経営コンサルが教える労働生産性の基本

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労働生産性の計算式と向上方法|生産性分析に用いる経営指標

労働生産性の計算方法と向上方法|生産性分析に用いる経営指標

 

労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標のことである。

 

労働生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。

 

そして、労働生産性は、常に「労働の投下」と「労働の投下に対応する収益」が対の関係にある。

 

つまり、労働生産性が高い会社は、少ない労働で大きな収益を、労働生産性の低い会社は、大きな労働で、少ない収益を生み出していることになる。

 

労働生産性は安定経営を実現するうえで、欠かせない経営指標である。

 

なぜなら、たとえ会社の利益が拡大傾向にあったとしても、社員の労働生産性が悪化(低賃金・長時間労働等)していれば、長期的な会社の成長は見込めないからだ。

 

労働生産性を改善しながら、会社の利益を拡大していく姿勢が、安定経営を実現する秘訣になるのだ。

 

この記事では、労働生産性の計算方法や計算事例、労働生産性の適正判定方法や向上方法に至るまで、詳しく解説する。

 

 

 

労働生産性の計算基準になる利益と人件費の計算方法

 

労働生産性を計算するうえで必須の項目は、労働の投下に該当する「人件費」と労働の投下に対応する収益に該当する「利益」である。

 

利益に関しては貢献利益や営業利益などの確定数字を採用すれば問題ないが、人件費は付随費用を加味しなければ正確な労働生産性の計算ができない。

 

例えば、下表は社員の人件費に付随する費用の一例である。

 

人件費

社員の給料である。通勤交通費、諸手当、残業代のほか、賞与等の臨時報酬も含まれる。

法定福利費

会社負担分の社会保険料である。会社は社員が負担すべき社会保険料の1/2の金額を負担しなければならない。

福利厚生費

社員用のアメニティー施設、社員優待制度の各種費用、社員旅行・社員行事の各種費用等、社員の福利厚生充実を図る費用が含まれる。

研修教育費

社員研修、勉強会等に費やす費用が含まれる。

会議費・接待交際費

社員と取引先との打合せ、接待や贈答等の費用が含まれる。

旅費交通費

社員の外出交通費、出張費などが含まれる。

その他費用

社員が仕事を行う上での電気代等の水道光熱費、デスクスペース等の地代家賃等などの付随費用もある。

 

このように、社員ひとりの人件費に付随する費用は意外と多くある。

 

一般的に、社員を一人整理(解雇)すると、ひとりの人件費の1.5~2倍のコストダウンが図れる。言い換えれば、社員一人当たりの維持コストは、ひとりの人件費の1.5~2倍は費やされているということである。

 

このように、労働生産性の計算に採用する人件費には、さまざまな付随費用が掛かっていて、これらの付随費用を含めた人件費を用いて労働生産性を計算しなければ、正しい結果が把握できないのだ。

 

 

労働生産性の計算方法|求め方の公式

 

労働生産性の計算方法は、1人1時間当たりの付加価値で求めることができる。

 

1人1時間当たりの付加価値とは、1人の社員が1時間働いて生み出す会社の付加価値のことで、人時生産性の一種でもある。

 

労働生産性を求める計算方法として普遍的、なお且つ、効果的な公式としておススメできる計算方法である。

 

1人1時間当たりの付加価値の計算式は下記の通りである。

 

①付加価値=総人件費+営業利益

 

②1人1時間当たりの付加価値=付加価値(①)÷総労働時間

 

※総人件費を集計する際は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象になる

 

※総労働時間は役員、社員、全従業員の労働時間の合計である

 

※付加価値に減価償却費を含める見解もあるが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資である。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではないと考える

 

労働生産性の適正判定

 

労働生産性の適正判定は以下の通りである。

 

労働生産性の計算金額(1人1時間当たりの付加価値)が増加傾向にあれば良好(適正)、労働生産性の計算金額が減少傾向にあれば悪化(要改善)ということになる。

 

