人が育つ組織作りは、経営幹部が育つほどに加速する。
経営幹部層が盤石だと、社長は経営に集中でき、幹部層は新人や一般社員の育成に集中できるからだ。
また、組織力と業績は比例関係にあるが、幹部層が育つほど組織力が強化されるので、10億、100億の壁を突破することも容易になる。
人が育つ組織作りの肝は幹部育成にあるわけだが、経営幹部は社長のワンマン経営、あるいは、ワンオペ経営の軽減を推進するほど育ち易くなる。
社長ひとりの力で社員をまとめることができるのは、せいぜい20~30人程度までだ。
この人数を超えると、社長の考えが組織に伝わらない、社員の心情を無視した指示命令が増える等の弊害を生み、社員の反発や離職を招きやすくなる。
昨今は人財難の時代なので、社長が優秀だと思った社員は早めに幹部候補に抜擢して育て上げる意識が必要だ。
幹部に仕事を任せるほど幹部が育つので、幹部候補者には積極的に責任が伴う役割やポストを与えた方が良い。
相応の力量がつくまでは社長が結果責任を背負い、成長を丁寧にフォローすることが欠かせないが、社長が率先して幹部候補の才能を引き出す環境を整えれば、周囲も本人もその気になり、幹部育成の効率が高まる。
万が一、与えた役割やポストに相応しい働きが出来なければ、一旦降格させて、然るべき力量がついてから再アタックさせれば良い。(降格判断は半年~一年は見た方がよい)
人が育つ組織作りは、スキル+アルファーの要素が肝になる。
例えば、幹部の育成は、ワークスキルよりビジネススキル、ビジネススキルよりヒューマンスキル(人間力)を重視し、尚且つ、スキルだけでなく、人望とモチベーションの高い人財を優先的に幹部に登用する意識が大切だ。
仕事はできるが人望がない人材を幹部に登用すると、部下は大変な苦労を強いられる。
人望がない人間ほど自分優先の言動をしがちなので、部下の承認欲求を満たしたり、上手に褒めたり、叱ったりできない。当然、この人と一緒に仕事がしたいという意欲も萎むので、離職リスクが高まり、結果として会社も苦労する。
スキルに加えて、人望とモチベーションは人を育てる幹部の必須条件だ。たとえスキルが未熟でも人望とモチベーションの高い人財は相当なスピードでスキルを習得するので、そういう意味でも人を育てる組織作りのキーマンに最適と言える。
早くいきたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け、というアフリカの諺があるが、言い換えれば、一人は早いが成功は小さい、集団は少し遅いが、大きな成功が得られる、ということだ。
ひとりより集団、さらに烏合の衆より一致団結した集団は、最強の組織になる。しかも、組織は外から見えないため、容易には模倣されず、強力な競争優位性の源泉になる。
人が育つ組織作りは、幹部育成が起点になる。将来の幹部候補が社内に埋もれていないか否か、折にふれてチェックすることをお薦めする。
(この記事は2023年9月に執筆掲載しました)
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」
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