売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?|売上と利益の優先順位

売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?|売上と利益の優先順位

 

売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?

 

結論から言うと、売上と利益、2倍にするのが簡単なのは利益である。

 

この記事では、売上と利益の基本概要、並びに、売上と利益の優先順位について、詳しく解説する。

 

 

売上とは?

 

売上とは、企業が提供する商品やサービスの対価として顧客から受け取る金銭等のことである。

 

企業の事業活動は売上を作るところから始まり売上=顧客の支持率(市場シェア)を表すので、売上は超重要指標になる。

 

一から売上を作るには、顧客の創造が不可欠で、一度作った売上を更に増やすには、新しい商品やサービスの投入が不可欠になる。

 

また、顧客は流動的(常に離脱顧客が発生)なので、売上をキープするためには、顧客創造や新商品等の投入と並行して、繰り返し売上を作ってくれるリピーターの育成・確保も欠かせない。

 

つまり、売上は一度売ったらお終いではなく、如何にして新しい顧客を取り込み、如何にしてその顧客を定着させるかが重要であり、そうした活動なくして売上を増やし続けることはできないのだ。

 

 

利益とは?

 

利益とは、売上から、その売上を獲得するために費やした全てのコストを差し引いて手元に残った金銭等のことである。

 

企業の事業活動は、利益を残すことで初めて成立し、更に、資金繰りや成長投資の原資は全て利益になるので、利益は超重要指標になる。

 

利益を出すには、売上を獲得するために費やす総コストを売上以下に抑える必要があり、この法則が崩れると、利益がマイナスの赤字経営に転落する。

 

利益の出ない赤字経営に転落すると、成長投資が鈍化し、大概の企業は衰退の一途を辿り、やがて倒産の危機に瀕する。

 

今の売上をキープするのも利益が源泉になり、新しい売上を作るのも利益が源泉になるので、利益なくして、まともな事業活動はできない。

 

売上がなければ利益は生まれないが、売上を作ったら必ず利益を残す意識を強く持つことが大切になる。

 

 

売上と利益、2倍にするのはどちらが簡単か?

 

売上と利益2倍にするのが簡単なのは利益になる。

 

なぜなら、利益を2倍にする労力は、売上を2倍にする労力の数分の一で済むからだ。

 

例えば、売上が1,000万円で、利益が100万円の会社があったとする。

 

売上を2倍にするには、新たに1,000万円分の顧客創造に成功しなければ、売上は2倍の2,000万円に到達しない。

 

一方、利益を2倍にするには、100万円の利益を200万円に増やすだけで済む。売上総利益率が50%の会社であれば、経費を据え置きにして売上を200万円増やすだけで、最終利益が2倍の200万円に増加する。

 

或いは、売上を増やすことなく、経費を100万円コストカットする方法でも、利益を2倍の200万円に増やすことができる。

 

前記の方法であれば、売上を2倍にする1/5の労力で利益を2倍にすることができるが、何れにしろ、売上を2倍にする労力に比べて、利益を2倍にする労力は圧倒的に軽く済む。

 

 

売上と利益の優先順位

 

売上と利益は、利益を優先した方が良く、売上を2倍にするよりも、利益を2倍にした方が会社経営は安定する。

 

前章で解説した通り、売上と利益では、それぞれ持っている性質が全く違い会社の存続を保障する要素は、売上ではなく利益になる。

 

会社の利益が無くなり続けて会社のお金が底をつくと、会社経営は破たんするので、とにかく利益を残すことが会社存続の絶対条件になる。

 

多くの経営者は売上拡大に目くじらを立てるが、利益を優先すると、商品やサービスの付加価値を高めるアイデアが出やすくなり、それがきっかけで大きな売上が生まれることもある。

 

逆に、売上ばかりを優先すると、利益度返しで売上を作る方向に傾いたり、安易な安売りで売上拡大に走る危険な思考に陥り易くなる。

 

利益は会社の生存を保障するお金の源泉だけに止まらず、新しい売上を作るための成長投資の原資にもなる。つまり、利益がなければ売上が増えることも、会社が成長することもないのだ。

 

 

利益を2倍にする具体的方法論

 

繰り返すが、売上と利益、2倍にするのが簡単なのは利益である。

 

売上を2倍にするには、顧客創造、市場拡大、新商品投入、新規事業展開、など等、比較的難易度が高くリスキーな方法を取らざる得ないが、簡単に利益を2倍にする方法は沢山ある。

 

例えば、日頃の会社経営の陰に隠れている利益ロスを解消するだけで、利益を簡単に増やすことができる。参考まで、利益を2倍にするための利益ロスの解消方法を3つ紹介する。

 

利益は「売上の中にある」

 

利益ロスは売上の中にも潜んでいる。

 

例えば、売上の構成比率下位20%を占める販売先は、会社の利益に殆ど貢献していない可能性が高い。売上の割に手間が多くて利益が出ていない赤字商品や赤字取引も利益ロスの原因になる。

 

商品の付加価値が高いにも関わらず、価値に見合わない低価格で販売しているケースも利益ロスの原因になる。(販売消費地が大都市圏にも関わらず、地方水準の低価格設定で販売しているケースが失敗の典型になる)

 

利益貢献度が低い販売先の整理、赤字商品や赤字取引の解消、付加価値に見合った価格再設定は、何れも利益ロスの解消に繋がる。

 

利益は「売上原価の中にある」

 

売上原価は、利益ロスの宝庫になる。

 

売上原価には売上に連動する仕入、製造原価、外注費等があり、例えば、仕入の利益ロス解消は、仕入先やロットを工夫して仕入単価を下げる、製造原価の利益ロス解消は、材料や包材単価を下げる歩留まりや廃棄率を改善する、製造効率や生産性を改善する等の方法がある。

 

そのほかにも、製造商品の組み合わせや人員配置、製造ラインの組み換えなど等、労働の非効率要因を洗い出して、労働生産性の改善と共に利益ロスを探る方法もある。また、商品の付加価値と共に売上原価が上昇した場合は、必ず、原価上昇分を売上に価格転嫁することも利益ロスを解消する有効な取組みになる。

 

利益は「販売管理費の中にある」

 

販売管理費は、売上原価同様に利益ロスの宝庫になる。

 

販売管理費には、人件費の他、水道光熱費等の変動費、家賃等の固定費等があるが、例えば、経費の利益ロス解消は、消耗品の調達先を工夫する、印刷物や広告物の発注先を工夫する、必要性の低い変動費と固定費を削減する等の方法がある。

 

また、営業ルートや配送ルートの損益分析、催事やイベントの損益分析、など等、営業活動の個別損益を分析して利益ロスを探る方法もある。販売管理費の利益ロスの改善は、長期間に亘って利益効果が持続するので、積極的に推進したい取り組みでもある。

 

伊藤のワンポイント
 

会社を大きくするには売上拡大はいうまでもありません。大切なのは、利益意識を持って、売上と共に利益を拡大することです。この意識が欠落すると、必ず会社経営に失敗します。また、顧客と社員の幸せを最大化するための成長投資も利益拡大に不可欠です。利益拡大の目的と手段を誤ると、失敗しますので気をつけて下さい。