中小企業は社長の時間の使い方で業績が決まる。
小さな会社ほどその傾向が顕著に表れ、社長が時間の使い方を誤ると、間違いなく会社の業績が伸び悩む。
この記事では、社長の時間の使い方・作り方、並びに、限られた時間で経営の成果を上げる方法について、詳しく解説する。
社長の時間の使い方は、社長業が何であるかを考えると自ずと見えてくる。
社長業とは社長にしかできない仕事のことだが、中でも最重要といえる仕事は「計画・決断・実行」になる。
計画・決断・実行は他人任せにできない社長の仕事であり、会社の業績を左右する極めて重要な仕事でもある。従って、1日24時間という限られた時間の大半を、この仕事の精度を高めるために使うと会社の業績が自然と安定する。
経営計画の策定や修正、決断の質と検証の精度向上、実行力や推進力の研鑽など等、とにかく、社長業に意識的に時間を使うことが、経営者の能力を高める方法であり、業績を飛躍的に伸ばす正攻法になる。
衰退する会社ほど、社長の時間の使い方が宜しくない傾向にあるので、現状を鑑みて、社長業に時間が使えているか否か点検してほしい。
中小企業の社長ほど忙しいものはない。プレイヤーとして現場の仕事をこなしながら、マネージャーとして会社の経営も采配しなければならない。
こうした状況下で、どんな社長にも平等に与えられている1日24時間の中から社長の時間を上手に作りには、優先順位をつけて、仕事の取捨選択をするしかない。
取捨選択は前章で紹介した「社長業」を基準にするとよく、現状の仕事を全て書き上げて、社長業を基準に分類すると、仕事(時間)の優先順位が明快になる。
社長業からかけ離れた仕事ほど優先順位の低い仕事(時間)になる訳だが、そうした仕事を止める、或いは、部下に任せると、本来必要とすべき社長の時間が効果的に作られる。
上手に時間が作れない社長ほど、仕事の優先順位が曖昧になっているケースが多いので、現状を鑑みて、社長の時間が作れているか否か点検してほしい。
ピーター・F・ドラッカー氏の言葉に次のようなものがある。
「経営の成果を上げたければ時間の使い方を変えろ。一年前と時間の使い方が変わっていないようならあなたの進歩は止まっているかも知れない。」
ヤル気になっただけで満足してしまう経営者は意外に多いが、ヤル気を成果に変えるには、時間の使い方を変えなければならない。
社長業の精度を上げるための時間を作り、社長業に専念すべく時間の使い方を変える、この繰り返しが、限られた時間で経営の成果を上げる確かな方法になる。
経営の成果が停滞している中小企業ほど、社長の時間の使い方が変わっていない傾向にあるので、現状を鑑みて、社長の時間の使い方が進化しているか否か定期的に点検することをお薦めする。