我利から自利利他へ|他人のためを想う言動が大成功を引き寄せる

 

ビジネスの成功の秘訣は自利利他にある、と多くの先人たちが言っている。

 

社会人一年目から自利利他をやっている人間は稀(恐らく皆無)だが、確かに成功者は、自分が得た利益を他者へ分け与えることで自己利益をさらに大きくしている。

 

この記事では、我利から自利利他へ、つまり、自分のためではなく、他人のためを想う言動が大成功を引き寄せる理について、詳しく解説する。

 

 

自利利他とは

 

まずは自利利他について、解説する。

 

自利とは、自己の修行により得た功徳を自分だけが受けとることを言い、利他とは、自己の利益のためでなく、他の人々の救済のために尽くすことを言う。

 

この両者を完全に両立させた状態に至ることを「自利利他」と言い、仏教の理想とされている。また、ビジネスの世界でも自利利他を推奨する経営者が多い。

 

例えば、近江商人の売り手よし(自分)、買い手よし・世間よし(他者)の三方よしは、自利利他の精神がベースになっている。

 

経営の神様といわれた松下幸之助は、商売は、売る方(自分)も買う方(他者)も双方が喜び、双方が適正な利益を交換するという形でやらないと長続きしない。自利利他が大切だと言った。

 

京セラ創業者の稲盛和夫は、自利と利他とは、自分の利益が目的となる言動は、同時に他者の利益にも繋がっていないといけない。自分が儲かれば相手も儲かる、それが真のビジネスだと言った。

 

我利我利とは

 

自利利他の反対の我利について、解説する。

 

自分さえよければ他人なんてどうなってもよいと考え、自分の利益ばかりを貪る言動を「我利我利(がりがり)」という。

 

我利我利とまではいかずとも、自己の修行により得た功徳を自分だけが受けとる自利に偏る時期は誰しも経験があるはずだ。

 

自利に偏ることはけっして悪い事ではない。むしろ、自分の知見、力量、影響力等が十分に身につくまでは、他者のことはあまり考えず、自身の力を高めることに集中した方が良い。

 

自分に力が無ければ、他の人々の救済のために尽くす利他を、満足に実践できないからだ。

 

特に、自分の失敗を周囲がフォローしてくれる平社員時代は、たくさんの失敗だけでなく、自己成長のための新しい挑戦の場を自利優先で掴み取ることが大切で、その経験値は、巡り巡って、将来の自分の為に、ひいては、他者のために必ずなる。

 

我利から自利利他へ

 

人生、あるいは、会社経営で大成功を収めようと思ったら、

 

どこかのタイミングで、我利から自利利他へ、つまり、すべての言動を自分の為から他人の為へシフトチェンジする必要がある。

 

シフトチェンジのタイミングは、他者に分け与えるだけの知見、力量、影響力等がついた時、あるいは、役職、責任、部下等がついた時がお薦めだ。(年齢にして30歳前後がひとつの目安になる)

 

自利利他を実践し続ければ、次第に回転財が大きくなり、自分を慕う部下、お客様、協力者が確実に増えて、以前に増して、自分の利益を出しやすくなる。また、より大きな仕事や役割に恵まれて、結果、物心の豊かさが一段と大きくなる。

 

多くの成功者は、他者(家族、社員、お客様等)の為じゃなかったら、ここまで頑張れなかった、努力できなかったと口を揃えて言っているが、皆一様に、我利から自利利他へのシフトチェンジの後に大きな成功が訪れている。

 

また、ビジネスが上手な人ほど、相手(他者)の利益を最優先することが、自分の利益に繋がることを心得ている。ピンチの時も、チャンスの時も、成功の秘訣は自利利他にある。自利利他は、経営者にとって一番大切なマインドであり、我利我利(がりがり)ではなく、利他利他(りたりた)精神が、大きな成功を引き寄せるのだ。

 

(この記事は2025年1月に執筆掲載しました)

 

筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」