会社の人時生産性を上げるには、最小の人員で最大の利益を生み出す体制づくりが欠かせない。
また、中小企業は、組織力の強さで業績が決まるといって良いほど、社員の働きぶりが業績に直結する。
当然ながら、業績の良い中小企業は強い組織力で効率よく収益を上げる体制が確立されており、さらに、現状に満足することなく、組織力を高める努力も継続されている。
この記事では、すぐに活用できる会社の人時生産性を上げる10の方法を組織編と収益編に分けて、詳しく解説する。
中小企業は余裕を持った人員採用ができない。また、高い水準での人材教育も難しい。
こうした経営状況において人時生産性を上げるには、個の能力を磨いて少数精鋭の体制を作り上げなければならない。
少数精鋭体制は、すべての社員が、すべての仕事を高いレベルで遂行する能力がなければならない、というものではない。
仕事の領域を細分化していき、「この仕事ならこの社員に任せておけば安心」というレベルの仕事力を、一人ひとりの社員に身につけさせることができれば、自ずと個の能力が高まり、組織全体の力が一段と上がる。
少数精鋭体制は、一人の精鋭社員が休むと会社の人時生産性が一気に低下する弱点があるが、社長自身がその社員をカバーする能力を身につけておけば、さほど人時生産性を下げることなく、一時しのぎができる。
何れにしろ、資本力の乏しい中小企業が大企業や競合他社との競争に打ち勝つには、少数精鋭体制を築き上げ、人時生産性を極限まで高める努力を継続しなければならない。
また、人時生産性の数値管理を定着させることも重要になる。【「人時生産性の計算方法」はこちら】
社員のモチベーションが上がると、人時生産性も上がる。
なぜなら、社員がいきいき働き始めると、仕事の質が、待ちの仕事から攻めの仕事に変わるからだ。
当然ながら、攻めの仕事はムダとロスが少なく、人時生産性が高いものになる。
中小企業で働く社員のモチベーションを上げる方法は難しくない。経営者と社員の関係性が良好であれば、社員は高いモチベーションを持続する。
経営者と社員が良好な関係性を築くためのコミュニケーションは、経営者の社員に対する時折りの労いや声掛け、差し入れなどで十分に効果が出る。
指示待ち人間とは、自らの意思が薄弱で、他人からの指示がないと動けないタイプの人のことである。
社員の自主性を尊重しすぎるのも問題だが、ある程度、指示がなくても仕事が遂行できる能力が社員に備わっていなければ人時生産性は上がらない。
なぜなら、指示を待つ社員と指示をする社員の間にタイムラグ(関連する二つの事の間に生ずる時間的なズレ)が発生すればするほど、人時生産性が低下するからだ。
何といっても、指示を待つ時間は、人時生産性を下げるマイナス要因になる。
指示待ち人間の社員に自主性と自信を持たせるには、チェック体制と報連相(報告・連絡・相談)の徹底が不可欠である。
中小企業においては、仕事のチェック体制と報連相の環境作りは経営者の仕事になる。
人間には必ず一長一短がある。
そして、長所は伸びるが、短所は直らない、若しくは、酷くなるというのが自然の摂理である。
また、仕事においても、得手不得手というのが必ずある。
人時生産性を上げるには、社員の長所と得意分野を活かしきる適材適所が出来ているか否かが重要なポイントになる。
社員の特性を理解し、社員の特性を活かしきる適材適所は、少数精鋭体制の構築やモチベーションの向上、或いは、指示待ち人間の解消にも繋がる人時生産性を高める有効な対策だ。
人時生産性を上げるには、組織力を高めると同時に、会社の収益面を万全に整える経営マネジメントが不可欠だ。
良い社員、良い商品があるにも関わらず、人時生産性が今一つ上がらない会社は、この経営マネジメントが不十分だ。
組織力を高める最も効率の良い方法は、経営者が成長することに尽きる。良い見本を社員に示せば、社員は勝手に育つからだ。
なお、会社の収益を高める方法は会社の人時生産性を上げる10の方法(組織編)にて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。