会社成長の源泉はすべて利益である

中小企業の経営者を支える経営ノウハウ情報局

利益目標と営業利益率の計算方法と適正水準

利益目標と営業利益率の計算方法と適正水準

 

会社経営は利益を生み出すことによって初めて成り立つ。

 

当然ながら、利益がなければ赤字経営に転落し、会社は何れ倒産してしまう。

 

従って、中小企業経営者が安定経営を目指すのであれば、然るべき利益目標を立てて、適正な営業利益水準を維持することが欠かせない。

 

会社経営の本質は利益拡大にあるので、経営者の行動原理を明快にする利益目標ほど重要なものはない。

 

会社の利益拡大がおぼつかず衰退の一途を辿る中小企業などは、利益目標がない、或いは、利益目標を誤っていることが多い。

 

安定経営を実現するには、然るべき会社の利益目標、或いは、目指すべき営業利益率の水準がなければならないのだ。

 

利益目標を立てるための然るべき利益指標はたくさんある。

 

売上総利益率(粗利率)、売上高営業利益率、売上高経常利益率、など等、、、。

 

どの利益指標を目標に採用したら良いのか悩んでいる中小企業経営者も多いのではないかと思うが、一般的には、売上高営業利益率(営業利益÷売上×100)を、営業利益の適正水準を測定する際の指標、或いは、利益目標の指標に採用している会社が多いと思う。

 

しかしながら、「売上高営業利益率(売上に占める営業利益の構成比率)」を営業利益水準や目標指標として採用すると、業種業態や事業構成によって不公平感がでる場合がある。

 

例えば、下表のように、ひとつの会社の中に複数の事業部があったとする。

 

 

全社合計

A事業部

B事業部

 

社員20名

社員10名

社員10名

売上

3,000万円

1,200万円

1,800万円

 売上原価

1,000万円

200万円

800万円

売上総利益

2,000万円

1,000万円

1,000万円

 販売管理費

1,800万円

900万円

900万円

営業利益

200万円

100万円

100万円

営業利益率

6.67%

8.33%

5.56%

 

A事業部、B事業部、同じ社員数で営業利益の金額は共に100万円だが、営業利益率はA事業部よりも、B事業部の方が▲2.77%劣っている。

 

同じ営業利益金額を稼いでいるにも関わらず、営業利益率が劣っているからといって、経営者がB事業部の社員の成績を悪く評価したら、社員はどう思うだろうか?

 

恐らく、不公平感から不満に思う社員が出てくるだろう。

 

また、A事業部とB事業部、お互いの目標営業利益率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的な利益目標を掲げることの難しさも残る。

 

売上高営業利益率(売上に占める営業利益の構成比率)には、公平な利益水準の測定だけでなく、合理的かつ公平な利益目標も立てることができない、といったデメリットがあるのだ。

 

 

営業利益率は売上総利益構成で計算するのが正しい

 

より公平な利益目標と指標を求めるのであれば、営業利益の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えると、不公平感が解消される。

 

先ほどの例を算定しなおすと下表の通りになる。

 

 

全社合計

A事業部

B事業部

 

社員20名

社員10名

社員10名

売上総利益

2,000万円

1,000万円

1,000万円

 販売管理費

1,800万円

900万円

900万円

営業利益

200万円

100万円

100万円

営業利益率

10%

10%

10%

 

ご覧の通り、営業利益の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部もB事業部も、同じ営業利益率になった。

 

これであれば、両事業部の成績(収益性)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、営業利益率の改善も、共通の指標を持って取り組むことが可能になる。

 

働いている社員も、不満を抱くことなく、会社の利益を上げるために働いてくれるだろう。

 

売上総利益に占める営業利益の構成比率のことを「売上総利益高営業利益率」という。

 

売上総利益高営業利益率の計算式は下記の通りである。

売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100

 

 

売上総利益高営業利益率の適正水準

 

中小企業の売上総利益高営業利益率の適正指標は下表の一覧表の通りである。

 

売上総利益

100

100

100

営業利益

20

10

0

営業利益率

11~20%

10%

0~9%

利益判定

超優良

標準

要改善

 

11%~20%

営業利益率が11%~20%の範囲内であれば超優良水準である。この水準の営業利益率がキープできれば成長投資のサイクルが良好に回るので、持続的な会社成長が期待できる。

 

 

10%

営業利益率が10%であれば標準的な利益水準である。優良水準に向けた経営改善を継続しないと、少しのきっかけで衰退に向かうことがある。更なる利益拡大に向けた意識を強く持つことが大切である。

 

 

0~9%

営業利益率が0%~9%であれば、改善の余地が大いにある。

 

 

マイナス

営業利益率がマイナスであれば赤字経営ということになる。早急に再建計画を作成し、黒字化を目指す必要がある。

 

黒字化の取り組みが遅くなればなるほど、赤字脱却の難易度が高まるばかりとなる。

 

 

20%以上

営業利益率が20%以上であれば、儲かりすぎである。

 

人件費の水準が低すぎないか、保守修繕に不足がないか、取引先に無理を押し付けていないか、等々、会社の内外に歪みが出ていないか否かを確認する必要がある。会社の内外に歪みがあると、成長が一転して、あっという間に会社が衰退することがある。

 

(急成長の後に倒産する会社は殆どがこのケースである)

 

主だった歪みが無いようであれば営業利益率の水準が20%以上でも問題ない。

 

なお、営業利益率が上記適正指標の標準から優良(10%~20%)の水準に達していても、営業利益金額が小さすぎると、安定成長に支障が出る場合がある。

 

従って、売上と営業利益金額を常に拡大するという目標も決して忘れてはいけない。

 

会社の安定経営を目指すのであれば、営業利益金額が一定水準を上回っている必要がある。

 

営業利益の金額が拡大傾向にあり、なお且つ、営業利益率が11~20%の水準に達していれば、売上増加と共に、会社の成長基盤はますます盤石になる。

 

 

利益目標と営業利益率を会社経営に活かすポイント

 

利益目標は、会社の生存を左右する大きな要素になり得る。

 

なぜなら、会社の生存を保障するのは売上ではなく「利益」だからだ。

 

利益を見落としたまま売上拡大に走った結果、会社が傾いてしまった中小企業は少なくない。

 

また、本業の利益を表す「営業利益率」のモニタリングも安定経営を実現するうえで欠かせないポイントである。

 

売上総利益高営業利益率の推移を長期的にモニタリングしていくと会社経営の正否が見えてくる。

 

例えば、

 

☑営業利益率が上昇傾向にあれば正しい経営

 

☑営業利益率が下降傾向にあれば正しくない経営

 

というように、経営状態の正否が分かるので、先手先手で経営を見直すことができる。

 

確固たる自信を持って会社を経営するには、経営結果に応じた臨機応変な修正能力が欠かせない。

 

自信の源も、修正の源も、営業利益率をはじめとする利益目標が起点になる。

 

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