製造業に有効な経営指標|製造系経営者必見の業界指標

製造業に有効な経営指標

 

製造業は景気や流行に左右されにくく、比較的安定経営を実現しやすい業種だ。

 

とはいっても、健全な会社経営並びに効率の良いモノづくりを実現するためには、財務諸表の分析を通じて日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。

 

例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標である。

 

営業利益率の水準

 

経費率と人件費率の水準

 

労働生産性の高低

 

上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、製造業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)

 

各経営指標が適正水準に達していない製造業者は、早急な経営改善をおススメする。

 

なお、この記事では、製造業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。

 

これから紹介する製造業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標設定等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。

 

 

 

製造業の経営改善に有効な経営指標とは?

 

経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。

 

現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、業界特有の経営指標を活用する必要がある。

 

以下に紹介する経営指標は、製造業の経営改善に有効活用できる経営指標ばかりである。是非とも、参考にしてほしい。

 

 

製造原価

 

製造原価とは、商品製造にかかる製造原価のことである。

 

製造原価は、材料費、労務費、製造経費の3つの要素に分類される。

 

例えば、材料費が15円、労務費が20円、製造経費が15円であれば、(15+20+15)=製造原価は50円になる。

 

製造業にとって製造原価は、会社の収益体質を決定づける重要な指標になる。

 

例えば、製造原価の管理を疎かにすると、儲けの実態が不明瞭になるので、赤字経営に転落するリスクが飛躍的に高まる。

 

なお、製造原価の計算は、歩留まり率も加味しないと正確な原価計算ができないので注意が必要だ。

 

経営が悪化する製造業は、例外なく製造原価の計算がいい加減である。

 

 

歩留まり

 

歩留まりとは、製造ラインに投入した商品材料の数量に対して、実際に商品となった数量の割合を示す経営指標である。

 

例えば、商品100個分の材料を製造ラインに投入して、実際に商品となった数量が90個であれば、(90÷100)×100=歩留まりは90%になる。

 

歩留まりが高いほど投入材料のムダが少なく、歩留まりが低いほど投入材料のムダが多い、ということになる。

 

歩留まり率は、一般的には100%以下になる。(例外的に、食品等、インラインで蒸気滅菌するような商品は投入材料に蒸気である水分が加算されて歩留まりが100%を超える場合がある)

 

そして、歩留まりは、製造ラインの構造によって、大きく数値が変わる。

 

例えば、素材、或いは半製品を材料に用いて加工する製造ラインは歩留まりが低くなり、完成品の組立加工に近い製造ラインは歩留まりが高くなる。

 

なお、歩留まりは、1%改善するだけで大きなコスト削減効果を生み出す。コスト改善のための目標指標としても大いに活用できる指標である。

 

 

製造能力

 

1時間当たりの商品製造個数を示す経営指標である。

 

例えば、1時間に100個の商品を製造できる製造ラインであれば、製造能力は100個/1hになる。

 

製造能力が高いほど、商品1個当たりの製造原価は低くなる。

 

製造能力は商品1個当たりの製造原価の簡易算定のほか、様々な原価計算に応用できる指標でもある。

 

ちなみに、製造能力は、製造工程間のラインを短縮すると品質と共に製造能力も上がる。

 

また、製造能力は、製造ラインの中で最も遅い工程以上の能力が出ない。

 

当然ながら、ひとつの工程だけに製造能力の高い最新鋭の製造設備を導入しても、ライン全体の製造能力が対応していなければ、全体の製造能力は上がらない。

 

 

不良率

 

不良率とは、製造ラインにて商品化された数量のうち、検品検査で不適合となり最終的に商品化されなかった商品の割合を示す経営指標である。

 

例えば、商品100個が商品化されて、検品検査で10個が不良品として判定された場合、(10÷100)×100=不良率は10%になる。

 

不良率は、製造ライン上のさまざまな要因で上昇する。例えば、オペレーターの技術力、メンテナンス不足、機械の故障、物性特性、等々、その要因は多岐にわたる。

 

不良率の高い商品は、二次クレームを引き起こすリスクが高い。商品によっては二次クレームが重大事故に繋がるケースもあるので、重要視したい指標でもある。

 

また、同じ商品を製造しているにも関わらず、急に不良率が著しく上昇した場合は、製造ライン上に何かしら支障が生じている可能性が高い。その場合は、無理に製造を続けずに、製造を停止したうえで原因究明を図った方が良いだろう。

 

不良率を左右する合格基準は、企業の品質レベルを担保する重要な要素である。

 

当然ながら、不良率を改善するために合格基準を下げるのは本末転倒である。

 

高品質を目標に、合格基準を維持、或いは合格基準を高めつつ不良率を下げる努力を行うことが、優れた品質レベルを生み出すコツである。

 

不良率も歩留まり同様、1%改善するだけで大きなコスト削減効果を生み出す。コスト改善のための目標指標として大いに活用できる指標である。

 

 

欠陥率・クレーム率

 

欠陥率・クレーム率とは、販売後に商品の欠陥が見つかった率、或いは、商品クレームの発生率のことである。

 

例えば、商品を100個販売した後に、欠陥・クレームが1個発生した場合、(1÷100)×100=欠陥率・クレーム率は1%となる。

 

欠陥率・クレーム率は、製造業の生死を分かつ重要指標といって過言ではない。

 

なぜなら、たった1件の欠陥やクレームが原因で、大きな事故に繋がり、企業の信頼が失墜することが往々にして起こり得るからだ。

 

当然ながら、製造業の欠陥率・クレーム率の目標は0%が原則である。

 

欠陥率・クレーム率を改善するのは、製造ラインの品質レベルと現場の意識レベルの双方が高いレベルになければならないので、くれぐれも注意してほしい。

 

 

製造業の経営分析に役立つ経営指標

 

最後に、冒頭で紹介した営業利益率経費率人件費率労働生産性のほかにも、製造業の経営分析に役立つ経営指標をいくつか紹介する。

 

以下に紹介する経営指標は、製造業の経営分析に役立つ経営指標ばかりである。是非とも、参考にしてほしい。

 

固定比率

固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。設備投資が多い製造業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>

 

負債比率

負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標である。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができるので、設備投資が多い製造業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>

 

労働分配率

労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標である。資本集約型の製造業は労働分配率を低く抑えることが経営の正攻法なので、日頃からモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>

 

投資回収期間

設備投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせない。製造業が投資回収期間の見通しを誤ると経営の失敗リスクが著しく高まるので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>

 

大型設備投資の判断基準とタイミング

製造業の大型設備投資の判断基準とタイミングは、何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。例えば、投資資金が十分にあり、投資判断にゴーサインを出したとしても、投資のタイミングを誤っていれば、投資は失敗に終わる。(逆もまた然りである)。製造業の大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準と、ベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせないので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>

 

 

伊藤のワンポイント

製造業は、計数管理の精度が、経営改善の成果と会社の業績を決定づけます。少しでも計数管理を疎かにすると、たちまち生産性低下、品質低下、収益性低下といった衰退リスクが噴出し、高確率で会社経営に失敗します。製造業者にとって計数管理は基本中の基本です。決して疎かにしないでください。

 

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