ポジショニング・ビューの実践的経営戦略|中小企業編

 

ポジショニング・ビューとは、会社の外部に目を向けて、ライバルとは違う競争環境を見出す分析手法である。

 

自社の強みを発揮できる場所を見つけるのが本来の目的なので、競争するための位置取りではなく、競争を避ける位置取り、ライバルと違ったことをする場所探しが、ポジショニング・ビューの基本アプローチになる。

 

言い換えれば、外部環境の中で自社の強みを発揮できる場所を見つける、ライバルとは違うところに競争環境を再構築する、他社とは違う商品やサービスを売る、他社とは違う売り方で商品やサービスを拡大する等の戦略である。

 

ライバルと競争するためでも、ライバルに競争を仕掛けるためでもなく、ライバルとの競争を避けて、自社の利益を最大化する戦略が、ポジショニング・ビューの大原則で、小が大に勝つための「すみわけ」や「ニッチ(局所戦)」戦略に通じる部分がある。

 

ライバルと真っ向勝負するのではなく、自社に有利な場所で、より有利な売り方で、より利益が出しやすい商品やサービスで、ライバルと極力競争せずにビジネスモデルを再構築しよう、という考えだ。

 

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ポジショニング・ビューの分析手法

 

他社とは違う強みを持つためのリソース・ベースト・ビューが内に向かった分析であるのに対し、ポジショニング・ビューは、外に向かった分析だ。

 

例えば、ある外部要因の対極(高価格-低価格,機能性-デザイン性等)を複数分析し、ライバルとの競争が少ない市場を発掘し、その市場を起点に繫栄を加速する戦略が基本のアプローチになる。

 

ライバルと顧客の取り合いにならないように主戦場をずらせば、ライバルとの争いは起きず、体力を温存したまま、生存することができるので、大企業とは違うことをすることで強みが発揮できる中小企業と相性の良い戦略と言える。

 

例えば、駅前と郊外、法人と個人、安物・低価格・消耗品と高級・高価格・一生モノ、機能や技術だけでなく魅力的なコンセプトで勝負するなど、ライバルとの主戦場をずらす方法は沢山ある。主戦場を変えれば、自然と差別化ポイントが生まれ、不毛な争いに陥ることなく会社を繁栄させることができる。