安定経営の作り方|業績安定・市場拡大・永続性確立の成功ポイント

 

会社を創業し、業績が安定してくると、誰しも経営をさらに安定させたい願望に駆られると思う。

 

経営を安定させるために、やるべきことはシンプルだ。安定とは真逆の不安定なことをどんどんやれば良いのだ。

 

例えば、変化、挑戦、改革などの不安定要素をたくさん実践すれば、経営基盤が鍛えられ、企業の付加価値が向上するので、増収増益に拍車がかかり、経営が一段と安定する。

 

ユニークなアイデアやイノベーションを創出することも不安定要素の典型で、こうした不安定さを楽しみ、何事にも果敢にチャレンジする企業風土は、間違いなく安定経営の礎を盤石にする。

 

何でもそうだが、新しいことを始める時に集まるメンバーの視野、行動、発想等はじつに幅広く、面白い。だから、放っておいても不安定な要素が途絶えることがなく、会社の経営が安定し易い状態がキープされる。

 

しかし、経営が安定してきて、起業・創業・設立当初を知らないメンバーが大半になると、次第に不安定さを避ける言動が多くなり、事業活動のパフォーマンスが徐々に落ちる。

 

さらに、あえてはみ出さない、状況や雰囲気を乱さない、安定こそが一番と考える企業風土が根付いてしまうと、組織の硬直化を招き、衰退に拍車がかかる。こうなると、一度低迷した業績を安定させるのが、とても難しくなる。

 

不安定要素なしの安定経営はあり得ない。

 

安定経営を実現するには、高収益、人財豊富、業績拡大等の安定の兆候や要素があったとしても、不安定さ(変化、挑戦、改革等)を避けず、進んで不安定な状況を積み重ねることが大切だ。

 

 

安定経営の成功ポイント

 

安定経営の成功ポイントについて、解説する。

 

安定経営には不安定な要素が不可欠だが、不安定(変化、挑戦、改革等)なことには必ず失敗がついて回る。

 

当然、失敗を大前提として捉えないと、失敗への恐れから不安定さにブレーキがかかり、安定経営の成功は遠のいてしまう。

 

また、失敗を失敗のままで終わらせず、失敗を成功に転換する仕組みや心掛けも安定経営の成功に欠かせない。

 

例えば、失敗を前向きに受容、共有し、しっかり対策を打つ。失敗を分析し、成功ノウハウを蓄積する。他者の失敗事例に目を向けて、我がこととして教訓を得る。などの仕組みや心掛けは大変有効だ。

 

なお、失敗の原因は、大きく二つに分類できる。ひとつは、個人の能力不足。もう一つは仕組みの欠陥だ。

 

個人の能力不足に由来する失敗は、教育・育成と周囲のフォローでカバーするしかない。但し、人間には得手不得手が必ずあるので、失敗が繰り返されるようであれば適材適所(配置転換・業務変更等)を図る必要がある。

 

仕組みの欠陥に由来する失敗は、仕組みの是正ですぐに解決できる。放置すれば、他の人にも失敗が広がるので、可及的速やかに対応しなければならない。

 

失敗の対策が充実するほど、人が育ち、組織のパフォーマンスが上がるので、不安定(変化、挑戦、改革等)から安定を生み出す力が自然と高まる。つまり、失敗との向き合い方が、安定経営の盛衰を決定づけるのだ。

 

(この記事は2025年1月に執筆掲載しました)

 

筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」

 

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小さな会社の「安定経営」の教科書|著書伊藤敏克

 

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読者感想

 

中小企業経営に関する王道の教科書

読者評価

 

中小企業経営に関するいわゆる王道の教科書的な内容です。この手の本は「3C」や「7S」などありふれたフレームワークや「ネットを活用しましょう」などありふれた二番煎じ三番煎じの内容が多いですが、そういう内容は食傷気味です(笑)

 

この本はそういうのとは違い、「衰退する会社の兆候」「ダメな社長の特徴」が著者自身がこれまでやってきたコンサルティング経験に基づいて非常に説得力ある独自の視点で書かれていました。

 

印象的だったのは、ビジネスは経営力×商品力の掛け合わせで決まり、衰退企業のほとんどは商品の力が落ちるのではなく経営力の低下により決定づけられるというくだりです。景気悪化やライバルの台頭など外部環境の悪化により商品が売れなくなることで会社がダメになるのではなく、会社内部に衰退の原因があることがほとんどだということですね・・・

 

(小規模ですが)私も会社経営をする身として耳が痛いところでもありますが、実践してみたいと思う色々な気付きがありました。

 

中小企業向けにあるようで無かった本

読者評価

 

なかなか出会わなかった小さな会社向けに参考になる良い本でした。失敗実例など、リアルで納得しました。小さなほころびをいかに見逃さないか、自分の甘さなど在り方を振り返るきっかけになりました。

 

雨が降ったら傘をさす

読者評価

 

経営の神様、松下幸之助さんの言葉に「雨が降ったら傘をさす」というものがあります。この言葉の言わんとすることは、「当たり前のことを当たり前のようにやる」ということ。当たり前のことをするのは意外と難しい。この本を読むと「当たり前のことを当たり前にやっていれば、会社経営はうまくいく」ということが良く分かります。できることから実践したいと思いました。

 

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著者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月にビジネスコンサルティング・ジャパン(株)を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。あらゆる業種の事業最適化・事業再構築の実績も多く、営業利益20倍、現金残高60倍、キャッシュフロー1億円改善等の結果を出している。各業界団体の講演実績多数。経営コラムのメルマガ会員5,000名以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」