チャレンジ精神の醸成が組織の課題を払しょくする

 

組織に課題を抱えている会社はじつに多い。

 

組織力と業績は比例関係にあるので、組織課題の放置は企業の盛衰に直結する由々しき問題と言える。

 

とはいえ、組織の課題は簡単に解決できるものではなく、実際には殆どの会社が大なり小なり何らかの組織課題を抱えている。

 

組織課題の弊害は様々あるが、集約すると、組織のモチベーション低下と組織のパフォーマンス低下に行きつく例が多い。

 

そして、これらの弊害を解消する手立てとして有効なのは、チャレンジ精神の醸成だ。

 

チャレンジ精神旺盛な組織は、高いモチベーションを持って、お客様に対して素晴らしいパフォーマンスを発揮するからだ。

 

例えば、とある人事向けアンケート結果によると、以下のような組織課題がトップ3を占めているが、何れもチャレンジ精神を醸成すれば解消できる。

 

・新しい価値創造やイノベーションが起こせていない
・次世代の経営を担う人材が育っていない
・難しい仕事に挑戦する人が減っている

 

組織のチャレンジ精神を醸成すれば、新しいことや困難なことに積極的に挑む企業風土が定着する。

 

個々の社員の困難に立ち向かい諦めずに成果を出す姿勢、物事への興味関心の強さ、変化を敏感に察知して行動に移せる能力等が高まるので、自ずと事業活動の精度が増して、大きな成果を生み出す組織に生まれ変わる。

 

チャレンジ精神の醸成が組織の課題を払しょくし、大きな成果を生み出す組織、ひいては、繁栄を加速する経営基盤を作るのだ。

 

組織のチャレンジ精神を醸成する方法

 

チャレンジ精神を醸成する方法について、解説する。

 

チャレンジ精神を醸成するうえで重要なのは「失敗」と「常識」に対する見方を変えることだ。

 

ビジネスにおいて、成功の過程には必ず失敗が生じる。新しいことにチャレンジする過程に限れば、十中八九は失敗する。

 

失敗は当たり前の事象なので、失敗した社員を責め立てたり、怒ったりするのではなく、失敗を受容、分析し、成功に活かす組織風土を作ることが大切だ。

 

例えば、失敗は、能力不足と仕組み不足の二つに分類できる。

 

能力不足は社員を育てて解消するか周りがフォローすれば解消できる。仕組み不足は、失敗しない仕組みを作るか工夫をすれば、すぐに解消できる。

 

失敗は成功の燃料と思って組織全体で受容、分析、活用する組織風土が個々の社員の能力を引き上げ、ひいては、組織全体のパフォーマンスを引き上げるのだ。

 

常識にとらわれないことも大切だ。常識は先行して成功した者や、その時々の影響者が作ったものに過ぎない。

 

新常識、新定番、新感覚、新技術など、新しい常識を提供することが、新しい商品やサービスを生み出す源泉になるので、常識に固執せずに、自由な発想で事業活動をブラッシュアップすることが大切だ。

 

以上のように、失敗と常識の見方を変えるだけで、組織のチャレンジ精神は数段向上する。

 

結果、難しい仕事に挑戦する社員が増え、次世代の経営を担う人財が増え、新しい価値創造やイノベーションを起こす、組織課題の少ない経営基盤が整う。

 

チャレンジ精神は組織課題だけでなく、企業存続を左右する重要な要素と言える。チャレンジ精神が下火になっていないか否か、折にふれてチェックすることをお薦めする。

 

(この記事は2025年5月に執筆掲載しました)

 

筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」