指示待ち人間の改善なくして、会社の成長はない。
なぜなら、社員が自ら考える自主性を持たなければ、現場の仕事の質が向上しないからだ。
現場の仕事は、内勤であれば総務経理や開発、外勤であれば営業や販売スタッフなど等、多岐にわたるが、何れにしても、現場の社員が経営者や上司の指示がなければ動けないといった指示待ち人間では、現場の仕事の質が上がることも、会社の生産性が上がることもない。
人材が限られている中小企業であれば、なおさらのことだ。
指示待ち人間の弊害は、それだけではない。
顧客接点に関わる営業社員が指示待ち人間では、顧客満足度を追求する姿勢が欠落し、顧客離脱のきっかけを作りかねない。
或いは、開発社員が指示待ち人間では、開発スピードに陰りが出て、競合他社との開発競争に敗れてしまうかも知れない。
指示待ち人間の改善なくして、会社の成長はないのだ。
とはいっても、指示待ち人間を改善することは、決して簡単ではなく、それなりの教育時間と改善するための工夫が必要だ。
例えば、指示待ち人間に対して「指示を仰ぐことなく自分の考えで行動しろ」と自主性を促しても、確かな判断基準を持っていなければ、誤った行動に繋がり、会社衰退のきっかけを作りかねない。
また、誤った行動を頭ごなしに叱ると、せっかく自主性を発揮した社員が委縮してしまい、簡単に指示待ち人間に逆戻りする。
指示待ち人間を改善するのは、指示がなくても自信を持って動ける根拠になり得る情報をしっかり与えなければならない。
また、指示待ち人間の行動が失敗に終わったとしても、その失敗を許容し、なお且つ、失敗が繰り返されない仕組みを整備することも欠かせない。
指示待ち人間を改善するには「しっかり情報を与えること」と「失敗を許容し、失敗を繰り返さない仕組みを整備すること」、このふたつが成功の秘訣になる。
指示待ち人間に与えるべき情報は、会社の経営理念、行動原理、業績、目標、経営者のビジョンや価値観など等、挙げたらキリがないほどある。
さらに、上司の顔色ではなく顧客の顔色を優先する、顧客の喜びが会社の喜びになる、金額1万円以下は独断で使ってよい、〇〇はやってはいけない、〇〇はやっても良い、など等、具体的表現で情報を与えると、迷いのない行動に繋がり、指示がなくても自主的に考え、行動できるようになる。
指示待ち人間にとって外部機関が主催する指示待ち人間の改善研修や改善セミナーは殆ど役に立たない。
社員教育の一環で、自分の会社の情報をしっかり与えて、会社の方針や会社の置かれている立場と状況をより深く理解してもらった方が、よほど指示待ち人間の改善に役立つ。
また、指示待ち人間の過ちを頭ごなしに叱ることも、指示待ち人間の改善に役立たない。
決して叱らず、その失敗の原因と対策を失敗した本人に考えさせ、なお且つ、その失敗を組織全体で共有する仕組みを作ることが、指示待ち人間を改善し、高い自主性を持った組織を作り上げる秘訣になる。
☑指示待ち人間に情報を与えているか?
☑指示待ち人間の失敗を許容しているか?
☑指示待ち人間の失敗が繰り返されない仕組みがあるか?
指示待ち社員に悩んでいる中小企業経営者は、指示待ち人間を改善するための施策を十分に行っているか否か、一度点検してみてほしい。