中小企業の競争戦略と差別化戦略|実践事例と成功ストーリー

 

中小企業は大企業に比べ、資金力や経営基盤に圧倒的ハンデを抱えている。

 

競争に勝つための戦略も、差別化を図る戦略も工夫が必要で、工夫なき戦略で勝てるほど市場競争は甘くない。

 

この記事では、中小企業に活かせる競争戦略と差別化戦略について、実践事例や成功ストーリーを交えて分かりやすく解説する。

 

 

競争差別化戦略「逃げる」

 

小さな会社が大きな会社に勝つ方法は簡単だ。

 

戦わずして、負けなければ良いのだ。いわゆる逃げるが勝ちである。

 

例えば、鳥獣のワシとフクロウは主食が一緒だが、昼行性と夜行性に棲み分けし、お互いの争いを上手に避けている。

 

魚類のイワナとヤマメも主食は一緒だが、上流域と下流域に棲み分けし、お互いの争いを上手に避けている。

 

ワシとフクロウ、そして、イワナとヤマメは主食が同じなので、言ってみればライバル関係である。

 

従って、どちらか一方が餌の独り占めという欲を出して相手の主戦場に姿を出すと、その瞬間に熾烈な争いが勃発し、弱肉強食の摂理の元、どちらか一方が戦いに敗れる。

 

この理は、ビジネスも一緒である。

 

ライバルと主戦場が同じであれば、いつまでも顧客の取り合いが続くので、体力に劣った方が衰退する。

 

逆に、顧客の取り合いにならないように主戦場をずらせば、ライバルとの争いは起きず、体力を温存したまま、生存することができる。

 

例えば、駅前ではなく郊外で勝負している喫茶店。法人ではなく個人向け商材で勝負している通販ショップ。ステンレスの樽ではなく木桶で勝負している酒蔵やお醤油屋さん。

 

安物・低価格・消耗品ではなく、高級・高価格・一生モノで勝負している企業。ソニー、アップル、バルミューダなど、機能や技術だけでなく、魅力的なコンセプトを加えて勝負しているメーカーなどは典型だ。

 

ライバルとの主戦場をずらせば、自然と差別化ポイントが生まれ、不毛な争いに陥ることなく会社を繁栄させることができる。

 

ライバルに戦いを挑むのではなく、その場から逃げることで繁栄の活路が開くこともあるのだ。

 

 

競争差別化戦略「引く」

 

ライバルに差をつけるためには、商品やサービスの価値を上げ続けることが欠かせない。

 

一般的には、価値を上げるために機能やサービスを足す方向に行きがちだが、行き過ぎると価格が上昇し顧客に敬遠されたり、採算が合わなくなったりする。

 

何かを足すことだけが、商品やサービスの価値を上げる方法ではない。何かを引くことで、商品等の価値が上がることも往々にある。

 

例えば、料理屋さんは、和食、中華、洋食、フレンチ、イタリアンなど、メニューの種類を足せば足すほど、そのお店の事業価値(強み)が薄れて、顧客に選ばれなくなる。

 

逆に、イタリアンに絞り、更には「ピザ専門店」など、あえて料理の種類を思い切って引くほど、事業価値(強み)が際立ち、顧客に選ばれ易くなる。

 

しかも、引き算方式で強みを際立たせると、作る料理の種類が少なくなるので、業務効率が上がり、運営コストが下がるメリットも享受できる。

 

さらに、浮いたコストを成長投資に注ぎ込めば、経営基盤はますます盤石になる。

 

この戦略は、何を引いて、引いた結果どんな強みが提供できるのかさえ明らかにできれば、どんなビジネスにも応用できる。

 

引く対象は商品の機能やサービスの品質だけではない。日々の業務、工場の製造工程、訴求するコンセプト、ターゲット顧客など、無限にある。

 

押してもダメな時は引いてみる。

 

この考え方はビジネスの現場で面白いほど通用するので、強みが曖昧になっている時は、何かを足すのではなく、何かを引いてみることをお薦めする。

 

 

競争差別化戦略「手放す」

 

ビジネスをうまく運ぶには、時には重要ではないものを手放すことも必要だ。

 

繁栄の基礎は、限られた時間、或いは、限られた資源を重要なものに集中することで確立されるからだ。

 

重要ではないものを手放すことを経営用語で「選択と集中」と云う。

 

選択と集中は、経営マネジメントの発明者であるピーター・F・ドラッカーが発案し、GE社の名物経営者となったジャック・ウェルチ氏が実践したことで有名になった。

 

ジャック・ウェルチ氏は、世界で1位か2位の事業だけに集中する経営戦略を徹底し、中核事業の発展や多角化事業の最適化を成し遂げて、企業成長を強力にけん引した。

 

この実績が全世界の経営者に広まり、現在では、中核事業の育成や多角化事業の最適化だけではなく、あらゆる分野の事業活動の生産性改善を推進する戦略として「選択と集中」が定着した。

 

例えば、選択と集中で仕事の効率を上げたければ、選択の基準を「重要度1位と2位の仕事」、或いは、「重要度の高い2割の仕事」におくと良い。

 

中小企業は、社長の時間や人員が限られているので、重要な仕事と重要ではない仕事を正しく分別し、徹底的して重要な仕事に集中することが生産性を上げる秘訣になる。

 

ビジネスは等価交換なので、何を手放すかは重要な判断になるが、何かを手放せば、必ず、何かが手に入る。

 

捨てる神あれば拾う神あり、とよく云われるように、過去の努力や頑張りは誰かが見ているもので、そうした努力は、必ず、報わるものだ。

 

何かに執着することなく、一所懸命にありのままの今を全力で生きることが、ビジネスを好転させる。

 

ビジネスに行き詰った時ほど、重要ではないものを手放してみてほしい。きっと、飛躍のチャンスが巡ってくるはずだ。

 

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当サイトのコラム記事はビジネスコンサルティング・ジャパン株式会社が執筆・監修しています

 






 


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