会社は、社長の覚悟を固めた瞬間から大きくなる。
なぜなら、社長があらゆるリスクを一身に背負う覚悟を固めると、会社発展のための行動原理が明快になり、会社の成長スピードが加速するからだ。
例えば、本業に集中する、過去を断ち切る、といった社長の覚悟は、間違いなく会社の成長発展を後押しする。
この記事では、わたしのコンサル先企業の社長や長年交友がある社長の実例を用いて、会社を大きくする社長の覚悟の具体例を紹介する。
何れの社長の覚悟も非常に効果的で、なお且つ、心が折れそうになった時の励みになるので、是非とも参考にしてほしい。
車のディーラー店を経営していたAさんが、両親が創業した食品製造会社を継いだのは40代も後半の頃だ。
この社長は、それまで自分が経営していた会社をすべて後進に譲り、両親が創業した食品製造業の社長に就任した。
自分の会社からの報酬も協力関係もゼロにして、自らの手で退路を断ち切り、全身全霊で本業に集中する覚悟を決めたのである。
受け継いだ食品製造業の経営は赤字経営だったが、僅か1年で超優良な黒字経営にV字回復した。
わたしもこの会社の経営再建をサポートしたが、社長の覚悟なくして、見事なV字回復は無かったと確信している。
本業に集中する社長の覚悟は、わたしも実践しているが、非常に効果的だ。
わき目もふらず本業に集中する社長の覚悟は、間違いなく花開く。
Bさんが実家の呉服店の社長に就任したのは20代も後半の頃だ。
先代の急逝に伴う社長就任だったが、先代のセンスや見識がずば抜けて高かったため、顧客は由緒ある家柄や高い審美眼を持った方ばかりで、顧客を受け継ぐにはあまりにも荷が重かった。
商売自体はうまくいっていたが、この社長は覚悟を決めた。
これまでの蓄積に頼らず、新しいお店と自分たちの顧客を作ろう、と。「過去を断ち切る社長の覚悟」を固めたのである。
早速、自社ビルに入居していたすべてのテナントに立ち退いてもらい、すべてのフロアを自分の店づくりに活かした。
テナント収入がゼロになり、さらには多額の改装費用が掛かったので、マイナスからのスタートになったが、お店のコンセプトを明快にしたことで新しい顧客が次々と生まれ、10年も過ぎると先代の顧客がすべて新しい顧客に入替った。
引き継いだ商売がうまくいっているにも関わらずに過去を断ち切るのは、相当な覚悟が必要だが、新しい未来を切り開くために過去を断ち切る社長の覚悟は、時に新しい顧客を創造するきっかけになり得る。
本業に集中する社長の覚悟、過去を断ち切る社長の覚悟のほかにも、有効な社長の覚悟がある。
例えば、借金を背負う覚悟、社員の生活を背負う覚悟、会社の損失を背負う覚悟、などは、社長の行動にプラスの影響を与えて、会社の成長を後押しする効果がある。
借金を背負う覚悟は、利益意識を高めてくれる。
社員の生活を背負う覚悟は、社員の幸せを考える姿勢を整えてくれる。
会社の損失を背負う覚悟は、「最終責任は経営者」という責任感を生み出し、社長に威厳と風格を与える。
社長の覚悟は会社成長の原動力になる。
そして、会社が厳しい時こそ、社長の覚悟がモノをいう。
覚悟を決めるとは、全ての経営責任を背負うということですが、社長の覚悟なくして、会社経営はうまくいきません。社長の風格や威厳も出ません。顧客や社員もついてきません。社長の覚悟一つで努力や反省の質、或いは、ご縁やご恩のめぐり合わせもガラリと変わります。つまり、成功と失敗は社長の覚悟で決まるのです。