利益率20%」が優良ラインになる。【売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100】売上拡大と共に営業利益が目標水準に達していれば、成長投資のサイクルが良好に回り始めるので、よほどのことがない限り、会社が衰退することはない。逆に、売上が拡大傾向にあっても、営業利益が目標水準以下、或いは、マイナス(赤字経営)に転じると、あっという間に会社が衰退する。会社の利益を上げることは容易ではないが、然るべき利益目標に向かって利益を上げる取り組みを実践すると、比較的容易に利益を上げることができる。ここからは、すぐに実践できる「中小企業の利益を上げる5つの方法」を順を追って詳しく解説する。中間マージンを排除して利益を上げる最終ユーザが個人や家庭で消費される消費財的な商品を扱っている中小企業の場合は、徹底して中間マージンを排除する取り組みを推進すると、利益を上げることができる。例えば、卸売りや小売りに頼った商流しか保有していない中小企業(生産者・メーカー等)の場合、直接、消費者に販売できる消費財を独自開発し、自前の販売ルートで売上を作ると大きな利益を獲得することができる。自前で小売販売する手間やアイテム数の少なさといったデメリットはあるものの、卸売りと小売りに支払う中間マージンが無くなるので、手元に残る利益は大きくなるケースが多い。また、生産者(メーカー)と末端消費者の絆が育つと、さまざまな手段で生産者の想いを直接届けることができるので、会社のオンリーワン要素を強くすることができる。なお、中間マージンの排除は製造業に限らず、あらゆる業態で可能である。小売業であれば卸売りを飛ばして直接生産者から仕入れる、卸売業であれば小売りを飛ばして直接自前で販売する、飲食業であれば加工業者を飛ばして直接生産者から仕入れる、など等、工夫次第でいかようにも取り組むことができる。高利益の商品を拡充して利益を上げる中小企業の商品やサービスの利益構造を分析すると、必ず、儲かっているものと、儲かっていないものが混在している。当然ながら、儲かっているものを増やせば、簡単に利益を上げることができる。具体的には、儲かっていないものへの経営資源の投資を止めて、儲かっているものへ経営資源の投資を集中させると、自ずと利益が上がる。例えば、法則的に、売上を構成する下位20%は、利益に貢献していないと云われている。こうした薄利、或いは、赤字取引への経営資源の投下を止めて、売上を構成する上位20%へ経営資源を集中させると、比較的、短期間で利益を上げることができる。また、高利益の商品やサービスの関連品の開発や投入、高利益の商品やサービスの営業強化なども利益を上げる有効な方法だ。当たり前だが、儲かる商品やサービスが増えるほど、利益もどんどん上がる。付加価値を高めて利益を上げる世の中はモノで溢れている。そして、それらのモノは常に選択の脅威にさらされている。このような状況下で、商品やサービスを売り続けるには、付加価値を上げ続けるしかない。なぜなら、その商品やサービスの付加価値が低下すると、たちまち消費者からの選択の対象から除外され、売れなくなってしまうからだ。こうなってしまうと安値販売で処分せざる得なくなり、本来得られるはずの利益が手元に残らず、最悪、赤字処分ということにもなりかねない。中小企業が競合他社よりも多くの利益を獲得するためには、商品やサービスの付加価値を上げることが欠かせない。そして、付加価値を上げて、尚且つ、利益を上げるには、量の多寡に頼らず、品質やサービスを上げる方法を選択しなければならない。例えば、100gの商品を150gに増やして価格を上げたとしても、仕入れも増えるので手元に残る利益は大して上がらない。価格を上げて、尚且つ、利益を上げるには、100gの商品の品質をさほどのコストをかけずに上げ、そのモノ自体の付加価値をつり上げることが必要なのだ。付加価値の追求は、利益を上げる最善の方法であると共に、会社存続を支える必要不可欠な取り組みといっても過言ではない。数字に強くなって利益を上げる経営者自身が数字に強くなって利益を上げる方法も有効だ。会社経営と数字は、切っても切れない関係性にあり、数字を無視した会社経営に成功はない。事実、大きな利益を上げている会社の経営者は数字に強く、利益が少ない会社の経営者は数字に弱い傾向にある。経営者が数字に強くなると、組織全体の利益意識が高まり、なおかつ、客観性と論理性の高い戦略展開が可能になるので、利益を上げる取り組みが定着しやすくなる。また、業績結果の利益検証精度が上がるので、利益を上げる活動の効率も上がる。損得勘定だけ会社経営はできるものではないが、やはり、経営者の数字力は、利益を上げる上で必須のスキルといっても過言ではない。【関連記事】会社の経営分析力を高める管理会計入門コストを削減して利益を上げるコスト削減は、即、利益を上げる効果を生み出す。コスト削減は、企業成長の足を引っ張るという論調を見かけるが、それは誤っている。なぜなら、競合他社よりも低コストで、より良い商品やサービスを提供することができなければ、時を待たずして、市場競争からはじき出されてしまうからだ。また、コスト削減の意識が薄れると、利益意識も同様に低下し、仕事や在庫のムダムラを生み出し、利益を上げることが困難な環境に陥ってしまう。利益を効率よく上げるには、コスト意識を強く持つことが欠かせないのだ。なお、コストを削減して利益を上げるには、不要な経費をカットする方法よりも、効率を改善してコストを削減する方法の方が効果的である。なぜなら、不要な経費をカットする方法では何れ限界点が訪れ、継続性のあるコスト削減活動ができなくなるからだ。生産性や経営課題を解消してムダムラを解消する、目標を設定して効率的に目的を達成する、などのコスト削減が、賢く利益を上げる方法である。【関連記事】コスト削減の考え方・方法・成功事例まで徹底解説会社の利益を上げる5つの方法のまとめ会社の利益は企業存続を保証する大切な要素だ。利益度返しの会社経営は必ず破綻するし、利益を上げることなくして会社の存続はあり得ない。この記事では、「中間マージンを排除して利益を上げる」、「高利益の商品を拡充して利益を上げる」、「付加価値を高めて利益を上げる」、「数字に強くなって利益を上げる」、「コストを削減して利益を上げる」の5つの利益を上げる方法について、詳しく解説した。この他にも、利益を上げる具体的方法論や利益を上げるヒントを、当サイト内で広く解説しているので隅々までご覧頂くことをお薦めする。(この記事は2016年6月に執筆掲載しました)
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  • 先行投資が未来を切り開く|成功する経営者の先行投資の考え方
    先行投資が未来を切り開く|成功する経営者の先行投資の考え方先行投資とは、投資の対価を得るために先行して投資するお金や時間のことだ。先行投資は、会社経営のみならず、経営者や一個人の成長のための必須条件になり、成功者ほど先行投資に抵抗がない。この記事では、成功する経営者の先行投資の考え方について、詳しく解説する。先行投資とは?先行投資とは、投資の対価(リターン)を得るために先行して投じるお金や時間のことだ。会社経営においても先行投資は重要で、とりわけ、経営者自身に対する先行投資は重要だ。中小企業においては、経営者の能力が将来の業績を決定づける大きな要素になるからだ。従って、経営者の能力を研鑽するための先行投資、或いは、成功を勝ち取るために投じる先行投資は非常に重要になる。なお、経営者の能力を研鑽するための先行投資は「経営力の向上」にフォーカスを当てると効果的だ。経営力が向上すれば業績が自然と上がるので、経営力を高めるための先行投資は早ければ早いほど大きな効果が得られる。(具体的には経営のプロに学ぶ、プロの経営参謀を活用する等)また、「鉄は熱いうちに打て」という言葉通り、経営者が若いほど先行投資の効果が大きくなる。先行投資なくして成功なし先行投資なくして成功はない。会社経営に限らず、成功には準備期間があり、必ず一定の先行投資(時間とお金)がかかる。例えば、全くの素人分野に100万円の投資を行い、1,000万円の利益を上げることを目標に掲げたとする。投資の成果目標を達成するには、専門知識の習得時間と専門知識の提供者への先行投資(時間とお金)が不可欠で、こうした先行投資なしに、素人分野で投資を成功させることは、ほぼ不可能に近い。つまり、時間やお金をケチっていては、いつまで経っても成功することはない、ということだ。成功するために必要なお金と時間成功するために必要なお金と時間は途方もない。例えば、どんな分野においてもプロフェッショナルな領域に達するための練習時間は、最低10,000時間以上は必要と云われている。仮に1日2時間の練習ペースであれば13年ちょっとかかり、1日1時間の練習ペースだと26年ちょっとかかる。経営のプロも例外はなく、時間の限られている現役経営者が、独学で経営の専門知識を勉強する選択肢は現実的ではないし、決して賢い選択とは言えない。経営の勉強を1日2時間、13年も費やしていては効果が出る前に会社が衰退するかも知れないし、独学という、あやふやな知識基準で勉強を進めた結果、失敗リスクが高まることもあり得る。時間のない経営者、或いは、こうした失敗リスクを払拭するためには先行投資が大切になり、例えば、プロの経営参謀を雇う、或いは、経営の悩みが出たら即プロに相談する等の先行投資を日頃から実践していれば、成功までの時間が短縮でき、さらに成功の確率も上がる。先行投資とはお金で時間と成功を買うこと先行投資とはお金で時間と成功を買うことだ。わたしの場合は、プロ経営者になるために若い時から意識的に先行投資をしてきた。例えば、経営コンサル会社を創業する前は終業後に1日平均4時間×5年間(7,000時間以上)、法律・会計学校に通い会計・税務全般と経済法律の専門知識を習得した。加えて、経営コンサルの先輩プロに相当な報酬を支払い(3,000時間以上)、経営実務に活かせる専門的な経営技術を磨いた。当然ながら、先生はプロ弁護士であり、プロ税理士であり、プロの経営者である。プロ経営者になると決心したのが28歳の時だったが、惜しみない先行投資の結果、僅か5年後には独立することができた。先行投資なくして経営コンサルタントとしての独立はあり得なかっただろう。成功する経営者ほど先行投資に抵抗がない成功したいと強く願っている中小企業経営者ほど先行投資に抵抗がなく、自身の不足を徹底的に補おうとする向上心も旺盛だ。この手の中小企業経営者は、成功するためにお金と時間を惜しむことなく積極的に先行投資を行っている。わたしの経営サポート先の中小企業の経営者も例外ではなく、会社経営で成功するために先行投資で私の経営サポートを受け入れ、☑3ヵ月で数字に対する抵抗感がなくなった☑会社の経営は経営のプロから教わるのが一番早い☑今まで悩んでいた経営判断や経営課題に頭を悩ますことが少なくなったなど等、皆さん熱心に経営力を磨いて、業績をどんどん高めている。成功したいから教えを受ける、或いは、結果を出したいから教えを受けるというのは、プロの世界では珍しいことではない。プロテニス、プロゴルフ、プロ野球、そして、プロ経営者に至るまで、どんな分野でも共通している。成功するためにお金と時間を惜しまずに先行投資する考え方は、成功を目指す経営者の絶対条件といっても過言ではないのだ。
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  • 会社の数字が分かると事業が成長する|数字力は社長と幹部の必須スキル
    会社の数字が分かると事業が成長する|数字力は社長と幹部の必須スキル数字の妙(妙=極めて良いこと)は、客観的事実を明確に示すことだ。目標も結果も、数字があった方が明快であり、数倍早く事実(ゴール)に近づくことができる。会社経営においても、数字の活用が定着している企業ほど業績が好調だ。しかし、数字には“怖さ”もある。数字は容易に加工できるし、事実を脚色することもできる。数字の経過をしっかり観察しなければ、その数字の良し悪しも分からない。当然、数字の背景を読み解かなければ、数字に踊らされて変な詐欺や投資案件に引っ掛かったり、対処を誤ったり、不安を煽られたりする。数字は重要だが、数字の背景を探るための分析なくして、数字の妙は生まれない。会社であれば、営業利益までしっかり見ること、現金の増減に着目すること、年計業績推移を毎月確認すること等、数字の背景をしっかり分析することが大切だ。会社の数字が分かるほど、事業の成長を効率的にデザインできる。会社経営において、数字が全てではないが、数字を軽く見ると必ず足元をすくわれる。たかが数字、されど数字である。数字が分かると好不調が見える好調も不調も、かならず兆しがある。会社の数字が分かると、好不調の兆しが手に取るようにキャッチできる。当然、好不調の足音に耳を澄ませて上手に会社経営すれば、自ずとうまく行く。好調の兆しは、現金や利益の増加など、会社の数字からキャッチアップすることも大切だが、数字等の目に見える結果が表れる前に察知することの方が重要だ。例えば、顧客の反応や社員の働く姿勢を日頃からしっかり観察していれば、事業活動の好不調が良く分かる。(社員の良い反応例:ハキハキ・イキイキ・ニコニコ・キビキビ等)好調の足音は今の采配が正しい証拠なので、積極攻勢を強めれば、好調度合いが更に加速する。逆に、不調の足音は今の采配が間違っている証拠なので、不調を好調に変える采配に方針転換する必要がある。とにかく、好不調の兆候を素早く捉えて、先手で対策を講じることが効率的に事業を拡大する秘訣だ。また、好調の次は不調に転ずるのが世の常なので、好調な時ほど、不調を見越した堅実な采配を意識することも大切だ。
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  • 成長率の計算方法|売上・利益・企業・人時生産性の成長率
    成長率の計算方法|売上・利益・企業・人時生産性の成長率成長率の計算は、経営分析の要になる。なぜなら、成長なくして、企業の存続はないからだ。この記事では、成長率の計算方法、並びに、売上・利益・企業・人時生産性等の成長率の計算方法に至るまで、詳しく解説する。成長率の計算方法基本の成長率の計算方法について、詳しく解説する。成長率の計算方法は、ある期間の「現在と過去の2つの地点の差」の「過去の値に占める構成比率」を求めることで計算できる。例えば、A社との取引高が現在150万円で、1年前(過去)が100万円であれば、現在と過去の差は150万円-100万円=50万円となり、過去の値に占める構成比率は(50万円÷100万円)×100=50%となる。この50%が成長率になり、1年前(過去)の取引高100万円に50%をかけると、過去から現在にかけて増加した50万円という成長金額が明らかになる。このように成長率は簡単に計算することができ、様々な項目の成長率を計算することで、その企業の成長実態を明らかにすることができる。売上成長率の計算方法売上成長率の計算方法について、詳しく解説する。売上成長率の計算式は、以下公式で求めることができる。■単年成長率の場合:売上成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100例えば、当期売上高が20億円で、前期売上高が15億円だった場合は、〔(20億円-15億円)÷15億円〕×100=33.33%が売上成長率になる。売上成長率は、顧客支持率の伸びを表す指標でもあるので、成長を後押しする事業活動を適宜最適化するためにも、定期的にモニタリングすることをお薦めする。【関連記事】売上高成長率の計算方法と適正水準利益成長率の計算方法利益成長率の計算方法について、詳しく解説する。利益成長率の計算式は、以下公式で求めることができる。■単年成長率の場合:利益高成長率=〔(当期営業利益高-前期営業利益高)÷前期営業利益高〕×100例えば、当期営業利益高が2億円で、前期営業利益高が1億円だった場合は、〔(2億円-1億円)÷1億円〕×100=100%が利益成長率になる。利益成長率は、営業利益の他にも、売上総利益、経常利益、当期純利益等の利益指標を用いて計算すると、利益の成長実態がより明らかになる。売上総利益は競争力を示し、経常利益は営業外の収益力を示し、当期純利益は事業活動・投資活動・財務活動を網羅した総合的な収益力を示す。つまり、様々な利益指標から成長率を分析することで会社の強みと弱みが明らかになるのだ。企業成長率の計算方法企業成長率の計算方法について、詳しく解説する。企業成長率は、企業存続を左右する重要指標である「売上・利益・現金」の成長率を計算することで求めることができる。売上・利益の成長率の計算式については前章で解説した通りになり、現金成長率の計算式は以下公式で求めることができる。■単年成長率の場合:現金成長率=〔(当期現金残高-前期現金残高)÷前期現金残高〕×100例えば、当期現金残高が5億円で、前期現金残高が4億円だった場合は、〔(5億円-4億円)÷4億円〕×100=25%が現金成長率になる。売上が伸びている一方で利益が減少している、或いは、利益が増えている一方で現金が減少している状況はよくある事だ。企業成長率は、そうした衰退リスクを明らかにするうえでも有効だ。【関連記事】企業成長率の計算方法と適正水準人時生産性成長率の計算方法人時生産性成長率の計算方法について、詳しく解説する。人時生産性成長率の計算式は、以下公式で求めることができる。■人時生産性=営業利益金額÷全従業員の総労働時間■単年成長率の場合:人時生産性成長率=〔(当期人時生産性-前期人時生産性)÷前期人時生産性〕×100例えば、当期人時生産性が1,200円で、前期人時生産性が1,000円だった場合は、〔(1,200円-1,000円)÷1,000円〕×100=20%が人時生産性成長率になる。人時生産性成長率は、営業利益の他にも、売上、売上総利益、経常利益、当期純利益等の各収益指標を用いて計算すると、生産性の成長実態がより明らかになる。【関連記事】人時生産性の計算式と適正水準
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  • パレート分析の活用方法が分かる|経営改善に使える経営指標
    パレート分析の活用方法が分かる|経営改善に使える経営指標パレート分析とは「2:8の法則(パレートの法則)」を活用した分析方法のことだ。会社の売上の8割は2割の主要顧客が生み出している、成功事例の8割は2割の社員が生み出している等の理論で、ビジネスシーンで広く活用されている。この記事では、パレート分析の基本、並びに、パレート分析を活用した利益改善手法と組織力の改善手法について、詳しく解説する。パレート分析とはパレート分析について、詳しく解説する。パレート分析の根底を支える「2:8の法則(パレートの法則)」は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則(べきじょうそく)のことだ。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論で、ニッパチの法則などの呼称もある。パレート分析は、会社経営のあらゆる方面の分析に用いられ、例えば、商品のABC分析、取引先毎の売上貢献度分析、社員の人材評価、営業効率など、パレード分析が活用できる領域は数多にある。以下、パレート分析を活用した利益改善手法と組織力の改善手法について、順を追って詳しく解説する。なお、パレート分析を活用した”売上ABC分析手法”は当サイト内の「売上ABC分析方法」で詳しく解説しているので、そちらを参照頂きたい。【関連記事】売上ABC分析方法|販売効率と貢献度分析パレート分析を活用した利益改善手法パレート分析を活用した利益改善手法について、詳しく解説する。会社の利益の源泉は「商品と顧客」なので、利益拡大の必須条件は商品と顧客への成長投資になるが、パレート分析を用いると、成長投資を優先すべき商品と顧客が明快になる。パレート分析(2:8の法則)で商品と顧客の利益貢献度を分析すると「上位2割の商品と顧客が全体の8割の利益を構成している」或いは「下位2割の商品と顧客が全体の8割の損失を構成している」という分析結果になることが多い。パレート分析で商品と顧客の利益貢献度が分かると、効率的に会社の利益を拡大することができる。例えば、上位2割の商品と顧客に対して経営資源を積極投資すると利益は更に拡大する。中央6割に対して、上位2割に押し上げる戦略を推進すると未来の利益が安泰になる。下位2割は、採算を分析し、赤字は改善か撤退、トントンは中央6割に押し上げる戦略を推進すると利益拡大に繋がる。業績が伸び悩んでいる中小企業ほど、商品と顧客のパレート分析が不十分だ。成長投資のリターンは、投資対象の貢献度によって小さくも大きくもなる。投資対象を見誤ると、投資のリターンが全く得られないこともあり得る。パレート分析で利益貢献度の高い商品と顧客を明らかにすれば、成長投資の効率と共に利益拡大のスピードが加速する。当然、利益貢献度の大きい商品と顧客への成長投資が大きくなるほど、獲得できる利益も大きくなる。商品と顧客のパレート分析が不十分であるがゆえに、赤字商品や赤字取引が見過ごされ、業績悪化の原因特定ができていない中小企業も珍しくない。商品と顧客の利益貢献度を明確にするパレート分析は、会社の経営資源(成長投資)を最適化するだけでなく、会社の利益体質の改善に役立つ優れた分析手法だ。業績好調・不調を問わず、定期的なパレート分析を定着させることをお薦めする。パレート分析を活用した組織力改善手法パレート分析を活用した組織力の改善手法について、詳しく解説する。パレート分析を組織に当てはめると「上位2割の社員が8割の利益を稼いでいる」或いは「下位2割の社員が8割の損失を出している」ということが言える。このパレート分析の理屈を前提に考えると、わずか2割の社員さえ改善できれば、会社全体の組織力(パフォーマンス)が大幅に改善する、ということが言える。例えば、全社員が10名であれば、2名の社員とビジョンを共有する、2名の社員のやる気を高める、上位2名の社員に難しい仕事を優先的に与える、下位2名の社員のフォロー体制を万全に整える等の方策を取れば、会社全体の組織力(パフォーマンス)が大幅に改善する。法則的に、組織力が高まると、業績も好調になるので、パレート分析は一石二鳥以上の効果がある。なお、ひと昔前は、上位2割の社員を育成しつつ、下位2割の社員を定期的に切り捨てて組織力を高める外資系企業があったが、この方法はお薦めしない。人員確保のハードルが高い中小企業ほど、今いる人財で組織力を高め、ライバルと勝負する必要があるからだ。従って、多くの中小企業においては、2割の社員にスポットライトを当てて、様々な角度から教育・フォローし、社員の才能を最大限に引き出しつつ、組織の最適化を図る方法が有効だ。
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  • 経営指標の業界平均は当てにならない|ベストな目標は平均値ではなく絶対値
    経営指標の業界平均は当てにならない|ベストな目標は平均値ではなく絶対値経営指標の業界平均は様々な機関が集計している。例えば、中小企業庁、日本金融公庫、TKCグループ等のホームページにアクセスすれば、経営指標の業界平均を誰でも閲覧することができる。しかし、会社経営の目標に掲げるのであれば、経営指標の業界平均は全く当てにならない。この記事では、経営指標の業界平均は当てにならない理由と共に、ベストな目標になり得る絶対値について詳しく解説する。経営指標の業界平均経営指標の業界平均は、中小企業庁、日本金融公庫、TKCグループ等のホームページにアクセスすれば、誰でも閲覧することができる。経営指標と対象業界も多種多様で、中小企業庁は44業種8分析項目、日本金融公庫は302業種29分析項目、TKCグループは505業種14分析項目など、それぞれ事細かに業界平均が分析・公開されている。主だった経営指標は、営業利益率、経営資本回転率、従業員1人当り年間粗収入高、売上総利益率、経費比率、人件費比率、当座比率、流動比率、自己資本比率などがある。主だった業界は、建設業、製造業、卸売業、小売業、運輸業、通信業、不動産業、サービス業などがある。また、年商規模、社員数、創業年数、上場・非上場などを基準に業界平均を公開しているケースもある。経営指標の業界平均は当てにならない経営指標の業界平均を知ることで、その業界におけるポジショニングや業績改善の目標値が分かるかも知れないが、経営指標の業界平均は当てにしない方がよい。なぜなら、業績平均は、少数の好調企業の数値を多数の不調企業が足を引っぱる構図で計算されているからだ。下図は業界平均の計算構造を示したグラフである。ご覧の通り、僅かな上位集団の実績を、数多の下位集団が足を引っ張る構図で業界平均が計算されていることが分かると思う。業界平均イコールみんなと一緒という安心感を抱くかもしれないが、みんなと一緒レベルでうまくいくほど会社経営は甘くない。周囲から一歩抜け出すには独立独歩で高い目標を掲げることが欠かせない。ベストな目標は業界平均ではなく絶対値会社経営の本質は、他力本願ではなく自力本願である。つまり、他人の実績が多く混入した業界平均よりも、自己研鑽を加速する絶対的な目標値を掲げた方が成長を阻害する会社の欠点や課題が明かになり、経営改善が効率化される。以下に紹介する経営指標はどんな業界であっても通用する目標参考値だ。業界平均に頼ることなく、上手に活用することをお薦めする。売上成長率計算式:〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100目標値:5~20%売上総利益高営業利益率計算式:(営業利益÷売上総利益高)×100目標値:20%以上当座比率計算式:(当座資産÷流動負債)×100目標値:120%以上自己資本比率計算式:(自己資本÷総資本)×100目標値:50%以上その他の経営指標その他の経営指標に関しても業界平均に頼ることなく、常に前年よりも良い数値に改善する経営努力が基本姿勢になる。
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  • 経営指標とは|経営分析・経営判断の指標例まで徹底解説
    経営指標とは|経営分析・経営判断の指標例まで徹底解説経営指標とは、財務諸表等の数値を有益な情報に変換し、経営改善のベンチマークになり得る指標のことだ。経営指標は、安定経営の必須ツールといって過言ではなく、経営指標の活用度合いが大きいほど、経営改善の精度が高まり、業績改善のスピードが加速する。この記事では、経営指標の基本概要、並びに、経営分析・経営判断の指標例について、詳しく解説する。経営指標とは経営指標とは、財務諸表等の数値を有益な情報に変換し、経営改善のベンチマークになり得る指標のことだ。経営指標を活用すると、現状と目標の乖離が明快になるので、経営改善の精度が高まり、効率的かつ効果的に業績改善を推進することができる。財務諸表に記載されている数字は紛れもない事実の羅列ではあるが、何ら手を加えていない財務諸表等の数字を眺めていても、会社の経営課題は明らかにならない。経営指標を活用すると、会社の成長性、収益性、生産性、安全性など等、様々な角度から経営課題を明らかにすることができる。経営課題と共に、現状と目標も明快になるので、業績改善のスピードも一段と加速する。経営分析・経営判断の指標例中小企業の経営に役立つ経営分析・経営判断の指標例を紹介する。経営指標の分析や判定は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロでも簡単にできる。また、経営指標の分析や判定は、会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで経営者の数字力が高まる。成長性、収益性、生産性、安全性、企業力の経営分析と経営判断の指標例を紹介するので是非活用してほしい。成長性分析に用いる経営指標会社の成長性分析に用いる経営指標は「売上高成長率」がお薦めだ。売上高成長率とは、前年の売上に比べてどの程度売り上げが成長したかを示す経営指標で、会社の成長性(市場規模等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、プラス5%以上が優良水準になる。計算式【売上高成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100】収益性分析に用いる経営指標会社の収益性分析に用いる経営指標は「売上総利益高営業利益率」がお薦めだ。売上総利益高営業利益率とは、会社の本業の利益水準(儲け)を示す経営指標で、会社の収益性(商品力・競争力等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、プラス10%以上が優良水準になる。計算式【売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益高)×100】生産性分析に用いる経営指標会社の生産性分析に用いる経営指標は「人時生産性」がお薦めだ。人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの生産性を示す経営指標で、会社の生産性(労働効率・経費効率等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、常に増加が優良水準になる。計算式【人時生産性=営業利益金額÷総労働時間】安全性分析に用いる経営指標会社の安全性分析に用いる経営指標は「自己資本比率」がお薦めだ。自己資本比率とは、会社の総資本に占める自己資本の構成比率を示す経営指標で、会社の安全性(支払能力・資本力・体力等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、プラス40%以上が優良水準になる。計算式【自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本〕×100】企業力分析に用いる経営指標会社の企業力分析に用いる経営指標は「売上高成長率・売上総利益高営業利益率・人時生産性・自己資本比率」に加えて、「売上総利益率」、「営業利益成長率」、「労働分配率」、「当座比率」等々の経営指標の分析を併用すると明快になる。それぞれの計算式と適正水準は「中小企業の経営指標と経営分析手法」のカテゴリーで解説しているので参考にしてほしい。伊藤のワンポイント経営指標は安定経営の必須ツールです。経営指標の活用度合いが大きいほど業績改善のスピードが加速します。また、衰退の予兆を先手先手で捉えることもできます。経営指標の分析と運用は簡単です。経営指標を活用した経営分析を継続するほど、安定経営が盤石になりますので、どんどん活用して下さい。
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  • 経営分析とは|企業の財務分析から効率性分析まで徹底解説
    経営分析とは|企業の財務分析から効率性分析まで徹底解説経営分析は、企業の経営状態を可視化するために行われる会計手法の総称である。経営分析は、上場企業などの経営状態を客観的に評価する財務分析、企業力を高めるために経営状態を主観的に評価する管理会計や計数管理など、その分析手法は多岐にわたる。この記事では、経営分析の基本概要、並びに、企業の財務分析から効率性分析に至るまで、詳しく解説する。経営分析とは?経営分析は、企業の経営状態を可視化するために行われる会計手法の総称である。経営分析は、企業(経営者)の立場から分析を行う内部分析(管理会計等)と、企業(経営者)以外の立場から分析を行う外部分析(財務分析等)の二つに大別される。例えば、企業力を高めるために経営状況を主観的に分析する管理会計等の分析手法は内部分析になる。事業活動の結果は必ず数字に表れるので、管理会計の運用精度によって企業経営の安全性や成長性は大きく変わり、事実、管理会計が定着している企業の大半は黒字経営(安定経営)を実現している。一方、上場企業などの経営状態を客観的に評価する財務分析は外部分析になる。財務分析は、投資分析や信用分析の手法として株式市場(株式投資家)や信用会社(与信管理)に幅広く活用されている。財務分析とは?財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析手法で、主に株式市場や信用会社で活用される経営分析手法になる。財務分析は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められ、大よそ1960年代からアメリカの財務アナリストを中心に、企業の利益の量だけでなく質を問う概念として定着している。また、財務分析は、客観性と信頼性が高い財務諸表等の会計データを基礎にして、その企業の経営状況、経営方針、将来の見通し等の重要情報を内部整理、或いは、外部公表する分析方法なので、上場企業(上場準備企業)の監査において、分析的手続きの一環として行われる。財務分析は外部公表を前提とした経営分析手法で、一方の管理会計等は内部分析に活用する経営分析手法になるので、財務分析と管理会計は、似て非なるものになる。経営分析の基本手法1(財務分析)財務分析(外部分析)は、客観性と信頼性が高い財務諸表等の会計データを基礎にした分析手法が基本になる。財務分析の主要項目は以下の5つに分類される。収益性分析企業の収益水準を分析するもので、分析には主に損益計算書のデータを用いる。売上総利益、営業利益、経常利益等の各種利益率のほかにも総資本利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)などの経営指標も用いられる。成長性分析企業の売上高や利益水準の成長率(伸び率)を分析するもので、分析は主に複数年度の損益計算書のデータを用いる。売上高、営業利益高の各種成長率のほかにも年平均成長率(CAGR)などの経営指標も用いる。安全性分析企業の資産(資本)の調達構造、並びに、支払能力や返済能力を分析するもので、分析には主に貸借対照表のデータを用いる。長期・短期の支払い能力を評価する。主に、自己資本比率、負債比率、流動比率、当座比率などの経営指標が用いられる。生産性分析生産性つまり企業が投入した経営資源がもたらす付加価値や労働生産性を分析するもので、分析には財務諸表と勤怠管理データ等を用いる。主に、労働分配率、人時生産性などの経営指標が用いられる。効率性分析企業がインプットした資産(資本)をどれほど効率的に活用して売上や利益といったアウトプットを上げることができているかを分析するもので、分析には財務諸表のデータを用いる。主に、総資本回転率、固定資産回転率など経営指標が用いられる。※各経営指標の分析手法は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」を参照経営分析の基本手法2(管理会計等)管理会計等(内部分析)は、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すかという観点での分析手法が基本になる。従って、前章で解説した財務分析に加えて、業種業態によって変わる経営指標の適正水準の把握や、その企業独自の分析手法や経営指標の発掘が肝になる。また、管理会計の運用精度を高めるには、定点観測と継続分析が不可欠になる。なぜなら、継続性なくして、独自の経営指標の発掘や適正水準の把握はできないからだ。以下に、どんな業種であっても有効活用できる経営指標と分析手法を紹介する。人時生産性人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの収益性を評価する経営指標のことで、本業の人時生産性を示す「営業利益金額÷総労働時間」の分析が最も重要になる。適正水準は常に増加になる。現預金・純資産の推移現金が無くなると会社が倒産する。純資産がマイナスに転じると倒産状態の債務超過に陥る。従って、現預金と純資産の推移分析は必須になる。適正水準は常に増加になる。売上総利益高営業利益率売上総利益高営業利益率とは、本業の利益水準(収益性)を評価する経営指標のことで、本業の利益水準を示す「(営業利益高÷売上総利益高)×100」の分析が重要になる。標準水準が10%以上、優良水準が20%以上になる。※各経営指標の分析手法は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」を参照経営分析の基本手法3(比較分析)経営分析は財務諸表や経営データを元に様々な経営指標を用いて行うが、単一な分析結果を見ても、分析企業の経営状況を把握することはできない。分析結果は、前年実績や業界平均との比較、或いは、特定指標に対する構成比率や相互比率の推移比較を行うことで、数値の良し悪しを客観的に判定することができる。経営分析における比較分析の基本手法は以下の2つがある。実数分析実数分析とは、各経営指標の数値を前年数値、或いは、他社数値や業界平均の数値等と比較する分析手法で、前年対比が典型になる。比率分析比率分析とは、各経営指標の構成比率や相互比率等を通じて行う分析手法で、関係比率法(例:流動資産と流動負債の割合を百分比で示した流動比率)と構成比率法(例:財務諸表の各項目の構成比を百分比で示したもの)が典型になる。効率性分析とは?効率性分析とは、財務分析のひとつで、資本効率性分析ともいう。企業がインプットした資産(資本)をどれほど効率的に活用して売上や利益といったアウトプットを上げることができているかを分析するもので、分析には財務諸表のデータを用いる。効率性分析に用いる経営指標は、主に、総資本回転率、在庫回転率、売上債権回転日数、労働分配率、人時生産性などが用いられる。効率性分析のアプローチは二つある。ひとつは、資本回転率、在庫回転率、売上債権回転日数など、資本(お金)等の投入要素の効率を分析する財務分析的アプローチ。もう一つは、労働生産性(労働分配率)、人時生産性など、資本(お金)等の投入要素以外の効率を分析する管理会計的アプローチがある。※各経営指標の分析手法は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」を参照効率性分析の基本手法効率性分析の代表的な経営指標は、総資本回転率、在庫回転率、売上債権回転日数などがある。総資本回転率が大きければ少ない資本を活用して多くの売上高を得ていることになる。在庫回転率が大きければ効率よく在庫が売上に転換していることになる。売上債権回転日数が短ければ売上代金の回収スピードが速く運転資金の効率性が高いことになる。効率性分析の結果数値は、時系列の推移分析や実数分析(前年数値、或いは、他社数値や業界平均比較)を行い、より詳細に分析する。但し、業種平均は下位企業の値が混入しているので、実数分析は自社の前回分析数値、或いは、上位企業の数値を目標指標(ベンチマーク)にするとよい。また、効率性分析の結果(目標)は、高ければ良いとは限らない。例えば、在庫回転率の向上を求めるあまり在庫欠品に伴う利益の機会損失を招いては本末転倒になる。従って、効率性分析は、常にリスクを加味した上で、適正水準、或いは、目標設定を行うことが肝要になる。
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  • 営業利益と営業利益率の計算式と適正水準(目安)|収益分析に用いる経営指標
    営業利益と営業利益率の計算式と適正水準(目安)|収益分析に用いる経営指標営業利益は会社の本業の儲けを示す経営指標で、営業利益率は儲けの水準を示す経営指標になる。会社経営は利益を出すことで初めて成立するので、営業利益と営業利益率は最重要指標といって過言ではない。この記事では、営業利益率の計算式と適正水準(目安)、並びに、営業利益率の効果的な運用方法について、詳しく解説する。営業利益|営業利益率とは?営業利益とは、会社の本業の利益(儲け)を示す経営指標のことで、営業利益の水準を示す経営指標を営業利益率という。営業利益は売上から売上原価や販売管理費を差し引くことで計算される。そして、会社の収入に占める営業利益金額の構成比率を計算すると営業利益率が分かる。営業利益と営業利益率は、会社の収益性を示す経営指標だが、会社経営は利益を出すことで初めて成立するので、この二つの指標ほど重要な経営指標はない。当たり前だが、営業利益率の水準が低く、営業利益が十分に取れないビジネスを続けていては、少しの経営環境の変化よって会社が赤字経営に転落し、何れ会社が倒産してしまう。従って、中小企業経営者が安定経営を目指すのであれば、然るべき営業利益率の水準を確保し、適正な営業利益金額を上げることが欠かせない。営業利益率の計算式(求め方)営業利益率とは、会社の収入に対する利益の構成比率のことである。会社の収入には、売上と売上総利益(粗利)のふたつの収入があるため、営業利益率の計算方法も二通りに分かれる。それぞれの計算式(求め方)は下記の通りである。営業利益率の求め方売上高営業利益率=(営業利益÷売上高)×100売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益高)×100例えば、売上が1,000万円、売上総利益が500万円、営業利益が50万円だった場合、夫々の営業利益率の計算式は下記の通りになる。営業利益率の計算例売上高営業利益率=(50万円÷1,000万円)×100=5%売上総利益高営業利益率=(50万円÷500万円)×100=10%会社経営の本質は利益拡大にあるので、経営者の行動原理を明快にする営業利益目標ほど重要なものはない。事実、会社の利益拡大がおぼつかず衰退の一途を辿る中小企業などは、営業利益目標がない、或いは、誤った営業利益目標を掲げているケースが多い。安定経営を実現するには、然るべき営業利益目標、或いは、目指すべき営業利益率の目標が不可欠なのだ。売上高営業利益率のデメリット利益目標を立てるための然るべき利益指標はたくさんある。単純に売上総利益率(粗利率)を利益目標に据えるケース、前章で紹介した売上高営業利益率や売上総利益高営業利益率、或いは、売上高経常利益率を利益目標に据えるケース、など等、、、。どの利益指標を目標に採用したら良いのか悩んでいる中小企業経営者も多いのではないかと思うが、一般的には、売上総利益率(粗利率)か売上高営業利益率の何れかの指標を、利益目標に採用している会社が多いと思う。じつは、売上総利益率(粗利率)と売上高営業利益率は、利益目標の指標として欠陥があり、場合によっては業績悪化のリスクを生み出すことがある。例えば、売上総利益率(粗利率)は、コストを差し引く前の仮の利益なので、儲けの実態を示していない。従って、コスト管理が杜撰になりやすく、蓋を開けてみたら大赤字という状況を招きかねない。売上高営業利益率は、業種業態や事業構成によって不公平感がでる場合がある。例えば、下表のように、ひとつの会社の中に複数の事業部があったとする。全社合計A事業部B事業部社員20名社員10名社員10名売上3,000万円1,200万円1,800万円売上原価1,000万円200万円800万円売上総利益2,000万円1,000万円1,000万円販売管理費1,800万円900万円900万円営業利益200万円100万円100万円営業利益率6.67%8.33%5.56%A事業部、B事業部、同じ社員数で営業利益の金額は共に100万円だが、売上高営業利益率はA事業部よりも、B事業部の方が▲2.77%劣っている。同じ営業利益金額を稼いでいるにも関わらず、売上高営業利益率が劣っているからといって、経営者がB事業部の社員の成績を悪く評価したら、社員はどう思うだろうか?恐らく、不公平感から不満に思う社員が出てくるだろう。また、A事業部とB事業部、お互いの目標営業利益率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的な営業利益目標を掲げることの難しさも残る。売上高営業利益率には、公平な営業利益水準の測定だけでなく、合理的かつ公平な営業利益目標を立てることができないデメリットがあるのだ。営業利益率の効果的な運用方法会社の利益目標として営業利益率を効果的に運用するのであれば、売上高営業利益率ではなく、売上総利益高営業利益率を採用しなければならない。なぜなら、前章で解説した売上高営業利益率のような不公平感が解消されて、公平な営業利益水準の測定と共に、合理的かつ公平な営業利益目標を立てることができるからだ。前章のケース例を用いて「売上総利益高営業利益率」を計算すると下表の通りになる。全社合計A事業部B事業部社員20名社員10名社員10名売上総利益2,000万円1,000万円1,000万円販売管理費1,800万円900万円900万円営業利益200万円100万円100万円営業利益率10%10%10%ご覧の通り、営業利益の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部もB事業部も、同じ営業利益率になった。これであれば、両事業部の収益性(営業利益)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、営業利益率の改善も、共通の指標を持って取り組むことが可能になる。働いている社員も、不満を抱くことなく、会社の利益を上げるために働いてくれるだろう。公平な営業利益水準の測定と共に、合理的かつ公平な営業利益目標を立てるには「売上総利益高営業利益率」が最も適しているのだ。営業利益率の適正水準(目安)中小企業の売上総利益高営業利益率の適正水準(目安)は下表の一覧表の通りである。売上総利益高営業利益率の適正水準(目安)売上総利益100100100営業利益20100営業利益率11~20%10%0~9%利益判定超優良標準要改善11%~20%営業利益率が11%~20%の範囲内であれば超優良水準である。この水準の営業利益率がキープできれば成長投資のサイクルが良好に回るので、持続的な会社成長が実現できる。10%営業利益率が10%であれば標準的な利益水準である。優良水準に向けた経営改善を継続しないと、少しのきっかけで衰退に向かうことがある。更なる利益拡大に向けた意識を強く持つことが大切である。0~9%営業利益率が0%~9%であれば、改善の余地が大いにある。マイナス営業利益率がマイナスであれば赤字経営ということになる。早急に再建計画を作成し、黒字化を目指す必要がある。黒字化の取り組みが遅くなればなるほど、赤字脱却の難易度が高まるばかりとなる。20%以上営業利益率が20%以上であれば、儲かりすぎである。人件費の水準が低すぎないか、保守修繕に不足がないか、取引先に無理を押し付けていないか、等々、会社の内外に歪みが出ていないか否かを確認する必要がある。会社の内外に歪みがあると、成長が一転して、あっという間に会社が衰退することがある。(急成長の後に倒産する会社は殆どがこのケースである)。主だった歪みが無いようであれば営業利益率の水準が20%以上でも問題ない。なお、営業利益率が上記適正指標の標準から優良(10%~20%)の水準に達していても、営業利益金額が小さすぎると、安定成長に支障が出る場合がある。従って、営業利益率の改善と共に、売上(営業利益金額)を常に拡大するという目標も決して忘れてはいけない。会社の安定経営を目指すのであれば、売上増加と共に営業利益金額が一定水準を上回っている必要がある。売上が増加傾向にあり、なお且つ、営業利益率が11~20%の水準に達していれば、会社の成長基盤はますます盤石になる。営業利益率を会社経営に活かすポイント営業利益率は、会社の生存を左右する大きな要素になり得る。なぜなら、会社の生存を保障するのは売上ではなく「利益」だからだ。営業利益率を見落としたまま売上拡大に走った結果、会社が傾く中小企業は少なく、営業利益率の適切な目標なくして、企業の成長はないといっても過言ではない。また、売上高ではなく、粗利対比の「営業利益率」のモニタリングも安定経営を実現するうえで欠かせないポイントになる。売上総利益高営業利益率の推移を長期的にモニタリングしていくと会社経営の正否が見えてくる。例えば、☑営業利益率が上昇傾向にあれば正しい経営(収益性と競争力アップ)☑営業利益率が下降傾向にあれば正しくない経営(収益性と競争力ダウン)というように、経営状態の正否が分かるので、先手先手で経営を見直すことができる。営業利益率の水準が適正か否か、営業利益率の目標運用が正しくされているか否か、しっかりチェックしてほしい。伊藤のワンポイント営業利益は本業の儲けを示す重要指標です。ですから、営業利益を見ずして、まともな会社経営はできません。然るべき利益目標を掲げることはもちろん、利益の実績を毎月モニタリングして推移をチェックすることも大切です。収益性や競争力の低下は必ず営業利益に表れます。
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  • 人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで徹底解説
    人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで徹底解説人件費とはヒトに対して支払う費用の総称で、人件費率とは、収入に対する人件費の構成比率のことである。人件費はすべての企業において発生する費用であり、殆どの企業において最大の費用構成を占める重要度の高い費用だ。そして、人件費率は会社の収入に対する人件費バランスを示す経営指標なので人件費率ほど重要な経営指標はない。わたし自身、経営コンサルタントとして様々な会社の経営者にお会いしてきたが、人件費と人件費率に対する経営者の悩みは実に多い。この記事では、人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで、詳しく解説する。人件費とは?人件費率とは?人件費とは、企業の事業活動に参加しているヒトに対して支払う費用の総称のことである。人件費の集計対象は、社員給与のほか、一時金等のボーナス支給額、パートやアルバイトへの雑給、役員に対する報酬、給与に付随する法定福利費や福利厚生費なども含まれる。また、税理士や弁護士に支払う支払報酬、講師に支払う謝礼(支払手数料)、業務外注先への外注費なども、人件費の集計対象になる。一般的に、ひとりの社員を整理すると、その社員の報酬の1.5~2倍のコストが削減されるので、いかに人件費が重要な費用であるかが理解できると思う。人件費率とは、収入に対する人件費の構成比率のことで、収入に対する人件費バランスを示す経営指標である。殆どの会社の最大経費は人件費なので、人件費率ほど重要な経営指標はない。人件費率の計算方法は?人件費率の計算は、収入に対する人件費の構成比率を求めることで計算でき、計算式は下記の通りになる。人件費率の計算売上高人件費率=(人件費÷売上)×100売上総利益高人件費率=(人件費率÷売上総利益)×100例えば、売上5,000万円、売上総利益2,500万円、人件費1,250万円だった場合の人件費率は下記の通りになる。人件費率の計算例売上高人件費率=(1,250÷5,000万円)×100=25%売上総利益高人件費率=(1,250÷2,500万円)×100=50%以上の通り、人件費率は、売上と売上総利益(粗利)の二つの収益をベースに二通りの計算方法に分かれるが、業種業態や部門が変わっても高い公平性が保て、わたし自身、お薦めしている計算方法は、後者の売上総利益高人件費率である。(理由は後述する)なお、人件費の合計を求める場合は、社員給与(パート・アルバイト含む)の他、役員報酬、外注費、法定福利費、福利厚生費、支払報酬、謝礼等の支払手数料、など等、ヒトに関わる全ての費用が含まれるので留意してほしい。人件費率と労働分配率の関係性人件費率と同じような意味と役割を持つ、労働分配率という経営指標がある。労働分配率とは、売上総利益に占める人件費の構成比率のことで、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標になる。労働分配率は会社の人的投下の構造(労働集約型or資本集約型)を明らかにするだけでなく、人件費配分の適正可否の判定基準としても活用できるので、人件費率同様、重要な経営指標といえる。なお、労働分配率の計算方法は、前章で解説した売上総利益高人件費率と同じになる。【関連記事】労働分配率の計算方法と適正水準正しい人件費率の指標と目標は?人件費率は、会社の人件費を管理、或いは、コストコントロールするうえで不可欠な指標だ。当然ながら、確かな指標なしに、人件費の正しい管理も、コストコントロールもできるものではない。会社の人件費バランスが適正に保たれているのか?そもそも、会社の人件費バランスの適正な水準はあるのか?など等、人件費率のコントロールに悩みを抱えている中小企業経営者は多いと思うが、一般的には、人件費率の計算式は「(人件費÷売上)×100」で求めている会社が多いと思う。しかし、この計算式だと売上に占める人件費の構成比率は計算できるが、適正指標や目標として活用しにくいというデメリットがある。どういう事かというと、人件費を賄う収益の源泉は、売上ではなく、売上総利益(粗利)だからである。売上=売上総利益(粗利)という収入構造の会社であれば問題はないが、売上総利益の水準は、業種業態、或いは、同じ会社であっても部門が違えば変わってしまうことがある。当然ながら、売上総利益の水準が変化すると、合理的且つ公平なコスト目標として活用しにくいというデメリットが生じてしまう。売上高人件費率のデメリットとは?売上高人件費率のデメリットについて、次の例で説明する。例えば、会社内に、売上1,000万円のA事業部とB事業部という部門があったとする。A事業部は、売上1,000万円に対して粗利が1,000万円(粗利率100%)で人件費が500万円、B事業部は、売上1,000万円に対して粗利が500万円(粗利率50%)で人件費が250万円だとする。この場合、それぞれ事業部の売上高人件費率は、以下の通りになる。A事業部:(人件費500万円÷売上1,000万円)×100=人件費率50%B事業部:(人件費250万円÷売上1,000万円)×100=人件費率25%A事業部50%>B事業部25%となるが、人件費率が低いB事業部の方が経営状態が良好とは断定できない。また、A事業部とB事業部、お互いのコスト目標となる人件費率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的なコスト目標を掲げることの難しさも残る。売上高人件費率には、公平なコスト水準の測定だけでなく、合理的かつ公平なコスト目標も立てることができない、といったデメリットがあるのだ。正しいコスト目標になり得る人件費率とは正しいコスト管理、或いは、正しいコスト目標に適している指標は、売上総利益高人件費率になる。なぜなら、前章で解説した売上高人件費率のような不公平感が解消されて、公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てることができるからだ。例えば、前章のケース例を用いて「売上総利益高人件費率」を計算すると下表の通りになる。A事業部:(人件費500万円÷売上総利益1,000万円)×100=人件費率50%B事業部:(人件費250万円÷売上総利益500万円)×100=人件費率50%ご覧の通り、人件費の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部50%=B事業部50%、人件費率が両事業部一緒になった。つまり、会社の儲けである売上総利益(粗利)に対する人件費の占める割合は両事業部一緒だったということだ。これであれば、両事業部の成績(コスト優位性)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、人件費率の改善も、共通の指標を持って取り組むことができる。公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てるには「売上総利益高人件費率」が最も適しているのだ。人件費率の理想の目安と業界水準売上総利益高人件費率の理想の目安は、概ね下表の通りである。売上総利益100100100100100人件費率70%60%50%40%30%営業利益10%10%10%10%10%人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型売上総利益を100として、営業利益は、中小企業の標準目標水準である10%としている。人件費の理想の目安は、前提として、自分の会社が、労働集約型なのか、資本集約型なのか、はたまた標準的な産業なのかを判定する必要があるが、上表の通り、概ね30%~70%の範囲内に収まる。なお、人件費率の各業界水準は以下の通りである。人件費率の高い業種「コールセンター」人件費率が高い水準の労働集約型の代表例は「コールセンター」である。コールセンターの運営には沢山の人員(電話オペレーター)が必要な反面、その他の費用はさほどかからない。なぜなら、拠点は地代(家賃)の安い地方が多く、地代家賃以外の経費も電話通信費以外は大してかからないからだ。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく低いのが、労働集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり、人件費率が高くなる。人件費率の低い業種「製造業」人件費率が低い水準の資本集約型の代表例は、無人化が進んでいる「製造業」である。無人化が進んでいる製造工場は、監督する人間が少なく済み、殆どが機械任せの運営になるが、一方で、人件費以外の費用はたくさんかかる。例えば、機械のリース代やメンテナンス費用、減価償却費用、などである。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく高いのが、資本集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり人件費率が低くなる。人件費率の低い業種「美容サロン等」人件費率が低い水準の資本集約型の代表例として、「美容サロン等」のサービス業も挙げられる。なぜなら、利便性の高い駅近で競争を強いられる美容サロン等のサービス業は、地代相場が高い駅近のテナントに入居するケースが多く、テナント料のほか、多額の広告宣伝費や設備代など等、人件費以外の費用が多くかかるからだ。このように、美容サロン等は、人件費よりも、人件費以外の経費が多くかかる資本集約型の特徴を持っていて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり人件費率が低くなるケースが多い。美容サロンのほか、ブランドショップ、アパレルショップ、不動産屋、駅近飲食店、歯科医院、弁護士事務所なども資本集約型の産業に近く、人件費率が低いケースが多い。人件費率が標準の業種「スーパー等小売業、飲食店、卸売業等」人件費率が標準の業種は、労働集約型と資本集約型のバランスが中間に位置する、スーパー等小売業、飲食業、卸売業などである。人件費率が標準の業種の適正水準は概ね40%~50%なので、50%超は人件費率が高いということになる。人件費率が適正水準より高い場合は、人件費の割に収益が少ないか、収益の割に人件費が多いか、のどちらかの状態に陥っているということなので、収益改善と同時に労働効率の改善を進めることが必要である。人件費率の業界平均人件費率の業界平均を気にする経営者は実に多く、わたし自身も、製造業やサービス業など、さまざまな業界の経営者から人件費率の平均を尋ねられることがよくある。人件費率を経営目標として運用することは結構なことだが、業界平均を気にすることの無意味さを理解している経営者は少ない。なぜなら、人件費率の業界平均はまったく使えない指標だからである。どういう事かというと、人件費率の業界平均は、僅かな上位集団の実績を、数多の下位集団が足を引っ張る構図で計算されているからだ。つまり、業界平均には、数多くの下位集団の実績が混入しているので、業界平均=優良会社という相関性は殆ど成立しないのだ。当然ながら、人件費率の業界平均を目標に掲げて改善活動を展開しても、トップ集団に追いつくことはできない。業界平均を達成したからといって、実は標準よりも下位ということもあり得る。業界平均を目標にするのではなく、理想の目安を基準に目標設定することが、トップ集団に追いつく秘訣であり、適正な人件費率を確立する確かな方法なのだ。人件費率を経営に活かすポイント人件費率は人件費を上手にコントロールするための経営指標として有効に活用できる。例えば、自分の会社が目標にすべき人件費率が分かれば、人員の補充調整や人員の配置換えなどによる労働効率の改善、など等、人件費率を改善するための初動判断を適切に下せるようになる。人件費率が悪化しているにも関わらず人員を補充している会社、或いは、人件費率が適正値よりも下回っているにも関わらず人員を十分に補充せずに社員に無理な労働環境を押し付けている会社など等、人件費のコントロールがうまくいっていない中小企業は少なくない。中小企業が、人員の補充調整を検討・判断するうえで、人件費率は有効な根拠として活用できるので、是非、積極的に活用してほしい。伊藤のワンポイント人件費は殆どの企業にとって、最大のコストになります。人件費率の把握はもちろんですが、最も大切なのは自分の会社に適した人件費の目安を持って日頃から適切にコントロールすることです。人件費のコントロールを誤ると、高い確率で会社が衰退するので、くれぐれも注意してください。
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  • 経費率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標
