経営者の読書効果は非常に高い。
なぜなら、手軽に教養を身につけることができ、尚且つ、手軽に成功体験や成功理論に触れることができるからだ。
わたし自身も、月に数冊の読書を習慣にしている。
20代の頃は、先輩社長に薦められた山岡荘八著書の「織田信長・豊臣秀吉・徳川家康」や吉川英治氏や司馬遼太郎氏といった大衆歴史作家の全著書を一気呵成に読破したが、経営者のスタンスを学ぶ良い機会になった。
今現在は経営関連に限らず、美術、料理、建築、文化、歴史、小説など等、幅広い分野の読書に興味を向けている。
そして、読書は見聞を広めるきっかけ作りでしかない、ということ強く意識して、実践を重ねる努力を忘れないようにしている。
例えば、読書で得た知識を経営で実践して効果検証する、或いは、読書で満足せずに一流の料理屋や美術館に行って本物に触れる、といったことは習慣化している。
読書は経営者の知識の糧になるが、実践力が身につくわけではない。
経営者の実践力を鍛えるには、読書で得た知識を実践に活かし、知識を知恵に変える努力(創意工夫)が必要だ。
当然ながら、実践なき知識をいくら増やしたとしても、待っているのは「経営能力のない知識人」という残念な結果である。
読書で得た知識は、実践してはじめて経営に活かされる。
経営能力のない知識人で終わらないためには、読書と実践をセットで考えることが大切で、実践ありきの読書は、間違いなく経営者の能力を引き上げる。
読書に熱心な経営者ほど、社員教育の一環で社員に対して読書を義務化しているケースが多いが、読書よりも優先すべきことがある。
それは、経営者自身が社員を深く理解する、ことだ。
例えば、
☑社員の特性が分かれば適材適所が組める
☑社員の能力が分かれば人材育成が円滑になる
☑社員の趣味や家族構成が分かればコミュニケーションが深まる
☑社員の誕生日が分かれば日頃の感謝を伝えるきっかけが作れる
など等、経営者の社員理解が深まるほど、会社の業績向上に繋がる効果が沢山現れる。
読書には経営者の考え方や仕事に役立つ知識の理解が深まるといった一定の教育効果はあるが、社員を知識人に仕立て上げても業績は上がらない。
社員に読書を強要するのではなく、経営者が社員のことを深く理解することの方が重要で、1冊の読書を社員に課すよりも、経営者が1人の社員を理解することの方が、よほど効果的なのだ。
じつは、業績が伸び悩んでいる中小企業、或いは、組織に何らかの問題を抱えている中小企業ほど、経営者の社員理解が浅い傾向にある。
心当たりのある経営者は、読書よりも優先して、ひとり一人の社員の理解に努めてほしい。
また、読書よりも優先して、現場を知る、顧客を知る、といった経営に役立つ実践的知識を増やすことも、経営者の能力を高める秘訣になる。
一方の社員側も、読書よりも優先して、会社の理念、会社の数字、会社の強みと弱み、といった仕事に役立つ実践的知識を増やすと、考える力が身につき仕事の生産性がグッと上がる。
読書は経営能力を引き上げる最も費用対効果の高い成長投資です。ですから、書店で気になる本があれば躊躇なく購入することをお薦めします。そして、読書で得た知識は、実践してアレンジしてこそ役に立ちますので、読後の実践が何よりも重要です。また、読書よりも大切なことは社員一人ひとりのことを深く理解する事です。