木を見て森を見ずの意味は「目先のことだけに捉われて全体像が見えなくなる様子」のことである。
ビジネスにおいては、目先の利益に捉われて大きな利益を失う、目先のノルマに捉われて本当に大切な目的を見失うことなどは「木を見て森を見ず」の典型になる。
この記事では、木を見て森を見ずの意味と仕事活用術、並びに、木と森を見失うノルマ主義の弊害について、詳しく解説する。
木を見て森を見ずという言葉の意味は、目先のことだけに捉われて、悪い結果や後先の事が見えなくなる事象を表すことが多い。
しかし、目先に見えているものや優先させるものが正しいものであれば、自然と良い結果が生まれるので、木を見て森を見ずとも物事はうまく運ぶ。
つまり、「目先に何を見せるか」或いは「何を優先させるか」を正しく設定すれば、木を見て森を見ずとも、良い結果を出すことができるのだ。
例えば、目の前のお客様に誠心誠意一所懸命尽くす姿勢は、会社の信用信頼を高め、繁栄の基礎を盤石にする。
目先の事が、お客様のために何ができるか、お客様をもっと幸せにするために何が出来ていないのか、といった言動に集中するので、木を見て森を見ずとも大きな成果を上げることができる。
見るべき木が正しければ、組織全体の行動原理が明快になり、目先のことだけに集中するほど、会社の生産性・収益性・発展性等の全体結果が良好になるのだ。
木を見て森を見ずの良くある失敗パターンについて、詳しく解説する。
前章で解説した通り、見るべき木(目先)が正しければビジネスに成功するが、見るべき木(目先)が誤っていればビジネスの失敗リスクが高まる。
例えば、
などは、木を見て森を見ずの良くある失敗パターンである。
ちなみに、上記例の木と森を逆転させると会社経営がうまく行き易くなる。
売上より利益、上司より顧客、社内より社外、自己都合より他者都合、個人成績より全体成績、目先の利益より信用信頼の構築を優先する経営姿勢が繁栄を招くのだ。
ノルマとは、個人単位に半ば強制的に割り当てる労働・成果・時間等の基準量のことである。
社員一人ひとりに売上ノルマ・訪問ノルマ・成約ノルマ等を課し、特定の日までにノルマ達成を迫り、ノルマ達成の良し悪しで個人能力を評価する仕組みはノルマ主義の典型といえる。
ノルマ主義のメリットは、会社側が一定の労働量や成果結果を獲得し易い点にあるが、過剰なノルマ主義は、社員をノルマ至上主義に陥れるデメリットを生む。
例えば、売上ノルマさえ達成すれば、利益・信用信頼・顧客満足度などはどうでも良い、或いは、自分のノルマさえ達成すれば、他の社員や会社全体の事はどうでも良い、といった思考回路はノルマ至上主義の弊害といえる。
また、過剰なノルマを与えると、モラルに欠けた売上拡大、顧客不在の品質改ざん、ノルマ達成のための法律違反など、極めて危険なリスクを冒し易くなり、たった一つの失敗が原因で会社倒産という悲劇を招く場合もある。
会社経営は本質から外れるほどうまく行かなくなるので、折にふれ、見るべき木(目先の正しさ)をチェックすることを切にお薦めする。