情報と生産性には密接な関係性があり、情報を制するものが、生産性を制するといっても過言ではない。
なぜなら、良質な情報が組織に行き渡れば、事業活動の質が高まり、自ずと生産性が改善されるからだ。
例えば、経営理念という情報を共有すると組織の行動原理が明快になるので、生産性が飛躍的に上がる。
また、生産性改善に役立つ情報を持っている者と持たざる者の行動を比べた場合、生産性を上げるのは、前者の生産性改善に役立つ情報を持っている者の行動だ。
徹底した情報の共有が、生産性を上げる優れた方法になるが、会社の生産性改善に役立つ情報は、経営陣と現場スタッフの垣根を越えて、広く深く共有しなければ意味がない。
経営陣だけ、或いは、現場スタッフだけといった狭い範囲内での情報共有は、非効率な行動を生み出し、生産性悪化のリスクを生み出しかねない。
例えば、経営陣だけが情報を共有していても、現場スタッフに情報が行き届いていなければ、現場スタッフの活動の質が高まることはなく、生産性は一向に上がらない。
或いは、現場スタッフが経営陣に対して然るべき情報を上げなければ、経営判断のミスを招き、生産性を悪化させかねない。
経営陣と現場スタッフの分け隔てない情報共有が、会社の生産性を上げるのだ。
現場スタッフの情報量が増えれば、現場の判断力が上がり、自らが考える集団に変貌するので、自ずと、生産性が上がる。
或いは、経営陣と現場スタッフの情報共有量が増えれば、適宜、最良の対策を講じることができる経営体制が整うので、自ずと、生産性が上がる。
生産性を改善するために共有すべき情報は多岐にわたる。
例えば、売上や利益といった会社の数字、ミスやクレーム、目標などは、生産性を上げるために共有すべき必須情報になる。
会社の数字を共有すると、自分たちの行動と業績の因果関係が整理されるので、自ずと、ムダとムラが少なくなり、生産性が改善される。
また、常に利益を意識した行動原理が定着するので、生産性を悪化させる言動が少なくなる。
ミスやクレームを共有すると、同じ過ちがなくなり、顧客満足度が高まるので、結果として生産性が改善される。
目標を共有すると、組織の力が1点に集中するので、加速度的に生産性が改善される。
この他にも、現場スタッフが顧客から得た情報や現場スタッフが感じた意見や不安などを日常的に吸い上げることも、生産性を上げるための欠かせない取り組みになる。
現場の情報を吸い上げるには、経営者自らが現場スタッフに語りかけ、自らが情報を収集する努力をすることが大切だ。
現場からの報告を待っているようでは、良質な情報は決して集まらない。
例えば、顧客トラブルや営業トラブルといった会社の生産性を悪化させかねない悪い情報などは、まずもって上がってこないと思ったほうが良い。
情報共有の精度は経営者の姿勢ひとつで決まる。つまり、経営者の情報の扱いひとつで、会社の生産性が決まってしまうのだ。
情報を制する者が世界を制すると云いますが、会社経営も同じです。経営者の情報量を上げる、或いは、社員に適切な情報を与えるだけで会社の生産性と業績が上がります。情報収集と共有を推進するのは経営者の仕事です。情報は、現場に足を運んで、自らの目と耳で収集することが大切です。