自我(エゴ)が強いとは、自分の主張や利益を優先する姿勢のことである。
自我が強い人のことを、自分の利益を優先し他者の利益を無視するエゴイスト(利己主義者)、あるいは、わがままや自己中心的なエゴイズム等とも言う。
この記事では、自我(エゴ)が強いと仕事に成果に陰りがでる仕組みについて、詳しく解説する。
随筆家・料理家の辰巳芳子先生は「本物の料理人には自我(エゴ)がない」と仰った。
素材と向き合い、素材を見極め、素材が一途美味しくなるように、自分の自我(エゴ)を一切なくすことこそ、料理人の本分である、という意味である。
2006年に放映された情熱大陸の一コマで発せられた言葉だが、私の心の中にずーっと残っている。
お野菜は季節によって味わいが変わり、お魚も時期によって脂の乗りが変わる。
美味しい料理を作るには、自分のエゴを出すことなく、お野菜やお魚に寄り添うことが欠かせないが、これは会社経営も同じだ。
社長が社員に寄り添い、会社が顧客に寄り添うことで、初めて良い仕事が生まれる。
逆に、社長が自分のエゴを社員にぶつければ社員の反発を買い、会社のエゴを顧客に押し付ければ顧客の反感を買う。
自我(エゴ)の出し方ひとつで、組織のパフォーマンスや会社経営の成果は天と地ほどの差が生じるのだ。
業績が今ひとつ伸び悩んでいる会社は、自我(エゴ)の出し方に問題があるのかも知れない。
社員や顧客だけではない。仕入先や外注先等の仕事仲間に対しても自我(エゴ)を出すことなく寄り添えているか否か、冷静に振り返ることをお薦めする。
エゴ丸出しの商売人を利己主義者(自己利益を重視し他者利益を無視するエゴイスト)と言うが、利己主義一辺倒で商売は長続きしない。
裏切りや騙し合いが飛び交う信用も信頼もない世界観に陥り、お金、人脈、愛情などの徳目をすべて失うのがオチだ。
自我(エゴ)を脇に置いて、自利利他の精神で他者の利益を考えながら商売をするのが、長続きの原則である。
自我(エゴ)を強く出すと、苦悩が生まれる。
思い通りにならない、思った結果と違う、こんなはずじゃなかった…など等の苦悩は、すべて強い自我(エゴ)によって生じる。
人生も会社経営も、社員も顧客も、思い通りになることなど殆どない。
しかも、自分の思い通りにしようとする傲慢なエゴは、自分を苦しめるだけでなく、他者をも苦しめる。
こうした苦しみ、葛藤、争いは、双方(自他)の成長の肥やしになるので、時には受容することも大切だが、苦しみが限界に達したら、サッとエゴを手放すと良い。
自分も他者も救われるし、ありのままの自分や現実を受け入れることもできる。
現実が見えると、やるべき事が分かり、目の前のことに一所懸命取り組むことができるようになり、自ずと、良い仕事、良いご縁、良い喜楽に恵まれ、大きな成果が得られる環境が整う。
人生の折り返し地点に差し掛かる30代まではエゴ丸出しも結構だが、折り返しを超えた40代以降はなるべくエゴを控えた方が大きな成果に恵まれる。