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経費率と人件費率の計算方法と適正水準

経費率と人件費率の計算方法と適正水準

 

会社の経費や人件費バランスが適正に保たれているのか?

 

そもそも、会社の経費や人件費バランスの適正な水準はあるのか?

 

など等、経費率や人件費率のコントロールに悩みを抱えている中小企業経営者は多いと思う。

 

経費率と人件費率は、会社の経費や人件費を管理、或いは、コントロールするうえで不可欠な指標である。

 

当然ながら、確かな指標なしに、正しい管理も、コントロールもできるものではない。

 

一般的には、経費率の計算式は、「(経費÷売上)×100」で求める。

 

人件費率であれば、「(人件費÷売上)×100」で求める。

 

しかしながら、この計算式だと売上に占める経費や人件費の構成比率は算定できるが、適正指標や目標として活用しにくいというデメリットがある。

 

どういう事かというと、経費、或いは人件費を賄う収益の源泉は、売上ではなく、売上総利益だからである。

 

売上総利益率は、業種業態、或いは、同じ会社であっても部門が変われば変わってしまう。

 

当然ながら、売上総利益率の水準が変化すると、合理的且つ公平な共通目標として活用しにくいというデメリットが生じてしまう。

 

 

経費率と人件費率を売上構成で求めると正しい判断ができない!?

 

売上に占める経費や人件費の構成比率の矛盾を次の例で説明したい。

 

例えば、売上が1,000万円のA社とB社という会社があったとする。

 

A社は、売上1,000万円に対して粗利が1,000万円(粗利率100%)で人件費が500万円、

 

B社は、売上1,000万円に対して粗利が500万円(粗利率50%)で人件費が250万円だとする。

 

この場合、それぞれの人件費率は、

 

A社:(人件費500万円÷売上1,000万円)×100=50%

 

B社:(人件費250万円÷売上1,000万円)×100=25%

 

A社50%>B社25%となるが、人件費率が低いB社の方が経営状態が良好とは断定できない。

 

じつは、上記計算式を少し工夫するだけで、合理性と公平性の高い経費率と人件費率の算定が可能になる。

 

それは、分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるのだ。

 

上記の例を用いて売上に占める構成比率を、「売上総利益(粗利)に占める構成比率」に置き換えてみる。

 

A社:(人件費500万円÷売上総利益1,000万円)×100=50%

 

B社:(人件費250万円÷売上総利益500万円)×100=50%

 

A社50%=B社50%、人件費率が両社一緒になった。

 

つまり、会社の儲け(人件費を賄う粗利)に対する人件費の占める割合は両社一緒だったということだ。

 

このように、人件費の構成比率を求める際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、業種業態による計算結果のバラツキを解消することができる。

 

 

経費率と人件費率は売上総利益構成で求めるのが正しい!!

 

売上総利益に占める経費と人件費の構成比率は、あらゆる中小企業に通用する合理的且つ公平な適正指標であり、有効な目標になり得る。

 

下表は、中小企業の「売上総利益に占める経費と人件費の構成比率」の適正指標の一覧表である。

 

売上総利益に占める経費と人件費の構成比率の適正範囲は、業種業態によって異なるが、概ね30%~70%の範囲内に収まる。

 

なお、経費と人件費の構成比率を算定する分母である売上総利益は「100」として、営業利益は、中小企業の標準利益水準である「10」としている。

 

売上総利益

100

100

100

100

100

人件費

70

60

50

40

30

その他経費

20

30

40

50

60

営業利益

10

10

10

10

10

人件費率

70%

60%

50%

40%

30%

その他経費率

20%

30%

40%

50%

60%

 

上記判定表をもとに、会社の売上総利益に占める経費と人件費の構成比率の適正指標が把握できれば、より公正な改善目標を設定することが可能になる。

 

 

経費率と人件費率の具体的経営改善手法とは?

 

中小企業が売上総利益高経費率&人件費率を活用して経営改善する際の目標設定と改善プロセスは以下の手順で進める。

 

 

経費率と人件費率を算定する

 

会社の損益計算書から、売上総利益、人件費、その他経費、営業利益を抽出し、売上総利益に占める夫々の構成比率を算定する。

 

売上総利益に占める構成比率の計算式は下記の通りである。

人件費=(人件費÷売上総利益)×100

 

その他経費=(その他経費÷売上総利益)×100

 

営業利益=(営業利益÷売上総利益)×100

 

 

適正指標を判定し改善目標を算定する

 

会社の経費率と人件費率が上表(適正水準)のどの部分に位置するかを判定する。下表は実績と改善目標の例である。

 

 

実績(例)

適正水準

改善目標

売上総利益

100

100

-

人件費

55

50

△5

その他経費

42

40

△2

営業利益

3

10

+7

人件費率

55%

50%

△5%

その他経費率

42%

40%

△2%

 

 

経営改善目標の計算式

人件費=適正水準-実績

 

その他経費=適正水準-実績

 

営業利益=人件費の改善目標+その他経費の改善目標

 

経費率と人件費率の適正水準が分かれば明確な改善目標を掲げることができるので、経営改善や営業利益の改善効率が格段に上がる。

 

何といっても、会社を経営するうえで目標や指標は重要な要素を持っている。

 

なぜなら確かな目標や指標がなければ、効率的に経営改善を進めることができないからだ。

 

勘と経験に頼った会社経営ではひとつの判断ミスで会社が傾くリスクがある。安定経営を目指すのであれば、正しい目標と指標が欠かせない。

 

 

経費率と人件費率を会社経営に活かすポイント

 

経費率と人件費率は、一般的には売上の構成比で求める。

 

しかし、冒頭で説明した通り、この指標は、業種業態によっては整合性が崩れ、経営判断の根拠になり得ないことが起こる。

 

中小企業の経費率と人件費率は、どんな業種業態でも整合性が保て、且つ、正しい根拠になり得る、売上総利益の構成比で求めるのが正しい判断である。

 

「売上総利益高経費率」と「売上総利益高人件費率」、この二つの経営指標をモニタリングしていれば、経費と人件費のバランスを保つための適切な経営改善の手を、適宜、講ずることが出来るようになる。

 

多くの経営指標は、経営学や会計学、或いは簿記論や税法等の学術理論に則り運用されているケースが多いが、学術理論を鵜呑みにするのは危険な判断だ。

 

何事も基本は大事だが、学術理論に振り回されて、会社経営に有効活用できない経営指標を使っていては意味がない。

 

自分の会社経営を助ける経営指標は、経営者の創意工夫で生み出し、独自運用することが長期経営を実現する秘訣でもある。

 

➡NEXT「中小企業に適した経営指標と経営分析手法」へ

 

 

 

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