明快な人事評価の基準は、社員の能力開発と離職防止に役立つ。
なぜなら、明快な人事評価の基準があれば、社員自身がその基準に自分の能力を照らし合わせて何をすべきかを考え、自主的かつ前向きに能力開発に努めるようになるからだ。
当然ながら、経営者が明快な人事評価基準を持ち合わせていなければ、社員の能力開発を手助けすることはできない。加えて、曖昧な人事評価が原因で、社員の反発や離職を生み出すリスクを高めてしまう。
この記事では、社員の自主的な能力開発環境を整え、かつ、社員の離職を防ぐ人事評価の効果的レーダーチャートについて、詳しく解説する。
社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価の基準はシンプルなほど効果的で、中でもレーダーチャートはお薦めだ。
人事評価レーダーチャートの項目は職種や階層によって変わるが、社員と職場のスキル項目をレーダーチャートで評価するとスキルレベルが明快に視覚化される。下図は、人事評価基準のレーダーチャート例になる。
上図の人事評価レーダーチャートは営業職のサンプル例になるが、評価の基準項目は6~8項目あると良い。
また、レーダーチャートを用いて職場と社員のスキルをグラフ化すると、職場のスキルをけん引している社員なのか、職場のスキルの足かせになっている社員なのかが明確になる。
そして、人事評価レーダーチャートを基準に職場と社員のスキルを評価すると、自ずと、社員の能力開発と離職防止に役立つ人事評価基準が出来上がる。
人事評価レーダーチャートは職場ごとに作成し、評価項目も職場ごとにアレンジする。
人事評価レーダーチャートの評価者は、社員本人、部課長、社長の3者で行い、職場と社員のスキル実態を把握する。下図は、営業職の部署と社員の人事評価レーダーチャートの運用例になる。(青線が職場スキルでオレンジ線が社員スキル)
人事評価レーダーチャートでスキルが明確になったら、あとは定期的に社員面談を行い、職場と社員のスキル状態に応じて社員教育を継続的に行い、会社全体のスキルレベルを底上げする。
レーダーチャートによって人事評価の基準を明快にすると、社員の合理的な人事評価と能力開発を手助けする環境が自ずと整備される。
人事評価のレーダーチャートが会社の隅々まで定着すると、様々な効果が生まれる。
例えば、職場に貢献しているスキルと不足しているスキルが明確になるので、能力開発の成長スピードが一段と加速する。
また、人事評価の基準が明快だと、会社評価と本人評価のギャップも少なくなり、社員の能力不足を合理的かつ効果的にフォローすることもできる。
或いは、理念も哲学もない行き当たりバッタリの経営から抜け出すためのツールとしても有効に機能する。