ワンマン経営とは、独裁色の強いワンマン社長が会社の頂点に君臨して、ワンマン体制で会社経営を采配している状態のことだ。
ワンマン経営は失敗リスクが高いが、意思決定のスピードが速く、経営判断が当たり続ければ会社の成長スピードが加速するので、ワンマン経営であっても成功している中小企業もある。
この記事では、ワンマン経営の3つの成功条件について、詳しく解説する。
ワンマン経営の成功条件1は「社員想い」である。
社長個人の幸せより社員の幸せを優先する、現場や社員の意見を理解する、社員の働きに感謝し労う、等々の社員想いの姿勢は、ワンマン経営を成功に導く必須条件といっても過言ではない。
たとえ、ワンマン的な決断であっても、根底に社員想いの姿勢があれば、その決断に反発する社員は殆ど現れない。
むしろ、社長の決断を尊重し、社長を全力で支えるマインドが組織全体に定着する。
社員を無視したワンマン経営に成功はない。何により、成功のヒントは常に現場にあり、社員が熟知している。ワンマン経営に成功したければ社員想いを忘れないことだ。
ワンマン経営の成功条件2は「数字に強い」である。
業績理解が深い、客観的根拠が豊富にある、多彩な数値目標を活用している等々、社長の数字力が強いとワンマン的な決断であってもミスが少なくなる。
また、決断の検証精度が高まる、数字に強い社員が増える等々の効果もあるため、安定経営の基盤が整い易い。
事業活動の結果は必ず数字に表れるので、数字を無視した会社経営は失敗リスクが高く、それがワンマン経営であれば、なおさらだ。
客観的視点を欠かさないためにも、数字をよく観察し、日頃からしっかり分析することが肝要だ。
ワンマン経営の成功条件3は「右腕がいる」である。
ワンマン社長の才覚を最大化するには、ワンマン社長の方針や指示をくまなく速やかに実現する右腕の存在が欠かせない。
当然ながら、ワンマン社長の方針等の実現度が低下すると、会社の成長スピードは鈍化する。
また、ワンマン社長と末端社員の間に意見の相違が現れやすくなるので、組織力の低下と共に業績が悪化するリスクが高まる。
右腕の存在は、ワンマン経営成功の必須条件であり、ワンマン経営に限らず、右腕の存在が会社成長のスピードを決定づけるといっても過言ではない。
ワンマン経営の成功条件を満たしていれば、ワンマン社長のマインドが末端社員まで行きわたり、会社の成長スピードが加速し、更に会社衰退のリスクが軽減されるので、安定経営の経営基盤が自ずと整ってくる。
しかし、会社の規模や社員数によっては、ワンマン経営にも限界が訪れる。一般的には、年商10億円、若しくは、社員数100名を超えると、ワンマン経営の成功率が著しく低下する。
ワンマン社長に天才的な経営の才覚があったとしても、会社経営は生き物のようなものなので、相応の規模を完全にコントロールすることは難しい。
やはり、会社がある程度成長した段階でワンマン経営から徐々に抜け出し、チームでの経営体制に移行した方が失敗リスクは低下する。
因みに、最も重要な条件は「右腕の存在」になる。複数の右腕を各所に配置することが出来れば上手にワンマン経営から抜け出すことができ、年商10億円、年商100億円の壁を突き抜けることが容易になる。
ワンマン経営の成功条件が満たされていないと、様々な衰退リスクや経営上の弊害を生み出す。
例えば、イエスマンの増殖や社員の士気低下(原因:社員想いの欠如)、後継者やナンバーツー不在(原因:右腕不在)、客観性の欠如に伴う決断ミス(原因:数字力低下)等は、典型的な弊害になる。
イエスマンが増殖すると覇気がなくモチベーションの低い会社組織になるので、業績悪化のスパイラルに陥り易くなる。後継者やナンバーツー不在は、ワンマン社長の能力不足と共に会社が衰退するリスクが高まる。数字力が低下すると、客観性の欠如に伴う決断ミスが多発し、ひとつの決断ミスが命取りになる場合もあり得る。
ワンマン経営を成功させるには、社員想い、右腕の存在、高い数字力が必須条件になる。この必須条件に沿った会社経営の実践、或いは、不足を補う努力がワンマン経営の成功率を高める。
また、このほかにも全責任を背負うマインドや誰よりも熱心に経営の勉強をする姿勢を見せることもワンマン経営の成功に欠かせない。