わたしが経営コンサル会社を創業したのは2008年だが、創業当初は企業再建の仕事が中心だった。
企業再建とは調子の悪い会社を半年から1年ほどかけて良好な経営状態に再建する仕事である。
とてつもない覚悟と根気のいるタフな仕事だったが、マイナスの経営状態を短期間でプラスに転換する仕事は、経営コンサルタントとしての能力をどんどん磨いてくれた。
また、倒産する会社の特徴や会社を潰す社長の特徴がどこにあるのか、など等、数多く失敗事例を学ぶことができた。
この経験から分かったことは、企業の衰退は「自壊から始まる」ということだ。
殆どの会社は、市況悪化等の外的要因によって衰退するのではなく、内的要因に端を発した原因で衰退していた。
具体的には、社長の衰え、経営能力の低下、経営者の気の緩み、会社組織の崩壊などである。
わたしの経営観は「社長にとって、会社経営は人生そのもの」である。
どういうことかというと、経営が成功すれば人生も成功するが、逆もまた然りで、経営が行き詰れば、人生も行き詰る。会社経営の結果が、そのまま人生の幸不幸に直結するということだ。
会社が潰れるのは、じつにあっけない。
自分が働いていた大企業も度重なる不祥事でグループ解体という危機的状況に陥った。
中小企業も同じで、儲かっている時期がありながら、ほんの些細なきっかけで経営危機に陥っていた。
大企業であっても、あっけなく経営危機に陥る様は、今でも鮮明に心の中に残っているし、企業再建の現場では、経営者の悲惨で惨めな末路や陰惨な光景を目の当たりにした。
このような原体験があって、自然と私の中に「社長にとって、会社経営は人生そのもの」という経営観が根付いていった。
繰り返すが、会社の衰退は自壊から始まる。
衰退を防ぐには、最高経営責任者である社長が「自壊を招く言動を慎む」ことを実践し続けることが欠かせないが、方法は簡単だ。
社長が自己研鑽に努め、経営改善を推進し、今を全力で生きることを愚直に実践するだけである。
これらの実践が定着するほど、やるべき事が明快になり、あらゆる成果が大きくなる。当然ながら、社長の人生もより良い方向に導かれる。