ニッチ戦略で企業の収益力を高める方法|ニッチ戦略の成功アプローチ

ニッチ戦略で企業の収益力を高める方法

 

ニッチ戦略は中小企業の収益力をグッと高める優れた経営戦略だ。

 

ニッチ戦略とはニッチ市場の構築を確立する戦略展開のことだが、競争の少ないニッチ市場の構築は、中小企業の安定経営を実現する一番の近道になる。

 

この記事では、ニッチ市場を構築し企業の収益力を高めるニッチ戦略について、詳しく解説する。

 

 

ニッチ戦略とは?

 

ニッチ戦略とは、ニッチ市場の構築を確立する戦略展開のことだ。

 

ニッチ戦略の最終地点になるニッチ市場とは「スキマ市場」のことで、このニッチ市場でナンバーワン、或いは、オンリーワンになるために、経営資源を集中投下する戦略が、ニッチ戦略の基本になる。

 

ニッチ市場を構築するニッチ戦略は二つのアプローチがあり、何れも中小企業の安定経営に役立つ戦略になる。

 

ひとつは、棲み分けでニッチ市場を獲得する戦略で、例えば、大企業等のメジャー市場との棲み分けを戦略的に図り、小さなニッチ市場を獲得し、その市場でナンバーワンの地位を確立する方法などは典型になる。

 

もう一つは、ニッチ市場を創出してオンリーワンになる戦略で、例えば、ユニークな発想をベースに大企業等が参入してこない独自のニッチ市場を創出して、その市場でオンリーワンの地位を確立する方法などは典型になる。

 

 

ニッチ戦略のメリット

 

ニッチ戦略の最大メリットは、競争優位性の向上にある。

 

企業の競争優位性が高まると、様々なメリットが生まれる。

 

例えば、競争の少ないニッチ市場を保有することができれば、他社よりも優位な価格戦略で勝負することができる。

 

他社よりも優位な価格戦略で販売展開できれば、収益面においても優位に立つことができ、収益が高まるほどに、会社の成長投資が一段と加速する。

 

従って、ニッチ市場の構築を確立するニッチ戦略は、中小企業の競争力と収益力を高める優れた経営戦略といえる。

 

 

ニッチ戦略で大切なこと

 

ニッチ戦略でニッチ市場を確立することができれば、収益がより安定するので、ニッチ戦略は、資本力に乏しい中小企業にとって最適な戦略といえる。

 

中小企業が強固な収益力を確保し、厳しい市場競争を生き残るにはニッチ市場が不可欠といっても過言ではないが、ニッチ戦略の展開は簡単ではない。

 

例えば、ニッチ市場を確立するための戦略アプローチを誤ると、ニッチ市場が確立できないばかりか、せっかく投じた経営資源(資金や労力)がすべて無駄になることもあり得る。

 

ニッチ戦略を成功させるためには、ニッチ市場を確立するための戦略ロジックと成功アプローチをしっかり理解することが大切だ。

 

 

ニッチ戦略の成功アプローチ

 

ニッチ戦略の成功は、ニッチ市場の特性を理解することが第一になる。

 

ニッチ市場の特性を理解し、その市場に経営資源を集中投入することがニッチ戦略の基本アプローチになる。

 

下図は、ニッチ市場の特性が分かるマトリックスになる。

 

 

ご覧の通り、ニッチ市場は「参入障壁が高い×市場規模が小さい」エリアになるので、このエリアに経営資源を集中し、戦略的にニッチ市場を確立する事が基本のアプローチになる。

 

ニッチ市場は、専門性の高い技術やノウハウがなければ参加できない分野だが、参入障壁が高いので、一度、ニッチ市場が確立されると独占市場を形成することができる。

 

独占市場が形成できれば、価格面、情報面等々、あらゆる面で競合他社に比べて優位に立てるので、高い収益が得られやすい環境が整う。

 

事業の高収益化は、ニッチ市場の最大のメリットであり、中小企業の場合、ニッチ市場を如何に多く保有するかが安定経営の要点になる。

 

また、ニッチ市場を確立した後は、市場規模の拡大に慎重になることも成功のポイントになる。

 

ニッチ市場を下手に拡大すると、圧倒的資本力で大企業に吸収されるリスクが高まるので、市場の拡大意欲は程々にして、身の丈に合った強固なニッチ市場を保有し続けることがニッチ戦略成功の秘訣になる。

 

 

ニッチ戦略の失敗リスク

 

ニッチ戦略を成功させるためには、失敗リスクを知ることも大切だ。

 

例えば、次のようなニッチ以外の市場分野(前章のマトリックス図参照)で、ニッチ戦略を展開すると失敗リスクが高まる。

 

ニッチ戦略の失敗リスク1

「参入障壁が低い×市場が小さい」は、参入障壁が低く、市場規模が小さい、比較的に簡単に参加できる市場分野になる。誰でも市場参入できるが、市場規模が小さくリターンが少ない。専門性が低く、市場規模も小さいので、最も手を出してはいけない分野になる。

 

ニッチ戦略の失敗リスク2

「参入障壁が低い×市場が大きい」は、参入障壁が低いが、市場規模が大きい、市場分野になる。市場は大きいが、参入障壁が低いので市場競争が激化しやすい。なるべく手を出さない方が良い分野になる。

 

ニッチ戦略の失敗リスク3

「参入障壁が高い×市場が大きい」は、参入障壁が高く、市場規模が大きい、市場分野になる。大企業の独占市場なので一朝一夕には参入できない分野になる。但し、この市場の中から棲み分け市場を見つけることが出来れば、ニッチ戦略の展開が可能になる。

 

 

ニッチ戦略の成功に欠かせない要素

 

ニッチ戦略の成功に欠かせない要素は、高い参入障壁を乗り越えるための独自ノウハウの蓄積である。

 

独自ノウハウを蓄積するには経営改善が不可欠で、例えば、会社の業績改善、商品改良、サービス改善など等の弛まぬ経営改善は、間違いなくニッチ戦略に役立つアイデア(会社の強み)を生み出す。

 

なお、経営改善のアプローチには、次のような方法がある。

 

☑業績からアプローチする方法

 

☑顧客の要望からアプローチする方法

 

☑競合他社商品からアプローチする方法

 

また、ひたむきな経営改善によって蓄積された独自ノウハウは時間の経過と共に強固なものに変わるので、とにかく継続することがニッチ市場の安泰に繋がる。

 

例えば、1日で築き上げた独自ノウハウと、100日で築き上げた独自ノウハウでは、参入障壁の高さに圧倒的な差が生まれる。

 

伊藤のワンポイント
 

ニッチ市場の確立は中小企業の安定経営に不可欠な戦略です。価格の優位性を維持しながら、優位な立場で市場競争を展開することが出来るからです。独自のニッチ市場を確立するには経営改善の推進が不可欠で、この精度でニッチ市場の強さが決まります。また、独自性のあるアイデアや商品価値もニッチ戦略の展開に役立ちます。