    経費率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標経費率とは、収入に対する経費の構成比率のことである。経費率は、会社の収入に対するコストバランスを示す経営指標だが、会社経営は収入以下のコストで運営することによってはじめて成り立つので、経費率ほど重要な経営指標はない。当然ながら、収入以上の経費をかけてビジネスを続けていては、何れ会社が倒産してしまう。従って、中小企業経営者が安定経営を目指すのであれば、然るべきコスト目標を立てて、適正な経費水準を維持することが欠かせない。この記事では、経費率の計算式と適正水準(目安)について、詳しく解説する。経費率の計算式(求め方)経費率は、会社の収入に対する経費の構成比率のことである。会社の収入には、売上と売上総利益(粗利)のふたつの収入があるため、経費率の計算方法も二通りに分かれる。それぞれの計算方法(求め方)は下記の通りである。経費率の求め方売上高経費率=(経費÷売上)×100売上総利益高経費率=(経費÷売上総利益)×100例えば、売上1,000万円、売上総利益500万円、経費400万円、営業利益100万円だった場合の経費率は下記の通りになる。経費率の計算例売上高経費率=(400÷1,000)×100=40%売上総利益高経費率=(400÷500)×100=80%会社経営の本質は最小のコストで最大の利益を上げるところにあるので、経営者の行動原理を明快にするコスト目標ほど重要なものはない。会社のコストコントロールがうまくいかずに衰退の一途を辿る中小企業などは、コスト目標がない、或いは、誤ったコスト目標を掲げているケースが多い。安定経営を実現するには、然るべき会社のコスト目標、或いは、目指すべき経費率の目標が不可欠なのだ。正しい経費率の指標と目標は?経費率は、会社の経費管理、或いは、コストコントロールに不可欠な指標だ。当然ながら、確かな指標なしに、経費の正しい管理も、コストコントロールもできるものではない。会社の経費が適正に保たれているのか?そもそも、会社の経費バランスの適正な水準はあるのか?など等、経費率のコントロールに悩みを抱えている中小企業経営者は多いと思うが、一般的には、経費率の計算式は「(経費÷売上)×100」で求めている会社が多い。しかし、この計算式だと売上に占める経費の構成比率は計算できるが、適正指標や目標として活用しにくいというデメリットがある。どういう事かというと、経費を賄う収益の源泉は、売上ではなく、売上総利益(粗利)だからである。売上=売上総利益(粗利)という収入構造の会社であれば問題はないが、売上総利益の水準は、業種業態、或いは、同じ会社であっても部門が違えば変わってしまうことがある。当然ながら、売上総利益の水準が変化すると、合理的且つ公平なコスト目標として活用しにくいというデメリットが生じてしまう。売上高経費率のデメリットとは?売上高経費率のデメリットについて、次の例で説明する。例えば、会社内に、売上1,000万円のA事業部とB事業部という部門があったとする。A事業部は、売上1,000万円に対して粗利が1,000万円(粗利率100%)で経費が500万円、B事業部は、売上1,000万円に対して粗利が500万円(粗利率50%)で経費が250万円だとする。この場合、それぞれ事業部の売上高経費率は、以下の通りになる。A事業部:(経費500万円÷売上1,000万円)×100=経費率50%B事業部:(経費250万円÷売上1,000万円)×100=経費率25%A事業部50%>B事業部25%となるが、経費率が低いB事業部の方が経営状態が良好とは断定できない。また、A事業部とB事業部、お互いのコスト目標となる経費率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的なコスト目標を掲げることの難しさも残る。売上高経費率には、公平なコスト水準の測定だけでなく、合理的かつ公平なコスト目標も立てることができないデメリットがあるのだ。正しいコスト目標になり得る経費率とは正しいコスト管理、或いは、正しいコスト目標に適している指標は、売上総利益高経費率になる。なぜなら、前章で解説した売上高経費率のような不公平感が解消されて、公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てることができるからだ。例えば、前章のケース例を用いて「売上総利益高経費率」を計算すると下表の通りになる。A事業部:(経費500万円÷売上総利益1,000万円)×100=経費率50%B事業部:(経費250万円÷売上総利益500万円)×100=経費率50%ご覧の通り、経費の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部50%=B事業部50%、経費率が両事業部一緒になった。つまり、会社の儲けである売上総利益(粗利)に対する経費の占める割合は両事業部一緒だったということだ。これであれば、両事業部の成績(コスト優位性)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、経費率の改善も、共通の指標を持って取り組むことが可能になる。公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てるには「売上総利益高経費率」が最も適しているのだ。経費率の適正水準(目安)中小企業の売上総利益高経費率の適正水準(目安)は下表の通りである。売上総利益高経費率の適正水準(目安)80%以下経費率が80%以下であれば優良水準である。90%以下経費率が90%以下であれば標準水準である。100%以下経費率が100%以下であれば改善の余地がある。100%以上経費率が100以上であれば、危険水準である。収益以上の経費がかかっている状態、いわゆる赤字経営に陥っているため、早急に経費を削減するなどして、経費率を100%以下に抑える改革が必要だ。経費バランスの適正目安続いて、経費バランスの適正目安について解説する。経費バランスは、殆どの会社にとっての最大経費である人件費と人件費以外の経費を分解して考えると分かりやすい。下表は、経費バランスの標準ラインを示したものになる。売上総利益「100」に対して、経費率を標準の「90」として、その「90」を人件費と人件費以外の経費に分解している。経費率(経費バランス)の標準水準表売上総利益100100100100100経費合計9090909090人件費7060504030人件費以外2030405060営業利益1010101010経費率90%90%90%90%90%人件費率70%60%50%40%30%人件費以外率20%30%40%50%60%標準ラインの経費率90%に対して、人件費率の適正水準(目安)は、業種業態によって異なるが、概ね30%~70%の範囲内に収まる。一般的には、労働集約型の業種(例:コールセンター)は人件費率が高くなり、資本集約型の業種(例:無人化が進んでいる工場)は人件費率が低くなる。会社の経費バランスの適正目安が分かれば、効果的なコストコントロールが可能になるので、会社の生産性改善を効率的に進めることができる。また、売上が増加傾向にあり、なお且つ、経費バランスの水準が標準を上回ると、会社の成長基盤はますます盤石になる。【関連記事】人件費率の計算式と適正水準、並びに、業界平均と業種別の目安経費率の効果的なコスト改善手法とは?中小企業が経費率を活用してコスト改善する際の目標設定と改善プロセスは以下の手順で進める。経費率と人件費率を算定する会社の損益計算書から、売上総利益、経費合計、人件費、人件費以外の経費、営業利益を抽出し、売上総利益高経費率等を求める。売上総利益高経費率等の計算式は下記の通りである。経費率=(経費合計÷売上総利益)×100人件費率=(人件費÷売上総利益)×100人件費以外の経費率=(人件費以外の経費÷売上総利益)×100営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100適正指標を判定し改善目標を算定する会社の経費率等が前章で解説した標準水準表のどの水準に位置するかを判定する。下表は実績と改善目標の例である。実績(例)適正水準改善目標売上総利益100100-経費合計9790△7人件費5550△5人件費以外4240△2営業利益310+7経費率97%90%△7%人件費率55%50%△5%人件費以外率42%40%△2%経営改善目標の計算式会社の経費率等の実績と適正水準が判明したら、経営改善の数値目標を計算する。それぞれの計算式は下記の通りである。経費削減目標=適正水準-実績人件費削減目標=適正水準-実績人件費以外の経費削減目標=適正水準-実績営業利益目標=人件費の削減目標+人件費以外の経費の削減目標上記の通り、経費率等の適正水準が分かれば明確なコスト改善目標を掲げることができるので、経営改善のスピードが格段に上がる。何といっても、会社を経営するうえで目標ほど重要な要素を持っているものはない。なぜなら、確かな目標がなければ、何をすべきかが曖昧になり、効率的に経営改善を進めることができないからだ。勘と経験に頼った会社経営ではひとつの判断ミスで会社が傾くリスクがある。安定経営を目指すのであれば、正しい目標が欠かせないのだ。経費率を会社経営に活かすポイント経費率は、一般的には売上の構成比で求める。しかし、本記事で解説した通り、売上の構成比で求める経費率は、業種業態によっては合理性が崩れ、経営判断の根拠になり得ないことが起こる。中小企業の経費率は、どんな業種業態でも合理性が保て、且つ、正しい根拠になり得る、売上総利益の構成比で求めるのが正しい判断になる。「売上総利益高経費率」をモニタリングしていれば、経費バランスを保つための適切なコストコントロールが可能になる。多くの経営指標は、経営学や会計学、或いは簿記論や税法等の学術理論に則り運用されているケースが多いが、学術理論を鵜呑みにするのは危険な判断だ。何事も基本は大事だが、学術理論に振り回されて、会社経営に有効活用できない経営指標を使っていては意味がない。自分の会社経営を助ける経営指標は、経営者の創意工夫で生み出し、独自運用することが安定経営を実現する秘訣でもある。伊藤のワンポイント上手なコストコントロールは、経費率を把握することから始まります。そのうえで然るべき目標を立てて、その目標を基準にコストをコントロールすることが成功の秘訣です。会社経営は売上以下の経費で運営しなければ破綻するので、経費率の推移を常にモニタリングすることを忘れないでください。
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  • 管理会計は会社の経営分析力を高める|中小企業の管理会計入門
    管理会計は会社の経営分析力を高める|中小企業の管理会計入門管理会計ほど優れた経営分析手法はない。なぜなら、日常的に管理会計を運用すると、会社の経営状況が明快になり、経営判断や成長戦略を誤るリスクがグッと低下するからだ。事実、管理会計を運用している中小企業の経営状況は極めて良好な一方で、管理会計を運用していない中小企業の経営状況は決まって芳しくない。この記事では、管理会計の概要から管理会計の導入方法、並びに、管理会計の運用方法に至るまで、管理会計の基本を詳しく解説する。管理会計とは?管理会計とは、財務諸表等の経営データの数値を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法のことだ。簡単にいえば、会社の数字を有益な情報に変換する優れた経営分析ツールである。例えば、財務諸表に記載されている数字は紛れもない事実の羅列である。財務諸表をみれば、資産がいくらある、負債がいくらある、売上がいくらある、利益がいくらある、など等、それぞれの実績金額を把握することができる。しかし、資産と負債のバランスが適正なのか、売上の成長率は適正なのか、利益の水準は適正なのか、など等、会社経営の適正度合いを実績金額だけで判断するのは困難だ。つまり、何ら手を加えていない財務諸表等の経営データを眺めていても、データの性質や意味を知ることはできない。そこで活躍するのが「管理会計(計数管理)」になる。管理会計は、様々なデータ分析を通して、正しい経営判断を支える良質な根拠情報を生み出す。言ってみれば、管理会計とは、会社の数字を良質な情報に変換するフィルターのようなものだ。管理会計と財務分析の違いとは?管理会計と財務分析は、似て非なるものである。管理会計は内部分析に活用する会計手法、一方の財務分析は外部公表を前提とした会計手法である。財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析である。財務分析の数字は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められる。一方の管理会計は内部分析に活用する会計手法なので、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すか、という観点での運用が基本になる。従って、業種業態によって計算手法が変わるし、その企業オリジナルの分析手法も沢山ある。例えば、管理会計には、売上成長率、営業利益率、自己資本比率、など等の経営指標が数多く活用されるが、会社を取り巻く事業環境によって、経営指標の選別、経営指標の適正水準、経営指標の活用方法、など等の方針や基準が微妙に変わる。従って、管理会計は運用期間が長いほど、自社にマッチした内部分析のノウハウが蓄積され、管理会計の運用効果が一段と高まる。管理会計の運用期間が短いと、管理会計本来の効果が期待できないので、管理会計は長期運用が絶対条件になる。管理会計を導入すると経営力が高まる管理会計を導入すると経営力が高まる。なぜなら、管理会計を導入すると手元の情報精度が高まり、経営者の経営判断の精度が飛躍的に上がるからだ。下のグラフは、中小企業の管理会計の導入率と赤字経営率を表したものだ。ご覧の通り、中小企業の管理会計導入率は20%程度、一方、管理会計未導入の会社は80%と云われている。中小企業の70%が赤字経営と云われているので、管理会計未導入と赤字経営率は相関がとれている。会社の大小関係なく、不確定要素が多い経営環境を、経験と勘だけで乗り切れるほど会社経営は甘くはない。資本力に乏しい中小企業は、たった一つの判断ミスが致命傷になることがあり得るので、正しい根拠情報を導く管理会計なくして、安定経営は不可能といっても過言ではない。例えば、陸上選手が100m走と10,000m走のどちらに出走しているのか分からずにスタートを切った場合、結果はどうなるだろうか?考えるまでもなく、答えは明白だろう。100m走と10,000m走では、出走するまでのトレーニング方法やゴールまでのペース配分など、全ての条件が変わってくる。管理会計を無視した会社経営というのは、ゴールを知らずに走り出している陸上選手のようなもので、一等賞はもちろんのこと、一生、競争相手に勝つことは出来ないだろう。管理会計は入門者でも簡単に習得できる!!管理会計は、入門者でも簿記や会計の知識ゼロでも簡単に習得することができる。なぜなら、管理会計(経営分析)は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界だからだ。また、管理会計(経営分析)は会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで経営者の数字力がみるみる高まる。運用開始から3ヵ月もすれば、数字に弱い社長が、数字に強い社長に変貌することも可能だ。但し、管理会計を導入するうえで気を付けるべきポイントがある。それは、「継続性(継続したモニタリング)」だ。前章で解説した通り、管理会計で活用する経営指標、並びに、経営指標の適正水準等は、事業環境や業種業態、企業文化や経営者の方針によって変化する。それぞれの企業に合った経営指標等は、管理会計を長期的に運用することでみえてくる。継続性なくして正しい経営指標等は見出せないので、会社に管理会計を導入する場合は、まず初めにいくつかの経営指標の分析を定期化し、更に長期運用することが欠かせない。会社にマッチした経営指標等が明確になると、経営分析の精度と共に、経営改善の効率が飛躍的に向上し、赤字経営に転落するリスクが殆どなくなる。管理会計を導入する場合のはじめの一歩会社に管理会計を導入したいと考えても、どこから手を付けたらいいのか分からない、といった経営者もいるかも知れない。そこで、管理会計を用いた経営分析を導入するうえで、はじめの一歩にお薦めの経営指標を紹介する。紹介する4つの経営指標は業種業態関係なく、どんな会社にも通用する指標になる。損益面(収益性)売上成長率、売上総利益高営業利益率資産面(安全性)当座比率、自己資本比率それぞれの単語(ワード)をクリックすると各経営指標の詳しい解説が分かる。実際に、自身の会社の決算書を3期分手元に用意して経営分析してみると、管理会計を用いた経営分析が意外と優しい会計手法であることが理解できると思う。なお、経営指標の分析は、1ヵ月分、或いは、直近の決算書1期分の数字を分析しても、会社の経営実態は見えてこない。決算書であれば、直近から過去3年から5年分の分析が必要だ。点から線へ、線から面へというように、過去から現在までの一定期間の業績推移が分かると、経営実態が明らかになり、将来の業績予測も容易にできるようになる。さて、損益面(収益性)と資産面(安全性)の分析結果は如何だったろうか?良い方向に進んでいただろうか?それとも、悪い方向に進んでいただろうか?たった4つの経営指標であっても、過去3~5年分の数字を並べてみると、会社が良い方向に進んでいるのか、或いは、悪い方向に進んでいるのかを、一目瞭然で判別できる。管理会計(会社の数字)は、衰退予防に役立つ情報を経営者に教えてくれる。例えば、売上総利益高営業利益率の水準が低い会社は、利益を上げるための経営改善策を真剣に考えるきっかけになる。自己資本比率の水準が低い会社は、利益を拡大して、借金を減らし、純資産を増やすための経営改善策を真剣に考えるきっかけになる。管理会計なくして、中小企業の安定経営は不可能に近い。経験や勘が鋭いのに越したことはないが、更に数字にも強くなれば、経営者としては言うことなしである。管理会計を用いた経営分析手法は難しくない。本当に実効性のある僅かな経営指標だけでも、十分に効果のある管理会計を運用することができる。伊藤式管理会計の原点とは?わたしが運用している管理会計は、次の3つの経験と体験をベースに独自開発したものである。会計の専門知識を習得私の場合、プロ経営者になるには会計の知識が必須条件と考え、法律会計学校に通って会計の勉強をスタートした。丸5年間は平日の夜と土日を勉強漬けにしたので、肉体的にも精神的にも大変だったが、苦労の甲斐あって、会社経営に活かせる会計知識(民法・簿記・会計・税法・etc)の習得ができた。中小企業の経営で実践会計の知識を習得する過程で思ったのだが、実は、会計や税法には会社経営の実務にそのまま活かせる知識は殆どなかった。例えば、成長発展に有効な経営分析手法、衰退予防に有効な経営分析手法、売上や利益拡大に役立つ経営分析手法、安定経営を実現するための経営分析手法、など等、会社経営の実務に活かせる知識は殆ど含まれていなかった。わたしが幸いだったのは、会計を学びながら、中小企業の経営に参画していたことで、この時期に、会計の専門知識と会社経営の実学をベースに、会社経営に有効な管理会計の経営分析手法を次々と開発した。巷の経営コンサルタントや税理士の先生が持っている会社経営の知識が如何に浅いものかを思い知ったのも、この時期である。中小企業の経営指導で実践経営コンサルティング会社を創業後(2008年)は、会社再建の仕事に恵まれた。会社再建は経営状態をマイナスからプラスに転換する仕事なので、経営力を磨く最短の近道であり、この時期に薄皮を一枚一枚重ねるように自身の経営力と共に管理会計技術を高めた。この管理会計技術が、私の経営サポートの肝であり、経営改善の成果を上げる必須ツールになっている。【関連記事】経営改善事例|中小企業の改善事例・成功のポイント管理会計は経営者を救う優れたツール!!管理会計ほど中小企業の成長発展を支えるツールはない。なぜなら、中小企業の安定経営の実現、中小企業に適した経営戦略の展開等々、堅実な会社経営を行う上で、管理会計ほど役立つツールはないからだ。例えば、倒産の危機に瀕するような中小企業は、例外なく管理会計を導入していなかった。そして、経営者は全員、数字に弱かった。経営者が数字に弱いゆえに、会社が傾いたケースも沢山あった。衰退する中小企業でも、例外なく利益水準が高く、好調な時期がある。好調な時期に、どうして経営者自身の経営能力を上げるための先行投資をしなかったのだろう?或いは、会社再建の仕事に関わるたびに「好調な時期に管理会計さえ導入していれば...」と、忸怩たる想いを抱いたことは数知れない。会社再建に支払う犠牲は半端なく大きい。倒産経験のない経営者には想像がつかないかも知れないが、わたしは、倒産の危機に瀕するような会社は1社でも少ない方が良いと、心の底から思っている。当サイトで貴重な経営ノウハウを無料で公開しているのも「赤字経営の中小企業を1社でも少なくしたい」という想いがあるからだ。会社の数字から顔を背けても何も発展しない。会社の発展は会社の数字と正面から向き合うところから始まる。会社の変調は必ず数字に表れる。普段から数字の理解に努めれば、きっと数字に救われる。そのためにも管理会計を導入し、経営者の経営分析力を高めることが欠かせないのだ。伊藤のワンポイント管理会計は正しい決断を支える客観的根拠を生み出すので、経営者の決断精度を飛躍的に高めてくれます。管理会計未導入率(80%)と赤字経営率(70%)の相関関係から分かる通り、管理会計なしの経営は失敗を早めるだけです。決断力を高めて安定経営を実現するには、管理会計の長期運用が必須条件です。
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  • 売上高成長率の計算式と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標
    売上高成長率の計算式と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標売上高成長率とは、会社の売上がどの程度成長したかを示す経営指標のことだ。売上高成長率を売上伸び率、或いは、売上伸長率ともいうが、売上高成長率を見れば、その会社の将来性が自ずと見えてくる。例えば、売上高成長率がプラス成長であれば会社の衰退リスクが低く、売上高成長率がマイナス成長であれば会社の衰退リスクが高い、ということが分かる。この記事では、売上高成長率(売上伸び率)の計算式や適正水準(目安)から経営に活かすポイントに至るまで、詳しく解説する。売上高成長率(売上伸び率)とは?会社の発展は売上の成長がなければ望めないので、売上高成長率は重要な経営指標のひとつといえる。また、売上高成長率(売上伸び率)の適正具合が判定できれば、現時点の会社の立ち位置が分かり、今後の対策を立てやすくなる。例えば、売上高成長率が適正水準よりも劣っていれば、売上を伸ばすための対策を冷静に改善することができるし、売上高成長率が適正水準内に収まっていれば、売上を伸ばすための活動を確信をもって推進することができる。中小企業の会社経営は、闇雲に管理するよりも、しっかりとした目標指標を持って管理した方が、数倍、経営効率が上がる。特に、売上高成長率は会社の将来を見通す重要な経営指標であると共に、経営改善の要の指標にもなり得るので、中小企業の会社経営に大いに役立つ。売上高成長率(売上伸び率)の計算式売上高成長率(売上伸び率)の計算式は下記の通りである。売上高成長率(売上伸び率)の計算式単年成長率の場合 : 売上高成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100単月成長率の場合 : 売上高成長率=〔(当月売上高-前年同月売上高)÷前年同月売上高〕×100例えば、当期売上高が10億円で前期売上高が9億円の場合の売上高成長率(売上伸び率)は、〔(10億円-9億円)÷9億円〕×100=11.11%になる。当月売上高が0.9億円で前年同月売上高が1億円の場合の売上高成長率(売上伸び率)は、〔(0.9億円-1億円)÷1億円〕×100=△10%になる。なお、売上高成長率を単月比較で計算する場合は、季節変動や特需に伴う売上の増減よって、実態とかけ離れた結果が出ることがあるので、季節変動や特需が多い会社は、単年比較で売上高成長率を計算した方が良い。売上高成長率の単年比較の計算は、決算を待たずとも、売上の年計を毎月集計すれば容易に計算できるので、単月比較と共に運用することをお薦めする。売上高成長率(売上伸び率)の適正水準(目安)中小企業の売上高成長率(売上伸び率)の適正水準(目安)は下記の通りである。売上高成長率(売上伸び率)の適正水準(目安)超優良水準 6~20%売上高成長率が6~20%の範囲内に収まっていれば超優良水準になる。この水準で売上が推移していれば会社は着実に成長する。現在の取り組みを積極的に継続展開すれば益々の売上成長が望める可能性が高い。また、この水準で成長してる時は、会社のサービスを低下させないために、組織や経営管理面の体制強化を同時に進める必要がある。安全水準 0~5%売上高成長率が0~5%の範囲内に収まっていれば安全水準になる。この水準で売上が推移していれば会社経営は安定する。成長の前期、もしくは、成長の後期に、この水準に位置していることが多い。更なる売上成長を望める位置にあるので、新しい経営戦略と戦術を積極展開すれば、超優良水準へステップアップできる可能性がある。超優良水準からの降格であれば、新たな取り組みを検討する必要がある。準危険水準 ▲1~▲10%売上高成長率が▲1~▲10%の範囲内は準危険水準になる。売上の成長が止まり、会社の業績が傾き始めている可能性が高い。既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みが必要である。また、売上減少分の経費を削減しないと、利益が減少し、赤字経営に転落するリスクが高まる。新たな取り組み+コストダウンをセットで取り組むことが大切だ。危険水準(1) ▲11~▲20%売上高成長率が▲11~▲20%の範囲内は危険水準になる。売上の成長が完全に止まっている。既に、赤字経営に陥っていて、厳しい経営状況に陥っている可能性が高い。この水準まで売上が落ち込んでいる場合は、真っ先に、会社のコストカットを行い、会社の黒字化を最優先しなければならない。黒字化した後、既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みを行い、売上の早期回復を図ることが危険水準を脱するコツになる。危険水準(2) 21%以上売上高成長率が21%以上であれば危険水準になる。売上は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。この場合、会社の収益面は問題ないが、組織や経営管理の体制に問題が生じる可能性がある。例えば、☑注文や発送対応が追いつかない☑商品製造や品質管理がキャパオーバー☑人員不足で業務の効率が著しく低下している等々、組織や経営管理の体制に綻びが出始めて、会社のサービスが低下し、客離れを引き起こすことがある。また、20%を超える急激な成長は、ブーム等に乗った一時的なものかも知れない。このような急成長の最中に投資を加速すると、売上成長率が鈍ったときに人員が溢れたり、経費が賄えなかったり、操業度が落ちたり、等々、倒産リスクが高まる。会社が急成長した後に倒産するケースは稀に起こっている。会社が急成長した時ほど気を引き締めて、堅実な会社経営を心掛ける必要がある。超危険水準 ▲21%以下売上高成長率が▲21%以下であれば超危険水準になる。会社は赤字経営で、資金繰りにも支障が出始めている。恐らく、倒産の可能性が極めて高い。この水準まで売上が落ち込んでいる場合は、待ったなしで会社再建の手を講じる必要がある。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、会社の足を引っ張る部分を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれてしまう。会社が倒産すると経営者はもちろん、家族や社員、取引先も不幸にしてしまう。従って、売上成長率が危険水準に陥った時点で、待ったなしで経営改善の手を講じなければならない。経営改善の着手が遅れると、時すでに遅しとなる。売上高成長率で企業成長率は測定できない!?売上高成長率を用いて企業成長率を測定する経営者を稀に見かけるが、この測定方法で、正しい企業成長率を測定することはできない。なぜなら、企業の正しい成長率は、「売上」というたった一つの指標だけで測定することができないからだ。事実、売上が拡大している企業が倒産の危機に瀕するケースは珍しくなく、売上高成長率が企業成長率を正確に表していないことは明白である。企業の正しい成長率を測定するのであれば、売上高に、利益や現金といった、会社存続に欠かせない指標をプラスしなければならない。また、数値目標として売上高成長率を掲げる場合も、同様の注意が必要だ。【関連記事】企業成長率の計算式と適正水準売上高成長率を経営に活かすポイント売上高成長率(売上伸び率)は会社の成長を端的に表す、使い勝手の良い経営指標である。売上高成長率を日頃からモニタリングしていれば、「マイナス成長は経営改革の検討」を、「プラス成長であっても、行き過ぎたプラス成長は経営管理体制の見直し」を、というように、より良い成長環境を整えるための準備を手前手前で講じることができる。物事の成功は段取りで決まると云われているが、中小企業の会社経営も同じである。普段から準備を怠ることなく会社の経営にあたっていれば、自ずと会社の成長、強いては、経営の成功がみえてくるものだ。売上高成長率は、経営者が積極的に活用したい経営指標の一つだ。伊藤のワンポイント売上の成長は企業の存続に欠かせません。一般的には顧客の1~2割は常に入れ替わっていると云われていますので、売上高成長率をプラス維持することは並大抵なことではありません。しかし、その事実から逃げていては、売上は減る一方です。安泰はあり得ないという前提に立ち、果敢に挑戦する姿勢が新しい売上を生み出します。
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  • 売上原価率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標
    売上原価率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標売上原価とは、売上に占める原価(仕入等)のことで、売上に占める売上原価の構成比率のことを売上原価率という。会社経営は、売上原価以上の値段で商品やサービスを販売することで初めて成立するので、売上原価ほど重要な経営指標はない。この記事では、売上原価の基本概要から売上原価率の計算方法や売上原価率の目安、並びに、売上原価率の改善方法に至るまで、詳しく解説する。売上原価とは?売上原価は、仕入や外注費など販売管理費以外の経費のことだが、売上原価と売上原価率の把握なしに、まともな原価管理は絶対にできない。また、会社経営は、原価以上の売値で販売することで初めて成り立つので、売上原価と売上原価率の把握は経営管理の要といっても過言ではない。売上原価の構成イメージは下図の通りである。売上に占める売上原価の構成比が小さいほど売上原価率も低くなり、売上原価率が低いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源が大きくなる。逆に、売上に占める売上原価の構成比が大きいほど売上原価率も高くなり、売上原価率が高いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源が小さくなる。売上原価率の計算方法売上原価率の計算式は下記の通りである。売上原価率の計算方法売上原価率=(売上原価÷売上)×100例えば、売上原価1億円、売上2億円の会社があった場合の売上原価率は、(1億円÷2億円)×100=50%となる。商品を700円で仕入れて、その商品を1,000円で販売した場合の売上原価率は、(700÷1,000)×100=70%になる。材料を300円で仕入れて、その材料をもとに作った料理を1,000円で提供した場合の売上原価率は、(300÷1,000)×100=30%になる。売上原価率は、売上に占める売上原価の構成比率を表すので、売上原価率をモニタリングすると、会社の収益性やコスト構造を的確に分析することができる。売上原価率の適正水準(目安)と改善方法主要業界の売上原価率の適正水準(目安)と売上原価率の改善方法は下記の通りである。売上原価率の適正水準(目安)飲食業界 15%~25%飲食業界の売上原価率は15%~25%が標準水準になる。稀に、売上原価率が25%以上の飲食店があるが、超高単価、或いは、顧客回転率が高くなければ成り立たない。飲食業界において売上原価率を下げるには、独自の材料調達ルートの確保が有効だ。また、スープストック等、調理に時間のかかる材料を外注化し、半完成品として店舗に導入する方法もトータルコストが下がるので有効である。卸売業界 75~85%卸売業界の売上原価率は75%~85%が標準水準になる。卸売業界は売上原価率の水準が非常に高い。従って、商品の保管効率や配送効率を工夫しないと高い収益が確保できない。小売業界 50%~75%小売業界の売上原価率は50%~75%が標準水準になる。通販会社は50%、百貨店・雑貨店は50~60%、スーパーマーケット等は65%~75%というように、顧客層や業態によって標準水準に幅がある。また、稀に、売上原価率が75%以上の小売店があるが、顧客回転率が高くなければ成り立たない。小売業界において売上原価率を下げるには、独自商品の内製化が有効である。例えば、加工材料を仕入れて、オリジナルの餃子や饅頭等を社内製造し、売上原価率30~50%で販売できれば、お店全体の売上原価率を押し下げる効果が期待できる。売上原価率の業種別の平均は?売上原価率の業種別平均値はそれぞれの業界団体などが公開しているが、平均値を知ったところで経営に役立つことは何もない。なぜなら、売上原価率の平均値は、少数の良い会社の実績を多数の悪い会社が足を引っ張る構図で計算されているからだ。従って、平均値を目標指標に掲げて売上原価率の改善を推進しても、トップ企業に追いつくことはできず、まったく非効率な活動に陥る可能性もある。売上原価率の改善は、独立独歩で1%ずつ確実に改善する姿勢が正攻法になる。売上原価率の業界別の水準は?売上原価率の適正水準は飲食業や小売業にはあるが、その他の業種業態には適正水準がない。例えば、健康食品や化粧品等は、売上原価率が10%以下のものが数多くある。この分野は、「身体に効く」、「痩せる」、「美しくなる」等々、科学的根拠がなくても、付加価値のイメージを膨らませることができれば、際限なく商品の値段を釣り上げることが出来る。虚像で付加価値を高める手段は推奨しないが、競合他社に真似ができず、なお且つ、誠実な努力の元に作られた商品であれば、純粋に付加価値の高い商品といえるので、市場が許容する範囲内で、いくら高い値段をつけても問題はない。極端なはなし、売上原価が1円であっても、世界一の商品であれば、世界一高くても構わないのだ。当然ながら、売上原価と販売価格の差が大きくなるほど、売上原価率が低下し、会社の儲けが大きくなる。付加価値の高い商品にも関わらず、一般市場の価格に合わせてしまい、然るべき利益を獲得できていない中小企業は少なくない。付加価値の高い商品を元に高水準の利益体質が確立できれば、成長投資のサイクルが加速し、会社の優位性はどんどん高まる。中小企業経営者は、自社商品の付加価値の高さと売上原価率が見合っているか否かを、時折り点検することも必要だ。売上原価率を会社経営に活かすポイント中小企業が、最小の売上原価で最大の売上を得るには、会社が提供する商品の付加価値を極限まで高める努力が欠かせない。売上原価率を高めて(お金をかけて)、商品の付加価値を高めることは誰にでもできる。最小の売上原価で最大の売上を得るオンリーワン商品を目指すのであれば、売上原価率をキープして(お金をかけず)、商品の付加価値を高める努力が必要だ。つまり、付加価値を高めるための弛まぬ経営改善の継続と改善検証のための売上原価率のモニタリングが、最小の売上原価で最大の売上を獲得する秘訣になる。伊藤のワンポイント売上原価の管理が杜撰な会社は衰退します。赤字取引や赤字商品を生み出す元凶になるからです。会社を成長させるには、取引単位、商品単位レベルの売上原価の把握・分析が不可欠です。競合よりも低い売上原価で商品やサービスを提供することができれば競争優位性がグッと高まり、会社の成長が一段と加速します。
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  • 売上総利益率の計算式と適正水準(目安)|利益分析に用いる経営指標
    売上総利益率の計算式と適正水準(目安)|利益分析に用いる経営指標売上総利益とは、売上に占める売上原価(仕入等)以外の利益のことで、売上に占める売上総利益の構成比のことを売上総利益率という。会社経営は利益を出すことで初めて成立するので、売上総利益ほど重要な経営指標はない。この記事では、売上総利益の基本概要から売上総利益率の計算方法や売上総利益率の目安、並びに、売上総利益率の改善方法に至るまで、詳しく解説する。売上総利益率とは?売上総利益と売上総利益率は、別称「粗利(あらり)・粗利率」とも云い、会社の利益指標として最も馴染みのある経営指標でもある。会社経営は利益を生み出すことで初めて成り立つので、売上総利益と売上総利益率の把握は利益管理の要といっても過言ではない。当然ながら、売上総利益と売上総利益率の把握なしに、まともな利益管理も会社経営も出来るものではない。売上総利益の構成イメージは下図の通りである。売上に占める売上総利益の構成比が大きいほど売上総利益率も高くなり、売上総利益率が高いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源も大きくなる。逆に、売上に占める売上総利益の構成比が小さいほど売上総利益率も低くなり、売上総利益率が低いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源も小さくなる。売上総利益率の計算方法売上総利益率の計算式は下記の通りである。売上総利益率の計算式売上総利益率=(売上総利益÷売上)×100例えば、売上総利益1億円、売上2億円の会社があった場合の売上総利益率は、(1億円÷2億円)×100=50%となる。商品を700円で仕入れて、その商品を1,000円で販売し、手元に300円の売上総利益が残った場合の売上総利益率は、(300÷1,000)×100=30%になる。材料を300円で仕入れて、その材料をもとに作った料理を1,000円で提供し、手元に700円の売上総利益が残った場合の売上総利益率は、(700÷1,000)×100=70%になる。売上総利益率とは、売上に占める売上総利益の構成比率を表すので、売上総利益率をモニタリングすると、会社の収益性を的確に分析することができる。会社の収益性は、企業存続を左右する重要な管理項目なので、売上総利益率は、会社経営の最重要指標のひとつといっても過言ではない。売上総利益率の適正水準(目安)と改善方法主要業界の売上総利益率の適正水準(目安)と改善方法は下記の通りである。売上総利益率の適正水準(目安)飲食業界 75%~85%飲食業界の売上総利益率は75%~85%が標準水準になる。稀に、売上総利益率が75%以下の飲食店があるが、超高単価、或いは、顧客回転率が高くなければ成り立たない。飲食業界において売上総利益率を上げるには、独自の材料調達ルートの確保が有効だ。また、スープストック等、調理に時間のかかる材料を外注化し、半完成品として店舗に導入する方法もトータルコストが下がるので有効だ。卸売業界 15~25%卸売業界の売上総利益率は15%~25%が標準水準になる。卸売業界は売上総利益率の水準が非常に低い。従って、商品の保管効率や配送効率を工夫しないと高い収益が確保できない。小売業界 25%~50%小売業界の売上総利益率は25%~50%が標準水準になる。通販会社は50%、百貨店・雑貨店は40~50%、スーパーマーケット等は25%~35%というように、顧客層や業態によって標準水準に幅がある。また、稀に、売上総利益率が25%以下の小売店があるが、顧客回転率が高くなければ成り立たない。小売業界において売上総利益率を上げるには、独自商品の内製化が有効だ。例えば、加工材料を仕入れて、オリジナルの餃子や饅頭等を社内製造し、売上総利益率50~70%で販売できれば、お店全体の売上総利益率を押し上げる効果が期待できる。売上総利益率の業種別の平均は?売上総利益率の業種別平均値はそれぞれの業界団体などが公開しているが、平均値を知ったところで経営に役立つことは何もない。なぜなら、売上総利益率の平均値は、少数の良い会社の実績を多数の悪い会社が足を引っ張る構図で計算されているからだ。従って、平均値を目標指標に掲げて売上総利益率の改善を推進しても、トップ企業に追いつくことはできず、まったく非効率な活動に陥る可能性もある。売上総利益率の改善は、独立独歩で1%ずつ確実に改善する姿勢が正攻法なのだ。売上総利益率の業界別の水準は?売上総利益率の適正水準は飲食業や小売業にはあるが、その他の業種業態には適正水準がない。例えば、健康食品や化粧品等は、売上総利益率が90%以上のものが数多くある。この分野は、「身体に効く」、「痩せる」、「美しくなる」等々、科学的根拠がなくても、付加価値のイメージを膨らませることができれば、際限なく商品の値段を釣り上げることができる。虚像で付加価値を高める手段は推奨しないが、競合他社に真似ができず、なお且つ、誠実な努力の元に作られた商品であれば、純粋に付加価値の高い商品といえるので、市場が許容する範囲内で、いくら高い値段をつけても問題はない。当然ながら、売上総利益と販売価格の差が小さければ小さいほど、売上総利益率が上昇し、会社の儲けが大きくなる。純粋に付加価値の高い商品にも関わらず、一般市場の価格に合わせてしまい、然るべき利益を獲得できていない中小企業は少なくない。付加価値の高い商品を元に高水準の利益体質が確保できれば、成長投資のサイクルが加速し、会社の優位性はどんどん高まる。中小企業経営者は、自社商品の付加価値の高さと売上総利益率が見合っているか否かを、時折り点検することも必要だ。売上総利益率を会社経営に活かすポイント売上総利益率のことを粗利率(あらりりつ)とも云うが、中小企業経営者にとって粗利や粗利率ほど馴染みのある経営指標はないだろう。売上総利益率を経営に活かすには、その性質をしっかり理解することが大切で、最も理解すべき性質は「売上総利益は会社の最終利益ではない」ということである。売上総利益は、経費(販売管理費)を差し引く前の仮の利益に過ぎない。当然ながら、売上総利益よりも経費が多ければ営業利益が赤字、売上総利益よりも経費が少なければ営業利益が黒字というように、常に経費を減じた後の営業利益に目を向けなければ会社経営の正否を判断することは出来ない。売上総利益一辺倒(粗利一辺倒)で、営業利益を見落としたまま会社が衰退するケースは多く、「売上総利益は経費を差し引く前の仮の利益」という意識なくして、確かな経営は出来ない。また、売上総利益率は僅か0.1%の改善でも大きな収益効果を生み出すが、売上総利益を上げるために過分に経費をかけた結果、経費率が0.1%でも上昇すると、せっかくの収益改善効果は消えてしまう。売上総利益と経費が常に対の関係にあることを意識したうえで、売上総利益率を改善することが、売上総利益率を押し上げる確かな法則になる。伊藤のワンポイント売上総利益率、略して粗利率は最も馴染みのある経営指標です。企業の収益性を表す重要指標には違いありませんが、更に重要なのは人件費などのコストバランスや営業利益にしっかり目を向けることです。業績が悪化している企業ほど、この点がなおざりになっていますので、くれぐれも注意してください。
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  • 損益分岐点の計算方法と適正水準(目安)|採算性分析に用いる経営指標
    損益分岐点の計算方法と適正水準(目安)|採算性分析に用いる経営指標損益分岐点とは、損失が出るか利益が出るかの境目のことだ。つまり、損益分岐点は、会社の採算ラインを示す経営指標になる。例えば、売上が損益分岐点を上回ると利益が生まれ、売上が損益分岐点を下回ると損失が生じて、倒産リスクが高まる。この記事では、損益分岐点・損益分岐点売上高・損益分岐点比率の計算方法と適正水準(目安)について、詳しく解説する。損益分岐点(売上高)とは?損益分岐点とは、損失が出るか利益が出るかの境目のことで、会社の採算ラインを示す経営指標である。そして、損益分岐点売上高とは、会社の採算ラインを示す損益分岐点上の売上高のことである。損益分岐点と損益分岐点売上高は同義語になるが、言い換えると「売上の必達目標」或いは「回収すべき最低コスト」ともいえる。つまり、損益分岐点(損益分岐点売上高)が分かると、絶対達成すべき売上目標が明らかになる。損益分岐点売上高は、損益分岐点売上高を上回れば黒字経営、損益分岐点売上高を下回れば赤字経営というように、比較的簡単に業績の良否判定ができるので、簿記や会計が苦手な中小企業経営者でも運用しやすい経営指標になる。また、損益分岐点売上高に占める売上実績の構成比率を求めると、会社の安全性の評価も可能になる。損益分岐点売上高の計算方法損益分岐点売上高の計算方法は下記の通りである。損益分岐点売上高の計算式① 固定費の集計② 変動費の集計③ 変動費率の算定=(変動費÷売上高)×100④ 損益分岐点売上高=固定費÷(1-売上高変動費率)例えば、売上1,000万円、固定費500万円、変動費400万円の損益構造の場合、損益分岐点売上高の計算は以下の通りになる。損益分岐点売上高の計算例変動費率=(400÷1,000)×100=40%(0.4)損益分岐点売上高:500万円÷(1-0.4)=833.3万円【関連記事】固定費(固定費率)と変動費(変動費率)の計算方法損益分岐点比率の計算方法損益分岐点比率とは、損益分岐点売上高に占める売上実績の構成比率のことである。損益分岐点比率が100%であれば、売上実績が採算ライン上(損益分岐点上)にあることになる。つまり、損益分岐点比率が100%を下回ると黒字経営(利益発生)、100%を上回ると赤字経営(損失発生)となる。損益分岐点比率の計算式は下記の通りである。損益分岐点比率=(損益分岐点売上高÷売上実績)×100損益分岐点比率の計算例は下表の通りである。損益分岐点売上高売上実績計算式損益分岐点比率1,000万円1,250万円1,000÷1,250 80%1,000万円1,000万円1,000÷1,000 100%1,000万円800万円1,000÷800125%損益分岐点比率の適正水準(目安)中小企業の損益分岐点比率の適正水準(目安)は下記の通りである。損益分岐点比率の適正水準(目安)80%以下損益分岐点比率80%以下は安全水準である。景気動向等の外部要因に対しても比較的強い水準といえる。80%~損益分岐点比率80%~89%は標準水準である。但し、急激な景気悪化に左右される可能性がある。90%~損益分岐点比率91%~100%は要改善水準である。少しの売上減少で採算ラインを割り込む可能性が高い。なるべく早い段階で80%台に改善できるよう、売上増加対策、或いは、経費削減対策を講じる必要がある。101%~損益分岐点比率101%以上は危険水準である。損失が生じており、採算ライン以下の売上水準になっている。早急に抜本的経営改善を講じないと業績悪化が加速する。当然ながら、対策を先送りすると会社倒産のリスクは著しく上昇する。損益分岐点の構成でリスク構造が変わる!?損益分岐点を構成する固定費と変動費のバランスによって、会社のリスク構造が変わる。例えば、固定費が大きく変動費が小さい固定費中心型の会社と、固定費が小さく変動費が大きい変動費中心型の会社では、リスク構造に大きな違いが生じる。夫々の特徴は下記の通りである。固定費中心型ビジネスの損益分岐点固定費が大きく変動費が小さい「固定費中心型の会社」は、ハイリスク・ハイリターンの事業構造といえる。損益分岐点が高い位置にあるので、利益が出るのが遅いが、損益分岐点を超えると大きな利益が出る。固定費中心型の会社は、黒字化するのが遅い、赤字リスクが高い、黒字後の利益増加率が高い、等々の特徴が挙げられる。経営リスクを引き下げるには、固定費削減を主体とした経営改善が有効になる。変動費中心型ビジネスの損益分岐点固定費が小さく変動費が大きい「変動費中心型の会社」は、ローリスク・ローリターンの事業構造といえる。損益分岐点が低い位置にあるので、利益が出るのが早いが、損益分岐点を超えても大きな利益があまり出ない。変動費中心型の会社は、黒字化するのが早い、赤字リスクが低い、黒字後の利益増加率が低い、等々の特徴が挙げられる。経営リスクを引き下げるには、変動費削減を主体とした経営改善が有効になる。伊藤のワンポイント損益分岐点は全ての経営者が理解すべき重要指標です。損益分岐点が分かると経営者の判断基準が明快になり、赤字経営に転落するリスクが低下するからです。また、損益分岐点に時間軸を加えると、先行投資型のビジネスモデルの損益分岐点を緻密に分析することができます。起業前後問わず、様々な事業局面で活用してください。
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  • 固定費(固定費率)と変動費(変動費率)の計算方法|損益分岐点分析に用いる経営指標
    固定費(固定費率)と変動費(変動費率)の計算方法|損益分岐点分析に用いる経営指標固定費とは、売上高の増減に関わらず発生金額が一定の費用で、売上高に占める固定費の構成比率を固定費率という。変動費とは、売上高に連動して増加する費用で、売上高に占める変動費の構成比率を変動費率という。この記事では、固定費と変動費の特性や収益に与える影響、並びに、固定費率と変動費率の計算式(求め方)に至るまで、詳しく解説する。固定費とは?固定費は、売上高(生産高)の増減に関わらず発生金額が一定の費用、或いは、売上高(生産高)の増減に比例しない費用のことで、管理不可能な費用も固定費に含まれる。固定費は、継続的に事業活動を展開するために必要最低限消費される費用、或いは、必要最低限回収しなければならない費用ともいえる。当然ながら、固定費を下回る売上では、事業は成り立たない。なお、固定費になる主な経費例は下記の通りである。固定費になる経費例製造経費(労務費、減価償却費、その他定額性の製造費用)、人件費、業務委託料、法定福利費、支払報酬(定期)、地代家賃、賃借料、減価償却費、リース料、諸会費、租税公課(税金等)、支払保険料、通信費(サーバー、基本料金部分等)、など変動費とは?変動費とは、売上高(生産高)に連動して増加する費用、或いは、売上高(生産高)の増減に比例する費用のことである。また、管理可能な費用も変動費に含まれる。変動費は、継続的な事業活動の展開に応じて消費される費用ともいえる。なお、変動費になる主な経費例は下記の通りである。変動費になる経費例仕入、製造経費(水道光熱費等、定額制のない製造費用)、福利厚生費、外注費、荷造発送費、広告宣伝費、接待交際費、会議費、旅費交通費、通信費(通話料部分等)、消耗品費、保守修繕費、水道光熱費、新聞図書費、支払手数料、販売促進費、一般試験費、研究開発費、租税公課、支払報酬(不定期)、雑費、など固定費と変動費と収益の関係性費用の構成やバランスは、中小企業の収益性を左右する大きな要因になるが、費用を固定費と変動費に分けると、どのような仕組みで費用が収益性に影響を与えているのかが理解できる。また、固定費と変動費の収益性を左右する仕組みを理解すると、収益性向上の対策を合理的に検討することが可能になる。固定費と変動費の収益性に与える影響は下記の通りである。固定費が収益性に与える影響とは?固定費は、金額が低いほど利益の実現性が高くなる。従って、固定費は利益の実現性を決定する要素を持っている。例えば、固定費が100万円と1,000万円では、固定費を賄うために必要な利益の金額に大きな差が生じる。当然ながら、固定費が少ない方が、固定費を賄うために必要な利益が少なく済み、固定費が賄えると、後は利益が拡大する一方となる。変動費が収益性に与える影響とは?変動費は、売上高に対する比率が低いほど固定費の回収能力が高まる。従って、変動費は固定費の回収能力を決定する要素を持っている。例えば、売上高変動費率(〔変動費÷売上高〕×100)が10%と50%の比較であれば、固定費の回収能力は5倍の差が生じる。売上が増加しているにも関わらず、利益が増加していない会社は、売上高変動費率が上昇傾向にある場合が多い。(売上が拡大している一方で赤字金額が拡大している会社も同様である)固定費と変動費の費用分解会社全体の経費を固定費と変動費に分けることを「費用分解」という。固定費と変動費の費用分解は、売上高(生産高)との関係性に基づいて行うが、費用分解の正確性が低いと、様々な財務分析に支障をきたす。例えば、費用分解の精度が低いと、前章で解説した収益性に与える影響を読み間違えて、経営戦略を誤るリスクが高まる。また、会社経営の重要指標で、利益構造を明快に示す「損益分岐点」の分析にも大きな支障をきたす。損益分岐点の計算に、固定費と変動費の費用分解は不可欠であり、この固定費と変動費の費用分解が不正確だと、正しい損益分岐点を把握することはできない。正しい損益分岐点を計算するには、固定費と変動費の費用特性を正しく理解し、更に会社の実態に合わせて正確に費用分解することが求められる。固定費率と変動費率の計算方法(求め方)固定費率とは売上に占める固定費の構成比率のことで、変動費率とは売上に占める変動費の構成比率のことである。固定費と変動費の費用分解と同様、固定費率と変動費率の計算は、損益分岐点を求めるうえで不可欠な作業になる。固定費率と変動費率の計算式は下記の通りである。固定費率と変動費率の計算式固定費率=(固定費÷売上高)×100変動費率=(変動費÷売上高)×100固定費と変動費を正しく分別し、固定費率と変動費率を計算することが、正しい損益分岐点の把握に繋がる。損益分岐点が分かると、売上高の増減に応じた利益変化の予測や利益改善目標に応じたコスト削減値等の分析を容易に行うことができる。伊藤のワンポイント固定費と変動費の費用分解、並びに、固定費率と変動費率の計算は会社の損益分岐点を計算する上で不可欠です。この計算精度が低いと、損益分岐点が曖昧になり、経営判断を誤るリスクが高まります。また、事業の損益構造が固定費偏重型か変動費偏重型かによって事業戦略が大きく変わるので、計算が不正確だと会社経営の失敗リスクが高まります。
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  • 運転資金の計算方法と適正水準(目安)|資金繰りに用いる経営指標
    運転資金の計算方法と適正水準(目安)|資金繰りに用いる経営指標運転資金とは、経営を行うにあたって必要な資金(現預金)のことだ。回転資金とも云われ、資金繰りの管理に用いる経営指標になる。運転資金が無くなると事業活動が機能不全に陥り会社が倒産するので、運転資金は極めて重要な経営指標になる。この記事では、運転資金の計算方法と適正水準(目安)、並びに、実践的な必要運転資金の計算方法について、詳しく解説する。運転資金とは?運転資金とは、事業活動を円滑に進めるための必要な資金(現預金)のことだ。会社経営は運転資金が無くなると同時に破綻するので、運転資金は資金繰りの管理に欠かせない極めて重要な指標になる。運転資金は安定経営の要といっても過言ではなく、例えば、日頃から運転資金の必要水準を把握し、余裕を持って必要な運転資金を確保する姿勢は、安定経営の絶対条件になる。また、必要運転資金の管理が盤石であれば、自然とコストコントロールがシビアになるので赤字経営に転落するリスクが低くなる。逆に、必要運転資金の管理が杜撰だと、コスト意識と利益意識が低下するので、企業の衰退リスクが高まる一方になる。運転資金の種類運転資金は、売上を作るための必要コストの支払いに充当する資金になるが、その種類は多岐にわたる。売上を作るために経常的に発生する運転資金に限らず、業績悪化時、或いは、急成長時に必要になる運転資金、成長投資の際の運転資など等、様々ある。主だった運転資金の種類を以下に紹介する。正常運転資金(経常運転資金)正常運転資金(経常運転資金)とは、経常的に発生するコストの支払い資金(原資)のことで、正常な事業活動を支える重要な運転資金になる。正常運転資金の対象は、商品の仕入れ、商品の製造原価(材料費・労務費・製造経費等)など等の売上原価、並びに、人件費、家賃、水道光熱費など等、経常的に支払いが発生する販売管理費が対象になる。増加運転資金増加運転資金とは、売上のプラス成長に伴い発生する増加コストの支払い資金(原資)のことで、売上増加に対応する仕入れコストや変動費コストが対象になる。増加運転資金の手当てが不十分だと資金繰りが悪化し、経営破たんのリスクが高まるので、重要な資金になる。減少運転資金減少運転資金とは、売上のマイナス成長に伴い発生する資金補填のことで、収入減に伴い困窮する仕入れコストや変動費コストの支払い補填が対象になる。赤字補填の運転資金と同様、手当が遅れると資金繰りが悪化し、経営破たんのリスクが高まる。スポット運転資金スポット運転資金とは、一過性のコストの支払い資金(原資)のことで、企業の成長投資を支える重要な運転資金になる。スポット運転資金の対象は、設備投資、大規模修繕、大規模保守保全、開発投資、新規事業投資など等の成長投資が対象になる。運転資金が不足するとどうなる?運転資金が不足するとどうなるのか?運転資金が不足すると、商品の仕入れや支払いに支障がでて、事業活動が機能不全に陥る。また、必要な運転資金が枯渇気味になると経費の支払いも停滞するので、水道や電気がストップする、事務所の立ち退きを請求される、など等、事業活動に支障をきたす不都合が沢山でてくる。当然ながら、不足した運転資金の補填(金融機関からの借入・自己資本の投入等)を速やかに実行しないと、経営破たんのリスクが高まる一方になり、最悪、会社が倒産することになる。運転資金の計算方法と適正水準運転資金の計算方法と適正水準について解説する。運転資金は、売掛金や受取手形等の売上債権に棚卸資産を加算し、買掛金や支払手形等の仕入債務を引くことで計算できる。簡単に言うと、売上を作るための資産(売上債権+棚卸資産)を回転させるための総コストが運転資金になる。運転資金が回転資金と云われる所以はココにある。運転資金の計算方法運転資金=〔売上債権(売掛金+受取手形等)+棚卸資産〕-仕入債務(買掛金+支払手形等)運転資金の適正水準運転資金<現預金残高以上が、一般的な運転資金の計算式と適正水準になるが、売上と仕入の債権債務をベースに計算するので、不良性の売上債権や棚卸資産が混入すると計算結果が不正確になることがある。また、貸借対照表の残高金額から計算するため、現時点(過去)における運転資金の必要金額しか計算できない。こうした問題を解消するために、不良性資産を除外し、更に、売上成長率を加味すると、運転資金の計算精度が上がる。成長率を加味するだけで増加運転資金の計算も可能になる。平均月商を用いた運転資金の計算方法平均月商を用いた運転資金の計算方法について解説する。前章で解説した運転資金の計算方法は、貸借対照表の残高が基準になるので、季節変動や特需等で残高が大きく増減すると、運転資金の計算結果も大きく増減し、整合性のない計算結果を招く場合がある。そこで、運転資金の計算に用いる指標(売上債権・仕入債務)を平均月商で計算する方法がある。それぞれの計算式を以下に紹介する。売上債権の計算式売掛金=平均月商×平均売掛回収日数受取手形=平均月商×売上原価率×手形回収率×受取手形サイト棚卸資産=平均月商×売上原価率×商品在庫期間仕入債務の計算式買掛金=平均月商×売上原価率×平均買掛サイト支払手形=平均月商×売上原価率×手形支払率×手形支払サイト実践的な必要運転資金の計算方法実践的な必要運転資金の計算方法について解説する。前章まで一般的な運転資金の計算式と適正水準を解説してきたが、現時点(過去)における運転資金、不良性資産が混入すると不正確な計算結果が出る、売上債権や仕入債務が発生しない会社の運転資金の計算ができない、など等、実践的な必要運転資金が計算できないデメリットがある。そこで、より実践的で、実際の会社経営に必要な運転資金が計算できる方法を紹介する。計算はシンプルで、単純に売上から、現金流出のない「減価償却費」と「経常利益(内部留保)」を引く方法で求める。実践的な必要運転資金の計算方法必要運転資金=売上-(減価償却費+経常利益)※月商に波がある場合は、過去12か月間の平均月商で計算する(減価償却費、経常利益含む)例えば、月商1億円・減価償却費0.1億円・経常利益0.1億円であれば「1億円-(0.1億円+0.1億円)=必要運転資金0.8億円」となる。この計算で求めた必要運転資金が、外部に流失する現預金、つまり実質的な運転資金になる。普通の会社は、売上入金や支払いサイトが一定なので、概ね、この計算で必要運転資金の実態が把握できる。実践的な運転資金の適正水準実践的な必要運転資金の適正水準について解説する。中小企業の必要運転資金の適正水準は、現金商売や掛売り商売など、業種業態によって多少前後するが概ね下記の通りになる。優良水準【必要運転資金×3倍以上】必要運転資金の計算結果の3倍以上の現預金があれば優良水準といえる。成長投資に回す余剰資金や、経営悪化に備える余剰資金も十分に貯蓄することができる。標準水準【必要運転資金×2倍以上】必要運転資金の計算結果の2倍以上の現預金があれば標準水準といえる。この水準の運転資金をキープしていれば、資金繰りに窮することはない。但し、成長投資に回す余剰資金や、経営悪化に備える余剰資金の貯蓄は余裕を持ってできない。危険水準【必要運転資金×1.5倍以下】必要運転資金の計算結果の1.5倍以下の現預金残高は危険水準になる。運転資金が枯渇気味で、その月の支払いが終わると、手元には月商の半分も残高が残っていない状況になる。この危険水準で経営を続けると自転車操業に陥るリスクが高まり、万が一、自転車操業に陥ると資金繰りに窮して、最悪、倒産することもあり得る。余剰資金はどのくらいあれば良いのか?会社経営を長く続けていると必ず逆境がやってくる。当然ながら、逆境がやってきた時に、手元に十分な余剰資金が無ければ、運転資金がすぐに枯渇してしまい、経営が破たんする。中小企業は資金の調達方法に限りがあるので、出来れば、自前で一定の余剰資金を貯蓄しておいた方が安全だ。それでは一体、どの程度の余剰資金があれば逆境を乗り越えることができるか?中小企業の余剰資金の計算方法は色々なアプローチがあるが、売上が20%ダウンしても1年間は持ち堪えることのできる水準が安全ラインである。計算式は、「年商×売上総利益率×20%=適正な余剰資金」で求めることができる。例えば、年商が5億円で売上総利益率が50%であれば、5億×50%×20%=5千万円が適正な余剰資金になる。事業活動に必要な運転資金に加えて、逆境に備えた余剰資金が手元にあれば、経営が大きく傾くリスクは限りなく小さくなる。なぜなら、急激な経済変動や不慮の事故など等、よほどのことがない限りは、売上が20%も減少することはないからだ。売上が20%落ちても1年間経営が続けられる余剰資金が手元にあれば、様々な逆境に打ち克つ経営が実践できる。例えば、売上が激減したとしても、1年間の運転資金(余剰資金含め)が手元にあれば、経営改革を断行し、経営を正常化させることができる。資金調達手段が限られている中小企業は、逆境に陥ってから1年分の運転資金を確保するが難しい。逆境に陥る前に1年分の運転資金を確保しておくことが大切になる。伊藤のワンポイント運転資金に無頓着な会社は高い確率で経営に失敗します。また、運転資金の管理と共に、現金回収の管理を厳格に行うことも忘れないでください。現金回収の意識が低下すると、必ず、資金繰りが悪化します。最悪、黒字倒産という結末もありますので、十分に注意してください。
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  • 流動比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    流動比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標流動比率とは、会社の支払能力を示す経営指標のことである。流動比率は、1年以内に現金化される流動資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。流動資産よりも流動負債が下回っていれば支払能力が高く、流動資産よりも流動負債が上回っていれば支払能力が低いと判断できる。この記事では、流動比率の計算式と適正水準(目安)について詳しく解説する。流動比率の計算式流動比率の計算式は下記の通りである。流動比率の計算式流動比率=(流動資産÷流動負債)×100下図は貸借対照表の「流動資産」と「流動負債」を示したものである。青枠が「流動資産」、赤枠が「流動負債」で、流動比率は、1年以内に現金化される流動資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。流動資産よりも流動負債が下回っていれば支払能力が高く、流動資産よりも流動負債が上回っていれば支払能力が低いと判断できる。流動資産の計算例流動資産の計算例を紹介する。例えば、流動資産が150万円で、流動負債が100万円であれば、流動比率は、(150万円÷100万円)×100=150%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して150%の流動資産が手元にあるので、支払能力に余裕があることが分かる。金額を逆にして、流動資産が100万円で、流動負債が150万円であれば、流動比率は、(100万円÷150万円)×100=66.67%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して66.67%の流動資産しか手元にないので、支払能力に問題があることが分かる。このように、流動比率は会社の支払能力を簡易判定する際に活用できる。流動比率の適正水準(目安)中小企業の流動比率の適正水準(目安)は下記の通りである。流動比率の適正水準(目安)150%以上流動比率が150%以上であれば優良水準である。120%~149%流動比率が120%~149%の範囲であれば安全水準である。100%~119%流動比率が100%~119%の範囲であれば改善の余地がある。99%以下流動比率が99%以下であれば、危険水準である。一般的に、流動比率が99%以下だと、資金繰りに影響が出始める。また、外部からの会社の心証が悪くなる。例えば、銀行融資や助成金の交渉に影響が出る場合がある。流動比率は会社の支払能力を示す経営指標のひとつだが、流動資産の中には棚卸在庫等、換金性の低い資産が含まれているので、支払能力の安全性を十分に示せない一面がある。流動比率は当座比率と比べると、支払能力を示す絶対的な経営指標とはいえないので、会社の状況に応じて、参考指標として運用することをお薦めする。伊藤のワンポイント流動比率は会社の支払能力を示す経営指標ですが、経営者が重要視すべきなのは、次ページで解説している「当座比率」です。流動比率のように、経営状況を診断するうえで意外と使えない指標は少なくありません。何事もそうですが、学術理論に流されすぎると、本質を見失いますので注意してください。
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  • 当座比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    当座比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標当座比率とは、会社の支払能力を示す経営指標のひとつである。当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。当座資産よりも流動負債が大きく下回っていれば支払能力が高く、当座資産よりも流動負債が大きく上回っていれば支払能力が低いと判断できる。この記事では、当座比率の計算式と適正水準(目安)について、詳しく解説する。当座比率の計算式当座比率の計算式は下記の通りである。当座比率の計算式当座比率=(当座資産÷流動負債)×100下図は貸借対照表の「当座資産」と「流動負債」を示したものである。青枠が「当座資産」、赤枠が「流動負債」で、当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。当座資産よりも流動負債が大きく下回っていれば支払能力が高く、当座資産よりも流動負債が大きく上回っていれば支払能力が低いと判断できる。当座資産とは?当座資産とは、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の資産のことだ。従って、当座比率の計算に用いる当座資産には、換金性の低い棚卸資産や仕掛品などは含まれない。当座資産の詳しい分類は、下表の通りである。流動資産の項目流動資産当座資産現金・預金○○売掛金○○受取手形○○有価証券○○棚卸資産○×仕掛品○×その他の流動資産○×当座比率の計算例当座比率の計算例を紹介する例えば、当座資産が120万円で、流動負債が100万円であれば、当座比率は、(120万円÷100万円)×100=120%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して120%の当座資産が手元にあるので、支払能力に余裕があることが分かる。金額を逆にして、当座資産が100万円で、流動負債が120万円であれば、当座比率は、(100万円÷120万円)×100=83.33%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して83.33%の当座資産しか手元にないので、支払能力に余裕がないことが分かる。このように、当座比率は会社の支払能力を判定する際に有効活用できる。当座比率の適正水準(目安)中小企業の当座比率の適正水準(目安)は下記の通りである。当座比率の適正水準(目安)120%以上当座比率が120%以上であれば優良水準である。90%~119%当座比率が90%~119%の範囲であれば安全水準である。70%~89%当座比率が70%~89%の範囲であれば改善の余地がある。69%以下当座比率が69%以下であれば、危険水準である。一般的に、当座比率が69%以下だと、資金繰りに影響が出始める。また、外部からの会社の心証が悪くなる。例えば、銀行融資や助成金の交渉に影響が出る場合がある。当座比率を会社経営に活かすポイント当座比率は会社の支払能力の判定に活用できる実用性の高い経営指標である。支払能力の安全性を示す点においては、流動比率より当座比率の方が格段に正確である。業種業態によって適正指標に幅があるが、中小企業の支払能力を計る経営指標としては大いに活用できる。経営指標のなかには、当座比率のように幅広い業種業態に有効活用できる指標がある一方で、流動比率のように特定の業種業態にしか有効活用できない指標がある。当然ながら、数多に存在する経営指標の中から、自分の会社に有効活用できる経営指標を選別する能力に劣っていると、数字に振り回される結果を招きかねない。「数字に強い社長」と「数字に弱い社長」の差は、このような部分にも表れてくる。なお、当座比率を上げるには次のポイントを意識した経営を行うことが大切だ。☑資金繰りを改善する☑営業利益率を高める☑キャッシュフローを重視する何れも経営者の意識ひとつで容易に改善できる。伊藤のワンポイント当座比率は換金性の高い流動資産とすべての流動負債を元に計算する指標です。会社は、お金が無くなると倒産するので、支払能力を正確に表す当座比率は、超重要指標といって過言ではありません。資金繰りやキャッシュフローの改善を助ける基準指標にもなり得るので、日常的に活用してください。
