人を育てるコンピテンシーの評価基準|明確なコンピテンシーが組織力を高める

人を育てるコンピテンシーの評価基準

 

コンピテンシーとは人事評価の基準のひとつで、「成果に繋がる行動特性」や「活躍する人特有の行動や思考」のことである。

 

コンピテンシーは、会社が社員に求める行動を明確に示すので、会社が社員を評価するうえでの絶対基準になる。一方、社員の側から見たコンピテンシーは、社員が目指すべき行動を明確に示すので、会社から評価されるための行動原理の基準になる。

 

コンピテンシーは、会社と社員、双方にとって、より良い方向を目指すうえでの指標になるので、コンピテンシーの評価基準が曖昧だと、人事上(組織上)の弊害が様々噴出する。

 

例えば、コンピテンシーが曖昧だと、会社は社員の能力開発をうまく誘導できないため、マンパワーを十分に活かすことが出来なくなる。社員としても、コンピテンシーが曖昧だと、会社が求める行動がうまく取れないので、能力開発が不完全燃焼に終わる。

 

当然ながら、社員の能力開発が不完全だと、社員の成長が止まるので、会社の組織力が伸び悩む、或いは、会社と社員の間に歪な溝が出来てしまい、組織力が低下する。

 

組織力の低下は業績悪化の根本原因になり得るので、コンピテンシーは業績を左右する重要な要素といっても過言ではない。

 

組織力が伸び悩んでいる、或いは、社員の育て方が曖昧になっている中小企業は、コンピテンシーの評価基準が曖昧になっている可能性が高いので、注意してほしい。

 

 

コンピテンシーの評価基準の運用方法

 

コンピテンシーの評価基準は、階層によって変わる。

 

この原理原則を理解しないと、会社の組織力を高めるコンピテンシーの運用はうまく機能しない。

 

例えば、コンピテンシーの評価基準は、一般社員、中間管理職、経営者(経営幹部)、それぞれの階層によって全く変わる。

 

活躍の場が代われば求められる行動が変わるのは当たり前のことだが、階層に応じてコンピテンシーの評価基準を変えないと、社員を昇格させても、変化に適応できない社員が増えて、結果として、組織が機能不全に陥ることがある。

 

有能な社員を昇格させた途端に、その社員の評価が落ちるといった現象は、曖昧なコンピテンシーの評価基準が根本原因であって、社員本人に罪はない。社員を活かすも殺すも、コンピテンシーの評価基準次第なのだ。

 

コンピテンシーの評価基準の一例として分かりやすい例は「目標」だ。

 

例えば、一般社員は「目標理解」、中間管理職は「目標達成」、経営者(経営幹部)は「目標設定」がコンピテンシーの評価基準になる。

 

目標というたった一つのコンピテンシーの評価基準であっても、社員の行動と思考はガラリと変わる。当然ながら、コンピテンシーの評価基準の理解が不十分だと、たとえ有能な社員だったとしても、その社員の行動と思考がちぐはぐなものになる。

 

さらに、この状況を放置すると、せっかくの能力を引き出せないばかりか、問題社員化を促進する結果を招きかねない。

 

会社の成長を後押しするコンピテンシーの評価基準が十分に運用できているか否か、一度、点検してみてほしい。