つまり、1人1時間当たりの付加価値が増加傾向にある会社は労働生産性が高く、減少傾向にある会社は労働生産性が低いと判定できる。

 

労働生産性の適正判定と改善のポイント

 

1人1時間当たりの付加価値は、会社の付加価値を社員の総労働時間で割るので、人員と残業が多く労働生産性が劣っている会社は、1人1時間当たりの付加価値が低下する。

 

つまり、少ない人員と少ない労働時間の体制を確立したうえで、会社の付加価値を拡大しなければ、1人1時間当たりの付加価値は増加しない。

 

少数精鋭体制に向いている中小企業が、労働生産性の最大化を目標に掲げると、自然と、骨太な経営体質に改善されていくので有効に活用してほしい。

 

 

労働生産性の計算事例

 

労働生産性を1人1時間当たりの付加価値で求める方法のほかに、社員一人ひとりの働き方に対して費用対効果の検証を行う方法も有効である。

 

例えば、日給2万円の社員2名が、AとBの2つのイベントに出店した場合の労働生産性の計算事例を解説する。

 

夫々の計算条件は、人件費は付随費用含め一人当たり1.5倍、売上総利益率は50%、売上総利益高貢献利益率の適正水準は50%以上とする。

 

イベントA

イベントB

売上

30万円

20万円

売上総利益

15万円

10万円

人件費

6万円

6万円

貢献利益

9万円

4万円

貢献利益率

60%

40%

労働生産性

高い

低い

 

売上総利益高貢献利益の設定水準50%以上は採算ラインを示したもので、費用対効果を計る際に人件費しか把握できないときに活用できる経営指標である。

 

ご覧の通り、イベントAは採算をクリアしていて労働生産性が高い仕事、イベントBは採算割れしていて労働生産性が低い仕事といえる。

 

このように、社員一人ひとりの働き方に対して費用対効果の検証を行う方法は、労働生産性の合理的な計算を可能にすると共に、労働生産性の改善にも有効なアプローチになる。

 

当然ながら、労働生産性の低い採算割れの働き方をピンポイントで改善することができれば、結果として労働生産性が向上する。

 

社員の働き方改善は、労働生産性向上に繋がる有効な対策なのだ。

 

 

労働生産性の向上方法

 

作業の自動化や機械の設備導入に頼らずに労働生産性を上げるには、社員の働き方に潜んでいるムダムラを徹底的に解消しなければならない。

 

なぜなら、どんなに有能な社員であっても、仕事にムダやムラがあると、労働生産性低下の原因になり得るからだ。

 

ムダムラとは、コストの垂れ流しなので、ムダムラの解消は、即、コストカットに繋がる。

 

コストカットが進むと会社の収益が上がり、会社の労働生産性は自ずと改善していく。

 

労働生産性の悪化を招く働き方のムダムラはあらゆる領域にあるが、「目標運用」、「情報共有」、「ブランド向上」、「やる気向上」、「仕事の仕組み化」、「責任感向上」などの取組みは、ムダムラの解消と労働生産性の向上に効果的だ。

 

具体的な方法論は「会社の生産性を上げる実践ノウハウ」で詳しく解説しているので参考にしてほしい。

 

 

労働生産性の分析を会社経営に活かすポイント

 

限られた人員、限られた能力、限られた戦力、限られた資金で勝負せざる得ない中小企業にとって、労働生産性は最も重要な経営指標といっても過言ではない。

 

労働生産性の向上なくして、安定経営の実現はあり得ないといってもいいかも知れない。

 

労働生産性を向上させるには、

 

社員の費用対効果の検証

 

1人1時間当たりの付加価値

 

この2つのポイントを常にモニタリングすることが欠かせない。

 

そして、分析結果をもとにしっかり経営改善に取り組むことが労働生産性を向上させる確かな方法である。

 

労働生産性を高める改善努力を継続していれば、安定経営の礎が徐々に整ってくるものだ。

 

➡NEXT「人時生産性の計算方法と向上方法」へ

 

 

 

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