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  • 売上債権回転日数(期間)の計算式と適正水準(目安)|資金効率を計る経営指標
    売上債権回転日数(期間)の計算式と適正水準(目安)|資金効率を計る経営指標売上債権回転日数(期間)とは資金効率を計る経営指標の一つである。売上債権回転日数(期間)は良好な資金繰りの実現に欠かせない重要な経営指標といえる。この記事では、売上債権回転日数の計算式(求め方)と適正水準(目安)について、詳しく解説する。売上債権回転日数(期間)とは?売上債権回転日数とは、商品販売に伴い発生した売上債権が現金化(回収)されるまでの日数のことで、会社の資金効率を計る経営指標の一つである。売上債権とは、売上の対価として受け取る現金以外の売掛金と受取手形のことで、売上債権残高を日商売上で割ることで、売上債権回転日数の計算ができる。売上債権回転日数のことを、売上債権回転率や売上債権回転期間とも云い、日商ではなく月商で計算する売上債権回転月数という指標もある。売上債権回転日数が分かると、現金化までの日数が明らかになるので、資金効率の良し悪しが分かる。また、売上債権回転日数が短いほど現金化が早く、売上債権回転日数が長いほど現金化が遅い、ということが分かるので、キャッシュフロー重視の経営、或いは、資金繰りを改善する際の目標指標としても活用することができる。売上債権回転日数の計算式(求め方)売上債権回転日数の計算式(求め方)は下記の通りである。売上債権回転日数の計算式(求め方)売上債権回転日数=(売上債権:売掛金+受取手形)〕÷(日商:年商÷363日)例えば、現金商売の場合は、売上債権が発生しないので、売上債権0円÷日商〇〇=売上債権回転日数0日となり、売上が即日現金化されていることが分かる。売上債権の期末残高が1億円で、日商が0.1億円の場合は、売上債権1億円÷日商0.1億円=売上債権回転日数10日間となる。売上債権の期末残高が2億円で、日商が0.1億円の場合は、売上債権2億円÷日商0.1億円=売上債権回転日数20日間となる。売上債権回転日数の適正水準(目安)売上債権回転日数の適正水準(目安)は、30日以下が標準になる。売上債権回転日数が標準にない場合は、資本効率が悪く、資金繰りに支障が出る可能性が高いので、売上債権の回収を早める努力をした方が良いだろう。なお、売上債権回転日数は、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が長くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。従って、上記適正水準に合致しない場合は、売上債権回転日数の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。定点観測の結果、売上債権回転日数が悪化しているようなら、現金化の回収スピードが悪化している可能性が高いといえる。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである売上債権回転日数を会社経営に活かすポイント売上債権回転率は良好な資金繰りを実現するうえで欠かせない経営指標だ。会社の資金繰りは、売上債権の回収で決まるといっても過言ではないからだ。資金繰りは会社経営の生命線であり、資金繰りが行き詰まると、大概の会社はあっという間に倒産する。資金繰りを悪化させないためには、日頃から売上債権回転日数をモニタリングし、現金回収のスピードを短縮する努力が欠かせないので、くれぐれも注意してほしい。伊藤のワンポイント売上は現金を回収して初めて成立しますが、ここがおざなりになると、資金繰りが悪化し、会社が衰退します。ですから、売上債権回転日数は経営者だけでなく営業担当全員が意識すべき指標です。この意識が強まると、キャッシュフロー重視の経営が組織に定着して、儲かる経営基盤が整いやすくなります。
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  • 仕入債務回転率(日数)の計算式と適正水準(目安)|支払効率を計る経営指標
    仕入債務回転率(日数)の計算式と適正水準(目安)|支払効率を計る経営指標仕入債務回転率(日数)とは、支払効率を計る経営指標の一つである。仕入債務回転率(日数)が売上債権回転率(日数)を上回るとキャッシュフローが悪化するので、良好な資金繰りの実現に欠かせない重要な経営指標といえる。この記事では、仕入債務回転率、及び、仕入債務回転日数(期間)の計算式(求め方)と適正水準(目安)について、詳しく解説する。仕入債務回転率とは?仕入債務回転率とは、仕入債務に占める売上原価の構成比率のことで、支払効率を計る経営指標の一つである。仕入債務とは、仕入れの対価として支払う現金以外の買掛金と支払手形のことで、仕入債務に占める売上原価(仕入の総原価)の構成比率を求めることで仕入債務回転率の計算ができる。仕入債務回転率が分かると、仕入費用の支払い率が明らかになるので、支払効率の良し悪しが分かる。また、仕入債務回転率が高いほど仕入債務の支払いが早く、仕入債務回転率が低いほど仕入債務の支払いが遅い、ということが分かるので、資金繰りを改善する目標指標として活用することができる。仕入債務回転率の計算式(求め方)仕入債務回転率の計算式(求め方)は下記の通りである。仕入債務回転率の計算式(求め方)仕入債務回転率=(売上原価÷仕入債務)×100例えば、売り買い共に現金商売の場合は、仕入債務が発生しないので、(売上原価〇〇円÷仕入債務0円)×100=仕入債務回転率は計算不能になる。売上原価が1億円で、仕入債務の期末残高が0.1億円の場合は、(売上原価1億円÷仕入債務0.1億円)×100=仕入債務回転率1,000%となる。売上原価が1億円で、仕入債務の期末残高が0.2億円の場合は、(売上原価1億円÷仕入債務0.2億円)×100=仕入債務回転率500%となる。仕入債務回転率の適正水準(目安)仕入債務回転率の適正水準(目安)は、1,200%以上が標準である。仕入債務回転率が標準にない場合は、支払効率が悪く、支払条件の悪化や支払遅延のリスクが高まっている可能性が高いので、注意した方が良いだろう。なお、仕入債務回転率は、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が低くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。従って、上記適正水準に合致しない場合は、仕入債務回転率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。定点観測の結果、仕入債務回転率が悪化しているようなら、支払効率が悪化している可能性が高いといえる。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである仕入債務回転日数(期間)とは?仕入債務回転率と同じ用途で活用できる仕入債務回転日数(期間)という経営指標がある。仕入債務回転日数(期間)とは、仕入に伴い発生した仕入債務が支払われるまでの日数のことで、仕入債務回転率と同様の役割りを持つ経営指標である。仕入債務回転日数のメリットは、売上債権回転日数と共に運用すると、キャッシュフロー重視の経営を実現しやすくなる点にある。例えば、売上債権回転日数を下回らないように仕入債務回転日数をコントロールすることができれば、資金繰りが悪化することはなく、常に、プラスのキャッシュフローが維持することができる。【関連記事】売上債権回転日数の計算式と適正水準仕入債務回転日数(期間)の計算式と目安仕入債務回転日数(期間)の計算式(求め方)は下記の通りである。仕入債務回転日数(期間)の計算式(求め方)仕入債務回転日数=(仕入債務:買掛金+支払手形)÷(売上原価÷365日)例えば、仕入債務の期末残高が0.1億円で、売上原価が1億円の場合は、仕入債務0.1億円÷(売上原価1億円÷365日)≒仕入債務回転日数36日となる。仕入債務回転日数の適正水準(目安)は40日以下が標準である。仕入債務回転日数が標準にない場合は、支払効率が悪く、支払条件の悪化や支払遅延のリスクが高まっている可能性が高いので、注意した方が良いだろう。なお、仕入回転日数は、仕入債務回転率同様、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が長くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。従って、上記適正水準に合致しない場合は、仕入債務回転日数の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。伊藤のワンポイント仕入債務回転日数は、支払いの気前の良さを表すバロメーターです。取引先にとっては短いほど喜ばれますが、売上債権回転日数を下回らないように注意しなければキャッシュフローが悪化し、最悪、黒字倒産という残念な結果を招くこともあり得ます。短期過ぎても長期過ぎても都合悪いのが、この指標の特徴です。
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  • 借入限度額の計算方法と適正水準(目安)|法人の借入危険度を計る経営指標
    借入限度額の計算方法と適正水準(目安)|法人の借入危険度を計る経営指標借入限度額とは、借入をする際に金融機関等から設定される、或いは、借金過多を防衛するために自己設定する借入金の限度額のことである。金融機関から設定される借入限度額の計算方法は、定形計算式で決まるビジネスローンや事業ローンと非定形計算式で決まる法人融資の二種類ある。借入金を調達する側の会社が借金過多を防衛するために自己設定する借入限度額の計算方法は、月商倍率で計算する方法が一般的だ。この記事では、借入金を調達する側の会社が借金過多を防衛するために自己設定する借入限度額の計算方法と借入限度額の適正水準について、詳しく解説する。借入限度額は借入危険度を計る経営指標借入限度額は、借金過多の防衛に役立つ重要な経営指標になる。自分の会社に適した借入限度額が分かると、返済計画の破綻リスクや借金過多による返済苦のリスクを減らせるので、自己防衛のために積極的に有効活用したい経営指標である。例えば、上場企業に比べて資金の調達方法に限りのある中小企業にとって、最も一般的な資金調達方法は銀行借入になる。銀行借入は中小企業の成長を後押しするメリットがある一方で、借入金の返済が会社の支払余力を超えた途端に返済苦に陥るリスクがあり、場合によっては、資金繰り難から経営が傾くこともある。借入金で経営に失敗しないためには、自己防衛のために、事前に会社の借入限度額を設定し、その範囲内で借入金をコントロールする姿勢が大切になる。借入限度額の計算方法(月商倍率)借入限度額を月商倍率で計算する方法について、解説する。借入限度額を月商倍率で計算する場合は、業種業態によって範囲が広がるが、大よそ月商の1~5ヵ月が目安といわれている。借入限度額の計算式(月商倍率)月商倍率の借入限度額計算式=(年商÷12ヵ月)×1~5ヵ月次の金額は、わたしが過去に会社再建で調査に入った年商50億円程度の中小企業の借入金の残高である。A社:8億円B社:10億円C社:12億円月商倍率で借入限度額を計算すると、(50億円÷12ヵ月)×1~5ヵ月=4億円~20億円となる。A社、B社、C社、何れも適正な借入限度額の範囲内に収まっているので、借入金の残高に問題なし、ということになる。借入限度額を誤ると倒産リスクが高まる!!借入限度額を月商倍率で計算する場合、ひとつ注意点がある。それは、銀行借入は必ず返済しなければならないということだ。借入金を返済するには、借入金の返済原資となる利益を出すために黒字経営を継続しなければならない。もし万が一、赤字経営に転落するとどうなるだろうか?言うまでもなく、借入金の返済原資である利益がなくなるので、たちまち返済が滞ってしまう...。前章で解説した借入限度額を月商倍率で計算した結果、問題なしと判定した3社は、実は何れも赤字経営の会社だった。次の金額は、年間赤字金額の実態である。A社:経常利益▲8千万円B社:経常利益▲7千万円C社:経常利益▲2千万円借入限度額を月商倍率で計算すると「適正判定」という結果が出たが、経常利益が赤字であれば、返済原資がないので、借入金の返済に支障が出る。借入金の返済が滞ると、場合によっては債務不履行で会社が倒産することもある。このように、月商倍率で借入限度額を計算すると、返済能力の実態を見誤り、銀行借入がきっかけで会社の衰退リスクが飛躍的に高まることがある。借入限度額の計算方法(収益ベース)月商倍率で借入限度額を計算すると、返済能力の実態を見誤り、借入限度額の判断を誤る。従って、借入限度額は、返済能力の確実性と安全性が高い収益ベース、つまり、会社の経常利益をベースに計算する方法がお薦めだ。借入限度額の計算式(収益ベース)借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=「借入限度額2,500万円~5,000万円」ということになる。(減価償却費がある場合はその金額を借入限度額に加算する)”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、或いは、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。年商に関係なく、会社の収益性から借入限度額を計算するので、返済能力の安全性が担保された借入限度額が分かる。この方法で借入限度額を計算すると、借金過多に陥るリスク、或いは、借入金の返済苦に陥るリスクが殆どなくなる。借入限度額を見誤り、多額の借入金を抱えてしまい、返済に苦しんでいる中小企業は少なくない。もしも、既に借入限度額を超過している中小企業は、なるべく追加の銀行借入を行わずに、経営健全化を推進することをお薦めする。借入限度額を会社経営に活かすポイント稀に「銀行借入=悪い経営」という論調を見かけるが、銀行借入中心に資金調達を行い会社を成長発展させることは決して悪いことではない。例えば、銀行借入を積極活用した方が資金効率と投資効率が高まるので、会社の成長スピードは間違いなく加速する。ただし、銀行からの借入限度額を見誤ると、借入がきっかけで会社が衰退することがあるので注意しなければならない。お金を借りることは、同時に、お金を返すことでもある。そして、借入返済の原資は会社の売上(収入)ではなく、利益(収益)になる。借入金を元手にした成長投資が売上と利益を押し上げれば問題ないが、期待に反して売上と利益が増えないことは珍しいことではない。借入の失敗リスクを抑えるには、借入限度額を、常に経常利益ベースで計算し、なお且つ、借入限度額を絶えずモニタリングすることが大切だ。然るべき借入限度額をモニタリングしていれば、次のような借入コントロールが容易にできる。☑経常利益が増加したら借入枠を拡大して成長投資を拡大する☑経常利益が縮小したら借入を停止して利益拡大の経営改革を断行する常に経常利益を基準に借入限度額を判定している限り、借入で失敗することも、返済に苦しむこともないのだ。伊藤のワンポイント借入限度額の見誤りから返済苦に苦しむ中小企業は少なくありません。返済の失敗リスクを小さくするには、利益ベースで借入限度額を計算することと、常に一定の利益水準をキープすることです。資金調達の手段に限りのある中小企業は借入限度額をシビアに管理しないと、借入投資の小さな失敗がきっかけで、会社が衰退します。
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  • 債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準|借入・融資適性を計る経営指標
    債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準|借入・融資適性を計る経営指標債務償還年数と預貸率は、銀行融資を左右する指標だ。なぜなら、何れも銀行が融資先企業を格付分析する際に用いる指標だからだ。債務償還年数は返済能力を示し、預貸率は返済余力を示すので、融資先企業の債務償還年数と預貸率が分かると、自ずと、融資限度額や金利等の融資条件が決まる。従って、銀行から有利な融資条件を引き出すには、適正な債務償還年数と預貸率をキープすることが大切になる。この記事では、債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準について、詳しく解説する。債務償還年数と預貸率悪化の弊害は?債務償還年数と預貸率が悪化すると、融資枠を縮小される、或いは、追加融資を断られる、など等の状況に陥ることが往々にしてあり得る。或いは、債務償還年数と預貸率を把握せずに銀行融資を続けた結果、いつしか返済苦に陥ることも往々にしてあり得る。資金調達手段が限られている中小企業にとって、銀行融資ほど身近なものはない。また、運転資金や成長投資の原資を銀行融資で賄うケースも一般的である。銀行融資に失敗しないためには、融資審査を行う銀行側が重視している債務償還年数と預貸率の把握が欠かせない。債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準について、それぞれ順を追って、さらに詳しく解説する。債務償還年数の計算式と適正水準債務償還年数とは会社の返済能力を示す経営指標である。債務とは文字通り、返済すべき借金のことで、すべての短期借入金と長期借入金を合計することで計算できる。償還年数とは、債務の完済に要する年数で、債務を会社が生み出す年間キャッシュフローで割ることで計算できる。債務償還年数の計算式は下記の通りである。年間キャッシュフロー=(経常利益×50%)+減価償却費債務償還年数=債務÷年間キャッシュフロー例えば、債務が5千万円で、年間キャッシュフローが1千万円であれば、5千万円÷1千万円で、債務償還年数は5年となる。債務償還年数の適正水準は5年以内で、一般的に債務償還年数が10年を超えると銀行の融資条件が厳しくなる。預貸率の計算式と適正水準預貸率とは会社の返済余力を示す経営指標である。預貸率は、銀行が預かっている預金と、貸し出してる融資金の割合で計算される。貸し出している融資金より、預かっている預金が多ければ、預貸率が高くなり、銀行側の安心度が高まる。逆に、貸し出している融資金より、預かっている預金が少なければ、預貸率が低くなり、銀行側の不安感が高まる。つまり、預貸率は、企業の心証を決定付ける指標でもあるのだ。預貸率の計算式は下記の通りである。預貸率=預金÷借入金例えば、預金が1億円あり、借入金が8千万円あった場合の預貸率は、1億÷8千万円で、預貸率125%となる。預貸率の適正水準は100%以上で、一般的に100%を下回ると銀行の融資条件が厳しくなる。ちなみに、借入金があっても実質無借金経営と云われる会社は、運転資金を差し引いた預貸率が100%を上回っている会社である。実質無借金経営は、返済しようと思えばいつでも返済できる経営状態なので、金利の払い損と思う経営者もいるかも知れないが、適度な借入枠を常に確保することができるので、実質無借金経営であっても多少の借入はしておいた方が得策だ。伊藤のワンポイント債務償還年数と預貸率、重要なのは債務償還年数です。債務償還年数が適正水準から外れると、早晩、資金繰りが厳しくなりますので、適正水準内に収まるように融資をコントロール、或いは、返済計画を考えなければなりません。債務償還年数の管理が杜撰になると、必ず借金で失敗します。
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  • 負債比率(有利子負債比率)の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    負債比率(有利子負債比率)の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標負債比率とは、会社の返済余力や安全性を表す経営指標のことだ。負債比率は、「自己資本(純資産=自分のお金)」と「他人資本(負債=他人のお金)」、ふたつの指標を用いて計算する。この記事では、負債比率の計算式から計算上の注意点、及び、負債比率の適正水準(目安)、並びに、有利子負債比率の計算式と目安に至るまで、詳しく解説する。負債比率とは負債比率とは、会社の返済余力や安全性を表す経営指標のことで、自己資本(純資産=自分のお金)と他人資本(負債=他人のお金)の二つの指標を用いて計算する。自己資本とは、自身で調達した資金(資本)のことである。自身で調達した資金(資本)なので、返済義務がない。一方、他人資本とは、他人から調達した資金(資本)のことである。他人から調達した資金(資本)なので、返済義務がある。他人資本は、返済義務が生じる負の債務なので「負債」といい、負債をさらに細分化すると、1年以内に支払期限が到来する「流動負債」と、1年以後に支払期限が到来する「固定負債」に分別される。負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標なので、負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができる。なお、負債と自己資本の関係性を明確にする負債比率は、財務分析用語で、DEレシオ、レバレッジ比率、ギアリング比率とも呼ばれている。負債比率の計算式(求め方)負債比率の計算式(求め方)は下記の通りである。負債比率の計算式(求め方)負債比率=(負債÷自己資本)×100下図は、貸借対照表の負債と自己資本を示したものである。青枠が「負債(他人資本)」、赤枠が「自己資本」で、負債比率は、負債と自己資本の二つの数字を用いて計算する。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができる。負債比率の計算例負債比率の計算例を紹介する。例えば、負債(他人資本)が1億円で、自己資本が2億円だった場合、負債比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、負債(他人資本)が2億円で、自己資本が1億円だった場合の負債比率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。先に述べた通り、負債比率は、返済余力を表す経営指標である。従って、負債比率が小さければ返済余力が高く会社の安全性が高い。逆に、負債比率が大きければ返済余力が低く会社の安全性が低い、ということが分かる。負債比率を計算するうえでの注意点負債比率は会社の返済余力や安全性を示す経営指標だが、中小企業の場合、計算するうえでの注意点がある。それは、返済義務のない負債を除く、ということだ。例えば、中小企業にありがちな返済期限のない代表者や身内に対する未払金や債権放棄や塩漬けが容認されている役員や身内からの借入金などの負債は、除いた方が良い。返済期限がない、或いは、返済義務のない負債を除いたうえで負債比率を計算すると、負債比率の実態がより正確に分かる。特に、金融機関からの借り入れを検討する場合は、返済義務等のない負債を除いた負債比率をベースに交渉した方が有利になるので留意してほしい。負債比率の適正水準(目安)負債比率の適正水準(目安)は下記の通りである。負債比率の適正水準(目安)100%以下負債比率が100%以下であれば優良水準である。自己資本で全ての負債を返済できるので、返済余力に問題はない。101%~300%負債比率が101%~300%の範囲内であれば標準水準である。無理のない返済計画であれば返済余力に問題はない。301%~600%負債比率が301%~600%の範囲内であれば要改善である。直ちに返済に支障はでないが、なるべく300%以下に収まるように改善した方が良いだろう。601~900%以下負債比率が601%~900%の範囲内であれば早急な改善が必要である。返済に支障が出る前に600%以下に収まるように改善した方が良いだろう。901%以上負債比率が901%以上の場合は、資本欠損の可能性がある。返済義務のある他人資本(負債)に充当する自己資本(資金)が枯渇気味の状態なので、待ったなしで経営改善を行う必要がある。負債>自己資本がマイナス自己資本がマイナスに陥り計算不能になった場合は債務超過である。返済義務のある他人資本(負債)に充当する自己資本(資金)がゼロ以下の状態なので、待ったなしで経営改善を行う必要がある。この状態を放置しておくと何れ会社は倒産する。負債比率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態で適正水準に差が生じるので、上記適正水準に合致しない場合は、負債比率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである有利子負債比率とは?有利子負債比率とは、利息を付けて返済しなければならない負債(主に金融機関からの短期借入金や長期借入金等)と自己資本のバランスを示す経営指標のことである。有利子負債比率の計算対象になる有利子負債は、利息を付けて返済しなければならない負債に限定されるので、利息が生じない買掛金や未払金等の負債は有利子負債に含まれない。多くの中小企業において、有利子負債比率は、純粋に金融機関からの借金の返済能力を示す経営指標といえる。有利子負債比率も負債比率同様、定期的にモニタリングしたい経営指標だ。有利子負債比率の計算式と適正水準(目安)有利子負債比率の計算式は下記の通りである。有利子負債比率の計算式有利子負債比率=(有利子負債÷自己資本)×100例えば、有利子負債が1億円で、自己資本が2億円だった場合、有利子負債比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、有利子負債が2億円で、自己資本が1億円だった場合の有利子負債比率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。なお、有利子負債比率の適正水準(目安)は、負債比率の適正水準とは異なり、中小企業の場合は、有利子負債比率100%以下が標準である。有利子負債比率が100%超だと、自己資本で有利子負債の返済ができない状態を表すので、利益水準が低かったり赤字経営だと、追加融資が受けられない可能性が高くなる。また、有利子負債が100%超だと下記のような経営状況に陥っている可能性が高いので、自己診断してみてほしい。☑金融機関からの借金が運転資金に消えている☑借金ベースの成長投資がうまくいっていない☑借金で導入した固定資産が収益を生み出していない負債比率(有利子負債比率)を経営に活かすポイント負債比率(有利子負債比率)は、返済能力を示す経営指標だが、標準水準以下であっても一概に返済能力が低いといえないケースもある。例えば、銀行借入を中心に資金調達を行い、業績拡大を推進している会社は一時的に負債比率(有利子負債比率)が悪化する。新規店舗、或いは新規事業を立ち上げる場合は、どうしても事業開始から一定期間は利益水準と共に負債比率(有利子負債比率)が悪化することがある。このように戦略的に事業拡大を推進した結果、負債比率(有利子負債比率)が悪化することは良くあることだ。但し、忘れてはいけないことは「負債は返済すべき資金である」ということである。例えば、杜撰な事業計画をもとに新規事業をスタートした結果、事業が失敗してしまい、多額の負債を抱えたまま会社が一気に傾いてしまうことがある。多角化で失敗する中小企業の多くは、このパターンで倒産の危機に瀕している。会社経営に失敗しないためには、負債比率(有利子負債比率)に加えて、利益水準、借入限度額、投資基準など等、安定経営に欠かせない経営指標を常時モニタリングし、万全な事業計画を運用することが大切だ。伊藤のワンポイント負債比率は貸借バランスの健全性を表す重要な指標ですが、中小企業においては、有利子負債比率の方が遥かに重要です。適正な有利子負債比率をキープしないと、利益水準が少し落ち込んだ途端に返済苦に陥るからです。事業拡大に有利子負債(借金)は不可欠ですが、借金で経営に失敗するケースはとても多いので、くれぐれも注意してください。
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  • 固定比率と固定長期適合率の計算式と適正水準(目安)|資産・投資効率を計る経営指標
    固定比率と固定長期適合率の計算式と適正水準(目安)|資産・投資効率を計る経営指標固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことだ。固定比率は、自己資本に対する固定資産の構成比率を求めることで計算することができるが、固定比率が分かると、購入資産の返済余力だけでなく、購入資産の投資効率も分かる。この記事では、固定比率の計算式と適正水準(目安)、並びに、固定長期適合率の計算式と目安に至るまで、詳しく解説する。固定比率と固定資産の関係性固定比率は、自己資本に対する固定資産の構成比率を求めることで計算できる。固定比率の計算対象となる固定資産は、長期間に亘って使用可能な資産のことであり、原則、収益を生み出すために購入された資産になる。固定資産には、収益を生み出し、会社の成長を加速する役目があり、土地・建物・機械設備等の有形固定資産と、営業権・特許権・商標権等の無形固定資産がある。この固定資産の購入方法は、会社によって様々な方針がある訳だが、例えば、会社の利益を積み立てて自己資金だけで購入する経営者もいれば、銀行融資等で他人から資金を借り入れて購入する経営者もいる。当然ながら、購入した固定資産が想定通りの収益を生み出していれば、自己資金でも他人の資金(借入金)でも、固定比率が悪化することはない。しかし、ひとたび、固定資産の収益が想定よりも下回ると、固定比率が悪化し、会社経営に支障が出る。例えば、自己資本の減少、資金返済の困窮、固定資産の不良資産化などは、固定比率の悪化と共に表れる最たる症状になる。固定比率を日頃から把握していると、資金計画の修正や投資効率の改善などの手を事前に打つことができるので、固定比率はしっかり運用したい経営指標のひとつだ。固定比率の計算式(求め方)固定比率の計算式(求め方)は下記の通りである。固定比率の計算式(求め方)固定比率=(固定資産÷自己資本)×100下図は貸借対照表の「固定資産」と「自己資本」を示したものである。青枠が「固定資産」、赤枠が「自己資本」で、固定資産は、自己資本に対する固定資産の構成比率を求めることで計算できる。固定比率は、購入資産の返済余力を計る経営指標としてだけでなく、購入資産の投資効率を計る経営指標としても活用できる。固定比率の計算例固定比率の計算例を紹介する。例えば、固定資産が1億円で、自己資本が2億円だった場合、固定比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、固定資産が2億円で、自己資本が1億円だった場合の固定比率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。先に述べた通り、固定比率は購入資産の返済余力を表す経営指標である。従って、固定比率が小さければ返済余力に余裕がある。逆に、固定比率が大きければ返済余力に余裕がないということが分かる。また、固定比率は、固定資産の投資効率を示す経営指標としても活用できる。つまり、固定比率が良好であれば投資効率も良好、固定比率が悪化しているようなら投資効率も悪化しているということが分かる。固定比率の適正水準(目安)中小企業の固定比率の適正水準(目安)は下記の通りである。中小企業の固定比率の適正水準(目安)100%以下固定比率が、100%以下であれば優良水準である。固定資産の購入資金が100%自己資金で賄われているので、万が一、設備投資が失敗(想定の収益が得られない等)しても影響が小さく済む。101%~120%固定比率が、101%~120%の範囲内であれば標準水準である。121%~150%固定比率が、121%~150%の範囲内であれば要改善である。151%以上固定比率が151%以上であれば、過剰投資の可能性がある。資金の返済計画を作成して、返済に支障がないか否か検証する必要がある。更に、過剰投資を継続し、万が一、投資に失敗した場合は、購入資金の返済が滞り会社経営が危機的状況に追い込まれる可能性がある。また、固定資産の中に収益を生み出していない遊休資産や不良性資産が含まれていないかの選別作業も行う必要がある。固定比率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態で適正水準に差が生じるので、上記適正水準に合致しない場合は、固定比率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。定点観測の結果、固定比率が悪化しているようなら、固定資産の不良化が進行している可能性が高いといえる。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである固定長期適合率とは?固定長期適合率とは、購入した固定資産が返済期限に余裕のある会社の長期資金(固定負債+自己資本)で、どの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。固定長期適合率は、長期資金に対する固定資産の構成比率を求めることで計算することができる。固定比率同様、購入資産の返済余力を計る経営指標としてだけでなく、購入資産の投資効率を計る経営指標としても活用できる。固定資産を購入する際に、金融機関等から外部調達した固定負債(長期借入金等)を購入資金に充てる場合は、固定比率と合わせて、固定長期適合率を併用すると、借入過多等の投資の失敗リスクを回避することができる。固定長期適合率の計算式と目安固定長期適合率の計算式(求め方)は下記の通りである。固定長期適合率の計算式(求め方)固定長期適合率=〔固定資産÷(固定負債+自己資本)〕×100例えば、固定資産が1億円で、固定負債と自己資本の合計が2億円だった場合、長期固定適合率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、固定資産が2億円で、固定負債と自己資本の合計が1億円だった場合の長期固定適合率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。なお、固定長期適合率の適正水準(目安)は、固定比率の適正水準とは異なり、中小企業の場合は、固定長期適合率100%以下が標準である。固定長期適合率が100%超だと、長期資金(固定負債+自己資本)だけで購入固定資産の返済ができない状態を表すので、利益水準が低かったり赤字経営だと、追加融資が受けられず、資金繰りに行き詰まる可能性が高くなる。また、固定長期適合率が100%超だと下記のような経営状況に陥っている可能性が高いので、自己診断してみてほしい。☑金融機関からの借金が運転資金に消えている☑借金ベースの固定資産の投資がうまくいっていない☑借金で導入した固定資産が想定の収益を生み出していない固定比率(固定長期適合率)を会社経営に活かすポイント固定比率(固定長期適合率)は、固定資産の返済能力と投資効率を示す経営指標だが、標準水準以下であっても一概に返済能力や投資効率が低いといえないケースもある。例えば、固定負債(長期借入金)を中心に固定資産の投資を推進している会社は、一時的に固定比率(固定長期適合率)が悪化する。新規店舗、或いは、新規設備投資は、どうしても事業開始から一定期間は利益水準と共に固定比率(固定長期適合率)が悪化することがある。このように戦略的に固定資産の投資を推進した結果、固定比率(固定長期適合率)が悪化することは良くあることだ。但し、忘れてはいけないことは「負債は返済すべき資金である」ということである。例えば、杜撰な計画をもとに固定資産の投資を推進した結果、投資が失敗してしまい、多額の負債を抱えたまま会社が一気に傾いてしまうことがある。固定資産の投資で失敗する中小企業の多くは、このパターンで倒産の危機に瀕している。会社経営に失敗しないためには、固定比率(固定長期適合率)に加えて、利益水準、借入限度額、投資基準など等、安定経営に欠かせない経営指標を常時モニタリングし、万全な事業計画を運用することが大切だ。伊藤のワンポイント資本集約型の会社は、固定比率(固定長期適合率)をしっかりモニタリングしてください。返済余力や投資効率の情報把握は安定経営に不可欠だからです。また、投資後に収益が悪化すると、投資の失敗リスクが高まるので、固定比率と共に営業利益率を把握することも忘れないでください。
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  • 自己資本比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    自己資本比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標自己資本比率とは、会社の資本力や経営の安全性を示す経営指標のことだ。自己資本比率は、資本力が小さく、資金調達の手段に限りのある中小企業ほど高める必要がある。この記事では、自己資本比率の計算式(求め方)から適正水準(目安)まで、詳しく解説する。自己資本比率とは?自己資本比率とは、会社の資本力や経営の安全性を示す経営指標のことで、経営分析や株式投資の現場で幅広く活用されている。自己資本比率は、「自己資本(純資産=自分のお金)」と「他人資本(負債=他人のお金)」、そして、「自己資本と他人資本の合計である総資本」の三つの指標を用いて計算する。自己資本とは、自身で調達した資金(資本)のことだ。自己資本は、自己出資や利益の積み立てなど、自身で調達した資金(資本)なので返済義務がない。一方の他人資本とは、他人から調達した資金(資本)のことだ。他人資本は、金融機関等からの借金など、他人から調達した資金(資本)なので、返済義務がある。この自己資本と他人資本の合計が総資本になり、総資本に占める自己資本の比率が大きいほど自己資本比率が高くなる。当然、自己資本比率が高いほど、経営の安全性は高いと言える。自己資本比率の計算構造自己資本比率は、会社の総資本(自己資本+他人資本の合計)に占める自己資本の構成比率のことだ。つまり、自己資本比率が分かると、会社の資本力や経営の安全性を簡単に把握することができる。下図は、自己資本比率の計算構図が分かる貸借対照表の構成図である。赤枠の部分が自己資本に相当する。そして、流動負債と固定負債の合計が他人資本で、この自己資本と他人資本の合計が、自己資本比率を求める際に使う総資本(他人資本と自己資本の合計)になる。自己資本比率の計算式(求め方)と自己資本比率の適正水準(目安)について、さらに詳しく解説する。自己資本比率の計算式(求め方)自己資本比率の計算式(求め方)は下記の通りである。自己資本比率の計算式(求め方)自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本(負債の部+資本の部の合計)〕×100例えば、総資本が2億円で自己資本が1億円の場合、自己資本比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。総資本が2億円で自己資本が0.2億円の場合は、自己資本比率が「(0.2億円÷2億円)×100」=10%になる。総資本が2億円で自己資本が△0.1億円の場合は、自己資本比率が「(△0.1億円÷2億円)×100」=△5%になる。ちなみに、自己資本比率の計算値がマイナスになる場合は、債務超過と言い、総資本よりも他人資本(負債)が多いことを表す。【関連記事】債務超過とは?自己資本比率の計算例と資本主義の原理自己資本比率の計算例を用いて資本主義の原理について、詳しく解説する。例えば、自己資金(資本)100万円で設立した会社があったとする。会社が設立されて商取引が開始されるまでの貸借対照表の構成は下表の通りになる。現金100万円自己資本100万円借方金額貸方金額この時点の自己資本比率は「(100万円÷100万円)×100=100%」になる。次に、商品を50万円、信用取引(買掛金=他人資本)で購入すると、貸借対照表の構成は下表の通りになる。現金50万円他人資本(買掛金)50万円商品50万円自己資本50万円借方金額貸方金額この時点の自己資本比率は「(50万円÷100万円)×100=50%」となる。最後に、商品を200万円で販売すると同時に買掛金50万円を支払うと、貸借対照表の構成は下表の通りとなる。現金200万円自己資本200万円借方金額貸方金額この時点の自己資本比率は「(200万円÷200万円)×100=100%」になる。最初の自己資本比率と同じ100%に戻ったが、自己資本の金額は100万円から200万円に増額している。この仕組みが、投じた自己資本が経済活動を通して価値を生み出し、さらに自己資本が大きくなる「資本主義」の原理になる。自己資本比率の適正水準(目安)中小企業の自己資本比率の適正水準(目安)は下記の通りである。自己資本比率の適正水準(目安)自己資本比率 50%以上自己資本比率が50%以上であれば、優良企業である。更に、70%を超えると殆ど無借金経営になり、超優良企業になる。自己資本比率 20%~49%自己資本比率が20~49%の範囲に収まっていれば、一般的な水準の会社である。40%以上であれば、倒産のリスクは殆どない。自己資本比率 10%~19%自己資本比率が10~19%の範囲であれば、資本力に乏しい状態である。直ちに経営が悪化する恐れはないが、20%以上の水準を目指して利益体質を改善した方が良いだろう。自己資本比率 9%以下自己資本比率が9%以下であれば、資本欠損の恐れがある。既に赤字経営に陥っているような場合は、早急に利益体質を改善し、会社の黒字化を最優先しなければならない。自己資本比率がマイナス自己資本比率がマイナスの場合は、債務超過である。債務超過とは、総資本よりも、返済義務のある他人資本の金額が上回っているということである。この場合は、待ったなしで会社再建の手を講じる必要がある。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、会社の足を引っ張る部分を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれてしまう。自己資本比率の業界平均自己資本比率の業界平均は各業界団体が発表しているが、自己資本比率の業界平均を知ったところで役立つことは何もない。なぜなら、自己資本比率の業界平均は、数少ないトップ企業の実績を、数多くの下位企業が足を引っ張る構図で計算されているからだ。業界平均を目指すことは無意味であり、業界平均を上回っていたとしても、経営の安全性が確約されるわけではない。自己資本比率の業界平均に振り回されることなく、前章で示した自己資本比率の適正水準(目安)に実績を照らし合わせて、自己資本比率を1%ずつでも改善する姿勢が確かな会社経営である。自己資本比率の高い企業と低い企業自己資本比率の高い企業の特徴と低い企業の特徴は、下記の通りである。自己資本比率の高い企業の特徴自己資本比率が高い企業は、買掛金や借金等の他人資本が少なく、自己資本の代表格である現預金と純資産が多い特徴がある。また、現金化のスピードが速いキャッシュフロー重視の経営を行っていて、資本効率の高い経営が実践されている傾向が強い。この他にも、利益水準が高い、在庫が少ない、設備の減価償却が速い、不良債権や不良資産が少ない、といった特徴も挙げられる。自己資本比率の低い企業の特徴自己資本比率が低い企業は、買掛金や借金等の他人資本が多く、自己資本の代表格である現預金と純資産が少ない特徴がある。また、現金化のスピードが速いキャッシュフロー重視の経営が定着しておらず、資本効率の悪い経営に陥っている傾向が強い。この他にも、利益水準が低い、在庫が多い、設備の減価償却が遅い、不良債権や不良資産が多い、といった特徴も挙げられる。自己資本比率を会社経営に活かすポイント自己資本比率は会社の資本力と経営の安全性を示す重要な経営指標だが、自己資本比率が標準水準よりも劣っているからといって、会社の経営状態が悪いと断定することはできない。例えば、銀行借入を中心に資金調達を行い、グングン成長している中小企業の自己資本比率は標準を下回っているケースが多い。この場合、成長投資が糧となって、現金水準と利益水準が標準を上回っていれば、会社の安全性に問題はない。逆に、想定の収益が得られず、現金水準と利益水準が標準を下回っている場合は、会社の安全性に問題あり、となる。このように自己資本比率の適正水準は、会社の経営環境によって良否の判断が異なる場合がある。経営者が数字に振り回されないためには、自己資本比率をはじめとする様々な経営指標の本質を理解することが大切だ。伊藤のワンポイント自己資本比率を気にする経営者は多いですが、資本欠損や債務超過に陥っていないのであれば、あまり、敏感になる必要はありません。成長投資の過程で自己資本比率が悪化することは良くあることです。大切なのは、投じた資本以上の利益を追求する意識を忘れず、キャッシュフローを悪化させないことです。また、許認可ビジネスの中には、資本欠損や債務超過が許認可取り消しの条件になっているケースがあるので注意が必要です。
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  • 自己資本利益率(ROE)の計算式と目安|収益性が分かる経営指標
    自己資本利益率(ROE)の計算式と目安|収益性が分かる経営指標自己資本利益率(ROE=Return On Equity)は、収益性分析に用いられる経営指標の一つである。自己資本利益率(ROE)は、自己資本(純資産)に対する当期純利益の構成比率を求めることで計算できる。この記事では、自己資本利益率(ROE)の計算式と目安について、詳しく解説する。自己資本利益率(ROE)とは?自己資本利益率(ROE)とは、企業の自己資本(純資産)に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す経営指標で、主に、収益性の内部分析や株式投資家が活用する指標になる。自己資本利益率はROEと省略表記されるが、これは英語のReturn On Equity(リターン・オン・エクイティ)の頭文字が語源になっている。かつて、自己資本利益率(ROE)のことを株主資本利益率とも呼んでいたが、日本では2006年の会計基準の改正において、株主資本と自己資本とが異なる値として明確に定義されたことで、現在では「自己資本利益率」が正確な呼称になっている。なお、自己資本利益率(ROE)の派生用語として、自己資本営業利益率(営業利益÷自己資本×100)や自己資本経常利益率(経常利益÷自己資本×100)があるが、これらも自己資本利益率(ROE)と同様、企業の自己資本(純資産)に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを判断するのに用いられる指標になる。自己資本利益率(ROE)の計算式自己資本利益率(ROE)の計算式は以下の通りになる。自己資本利益率(ROE)の計算式自己資本利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100例えば、自己資本(純資産)が10億円で当期純利益が1億円であれば、(1億円÷10億円×100)=自己資本利益率(ROE)10%になる。自己資本(純資産)が10億円で当期純利益が0.5億円であれば、(0.5億円÷10億円×100)=自己資本利益率(ROE)5%になる。因みに、自己資本(純資産)、或いは、当期純利益の何れかがマイナスの場合は、計算結果もマイナスになり、投資価値のない企業という判断が下される。自己資本利益率(ROE)の目安自己資本利益率(ROE)の目安は10%~20%が標準と云われている。但し、中小企業など、元々の資本金が小さな会社は、標準値よりも目安が高くなる。また、業績悪化に伴い自己資本が減少している場合も、標準値よりも目安が高くなる。なお、自己資本利益率(ROE)がマイナスの場合は、債務超過、或いは、赤字経営に陥っているということなので、早急に経営改善しなければならない。また、自己資本利益率(ROE)の目安は、資本金の規模や業種業態によって変わるので、定点観測で推移分析しながら、自社に合った適正目安を探るのがお薦めだ。自己資本利益率(ROE)の改善手法自己資本利益率(ROE)は、企業の自己資本(純資産)に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す指標なので、改善するには収益性の向上が欠かせない。例えば、売上拡大一辺倒に走るのではなく、利益率改善、コスト削減、生産性改善など等、収益性に貢献する経営改善を推進すると、自己資本利益率(ROE)の数値が改善される。なお、収益性改善の具体的手法については、当サイト内の「会社が儲かる実践経営ノウハウ」を参考にしてほしい。何れにしろ、売上拡大をキープしながら、最小コストで最大利益を生み出す経営基盤を確立することが、自己資本利益率(ROE)の確かな改善手法になる。自己資本利益率(ROE)と総資本利益率(ROA)の違い自己資本利益率(ROE)に似た指標に総資本利益率(ROA)という指標がある。総資本利益率(ROA)の計算式は以下の通りになる。総資本利益率(ROA)の計算式総資本利益率(ROA)=〔当期純利益÷総資本〕×100総資本利益率(ROA)は、分母が純資産ではなく、外部調達した負債等も含まれた総資本になる。自己資本利益率(ROE)とは異なり、負債を考慮した数値になるため、ROEとROAの二つの経営指標を活用することで負債リスク(倒産リスク)の経営分析ができる。例えば、ROEが高くROAが低い場合は、純資産が少なく、大きな負債を抱えている可能性が高くなる。なお、一般的にROEは10%以上だと投資価値がある会社だと判断されるのに対して、ROAは5%以上で投資価値がある会社だと判断される。
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  • 総資本利益率(ROA)の計算式と目安|資本効率が分かる経営指標
    総資本利益率(ROA)の計算式と目安|資本効率が分かる経営指標総資本利益率(ROA=Return On Assets)は、収益性と資本効率の分析に用いられる経営指標の一つである。総資本利益率(ROA)は、総資本に対する当期純利益の構成比率を求めることで計算できる。この記事では、総資本利益率(ROA)の計算式と目安について、詳しく解説する。総資本利益率(ROA)とは総資本利益率(ROA)とは、企業の総資本に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す経営指標で、主に、資本効率と収益性の内部分析や株式投資家が活用する指標になる。総資本利益率(ROA)は、経営資源である総資産を如何に効率的に活用して利益に結びつけているかを示すので、企業の収益性と効率性を同時に示す経営指標である。総資本利益率はROAと省略表記されるが、これは英語のReturn On Assets(リターン・オン・アセット)の頭文字が語源になっている。ちなみに、総資本の額は総資産の額と等しいので、総資本利益率(ROA)と総資産利益率は実質的には同じものになる。なお、総資本利益率(ROA)の派生用語として、総資本営業利益率(営業利益÷総資本×100)や総資本経常利益率(経常利益÷総資本×100)があるが、これらも総資本利益率(ROA)と同様、企業の総資本に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを判断するのに用いられる指標になる。総資本利益率(ROA)の計算式総資本利益率(ROA)の計算式は以下の通りになる。総資本利益率(ROA)の計算式総資本利益率(ROA)=(当期純利益÷総資本)×100例えば、総資本が20億円で当期純利益が1億円であれば、(1億円÷20億円×100)=総資本利益率(ROA)5%になる。自己資本(純資産)が20億円で当期純利益が0.5億円であれば、(0.5億円÷20億円×100)=総資本利益率(ROA)2.5%になる。因みに、当期純利益がマイナスの場合は、計算結果もマイナスになり、投資価値のない企業という判断が下される。総資本利益率(ROA)の目安総資本利益率(ROA)の目安は5%~10%が標準と云われている。但し、中小企業など、元々の総資本が小さな会社は、標準値よりも目安が高くなる。また、業績悪化、或いは、不良資産や不良債権の処分に伴い総資本が減少した場合も、標準値よりも目安が高くなる。なお、総資本利益率(ROA)がマイナスの場合は、赤字経営に陥っているということなので、早急に経営改善しなければならない。また、総資本利益率(ROA)の目安は、総資本の規模や業種業態によって変わるので、定点観測で推移分析しながら、自社に合った適正目安を探るのがお薦めだ。総資本利益率(ROA)の改善手法総資本利益率(ROA)は、企業の総資本に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す指標なので、改善するには収益性の向上が欠かせない。例えば、売上拡大一辺倒に走るのではなく、利益率改善、コスト削減、生産性改善など等、収益性に貢献する経営改善を推進すると、総資本利益率(ROA)の数値が改善される。また、負債を起点とした投資効率を高める財務レバレッジの改善も有効な改善策になる。なお、収益性改善の具体的手法については、当サイト内の「会社が儲かる実践経営ノウハウ」を参考にしてほしい。何れにしろ、売上拡大と高い財務レバレッジをキープしながら、最小コストで最大利益を生み出す経営基盤を確立することが、総資本利益率(ROA)の確かな改善手法になる。総資本利益率(ROA)と自己資本利益率(ROE)の違い総資本利益率(ROA)に似た指標に自己資本利益率(ROE)という指標がある。自己資本利益率(ROE)の計算式は以下の通りになる。自己資本利益率(ROE)自己資本利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100自己資本利益率(ROE)は、分母が総資産ではなく、外部調達した負債等を除外した自己資本(純資産)になる。総資本利益率(ROA)とは異なり、負債が考慮されていないため、ROAとROEを併用しないと、負債リスク(倒産リスク)を見落とすこともあり得る。例えば、ROEが高くても、ROAが低ければ、純資産が少なく、大きな負債を抱えている可能性が高いということが分かる。
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  • 総資本回転率の計算式と適正水準(目安)|資本効率を計る経営指標
    総資本回転率の計算式と適正水準(目安)|資本効率を計る経営指標総資本回転率とは、資本効率の適正度合いを判定する経営指標のことだ。具体的には、年間売上によって総資本が何回入れ替わったかを表す指標で、売上高(年商)を総資本(総資産)で除した値になる。この記事では、総資本回転率の仕組みから総資本回転率の計算式と適正水準(目安)に至るまで、詳しく解説する。総資本回転率|資本の回転とは?総資本回転率とは、資本効率の適正度合いを判定する経営指標のことで、売上高(年商)を総資本(総資産)で除した値になる。総資本回転率の計算対象になる資本とは、会社の事業活動の元手のことで、例えば、会社の設立時点の資本(元手)は資本金である資金、いわゆる現金しかない。会社経営が始まると、資本金である現金が商品に姿を変え、商品が売れると商品が現金に変わり、再び、資本金に戻ってくる。この資本→商品→現金→資本という一連のサイクルを「資本の回転」といい、資本の回転を通して獲得した年間売上によって総資本が何回入れ替わったかを表す指標が「総資本回転率」になる。総資本回転率の仕組み総資本回転率の仕組みが分かる具体例を挙げる。例えば、自己資金(資本)100万円で設立した会社があったとする。会社が設立されて商取引が開始されるまでの貸借対照表の構成は下表の通りになる。借方金額貸方金額現金100万円自己資本100万円この時点の自己資本比率は「(100万円÷100万円)×100=100%」になる。次に、商品を50万円、信用取引(買掛金=他人資本)で購入すると、貸借対照表の構成は下表の通りになる。借方金額貸方金額現金50万円他人資本(買掛金)50万円商品50万円自己資本50万円この時点の自己資本比率は「(50万円÷100万円)×100=50%」となる。最後に、商品を200万円で販売すると同時に買掛金50万円を支払うと、貸借対照表の構成は下表の通りとなる。借方金額貸方金額現金200万円自己資本200万円100万円の資本が、資本→商品→現金→資本と回転した結果、資本が200万円に増額した。これが資本回転の仕組みであり、少ない資本で大きな売上が獲得できるほど、資本効率の高い経営ができているということになる。つまり、資本効率の良し悪しを測定する指標が総資本回転率になる。総資本回転率の計算構造総資本回転率は、会社の総資本と年商を用いて計算する。下図は、総資本の構成が分かる貸借対照表の構成図になる。赤枠の部分が総資本(他人資本+自己資本)に相当する。自己資本は全て自身で調達した資金(資本)なので返済義務がなく、他人資本は全て他人から調達した資金(資本)なので返済義務がある。この自己資本と他人資本の合計が会社の総資本になり、この総資本が効率よく売上に転換されていれば、資本効率が高いということになる。総資本回転率の計算式総資本回転率の計算式は下記の通りである。総資本回転率の計算式総資本回転率(回)=売上高(年商)÷総資本例えば、年商2億円、総資本が1.5億円の会社の場合、総資本回転率は、2億円÷1.5億円=1.33回転になる。年商が1.5億円、総資本が2億円の会社の場合は、総資本回転率が、1.5億円÷2億円=0.75回転になる。総資本回転率をモニタリングしていれば、資本効率の適正度合いの判定ができるので、総資本回転率が高ければ資本が効率的に売上に転換している、逆に総資本回転率が低ければ資本効率が落ちている、ということが分かる。総資本回転率の適正水準(目安)中小企業の総資本回転率の適正水準(目安)は下記の通りである。総資本回転率の適正水準(目安)1.3回転以上総資本回転率が1.3回転以上であれば、優良水準である。資本効率が高く、不良性の資産も殆どない健全な資本環境といえる。1.0~1.2回転総資本回転率が1.0~1.2回転の範囲内に収まっていれば、標準水準である。0.8~0.9回転総資本回転率が0.8~0.9回転の範囲内に収まっていれば、要改善である。0.7回転以下総資本回転率が0.7回転以下であれば、投じた資本の割に売上が伸びていない。或いは、資産の中に、遊休資産、不良性の売掛金、水増し在庫、など等といった不良性の資産が含まれている可能性が高い。総資本回転率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態では適正水準に差が生じるので、上記適正水準に合致しない場合は、総資本回転率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである伊藤のワンポイント総資本回転率は、主に設備投資の多い資本集約型の産業が重要視すべき経営指標です。また、総資本にリース残高などの簿外債務を加算すると、より実態に近い数値が計算できます。なお、総資本回転率が適正水準であっても、負債比率や固定比率が悪化していると会社経営に失敗しますので、十分注意してください。
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  • 事業撤退の判断基準とタイミング|リスク管理に用いる経営指標
    事業撤退の判断基準とタイミング|リスク管理に用いる経営指標事業撤退の基準を誤ると、会社が一気に衰退することがある。事実、新規事業や多角化事業の大失敗の根本原因は、事業撤退基準の誤りにある。「見切千両」という言葉がある通り、事業を見限る選別眼は中小企業経営者にとって欠かせない能力のひとつといえる。この記事では、事業撤退の判断基準とタイミングについて、詳しく解説する。事業撤退の大切なポイント事業を見限るうえで大切なのは、事業撤退の判断基準とタイミングだ。なぜなら、事業撤退の判断基準とタイミングを誤ると、会社の更なる成長の芽を潰す結果を招く可能性、或いは、会社全体が衰退の危機に陥る可能性が高まるからだ。例えば、事業撤退の基準が曖昧だと、もう少し積極投資すれば事業が軌道に乗る、或いは、ここで撤退しなければ会社全体が衰退する、といった経営判断を正確に下すことができない。これでは、事業の成長発展を円滑に推進することが困難であることは容易に想像ができるだろう。つまり、事業撤退の判断基準とタイミングを誤ると、経営の失敗リスクが飛躍的に高まるのだ。【関連記事】中小企業の改善事例・成功のポイント事業撤退の判断基準に欠かせない要素事業撤退の判断基準に欠かせない要素は、正確な損益集計になる。なぜなら、既存事業と切り離した独立採算の損益集計をしなければ、新規事業や個別事業の正しい損益状況が不明瞭になるからだ。当然ながら、正しい損益が分からなければ、その事業が儲かっているのか、或いは、損をしているのかの判断基準が曖昧になるので、成長投資、或いは、事業撤退の判断を正しく下すことが出来なくなる。独立採算の損益集計なくして、確かな事業撤退基準を作ることはできない。新規事業等の単体損益を明らかにする正確な損益集計が、確かな事業撤退基準のベースになるのだ。事業撤退の判断基準となる損益集計の方法中小企業が、新規事業、或いは、新店舗を出店した場合は、必ず独立採算の損益集計をしなければならないが、事業撤退の判断基準となる損益集計の方法等は、下記の通りである。独立採算の損益集計表売上新規事業の売上のみを計上する売上原価新規事業の売上原価のみを計上する売上総利益新規事業の売上総利益を算定する直接経費新規事業に関わる直接経費のみを計上する貢献利益新規事業の貢献利益を算定する本部経費本部経費を一定比率に応じて配賦する営業利益新規事業の営業利益を算定する独立採算の損益項目の解説独立採算の各損益項目の解説と集計のポイントは下記の通りである。売上新規事業の商取引(経済活動)を通じて得られた収入のみを売上として計上する。本業や他事業の収入が混入しないように注意する。売上原価新規事業の商取引(経済活動)を通じて行った仕入(材料費、外注費等)のみを計上する。本業や他事業の仕入が混入しないように注意する。売上総利益新規事業の売上総利益を算定する。〔売上総利益=売上-売上原価〕直接経費新規事業の商取引(経済活動)を通じて支出した経費のみを計上する。本業や他事業の経費が混入しないように注意する。新規事業単体の正確な損益を集計するうえで最も大事なのは、この直接経費の集計である。責任者の人件費や家賃等の固定費、水道光熱費等の変動費まで、新規事業に関わっている全ての直接経費を集計する。貢献利益新規事業の貢献利益を算定する〔貢献利益=売上総利益-直接経費〕。この貢献利益は、会社全体への貢献度を示す利益である。つまり、貢献利益の黒字額が多ければ貢献度が高く、貢献利益が赤字(マイナス)であれば、会社の足を引っ張っている事業ということになる。本部経費新規事業へ配賦する本部経費である。本部経費とは、会社の管理部門(総務、経理、開発等)の経費のことである。一般的な配賦基準は、売上総利益(粗利)の構成比率に本部経費を乗じて配賦することが多い。例えば、本部経費が100万円で、会社に5つの事業あった場合の配賦は下表の通りである。A事業B事業C事業D事業E事業粗利構成比率10%15%20%25%30%本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円売上総利益の金額の構成比率が大きいということは、それだけ本部のサポートを受けて事業活動を行っているといえるので、売上総利益の構成比率を用いて本部経費を配賦する方法は公正かつ合理的な方法である。この他にも、社員人数の構成比率や、床面積の構成比率等を用いて本部経費を配賦する方法もある。営業利益新規事業の営業利益を算定する。〔営業利益=貢献利益-本部経費〕新規事業の撤退基準とタイミング新規事業等の単体損益が明らかになると、損益悪化の兆候を素早く捉えるができ、なお且つ、事業撤退基準も明快になるので、会社の衰退リスクが低下する。中小企業の新規事業等の撤退基準とタイミングは下記の通りである。事業の撤退基準とタイミング貢献利益が黒字で営業利益が赤字営業利益が赤字であっても、貢献利益が黒字であれば、撤退する必要はない。配賦された本部経費が負荷になっているが、単体事業としては貢献利益が黒字なので、経営改善次第で、営業利益の黒字化が見込める。売上拡大、或いは、直接経費のコスト削減を図り、営業利益の黒字化が見込めるか否か検討して、黒字化の見込みがあれば、一層の経営改善を推し進める。逆に、営業利益黒字化の見込みがなく、何れ貢献利益が赤字になることが予想される場合は、撤退を検討した方がよい。貢献利益が赤字貢献利益が赤字であれば、撤退を検討する。但し、売上拡大や直接経費のコスト削減で貢献利益黒字化の見込みがあれば、事業撤退を保留し、経営改善を推し進める。既に、売上拡大やコスト削減の余地がない状況であれば、即時撤退を検討した方がよい。貢献利益の赤字は、本業や他部門の利益を食いつぶしている経営状態を示す。当然ながら、貢献利益の赤字を放置するほど会社倒産のリスクは高まる。会社全体が赤字に転落する前に手を打つことが大切になる。事業撤退基準を経営に活かすポイント中小企業経営者が、事業撤退の判断基準とタイミングを誤らないためには、日ごろから正確な損益管理を行うことが大切だ。また、会社全体の損益管理に限らず、部門別、更には商品別というように、事業を細分化して損益管理を行う仕組みを定着させることも重要だ。そして、最も大切なのは「継続性をもって損益状況をモニタリングする」ことである。長期的に事業活動の損益結果をモニタリングすると、その事業の将来性が自然と見えてくる。そして、事業の将来性が見えるほど、事業撤退の判断基準とタイミングの精度が上がる。会社経営において継続することほど難しいものはないが、地道な努力ほど経営力を押し上げるものはない。伊藤のワンポイント事業撤退の判断が遅れたために会社経営が危機的状況に陥る例はじつに多いです。ですから、黒字経営の見込みがない事業であれば、迅速な撤退を検討すべきです。多少の損切りをしてでも一度撤退して体制を立て直せば、再挑戦の芽も残せますし、経営の安全性もキープできます。決断の先送りが命取りになることを忘れないでください。
