会社を立て直し黒字化する方法は、会社のあるべき姿を明確にイメージするところから始まる。
なぜなら、会社のあるべき姿を明確にイメージしないと、会社を立て直すうえで障害になり得る経営課題を明らかにすることが出来ないからだ。
会社のあるべき姿には、経営理念等の抽象的なものと、数値目標等の絶対的なものがあるが、会社を立て直し黒字化するには、最低限、経営理念と数値目標、この両面が欠かせない。
じつは、業績が悪化する会社、或いは、赤字経営が常態化している会社に限って、会社のあるべき姿が曖昧だ。
例えば、経営理念がないために組織が方向感覚を失い、行き当たりバッタリの経営に陥っている会社、或いは、数値目標がないために、強い利益意識やコスト意識が欠落している会社などは、あるべき姿が曖昧な会社の典型例である。
また、経営理念や数値目標がない会社の業績がひとたび悪化すると、会社を立て直し黒字化することが難しくなるので、業績悪化の負のスパイラルに陥りやすくなる。
場合によっては、会社の立て直しができず、倒産まっしぐらといった状況に陥ることもあり得る。
あるべき姿を明確にイメージすることなく、会社を立て直すことは至難の業なのだ。
会社の組織全員があるべき姿に向かうと、確実に、業績が好転する方向に組織の力が集結するので、黒字化と共に、会社立て直しの見通しが見えてくる。
なお、経営理念は経営者の想いと会社の存在意義を掲げると、組織の力を1点に集中させる目標になり得る。
創業から代が下るにつれて経営理念が曖昧になっている会社は少なくないが、会社を立て直し黒字化する出発点として、まずは経営理念を見直してみてほしい。
会社を立て直し黒字化するには、然るべき数値目標を掲げ、組織に利益意識とコスト意識を定着させる必要がある。
なぜなら、利益の追求と適正なコストコントロールなくして、会社の立て直しなど出来ないからだ。
事実、業績が悪化する会社には利益目標がなく、コストも適正にコントロールされていない。
なお、赤字経営、つまり、マイナスの状態から会社を立て直し黒字化する場合の数値目標は、営業利益ゼロが最初の目標になる。
営業利益ゼロに向かって会社を立て直し黒字化する方法は、次の3つがある。
1.マイナス分の利益をカバーするための売上を新たに作る
2.利益の総量を増やすために利益率を改善する
3.過分にかかっている経費をカットする
上記3つの方法を会社の立て直しに即効性がある順番に並び変えると、3⇒2⇒1の順になる。
会社を立て直すために売上拡大に躍起になる経営者をたまに見かけるが、売上拡大の優先度は最後尾である。
そもそも、従前の売上拡大の活動が、業績悪化の元凶になっているケースも珍しくない。
コストカット、利益率の改善を速やかに実行し、営業利益ゼロに回復した後に、資金的な余裕をもって売上拡大に移行するのが、会社立て直しの正攻法である。
また、組織の不安や不満を徹底的に洗い出して会社の深刻な経営課題を浮き彫りにし、その経営課題を一つひとつ解消することも会社の立て直しに欠かせない取組みになる。