近江商人から学ぶ会計と戦略眼|経営者に必要なスキルとマインド

近江商人から学ぶ会計と戦略眼

 

近江商人は、経営のお手本として代表的な存在といえる。

 

江戸中期に近江商人(おうみしょうにん・おうみあきんど)が提唱した、三方よし「買い手よし、売り手よし、世間よし」の商売理念は、あまりに有名だ。

 

この記事では、近江商人から学ぶ会計と戦略眼、並びに、経営者に必要なスキルとマインドについて、詳しく解説する。

 

 

近江商人から学ぶ会計と戦略眼

 

近江商人の三方よしの商売理念を支える要素は「会計スキル」と「戦略眼(マインド)」ではないかと思う。

 

会計スキルとは簡単にいって事業活動の帳簿付けのことで、儲かっているか、儲かっていないかは帳簿を見ればわかると云われるように、近江商人は会計の重要性を認識していたはずだ。

 

戦略眼とは、経営マインド、或いは、判断基準のようなもので、純真無垢な判断基準を持つには、無欲でなければならない。

 

私欲が入ると、どうしても曇った判断基準になり、経営を誤る。三方よしに合致する判断基準を持つには、やはり無欲でなければならないという意識が近江商人の胸の内にあったはずだ。

 

成功している経営者の多くは、会計の重要性を理解し、無欲の戦略眼(マインド)を持っている。

 

そして、日本の歴史を振り返っても、会計の重要性が見えてくる。

 

例えば、天下統一を果たした豊臣秀吉は、会計の重要性を間違いなく理解していた。

 

その証拠に、豊臣政権を支える五奉行の内4人は会計実務に長けた人物だった。しかも、近江に関わりのある人物で、その筆頭が石田三成だった。

 

 

近江商人の確かな会計スキルと無欲の戦略眼

 

石田三成の会計と戦略眼を考えるうえで有名な話がある。それは、島津氏の敗戦処理の話である。

 

豊臣政権に敗れた島津氏は薩摩に閉じ込められた。侍の数は変わらず、領地だけが狭くなったので、薩摩藩は経営に難渋した。

 

敗戦処理を命じられた三成が真っ先に薩摩藩に教え込んだのは会計だった。文献によると、島津藩の再建計画だけでなく、帳簿の記帳から現金出納帳の類に至るまで細かく教えたようだ。

 

恐らく、無欲だったのだろう。

 

近江商人の会計と戦略眼の原型は石田三成にあるのではないかとも思える。

 

会計によって藩の経営が可視化され、財政が把握できるようになると、薩摩藩の経営はみるみる回復した。

 

会社を成長発展させるうえで、確かな会計スキル無欲の戦略眼(マインド)は欠かせない要素だ。

 

衰退する会社には、杜撰な会計、或いは、私欲にまみれた戦略眼(マインド)が蔓延っている。

 

☑経営者の会計スキルは万全か?

 

☑経営者の戦略眼(マインド)は無欲か?

 

経営者自身のスキルとマインドについて、時には立ち止まって考えることも大切なことだ。

 

 

無欲の戦略眼から生み出されるピュアな発想

 

わたしが中小企業の経営指導を引き受けるうえで一番心掛けていることは無欲に徹するということだ。

 

例えば、

 

「こうすればコンサル報酬を増やすことができる」

 

「こうすればコンサル契約を長引かせることができる」

 

といった私欲が絡んだ発想は排除するようにしている。

 

私欲を排除した上で、「この会社を更に発展させるために今すべきこと一体何なのか?」という一点を突き詰めると、ピュアで透明な経営指導プランが浮かび上がってくる。

 

無欲の戦略眼(マインド)ほど、力強いプランやアイデアを生み出す秘訣はない。

 

江戸時代に米沢藩を立て直した名君”上杉鷹山公”が残したといわれる言葉に「働き一両、考え五両、知恵借り十両、コツ借り五十両、ひらめき百両、人知り三百両、歴史に学ぶ五百両、見切り千両、無欲万両」という名言がある。

 

ここでも「無欲」が一等上に位置付けられている。

 

「こうすればお客様からもっとお金をもらうことができる」

 

「こうすればお客様からお金をもらい続けることができる」

 

といった私欲ありきの発想をするのではなく、

 

「こうすればお客様がもっと喜んでくれる」

 

「こうすればお客様の人生がもっと豊かになる」

 

といった無欲ありきの発想でビジネスを組み立てないと、その商売は決して長続きしない。

 

成功する経営者やビジネスパーソンほど、自分の成功よりも、相手の成功を優先する。

 

近江商人が大切にした会計スキルと無欲の戦略眼(マインド)は、経営者に欠かせない重要なスキルといえるのだ。

 

伊藤のワンポイント
 

近江商人の「三方よし」を支える会計スキルと無欲の戦略眼は経営者の必須スキルであり、安定経営の条件です。このスキルを活かすだけで、会社経営の質がガラリと変わり、新しい仕事に恵まれる土壌が整います。確かなスキルを持って、常に相手の成功を優先することが、自分の成功を引き寄せるのです。