参入障壁とは、ある企業が市場に参入する際の障壁の高さのことである。
参入障壁が低いと、ライバル企業が密になり市場競争が激化するので、高い参入障壁なくして企業の存続はないといっても過言ではない。
この記事では、参入障壁の基本概要、並びに、高い参入障壁の作り方について、詳しく解説する。
参入障壁とは、ある企業が市場に参入する際の障壁の高さのことである。
参入障壁が高いと、必然的にライバル企業が少なくなるので、競争優位性と事業永続性が高まる。逆に、参入障壁が低いと、必然的にライバル企業が多くなるので、競争優位性と事業永続性が低下する。
参入障壁の高い会社の典型は、オンリーワン企業、参入規制が厳しい業種、許可制・免許制の業種、高い関税で守られている業界等である。
オンリーワン企業を除いて、その業界の既得権益が大きいほど参入障壁が高く、ライバルの脅威が小さくなる。
しかし、こうした参入障壁の高さは、特定の業界を守るメリットがある一方で、市場経済の停滞や消費者利益の棄損などのデメリットがある。
従って、参入障壁の高い企業が、社会にとって有益か否かは、一概には語れない側面もある。
参入障壁は様々な要因によって作られるが、代表的な例は以下の通りである。
法規制等による参入障壁は、免許制、許認可制、承認届出制などの法規制が厳しいほど障壁が高くなる。電力・ガス・水道・運輸・金融・郵便・通信・放送・流通事業などが典型になる。
規模の経済による参入障壁は、事業規模を拡大し、少ないコストで大量の商品やサービスを市場に提供することで障壁が高くなる。中小零細が太刀打ちできない大企業等が典型になる。
ブランド力による参入障壁は、ブランドの認知度を高めるほど障壁が高くなる。特定の事業分野で優位に競争を展開しているファッションブランドだけでなく、食品、医療品、化粧品、ホテル、テーマパーク等に至るまで、ブランド力によって高い参入障壁を有しているナンバーワン企業は沢山ある。また、中小零細企業であっても、地域や事業を絞り込んでナンバーワンを目指せば、簡単に参入障壁を高めることができる。
競争優位性による参入障壁は、独自的・優位的・突出した技術・コスト・ノウハウ・ビジネスモデル・ネットワーク・アイデンティティ等を研鑽することで障壁が高くなる。熱狂的なファンを引き付けているオンリーワン企業が典型になる。競争優位性による参入障壁は、中小零細企業に最も相性の良い障壁といえる。
資金調達力による参入障壁は、独自の資金調達ルートやノウハウを蓄積、或いは、高い収益性を確立することで障壁が高くなる。大企業だけでなく、ベンチャーや中小零細であっても、資金調達力がある会社ほど高い参入障壁を有している。会社はお金が無くなると倒産するので、極めて重要な障壁といっても過言ではない。
参入障壁が高ければ、将来が安泰になるわけだが、他力本願ではたかが知れている。やはり、自力本願の精神で、ビジネスを進化させる努力が不可欠だ。
なぜなら、規制緩和、技術革新、関税撤廃、補助金打切り、価値観の変化、テクノロジーの進化、外資やベンチャーの参入など等をきっかけに、従来の参入障壁が崩壊することが往々にしてあるからだ。
変える必要などない、或いは、変えられないと思っている内はダメである。
外資、新興企業、ベンチャーは「変えられる」と思って、どこからでも競争に参入してくる。
どうやって成長産業に変えるのか?
この自問自答を真剣に考えて、進んで変化を起こす実行力が、参入障壁を高める確かな方法だ。また、オンリーワン企業を目指すために、競争優位性を研鑽し続けることも大切になる。