大型設備投資の判断基準とタイミング|投資リスク管理に用いる経営指標

大型設備投資の判断基準とタイミング|投資リスク管理に用いる経営指標

 

資本力に乏しい中小企業が大型設備投資の判断基準とタイミングを誤ると、会社の衰退リスクが飛躍的に高まる。

 

適正な判断基準とタイミングを持たずに闇雲に行った設備投資が、経営の足かせになることもあり得る。

 

大型設備投資の判断基準は、様々なアプローチがあるが、この記事では、多くの中小企業で普遍的に活用できる方法を詳しく解説する。

 

 

大型設備投資の判断基準になる経営指標

 

大型設備投資の判断基準とタイミングは何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。

 

たとえ、十分な投資資金が手元にあったとしても、投資の判断基準やタイミングを誤れば、その投資は失敗に終わる。

 

従って、大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準とベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせない。

 

大型設備投資の判断基準として有効活用できる経営指標は「売上総利益高営業利益率」と「借入限度額」になる。

 

このふたつの経営指標をベースにして、大型設備投資の可否を判断している限りは、失敗リスクが高まることはない。それぞれの指標について以下に解説する。

 

投資後の利益判定

売上総利益高営業利益率は、投資後の利益水準が十分かどうかを判断する基準として活用できる経営指標になる。

売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100

 

投資後の返済判定

借入限度額は、投資資金を銀行借入等で賄う場合に、投資後の返済リスクを判断する基準として活用できる経営指標になる。

借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”

 

例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=2,500万円~5,000万円になる。”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。

 

大型設備投資の判断基準

 

大型設備投資の判断基準は、「利益水準」と「返済リスク」の両面で、投資計画の正否を判定すると、失敗リスクを抑えられる。

 

利益水準の判断基準は「売上総利益高営業利益率」で、返済リスクの判断基準は「借入限度額」で判定する事ができる。それぞれの判断基準の解説は下記の通りになる。

 

大型設備投資の判断基準「利益水準」

大型設備投資前後の売上総利益高営業利益率を比較し、利益水準が悪化しなければ過剰投資の可能性は低い。逆に、利益水準が悪化するようであれば過剰投資の可能性が高い。(設備投資後の利益計算には必ず減価償却費を加算すること)

 

また、売上総利益高営業利益率が10%以下の場合は、利益水準が心許ないので、投資収益が計画を下回った段階で衰退リスクが飛躍的に高まる。この場合は、利益水準を高める工夫をした後に、大型設備投資を再検討するのがよい。

 

大型設備投資の判断基準「返済リスク」

大型設備投資の資金を金融機関等から調達する場合は、借入限度額以下が投資OKの基準になる。借入限度額を超過する場合は返済苦に陥るリスクが高いので、大型設備投資を再検討した方がよい。

 

また、投資収益が計画を下回ると、返済苦に陥るリスクが飛躍的に高まるので、設備投資後も「売上総利益高営業利益率」と「借入限度額」を絶えず測定し続けることを忘れてはならない。

 

【関連記事】減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる

 

 

大型設備投資のタイミングを計る判断基準

 

大型設備投資後の「利益水準」と「返済リスク」に問題がなければ、後は、投資のタイミングを判断するのみとなる。

 

大型の設備投資は多額の資金を要するので、タイミングを誤ると会社の衰退リスクが飛躍的に高まる。

 

大型設備投資を成功に導くためには、綿密な収支シミュレーションとリスク分析が欠かせないが、特に注視すべきポイントは「投資後の操業度」だ。

 

例えば、製造能力を引き上げる大型設備投資であれば、製造能力が限界に達し、なお且つ、投資後も操業度が下がらない見込みがあれば投資のゴーサインを出しても問題ない。

 

逆に、製造能力に余力があり、設備投資後の操業度が当面低下、或いは、著しく低下するようであれば、投資のゴーサインは見送った方がよい。

 

大型の設備投資は、大企業であっても判断基準とタイミングを誤ると、いとも簡単に会社経営が行き詰まる。

 

大企業の投資失敗事例は数多にあるし、資本力の小さい中小企業の場合は、投資の失敗、即、倒産ということもあり得る。

 

大型の設備投資は、正しい投資判断基準を持ち、尚且つ、念には念を入れた検証と考察が不可欠だ。また、想定収益に甘さがあると、誤った経営判断を誘引する可能性が高まるので、想定収益は、徹底して甘さを排除しなければならない。

 

なお、中小企業における投資の回収期間は2年以内が適正なラインなので、大型設備投資の回収期間(収支のプラス化)が2年を超える場合は、投資計画を一から再考した方が良いだろう。

 

伊藤のワンポイント

新設備導入や新工場建設などの大型設備投資は会社の成長過程で必ず通る道です。ですから、大型投資を意識した資金計画を先手で立てることが大切です。また、ここで紹介した判断基準を上手に運用するには、大型投資の資金源になり得る減価償却の理解を深めることも大切です。

 

➡NEXT「投資回収期間の適正水準と計算方法」へ

 

 

 

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