成果主義のメリット・デメリット|成果主義はデメリットだらけ!?

成果主義のメリット・デメリット

 

成果主義とは、社員が上げた成果を基準に、昇進や昇給などを決定する人事評価制度のことだ。

 

勤続年数や年功、或いは、学歴や経歴に関係なく、業績への貢献度、つまり、成果の高低に応じて昇進や降格が決まるのが成果主義最大の特徴である。

 

この記事では、成果主義のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。

 

 

成果主義のメリット・デメリット

 

成果主義のメリットはさほどない。

 

せいぜい、高い成果を上げることができる社員にとってのモチベーションの支え、或いは、成果を出す社員と成果を出さない社員の人件費を適正に配分できる、というメリットぐらいである。

 

社員ごとに独立採算の仕組みが導入されていて、なお且つ、個人プレー主体の活動で成り立つビジネスモデルであれば、成果主義のメリットが活かせるだろうが、そのような会社は現実的には殆どない。

 

一方、成果主義のデメリットはたくさんある。

 

例えば、成果主義は、社員が成果を上げることを前提にしているので、会社の業績が伸び悩むと途端に機能不全に陥る。

 

中小企業の場合、努力の割に業績がついてこないことは往々にしてあり得ることで、業績が上がらない状況下で成果主義を押し通すと、社員全員の努力がすべてゼロ評価(或いはマイナス評価)になる。

 

これでは、かえって社員のモチベーションが下がり、業績悪化のスパイラルを生み出しかねない。また、会社の業績に連動しない管理部門で働く社員など、合理的成果測定ができない社員に対しても成果主義は機能しない。

 

 

まだまだある成果主義のデメリット

 

成果主義のデメリットはまだまだある。

 

例えば、個人プレーの蔓延、スキルの偏り、中長期目線の欠落などは、会社の衰退リスクを高める成果主義の見逃せないデメリットになる。

 

個人プレーの蔓延は、成果主義の定着と共に症状が酷くなる。成果を上げた社員だけが評価されるようになると、自分だけが良ければそれで良いという考えを持つ社員が増えて、個人プレーが蔓延する。

 

個人プレーが蔓延すると、成果を上げるための貴重な情報やノウハウが一部の社員に独占されるデメリットが生じる。情報は共有されてはじめて社員の能力向上、しいては、会社の業績向上に活かされるので、情報の共有を阻害する成果主義のデメリットは計り知れない。

 

また、成果主義が定着すると、成果を上げる小手先の技能スキルだけが磨かれて、思考力やコミュニケーション力などの社会全般で通用する万能スキルが欠落してしまう。(万能スキルについて当サイト内の「能力開発に役立つ人事評価の基準」で詳しく解説している)

 

つまり、社員の能力開発が一定レベルで停滞するといったデメリットも招いてしまうのだ。社員の能力が伸び悩むと、決まって業績も低迷するので、成果主義のデメリットは極めて大きいといえる。

 

この他にも、人間関係の悪化、チャレンジ精神の低下、ストレス環境の悪化、不正の助長、など等、成果主義のデメリットはまだまだある。

 

多くの中小企業にとって、会社の業績低迷を招くさまざまな弊害(デメリット)を生み出す温床になり得る成果主義は、殆ど使えない人事評価制度といっても過言ではない。

 

 

成果主義は衰退リスクを高めるデメリットもある

 

成果主義は将来の衰退リスクを高めるデメリットもある。

 

なぜなら、成果主義が定着すると会社全体が目の前の成果を上げることに気を取られるので、自ずと短期的視点に帰着してしまい、中長期的視点が欠落するからだ。

 

当然ながら、中長期的視点が欠落すると、将来の経営課題や脅威を見逃すリスクが飛躍的に高まる。経営課題や脅威を見逃すと、たとえ業績好調な会社であっても、あっさり衰退することがある。

 

これまでの解説でも分かりの通り、成果主義はメリットよりもデメリットの方が圧倒的に多く、事実、成果主義を導入後に大幅な見直しや撤廃した企業は数多にある。

 

会社経営において成果を上げることは必須だが、業績結果一辺倒の成果主義に走るのは危険だ。

 

成果を上げるための能力開発やプロセスを評価する仕組みに力を入れた方が、継続的に高い成果を上げる優秀な社員が育つ。

 

伊藤のワンポイント
 

成果主義のデメリットは沢山ありますが、一番怖いのはモラルの低下です。業績さえ上げれば報酬が上がるとなると、モラルが低下し、場合によっては法律違反スレスレ、或いは、違法行為に手を出す社員が現れます。こうしたモラルの欠如が外部に漏れると、どんなに儲かっていようが会社はあっさり衰退します。