事業は人なりは経営の理なり|人材を人財に育て上げる実践的方法論

 

事業は人なりとは、経営の神様と謳われた松下幸之助氏が経営の心得として提唱した言葉として有名だ。

 

わたし自身も、数多くの中小企業の盛衰をじかに見てきた経験から、つくづく「事業は人なり」と思う。

 

また、数多くの経営者が、中小企業の経営課題として、或いは、新規事業の失敗原因として「人材不足」を挙げている現状を鑑みても、事業は人なりと考えている経営者が如何に多いかが分かる。

 

事業は社員一人ひとりの働きのうえに形作られるので「事業は人なり」は紛れもない事実であり、経営の本質を突いた理である。

 

事実、社員満足度の高いヒト重視の企業の業績は好調であり、社員満足度の低いヒト軽視の企業の業績は不調であることが多い。

 

中小企業の場合は、なかなか有能な社員を採用することが出来ない面もあるが、社員教育でヒトを育てることはどんな会社にもできることだ。

 

例えば、社員の特性を理解して適材適所を図る、定期的な配置換えで社員の能力を開発する、社員教育プログラムを構築・運用して人間力を高める、といった人材育成は経営者のヤル気ひとつで実現することができる。

 

(人材育成の具体的方法論に関しては当サイト内の「強い組織を作り上げる実践ノウハウ」で詳しく解説している)

 

また、会社の先頭に立つべき存在である「経営者の人柄や経営姿勢」も社員を育てるうえで重要な要素になる。

 

なぜなら、尊厳、尊敬、信頼、気迫、責任、リーダーシップ、など等、会社のトップに必要な資質が乏しい経営者には、社員がついてこないからだ。

 

社員を育てて、会社の事業を牽引するには、経営者が社員の規範となる存在になり、社員の先頭に立つ覚悟が必要なのだ。

 

 

人の成長が事業を拡大する

 

事業は人なりの言葉通り、人が成長すれば事業が拡大する。

 

経営資源の乏しい中小企業にとって人を育てることは難しい部分はあるが、経営者が本気で社員を育てる覚悟を持てば、自ずと人が育ち、間違いなく事業も成長する。

 

また、経営者自身が事業拡大の執念を強く持ち、事業拡大の熱意と気迫を周囲に拡散することも人を育てるポイントになる。事業拡大を後押しする中小企業の人材育成のポイントをいくつか紹介する。

 

経営者の姿勢

中小企業において経営者の姿勢は、人材育成の成功を左右する大きな要因になり得る。なぜなら、経営者に威厳がなければ、社員の尊敬を集めることができず、いかに教育を施しても社員の本心に響かないからだ。例えば、経営責任やモラルを持つ、公私混同は控える、社員を信頼する、社員の幸せを応援する、事業拡大の意欲を持ち先頭に立ってリーダーシップを発揮する、などの姿勢は、人を育てる立場にある経営者に不可欠な要素だ。

 

社員との接し方

経営者が社員に接する際は、型通りの姿勢ではなく、なるべく柔軟な姿勢を保った方がよい。なぜなら、社員の性格は十人十色だからだ。社員一人ひとりに合わせた誉め方、叱り方、育て方、任せ方を考え、実践することが人を育て、事業を拡大する秘訣になる。また、経営者自らが自分の欠点を理解し、その欠点を社員にさらけ出す素直な姿勢も大切だ。

 

社員教育の方法

社員の自主性や責任感を育てるには、社員に然るべき目標や情報を与え、経営に参加させることが大切だ。また、会社の経営理念や会社の数字など、社員の仕事の質と思考力を高める情報分野は積極的に教育した方がよい。指示は命令より相談、情報は独占より共有、仕事は放任ではなく援助、など等、常に経営者と社員が一体となって経営に当たることが、結果として大きな教育効果を生み出す。

 

伊藤のワンポイント
 

人が育てば事業が育つは、紛れもない事実です。つまり、企業は人なりを信条に会社経営に挑む経営者の姿勢が事業の成長をけん引するのです。人を育てる仕事は実に骨が折れます。一朝一夕では結果が出ませんし、創意工夫なくして教育効果も上がりません。だからこそ、経営者が諦めずに教育し続けることが大切なのです。