不採算事業の撤退基準と立て直しのプロセス|不採算事業を見逃すな!!

不採算事業の撤退基準と立て直しのプロセス|不採算事業を見逃すな!!

 

不採算事業とは、マイナス収支の事業体のことである。

 

不採算事業は、宣伝目的や政治目的といった特殊な事情がない限り、健全な会社経営の足をひっぱる厄介者でしかない。

 

この記事では、不採算事業の撤退基準と不採算事業の立て直しプロセスについて、詳しく解説する。

 

 

不採算事業とは?

 

不採算事業とは、マイナス収支の事業体のことで、いわゆる、赤字事業のことである。

 

また、売れば売るほど損失が膨らむ赤字商品や赤字取引も不採算事業の範疇に入り、業績が伸び悩んでいる企業には、必ず、不採算事業が紛れ込んでいる

 

不採算事業を生み出さない秘訣は、事業単位だけでなく、日頃から商品や取引先毎の採算管理を厳重に行うことだ。

 

例えば、商品や取引先毎に収支を分析すると、一つや二つの不採算事業はどんな会社であっても出てくるものだが、そうした不採算事業を丹念に改善する姿勢を持続することが大切になる。

 

また、新規事業は、必ず独立採算で損益を管理し、新規事業単体の採算を正確に把握することも不採算事業を生み出さない秘訣になる。

 

 

不採算事業を見逃すな!!

 

不採算事業は決して見逃してはならない。

 

なぜなら、不採算事業の損失が膨らむと、本業の利益を食いつぶし、会社全体の経営を圧迫するからだ。

 

場合によっては、会社が生み出している全ての利益が不採算事業の穴埋めに流れてしまい、倒産まっしぐらというケースも珍しくない。

 

事実、倒産の危機に瀕する会社には必ず不採算事業の存在があるし、不採算事業の扱いひとつで会社が衰退した例は枚挙にいとまがない。

 

不採算事業で失敗しないためには、不採算事業の徹底基準と不採算事業の立て直しプロセスをしっかり理解することが欠かせない。

 

 

不採算事業の撤退基準

 

不採算事業の徹底基準は、期間と利益の両面で判断すると良い。

 

先ず、不採算事業の許容期間は、中小企業であれば2年が限界なので、2年という期間を一つの撤退基準に考えると良い。そして、不採算事業の利益は、貢献利益の赤字を撤退の基準に考えると良い。

 

貢献利益の赤字とは、その事業に費やされる直接経費よりも収益が少ない経営状態を表し、この状態を放置すると、会社全体の利益が、不採算事業の損失の穴埋めに流れることになり、会社衰退のリスクが飛躍的に高まる。

 

従って、不採算事業の貢献利益が赤字に陥っており、なお且つ、その不採算事業の黒字化が全く見込めないのであれば、早急に不採算事業からの撤退を検討しなければならない。

 

なお、不採算事業で働くスタッフ(当事者)は、その事業への愛着があるため、撤退の決断が鈍る傾向が強いため、不採算事業の撤退判断は、経営者が果断しなければならない。

 

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不採算事業の立て直しプロセス

 

不採算事業の立て直しは、第一に、貢献利益の黒字化、第二に、営業利益の黒字化が正攻法になる。

 

そして、貢献利益の黒字化に向けた不採算事業の立て直しプロセスは、次のスリーステップが正攻法になる。

 

1.過分にかかっているコストをカットする

 

2.利益の総量を増やすために利益率を改善する

 

3.貢献利益を黒字化した後に、新たな売上を作る

 

コストカット、利益率の改善を速やかに実行し、貢献利益を黒字化にした後に、資金的な余裕をもって売上拡大に移行するのが、不採算事業立て直しの正攻法になる。

 

なお、不採算事業を立て直すためのコストカットの手法は「簡単かつ即効性のあるコストダウン手法」の記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。

 

不採算事業を立て直すための利益率の改善は、付加価値を発掘し研鑽することで効果的に改善することができ、新しい売上は、研鑽した複数の付加価値の掛け合わせで生み出すことができる。

 

すべての手を尽くしても不採算事業の立て直しができない場合は、損失の垂れ流しを最小限に食い止めるべく、前章で解説した「不採算事業の撤退基準」に基づいて、不採算事業の撤退を検討するのが良いだろう。

 

伊藤のワンポイント
 

不採算事業は放置してはなりません。中小企業は資金調達の手段が限られていますので、なおさらです。不採算事業(赤字商品・赤字取引含む)を早期発見するには、日ごろの損益管理が重要になります。不採算事業が原因で衰退する企業ほど損益管理が杜撰ですので、しっかり意識してください。