絶対評価と相対評価、人材育成に適した人事評価はどちらか?
結論から言うと、答えは、絶対評価である。人材育成のスピードが加速するのも、公平な人事評価の環境が整うのも、間違いなく、絶対評価の方が優れている。
この記事では、絶対基準と相対基準の優劣と共に、絶対評価の基準の作り方について、詳しく解説する。
絶対評価とは、目標とする人材像を基準にした人事評価のことだ。
例えば、社会で広く活躍できる人材像を基準にして社員を育成する方法は絶対評価になる。
絶対評価は、主観が入らず、客観重視なので、目指すべき人材像が明確になり、なお且つ、公平な人事評価ができる。
一方、相対評価とは、社内における能力順位を明らかにする人事評価のことだ。
例えば、A君の能力はB君よりも優れている、という具合に社内の能力順位を明らかにする方法は相対評価になる。
相対評価は、客観が乏しく、主観に偏るので、目指すべき人材像が曖昧になり、なお且つ、不公平な人事評価に陥りやすくなる。
絶対評価と相対評価の大きな違いは二点ある。
ひとつは、人事評価基準を社外に置くか社内に置くか、という点、もう一つは、人事評価の基準を客観重視で作るか主観重視で作るか、という点である。
人材育成のスピードが加速するのは、人事評価の基準が社外にあり、なお且つ、人事評価の基準を客観重視で作る「絶対評価」である。
なぜなら、社内の能力順位を明らかにしたところで、ライバル企業に勝つことはできないからだ。
ライバル企業に勝つには、絶対評価を運用し、ライバル企業の社員を超える、社外で広く通用する人材を育て上げなければならない。
また、人事評価基準から客観性が欠けると、経営者や上司の気分や好き嫌いといった曖昧な基準で社員が評価されるため、社員の不満や離職願望が噴出しやすくなる。
社員の公平な人事評価を実現するには、客観性に富んだ絶対評価を運用しなければならないのだ。
絶対評価基準の作り方は、会社の文化や経営者の姿勢、或いは、業界特性など、様々な要因を考慮して緻密に作り上げる必要があるが、最低限、必要なことは、明確な人材像を示すことである。
例えば、目標人材のスキル構成と、目標人材の行動特性を示すコンピテンシーは、絶対評価に不可欠な基準になる。
目標人材のスキル構成とは、一般社員、中間管理職、経営者(経営幹部)のそれぞれの階層に必要なスキルを明確に表す絶対評価基準で、詳しくは当サイト内の「能力開発に役立つ人事評価の基準」を参考にしてほしい。
目標人材の行動特性を示すコンピテンシーとは、成果に繋がる行動特性や活躍する人特有の行動や思考を明確に表す絶対評価基準で、詳しくは当サイト内の「人を育てるコンピテンシーの評価基準」を参考にしてほしい。
組織力の低迷に悩んでいる大概の中小企業の人事評価は、決まって相対評価に偏っている。
組織力の向上は、即、業績向上に繋がるので、組織力の低迷に悩んでいる場合は、人事評価の基準を相対評価から絶対評価にシフトすることをおススメする。