小さな会社の社長道|社長業を極める5つの経営スタンス

 

企業は社長の力量以上に大きくならないと言うが、本当にその通りである。

 

とりわけ小さな会社ほど、その傾向が顕著に出るため、日頃の社長業の精度が、そのまま会社の盛衰に直結する。

 

この記事では、社長業を極める5つの経営スタンス、小さな会社の社長道について、詳しく解説する。

 

 

社長とは

 

社長とは。。。

 

社長はタフでなければ務まらない。優しくなければ務まらない。

 

社長は権力者ではなく、責任の所在だ。すべての責任を受け止める度量が必要だ。

 

社長は社員にとっての師だ。社員は、才能を見つけてくれる、育ててくれる、励ましてくれる師を求めて人生を歩いている。

 

社長の時間は有限だ。時計の針は時間を刻んでいるのではない。自分の命を刻んでいるものと思い、くれぐれも時間を無駄にしないことだ。

 

社長が磨くべきスキルは人間的魅力だ。社会が、社員が惚れる魅力が最大の武器になる。魅力を武器に周囲から必要とされる人間になることだ。周囲から必要とされる人間は、いつまでも繁栄する。

 

 

一流に触れる

 

一つのことを極めた人は他の分野においても通じることを表した「一芸は道に通じる」ということわざがあるが、料理人も例外ではない。

 

帝国ホテル元料理長の村上信夫氏は「料理人にこれでよいということはない。いくつになっても研究を続ける。また、料理人は感情が動くと、味付けがまとまらない。だから本物の料理人は泣いたりわめいたりしないものだ」と言ったが、社長業の極意に通じる。

 

女性料理家の草分け的存在の辰巳芳子氏は「本物の料理人にはエゴがない。素材と向き合い、素材を見極め、素材が一途美味しくなるように、自分のエゴを一切なくすことこそ、料理人の本分である」と言ったが、人財育成の極意に通じる。

 

一流の社長になりたければ、一流のものに触れるのが一番だ。

 

手軽に書籍で学ぶもよし、美味しいものを食べるもよし、美しいものを見るのもよし、とにかく一流のものは目を養い、知見を広め、己の力量を磨いてくれる。

 

 

批判を恐れない

 

新しい分野、誰もやらなかった領域に、次の時代の新しい常識やビジネスが控えている。時代の先を行く者には必ず批判がついて回るが、批判を恐れないでほしい。

 

人類史上、批判されたことがない人間は一人も存在しない。世界中から聖人と崇められているブッタやキリストでさえ批判の対象になった。批判されることは当たり前の自然現象であり、誰からも批判されない人間など、この先も現れないだろう。

 

人間は影響力を持つほどに批判され易くなるので、もし誰かから批判されたら、自分、あるいは、自分の会社の影響力が大きくなったと思えばよい。その時は、くれぐれも批判と敵対して無駄なエネルギーを消耗しないことだ。

 

腹を立てても構わないが、時間をかけてでも批判を受容し、自分の思考や度量を広げ、人間的な魅力や影響力をどんどん磨いてほしい。そして、批判を恐れず、自分が正しいと思う道を突き進むことに全エネルギーを費やすことを切にお薦めする。

 

 

逆境はチャンス

 

会社経営には好不調の波が必ずある。好景気や追い風の時に業績を伸ばすことも大切だが、不況や逆境をチャンスと捉えて、業績の地盤をしっかり固めることも大切だ。

 

いかんせん好景気や追い風の時は、少ない努力で経営がうまく行きがちになる。社長だけでなく、社員も好業績に浮かれ、興奮し、身勝手な行動に繋がることも少なくない。不況や逆境時は、こうした緩みを引き締める絶好のチャンスだ。

 

ムダムラをそぎ落とし、付加価値を高め、競争力を極限まで引き上げる。好景気や追い風がやってきた瞬間に努力が花開くよう、打つべき手をコツコツ積み上げる。企業だけでなく、個人においても不遇の時は力量を磨く良き時期と捉えると良いだろう。

 

 

真実を極める

 

たった一人の人間を騙し続けることはできるかも知れない。また、一時であれば、世間を騙すこともできるだろう。しかし、多くの人間や世間を永遠に騙し続けることはできない。

 

真実でなければ、本物でなければ、何れメッキが剥がれ、嘘が露呈し、見向きもされなくなる。あるいは、信用が失墜し、二度と商売が出来なくなるかも知れない。

 

長くビジネスを続けようと思ったら、真実を極めるのが最も近道だ。商品やサービスは何でも構わないが、真に社会に役立つもの、お客様の豊かさに貢献するもので勝負することが肝要だ。

 

真実をコツコツ積み上げる作業は大変地味で、途方もなく手間と時間がかかるものだが、そうした努力は経営基盤を盤石にし、多くのお客様を魅了する強みの源泉になる。小さな会社ほど大切にしたい経営姿勢である。