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  • コストダウンの目標と効果的手法|コスト分析を後押しする経営指標
    コストダウンの目標と効果的手法|コスト分析を後押しする経営指標コストダウンは企業存続の生命線になる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供することが、企業存続の絶対条件になるからだ。この記事では、コストダウンの目標と効果的手法、並びに、コスト分析を後押しする経営指標について、詳しく解説する。コストダウンの目的とは?コストダウンの目的は二つある。ひとつは「利益の拡大」、もう一つは「競争優位性の向上」である。会社の売上を獲得するために支出される経費は全て会社の必要コストになる。商品仕入もコスト、人件費や水道光熱費もコスト、地代家賃もコストだ。コストゼロで儲けることができれば笑いが止まらないが、現実はそれほど甘くはなく、一定の売上を上げるには、必ず、一定のコストがかかる。そして、コストを売上以下に抑えることが出来なければ、利益も競争優位性も生まれない。つまり、日頃のコストダウンの成果次第で、会社の利益、強いては、競争優位性が決まってしまうのだ。コストダウンの効果とは?売上とコストは対の関係性にあるので、コストの増減は、常に会社の存続を左右する利益に直結する。売上に対するコストが少ないほど利益が増え、逆に、売上に対するコストが多くなるほど利益が減少する。万が一、売上以上のコストがかかると利益がゼロ(赤字経営)になり経営が破たんする。つまり、コストダウンなくして、会社の利益拡大も、会社の存続もあり得ないということだ。また、コストダウンは、企業の競争優位性を決定付ける。例えば、他社よりも低コストで商品を提供することができれば競争の優位性が高まるが、他社よりも高コストになると、途端に競争の優位性が失われる。コストダウンの効果は利益拡大と競争優位性の向上にあり、これこそがコストダウンの主たる目的(目標)になる。コストダウンを効果的に進めるには?利益拡大と競争優位性の向上は企業存続の必須条件なので、コストダウンは会社経営の必須活動になる。しかし、目標がない中で闇雲にコストダウンを進めても、効果的な実績は上がらないし、失敗リスクも高い。また、一つひとつのコストと売上(事業活動)との関係性を分析せずに進めるコストダウンも、効果が上がらない典型になる。コストダウンの効果を上げるには、正しい現状認識のもとで明確な目標を掲げ、費用対効果を意識することが欠かせない。繰り返すが、闇雲なコストダウンは経営悪化のリスクが高い。コストダウンを成功させるには、然るべき目標と基本の改善手法を理解することが欠かせない。コストダウンの目標指標と効果的手法中小企業のコストダウンを効果的に進めるには、「正しい現状認識」と「目標設定」が重要になる。つまり、スタート地点とゴール地点が曖昧では、コストダウンを効果的に進めることができない、ということだ。正しい現状認識と目標を掲げたうえで、コストダウンをどのように進めるかが経営手腕の見せ所ともいえるが、コストダウンの目標は、経営指標を活用するのが良い。例えば、「売上原価率」と「経費率」などは、コストダウンの目標指標として使える代表的な経営指標になる。売上原価率は売上に占める売上原価の構成比率で、経費率は売上に占める販売管理費の構成比率だが、何れの指標も、コストダウンの効果を押し上げる数値目標として、有効活用できる。売上原価率と経費率の計算式売上原価率=(売上原価÷売上)×100経費率=(販売管理費÷売上)×100数値目標がコストダウンの効果を押し上げる売上原価率と経費率、この二つの経営指標を活用し、正しい現状認識の下で目標がセットされると、改善目標と改善手段が明らかになり、効果的にコストダウンの実績を上げることができる。例えば、現状の売上原価率が50%で、目標を45%に設定したとすると、コストダウンの目標値はマイナス5%になる。単純に、「売上原価を削減する」というコストダウン手法と、「売上原価率を5%削減する」というコストダウン手法を比べた場合、効果的にコストダウンの実績を上げることができるのは、後者の「数字のある目標」だ。経験上、具体的な数値目標があると、具体性のあるコストダウンの手法やアイデアが生まれやすくなる。また、コストダウンのアイデア毎に想定改善値を算出すると、目標達成のためにすべきことを分かりやすく整理することができるので、コストダウンを効率的に進めることができる。さらに、経営者と社員の間に共通の数値目標が生まれると、全社員が同じ目的意識のもとにコストダウンに取り組むことが可能になる。共通認識と共通目標ほど大きなコストダウン効果を生み出す環境はない。参考まで、代表的な売上原価と経費のコストダウンの手法を紹介する。売上原価のコストダウン手法仕入先を工夫して仕入単価を下げる、容器等の包材を工夫して包材単価を下げる、歩留まりや廃棄率を改善して製造原価を下げる、製造効率を工夫して製造原価を下げる。経費のコストダウン手法不要不急のコストを一律カットする。売上貢献度の低いコストを一律カットする。消耗品の調達先を工夫して消耗品費を下げる、印刷物や広告物の発注先を工夫して広告宣伝費を下げる、営業効率を工夫して人件費を下げる。労働効率の改善も有効なコストダウン手法中小企業のコストダウンは、仕入や消耗品等々、金額が目にみえる部分に着目する手法の他にも、金額が目に見えないコストロスを改善してコストダウンを図る手法もある。それは、労働効率のコストロスを改善して、コストダウンを図る手法である。労働効率の改善は、場合によって金額が目に見えるコストダウンよりも数倍の効果を得られることがある。例えば、一人の社員が1時間に10個の商品を作るのと、20個の商品を作るのでは、商品1個あたりの人件費コストが2倍も違う計算になる。或いは、一人の社員が1時間に10個の商品を売るのと、20個の商品を売るのでは、上の例と同じく、商品1個あたりの人件費コストが2倍も違う計算になる。労働効率のコストロスが発生する主な場所は「製造現場」と「営業現場」、この2つの領域に絞られる。例えば、製造効率や営業効率に無駄やロスがあれば、1円、10円、100円と、無駄なコストが垂れ流しになる。コストロスは利益の喪失、コストダウンは利益の増額という公式が成り立つので、コストロスを解消すれば、自ずとコストダウンに繋がる。参考まで、製造現場と営業現場コストロスのポイントを紹介する。製造現場のコストロス製造現場の労働効率のコストロスは、製造効率の低下が大きな原因である。製造効率の最適化を行うには、製造商品の組み合わせや人員配置、製造ラインの組み換え等々、様々な非効率要因を洗い出し、コストロスを探る必要がある。営業現場のコストロス営業現場の労働効率のコストロスは、営業効率の低下が大きな原因である。営業体制の最適化を行うには、営業ルートや配送ルートの損益分析、催事やイベントの損益分析等々、個別損益を分析し、コストロスを探る必要がある。コストダウンの効果的実践ノウハウコストダウンの具体的方法は企業を取り巻く経営環境や経営状況によって、無限に広がる。大切なことは、自社にフィットしたコストダウンの方法を定着させるために、トライ&エラーを小さな規模で繰り返し、コストダウンの精度を高めることだ。最後に、コストダウンの効果的実践ノウハウとして、当サイト内のお薦め記事を紹介する。経費率の計算式と適正水準経費率は、会社の収入に対するコストバランスを示す経営指標だが、会社経営は収入以下のコストで運営することによってはじめて成り立つので、経費率ほど重要な経営指標はない。この記事では、経費率の計算式と適正水準について詳しく解説している。【この記事を読む】人件費率の計算式と適正水準人件費はすべての企業において発生する費用であり、殆どの企業において最大コストになるので、人件費率ほど重要な経営指標はない。この記事では、人件費率の計算式と適正水準について詳しく解説している。【この記事を読む】コストダウンのネタは無限にあるコストダウンのネタ探しに悩みを抱える経営者はじつに多いが、コストダウンのネタが尽きると会社の衰退リスクが高まる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供できなければ、たちまち市場競争から脱落するからだ。この記事では、コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】伊藤のワンポイントコストダウンは企業存続に不可欠な活動です。但し、企業の付加価値を棄損するようなコストダウンは行わないでください。企業の付加価値が棄損すると、競争優位性が低下し、会社が衰退します。また、良好なコストバランスを保つために、人件費や各経費の適正水準をキープする努力も忘れないでください。
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  • 労働分配率の計算式と適正水準(目安)|労働効率を計る経営指標
    労働分配率の計算式と適正水準(目安)|労働効率を計る経営指標労働分配率とは、企業が獲得した収益から、労働の対価(人件費)がどの程度支払われているかを表す経営指標のことである。労働分配率は、社員への収益還元度や人件費の適正具合を測定、或いは、総人件費を上手にコントロールするうえで欠かせない重要な指標といえる。この記事では、労働分配率の計算式から適正水準(目安)や業界水準に至るまで、詳しく解説する。労働分配率とは?労働分配率とは、企業が獲得した収益と労働対価の支払いバランスを示す経営指標で、売上総利益に占める人件費の構成比率を求めることで計算できる。労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益=粗利)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標で、社員への収益還元度や人件費の適正具合の測定等に活用できる。また、労働分配率が分かると会社の人的投下の構造が明かになる。例えば、労働分配率の高い会社は沢山の労働力を要する人的投下が大きい労働集約型の企業で、労働分配率の低い会社は少ない労働力で済む人的投下の小さい資本集約型の企業ということが分かる。このように、労働分配率は、社員への収益還元度や総人件費のコントロールの基準として活用できるだけでなく、会社の人的投下の構造も明らかにするので、日常的にチェックしておきたい指標になる。労働分配率の計算「人件費」労働分配率の計算には、付加価値(売上総利益=粗利)と、人件費(労働の対価)のふたつの数字を用いる。付加価値の計算は次章で解説するとして、まずは、人件費の計算方法について解説する。人件費とは労働の対価の事だが、計算方法はやや複雑になる。なぜなら、人件費のなかには、役員報酬や社員給与のほか、外注費やアルバイト料等の雑給、福利厚生費や法定福利費など、多種多様な人件費が含まれるからだ。労働分配率は、会社の分配可能な付加価値が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標なので、人件費には役員報酬から雑給に至るまで、内外問わず、すべての人への支払い費用が含まれる。人件費の集計漏れがあると、正しい労働分配率が計算できなくなるので、その点、注意してほしい。労働分配率の計算「付加価値」続いて、付加価値の計算方法について解説する。会社の付加価値とは企業が獲得した収益の事だが、端的に「売上総利益」、いわゆる粗利のことだ。正式な付加価値の計算方法は、日銀方式の加算法(付加価値=経常利益+人件費+賃借料+金融費用+減価償却費+租税公課)と中小企業庁方式の控除法(付加価値=売上高-外部購入価値)の二種類があるが、難しく考える必要はなく、付加価値=粗利と考え、定点観測すれば問題ない。実際に、中小企業庁方式は売上総利益(粗利)を付加価値としている。労働分配率は、事業活動のコストを賄う原資である売上総利益(粗利)に占める人件費の構成比率なので、分かりやすく言うと、企業の儲けが、どれだけ労働者に還元されているかが分かる経営指標といえる。労働分配率の計算式と適正水準(目安)労働分配率の計算式は下記の通りである。労働分配率の計算式労働分配率=(人件費÷売上総利益)×100中小企業の労働分配率の適正水準(目安)は、概ね下表の通りである。売上総利益100100100100100人件費7060504030その他経費2030405060営業利益1010101010労働分配率70%60%50%40%30%人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型人件費の分配原資となる売上総利益は「100」として、営業利益は、中小企業の標準利益水準である「10」としている。従って、分配可能な最終原資は、売上総利益100-営業利益10=「90」になる。労働分配率は、業種業態によって異なるが、上表の通り、概ね30%~70%の範囲内に収まる。労働分配率の適正可否の判定方法と業界水準労働分配率の適正可否の判定方法は以下の通りである。会社の労働分配率の適正可否を判定するには、第一に、自分の会社が、労働集約型なのか、資本集約型なのか、はたまた標準的な産業なのかを判定する必要がある。そのうえで、自分の会社の労働分配率を計算し、前章で示した労働分配率の適正水準表と比較し、適正可否を判定する。中小企業の労働分配率の判定基準は下記の通りである。労働分配率の判定基準適正指標よりも労働分配率が高い適正指標よりも労働分配率が高い場合は、人件費が過分にかかっているということである。人員の活用がうまくいっていない場合は、配置転換等で収益を上げる方法を検討し、配置転換等で収益増加が見込めない場合は、適正な水準になるように人員整理を検討した方がよいだろう。適正指標よりも労働分配率が低い適正指標よりも労働分配率が低い場合は、少数精鋭で効率的な経営が実現できることを表している。少数精鋭体制は中小企業にとって理想的な姿である。良好な労働分配率を保つには、日頃から労働生産性を追求する姿勢が大切である。労働分配率の高い業種「コールセンター」労働分配率が高い水準の労働集約型の代表例は「コールセンター」である。コールセンターの運営には沢山の人員(電話オペレーター)が必要な反面、その他の費用はさほどかからない。なぜなら、拠点は地代(家賃)の安い地方が多く、地代家賃以外の経費も電話通信費以外は大してかからないからだ。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく低いのが、労働集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり、労働分配率が高くなる。労働分配率の低い業種「製造業」労働分配率が低い水準の資本集約型の代表例は、無人化が進んでいる「製造業」である。無人化が進んでいる製造工場は、監督する人間が少なく済み、殆どが機械任せの運営になるが、一方で、人件費以外の費用はたくさんかかる。例えば、機械のリース代やメンテナンス費用、減価償却費用、などである。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく高いのが、資本集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり労働分配率が低くなる。労働分配率の低い業種「美容サロン等」労働分配率が低い水準の資本集約型の代表例として、「美容サロン等」のサービス業も挙げられる。なぜなら、利便性の高い駅近で競争を強いられる美容サロン等のサービス業は、地代相場が高い駅近のテナントに入居するケースが多く、テナント料のほか、多額の広告宣伝費や設備代など等、人件費以外の費用が多くかかるからだ。このように、美容サロン等は、人件費よりも、人件費以外の経費が多くかかる資本集約型の特徴を持っていて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり労働分配率が低くなるケースが多い。美容サロンのほか、ブランドショップ、アパレルショップ、不動産屋、駅近飲食店、歯科医院、弁護士事務所なども資本集約型の産業に近く、労働分配率が低いケースが多い。労働分配率が標準の業種「スーパー等小売業、飲食店、卸売業等」労働分配率が標準の業種は、労働集約型と資本集約型のバランスが中間に位置する、スーパー等小売業、飲食業、卸売業などである。労働分配率が標準の業種の適正水準は概ね40%~50%なので、50%超は労働分配率が高いということになる。労働分配率が適正水準より高い場合は、人件費の割に収益が少ないか、収益の割に人件費が多いか、のどちらかの状態に陥っているということなので、収益改善と同時に労働効率の改善を進めることが必要である。労働分配率を経営に活かすポイント労働分配率は人件費を上手にコントロールするための経営指標として有効に活用できる。例えば、自分の会社が目標にすべき労働分配率が分かれば、「人員を補充して労働分配率を改善すれば良いのか?」、或いは、「人員を補充せずに労働分配率を改善すれば良いのか?」といった、労働分配率を改善するための初動判断を適切に下せるようになる。労働分配率が悪化しているにも関わらず人員を補充している会社、或いは、労働分配率が適正値よりも下回っているにも関わらず人員を十分に補充せずに社員に無理な労働環境を押し付けている会社など等、人件費のコントロールがうまくいっていない中小企業は少なくない。中小企業が、ヒトの増減を検討・判断するうえで、労働分配率は有効な根拠として活用できるので、是非、積極的に活用してほしい。伊藤のワンポイント自分の会社に適した労働分配率が分かると、人件費の適正水準が見えてくるので、人員のコントロールが簡単になります。また、社員に対する利益還元の基準指標としても活用できるので、合理的な賞与計算も可能になります。労働分配率を上手に運用すれば、人に関する悩みが緩和されるので、しっかり活用してみてください。
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  • 在庫回転率の計算式と適正水準(目安)|在庫効率を計る経営指標
    在庫回転率の計算式と適正水準(目安)|在庫効率を計る経営指標在庫回転率とは、商品在庫が効率よく売上に転換されているかどうかを計る経営指標のことだ。在庫回転率は、主に、製造業、小売業、卸売業で重要視されている経営指標で、在庫管理の要になる。この記事では、在庫回転率の計算式から適正水準(目安)、在庫回転率の運用上の注意点に至るまで詳しく解説する。在庫回転率とは?在庫回転率とは、商品在庫が効率よく売上に転換されているかどうかを計る経営指標のことで、主に、製造業、小売業、卸売業で重要視されている。無駄な在庫は、手間や管理を増やす一方で会社の現金を減らすため、在庫状況や在庫効率を可視化する在庫回転率は安定経営の必須指標といって過言ではない。在庫回転率は、売上と在庫金額の二つの数字を使って計算することができるが、簡単に言えば、商品が短期間で売れていれば在庫回転率が高くなり、商品が長期間に亘って売れていなければ在庫回転率が低くなる。つまり、在庫回転率が高いほど効率よく商品が販売されている、ということが分かる。なお、在庫回転率のことを、在庫回転日数、棚卸資産回転日数、棚卸資産回転率とも云う。なぜ、在庫回転率が重要なのか?なぜ、在庫回転率が重要なのか?その答えは、在庫は会社にとってお金そのものであり、在庫回転率はお金のコントロールに欠かせない重要な経営指標だからだ。例えば、商品が在庫で眠っている限り、会社のお金は一向に増えず、商品在庫が販売に展開(回転)して、初めて在庫がお金に生まれ変わる。当たり前だが、在庫回転率に無頓着でいると、会社のお金がすべて在庫に消えてしまい、不良在庫の山や資金ショートのリスクを生み出すこともあり得る。在庫回転率を把握していれば、在庫過多の状況を未然に防ぐことができるので、不良在庫の山や資金ショートのリスクを回避することができる。つまり、在庫回転率は、会社の安定経営に欠かせない重要な経営指標でもあるのだ。在庫回転率の計算式(求め方)在庫回転率は、売上と在庫金額(棚卸資産)の二つの数字を使って計算する。売上は、年間売上(年商)を用いるので、直近12ヵ月の合計売上(年計売上)が計算の基準になる。在庫(棚卸資産)は、売価金額を用いるので、商品在庫数に商品売価をかけた商品在庫の売価金額が計算の基準になる。(例えば、売上原価@50円の商品が100個あり、その商品の売価が@100円であれば、50個×@100円=5,000円が在庫の売価金額になる)在庫回転率の計算式(求め方)は下記の通りである。在庫回転率(回)=〔年間売上高÷(商品在庫数×商品売価)〕例えば、年商が1,200万円で、商品在庫(棚卸資産)の売価金額が100万円であれば、在庫回転率は、1,200万円÷100万円=12回となる。年間12回、在庫が回転しているということは、12ヵ月÷12回転=1ヵ月、つまり、在庫がひと月に1回転しているということになる。【関連記事】「儲かる在庫管理の方法」はこちら在庫回転率の適正水準(目安)中小企業の在庫回転率の適正水準(目安)は業種業態によって異なるが、一般的な適正水準は下記の通りである。在庫回転率の適正水準(目安)24回以上在庫回転率が24回以上であれば優良水準である。在庫回転率が24回であれば、商品在庫が2週間で1回転していることになるので、効率よく商品が売上に転換しているといえる。12~23回在庫回転率が12~23回の範囲内であれば標準的な水準である。在庫回転率が12回であれば、商品在庫が1ヵ月で1回転していることになる。6~11回在庫回転率が6~11回の範囲内であれば要改善である。在庫回転率が6回であれば、商品在庫が2カ月で1回転していることになる。在庫管理に無駄がないか、チェックした方が良いだろう。5回以下在庫回転率が5回以下であれば売れ残り等、不良在庫を抱えている可能性が高い。在庫回転率が5回転以下は早急な改善が必要なレベルで、不良在庫を抱えるリスクのほか、倉庫代等の保管費用の負担が重くなるデメリットも出てくる。在庫回転率の適正水準には例外がある!?在庫回転率の適正可否を判定するうえで、例外がある。例えば、年に数回大量に輸入する品物や、年に1回しか生産・製造できない品物を扱う会社である。このような会社は、自ずと在庫回転率が低くなる。一般的な会社よりも保管費用が過分にかかるので、一連の過分な費用を売価に反映させなければ、営業利益率が悪化するので注意が必要だ。また、在庫回転率が低下すると資金効率が悪化するが、在庫回転率を追求するあまり、商品欠品等の機会損失(※1)を招くのは避けなければならない。一般的には12回~24回程度の在庫回転率(安全水準)でコントロールするのが良いだろう。※1 機会損失:接客不足や商品欠品等で商品の販売機会を損失すること伊藤のワンポイント在庫を制する者は経営を制する、在庫管理はそれほどに重要です。在庫はお金そのものだからです。自社に適した在庫回転率の目安を見つけるにはモニタリングを継続することです。在庫回転率の推移が分かれば、悪化傾向に歯止めをかけることが容易になります。在庫回転率が悪化すると資金繰りも悪化するので注意してください。
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  • 投資のタイミングと適正投資金額|投資効率を計る経営指標
    投資のタイミングと適正投資金額|投資効率を計る経営指標投資なくして、会社の成長なし。会社を成長させるには、継続的な投資が不可欠だ。しかし、最適な投資タイミングや投資金額を計る指標や基準がない中で、闇雲に投資を進めると、投資の失敗リスクが高まる。事実、投資のタイミングを誤ったり、過剰投資で会社が衰退するケースは後を絶たない。この記事では、経営指標を活用して投資のタイミングと適正投資金額を計る方法について、詳しく解説する。会社の投資とは?そもそも、会社の投資とは何か?投資とは、会社の売上や利益を上げるため、或いは、会社の成長を加速するために先行して投じる費用のことだ。投資のタイミングと金額を最適化するには、第一に、現状の投資経費の項目と共に、使われている投資金額を把握することが欠かせない。会社の投資に該当する費用は、研究開発費や広告宣伝費だけに止まらず、意外と多岐に亘る。投資経費の項目例費用科目補足接待交際費交際接待のほか、贈答品等も含まれる販売促進費リベート、割引、試供品提供、等々、販売を促進する費用広告宣伝費チラシ代、ネット広告等、広告宣伝に関する費用開発研究費商品開発、試作開発、販売前テスト費用等、開発全般費用一般試験費既存商品の分析費用等、商品の付加価値データ分析等の費用減価償却費販売管理費内の減価償却費用(※1)リース費用機械、設備用のリース費用投資保守修繕費システムの改修、増設費用(日常的な保守修繕費は対象外)投資消耗品費商品付加価値を上げるための消耗品等投資通信費DM等の郵送費用支払手数料外部システムの利用料等諸会費各種団体の会費等上表の通り、会社の投資は至る方面で費やされており、実際に自分の会社の投資経費を集計すると、投資費用の多さに驚かれる中小企業経営者もいると思う。ちなみに、投資経費の中には惰性で投じている費用が必ずあるので、年に数回は棚卸(必要可否の選別)を行い、会社の成長にさほど貢献していない投資費用は削減を検討した方が良い。※1 減価償却費とは、資産性の高い設備等(減価償却資産)を耐用年数に応じて費用化していく経費のこと投資タイミングと金額を計る経営指標最適な投資タイミングと投資金額を計る経営指標は「売上総利益高投資経費率」になる。売上総利益高投資経費率とは、売上総利益に占める投資経費の構成比率のことで、計算式は下記の通りになる。投資経費率=(投資経費÷売上総利益)×100中小企業の投資経費率の適正水準は下表の通りである。売上総利益100100100投資経費15~2010~1510以下営業利益20100投資経費率15~20%10~15%10%以下投資経費率の適正水準は、営業利益率の水準、並びに、業種業態によって変化するが、概ね10%~20%の範囲が適正水準になる。中小企業の投資経費率の適正判断は下記の通りである。範囲内投資経費が範囲内に収まっていれば、投資タイミング、並びに、投資金額が最適化されていて、過剰投資の可能性は低いといえる。上限オーバー投資経費が上限オーバーしている場合は、投資タイミングを誤っている、或いは、過剰投資の可能性が高いといえる。なお、上記適正ラインは、主に、小売りや卸売り等の中間産業を想定しており、投資経費の集計も販売管理費内に限定している。従って、製造業等、製造原価内に減価償却費等の大きな投資経費が含まれている会社の場合は適正水準が変わる。この場合は、売上比率で計算(投資経費÷売上高)し、毎月定点観測すると自社に適した適正ラインが見えてくる。何れにせよ、投資のタイミングや投資金額を誤ると、会社経営の失敗リスクが高まる。投資は勘と経験で行うのではなく、しっかりとした基準と指標を持ち、タイミングと金額を見極めることが大切だ。大型投資には別の判断基準がある!?投資には、機械設備の購入や建物の増改築等々、金額が大きいために費用化されず、資産計上(固定資産に計上)される大型投資がある。この場合の適正な投資金額の算定や投資タイミングの判定は別のアプローチで考えなければならない。なぜなら、大型投資を行うには多額の投資資金を必要とするからだ。因みに、大型投資の資金調達は、減価償却費分の現金を貯蓄する方法が最も安全な正攻法になる。減価償却費は現金流出の伴わない費用なので、費用として計上しても、現金が会社に残る。例えば、2,000万円の投資計画に対して、減価償却費が毎期500万円ある場合は、4年で投資原資の貯蓄ができる。(4年も待てないのであれば、借入限度額の範囲内で金融機関等から資金を調達する方法もある)伊藤のワンポイント投資の失敗による企業の衰退事例は数多にあります。失敗の原因は過剰投資に尽きます。ですから、全体のどの程度の経費が投資に使われているのかを常に把握し、その水準を適正にコントロールする意識を強く持つことが大切です。また、会社の強みと弱みを深く理解し、投資の優先順位を最適化することも重要です。
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  • 大型設備投資の判断基準とタイミング|投資リスク管理に用いる経営指標
    大型設備投資の判断基準とタイミング|投資リスク管理に用いる経営指標資本力に乏しい中小企業が大型設備投資の判断基準とタイミングを誤ると、会社の衰退リスクが飛躍的に高まる。適正な判断基準とタイミングを持たずに闇雲に行った設備投資が、経営の足かせになることもあり得る。大型設備投資の判断基準は、様々なアプローチがあるが、この記事では、多くの中小企業で普遍的に活用できる方法を詳しく解説する。大型設備投資の判断基準になる経営指標大型設備投資の判断基準とタイミングは何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。たとえ、十分な投資資金が手元にあったとしても、投資の判断基準やタイミングを誤れば、その投資は失敗に終わる。従って、大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準とベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせない。大型設備投資の判断基準として有効活用できる経営指標は「売上総利益高営業利益率」と「借入限度額」になる。このふたつの経営指標をベースにして、大型設備投資の可否を判断している限りは、失敗リスクが高まることはない。それぞれの指標について以下に解説する。投資後の利益判定売上総利益高営業利益率は、投資後の利益水準が十分かどうかを判断する基準として活用できる経営指標になる。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100投資後の返済判定借入限度額は、投資資金を銀行借入等で賄う場合に、投資後の返済リスクを判断する基準として活用できる経営指標になる。借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=2,500万円~5,000万円になる。”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。大型設備投資の判断基準大型設備投資の判断基準は、「利益水準」と「返済リスク」の両面で、投資計画の正否を判定すると、失敗リスクを抑えられる。利益水準の判断基準は「売上総利益高営業利益率」で、返済リスクの判断基準は「借入限度額」で判定する事ができる。それぞれの判断基準の解説は下記の通りになる。大型設備投資の判断基準「利益水準」大型設備投資前後の売上総利益高営業利益率を比較し、利益水準が悪化しなければ過剰投資の可能性は低い。逆に、利益水準が悪化するようであれば過剰投資の可能性が高い。(設備投資後の利益計算には必ず減価償却費を加算すること)また、売上総利益高営業利益率が10%以下の場合は、利益水準が心許ないので、投資収益が計画を下回った段階で衰退リスクが飛躍的に高まる。この場合は、利益水準を高める工夫をした後に、大型設備投資を再検討するのがよい。大型設備投資の判断基準「返済リスク」大型設備投資の資金を金融機関等から調達する場合は、借入限度額以下が投資OKの基準になる。借入限度額を超過する場合は返済苦に陥るリスクが高いので、大型設備投資を再検討した方がよい。また、投資収益が計画を下回ると、返済苦に陥るリスクが飛躍的に高まるので、設備投資後も「売上総利益高営業利益率」と「借入限度額」を絶えず測定し続けることを忘れてはならない。【関連記事】減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる大型設備投資のタイミングを計る判断基準大型設備投資後の「利益水準」と「返済リスク」に問題がなければ、後は、投資のタイミングを判断するのみとなる。大型の設備投資は多額の資金を要するので、タイミングを誤ると会社の衰退リスクが飛躍的に高まる。大型設備投資を成功に導くためには、綿密な収支シミュレーションとリスク分析が欠かせないが、特に注視すべきポイントは「投資後の操業度」だ。例えば、製造能力を引き上げる大型設備投資であれば、製造能力が限界に達し、なお且つ、投資後も操業度が下がらない見込みがあれば投資のゴーサインを出しても問題ない。逆に、製造能力に余力があり、設備投資後の操業度が当面低下、或いは、著しく低下するようであれば、投資のゴーサインは見送った方がよい。大型の設備投資は、大企業であっても判断基準とタイミングを誤ると、いとも簡単に会社経営が行き詰まる。大企業の投資失敗事例は数多にあるし、資本力の小さい中小企業の場合は、投資の失敗、即、倒産ということもあり得る。大型の設備投資は、正しい投資判断基準を持ち、尚且つ、念には念を入れた検証と考察が不可欠だ。また、想定収益に甘さがあると、誤った経営判断を誘引する可能性が高まるので、想定収益は、徹底して甘さを排除しなければならない。なお、中小企業における投資の回収期間は2年以内が適正なラインなので、大型設備投資の回収期間(収支のプラス化)が2年を超える場合は、投資計画を一から再考した方が良いだろう。伊藤のワンポイント新設備導入や新工場建設などの大型設備投資は会社の成長過程で必ず通る道です。ですから、大型投資を意識した資金計画を先手で立てることが大切です。また、ここで紹介した判断基準を上手に運用するには、大型投資の資金源になり得る減価償却の理解を深めることも大切です。
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  • 投資回収期間の適正水準と計算方法|投資シミュレーションに用いる経営指標
    投資回収期間の適正水準と計算方法|投資シミュレーションに用いる経営指標投資回収期間とは、投資の成否を判定する経営指標の一つだ。会社経営において投資は回収して初めて成功するので、投資回収を測定する「投資回収期間」は極めて重要な指標になる。この記事では、投資回収期間の適正水準と計算方法、並びに、投資回収の考え方から投資シミュレーションの考え方に至るまで、詳しく解説する。投資の成功は資金回収で決まる投資は会社経営の至るところに関わってくる。投資の範囲は設備増設や商品開発だけに止まらない。人材採用、社員教育、広告展開、試験研究、など等、中小企業の投資分野は多岐にわたる。投資は、会社の成長を後押しするので、なくてはならないものだが、投資の成功は資金回収で決まる。例えば、投資した途端に会社が衰退する、或いは、多角化投資が失敗して会社が衰退する失敗ケースは、資金回収がとん挫することで発生する。つまり、投資の成功は、投資した資金を回収することが絶対条件になる。会社の成長を促進するために先行して投じた資金を回収しなければ、投資の意味はなく、むしろ、資金回収のできない投資は会社衰退の原因にしかならない。資金回収がおぼつかない過大投資や杜撰な投資計画は、経営の失敗リスクを飛躍的に高める。投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせないのだ。投資の成否を判定する「投資回収期間」とは?投資の成否を判定する経営指標を「投資回収期間」という。投資回収期間とは、読んで字のごとく、投資資金の回収期間(年数)のことである。投資回収期間は、その投資が将来会社に役立つか否かを判定するうえで有効に使える経営指標になる。例えば、投資の回収期間が分かれば、その投資が、将来どの時点から会社に利益を生み出すのかが分かる。また、投資の回収期間が分かれば、会社全体の利益を棄損する危険な投資を未然に防ぐこともできる。投資で失敗しないためには投資回収期間を意識した投資計画の策定が大切になる。投資回収期間の適正水準投資回収期間の適正水準について、詳しく解説する。中小企業の投資回収期間の適正水準は2年以内、できれば1年以内がベストである。ひと昔前は3年~5年という判断もあったが、昨今は経済環境の変化が目まぐるしく、長期スパンで投資事業の妥当性を判定することが難しくなってきている。加えて、資本力に乏しい中小企業の場合、万が一、投資回収期間が長期化すると、会社の体力消耗(資本取崩し)が加速し、経営破たんのリスクが一段と高まる。投資回収期間は、極力、短期間の方が、失敗リスクが少なく済む。従って、投資回収期間が2年超かかる投資は見送った方がよく、他にも用途未定の土地建物への投資、将来値上がりが期待できる資源や株式への投資なども、手を出すべきではない。因みに、数十億単位の大型事業等の投資の場合は、投資回収期間2年以内での回収ができない。この場合は、当該投資に関連する返済も含めた事業活動のフリーキャッシュフローを1~2年以内にプラス化することが一つの適正基準になる。投資回収期間の計算方法投資回収期間の計算方法について、詳しく解説する。投資回収期間は、投資総額を投資対象の年間予測収益で割ることで計算できる。例えば、投資総額が1,000万円で年間予測収益が500万円であれば、1,000万円÷500万円=2年が、投資回収期間ということになる。なお、年間予測収益は投資の種類によって計算方法が変わる。例えば、設備投資などの場合は、設備投資をすることで削減される経費、或いは、増加する収益が年間予測収益になる。新規事業や商品開発などの場合は、その商品が販売されることで得られる貢献利益が年間予測収益になる。投資回収期間の計算に用いる貢献利益とは?貢献利益とは、読んで字のごとく、会社に貢献する利益のことだ。貢献利益の予測は、投資回収期間を計算するうえで最も重要な作業になる。なぜなら、貢献利益の予測がいい加減だと、投資回収期間の計算もいい加減になるからだ。貢献利益の予測精度が、投資回収期間の精度を決めるといっても過言ではない。なお、新規事業と新商品の貢献利益の計算方法は概ね下表の通りである。新規事業の貢献利益の計算売上新規事業の予測売上を計算する 売上原価新規事業の予測売上原価を計算する売上総利益新規事業の売上総利益を計算する(売上-売上原価) 直接経費新規事業に関わる予測直接経費を集計する。(新規事業単体の貢献利益を計算するうえで最も大事なのは直接経費の集計である。責任者の人件費や家賃等の固定費、水道光熱費等の変動費まで、新規事業に関わっている全ての直接経費を集計する)貢献利益新規事業の予測貢献利益を計算する(売上総利益-直接経費)新商品の貢献利益の計算売上新商品の予測売上を計算する 売上原価新商品の売上原価を計算する売上総利益新商品の売上総利益を計算する(売上-売上原価) 直接経費新商品に関わる予測直接経費を集計する。(新商品を販売するうえで必ず要する直接経費を全て集計する)貢献利益新商品の貢献利益を算定する(売上総利益-直接経費)投資回収シミュレーションの考え方投資回収シミュレーションの結果判定の考え方は難しくない。投資した資金を予定期間内で回収できれば、想定利益のリターンが獲得できた、つまり、投資が成功したということになる。当然ながら、投資した資金を予定期間内で回収することができなければ、想定利益は獲得できず、会社の損失が雪だるま式に増えていくことになる。投資回収の見誤りは、会社倒産に繋がる要因にもなり得るので、決して甘く見てはいけない。従って、投資シミュレーション表を事前に作成し、想定利益(貢献利益)が計画通り推移しているか否かを、適宜モニタリングすることを忘れてはならない。大型設備投資の投資シミュレーション大型設備投資(減価償却資産に該当・新規店舗など)の投資シミュレーションは、設備投資前後の売上総利益高営業利益率を比較することで、投資回収が良好に推移しているか否かを判定することができる。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100例えば、売上総利益高営業利益率が設備投資前と同じ水準以上であれば、投資回収が計画通りに進んでいると判断できる。売上総利益高営業利益率が設備投資前よりも悪化している場合は、投資回収が計画通りに進んでいないと判断できる。設備投資後に売上総利益高営業利益率がマイナス(赤字経営)に転落している場合は、設備投資分の減価償却費用が十分に賄えていないということになるので、投資が失敗に陥ってるということが分かる。なお、投資回収が不十分、或いは、投資が失敗に陥っていることが判明した場合は、早急に事業撤退の検討をしなければならない。投資回収が計画通りに推移することは稀だ。緻密な投資計画の運用と投資回収期間のモニタリングが、投資を成功に導く秘訣になる。伊藤のワンポイント投資なくして成長なし、つまり、成長投資は会社経営の肝です。成長投資の正否は、投資回収の出来不出来で決まります。確実な成長を遂げている企業ほど、投資回収の基準がシビアで、投資回収の失敗対応(撤退)も迅速です。投資回収期間は、資金調達手段に限りのある中小企業ほど、注視すべき指標です。
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  • 企業の収益性と競争力の分析方法|収益性分析に用いる経営指標
    企業の収益性と競争力の分析方法|収益性分析に用いる経営指標企業の経済活動の成果、いわゆる獲得利益のことを、経済用語で「企業の果実」という。企業の果実は、中小企業の収益性と競争力の分析に用いる経営指標として活用できる。例えば、企業の果実が多いほど、企業の果実が効率よく得られるほど、その会社の収益性と競争力が高いということになる。つまり、企業の果実の収縮が分かれば、会社の収益性と共に、競争力の判定もできるのだ。企業の果実は利益水準を基準に判定することができるが、利益水準だけだと企業の収益性は分かっても、競争力までは見えてこない。例えば、下図のような損益構造の会社があったとする。売上は年々増加しているが、営業利益率は年々低下している。果たして、この会社の収益性と競争力は向上しているのだろうか?そして、企業の果実の収縮度合はどのように計算すればいいのだろうか?収益性は企業の果実で測定できる企業の果実の収縮度合いを測定する基準指標は「売上高」と「営業利益率」になる。例えば、下図のように、縦軸に売上高、横軸に営業利益率を当てはめると、企業の果実の収縮が簡単に可視化される。企業の果実の収縮度合いの計算式は下記の通りである。企業の果実=売上×営業利益率「売上」は市場規模の拡大、つまり企業の競争力を示し、「営業利益率」は企業の収益性を示す。つまり、売上と営業利益率を掛け合わせた「企業の果実」の収縮が把握できれば、その会社の収益性と競争力の判定ができるのだ。例えば、企業の果実の縮小は収益性と競争力の低下を示す。一方、企業の果実の拡大は収益性と競争力の上昇を示す。下図は、前章で紹介した損益例になるが、この会社の「企業の果実」は縮小傾向にあることが分かる。売上は年々増加しているが、営業利益率は年々低下している。企業の果実(売上×営業利益率)も縮小傾向(利益の先細り)にあるので、この会社の収益性と競争力は何れも低下していると判断できる。営業利益率(収益性)を犠牲にして価格面の優位性(競争力)を確保し売上を伸ばしている、という見方もできるが、価格競争は中小企業が目指してはならない経営戦略の一つである。なぜなら、中小企業は価格勝負で大手に勝てない上、ライバルに価格競争をしかけられたら瞬間に、不毛な消耗戦(資本勝負)に突入するからだ。消耗戦に突入すると、提供する商品等の品質と付加価値が自ずと低下する。更に需要の減少が進行し、会社経営が危機的状況に陥るリスクが高まる。従って、中小企業が収益性と競争力の強化を図るためには、常に、企業の果実の拡大(売上×利益率)を意識することが大切になる。【関連記事】低価格路線や低価格戦略の末路|価格戦略で失敗する会社経営目標の収益性は売上×利益率の最大化!!下図は、企業の果実の拡大例を表したグラフである。売上と営業利益率が上昇傾向にあり、企業の収益性と競争力が年々高まっていることが分かる。会社の収益性と競争力は「売上」だけでは判断できない。また「営業利益率」だけでも判断できない。売上と営業利益率を掛け合わせた企業の果実を把握することが、より正確な収益性と競争力の判定を可能にする。つまり、企業の果実の拡大を推進すると、経営基盤(収益性と競争力)が自ずと盤石になるのだ。
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  • 企業成長率の計算方法と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標
    企業成長率の計算方法と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標企業成長率とは、その企業がどの程度成長したかを客観的に示す経営指標のことだ。企業成長率が分かると、将来の業績推移を見通すことができるので、プラス成長は倒産リスクが低く、マイナス成長は倒産リスクが高い、といったことも容易に分かるようになる。企業は絶えず成長発展することが存続の条件であり、成長なき企業に待っているのは、衰退、或いは、会社倒産という残酷な結末しかない。企業成長率は会社経営の最重要指標といっても過言ではないので、ぜひ、理解を深め、日ごろから運用してほしい。この記事では、企業成長率の計算方法から適正水準(目安)に至るまで、詳しく解説する。企業成長率の計算に不可欠な3つの指標企業の成長を測定する指標は様々あるが、最も大切な指標は「売上・利益・現金」の3つの指標になる。企業は売上の源泉になる顧客なくして存続することができない。つまり、顧客創造、或いは、市場拡大を表す売上の成長なくして、企業の成長はあり得ない。さらに、売上だけ成長していても、会社の利益が増加しなければ、企業の存続は危ういものになる。事実、売上が成長している一方で利益が減少し、倒産の危機に瀕する企業は決して少なくない。加えて、売上と利益が共に成長していたとしても、会社の現金が増加しなければ、企業の存続は厳しいものになる。なぜなら、黒字経営であっても、現金がなくなると会社が倒産するからだ。事実、ある年の倒産企業の半数は黒字経営だった、というデータもある。企業成長率を計算するうえで「売上・利益・現金」、この3つの指標は欠かせない要素であり、どれか一つでも欠けると、正しい企業成長率の計算はできなくなる。企業成長率の計算方法企業成長率の計算方法は下記の通りである。企業成長率の計算式売上成長率 =〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100利益成長率=〔(当期営業利益高-前期営業利益高)÷前期営業利益高〕×100現金成長率=〔(当期現金残高-前期現金残高)÷前期現金残高〕×100例えば、当期売上高が10億円で前期売上高が9億円の場合の売上の企業成長率は、〔(10億円-9億円)÷9億円〕×100=11.11%になる。当期営業利益高が1億円で前期売上高が0.8億円の場合の利益の企業成長率は、〔(1億円-0.8億円)÷0.8億円〕×100=25%になる。当期現金残高が3億円で前期現金残高が2.5億円の場合の現金の企業成長率は、〔(3億円-2.5億円)÷2.5億円〕×100=20%になる。なお、各企業成長率の計算は、必ず年計の業績比較で行わなければならない。なぜなら、単月の業績比較だと、季節変動や特需に伴う業績の増減よって、実態とかけ離れた結果が出ることがあるからだ。各企業成長率の年計の業績比較計算は、決算を待たずとも、各業績の年計を毎月集計すれば容易に計算できるので、ぜひ試してほしい。企業成長率の適正水準(目安)中小企業の企業成長率の適正水準(目安)は下記の通りである。企業成長率の適正水準(目安)超優良水準 6~20%各企業成長率が6~20%の範囲内に収まっていれば超優良水準である。この水準で成長が持続すると、会社は着実に成長していき、現在の取り組みを積極的に継続展開すれば益々の企業成長が望める可能性が高い。なお、この水準で成長してる時は、会社のサービスを低下させないために、組織や経営管理面の体制強化を同時に進める必要がある。安全水準 0~5%各企業成長率が0~5%の範囲内に収まっていれば安全水準である。この水準で成長が持続すると会社経営は安定する。成長の前期、もしくは、成長の後期に、この水準に位置していることが多い。更なる企業成長を望める位置にあるので、新しい経営戦略と戦術を積極展開すれば、超優良水準へステップアップできる可能性がある。超優良水準からの降格であれば、新たな取り組みを検討する必要がある。準危険水準 ▲1~▲10%各企業成長率が▲1~▲10%の範囲内は準危険水準である。企業の成長が止まり、会社が衰退し始めている可能性が高い。対策としては、既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みが必要である。或いは、売上の減少を食い止めて、利益と現金を増やす戦略展開を積極化する必要がある。危険水準(1) ▲11~▲20%各企業成長率が▲11~▲20%の範囲内は危険水準である。企業の成長が完全に止まっている。既に、赤字経営に陥っていて、厳しい経営状況に陥っている可能性が高い。この水準まで企業成長率が落ち込んでいる場合は、真っ先に、会社のコストカットを行い、会社の黒字化を最優先しなければならない。黒字化した後、既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みを行い、売上の早期回復を図ることが危険水準を脱するコツである。危険水準(2) 21%以上各企業成長率が21%以上であれば危険水準である。企業の成長率は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。この場合、会社の収益面や財務面に問題はないが、組織や経営管理の体制に問題が生じる可能性がある。例えば、☑注文や発送対応が追いつかない☑商品製造や品質管理がキャパオーバー☑人員不足で業務の効率が著しく低下している等々、組織や経営管理の体制に綻びが出始めて、会社のサービスが低下し、客離れを引き起こすことがある。また、各企業成長率が20%を超える急激な成長は、特需やブーム等に乗った一時的なものかも知れない。このような急成長の最中に投資を加速すると、企業成長率が鈍ったときに人員が溢れたり、経費が賄えなかったり、操業度が落ちたり、等々、倒産リスクが高まる。会社が急成長した後に倒産するケースは稀に起こっている。会社が急成長した時ほど気を引き締めて、堅実な会社経営を心掛ける必要がある。超危険水準 ▲21%以下各企業成長率が▲21%以下であれば超危険水準である。会社は赤字経営で、現金も低水準で、資金繰りにも支障が出始めている。恐らく、倒産の可能性が極めて高い。この水準まで企業成長率が落ち込んでいる場合は、待ったなしで会社再建の手を講じる必要がある。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、会社の足を引っ張る部分を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれてしまう。会社が倒産すると経営者はもちろん、家族や社員、取引先も不幸にしてしまう。従って、各企業成長率が危険水準に陥った時点で、待ったなしで経営改善の手を講じなければならない。経営改善の着手が遅れると、時すでに遅しとなる。企業成長率を会社経営に活かすポイント企業成長率は、会社経営の最重要経営指標といっても過言ではない。なぜなら、企業成長に欠かせない「売上・利益・現金」の3つの指標の成長実態が明確になるからだ。企業成長率を日頃からモニタリングしていれば、「マイナス成長は経営改革の検討」を、「プラス成長であっても、行き過ぎたプラス成長は経営管理体制の見直し」を、というように、より良い成長環境を整えるための準備を先手先手で講じることが可能になる。また、企業成長率が分かれば、将来の倒産リスクを回避する対策も打ちやすくなる。普段から準備を怠ることなく会社の経営にあたっていれば、自ずと会社の成長、強いては、経営の成功がみえてくるものだ。企業成長率は、すべての経営者が活用すべき経営指標である。伊藤のワンポイント売上、利益、現金を絶えず伸ばすことが企業成長の基本原則です。売上は競争優位性、利益は付加価値、現金は資本効率、この3つのポイントを高める努力が成長を後押しします。どこかに弱み(手抜き)があると、そこが原因で企業が衰退しますので、常に3つのポイントを意識してください。
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  • 企業の付加価値の計算方法|収益性分析に用いる経営指標
    企業の付加価値の計算方法|収益性分析に用いる経営指標企業の付加価値は、いろいろな計算方法がある。単純に「売上」を付加価値と捉える見方もあるし、売上から仕入を差し引いた「売上総利益(粗利)」を付加価値と捉える見方もある。はたまた、売上から全ての諸経費を差し引いた「営業利益」を付加価値と捉える見方もある。どれも正しそうに見えるが、果たしてどうだろうか?そもそも、付加価値とは、ある「モノ」が有している価値と、それを生み出す元となった「モノ」の価値との差のことだ。例えば、100円のものを加工細工して500円で販売したとすると、粗利基準の付加価値は400円になる。しかし、粗利基準だと、モノを売るために費やした加工細工や販売までの手間暇(諸経費)が付加価値の計算に加味されない。これで正しい付加価値といえるだろうか?果たして、企業の付加価値は、どのように計算すれば良いのだろうか?企業の付加価値とは?企業の付加価値とは?と問われたら、やはり、手元に残る所得金額を企業の付加価値と捉えるのが一番自然な考え方だろう。付加価値の本来の意味である、『ある「モノ」が有している価値と、それを生み出す元となった「モノ」の価値との差』にも合致する。企業の付加価値を所得金額の大きさとすると、所得金額が多ければ付加価値の高い会社、所得金額が少なければ付加価値の低い会社となる。会社の所得金額は2種類にある。会社が社員に支払う「給与等(人件費)」の個人所得と、会社の法人所得である「営業利益(※1)」だ。つまり、人件費と営業利益の合計がその企業の所得金額であり、その企業の付加価値になる。企業の付加価値の計算式は下記の通りである。企業の付加価値=総人件費+営業利益※総人件費の集計は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象になる※付加価値に減価償却費を含める見解もあるが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資である。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではないと考える。企業の付加価値を数値化し、然るべき目標を掲げて、付加価値の拡大を推進すると、自ずと安定経営の基盤が整う。そして、企業の付加価値が大きくなるほど、景気や外乱の影響を受けにくい骨太な経営基盤が整う。なお、一般的には、企業の付加価値の金額が大きいほど、社員の給与水準と会社の利益水準が高くなる。※1 会社の法人所得は課税対象なので、本来、当期利益のことを指すが、付加価値の算定には会社の本業利益を示す営業利益を採用した方が実態が明確になるので、あえて営業利益としている企業の付加価値を会社経営に活かすポイント企業の付加価値を全て人件費として「ヒト」に支払えば、会社の営業利益は「ゼロ」になる。営業利益がゼロでは、成長投資に向けた貯蓄(内部留保)ができないので、会社の付加価値はバランスよく配分しなければならない。例えば、付加価値の一定額を必ず営業利益として確保し、その利益を元手に成長投資を加速すれば、会社の利益拡大と共に、会社の付加価値が更に増加する。付加価値が増加すれば、人件費の支払原資も増加するので、社員の報酬を無理なく引き上げることができる。一方、企業の付加価値が減少すると、社員の給与水準と会社の利益水準が低下し、会社の衰退リスクが高まる。このように、企業の付加価値は、会社の成長と衰退に直結する重要な経営指標になる。また、企業の付加価値を最大化するには、如何に少ない人員で付加価値を最大化するかを日頃から意識することが大切だ。なぜなら、利益を削って社員の報酬を増やしても、企業の付加価値は増えないからだ。利益の最大化を図りながら社員の報酬を増やす意識が、付加価値の最大化、つまり、会社と従業員の幸せを実現する秘訣になる。伊藤のワンポイント企業の付加価値は、社員の幸せと会社の幸せの両面を追及しながら拡大するのが正解です。どちらか一方に偏ると、会社経営に失敗します。また、会社全体だけでなく、社員一人当たりの付加価値を把握し、その付加価値を高める努力を継続すると、会社の経営基盤が一段と盤石になります。
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  • 社員一人当たりの付加価値の計算方法|労働付加価値を計る経営指標
    社員一人当たりの付加価値の計算方法|労働付加価値を計る経営指標社員一人当たりの付加価値とは、一人の社員が生み出す会社の付加価値のことだ。社員一人当たりの付加価値は、会社の労働生産性を計るうえで欠かせない、超重要な経営指標のひとつである。例えば、社員一人当たりの付加価値が高い会社は、社員一人当たりの収益性が優れているということなので、会社全体の生産性が非常に高いといえる。この記事では、社員一人当たりの付加価値の計算方法と適正水準について、詳しく解説する。社員一人当たりの付加価値で分かること社員一人当たりの付加価値は労働生産性を計る指標として活用できるが、単純に会社の付加価値を社員数で割るだけでは、正しい労働生産性は測定できない。なぜなら、社員数に社員の総労働時間を加えなければ、労働生産性の良否を正しく判定することができないからだ。正確な労働生産性を把握するためには、社員数に社員の総労働時間も加味した「社員一人一時間当たりの付加価値」を計算しなければならない。社員一人一時間当たりの付加価値とは、文字通り、一人の社員が一時間働いて生み出す会社の付加価値のことである。会社の付加価値は、手元に残る所得金額(総人件費と営業利益(※1))なので、社員一人一時間当たりの付加価値が分かると、会社の収益性のほか、労働生産性の良し悪しも判定することができる。つまり、社員一人一時間当たりの付加価値の高い会社は収益性と労働生産性が優れていて、付加価値の低い会社は収益性と労働生産性が劣っている、ということが分かる。※1 会社の法人所得は課税対象なので、本来、当期利益のことを指すが、付加価値の算定には会社の本業利益を示す営業利益を採用した方が実態が明確になるので、あえて営業利益としている一人一時間当たりの付加価値の計算式社員一人一時間当たりの付加価値の計算式は下記の通りである。社員一人一時間当たりの付加価値の計算式①付加価値=総人件費+営業利益②一人一時間当たりの付加価値=付加価値(①)÷総労働時間※総人件費を集計する際は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象となります。※総労働時間は役員、社員、全従業員の労働時間の合計です。※付加価値に減価償却費を含める見解もありますが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資です。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではありません。例えば、会社の付加価値が1億円で社員の総労働時間が10,000時間の場合、社員一人一時間当たりの付加価値は「1億円÷10,000時間」=1万円となる。会社の付加価値が5億円で社員の総労働時間が100,000時間の場合は、社員一人一時間当たりの付加価値が「5億円÷100,000時間」=5千円になる。一人一時間当たりの付加価値の適正判定社員一人一時間当たりの付加価値の適正判定について、解説する。社員一人一時間当たりの付加価値の適正判定は簡単で、「常に増加傾向」が、一人一時間当たりの付加価値の目指すべき目標であり、適正な状態である。なお、一人一時間当たりの付加価値は、会社の付加価値を社員の総労働時間で割るので、会社の付加価値が競合他社よりも多くても、人員と残業が多く労働生産性が劣っている会社は、一人一時間当たりの付加価値の水準が低下する。つまり、少ない人員と少ない労働時間の体制を確立したうえで、会社の付加価値を拡大しなければ、一人一時間当たりの付加価値は増加しない。少数精鋭体制に向いている中小企業が「一人一時間当たりの付加価値」を最大化することを目標に掲げると、自然と、骨太で力強い経営体質の会社に改善される。一人一時間当たりの付加価値が増えるメリット一般的には、一人一時間当たりの付加価値の金額が大きいほど、社員の給与水準と会社の利益水準が高くなる。従って、一人一時間当たりの付加価値の拡大を目標に掲げて経営改善を推進すると、自ずと安定経営の基盤が整う。また、一人一時間当たりの付加価値が拡大すれば、あらゆるヒト(関係者)へ支払う報酬金額も増加する。報酬が増額すれば会社の信頼感や求心力は益々高まり、報酬以上の能力を発揮する社員や関係者も増え、会社成長の好循環が生まれやすくなる。つまり、一人一時間当たりの付加価値は、会社の収益性と生産性が分かるだけでなく、会社の成長を後押しする有効な指標にもなり得るのだ。なお、一人一時間当たりの付加価値は、人時生産性(にんじせいさんせい)を計る経営指標でもある。人時生産性とは、労働生産性を計る経営指標の一つになるが、一定労働時間当たりの獲得収益を計算することで求めることができる。伊藤のワンポイント社員の労働生産性、或いは、社員の収益性を測定する指標として一人一時間当たりの付加価値は大変に有効です。労働の割に給与が上がらない、或いは、会社の利益が上がらない、といった症状が出ている会社は、この指標が悪化している可能性が高いですので、日頃からしっかりモニタリングしてください。
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  • 労働生産性の計算方法と向上方法|生産性分析に用いる経営指標
