社員のリストラは最悪の方法|社員に感謝し大切にする会社が発展する

 

昨今は、社員のリストラが普通の経営采配として見受けられるようになった。

 

特に大企業のリストラは珍しくなく、ある年にリストラを断行した日本国内の上場企業は30社弱、対象者は1万人強というデータも残っている。

 

この記事では、社員のリストラのデメリットと共に、社員に感謝し大切にすることでリストラを回避する方法について、詳しく解説する。

 

 

社員のリストラは最悪の方法

 

企業再建の現場では、会社の存続を守るために致し方なく社員のリストラをせざる得ない場合があるが、これはあくまで最終手段に過ぎない。

 

社員の生活の糧(生計)を脅かすリストラは、社員にとってみれば最悪の方法であり、リストラを免れて会社に残る社員にとってもモチベーションを下げるきっかけになり得る。

 

経営者の本来の務めは、社員のリストラをしなくて済むよう日頃から健全経営を心掛け、社員が安心して最期まで働ける環境を確立するところにある。

 

この姿勢がおざなりになると、社員の気持ちが会社から離れ、次第に仕事のパフォーマンスが低下し、業績悪化のスパイラルに陥り易くなる。

 

そして、万が一、業績悪化のスパイラルに陥ると、社員のリストラという最悪の方法を選択せざる得ない状況に追い込まれる。

 

 

リストラのない終身雇用のメリット

 

終身雇用に異を唱える経済学者は少なくないが、日本企業の終身雇用が崩壊した時に、諸手を挙げて喜んだのは欧米諸国の企業家達だった。これで日本企業(日本経済)は弱体化する、と。

 

結果は、歴史を見れば明らかだが…。リストラのない終身雇用のメリットは、マンパワーが最大化されることだ。

 

理知的な教育メソッドや社員の感情(モチベーション)を牽引する経営者のリーダーシップ等は必須だが、組織が社員の成長を後押しし、成長した社員が組織に知的財産を還元して定年を迎える組織構造は、マンパワーが最大化される良くできた仕組みだった。

 

社員が育てば、組織力と共に業績も上向くので、経営基盤は益々盤石になる。

 

団結力、機動力、開発力、発明力、愛社精神、知的財産など等、一朝一夕では確立できないかつての日本企業が世界に誇れる強みは終身雇用が源泉だったのだ。

 

 

終身雇用が崩壊しリストラが横行した原因

 

終身雇用が崩壊しリストラが横行した最大の原因は、健全な会社経営が確立できなかったことに尽きるが、あまりに理知的(主に知識や数字)な経営采配に傾き過ぎた事も原因として考えられる。

 

人間は感情に惹かれる生き物なので、理屈っぽくなるほど白ける。

 

例えば、組織において、肩書などの序列、或いは、数字や知識等の理屈を掲げても社員は本心から従うことはない。

 

社員は理屈に従うのではなく、あくまで上に立つ人間の感情(熱意、責任感、リーダーシップ等)に従う。

 

つまり、経営者の感情量が豊富なほど、社員は会社のために働き、仕事の中から生きがいを見出し易くなる。理屈ではなく、感情の交流が重要になるのだ。

 

 

リストラのない強い組織を作る方法

 

リストラのない強い組織を作る上でも経営者と社員の感情の交流が重要になるが、ポイントは5つある。

 

このポイントを抑えて組織作りを推進すると、リストラのない強い組織が整い易くなる。それぞれのポイントについて詳しく解説する。

 

社員に感謝する

社員への感謝は絶対条件だ。例えば、「会社に来てくれて有難う。会社の仕事を通じて幸せな人生を作ってほしい。会社は全力で応援する。」社長であれば、これくらいの感謝の気持ちを社員に伝えなければならないし、折にふれ、感謝の気持ちを表現しなければならない。こうした社長の言動が社員のモチベーションを支えるのだ。

 

社長の姿勢を示す

社員に対して社長の姿勢を示すことも大切だ。例えば、「業績を上げる為に本気で仕事に取り組む。すべては会社の永続性を確立して社員の幸せを守るため。」等、何のために会社を経営しているのか、如何に真剣に会社経営に取り組んでいるのかを社員に示すことは必須だ。

 

社員教育を継続する

社員教育は継続が肝要だ。特に中小企業は限られた人財で勝負しなければならないので、根気強い教育が求められる。仕事には責任が伴うことや責任を果たすための仕事の進め方を教えるだけでなく、会社が望む人材像を明確に示し、社員の主観的評価と客観的評価のギャップを解消する等、双方、おさまりの良い関係性を目指しながら教育を続けることが大切だ。

 

社員を幸せにする

この会社で働けて良かった。定年までこの会社で働きたいと思わせる環境作りを経営者が推進し、社員を幸せにする経営姿勢を打ち出すことが大切だ。

 

社員を最期まで応援する

社員が会社の仕事に幸せを見いだせない場合は、次のステップに行けるように応援することも重要になる。例えば、リストラ等で会社から排除するのでなく、配置転換する、資格取得を応援する、など等、社員が自主的に次のステップに進めるような雰囲気を作ることが大切だ。お互いの信頼関係は、必ずお互いを助ける。

 

 

社員に感謝し大切にする会社が発展する

 

「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」

 

理知的でいようとすると人間関係に角が立って生活が穏やかでなくなり、情を重んじれば、どこまでも感情にひきずられてしまう、という人間模様の本質を表した夏目漱石「草枕」の冒頭文だ。

 

100年以上も前の作品だが、会社経営に当てはめても通用する、じつに普遍的であり、本質を突いた文章といえる。

 

就業規則を盾に社員を抑圧する経営陣、○○ハラスメントを盾にお門違いな要求をする社員、など等、経営者と社員がお互い理知的に動こうとするほど、組織は硬直し、結束が弱まる。

 

当然ながら、組織力が低下すると、業績が悪化し、ますます働き難い会社になる。

 

知と情のバランスを良い塩梅に保ち、人に優しく、社員に優しく、顧客に優しく接することが大切であり、会社繁栄の源泉は、いつの時代も人にある。

 

社員のリストラは最終手段であり、社員の幸せを叶えることが、会社の幸せを叶える原理原則だ。

 

伊藤のワンポイント
 

社員のリストラという最悪な方法を回避するには、社員の人生を背負う覚悟を持って、健全経営を確立することです。健全経営は社員に感謝し大切にする姿勢を経営者が率先して打ち出すことで次第に確立されます。この姿勢がおざなりになると、社員の心が離れて、組織力と共に業績が低下しますので、気を付けてください。