売上債権回転日数(期間)の計算式と適正水準(目安)|資金効率を計る経営指標

売上債権回転日数の計算式と適正水準(目安)|資金効率を計る経営指標

 

売上債権回転日数(期間)とは資金効率を計る経営指標の一つである。

 

売上債権回転日数(期間)は良好な資金繰りの実現に欠かせない重要な経営指標といえる。

 

この記事では、売上債権回転日数の計算式(求め方)と適正水準(目安)について、詳しく解説する。

 

 

売上債権回転日数(期間)とは?

 

売上債権回転日数とは、商品販売に伴い発生した売上債権が現金化(回収)されるまでの日数のことで、会社の資金効率を計る経営指標の一つである。

 

売上債権とは、売上の対価として受け取る現金以外の売掛金と受取手形のことで、売上債権残高を日商売上で割ることで、売上債権回転日数の計算ができる。

 

売上債権回転日数のことを、売上債権回転率や売上債権回転期間とも云い、日商ではなく月商で計算する売上債権回転月数という指標もある。

 

売上債権回転日数が分かると、現金化までの日数が明らかになるので、資金効率の良し悪しが分かる。

 

また、売上債権回転日数が短いほど現金化が早く、売上債権回転日数が長いほど現金化が遅い、ということが分かるので、キャッシュフロー重視の経営、或いは、資金繰りを改善する際の目標指標としても活用することができる。

 

 

売上債権回転日数の計算式(求め方)

 

売上債権回転日数の計算式(求め方)は下記の通りである。

 

売上債権回転日数の計算式(求め方)

売上債権回転日数=(売上債権:売掛金+受取手形)〕÷(日商:年商÷363日)

 

例えば、現金商売の場合は、売上債権が発生しないので、売上債権0円÷日商〇〇=売上債権回転日数0日となり、売上が即日現金化されていることが分かる。

 

売上債権の期末残高が1億円で、日商が0.1億円の場合は、売上債権1億円÷日商0.1億円=売上債権回転日数10日間となる。

 

売上債権の期末残高が2億円で、日商が0.1億円の場合は、売上債権2億円÷日商0.1億円=売上債権回転日数20日間となる。

 

 

売上債権回転日数の適正水準(目安)

 

売上債権回転日数の適正水準(目安)は、30日以下が標準になる。

 

売上債権回転日数が標準にない場合は、資本効率が悪く、資金繰りに支障が出る可能性が高いので、売上債権の回収を早める努力をした方が良いだろう。

 

なお、売上債権回転日数は、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が長くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。

 

従って、上記適正水準に合致しない場合は、売上債権回転日数の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。

 

定点観測の結果、売上債権回転日数が悪化しているようなら、現金化の回収スピードが悪化している可能性が高いといえる。

 

※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである

 

 

売上債権回転日数を会社経営に活かすポイント

 

売上債権回転率は良好な資金繰りを実現するうえで欠かせない経営指標だ。

 

会社の資金繰りは、売上債権の回収で決まるといっても過言ではないからだ。

 

資金繰りは会社経営の生命線であり、資金繰りが行き詰まると、大概の会社はあっという間に倒産する。

 

資金繰りを悪化させないためには、日頃から売上債権回転日数をモニタリングし、現金回収のスピードを短縮する努力が欠かせないので、くれぐれも注意してほしい。

 

伊藤のワンポイント
 

売上は現金を回収して初めて成立しますが、ここがおざなりになると、資金繰りが悪化し、会社が衰退します。ですから、売上債権回転日数は経営者だけでなく営業担当全員が意識すべき指標です。この意識が強まると、キャッシュフロー重視の経営が組織に定着して、儲かる経営基盤が整いやすくなります。