    労働生産性の計算方法と向上方法|生産性分析に用いる経営指標労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標である。労働生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。この記事では、労働生産性の公式・求め方・計算方法、並びに、労働生産性の適正判定から向上方法に至るまで、詳しく解説する。労働生産性とは?労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標のことである。労働生産性は、社員一人当たり、或いは、社員一人一時間当たりの収益(売上・粗利・営業利益等)、又は、会社が生み出す付加価値を求めることで計算できる。労働生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良く、常に「労働の投下」と「労働の投下に対応する収益」が対の関係にある。つまり、労働生産性が高い会社は少ない労力で大きな収益を、労働生産性の低い会社は、多くの労力で少ない収益を生み出していることになる。殆どの企業の最大コストは人件費になるので、社員の収益貢献度が分かる労働生産性は安定経営の必須指標といって過言ではない。例えば、会社の利益が拡大傾向にあったとしても、社員の労働生産性が悪化(低賃金・長時間労働等)していれば、持続的な成長発展は見込めない。会社の利益と共に労働生産性を高める経営姿勢が、持続的な成長発展を可能にする経営基盤を整えるのだ。労働生産性の基準になる人件費の計算労働生産性の計算は、労働の投下に該当する「人件費」と労働の投下に対応する収益に該当する「利益・付加価値」で求めることができる。利益は、売上・売上総利益(粗利)・営業利益・付加価値等の実績金額が基準になるが、人件費は、付随費用を加味しなければ、労働生産性を正しく計算することができない。例えば、下表は人件費の付随費用の一例になるが、社員ひとりの人件費に付随する費用は意外と多い。一般的に、社員を一人整理(解雇)すると、給与の1.5~2倍のコスト削減が図れる。つまり、社員一人の維持コスト(人件費)は、給与の1.5~2倍はかかるということだ。人件費の付随費用例人件費社員の給料である。通勤交通費、諸手当、残業代のほか、賞与等の臨時報酬も含まれる。法定福利費会社負担分の社会保険料である。会社は社員が負担すべき社会保険料の1/2の金額を負担しなければならない。福利厚生費社員用のアメニティー施設、社員優待制度の各種費用、社員旅行・社員行事の各種費用等、社員の福利厚生充実を図る費用が含まれる。研修教育費社員研修、勉強会等に費やす費用が含まれる。会議費・接待交際費社員と取引先との打合せ、接待や贈答等の費用が含まれる。旅費交通費社員の外出交通費、出張費などが含まれる。その他費用社員が仕事を行う上での電気代等の水道光熱費、デスクスペース等の地代家賃等などの付随費用もある。以上の通り、労働生産性の計算に用いる人件費には、様々な付随費用があり、これらの付随費用を含めた人件費を用いて労働生産性を計算しなければ、正しい結果は把握できない。労働生産性の計算式(付加価値ベース)労働生産性の計算式(付加価値ベース)について解説する。労働生産性は、社員一人当たり、或いは、社員一人一時間当たりの付加価値で求めることができる。労働生産性の計算式労働生産性=付加価値÷社員数労働生産性=付加価値÷総労働時間なお、付加価値は、総人件費に営業利益を加算することで計算できる。例えば、会社の総人件費が4億円で営業利益が1億円であれば付加価値は5億円になる。この会社の社員数が100名の場合、社員一人当たりの付加価値労働生産性は「5億円÷100名」=500万円になる。会社の付加価値5億円に対して、総労働時間が1万時間の場合は、社員一人一時間当たりの付加価値労働生産性は「5億円÷1万時間」=5万円になる。労働生産性の計算式(収益ベース)労働生産性の計算式(収益ベース)について解説する。労働生産性は、社員一人当たり、或いは、社員一人一時間当たりの収益で求めることができる。労働生産性の計算式労働生産性=収益÷社員数労働生産性=収益÷総労働時間なお、収益は、売上、売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益等の収益金額の実績が計算の基準になる。社員数は、正社員だけでなく、役員やパート等を含む総スタッフ数が計算の基準になる。総労働時間は、総スタッフの労働時間の合計が計算の基準になる。労働生産性の計算例(収益ベース)労働生産性の計算例(収益ベース)を解説する。労働生産性の計算基準は下表の通りで、社員一人当たりの労働生産性、並びに、社員一人一時間当たりの労働生産性の計算例を紹介する。労働生産性の計算基準収益データ売上10億円、粗利5億円、営業利益1億円/何れも月単位労働データ社員数100名、総労働時間1万時間/何れも月単位労働生産性の計算例(社員一人当たり)売上ベース10億円÷100名=1,000万円/一人当たり粗利ベース5億円÷100名=500万円/一人当たり営利ベース1億円÷100名=100万円/一人当たり労働生産性の計算例(社員一人一時間当たり)売上ベース10億円÷1万時間=10万円/一人一時間当たり粗利ベース5億円÷1万時間=5万円/一人一時間当たり営利ベース1億円÷1万時間=1万円/一人一時間当たり労働生産性の適正判定労働生産性の適正判定は以下の通りである。労働生産性の計算金額が増加傾向にあれば良好(適正)、労働生産性の計算金額が減少傾向にあれば悪化(要改善)ということになる。つまり、労働生産性の計算結果が増加傾向にある会社は労働生産性が高く、減少傾向にある会社は労働生産性が低いと判定できる。なお、労働生産性は、社員一人当たりよりも、社員一人一時間当たりで計算した方が、労働生産性の実態が把握できる。例えば、社員一人一時間当たりの労働生産性は、少ない人員と少ない労働時間の体制を確立した上で、会社の収益を拡大しなければ向上しない。つまり、社員一人当たりの労働生産性では見逃してしまう、人員過多や長時間労働の実態把握が可能になる。社員一人一時間当たりの労働生産性の向上を推進すると、自然と少数精鋭体制が確立されるので、人財が限られれている中小企業ほど活用してほしい。労働生産性の計算例(イベント編)労働生産性は、社員数や総労働時間から計算する方法の他に、社員一人ひとりの働き方に対する費用対効果を求めることで計算することもできる。例えば、日給2万円の社員2名が、AとBの2つのイベントに出店した場合の労働生産性(費用対効果)の計算事例を下表に解説する。夫々の前提条件は、人件費は付随費用含め一人当たり1.5倍、粗利率(売上総利益率)は50%、粗利高貢献利益率の採算ラインは50%以上とする。労働生産性の計算事例イベントAイベントB売上30万円20万円売上総利益15万円10万円人件費6万円6万円貢献利益9万円4万円貢献利益率60%40%労働生産性高い低い粗利高貢献利益率の採算ライン50%以上は、費用対効果を計算する際に、人件費しか把握できない時に活用できる採算基準になる。ご覧の通り、イベントAは採算をクリアしているので”労働生産性が高い仕事”、イベントBは採算割れしている”労働生産性が低い仕事”ということが分かる。このように、社員一人ひとりの働き方に対して費用対効果の検証を行う方法は、労働生産性の合理的計算を可能にすると共に、労働生産性の改善にも大いに役立つ。例えば、労働生産性の低い採算割れの働き方をピンポイントで改善することができれば、会社全体の労働生産性が一段と向上する。費用対効果の計算が、労働生産性の測定に繋がり、結果、社員の働き方を効果的かつ効率的に改善することができるのだ。労働生産性の向上方法作業の自動化や機械化に頼らずに労働生産性を上げるには、社員の働き方に潜んでいるムダムラを徹底的に排除することが有効になる。なぜなら、どんなに有能な社員であっても、仕事にムダやムラがあると、労働生産性低下の原因になり得るからだ。ムダムラとは、コストの垂れ流しなので、ムダムラの解消は、即、コストカットに繋がる。そして、コストカットは会社の収益アップに直結するので、自ずと、労働生産性も向上する。労働生産性の悪化を招く働き方のムダムラはあらゆる領域にあるが、「目標運用・情報共有・ブランド向上・やる気向上・仕事の仕組み化・責任感向上」などの取組みは、ムダムラの解消と労働生産性の向上に効果的だ。具体的な方法論は当サイト内の「会社の生産性を上げる実践ノウハウ」で詳しく解説している。労働生産性を会社経営に活かすポイント限られた人員、限られた能力、限られた戦力、限られた資金で勝負せざる得ない中小企業にとって、労働生産性ほど重要な経営指標はない。労働生産性の向上なくして安定経営の実現はあり得ない、といっても過言ではない。労働生産性を向上させるには、労働生産性(収益&付加価値)社員一人ひとりの働き方の費用対効果この2つの労働生産性指標を常にモニタリングし、分析結果をもとに、着実に経営改善に取り組む姿勢が労働生産性を向上させる確かな方法になる。伊藤のワンポイント労働生産性が高い企業は、高い競争優位性をキープすることができます。効率のよい労働体制で、高い収益の商品やサービスを提供することができるからです。企業の永続性を確立するためには生産性を高め続けることです。生産性の改善は、顧客や社員の利益拡大(幸せ拡大)を常に心掛けてください。
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  • 人時生産性の計算式と適正水準(目安)と向上方法|生産性分析に用いる経営指標
    人時生産性の計算式と適正水準(目安)と向上方法|生産性分析に用いる経営指標人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの収益性を評価する経営指標のことである。人時生産性(にんじせいさんせい)は、少ない人員且つ少ない労働時間で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。この記事では、人時生産性の計算式から基本の運用方法、人時生産性の向上方法に至るまで、詳しく解説する。人時生産性とは人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの収益性を評価する経営指標のことだが、人時生産性は最重要指標といって過言ではない。なぜなら、殆どの企業の最大コストは人件費であり、人件費の収益効率が低下すると競争の優位性が失われ、会社が衰退するからだ。従って、常に人時生産性をモニタリングし、人時生産性を高める努力なくして企業の成長はないと言える。人時生産性(にんじせいさんせい)は、少ない人員且つ少ない労働時間で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。そして、人時生産性は、常に、「労働の投下」と「労働の投下に対応する収益」が対の関係にある。つまり、人時生産性が高い会社は少ない人員且つ少ない時間で大きな収益を、人時生産性の低い会社は沢山の人員且つ沢山の時間で、少ない収益を生み出していることになる。例えば、会社の利益が増加傾向にあっても、残業増加や人員過剰で労働効率が悪化すると、人時生産性も自ずと悪化する。従って、人員数と労働時間のふたつの軸を意識しなければ、人時生産性の改善は困難を極める。人時生産性と労働生産性の違い人時生産性と似た指標に労働生産性がある。労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標だが、時間当たりの収益性を計算する人時生産性に比べて生産性の計算範囲が広くなる。人時生産性も労働生産性の範疇に入るが、この他にも、イベントや新規事業の採算性(労働の投下に対する収益性)、商品や事業部毎の採算性なども労働生産性の計算範囲になる。労働生産性は、採算割れの働き方や事業活動の収益改善に役立つ経営指標として活用できる。【関連記事】労働生産性の計算方法と適正判定法と向上方法人時生産性の計算式(求め方)人時生産性を計算するには、全従業員の労働時間と会社の収益を算定する必要がある。会社の収益には、付加価値、売上総利益、営業利益、経常利益と様々あるが、ここでは会社の本業の収益を示す「営業利益」を採用する。全従業員の労働時間は、役員、社員、パート等を含む、全従業員の労働時間の合計が計算の基準になる。営業利益ベースの人時生産性の計算式は下記の通りである。人時生産性=営業利益金額÷総労働時間なお、人時生産性の計算精度は、総労働時間の集計精度で決まるので、日ごろの勤怠管理を決して疎かにしてはならない。また、この他にも、売上ベース、売上総利益ベース、販売管理費ベースなど等、様々な指標をベースに人時生産性を計算することができる。※ご参考まで、人時生産性を人事生産性とする表記を稀に見かけるが、これは誤りである。人時生産性は人の時間当たりの生産性を測定する経営指標なので人時生産性が正しい表記である人時生産性の適正判定(目安)人時生産性の適正判定(目安)は、以下の通りである。人時生産性の計算金額が増加傾向にあれば良好(適正)、人時生産性の計算金額が減少傾向にあれば悪化(要改善)ということになる。人時生産性を計算すると、会社の収益性や労働生産性だけでなく、社員の増員戦略・現場の生産性・会社の拡大戦略などの良し悪しも分かるので、日常的に運用することをお薦めする。なお、人時生産性がマイナス金額だと、赤字経営ということになる。社員が1時間働くたびに、借金の額が増加している状態を表すので、早急に経営改革の手を打たなければならない。【関連時期】中小企業の改善事例・成功のポイント人時生産性の業界基準(目安)人時生産性の業界基準(目安)は、労働分配率をベースに判定すると分かりやすい。例えば、労働分配率の高いコールセンターなど、労働集約型の業界の人時生産性は低い傾向にあり、労働分配率の低い製造業など、資本集約型の業界の人時生産性は高い傾向にある。労働分配率に関しては「労働分配率の計算式と適正水準」で解説しているので、参考にしてほしい。人時生産性の業界基準(目安)について、それぞれ詳しく解説する。人時生産性が低い業種「コールセンター」人時生産性が低い水準の労働集約型の代表例は「コールセンター」である。コールセンターの運営には沢山の人員(電話オペレーター)が必要な反面、その他の費用はさほどかからない。なぜなら、拠点は地代(家賃)の安い地方が多く、地代家賃以外の経費も電話通信費以外は大してかからないからだ。このように、人件費以外の費用に比べて、人件費の費用割合が著しく大きいのが、労働集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、人時生産性が低くなる。人時生産性が高い業種「製造業」人時生産性が高い水準の資本集約型の代表例は、無人化が進んでいる「製造業」である。無人化が進んでいる製造工場は、監督する人間が少なく済み、殆どが機械任せの運営になるが、一方で、人件費以外の費用はたくさんかかる。例えば、機械のリース代やメンテナンス費用、減価償却費用、などである。このように、人件費以外の費用に比べて、人件費の費用割合が著しく小さいのが、資本集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、人時生産性が高くなる。人時生産性が高い業種「美容サロン等」人時生産性が高い水準の資本集約型の代表例として、「美容サロン等」のサービス業も挙げられる。なぜなら、利便性の高い駅近で競争を強いられる美容サロン等のサービス業は、地代相場が高い駅近のテナントに入居するケースが多く、テナント料のほか、多額の広告宣伝費や設備代など等、人件費以外の費用が多くかかるからだ。このように、美容サロン等は、人件費よりも、人件費以外の経費が多くかかる資本集約型の特徴を持っていて、人時生産性が高くなるケースが多い。美容サロンのほか、ブランドショップ、アパレルショップ、不動産屋、駅近飲食店、歯科医院、弁護士事務所なども資本集約型の産業に近く、人時生産性が高いケースが多い。人時生産性が標準の業種「スーパー等小売業、飲食店、卸売業等」人時生産性が標準の業種は、労働集約型と資本集約型のバランスが中間に位置する、スーパー等小売業、飲食業、卸売業などである。このような産業は、標準的な労働分配率をキープしつつ、人時生産性を高めることが業績改善の正攻法になる。労働分配率が標準より高い場合は、人件費の割に収益が少ないか、収益の割に人件費が多いか、のどちらかの状態に陥っているということなので、人時生産性の改善を進めることが必要である。【関連記事】「労働分配率の計算式と適正水準」人時生産性の改善ポイント人時生産性の改善ポイントは、以下の通りである。人時生産性は営業利益を全社員の総労働時間で割るので、営業利益が競合他社より優れていても、残業増加や過剰人員で労働生産性が劣っている会社は、人時生産性の水準が低下する。つまり、少ない人員と少ない労働時間の経営体制を確立したうえで、営業利益を拡大しなければ、人時生産性は改善しないのだ。少数精鋭体制に向いている中小企業が、人時生産性の最大化を目標に掲げると、自然と、骨太な経営体質に改善されていくので有効に活用してほしい。【関連記事】人件費と人件費率の計算と理想の目安人時生産性を計算するうえでの注意点!!人時生産性を計算するうえで、ひとつ注意点がある。それは、人時生産性で社員の働き方、或いは、社員の能力を評価する場合は、前章で紹介した営業利益ベースで計算しなければならない、ということだ。例えば、下表のような損益状況の2つの店舗があったとする。(金額単位:千円)売上営業利益総労働時間A店舗15,000▲1,000(赤字)1,500B店舗10,0001,000(黒字)1,500夫々の店舗の「売上」と「営業利益」の人時生産性は下表の通りである。(金額単位:円)売上ベース営業利益ベース判定A店舗10,000▲667社員が働くほど赤字金額が膨らむので会社への貢献度は低いB店舗6,667667社員が働くほど会社の利益が増えるので会社への貢献度が高い会社の生存を担保する要素は売上ではなく「利益」である。従って、人時生産性で社員の働き方、或いは、社員の能力を判定する場合は営業利益ベース(会社への利益貢献度)で判定しなければならない。もしも、売上ベース一辺倒で人時生産性の評価を行ってしまうと、黒字経営のB店舗の店長よりも、赤字経営のA店舗の店長の方が優れているという結果が出てしまう。当然ながら、会社への利益貢献度が高かったB店舗の店長が、自身の評価に不満を感じて会社を去ってしまったら大事な人財を失う羽目になりかねない。このように、人時生産性の計算は目的に応じて使い分けないと、会社経営の足を引っ張ることがあるので注意が必要だ。人時生産性を向上させる方法中小企業が人時生産性を改善するには、社員の働き方のムダムラを徹底的に解消するか、収益を増加させるかの二択しかない。社員の働き方のムダムラは、言ってみれば利益の垂れ流しなので、ムダムラの解消は、即、利益改善(収益アップ)と人時生産性の向上に繋がる。人時生産性の悪化を招く働き方のムダムラはあらゆる領域にあるが「目標運用・情報共有・ブランド向上・やる気向上・仕事の仕組み化・責任感向上」などの取組みは、ムダムラの解消と人時生産性の向上に効果的だ。具体的な方法論は「会社の生産性を上げる実践ノウハウ」で詳しく解説しているので参考にしてほしい。どんなに有能な社員であっても、仕事をしていなければムダムラの原因になり得るので、客観性と公平性を持った視点が、人時生産性を向上させる優れたアイデアを生み出す秘訣になる。【関連記事】中小企業の生産性を上げる方法人時生産性はコスト管理の最重要指標人時生産性はコスト管理の最重要指標である。なぜなら、会社のなかで最大のコストが人件費だからだ。人時生産性は、効率的な人員配置や人員投下の適性判断の基準指標、或いは、人件費と収益のバランスコントロールの基準指標になるので、コスト管理に欠かせない重要指標といえる。人時生産性の運用次第で、会社経営の明暗が分かれる場合もあり得るので、しっかり運用したい指標でもある。なお、人時生産性で人件費等のコストを管理することの重要性は、社員に付随するコストを考えれば自ずと理解できる。下表は、社員に付随するコスト例である。社員に付随するコスト例人件費社員の給料である。通勤交通費、諸手当、残業代のほか、賞与等の臨時報酬も含まれる。法定福利費会社負担分の社会保険料である。会社は社員が負担すべき社会保険料の1/2の金額を負担しなければならない。福利厚生費社員用のアメニティー施設、社員優待制度の各種費用、社員旅行・社員行事の各種費用等、社員の福利厚生充実を図る費用が含まれる。研修教育費社員研修、勉強会等に費やす費用が含まれる。会議費・接待交際費社員と取引先との打合せ、接待や贈答等の費用が含まれる。旅費交通費社員の外出交通費、出張費などが含まれる。その他費用社員が仕事を行う上での電気代等の水道光熱費、デスクスペース等の地代家賃等などの付随費用もある。以上の通り、社員ひとりに付随するコストは意外と多い。一般的に、社員を一人整理すると、ひとりの人件費の1.5~2倍のコストダウンが図れる。つまり、社員一人当たりの維持コストは、当該人件費の1.5~2倍のコストが費やされていることになるのだ。このことからも、人時生産性で人件費等のコストを管理することの重要性と、人時生産性が会社の利益水準を左右する重要な経営指標であることが分かると思う。伊藤のワンポイント人時生産性は安定経営に欠かせない重要指標です。人時生産性が分かると組織運営の悩みが緩和されるだけでなく、会社経営の肝となる収益性や競争力の分析・目標基準も明快になります。また、拡大経営や成長投資の失敗リスクを低減する効果もあるので、日頃からモニタリングすることが大切です。
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  • 売上ABC分析方法|販売効率と貢献度分析に用いる経営指標
    売上ABC分析方法|販売効率と貢献度分析に用いる経営指標売上ABC分析とは、会社の販売先を貢献度に応じて優劣をつける分析方法のことだ。売上ABC分析は、売上の良否を判定するだけに止まらず、あらゆる経営分析に応用できるので、中小企業経営者が覚えておきたい分析手法のひとつである。この記事では、主に販売効率と貢献度分析に用いる売上ABC分析方法について、詳しく解説する。売上ABC分析の基本売上ABC分析を行う上で、まず抑えるべきポイントは、売上ABC分析の基準になり得る「20:80の法則」だ。20:80の法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則で、パレートの法則ともいう。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論のことで、売上ABC分析に欠かせない法則になる。例えば、会社の8割の売上を、上位2割の販売先が生み出している、或いは、会社の8割の収益を、2割の優秀な社員が生み出しているなど、あらゆる方面で20:80の法則が当てはまると云われている。売上ABC分析は、販売先の売上を貢献度に応じてA・B・Cの三段階にランク分けし、営業効率、強いては、経営効率を高めるために行う分析だが、このランク分けに用いる基準が「20:80の法則」になる。売上ABC分析の具体例販売先の売上ABC分析は、下表の4項目について、一定のルールに則り作表(分析)する方法が基本になる。売上ABC分析の作表ルール記入項目記入ルール販売先売上上位順に販売先の社名を記入する売上売上上位順に販売先の売上金額を記入する売上構成比率売上構成比率=(販売先の売上÷全体の売上合計)×100累計構成比率売上上位順に、構成比率を累計記入する売上ABC分析の作表例(分析例)販売先売上売上構成比率累計構成比率ABC判定あ社500万円50%50%Aい社300万円30%80%Bう社40万円4%84%Cえ社40万円4%88%Cお社30万円3%91%Cか社30万円3%94%Cき社20万円2%96%Cく社20万円2%98%Cけ社10万円1%99%Cこ社10万円1%100%C合計1,000万円100%--売上ABC分析の判定方法売上ABC分析の良否は累計構成比率を用いて判定する。売上ABC分析の判定A判定(優良)売上ABC分析表の累計構成比率50%到達までをA評価とする。稼ぎ頭なので、経営資源を集中させて、販売を伸ばすための営業を積極展開する。B判定(準優良)売上ABC分析表の累計構成比率51%~80%到達までをB評価とする。A評価にランクアップするように営業を展開する。C判定(貢献度低い)売上ABC分析表の累計構成比率81%~100%到達までをC評価とする。成長の見込みが低い販売先なので、営業攻勢を停止する。但し、将来的にB評価、或いは、A評価にランクアップする見込みがある販売先に対しては営業展開を継続する。※上記基準でABC分析の判定を行うと「20:80の法則に合致」し、なお且つ、販売貢献度の実態とも合致することが多い※業種業態によっては上記基準に合致しない場合がある。合致しない場合は、独自基準を設定して判定することなお、販売先毎の売上総利益率が一定であれば「売上」をABC分析の判定対象に採用して問題ないが、販売先毎に売上総利益の水準が区々の場合は、「売上総利益」をABC分析の判定対象に採用しなければならないので留意してほしい。ABC分析で8割の収益を稼ぐ優良(A判定)と準優良(B判定)の販売先が明確になると、営業資源の投入判断が正確になり、より効率的かつ効果的な営業展開が実現でき、費用対効果が高くなる。当然ながら、営業の費用対効果が高まれば、会社の収益力は一層改善される。売上ABC分析は中小企業の経営分析に幅広く応用できるので、様々な領域の経営分析に活用して、経営効率の改善に役立ててほしい。伊藤のワンポイント売上ABC分析は、営業効率(低コスト高収益化)を高める為の必須スキルです。赤字取引等の特定も容易にできるので、赤字取引等の混入率が高い損益管理が曖昧な会社ほど、ABC分析を積極活用してほしいです。また、ABC分析はあらゆる面に応用ができ、うまく使いこなすと会社全体の経営効率を最適化することもできます。
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  • 売上占有率(構成比率)の計算式と適正水準|販売先のリスク管理指標
    売上占有率(構成比率)の計算式と適正水準|販売先のリスク管理指標売上高占有率(構成比率)とは、会社全体の売上高を占める販売先毎の売上高占有率(構成比率)のことである。売上高占有率(構成比率)は、販売先のリスク管理に欠かせない指標であり、日常的にモニタリングすることで販売リスクを軽減することができる。この記事では、売上占有率の計算式と適正水準、並びに、販売先のリスク管理の基本について、詳しく解説する。売上高占有率(構成比率)とは?売上高占有率(構成比率)とは、会社全体の売上高を占める販売先毎の売上高占有率(構成比率)のことで、販売先のリスク管理に用いる経営指標になる。中小企業は販売先毎にリスク管理を行わないと、思わぬところで倒産の危機を迎えることがある。販売先のリスク管理の指標は、売上高占有率(構成比率)の他にも、与信リスク、品質リスク、市況リスクなど等、様々あるが、最も重要視すべき指標は「売上高占有率(構成比率)」になる。中小企業においては、売掛金の貸し倒れに伴う連鎖倒産が、最たる販売リスク(衰退リスク)になるからだ。売上高占有率(構成比率)の計算式売上高占有率(構成比率)は、販売先のリスク管理(特に連鎖倒産のリスク管理)に欠かせない指標であり、日常的にモニタリングすることで販売リスクを軽減することができる。売上高占有率(構成比率)の計算式は下記の通りである。売上高構成比率(占有率)=(販売先の売上高÷会社全体の売上高)×100例えば、会社全体の売上高が1,000万円で、会社全体の内、ある販売先が100万円の売上高であった場合、その会社の売上高占有率(構成比率)は、100万円÷1,000万円×100=10%になる。なお、販売先毎の売上総利益率が一定であれば「売上高占有率(構成比率)」で問題ないが、販売先毎に売上総利益率の水準が区々の場合は、「売上総利益高占有率(構成比率)」で計算した方がよい。売上高占有率(構成比率)の適正水準売上高占有率(構成比率)の適正水準(連鎖倒産等のリスク判定基準)は下記の通りである。売上高占有率(構成比率)の適正水準5%以下全ての販売先の売上高占有率(構成比率)が5%以下であれば、超優良水準といえる。販売先のリスク分散が万全なので連鎖倒産の危険性は極めて低い。6~10%売上高占有率(構成比率)が6~10%の中に販売先が数社入っている程度であれば標準水準といえる。但し、4社以上ある場合は、連鎖倒産の危険性がある。なるべく5%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。11~20%売上高占有率(構成比率)が11~20%の中に販売先が1社でも入っているようであれば要改善である。連鎖倒産の危険性があるので、速やかに10%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。20%以上売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要だ。連鎖倒産の危険性が極めて高いので、早急に販売先の新規開拓、新商品の投入等の対策を講じる必要がある。万が一、課題を先送りして、当該販売先が消滅、或いは、倒産すると連鎖倒産が現実のものになる。売上高占有率(構成比率)がリスク管理の指標になる下請け構造の中小企業は、少数の大口販売先によって経営が成り立っている会社が多い。しかし、会社全体の売上の大部分を少数の大口販売先に依存し過ぎると、会社の倒産リスクが高まる。例えば、大口販売先の倒産が引き金になり会社が倒産することを「連鎖倒産」というが、連鎖倒産の危機を含んでいる中小企業はじつに多い。大口販売先の取引が消滅すると、正常な会社経営が出来なくなるほどの打撃を受け、一瞬で会社経営が行き詰まる。こうした連鎖倒産のリスクを解消するには、販売先毎に売上高占有率(構成比率)を把握し、大口販売先の依存度を下げる努力が欠かせない。リスクヘッジを怠ると、会社の衰退リスクが高まる一方になる。日頃から先見性をもって現状を分析し、将来リスクを摘み取る努力を継続してれば、会社の衰退リスクを抑える事ができる。会社経営は時には臆病な面も必要で、販売先のリスク分散を行うことが安定経営の秘訣になる。伊藤のワンポイント販売先のリスク管理は経営者の重要な仕事です。この記事で解説した売上高構成比率の他にも、赤字取引を防ぐ利益分析、モラル違反を防ぐ品質・倫理管理、将来リスクに対応する経営課題分析なども、リスクヘッジに不可欠な管理です。衰退する企業ほどリスク管理が不十分です。決して手を抜かないでください。
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  • 本部経費の公平な配賦方法と配賦基準|損益管理に用いる経営指標
    本部経費の公平な配賦方法と配賦基準|損益管理に用いる経営指標本部経費とは、主に管理部門の経費のことである。営業部門が複数ある場合は、管理部門である本部経費と、営業部門の直接経費を分別集計しないと、営業部門の真の利益が見えなくなる。この記事では、本部経費の集計と、本部経費の公平な配賦方法と配賦基準について詳しく解説する。本部経費の集計と配賦手続きとは?本部経費とは、主に管理部門(収益を生み出さない間接部門)の経費のことである。本部経費の集計は、収益を生み出さない総務や経理等の管理部門のほか、会社経営や営業部門を間接的にサポートしている役員の人件費や開発部門等の経費も対象になる。集計された本部経費は、最終的には営業部門に負担させることになるが、この本部経費を営業部門に負担させる計算手続きのことを「本部経費の配賦」という。本部経費の配賦は公平かつ合理的な方法で行わなければならず、なお且つ、本部経費の配賦方法と基準は一定でなければならない。なぜなら、毎回、配賦方法と基準が区々では、営業部門の損益を公平に算定、或いは、公平に判定・評価することができなくなるからだ。当然ながら、各営業部門の経費集計が不明瞭では、正しい損益を把握することはできず、経営判断を誤るリスクと共に、会社衰退のリスクが高まるばかりとなる。つまり、複数の営業部門がある企業において、正しい本部経費の集計と配賦なくして、正しい会社経営は出来ないのだ。中小企業の本部経費の配賦方法中小企業に適した本部経費の配賦方法はいくつかある。この記事では特に公平性の高い「粗利比率・社員比率・床面積比率」の3つの配賦方法を紹介する。それぞれの本部経費の配賦方法と基準について、詳しく解説する。粗利比率で本部経費を配賦する方法粗利構成比率を基準に本部経費を配賦する方法について、詳しく解説する。粗利とは、売上総利益のことだが、粗利構成比率で本部経費を配賦する方法は最も一般的な配賦基準である。例えば、5つの営業部門があり、本部経費が100万円であれば、本部経費の配賦は下表の通りになる。A事業B事業C事業D事業E事業粗利構成比率10%15%20%25%30%本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円売上総利益の金額の構成比率が大きいということは、それだけ本部のサポート貢献度も大きいといえるので、売上総利益の構成比率を用いて本部経費を配賦する方法は公正かつ合理的な基準といえる。社員比率で本部経費を配賦する方法所属社員数の構成比率を基準に本部経費を配賦する方法について、詳しく解説する。例えば、5つの営業部門があり、本部経費が100万円であれば、本部経費の配賦は下表の通りになる。A事業B事業C事業D事業E事業社員構成比率10名15名20名25名30名本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円所属社員数の構成比率が大きいということは、それだけ本部のサポート貢献度も大きいといえるので、所属社員数の構成比率を用いて本部経費を配賦する方法も公正かつ合理的な基準といえる。床面積比率で本部経費を配賦する方法床面積の構成比率を基準に本部経費を配賦する方法について、詳しく解説する。例えば、5つの営業部門があり、本部経費が100万円であれば、本部経費の配賦は下表の通りになる。A事業B事業C事業D事業E事業床面積構成比率10坪15坪20坪25坪30坪本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円床面積の構成比率を配賦基準にする場合、各営業部門が同一地域であれば差ほどの不公平感は出ないが、各営業部門が都市部と地方に分かれている場合は、坪単価に差が生じるので不公平感が出てしまう。同一地域で展開する小売業などは床面積を基準して本部経費を配賦して差し支えないが、営業地域が広く分かれている場合は、粗利か所属社員数で本部経費を配賦した方が公平な配賦基準になる。本部経費の配賦をしない例外パターン本部経費の配賦をしない例外パターンについて、詳しく解説する。本部経費の営業部門への配賦は、正確な事業損益を把握するために欠かせないが、営業部門が赤字で、なおかつ、以下のようなケースに該当する場合は配賦しない判断もあり得る。当該赤字部門の黒字化に時間がかかる一定期間経過後に当該赤字部門の閉鎖等を検討している営業部門が赤字で、黒字化に時間がかかる、或いは、閉鎖を検討している場合は、本部経費を無理に配賦しない経営判断もあり得る。デメリットは、過去データとの比較の際に整合性が崩れることだが、1年経過後にズレが解消されるので特段気にする必要はない。また、他部門との収益比較がアンフェアになるデメリットもあるが、赤字部門は黒字化に全集中することが第一なので、割り切って考えた方が良い。健全部門は本部経費の負担が重くなるが、クリアしなければならない課題だと思って、業績改善に努めることが大切になる。営業部門と管理部門は一心同体!!!稀に営業部門と管理部門が仲違いしている会社があるが、そのような諍いは会社の足を引っ張るだけなので改めた方がよい。なぜなら、管理部門は営業部門がなければ報酬を得られないが、営業部門は管理部門のサポートがなければ売り上げを作ることができないからだ。お互い同じ会社の社員として外に目を向けて仕事をしなければ、会社は成長しない。そもそも、経営者自身が、管理部門と営業部門の立場を深く理解していれば、部門同士の仲違いは起こり得ない。日頃からお互いの部門を労う気遣いも、中小企業経営者の大切な仕事だ。伊藤のワンポイント本部経費の正確な集計と公平な配賦基準は、正しい部門別損益を把握するうえで不可欠です。日頃から正しい部門別損益を把握している会社は、業績悪化の芽を早く摘み取ることができます。一方、部門別損益が曖昧な会社は、業績悪化の原因が特定できないまま、衰退の一途を辿ることが多いです。
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  • 役員報酬の決め方|中小企業の公平な報酬相場を計算する方法
    役員報酬の決め方|中小企業の公平な報酬相場を計算する方法中小企業問わず、全ての法人の役員報酬の決め方には法的なルールが敷かれている。しかし、役員報酬を決める社内ルール、或いは、役員報酬の相場に関するルールは特段なく、その不透明さが原因で、社長の悩みや社員の不満を招いているケースもある。この記事では、役員報酬の基本的な決め方、役員報酬の税額シミュレーション、並びに、中小企業の公平な役員報酬相場を計算する方法について、詳しく解説する。役員報酬の基本の決め方役員報酬の決め方には、法的(主に税法)なルールが敷かれている。役員報酬の金額は「定額同額支給・期首から3ヶ月以内に決定」、役員報酬の決定手続きは「株主総会の決議・社会保険や住民税等の源泉徴収手続き」が基本ルールになっている。まず、役員報酬の金額は、税法によって定期同額支給と定められているので、役員報酬の支払金額は事業年度の期中で変更することができない。なぜ期中変更ができないかというと、期中での変更を認めると恣意的な利益操作が出来てしまうからだ。たとえ、期中で役員報酬の金額を増減変更したとしても、原則、全て税法で否認(※1)されるので、その増減分の役員報酬は経費で認められない。そして、役員報酬の支給金額の変更は予め株主総会の決議で決定する必要があり、支給金額の変更時期は事業年度開始、期首から3カ月以内と決まっている。また、役員報酬の金額が決まったら、社会保険や源泉徴収の諸手続きを行うことも忘れてはならない。なお、役員報酬の上限額は法的には定められていないが、明らかに不当に高額な役員報酬に関しては、税務署から否認されることがある。※1 否認とは費用として計上が認められないということ。例えば、会社が100万円を経費計上していても税務署に否認されたら、100万円は経費にならず、利益、いわゆる所得としてみなされ、その所得に課税される役員報酬の相場と決め方の実態中小企業の役員報酬の相場と決め方の実態は様々ある。一般的には、社長の役員報酬は月額100万円、役員報酬の決め方は社長の独断が多い。そして、多くの中小企業は、オーナー兼社長であることが一般的なので、役員報酬の決め方や相場に関する社内ルールはない。そもそも、会社のオーナーは、自身の役員報酬の金額を自由に決定することができる。(夫婦で役員を務めている場合は、かなり高額な役員報酬を手にすることも可能になる)また、オーナーの持ち株比率が100%であれば、第三者に対する経理帳簿の開示義務がないので、他人に詮索されることなく、際限なく役員報酬を引き上げることもできる。このような背景もあり、大概の中小企業経営者は、法人税と所得税の税額(税負担)をシミュレーションしながら、独断で役員報酬の金額を決めているケースが圧倒的に多い。役員報酬の税額シミュレーション役員報酬を決める判断基準の一つに税額シミュレーションがある。役員報酬に課せられる所得税は累進課税で最大税率45%、一方の、法人所得(当期純利益)に課せられる法人税の実効税率は約30%である。下表は、役員報酬の金額に応じた所得税率の早見表になるが、ご覧の通り、役員報酬の課税所得が1,800万円を超えると、中小企業の実効法人税よりも税負担が重くなる。課税所得金額税率控除額195万円以下5%0円195万円超え 330万円以下10%97,500円330万円超え 695万円以下20%427,500円695万円超え 900万円以下23%636,000円900万円超え 1,800万円以下33%1,536,000円1,800万円超え 4,000万円以下40%2,796,000円4,000万円超え45%4,796,000円(2021年10月現在の所得税率表)オーナー社長の場合は、役員報酬を際限なく引き上げることができるが、税負担を軽くして会社に財産を残すか、或いは、税負担を重くして個人財産を増やすかの選択は、役員報酬を決める一つの基準になる。不透明な役員報酬の決め方が招く弊害中小企業は、役員報酬の決め方の自由度が高い分、決め方なり相場感に不透明さが残る。不透明な役員報酬の決め方が招く弊害は様々あるが、社員のモチベーション低下等は典型になる。また、高額な役員報酬を貰うことで行き過ぎた節税に固執していると成長投資が鈍化する弊害もある。社員のモチベーション低下と成長投資の鈍化は、安定経営を阻害する極めて危険な衰退リスクになる。一代限りの会社経営であれば問題ないが、会社の永続性を確立する気のある経営者であれば、役員報酬の決め方や相場の透明性を高め、健全な経営基盤を整える意識を持つことが大切だ。中小企業の公平な役員報酬相場の計算方法中小企業の公平な役員報酬相場を計算するには、何かしらの報酬分配基準が必要になる。役員報酬の分配基準があれば、役員報酬の決め方の透明性が高まるだけでなく、自身の役員報酬の妥当性を検証することできるし、社員に対しても役員報酬の公平性を示すことができる。役員報酬の分配基準としておススメの指標は「付加価値配分比率」になる。付加価値とは、役員と社員の報酬原資のことで、総人件費+営業利益で計算することができる。この付加価値を一定の配分比率に応じて、役員と社員の間で公平に分配することができれば、役員と社員の間に公平な報酬決定の計算ルールが確立できる。付加価値配分比率を活用して役員報酬を決める場合は、第一に会社の付加価値金額を求める必要がある。付加価値の計算式付加価値=総人件費+営業利益※総人件費を集計する際は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象になる※付加価値に減価償却費を含める見解もあるが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資である。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではないと考える【関連記事】会社の付加価値の計算方法と拡大方法公平な役員報酬を決める計算方法(ケース1)会社の付加価値を「付加価値分配比率」に応じて、公平な役員報酬を決める具体的計算方法を詳しく解説する。例えば、下記のような損益比率の会社があったとする。売上総利益総人件費その他経費営業利益100%40%50%10%この会社の付加価値は、総人件費40%+営業利益10%で、売上総利益の50%相当になる。この場合の役員と社員の付加価値配分比率の適正基準は以下の通りになる。社員60% : 役員40%この適正基準を用いて付加価値の配分を計算すると、社員:付加価値50%×60%=30%役員:付加価値50%×40%=20%となり、会社の付加価値50%を、社員30%:役員20%で分配することになる。役員の場合は、さらに、20%を役員報酬(10%)と会社利益(10%)に分配するので、役員の最終的な報酬は、付加価値の10%が妥当かつ適正な金額ということになる。(20%を総取りすると利益がゼロになるので最低でも折半する事)例えば、付加価値が5億円であれば、5億円×10%で、役員の報酬は5千万円、付加価値が10億円であれば、10億円×10%で、役員の報酬は1億円になる。公平な役員報酬を決める計算方法(ケース2)公平な役員報酬を決める具体的計算方法を、別のケースで詳しく解説する。じつは、この付加価値配分比率の適正基準は、会社の損益の内容と共に変化する。例えば、人件費の割合が高い労働集約型の会社で、下表のような損益比率の会社があったとする。売上総利益総人件費その他経費営業利益100%70%20%10%この会社の付加価値は、総人件費70%+営業利益10%=売上総利益の80%相当になる。この場合の役員と社員の付加価値配分比率の適正基準は以下の通りになる。社員75% : 役員25%この適正基準を用いて付加価値の配分を計算すると、社員:付加価値80%×75%=60%役員:付加価値80%×25%=20%となり、会社の付加価値80%を、社員60%:役員20%で分配することになる。役員の場合は、さらに、20%を、役員報酬(10%)と会社利益(10%)に分配するので、役員の最終的な報酬は、付加価値の10%が、妥当かつ適正な金額ということになる。(20%を総取りすると利益がゼロになるので最低でも折半する事)先の例と同じく、付加価値が5億円であれば、5億円×10%で、役員の報酬は5千万円、付加価値が10億円であれば、10億円×10%で、役員の報酬は1億円になる。このように、付加価値配分比率を活用して役員報酬を計算すると、会社の付加価値の増減に関わらず、社員と経営者の間に公平な報酬分配の仕組みが作れる。役員報酬決定の公平性と透明性を保つには、ベストの計算方法といえるので、自社に適した「付加価値分配比率」を探って、運用してみてほしい。計算上の注意点この計算方法で算定した役員報酬金額は、経営者ひとりの役員報酬ではなく、取締役(経営陣)全員の役員報酬の総額を意味している。また、目標営業利益水準によって適正な付加価値分配比率が変わるので、その点、留意してほしい。役員報酬の基準になる付加価値配分比率表役員報酬の基準となる役員と社員の付加価値配分比率の適正表(目標営業利益=粗利高営業利益率10%)は下表の通りになる。利益水準、並びに、会社の労働分配率に応じて、役員と社員の適正な付加価値配分比率が変わるので、その点、留意してほしい。付加価値100100100100100社員7571676050役員2529334050人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型労働分配率70%60%50%40%30%【関連記事】労働分配率の計算式と適正水準役員報酬と社員給与の上限バランスは?付加価値配分比率を基準にした役員報酬の計算方法を紹介したが、最後に、役員報酬と社員給与の上限バランスについて解説する。会社に大きな利益をもたらしたからといって、際限なく役員報酬の上限を引き上げても良いのかというと、答えは否である。なぜなら、役員と社員の報酬格差が大きくなりすぎると、嫉妬や妬みなどの不平不満が蔓延し、経営者の求心力が著しく低下するからだ。一般的には、役員と社員の報酬格差が20倍を超えると、役員報酬に対する社員の不平不満が生じやすくなると云われている。従って、役員報酬の上限は、社員の最低年収が250万円であれば、役員報酬(同族会社の場合は役員家族の報酬総額)5,000万円以下という金額が、上限バランスの適正ラインになる。一方の社員給与は、年齢の20倍を上限にすると、報酬に対する満足感が最もピーク値に近づくと云われている。従って、社員給与の上限は、社員の年齢が30歳であれば、年収600万円という金額が、上限バランスの適正ラインになる。役員と社員の双方が満足のいく報酬を手にするには、一致団結して、報酬の源泉となる会社の付加価値を拡大することが大切だ。伊藤のワンポイント役員報酬を何となく決めている中小企業は多く、月額百万円という役員報酬が相場的に一番多いです。実は、合理的計算ルールのない役員報酬が原因で、利益減少や社内不和に陥る会社は少なくありません。社員との人件費バランスの悪化や成長投資の鈍化を招くからです。私欲抑制のためにも、客観的基準を掲げてみてください。
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  • 持株比率(出資比率)の計算方法と株主権利(支配権)|経営リスクの管理指標
    持株比率(出資比率)の計算方法と株主権利(支配権)|経営リスクの管理指標持株比率(出資比率)とは、株式の出資割合を示す経営指標のことだ。持株比率に応じて株主の権利(支配権)が変わるので、会社経営の重要な経営指標になる。この記事では、株式の基本概要、持株比率の計算方法から株主権利に至るまで、詳しく解説する。株式とは何か?持株比率(出資比率)の計算基準になる「株式」とは、株式会社の設立資本金の出資額に応じて交付される一種の権利のことである。そして、設立資本金の出資と引き換えに株式を交付される出資者のことを「株主」という。現在は1円の設立資本金で株式会社の設立が可能だが、2006年4月以前は1千万円の設立資本金が必要だったので、株主が複数人存在する会社も珍しくなかった。会社の設立資本金を出資した株主には、株式と共に会社の支配権が与えられる。株主がひとりであれば支配権はひとりに帰属するが、株主が複数人いれば出資割合に応じて支配権の範囲が変わり、その支配権を明らかにする指標が、持株比率(出資比率)になる。持株比率(出資比率)の計算方法持株比率(出資比率)の計算方法について解説する。持株比率は、発行済の総株式数に占める保有株式数を求めることで計算できる。計算式は下記の通りになる。持ち株比率の計算方法持株比率=(保有株式数÷総株式数)×100例えば、会社の発行株式数が100株で、株主A氏の保有株式数が50株であれば、(50÷100)×100=A氏の持株比率は50%になる。会社の発行株式数が100株で、株主B氏の保有株式数が25株であれば、(25÷100)×100=B氏の持株比率は25%になる。株主は会社経営を左右する重要な存在になるので、持株比率は会社経営の超重要指標になる。持株比率に応じた株主権利・支配権持株比率(出資比率)に応じた株主の権利・支配権は下記の通りである。持株比率毎の株主権利100%保有持株比率が100%(株式100%保有)、なお且つ、代表取締役に就任すれば、会社経営にかかわるすべての決議を自分ひとりで行うことができる。2/3以上保有持株比率が2/3以上あれば、株主総会の特別決議ができる。例えば、取締役の解任、定款変更、合併や解散、など等、会社経営に関する重要な事柄を決定することができる。1/2以上保有持株比率が1/2以上あれば、株主総会の普通決議ができる。例えば、役員報酬の変更、剰余金の配当等々の事柄を決定することができる。1/3以上保有持株比率が1/3以上あれば、株主総会の特別決議を阻止することができる。3%以上保有持株比率が3%以上あれば、株主総会の招集、会社の帳簿等、経営資料の閲覧ができる。株主総会とは?株主総会とは、株式会社の最高の意思決定機関であり、会社経営に関する重要事項を決定する会議である。株式会社の場合、最低年1回は開催される。株主権利とは?株主総会において議決権の行使ができる。議決権は株主の重要な権利になる。また、利益配当を請求(利益配当請求権)もできる。但し、会社の方針によっては、配当を行わず、再投資の原資として内部留保に回す場合もある。(会社に利益がない場合は配当できないこともある)。会社清算時の、残った財産の分配を受ける権利(残余財産分配請求権)も持っている。持株比率(出資比率)に応じた経営リスク大企業の大半は株主と代表取締役が分離しているが、中小企業の大半は株主と代表取締役が分離していない。殆どの中小企業は、代表取締役自身が2/3以上の株式を保有し、会社経営に関わる重要な決議を社長自身の裁量と判断で行っている。つまり、安定経営を実現するために必要な持株比率(出資比率)は2/3以上が一つの目安になり、2/3を下回ると様々な経営リスクが生じる。例えば、中小企業であっても、創業者の家族や親戚、或いは、友人知人に株式が分散されてしまい、正当な後継者が2/3以上の株式を保有せずに代表取締役に就任しているケースがある。この場合、株主同士の対立が原因で、会社衰退のリスクが飛躍的に高まることがある。「船頭多くして船山に登る」のことわざ通り、会社経営の舵取りも複数になるほど失敗リスクが高まる。また、持株比率の勢力次第では代表取締役を解任されることもあり得る。経営能力がない代表取締役の解任であれば問題ないが、株主同士の欲が絡んだ、代表取締役の解任であれば、社員が犠牲になる。つまり、企業の永続性を高めるための持株比率は2/3以上が絶対条件になる。但し、親子間で事業承継する場合で、子供の経営に危うさを感じる部分があれば2/3以上の株式は与えない方が良い。この場合は親が2/3以上の株式を保有していれば、万が一、子供が暴走しても食い止めることができる。持株比率が低い社長が取るべき行動とは?会社経営において、株主の存在は重要だ。また、中小企業の場合は、社長自身の持株比率も様々な経営リスクに直結するので重要視しなければならない。万が一、現役社長でありながら持株比率が2/3以下の場合は、株主同士の対立を避けるために日頃から株主をフォローする心がけが欠かせない。例えば、☑株主に業績を開示して安心感を与える☑株主に経営方針を丁寧に説明して安心感を与える☑株主に時折り利益配当を行い、出資の恩に報いる等々、会社経営の透明性と公平性を訴求することが、株主の信頼を得る秘訣になる。株主の信頼が得られれば、自ずと経営者に対する信頼感も高まり、株式譲渡という道も開けてくるはずだ。伊藤のワンポイント会社経営者にとって持株比率は超重要な指標です。じっくり将来を見据えた会社経営を目指すのであれば、持株比率2/3以上が条件です。また、株式は財産価値があるので、相続の際に揉める原因になります。ですから、不用意に株式を分散させないでください。株式の分散は次世代の経営者を悩ませる種になりかねません。
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  • 飲食業に有効な経営指標|飲食系経営者必見の業界指標
    飲食業に有効な経営指標|飲食系経営者必見の業界指標飲食業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが非常に難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えて飲食業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、飲食業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。飲食業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、飲食業特有の経営指標を活用が欠かせない。以下に紹介する飲食店の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。原価率原価率とは、商品の売上に占める材料費の割合のことである。例えば、材料が25円で商品の売上が100円であれば、(25÷100)×100=原価率は25%になる。一般的に飲食業の原価率は20~30%が適正ラインで、飲食業にとって原価率は最も重要な経営指標といっても過言ではない。原価率の設定を誤ると衰退リスクが高まるし、店舗運営の戦略も原価率で決まる。原価率はメニュー構成全体で適正ラインの範囲内に収まっていれば問題ない。例えば、店舗の集客力を高める目玉メニューは原価率を高めに、前菜やドリンク類は原価率を低めに、というようにメニュー構成全体で適正バランスをとる工夫が大切になる。なお、原価率の計算は、歩留まり率(廃棄率)を加味しないと不正確になる。経営が悪化する飲食店は、例外なく原価率の計算がいい加減だ。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の来店客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。客単価は店舗の性格(コンセプト・メニュー構成)を決める経営指標でもある。例えば、高級店であれば客単価を高めに設定する必要があるし、大衆店であれば客単価を低めに抑える必要がある。また、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際にも活用できる。顧客回転率顧客回転率とは、定員人数(席数)の回転を表す経営指標である。例えば席数20の店舗に、1日100名の顧客が来店した場合、100名÷20席=顧客回転率は5回転になる。顧客回転数が高ければ、売上原価が適正水準よりも多少高くても利益が確保しやすくなるが、顧客回転率が低ければ、売上原価が適正水準よりも低くなければ利益が確保し難くなる。顧客回転率は、飲食店のコンセプトや顧客ニーズを決定する重要な経営指標でもある。来店客数来店客数とは、来店(商品・サービス購入)したお客様の人数のことである。来店客数×客単価で、全体の売上を算出することができる。従って、全体の売上を増やすには、来店客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。来店客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、来店客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、来店客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。廃棄率廃棄率とは、材料の廃棄割合を示す経営指標である。例えば、1,000円分の材料のうち、100円分を廃棄処分した場合、(100÷1,000)×100=廃棄率は10%になる。廃棄率を下げる工夫はさまざまある。例えば、有機無農薬の野菜は丸ごと食材として使えるが、農薬栽培の野菜は残留農薬の危険性があるので皮の部分は廃棄しなければならない。このように、使う食材ひとつで廃棄率が変わるので、食材選びは廃棄率を加味したトータルコストで考える意識が大切になる。1坪売上1坪売上とは、店舗1坪あたりの売上のことである。例えば、店舗面積が20坪で、月の売上が100万円であれば、100万円÷20坪=1坪売上は5万円になる。1坪売上は、1坪スペースあたりの収益性と効率性を計る経営指標でもある。例えば、1人来店が多い飲食店が、1人掛けのカウンターテーブルを主体にレイアウトすると、1坪売上が上がる。逆に、1人来店が多い飲食店が、4人掛けテーブル席を主体にレイアウトすると、1坪売上が下がる。このように、1坪売上は、来店ニーズのミスマッチを探る指標として有効活用できる。飲食業の安定経営に役立つ経営指標最後に、飲食業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングすべき指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、飲食業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない飲食業者は、早急な経営改善をお薦めする。
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  • 美容業に有効な経営指標|美容系経営者必見の業界指標
    美容業に有効な経営指標|美容系経営者必見の業界指標美容業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが比較的難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えて美容業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。なお、この記事では、美容業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。美容業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、美容業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介する美容業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。来店客数来店客数とは、来店(商品・サービス購入)したお客様の人数のことである。来店客数×客単価で、全体の売上を算出することができる。従って、全体の売上を増やすには、来店客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。来店客数は美容業で最も重要な経営指標といっても過言ではない。なぜなら、美容業は人件費や家賃等の固定費が高く、比較的、損益分岐点が高い業種だからだ。損益分岐点に見合った来店客数の確保ができないと、たちまち会社が衰退するので、来店客は美容業の存続を左右する重要な指標になる。来店客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、来店客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、来店客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。リピート率リピート率とは、一定期間内に来店したお客様が再来店する割合である。一般的に、お客様のリピート測定期間は1年で設定する。例えば、10名中、4名が1年以内に再来店した場合、(4÷10)×100=リピート率は40%になる。リピート率が高まり、固定客が増えるほど美容業の経営は安定する。来店客数同様に、サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。顧客回転率顧客回転率とは、定員人数(席数)の回転を表す経営指標である。例えば、席数5の店舗に、1日20名の顧客が来店した場合、20名÷5席=顧客回転率は4回転になる。顧客回転数が高ければ人件費や家賃等の固定費の回収スピードが加速するが、顧客回転率が低ければ人件費や家賃等の固定費の回収スピードが遅くなる。つまり、顧客回転数は、儲けのスピードを表す経営指標でもあるのだ。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の来店客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。美容業の場合は、店舗内の商品販売(店販)を工夫するだけで客単価を上げることができる。また、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際にも活用できる。美容業の安定経営に役立つ経営指標最後に、美容業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、美容業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない美容業者は、早急な経営改善をおススメする。
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  • 製造業に有効な経営指標|製造系経営者必見の業界指標
    製造業に有効な経営指標|製造系経営者必見の業界指標製造業は景気や流行に左右されにくく、比較的安定経営を実現しやすい業種だ。とはいえ、健全な会社経営、並びに、効率の良いモノづくりを実現するためには、財務諸表の分析に加えて製造業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、製造業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。製造業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、製造業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介する製造業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。製造原価製造原価とは、商品製造にかかる製造原価のことで、製造原価は材料費、労務費、製造経費の3つの要素に分類される。例えば、材料費が15円、労務費が20円、製造経費が15円であれば、(15+20+15)=製造原価は50円になる。製造業にとって製造原価は、会社の収益体質を決定づける重要な指標になる。例えば、製造原価の管理を疎かにすると、儲けの実態が不明瞭になるので、赤字経営に転落するリスクが飛躍的に高まる。なお、製造原価の計算は、歩留まり率も加味しないと正確な原価計算ができないので注意が必要だ。経営が悪化する製造業は、例外なく製造原価の計算がいい加減である。歩留まり歩留まりとは、製造ラインに投入した商品材料の数量に対して、実際に商品となった数量の割合を示す経営指標である。例えば、商品100個分の材料を製造ラインに投入して、実際に商品となった数量が90個であれば、(90÷100)×100=歩留まりは90%になる。歩留まりが高いほど投入材料のムダが少なく、歩留まりが低いほど投入材料のムダが多い、ということになる。歩留まりは、1%改善するだけで大きなコスト削減効果を生み出すので、コスト改善のための目標指標としても大いに活用できる。歩留まり率は、一般的には100%以下になる。(例外的に、食品等、インラインで蒸気滅菌するような商品は投入材料に蒸気である水分が加算されて歩留まりが100%を超える場合がある)そして、歩留まりは、製造ラインの構造によって、大きく数値が変わる。例えば、素材、或いは、半製品を材料に用いて加工する製造ラインは歩留まりが低くなり、完成品の組立加工に近い製造ラインは歩留まりが高くなる。製造能力製造能力とは、1時間当たりの商品製造個数を示す経営指標である。例えば、1時間に100個の商品を製造できる製造ラインであれば、製造能力は100個/1hになる。製造能力が高いほど、商品1個当たりの製造原価は低くなる。製造能力は商品1個当たりの製造原価の簡易算定のほか、様々な原価計算に応用できる指標でもある。ちなみに、製造能力は、製造工程間のラインを短縮すると品質と共に製造能力も上がる。また、製造能力は、製造ラインの中で最も遅い工程以上の能力が出ない。つまり、一つの工程だけに製造能力の高い最新鋭の製造設備を導入しても、ライン全体の製造能力が対応していなければ、全体の製造能力は上がらない。不良率不良率とは、製造ラインにて商品化された数量のうち、検品検査で不適合となり最終的に商品化されなかった商品の割合を示す経営指標である。例えば、商品100個が商品化されて、検品検査で10個が不良品として判定された場合、(10÷100)×100=不良率は10%になる。不良率は、製造ライン上の様々な要因で上昇する。例えば、単純なポカミス、オペレーターの技術力不足、メンテナンス不足、機械の故障、物性特性、等々、その要因は多岐にわたる。不良率の高い商品は、二次クレームを引き起こすリスクが極めて高く、商品によっては二次クレームが重大事故に繋がる可能性もあるので、重要視したい指標でもある。また、同じ商品を製造しているにも関わらず、急に不良率が著しく上昇した場合は、製造ライン上に何かしら支障が生じている可能性が高い。その場合は、無理に製造を続けずに、直ちに製造を停止し、原因を究明した方がよい。不良率を左右する合格基準は、企業の品質レベルを担保する重要な要素になるが、不良率を改善するために合格基準を下げるのは本末転倒である。高品質を目標に、合格基準を維持、或いは、合格基準を高めつつ不良率を下げる努力を行うことが、優れた品質レベルを生み出すコツになる。不良率も歩留まり同様、1%改善するだけで大きなコスト削減効果を生み出す。コスト改善のための目標指標として大いに活用できる指標である。欠陥率・クレーム率欠陥率・クレーム率とは、販売後に商品の欠陥が見つかった率、或いは、商品クレームの発生率のことである。例えば、商品を100個販売した後に、欠陥・クレームが1個発生した場合、(1÷100)×100=欠陥率・クレーム率は1%となる。欠陥率・クレーム率は、製造業の生死を分かつ重要指標といって過言ではない。なぜなら、たった1件の欠陥やクレームが原因で、大きな事故や不信に繋がり、企業の信頼が失墜することがあり得るからだ。当然ながら、製造業の欠陥率・クレーム率の目標は0%が原則になる。欠陥率・クレーム率を改善するのは、製造ラインの品質レベルと現場の意識レベルの双方が高いレベルになければならないので、くれぐれも注意してほしい。製造業の経営分析に役立つ経営指標続いて、製造業の経営分析に役立つ経営指標を紹介する。以下に紹介する経営指標は、製造業の経営分析(財務分析)に役立つので、手元に決算資料を用意して実際に分析することをお薦めする。固定比率固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。設備投資が多い製造業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>負債比率負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標である。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができるので、設備投資が多い製造業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>労働分配率労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標である。資本集約型の製造業は労働分配率を低く抑えることが経営の正攻法なので、日頃からモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>投資回収期間設備投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせない。製造業が投資回収期間の見通しを誤ると経営の失敗リスクが著しく高まるので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>大型設備投資の判断基準とタイミング製造業の大型設備投資の判断基準とタイミングは、何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。例えば、投資資金が十分にあり、投資判断にゴーサインを出したとしても、投資のタイミングを誤っていれば、投資は失敗に終わる。(逆もまた然りである)。製造業の大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準と、ベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせないので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>製造業の安定経営に役立つ経営指標最後に、製造業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、製造業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない製造業者は、早急な経営改善をおススメする。伊藤のワンポイント製造業は、計数管理の精度が、経営改善の成果と会社の業績を決定づけます。少しでも計数管理を疎かにすると、たちまち生産性低下、品質低下、収益性低下といった衰退リスクが噴出し、高確率で会社経営に失敗します。製造業者にとって計数管理は基本中の基本です。決して疎かにしないでください。
