三方一両損の精神|他者への損切りがビジネスの成功を引き寄せる

 

三方一両損の精神はビジネスで大いに役立つ。

 

三方一両損の精神で互いの主張を少しずつ認め合うことで丸く収まる事が往々にあるからだ。

 

この記事では、三方一両損の意味、並びに、ビジネスの活用術について、事例を交えて詳しく解説する。

 

 

三方一両損のあらすじと意味

 

三方一両損とは「大岡裁き」とも云われているが、あらすじはこうである。

 

町人Aが落とした3両を町人Bが拾い、町人Aに返そうとした。

 

しかし、双方江戸っ子で、町人Aは「一度落としたものは受け取れねぇ」と言い、町人Bは「拾ったものは懐に入れられねぇ」と互いに譲らず、喧嘩が始まる。

 

喧嘩の裁定を任された奉行所の大岡越前は、どちらの言い分にも一理あると認め、自らの1両を加えて4両とし、2両ずつ町人AとBに分け与える裁定を下した。

 

町人Aは落としたはずの3両が2両で済んだので都合1両失い、

 

町人Bは懐に入るはずの3両が2両になったので都合1両失い、

 

さらに大岡自身も1両失うことで三方一両損となり、その場を見事におさめたのであった…と、こんなあらすじである。

 

この「三方一両損」の話しからも分かるように、

 

お互いの主張をぶつけ合うとおさまりがつかないことも、互いの主張を少しずつ認め合うことで丸く収まる事はビジネスの現場では良くあることだ。

 

 

三方一両損のビジネス活用術

 

会社には、色んな部署があり、部署ごとに色んな主張や正義がある。

 

それ自体は自然なことだが、互いの主張をぶつけ合い過ぎると、社内の対立を生み、会社全体の生産性を落としたり、お客様に迷惑をかけたりすることが往々にある。

 

つい先日のことである。

 

経営サポート先の経営会議の席で、互いの主張がぶつかり合うシーンに遭遇した。

 

この会社には、営業・間接・製造の3部門があり、社長のほか、それぞれの事業部長が経営会議に参加している。

 

お客様に対するサービスを向上させるための議論を進めていたところ、営業・間接・製造の三方の主張がぶつかり、部署間で対立する構図が生まれた。

 

皆の議論がひと段落したところで「三方一両損」のお話しを紹介し、更に次のようなメッセージを続けてお伝えした。

 

会社の問題はみんなの問題である。

 

誰か一方を攻めるのではなく、営業・間接・製造の三方がそれぞれに犠牲を払い、協力し合って解決する姿勢を見せることが団結を生み、更なる繁栄の基礎を築く。

 

特に経営層は常に相手の利益を優先する思考を持つことが大切で、それぞれの立場で何ができるのかを真剣に考え、動くことが繁栄を加速させる、と。

 

この三方一両損の精神を理解した後は、皆の議論が建設的な方向にシフトされて、良いアイデアがバンバン出るようになった。

 

 

他者への損切りが成功を引き寄せる

 

ビジネスにおいて、三方一両損の精神は大いに役立つ。

 

なぜなら、他者への損切りは、ビジネスの成功をグッと引き寄せるからだ。

 

同じ会社で働く社員は、みんな仲間である。

 

対立するのではなく、同じ仲間として協力し合ってお客様に尽くす姿勢が、お客様に感動を与え、その感動が売上や利益に繋がる。

 

つまり、自分を守るのではなく、三方一両損の精神で他者を守ることが商売繁盛の大原則なのだ。

 

特に会社のトップに君臨する社長は、自己防衛(自己利益)ではなく、他者防衛(他者利益)の機会をたくさん作ることが最大の使命だと思ってほしい。