経営者が無能と罵られるケースは珍しくない。
しかし、本当に無能な経営者は稀で、殆どの経営者は言動や努力の軸足が定まった途端に結果に恵まれるようになる。
この記事では、無能な経営者など存在しない理、並びに、なぜ社員は経営者を無能と罵るのかについて、詳しく解説する。
無能な経営者など存在しない。
会社の業績が悪いのは経営者が無能なのではなく、会社経営を正しい方向に導くための努力の仕方を知らない、だけのことである。
努力すれば報われるのは子供までで、大人になり社会に出ると、努力しても報われないのが世の道理である。
例えば、中小企業の約7割は赤字経営に陥っていると云われている。
その数300万社、つまり、300万人の経営者が赤字経営に悩んでいる、とも言えるが、全員が経営努力を放棄している無能な経営者かというと、そんなことはない。
赤字会社の経営者は、みんな、血の滲むような努力をしているはずだ。
資金繰りに奔走し、従業員に給料を支払うために営業で駆け回り、昼夜休みなく、成長のきっかけを掴むための経営努力をしているはずである。
しかも、社長という重責を一身に背負い、孤独とも戦い、肉体的にも精神的にも大変な苦労を強いられている。
社長の座に就いたことのない人間(社員)に、軽々しく無能と罵られるほど、経営者の苦労は軽くはない。
それにも関わらず、経営者が無能と罵られる根本的な理由は、先に述べた通り、努力の仕方にある。努力が不足しているのではなく、努力の仕方に問題があるのだ。
努力の仕方を誤って会社が衰退するケースはじつに多い。
例えば、計画が正しくなければ努力は報われず、万が一、業績の伸び悩みに陥ると、社員や取引先から無能経営者というレッテルを貼られてしまう。
計画を誤り衰退する会社は、次の四つの失敗パターンに陥り、衰退するケースが多い。
1.現状認識を誤る
2.ゆえに目標を誤る
3.自ずと経営課題を誤る
4.計画策定を誤り、会社が衰退する
最初の現状認識は最も重要で、ここを誤るとすべてが失敗に傾く。
例えば、経営課題を見落とす・見誤る・見過ごすと、必ず現状認識を誤る。現状認識を誤ると、正しい目標が明らかにならないので、経営改善がストップする。
さらに、時の経過と共に経営課題を見落とし続けるので、どんなに努力をしても成長のきっかけがつかめず、むしろ、少しのきっかけで会社経営が危機的状況に陥ってしまう。
ここまでくると、無能経営者のレッテルを貼られるのは時間の問題となる。
成功の八割は計画で決まる。段取り八分という言葉がある通り、計画の精度はとても重要で、計画次第で努力の結果が決まるのだ。
無能経営者のレッテルを払拭するには、正しい計画を立て、その計画を推進する努力を継続することに尽きる。
下のグラフは、わたしが実際に経営サポートに入った会社の経営指導開始1年前の主な経営指標の現状を示したものである。
ご覧の通り、すべての経営指標が一番上の適正水準より下回っていることが分かると思う。
そして、下のグラフは、経営指導開始1年後の主な経営指標を示したものである。
ご覧の通り、殆どの経営指標が改善され、適正指標に達していることが分かると思う。(1年後の業績改善効果:売上高1.2倍,営業利益20倍,現預金残高5倍)
業績が改善した根本理由は、経営者が有能か無能かではない。
経営者が正しい計画を持って正しい努力をしたか、やるべきことをやったか、である。
わたしに言わせれば、無能な経営者など稀な存在であり、やればできる有能な経営者の方がはるかに多いといえる。