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  • 小売業に有効な経営指標|小売系経営者必見の業界指標
    小売業に有効な経営指標|小売系経営者必見の業界指標小売業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが比較的難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えて小売業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、小売業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。小売業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、小売業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介する小売業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標設定等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の来店客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。小売店の場合、商品の陳列やレイアウトを工夫するだけで、ついで買いを誘発し、客単価を上げることができる。また、関連商品同士のクロス販売や季節や数量を限定した商品販売も単価を上げる有効策になる。経費を増やすことなく客単価を上げることができれば、会社の利益が増加し収益性が高まるので、客単価は小売業の存続を左右する重要な指標といっても過言ではない。なお、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際にも活用できる。来店客数来店客数は、来店(商品・サービス購入)したお客様の人数のことである。来店客数×客単価で、全体の売上を算出することができる。従って、全体の売上を増やすには、来店客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。来店客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、来店客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、来店客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。来店頻度来店頻度とは、1人のお客様がひと月に来店する頻度(回数)のことである。例えば、ひと月に5回来店した場合は、来店頻度は5回になる。一般的には、来店頻度の多い顧客ほど、顧客の月間購入単価が高くなる。リピート率リピート率とは、一定期間内に来店したお客様が再来店する割合である。リピート顧客は、新規顧客の数分の一の獲得コストで済み、一方で、新規顧客の数倍の客単価をもたらす。つまり、少ないコストで大きな利益を生み出すのが、リピート顧客の特徴である。一般的に、小売業のリピート測定期間は1ヵ月で設定する。例えば、10名中、4名が1ヵ月以内に再来店した場合、(4÷10)×100=リピート率は40%になる。リピート率が高まり、固定客が増えるほど小売業の経営は安定する。来店客数同様、サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。1坪売上1坪売上とは、店舗1坪あたりの売上のことである。例えば、店舗面積が20坪で、月の売上が100万円であれば、100万円÷20坪=1坪売上は5万円になる。小売店の店内の陳列棚は、不動産と同じでスペースが限られている。当然ながら、売れ筋商品を効率よく並べることができれば1坪売上は増加する。なお、売れ筋商品の分析方法は、ABC分析(パレート分析)がお薦めだ。原価率原価率とは、商品の売上に占める仕入の割合のことである。例えば、仕入が75円で商品の売上が100円であれば、(75÷100)×100=原価率は75%になる。一般的に小売店の原価率は、スーパーは75%、百貨店や雑貨店は50~60%が適正ラインになる。小売店が原価率を上げる工夫として、店内加工品(店内調理品)を増やす戦略がある。店内加工品は、原価率30%以下で作ることも可能なので、ヒット商品が出ると会社の収益に大きく貢献する。廃棄率廃棄率とは、商品の廃棄割合を示す経営指標である。主に、スーパーや百貨店の惣菜売り場で用いる指標である。例えば、商品を10個陳列したうち、2個が売れ残り廃棄処分となった場合、(2÷10)×100=廃棄率は20%になる。廃棄率を改善するには、日頃の販売データの収集・分析が欠かせない。売れ行き、売れ筋、売れる時間帯、など等、日頃の販売データを考慮したうえで商品陳列を行わないと、無駄に廃棄率が上がってしまう。また、仕入単価が安価という理由で賞味期限の残日数が少ないものを大量に仕入れても、結果として売れ残ると、無駄に廃棄率を上げることになる。廃棄率は、日頃の販売データの整理・分析如何で、ある程度コントロールできる指標だ。小売業の安定経営に役立つ経営指標最後に、小売業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、小売業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない小売業者は、早急な経営改善をおススメする。伊藤のワンポイント小売業はサービス精神(顧客視点)が低下すると、途端に衰退します。ですから、常に顧客サービスの向上を追求してください。顧客サービスの効果は、日頃から計数管理を運用していれば正確に測定できます。しかも、その測定結果をサービス改善に役立てることもできるので、計数管理の精度でサービス価値が決まります。
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  • ホテル・旅館業に有効な経営指標|ホテル・旅館系経営者必見の業界指標
    ホテル・旅館業に有効な経営指標|ホテル・旅館系経営者必見の業界指標ホテル・旅館業は景気に左右されやすく、安定経営を実現するのが比較的難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えてホテル・旅館業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、ホテル・旅館業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。ホテル・旅館業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、ホテル・旅館業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介するホテル・旅館業の経営改善に役立つ独自指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。リピート率リピート率とは、一定期間内に来店したお客様が再来店する割合のことである。ホテル・旅館業のリピート測定期間は一般的には1年に設定する。リピート率の計算式は「(再来店者数÷総来店者数)×100」で、例えば、10名中、4名が1年以内に再来店した場合、(4÷10)×100=リピート率40%となる。リピート率はホテル・旅館業にとって最も重要な経営指標といっても過言ではない。なぜなら、リピート率が高まり、固定客が増えるほど、ホテル・旅館業の経営が安定するからだ。特定のホテル・旅館に宿泊する頻度が年に1回というお客様は珍しくない。従って、一期一会を大切に、一回の宿泊で如何に良い印象を残せるか否かが、リピート率を大きく左右する。サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。顧客満足度顧客満足度とは、顧客満足度を数値評価したデータである。顧客満足度は、リピート率に並んで、ホテル・旅館業の重要指標になる。顧客満足度は、接客、食事、温泉、施設、売店、など等、宿泊施設の満足度を構成する主要素に対するアンケート調査を行うことで把握できる。また、アンケート調査は五段階評価に加えて、必ずフリーハンドの自由記入欄を設けることが大切だ。五段階評価の真ん中以下、或いは、自由記入欄に不満足理由が記載してある場合は、二回目の宿泊利用は無いと思った方が良いだろう。不満足評価は経営的にはマイナス要素ではあるが、満足評価に変えるための経営課題と捉えればプラスの側面もある。大切なのは、不満足評価を満足評価に変えるための経営努力をひたむきに継続することだ。顧客満足度が向上すれば、リピート率も自ずと向上する。客室稼働率客室稼働率とは、保有客室の宿泊稼働状況を示す経営指標である。例えば、客室が100室あって、宿泊稼働客室が90室であれば、(90÷100)×100=客室稼働率は90%になる。ビジネスホテル等、客室定員1~2名の客室を多く保有しているホテル・旅館業には、有効な経営指標になる。定員稼働率定員稼働率とは、客室総定員に占める宿泊客数の割合を示す経営指標である。例えば、客室総定員が100名で、宿泊客数が60名であれば、(60÷100)×100=定員稼働率は60%になる。旅館等、客室定員が4~6名で、家族利用が多い宿泊施設は、客室稼働率ではなく、定員稼働率の方が有効な経営指標になる。例えば、客室定員4名の大部屋に1名で宿泊した場合と、定員一杯の4名で宿泊した場合を比べると、利益は後者の方が圧倒的に高くなる。このように、客室稼働率で見落とす収益性の測定が、定員稼働率の最大メリットになる。定員稼働率を見落とすと赤字経営に転落するリスクが高まるので、定員数が多い客室を多く保有しているホテル・旅館業者は日頃から注視したい経営指標である。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の宿泊客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。客単価はホテル・旅館の性格(コンセプト・宿泊料金)を決める重要な指標でもある。例えば、高級路線であれば客単価を高めに設定する必要があるし、大衆路線であれば客単価を低めに抑える必要がある。ホテル・旅館業の客単価は工夫次第でいかようにも上げることができる。経費を増やすことなく客単価を上げることができれば、会社の利益が増加し収益性が高まるので、客単価はホテル・旅館業の存続を左右する重要な指標といっても過言ではない。なお、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際の基準として有効活用できる。宿泊客数宿泊客数とは、宿泊利用したお客様の人数のことである。ホテル・旅館の宿泊売上は、宿泊客数×客単価で構成されるので、日頃から注視したい経営指標である。宿泊売上を増やすには、宿泊客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。宿泊客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、宿泊客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、宿泊客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済むので、工夫して取り組んでほしい。一人当たり宿泊数一人当たり宿泊数とは、宿泊利用者一人当たりの宿泊数のことである。例えば、ひと月の宿泊利用者数が100名で、同月の宿泊数が150泊であれば、150÷100=一人当たり宿泊数は1.5泊になる。1泊利用者と3泊利用者では、施設内で使うお金の消費量に大きな差が生じる。一般的には、一人当たりの宿泊数が多いほど、顧客単価が高くなる。そして、日帰り客よりも宿泊客、同じ宿泊客でも、宿泊数が多いほど、顧客単価が高くなる。従って、1泊利用を2泊、3泊と、如何に一人当たりの宿泊数を長引かせることができるか否かが、顧客単価を高めるポイントになる。宿泊比率宿泊比率とは、来客者のうち、宿泊客と日帰り客の比率を示す経営指標で、主に、温泉やスパ施設があるホテル・旅館業で活用できる指標である。例えば、来客者が100名で、宿泊客が60名、日帰り客が40名であれば、(60÷100)×100=宿泊比率は60%になる。宿泊比率が高いと宿泊客の割合が多く、宿泊比率が低いと日帰り客の割合の方が多い、ということになる。日帰りの温泉施設がある宿泊施設の場合、宿泊比率が分かると、費用対効果を考慮した、きめの細かい顧客サービスの検討が可能になる。バックオーダー数バックオーダー数とは、キャンセル待ちの件数のことである。例えば、ひと月にキャンセル待ちが10件あれば、バックオーダー数は10になる。バックオーダー数は人気のバロメーターでもある。当然ながら、バックオーダー数が多いほど、景気に左右されにくいホテル・旅館業の経営基盤が整う。原価率原価率とは、料理の売上に占める材料費の割合のことである。例えば、材料が250円で料理の売上が1,000円であれば、(250÷1,000)×100=原価率は25%になる。一般的にビジネスホテルの朝食の原価率は20%以下、旅館の食事は25%以下が適正ラインになる。原価率はメニュー構成全体で適正ラインの範囲内に収まっていれば問題ない。例えば、ホテル・旅館の集客力を高める目玉メニューは原価率を高めに、前菜やドリンク類は原価率を低めに、というようにメニュー構成全体で適正バランスをとる工夫が大切だ。なお、原価率の計算は、歩留まり率(廃棄率)も加味しないと、正確な原価計算ができないので注意が必要だ。経営が悪化するホテル・旅館は、例外なく原価率の計算がいい加減である。ホテル・旅館業の経営分析に役立つ経営指標続いて、ホテル・旅館業の経営分析に役立つ経営指標を紹介する。以下に紹介する経営指標は、ホテル・旅館業の経営分析に役立つので、手元に決算資料を用意して実際に分析することをお薦めする。固定比率固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。設備投資が多いホテル・旅館業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>負債比率負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標である。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができるので、設備投資が多いホテル・旅館業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>労働分配率労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標である。資本集約型のホテル・旅館業は労働分配率を低く抑えることが経営の正攻法なので、日頃からモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>投資回収期間設備投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせない。ホテル・旅館業が投資回収期間の見通しを誤ると経営の失敗リスクが著しく高まるので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>大型設備投資の判断基準とタイミングホテル・旅館業の大型設備投資の判断基準とタイミングは、何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。例えば、投資資金が十分にあり、投資判断にゴーサインを出したとしても、投資のタイミングを誤っていれば、投資は失敗に終わる。(逆もまた然りである)。ホテル・旅館業の大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準と、ベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせないので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>ホテル・旅館業の安定経営に役立つ経営指標最後に、ホテル・旅館業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、ホテル・旅館業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していないホテル・旅館業者は、早急な経営改善をおススメする。ホテル・旅館業は経営の最高峰ホテル・旅館業は経営の最高峰だ。なぜなら、ホテル・旅館業は単なる宿泊業に止まらず、観光業、レジャー業、飲食業、サービス業、小売業、製造業、不動産業など等、あらゆる産業の集合体だからだ。例えば、ホテル・旅館業は大きな資本投資(土地建物・機械設備・什器備品等)のもとに成立しているので、資本集約型の産業といえるが、同じ資本集約型の製造業とは、求められる経営の質が全く違う。資本効率の追求、労働生産性の向上、人財育成、ホスピタリティとサービスの追求、美食の追求、広告戦略、経営データの解析、経営データ検証と経営改善の推進、など等、ホテル・旅館業の経営者に求められる経営領域は、他の産業とは比にならないほど広範囲にわたる。当然ながら、経営者の能力がどれか一つでも劣っていれば、その部分が衰退の原因になり、会社の成長が鈍化する。また、立地や客層、施設概要によって、成功の経営戦略がガラリと変わるものホテル・旅館業の特徴だ。ホテル・旅館業が経営の最高峰と云われる所以はココにあり、資本に特化、或いは、運営に特化するホテル・旅館業の経営スタイルは賢い選択といえる。伊藤のワンポイントホテル・旅館業は経営の最高峰です。経営者であれば、いつかは挑戦したいと思うのがこの業界です。それほどに、ホテル・旅館業の経営は難易度が高いです。とても繊細な経営判断が求められますので、他業種の経営者よりも経営の勉強をしなければなりませんし、相当な人間力も必要です。ですから、おざなりな経営は厳禁です。
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  • ネットショップ・通販業に有効な経営指標|ネット通販系経営者必見の業界指標
    ネットショップ・通販業に有効な経営指標|ネット通販系経営者必見の業界指標ネットショップ・通販業は購入者が一般消費者なので、一定水準の顧客数を確保できれば安定した経営を実現しやすい業種だ。とはいえ、健全な会社経営、並び、に効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えてネットショップ・通販業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、ネットショップ・通販業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。ネットショップ・通販業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、ネットショップ・通販業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介するネットショップ・通販業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。新規顧客新規顧客とは、新規で商品を購入してくれたお客様のことである。新規顧客はネットショップの成長を支える原動力になる。新規顧客が増加しない限り、ネットショップ・通販業の事業規模は拡大しない。登録顧客登録顧客とは、商品購入者として顧客情報が登録されたお客様のことである。購入者の累計人数でもある。一般的には、登録顧客が1万人を超えると成長スピードが加速する。有効顧客有効顧客とは、一定期間内に商品を購入してくれたお客様のことである。期間は商品特性によって変わるが、購入頻度の高い商品の場合は6ヵ月、購入頻度の少ない商品の場合は1年で設定する。有効顧客は、一定期間の売上を構成する実働顧客である。従って、お得な情報等を発信する際の対象顧客として運用すると費用対効果が高まる。また、有効顧客を貢献度別に分類すると、更にきめの細かいサービスを検討することができる。分類例は下表の通りである。分類フェーズ1フェーズ2フェーズ3フェーズ4顧客属性新規新規リピート既存リピート既存リピート購入期間1年以内1年以内1年超1年超購入金額--3万円以下3万円超購入期間と購入金額は取り扱う商品によって調整が必要だが、共通の傾向としてフェーズが進行するほど客単価が高くなる。また、投資効率もフェーズが進行するほど高くなる。有効顧客は、ネットショップ・通販業を運営するうえで、最も重要視すべき指標でもある。離脱顧客離脱顧客とは、商品購入後に、一定期間内に再注文(リピート)せずに離脱したお客様のことである。期間は商品特性によって変わるが、購入頻度の高い商品の場合は6ヵ月、購入頻度の少ない商品の場合は1年で設定する。新規顧客よりも離脱顧客の人数が上回ると、顧客が純減となりマイナス成長に陥る。リピート顧客リピート顧客とは、商品購入後に、一定期間内に再注文(リピート)してくれたお客様のことである。リピート顧客は、新規顧客の数分の一の獲得コストで済み、更に、新規顧客の数倍の客単価をもたらす。つまり、少ないコストで大きな利益を生み出すのが、リピート顧客の特徴になる。リピート率リピート率とは、一定期間内に購入したお客様が再注文(リピート)する割合のことである。リピート測定期間は商品特性によって変わるが、購入頻度の高い商品の場合は6ヵ月、購入頻度の少ない商品の場合は1年で設定する。例えば、新規顧客100名の内、一定期間内に30名が再注文してくれた場合、(30÷100)×100=リピート率は30%になる。リピート率は業界平均で約30%程度、業界によって30%~50%の範囲が適正水準である。化粧品やブランド品等、愛用性の高い分野の商品は50%を超える場合もある。リピート率が高まり、固定客が増えるほど、ネットショップ・通販業の経営が安定する。サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。サイトアクセス数サイトアクセス数とは、ネットショップのサイトアクセス数(ページビュー数)のことである。一般的には1ヵ月で10万アクセスを超えると競合他社から一歩抜け出し、成長のスピードが加速する。転換率転換率とは、サイトにアクセスした後に実際に商品を購入したお客様の割合のことである。例えば、サイトアクセス数が1,000件で注文者が10名だった場合、(10÷1,000)=転換率は1%になる。転換率の高低には、商品そのものの力よりも、商品ページの見た目の方が影響を及ぼす。売れているサイトを参考に商品ページを作り直すだけで転換率が上昇する場合もある。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の購入者が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。また、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際の基準としても活用できる。購入客数×客単価購入客数×客単価とは、全体の売上拡大を推進する公式(指標)になる。全体の売上を増やすには、購入客数か客単価の何れかを上げる努力が欠かせない。購入客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、購入客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、購入客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。売上高ネットショップ運営費比率売上高ネットショップ運営比率とは、ネットショップ運営にかかる諸経費の割合を示す経営指標である。諸経費は、外部サイトの利用手数料、決済手数料、割引原資、サイト管理費用等々が含まれる。例えば、売上が100万円でネットショップ運営諸経費が10万円であれば、(10÷100)×100=売上高ネットショップ運営費比率は10%になる。ネットショップを外部サイトに出店する場合、売上高ネットショップ運営費比率が15%を超過することもある。従って、採算割れを防ぐ商品構成・販売戦略が大切になる。ネットショップ・通販業の安定経営に役立つ経営指標最後に、ネットショップ・通販業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、ネットショップ・通販業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していないネットショップ・通販業者は、早急な経営改善をおススメする。
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  • 中小企業の競争戦略と差別化戦略|実践事例と成功ストーリー
    中小企業の競争戦略と差別化戦略|実践事例と成功ストーリー中小企業は大企業に比べ、資金力や経営基盤に圧倒的ハンデを抱えている。競争に勝つための戦略も、差別化を図る戦略も工夫が必要で、工夫なき戦略で勝てるほど市場競争は甘くない。この記事では、中小企業に活かせる競争戦略と差別化戦略について、実践事例や成功ストーリーを交えて分かりやすく解説する。競争差別化戦略「逃げる」小さな会社が大きな会社に勝つ方法は簡単だ。戦わずして、負けなければ良いのだ。いわゆる逃げるが勝ちである。例えば、鳥獣のワシとフクロウは主食が一緒だが、昼行性と夜行性に棲み分けし、お互いの争いを上手に避けている。魚類のイワナとヤマメも主食は一緒だが、上流域と下流域に棲み分けし、お互いの争いを上手に避けている。ワシとフクロウ、そして、イワナとヤマメは主食が同じなので、言ってみればライバル関係である。従って、どちらか一方が餌の独り占めという欲を出して相手の主戦場に姿を出すと、その瞬間に熾烈な争いが勃発し、弱肉強食の摂理の元、どちらか一方が戦いに敗れる。この理は、ビジネスも一緒である。ライバルと主戦場が同じであれば、いつまでも顧客の取り合いが続くので、体力に劣った方が衰退する。逆に、顧客の取り合いにならないように主戦場をずらせば、ライバルとの争いは起きず、体力を温存したまま、生存することができる。例えば、駅前ではなく郊外で勝負している喫茶店。法人ではなく個人向け商材で勝負している通販ショップ。ステンレスの樽ではなく木桶で勝負している酒蔵やお醤油屋さん。安物・低価格・消耗品ではなく、高級・高価格・一生モノで勝負している企業。ソニー、アップル、バルミューダなど、機能や技術だけでなく、魅力的なコンセプトを加えて勝負しているメーカーなどは典型だ。ライバルとの主戦場をずらせば、自然と差別化ポイントが生まれ、不毛な争いに陥ることなく会社を繁栄させることができる。ライバルに戦いを挑むのではなく、その場から逃げることで繁栄の活路が開くこともあるのだ。競争差別化戦略「引く」ライバルに差をつけるためには、商品やサービスの価値を上げ続けることが欠かせない。一般的には、価値を上げるために機能やサービスを足す方向に行きがちだが、行き過ぎると価格が上昇し顧客に敬遠されたり、採算が合わなくなったりする。何かを足すことだけが、商品やサービスの価値を上げる方法ではない。何かを引くことで、商品等の価値が上がることも往々にある。例えば、料理屋さんは、和食、中華、洋食、フレンチ、イタリアンなど、メニューの種類を足せば足すほど、そのお店の事業価値(強み)が薄れて、顧客に選ばれなくなる。逆に、イタリアンに絞り、更には「ピザ専門店」など、あえて料理の種類を思い切って引くほど、事業価値(強み)が際立ち、顧客に選ばれ易くなる。しかも、引き算方式で強みを際立たせると、作る料理の種類が少なくなるので、業務効率が上がり、運営コストが下がるメリットも享受できる。さらに、浮いたコストを成長投資に注ぎ込めば、経営基盤はますます盤石になる。この戦略は、何を引いて、引いた結果どんな強みが提供できるのかさえ明らかにできれば、どんなビジネスにも応用できる。引く対象は商品の機能やサービスの品質だけではない。日々の業務、工場の製造工程、訴求するコンセプト、ターゲット顧客など、無限にある。押してもダメな時は引いてみる。この考え方はビジネスの現場で面白いほど通用するので、強みが曖昧になっている時は、何かを足すのではなく、何かを引いてみることをお薦めする。競争差別化戦略「手放す」ビジネスをうまく運ぶには、時には重要ではないものを手放すことも必要だ。繁栄の基礎は、限られた時間、或いは、限られた資源を重要なものに集中することで確立されるからだ。重要ではないものを手放すことを経営用語で「選択と集中」と云う。選択と集中は、経営マネジメントの発明者であるピーター・F・ドラッカーが発案し、GE社の名物経営者となったジャック・ウェルチ氏が実践したことで有名になった。ジャック・ウェルチ氏は、世界で1位か2位の事業だけに集中する経営戦略を徹底し、中核事業の発展や多角化事業の最適化を成し遂げて、企業成長を強力にけん引した。この実績が全世界の経営者に広まり、現在では、中核事業の育成や多角化事業の最適化だけではなく、あらゆる分野の事業活動の生産性改善を推進する戦略として「選択と集中」が定着した。例えば、選択と集中で仕事の効率を上げたければ、選択の基準を「重要度1位と2位の仕事」、或いは、「重要度の高い2割の仕事」におくと良い。中小企業は、社長の時間や人員が限られているので、重要な仕事と重要ではない仕事を正しく分別し、徹底的して重要な仕事に集中することが生産性を上げる秘訣になる。ビジネスは等価交換なので、何を手放すかは重要な判断になるが、何かを手放せば、必ず、何かが手に入る。捨てる神あれば拾う神あり、とよく云われるように、過去の努力や頑張りは誰かが見ているもので、そうした努力は、必ず、報わるものだ。何かに執着することなく、一所懸命にありのままの今を全力で生きることが、ビジネスを好転させる。ビジネスに行き詰った時ほど、重要ではないものを手放してみてほしい。きっと、飛躍のチャンスが巡ってくるはずだ。
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  • リソース・ベースト・ビューの実践的経営戦略|中小企業編
    リソース・ベースト・ビューの実践的経営戦略|中小企業編リソース・ベースト・ビューとは、会社の内部に目を向けて、ライバルにはない強みを見出す分析手法である。リソース・ベースト・ビューの対象となる企業内部の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報等)の中から、他にはない強みをピンポイントに発掘・研鑽し、その強みを起点に繫栄を加速する戦略が基本のアプローチになる。この記事では、リソース・ベースト・ビューの実践的経営戦略について、詳しく解説する。リソース・ベースト・ビューとはリソース・ベースト・ビューとは、企業内部の経営資源に目を向けて、競争優位性や付加価値を見出す分析手法である。リソース・ベースト・ビュー(Resource Based View)の頭文字3つをとって、RBV(アールビーブイ)とも呼ばれ、1980年代にB・ワーナーフェルトによって提唱された概念だ。企業内部の経営資源は、現預金や設備建物等の有形資産、特許やブランド等の無形資産、社員の才能資質や成果結果の源泉となる組織能力などが挙げられ、これらの内部資源の中から他社とは違う強みを見つけることが、RBVの基本アプローチになる。また、リソース・ベースト・ビュー(RBV)は、ピーター・F・ドラッカーの「選択と集中」、フィリップ・コトラーの「地位別戦略」、マイケル・E・ポーターの「競争原理」等のマーケティング戦略との補完性も高い。なお、RBVが経済界で注目され始めたのは、C. K. プラハラッドとゲイリー・ハメルが1990年に発表した「コア・コンピタンス経営」と、ジェイ・バーニーが1991年に発表した「企業の資源と持続的な競争優位」の論文の影響が大きい。【関連記事】中小企業の競争戦略と差別化戦略|実践事例と成功ストーリーリソース・ベースト・ビューの分析手法リソース・ベースト・ビューの分析手法の核となる前章で触れた「コア・コンピタンス経営」と「企業の資源と持続的な競争優位」ついて、詳しく解説する。コア・コンピタンス経営とは、企業の中核事業(コアビジネス)を分析・把握し、将来的にその分野の勝者になるための集中・拡大の戦略を推進することだが、顧客利益最大化、模倣困難性、他分野への応用力の3つの要素を戦略の中心に置いている。企業の資源と持続的な競争優位とは、経済価値、希少性、模倣困難性、組織能力の4つの視点から競争優位性や付加価値を見出し、どの経営資源が競争優位の構築上有効かを分析する手法である。それぞれの視点の詳細は以下の通りだ。経済価値経済価値は、顧客に提供できる利益の大きさと言い換えられる。顧客の手間・時間・コスト等の削減貢献度、ナンバーワン、世界初・世界最小・世界最軽量・世界最速等の提供価値が典型と言える。希少性オンリーワン、限定品、手仕事、手料理、作家モノ、人間国宝、世界遺産、観光名所、今この瞬間の価値(旬・季節・景色等)など、その人、その時、その場所、その瞬間にしか提供できない商品やサービスが典型と言える。模倣困難性他社に真似され難い商品やサービスの事で、模倣困難な経済的価値や再現困難な希少性、並びに、長年かけて積み重ねた信頼やブランド価値、特許等で守られた技術的強みが典型と言える。組織能力経済価値、希少性、模倣困難性を生み出す組織の暗黙知・属人化ノウハウ・外部からは見えない一連の仕組みが挙げられる。この人と一緒に仕事がしたい、この人から商品を買いたいと思わせるヒューマンスキルも含まれる。この組織能力は、社長の経営力と人間性を磨くだけで簡単に高められるので、中小企業が最も重視すべき視点だ。例えば、第三者がユニクロの製造小売モデルやトヨタ自動車のカイゼン方式を書籍や研修等で一所懸命研究したとしても、ユニクロやトヨタと同じような会社が現れないように、最も持続的に競争優位性を保てる経営資源が組織能力なのだ。リソース・ベースト・ビューとポジショニング・ビューの違いリソース・ベースト・ビューとポジショニング・ビューの違いについて、詳しく解説する。ポジショニング・ビューとは、外部環境の中で、自社の強みを発揮できる場所を見つけることである。他社とは違う強みを持つためのリソース・ベースト・ビューが内に向かった分析であるのに対し、ポジショニング・ビューは、外に向かった分析と言える。自社の強みを発揮できる場所を見つけるのが本来の目的なので、競争するための位置取りではなく、競争を避ける位置取り、ライバルと違ったことをする場所探しが、ポジショニング・ビューの基本アプローチになる。ライバルと顧客の取り合いにならないように主戦場をずらせば、ライバルとの争いは起きず、体力を温存したまま、生存することができるので、大企業とは違うことをすることで強みが発揮できる中小企業と相性の良い戦略と言える。例えば、駅前と郊外、法人と個人、安物・低価格・消耗品と高級・高価格・一生モノ、機能や技術だけでなく魅力的なコンセプトで勝負するなど、ライバルとの主戦場をずらす方法は沢山ある。主戦場を変えれば、自然と差別化ポイントが生まれ、不毛な争いに陥ることなく会社を繁栄させることができる。
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  • ポジショニング・ビューの実践的経営戦略|中小企業編
    ポジショニング・ビューの実践的経営戦略|中小企業編ポジショニング・ビューとは、会社の外部に目を向けて、ライバルとは違う競争環境を見出す分析手法である。自社の強みを発揮できる場所を見つけるのが本来の目的なので、競争するための位置取りではなく、競争を避ける位置取り、ライバルと違ったことをする場所探しが、ポジショニング・ビューの基本アプローチになる。言い換えれば、外部環境の中で自社の強みを発揮できる場所を見つける、ライバルとは違うところに競争環境を再構築する、他社とは違う商品やサービスを売る、他社とは違う売り方で商品やサービスを拡大する等の戦略である。ライバルと競争するためでも、ライバルに競争を仕掛けるためでもなく、ライバルとの競争を避けて、自社の利益を最大化する戦略が、ポジショニング・ビューの大原則で、小が大に勝つための「すみわけ」や「ニッチ(局所戦)」戦略に通じる部分がある。ライバルと真っ向勝負するのではなく、自社に有利な場所で、より有利な売り方で、より利益が出しやすい商品やサービスで、ライバルと極力競争せずにビジネスモデルを再構築しよう、という考えだ。【関連記事】中小企業の競争戦略と差別化戦略|実践事例と成功ストーリーポジショニング・ビューの分析手法他社とは違う強みを持つためのリソース・ベースト・ビューが内に向かった分析であるのに対し、ポジショニング・ビューは、外に向かった分析だ。例えば、ある外部要因の対極(高価格-低価格,機能性-デザイン性等)を複数分析し、ライバルとの競争が少ない市場を発掘し、その市場を起点に繫栄を加速する戦略が基本のアプローチになる。ライバルと顧客の取り合いにならないように主戦場をずらせば、ライバルとの争いは起きず、体力を温存したまま、生存することができるので、大企業とは違うことをすることで強みが発揮できる中小企業と相性の良い戦略と言える。例えば、駅前と郊外、法人と個人、安物・低価格・消耗品と高級・高価格・一生モノ、機能や技術だけでなく魅力的なコンセプトで勝負するなど、ライバルとの主戦場をずらす方法は沢山ある。主戦場を変えれば、自然と差別化ポイントが生まれ、不毛な争いに陥ることなく会社を繁栄させることができる。
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  • 競合ライバル企業に勝つ2つの戦略|競合に勝つ経営が企業の成長基盤を整える
    競合ライバル企業に勝つ2つの戦略|競合に勝つ経営が企業の成長基盤を整える市場競争の勝敗は、競合ライバル企業との勝負で決まる。当たり前だが、市場競争に生き残るには競合ライバル企業に勝つことが絶対条件になる。競合に勝つためにすべきことは、競合企業を仮想ライバルと見立てて、自社の強みと弱みを徹底分析しながら経営改善を推進する方法が有効だが、多くの中小企業はこれが出来ていない。経営者自身が競合ライバル企業に勝つ気概を持ち、さらに、勝負に勝つための努力を継続しなければ、競合に勝つことはもちろん、会社の成長発展も望めない。例えば、小さな中小企業から出発したマクドナルドの創業者であるレイ・クロックは自身の著書“成功はゴミ箱の中に”の中で、次のように語っている。「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。知りたいものは全部転がっている。私が深夜二時に競争相手のごみ箱を漁って前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない。強みを鍛え、付加価値に力を入れれば我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう。」競合に勝つための汗に滲んだ経営努力の日々がリアルに伝わってくる。しかも、レイ・クロックの経営努力の成果は、すべての競合企業に打ち勝ち、世界最大のファストフードチェーンという形で証明された。このように、競合企業をライバルに見た立てて経営改善を推進する手法は、厳しい市場競争を生き残る有効な戦略のひとつと言える。ライバルは競合企業だけではない!?ライバルは競合他社だけではない。自分自身をライバルと捉え、昨日よりも今日、今日より明日というように、高い目標に向かって経営努力を積み重ねる姿勢も競合ライバル企業に打ち勝つ有効な戦略である。例えば、世界的企業であるアップル社の創業者スティーブ・ジョブス氏は、企業買収の交渉中に、次のように語っている。交渉相手「ほかに交渉している会社もあるので結論を待ってほしい。」ジョブス「その会社名は?」交渉相手「あなたのライバル企業だ。」ジョブス「ライバル???僕にはライバルはいないよ。」ライバルに勝った負けたで一喜一憂しているようではライバル企業よりも少し良いものを作って満足してしまう。世界を変えるビジョンを実現するにはライバルなど要らない。あえていうならライバルは自分自身である、というのがジョブスの経営姿勢である。また、世界的企業であるユニクロ創業者の柳井正氏は「成功は一日で捨て去れ」と語っているが、これも、自分自身をライバルと捉えて、さらに大きな成功に向かおうとする気概を感じる。競合に勝つための経営努力に終わりはなく、たとえ、追う立場から追われる立場になったとしても経営努力をしなくてもよい、ということにはならない。経営努力を緩めると事業価値の陳腐化を招き、競合ライバル企業に市場トップの座を明け渡す羽目になる。すべての競合企業に勝つためには、終わりなき経営努力を継続しなければならないのだ。伊藤のワンポイント競合ライバル会社に勝つには弛まぬ経営努力の継続が欠かせません。経営努力の燃料は企業の成長を阻む経営課題です。この経営課題に向き合う姿勢が競争の勝敗を分かちます。経営課題は常に目の前にあります。ですから、経営課題を見落とすことなく、常に先手を打つ会社経営を実践することが大切です。
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  • 成功率を高める開発戦略|新商品を生み出す戦略とフレームワーク
    成功率を高める開発戦略|新商品を生み出す戦略とフレームワーク中小企業は、新しい商品やサービスを開発しようと思っても、開発人員、開発資源、開発コスト等が限られているケースが多い。新しい商品やサービスの開発環境に制約が多い中で、開発の成功率を高めるには、質より量を優先する戦略がお薦めだ。開発経験の回数とスピードの総量で、新しい商品やサービスの開発成功のチャンスの総量が決まるからだ。質は後でいかようにも改善できる。とにかく、高速回転で改良・開発を回し、量を稼ぐ戦略を推進することだ。そうすれば、開発精度(質)が磨かれて、開発が成功し易い環境が整う。例えば、新商品の開発予算が年間1,000万円あるとする。開発戦略は二つあり、ひとつは、1件の開発案件に全額投入する戦略。もう一つは、10件の開発案件に100万円ずつ分散投入する戦略である。この場合、前者の成功チャンスは1回しかないので、開発に失敗すれば来年まで新商品の開発が停滞する。一方、後者の成功チャンスは10回もある。10件のうち1件でも開発に成功すれば、新しい商品が生まれ、売上拡大が実現できる。このように、質より量を優先することで、成功のチャンスは大きく変わるのだ。成功率を高める開発フレームワーク新商品を生み出す戦略と成功率を高める開発フレームワーク(下図参照)について、詳しく解説する。経営資源が限られている中小企業が、比較的簡単に新しい商品を生み出す戦略は、二つに大別(上図マトリックスの赤丸部分)できる。既存の商品(技術・ノウハウ含む)を、新しい顧客に投入するか、既存の顧客(マーケット含む)に、新しい商品を投入するか、の何れかの戦略だ。前者の戦略は、シーズ提案型の開発(情報発信)を充実させれば、既存商品の用途開発と、新しい顧客の開発に拍車がかかる。後者の戦略は、ニーズ深堀型の開発(情報発信)を充実させれば、既存顧客が待ち望んだ新しい商品の開発に拍車がかかる。なお、シーズ提案型の開発は、新用途・新常識・新感覚・新技術等の発想が肝になる。ニーズ深堀型の開発は、お客様のニーズをいち早くキャッチする感度が肝になる。ニーズばかりに気を取られると、そのニーズの限界点が、売上の限界点となり、場合によってはニーズの廃れと共に、売上が大きく減少するので、ニーズの限界点を突破するためにも、シーズ提案型の開発活動をバランスよく取り入れると良い。
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  • コスト削減の正しい戦略|コスト削減のメリット・ポイント・注意点
    コスト削減の正しい戦略|コスト削減のメリット・ポイント・注意点コスト削減の正しい戦略は「企業の付加価値を高めること」に尽きる。なぜなら、企業の付加価値を棄損するようなコスト削減を行うと、大概の会社は、衰退の一途を辿るからだ。企業の付加価値を高めるコスト削減を推進すると、競合他社よりも低コストで、同等かそれ以上の品質の商品を提供することができるようになり、自ずと、競争の優位性が高まる。競争の優位性が低下すると、途端に会社が衰退するので、コスト削減は企業存続に欠かせない重要な活動といっても過言ではない。この記事では、コスト削減の正しい戦略から、コスト削減のメリット・ポイント・注意点に至るまで、詳しく解説する。コスト削減の正しい戦略コスト削減の正しい戦略は、企業の付加価値を高めることを基軸に組み立てることが、重要なポイントになる。従って、企業の付加価値、つまり、会社の強みを弱体化させかねないコスト削減は避けなければならない。例えば、コスト削減がきっかけで会社の強みが弱体化し、利益が減少するといった症状は誤ったコスト削減の典型的な戦略例だ。また、コスト削減の結果、生産性が低下した、安全性が低下した、品質が低下した、といった症状も誤ったコスト削減の戦略例になる。正しいコスト削減は、会社の強み、或いは、会社の生産性や商品の品質を維持(できれば向上)しながらコスト削減を推進する戦略展開が基本になる。【関連記事】コスト削減の考え方・目的・効果・方法を徹底解説コスト削減のメリットコスト削減の最大メリットは、競合他社よりも低コストでより良い商品やサービスを提供できる環境が整うことだ。また、低コスト体制が確立されると、損益分岐点も下がるので、利益拡大のスピードが一段と加速するメリットも享受できる。さらに、コスト削減の意識が組織に根付くと、社員のコスト意識や利益意識がグッと高まるので、会社全体の生産性も向上する。これらのコスト削減メリットを享受し続けるには、コスト削減活動を定着させ、持続的にコスト削減効果を上げ続けることが不可欠になる。【関連記事】簡単かつ即効性のあるコストダウン手法コスト削減の重要ポイントと注意点コスト削減を推進するうえで注意すべき点は、会社の強みや付加価値を棄損させないことだ。従って、コスト削減に取り掛かる前に緻密な効果検証を必ず行い、マイナスリスクを極力払拭することがコスト削減を成功させる秘訣になる。例えば、コスト削減の効果検証の結果、利益減少、生産性低下、社員の安全性低下といったマイナスリスクが出ることが予想される場合は、そのコスト削減を止めるか、リスクが低下するコスト削減方法を再検討しなければならない。或いは、コスト削減後に、想定以上のマイナスリスクが表面化した場合は、即刻元に戻すといった判断をしなければならない。また、コスト削減がきっかけで、売上が減少することは良くあることだが、利益が減少しなければ、そのコスト削減は成功したと判断することも重要なことだ。なぜなら、企業の生存に欠かせない要素は利益(現金)であり、なお且つ、コスト削減は、売上拡大よりも利益拡大に軸足を置いた方が、大きな効果が得られるからだ。例えば、売上が拡大している一方で利益が減少する赤字商品や赤字事業部分をコスト削減の改善対象にする手法は大変に効果的だ。伊藤のワンポイントコスト削減は企業の競争力を高め、売上と利益を拡大する重要な取組みです。但し、コスト削減の戦略を誤ると、コスト削減がきっかけで会社が衰退することもあり得るので、慎重な戦略展開が必要です。コスト削減の結果検証をしっかり行い、付加価値棄損、マイナスリスク拡大などの現象を見逃さないことです。
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  • マーケティング活動が経営戦略の要になる|中小企業が取るべきマーケティング戦略
    マーケティング活動が経営戦略の要になる|中小企業が取るべきマーケティング戦略マーケティング活動は、会社の成長発展を支える経営戦略の要になる。なぜなら、マーケティング活動が成功すると、会社の成長が一段と加速するからだ。この記事では、中小企業に適したマーケティング戦略、並びに、中小企業が取るべきマーケティング戦略について、詳しく解説する。マーケティング活動とは?マーケティング活動とは、商品が効率的に売れる環境を整える事業活動の総称である。従って、マーケティング活動の成果を左右する戦略展開は、会社の将来(成長発展)を決定付ける重要な起点になる。当然ながら、マーケティング戦略の出来が良ければ会社は成長するが、マーケティング戦略の出来が悪ければ会社は衰退する。つまり、マーケティング戦略の出来不出来で、会社の盛衰が決まってしまうのだ。中小企業に適したマーケティング戦略会社の成長発展を支えるマーケティング戦略の大半は大企業の論理で構成されているが、中小企業に通用する戦略もある。例えば、次に紹介する2つのマーケティング戦略は中小企業でも大いに活用することができる。ひとつは、市場競争を優位に進めるためのマーケティング戦略であるフィリップ・コトラーが提唱した地位別戦略。もう一つは、ライバルとの競争を優位に進めるためのマーケティング戦略であるマイケル・E・ポーターが提唱した競争原理である。この2つのマーケティング戦略は中小企業であっても大いに通用するので、しっかり活用することをお薦めする。市場競争に役立つマーケティング戦略コトラーが提唱した地位別戦略とは「リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャー」の何れかを会社の競争地位として一つ選択するマーケティング戦略である。マーケティング戦略の詳細はこちら>>ライバル競争に役立つマーケティング戦略ポーターが提唱した競争原理とは「コストリーダーシップ・徹底した差別化・特定領域に集中」の何れかをひとつ選択するマーケティング戦略である。マーケティング戦略の詳細はこちら>>中小企業が取るべきマーケティング戦略会社の成長発展を支えるマーケティング戦略のなかでも多くの中小企業にとって重要な分野は、営業活動とブランド形成になる。例えば、良いものを持っていながら業績が低迷している中小企業などは、営業活動とブランド形成のマーケティング戦略がマッチしていない可能性が高い。中小企業の営業活動を支えるマーケティング戦略は「市場調査・広告展開・販売活動」の3つの戦略が重要になる。そして、中小企業のブランド形成を支えるマーケティング戦略は「カテゴリーの焦点をひとつに絞る」ことが戦略成功の秘訣になる。この営業活動とブランド形成を支えるマーケティング戦略がうまく展開できれば、商品が効率的に売れる環境が整い、事業拡大のスピードが一段と加速する。それぞれのマーケティング戦略について、さらに詳しく解説する。営業活動を支えるマーケティング戦略中小企業の営業活動を支えるマーケティング戦略を成功させるには「市場調査・広告展開・販売活動」の3つのマーケティング活動が生命線になる。市場調査市場調査とは、商品を必要としている顧客像を明らかにするマーケティング活動である。商品の顧客像が明らかになれば、商品設計・販促展開・営業戦略等のマーケティング活動が効率化されるので、マーケット拡大のスピードが飛躍的に上がる。事業の大失敗の大半はターゲット顧客の選定ミスに起因しているので、最も重要なマーケティングになる。広告展開広告展開とは、会社や商品の付加価値を然るべき顧客に伝達するマーケティング活動である。中小企業は、大企業に勝る付加価値を、大企業とは違う広告手法で顧客に伝達する戦略が成功の秘訣になる。また、既存顧客だけでなく、潜在顧客に対する広告展開を充実させることが、このマーケティング戦略の重要ポイントになる。販売活動販売活動とは、商品販売の効果を最大化する市場を構築するマーケティング活動である。適正な価格で、安定的に売れる環境を整えることが、長期的なプラス成長を実現する秘訣になる。つまり、安売りや値引きに頼らない健全なマーケットを如何に維持するかが、このマーケティング戦略の重要ポイントになる。ブランド形成を支えるマーケティング戦略ブランドマーケティングの基本戦略は、カテゴリー(ターゲット)の焦点をひとつに絞って、ブランド力を研鑽するところにある。例えば、ラーメン店であれば、みそ、しょうゆ、しお、とんこつ、つけ麺とブランドカテゴリーと顧客ターゲットを増やすのではなく、みそラーメン専門店というように、カテゴリーの焦点をひとつに絞るブランドマーケティングを展開した方が、ブランド価値が高まる。そして、ブランドカテゴリーをひとつに絞った後は、ターゲット顧客層に対してブランド価値を表すひとつのメッセージを送り続け、さらには、そのメッセージの質を高める企業努力を継続することで、ブランド価値が一段と高まる。なお、ひとつのブランドカテゴリーでうまく戦略展開ができない場合は、確実にライバルに勝てるカテゴリーを新しく作る方法もおススメの戦略になる。ブランドカテゴリーの焦点がひとつに絞られると、事業効率が著しく上がるので、このマーケティング戦略は一石二鳥の効果がある。伊藤のワンポイントマーケティングを制する者が市場を制すると云われるようにマーケティングは会社の盛衰を決定付ける重要な活動です。しかも、マーケティングは会社経営の中で一番難易度が高い領域でもあります。営業活動の精度を高める為に何をすべきか、ブランド力を高める為に何をすべきか、基本に立ち返って取り組んでください。
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  • 品質重視の経営戦略で収益力を上げる|高品質が競争力を高める
    品質重視の経営戦略で収益力を上げる|高品質が競争力を高める品質重視の経営戦略は中小企業の収益力をグッと上げる。なぜなら、「品質」は、企業が提供する商品の価値を計る重要な基準になるからだ。例えば、高品質=高価、低品質=安価というように、品質は、商品価格を決定づける重要な要素を持っている。商品価格の高低は、そのモノの価値の優劣を決定し、更には会社の収益力までをも決める。この記事では、品質重視の経営戦略について、詳しく解説する。品質重視の戦略メリット品質重視の戦略メリットは、会社の収益性と競争力の向上にある。例えば、品質重視の経営戦略を展開し、競合他社よりも優位な価格帯で安定需要の確立ができれば、会社の収益力が高まる。そして、会社の収益力が高まれば、市場競争力も高まり、更に、収益力は利益率を高め、競争力は売上を増やすので、品質重視の経営戦略は、会社経営の本質である利益拡大を加速させる効果がある。つまり、中小企業にとって、商品の価値(価格)を高める品質重視の経営戦略は、大変に効果的な戦略といえるのだ。なお、品質重視の対極にある、品質軽視(低価格・低品質等)の経営戦略は、収益力と競争力低下等、全て反対のマイナス現象表れ、業績悪化のリスクが高まる。【関連記事】低価格路線や低価格戦略の末路品質重視の経営戦略とは?品質重視の経営戦略を効果的に推し進めるには、優先すべき判断基準を「品質」に置くことが第一になる。下図は、品質重視の基本戦略の活動サイクルを表したものである。品質重視で付加価値を追求し、企業の収益力を上げる活動サイクルが、品質重視の基本戦略になる。品質重視の経営戦略最大の特徴は、会社の強み(品質・付加価値等)が増強されるほど、会社のオンリーワン要素が色濃くなることだ。オンリーワン要素が色濃くなると、会社の収益力と競争力が一段と高まるので、品質重視の経営戦略は中小企業にとって優れた戦略といえる。品質重視の戦略ポイント品質重視の重要な戦略ポイントについて、詳しく解説する。より良い工夫より良い工夫は付加価値増加の源泉になる。顧客満足度の高いサービス追求、高品質の材料調達や製法改善、パッケージやデザインの高級化、革新的な用途開発、等々、品質重視の工夫は沢山ある。常により良い品質を目指すという意識を重視していれば、自ずとさまざまな工夫やアイデアが浮かんでくる。付加価値増加付加価値が増加すれば高品質を求める顧客層が増加する。また、商品やサービスの値上げの選択肢も生まれる。品質向上のための工夫やアイデアを、どの程度価格に転嫁できるかを見極めたうえで、適正な値上げを実行することができれば、会社の収益は更に拡大する。需要増加・需要安定高品質化、高価格化が進むほど競争力が磨かれて、競合他社に対して圧倒的な差をつけることができる。競争力が高まれば市場占有率や市場の拡大効果が生まれるので、自然と需要が増加し、益々需要が安定する。品質重視で価格勝負の優位性を高める品質重視の戦略メリットは、会社の収益力と競争力を高めるだけではない。例えば、品質重視の経営戦略で商品の付加価値が高まると、価格勝負の優位性が高まる。品質重視の経営戦略を展開していながら価格設定に失敗している中小企業は少なくないが、高めた付加価値を価格に転嫁することは商売の鉄則である。価格の妥当性チェックは、商品の付加価値を全て書き出し、徹底的に競合比較する方法がお薦めだ。競合よりも付加価値が高いことが分かれば、同じ価格帯でも勝負を優位に進めることができるし、値上げという収益改善を検討することもできる。また、品質重視の経営戦略は、会社の組織にも好影響を及ぼす。例えば、5S活動(※1)の定着、お客様サービスの向上、円滑な報連相、など等、会社の組織力向上に繋がる様々なメリットを生み出し、結果、会社の業績を押し上げる二次的な効果を生み出す。※1 5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5つの頭文字(S)をとったものである。組織をあげて活動することを5S活動という品質軽視の経営戦略は経営の足かせになる最後に、品質重視の経営戦略とは対極にある品質軽視、いわゆる低品質・低価格化の弊害について、詳しく解説する。下図は、品質軽視の基本戦略の活動サイクルを表したものである。ご覧の通り、安さを追求すると、品質低下と共に、商品の付加価値と会社の事業価値も低下する。この戦略を推し進め、薄利多売の水準まで商品価値が低下すると、少しの需要減少で経営が行き詰まる。そもそも、薄利多売の市場は大手の独壇場なので長期的に競争を勝ち抜くのが難しく、会社の衰退リスクが付きまとう。更に、一度、品質軽視の戦略を推し進めると、品質重視の戦略に戻すことが困難になる。品質軽視の経営戦略は、資本力のない中小企業ほど危険な戦略なので、くれぐれも注意してほしい。伊藤のワンポイント品質重視の経営戦略は、資本力のない中小企業の生命線になります。資本力で勝負できない会社は、強み(品質・付加価値・ストロングポイント等)でしか勝負できないからです。品質重視の戦略は、弛まぬ経営改善の継続が不可欠で、一朝一夕では成し得ませんが、兎に角、諦めずに強み(品質等)を磨き続けることが大切です。
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  • ニッチ戦略で企業の収益力を高める方法|ニッチ戦略の成功アプローチ
    ニッチ戦略で企業の収益力を高める方法|ニッチ戦略の成功アプローチニッチ戦略は中小企業の収益力をグッと高める優れた経営戦略だ。ニッチ戦略とはニッチ市場の構築を確立する戦略展開のことだが、競争の少ないニッチ市場の構築は、中小企業の安定経営を実現する一番の近道になる。この記事では、ニッチ市場を構築し企業の収益力を高めるニッチ戦略について、詳しく解説する。ニッチ戦略とは?ニッチ戦略とは、ニッチ市場の構築を確立する戦略展開のことだ。ニッチ戦略の最終地点になるニッチ市場とは「スキマ市場」のことで、このニッチ市場でナンバーワン、或いは、オンリーワンになるために、経営資源を集中投下する戦略が、ニッチ戦略の基本になる。ニッチ市場を構築するニッチ戦略は二つのアプローチがあり、何れも中小企業の安定経営に役立つ戦略になる。ひとつは、棲み分けでニッチ市場を獲得する戦略で、例えば、大企業等のメジャー市場との棲み分けを戦略的に図り、小さなニッチ市場を獲得し、その市場でナンバーワンの地位を確立する方法などは典型になる。もう一つは、ニッチ市場を創出してオンリーワンになる戦略で、例えば、ユニークな発想をベースに大企業等が参入してこない独自のニッチ市場を創出して、その市場でオンリーワンの地位を確立する方法などは典型になる。ニッチ戦略のメリットニッチ戦略の最大メリットは、競争優位性の向上にある。企業の競争優位性が高まると、様々なメリットが生まれる。例えば、競争の少ないニッチ市場を保有することができれば、他社よりも優位な価格戦略で勝負することができる。他社よりも優位な価格戦略で販売展開できれば、収益面においても優位に立つことができ、収益が高まるほどに、会社の成長投資が一段と加速する。従って、ニッチ市場の構築を確立するニッチ戦略は、中小企業の競争力と収益力を高める優れた経営戦略といえる。ニッチ戦略で大切なことニッチ戦略でニッチ市場を確立することができれば、収益がより安定するので、ニッチ戦略は、資本力に乏しい中小企業にとって最適な戦略といえる。中小企業が強固な収益力を確保し、厳しい市場競争を生き残るにはニッチ市場が不可欠といっても過言ではないが、ニッチ戦略の展開は簡単ではない。例えば、ニッチ市場を確立するための戦略アプローチを誤ると、ニッチ市場が確立できないばかりか、せっかく投じた経営資源(資金や労力)がすべて無駄になることもあり得る。ニッチ戦略を成功させるためには、ニッチ市場を確立するための戦略ロジックと成功アプローチをしっかり理解することが大切だ。ニッチ戦略の成功アプローチニッチ戦略の成功は、ニッチ市場の特性を理解することが第一になる。ニッチ市場の特性を理解し、その市場に経営資源を集中投入することがニッチ戦略の基本アプローチになる。下図は、ニッチ市場の特性が分かるマトリックスになる。ご覧の通り、ニッチ市場は「参入障壁が高い×市場規模が小さい」エリアになるので、このエリアに経営資源を集中し、戦略的にニッチ市場を確立する事が基本のアプローチになる。ニッチ市場は、専門性の高い技術やノウハウがなければ参加できない分野だが、参入障壁が高いので、一度、ニッチ市場が確立されると独占市場を形成することができる。独占市場が形成できれば、価格面、情報面等々、あらゆる面で競合他社に比べて優位に立てるので、高い収益が得られやすい環境が整う。事業の高収益化は、ニッチ市場の最大のメリットであり、中小企業の場合、ニッチ市場を如何に多く保有するかが安定経営の要点になる。また、ニッチ市場を確立した後は、市場規模の拡大に慎重になることも成功のポイントになる。ニッチ市場を下手に拡大すると、圧倒的資本力で大企業に吸収されるリスクが高まるので、市場の拡大意欲は程々にして、身の丈に合った強固なニッチ市場を保有し続けることがニッチ戦略成功の秘訣になる。ニッチ戦略の失敗リスクニッチ戦略を成功させるためには、失敗リスクを知ることも大切だ。例えば、次のようなニッチ以外の市場分野(前章のマトリックス図参照)で、ニッチ戦略を展開すると失敗リスクが高まる。ニッチ戦略の失敗リスク1「参入障壁が低い×市場が小さい」は、参入障壁が低く、市場規模が小さい、比較的に簡単に参加できる市場分野になる。誰でも市場参入できるが、市場規模が小さくリターンが少ない。専門性が低く、市場規模も小さいので、最も手を出してはいけない分野になる。ニッチ戦略の失敗リスク2「参入障壁が低い×市場が大きい」は、参入障壁が低いが、市場規模が大きい、市場分野になる。市場は大きいが、参入障壁が低いので市場競争が激化しやすい。なるべく手を出さない方が良い分野になる。ニッチ戦略の失敗リスク3「参入障壁が高い×市場が大きい」は、参入障壁が高く、市場規模が大きい、市場分野になる。大企業の独占市場なので一朝一夕には参入できない分野になる。但し、この市場の中から棲み分け市場を見つけることが出来れば、ニッチ戦略の展開が可能になる。ニッチ戦略の成功に欠かせない要素ニッチ戦略の成功に欠かせない要素は、高い参入障壁を乗り越えるための独自ノウハウの蓄積である。独自ノウハウを蓄積するには経営改善が不可欠で、例えば、会社の業績改善、商品改良、サービス改善など等の弛まぬ経営改善は、間違いなくニッチ戦略に役立つアイデア(会社の強み)を生み出す。なお、経営改善のアプローチには、次のような方法がある。☑業績からアプローチする方法☑顧客の要望からアプローチする方法☑競合他社商品からアプローチする方法また、ひたむきな経営改善によって蓄積された独自ノウハウは時間の経過と共に強固なものに変わるので、とにかく継続することがニッチ市場の安泰に繋がる。例えば、1日で築き上げた独自ノウハウと、100日で築き上げた独自ノウハウでは、参入障壁の高さに圧倒的な差が生まれる。伊藤のワンポイントニッチ市場の確立は中小企業の安定経営に不可欠な戦略です。価格の優位性を維持しながら、優位な立場で市場競争を展開することが出来るからです。独自のニッチ市場を確立するには経営改善の推進が不可欠で、この精度でニッチ市場の強さが決まります。また、独自性のあるアイデアや商品価値もニッチ戦略の展開に役立ちます。
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  • 売上アップを実現する深堀り戦略|強みを発掘して売上拡大を推進する
