明快な人事評価の基準は、社員の能力開発と離職防止に役立つ。
明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになるからだ。
この記事では、社員の自主的な能力開発環境を整え、かつ、社員の離職を防ぐ人事評価の効果的フレームワークについて、詳しく解説する。
明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになる。
当然ながら、経営者が明快な人事評価基準を持ち合わせていなければ、社員の能力開発を手助けすることはできない。さらには、曖昧な人事評価が原因で、社員の反発や離職を生み出すリスクを高めてしまう。
社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価の基準は、大きく分けて3つの領域がある。
ひとつは「ワークスキル」、ふたつ目は「ビジネススキル」、三つ目は「ヒューマンスキル」だ。
下図は、人事評価基準のフレームワークになる。
ワークスキルとは、業界特有の専門知識や資格、その仕事を遂行するために必要な技能のことで、基本、特定分野でしか通用しないスキルになる。
ビジネススキルとは、思考力や実行力、或いは、コミュニケーション力といった、会社の中でも会社の外でも、どの分野、どの業種業態でも通用するスキルのことだ。
ヒューマンスキルとは、経営理念や信念、或いは、優れた経営哲学を生み出す価値観のスタンスのことだ。
この3つの領域のスキルをベースに人事評価の基準を作り上げると、自ずと、社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価基準が出来上がる。
ワークスキル、ビジネススキル、ヒューマンスキル、この3つの人事評価の領域は、組織の階層によって用いるべき基準が異なる。
例えば、会社に入りたての新入社員はワークスキルを高めることを最優先しなければならない。従って、人事評価の基準はワークスキルに重きを置くことになる。
中堅社員は、ワークスキルを高めつつ、ビジネススキルも意識しなければならない。従って、人事評価の基準はワークスキルとビジネススキルに重きを置くことになる。
事業や部門をまとめる中間管理職や経営幹部は、ワークスキルよりもビジネススキルを高め、なお且つ、ヒューマンスキルも意識しなければならない。従って、人事評価の基準は、ビジネススキルとヒューマンスキルに重きを置くことになる。
経営者は、ヒューマンスキルが揺るぎないものになるまで磨き上げる努力を継続することが大切で、経営者のヒューマンスキルが大きくなると、優れたワークスキルやビジネススキルを持った人財がどんどん集まるようになる。
このように組織の階層ごとに評価すべき領域と基準を明快にすると、社員の合理的な人事評価と能力開発を手助けする環境が自ずと整備される。
人事評価のフレームワークが会社の隅々まで定着すると、様々な効果が生まれる。
例えば、ワークスキルだけで一丁前と思い込む勘違い社員が少なくなり、素直な社員が多くなる。当然ながら、素直な社員が多くなれば、能力開発の成長スピードは一段と加速する。
また、人事評価の基準が明快だと、会社評価と本人評価のギャップも少なくなる。加えて、社員の能力不足を合理的かつ効果的にフォローすることもできる。
或いは、理念も哲学もない行き当たりバッタリの経営から抜け出すためのツールとしても有効に機能する。
社員の人事評価をしっかり整備・運用するだけで、会社経営の質が一段と洗練されるのだ。