中小企業の生き残りはグローバル化で決まる|海外売上比率の高め方

 

殆どの中小企業は国内マーケットを主戦場にしているが、国内需要は今後ますます縮小傾向が加速するとみられている。

 

このようの状況の中で中小企業が成長し続けるには、グローバル化が欠かせず、グローバル化の打ち手が遅れるほど、衰退リスクが高まる。

 

以下、将来の国内需要縮小の代表的な根拠(グローバル化の必要性)を挙げる。

  • 国内人口が減少し続ける
  • 超高齢社会が進み、国内消費が一段と低迷する
  • 購買力のある生産年齢人口(15~64歳人口)が減少し続ける
  • 年金減額や医療費負担増の影響で高齢者層(65歳以上)の購買力が低下する
  • 直近25年間の平均年収が変わっていない(国民の購買力が低迷している)
  • 直近30年間の物価がほぼ横ばいで、市場成長率が鈍化している(企業の収益力が低迷している)
  • 2035年に高度成長期で財を成した約800万人の団塊世代が死亡平均年齢に達し、国民財産が著しく減少する
  • 就業者の低所得層がさらに拡大する(学生・高齢者・専業主婦・派遣社員・外国人等の非正規労働者が増える)

以上のような理由から、国内マーケットの市場競争は今後ますます熾烈になり、資本力や生産性に劣る中小企業ほど、生き抜くのが困難な時代になることが予想される。

 

今後、中小企業が生き残るには、グローバル化を推進し、国内から外に出て、海外売上比率を高める取り組みが欠かせない。繰り返すが、グローバルの打ち手が遅れるほど、衰退リスクは高まる。

 

 

中小企業が取るべきグローバル化戦略

 

中小企業が取るべきグローバル化戦略について、詳しく解説する。

 

中小企業がグルーバル化を進めて海外売上比率を高める戦略は二つある。一つは欧米マーケットの開拓、もう一つは海外需要の取り込みだ。

 

以下、それぞれのグローバル戦略について、詳しく解説する。

 

欧米市場を開拓するグローバル戦略

日本人の平均年収は400万円強で、ここ25年間は横ばいが続いている。一方、アメリカの平均年収はずっと上昇傾向にあり、現在800万円を超えている。この傾向は他の欧米諸国でも共通しているが、年収=消費力と考えると、日本国内の消費は低迷し、欧米諸国の消費は成長し続けていると言える。当然、欧米市場に目を向ければ、どんな中小企業にも成長の芽が出てくる。海外通販等の越境ビジネスや日本独自の技術や生産物を欧米に販売するための開拓コストは年々下がっているため、資本力に乏しい中小企業であっても十分に勝機がある。

 

海外需要を取り込むグローバル戦略

訪日外国人数は2018年時点で年間3,000万人を超えている。この数字は、国内生産年齢人口(15~64歳人口)の約4割に相当し、今後ますます増加すると見られる。こうした海外需要に対して、日本にしかない商品やサービス、あるいは、日本らしい商品やサービスを展開すれば、販売のグローバル化が進み、海外売上比率を高めることができる。さらに、海外向けの販路と物流網を保有することで、一時的な需要(初回購入)だけでなく、定期的な需要(リピート購入)も取り込むことができる。なお、こうした海外需要を取り込むには、大前提として、外国人に対するサービスの質(言葉・習慣・文化等の理解)を高める努力が必要だ。

 

(この記事は2023年2月に執筆掲載しました)