    売上アップを実現する深堀り戦略|強みを発掘して売上拡大を推進する売上アップを実現する深掘り戦略は、中小企業の事業価値を高める効果的な経営戦略の一つといえる。深掘り戦略とは、既存事業を徹底的に掘り下げて付加価値を再発掘(再発見・再定義)し、売上アップを実現する戦略展開のことだが、深掘り戦略が徹底されている中小企業は意外と少ない。この記事では、中小企業に適した売上アップを実現する深堀り戦略について、詳しく解説する。深堀りすれば売上がアップする!!徹底した深堀り戦略は、売上アップに繋がるアイデアを沢山生み出し、なお且つ、低リスクで売上を上げやすい。例えば、売上アップを狙って新規事業の開拓に軸足を置く中小企業経営者がいるが、この戦略は、既存事業の深堀りに比べて失敗リスクが極めて高い。なぜなら、闇雲な新規事業の開拓は成功率が極めて低く、売上アップに繋がらないならまだしも、場合によっては、会社衰退のきっかけを作りかねないからだ。深掘り戦略は、既存事業の付加価値(強み)を再発見する戦略展開なので、そうした失敗リスクがなく、新たな付加価値(強み)が発見できれば、効率よく売上を拡大することができる。資本力に乏しい中小企業にとって、深掘り戦略は低リスクかつ効果的に売上をアップさせる優れた戦略といっても過言ではない。売上アップの深掘り戦略の基本ポイント中小企業に適した売上アップの深掘り戦略の基本ポイントについて、具体的に解説する。繰り返すが、中小企業は、闇雲に新規事業を開拓しても売上はアップせず、むしろ、衰退リスクが高まる。従って、新規事業よりも優先して、既存事業の深掘り戦略を展開することが、効率よく売上をアップさせる基本戦略になる。下図は、売上アップの深堀り戦略の展開エリアを示したマトリックスである。売上アップに最も適した深掘り戦略の展開エリアは「既存×既存エリア」になる。既存×既存エリアは、専門性が非常に高い既存事業分野なので、売上をアップする上で最も失敗リスクが低い。また、既存事業の分野は誰よりも経験豊富な領域なので、売上アップのアイデアが生まれやすく、なお且つ、効率的かつ効果的な売上アップの戦略展開がしやすい。既存事業であっても、視点を変えて深掘りすると、売上拡大のヒントが無限に出てくるもので、アイデア次第では一段と市場が拡大したり、技術が向上したりもする。既存事業の深掘り戦略は、中小企業の売上アップを支える優れた経営戦略だが、多くの中小企業は既存事業の深堀りに注意を払っていないので、深掘りの余地がないか一度点検することをお薦めする。売上アップの深堀り戦略の成功ポイント売上アップの深掘り戦略を成功させるには「経営課題を見落とさない」ことが大切だ。なぜなら、既存事業を極めたつもりでも、経営課題を見落とした瞬間から事業価値が陳腐化するからだ。事業価値の陳腐化とは、競合ライバルとの差が無くなるという事なので、既存事業の深掘りに終わりはなく、周囲の環境変化と共に絶えず表れる経営課題を捉え、対処し続ける事が不可欠になる。☑お客様が求めるサービスは何か?☑お客様が求めている商品を提供するにはどうすべきか?☑お客様が喜ぶ独自商品やサービスを提供するためには何をすべきか?このように、真摯な姿勢で経営課題を向き合うことが、売上アップの深掘り戦略を成功させる秘訣になる。売上アップの深掘り戦略の失敗ポイント売上アップの深掘り戦略を失敗させないポイントは、テクノロジーや時流の変化を正しく捉え、経営をアップデートし続けることだ。例えば、1970年代から2000年代の30年を切り取っても、様々なテクノロジーや時流の変化があった。音源は、レコードからカセットへ、カセットからCDへ、CDからオンラインへ、保存は、フロッピーディスクからハードディスクへ、ハードディスクからクラウドへ、通信は、固定電話から携帯電話へ、携帯電話からスマートフォンへ、販売は、対面形式からセルフサービス形式へ、セルフサービス形式からオンライン形式へ、、、既存事業を極めても、新たなテクノロジーや時流に乗り遅れると、いとも簡単に事業価値が陳腐化し、売上が大きく減少する。多くの中小企業はテクノロジーや時流の変化が訪れてから、ようやく対応を試みるが、それでは遅すぎる。やはり、そのテクノロジー、或いは時流の変化が自社の事業構造にどのような影響を与えるのか、お客様の価値判断がどう変化するのか、など等、日頃から変化の影響を深く考えなければ、売上アップに繋がる優れた深掘りアイデアは出てこない。経営者に強い信念と胆力がなければ、終わりのない深掘り戦略を推し進めることは出来ない。今すぐにでも、既存の顧客と市場に目を向けて、売上アップの為の改善余地がないか深掘りしてみてほしい。経営環境関係なく売上アップを実現している中小企業ほど、深掘り戦略を積極的に展開している。(この記事は2016年7月に執筆・掲載しました)
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  • 経営の悩みの解消方法|社長の悩みが解決するシンプルな考え方
    経営の悩みの解消方法|社長の悩みが解決するシンプルな考え方小さな会社ほど重要な経営判断が社長に集中するので、経営者の悩みは尽きることがない。社長が悩みを抱えることは、ある意味、当然のことであり、悩みがあって当たり前ではあるが、大切なことは悩みを放置しないことだ。この記事では、経営の悩みの解消方法、並びに、社長の悩みが解決するシンプルな考え方について、詳しく解説する。経営の悩みの解消方法経営の悩みの解消方法として確実な方法は「相談できる専門家」を抱えることである。経営の悩みを解消する手段として、自分で勉強する方法もあるが、独学は、誤った時に修正が利かないデメリットがある。大概は、失敗して初めて気が付くパターンが殆どであり、それであれば、最初から、専門家を頼った方がよい。経営の専門家は多岐にわたる。会社経営全般であれば経営コンサルタント、法務は弁護士、税務は税理士など等、必ず、その道の専門家がいる。そもそも社長の時間は極めて限られている。社長のパフォーマンスを上げるには、悩む時間を減らすために専門家を活用し、自身がすべき重要な仕事に集中するための取捨選択を日常的にしなければならない。初めから専門家を頼れば、社長業の生産性が上がるだけでなく、判断基準の精度も上がるため、成功の確率がグッと上がる。従って、できるだけ若い内から、専門家に身銭をきる習慣をつけ、頼るべき専門家を選別する眼を養うことをお薦めする。悩みを放置すると悩みが大きくなる経営の悩みは放置せず、サッと解決するのが良い。なぜなら、経営の悩みを放置するほど、衰退リスクが高まり、更に悩みが大きくなるからだ。悩みは小さな内に解消することが安定経営の鉄則であり、悩みの放置は経営者の怠惰といっても過言ではない。専門家の悩み相談は、せいぜい1時間1万円程度である。その1万円で悩みが解決でき、更に、会社の損失リスクを抑えられるのであれば、安いものである。1万円の相談料が、100万円や1,000万円の価値を生み出す事も往々にしてある。成功社長ほど、自身の苦手分野を把握しており、その苦手を補う専門家、或いは、ブレーンを上手に活用して悩みを解決している。ちなみに、公的機関の無料のよろず相談等はピンポイントで活用する分には問題ないが、悩みの根本解決の手段としてはお薦めできない。タダほど高いものはないと云われるように、時間と労力の割に役立たないケースが多いからだ。社長の悩みが解決するシンプルな考え方最期に、社長の悩みが解決するシンプルな考え方について解説する。経営の悩みはサッと解決することに越したことはないが、中には、尾を引く悩みもあれば、すぐには解決しない悩みもある。例えば、悩みを解決するために人事を尽くしたとしても、なかなか悩みの種が解消されないケースが稀にある。こういう場合は、強引に悩みを解決しようとはせずに、ただ静観し、流れに身を任せる手もある。押してダメなら引いてみろ、ではないが、悩みを解決する手段が強引になるほど、話がこじれることは良くあることである。特に家族や組織などの人の問題は、強引さが仇となる。やる事をやっても悩みが解決されない場合は、一度、立ち止まって解決法を考え直すことも時には必要で、場合によっては静観することで悩みが勝手に解決することもある。
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  • 経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選|社長の悩みは放置するな
    経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選|社長の悩みは放置するな中小企業の経営者は悩みを沢山抱える。なぜなら、トップダウン構造にある中小企業ほど経営者に重要な決断が集中するからだ。この記事では、経営者の悩みを解決する実践ノウハウについて、詳しく解説する。社長の悩みは放置するな!!!社長業ほど難易度の高い仕事はない。従って、経営者に弱点があるほど経営の悩みが山積する。経営の悩みには程度の大小があるが、経営課題に直結する深刻な悩みを放置すると、少しのきっけで会社が衰退することもあり得る。また、社長が解決できない悩みを抱えるほど精神面のダメージが大きくなり、リーダーシップ力の低下と共に業績が悪化することもある。会社経営は生き物のようなものなので、経営者が悩みを抱えることはとても自然なことではあるが、経営の悩みは素早く解決するのが鉄則で、決して放置してはならない。経営者はどんな悩みを抱えているのか?経営の悩みは絶えないが、中小企業の社長が抱える悩みは概ね以下ランキングの通りになる。1位は売上の悩みで、売上をどう伸ばせばよいのか、売上の減少に歯止めがかからない等の悩みは典型になる。2位はコストの悩みで、過分なコストをどうやって削減すればよいのか、どうやってコスト削減のネタを作ればよいのか等の悩みは典型になる。3位は資金繰りの悩みで、運転資金に余裕がない、返済苦に陥り資金繰りが苦しい、成長投資の原資が捻出できない等の悩みは典型になる。4位は人事組織の悩みで、社員採用や社員教育に悩みがある、組織力が低下している、問題社員の存在に悩んでいる等の悩みは典型になる。5位は会社経営(マネジメント)の悩みで、会社経営に不安を抱えている、経営者としてのスキルやマインドが不足している等の悩みは典型になる。以上の通り、中小企業の経営者は様々な悩みを抱えているが、経営の悩みは放置することなく、速やかに解決することが大切だ。経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選として、当サイト内からお悩み解決に役立つ厳選ノウハウを紹介する。売上・コスト・資金繰り・人事組織・会社経営の上位5位について、テーマ別に悩みを解決するお薦めのノウハウ記事を紹介しているので参考にすることをお薦めする。売上の悩みを解決する実践ノウハウ経営者の売上の悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。売上のお悩み解消に役立ててほしい。売れる商品の作り方売れる商品は安定経営の必須アイテムになる。また、売れる商品が多い程、少ない努力でモノが売れ続ける仕組みが定着するので、会社の成長スピードが一段と加速する。この記事では、売れる商品の作り方について詳しく解説している➡この記事を読む営業力を強化する7つの効果的方法営業力は企業の存続を左右する。商品やサービスが売れなければ商売が成り立たないからだ。この記事では、営業力を強化する7つの効果的方法について詳しく解説している➡この記事を読む売れる営業マンが持っている売る技術・戦略・コツビジネスのなかで最も難易度の高い仕事が「モノを売る(売上を作る)」仕事なので、いかにして売れる営業マンを育成するかが、ライバル企業に差をつけるポイントになる。この記事では、売れる営業マンが持っている売る技術・戦略・コツについて詳しく解説している➡この記事を読む経営健全化から成長戦略までの事業拡大の正攻法事業拡大なくして企業の存続なし。つまり、事業拡大の取り組みは、企業の生命線になる。この記事では、事業拡大の方法、並びに、事業拡大のための経営健全化から成長戦略に至るまで詳しく解説している➡この記事を読むコストの悩みを解決する実践ノウハウ経営者のコストの悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。コストのお悩み解消に役立ててほしい。コストダウンのネタは無限にあるコストダウンのネタが尽きると会社の衰退リスクが高まる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供できなければ、たちまち市場競争から脱落するからだ。この記事では、コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説している➡この記事を読む効果的なコスト削減/経費削減の方法同じ商品を競合他社よりも低コストで提供できれば、市場競争を優位に展開することができる。この記事では中小企業に適したコスト削減の基本ステップについて詳しく解説している➡この記事を読む簡単かつ即効性のあるコストダウン手法低コスト体制で高付加価値商品を開発することができれば、大きな利益を獲得することが容易になるので、コストダウンは高い収益基盤を整える効果もある。この記事では、簡単かつ効果的なコストダウンの手法について詳しく解説している➡この記事を読むコスト削減の考え方・目的・効果・方法を徹底解説闇雲なコスト削減が原因で企業の付加価値が棄損し、会社が衰退することがある。つまり、コスト削減は、方法論ひとつで企業の盛衰を決し、企業の成長に大きく影響を及ぼす。この記事では、コスト削減の考え方、コスト削減の目的・効果・方法から成功事例に至るまで詳しく解説している➡この記事を読む資金繰りの悩みを解決する実践ノウハウ経営者の資金繰りの悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。資金繰りのお悩み解消に役立ててほしい。5つの数字で資金繰りを改善する方法資金繰りは会社の生命線になる。なぜなら、資金繰りに失敗し、現金が枯渇すると、いかに儲かっていようが、会社が倒産するからだ。この記事では、5つの数字で資金繰りを改善する具体的方法について詳しく解説している➡この記事を読むキャッシュフロー経営で利益を劇的改善キャッシュフロー重視の経営は、会社の利益を押し上げ資金繰りを改善する効果がある。なぜなら、キャッシュフロー重視の経営は、会社のお金の動きを可視化し、経営者に明快な損得基準を与えるからだ。この記事では、キャッシュフロー経営の基本について詳しく解説している➡この記事を読む減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる減価償却が分かれば、キャッシュフローが良くなる。なぜなら、減価償却費は経費として計上しても、現金流出が伴わないからだ。この記事では、減価償却とキャッシュフローの関係性について詳しく解説している➡この記事を読む会社の利益を上げる5つの方法資金繰りを楽にする現金の源泉は利益になる。従って、良好な資金繰りを実現するには利益拡大が不可欠になる。この記事では、利益を上げる前に理解すべき注意点、並びに、すぐに実践できる中小企業の利益を上げる5つの方法について詳しく解説している➡この記事を読む人事組織の悩みを解決する実践ノウハウ経営者の人事組織の悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。人事組織のお悩み解消に役立ててほしい。事業は人なりは経営の理なり事業は社員一人ひとりの働きのうえに形作られるので「事業は人なり」は紛れもない事実であり、経営の本質を突いた理である。この記事では、中小企業の人材育成の重要ポイントを詳しく解説している➡この記事を読む人事評価の本当の目的とスゴイ効果人事評価の本当の目的は社会で広く通用する社員を育てるところにある。社員が育てば、自ずと会社の業績が拡大するので人事評価の効果は計り知れない。この記事では、人事評価の本当の目的とスゴイ効果について詳しく解説している➡この記事を読む社員のリストラは最悪の方法社員の生活の糧(生計)を脅かすリストラは、社員にとってみれば最悪の方法であり、リストラを免れて会社に残る社員にとってもモチベーションを下げるきっかけになり得る。この記事では、社員のリストラのデメリットと共に、社員に感謝し大切にすることでリストラを回避する方法について詳しく解説している➡この記事を読む社員が会社を辞める本当の理由社員が会社を辞める動機はより良い環境を求めるところにあるので、社員が会社を辞める根本的な理由を突き詰めて考えると「先行きの不安」ということになる。この記事では、社員が会社を辞める本当の理由について詳しく解説している➡この記事を読む会社経営の悩みを解決する実践ノウハウ経営者の会社経営(マネジメント)の悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。人事組織のお悩み解消に役立ててほしい。起業の基本知識と成功ノウハウこれから起業する方や新規事業を計画している中小企業経営者、或いは、すでに起業している起業家のために、起業に失敗しないための基本知識と成功ノウハウを詳しく紹介している➡この記事を読む経営者になるためのスキルとマインド社長になるにはどうすべきかを考えている後継者、或いは、経営者になるために必要なスキルとマインドを習得したいと考えているビジネスパーソンは意外と多い。この記事では、経営者になるための必須スキルとマインドについて詳しく解説している➡この記事を読む中小企業が後継者不足に陥る本当の理由中小企業の約半数以上は後継者不足に陥っていると云われていて、年商1億未満の中小零細企業に至っては約八割もの会社が後継者不足に陥ってる。この記事では、中小企業が後継者不足に陥る本当の理由について、詳しく解説している➡この記事を読む経営管理能力の自己採点チェックシート中小企業において社長の経営管理能力ほど重要なものはない。なぜなら、社長の経営管理能力によって、会社の成長と衰退が決まるからだ。この記事では、社長の経営管理能力の低下サインを具体的に記した自己採点チェックシートを紹介している➡この記事を読む
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  • 女性社長の悩みはあって当たり前|経営の悩みを解決する確かな方法
    女性社長の悩みはあって当たり前|経営の悩みを解決する確かな方法女性社長の悩みはあって当たり前である。なぜなら、女性、男性関係なく、会社経営に悩みはつきものだからだ。この記事では、女性社長の悩みを解決する確かな方法について、詳しく解説する。女性社長は経営者のスタンダード女性社長の割合は全体の1割弱、そして、女性社長の3割は自分で事業を起業した創業者となっている。(共に帝国データバンク調べ:2018年)このデータに個人事業主を含めると女性社長や女性起業家の比率はグッと上がり、既に、経営者のスタンダートとして女性社長が広く定着しつつあることが伺える。女性社長や女性起業家の増加は社会にとって大変喜ばしいことだが、10年後の会社生存率は約5%と云われているように、事業承継や起業家として社長の地位に就くことより、事業を継続することの方が遥かに難しい。事実、思うように経営が進まずに事業運営に悩みを抱える女性経営者、或いは、理想と現実のギャップに悩みを抱えて孤立する女性経営者は少なくない。女性社長はなぜ悩みを抱えるのか?女性社長はなぜ経営の悩みを抱えるのか?良くあるパターンは、家庭生活や出産育児との両立から抱える悩みだが、この悩みは、男性社長にはない女性社長特有の悩みといえる。また、男女関係なく、経営者や起業家としての準備不足から経営の悩みを抱えるパターンも多い。会社経営は周囲の環境変化と共に絶えず課題が生まれるので、経営者のスキルとマインドのレベルが低いと、経営の悩みが無限に山積する。しかも、山積した悩みを放置するほど経営状況が悪化し、悩みの深刻度が増す一方になる。社長は全ての経営責任を背負っているので、一人で悩みを抱えて業績悪化を見過ごすわけにはいかない。悩みを抱えたら速やかに解決する、これが会社経営の正攻法になる。女性社長の悩みを解決する確かな方法女性社長の悩みを解決する方法は3つある。ひとつは、女性社長特有の悩みを解決してくれる先輩社長に学ぶこと、二つめは、専門家を活用すること、三つめは、経営者の必須スキルとマインドを身につけることだ。女性社長の悩みを解決するそれぞれの方法を詳しく解説する。女性社長に学ぶ女性社長の悩みは女性社長が一番よく知っている。従って、先行して成功している女性社長に悩みを打ち明けアドバイスを仰ぐことは、お悩み解決の有効な方法になる。専門家の活用専門家の活用もお悩み解決の有効な策になる。弁護士等の士業、マーケティング等の特定分野の専門家、会社経営であれば私のような経営コンサルト等を活用することが、最も確実で最速なお悩み解決法になる。経営者の必須スキルとマインドを身につける会社経営の全ての悩みはスキルやマインド不足から生まれる。社長は、決断力、責任感、数字力など等、様々なスキルやマインドが求められるが、悩みを緩和、或いは、悩みを解決するには、経営者の必須スキルとマインドの習得が欠かせない。
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  • 経営者はしんどいが成功すれば人一倍の幸せを勝ち取れる
    経営者はしんどいが成功すれば人一倍の幸せを勝ち取れる経営者の仕事はじつにしんどい...。トップダウン構造にある中小企業ほど様々な決断が経営者に集中するので悩みの量やストレスの負荷が半端ない。この記事では、経営者のしんどさ、並びに、経営のしんどさから抜け出す方法について、詳しく解説する。なぜ経営者はしんどいのか?なぜ経営者はしんどいのか?それは、会社のトップに君臨する最高経営責任者だからだ。会社のトップである社長の立場は実にしんどい。なぜなら、最終決断するのも社長、経営責任を負うのも社長、副社長以下すべてスタッフの不平不満の矛先も社長、とにかく、会社経営に関わる全てのストレスを背負うのが社長の立場だからだ。トップダウン構造にある中小企業ほど様々な決断責任や采配責任が経営者に集中するので、悩みの量やストレスの負荷が半端なく、経営者としての力量が不足するほど、しんどい思いをする。経営のしんどさから抜け出す方法経営のしんどさから抜け出す方法は3つある。ひとつは専門家を活用すること、二つめは好調な業績をキープすること、三つめは経営者の必須スキルとマインドを身につけることだ。経営のしんどさから抜け出すそれぞれの方法を詳しく解説する。専門家を活用する経営者のしんどさの正体は大きな悩みや不安感に行きつく。こうした悩みや不安感は専門家を活用すれば確実に解消される。弁護士等の士業、マーケティング等の特定分野のコンサル、私のような経営コンサルタント等、しんどくなったら悩みや不安感の元になっている分野の専門家に速やかに相談することがしんどさから抜け出す確かな方法になる。好調な業績をキープする経営者は業績が悪化するほどしんどい思いをする。お金の苦労や組織内の苦労が山積し、しんどさがピークに達すると参ってしまう社長もいる。こうしたしんどさは好調な業績をキープすることで解消される。つまり、衰退を予見し先手を打つ会社経営の実践が、しんどさから抜け出す確かな方法になる。経営者の必須スキルとマインドを習得する経営者のスキルとマインドが不十分だと、会社経営の悩みが次々と生まれて、次第にしんどさが増していく。こうしたしんどさは経営者の必須スキルとマインドを習得することで解消される。つまり、経営者の自己研鑽がしんどさから抜け出す確かな方法になる。成功すれば人一倍の幸せを勝ち取れる経営者にとってしんどい思いをするのは辛いものだが、そのしんどさ(現実)を受け止めてしまえば、前に進む勇気が湧いてくる。しんどさを背負ったら、このしんどさと同じくらいの幸せが訪れると思って、プラス思考でしんどさを受け入れ、一歩ずつ成功のステップを歩めば必ず幸せが訪れるものだ。ピンチはチャンスと捉えて諦めずに努力することが大切で、何事も努力を継続すれば必ず活路は開ける。経営者は沢山のストレスを抱え、しんどい思いも沢山するが、経営者として成功することができれば人一倍の幸せを勝ち取れる。成功を勝ち取るには、しんどさを抱えても、絶対に成功するという強い想いを持って成功するための歩みを止めないことが大切だ。
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  • 中小企業の成長性分析と経営診断方法|企業の成長性は重要な診断ポイント
    中小企業の成長性分析と経営診断方法|企業の成長性は重要な診断ポイント企業の成長性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の成長性が分かれば、現在の立ち位置と共に会社の将来性が明らかになり、今後の対策が立て易くなるからだ。この記事では、中小企業の成長性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の成長性分析・診断の必要性成長性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、高い成長性なくして、企業の存続はあり得ないからだ。企業の成長性が分かれば、会社の将来性は自ずと見えてくる。更に、企業の成長性の適正具合が診断できれば、現時点の立ち位置が分かり、今後の対策を立てやすくなる。例えば、企業の成長性が適正指標よりも劣っていれば成長性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば成長性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の成長性分析・診断の具体的方法中小企業の成長性分析と経営診断は、「売上成長率」と「企業の果実」、この2つの経営指標を使って診断する。売上成長率は売上の伸び率を示す経営指標で、企業の果実は会社の収益性と競争力、つまり、獲得利益の大きさを示す経営指標になる。企業の成長は、成長投資の原資となる利益(現金)を増やすことが必須条件になるので、売上と利益を同時に拡大する意識が欠かせない。売上成長率と企業の果実の2つの経営指標を用いた中小企業の成長性分析と経営診断方法を順を追って解説する。企業の売上成長率の分析・診断方法売上成長率は、売上の伸び率を示す経営指標で、売上成長率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上成長性の計算式単年成長率の場合 : 〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100=売上成長率単月成長率の場合 : 〔(当月売上高-前月同月売上高)÷前年同月売上高〕×100=売上成長率売上成長率の診断方法売上成長率診断結果6~20%超優良水準である。この水準で売上が推移していれば会社が着実に成長しているといえる。現在の取り組みを積極的に継続展開すれば、益々の売上成長が望める可能性が高い。0~5%安全水準である。この水準で売上が推移していれば会社経営が安定しているといえる。成長の前期、もしくは、成長の後期に、この水準に位置していることが多い。▲1~▲10%準危険水準である。会社の成長が止まっていて、徐々に低迷している。既存の市場、既存の技術とノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みが必要である。▲11~▲20%危険水準である。会社の成長が完全に止まっている。既に、赤字経営に陥っていて、厳しい経営の舵取りを強いられてる可能性が高い。21%以上危険水準である。売上は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。この場合、会社の収益面は問題ないが、会社組織や経営管理の内部体制に問題が生じている可能性が高い。企業の果実の分析・診断方法企業の果実は、会社の収益性と競争力、つまり、獲得利益の大きさを示す経営指標のひとつである。企業の果実は「売上×営業利益率」の掛け合わせで測定することができるが、獲得利益の収縮が分かるので、売上成長率だけでは見落としてしまう利益金額の成長を把握することができる。例えば、下図のように、縦軸に売上、横軸に利益率を当てはめると、会社の獲得利益の大きさを視覚的且つ明確に把握できる。企業の果実の縮小は収益性と競争力の低下を示し、企業の果実の拡大は収益性と競争力の向上を示す。企業の果実の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。企業の果実の計算式企業の果実 = 売上×営業利益率企業の果実 = 営業利益額(獲得利益)企業の果実の診断方法企業の果実診断結果拡大健全な経営状態で会社が成長している。縮小不健全な経営状態に陥っている可能性が高い。価格競争に巻き込まれていないか?既存顧客が競合他社に流出していないか?経費や原価が増加していないか?、など等、会社の成長を阻害する要因を分析する必要がある。企業の成長性は売上成長率と企業の果実で分かる売上拡大一辺倒で会社の成長を推し進める経営者がいるが、利益を見落とした状態で売上を拡大すると、衰退リスクが高まる。なぜなら、利益縮小、或いは、赤字拡大といった症状を見逃すと、会社の現金が目減りし、最悪、黒字倒産という結末もあり得るからだ。従って、中小企業の成長性を診断する際は、必ず売上と利益、両面の拡大をセットに考えなければならない。「売上成長率」と「企業の果実」の両面で企業の成長性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント成長性は市場での競争優位性だけでなく、収益力も示します。ですから、成長性を診断し、然るべき目標に向かって現状改善を推進すると自ずと競争力と収益性の高い企業体質に変貌します。また、成長性に意識を向けると、会社全体の拡大意識が高まり、前向きでモチベーションの高い組織体質が定着しやすくなります。
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  • 中小企業の安全性分析と経営診断方法|企業の安全性は重要な診断ポイント
    中小企業の安全性分析と経営診断方法|企業の安全性は重要な診断ポイント企業の安全性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の安全性が分かれば、社員や取引先からの信頼を勝ち取ることが出来ると共に将来の投資戦略も見えてくるからだ。この記事では、中小企業の安全性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の安全性分析・診断の必要性安全性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、安全性が低下すると、たちまち経営が不安定になるからだ。企業の安全性が分かれば、社員や取引先からの信頼を勝ち取ることが出来ると共に将来の投資戦略も見えてくる。また、企業の安全性が適正指標よりも劣っていれば安全性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば安全性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の安全性分析・診断の具体的方法中小企業の安全性分析と経営診断は、「自己資本比率」と「当座比率」、この2つの経営指標を使って診断する。自己資本比率は、会社の資本力や安全性の度合を示す経営指標で、当座比率は、会社の支払能力を示す経営指標になる。会社は、現金で始まり現金で終わる。つまり、会社の現金が底をつくと会社が倒産する。企業の安全性を高めるには、資本を厚くし、尚且つ、支払能力を高める努力が不可欠で、この2点を抑えている限りは、現金残高が減少することはそうそう起こり得ない。自己資本比率と当座比率の2つの経営指標を用いた中小企業の安全性分析と経営診断方法を順を追って解説する。自己資本比率の分析・診断方法自己資本比率は、会社の資本力や安全性の度合を示す経営指標で、自己資本比率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。自己診断比率の計算式自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本(負債の部+資本の部の合計)〕×100自己資本比率の診断方法自己資本比率診断結果50%超極めて安全性が高いといえる優良企業水準である。更に、70%を超えると殆ど無借金経営になり、超優良企業になる。20~49%安全性に問題ない標準水準である。40%以上であれば、倒産のリスクは殆どない。10~19%安全性に乏しい水準である。直ちに経営が悪化する恐れはないが、会社の安全性を高めるために20%以上の水準を目指して、利益改善を推進した方がよい。9%以下安全性が低い水準である。会社は資本欠損の恐れがある。すでに会社が赤字経営に陥っている場合は、早急に黒字化する必要がある。マイナス極めて安全性が低い水準である。会社は債務超過である。つまり、総資本よりも、返済義務のある他人資本の金額が上回っている状態である。会社倒産の可能性が極めて高い。※ 自己資本比率とは、会社の総資本(負債の部+資本の部の合計)に占める自己資本の構成比率のことである当座比率の分析・診断方法当座比率は、会社の支払能力を示す経営指標で、当座比率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。当座比率の計算式当座比率=(当座資産÷流動負債)×100当座比率の診断方法当座比率診断結果120%超優良水準である。支払能力が高い状態といえる。90~119%安全水準である。支払能力に問題ない状態といえる。70~89%改善の余地がある。資金繰りへの影響は軽微だが、急を要する支出に対応できない可能性がある。69%以下危険水準である。資金繰りに影響が出ている可能性が高い。また、外面的に会社の心証が悪くなる水準でもある。銀行融資や助成金の交渉にも影響が出る場合がある。※ 当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。業種業態によって適正指標に幅があるが、会社の支払能力を分析する経営指標としては有効に活用できる企業の安全性は自己資本比率と当座比率で分かる中小企業の安全性を分析する際に、支払能力を示す「当座比率」だけに注目する経営者がいるが、過去の経営実績(利益)の蓄積を示す「自己資本比率」を見落とすと、企業の安全性を見誤る。なぜなら、一時的に現金にゆとりがあったとしても、自己資本比率が著しく低下していると、少しのきっかけで会社が衰退するからだ。従って、中小企業の安全性を診断する際は、必ず資本力と支払能力をセットに考えなければならない。「自己資本比率」と「当座比率」の両面で企業の安全性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント会社の安全性の診断は重要です。会社は現金がなくなると倒産するからです。また、安全性は会社の体力を示しますので、経営戦略や投資戦略など、会社の経営姿勢に大きな影響を及ぼします。安全性の診断を定着させることが、安全性を高める会社経営の実践に繋がりますので、定期的に診断しましょう。
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  • 中小企業の生産性分析と経営診断方法|企業の生産性は重要な診断ポイント
    中小企業の生産性分析と経営診断方法|企業の生産性は重要な診断ポイント企業の生産性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の生産性が分かれば、会社の労働効率と収益性と共に、効率的な会社経営が出来ているか否かを判定することができるからだ。この記事では、中小企業の生産性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の生産性分析・診断の必要性生産性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、高い生産性なくして、企業の成長はあり得ないからだ。企業の生産性が分かれば、会社の労働効率と収益性と共に、効率的な会社経営が出来ているか否かを判定することができる。また、企業の生産性が適正指標よりも劣っていれば生産性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば生産性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の生産性分析・診断の具体的方法中小企業の生産性分析と経営診断は、「労働分配率」と「1人1時間当たりの付加価値」、この2つの経営指標を使って診断する。労働分配率は、会社全体の労働生産性を示す経営指標で、1人1時間あたりの付加価値は、社員1人あたりの労働生産性を示す経営指標になる。社員の犠牲に成り立つ高い生産性は何れ破たんする。社員一人ひとりの生産性を高めながら、会社全体の生産性を高めなければ、会社の成長を加速する生産性を確立することはできない。会社の成長を加速させる生産性を確立するには、会社と社員、両面を意識した生産性向上対策が欠かせないのだ。労働分配率と1人1時間当たりの付加価値の2つの経営指標を用いた、中小企業の生産性分析と経営診断方法を順を追って解説する。労働分配率の分析・診断方法労働分配率は、会社全体の労働生産性を示す経営指標で、労働分配率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。労働分配率の計算式労働分配率=(人件費÷売上総利益)×100労働分配率の診断方法1売上総利益100100100100100人件費7060504030その他経費2030405060営業利益1010101010労働分配率70%60%50%40%30%人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型上表の「経営診断判定表1」に照らし合わせて、自身の会社が、労働集約型なのか、資本集約型なのか、はたまた標準的な産業なのかを判断する。そのうえで、下表の「経営診断判定表2」に照らし合わせて、労働分配率の適正指標と比較し、適正度合いを判定する。なお、労働分配率が高い水準の労働集約型の代表例はコールセンターで、労働分配率が低い水準の資本集約型の代表例は無人化が進んでいる製造工場である。労働分配率の診断方法2労働分配率診断結果適正指標より低い労働生産性が高い。少数精鋭で効率的な経営が実現できている。少数精鋭体制は、中小企業にとって理想的な姿である。適正指標より高い労働生産性が低い。人件費が過分にかかっている。人員の活用がうまくいっていない場合は、配置転換等で収益を上げる方法を検討した方がよい。配置転換等で収益増加が見込めない場合は、適正な水準になるように人員整理を検討することをおススメする。1人当たりの付加価値の分析・診断方法1人1時間あたりの付加価値は、社員1人あたりの労働生産性を示す経営指標で、1人1時間あたりの付加価値の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。1人1時間あたりの付加価値の計算式①付加価値=総人件費+営業利益②1人1時間当たりの付加価値=付加価値(①)÷総労働時間1人1時間あたりの付加価値の診断方法1人1時間の付加価値診断結果増加労働生産性が向上している。生産性と収益性が高く、骨太で力強い経営体質の会社経営ができているといえる。減少労働生産性が低下している。人員過剰や残業過多等に陥っている可能性がある。生産性と収益性を上げるための経営改善が必要である。企業の生産性分析は労働分配率と1人当たりの付加価値で分かる中小企業の生産性を分析する際に、会社全体の労働生産性を示す「労働分配率」だけに注目する経営者がいるが、社員1人あたりの労働生産性を見落とすと、企業の生産性を見誤る。なぜなら、労働分配率が適正水準であっても、社員1人あたりの労働生産性が悪化していれば、少しのきっかけで会社全体の生産性が低下し、会社が衰退するからだ。従って、中小企業の生産性を診断する際は、必ず会社全体の労働生産性と社員ひとりの労働生産性をセットに考えなければならない。「労働分配率」と「1人1時間あたりの付加価値」の両面で企業の生産性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント生産性は企業の生命線です。数多のライバル企業の中から一歩抜け出すには高い生産性が不可欠だからです。生産性を客観的に評価している中小企業は多くありませんが、生産性は測定可能な指標です。ここで紹介した2つの指標だけでも、しっかりモニタリングを続ければ、自ずと生産性の高い経営環境が整います。
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  • 中小企業の収益性分析と経営診断方法|企業の収益性は重要な診断ポイント
    中小企業の収益性分析と経営診断方法|企業の収益性は重要な診断ポイント企業の収益性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の収益性が分かれば、成長投資の資金余力が分かり将来の投資戦略が自ずと見えてくるからだ。この記事では、中小企業の収益性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の収益性分析・診断の必要性収益性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、高い収益性なくして、会社の成長はあり得ないからだ。企業の収益性が分かれば、成長投資の資金余力が分かり将来の投資戦略が自ずと見えてくる。また、適正な収益性を把握することで過剰投資等の経営判断の誤りを未然に防ぐこともできる。更に、企業の収益性が適正指標よりも劣っていれば収益性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば収益性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の収益性分析・診断の具体的方法中小企業の収益性分析と経営診断は、「売上総利益高営業利益率」と「付加価値金額」、この2つの経営指標を使って診断する。売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率、つまり、会社の収益性の高さを示す経営指標で、付加価値金額は、会社の可処分所得金額の大きさ、つまり、会社の収益量の大きさ示す経営指標になる。会社の収益性は、利益率を上げるだけでは心もとなく、やはり、高い利益率に加えて、利益額の拡大なくして、会社の収益性は改善しない。売上総利益高営業利益率と付加価値金額の2つの経営指標を用いた、中小企業の収益性分析と経営診断方法を順を追って解説する。売上総利益高営業利益率の分析・診断方法売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率、つまり、会社の収益性の高さを示す経営指標で、業種業態関係なく、会社の収益性の適正判定ができる経営指標である。売上総利益高営業利益率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上総利益高営業利益率の計算式売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100売上総利益高営業利益率の診断方法営業利益率診断結果11~20%優良水準である。会社の収益性が高く、持続的な会社成長が期待できる。10%標準的な利益水準(収益性)である。0~9%改善の余地がある。少しのきっかけで収益性が低下し、経営が低迷する可能性がある。マイナス危険水準である。収益性の高低以前に、収益性がマイナスの状態である。赤字経営なので、早急に黒字化する必要がある。20%超危険水準である。儲かりすぎである。人件費の水準が低すぎないか?保守修繕に不足がないか?等々、会社の内部に歪みが出ていないか確認する必要がある。会社の内部に歪みがあると、内部から会社経営が崩壊していく可能性がある。特段問題なければ、この水準でも問題ない。付加価値金額の分析・診断方法付加価値金額は、会社の可処分所得金額の大きさ、つまり、会社の収益量の大きさ示す経営指標で、付加価値金額の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。付加価値金額の計算式付加価値金額=総人件費+営業利益額付加価値金額の診断方法付加価値診断結果増加収益性が高く、良好な状況である。会社の利益と社員の報酬が増加に向かっている。減少収益性が低く、危険な状況である。会社の利益と社員の報酬が減少に向かっている。会社経営のなかにムダムラがないか徹底的に分析し、経営改善を行う必要がある。企業の収益性は売上総利益高営業利益率と付加価値金額で分かる中小企業の収益性は、利益率だけでは判断を誤る。なぜなら、利益率が適正水準であっても、利益金額を含めた付加価値が増加傾向にないと、会社の成長スピードが鈍化するからだ。従って、中小企業の収益性を診断する際は、必ず利益率と利益金額をセットに考えなければならない。「売上総利益高営業利益率」と「付加価値金額」の両面で企業の収益性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント収益性は会社の稼ぐ力だけでなく、競争力も示します。ですから、収益性を診断し、然るべき目標に向かって現状改善を推進すると自ずと競争力の高い企業体質に変貌します。また、収益性に意識を向けると、会社全体の利益意識が高まり、ムダやムラのない働き方が定着しやすくなります。
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  • 中小企業のリスク分析と経営診断方法|企業のリスクは重要な診断ポイント
    中小企業のリスク分析と経営診断方法|企業のリスクは重要な診断ポイント企業のリスク分析は、重要な経営診断の一つといえる。将来の経営リスクが分かれば、今すべきことが明快になり、衰退を予見して先手を打つ会社経営が実践できるからだ。この記事では、中小企業のリスク分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業のリスク分析・診断の必要性リスク分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、会社の規模関係なく、経営リスクを見逃すと、衰退リスクが高まる一方になるからだ。将来の経営リスクが分かれば、今すべきことが明快になるので、衰退を予見して先手を打つ会社経営の実践が可能になる。例えば、企業の経営リスクが適正指標よりも高まっていればリスクを取り除くための対策を検討することができるし、適正指標よりも低下していれば現状を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業のリスク分析・診断の具体的方法中小企業のリスク分析と経営診断には、「売上総利益高経費率」と「1社あたりの売上占有率」、この2つの経営指標使って診断する。売上総利益高経費率は、売上総利益に占める販売管理費の構成比率、つまり、経営破綻のリスク度合いを示す経営指標で、1社あたりの売上占有率は、会社全体の売上に占める1社あたりの売上構成比率、つまり、連鎖倒産等のリスク度合いを示す経営指標になる。会社経営のリスクは、収入減少と支出増加に集約される。つまり、売上減少と経費増加である。簡単な理だが、売上減少、或いは、経費増加を放置すると、何れ会社の利益がゼロになって会社の経営が破綻する。会社の衰退リスクを払しょくするには、衰退リスクに繋がる売上減少と経費増加を絶えずモニタリングすることが欠かせないのだ。売上総利益高経費率と1社あたりの売上占有率の2つの経営指標を用いた、中小企業のリスク分析と経営診断方法を順を追って解説する。売上総利益高経費率の分析・診断方法売上総利益高経費率は、売上総利益に占める販売管理費の構成比率、つまり、経営破綻のリスク度合いを示す経営指標で、業種業態関係なく、経費水準の適正判定が可能な経営指標である。売上総利益高経費率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上総利益高経費率の計算式売上総利益高経費率=(販売管理費÷売上総利益)×100売上総利益高経費率の診断方法経費率診断結果80%以下優良水準である。経営リスクは極めて低く、現状の経営を推し進めて問題ないといえる。81~90%標準的な費水準である。経営リスクは低いといえる。91~100%改善の余地がある。少しの売上減少で経費が賄えなくなるリスクが高いため、早めに90%以下の水準に収まるような経営改善を行った方がよい。100%超危険水準である。経営破綻のリスクが高いといえる。売上総利益よりも経費の方が上回っているので赤字経営である。早急に黒字化してリスクを払しょくしないと会社が倒産する可能性が高い。売上占有率の分析・診断方法1社あたりの売上占有率は、会社全体の売上に占める1社あたりの売上構成比率、つまり、連鎖倒産等のリスク度合いを示す経営指標で、1社あたりの売上占有率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上占有率の計算式売上占有率=(販売先の1社の売上÷会社全体の売上)×100売上占有率の診断方法売上占有率診断結果5%以下全ての販売先が5%以下であれば超優良水準である。販売先のリスク分散が万全なので、連鎖倒産のリスクは極めて低い。6~10%数社入っている程度であれば標準水準である。3社以下なら連鎖倒産のリスクが低いが、4社以上ある場合は、連鎖倒産のリスクがある。なるべく1社あたりの売上占有率を5%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。11~20%1社でも入っているようであれば、改善の余地がある。連鎖倒産のリスクが高い。なるべく1社あたりの売上占有率を10%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。20%以上1社でもあるようであれば早急な改善が必要である。連鎖倒産のリスクが極めて高いので、早急に販売先の新規開拓、新商品の投入等の対策を講じる必要がある。万が一、リスクを放置して、当該販売先が倒産してしまったら連鎖倒産が現実のものになるだろう。企業の経営リスクは売上総利益高経費率と売上占有率で分かる中小企業の経営リスクは、経費率だけでは判断を誤る。なぜなら、経費率が適正水準であっても、大口取引先の消滅等によって経営が行き詰る可能性があるからだ。従って、中小企業の経営リスクを診断する際は、必ず経費水準と大口取引先の有無をセットに考えなければならない。「売上総利益高経費率」と「1社あたりの売上占有率」の両面で企業の経営リスクを診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント会社経営におけるリスクヘッジの基本は、経費を収入以下に抑える事と少数の取引先に依存しない販売構造を確立する事です。この2つのリスク診断を定着させ、リスクヘッジを実践することが安定経営の近道になります。どちらか一方のリスクが上がると、会社の衰退リスクが著しく上がりますので注意して下さい。
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  • 中小企業を成長させる管理会計の基本|企業の経営力を高める管理会計とは
    中小企業を成長させる管理会計の基本|企業の経営力を高める管理会計とは管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことである。中小企業の安定経営を実現するうえで、管理会計ほど優れた効果を発揮するツールはなく、管理会計の有り無しで、会社の成長が決まるといっても過言ではない。この記事では、中小企業の成長を後押しする管理会計の基本について、詳しく解説する。管理会計の基本概要管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことで、計数管理や統計学も管理会計の範疇に入る。管理会計は自社の数字の活用(分析)が基本になるので、運用するほどに経営采配の根拠、或いは、問題解決の糸口が充実し、会社の経営力が一段と高まる。管理会計は決して難しいものではなく、例えば、当期と前期の売上を用いて計算する売上成長率のモニタリングも立派な管理会計になる。売上という数字を管理会計にインプットすると、売上成長率という情報がアウトプットされ、その情報が経営采配の根拠や問題解決の糸口になる。つまり、管理会計とは、会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなもの、ともいえる。管理会計に活用する基本の数字管理会計を有効に運用するには、会社の数字の活用が不可欠だが、管理会計にインプットする基本の数字は、決算書(月次試算表含む)の情報になる。決算書(月次決算書)は、会社経営の実態を最も忠実に表しているので、決算書の数字は管理会計のインプットに最適な情報といえる。例えば、決算書の実績金額を眺めただけでは、資産と負債のバランスが適正なのか、売上の成長率は適正なのか、利益の水準は適正なのか等々、会社経営の正否を判別することはできないが、管理会計に決算書の数字をインプットすると、有益な情報がアウトプットされる。つまり、管理会計は、数字の羅列を有益な経営情報に変換し、経営をサポートする役割を果たしてくれるのだ。また、管理会計は、幾通りにも及ぶ膨大な会社の数字(経営データ)を、有益な情報に整理・分類することも可能にする。経営者の正しい判断と決断を支えるのは良質な情報なので、管理会計ほど安定経営をサポートするツールはない。管理会計は会社の経営力を押し上げる管理会計を会社に導入すると、経営判断の環境が飛躍的に向上する。なぜなら、正しい根拠材料(判断材料)が沢山増えて、経営判断の失敗リスクが低下するからだ。管理会計が導き出だす答えは実績の裏付けなので、この情報を頼りに経営采配している限りは、たとえ経営者の経験値が多少劣っていたとしても、経営判断を大きく誤ることはない。管理会計は四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロであっても、誰にでも習得することができるが、中小企業の管理会計導入率は極めて低い水準にある。下表は、中小企業の管理会計未導入率と赤字経営の比率を表したグラフである。ご覧の通り、中小企業の管理会計未導入率は8割と云われている。中小企業の7割が赤字経営と云われているので、管理会計未導入と赤字経営は相関がとれており、管理会計なしの会社経営は、衰退リスクが極めて高いと言わざる得ない。管理会計の優れた5つの基本メリット管理会計最大のメリットは、小さな変化をいち早く察知できる点だ。業績悪化の小さな芽をいち早く察知できれば、会社が大きく傾くことはなく、赤字経営に転落するリスクも著しく低くなる。管理会計の基本メリットはこの他にも様々あるが、主だったものを挙げると下記の通りである。経営がみえる経営が可視化される。例えば、業績と適正値(目標値)とのかい離が一目瞭然で把握できる。また、会社の健康状態が把握できるので、経営判断の精度が一層高まる。将来がみえる1年後の業績予測が可能になる。良い面も、悪い面も事前に対策を講じることが可能になり、より効率的かつ効果的な会社経営が実現できる。また、将来がみえることで漠然とした不安が払しょくされる。課題がみえる具体的な経営課題が浮き彫りになる。重要度別に優先順位をつけて経営課題に取り組むことで、よりスピーディーに、会社を成長させることができる。効果がみえる経営改善効果の数値変化が把握できる。自ずと経営改善効果の検証と実行サイクルのスピードが加速する。さらに、手ごたえをしっかり感じながら経営改善に取り組むことができる。経営者が数字に強くなる経営者の業績理解が深まり、経営者の数字力が高まる。また、経営者の決断力が高まり、会社経営の成功確率が格段に高まる。伊藤のワンポイント管理会計は経営マネジメントの肝であり、経営者の必須スキルです。従って、管理会計の運用は成功企業の絶対条件になります。管理会計を運用すると決断と検証精度が高まりますので、自ずと、衰退リスクが低くなります。専門家の力を借りてでも、いち早く、自社にフィットする管理会計を構築することをお薦めします。
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  • 企業経営で大切なこと|事業を成功に導く3つの原理原則
    企業経営で大切なこと|事業を成功に導く3つの原理原則社長が抑えるべき企業経営で大切なことは山ほどある。小さな会社ほど、企業経営のかじ取りが社長に集中するので、成功と失敗を分かつ大切なことを見落とすと、少しのきっかけで会社が衰退することがある。この記事では、企業経営で大切なこと、並びに、事業を成功に導く3つの原理原則について、詳しく解説する。大切なポイント1「顧客と商品」企業経営で大切な「顧客と商品」について、詳しく解説する。企業経営の成功は、顧客と商品の両方を増やす活動量、つまり、顧客×商品の掛け合わせで決まる。顧客か商品のどちらかを増やし続ければ、売上の規模が拡大し、企業経営の成功率が一段と上がる。大切なことは、顧客を増やすために、既存顧客に徹底的に尽くす行動を社員一丸で行いつつ、今はまだ顧客になっていない潜在顧客を取り込むことだ。潜在顧客を取り込むには、新規顧客を発掘するための情報発信、新規購入までの営業アプローチが大切で、この何れかの活動量が少ないと企業経営は成功しない。また、商品は時の経過と共に必ず陳腐化するので、絶えず、商品の付加価値を研鑽する、或いは、古い商品を新しくする活動も大切になる。新規顧客の創造と同様、この活動量が少ないと企業経営は成功しない。【関連記事】売上を拡大する実践的営業戦略大切なポイント2「経営力」企業経営で大切な「経営力」について、詳しく解説する。経営力とは、企業経営を円滑に運ぶために必要な総合力のことだが、とりわけ大切なスキルは、マネジメント力とリーダーシップ力の二つだ。マネジメント力とは、ヒト・モノ・カネ・情報等の経営資源を最適化・最大化するスキルのことで、リーダーシップ力とは、社長個人の能力研鑽だけでなく、周囲の社員や関係者の成長をもけん引するスキルのことだ。この二つのスキルが十分に身につくと企業経営で失敗することが殆どなくなり、たとえ失敗したとしても助けの手がたくさん差し伸べられるようになる。逆に、この二つのスキルが身についていないと、衰退リスクが山積し、企業経営で失敗する確率が高まる。事実、経営力不足で企業経営に失敗するケースはじつに多い。【関連記事】経営者の必須スキルとマインドを高める方法大切なポイント3「人財育成」企業経営で大切な「人財育成」について、詳しく解説する。数ある経営資源のなかで、無限の可能性を秘めている資源は「ヒト」だ。お金は使えば無くなくなるし、設備は使うほどに古くなる。一方の人は、育て方次第で、どこまでも成長し続ける。組織力と業績は比例関係にあるので、社員や右腕を育てるほど、企業は成長し、大きな成功を収める経営基盤が整う。上手に人を育てるには、人事評価の仕組みが大切だ。例えば、社員の評価基準が明確であれば、社員自身、何をすれば評価されるのかが分かるので、評価基準に向かって、効率よく能力開発に励むことができる。一方の会社側も、社員の評価基準に則って、社員の能力開発を効率的にサポートすることができる。黙って社長の後ろについて来いといったワンマン的な育て方ではなく、お互いに目指すべき人材像を共有しながら育てるマンツーマン的な人事評価の仕組みが大切になるのだ。【関連記事】強い組織を作り上げる人財育成の戦術戦略伊藤のワンポイント企業経営で大切な「顧客と商品・経営力・人材育成」は、事業を成功に導くうえでとても大切な要素です。また、この3つの要素は、事業を成功に導く原理原則と言っても過言ではありません。意識するだけで、企業経営の成功率が格段に上がりますので、しっかり抑えましょう。
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  • 売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?|売上と利益の優先順位
    売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?|売上と利益の優先順位売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?結論から言うと、売上と利益、2倍にするのが簡単なのは利益である。この記事では、売上と利益の基本概要、並びに、売上と利益の優先順位について、詳しく解説する。売上とは?売上とは、企業が提供する商品やサービスの対価として顧客から受け取る金銭等のことである。企業の事業活動は売上を作るところから始まり、売上=顧客の支持率(市場シェア)を表すので、売上は超重要指標になる。一から売上を作るには、顧客の創造が不可欠で、一度作った売上を更に増やすには、新しい商品やサービスの投入が不可欠になる。また、顧客は流動的(常に離脱顧客が発生)なので、売上をキープするためには、顧客創造や新商品等の投入と並行して、繰り返し売上を作ってくれるリピーターの育成・確保も欠かせない。つまり、売上は一度売ったらお終いではなく、如何にして新しい顧客を取り込み、如何にしてその顧客を定着させるかが重要であり、そうした活動なくして売上を増やし続けることはできないのだ。利益とは?利益とは、売上から、その売上を獲得するために費やした全てのコストを差し引いて手元に残った金銭等のことである。企業の事業活動は、利益を残すことで初めて成立し、更に、資金繰りや成長投資の原資は全て利益になるので、利益は超重要指標になる。利益を出すには、売上を獲得するために費やす総コストを売上以下に抑える必要があり、この法則が崩れると、利益がマイナスの赤字経営に転落する。利益の出ない赤字経営に転落すると、成長投資が鈍化し、大概の企業は衰退の一途を辿り、やがて倒産の危機に瀕する。今の売上をキープするのも利益が源泉になり、新しい売上を作るのも利益が源泉になるので、利益なくして、まともな事業活動はできない。売上がなければ利益は生まれないが、売上を作ったら必ず利益を残す意識を強く持つことが大切になる。売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?売上と利益、2倍にするのが簡単なのは利益になる。なぜなら、利益を2倍にする労力は、売上を2倍にする労力の数分の一で済むからだ。例えば、売上が1,000万円で、利益が100万円の会社があったとする。売上を2倍にするには、新たに1,000万円分の顧客創造に成功しなければ、売上は2倍の2,000万円に到達しない。一方、利益を2倍にするには、100万円の利益を200万円に増やすだけで済む。売上総利益率が50%の会社であれば、経費を据え置きにして売上を200万円増やすだけで、最終利益が2倍の200万円に増加する。或いは、売上を増やすことなく、経費を100万円コストカットする方法でも、利益を2倍の200万円に増やすことができる。前記の方法であれば、売上を2倍にする1/5の労力で利益を2倍にすることができるが、何れにしろ、売上を2倍にする労力に比べて、利益を2倍にする労力は圧倒的に軽く済む。売上と利益の優先順位売上と利益は、利益を優先した方が良く、売上を2倍にするよりも、利益を2倍にした方が会社経営は安定する。前章で解説した通り、売上と利益では、それぞれ持っている性質が全く違い、会社の存続を保障する要素は、売上ではなく利益になる。会社の利益が無くなり続けて会社のお金が底をつくと、会社経営は破たんするので、とにかく利益を残すことが会社存続の絶対条件になる。多くの経営者は売上拡大に目くじらを立てるが、利益を優先すると、商品やサービスの付加価値を高めるアイデアが出やすくなり、それがきっかけで大きな売上が生まれることもある。逆に、売上ばかりを優先すると、利益度返しで売上を作る方向に傾いたり、安易な安売りで売上拡大に走る危険な思考に陥り易くなる。利益は会社の生存を保障するお金の源泉だけに止まらず、新しい売上を作るための成長投資の原資にもなる。つまり、利益がなければ売上が増えることも、会社が成長することもないのだ。利益を2倍にする具体的方法論繰り返すが、売上と利益、2倍にするのが簡単なのは利益である。売上を2倍にするには、顧客創造、市場拡大、新商品投入、新規事業展開、など等、比較的難易度が高くリスキーな方法を取らざる得ないが、簡単に利益を2倍にする方法は沢山ある。例えば、日頃の会社経営の陰に隠れている利益ロスを解消するだけで、利益を簡単に増やすことができる。参考まで、利益を2倍にするための利益ロスの解消方法を3つ紹介する。利益は「売上の中にある」利益ロスは売上の中にも潜んでいる。例えば、売上の構成比率下位20%を占める販売先は、会社の利益に殆ど貢献していない可能性が高い。売上の割に手間が多くて利益が出ていない赤字商品や赤字取引も利益ロスの原因になる。商品の付加価値が高いにも関わらず、価値に見合わない低価格で販売しているケースも利益ロスの原因になる。(販売消費地が大都市圏にも関わらず、地方水準の低価格設定で販売しているケースが失敗の典型になる)利益貢献度が低い販売先の整理、赤字商品や赤字取引の解消、付加価値に見合った価格再設定は、何れも利益ロスの解消に繋がる。利益は「売上原価の中にある」売上原価は、利益ロスの宝庫になる。売上原価には売上に連動する仕入、製造原価、外注費等があり、例えば、仕入の利益ロス解消は、仕入先やロットを工夫して仕入単価を下げる、製造原価の利益ロス解消は、材料や包材単価を下げる、歩留まりや廃棄率を改善する、製造効率や生産性を改善する等の方法がある。そのほかにも、製造商品の組み合わせや人員配置、製造ラインの組み換えなど等、労働の非効率要因を洗い出して、労働生産性の改善と共に利益ロスを探る方法もある。また、商品の付加価値と共に売上原価が上昇した場合は、必ず、原価上昇分を売上に価格転嫁することも利益ロスを解消する有効な取組みになる。利益は「販売管理費の中にある」販売管理費は、売上原価同様に利益ロスの宝庫になる。販売管理費には、人件費の他、水道光熱費等の変動費、家賃等の固定費等があるが、例えば、経費の利益ロス解消は、消耗品の調達先を工夫する、印刷物や広告物の発注先を工夫する、必要性の低い変動費と固定費を削減する等の方法がある。また、営業ルートや配送ルートの損益分析、催事やイベントの損益分析、など等、営業活動の個別損益を分析して利益ロスを探る方法もある。販売管理費の利益ロスの改善は、長期間に亘って利益効果が持続するので、積極的に推進したい取り組みでもある。伊藤のワンポイント会社を大きくするには売上拡大はいうまでもありません。大切なのは、利益意識を持って、売上と共に利益を拡大することです。この意識が欠落すると、必ず会社経営に失敗します。また、顧客と社員の幸せを最大化するための成長投資も利益拡大に不可欠です。利益拡大の目的と手段を誤ると、失敗しますので気をつけて下さい。
