採用の自由度が低い中小企業ほど、一度採用した人財のパフォーマンスを最大化させることが、成功の絶対条件になる。
しかし、採用基準が曖昧だと、たとえ有能な社員が採用できたとしても、まとまりのないひ弱な組織に陥り、組織力の低下と共に業績が悪化するリスクが高まる。
この記事では、中小企業が有能な社員を獲得するための採用基準について、詳しく解説する。
中小企業が有能な社員を獲得するために重視すべき採用基準は二つある。
ひとつは「経営者の理念に共感していること」、もう一つは「会社の内情を理解していること」だ。
この二つの採用基準に合致している社員を採用できれば、採用時点の能力が少し劣っていたとしても、教育次第でいかようにも才能を伸ばすことができる。
ひとつ目の採用基準である「経営者の理念に共感していること」は、中小企業が新規採用するうえでの絶対的基準といっても過言ではない。
なぜなら、経営者の理念に反する言動が表面化すると、途端に組織力が低下し、業績も悪化するからだ。
採用候補者に経営理念を共感してもらうには、経営者自身がシッカリと理念なり哲学を持って経営と向き合うことが欠かせない。
当然ながら、理念も哲学もなければ、採用基準が曖昧になり、たとえ有能な社員が採用できたとしても、まとまりのないひ弱な組織に陥る可能性が高くなる。
もう一つの採用基準である「会社の内情を理解していること」も、中小企業が新規採用するうえでの絶対的基準といえる。
なぜなら、会社の内情と採用候補者が抱くイメージのギャップが大きいほど、離職率が高まるからだ。
採用候補者に会社の内情を理解してもらうには、採用面接等の機会に、会社の内情を公開し、なお且つ、その情報を懇切丁寧に説明する必要がある。
説明する会社の内情は、労働条件、給与条件、業績、社員構成といった表面的な部分だけでは物足りない。
入社することでのプラスマイナスやメリットデメリット、或いは、教育方針や将来ビジョンといった情報に至るまで、徹底的に公開した方がよい。
会社の内情の理解が深まるほど、採用候補者の将来ビジョンが明確になるのでモチベーションが一段と上がり、なお且つ、入社後のギャップに悩まされることが少なくなる。
会社の内情を理解してもらうことは、有能な社員を定着させる秘訣でもある。
中小企業の場合、創業期、或いは、成長期に、ハイスペックな人材から、採用の応募が入ることがある。
このようなハイスペックな人材は、既存社員とのレベルのギャップや与える仕事のレベルのギャップなどが原因で、場合によっては組織力の低下という弊害を生み出すリスクを抱えてはいるものの、基本的には、先に紹介した二つの採用基準を満たしている限り、採用で失敗することはない。
また、既存社員をはるかに超えるハイスペックな人材は、多少の背伸びをしてでも採用した方が良い側面もある。
例えば、採用する側(経営者)も、ハイスペック人材に合わせて、大きな目標や夢を語らざる得なくなり、目標設定が高まり、会社の成長が加速しやすくなる。
また、ハイスペックな人材が既存社員に与える好影響も計り知れない。
最終的にハイスペックな人材が辞めることもあり得るかも知れないが、わたしの経験上、マイナスよりもプラスの効果の方がはるかに大きい。