自社ビルのメリットは本当にあるのか?|成長鈍化の原因は自社ビルにある!?

自社ビルのメリットは本当にあるのか?

 

中小企業のなかには自社ビルを保有している会社も珍しくない。また、会社の創業年数が長いほど、自社ビルの保有割合が高い。

 

会社経営で一定の成功を収めると、真っ先に自社ビルを建てようとする経営者もいるが、果たして自社ビルにメリットはあるのだろうか?

 

この記事では、自社ビルのメリット・デメリットについて、詳しく解説する。

 

 

自社ビルとは?

 

自社ビルとは、自前の土地に建設したビル、或いは、購入したビルのことである。

 

自社ビル保有企業は、昔から土地を保有している大企業や老舗企業に多く、成長途上にある企業ほど自社ビルの保有率が低い

 

自社ビルのデメリットは、多額の初期費用(イニシャルコスト)が掛かる、経営の自由度を妨げる等が挙げられる。

 

一方、自社ビルのメリットは、安価な経常費用(ランニングコスト)で本社機能や事業活動の拠点として使用できる、企業の信用度が上がる等が挙げられる。

 

会社経営で一定の成功を収めると自社ビルを建てようとする経営者がいるが、自社ビルのメリット・デメリットをしっかり理解しないと、自社ビルがきっかけで衰退を招く可能性もあるので注意が必要だ。

 

 

自社ビルのメリットはあるのか?

 

自社ビルのメリットは本当にあるのか?

 

わたしの答えは「自社ビルのメリットは、さほどない」である。

 

自社ビル最大のデメリットは、会社の規模が決まってしまうことだ。

 

例えば、自社ビルの中に会社組織を閉じ込めると、営業人員や倉庫面積などが固定化してしまうので、経営者の拡大志向が希薄になりやすくなる。

 

当然ながら、経営者の拡大志向が薄れると、会社の成長は鈍化する。

 

街を歩いていると老朽化した自社ビルをよく見かけるが、この手の会社は、自社ビルを建てた瞬間会社の成長ピークであることが多い。

 

また、大都市圏の場合は、自社ビルが足かせとなって、経営環境に合わせた自由な経営が出来なくなる場合がある。

 

周囲の経済環境に翻弄されやすい中小企業は、会社の成長と経営の自由度を妨げる自社ビルに固執せず、強い拡大志向を持って賃貸オフィスを渡り歩いた方が、成長スピードが加速する。

 

 

自社ビル保有の収支メリットとは?

 

自社ビルと賃貸を比べた場合、収支面(費用面)のメリットはどちらが得なのだろうか?

 

賃貸のメリットは月々の費用しかかからない点だ。長い目で見れば、自社ビルよりも費用メリットが少ないかも知れないが、必要最低限の費用支出で済むので、経営的なメリットは大きい。

 

一方、自社ビルのメリットは、初期コスト以降のランニングコストが安くなる点だ。

 

ただし、固定資産税、修繕費、管理費用、借入金の金利などの諸費用負担、地震等の天災リスク、さらには50年~100年後に建て替えるための資金貯蓄などを加味すると、果たして、賃貸の費用メリットに勝るかどうか、微妙になる。

 

また、自社ビルを建築するには数億円のお金が必要になる。

 

数億円のお金が新しい売上を生み出すのであれば投資メリットが高いといえるが、自社ビルを建てたとしても売上が増えるわけではない。

 

当たり前だが、数億のお金を自社ビルに使った場合と、売上拡大に繋がる投資に使った場合の投資メリットを比較した場合、投資メリット高いのは後者だ。

 

このように自社ビルは、投資効率が悪いというデメリットもある。

 

自社ビルを建てた途端に資金繰りや業績が悪化する会社は、投資効率の悪化が主要因であることが多い。

 

 

成長鈍化の原因は自社ビルにある!?

 

ここまでの解説で、自社ビルのメリットがさほどないことがお分り頂けたと思う。

 

不動産投資で最も儲けが出るのは、土地を仕入れてビルを建てて他人に貸す、というモデルではない。築数十年のビルを一棟買いして他人に貸し、建て替え時期が迫る前にビルを売却する、というモデルだ。

 

このモデルであれば、ビルの売買コストがさほどかからず、保有期間の家賃収入が丸々儲けになる。

 

会社の自社ビルも同じだ。

 

無理に自社ビルと保有せずに、事業環境の変化に合わせて賃貸オフィスを渡り歩いた方が、高い収益メリットが得られ、会社の成長スピードが加速する。

 

事実、高成長企業、或いは、飽くなき成長を目指している中小・ベンチャー企業ほど、賃貸オフィスを積極的に活用している。

 

中小企業の場合は、毎月の資金負担が定額で、なお且つ、資金効率の高い賃貸オフィスの方が向いている。また、キャッシュフローの面からみても、自社ビルよりも賃貸の方が管理しやすいメリットがある。