中小企業は、新しい商品やサービスを開発しようと思っても、開発人員、開発資源、開発コスト等が限られているケースが多い。
新しい商品やサービスの開発環境に制約が多い中で、開発の成功率を高めるには、質より量を優先する戦略がお薦めだ。
開発経験の回数とスピードの総量で、新しい商品やサービスの開発成功のチャンスの総量が決まるからだ。
質は後でいかようにも改善できる。とにかく、高速回転で改良・開発を回し、量を稼ぐ戦略を推進することだ。そうすれば、開発精度(質)が磨かれて、開発が成功し易い環境が整う。
例えば、新商品の開発予算が年間1,000万円あるとする。開発戦略は二つあり、ひとつは、1件の開発案件に全額投入する戦略。もう一つは、10件の開発案件に100万円ずつ分散投入する戦略である。
この場合、前者の成功チャンスは1回しかないので、開発に失敗すれば来年まで新商品の開発が停滞する。
一方、後者の成功チャンスは10回もある。10件のうち1件でも開発に成功すれば、新しい商品が生まれ、売上拡大が実現できる。このように、質より量を優先することで、成功のチャンスは大きく変わるのだ。
新商品を生み出す戦略と成功率を高める開発フレームワーク(下図参照)について、詳しく解説する。
経営資源が限られている中小企業が、比較的簡単に新しい商品を生み出す戦略は、二つに大別(上図マトリックスの赤丸部分)できる。
既存の商品(技術・ノウハウ含む)を、新しい顧客に投入するか、
既存の顧客(マーケット含む)に、新しい商品を投入するか、の何れかの戦略だ。
前者の戦略は、シーズ提案型の開発(情報発信)を充実させれば、既存商品の用途開発と、新しい顧客の開発に拍車がかかる。
後者の戦略は、ニーズ深堀型の開発(情報発信)を充実させれば、既存顧客が待ち望んだ新しい商品の開発に拍車がかかる。
なお、シーズ提案型の開発は、新用途・新常識・新感覚・新技術等の発想が肝になる。ニーズ深堀型の開発は、お客様のニーズをいち早くキャッチする感度が肝になる。
ニーズばかりに気を取られると、そのニーズの限界点が、売上の限界点となり、場合によってはニーズの廃れと共に、売上が大きく減少するので、ニーズの限界点を突破するためにも、シーズ提案型の開発活動をバランスよく取り入れると良い。