利益管理の要は売上総利益の把握にある

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売上総利益率の計算方法と適正水準

売上総利益率の計算方法と適正水準

 

売上総利益とは、売上から売上原価(仕入等)を差し引いた金額のことである。

 

一般的に、売上総利益のことを「粗利(あらり)」ともいう。

 

売上総利益の把握は利益管理の要といっても過言ではない。

 

なぜなら、売上総利益の把握なしに、まともな利益管理など出来るものではないからだ。

 

売上総利益の構成は下図の通りである。

 

 

売上に占める売上総利益の構成比が高ければ高いほど、商品、またはサービスの付加価値が高いといえる。

 

売上に占める売上総利益の構成比のことを「売上総利益率」という。

 

主に、会社の収益性を求める経営指標として活用されている。

 

売上総利益率の計算式は下記の通りである。

売上総利益率=(売上総利益÷売上)×100

 

売上総利益率の適正水準は飲食業や小売業にはあるが、その他の業種業態には適正水準がない。

 

例えば、健康食品や化粧品等は、売上総利益率が90%以上のものが数多くある。

 

この分野は、「身体に効く」、「痩せる」、「美しくなる」等々、科学的根拠がなくても、付加価値のイメージを膨らませることができれば、際限なく商品の値段を釣り上げることができる。

 

虚像で付加価値を高めるのはお薦めできないが、競合他社に真似ができず、なお且つ、誠実な努力の元に作られた商品であれば、純粋に付加価値の高い商品といえるので、市場が許容する範囲内で、いくら高い値段をつけても問題はない。

 

当然ながら、売上総利益と販売価格の差が小さければ小さいほど、売上総利益率が上昇し、会社の儲けが大きくなる。

 

純粋に付加価値の高い商品にも関わらず、一般市場の価格に合わせてしまい、然るべき利益を獲得できていない中小企業は少なくない。

 

付加価値の高い商品を元に高水準の利益体質が確保できれば、成長投資のサイクルが加速し、会社の優位性はどんどん高まる。

 

中小企業経営者は、自社商品の付加価値の高さと売上総利益率が見合っているか否かを、時折り点検することも必要だ。

 

 

主な業界ごとの売上総利益率の適正水準

 

主な業界ごとの売上総利益率の適正水準は下記の通りである。

 

飲食業界 75%~85%

 

飲食業界の売上総利益率は75%~85%が標準水準である。

 

稀に、売上総利益率が75%以下の飲食店があるが、顧客回転率が高くなければ成り立たない。

 

飲食業界において売上総利益率を上げるには、独自の材料調達ルートの確保が有効だ。また、スープストック等、調理に時間のかかる材料を外注化し、半完成品として店舗に導入する方法もトータルコストが下がるので有効である。

 

 

卸売業界 15~25%

 

卸売業界の売上総利益率は15%~25%が標準水準である。

 

卸売業界は売上総利益率の水準が非常に低い。従って、商品の保管効率や配送効率を工夫しないと高い収益が確保できない。

 

 

小売業界 25%~50%

 

小売業界の売上総利益率は25%~50%が標準水準である。

 

通販会社は50%、百貨店・雑貨店は40~50%、スーパーマーケット等は25%~35%というように、顧客層や業態によって標準水準に幅がある。

 

稀に、売上総利益率が25%以下の小売店があるが、顧客回転率が高くなければ成り立たない。

 

小売業界において売上総利益率を上げるには、独自商品の内製化が有効だ。例えば、加工材料を仕入れて、オリジナルの餃子や饅頭等を社内製造し、売上総利益率50~70%で販売できれば、お店全体の売上総利益率を押し上げる効果が期待できる。

 

 

売上総利益率を会社経営に活かすポイント

 

売上総利益率のことを粗利率(あらりりつ)ともいう。

 

中小企業経営者にとって粗利や粗利率は、最も馴染みのある経営指標だろう。

 

売上総利益率を経営に活かすには、その性質をしっかり理解することが大切だ。

 

最も理解すべき性質は「売上総利益は会社の最終利益ではない」ということである。

 

売上総利益は、経費(販売管理費)を差し引く前の仮の利益に過ぎない。

 

当然ながら、売上総利益よりも経費が多ければ営業利益が赤字、売上総利益よりも経費が少なければ営業利益が黒字というように、常に経費を減じた後の営業利益に目を向けなければ会社経営の正否を判断することは出来ない。

 

営業利益を見落とした状態で経営を推し進めた結果、赤字金額が膨らむケースは少なくない。

 

「売上総利益は経費を差し引く前の仮の利益」という意識なくして、確かな経営は出来ないのだ。

 

なお、売上総利益率は、たとえ0.1%のプラス改善でも大きな効果を生み出す。

 

しかしながら、売上総利益を上げるために過分に経費をかけてしまい経費率が0.1%上がってしまうと改善効果は簡単に消えて無くなってしまう。

 

売上総利益と経費が常に対の関係にあることを意識したうえで、売上総利益率を改善することが中小企業の安定経営を実現する秘訣である。

 

そして、「売上の最大化」と「経費の最小化」、この2つが売上総利益率を押し上げるシンプル且つ確かな法則だ。

 

➡NEXT「経費率と人件費率の計算方法と適正水準」へ

 

 

 

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