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  • 経営力と商品力が会社を拡大する|経営力と商品力を高める実践的ノウハウ
    経営力と商品力が会社を拡大する|経営力と商品力を高める実践的ノウハウ会社経営の本質は、未来永劫、営みを継ける(続ける)こと、つまり、企業の永続性の確立にある。企業の永続性を確立するために経営者がすべきことは二つあり、ひとつは黒字経営の持続、もう一つは利益の拡大である。黒字経営で生み出された利益は成長投資のサイクルを作り、成長投資は会社の付加価値を高め競合他社よりも優位な立場を作り、利益を更に拡大する。黒字経営と利益拡大が企業成長の大原則になる訳だが、その大原則を支える要素が経営力と商品力になる。この記事では、企業成長を支える経営力と商品力の基本から経営力と商品力を高める実践的ノウハウに至るまで、詳しく解説する。企業成長を支える経営力と商品力企業成長を支える不可欠な要素は二つあり、それは、経営力と商品力である。経営力とは何か?商品力とは何か?考えたことがあるだろうか?経営力と商品力は、中小企業の成長発展を支える重要な要素で、経営力は成長発展の基盤を支える土台になり、商品力は成長発展を加速させる原動力になる。当然ながら、経営力と商品力のどちらか一方が低下すると、会社は成長から衰退に一転し、業績は下降線を辿り始める。従って、経営力と商品力の両輪を高める活動こそが、中小企業が未来永劫にわたって成長発展を遂げる確かな方法になる。ちなみに、中小企業で最も多いパターンは、商品力はあるが経営力がない、という状態で、良い商品を持っているにも関わらず、業績が伸び悩んでいる中小企業などは、その典型である。経営力とは何か?経営力とは、成長発展の基盤を支える土台の強度のことだ。成長が加速する中で安定した経営を実現するには、それなりの土台が必要だ。土台がぜい弱だと、成長の足を引っ張ったり、成長に合わせた経営采配ができなくなるので、経営力は企業成長の絶対条件になる。会社の経営力は、経営者の課題解決力で決まる。課題とは会社の成長を阻む経営課題のことで、正しい現状認識と目標設定が大前提になるが、経営者の課題解決力が高いほど、成長発展を支える土台が強固になる。つまり、急成長にも耐えうる経営力、或いは、急成長を後押しする経営力は、経営者の課題解決力で決まるのだ。会社の経営力を高めるために、経営課題を解決する場面は数多にある。例えば、☑顧客や現場の声を聞いているか?☑経営課題を見落としていないか?☑経営采配を支える計数管理は盤石か?☑組織力を上げる生産性管理は盤石か?☑時代の先を読む成長投資の戦略は盤石か?など等、会社の成長を阻害する経営課題は会社内部の至るところにある。経営者の課題解決力が脆弱だと会社の経営力は上がらず、業績の伸びも鈍化する。中小企業の業績が経営者の能力で決まると云われる所以はココにある。【関連記事】倒産原因は内部にある|すべての企業倒産は自壊から始まる商品力とは何か?商品力とは、成長発展を加速させる原動力のことで、端的にいうと「商品の付加価値」のことだ。商品力(付加価値)は、会社の成長を大きく左右する。例えば、どんなに優れた商品でも、全ての商品は常に顧客からの選択の脅威にさらされているので、ひとたび商品の付加価値が低下すると、たちまち、選択の機会から外される。つまり、商品力の向上、或いは、商品力のキープなくして、商品が購入され続けることはあり得ないのだ。商品力を高めるためにすべきことはたった一つ、それは「徹底した深堀り」である。深掘りとは、付加価値の追求・発掘・再定義、用途開拓、販路・顧客・市場の新規開拓など等、その商品のあらゆる付加価値(ポテンシャル)を最大限に引き出す取組みのことだが、多くの中小企業で徹底されていない。顧客の幸せを叶える付加価値を徹底して商品に反映させたか否かの自問を続け、全てをやり尽くすまで商品の深掘りは続く。商品に市場サイクル(寿命)があるのも確かだが、画期的な新商品を生み出すアイデアは、深掘りをやり尽くした経験から生み出されるものだ。付加価値なくして商品力が高まることはなく、商品力なくして会社の成長はあり得ないといっても過言ではない。経営力×商品力が高まると会社が成長する会社の経営力と商品力が高まると、会社は自然と成長する。逆に、経営力と商品力の一方が低下すると、途端に会社の業績は悪化する。中小企業の場合、商品力が優れているにも関わらず、経営力が低いために業績が伸び悩んでいる会社が少なくない。例えば、下のグラフはわたしが経営指導に入った会社の指導開始1年前の主な経営指標のギャップを示したグラフになる。ご覧の通り、すべての指標が目標(適正ライン)に達していないことが分かると思う。この会社は、競合他社よりも付加価値の高い商品を持っていた。その証拠に、過去数年にわたって売上はプラス成長を維持していた。しかし、なかなか利益が上がらず、思うような成長投資や余裕のある資金繰りができていなかった。下のグラフは、経営指導を開始してから1年後の主な経営指標のギャップを示したグラフになる。ご覧の通り、わずか一年で利益水準が高まり、成長投資の原資と資金繰りに余裕ができたことが分かると思う。付加価値の高い商品を持っているにも関わらず業績が伸び悩んでいる会社は、会社の経営力さえ高めれば飛躍的に業績を改善することができる。会社の経営力と商品力の研鑽は経営者の重要な仕事になる。この仕事だけは、決して手を抜いてはならない。伊藤のワンポイント企業の成長は経営力と商品力で決まります。ですから、どちらか一方が低下すると必ず会社が衰退します。ちなみに、経営力を上げれば商品力も上がります。商品力を上げるマーケティングや戦略展開は経営力の範疇に入るからです。つまり、企業の盛衰は経営力で決まるのです。
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  • 変化に対応する企業が生き残る|環境変化に上手に適応する方法
    変化に対応する企業が生き残る|環境変化に上手に適応する方法変化に対応することが、企業が生き残る絶対条件になる。会社を取り巻く環境が変化しているにも関わらず、変化しないことは、衰退を早めだけだからだ。この記事では、変化に対応することの重要性、並びに、環境変化に上手に適応する方法について、詳しく解説する。変化に対応する重要ポイントダーウィンの進化論に次のような一節がある。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」確かに、変化することは生き残りの条件であることに違いないが、単純に変化さえすれば生き残れるわけではない。大切なことは、タイミング、つまり、機を見ることである。変化のタイミングを誤ると、その変化がきっかけで衰退に転じることもあり得るということだ。変化に対応するには犠牲が伴う明治維新は、日本の行く末に大きな影響を及ぼしたエポックメイキング(新時代の創造)になったが、単純化すると、鎖国派(幕府)が開国派(薩長等)に敗れたことで、もたらされた。ココで重要なのは、進んで変化を受入れた開国派の人間がすべて生き残ったわけではない、ということだ。例えば、明治維新をけん引した長州藩には、吉田松陰、高杉晋作、久坂玄瑞などの傑物が沢山いたが、早々に亡くなっている。変化の度合いが激しいほど、或いは、変化と世間のギャップが大きいほど、変化する過程で大きな犠牲を強いられ、そうした犠牲なくして、変化は成就しないということだが、これは、会社経営も一緒である。会社の業績がひどい程、大きな変化を強いられ、変化する過程で減給やリストラなどの大きな犠牲が生じる。リーマンショック等の経済危機やコロナショック等の自然災害などの不可抗力的な障害に適応する変化も同様である。上手に変化に対応する方法上手に変化に対応するには、タイミングを見計らいながら、小さな変化を積み重ねるとよい。小さな変化は周囲に与える負荷が小さく済むからだ。例えば、会社の業績がある程度安定している中で、機を見ながら、小さな変化を積み重ねることができれば、少ない負担で、より良い会社経営の仕組みや基盤を構築することができる。会社を取り巻く環境は絶えず変化している。顧客、市場、ライバル、テクノロジー、社会インフラ、人々のマインドなど等、諸行無常の通り、いつの世の中も変化は止まない。会社経営において、変化しないことは死を意味する。確実に生き残るために、機を見ながら、小さな変化を積み重ねることをお薦めする。とっても地味な活動ではあるが、こうした経営改善活動が定着すれば、どんなに小さな会社であっても、大きな変化に耐えうる強い会社に生まれ変わる。
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  • 経営の軸足がブレると会社経営がブレる|会社の繁栄は軸足で決まる
    経営の軸足がブレると会社経営がブレる|会社の繁栄は軸足で決まる経営の軸足は、じつに大切である。社長の軸足がブレると、会社経営もブレるからだ。この記事では、会社の繁栄を支える経営者が大切にすべき経営の軸足について、詳しく解説する。経営の軸足樹木希林さんの主演映画「日々是好日」を観覧した際に、印象深いセリフに出会った。「すぐに分からないことにこそ大切なものがある」このセリフを聞いた瞬間に、会社経営の本質を突いた、じつに良い言葉だなぁとしみじみ思った。なぜなら、すぐに分からないことに軸足を置いた会社経営は成功するからだ。すぐに分からないことを挙げると「心、愛情、ご恩、ご縁、評価、成功のタイミング」などがある。例えば、患者の心を真剣に観ようとする医者と、患者の心を見ないで診療モニターばかりを見ている医者、患者の信頼を集めるのは、どちらの医者だろうか?他者からの愛情に感謝して生きる子供と、他者からの愛情に無関心な子供、慈愛に満ち溢れ、地に足がついた大人に成長するのは、どちらの子供だろうか?一期一会のごとく、謙虚にご恩やご縁を大切にして生きる社長と、ご恩やご縁をそっけなく扱う横柄な社長、困った時に助けの手が多いのは、どちらの社長だろうか?社長の軸足が成功を左右するすぐに分からないことや見えない世界に軸足を置いた会社経営は成功する。例えば、心は見えない。すぐに分かるものでもない。しかし、心が通じ合った瞬間に信頼が育まれる。そして、その信頼は繁栄の基礎になる。愛情は見えない。理解するまでに何十年もかかる。しかし、愛情に感謝し、真意を理解した瞬間に、人生の指針やビジネスのビジョンがより強固になる。ご恩やご縁は見えない。その瞬間に答えが出ないことが殆どだ。しかし、ご恩やご縁を大切にするほど、困った時に助けの手が多くなる。このように、すぐに分からないことほど成長の肥やしになり、会社や社長の成長スピードが加速する。社長の軸足が成功マインドを創る社長の軸足が定まると、成功マインドが定着しやすくなる。例えば、評価や成功のタイミングなどの、すぐに分からないことに振り回されないマインドを持つことは成功の絶対条件になる。人からの評価はすぐには分からない。画家フィンセント・ファン・ゴッホのように亡くなってから評価される人もいる。人の評価を気にしても意味はなく、自分が信じた道を突き進むことの方がよほど大切だ。成功のタイミングもすぐには分からない。そもそも、成功の定義などどこにも無く、会社経営は社長が成功したと思った瞬間に衰退する。他人に勝った負けたで成功を決めるのではなく、成功するまで諦めない、或いは、成功の判定は次の世代に委ねる。これくらい長い視点で成功を見つめることが大きな成果を生み出す秘訣になる。見えない世界やすぐには分からない世界に軸足を置いてみてほしい。きっと、目に見える大きな成果が得られるはずだ。
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  • 見切り千両は万両の価値あり|損切りは成功社長の絶対スキル
    見切り千両は万両の価値あり|損切りは成功社長の絶対スキル見切り千両とは、江戸中期に米沢藩を立て直した名君「上杉鷹山公」が残した言葉である。事業撤退の遅れが原因で急速に会社が衰退する例は数多にあるので、見切り千両の言葉通り、事業撤退はとても価値のある決断になる。この記事では、見切り千両の価値、並びに、事業や損失を見切る判断基準やタイミングについて、詳しく解説する。見切り千両とは見切り千両とは、江戸中期に米沢藩を立て直した名君「上杉鷹山公」が残した「見切り千両、無欲万両」と続く言葉が語源になっている。見切りの決断と無欲な経営姿勢は成功社長の必須スキルとマインドであり、また、事業撤退の遅れが原因で急速に会社が衰退する例は数多にあるので、「見切り千両」は、まさに金言といえる。なお、相場の世界においては「見切り千両、損切り万両」とアレンジされた言葉が格言として定着している。言葉の意味は、保有している投資物件や株式等の損失が少ない内に見切りをつけることは千両の価値があり、損失が更に大きくなる前に損切りすることは万両の価値がある、という意味だが、この考え方も会社経営においてとても重要である。見切り千両を成功させるには見切り千両を成功させるには「採算」と「タイミング」の二つの基準が重要になる。採算とは、儲けの有無のことだが、新商品や新規事業の収支を独立採算で管理することで明らかになる。採算が合っていれば問題ないが、採算割れの赤字収支の場合は、事業撤退(見切り・損切り)を考えなければならない。また、事業を正しく見切るには、事業撤退することで被る損害が最小限に済むタイミングを如何にして掴むかが重要になるので「回収期間」と「損失額」を注視することも必要になる。回収期間とは、投資した費用の回収期間のことだが、大型投資は例外として、できれば1年以内、最低2年以内に投じたコストが回収できない事業は、撤退(見切り・損切り)を考えなければならない。損失額とは、新商品や新規事業を展開することで被る損失の累積のことだが、会社の本業に支障が出る金額、或いは、当初の予算で計画した金額を超える事業は、撤退(見切り・損切り)を考えなければならない。何れにしろ、始めた事業の損失がどこまで膨らむのかを正しく把握し、事業をタイミングよく見切る判断基準を持つことが、見切り千両を成功させる秘訣になる。見切り千両は成功社長の絶対スキル新たに始めた事業が最初からうまく行くことは殆どなく、失敗しながら成功に近づくのが自然である。しかし、取り返しのつかない失敗は、成功そのものの可能性を著しく低下させる。従って、一定の失敗ラインで事業を見切る「見切り千両」の意識は成功社長の絶対スキルといって過言ではない。また、最初から事業を見切る覚悟を決めていれば、精一杯目の前のビジネスに熱中することができる。万が一、損失が限界に達したら、一旦止めて、再出発すればよいだけのことである。とは言っても、見切り千両という言葉が生まれたように、これがなかなかできない経営者が多いのが実情である…。
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  • 大は小を兼ねない会社経営が成功を引き寄せる|大は小を兼ねないメリット
    大は小を兼ねない会社経営が成功を引き寄せる|大は小を兼ねないメリット大は小を兼ねるということわざがある。この諺の意味は、大きいものは小さいものの代用になる、或いは、小さいものより大きいもの方が広く役に立つということだが、経済においては、大は小を兼ねないのがセオリーである。この記事では、大は小を兼ねない理由とメリット、並びに、大は小を兼ねない会社経営が成功を引き寄せる理について、詳しく解説する。なぜ、大は小を兼ねないのか?政府は、中小企業の再編を促進することで、中小の大規模化を目論んでいる。なぜ、政府の方針がそうなったかというと、大企業の社長や経済学者達から、中小企業が日本経済の足を引っぱっていると、事あるごとに進言されているからだ。大は小を兼ねるの諺通り、会社の規模が大きくなれば、中小の代用になったり、中小が無くなることで経済環境が良好になったりすれば万々歳だが、こと経済に関しては、そううまくは行かない。なぜなら、経済は、会社の規模や社員の多寡で形成されるのではなく、顧客の総意によって形成されるからだ。例えば、イタリアンレストランの本場のピザ(手作り・ナチュラル・焼きたて)が、宅配ピザ(工場製造・ケミカル・冷凍加熱品)にとって代わるだろうか?本場のピザを望む顧客がいる以上、小さな会社(レストラン)であっても存在意義が消えることはない。むしろ、宅配ピザがあることで、本場のピザの良さが一段と際立つ。つまり、経済においては、大と小はお互い独立独歩かつ相反する関係性にあり、決して、大は小を兼ねないのだ。大は小を兼ねない理由とメリット大は小を兼ねない理は、会社の規模だけではない。生産性の高い仕事を提供するには少数精鋭がベストである。製造設備に関しても、仕事の質と量にフィットした設備がベストであり、オーバースペックを回避することが求められる。マーケティングに関しても、大多数の顧客をターゲットにすると競争が激化し、経営資源や生産設備が陳腐化し易くなるが、特定の少数顧客をターゲットにすれば経営資源等の付加価値がどんどん研鑽される。大は小を兼ねない理を無視して、大は小を兼ねる方向に行くほど、会社経営は非効率に陥り、生産性が著しく低下する。さらに、不毛な競争環境に身を晒される。また、顧客を見失い易くなり、倒産確率も極めて高くなる。中小企業は大は小を兼ねないから成功する大は小を兼ねない理に則った会社経営が成功を引き寄せる。中小には中小の良さがあり、その良さを理解して下さる顧客に尽くすことで、繁栄の基盤が盤石になる。大企業の真似をしないことが、中小企業の生きる術であり、顧客に愛される確かな方法である。そして、顧客に愛される会社は、会社の規模が小さかろう、従業員が少なかろうが、必ず生き残る。(この記事は2020年9月に執筆掲載しました)
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  • 成功を支える経営の思考法|成功者が身につけている思考法とは
    成功を支える経営の思考法|成功者が身につけている思考法とは中小企業の最たる倒産原因である「経営課題の見落とし」は、会社経営の成功を支える「経営の思考法」を身につけることでカバーすることができる。経営の思考法とは、未来を起点に現在を考えるバックキャスティング的思考法と、現在を起点に未来を考えるフォアキャスティング的思考法のことだ。この記事では、成功を支える経営の思考法、並びに、成功者が身につけている思考法について、詳しく解説する。成功を支える経営の思考法とは?ヒトは無意識の中で未来を意識して生きている。日常においても、出社時間を起点に外出時間が決まり、さらに外出時間を起点に起床時間が決まり、というように、常に未来が起点となり自分の行動が決定していることに気が付くだろう。会社経営も例外ではない。こういう会社にしたいという未来の理想の姿に向かって、或いは、具体的な金額目標に向かって事業活動を推進することが理想の会社を作り上げてゆくのだ。ヒトも会社も、未来を起点に現在の行動を考え、今の行動を決定する。このような思考法を「バックキャスティング」という。未来を起点に現在を考えるバックキャスティング的思考法は、会社経営において、未来のなりたい姿を見定めて、現状抱えている経営課題を捉えるうえで大変有効だ。一方、バックキャスティングと対極にあるのが、現在を起点に未来を考える思考法の「フォアキャスティング」である。例えば、支度に手間取ったから約束の時間に遅れる、というのは現在を起点に未来を考えるフォアキャスティング的思考法で、会社経営において、業績予測や未来予測をするうえで大変有効な思考法だ。この「バックキャスティング」と「フォアキャスティング」は常に対の関係にあり、会社経営の成功を支える「経営の思考法」の両輪をなしている。当然ながら、バックキャスティング思考法とフォアキャスティング思考法は、バランスよく使いこなすことが重要だ。どちらか一方が欠けた思考法では会社経営に成功することはない。ふたつの思考法をバランスよく使いこなすことが、会社経営を成功に導く秘訣なのだ。経営の思考法で経営課題を解決する経営者の成功を支える「経営の思考法(バックキャスティング的思考法・フォアキャスティング的思考法)」は経営課題の解決にも大いに役立つ。例えば、現在と未来のなりたい姿の間には必ずギャップが生じる。そして、そのギャップは、未来に向かって今すべきこと(課題)を如実に表す。経営の思考法でギャップを正しく認識し、そのギャップを正しい手段で解消している限り、成功するのは時間の問題となる。日常生活を例えに、経営の思考法(バックキャスティング的思考法・フォアキャスティング的思考法)とギャップ解消の成功事例を解説する。例えば、「朝9時にスーツ姿で出社する」という未来に対して、現在は「自宅でパジャマを着ている」という状況があるとすれば「場所と服装」にギャップが生じる。▶ギャップを解消するために、スーツに着替えて出勤する時間を逆算して外出時間を決める。(バックキャスティングで課題を決定)▶しかし外出時間が遅れてしまって、間に合わないと思ったので移動手段をバスからタクシーに切り替える。(フォアキャスティングで未来を予測し、バックキャスティングで課題を解消)このように、現在と未来の正しいギャップを認識し、かつバックキャスティングとフォアキャスティングを相対的に活用しながら課題を解消することが、未来のなりたい姿を叶える秘訣になる。経営の思考法とギャップ解消の失敗事例 ケース1経営の思考法とギャップ解消の失敗事例について解説する。例えば、先の例の状況下で、パジャマ姿のまま家から一歩も出ずに居座ってしまったらどうなるか?当然ながら、9時に出社することはできず、ギャップはいつまで経っても解消されない。当たり前だが、ギャップを解消する努力をしなければ、描いた未来は永遠に実現することはできない。また、ギャップや課題を誤認識してしまうのも問題だ。▶目覚ましをかけ忘れて寝坊(バックキャスティング不足)▶寝坊して出社時間に間に合わないにも関わらず、いつも通りの移動手段で遅刻(フォアキャスティング不足)▶その後、目覚まし時計をかけず自力で間に合う時間に起きる努力をするが寝坊は改善せず(課題の誤認識)⇒結局、本人は一生懸命やっているつもりでも勤務態度に問題ありという評価が会社から下され降格処分となる。ギャップは認識しているものの課題を見誤ってしまい、努力する方向が正しくなかったということだが、これではなりたい姿には到底及ばず、それどころか悪化の一途を辿ってしまう。経営の思考法とギャップ解消の失敗事例 ケース2前章で解説した経営の思考法とギャップ解消の失敗事例を会社経営に当てはめてみると、経営課題を見落とす、或いは見誤ると、成長発展するどころか、倒産の危機に瀕することが容易に想像できる。例えば、、、▶会社の数字を軽視し勘と経験に頼って場当たり的な経営をしている会社(バックキャスティング不足)▶業績が低迷しているにも関わらず従来の経営手法を改善しようとしない会社(フォアキャスティング不足)▶売上を上げようと過度に経費をかけ過ぎて赤字が膨らんでいる会社(課題の誤認識)過去にわたしがみてきた中小企業の経営が傾く最たる原因は「経営課題の見誤り」、或いは、「経営課題の見落とし」だった。誤った現状認識や誤った未来予測に基づいた経営課題は会社の成長発展に少しも役立たない。むしろ、足を引っ張り経営が傾くきっかけを作りかねない。経営者は「経営の思考法」を身につけて、常に正しい現在と未来の姿を意識し、正しい手段で経営課題を解消する努力を継続しなければならないのだ。経営者の確かな思考が会社経営を成功に導く経営者が正しい思考を身につけ、経営課題を解消する努力を継続している限り、会社経営は間違いなく成功する。下図で示す通り、経営者が先頭に立って今すべきことを確実に実行することが、成功を引き寄せるのだ。経営者の誤った現状認識と未来予測によって会社が伸び悩んでいるケースは非常に多い。会社が抱えているギャップを正しく捉え、なお且つ、正しい手段で経営課題を解消するには、会社経営の成功を支える「経営の思考法」を身につけることが何よりも大切だ。伊藤のワンポイント会社経営の失敗と成功は、経営者の思考法ひとつで決まります。正しい思考がなければ、正しい努力ができないからです。努力すれば報われるという考えは、会社経営の世界では通用しません。正しい努力を丹念に続けることでしか成功を掴むことはできません。つまり、誤った思考では全ての努力が水の泡になるのです。
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  • 会社を成長に導く経営ブレーン|経営者にブレーンは必要なのか?
    会社を成長に導く経営ブレーン|経営者にブレーンは必要なのか?経営ブレーンを活用することなく、会社を成長させることは難しい。なぜなら、経営ブレーンは経営者の能力不足を補完し、会社成長の原動力となる経営力を一段と高めるからだ。この記事では、経営ブレーンの必要性から役割り、並びに、経営ブレーンの効果や心構えに至るまで、詳しく解説する。経営ブレーンはなぜ必要なのか?経営ブレーンとは、経営者の能力を知的かつ献身的にフォロー・サポートするブレーン(brain)のことである。経営ブレーンを社外に求めるか、社内に求めるかは自由だが、中小企業は右腕と呼べる経営ブレーンの活用が企業成長の正攻法になる。何といっても、中小企業の経営者が考えるべき事柄は多岐にわたる。トップダウン構造にある中小企業は全ての経営判断と決断が経営者に集中するので、その範囲は果てしない。しかも、中小企業の業績は、経営者の能力で決まるので、経営ブレーンの活用なしに成長を加速することは難しい。経営者が上手に経営ブレーンを活用できるか否かで、会社の成長スピードが決まるといっても過言ではない。経営ブレーンが会社の成長を加速させる会社の規模が小さいうちは経営ブレーンがいなくても、それなりの会社経営ができる。しかし、一定の年商規模を超えてくると、経営者の経営能力不足(知識不足)が会社の成長を阻害する主要因になる。当然ながら、経営ブレーンに頼ることなく、経営者の経営能力不足(知識不足)を放置し続けると、会社が成長しないどころか、逆に会社の衰退リスクが高まる。社長ひとりの体制で、うまく経営采配できるのは、せいぜい年商1億円程度までだ。年商が1億円を超えると、失敗の許されない経営采配が増加する。また、経営能力が不足している経営者は、この辺から経営の悩みが山積する。こうした悩みを放置するほど、会社の成長は鈍化し、何れ、会社の成長が止まる。(場合によっては衰退する)経営ブレーンは、経営者の悩みを解消し、会社の成長を加速する役割りを担う。事実、元気の良い中小企業には、社内であれ、社外であれ、必ず経営者のそばに優れた経営ブレーンがいる。経営者の能力以上に会社を大きくするには、経営ブレーンの活用が不可欠なのだ。経営ブレーンを活用するタイミング経営者の能力以上に会社を大きくするには、経営ブレーンの活用が不可欠だ。そして、経営ブレーンを活用するタイミングは、年商が1億を超えた時点がひとつの分岐点になる。(年商が1億円を超えた状態で経営をバトンタッチされた後継者の場合は、自身の経営能力を鑑みて、経営ブレーンの活用を検討するのが良い)どんな商売であっても、創業社長が年商1億を超えるところまで会社を持って行ったのであれば、年商1億円から10億円へ、年商10億円から100億円へ、というふうに規模拡大のチャンスが広がっているということである。経営者ひとりの力で成長のスピードを加速するのか?それとも、経営ブレーンを活用しながら成長のスピードを加速するのか?経営者の能力と方針にもよるが、一般的には、経営ブレーンを上手に活用した方が成長のスピードが加速する。しかも、足し算ではなく、掛け算で成長スピードが加速するのが、経営ブレーンの効果だ。有能な経営ブレーンに恵まれずに、会社の成長が鈍化している、或いは、会社が衰退している中小企業は少なくない。繰り返すが、会社は経営者の能力以上には大きくならない。経営者の能力不足を鑑みて経営ブレーンの活用を冷静に考えることは、更なる会社の成長を考えるうえで大切なことなのだ。会社の経営にブレーンを迎え入れるには?中小企業が経営ブレーンを迎え入れる際の会社の経営状態は、儲かっている時がベストだ。なぜなら、儲かっていなければ経営ブレーンを雇い入れる金銭的余裕が保てないからだ。儲かっている内に、次の成長の一手を打つのは会社経営の常とう手段である。経営ブレーン選びに悩む経営者もいるかも知れないが、自分の状態に合わせて経営ブレーンを選択すれば失敗はない。例えば、一段と経営力を高めたい経営者は、経営コンサルタントを経営ブレーンに選ぶと良い。一定の経営力が身に付いている経営者は、会社や自分の弱点を補うスペシャリストタイプの社員か、部分コンサルタントを経営ブレーンに選ぶと良い。経営者が経営ブレーンの選択を誤ると、会社衰退のきっかけを作りかねないので、経営ブレーン選びには、細心の注意が必要だ。この手の失敗は多くの中小企業で起きているので、会社の経営状況と経営者の能力をしっかりと自己分析したうえで、経営ブレーンを選択してほしい。伊藤のワンポイント会社経営には年商一億の壁、五億の壁、十億の壁、百億の壁がありますが、それらの壁を突破できる会社には必ず経営ブレーンがいるものです。会社や経営者の弱点を補完する経営ブレーンを見つけるには、経営コンサルタントなど、外部の専門家のアドバイスが有効です。闇雲に探す前に、まずは経営相談から初めてみてください。
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  • 安定経営と拡大経営を確立する方法|持続的成長は安定と拡大から生まれる
    安定経営と拡大経営を確立する方法|持続的成長は安定と拡大から生まれる中小企業が安定経営と拡大経営を確立するには、事業活動を通して然るべき利益を上げ、成長投資を継続することが絶対条件になる。利益なくして成長投資はなく、成長投資なくして安定経営と拡大経営の確立はあり得ない。この記事では、安定経営と拡大経営を確立する方法について、詳しく解説する。安定経営と拡大経営とは?利益を上げるには黒字経営が大前提になるが、利益を拡大する事ほど困難を伴うものはない。如何にして1円の利益を10円、20円と拡大すればよいのか?利益拡大に頭を悩ます経営者は少なくないが、利益拡大の理屈は、利益拡大を支える要素を理解すると見えてくる。利益拡大を支える要素は「安定経営」と「拡大経営」である。それぞれの要素について詳しく解説する。安定経営安定経営とは、高収益体質、リピート購入、継続利用、など等、会社の存続を担保する要素の安定化を意味する。高収益体質を維持し、顧客や取引先が継続して商品を購入している限り、安定経営が破綻することはない。拡大経営拡大経営とは、新商品の投入、新事業の展開、顧客の創造、など等、事業の規模拡大を意味する。昨年よりも今年、今年よりも来年というように、常に顧客や市場が拡大している限り、拡大経営が破綻することはない。安定経営と拡大経営は利益拡大の両輪を成していて、安定経営と拡大経営の一方が破綻した状態での利益拡大はあり得ない。どんな時代、どんな業種であっても、安定と拡大は、利益拡大の変わらぬ原則になる。安定と拡大の両輪を意識した会社経営の概要と共に、安定経営と拡大経営を確立する方法について、更に詳しく解説する。安定経営を確立する方法安定経営とは、高収益体質、リピート購入、継続利用、など等、会社の存続を担保する要素の安定化を意味する。つまり、高収益体質を維持しつつ、継続的に会社に利益をもたらす顧客環境や販売環境を整えることが、安定経営確立のポイントになる。安定経営を確立するには、会社の商品やサービスを安定的に販売する環境構築(マーケティング)が不可欠だが、会社の商品は、常に選択の脅威にさらされている。経営者は、どんなに優れた商品であっても、顧客が買い続けてくれる保証はどこにもない、ということを忘れてはならない。従って、安定経営を確立するには、顧客からの選択の脅威に打ち克つ必要がある。選択の脅威に打ち克つ手段は限られている。「一定の品質をキープする」、或いは「品質を上げ続ける」の何れかだ。そして、この品質向上(安定経営)に欠かせない取り組みが「本業の深掘り」になる。深堀りするほど安定経営に繋がるのが本業分野だが、じつは、多くの中小企業は本業分野に注意を払っていない。本業の深堀りを成功させるうえでのポイントは2つある。ひとつは、最新テクノロジーの導入、もう一つが、時流に乗るひたむきな経営努力である。例えば、どんなに本業分野を極めたとしても、その事業価値を研鑽し続けなければ、時間の経過とともに事業価値が陳腐化する。事業価値が陳腐化すると、競合他社との差が縮まり、安定経営の土台が脆弱になり、万が一、事業価値が競合他社よりも下回ると、市場競争から脱落することになる。従って、本業の深堀りに終わりはない。☑顧客が求めるサービスは何か?☑顧客が求めている商品を提供するにはどうすべきか?☑顧客が喜ぶ独自商品やサービスを提供するためには何をすべきか?既存の商品と市場であっても、見方を変えると改善点は無限に出てくるものだ。本業の深掘りなしに安定経営の確立はあり得ないので、しっかり取り組んでほしい。拡大経営を確立する方法拡大経営とは、新商品の投入、新規事業の展開、顧客の創造、など等、事業の規模拡大を意味する。つまり、新たな商品やサービスを提供し、潜在顧客を発掘する積極投資を推進することが、拡大経営確立のポイントになる。新商品や新規事業の展開を成功させる上で、まず抑えるべき点は、事業を成立させている要素を理解することだ。全ての事業は2つの構成で成り立っている。ひとつは「市場(顧客)」、もう一つは「商品」だ。市場と商品の一方が欠けると事業は成り立たないので、拡大経営の基本は、市場か商品のどちらか一方でも、絶えず拡大し続けるところにある。ただし、闇雲な拡大経営は失敗リスクを高め、成長はおろか、衰退のきっかけを作りかねないので注意が必要だ。失敗リスクを抑えつつ拡大経営を確立するには、第一に、現在保有している市場と商品の付加価値を高めることが先決になる。付加価値とは、端的に、オンリーワン市場のことで、例えば、事業を長く続けていると、自社が保有する市場と商品に独自性(オリジナリティー)が生まれる。市場の独自性が高まれば「ここで買いたい」というファンが増え、商品の独自性が高まれば「これが買いたい」というオンリーワンの要素が濃くなる。そして、市場と商品、双方の独自性が高まると、オンリーワン市場が強固なものになる。本業の市場と商品の独自ノウハウは、失敗しない拡大経営に大いに活用できる。例えば、「本業の市場に全く新しい商品を投入する」、或いは、「本業の商品を全く新しい市場に投入する」といった拡大戦略はじつに効果的だ。本業の市場と商品の独自ノウハウは既にプロの領域に達しているので、成功の確率も五分五分になる。もしも、市場と商品の両方が全く未知の分野、つまり完全に素人分野の市場と商品の掛け合わせで事業を拡大すると、成功の確率は限りなくゼロになる。市場も商品も共に素人分野の事業拡大が成功するはずはない。なお、本業の市場と商品の独自ノウハウの活用は、拡大経営の秘訣ではあるが成功確率は五分五分なので、成功の確率を上げるための綿密な仮説と検証は、決して疎かにしてはならない。伊藤のワンポイント安定経営の確立は、会社の存続を担保する要素の安定化、つまり、継続購入を促すマーケティングが肝になります。拡大経営の確立は、事業規模の拡大、つまり、本業の派生ビジネスの成功率を高める付加価値研鑽と顧客創造の取り組みが肝になります。安定経営と拡大経営の両輪が円滑に回ると、会社は自然と成長します。
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  • コストダウンのネタは無限にある|コスト削減に限界なし
    コストダウンのネタは無限にある|コスト削減に限界なしコストダウンのネタ探しに悩みを抱える経営者はじつに多いが、コストダウンのネタが尽きると会社の衰退リスクが高まる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供できなければ、たちまち市場競争から脱落するからだ。この記事では、コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで、詳しく解説する。コストダウンとは?コストダウンとは、売上を作るのに要するコストを削減する活動のことだ。会社経営は、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供することで初めて安定するのでコストダウンほど重要な活動はない。とはいっても、このコストダウンに悩みを抱える中小企業経営者はじつに多い。例えば、コストダウンがきっかけで売上が低迷する、或いは、コストダウンがきっかけで品質が低下する等の悩みはよくあるケースだ。また、コストダウンの手法に対しても、どうやって進めたら良いのか分からない、或いは、コストダウンの効果測定が分からない等の悩みは珍しくない。コストダウンが企業の生命線コストダウンに対して消極的な姿勢を持っている拡大志向の強い経営者が稀にいるが、前章で解説した通り、コストダウンは企業存続の肝になり得る重要な経営活動になる。従って、コストダウンの実践度が低下すると、次第に事業価値の優位性が失われ、売上や利益の減少といった衰退リスクが表面化し易くなる。事実、コストダウンに無頓着な会社ほど、一時は業績が良くても、衰退するケースが多い。逆に、世界市場で活躍している大企業ほど継続的なコストダウンが定着しており、新興企業であっても、コストダウンが定着している会社ほど、急成長した後も安定経営をキープしている。コストダウンに限界なしじつは、コスト削減に限界はない。世の中が進歩すればコストダウンの余地が新たに生まれるからだ。例えば、社会インフラの利便性向上、或いは、技術革新等が起きれば、業務コストが著しく低下するので、生産性の改善余地と共に、人件費、変動費、固定費といった直接的なコストに至るまで、すべてのコストに削減余地が生まれる。つまり、如何に徹底的にコストダウンを実践したとしても、世の中が進歩する限りは、コスト削減の限界は訪れないということだ。コストダウンのネタは無限にあるコストダウンのネタは無限にあるが、そうしたネタを無駄なく発掘するにはコストダウンを徹底する力が不可欠になる。例えば、「そのコストは売上に貢献しているのか?」、「そのコストを下げるための最新ノウハウは導入済みか?」、「売上を作るための総コストを劇的に下げる方法はないか?」など等、コストダウンの余地を発掘するための問いかけを組織全体で徹底し、定着させることはコストダウンのネタ作りに欠かせない。特に重要になるのは世の中の進歩と共に生まれる最新ノウハウをしっかり活用することで、この実践度がコストダウンのネタ数を大きく左右する。最新ノウハウの導入は生産性を劇的に改善するケースが多く、事業や組織の活動コストを大幅に下げる効果がある。金額ベースのコスト削減が限界に達した際の突破口にもなるので、しっかり実践してほしい。コストダウンに役立つノウハウ最期に当サイト内のコストダウンに役立つノウハウを紹介する。効果的なコスト削減の方法コストダウンを進めるうえで押さえておきたい3つの基本ステップを分かりやすく解説している。➡このノウハウ記事を見る簡単かつ即効性のあるコストダウン手法コストダウンのネタ探しに困った時に使える、すぐに実践できる簡単かつ効果的なコストダウンの手法について分かりやすく解説している。➡このノウハウ記事を見るコスト削減の考え方・目的・効果・方法を徹底解説コストダウンを進めるうえで理解しておきたいコスト削減の考え方・目的・効果・方法から成功事例に至るまでコスト削減の本質を分かりやすく解説している。➡このノウハウ記事を見る
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  • 経営ノウハウ情報局|全カテゴリー一覧
    経営ノウハウ情報局|全カテゴリー一覧会社を経営をするうえで社長が持つべき重要な経営ノウハウを徹底解説しています。中小企業は社長の能力がそのまま業績に表れます。業績を改善するには経営者自身の能力研鑚が欠かせません。中小企業経営者のみならず、これから起業する方、経営幹部、後継者の方々にも必見の経営ノウハウが満載です。儲かる実践経営ノウハウ経営者必見の儲かる100以上の実践経営ノウハウを紹介しています。経営スキルとマインド経営スキルとマインドを高めるノウハウを紹介しています。会社経営の基本失敗しない為に絶対に抑えるべき会社経営の基本を数多く紹介しています。組織力強化のノウハウ強い組織を作り上げる実践ノウハウを紹介しています。売上拡大のノウハウ売上拡大の実践的戦略とノウハウを紹介しています。税金の基本ノウハウ経営者が知るべき税金の知識を紹介しています。イノベーション戦略イノベーション経営のノウハウを紹介しています。生産性改善のノウハウ生産性改善の実践的ノウハウを紹介しています。超速で拡大するノウハウ超速で事業を拡大する実践ノウハウを紹介しています。社長のための実践経営学経営を学びたい社長ための現場ですぐに役立つ実践経営学を紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。経営者が知るべき知識経営者が知るべき知識を数多く紹介しています。会社経営で大切なこと経営者が抑えるべき会社経営で大切なことを数多く紹介しています。会社経営のレアな知識会社経営に活かせるレアな知識を数多く紹介しています。後継者の経営能力強化後継者の経営能力を高めるノウハウを紹介しています。経営者を助ける経営ノウハウ経営の悩みを解消する実践的な経営ノウハウを数多く紹介しています。会社経営を成功に導く法則失敗しない会社経営を実現するノウハウを数多く紹介しています。中小企業がとるべき経営戦略会社の将来を形作る重要な道しるべになりうる戦略を紹介しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。社長のお悩みTOP3と解決策中小企業経営者の悩みTOP3と解決策について詳しく解説します。起業の成功ノウハウ起業に失敗しないための基本知識と成功ノウハウを詳しく紹介しています。経営改善を成功させる方法経営者が抑えるべき経営改善を成功させる方法を詳しく解説しています。成功する経営者の5つの特徴成功している経営者の特徴(事例)を沢山紹介しています。
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  • 経営ノウハウが学べるセミナー一覧
    経営ノウハウが学べるセミナー一覧中小企業は経営者の能力がそのまま業績に表れます。ですから、社長の能力を磨けば磨くほど、業績がどんどん好転します。各種セミナーでは経営者が飛躍的に成長する本物のノウハウを提供します。現役経営者のみならず、起業前や後継者の勉強にも最適な経営セミナーです。中小企業の成長と衰退の法則【実践社長学】本セミナーの受講メリットは、会社の衰退リスクが明らかになることです。会社を繁栄させるために今やるべきことが明快になり、セミナー受講直後から今の成果を最大化するための動きができるようになります。>>詳しくはこちら社長がすべき仕事とリーダーの条件【実践社長学】本セミナーの受講メリットは、社長の仕事の成果を最大化する方法とリーダーの地位を確立する実践的方法が学べることです。リーダーの威厳と共に、社長の仕事の質が上がり、さらに大きな成果に恵まれるようになります。>>詳しくはこちら労働生産性を高める戦術戦略が分かる【実践経営学】本セミナーの受講メリットは、会社の生産性を大きく左右する組織力を高める実践的手法が学べることです。社員のやる気に火をつけ、さらに社員のモチベーションを維持する仕組み作りのポイントが分かるので、セミナー受講直後からすぐに実践できます。>>詳しくはこちら売上拡大の戦術戦略が分かる【実践経営学】本セミナーの受講メリットは、より実践的な売上拡大のメソッドを短時間で学べることです。売上拡大の基本姿勢から長期的な売上を確保する実践的手法に至るまで、幅広い知見が得られます。自社の経営環境にフィットする方法論が見つかるはずです。>>詳しくはこちら経費削減と資金繰りの方法が分かる【実践経営学】本セミナーの受講メリットは、より実践的な経費削減と資金繰りのメソッドを短時間で学べることです。経費削減の基本姿勢から長期的にコストを削減し続ける実践的手法に至るまで、幅広い知見が得られます。経営力を高めるアイデアが豊富になります。>>詳しくはこちら経営課題の発掘と解決方法が分かる【実践経営学】本セミナーの受講メリットは、会社の繁栄を阻害する経営課題が見つかることです。経営課題の判断基準と経営課題を発掘する実践的な方法が分かるので、セミナー受講直後から課題解決に向けた動きがとれるようになります。>>詳しくはこちら数字力を高める管理会計の実践スキル【実践会計学】本セミナーの受講メリットは、管理会計の実践スキルを短時間で学べることです。管理会計は、簿記が分からなくても、財務諸表が読めなくても、算数さえできれば誰にでも習得できますが、その効果は絶大です。>>詳しくはこちら業績拡大に役立つ管理会計手法が分かる【実践会計学】本セミナーの受講メリットは、僅か一日で実践で使える管理会計スキルが習得できることです。簿記が分からなくても誰にでも習得でき、しかも、実践で成果を上げる管理会計の手法を完全マスターできます。>>詳しくはこちら実践的予算管理と資金繰り手法が分かる【実践会計学】本セミナーの受講メリットは、僅か一日で実践で使える予算管理と資金繰りのスキルをしっかり習得できることです。予算管理と資金繰りの精度が上がると、1年先の業績を読むことが簡単になり、精神的不安が殆どなくなります。>>詳しくはこちら経営セミナー講師プロフィールビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月にビジネスコンサルティング・ジャパン(株)を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。あらゆる業種の事業最適化・事業再構築の実績も多く、営業利益20倍、現金残高60倍、キャッシュフロー1億円改善等の結果を出している。各業界団体の講演実績多数。経営コラムのメルマガ会員5,000名以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」⇒⇒詳細プロフィールはこちら経営セミナー会場のご案内経営セミナーの会場(弊社セミナールーム)は、国民公園として名高い新宿御苑と鎮守の森である明治神宮の間に挟まれた副都心にあります。JR新宿駅、JR代々木駅、東京メトロ新宿三丁目駅、都営地下鉄代々木駅など、複数の駅から徒歩圏内のアクセスの良い立地にあります。アクセス東京都渋谷区千駄ヶ谷5-26-5/4FJR新宿駅東南口から徒歩7分/JR代々木駅東口から徒歩3分/都営大江戸線代々木駅から徒歩6分/東京メトロ新宿3丁目駅E8出口から徒歩3分各種セミナートップエグゼクティブ講座
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  • 人事組織のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    人事組織のノウハウ中小企業に限らず、全ての企業の業績は組織力と比例関係にあります。限られた人材を最大限に活かし、業績をさらに底上げするには、組織力を引き上げるノウハウが必要です。中小企業においては人事組織の監督責任者は経営者です。組織力向上に役立つ人事組織のノウハウを徹底解説しています。強い組織を作る全ノウハウ強い組織を作り上げる実践ノウハウを数多く紹介しています。リーダーに必要な3つの条件リーダーに必要な3つの条件・資質・役割りについて詳しく解説しています。経営マネージャーの真の仕事経営者の最も重要な仕事と言われるマネジメントについて解説しています。社長引退の適齢期社長引退の適齢期、並びに、社長のベストな引き際について詳しく解説しています。社長の時間の使い方・作り方社長の時間の使い方・作り方と限られた時間で成果を上げる方法を解説しています。社員・幹部・社長の本来の目線経営者目線(視点)で考える社員・幹部・社長の本来の目線について解説しています。モラルの低い会社は倒産するモラルの低い会社の倒産リスクについて詳しく解説しています。社員のせいにするダメな社長失敗や業績悪化を社員のせいにするダメ社長の典型を解説している。やる気のない社員の特徴と対策会社の成長の足を引っぱるやる気のない社員の特徴について解説しています。組織崩壊のプロセス組織崩壊のプロセスから内部崩壊が招く会社衰退の原理に至るまで解説しています。社長のコミュニケーション術組織にストレスを与えない社長の正しいコミュニケーション術について解説しています。会社を成長に導く経営ブレーン経営ブレーンの必要性から役割り、並びに、経営ブレーンの効果について解説しています。
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  • 生産性改善のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    生産性改善のノウハウ中小企業にとって生産性の改善は必要不可欠な経営活動です。お金、資源、人材、情報などの経営資源に限りがある中小企業が厳しい競争社会で生き残るには、会社の生産性を改善し、高収益体質の基盤を整える必要があるからです。生産性の改善なくして中小企業の存続はないといっても過言ではありません。生産性改善に役立つノウハウを徹底解説しています。会社が儲かる実践経営ノウハウ経営者必見の中小企業の儲かる実践経営ノウハウを紹介しています。生産性を改善する実践ノウハウ会社の生産性を改善する実践ノウハウを数多く紹介しています。超速で事業拡大するノウハウ超速で事業を拡大する戦略・戦術・施策を数多く紹介しています。イノベーション経営戦略新たな価値を生み出すイノベーション経営の各種戦略について詳しく解説しています。イノベーションを起こす経営企業がイノベーションを起こすために必要な3つの経営姿勢を解説しています。経営改善を成功させる方法大きな成果を出す経営改善の具体的手法について詳しく解説しています。コスト削減の原理原則コスト削減のの目的・方法・効果・メリット等について詳しく解説しています。コストダウンのネタは無限コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説しています。コストプラス法の計算方法コストプラス法の計算方法とCP法のメリット・デメリットについて解説しています。
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  • 経営管理のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    経営管理のノウハウ中小企業の経営管理は、社長の重要な仕事です。経営管理(マネジメント・リーダーシップ・コミュニケーション等)の範囲は多岐にわたり、経営面、営業面、開発面、人事面、投資面、リスク面等、挙げたらキリがありません。当然ながら、社長が経営管理をおざなりにすると会社はいとも簡単に衰退します。経営管理の精度を高める独自ノウハウを徹底解説しています。社長がやるべき仕事中小企業の社長がやるべき仕事内容とその重要性について解説しています。仕事を成功に導く軌道修正力仕事やビジネスの成功の肝になる軌道修正について解説しています。経営改善を成功させる方法大きな成果を出す経営改善の具体的手法について詳しく解説しています。社長の時間の使い方仕事の成果を上げる社長の時間の使い方と作り方を解説しています。リーダーに必要な3つの条件リーダーに必要な3つの条件・資質・役割りについて詳しく解説しています。経営マネージャーの真の仕事経営者の最も重要な仕事と言われるマネジメントについて解説しています。ビジネスリスクのトップ3中小零細企業におけるビジネスリスクのトップ3を解説しています。経営リスクを発掘する方法経営リスクを上手に発掘・管理する具体的方法を解説しています。経営課題の抽出フレームワーク経営課題の抽出・分類・分析フレームワークを解説しています。コスト削減の原理原則コスト削減のの目的・方法・効果・メリット等について詳しく解説しています。コストダウンのネタは無限コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説しています。コストプラス法の計算方法コストプラス法の計算方法とCP法のメリット・デメリットについて解説しています。経営を可視化する方法経営を簡単に可視化する方法について解説しています。目標を数値化するアイデア目標を数値化するアイデアと方法について解説しています。事業分析に役立つ数値指標事業分析に役立つ数値指標と計算公式について解説しています。
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  • 管理会計のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    管理会計のノウハウ管理会計は、経営数値を有益な情報に変換・管理・運用し、経営力を高める会計手法です。中小企業の管理会計未導入率は80%と云われていて、赤字経営率70%とほぼ相関が取れています。経験と勘に頼った采配で安定経営を実現するのは困難です。企業経営に役立つ管理会計の独自ノウハウを徹底解説しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。経営を可視化する方法経営を簡単に可視化する方法について解説しています。目標を数値化するアイデア目標を数値化するアイデアと方法について解説しています。事業分析に役立つ数値指標事業分析に役立つ数値指標と計算公式について解説しています。管理会計を活用した経営改善管理会計を活用した経営改善手法について解説しています。管理会計の5つのメリット管理会計の5つのメリットについて解説しています。経営と統計学の関係性統計学と経営の密接な関係性について解説しています。
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  • 銀行融資のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    銀行融資・資金繰りのノウハウ多くの中小企業は銀行融資と関りがあります。運転資金、成長投資、設備投資等、銀行融資の種類は様々ありますが、何れも、事業の成長スピードを加速させる効果を持っています。一方で、銀行融資が原因で返済苦に陥り、経営に失敗する中小企業も少なくありません。経営者が知るべき銀行融資のノウハウを徹底解説しています。中小企業が知っておくべき銀行融資のルール中小企業が知っておくべき銀行融資のルールについて解説しています。銀行融資の審査基準・融資条件・融資姿勢銀行融資の審査基準・査定方法・融資姿勢について解説しています。銀行融資で投資資金を賄うメリット銀行融資で投資資金を調達するメリットについて解説しています。無借金経営のデメリット無借金経営のデメリットと借金経営の極意について解説しています。借入限度額の計算方法借入限度額の計算方法と借入限度額の適正水準について解説しています。運転資金の計算方法運転資金の計算方法と適正水準について解説しています。債務償還年数と預貸率債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準について解説しています。図解で分かる債務超過倒産状態を表す債務超過について図解で解説しています。負債比率の計算式負債比率の計算式と適正水準について解説しています。
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  • 会計財務のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    会計財務のノウハウ会社経営には様々な業務が付随しますが、会計財務は必須業務です。決算や確定申告の知識のみならず、財務諸表の仕組みも知る必要があります。企業の経営力を高めるには会計財務の知見が必要です。財務会計の基本ノウハウを徹底解説しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。図解で分かる財務諸表の見方財務諸表を簡単に理解できるように図解で分かりやすく解説しています。超分かりやすい減価償却の説明減価償却制度の仕組みを超分かりやすく解説しています。どんぶり勘定のデメリットどんぶり勘定の会計メリット・デメリットについて解説しています。
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  • 財務分析のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    財務分析のノウハウ日常的に財務分析を行っていると、業績の現状認識と未来予測の精度が高まります。財務諸表の分析は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロでも簡単に習得することができます。中小企業経営者が身につけるべき財務分析の独自ノウハウを分かりやすく徹底解説しています。ぜひ、お役立てください。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。会社の数字を分析する基本手法会社の数字を分析する基本手法について解説しています。本部経費の目安と考え方本部経費の目安と考え方について解説しています。不採算事業の撤退基準不採算事業の撤退基準について解説しています。
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  • 経営診断のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    経営診断のノウハウ企業の健康状態を診ることを「経営診断」といいます。人間の身体と同じように、会社も定期的に健康診断(経営診断)することで、業績悪化という名の病気を予防できます。末期症状(債務超過等の倒産状態)の手前で業績悪化の芽を摘むには、日常的な経営診断が効果的です。自己経営診断スキルを高める独自ノウハウを徹底解説しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。中小企業の安全性診断中小企業の安全性の診断方法について解説しています。中小企業の生産性診断中小企業の生産性の診断方法について解説しています。中小企業の収益性診断中小企業の収益性の診断方法について解説しています。
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  • 法務法律のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    法務法律のノウハウ中小企業にとって法務と法律の知識は欠かせません。会社経営と法律は、切っても切れない関係にあるからです。法務と法律の知識に乏しいために経営に失敗する経営者は少なくありません。法務と法律の基本ノウハウを徹底解説しています。経営者が知っておくべき法律10選経営者が知っておくべき会社経営に関わる法律について解説しています。中小企業における弁護士の役割中小企業における弁護士の業務と役割を解説しています。中小企業における司法書士の役割中小企業における司法書士の業務と役割について解説しています。
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  • 経営戦略のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    経営戦略のノウハウ中小企業の経営戦略は、大企業とは大きく異なります。自社の経営環境にマッチし、なおかつ、大企業とは違う戦略を展開することが企業繁栄の大原則になります。中小企業の成長を後押しする独自の経営戦略やノウハウを、事例を交えて分かりやすく徹底解説しています。売上を増やす効果的戦略売上をさらに拡大する営業戦略を紹介しています。顧客創造の戦術・戦略新規顧客を生み出す実践的戦略を紹介しています。中小企業に適した経営戦略中小企業に適した経営戦略を数多く紹介しています。成長戦略の基本企業成長を加速する経営戦略について解説しています。多角化戦略4つの型多角化戦略(水平型・垂直型・集中型・集成型)を解説しています。売上拡大3つの戦略売上拡大の3つの基本戦略について解説しています。
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  • 投資戦略のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    投資戦略のノウハウ会社を経営するうえで、投資はとても大切な要素です。投資なくして、会社は成長しないからです。投資の範囲は、市場開拓、広告宣伝、商品開発、人材採用、人材育成、設備投資、設備保全、システム投資、システム保全など、挙げたらキリがありません。会社の経営資源を最大化するため、或いは、経営環境を最適化するのに役立つ投資戦略について、独自ノウハウを徹底解説しています。成長戦略の基本成長戦略・未来投資・投資ポートフォリオについて解説しています。成長投資の7つの判断基準設備投資・成長投資・先行投資の7つの判断基準を解説しています。先行投資が未来を切り開く成功する経営者の先行投資の考え方について解説しています。投資回収期間の適正水準投資回収期間の適正水準と計算方法について解説しています。大型設備投資の判断基準大型設備投資の判断基準とタイミングについて解説しています。減価償却と設備投資の関係減価償却と設備投資の関係性について解説しています。
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  • 売上拡大のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    売上拡大のノウハウ売上は会社の生存に欠かせない重要な要素です。会社の運転資金(お金)がなくなると、すべての事業活動が止まるからです。売上拡大のスピードは、事業の継続と繁栄を決定付けます。売上拡大に役立つ独自ノウハウを徹底解説しています。売上を増やす効果的戦略売上をさらに拡大する営業戦略を紹介しています。顧客創造の戦術・戦略新規顧客を生み出す実践的戦略を紹介しています。中小企業に適した経営戦略中小企業に適した経営戦略を数多く紹介しています。売上拡大の3つの基本戦略売上拡大マーケティングの3つの基本戦略について解説しています。成長企業の特徴と法則成長企業の測定指標と特徴や作り方について解説しています。売上を長期的に上げる方法売上を長期的に上げる方法について解説しています。営業力を高める9つの戦略営業力と販売力を強化する9つの方法について解説しています。シーズとニーズを創造するシーズとニーズを創造するノウハウについて解説しています。成長を招く3つの法則会社の成長を招く3つの経営の法則について解説しています。
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  • 利益拡大のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    利益拡大のノウハウ会社の利益は、運転資金や成長投資の源泉になります。つまり、会社経営の存続を保証するものが利益の本質です。利益拡大に役立つ独自ノウハウを、様々な角度から徹底解説しています。利益を上げる5つの方法会社の利益を上げる5つの方法について解説しています。堅実経営の作り方堅実経営の見分け方から作り方に至るまで解説しています。正しい利益目標の立て方会社を拡大する正しい利益目標の立て方を解説しています。5S活動のスゴイ効果会社が儲かる5S活動のスゴイ効果について解説しています。理想の利益率各利益指標の理想の利益率について解説しています。利益の業界平均は使えない営業利益率の業界平均が使えない理由を解説しています。売上総利益率の計算式売上総利益率(粗利率)の計算方法と適正水準を解説しています。営業利益率の計算式営業利益率の計算式と適正水準について解説しています。損益分岐点の計算方法損益分岐点の計算方法と適正水準について解説しています。イノベーション経営戦略新たな価値を生み出すイノベーション経営の各種戦略について詳しく解説しています。イノベーションを起こす経営企業がイノベーションを起こすために必要な3つの経営姿勢を解説しています。経営改善を成功させる方法大きな成果を出す経営改善の具体的手法について詳しく解説しています。コスト削減の原理原則コスト削減のの目的・方法・効果・メリット等について詳しく解説しています。コストダウンのネタは無限コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説しています。コストプラス法の計算方法コストプラス法の計算方法とCP法のメリット・デメリットについて解説しています。
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  • 倒産衰退のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    倒産衰退のノウハウ中小企業はほんの些細なきっかけで衰退するケースが多いです。私のこれまでの経験から分かった衰退の原理原則を沢山紹介しています。失敗事例は必然性と再現性に優れていますから、学ぶことが多いです。是非、日ごろの会社経営に役立ててください。倒産しそうな会社の特徴このカテゴリーでは倒産しそうな会社の特徴を沢山紹介しています。なぜか成長しない会社の特徴このカテゴリーではなぜか成長しない中小企業の特徴を紹介しています。ダメな社長の特徴このカテゴリーでは経営に失敗するダメな社長の特徴を紹介しています。中小企業の事業再生事例わたしが実際に携わった「中小・中堅企業の事業再生事例」を紹介しています。倒産処理の費用と手続き法人の破産手続きと倒産後の流れについて詳しく解説しています。コンサル活用法と失敗事例経営コンサルタントの活用方法と失敗事例を紹介しています。
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