会社の人時生産性を上げる10の方法(組織編)に続いて、会社の人時生産性を上げる10の方法(収益編)を解説する。
組織編では、組織面に焦点を当てた人時生産性を上げる方法を解説したが、収益編では、収益面に焦点を当てた人時生産性を上げる方法を詳しく解説する。
人時生産性を上げるには組織力だけを高めれば良いというものではない。なぜなら、いかに強い組織力を築いたとしても、会社の収益力が低下すると、いとも簡単に人時生産性が低下するからだ。
会社の組織力と収益力は人時生産性を上げる両輪を為しているので、会社の人時生産性を上げる10の方法(収益編)についても、しっかり理解を深めてほしい。
どんなに有能な社員であっても非効率な働き方や会社に損失を与える取引を進めていれば、人時生産性を下げる結果を招く。
例えば、非効率な働き方や損失を与える取引は、時間や労力のムダを生み出し、会社のロス(損失)を拡大する。
どんな会社にも、ロスとムダがあり、ロスとムダが全くない状態というのはあり得ない。
また、ロスとムダは改善して終わりというものではない。時間の経過や時代の変化と共に、どこからともなく発生するのがロスとムダである。
人時生産性を上げるには日常的にロスとムダを排除する取り組みが欠かせない。
人時生産性を上げるにはロスとムダの排除が欠かせないが、会社のロス(損失)を発見するには、常日頃から会社の収益構造を把握する必要がある。
会社の収益構造は事業全体の収益だけを把握していれば良いというものではない。
事業全体から始まり、事業別、取引先別、商品別など等、細かい末端部分までしっかり把握しなければならない。
人時生産性が低下し赤字経営に陥るような中小企業には、必ず、ロス(損失)を生み出す取引先や商品がある。
収益構造の把握は、人時生産性を上げるうえで不可欠な作業といって過言ではない。
いかに生産性の高い労働力を発揮していても、会社が提供する商品やサービスの付加価値が低く、獲得できる利益が些少であれば人時生産性は上がらない。
最小の人員で最大の利益を生み出す体制づくりが人時生産性を上げる大原則なので、やはり、大きな利益が獲得できる付加価値の高い商品やサービスの提供は不可欠だ。
付加価値を高めるには深掘り戦略が欠かせないが、多くの中小企業は深掘り戦略を徹底していない。
付加価値の追求は人時生産性を上げるだけでなく、競争の優位性も高めるので、会社存続を保障する重要な取り組みといえる。
中小企業が人時生産性を上げるためにロスとムダを排除し、事業の付加価値を高めるためには、弛まない経営改善が欠かせない。
経営改善を成功させるためには経営課題をしっかり捉えることが大切だが、経営課題を正しく捉えることほど困難を極める作業はない。
なぜなら、正しく経営課題を捉え、その都度、適切な対処をしていくには相当な経営能力と経営技術を要するからだ。
事実、中小企業の業績が悪化する最大の原因は「経営課題の見落とし」である。
中小企業経営者は、会社が儲かっていようが、儲かっていまいが、いつなんどきも経営改善と真剣に向き合う覚悟が必要だ。
人時生産性を上げるために最小の人員で最大の利益を生み出す体制を構築するには、正しい経営サイクルを確立する必要がある。
正しい経営サイクルとは下図のような会社の数字を起点とした会社経営のことである。
当然ながら、会社の数字を無視した行き当たりバッタリの会社経営では、人時生産性が高まることはなく、経営が行き詰るリスクが高まるばかりとなる。
効率的に人時生産性を高めるには、根拠のある判断基準をベースに経営采配することが大切なのだ。